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特開2023-58120トイレ用リモコン装置およびトイレ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058120
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】トイレ用リモコン装置およびトイレ装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230418BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
E03D9/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167914
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恒太
【テーマコード(参考)】
2D038
5K048
【Fターム(参考)】
2D038KA02
2D038KA03
5K048BA01
5K048DA01
5K048EB02
5K048EB15
5K048FB10
(57)【要約】
【課題】使い勝手を向上できるトイレ用リモコン装置およびトイレ装置を提供する。
【解決手段】便座が載置される便器の側方に位置して、少なくとも一部が便座開口の前後方向の中心よりも前方に配置されたトイレ用リモコン装置において、空中映像を映し出す表示装置と、前記空中映像に対する操作を検知する検知部と、前記検知部で検知された操作に基づく指令信号を送信させる制御部と、を備え、前記空中映像を視認できる視野角の中心線は、前記空中映像から後方に向けて延び、前記便座開口の上方を通過することを特徴とするトイレ用リモコン装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座が載置される便器の側方に位置して、少なくとも一部が便座開口の前後方向の中心よりも前方に配置されたトイレ用リモコン装置において、
空中映像を映し出す表示装置と、
前記空中映像に対する操作を検知する検知部と、
前記検知部で検知された操作に基づく指令信号を送信させる制御部と、
を備え、
前記空中映像を視認できる視野角の中心線は、前記空中映像から後方に向けて延び、前記便座開口の上方を通過することを特徴とするトイレ用リモコン装置。
【請求項2】
前記表示装置は、
映像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記映像を前記空中映像として結像させるプレートと、
を有し、
前記プレートは、
上下方向に延びる複数の縦鏡部と、
前記縦鏡部に対して垂直方向に延びる複数の横鏡部と、
を有し、
前記縦鏡部と前記横鏡部とにより形成される格子の対角線と、鉛直線と、の間のなす角は、25度以上65度以下となっていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ用リモコン装置。
【請求項3】
前記プレートにより前記空中映像とは別に結像される他の空中映像を消去する遮光フィルムをさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ用リモコン装置。
【請求項4】
前記遮光フィルムを回転させる回転部をさらに備え、
前記遮光フィルムが第1状態にある場合には、前記空中映像が結像されるとともに、前記他の空中映像が消去され、
前記回転部により前記遮光フィルムが前記第1状態から第2状態に回転された場合には、前記空中映像が消去されるとともに、前記他の空中映像が結像されることを特徴とする請求項3に記載のトイレ用リモコン装置。
【請求項5】
前記回転部は、
前記便座への着座が検知されていない場合には、前記遮光フィルムを第2状態にさせ、
前記便座への着座が検知されている場合には、前記遮光フィルムを第1状態にさせることを特徴とする請求項4に記載のトイレ用リモコン装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のトイレ用リモコン装置と、
便座が載置される便器と、
前記便器に設けられ前記トイレ用リモコン装置から送信される指令信号を受信する本体部と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的にトイレ用リモコン装置およびトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が操作するための操作部(キーパッド面)を空中映像として映し出すリモコン装置(空中結像表示装置)が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-134843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなリモコン装置をトイレ室で使用することが考えられる。しかし、リモコン装置で表示される空中映像は、視認できる範囲(視野角)が限られている。従って、例えば便座に着座した使用者は、空中映像を視認するために体勢を変えなければならず、リモコン装置の使い勝手が悪くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使い勝手を向上できるトイレ用リモコン装置およびトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、便座が載置される便器の側方に位置して、少なくとも一部が便座開口の前後方向の中心よりも前方に配置されたトイレ用リモコン装置において、空中映像を映し出す表示装置と、前記空中映像に対する操作を検知する検知部と、前記検知部で検知された操作に基づく指令信号を送信させる制御部と、を備え、前記空中映像を視認できる視野角の中心線は、前記空中映像から後方に向けて延び、前記便座開口の上方を通過することを特徴とするトイレ用リモコン装置である。
【0007】
このトイレ用リモコン装置によれば、便座に着座している人が空中映像を効率よく視認することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記表示装置は、映像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記映像を前記空中映像として結像させるプレートと、を有し、前記プレートは、上下方向に延びる複数の縦鏡部と、前記縦鏡部に対して垂直方向に延びる複数の横鏡部と、を有し、前記縦鏡部と前記横鏡部とにより形成される格子の対角線と、鉛直線と、の間のなす角は、25度以上65度以下となっていることを特徴とするトイレ用リモコン装置である。
【0009】
このトイレ用リモコン装置によれば、空中映像の視野角を空中映像から後方に向けて延ばすことができる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記プレートにより前記空中映像とは別に結像される他の空中映像を消去する遮光フィルムをさらに備えたことを特徴とするトイレ用リモコン装置である。
【0011】
このトイレ用リモコン装置によれば、空中映像をより視認しやすくすることができる。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記遮光フィルムを回転させる回転部をさらに備え、前記遮光フィルムが第1状態にある場合には、前記空中映像が結像されるとともに、前記他の空中映像が消去され、前記回転部により前記遮光フィルムが前記第1状態から第2状態に回転された場合には、前記空中映像が消去されるとともに、前記他の空中映像が結像されることを特徴とするトイレ用リモコン装置である。
【0013】
このトイレ用リモコン装置によれば、トイレ室に存在する人の状況によって、空中映像の視認範囲を効率よく変化させることができる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記回転部は、前記便座への着座が検知されていない場合には、前記遮光フィルムを第2状態にさせ、前記便座への着座が検知されている場合には、前記遮光フィルムを第1状態にさせることを特徴とするトイレ用リモコン装置である。
【0015】
このトイレ用リモコン装置によれば、便座への着座の有無によって空中映像の視認範囲を効率よく変化させることができる。
【0016】
第6の発明は、請求項1~5のいずれか1項に記載のトイレ用リモコン装置と、便座が載置される便器と、前記便器に設けられ前記トイレ用リモコン装置から送信される指令信号を受信する本体部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置である。
【0017】
このトイレ装置によれば、トイレ用リモコン装置に手を触れることなく本体部を作動させることができるので、衛生面での信頼性を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、使い勝手を向上できるトイレ用リモコン装置およびトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るトイレユニットを備えたトイレ室を示す斜視図である。
図2】トイレ装置の通信系を示すブロック図である。
図3】便器とリモコン装置との位置関係を示す正面図である。
図4】便器とリモコン装置との位置関係を示す側面図である。
図5】空中映像の視野角を示す平面図である。
図6】空中映像の視野角を示す正面図である。
図7】空中映像の視野角を示す側面図である。
図8】トイレ用リモコン装置から空中映像が結像された状態を示す斜視図である。
図9】空中映像で表示される映像の一例を示す説明図である。
図10】トイレ用リモコン装置の筐体の内部構造および空中映像とペーパホルダとの位置関係を示す断面図である。
図11】プレートを拡大してみた拡大図である。
図12】遮光フィルムにより他の空中映像を消去させた場合の説明図である。
図13】遮光フィルムを回転させた場合の説明図である。
図14】便器を使用する使用者の入室から退室までの時間経過の一例を示す説明図である。
図15】トイレ室を清掃する清掃者の入室から退室までの時間経過の一例を示す説明図である。
図16】トイレ用リモコン装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレユニットを備えたトイレ室を示す斜視図である。
図1に示すように、トイレユニット1は、トイレ装置10、キャビネット200、ペーパホルダ300、および手洗器400などを備えている。トイレ装置10は、便器11、本体部13、およびトイレ用リモコン装置30(以下、リモコン装置30とする)を備えている。
【0021】
便器11は、例えばトイレ室TRの床面FSに取り付けられる。便器11は、便器11の後方の壁に取り付けられてもよい。便器11は、例えばトイレ室TRの床面FSから離れた位置に取り付けられてもよい。便器11の上には、本体部13が載置されている。
【0022】
本体部13は、ケーシング14と、ケーシング14に回動可能に軸支された便座15および便蓋17を有する。便座15は、便器11の上に設けられる。便蓋17は、便器11の上に、便座15を覆うように設けられる。図1では、便座15と便蓋17とが下がった状態を示している。なお、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」のそれぞれは、便蓋17を背側にして便座15に着座した使用者からみた方向とする。
【0023】
キャビネット200は、トイレ室TRに配置されている。具体的には、キャビネット200は、便器11の側方に配置されている。キャビネット200は、例えばトイレ室TRの左右いずれかの側壁SWに取り付けられる。この例では、キャビネット200は、便器11の右側の側壁SWに取り付けられている。キャビネット200は、便器11左側の側壁に取り付けられてもよい。
【0024】
キャビネット200のカウンタ200aの上面側には、手洗器400が設けられている。また、キャビネット200には、後述するリモコン装置30が設けられ、リモコン装置30の下方にはペーパホルダ300が配設されている。
【0025】
トイレ室TRには、トイレ室TRに出入りするためのドア(図示せず)が設けられている。ドアは、例えばトイレ室TRの前方側の壁に設けられている。ドアは、トイレ室TRのキャビネット200が設けられる側壁SWと反対側の側壁に設けられてもよい。ドアは、例えば左右方向において便器11と重ならない位置に設けられる。
【0026】
図2は、トイレ装置の通信系を示すブロック図である。
本体部13は、トイレ室TRに入室した使用者を検知する人体検知センサ20、使用者の便座15への着座を検知する着座検知センサ21、リモコン装置30と通信を行う通信部23、および通信部23を制御するコントローラ25を有する。
【0027】
また、本体部13は、便座15を温める暖房便座機能や、便座15に着座した使用者の局部を洗浄する局部洗浄機能、局部を乾燥させる温風機能、便器11を洗浄する洗浄機能などの種々の機能部を必要に応じて有している。これら機能部は、例えばコントローラ25により制御されている。なお、本体部13の機能部は、便器11の内部に設けられていてもよい。
【0028】
人体検知センサ20は、トイレ室TR内に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ20は、トイレ室に入室して便器11に近づく使用者を検知することができる。このような人体検知センサ20として、例えば焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いることができる。
【0029】
人体検知センサ20は、トイレ室TR内に存在する人体の有無をコントローラ25に送信する。なお、人体検知センサ20は、トイレ室TRに入室した使用者を検知できればよく、例えばキャビネット200などに設けられていてもよい。
【0030】
着座検知センサ21は、便座15への着座および離座を検知する。着座検知センサ21には、マイクロ波センサ、測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサなどを用いることができる。
【0031】
なお、タクトスイッチ、静電センサ、および歪みセンサなどの接触式センサを用いる場合には、これらの接触式センサは、便座15に設けられる。便座15に使用者が座ると、使用者の体重によってタクトスイッチが押下される。または、使用者が静電センサに接触する。または、使用者の体重によって歪みセンサに圧力が加えられる。これらのセンサからの電気信号により、使用者の着座および離座を検知することができる。
【0032】
着座検知センサ21は、使用者の便座15への着座および離座をコントローラ25に送信する。なお、着座検知センサ21は、便座15への着座および離座を検知できればよく、マイクロ波センサや測距センサなどを用いる場合には、例えばキャビネット200などに設けられていてもよい。
【0033】
通信部23は、コントローラ25に接続されている。通信部23は、リモコン装置30から送信された指令信号を受信する。また、通信部23は、例えば人体検知センサ20によるトイレ室TRへの入室検知や着座検知センサ21による便座15への着座および離座の検知をリモコン装置30に送信する。
【0034】
コントローラ25は、本体部13に設けられた種々の機能部を制御する。コントローラ25には、機能部を作動させるための種々の制御プログラムが格納されている。コントローラ25は、人体検知センサ20、着座検知センサ21、通信部23、および種々の機能部に接続されている。
【0035】
コントローラ25は、例えば人体検知センサ20から人体検知の信号が送信されると便蓋17を開放させる。また、コントローラ25は、リモコン装置30から送信された指令信号に基づいて機能部を作動させる。さらに、コントローラ25は、トイレ室TR内の人体の有無や便座15への着座の有無を通信部23からリモコン装置30に送信させる。
【0036】
図3は、便器とリモコン装置との位置関係を示す正面図である。
図4は、便器とリモコン装置との位置関係を示す側面図である。
リモコン装置30は、本体部13の機能部を作動させるために操作されるものである。また、リモコン装置30は、例えばトイレ室TRの照明などを点灯および消灯させてもよい。リモコン装置30は、トイレットペーパTPを保持するペーパホルダ300の上方に位置して、キャビネット200のカウンタ200aの下面側に設けられている。なお、リモコン装置30は、トイレ室TRの側壁SWに設けられていてもよい。
【0037】
リモコン装置30は、便座15よりも上方に配設されている。一例を挙げると、床面FSから便座15の上面(座面)までの高さH1を420mmとすると、リモコン装置30の高さH2は、660mm程度とすることができる。図4に示すように、リモコン装置30は、便座15が載置される便器11の側方に位置して、少なくとも一部が便座開口15aの前後方向の中心O-Oよりも前方に配置されている。この例では、リモコン装置30の全体が便座開口15aの前後方向の中心O-Oよりも前方に配置されている。これにより、リモコン装置30は、便座15に着座した使用者が操作しやすい位置に設けられている。
【0038】
ここで、図3図4を参照して、便座15に着座した使用者の視点分布500について説明する。視点分布500は、例えば便座15に着座した使用者の座高違いによる分布範囲となっている。
【0039】
図3に示すように、視点分布500の上下方向の範囲は、便座15の上面(座面)からの高さH3以上高さH4以下とすることができる。一例を挙げると、床面FSから便座15までの高さH1を420mmとすると、高さH3は、520mm、高さH4は、1020mmとすることができる。視点分布500の左右方向の範囲は、リモコン装置30の表面(キャビネット200の表面)から距離L1以上距離L2以下とすることができる。一例を挙げると、距離L1は、280mm、距離L2は、410mmとすることができる。図4に示すように、視点分布500の前後方向の範囲は、リモコン装置30の後端から距離L3とすることができる。一例を挙げると、距離L3は、250mmとすることができる。
【0040】
図5は、空中映像の視野角を示す平面図である。
図6は、空中映像の視野角を示す正面図である。
図7は、空中映像の視野角を示す側面図である。
リモコン装置30は、トイレ室TRおよびトイレ装置10に関する案内や操作スイッチなどの表示を空中映像32として映し出す。リモコン装置30で映し出される空中映像32は、視野角の範囲や方向が限られている。従って、例えばリモコン装置30の正面側に視野角の方向が設定されている場合には、便座15に着座した使用者は体勢を変えなければ空中映像32を視認できなくなり、リモコン装置30の使い勝手が悪くなるおそれがある。
【0041】
そこで、空中映像32を視認できる視野角αの中心線A-Aは、空中映像32から後方に向けて延び、便座開口15aの上方を通過させている。換言すると、中心線A-Aは、視点分布500を通過させている。この場合、空中映像32を視認できる視認範囲35内に視点分布500が含まれているのが好ましい。これにより、便座15に着座した使用者は、体勢を変えずに空中映像32を視認できる。
【0042】
次に、リモコン装置30の構成について説明する。
図8は、トイレ用リモコン装置から空中映像が結像された状態を示す斜視図である。
図9は、空中映像で表示される映像の一例を示す説明図である。図9(a)、(b)は、空中映像で表示される案内表示の一例を示している。図9(c)は、空中映像で表示される操作スイッチの一例を示している。
図10は、トイレ用リモコン装置の筐体の内部構造および空中映像とペーパホルダとの位置関係を示す断面図である。
図11は、プレートを拡大してみた拡大図である。図11(a)は、プレートを拡大してみた斜視図である。図11(b)は、プレートを拡大してみた正面図である。
【0043】
リモコン装置30は、空中映像32を映し出す表示装置40と、空中映像32に対する操作を検知する検知部50と、検知部50で検知された操作に基づいて本体部13へ指令信号を送信する制御部60と、を備えている。
【0044】
表示装置40は、筐体42と、筐体42の内部に設けられた表示部44と、筐体42の正面に設けられたプレート46と、を有している。また、表示装置40は、表示部44から照射される光を遮光する遮光フィルム48と、遮光フィルム48を回転させる回転部49と、を有している。
【0045】
筐体42は、キャビネット200のカウンタ200aの下面側に固定されている。表示部44は、映像を表示するディスプレイとなっている。表示部44は、制御部60に接続され、制御部60により表示内容が制御されている。
【0046】
表示部44で表示された映像は、空中映像32として表示される。空中映像32は、視認範囲35の範囲で視認できる。表示部44で表示される映像は、例えば図8に示されるような、おしり洗浄やビデ洗浄などの操作スイッチ32aや、図9に示されるような、案内表示32b、32cや便器洗浄のための流すスイッチ32dなどである。空中映像32で表示される表示内容の変化(タイミング)については、後で説明する。
【0047】
プレート46は、表示部44の正面側に位置して筐体42に設けられている。プレート46は、例えば筐体42の下部42aから上方に向けて延びている。プレート46は、表示部44に表示された映像を空中映像32として結像させる。表示部44からプレート46までの距離は、空中映像32からプレート46までの距離と等しくなっている。そして、プレート46は、上下方向に延びる複数の縦鏡部46aと、縦鏡部46aに対して垂直方向に延びる複数の横鏡部46bと、を有している。
【0048】
プレート46は、縦鏡部46aと横鏡部46bとにより形成されるマイクロサイズの格子46cが正面からみて上下方向および左右方向に多数個並んで形成されている。プレート46は、表示部44からの拡散光を縦鏡部46aおよび横鏡部46bで再度収束させることにより空中映像32を映し出す。プレート46は、縦鏡部46aと横鏡部46bとによる再帰反射を利用して空中映像32を結像させる。
【0049】
図11(a)に示すように、空中映像32の視野角αは、格子46cの厚さ寸法Bと高さ寸法Cとのアスペクト比(B:C)および表示部44とプレート46との間の距離によって決定される。例えば、視野角αは、表示部44とプレート46との間の距離を短くすると大きくなる。視野角αは、例えば水平面に対して18度以上56度以下となっている。視野角αは、例えば38度である。視野角αは、便器11とリモコン装置30との間の距離や位置関係によって設定される。
【0050】
一方、図11(b)に示すように、空中映像32の視野角αの中心線A-Aの方向は、格子46cの対角線D-Dと、鉛直線E-Eと、の間のなす角βによって設定される。なす角βは、例えば25度以上65度以下となっている。なす角βは、例えば45度となっている。このようになす角βを設定することにより、視野角αの中心線A-Aを空中映像32から上斜め後方に向けることができる(図5図7参照)。
【0051】
図5に示すように、中心線A-Aは、リモコン装置30を正面からみて後方に角度γだけ傾けることができる。角度γは、例えば15度~55度となっている。例えば、なす角βが45度の場合には、角度γは35度となる。これにより、空中映像32の視認範囲35内に便座15に着座した使用者の視点分布500を含めることができる。
【0052】
図12は、遮光フィルムにより他の空中映像を消去させた場合の説明図である。
図13は、遮光フィルムを回転させた場合の説明図である。
図12図13では、表示部44の任意の点から照射される光の軌道を模式的に示している。空中映像は、表示部44の全面から照射される光が合わさることにより、プレート46の前方に表示される。
遮光フィルム48は、表示部44とプレート46との間に設けられている。具体的には、遮光フィルム48は、表示部44の表面側に設けられている。遮光フィルム48は、特定角度の光のみを透過させることで、プレート46により空中映像32とは別に結像される他の空中映像の視認範囲36、37を消去する。換言すると、遮光フィルム48は、空中映像の視認範囲35~37を制御するものとなっている。
【0053】
表示部44から照射された光は、プレート46への入射角により結像する。遮光フィルム48を設けていない場合には、空中映像32の視野角αの中心線A-Aを後方(視点分布500)に向けたときに、表示部44からの光の分散により視野角の中心線A1-A1が前方に向いた視認範囲36で視認できる他の空中映像が表示される。この他の空中映像は、空中映像32と同じ位置に結像されるもので、空中映像32と同じ表示内容となっている。また、空中映像32の視認範囲35と他の空中映像の視認範囲36との間には、視認範囲37が形成される。視認範囲37で視認できる他の空中映像は、表示部44からの光の分散によるゴースト映像となっている。
【0054】
図12に示すように、遮光フィルム48は、表示部44から照射される光のうち、視認範囲35で視認できる空中映像32を表示するための光のみを透過させる。具体的には、遮光フィルム48は、透明樹脂48aと、透明樹脂48aの内部に設けられた黒色樹脂48bと、を有している。遮光フィルム48は、透明樹脂48aと黒色樹脂48bとが積層されている。透明樹脂48aは、光が透過可能な部分となっている。一方、黒色樹脂48bは、光が透過できない部分となっている。
【0055】
図12に示すように、黒色樹脂48bは、平面視で後方から前方に向けて傾斜している。これにより、空中映像32を映し出す光は、隣り合う黒色樹脂48bの間に位置する透明樹脂48aを透過する。一方、視認範囲36、37で視認できる他の空中映像を映し出す光は、黒色樹脂48bにより遮られる。
【0056】
回転部49は、例えば遮光フィルム48の下側に設けられている。回転部49は、遮光フィルム48を回転させる。回転部49は、例えばモータであり、制御部60を介して回転スイッチ70に電気的に接続されている。
【0057】
回転スイッチ70は、例えば接触式のスイッチとなっており、図8に示すように、例えば筐体42に設けられている。回転部49は、例えば筐体42に設けられた回転スイッチ70により作動させることができる。なお、回転部49は、手動で機械的に回転できるようなものでもよい。回転スイッチ70と回転部49とは、必要に応じて設けられる。
【0058】
回転部49は、遮光フィルム48を表示部44の表面に沿って上下反転させるように回転させる。遮光フィルム48は、視野角の中心線A-Aを後方に向けた図12に示す位置が第1状態となっている。遮光フィルム48が第1状態にある場合には、空中映像32の視認範囲35とは別の範囲に広がる他の空中映像の視認範囲36、37が消去される。
【0059】
一方、遮光フィルム48は、視野角の中心線A1-A1を前方に向けた図13に示す位置が第2状態となっている。回転部49により遮光フィルム48が第1状態から第2状態に回転された場合には、空中映像32および視認範囲37で視認できる他の空中映像が消去されるとともに、視認範囲36で視認できる他の空中映像が結像される。遮光フィルム48が第2状態にある場合には、他の空中映像の視認範囲36とは別の範囲に広がる空中映像32の視認範囲35および他の空中映像の視認範囲36が消去される。
【0060】
回転部49は、第1状態にある遮光フィルム48を上下反転させて第1状態から第2状態にすることができる。図13に示すように、遮光フィルム48が第2状態にある場合には、黒色樹脂48bは平面視で前方から後方に向けて傾斜する。これにより、視認範囲36で視認できる他の空中映像を映し出す光は、隣り合う黒色樹脂48bの間に位置する透明樹脂48aを透過する。一方、視認範囲35で視認できる空中映像32および視認範囲37で視認できる他の空中映像を映し出す光は、黒色樹脂48bにより遮られる。
【0061】
遮光フィルム48が第1状態にある場合には、便座15の上方からでなければ空中映像32を視認できない。便座15の上方からでなければ空中映像32を視認することができないとすると、例えばトイレ室TRを清掃する清掃者などにとっては不便になるおそれがある。
【0062】
そこで、リモコン装置30は、回転スイッチ70が操作されることにより、回転部49を作動させて遮光フィルム48を第1状態から第2状態にすることができるようになっている。これにより、視野角の中心線A1-A1が前方に向いた視認範囲36で視認できる他の空中映像を表示させることができる。その結果、便器11の前方に存在する清掃者などは、空中映像32と同じ映像である他の空中映像を視認範囲36から視認することができるようになる。
【0063】
検知部50は、筐体42の正面側に設けられている。検知部50は、視認範囲35で視認できる空中映像32および視認範囲36で視認できる他の空中映像に対する操作を検知する。図10に示すように、検知部50の検知範囲50aは、空中映像32および他の空中映像に向いている。検知部50は、例えば赤外線センサ、静電センサ、およびマイクロ波センサなどとなっている。
【0064】
検知部50は、例えば空中映像32で表示される操作スイッチ32aに手が触れたことを検知する。検知部50は、制御部60に接続され、空中映像32に対する操作を制御部60に送信する。なお、この例では、検知部50を筐体42に設けた場合を例に挙げて説明したが、検知部50は、空中映像32や他の空中映像に対する操作を検知できればよく、例えばキャビネット200などに設けられていてもよい。
【0065】
制御部60は、例えば筐体42の内部に設けられている。なお、制御部60は、筐体42の外部に設けられていてもよい。制御部60は、表示部44、回転部49、検知部50、回転スイッチ70、起動スイッチ72、および通信部65に接続されている。制御部60には、表示部44、通信部65、および回転部49などを制御する種々の制御プログラムが格納されている。なお、制御部60は、それぞれの制御ごとに複数設けられていてもよい。
【0066】
起動スイッチ72は、例えば接触式のスイッチとなっており、例えば筐体42に設けられている(図8参照)。起動スイッチ72は、リモコン装置30を起動(ON/OFF)させるスイッチとなっている。なお、起動スイッチ72は、例えば赤外線センサ、静電センサ、およびマイクロ波センサなどを用いた非接触式のスイッチでもよい。
【0067】
また、筐体42は、視認範囲35で視認できる空中映像32および視認範囲36で視認できる他の空中映像の表示を変更させる変更スイッチ74を設けていてもよい。変更スイッチ74は、例えば赤外線センサ、静電センサ、およびマイクロ波センサなどを用いた非接触式のスイッチとなっている。例えば、変更スイッチ74の正面側で手をかざしたり、横方向に移動させたりすることにより空中映像32の表示を変更させることができる。なお、変更スイッチ74の機能は、検知部50で有していてもよい。このような場合には、空中映像32上で手をスライド移動させることにより、空中映像32の表示内容を変更できる。
【0068】
制御部60は、使用者の状態や使用者によるリモコン装置30への操作に基づいて、表示部44の表示内容を変化させる。また、制御部60は、検知部50で検知された操作に基づいて通信部65に指令信号を送信させる。さらに、制御部60は、回転スイッチ70から送信された指令信号に基づいて回転部49を作動させる。なお、これらの制御処理は、複数の制御部でなされてもよい。
【0069】
次に、空中映像32とペーパホルダ300との位置関係について、図10を参照して説明する。
【0070】
ペーパホルダ300は、トイレットペーパTPを保持するもので、リモコン装置30の下方に位置している。具体的には、ペーパホルダ300は、リモコン装置30の筐体42の下部42aに取り付けられている。なお、ペーパホルダ300は、キャビネット200や側壁SWに取り付けられていてもよい。
【0071】
ペーパホルダ300は、筐体42やキャビネット200などの被取付部に取り付けられる取付部301と、取付部301に回動可能に取り付けられるカバー部302と、取付部301に設けられトイレットペーパTPが取り付けられるペーパ取付軸303と、を有している。ペーパ取付軸303は、トイレ室TRの前後方向に延びている。
【0072】
図10に示すように、空中映像32に対面する方向Fからみた場合には、空中映像32からペーパホルダ300の少なくとも一部がはみ出るように構成されている。すなわち、空中映像32に対面する方向Fからみた場合には、空中映像32の背後にペーパホルダ300の全体が隠れないようになっている。
【0073】
具体的には、空中映像32に対面する方向Fからみて、空中映像32は、ペーパホルダ300のペーパ取付軸303に重ならない位置に映し出されるようになっている。換言すると、空中映像32は、空中映像32の延長線に対して垂直に延びるペーパ取付軸303の接線G-Gに接触しないように映し出される。
【0074】
空中映像32が映し出される位置は、表示部44とプレート46との間の距離によって設定される。従って、空中映像32の下端がペーパ取付軸303の接線G-Gに接触しないように、表示部44とプレート46との間の距離が設定される。
【0075】
これにより、便座15に着座した使用者がトイレットペーパTPをとるときの手の動線から空中映像32および他の空中映像を外すことができる。従って、便座15に着座した使用者がトイレットペーパTPをとるときに、空中映像32の操作スイッチ32aに誤って触れてしまうことを抑制できる。
【0076】
次に、トイレ室TRへの入室から退室までに実行されるリモコン装置30の作動制御について説明する。
図14は、便器を使用する使用者の入室から退室までの時間経過の一例を示す説明図である。
【0077】
まず、リモコン装置30の制御部60は、人体検知センサ20による人体検知があったことを受信すると、表示部44にお知らせ表示を表示させる。このお知らせ表示は、例えば図9(a)に示す案内表示32bや図9(b)に示す案内表示32cなどとなっている。
【0078】
表示部44に表示されたお知らせ表示は、プレート46により結像されて、空中映像32として映し出される。すなわち、表示装置40は、トイレ室TRへの入室が検知された場合に空中映像32を映し出す。
【0079】
これにより、トイレ室TRに人体が存在しないときには、空中映像32が表示されないので、電力消費を低減させることができる。使用者は、便座15に着座する前に、視認範囲35から空中映像32(お知らせ表示)を視認することができる。なお、入室検知により表示される空中映像32は、お知らせ表示を表示することなく、図8に示す操作スイッチ32aや図9(c)に示す流すスイッチ32dなどのメニュー表示を表示してもよい。
【0080】
次に、制御部60は、着座検知センサ21による便座15への着座検知があったことを受信すると、表示部44に表示されているお知らせ表示をメニュー表示に変更させる。メニュー表示は、例えば図8に示すような局部洗浄のための操作スイッチ32aであったり、図9(c)に示すような流すスイッチ32dであったりする。すなわち、メニュー表示は、トイレ室TRの機能の案内や操作スイッチの表示となっている。便座15に着座している使用者は、例えば変更スイッチ74を操作することにより、表示されている操作スイッチ32aを流すスイッチ32dに変更させることができる。
【0081】
また、制御部60は、着座検知センサ21による便座15への着座検知があったことを受信すると、検知部50による空中映像32への操作受付けを開始させる。すなわち、制御部60は、便座15への着座が検知されていない場合には、空中映像32に対する操作を無効とする。一方、制御部60は、便座15への着座が検知されている場合には、空中映像32に対する操作を有効とする。
【0082】
この場合、便座15への着座検知を契機として検知部50に電源が投入されてもよい。また、制御部60が便座15への着座の有無により検知部50による操作検知の有効および無効を判定してもよい。これにより、例えば使用者の入室検知後に操作スイッチ32aなどのメニュー表示が表示される場合などでは、使用者が便座15に着座していない場合に操作スイッチ32aや流すスイッチ32dに触れてしまうことによる誤操作を抑制することができる。
【0083】
ここで、リモコン装置30は、空中映像32の視野角αの中心線A-Aを、便座15に着座した使用者の視点分布500に向けて空中映像32から上斜め後方に延ばしている。これにより、便座15に着座した使用者は、体勢を変えることなく空中映像32を視認することができる。
【0084】
そして、検知部50は、使用者が空中映像32の操作スイッチ32aを触れると使用者の手指の位置を検知して、操作されたスイッチに基づく検知信号を制御部60に送信する。制御部60は、検知部50の検知信号を基にして、通信部65から本体部13の通信部23に向けて指令信号を送信させる。コントローラ25は、リモコン装置30から送信された指令信号に基づき、局部洗浄や便器洗浄などの機能部を作動させる。
【0085】
使用者は、例えば局部洗浄がなされた後にはトイレットペーパTPを使用したり、局部乾燥用の温風機能を使用する。図10に示すように、空中映像32は、ペーパホルダ300のペーパ取付軸303の接線G-Gよりも上方に映し出されるようになっている。これにより、使用者がトイレットペーパTPに向けて手を伸ばしたときに、誤って空中映像32(操作スイッチ32a)に触れてしまうことを抑制できる。このように、空中映像32とペーパホルダ300との位置関係を設定することで機能部の誤作動を抑制できる。
【0086】
着座検知センサ21は、使用者が便座15から離座すると、その離座検知をコントローラ25に送信する。コントローラ25は、便座15からの離座をリモコン装置30の通信部65に向けて送信する。この場合、リモコン装置30の制御部60は、着座検知センサ21による離座を受信しても、人体検知センサ20が人体を検知している間は空中映像32(メニュー表示)の表示および検知部50による空中映像32への操作検知を継続させる。
【0087】
人体検知センサ20は、トイレ室TR内の人体の有無を検知することにより、トイレ室TRへの入室および退室を監視している。従って、制御部60は、便座15からの離座が検知された場合には、トイレ室TRからの退室を検知するまでは空中映像32に対する操作を有効とする。これにより、例えば便座15から離座後に便器洗浄を行う場合に、リモコン操作ができなくなることを抑制できるので、使い勝手のよいリモコン装置30とすることができる。
【0088】
そして、制御部60は、使用者がトイレ室TRから退室したことを認識すると、表示部44の表示を消去するとともに、検知部50による操作受付を無効(終了)させる。これにより、リモコン装置30の省電力化を図ることができる。
【0089】
図15は、トイレ室を清掃する清掃者の入室から退室までの時間経過の一例を示す説明図である。
リモコン装置30の操作受付けを便座15の着座によるものとした場合には、清掃者にとって使い勝手の悪いリモコン装置30となるおそれがある。そこで、リモコン装置30は、便座15に着座することなく操作受付けの有効および無効や表示内容の変更をできるようにしている。
【0090】
図15に示すように、リモコン装置30の制御部60は、人体検知センサ20による人体検知があったことを受信すると、表示部44にお知らせ表示を表示させる。このお知らせ表示は、例えば図9(a)に示す案内表示32bや図9(b)に示す案内表示32cなどとなっている。また、制御部60は、変更スイッチ74による検知を有効にする。
【0091】
表示部44に表示されたお知らせ表示は、プレート46により結像されて、空中映像32として映し出される。この場合、空中映像32の視野角αの中心線A-Aは、後方に向いている。そこで、清掃者は、回転スイッチ70を操作することにより、遮光フィルム48を第1状態から第2状態に回転させることができる。これにより、図13に示すように、リモコン装置30は、視野角の中心線A1-A1が前方に向いた視認範囲36で視認できる他の空中映像を表示させることができる。その結果、清掃者は、便器11の前方に位置する視認範囲36から空中映像32と同じ表示内容である他の空中映像を視認できるようになる。
【0092】
次に、制御部60は、起動スイッチ72または変更スイッチ74が操作されたことを検知すると、視認範囲36で視認できる他の空中映像のお知らせ表示をメニュー表示に変更する。起動スイッチ72は、例えば押しボタン式の接触式のスイッチとなっている。一方、変更スイッチ74は、非接触スイッチとなっており、前方に手かざし(ジェスチャー)することで、操作OFFから操作ONとなる。起動スイッチ72および変更スイッチ74は、少なくとも一方が設けられていればよい。また、制御部60は、起動スイッチ72または変更スイッチ74が操作されたことを検知すると、検知部50による他の空中映像に対する操作受付けを無効から有効にする。
【0093】
制御部60は、検知部50が他の空中映像の流すスイッチ32dに触れたことを検知すると、本体部13の通信部23に向けて指令信号を送信する。そして、コントローラ25は、その指令信号を受信すると便器洗浄を実行させる。
【0094】
制御部60は、起動スイッチ72または変更スイッチ74が操作されてから所定時間経過するまで視認範囲36で視認できる他の空中映像のメニュー表示を行い、また検知部50の操作受付けを有効とする。制御部60は、起動スイッチ72または変更スイッチ74が操作されてから所定時間経過した場合には、表示部44の表示を消去することにより他の空中映像を消去させる。
【0095】
また、制御部60は、起動スイッチ72または変更スイッチ74が操作されてから所定時間経過した場合には、検知部50による操作受付け(操作検知)を有効から無効とする。この所定時間は、数十秒程度(例えば、30秒程度)となっている。
【0096】
これにより、清掃者は、トイレ室TRの清掃(お手入れ)を行う場合に、誤ってリモコン操作をしてしまうことを抑制することができる。なお、空中映像32および他の空中映像の表示や検知部50の検知有無は、所定時間の経過に限らず、例えば起動スイッチ72や変更スイッチ74で操作されてもよい。
【0097】
清掃者は、トイレ室TRの清掃中に便器洗浄を行いたい場合には起動スイッチ72または変更スイッチ74を操作することにより、視認範囲36で視認できる他の空中映像を表示させることができるとともに、検知部50の操作受付けを有効にすることができる。
【0098】
清掃者は、トイレ室TRの清掃が終了したら、回転スイッチ70を操作することにより、遮光フィルム48を第2状態から第1状態に戻すことができる。そして、制御部60は、人体検知センサ20が清掃者の退室を検知すると、表示部44の表示を消去するとともに、検知部50の操作受付け(操作検知)を無効にする。
【0099】
なお、遮光フィルム48は、回転スイッチ70の操作により第2状態から第1状態に回転させた場合を説明したが、例えば人体検知センサ20による清掃者の退室を検知したときに、制御部60が回転部49を自動で作動させて遮光フィルム48を第2状態から第1状態に回転させてもよい。
【0100】
このように、リモコン装置30は、便器11を使用する使用者だけでなく、トイレ室TRを清掃およびメンテナンスする清掃者などにも使い勝手のよいものとすることができる。特に、便器11を使用する使用者は、リモコン装置30に触れることなく空中映像32への操作により機能部を作動させることができるので、衛生面での信頼性を向上できる。
【0101】
図16は、トイレ用リモコン装置の変形例を示す断面図である。
上述した実施形態では、遮光フィルム48を表示部44の表面側に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図16に示す変形例のように、プレート46の裏面側に遮光フィルム80および回転部81を設けてもよい。
【0102】
上述した実施形態では、人体検知センサ20および着座検知センサによる検知を本体部13の通信部23からリモコン装置30に向けて送信した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば人体検知センサや着座検知センサがキャビネット200に設けられているような場合には、キャビネット200などに設けられた通信部からリモコン装置30に信号が送信されてもよい。
【0103】
上述した実施形態では、表示部44を表示内容が変化するディスプレイとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば表示部は、機能部を作動させる複数の操作スイッチのみが表示されているものでもよい。表示部は、表示内容がプレートで反射できるような態様であればよく、ディスプレイでなくてもよい。
【0104】
上述した実施形態では、遮光フィルム48が第1状態にあるときには視認範囲36で視認できる他の空中映像および視認範囲37で視認できる他の空中映像(ゴースト映像)を消去させ、遮光フィルム48が第2状態にあるときには視認範囲35で視認できる空中映像32と視認範囲37で視認できる他の空中映像(ゴースト映像)とを消去させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えばゴースト映像である他の空中映像のみを遮光フィルムで消去させてもよい。このような場合、回転部49は、不要となる。
【0105】
上述した実施形態では、便座15への着座後は、便座15から離座してもトイレ室TRから退室するまではメニュー表示を行い、かつ検知部50による操作受付けを行った場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば便座15に着座している場合にのみメニュー表示および操作受付けを行ってもよい。また、便座15から離座した場合には、所定時間が経過するまでメニュー表示および操作受付けを継続させてもよい。
【0106】
上述した実施形態では、回転スイッチ70により遮光フィルム48を回転させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば遮光フィルム48を自動で回転させてもよい。例えば、回転部49は、便座15への着座が検知されていない場合には、遮光フィルム48を第2状態に配置させ、便座15への着座が検知されている場合には、遮光フィルム48を第1状態に配置させてもよい。
【0107】
これにより、使用者や清掃者などがトイレ室TRに入室したときには、便器11に近づく間に視認範囲36から他の空中映像を視認させることができる。また、使用者が便座15に着座した場合には、遮光フィルム48を自動で第1状態に回転させることにより、便座15に着座した使用者から空中映像32を視認することができる。従って、使い勝手のよいリモコン装置30とすることができる。
【0108】
上述した実施形態では、キャビネット200のカウンタ200aにリモコン装置30を取り付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば側壁SWに設けられたカウンタにリモコン装置30を取り付けてもよい。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ用リモコン装置およびトイレ装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0110】
1 トイレユニット
10 トイレ装置
11 便器
13 本体部
14 ケーシング
15 便座
15a 便座開口
17 便蓋
20 人体検知センサ
21 着座検知センサ
23 通信部
25 コントローラ
30 トイレ用リモコン装置
32 空中映像
32a 操作スイッチ
32b、32c 案内表示
32d 流すスイッチ
35 空中映像32の視認範囲
36 他の空中映像の視認範囲
37 他の空中映像(ゴースト映像)の視認範囲
40 表示装置
42 筐体
42a 下部
44 表示部
46 プレート
46a 縦鏡部
46b 横鏡部
46c 格子
48 遮光フィルム
48a 透明樹脂
48b 黒色樹脂
49 回転部
50 検知部
50a 検知範囲
60 制御部
65 通信部
70 回転スイッチ
72 起動スイッチ
74 変更スイッチ
80 遮光フィルム
81 回転部
200 キャビネット
200a カウンタ
300 ペーパホルダ
301 取付部
302 カバー部
303 ペーパ取付軸
400 手洗器
500 視点分布
A-A、A1-A1 中心線
D-D 対角線
E-E 鉛直線
FS 床面
G-G 接線
O-O 中心
SW 側壁
TP トイレットペーパ
TR トイレ室
α 視野角
β なす角
γ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16