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特開2023-58166一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器
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  • 特開-一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器 図1A
  • 特開-一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器 図1B
  • 特開-一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器 図2
  • 特開-一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器 図3A
  • 特開-一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器 図3B
  • 特開-一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058166
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/26 20060101AFI20230418BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
B05B1/26 A
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167976
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】503045038
【氏名又は名称】ノズルネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻川 博良
(72)【発明者】
【氏名】久下 良太
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033BA03
4F033DA02
4F033EA01
4F033JA07
4F033NA01
4F033RA06
4F033RA20
4F033RD05
4F033RD09
4F033RE02
4F033RE17
(57)【要約】
【解決課題】液体を所定の粒径に制御し噴霧することができる、一流体ノズルを提供することを目的とする。
【課題解決手段】一流体ノズル1は、本体10と、前記本体10の一方端に設けられる加圧液連結部18と、前記加圧連結部から延びる液体通路と、前記本体の一方端に設けられるノズル先端部14と、前記ノズル先端部14に設けられ、前記液体通路と接続される、少なくとも2つの先端流路部141、142と、前記少なくとも2つの先端流路部141、142から噴射される液体同士が衝突して霧化し、外部へ噴霧される噴霧出口21とを備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の一方端に設けられる加圧液連結部と、
前記加圧連結部から延びる液体通路と、
前記本体の一方端に設けられるノズル先端部と、
前記ノズル先端部に設けられ、前記液体通路と接続される、少なくとも2つの先端流路部と、
前記少なくとも2つの先端流路部から噴射される液体同士が衝突して霧化し、外部へ噴霧される噴霧出口と、
を備える、
一流体ノズル。
【請求項2】
前記少なくとも2つの先端流路部で形成される噴射衝突角度(α)は、75度以上150度以下である、請求項1に記載の一流体ノズル。
【請求項3】
前記先端流路部の流路の断面形状の断面積が、0.01mm以上0.09mm以下とした場合に、平均噴霧粒径(MSD値)が、18μm以上45μm以下である、
、請求項1または2に記載の一流体ノズル。
【請求項4】
請求項1または2に記載の一流体ノズルと、
前記一流体ノズルの前記加圧液連結部と接続される容器と、
前記容器に収容される液体に対し圧力を掛けて前記一流体ノズルに送る加圧手段と、
を備える、
噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一流体ノズルおよびそれを備える噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアレスの一流体ノズルは、容器中の液体(例えば、水、美容液、殺菌剤、除菌エタノール液、薬液など)をプッシュ式スプレー、トリガー式スプレーや、液面加圧式スプレー、エアゾール式(噴射剤式)スプレーなどで使用されている。
特許文献1は、薬やワクチン等の液状物質を鼻腔道に送るために、注射器等の薬の容器とともに使用する鼻用噴霧ノズルを開示している。特許文献2は、鼻腔に薬剤処方物を計量された用量で送達するための鼻内噴霧装置を開示している。特許文献3は、ディスポーザブルな薬剤投与装置を開示している。特許文献1から3では、いずれも、エアレスにおいて噴霧の粒径を制御することについて言及されていない。
特許文献4は、先端部の径方向に長い流体噴射用溝を流路に連通する状態に形成してある流体噴射ノズルであって、一対の分割流路から出る流体を180度に衝突させる構造を開示している。特許文献4では、鋼板の冷却、洗浄・塗装・薬剤散布・消泡に利用できるように、噴射パターンの流量分布の均一化を目的としているが、噴霧の粒径を制御することについて言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4632510号
【特許文献2】特許第6023247号
【特許文献3】実用新案登録第3136169号
【特許文献4】特許第4447726号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液体を所定の粒径に制御し噴霧することができる、一流体ノズルを提供することを目的とする。
また、上記一流体ノズルを備える噴霧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一流体ノズル(1)は、
本体(10)と、
前記本体の一方端に設けられる加圧液連結部(18)と、
前記加圧連結部から延びる液体通路(少なくとも1つの断面ドーナツ状の通路、直線状通路(11、12、13)でもよい)と、
前記本体の一方端に設けられるノズル先端部(14)と、
前記ノズル先端部(14)に設けられ、前記液体通路と接続される、少なくとも2つの先端流路部(141、142)と、
前記少なくとも2つの先端流路部(141、142)から噴射される液体同士が衝突して霧化し、外部へ噴霧される噴霧出口(21)と、
を備える。
前記液体通路(11、12)と前記少なくとも2つの先端流路部(141、142)との間に中間通路部(少なくとも1つの断面ドーナツ状の通路、少なくとも2つの直線状中間通路(151、152)でもよい)が設けられていてもよい。
前記一流体ノズル(1)は、
前記ノズル先端部(14)の外面を覆い、前記少なくとも2つの先端流路部(141、142)の溝を蓋して流路を形成し、前記噴霧出口(21)の空間を形成する、キャップ部(20)を備えていてもよい。
【0006】
前記ノズル先端部(14)は、その天面がフラット部(144)であってもよく、平面部(144)に凹部(145)が設けられていてもよい。
前記少なくとも2つの先端流路部(141、142)は、対向配置であり、前記噴霧出口の中心に向って伸びていてもよい。
前記少なくとも2つの先端流路部(141、142)の流路の断面形状は、三角形、矩形、ベース形状、半円状、円状であってもよい。直線状通路(11、12)および直線状中間通路(151、152)の流路の断面形状は、断面三角形、矩形、ベース形状、半円状、円状であってもよい。
前記噴霧出口(21)の形状は、噴霧方向と直交する方向の断面視で円状、噴霧方向の断面視で台形状(長辺が噴霧先端)、ラッパ状であってもよい。
前記少なくとも2つの先端流路部(141、142)の流路は、同じ断面積でもよく、前記噴霧出口より遠位の断面積よりも近位の断面積の方が小さくてもよい。
直線状通路(11、12)の流路の断面積より直線状中間通路(151、152)の流路の断面積が小さく、先端流路部(141、142)の流路の断面積がさらに小さくてもよい。
液体通路部は、加圧連結部(18)から延びる大径液体通路部(13)と、大径液体通路部から分岐する小径の第一、第二直線状通路(11、12)とを有していてもよい。
前記先端流路部(141、142)は、ノズル先端部に、例えば、2つ、3つ、4つ形成されていてもよい。3つの場合、流路部が120度間隔で配置されてもよく、4つの場合、流路部が90度間隔で配置されていてもよい。
前記先端流路部(141、142)で形成される噴射衝突角度(α)は、例えば、75度以上150度以下であってもよい。
前記先端流路部(141、142)の開口部先端同士の最短距離(d)は、例えば、0.3mm以上2.0mm以下である。
【0007】
前記先端流路部(141、142)の流路の断面形状が三角形の場合、底辺0.2mm以上0.6mm以下で底辺からの垂直高さ0.1mm以上0.3mm以下(つまり、断面積が0.01mm以上0.09mm以下)が例示され、断面形状が矩形の場合、底辺0.15mm以上0.3mm以下で底辺からの垂直高さ0.1mm以上0.3mm以下(つまり、断面積が0.015mm以上0.09mm以下)が例示される。
前記噴霧出口の開口円状の直径は、例えば、0.4mm以上1.5mm以下である。
【0008】
前記先端流路部(141、142)の流路の断面形状の断面積が、0.01mm以上0.09mm以下とした場合に、平均噴霧粒径(SMD値)が、18μm以上45μm以下に制御できる。
先端流路部(141、142)の流路の断面形状の断面積が、0.01mm以上0.03mm以下とした場合に、平均噴霧粒径(SMD値)が、18μm以上25μm以下に制御できる。この際に噴射衝突角度(α)を例えば、90度以上150度以下、100度以上150度以下、120度以上150度以下に設定してもよい。
先端流路部(141、142)の流路の断面形状の断面積が、0.03mmを超え0.09mm以下とした場合に、平均噴霧粒径(SMD値)が、25μmを超え45μm以下に制御できる。この際に噴射衝突角度(α)を例えば75度以上90度以下、75度以上100度以下に設定してもよい。
【0009】
他の本発明の噴霧器(100)は、
上記一流体ノズル(1)と、
前記一流体ノズルの前記加圧液連結部(18)と接続される容器(40)と、
前記容器に収容される液体に対し圧力を掛けて前記一流体ノズルに送る加圧手段(42)と、
を備える。
前記加圧手段は、プランジャー(この場合、容器がシリンジとなる)、液面加圧構造、エアゾール構造であってもよい。加圧手段は、モータでプランジャーを押すシリンジポンプ装置でもよい。加圧手段の駆動源が手動でもよい。
噴霧器は、ディスポーザブルで、容器に液体がすでに収納されていてもよい。
【0010】
前記液体は、特に制限されないが、20℃で粘度100cP以下の液剤が好ましく、例えば、水、イオン化水、保湿液、美容水、化粧水等の化粧薬液、医薬液、殺菌液、除菌液等の薬液、塗料、燃料油、コーティング剤、溶剤、樹脂等が挙げられる。
【0011】
噴霧量は、容器に収納される液体の量(略全量)であるが、用途に応じで0.3mlから80mlなどが例示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】一流体ノズルの側面視の断面図である。
図1B】別実施形態の一流体ノズルの側面視の断面図である。
図2】噴射衝突角度αを説明する図である。
図3A】先端流路部(141、142)の流路の形状(溝)を説明する図である。
図3B】別実施形態の先端流路部(141、142)の流路の形状(溝)を説明する図である。
図4】噴霧器の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
一流体ノズル1を図1Aから図3Aを用いて説明する。
一流体ノズル1は、本体10と、本体10の一方端に設けられる加圧液連結部18と、加圧連結部18から延びる2つの断面円状の第一、第二直線状通路11、12と、本体10の他方端に設けられるノズル先端部14と、を備える。
ノズル先端部14には、第一、第二直線状通路11、12とそれぞれ接続される、第一、第二直線状中間通路151、152、さらに、それらと接続される、第一、第二先端流路部141、142が設けられている。本実施形態では、第一直線状通路11と、第一直線状中間通路151と第一先端流路部141が1つの液体通路を形成し、第二直線状通路12と、第二直線状中間通路152と第二先端流路部142が1つの液体通路を形成している。
第一、第二先端流路部141、142は、180度の間隔で配置され、対向配置して形成される。また、本実施形態では、図2に示すように、噴射衝突角度αは、例えば、90度である。
【0014】
ノズル先端部14の外面にはキャップ部20が覆われる。本実施形態では、第一、第二直線状中間通路151、152として、ノズル先端部14に断面三角形の溝が形成され、キャップ部20が蓋となって、通路部が形成される。また、図3Aに示すように、第一、第二先端流路部141、142として、ノズル先端部14に断面三角形の溝が形成され、キャップ部20が蓋となって、各通路部が形成される。A-A断面は、天面から近位の位置であり、その断面形状が三角形である((b)を参照)。B-B断面は、天面から遠位の位置であり、その断面形状がベース状である((c)を参照)。ベース状から三角形へ徐々に断面積が小さくなるようにして、内圧および吐出圧を調整している。ノズル先端部14の天面はフラット面144を形成している。フラット面144の直径は、開口部先端同士の最短距離dと同じである。
【0015】
図3Bは、別実施形態のノズル先端部14の例を示す。フラット部144に凹部145が設けられている。凹部145は、円錐の窪みである。円錐の直径φが最短距離dよりも小さいが、別例として同じであってもよい。噴射衝突角度αは、例えば、90から150度である。C-C断面は、その断面形状が三角形である((b)参照)。
【0016】
キャップ部20には、噴射出口21が形成され、第一、第二先端流路部141、142から噴射される液体同士が衝突して霧化し、噴霧出口21から噴霧される。
【0017】
(別実施形態)
図1Bに別実施形態の一流体ノズル1を示す。同じ符号は上記構成と同じ機能を備え、異なる機能について説明する。大径液体通路部13は、加圧連結部18から延びる。この大径液体通路部13から、それよりも小径の第一、第二直線状通路11、12が図上左右に分岐する。第一、第二直線状通路11、12は、図1Aの通路よりも長さが短い。
【0018】
(実施形態2)
噴霧器100を図4を用いて説明する。
噴霧器100は、一流体ノズル1と、一流体ノズル1の加圧液連結部18と接続されるシリンジ40と、シリンジ40に収容される液体に対し圧力を掛けて一流体ノズル1に送るプランジャー42を備える。プランジャー先端にはゴム栓421が設けられていてもよい。加圧液連結部18と、シリンジ40の先端41との連結をルアーロック継手で行うが、これに制限されない。プランジャー42は、手動でもよく、モータで駆動する構造であってもよい。
【0019】
<実施例>
シリンジ形状の噴霧器100に、水道水を浄化した浄水を使用して噴霧試験を行った。
(1)一流体ノズルの噴霧性能
噴霧量(容器内液量) :1ml(1mlシリンジ)
平均粒子径(SMD) :20μm
2つの先端流路部(141、142)の噴射衝突角度α :120度、100度、90度(3種類)
先端流路部(141、142)の流路の断面積:
A-A断面(先端近位)0.015mm
A-A断面(先端近位)三角形であり、底辺0.2mmで底辺からの垂直高さ0.1mm
先端流路部(141、142)の開口部先端同士の最短距離d:0.78mm、0.86mm、0.89mm(上記噴射衝突角度αにそれぞれ対応している)
(2)第2ノズルユニットの3つ二流体ノズルの噴霧性能
噴霧量(容器内液量) :1ml(1mlシリンジ)
平均粒子径(SMD) :42μm
2つの先端流路部(141、142)の噴射衝突角度α :90度
先端流路部(141、142)の流路の断面積:
A-A断面(先端近位)0.03mm
A-A断面(先端近位)三角形であり、底辺0.4mmで底辺からの垂直高さ0.15mm
先端流路部(141、142)の開口部先端同士の最短距離d:0.78mm、0.86mm、0.89mm(上記噴射衝突角度αにそれぞれ対応している)
【符号の説明】
【0020】
1 一流体ノズル
10 本体
11 第一直線状通路
12 第二直線状通路
14 ノズル先端部
141 第一先端流路部
142 第二先端流路部
151 第一直線状中間通路部
152 第二直線状中間通路部
18 加圧液連結部
20 キャップ部
21 噴霧出口
100 噴霧器
α 噴射衝突角度
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4