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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058168
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】容器反転払い出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/38 20060101AFI20230418BHJP
   B65B 69/00 20060101ALI20230418BHJP
   B65G 47/82 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
B65G47/38
B65B69/00 Z
B65G47/82 A
B65G47/82 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167978
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】394006174
【氏名又は名称】テクニカマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100164013
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】大山 博民
【テーマコード(参考)】
3E058
3F015
3F017
【Fターム(参考)】
3E058AA01
3E058BA06
3E058CB06
3E058DA01
3E058EA01
3E058FA05
3E058GA06
3E058GA09
3F015AA06
3F015AA08
3F015DA03
3F017AA08
3F017BA01
3F017BA12
3F017BA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】様々なサイズや種類の容器が混在して用いられている場合でも、容器の変化に自動的に対応でき、容器が落下しないように保持しながら反転させ、内容物を排出させて空になった容器を払い出すことができる、容器反転払い出し装置を提供する。
【解決手段】内容物GRが収容された容器Gを搬入する搬入搬送部10と、搬入搬送部10から搬入された容器Gを保持する保持部20と、容器Gを保持させた状態で保持部20を反転させることにより、容器Gから内容物GRを排出させる反転部30と、容器Gから排出された内容物GRを搬送する内容物搬送部と、内容物GRが排出された容器Gを搬出する搬出搬送部50と、を備え、保持部20は、搬入される容器Gが当接することによって容器Gの大きさに対応するように変位するとともに、容器Gの搬入方向に対して交差する方向から容器Gを押圧する規制部60を有する容器反転払い出し装置100とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器を搬入する搬入搬送部と、
前記搬入搬送部から搬入された容器を保持する保持部と、
容器を保持させた状態で前記保持部を反転させることにより、容器から内容物を排出させる反転部と、
容器から排出された内容物を搬送する内容物搬送部と、
前記内容物が排出された容器を搬出する搬出搬送部と、
を備え、
前記保持部は、
搬入される容器が当接することによって容器の大きさに対応するように変位するとともに、容器の搬入方向に対して交差する方向から容器を押圧する規制部を有する、
容器反転払い出し装置。
【請求項2】
前記規制部は、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向に対して交差する方向に変位するガイド部と、
前記ガイド部とともに容器の搬入方向に対して交差する方向に変位する押圧部と、
容器を押圧する方向に前記押圧部を付勢する付勢部と、を有する、
請求項1に記載の容器反転払い出し装置。
【請求項3】
前記規制部は、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向に対して直交する方向である第1方向に沿って変位する第1ガイド部と、
前記第1ガイド部とともに前記第1方向に沿って変位する第1押圧部と、
前記第1方向に沿って容器を押圧するように前記第1押圧部を付勢する第1付勢部と、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向および前記第1方向に対して直交する方向である第2方向に沿って変位する第2ガイド部と、
前記第2ガイド部とともに前記第2方向に沿って変位する第2押圧部と、
前記第2方向に沿って容器を押圧するように前記第2押圧部を付勢する第2付勢部と、を有する、
請求項1に記載の容器反転払い出し装置。
【請求項4】
前記規制部は、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向に対して交差する方向に、円弧状の軌道で変位するガイド部と、
前記ガイド部とともに、容器の搬入方向に対して交差する方向に、円弧状の軌道で変位する押圧部と、
前記ガイド部および前記押圧部が所定位置の軸周りに円弧状の軌道で移動するように支持するアームと、
容器を押圧するように前記押圧部を付勢する付勢部と、を有する、
請求項1に記載の容器反転払い出し装置。
【請求項5】
前記押圧部は、
容器との摩擦力を増大させる摩擦部を有する、
請求項4に記載の容器反転払い出し装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が収容された容器を反転させて内容物を排出させるとともに、空になった容器を払い出す、容器反転払い出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者は、コンテナに収容された回収済みのガラス瓶をベルトコンベアに排出する際に、コンテナの上部を蓋で覆いながらコンテナを反転させ、ベルトコンベアの上にガラス瓶を徐々に排出させるガラス瓶無破損排出装置を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、ガラス瓶無破損排出装置にコンテナが搬入されてくると、受け枠および前後位置決め部材によってコンテナが定位置に保持される。搬入されるコンテナのサイズや形状が一定であれば、コンテナのサイズや形状に合わせて受け枠および前後位置決め部材の位置や形状を予め決定しておくことができる。これにより、コンテナを確実に保持でき、コンテナを反転させる際にコンテナが落下しないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-137830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、容器に収容される内容物の種類や、内容物の排出作業の目的によっては、容器のサイズや種類が一定ではない場合がある。具体的には、縦、横、高さの寸法が異なる容器が用いられる場合や、サイズだけでなく、合成樹脂素材のコンテナとダンボール箱など、異なる種類の容器が用いられている場合がある。
【0006】
このような場合、特定のサイズや種類の容器だけに対応する装置では、容器のサイズや種類の変化に対応できず、容器のサイズや種類毎に処理ラインを構成する必要があった。また、異なるサイズや種類の容器が同時に混在して用いられる場合には、対応が困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、様々なサイズや種類の容器が混在して用いられている場合でも、容器の変化に自動的に対応でき、容器が落下しないように保持しながら反転させ、内容物を排出させて空になった容器を払い出すことができる、容器反転払い出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の容器反転払い出し装置は、
内容物が収容された容器を搬入する搬入搬送部と、
前記搬入搬送部から搬入された容器を保持する保持部と、
容器を保持させた状態で前記保持部を反転させることにより、容器から内容物を排出させる反転部と、
容器から排出された内容物を搬送する内容物搬送部と、
前記内容物が排出された容器を搬出する搬出搬送部と、
を備え、
前記保持部は、
搬入される容器が当接することによって容器の大きさに対応するように変位するとともに、容器の搬入方向に対して交差する方向から容器を押圧する規制部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器反転払い出し装置によれば、様々なサイズや種類の容器が混在して用いられている場合でも、容器の変化に自動的に対応でき、容器が落下しないように保持しながら反転させ、内容物を排出させて空になった容器を払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、容器反転払い出し装置の平面図である。
図2図2は、図1のA-A線における容器反転払い出し装置の側面断面図である。
図3図3は、図1のB-B線における反転部および内容物搬送部の背面図である。
図4図4は、寸法が異なる容器が搬入される状態を示す保持部の平面図である。
図5図5aは、図4aのC-C線における保持部の背面図であり、図5bは、図4bのD-D線における保持部の背面図である。
図6図6は、実施形態2に係る容器反転払い出し装置において、寸法が異なる容器が搬入される状態を示す保持部の平面図である。
図7図7aは、図6aのE-E線における保持部の背面図であり、図7bは、図6bのF-F線における保持部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる容器反転払い出し装置は、
内容物が収容された容器を搬入する搬入搬送部と、
前記搬入搬送部から搬入された容器を保持する保持部と、
容器を保持させた状態で前記保持部を反転させることにより、容器から内容物を排出させる反転部と、
容器から排出された内容物を搬送する内容物搬送部と、
前記内容物が排出された容器を搬出する搬出搬送部と、
を備え、
前記保持部は、
搬入される容器が当接することによって容器の大きさに対応するように変位するとともに、容器の搬入方向に対して交差する方向から容器を押圧する規制部を有する(第1の構成)。
【0012】
上記構成によれば、保持部は規制部を有しており、規制部は、搬入される容器が当接することによって容器の大きさに対応するように変位するとともに、容器の搬入方向に対して交差する方向から容器を押圧する。
規制部が容器の大きさに対応するように変位するため、サイズが異なる容器が用いられる場合であっても、保持部で容器を保持することができる。
また、規制部が容器の搬入方向に対して交差する方向から容器を押圧するため、反転部によって容器を反転させる際に、容器が保持部から落下することを抑制することができる。
このため、様々なサイズや種類の容器が混在して用いられている場合でも、容器の変化に自動的に対応でき、容器が落下しないように保持しながら反転させ、内容物を排出させて空になった容器を払い出すことができる。
【0013】
上記第1の構成において、
前記規制部は、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向に対して交差する方向に変位するガイド部と、
前記ガイド部とともに容器の搬入方向に対して交差する方向に変位する押圧部と、
容器を押圧する方向に前記押圧部を付勢する付勢部と、を有してもよい(第2の構成)。
【0014】
上記構成によれば、規制部はガイド部および押圧部を有する。ガイド部は、容器の搬入方向に対して交差する方向に変位し、押圧部は、容器の搬入方向に対して交差する方向に変位した状態で容器を押圧する。
このため、サイズが異なる容器が用いられる場合であっても、容器の変化に自動的に対応して保持部で容器を保持することができ、反転部によって容器を反転させる際に、容器が保持部から落下することを抑制することができる。
【0015】
上記第1の構成において、
前記規制部は、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向に対して直交する方向である第1方向に沿って変位する第1ガイド部と、
前記第1ガイド部とともに前記第1方向に沿って変位する第1押圧部と、
前記第1方向に沿って容器を押圧するように前記第1押圧部を付勢する第1付勢部と、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向および前記第1方向に対して直交する方向である第2方向に沿って変位する第2ガイド部と、
前記第2ガイド部とともに前記第2方向に沿って変位する第2押圧部と、
前記第2方向に沿って容器を押圧するように前記第2押圧部を付勢する第2付勢部と、を有してもよい(第3の構成)。
【0016】
上記構成によれば、規制部は第1ガイド部と第2ガイド部、および第1押圧部と第2押圧部を有する。第1ガイド部と第2ガイド部は、それぞれ容器の搬入方向に対して交差する第1方向および第2方向に変位し、第1押圧部と第2押圧部は、それぞれ第1方向および第2方向に移動した状態で容器を押圧する。
このため、サイズが異なる容器が用いられる場合であっても、容器の変化に自動的に対応して保持部で容器を保持することができ、反転部によって容器を反転させる際に、容器が保持部から落下することを抑制することができる。
【0017】
上記第1の構成において、
前記規制部は、
搬入される容器が当接することにより、容器の搬入方向に対して交差する方向に、円弧状の軌道で変位するガイド部と、
前記第1ガイド部とともに、容器の搬入方向に対して交差する方向に、円弧状の軌道で変位する押圧部と、
前記ガイド部および前記押圧部が所定位置の軸周りに円弧状の軌道で移動するように支持するアームと、
容器を押圧するように前記押圧部を付勢する付勢部と、を有してもよい(第4の構成)。
【0018】
上記構成によれば、規制部はガイド部および押圧部を有する。ガイド部は、容器の搬入方向に対して交差する方向に円弧状の軌道で変位し、押圧部は、容器の搬入方向に対して交差する方向に移動した状態において円弧状の軌道で容器を押圧する。
このため、サイズが異なる容器が用いられる場合であっても、容器の変化に自動的に対応して保持部で容器を保持することができ、反転部によって容器を反転させる際に、容器が保持部から落下することを抑制することができる。特に、容器がダンボールなど変形可能な素材で形成されている場合、押圧部によって押圧される部分が変形して容器と押圧部が滑りにくくなるため、容器の落下を確実に抑制することができる。
【0019】
上記第4の構成において、
前記押圧部は、
容器との摩擦力を増大させる摩擦部を有してもよい(第5の構成)。
【0020】
上記構成によれば、押圧部は、容器との摩擦力を増大させる摩擦部を有している。
このため、反転部によって容器を反転させる際に、摩擦力によって容器が保持部から落下することを抑制することができる。
【0021】
[実施形態1]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る容器反転払い出し装置100について詳しく説明する。以下の図では、矢印Fは容器反転払い出し装置100の前方向、矢印Bは後方向を示す。矢印Rは容器反転払い出し装置100の右方向、矢印Lは左方向を示す。矢印Uは容器反転払い出し装置100の上方向、矢印Dは下方向を示す。
【0022】
以下の図では同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0023】
[全体構成]
図1は、容器反転払い出し装置100の平面図である。図2は、図1のA-A線における容器反転払い出し装置100の側面断面図である。図3は、図1のB-B線における反転部30および内容物搬送部40の背面図である。図1から図3に示すように、容器反転払い出し装置100は、搬入搬送部10、保持部20、反転部30、内容物搬送部40、および搬出搬送部50を有している。
【0024】
本実施形態に係る容器反転払い出し装置100は、内容物GRが収容された容器Gを反転させて内容物GRを排出させるとともに、空になった容器Gを払い出す動作を連続して行う装置である。より具体的には、内容物GRが収容された容器Gが搬入搬送部10によって搬送されてきて、保持部20に供給されて保持される。このとき、様々なサイズや種類の容器Gが混在して用いられている場合でも、保持部20は容器Gの変化に自動的に対応して、容器Gを保持することができる。保持部20は、容器Gとともに反転部30によって水平状態から下向きなるように反転されて、容器Gに収容された内容物GRが内容物搬送部40に排出される。内容物GRが排出されて空になった容器Gは保持部20とともに水平状態に戻される。空の容器Gは、新たに保持部20に供給されてくる容器Gによって搬出搬送部50に押し出されて払い出される。
【0025】
容器Gは、例えば合成樹脂製のコンテナやダンボール箱等であるが、容器の種類や素材は限定されない。内容物GRは、容器Gに収容されるものであれば特に限定されず、例えば、様々な製品や半完成品、部品、あるいは、廃棄物(空缶や空瓶、ペットボトル、容器包装プラスチック等)である。以下、容器反転払い出し装置100の各部の構成について詳細に説明する。
【0026】
図1および図2に示すように、搬入搬送部10は、内容物GRが収容された容器Gを搬送し、保持部20に供給する装置である。搬入搬送部10は、駆動ローラコンベア11、搬送ストッパ14、およびプッシャー15を有している。
【0027】
駆動ローラコンベア11は、左右方向に間隔をおいて2本配置されている。各駆動ローラコンベア11は、駆動回転する複数のローラ12を有しており、容器Gをローラ12上の搬送面に載置して後方Bから前方Fに向けて搬送する。駆動ローラコンベア11の側部には、容器Gを搬送方向に案内する案内部13が配置されている。
【0028】
搬送ストッパ14は、駆動ローラコンベア11の前端部において、搬送されてきた容器Gを一時的に停止させる装置である。搬送ストッパ14は、駆動ローラコンベア11の搬送面よりも上方に突出した状態と、搬送面よりも下方に退避した状態とに姿勢を切り替えることが可能である。搬送ストッパ14は、図示しないエアシリンダ等によって姿勢が切り替えられる。容器Gを駆動ローラコンベア11の前端部で停止させる場合、搬送ストッパ14は、上方に突出した状態に切り替えられて、駆動ローラコンベア11によって搬送されてきた容器Gに当接することにより、容器Gを停止させる。停止させていた容器Gを駆動ローラコンベア11から保持部20に供給する場合には、搬送ストッパ14は下方に退避した状態に切り替えられて、容器Gが搬送ストッパ14の上方を通過可能とする。
【0029】
プッシャー15は、駆動ローラコンベア11の前端部に位置している容器Gを保持部20に向けて押動することにより、容器Gを保持部20に供給する装置である。プッシャー15は、2本の駆動ローラコンベア11の間に配置されている。プッシャー15は、プッシャー本体16、当接部17、および進退駆動装置18を有している。
【0030】
プッシャー本体16は、上下方向に延びており、上端部は駆動ローラコンベア11の搬送面よりもやや下方に位置している。当接部17は、プッシャー本体16の上端部に回転可能に取り付けられている。当接部17は上下方向に回転することにより、駆動ローラコンベア11の搬送面よりも上方に突出した状態と、搬送面よりも下方に退避した状態とに姿勢を切り替え可能である。当接部17は、図示しない駆動装置によって姿勢が切り替えられる。進退駆動装置18は、例えばエアシリンダであり、プッシャー本体16に連結されている。進退駆動装置18は、図2に示すようにプッシャー本体16および当接部17を待機位置PA1と押動位置PA2との間で前後方向に駆動させて容器Gを保持部20に向けて押動し、容器Gを保持部20に供給する。
【0031】
プッシャー本体16および当接部17が待機位置PA1に位置している状態において、待機位置PA1を容器Gが通過する場合、当接部17が駆動ローラコンベア11の搬送面よりも下方に退避した状態になるように当接部17を回転させる。容器Gが駆動ローラコンベア11の前端部に位置しており、その容器Gを保持部20に向けて押動する場合、当接部17が駆動ローラコンベア11の搬送面よりも上方に突出した状態になるように当接部17を回転させる。その状態で、駆動装置18が当接部17を待機位置PA1から押動位置PA2まで駆動させることにより、容器Gは当接部17によって押動されて搬入搬送部10から保持部20に供給される。この場合、駆動ローラコンベア11の前端部で容器Gを停止させていた搬送ストッパ14は、下方に退避した状態に切り替えられている。
【0032】
保持部20は、搬入搬送部10から搬入された容器Gを保持する部分である。保持部20は、反転部30に支持されており、容器Gを保持した状態で反転部30によって反転される。また保持部20は、内容物GRを排出させた後は、空の容器Gを搬出搬送部50に送出させることが可能である。保持部20は、底部21、保持ストッパ22、および規制部60を有している。
【0033】
底部21は、容器Gが載置される部分である。底部21を平板で構成した場合、容器Gが接触する部分には、容器Gとの摩擦抵抗を小さくして容器Gが前方に向けて円滑に移動できるように、例えばテフロン(登録商標)系樹脂板を取り付けてもよい。また、底部21にフリーローラを設けることよって容器Gが前方に向けて円滑に移動できるようにしてもよい。
【0034】
保持ストッパ22は、搬入搬送部10から搬入された容器Gを保持部20で停止させて位置決めするとともに、内容物GRの排出が完了して容器Gが空になった場合、容器Gが保持部20から搬出搬送部50に送出されることを許容する装置である。保持ストッパ22は、保持部20の前端部に配置されている。保持ストッパ22は、ストッパ本体23、および保持ストッパ駆動装置24を有している。
【0035】
ストッパ本体23は、保持ストッパ駆動装置24によって上下方向に駆動される。保持ストッパ駆動装置24は、例えばエアシリンダである。ストッパ本体23は、底部21の載置面よりも上方に突出した状態と、底部21の載置面と同じ高さまで下降した状態とに姿勢を切り替え可能である。ストッパ本体23の上面25は、傾斜面になっており、底部21の高さまで下降した状態では、底部21と搬出搬送部50の間隙に配置された状態となり、容器Gが保持部20から搬出搬送部50へ円滑に移動できるように案内する。
【0036】
保持部20から搬出搬送部50への空の容器Gの移動は、駆動ローラコンベア11上に停止していた新たな容器Gが保持部20に供給されることで、保持部20上の空の容器Gが保持部20から搬出搬送部50へ向けて押し出されることにより行われる。
【0037】
規制部60は、保持部20に供給された容器Gを反転させる際に、容器Gが保持部20から落下しないように規制する部分である。図1から図3では、規制部60の構成を簡略化して示している。規制部60の構成については、後に詳細に説明する。
【0038】
反転部30は、保持部20を反転させることにより、保持部20で保持している容器Gを反転させて容器Gから内容物GRを排出させる装置である。反転部30は、フレーム31、軸部32、支持部33、回転駆動部34を有している(図3参照)。
【0039】
図1に示すように、フレーム31は、保持部20の前後に配置されている。フレーム31は、保持部20の左方において、軸部32を支持している。軸部32は、前後方向に延びるように配置されている。軸部32には、左右方向に延びる一対の支持部33が固定されている。支持部33は、保持部20の底部21の下部を支持している(図3参照)。軸部32の一端部には、回転駆動部34が連結されている。回転駆動部34は、駆動モータ35および減速機36を有しており、軸部32を回転させることによって支持部33および保持部20を回転させ、保持部20で保持している容器Gを反転させる。なお、回転駆動部34は、ブレーキを有しており、支持部33および保持部20を水平状態にした位置で停止させることができる。
【0040】
図3に示すように、反転部30は、軸部32を図示時計回りに1回転させることにより、支持部33および保持部20を1回転させ、それによって保持部20に保持している容器Gを1回転させる。容器Gに収容されている内容物GRは、容器Gが回転を開始する水平状態から90度~135度程度回転した領域で、下方の内容物搬送部40に排出される。反転部30は容器Gを一定速度で回転させてもよいが、水平状態から90度~135度程度回転させる角度領域において他の角度領域よりも回転速度を遅くしてもよい。この場合、内容物GRが下方の内容物搬送部40に排出される際の落下衝突の衝撃を小さくすることができ、内容物GRの損傷や、発生する衝撃音を最小にすることができる。
【0041】
反転部30の動作は、軸部32を1回転させて保持部20を元の姿勢に戻すことに限定されない。例えば、軸部32を水平状態から135度程度回転させて容器Gを反転させた後、逆方向(図示反時計回り)に回転させて保持部20を元の姿勢に戻してもよい。この場合、保持部20を1回転させるために反転部30の上方の空間を空けておく必要がなく、容器反転払い出し装置100の高さを低くすることができる。
【0042】
反転部30の駆動機構は、駆動モータ35を用いた機構に限定されない。例えば、エアシリンダ駆動のラックピニオン機構を用いてもよい。この場合、軸部32の一端部にピニオンギヤを固定し、ピニオンギヤにかみ合うラックをエアシリンダで駆動させることにより、軸部32を所定の角度範囲で回転させて、支持部33および保持部20を反転させることができる。
【0043】
図2図3に示すように、内容物搬送部40は、容器Gから排出された内容物GRを搬送する装置である。内容物搬送部40は、内容物シュート41および内容物搬送コンベア42を有している。容器Gから排出された内容物GRは、まず内容物シュート41の上に排出される。排出された内容物GRは、内容物シュート41によって内容物搬送コンベア42の搬送面に案内される。内容物搬送コンベア42は、内容物GRを次工程の処理装置等に向けて搬送する。
【0044】
図1図2に戻って、搬出搬送部50は、内容物GRが排出された容器Gを搬出して、容器Gを容器反転払い出し装置100から保管位置等へ向けて払い出す装置である。搬出搬送部50は、容器シュート51を有している。容器シュート51は、例えば傾斜面やフリーローラによって構成されており、保持部20から押し出された空の容器Gを搬送する。
【0045】
[規制部]
次に、保持部20および、保持部20を構成する規制部60について詳細に説明する。図4は、寸法が異なる容器Gが搬入される状態を示す保持部20の平面図である。図5aは、図4aのC-C線における保持部20の背面図であり、図5bは、図4bのD-D線における保持部20の背面図である。図4および図5に示すように、内容物GRが収容された容器Gが保持部20に供給される場合において、様々なサイズや種類の容器Gが混在している場合でも、保持部20は容器Gの変化に自動的に対応して、容器Gを保持することができる。このとき、規制部60は、搬入される容器Gが当接することによって容器Gの大きさに対応するように変位するとともに、容器Gの搬入方向に対して交差する方向から容器Gを押圧するように作動する。
【0046】
図4および図5に示すように、規制部60は、第1規制部61および第2規制部62を有している。第1規制部61および第2規制部62は、それぞれ容器Gの大きさに対応して、容器Gの搬入方向に対して交差する方向に変位する。具体的には、容器Gの搬入方向(容器反転払い出し装置100の前方F)に沿った方向を容器Gの前後方向とし、容器反転払い出し装置100の左右(R、L)に沿った方向を容器Gの左右方向とし、容器反転払い出し装置100の上下(U、D)に沿った方向を容器Gの上下方向とすると、第1規制部61は、容器Gの左右方向の寸法の変動に対応し、第2規制部62は、容器Gの上下方向の寸法の変動に対応する。なお、容器Gの左右方向は、本発明の第1方向に相当し、上下方向は、本発明の第2方向に相当する。
【0047】
図4および図5では、サイズの異なる容器Gとして、左右の幅がLB1、上下の高さがLH1である容器G1が保持部20に供給された状態と(図4a、図5a)、左右の幅がLB2、上下の高さがLH2である容器G2が保持部20に供給された状態(図4b、図5b)を示している。
【0048】
第1規制部61は、第1ガイド部71、第1押圧部81および第1付勢部91を有しており、第2規制部62は、第2ガイド部72、第2押圧部82、および第2付勢部92を有している。本実施形態では、第1規制部61の第1ガイド部71と第1押圧部81、および第2規制部62の第2ガイド部72および第2押圧部82は、共通の部材である規制ガイド部75に形成されている。
【0049】
第1規制部61は左右方向に伸縮可能なスライドレール63を有しており、第2規制部62は上下方向に伸縮可能なスライドレール64を有している。スライドレール63は、保持部20の底部21に固定されており、スライドレール64は、スライドレール63の伸縮部に連結されている。規制ガイド部75は、スライドレール64の伸縮部に連結されている。このため、第1規制部61のスライドレール63が左右方向に伸縮し、第2規制部62のスライドレール64が上下方向に伸縮することにより、規制ガイド部75は、容器Gの左右方向および上下方向の寸法の変動に対応して、左右方向および上下方向に変位することが可能である。
【0050】
第1ガイド部71は、搬入される容器Gが当接することにより、容器Gの搬入方向に対して直交する方向である左右方向に変位する部分である。第1ガイド部71には、搬入される容器Gが当接することにより、規制ガイド部75が左右方向に変位するように案内面が形成されている。第1ガイド部71の案内面は、開放端部では、図示左方向に広がっており、図示前方に進むに従って左方向への広がりが小さくなるように形成されている。このため、搬入される容器Gの端部が第1ガイド部71の開放端に当接し、その状態から容器Gが前方に搬入されるに従って、第1ガイド部71は左方に移動する力の作用を受け、スライドレール63が伸びることによって左方に移動する。
【0051】
第2ガイド部72は、搬入される容器Gが当接することにより、容器Gの搬入方向に対して直交する方向である上下方向に変位する。第2ガイド部72には、搬入される容器Gが当接することにより、規制ガイド部75が上下方向に変位するように案内面が形成されている。第2ガイド部72の案内面は、開放端部では、図示上方向に広がっており、図示前方に進むに従って上方向への広がりが小さくなるように形成されている。このため、搬入される容器Gの端部が第2ガイド部72の開放端に当接し、その状態から容器Gが前方に搬入されるに従って、第2ガイド部72は上方に移動する力の作用を受け、スライドレール64が伸びることによって上方に移動する。
【0052】
第1押圧部81は、第1ガイド部71とともに左右方向に変位し、容器Gを左右方向に押圧する部分である。本実施形態では、第1押圧部81と第1ガイド部71は、規制ガイド部75に一体に形成されているため一体的に変位する。第1押圧部81は、第1ガイド部71の前方に連続するように形成されている平面部である。
【0053】
第2押圧部82は、第2ガイド部72とともに上下方向に変位し、容器Gを上下方向に押圧する部分である。本実施形態では、第2押圧部82と第2ガイド部72は、規制ガイド部75に一体に形成されている一体的に変位する。第2押圧部81は、第2ガイド部72の前方に連続するように形成されている平面部である。
【0054】
第1付勢部91は、左右方向に容器Gを押圧するように第1押圧部81を付勢する部分である。第1付勢部91として、例えばバネ等の弾性体を用いることができる。本実施形態では、第1付勢部91がスライドレール64を介して規制ガイド部75を右方に引くことにより、第1押圧部81が容器Gを右方に向けて押圧するように付勢している。
【0055】
第2付勢部92は、上下方向に容器Gを押圧するように第2押圧部82を付勢する部分である。第2付勢部92として、例えばバネ等の弾性体を用いることができる。本実施形態では、第2付勢部92が規制ガイド部75を下方に引くことにより、第2押圧部82が容器Gを下方に向けて押圧するように付勢している。
【0056】
上記構成によれば、規制部60が容器Gの大きさに対応するように変位するため、サイズが異なる容器Gが混在して用いられるような場合であっても、規制部60は容器Gの変化に自動的に対応して変位し、容器Gを保持することができる。このため、様々なサイズの容器Gが混在して用いられている場合でも、容器Gが落下しないように保持しながら反転させ、内容物GRを排出させて空になった容器Gを払い出すことができる。
【0057】
[実施形態2]
実施形態2の容器反転払い出し装置100Aは、保持部120に設けられている規制部160の構成が、実施形態1における規制部60の構成と異なっている。また、実施形態2の容器反転払い出し装置100Aに用いられる容器Gの素材は限定されないが、ダンボール箱のように押圧力によって変形が可能な容器Gを用いる場合に特に好適である。以下の説明において、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0058】
図6は、実施形態2に係る容器反転払い出し装置100Aにおいて、寸法が異なる容器Gが搬入される状態を示す保持部120の平面図である。図7aは、図6aのE-E線における保持部120の背面図であり、図7bは、図6bのF-F線における保持部120の背面図である。図6および図7に示すように、内容物GRが収容された容器Gが保持部120に供給される場合において、様々なサイズや種類の容器Gが混在している場合でも、保持部120は容器Gの変化に自動的に対応して、容器Gを保持することができる。このとき、規制部160は、搬入される容器Gが当接することによって容器Gの大きさに対応するように変位するとともに、容器Gの搬入方向に対して交差する方向から容器Gを押圧するように作動する。
【0059】
図6および図7に示すように、規制部160は、容器Gの大きさに対応して、容器Gの搬入方向に対して交差する方向に変位する。具体的には、容器Gの搬入方向(容器反転払い出し装置100の前方F)に沿った方向を容器Gの前後方向とし、容器反転払い出し装置100の左右(R、L)に沿った方向を容器Gの左右方向とし、容器反転払い出し装置100の上下(U、D)に沿った方向を容器Gの上下方向とすると、規制部160は、容器Gの左右方向の寸法の変動に対応する。
【0060】
図6および図7では、サイズの異なる容器Gとして、左右の幅がLB1、上下の高さがLH1である容器G1が保持部120に供給された状態と(図6a、図7a)、左右の幅がLB2、上下の高さがLH2である容器G2が保持部120に供給された状態(図6b、図7b)を示している。
【0061】
規制部160は、ガイド部170、押圧部180、アーム186、および付勢部190を有している。本実施形態では、ガイド部170および押圧部180は、共通の部材である規制ガイド部175に形成されており、規制ガイド部175の側面部がガイド部170および押圧部180の両方の機能を有している。
【0062】
規制ガイド部175は、平面視で円形の板状部材である。規制ガイド部175は、支軸176を介してアーム186の一端部に回転可能に取り付けられている。アーム186の他端部は、保持部120の底部121の下面部に回転可能に軸支されている。アーム186は、水平方向に回転可能である。このため、規制ガイド部175は、水平方向に円弧状の軌道で変位することが可能である。付勢部190は、例えばバネ等の弾性部材を用いることができ、アーム186を平面視で反時計回りに回転するように付勢している。
【0063】
図6aおよび図6bに示すように、規制ガイド部175は、水平方向に円弧状の軌道で変位することが可能であるため、保持部120に供給される容器Gが当接すると、規制ガイド部175は、後方に向けて円弧状の軌道で変位する。このとき、規制ガイド部175は、後方に変位しながら左方にも変位するため、規制部160の間隔が広がっていく。規制部160の間隔が広がり、容器Gが挿入可能な状態となると、規制ガイド部175の側面はガイド部170の機能により容器Gを案内する。
【0064】
容器Gを挿入した状態では、規制ガイド部175の側面は押圧部180の機能により容器Gの側面に接触する。付勢部190は、アーム186を介して規制ガイド部175を右方に付勢するため、押圧部180によって容器Gを押圧して保持することができる。
【0065】
上記構成によれば、規制部160が容器Gの大きさに対応するように変位するため、サイズが異なる容器Gが混在して用いられるような場合であっても、規制部160は容器Gの変化に自動的に対応して、容器Gを保持することができる。このため、様々なサイズの容器Gが混在して用いられている場合でも、容器Gが落下しないように保持しながら反転させ、内容物GRを排出させて空になった容器Gを払い出すことができる。
【0066】
特に、容器Gがダンボール箱のように押圧力によって変形が可能である場合には、押圧部180(規制ガイド部175)による押圧力によって、容器Gの側面に凹部が生じるように保持することができる。このため、容器Gを押圧している部分が変形して容器Gと押圧部180(規制ガイド部175)が滑りにくくなり、容器Gの落下を確実に抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、押圧部180(規制ガイド部175)によって容器Gの側面からの加圧のみで保持しており、容器Gの上面を保持していない。このため、容器Gが例えばダンボール箱である場合、ダンボール箱の上面が切り取られている必要はなく、開梱して四辺が起き上がった状熊の段ボール箱であっても対応することが可能である。従来は上面が完全に平らで全開放状態のものにしか対応できなかったが、本実施形態によれば、ダンボール箱の上面を切り取り除去せずとも、中央合わせ面をカットし四辺を起こし立ち上がらせた状態であれば、処理可能である。
【0068】
なお、押圧部180(規制ガイド部175の側面)には、容器Gとの摩擦力を増大させるため、ローレット加工などの凹凸部や、ゴムなどの摩擦部を設けてもよい。この場合、反転部30によって容器Gを反転させる際に、摩擦力によって容器Gが保持部120から落下することを抑制することができる。
【0069】
[変形例]
以上説明した本発明に係る容器反転払い出し装置は、上記説明した本実施形態に限定されない。例えば、実施形態1では、第1規制部61および第2規制部62として、共通の部材である規制ガイド部75を用いたが、第1規制部61および第2規制部62を個別の部材で構成してもよい。また、第1規制部61および第2規制部62の形状や機構についても限定されない。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
100 容器反転払い出し装置
10 搬入搬送部
20 保持部
30 反転部
40 内容物搬送部
50 搬出搬送部
60 規制部
G 容器
GR 内容物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7