(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057998
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】積層体の圧着方法及びこれを含むセラミック電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230417BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H01G4/30 311F
H01F41/04 C
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105212
(22)【出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0134818
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュン スー
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】イェオン、ジェ シク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E062
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AF06
5E001AH05
5E001AH08
5E062FF01
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082LL03
5E082MM22
5E082PP06
5E082PP07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】セラミック電子部品のプレス時の変形不良を防止する積層体の圧着方法及びこれを含むセラミック電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】積層体の圧着方法は、積層体を準備する段階と、積層体を第1圧力区間から第2圧力区間Pb~Pcまで加圧する段階と、積層体を第1温度区間Ta~Tbから第2温度区間Tc~Tdまで加熱する段階と、第2圧力区間及び第2温度区間において積層体の圧着を保持する段階と、積層体を第2温度区間から第3温度区間Te~Tfまで冷却する段階と、積層体を第2圧力区間から第3圧力区間まで減圧する段階と、を含む。第2温度区間Tc~Tdの温度は、70℃~150℃である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体を準備する段階と、
前記積層体を第1圧力から第2圧力まで加圧する段階と、
前記積層体を第1温度から第2温度まで加熱する段階と、
前記第2圧力及び前記第2温度において前記積層体の圧着を保持する段階と、
前記積層体を前記第2温度から第3温度まで冷却する段階と、
前記積層体を前記第2圧力から第3圧力まで減圧する段階と、を含み、
前記第2温度は70℃~150℃である、積層体の圧着方法。
【請求項2】
前記加熱する段階は、前記加圧する段階の後に行われる、請求項1に記載の積層体の圧着方法。
【請求項3】
前記冷却する段階は、前記減圧する段階の前に行われる、請求項2に記載の積層体の圧着方法。
【請求項4】
前記第1圧力は0kgf/cm2~10kgf/cm2であり、
前記第2圧力は500kgf/cm2~1500kgf/cm2であり、
前記第3圧力は0kgf/cm2~10kgf/cm2である、請求項1に記載の積層体の圧着方法。
【請求項5】
前記第1温度は25℃~55℃であり、
前記第3温度は25℃~55℃である、請求項1に記載の積層体の圧着方法。
【請求項6】
前記加熱する段階において、昇温速度は1℃/min~20℃/minであり、
前記冷却する段階において、冷却速度は1℃/min~20℃/minである、請求項1に記載の積層体の圧着方法。
【請求項7】
保持する段階において、保持時間は10sec~1800secである、請求項1に記載の積層体の圧着方法。
【請求項8】
前記加圧する段階は、
前記積層体を前記第1圧力から第1-2圧力まで加圧する段階と、
前記積層体を前記第1-2圧力から前記第2圧力まで加圧する段階と、を含み、
前記減圧する段階は、
前記積層体を前記第2圧力から第2-3圧力まで減圧する段階と、
前記積層体を前記第2-3圧力から前記第3圧力まで減圧する段階と、を含む、請求項1から7の何れか1つに記載の積層体の圧着方法。
【請求項9】
前記加熱する段階は、前記加圧する段階中に行われ、
前記冷却する段階は、前記減圧する段階中に行われる、請求項8に記載の積層体の圧着方法。
【請求項10】
前記第1-2圧力は30kgf/cm2~500kgf/cm2であり、
前記第2-3圧力は30kgf/cm2~500kgf/cm2である、請求項8に記載の積層体の圧着方法。
【請求項11】
導体パターンが印刷された誘電体シートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、
前記セラミック積層体を圧着する段階と、
前記圧着されたセラミック積層体を切断する段階と、を含み、
前記セラミック積層体を圧着する段階は、前記セラミック積層体を第1圧力から第2圧力まで加圧する段階と、前記セラミック積層体を第1温度から第2温度まで加熱する段階と、前記第2圧力及び前記第2温度において前記セラミック積層体の圧着を保持する段階と、前記セラミック積層体を前記第2温度から第3温度まで冷却する段階と、前記セラミック積層体を前記第2圧力から第3圧力まで減圧する段階と、を含み、前記第2温度は70℃~150℃である、セラミック電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記加熱する段階は、前記加圧する段階の後に行われる、請求項11に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記冷却する段階は、前記減圧する段階の前に行われる、請求項12に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記加圧する段階は、
前記セラミック積層体を前記第1圧力から第1-2圧力まで加圧する段階と、
前記セラミック積層体を前記第1-2圧力から前記第2圧力まで加圧する段階と、を含み、
前記減圧する段階は、
前記セラミック積層体を前記第2圧力から第2-3圧力まで減圧する段階と、
前記セラミック積層体を前記第2-3圧力から前記第3圧力まで減圧する段階と、を含む、請求項11から13の何れか1つに記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記加熱する段階は、前記加圧する段階中に行われ、
前記冷却する段階は、前記減圧する段階中に行われる、請求項14に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記切断されたセラミック積層体を焼成してセラミック本体を形成する段階と、
前記セラミック本体上に外部電極を形成する段階と、をさらに含む、請求項11に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の圧着方法及びこれを含むセラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層キャパシタ、積層インダクタ、積層アルミナ基板、積層バリスタ等のセラミック電子部品を製造する際に、導体パターンを備えたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成し、次いでこのような積層体を圧着する工程を経る。
【0003】
一方、圧着工程は高温及び高圧で行われるため、積層体の非線形収縮現象により変形不良が発生することがある。この場合、マージンの不足で切断不良が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のいくつかの目的の一つは、非線形収縮現象による変形不良を改善することができる積層体の圧着方法及びこれを含むセラミック電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を通じて提案するいくつかの解決手段の一つは、まず低温で加圧を行い、その後に昇温過程と保持過程を行い、その後に冷却過程と減圧過程を行う方法で圧着工程を行うことである。このとき、昇温後の最終温度は約70℃~150℃程度であってよい。
【0006】
例えば、一例による積層体の圧着方法は、積層体を準備する段階と、上記積層体を第1圧力から第2圧力まで加圧する段階と、上記積層体を第1温度から第2温度まで加熱する段階と、上記第2圧力及び上記第2温度において上記積層体の圧着を保持する段階と、上記積層体を上記第2温度から第3温度まで冷却する段階と、上記積層体を上記第2圧力から第3圧力まで減圧する段階と、を含み、上記第2温度は70℃~150℃であってよい。
【0007】
例えば、一例によるセラミック電子部品の製造方法は、導体パターンが印刷された誘電体シートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、上記セラミック積層体を圧着する段階と、上記圧着されたセラミック積層体を切断する段階と、を含み、上記セラミック積層体を圧着する段階は、上記セラミック積層体を第1圧力から第2圧力まで加圧する段階と、上記セラミック積層体を第1温度から第2温度まで加熱する段階と、上記第2圧力及び上記第2温度において上記セラミック積層体の圧着を保持する段階と、上記セラミック積層体を上記第2温度から第3温度まで冷却する段階と、上記セラミック積層体を上記第2圧力から第3圧力まで減圧する段階と、を含み、上記第2温度は70℃~150℃であってよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のいくつかの効果の一つとして、非線形収縮現象による変形不良を改善することができる積層体の圧着方法及びこれを含むセラミック電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】積層体の圧着工程を概略的に示す断面図である。
【
図2】圧着工程による非線形収縮現象を概略的に示す。
【
図3】圧着工程の圧力及び温度プロファイルの一例を概略的に示す。
【
図4】圧着工程の圧力及び温度プロファイルの他の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明について説明する。図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または縮小することができる。
【0011】
図1は積層体の圧着工程を概略的に示す断面図であり、
図2は圧着工程による非線形収縮現象を概略的に示す。
【0012】
図面を参照すると、圧着工程の対象となる積層体は、例えば、セラミック積層体100であってよい。セラミック積層体100は、積層キャパシタ、積層インダクタ、積層アルミナ基板、積層バリスタなどのセラミック電子部品の前駆体であってよい。例えば、セラミック積層体100は積層キャパシタの前駆体であってよく、このとき、セラミック積層体100は誘電体層101及び内部電極102を含むことができる。
【0013】
セラミック積層体100は、誘電体シートを製造した後、誘電体シート上に導体パターンを印刷し、多数の印刷された誘電体シートを積層する方法で形成することができる。誘電体シートは、セラミックパウダー、バインダー、溶媒などを混合した後、スラリーを製造し、フィルムの上にスラリーを均一かつ薄くコーティングする方法で形成することができる。成形されたセラミックシート上にはスクリーン印刷などの方法で導体パターンを形成することができる。例えば、導体パターンは、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち少なくとも一つを含む導電性ペーストを塗布及び乾燥して形成することができる。このような導体パターンが印刷された誘電体シートを所望の容量だけ積み上げてセラミック積層体100を形成することができる。必要に応じては、導体パターンが印刷されていない誘電体シートを必要な位置にさらに積層することもできる。すなわち、セラミック積層体100は、導体パターンが印刷されていない誘電体シートをさらに含むことができる。一例として、積層された誘電体シートは誘電体層101を構成することができ、導体パターンは内部電極102を構成することができる。
【0014】
圧着工程は、セラミック積層体100を下部圧着副資材201及び上部圧着副資材202を用いて圧力を加える方法で行うことができる。また、圧着工程は、このような加圧過程だけでなく、昇温及び冷却過程を経て行うことができる。圧着工程後には、セラミック積層体100の非線形収縮現象が発生することがある。この場合、セラミック積層体100の縁部であるインデックス領域300が変形により直進性を失う可能性がある。この場合、中央のマージンM領域が影響を受ける可能性がある。マージンM領域の十分な確保が困難な場合、切断工程を行う際に切断不良が発生することがある。例えば、切断時にマージンM領域の中央ではない箇所を切断する可能性がある。この場合、切断後のそれぞれのチップの左/右マージンのうち短い区間が生じる可能性があり、これはスペック不良に該当し得る。
【0015】
圧着工程後には、圧着されたセラミック積層体100を必要なチップサイズに切断することができる。その後、それぞれの圧着及び切断されたセラミック積層体100を高温、例えば1200℃~1300℃程度の温度で焼成してチップサイズのセラミック本体を形成することができる。必要に応じては、このようなセラミック本体を筒に入れて回転させ、角ばった外形を丸める研磨工程を行うことができる。その後、セラミック本体上に外部電極を形成することができる。外部電極は、例えば、セラミック本体上に銅(Cu)等の導電性物質を含む導電性ペーストを塗布し、熱処理でこれを焼成した後、さらにニッケル(Ni)及び錫(Sn)等を段階的に電気めっきする方法で形成することができる。
【0016】
一連の過程を通じて、セラミック電子部品、例えば、積層キャパシタを製造することができるが、これは一例に過ぎず、その製造方法はこれに限定されるものではない。
【0017】
図3は、圧着工程の圧力及び温度プロファイルを概略的に示す。図面を参照すると、一例による圧着工程は、まず低温で加圧が行われ、加圧後に加熱が行われ、最終温度に達した後に一定時間を保持し、その後に冷却を行った上で、再び低温になると減圧を行うものであってよい。必要に応じては、冷却は減圧後に行われてもよい。
【0018】
例えば、一例による圧着工程は、まず相対的に低温である第1温度区間Ta~Tbにおいて積層体を第1圧力区間Paから第2圧力区間Pb~Pcまで加圧し、このような第2圧力区間Pb~Pcを保持した状態で積層体を第1温度区間Ta~Tbから第2温度区間Tc~Tdまで加熱し、その後、第2圧力区間Pb~Pc及び第2温度区間Tc~Td上で積層体の圧着を一定時間保持し、その後、第2圧力区間Pb~Pcにおいて積層体を第2温度区間Tc~Tdから第3温度区間Te~Tfまで冷却し、相対的に低温である第3温度区間Te~Tfになると、積層体を第2圧力区間Pb~Pcから第3圧力区間Pdまで減圧することを含むことができる。これにより、非線形収縮による積層体の変形不良を効果的に改善することができる。
【0019】
第2温度区間Tc~Tdの温度は、積層体のガラス転移温度以上の温度、例えば、積層体が上述のセラミック積層体等である場合、70℃~150℃程度、又は85℃~130℃程度であってよい。圧着が保持される温度である第2温度区間Tc~Tdの温度がこの範囲を満たすとき、他の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。このような観点から、第1温度区間Ta~Tbの温度は約25℃~55℃程度であってよい。また、第3温度区間Te~Tfの温度は約25℃~55℃程度であってよい。
【0020】
第2圧力区間Pb~Pcの圧力は、500kgf/cm2~1500kgf/cm2程度、又は500kgf/cm2~1000kgf/cm2程度であってよい。圧着が保持される圧力である第2圧力区間Pb~Pcの圧力がこの範囲を満たすとき、デラミネーション等の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。一方、第1圧力区間Paの圧力は0kgf/cm2~10kgf/cm2程度であってよく、第3圧力区間Pdの圧力は0kgf/cm2~10kgf/cm2程度であってよいが、第2圧力区間Pb~Pcより小さい範囲であれば、特にこれに限定されない。
【0021】
第1温度区間Ta~Tbにおいて、2地点Ta、Tbの温度は互いに同一であるか、又は上述の温度範囲内でほぼ類似することができる。また、第2温度区間Tc~Tdにおいて、2地点Tc、Tdの温度は互いに同一であるか、又は上述の温度範囲内でほぼ類似することができる。また、第3温度区間Te~Tfにおいて、2地点Te、Tfの温度は互いに同一であるか、又は上述の温度範囲内でほぼ類似することができる。また、第2圧力区間Pb~Pcにおいて、2地点Pb、Pcの圧力は互いに同一であるか、又は上述の圧力範囲内でほぼ類似することができる。
【0022】
一方、保持する段階において、保持時間は特に限定されないが、好ましくは10sec~1800sec程度であってよい。保持時間が上述の範囲を満たすとき、他の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。
【0023】
また、加熱する段階において、昇温速度は特に限定されないが、好ましくは1℃/min~20℃/min程度であってよい。また、冷却する段階において、冷却速度は特に限定されないが、好ましくは1℃/min~20℃/min程度であってよい。昇温/冷却速度が上述の範囲を満たすとき、他の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。
【0024】
一方、減圧速度は加圧速度より速くてよく、これによって非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。
【0025】
図4は、圧着工程の圧力及び温度プロファイルの他の一例を概略的に示す。図面を参照すると、他の一例による圧着工程は、まず低温で一次加圧が行われ、一次加圧後に加熱が行われ、最終温度に達した後に二次加圧が行われ、その後に一定時間を保持し、その後に一次減圧が行われ、その後に冷却を行った上で、再び低温になると二次減圧を行うものであってよい。必要に応じては、冷却は二次減圧の後に行われることもできる。
【0026】
例えば、他の一例による圧着工程は、まず相対的に低温である第1温度区間Ta~Tbにおいて積層体を第1圧力区間Paから第1-2圧力区間Pa'~Pb'まで一次加圧し、このような第1-2圧力区間Pa'~Pb'において積層体を第1温度区間Ta~Tbから第2温度区間Tc~Tdまで加熱し、その後に積層体を第1-2圧力区間Pa'~Pb'から第2圧力区間Pb~Pcまで二次加圧し、その後に第2圧力区間Pb~Pc及び第2温度区間Tc~Td上で積層体の圧着を一定時間保持し、その後に第2圧力区間Pb~Pcから第2-3圧力区間Pc'~Pd'までに一次減圧し、このような第2-3圧力区間Pc'~Pd'において積層体を第2温度区間Tc~Tdから第3温度区間Te~Tfまで冷却し、相対的に低温である第3温度区間Te~Tfになると、積層体を第2-3圧力区間Pc'~Pd'から第3圧力区間Pdまで減圧することを含むことができる。これにより、非線形収縮による積層体の変形不良を効果的に改善することができる。
【0027】
第2温度区間Tc~Tdの温度は、積層体のガラス転移温度以上の温度、例えば、積層体が上述のセラミック積層体等である場合、70℃~150℃程度、又は85℃~130℃程度であってよい。圧着が保持される温度である第2温度区間Tc~Tdの温度がこの範囲を満たすとき、他の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。このような観点から、第1温度区間Ta~Tbの温度は約25℃~55℃程度であってよい。また、第3温度区間Te~Tfの温度は約25℃~55℃程度であってよい。
【0028】
第2圧力区間Pb~Pcの圧力は、500kgf/cm2~1500kgf/cm2程度、又は500kgf/cm2~1000kgf/cm2程度であってよい。圧着が保持される圧力である第2圧力区間Pb~Pcの圧力がこの範囲を満たすとき、デラミネーション等の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。このような観点から、第1-2圧力区間Pa'~Pb'の圧力は30kgf/cm2~500kgf/cm2程度であってよく、第2-3圧力区間Pc'~Pd'の圧力は30kgf/cm2~500kgf/cm2程度であってよい。
【0029】
一方、第1圧力区間Paの圧力は0kgf/cm2~10kgf/cm2程度であってよく、第3圧力区間Pdの圧力は0kgf/cm2~10kgf/cm2程度であってよいが、第2圧力区間Pb~Pcより小さい範囲であれば、特にこれに限定されない。
【0030】
第1温度区間Ta~Tbにおいて、2地点Ta、Tbの温度は互いに同一であるか、又は上述の温度範囲内でほぼ類似することができる。また、第2温度区間Tc~Tdにおいて、2地点Tc、Tdの温度は互いに同一であるか、又は上述の温度範囲内でほぼ類似することができる。また、第3温度区間Te~Tfにおいて、2地点Te、Tfの温度は互いに同一であるか、又は上述の温度範囲内でほぼ類似することができる。また、第2圧力区間Pb~Pcにおいて、2地点Pb、Pcの圧力は互いに同一であるか、又は上述の圧力範囲内でほぼ類似することができる。また、第1-2圧力区間Pa'~Pb'において、2地点Pa'、Pb'の圧力は互いに同一であるか、又は上述の圧力範囲内でほぼ類似することができる。また、第2-3圧力区間Pc'~Pd'において、2地点Pc'、Pd'の圧力は互いに同一であるか、又は上述の圧力範囲内でほぼ類似することができる。
【0031】
一方、保持する段階において、保持時間は特に限定されないが、好ましくは10sec~1800sec程度であってよい。保持時間が上述の範囲を満たすとき、他の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。
【0032】
また、加熱する段階において、昇温速度は特に限定されないが、好ましくは1℃/min~20℃/min程度であってよい。また、冷却する段階において、冷却速度は特に限定されないが、好ましくは1℃/min~20℃/min程度であってよい。昇温/冷却速度が上述の範囲を満たすとき、他の副作用なしに非線形収縮による積層体の変形不良をより効果的に改善することができる。
【0033】
実験例
以下では、実験を通じて本発明の効果について説明する。実験には、
図1を通じて説明したセラミック積層体を用いた。セラミック積層体は、チタン酸バリウム系誘電体材料で形成された誘電体シートと、このような誘電体シート上にニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを印刷した誘電体シートを550層積み上げて準備した。その後、下記の[表1]~[表8]の条件で様々に圧着工程を行い、圧着工程後に積層体の収縮率と切断不良について、その結果を示した。
【0034】
一方、収縮率とは、
図2のように、セラミック積層体の長さx及び幅y方向における変化率を意味する。このとき、収縮率(設計)とは、誘電体シートに導体パターンを印刷する際の設計数値に対するセラミック積層体の圧着後の収縮率を意味する。なお、収縮率(圧着)とは、セラミック積層体の圧着前/後の収縮率を意味する。これらの収縮率は、セラミック積層体を積層する際、下部圧着副資材に印刷されたマークを挿入した後、二次元測定器を用いてその座標を測定し、圧着後に再び座標を測定してから各点の長さを用いて計算した。
【0035】
また、切断不良とは、切断後の工程検査である切断検査で発生した変形性切断不良を意味し、具体的には、切断後の個別チップにおいてマージンの中央が切断されず、基準長さ以下にマージンが残された状態を意味する。切断不良は10倍率~22倍率程度のルーペ(rupe)を用いて目視検査で評価した。
【0036】
【0037】
[表1]に示すように、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例1に比べて、加圧後に圧力保持状態で昇温及び/又は冷却過程を経る実験例2~4が非線形収縮現象による変形不良を改善するのに効果的であることが分かる。また、加圧後に圧力保持状態で少なくとも昇温過程を経る実験例2-3の場合、加圧後に圧力保持状態で冷却過程のみを経る実験例4に比べても非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0038】
【0039】
[表2]に示すように、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経る場合において、実験例6~10のように、昇温後の最終温度が70℃~150℃程度のとき、これを外れる実験例4に比べて、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。一方、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経るとともに、最終温度が180℃であって150℃を外れる実験例11の場合、切断工程後にチップが再付着するという問題が発生した。
【0040】
【0041】
[表3]に示すように、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経る場合において、実験例13~15のように、加圧後の最終圧力が500kgf/cm2~1500kgf/cm2程度のとき、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例12に比べて、デラミネーション等の副作用なしに、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0042】
【0043】
[表4]に示すように、加圧及び減圧を2回に分けて行う場合、例えば、加圧/昇温/加圧/保持/減圧/冷却/減圧を経る場合において、実験例16~20のように、昇温及び冷却時の圧力が30kgf/cm2~500kgf/cm2程度のとき、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例15に比べて、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0044】
【0045】
[表5]に示すように、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経る場合において、実験例22~25のように、昇温速度が1℃/min~20℃/min程度のとき、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例21に比べて、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0046】
【0047】
[表6]に示すように、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経る場合において、実験例27~28のように、冷却速度が1℃/min~20℃/min程度のとき、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例26に比べて、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0048】
【0049】
[表7]に示すように、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経る場合において、実験例30~33のように、保持時間が10sec~1800sec程度のとき、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例29に比べて、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0050】
【0051】
[表8]に示すように、加圧後に圧力保持状態で昇温/保持/冷却を全て経る場合において、実験例35~36のように、開始/完了温度が25℃~55℃程度のとき、単に高温条件で加圧/保持/減圧を経る実験例34に比べて、非線形収縮現象による変形不良を改善するのにより効果的であることが分かる。
【0052】
本発明において、「側部」、「側面」等の表現は、便宜上、図面を基準にして左/右方向又はその方向における面を意味するものとして使用し、「上側」、「上部」、「上面」等の表現は、便宜上、図面を基準にして上方向又はその方向における面を意味するものとして使用し、「下側」、「下部」、「下面」等は、便宜上、下方向又はその方向における面を意味するものとして使用した。さらに、「側部、上側、上部、下側、又は下部に位置する」とは、対象構成要素が基準となる構成要素と当該方向に直接接触する場合だけでなく、当該方向に位置し、且つ直接接触しない場合も含む概念として使用した。ただし、これは説明の便宜上、方向を定義したものであり、特許請求の範囲の権利範囲がこのような方向に対する記載によって特に限定されるものではなく、上/下の概念等はいつでも変更することができる。
【0053】
本発明において、「連結される」とは、直接連結されたことだけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結されることを含む概念である。また、「電気的に連結される」とは、物理的に連結された場合及び連結されていない場合の両方を含む概念である。さらに、「第1」、「第2」等の表現は、一つの構成要素と他の構成要素とを区分するために使用されるものであって、当該構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素を第2構成要素と命名されることができ、同様に第2構成要素を第1構成要素と命名されることができる。
【0054】
本発明で使用される一例という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合されて実施されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一例に係る説明として理解することができる。
【0055】
本発明で使用される用語は、単に一例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定することを意図するものではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。