(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058154
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】収入保障保険商品提案システム、及び、収入保障保険商品提案プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20230418BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167958
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】521075424
【氏名又は名称】株式会社WDC
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】上石 泰義
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】収入保障保険の契約時に必要とするユーザ情報だけで、好適な収入保障保険商品を提案できる収入保障保険商品提案システム及び収入保障保険商品提案プログラムを提供する。
【解決手段】収入保障保険商品提案システムは、複数の保険会社が取り扱う収入保障保険商品の各保険料表データが格納された格納媒体300と、格納媒体300に格納されている各保険料表データと収入保障保険の契約時を前提としたユーザ情報とに基づいて当該ユーザに提案する収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を抽出する抽出手段を備えるサーバ装置200と、ユーザが収入保障保険の契約時を前提として入力する後述のユーザ情報を受け付けてサーバ装置200に送信してサーバ装置200から返信される当該ユーザに提案される収入保障保険商品を示す情報を受信してユーザに提示するクライアント装置100と、各装置を相互に接続するネットワーク400と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保険者の死亡時の保険金の受取額及び受取期間と前記被保険者の払込保険料額及び払込態様との関係を示す複数の保険会社が取り扱う収入保障保険商品の各保険料表データが格納された格納媒体と、
前記格納媒体に格納されている各保険料表データと収入保障保険の契約時を前提としたユーザ情報とに基づいて当該ユーザに提案する収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を特定するサーバ装置と、
を有する収入保障保険商品提案システム。
【請求項2】
前記ユーザ情報は、前記収入保障保険の契約時に、前記ユーザが必要とする保障金額及び保障期間を示す情報を含む、請求項1記載の収入保障保険商品提案システム。
【請求項3】
前記ユーザ情報は、少なくとも前記ユーザの配偶者情報及び子情報を含む、請求項1記載の収入保障保険商品提案システム。
【請求項4】
前記サーバ装置によって特定された払込保険料額及び払込態様を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された払込保険料額及び払込態様をユーザに提示する提示手段と、
を備えるクライアント装置を有する、請求項1記載の収入保障保険商品提案システム。
【請求項5】
収入保障保険の契約時を前提としたユーザ情報を受け付ける受付機能と、
前記受付機能によって受け付けたユーザ情報をサーバ装置に送信する送信機能と、
前記送信機能によって送信したユーザ情報と、被保険者の死亡時の保険金の受取額及び受取期間と前記被保険者の払込保険料額及び払込態様との関係を示す複数の保険会社が取り扱う収入保障保険商品の各保険料表データとに基づいて特定された収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を受信する受信機能と、
前記受信機能によって受信した払込保険料額及び払込態様を前記ユーザに提示する提示機能と、
をクライアント装置に実現させる収入保障保険商品提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収入保障保険商品提案システム、及び、収入保障保険商品提案プログラムに関し、特に、収入保障生命保険の加入を検討しているユーザが、自己のニーズに適した収入保障保険商品を提案できる、収入保障保険商品提案システム、及び、収入保障保険商品提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の生命保険会社の保険商品を取扱う保険代理店において、最良の提案をするのに生命保険会社ごとの設計書を手作業で解析・分析することにより要する作業時間を、生命保険会社の生命保険設計書ツールから出力された帳票データをパソコンのアプリケーションプログラムで処理することにより飛躍的に作業時間の短縮を図ることが開示されている。
【特許文献1】特開2007-287108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、いわゆる保険代理店は、保険会社との間で保険代理店委託契約を締結し、保険会社を代理して顧客と保険契約を結んで保険料を領収する。ユーザが、保険会社ではなく保険代理店を通じて保険契約をすることの利点の一つは、特定の保険会社に拘わることなく、自己のニーズに合致する保険商品を選択できることが挙げられる。
【0004】
しかし、今日、我が国の保険会社は生命保険会社だけでも42社存在する。一方、被保険者のニーズも、必要な保障期間や保障金額は各人で異なり様々であるから、保険代理店が被保険者のニーズを汲み取って、それに合致する収入保障保険商品を提案することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、収入保障保険の契約時に必要とするユーザ情報だけで、ユーザに好適な収入保障保険商品を提案できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の収入保障保険商品提案システムは、
被保険者の死亡時の保険金の受取額及び受取期間と前記被保険者の払込保険料額及び払込態様との関係を示す複数の保険会社が取り扱う収入保障保険商品の各保険料表データが格納された格納媒体と、
前記格納媒体に格納されている各保険料表データと収入保障保険の契約時を前提としたユーザ情報とに基づいて当該ユーザに提案する収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を特定するサーバ装置と、
を有する。
【0007】
また、前記ユーザ情報は、前記収入保障保険の契約時に、前記ユーザが必要とする保障金額及び保障期間を示す情報を含むことができる。
【0008】
さらに、前記ユーザ情報は、少なくとも前記ユーザの配偶者情報及び子情報を含むこともできる。
【0009】
さらにまた、
前記サーバ装置によって特定された払込保険料額及び払込態様を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された払込保険料額及び払込態様をユーザに提示する提示手段と、
を備えるクライアント装置を有してもよい。
【0010】
またさらに、本発明の収入保障保険商品提案プログラムは、
収入保障保険の契約時を前提としたユーザ情報を受け付ける受付機能と、
前記受付機能によって受け付けたユーザ情報をサーバ装置に送信する送信機能と、
前記送信機能によって送信したユーザ情報と、被保険者の死亡時の保険金の受取額及び受取期間と前記被保険者の払込保険料額及び払込態様との関係を示す複数の保険会社が取り扱う収入保障保険商品の各保険料表データとに基づいて特定された収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を受信する受信機能と、
前記受信機能によって受信した払込保険料額及び払込態様を前記ユーザに提示する提示機能と、
をクライアント装置に実現させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収入保障保険の契約時に必要とするユーザ情報だけで、ユーザに好適な収入保障保険商品を提案することができる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態の収入保障保険商品提案システムの模式的な構成を示すブロック図である。
図1には、以下説明する、クライアント装置100と、サーバ装置200と、格納媒体300と、ネットワーク400と、を示している。
【0014】
クライアント装置100は、ユーザが収入保障保険の契約時を前提として入力する後述のユーザ情報を受け付けてサーバ装置200に送信し、サーバ装置200から返信される当該ユーザに提案される収入保障保険商品を示す情報を受信してユーザに提示するものである。
【0015】
クライアント装置100は、ユーザによって操作される、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット装置、PDA、携帯電話機などによって実現できる。なお、クライアント装置100は、計算機能及び通信機能を有してさえいれば、これらに限定されるものではない。
【0016】
サーバ装置200は、クライアント装置100から送信されるユーザ情報と格納媒体300に格納されている各保険料表データとに基づいて、当該ユーザに提案する収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を特定したり、その特定結果の幾つかをクライアント装置100に返信したりするものである。
【0017】
サーバ装置200は、これに限定されるものではないが、例えば、本実施形態の収入保障保険商品提案システムのサービス事業者等によって管理される、業務用コンピュータなどによって実現できる。
【0018】
格納媒体300は、複数の保険会社が取り扱う複数の収入保障保険商品の各保険料表データが格納されているものである。保険料表データは、原始的には保険会社が作成するものであり、したがって、各社まちまちの形式及び内容となっている。このため、必ずしも全てが同一の基準で作成されているとは限られず、保険会社毎に異なったり保険商品毎に異なったりする場合がある。
【0019】
保険料表データの例については
図4を用いて後述するが、例えば、被保険者の性別(戸籍上の男性/女性の別)と、被保険者の保険料率(例えば、標準体/喫煙者健康体/非喫煙者標準体/被喫煙者健康体の別)と、被保険者の死亡時の保険金の受取額(例えば、最大3,000万円、又は、受取期間内毎月10万円など)及び受取期間(例えば、契約日から25年間、又は、被保険者が65歳になるまでの間など)と、被保険者の年齢(例えば、契約時に30歳/40歳など)と、被保険者の払込保険料額(例えば、毎月約3,000円、又は、年間約35,000円など)及び払込態様(例えば、月払/半年払/年払の別、口座引落/クレジットカード払いの別など)と、自動車免許の等級(例えば、いわゆるゴールド免許証であるか否かの別など)と、のうち幾つかが相互に紐付けられている。
【0020】
なお、保険料表データは、各保険会社から提供されるものをそのまま用いてもよいし、本実施形態の収入保障保険商品提案システムのサービス事業者がそれらを適宜加工するなどして作成したものを用いてもよい。ここでいう加工例としては、例えば、被保険者の死亡時の保険金の受取額が毎月10万円、受取期間が最大25年間という月額ベースでのデータを最大3,000万円というようにすることが挙げられる。
【0021】
また、格納媒体300には、クライアント装置100から送信されるユーザ情報を格納することもできるし、加えて、そのユーザ情報と紐付けて実際に提案した収入保障保険商品に関する情報も格納することができる。もっとも、格納媒体300は、保険料表データを格納するものとユーザ情報等を格納するものとを別個に設けてもよい。また、格納媒体300は、サーバ装置200に内蔵してもよい。
【0022】
ネットワーク400は、クライアント装置100と格納媒体300とサーバ装置200とを相互に接続し、これらの間で種々の情報乃至データを通信できるようにするものである。ネットワーク400は、Wifi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、携帯電話回線などの無線回線、インターネット回線等の有線回線などを含む、各種ネットワークの総称である。
【0023】
図2は、
図1に示すクライアント装置100の模式的な内部構成を示すブロック図である。
図2には、以下説明する、受付手段120と、送信手段140と、受信手段160と、提示手段180と、を示している。
【0024】
なお、クライアント装置100としてスマートフォンを採用する場合には、これらの各手段の動作に対応する機能をスマートフォンに実現させるアプリケーションプログラムを当該スマートフォンにインストールすることによって、本実施形態に係るクライアント装置100を構成してもよい。
【0025】
受付手段120は、ユーザが入力する種々の情報又はデータを受け付けるものである。例えば、クライアント装置100がスマートフォンであれば、そのディスプレイのタッチパネルを通じたユーザの操作に応じた入力を受け付け、クライアント装置100がパーソナルコンピュータであれば、そのマウスやキーボードを通じたユーザの操作に応じた入力を受け付けることができる。
【0026】
受付手段120が受け付ける情報には、ユーザ情報が含まれる。ユーザ情報は、そのユーザに対して提案する収入保障保険商品をサーバ装置200で特定することが可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0027】
例えば、ユーザ情報は、収入保障保険の契約時を前提としてユーザが必要とする保障金額(例えば、毎月10万円、又は、ユーザに死亡後保障期間までに最大3,000万円など)及び保障期間(例えば、契約から25年間、又は、被保険者が65歳になるまでの間など)とすることができる。
【0028】
別の例として、ユーザ情報は、ユーザの性別(戸籍上の男性/女性の別)、収入保障保険の契約時のユーザの健康状態及び喫煙の有無、収入保障保険の契約時のユーザの年齢(例えば、契約時に30歳/40歳など)、収入保障保険の契約時のユーザの家族構成(独身/配偶者の別及び配偶者がいる場合にはその収入の有無及び額といった配偶者情報、子の有無及び子がいる場合にはその人数、末子年齢、及び、公立学校/私立学校の別、習い事の多少などの教育方針といった子情報など)、収入保障保険の契約時のユーザの金融資産の有無及び金融資産がある場合にはその金額(例えば、預貯金が500万円、又は、株式が時価300万円など)といった金融情報などのうち幾つかとしてもよい。
【0029】
送信手段140は、受付手段120によって受け付けられたユーザ情報などの種々の情報やデータなどを、ネットワーク400を通じてサーバ装置200に送信するものである。送信手段140がこの種の情報等を送信することによって、ユーザは所望の収入保障保険商品の提案サービスを受けることができる。
【0030】
なお、本実施形態の収入保障保険商品提案システムは、ユーザが入力したユーザ情報を登録してもよく、これに付帯して、既知のように固有のログインID及びパスワードをユーザに割り当て、ユーザがそれらに基づいてログインができたことを条件に上記サービスを提供できるようにすることもできる。ユーザ情報を登録することで、当該ユーザに関連する別の情報を提案したり、多数のユーザ情報に基づくビッグデータを収集したり、それらを用いて保険商品の良し悪しなどを検証して各保険会社に提供したりすることもできる。
【0031】
なお、送信手段140は、ユーザにログインID等を割り当てた場合には、ユーザ情報の送信時にログインIDを送信元情報として用いることができる。一方、ユーザにログインID等を割り当てていない場合には、ユーザがダウンロードした後述するウェブサイトのセッションIDを用いて通信を行えばよい。
【0032】
受信手段160は、ネットワーク400を通じてサーバ装置200から送信される、種々の情報やデータなどを受信するものである。この受信対象には、本実施形態の収入保障保険商品提案システムによって提供されるサービスの一貫として、送信手段140によって送信されたユーザ情報に基づく収入保障保険商品に関する情報も含まれる。
【0033】
提示手段180は、受信手段160によって受信された各種情報を、ユーザに提示するものである。提示手段180は、スマートフォンやパーソナルコンピュータに付帯するディスプレイに提案結果を表示したり、スピーカから提案結果を音声出力したりすることによってサーバ装置200から提案された収入保障保険商品に関する情報を提示することができる。
【0034】
図3は、
図1に示すサーバ装置200の模式的な内部構成を示すブロック図である。
図3には、以下説明する、受信手段220と、抽出手段240と、特定手段260と、返信手段280と、を示している。
【0035】
受信手段220は、クライアント装置100からネットワーク400を通じて送信される、ユーザ情報などの種々の情報やデータなどを受信するものである。
【0036】
抽出手段240は、格納媒体300に格納されている各保険料表データと受信手段220によって受信されたユーザ情報とに基づいて、ユーザに提案し得る収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を含む収入保障保険商品に関する情報を抽出するものである。
【0037】
特定手段260は、抽出手段240によって抽出された情報のなかから、実際にユーザに提案する収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様を含む収入保障保険商品に関する情報を絞り込んで特定するものである。なお、特定手段260による特定処理は、必ずしも実行する必要はなく、抽出手段240によって抽出された収入保障保険商品の数が相対的に多い場合などに選択的に実行すればよい。
【0038】
返信手段280は、特定手段260によって特定された幾つかの収入保障保険商品に関する情報(例えば、当該商品名、対応する払込保険料額及び払込態様)を、ネットワーク400を通じてクライアント装置100に返信するものである。
【0039】
なお、返信手段280は、ユーザに対してログインID等を割り当てる場合には、そのユーザに割り当てられているログインIDを送信先情報として付加してからクライアント装置100に返信すればよく、そうでない場合にはユーザがダウンロードした後述するウェブサイトのセッションIDを用いて通信を行えばよい。
【0040】
図4は、
図1に示す格納媒体300に格納されている保険料表データ例の概要説明図である。
図4には、例えば、戸籍上の性別が男性、死亡時の保険金の最大受取額が3,000万円で受取期間が契約月から25年間の場合であって、毎月保険料を払い込みする場合の保険料表データを示している。
【0041】
例えば、『30歳』の『男性』のユーザが、第1子が出生することを契機に生命保険の加入を検討し、その子或いは近い将来出生する可能性のある第2子が大学を卒業するくらいまでの『25年』という保障期間が必要であると考えたとする。
【0042】
このようなユーザにとって必要な典型的な保障金額は、自身の収入、配偶者の収入の有無、子の人数及び子に対する教育方針(公立学校/私立学校の別、習い事の多少など)、既に所有する金融資産の多少などによっても異なるが、最大で2,500万円~4,000万円が一つの目安となるといわれている。
【0043】
したがって、仮に、ユーザが収入保障保険商品に加入した場合の月々の保険料のおおよその目安を知りたい場合には、収入保障保険の契約時にユーザが必要とする保障金額として例えば3,000万円、保障期間を25年とするユーザ情報をクライアント装置100に入力することが考えられる。
【0044】
ところで、収入保障保険の契約時にユーザが必要とする保障金額は年々減少する。この例でいうと、ユーザが保険加入1年目に死亡した場合に例えば3,000万円が必要であるとしても、その翌年になれば保険加入1年目の生活費等は実際の収入で賄えたのであるから、残りの24年の保障期間における保障金額は3,000万円より少なくて済む。
【0045】
具体的には、当該ユーザに提案する収入保障保険商品としては、ユーザの死亡時の最大受取総額が3,000万円で、ユーザが死亡しない限り契約時から25年目に向けて毎年120万円ずつ線形的に保障金額が減少していくものが該当する。もちろん、例えば2次関数のような曲線的に保障金額が減少するものであってもよい。
【0046】
したがって、本実施形態では、例えば、収入保障保険の契約時を前提とした、年齢が『30歳』、戸籍上の性別が『男性』、必要な保障期間が最長で『25年』、必要な保障金額が最大で『3,000万円』であるというユーザに対して、
図4に示す保険料表データなどのユーザ情報と合致する収入保障保険商品の払込保険料額及び払込態様として『2,130円』及び『毎月払い』という情報などを抽出する。
【0047】
なお、ここでいう合致とは、ユーザ情報の全てを完全に満たす収入保障保険商品に限定されるものではない点に留意されたい。すなわち、例えば、収入保障保険商品のなかには、契約時を始期として25年というような保障期間を選定できず、ユーザの年齢を基準として例えば55歳まで/60歳まで/65歳までのいずれかというような保障期間しか選定できないものもある。
【0048】
このような場合、ユーザ情報の全てを完全に満たす収入保障保険商品しか提案対象としないとすると不都合がある。すなわち、例えば、57歳まで保障する収入保障保険商品Aの保険料総額よりも、60歳まで保障する収入保障保険商品Bの保険料総額が安い場合には、ユーザにとって収入保障保険商品Bが提案し得るものから除外されることは好ましくない。
【0049】
そこで、本実施形態では、収入保障保険の契約時を前提としてユーザが必要とする保障期間を、当該保障期間に近しい各収入保障保険商品で用意されている受取期間に換算して、この例でいうところの収入保障保険商品Bが、提案し得るものから除外されないようにしている。
【0050】
ところで、既述のように、35歳の男性ユーザの典型的な保障金額が、最大で2,500万円~4,000万円が一つの目安となると、その幅は小さいとは評価できず、また、既に金融資産を所有しておりその下限よりも保障金額が低額で済むユーザもいれば、両親の介護が必要でありその上限よりも高額でなければ済まないユーザもいる。さらに、ユーザがファイナンシャルプランナーなどのように収入保障保険商品に詳しい者でなければ、そもそも自身に必要な保障金額及び保障期間を把握すらしていない場合もある。
【0051】
このため、本実施形態では、ユーザ情報として、年齢、戸籍上の性別、必要な保障期間及び保障金額を直接入力させることに代えて、又はこれとともに、当該保障期間及び当該保障金額を割り出すために必要な情報を間接的に入力させることもできるようにしている。
【0052】
図5は、
図1に示すサーバ装置200からクライアント装置100であるところのスマートフォンに送信されたユーザ情報の受付用画面の一部を抜粋した画面例を示す図である。
図5には、保障金額及び保障期間をユーザに対して直接的質問する例を示している。
【0053】
なお、受付用画面は、いわゆるスマホアプリと称されるアプリケーションプログラムを起動することによって表示されるようにしてもよいし、通常、標準的にスマートフォンに搭載されているブラウザの機能によって表示されるようにしてもよい。
【0054】
この例では、ユーザに好適な収入保障保険商品の情報を提供するために、当該ユーザに対して最初に提示する「必要な保障金額は?」という質問事項と、それに対して必要な保障金額を選択するためのプルダウンメニュー付きの回答欄とが表示され、ユーザが「3,000万円」を選択した例を示している。
【0055】
また、この画面には、ユーザに対して2番目に提示する「必要な保障期間は?」という質問事項と、それに対して必要な保障金額を選択するためのプルダウンメニュー付きの回答欄とが表示され、ユーザが「25年」を選択した例を示している。
【0056】
図5に示すような質問に対してユーザが回答をしてから、画面をスクロールすることによって現れる送信ボタンの表示領域をタップすると、クライアント装置100は当該回答をユーザ情報としてサーバ装置200に送信する。
【0057】
これにより、サーバ装置200は、当該ユーザ情報と格納媒体300に格納されている保険料表データとに基づいて当該ユーザに提案し得る収入保障保険商品を特定することが可能となる。
【0058】
図6は、
図5とは異なるユーザ情報の受付用画面の一部を抜粋した画面例を示す図である。
図6には、保障金額及び保障期間をユーザに対して間接的に質問する場合の画面例を示している。
【0059】
まず、ユーザに好適な収入保障保険商品の情報を提供するために、ユーザ情報を回答させるための画面に遷移する(
図6(a))。この例では、ユーザに対して最初に提示する「あなたの戸籍上の性別は?」という質問事項と、それに対する「男性」・「女性」という回答の選択肢とが表示され、ユーザが「男性」を選択した例を示している。
【0060】
なお、
図6(a)に示すような性別の質問を、
図5に示すいずれかの質問の前後にすることもできる。そうすると、収入保障保険商品の保険料表データは、通常、男女の平均寿命乃至平均余命の相違を考慮して作成されているため、緻密な収入保障保険商品の提案を行うことが可能となる。
【0061】
つぎに、ユーザが画面を下側にスクロールすると、
図6(b)に示すように、ユーザに対して2番目に提示する「あなたの健康状態は?」という質問事項と、それに対する「健康」・「通院中」・「2年以内の健康診断で指摘あり」・「5年以内に入院/手術あり」という回答の選択肢とが表示され、この例ではユーザが「2年以内の健康診断で指摘あり」を選択した例を示している。
【0062】
また、
図6(b)に示す画面には、ユーザに対して3番目に提示する「あなたはタバコを吸いますか?」という質問事項と、それに対する「吸っている」・「過去1年間は吸っていない」という回答の選択肢とが表示され、この例ではユーザが「吸っている」を選択した例を示している。
【0063】
なお、
図6(b)では、「あなたの健康状態は?」という質問事項と「あなたはタバコを吸いますか?」という質問事項とについて表示する例を示しているが、これらがユーザ情報として必須であるというわけではない点に留意されたい。したがって、これらのうちいずれか一方の質問事項のみを表示してもよいし、例えば、これらに代えて同様の他の質問事項(例えば、「週にどの程度の飲酒をしますか?」という質問事項)を表示することもできる。
【0064】
その後に、既述の配偶者情報や子情報等のユーザに好適な収入保障保険商品の情報を提供するために必要な質問事項が記載されている画面を表示して、ユーザがそれらに回答して、送信ボタンの表示領域をタップすると、クライアント装置100は当該回答をユーザ情報としてサーバ装置200に送信する。
【0065】
なお、配偶者情報や子情報等についての質問事項を表示することも必須ではない。例えば、事前に家族構成についての質問事項を表示し、「独身」であると回答したユーザに対しては、これらについて質問する必要はないので、そのような画面表示はスキップしてよい。
【0066】
これにより、サーバ装置200において当該ユーザ情報と格納媒体300に格納されている保険料表データとに基づいて当該ユーザに提案し得る収入保障保険商品を特定することが可能となる。
【0067】
図7は、
図1に示す収入保障保険商品提案システムの動作の概要説明図である。まず、収入保障保険商品提案システムの管理者等は、
図5、
図6に示すような受付用画面を作成して、それをウェブサーバなどに格納しておく。また、当該管理者等は、
図4に示した複数の生命保険会社等が作成した保険料表データを格納媒体300に格納しておく。
【0068】
この状態で、仮に、ユーザがファイナンシャルプランナーなどのように収入保障保険商品に詳しい者であれば、保障金額及び保障期間を把握していることが考えられる。そのようなユーザであれば、例えば
図5に示す受付用画面をダウンロードすればよい。
【0069】
ユーザが
図5に示す受付用画面をダウンロードするための所要の操作をすると、クライアント装置100は、
図5に示す受付用画面が格納されているウェブサーバにアクセスして、
図5に示す受付用画面をダウンロードする(ステップS1)。
【0070】
そして、ユーザが、「必要な保障金額は?」という質問事項に対する回答として「3,000万円」を選択し、かつ、「必要な保障期間は?」という質問事項に対する回答として「25年」を選択したとすると、これらの情報がクライアント装置100の受付手段120によって受け付けられる(ステップS2)。
【0071】
つぎに、ユーザが、図示しない送信ボタンの表示領域をタップすると、受付手段120によって受け付けられたユーザ情報がネットワーク400を通じてサーバ装置200に送信される(ステップS3)。
【0072】
サーバ装置200は、クライアント装置100から送信されるユーザ情報を受信手段220によって受信すると、当該ユーザ情報をその送信元と紐付けて、格納媒体300に格納することができる。
【0073】
つぎに、サーバ装置200は、クライアント装置100から送信されるユーザ情報と格納媒体300に格納されている各保険料表データとに基づき、抽出手段240によって当該ユーザに提案し得る
図4に示す収入保障保険商品等の払込保険料額及び払込態様を抽出する(ステップS4)。
【0074】
通常、ユーザに提案し得る収入保障保険商品は複数存在するので、特定手段260はその数が例えば10以下であるかどうかを確認し、10を超えている場合には、例えば払込保険料額が安いもの上位10を特定することができる。
【0075】
一方、特定手段260がその数を確認した結果、10以下の場合には、それらを全てユーザに提案するものとしても、ユーザがそれらを対比することの負担は多くないので、全てを提案する情報として特定することができる。
【0076】
なお、例えば、特定手段260が確認したユーザに提案し得る収入保障保険商品の数が例えば20を超えている場合には、特定手段260はクライアント装置100に対して例えばユーザが希望する払込態様を回答させる質問画面を送信させるなどして、提案し得る収入保障保険商品のなかから、実際に提案する収入保障保険商品を絞り込むようにしてもよい。
【0077】
このように、抽出手段240によって抽出されたユーザに提案し得る収入保障保険商品に関する情報が、特定手段260によって必要に応じてユーザに提案する収入保障保険商品に関する情報として特定される(ステップS5)。
【0078】
つぎに、サーバ装置200では、返信手段280が、特定手段260によって特定されたユーザに提案する収入保障保険商品に関する情報、すなわち、例えば、少なくとも当該商品を販売している生命保険会社、商品名、払込保険料額といった情報を、ネットワーク400を通じてクライアント装置100に返信する(ステップS6)。
【0079】
クライアント装置100では、受信手段160によって、サーバ装置200から送信される収入保障保険商品に関する情報を受信する。そして、提示手段180によって、当該情報をパーソナルコンピュータに付帯するディスプレイに表示するなどしてユーザに提示する(ステップS7)。
【0080】
したがって、ユーザは、それらの情報を適宜対比して、所望の収入保障保険商品を選択することができる。
【0081】
なお、
図6に示す受付用画面に従って回答する場合の動作例の場合には、ユーザが
図6に示す受付用画面をダウンロードするための所要の操作をすると、ステップS1において、クライアント装置100は、
図6に示す受付用画面が格納されているウェブサーバにアクセスして、
図5に示す受付用画面をダウンロードすることになる。
【0082】
そして、ステップS2において、ユーザが、
図6(a)に示す「あなたの戸籍上の性別は?」という質問事項に対する回答として「男性」を選択し、
図6(b)に示す「あなたの健康状態は?」という質問事項に対する回答として「2年以内の健康診断で指摘あり」を選択し、「あなたはタバコを吸いますか?」という質問事項に対する回答として「吸っている」を選択し、更に、その後に続く質問事項に対しても適宜回答したとすると、これらの情報がクライアント装置100の受付手段120によって受け付けられることになる。
【0083】
その後のステップS3~S7の処理は、
図5に示す受付用画面に従って回答する場合の動作例と同様である。したがって、ユーザは、
図6に示す受付用画面に従って回答する場合においても、複数の収入保障保険商品に関する情報を適宜対比して、所望の収入保障保険商品を選択することができる。
【0084】
以上、本実施形態では、格納媒体300に格納されている保険料表データを用いて、ユーザに提案し得る収入保障保険商品を特定する例について説明したが、このような手法に代えて又はこれとともに、ユーザが加入した収入保障保険商品とそのユーザのユーザ情報との組を学習用データとして、同様のユーザ情報を入力したユーザに対して提案し得る収入保障保険商品を推定するようにしてもよい。
【0085】
なお、ユーザに提案する収入保障保険商品の並べ方は、払込保険料額が安い順としてもよいし、生命保険会社の格付け順としてもよいし、加入者の多い商品順としてもよいし、それらの並び順を適宜、ユーザの選択によって入れ替えられるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】本発明の実施形態の収入保障保険商品提案システムの模式的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すクライアント装置100の模式的な内部構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すサーバ装置200の模式的な内部構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す格納媒体300に格納されている保険料表データ例の概要説明図である。
【
図5】
図1に示すサーバ装置200からクライアント装置100であるところのスマートフォンに送信されたユーザ情報の受付用画面の一部を抜粋した画面例を示す図である。
【
図6】
図5とは異なるユーザ情報の受付用画面の一部を抜粋した画面例を示す図である。
【
図7】
図1に示す収入保障保険商品提案システムの動作の概要説明図である。
【符号の説明】
【0087】
100 クライアント装置
120 受付手段
140 送信手段
160 受信手段
180 提示手段
200 サーバ装置
220 受信手段
240 抽出手段
260 特定手段
280 返信手段
300 格納媒体
400 ネットワーク