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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058170
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ベローズポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/08 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
F04B43/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167987
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 一清
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA08
3H077CC03
3H077CC07
3H077CC17
3H077DD09
3H077DD14
3H077EE04
3H077EE15
3H077EE24
3H077FF13
3H077FF45
(57)【要約】
【課題】移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに衝撃圧力等が発生するのを抑制することができるベローズポンプ装置を提供する。
【解決手段】ベローズポンプ装置1は、互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する第1ベローズ13及び第2ベローズ14と、第1ベローズ13を伸縮動作させる第1駆動部27と、第2ベローズ14を伸縮動作させる第2駆動部28と、第1ベローズ13の伸縮状態を検知する第1検知部29と、第2ベローズ14の伸縮状態を検知する第2検知部31と、第1検知部29及び第2検知部31の各検知信号に基づいて、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長状態となる手前で第2ベローズ14(第1ベローズ13)を収縮状態から伸長させるように、第1駆動部27(第2駆動部28)の駆動制御を行う制御部6と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する第1ベローズ及び第2ベローズと、
前記第1ベローズを所定の伸長状態と所定の収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第1駆動部と、
前記第2ベローズを所定の伸長状態と所定の収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第2駆動部と、
前記第1ベローズの伸縮状態を検知する第1検知部と、
前記第2ベローズの伸縮状態を検知する第2検知部と、
前記第1検知部及び前記第2検知部の各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前で前記第2ベローズを前記収縮状態から伸長させるとともに、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前で前記第1ベローズを前記収縮状態から伸長させるように、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の駆動制御を行う制御部と、を備えるベローズポンプ装置。
【請求項2】
前記第1駆動部は、前記第1ベローズを前記伸長状態まで伸長させるための加圧流体が供給される第1吸込側流体室を有し、
前記第2駆動部は、前記第2ベローズを前記伸長状態まで伸長させるための加圧流体が供給される第2吸込側流体室を有し、
前記第1駆動部の第1吸込側流体室に供給される加圧流体の第1流体圧を調整する第1流体圧調整部と、
前記第2駆動部の第2吸込側流体室に供給される加圧流体の第2流体圧を調整する第2流体圧調整部と、をさらに備える請求項1に記載のベローズポンプ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態を所定時間以上継続しているか否かを判定し、その判定結果が肯定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧を昇圧させるように前記第1流体圧調整部を制御する第1昇圧制御を行うとともに、
前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態を所定時間以上継続しているか否かを判定し、その判定結果が肯定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧を昇圧させるように前記第2流体圧調整部を制御する第2昇圧制御を行う、請求項2に記載のベローズポンプ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧を降圧させるように前記第1流体圧調整部を制御する第1降圧制御を行うとともに、
前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧を降圧させるように前記第2流体圧調整部を制御する第2降圧制御を行う、請求項2に記載のベローズポンプ装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧を降圧させるように前記第1流体圧調整部を制御する第1降圧制御を行うとともに、
前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧を降圧させるように前記第2流体圧調整部を制御する第2降圧制御を行う、請求項3に記載のベローズポンプ装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧調整部による前記第1流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧よりも低く設定するとともに、
前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧調整部による前記第2流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧よりも低く設定する、請求項3又は請求項5に記載のベローズポンプ装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次々回以降の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧調整部による前記第1流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧よりも低く設定するとともに、
前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次々回以降の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧調整部による前記第2流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧よりも低く設定する、請求項5に記載のベローズポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造や化学工業等において、薬液や溶剤等の移送流体を送給するために使用されるベローズポンプとして、ポンプヘッドの両側にポンプケースを連結して2つの空気室を形成し、これらの空気室の内部に互いに独立して伸縮可能な一対のベローズを設け、各空気室に交互に加圧空気を供給することによって各ベローズを連続的に伸縮させるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたベローズポンプでは、一対のベローズのうち一方のベローズが収縮することでその内部に移送流体が吸い込まれ、これと同時に他方のベローズが伸長することでその内部の移送流体が吐出される。また、前記他方のベローズが収縮することでその内部に移送流体が吸い込まれ、これと同時に前記一方のベローズが伸長することでその内部の移送流体が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-211512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ベローズポンプでは、一方のベローズが伸長から収縮(移送流体の吸い込みから吐出)に切り換わるタイミングで、他方のベローズが収縮から伸長(移送流体の吐出から吸い込み)に切り換わる。その際、一方のベローズへの移送流体の吸い込みを開閉する吸入弁、及び他方のベローズへの移送流体の吸い込みを開閉する吸入弁の両弁が、瞬間的に同時に閉じてしまう場合がある。この場合、移送流体を吸い込む流れが遮断されるため、移送流体をベローズポンプに吸い込む吸込配管内において、「ウォータハンマ」と呼ばれる衝撃圧力やキャビテーションが発生し、半導体製造プロセス等に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに衝撃圧力やキャビテーションが発生するのを抑制することができるベローズポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する第1ベローズ及び第2ベローズと、前記第1ベローズを所定の伸長状態と所定の収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第1駆動部と、前記第2ベローズを所定の伸長状態と所定の収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第2駆動部と、前記第1ベローズの伸縮状態を検知する第1検知部と、前記第2ベローズの伸縮状態を検知する第2検知部と、前記第1検知部及び前記第2検知部の各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前で前記第2ベローズを前記収縮状態から伸長させるとともに、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前で前記第1ベローズを前記収縮状態から伸長させるように、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の駆動制御を行う制御部と、を備えるベローズポンプ装置である。
【0008】
本発明のベローズポンプ装置によれば、制御部は、第1ベローズが伸長状態となる手前で第2ベローズを収縮状態から伸長(吸い込み)させるとともに、第2ベローズが伸長状態となる手前で第1ベローズを収縮状態から伸長(吸い込み)させるように駆動制御を行う。これにより、第1ベローズ(第2ベローズ)の吸い込みから吐出への切り換えタイミングにおいて、第2ベローズ(第1ベローズ)は既に伸長して移送流体を吸い込んでいるので、前記切り換えタイミングで移送流体をベローズポンプ装置へ吸い込む流れが遮断されることがない。その結果、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに衝撃圧力やキャビテーションが発生するのを抑制することができる。
【0009】
(2)前記第1駆動部は、前記第1ベローズを前記伸長状態まで伸長させるための加圧流体が供給される第1吸込側流体室を有し、前記第2駆動部は、前記第2ベローズを前記伸長状態まで伸長させるための加圧流体が供給される第2吸込側流体室を有し、前記ベローズポンプ装置は、前記第1駆動部の第1吸込側流体室に供給される加圧流体の第1流体圧を調整する第1流体圧調整部と、前記第2駆動部の第2吸込側流体室に供給される加圧流体の第2流体圧を調整する第2流体圧調整部と、をさらに備えるのが好ましい。
この場合、第1流体圧調整部(第2流体圧調整部)により、第1駆動部(第2駆動部)の第1吸込側流体室(第2吸込側流体室)に供給される加圧流体の第1流体圧(第2流体圧)を調整することで、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長速度を調整することができる。
【0010】
(3)前記制御部は、前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態を所定時間以上継続しているか否かを判定し、その判定結果が肯定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧を昇圧させるように前記第1流体圧調整部を制御する第1昇圧制御を行うとともに、前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態を所定時間以上継続しているか否かを判定し、その判定結果が肯定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧を昇圧させるように前記第2流体圧調整部を制御する第2昇圧制御を行うのが好ましい。
【0011】
上記駆動制御において、第1ベローズ(第2ベローズ)が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ(第1ベローズ)が収縮状態を所定時間以上継続している場合がある。その原因は、雰囲気温度等が変化することによって第1ベローズ(第2ベローズ)が硬くなることや、移送流体の流量が変化すること等によって、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が必要以上に長くなるからである。第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が長くなりすぎると、ベローズポンプ装置の吐出側の脈動が悪化する。
【0012】
これに対して上記(3)の制御部は、第1ベローズ(第2ベローズ)が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ(第1ベローズ)が収縮状態を所定時間以上継続している場合、次回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時に、第1吸込側流体室(第2吸込側流体室)に供給する加圧流体の第1流体圧(第2流体圧)を昇圧させる第1昇圧制御(第2昇圧制御)を行う。これにより、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が必要以上に長くなったときに、第1ベローズ(第2ベローズ)を伸長させるための第1流体圧(第2流体圧)を自動的に高い値に設定し直すことができる。その結果、次回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなるので、ベローズポンプ装置の吐出側の脈動が悪化するのを抑制することができる。
【0013】
(4)前記(2)の制御部は、前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧を降圧させるように前記第1流体圧調整部を制御する第1降圧制御を行うとともに、前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧を降圧させるように前記第2流体圧調整部を制御する第2降圧制御を行うのが好ましい。
【0014】
上記駆動制御において、第1ベローズ(第2ベローズ)が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ(第1ベローズ)が収縮状態まで収縮していない場合がある。その原因は、雰囲気温度等が変化することによって第1ベローズ(第2ベローズ)が柔らかくなることや、移送流体の流量が変化すること等によって、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなるからである。第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなると、その伸長速度が速くなり、第1ベローズ(第2ベローズ)の内部に負圧が発生することで、ベローズポンプ装置の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するおそれがある。
【0015】
これに対して上記(4)の制御部は、第1ベローズ(第2ベローズ)が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ(第1ベローズ)が収縮状態まで収縮していない場合、次回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時に、第1吸込側流体室(第2吸込側流体室)に供給する加圧流体の第1流体圧(第2流体圧)を降圧させる第1降圧制御(第2降圧制御)を行う。これにより、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなったときに、第1ベローズ(第2ベローズ)を伸長させるための第1流体圧(第2流体圧)を自動的に低い値に設定し直すことができる。その結果、次回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が長くなって伸長速度が遅くなるので、ベローズポンプ装置の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0016】
(5)前記(3)の制御部は、前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧を降圧させるように前記第1流体圧調整部を制御する第1降圧制御を行うとともに、前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態となる手前の伸長途中状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧を降圧させるように前記第2流体圧調整部を制御する第2降圧制御を行うのが好ましい。
【0017】
この場合、第1昇圧制御(第2昇圧制御)と第1降圧制御(第2降圧制御)の両方が行われる。これにより、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が必要以上に長くなったときに、第1ベローズ(第2ベローズ)を伸長させるための第1流体圧(第2流体圧)を自動的に高い値に設定し直すことができ、かつ、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなったときに、第1ベローズ(第2ベローズ)を伸長させるための第1流体圧(第2流体圧)を自動的に低い値に設定し直すことができる。
【0018】
(6)前記制御部は、前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧調整部による前記第1流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧よりも低く設定するとともに、前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧調整部による前記第2流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧よりも低く設定するのが好ましい。
【0019】
制御部が第1昇圧制御(第2昇圧制御)を行った場合、第1ベローズ(第2ベローズ)が伸長状態まで伸長したときに、第2ベローズ(第1ベローズ)が収縮状態まで収縮していない場合がある。その原因は、第1昇圧制御(第2昇圧制御)によって、第1吸込側流体室(第2吸込側流体室)に供給する加圧流体の第1流体圧(第2流体圧)が必要以上に昇圧されることによって、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなりすぎるからである。第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなりすぎると、前記駆動制御を正常に行うことができなくなり、ベローズポンプ装置の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するおそれがある。
【0020】
これに対して上記(6)の制御部は、次回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時における第1流体圧(第2流体圧)の調整範囲の上限値を、前回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時における第1流体圧(第2流体圧)よりも低く設定する。これにより、次回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時に第1流体圧調整部(第2流体圧調整部)により調整された第1流体圧(第2流体圧)が上限値よりも高くなるのを規制することができるので、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなりすぎるのを抑制することができる。その結果、ベローズポンプ装置の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0021】
(7)前記制御部は、前記各検知信号に基づいて、前記第1ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第2ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次々回以降の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧調整部による前記第1流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第1ベローズの伸長時における前記第1流体圧よりも低く設定するとともに、前記各検知信号に基づいて、前記第2ベローズが前記伸長状態まで伸長したときに、前記第1ベローズが前記収縮状態であるか否かを判定し、その判定結果が否定的である場合、次々回以降の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧調整部による前記第2流体圧の調整範囲の上限値を、前回の前記第2ベローズの伸長時における前記第2流体圧よりも低く設定するのが好ましい。
【0022】
制御部が第1昇圧制御(第2昇圧制御)を行った場合、第1ベローズ(第2ベローズ)が伸長状態まで伸長したときに、第2ベローズ(第1ベローズ)が収縮状態まで収縮していない場合がある。その原因は、第1昇圧制御(第2昇圧制御)によって、第1吸込側流体室(第2吸込側流体室)に供給する加圧流体の第1流体圧(第2流体圧)が必要以上に昇圧されることによって、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなりすぎるからである。第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなりすぎると、前記駆動制御を正常に行うことができなくなり、ベローズポンプ装置の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するおそれがある。
【0023】
これに対して上記(7)の制御部は、次々回以降の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時における第1流体圧(第2流体圧)の調整範囲の上限値を、前回の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時における第1流体圧(第2流体圧)よりも低く設定する。これにより、次々回以降の第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時に第1流体圧調整部(第2流体圧調整部)により調整された第1流体圧(第2流体圧)が上限値よりも高くなるのを規制することができるので、第1ベローズ(第2ベローズ)の伸長時間が短くなりすぎるのを抑制することができる。その結果、ベローズポンプ装置の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のベローズポンプ装置によれば、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに衝撃圧力等が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るベローズポンプ装置の概略構成図である。
図2】ベローズポンプの断面図である。
図3】ベローズポンプの動作を示す説明図である。
図4】ベローズポンプの動作を示す説明図である。
図5】駆動制御の一例を示すタイムチャートである。
図6】第1昇圧制御及び第2昇圧制御の一例を示すタイムチャートである。
図7】第1降圧制御及び第2降圧制御の一例を示すタイムチャートである。
図8】第1電空レギュレータによる第1空気圧の調整範囲の上限値を再設定する一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るベローズポンプ装置の概略構成図である。本実施形態のベローズポンプ装置1は、例えば半導体製造装置において薬液や溶剤等の移送流体を一定量供給するときに用いられる。ベローズポンプ装置1は、空気供給装置(流体供給装置)2、機械式レギュレータ3、第1電磁弁4、第2電磁弁5、制御部6、ベローズポンプ10、第1電空レギュレータ(第1流体圧調整部)51、及び第2電空レギュレータ(第2流体圧調整部)52を備えている。
【0027】
空気供給装置2は、例えばエアコンプレッサからなり、ベローズポンプ10に供給する加圧空気(加圧流体)を生成する。機械式レギュレータ3は、空気供給装置2で生成された加圧空気の空気圧(流体圧)を手動で調整するものである。第1電空レギュレータ51及び第2電空レギュレータ52については後述する。
【0028】
図2は、本実施形態に係るベローズポンプ10の断面図である。本実施形態のベローズポンプ10は、中央部に配置されたポンプヘッド11と、このポンプヘッド11の左右方向の両側に取り付けられた一対のポンプケース12と、各ポンプケース12の内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられた一対のベローズである第1ベローズ13及び第2ベローズ14と、第1及び第2ベローズ13,14それぞれの内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられる合計4個のチェックバルブ15,チェックバルブ16と、を備えている。
【0029】
[ベローズ]
第1ベローズ13及び第2ベローズ14は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂により有底筒形状に形成されている。第1及び第2ベローズ13,14の開放側端部に一体形成されたフランジ部13a及びフランジ部14aは、ポンプヘッド11の側面に気密状に押圧して固定されている。第1及び第2ベローズ13,14の各周壁は、蛇腹形状に形成され、互いに独立して左右方向に伸縮自在に構成されている。
【0030】
第1及び第2ベローズ13,14の閉塞側端部の外面には、ボルト17及びナット18により作動板19が固定されている。第1及び第2ベローズ13,14は、作動板19の外面が有底円筒状のポンプケース12における底壁部121の内面に当接する最伸長状態と、後述するピストン体23の内面が底壁部121の外面に当接する最収縮状態との間で伸縮可能である。
【0031】
[ポンプケース]
第1ベローズ13のフランジ部13aには、ポンプケース12(以下、「第1ポンプケース12A」ともいう)の開口周縁部が、気密状に押圧して固定されている。これにより、第1ポンプケース12Aの内部における第1ベローズ13の外側には、気密状態が保持された第1吐出側空気室(第1吐出側流体室)21Aが形成されている。
【0032】
第1ポンプケース12Aには第1吸排気ポート22Aが設けられており、第1吸排気ポート22Aは、第1電磁弁4、第1電空レギュレータ51及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から第1吐出側空気室21Aの内部に加圧空気が供給されると、第1ベローズ13は所定の収縮状態(以下、単に「収縮状態」という)まで収縮する。第1ベローズ13の収縮状態は、最収縮状態であってもよいし、最収縮状態よりも手前の状態であってもよい。
【0033】
第2ベローズ14のフランジ部14aには、ポンプケース12(以下、「第2ポンプケース12B」ともいう)の開口周縁部が、気密状に押圧して固定されている。これにより、第2ポンプケース12Bの内部における第2ベローズ14の外側には、気密状態が保持された第2吐出側空気室(第2吐出側流体室)21Bが形成されている。
【0034】
第2ポンプケース12Bには第2吸排気ポート22Bが設けられており、第2吸排気ポート22Bは、第2電磁弁5、第2電空レギュレータ52及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から第2吐出側空気室21Bの内部に加圧空気が供給されると、第2ベローズ14は所定の収縮状態(以下、単に「収縮状態」という)まで収縮する。第2ベローズ14の収縮状態は、最収縮状態であってもよいし、最収縮状態よりも手前の状態であってもよい。
【0035】
各ポンプケース12A,12Bの底壁部121には棒状の連結部材20が貫通されており、連結部材20は、底壁部121に対して左右方向に摺動可能に支持されている。連結部材20の外端部にはピストン体23がナット24により固定されている。ピストン体23は、底壁部121の外側に一体に設けられた円筒状のシリンダ体25の内周面に対して、気密状態を保持しながら左右方向へ摺動可能に支持されている。
【0036】
これにより、第1ポンプケース12A側において、底壁部121、シリンダ体25、及びピストン体23によって囲まれた空間は、気密状態が保持された第1吸込側空気室(第1吸込側流体室)26Aとされている。また、第2ポンプケース12B側において、底壁部121、シリンダ体25、及びピストン体23によって囲まれた空間は、気密状態が保持された第2吸込側空気室(第2吸込側流体室)26Bとされている。
【0037】
第1ポンプケース12A側のシリンダ体25には、第1吸込側空気室26Aに連通する吸排気口251が形成されている。この吸排気口251は、第1電磁弁4、第1電空レギュレータ51及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から吸排気口251を介して第1吸込側空気室26Aの内部に加圧空気が供給されると、第1ベローズ13は所定の伸長状態(以下、単に「伸長状態」という)まで伸長する。第1ベローズ13の伸長状態は、最伸長状態であってもよいし、最伸長状態よりも手前の状態であってもよい。
【0038】
第2ポンプケース12B側のシリンダ体25には、第2吸込側空気室26Bに連通する吸排気口252が形成されている。この吸排気口252は、第2電磁弁5、第2電空レギュレータ52及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から吸排気口252を介して第2吸込側空気室26Bの内部に加圧空気が供給されると、第2ベローズ14は所定の伸長状態(以下、単に「伸長状態」という)まで伸長する。第2ベローズ14の伸長状態は、最伸長状態であってもよいし、最伸長状態よりも手前の状態であってもよい。
【0039】
以上の構成により、第1吐出側空気室21Aが内部に形成された第1ポンプケース12Aと、第1吸込側空気室26Aを形成するピストン体23及びシリンダ体25とにより、第1ベローズ13を伸長状態と収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第1駆動部27が構成されている。
また、第2吐出側空気室21Bが内部に形成された第2ポンプケース12Bと、第2吸込側空気室26Bを形成するピストン体23及びシリンダ体25とにより、第2ベローズ14を伸長状態と収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第2駆動部28が構成されている。
【0040】
[検知部]
第1駆動部27のシリンダ体25には、一対の近接センサ29A,近接センサ29Bが取り付けられている。第1駆動部27のピストン体23には、各近接センサ29A,29Bにより検知される被検知板30が取り付けられている。被検知板30は、ピストン体23とともに往復動することで、近接センサ29A,29Bに交互に近接する。
【0041】
近接センサ29Aは、第1ベローズ13が収縮状態のときに被検知板30を検知する位置に配置されている。近接センサ29Bは、第1ベローズ13が伸長状態となる手前の伸長途中状態のときに被検知板30を検知する位置に配置されている。各近接センサ29A,29Bは、被検知板30を検知すると、その検知信号を制御部6に出力する。一対の近接センサ29A,29Bは、第1ベローズ13の伸縮状態を検知する第1検知部として機能する。
【0042】
第2駆動部28のシリンダ体25には、一対の近接センサ31A,近接センサ31Bが取り付けられている。第2駆動部28のピストン体23には、各近接センサ31A,31Bより検知される被検知板32が取り付けられている。被検知板32は、ピストン体23とともに往復動することで、近接センサ31A,31Bに交互に近接する。
【0043】
近接センサ31Aは、第2ベローズ14が収縮状態のときに被検知板32を検知する位置に配置されている。近接センサ31Bは、第2ベローズ14が伸長状態となる手前の伸長途中状態のときに被検知板32を検知する位置に配置されている。各近接センサ31A,31Bは、被検知板30を検知すると、その検知信号を制御部6に出力する。一対の近接センサ31A,31Bは、第2ベローズ14の伸縮状態を検知する第2検知部として機能する。
【0044】
ここで、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の「伸長途中状態」とは、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長経過位置が伸長開始位置(収縮状態)よりも伸長終了位置(伸長状態)に近い位置にあることを意味し、より詳細には、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が収縮状態から伸長状態となるまでの伸長長さの50%~90%まで伸長した位置を意味する。
【0045】
[ポンプヘッド]
ポンプヘッド11は、PTFEやPFA等のフッ素樹脂から形成されている。ポンプヘッド11の内部には、移送流体の吸込通路34と吐出通路35が形成されている。吸込通路34及び吐出通路35は、ポンプヘッド11の外周面において開口し、当該外周面に設けられた吸込ポート及び吐出ポート(いずれも図示省略)に接続されている。
【0046】
吸込ポートは移送流体の貯留タンク等に接続され、吐出ポートは移送流体の移送先に接続される。また、吸込通路34及び吐出通路35は、それぞれポンプヘッド11の左右両側面に向けて分岐するとともに、ポンプヘッド11の左右両側面において開口する吸込口36及び吐出口37を有している。各吸込口36及び各吐出口37は、それぞれチェックバルブ15,16を介してベローズ13,14の内部と連通している。
【0047】
[チェックバルブ]
各吸込口36及び各吐出口37には、チェックバルブ15,16が設けられている。
吸込口36に取り付けられたチェックバルブ15(以下、「吸込用チェックバルブ」ともいう)は、バルブケース15aと、このバルブケース15aに収容された弁体15bと、この弁体15bを閉弁方向に付勢する圧縮コイルバネ15cとを有している。
【0048】
バルブケース15aは有底円筒形状に形成されている。バルブケース15aの底壁にはベローズ13,14の内部に連通する貫通孔15dが形成されている。弁体15bは、圧縮コイルバネ15cの付勢力により吸込口36を閉鎖(閉弁)し、ベローズ13,14の伸縮に伴う移送流体の流れによる背圧が作用すると吸込口36を開放(開弁)するようになっている。
【0049】
これにより、吸込用チェックバルブ15は、自身が配置されているベローズ13,14が伸長したときに開弁して、吸込通路34からベローズ13,14内部に向かう方向(一方向)への移送流体の吸入を許容する。また、吸込用チェックバルブ15は、自身が配置されているベローズ13,14が収縮したときに閉弁して、ベローズ13,14内部から吸込通路34に向かう方向(他方向)への移送流体の逆流を阻止する。
【0050】
吐出口37に取り付けられたチェックバルブ16(以下、「吐出用チェックバルブ」ともいう)は、バルブケース16aと、このバルブケース16aに収容された弁体16bと、この弁体16bを閉弁方向に付勢する圧縮コイルバネ16cとを有している。
【0051】
バルブケース16aは有底円筒形状に形成されている。バルブケース16aの底壁には、ベローズ13,14の内部に連通する貫通孔16dが形成されている。弁体16bは、圧縮コイルバネ16cの付勢力によりバルブケース16aの貫通孔16dを閉鎖(閉弁)し、ベローズ13,14の伸縮に伴う移送流体の流れによる背圧が作用するとバルブケース16aの貫通孔16dを開放(開弁)するようになっている。
【0052】
これにより、吐出用チェックバルブ16は、自身が配置されているベローズ13,14が収縮したときに開弁して、ベローズ13,14内部から吐出通路35に向かう方向(一方向)への移送流体の流出を許容する。また、吐出用チェックバルブ16は、自身が配置されているベローズ13,14が伸長したときに閉弁して、吐出通路35からベローズ13,14内部に向かう方向(他方向)への移送流体の逆流を阻止する。
【0053】
[ベローズポンプの動作]
次に、本実施形態のベローズポンプ10の動作を図3及び図4を参照して説明する。なお、図3及び図4においては第1及び第2ベローズ13,14の構成を簡略化して示している。図3に示すように、第1ベローズ13が収縮し、第2ベローズ14が伸長した場合、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ15及び吐出用チェックバルブ16の各弁体15b,16bは、第1ベローズ13内の移送流体から圧力を受けて、各バルブケース15a,16aの図中右側にそれぞれ移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が閉弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が開弁し、第1ベローズ13内の移送流体が吐出通路35からポンプ外へ吐出される。
【0054】
一方、ポンプヘッド11の図中右側に装着された吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、第2ベローズ14による吸入作用によってバルブケース15aの図中右側に移動する。ポンプヘッド11の図中右側に装着された吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、第2ベローズ14による吸入作用、及び第1ベローズ13から吐出通路35に吐出された移送流体による押圧作用によって、バルブケース16aの図中右側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が開弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が閉弁し、吸込通路34から第2ベローズ14内に移送流体が吸い込まれる。
【0055】
次に、図4に示すように、第1ベローズ13が伸長し、第2ベローズ14が収縮した場合、ポンプヘッド11の図中右側に装着された吸込用チェックバルブ15及び吐出用チェックバルブ16の各弁体15b,16bは、第2ベローズ14内の移送流体から圧力を受けて、各バルブケース15a,16aの図中左側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が閉弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が開弁し、第2ベローズ14内の移送流体が吐出通路35からポンプ外へ吐出される。
【0056】
一方、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、第1ベローズ13による吸入作用によってバルブケース15aの図中左側に移動する。ポンプヘッド11の図中左側に装着された吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、第1ベローズ13による吸入作用、及び第1ベローズ13から吐出通路35に吐出された移送流体による押圧作用によって、バルブケース16aの図中左側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が開弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が閉弁し、吸込通路34から第1ベローズ13内に移送流体が吸い込まれる。
以上の動作を繰り返し行うことで、左右のベローズ13,14は、交互に移送流体の吸入と吐出とを行うことができる。
【0057】
[電磁弁]
図1において、第1電磁弁4は、例えば、一対のソレノイド4a,ソレノイド4bを有する三位置の電磁切換弁からなる。各ソレノイド4a,4bは制御部6から受けた指令信号に基づいて励磁されるようになっている。これにより、第1電磁弁4は、制御部6により切り換え制御される。第1電磁弁4は、第1駆動部27において、第1吐出側空気室21Aに対する加圧空気の給排、及び第1吸込側空気室26Aに対する加圧空気の給排を切り換える。
【0058】
具体的には、第1電磁弁4は、ソレノイド4aが励磁されると、第1吐出側空気室21Aに加圧空気を供給するとともに第1吸込側空気室26A内の加圧空気を排出する状態に切り換わる。また、第1電磁弁4は、ソレノイド4bが励磁されると、第1吐出側空気室21A内の加圧空気を排出するとともに第1吸込側空気室26Aに加圧空気を供給する状態とに切り換わる。
【0059】
第2電磁弁5は、例えば一対のソレノイド5a,ソレノイド5bを有する三位置の電磁切換弁からなる。各ソレノイド5a,5bは制御部6から指令信号を受けて励磁されるようになっている。これにより、第2電磁弁5は、制御部6により切り換え制御される。第2電磁弁5は、第2駆動部28において、第2吐出側空気室21Bに対する加圧空気の給排、及び第2吸込側空気室26Bに対する加圧空気の給排を切り換える。
【0060】
具体的には、第2電磁弁5は、ソレノイド5aが励磁されると、第2吐出側空気室21Bに加圧空気を供給するとともに第2吸込側空気室26B内の加圧空気を排出する状態に切り換わる。また、第2電磁弁5は、ソレノイド5bが励磁されると、第2吐出側空気室21B内の加圧空気を排出するとともに第2吸込側空気室26Bに加圧空気を供給する状態とに切り換わる。
なお、本実施形態の第1及び第2電磁弁4,5は、三位置の電磁切換弁からなるが、中立位置を有しない二位置の電磁切換弁であってもよい。
【0061】
[電空レギュレータ]
第1電空レギュレータ51は、機械式レギュレータ3と第1電磁弁4との間に配置されている。第1電空レギュレータ51は、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧(第1流体圧)、及び第1駆動部27の第1吐出側空気室21Aに供給される加圧空気の空気圧をそれぞれ調整する。
【0062】
第2電空レギュレータ52は、機械式レギュレータ3と第2電磁弁5との間に配置されている。第2電空レギュレータ52は、第2駆動部28の第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧(第2流体圧)、及び第2駆動部28の第2吐出側空気室21Bに供給される加圧空気の空気圧をそれぞれ調整する。
【0063】
なお、電空レギュレータ51,52は、少なくとも吐出側空気室21A,21Bに供給される加圧空気の空気圧を調整するものであればよい。また、本実施形態では、第1及び第2流体圧調整部として、空気圧を直接的に調整する電空レギュレータ51,52を用いているが、空気流量を調整する空気流量調整弁を用いて空気圧を間接的に調整してもよいし、空気以外の気体(例えば窒素)や液体等の圧力又は流量を調整する機器を用いてもよい。
【0064】
[制御部]
図1及び図2において、制御部6は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部6の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、駆動制御、第1昇圧制御、第2昇圧制御、第1降圧制御、第2降圧制御、及び上限値の再設定を行う。以下、これらの制御について説明する。
【0065】
[駆動制御]
制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1電磁弁4及び第2電磁弁5を切り換えることにより、第1駆動部27及び第2駆動部28の駆動制御を行う。具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13が伸長状態となる手前で第2ベローズ14を収縮状態から伸長させるとともに、第2ベローズ14が伸長状態となる手前で第1ベローズ13を収縮状態から伸長させるように、第1駆動部27及び第2駆動部28の各駆動を制御する。
【0066】
図5は、制御部6が行う駆動制御の一例を示すタイムチャートである。以下、図1及び図5を参照しながら、制御部6が実行する駆動制御について説明する。ここでは、第1ベローズ13が収縮動作中(吐出中)であり、かつ第2ベローズ14が伸長動作中(吸い込み中)の状態から説明する。この状態において、第1電磁弁4のソレノイド4aは励磁され、ソレノイド4bは消磁されている。また、第2電磁弁5のソレノイド5aは消磁され、ソレノイド5bは励磁されている。
【0067】
制御部6は、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知(ON)した時点t1で、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知(ON)していれば、第1電磁弁4のソレノイド4aを消磁させるとともにソレノイド4bを励磁させる。なお、制御部6は、時点t1で近接センサ29AがONでない場合でも、第2ベローズ14が伸長状態になる時点t2までに近接センサ29AがONになれば、上記のように第1電磁弁4のソレノイド4aを消磁させるとともにソレノイド4bを励磁させる。
【0068】
第1電磁弁4のソレノイド4bが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第1電空レギュレータ51、及び第1電磁弁4を介して、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される。これにより、第2ベローズ14が伸長動状態となる手前で、第1ベローズ13は収縮状態から伸長動作を開始する。
【0069】
次に、制御部6は、近接センサ31BがONになった時点t1から所定の演算時間が経過した時点t2で、第2ベローズ14が伸長状態になったと判断する。そして、制御部6は、第2電磁弁5のソレノイド5aを励磁させるとともにソレノイド5bを消磁させる。第2電磁弁5のソレノイド5aが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第2電空レギュレータ52、及び第2電磁弁5を介して、第2駆動部28の第2吐出側空気室21Bに供給される。これにより、第2ベローズ14は、伸長状態から収縮動作を開始する。
【0070】
次に、制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)した時点t3で、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)していれば、第2電磁弁5のソレノイド5aを消磁させるとともにソレノイド5bを励磁させる。なお、制御部6は、時点t3で近接センサ31AがONでない場合でも、第1ベローズ13が伸長状態になる時点t4までに近接センサ31AがONになれば、上記のように第2電磁弁5のソレノイド5aを消磁させるとともにソレノイド5bを励磁させる。
【0071】
第2電磁弁5のソレノイド5bが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第2電空レギュレータ52、及び第2電磁弁5を介して、第2駆動部28の第2吸込側空気室26Bに供給される。これにより、第1ベローズ13が伸長動状態となる手前で、第2ベローズ14は収縮状態から伸長動作を開始する。
【0072】
次に、制御部6は、近接センサ29BがONになった時点t3から所定の演算時間が経過した時点t4で、第1ベローズ13が伸長状態になったと判断する。そして、制御部6は、第1電磁弁4のソレノイド4aを励磁させるとともにソレノイド4bを消磁させる。第1電磁弁4のソレノイド4aが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第1電空レギュレータ51、及び第1電磁弁4を介して、第1駆動部27の第1吐出側空気室21Aに供給される。これにより、第1ベローズ13は、伸長状態から収縮動作を開始する。
【0073】
これ以降、制御部6は、上記時点t1~t4でそれぞれ行った制御を繰り返し行う。これにより、ベローズポンプ10は、第2ベローズ14が伸長状態となる手前で第1ベローズ13が収縮状態から伸長するとともに、第1ベローズ13が伸長状態となる手前で第2ベローズ14を収縮状態から伸長するように駆動する。
【0074】
[昇圧制御]
前記駆動制御において、例えば雰囲気温度が低下すると、その影響により第1ベローズ13及び第2ベローズ14が硬くなり、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間が長くなる場合がある。この場合、制御部6は、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間を短くするための第1昇圧制御及び第2昇圧制御を行う。
【0075】
具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ14が収縮状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する第1判定を行う。制御部6は、第1判定の判定結果が肯定的である(収縮状態を所定時間以上継続している)場合、次回の第1ベローズ13の伸長時に、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧を昇圧させるように、第1電空レギュレータ51を制御する第1昇圧制御を行う。
【0076】
また、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第2ベローズ14が伸長途中状態まで伸長したときに、第1ベローズ13が収縮状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する第2判定を行う。制御部6は、第2判定の判定結果が肯定的である(収縮状態を所定時間以上継続している)場合、次回の第2ベローズ14の伸長時に、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の第2空気圧を昇圧させるように、第2電空レギュレータ52を制御する第2昇圧制御を行う。
【0077】
第1及び第2昇圧制御における第1及び第2空気圧の昇圧度合いは、+1kPa~+50kPa(より好ましくは+1kPa~+20kPa)とするのが望ましい。
【0078】
図6は、制御部6により駆動制御中に行われる第1及び第2昇圧制御の一例を示すタイムチャートである。以下、図1及び図6を参照しながら、制御部6が実行する第1及び第2昇圧制御について説明する。ここでは、第1ベローズ13が伸長動作中(吸い込み中)であり、かつ第2ベローズ14が収縮動作中(吐出中)の状態から説明する。
【0079】
制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する。ここでは、第1ベローズ13が伸長途中状態に達する前の時点t20で、近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を検知しているので、制御部6は、近接センサ31AがONになったと判定する。
【0080】
制御部6は、近接センサ31AがONになったと判定した場合、さらに近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知した時点t21で、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知した時点t20から所定時間T以上継続しているか否かを判定する(第1判定)。ここでは、時点t21において所定時間Tが経過しているので、制御部6は、時点t20から所定時間T以上継続していると判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t24~時点t27)に第1昇圧制御を実行する。
【0081】
前記時点t21において近接センサ29BがONになると、上述の駆動制御により、第1ベローズ13が伸長状態となる手前(伸長途中状態)で、第2ベローズ14は収縮状態から伸長動作を開始する。その後、第1ベローズ13は、時点t22において伸長状態になって収縮動作を開始する。
【0082】
次に、制御部6は、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、第2ベローズ14が伸長途中状態に達する前の時点t23で、近接センサ29Aは第1ベローズ13の収縮状態を検知しているので、制御部6は、近接センサ29AがONになったと判定する。
【0083】
制御部6は、近接センサ29AがONになったと判定した場合、さらに近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知した時点t24で、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知した時点t23から所定時間T以上継続しているか否かを判定する(第2判定)。ここでは、時点t24において所定時間Tが経過しているので、制御部6は、時点t23から所定時間T以上継続していると判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第2ベローズ14の伸長時(時点t27~時点t29)に第2昇圧制御を実行する。
【0084】
前記時点t23において近接センサ29AがONになると、上述の駆動制御により、第2ベローズ14が伸長状態となる手前(伸長途中状態)で、第1ベローズ13は収縮状態から伸長動作を開始する。その後、第2ベローズ14は、時点t25において伸長状態になって収縮動作を開始する。
【0085】
前記時点t23において第1ベローズ13が伸長動作を開始する際、制御部6は、前記時点t21で行った第1判定の判定結果が肯定的であったので(近接センサ31AがONになった時点t20から所定時間T以上継続していると判定したので)、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧を昇圧させるように、第1電空レギュレータ51を制御する第1昇圧制御を実行する。
【0086】
具体的には、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧が前回(時点t22以前)の値P11よりも高い値P12となるように、第1電空レギュレータ51を制御する。これにより、第1ベローズ13の伸長速度は、前回の第1ベローズ13の伸長動作時における伸長速度よりも速くなる。
【0087】
次に、制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、上述のように第1ベローズ13の伸長速度が速くなり、第1ベローズ13の伸長時間が短くなることで、第1ベローズ13が伸長途中状態に達した時点t26で第2ベローズ14は収縮状態に達する。
【0088】
したがって、第1ベローズ13が伸長途中状態に達する前に、近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ31AがONにならなかったと判定する。この判定結果により、第1ベローズ13が伸長途中状態に達した時点t26で、制御部6による第2判定は行われないため、次回の第1ベローズ13の伸長時において第1昇圧制御は実行されない。
【0089】
次に、時点t26において近接センサ29B及び近接センサ31AがいずれもONになると、上述の駆動制御により、第1ベローズ13が伸長状態となる手前(伸長途中状態)で、第2ベローズ14は収縮状態から伸長動作を開始する。その後、第1ベローズ13は、時点t27において伸長状態になって収縮動作を開始する。
【0090】
前記時点t26において第2ベローズ14が伸長動作を開始する際、制御部6は、前記時点t24で行った第2判定の判定結果が肯定的であったので(近接センサ29AがONになった時点t23から所定時間T以上継続していると判定したので)、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の第2空気圧を昇圧させるように、第2電空レギュレータ52を制御する第2昇圧制御を実行する。
【0091】
具体的には、制御部6は、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の第2空気圧が前回(時点t21~時点t25)の値P21よりも高い値P22となるように、第2電空レギュレータ52を制御する。これにより、第2ベローズ14の伸長速度は、前回の第2ベローズ14の伸長動作時における伸長速度よりも速くなる。
【0092】
次に、制御部6は、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、上述のように第2ベローズ14の伸長速度が速くなり、第2ベローズ14の伸長時間が短くなることで、第2ベローズ14が伸長途中状態に達した時点t28で第1ベローズ13は収縮状態に達する。
【0093】
したがって、第2ベローズ14が伸長途中状態に達する前に、近接センサ29Aは第1ベローズ13の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ29AがONにならなかったと判定する。この判定結果により、第2ベローズ14が伸長途中状態に達した時点t28で、制御部6による第2判定は行われないため、次回の第2ベローズ14の伸長時に第2昇圧制御は実行されない。
【0094】
[降圧制御]
上述の駆動制御において、例えば雰囲気温度が上昇すると、その影響により第1ベローズ13及び第2ベローズ14が柔らかくなり、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間が短くなる場合がある。この場合、制御部6は、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間を長くするための第1降圧制御及び第2降圧制御を行う。
【0095】
具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ14が収縮状態であるか否かを判定する第3判定を行う。制御部6は、第3判定の判定結果が否定的である(収縮状態でない)場合、次回の第1ベローズ13の伸長時に、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧を降圧させるように、第1電空レギュレータ51を制御する第1降圧制御を行う。
【0096】
また、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第2ベローズ14が伸長途中状態まで伸長したときに、第1ベローズ13が収縮状態であるか否かを判定する第4判定を行う。制御部6は、第4判定の判定結果が否定的である(収縮状態でない)場合、次回の第2ベローズ14の伸長時に、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の第2空気圧を降圧させるように、第2電空レギュレータ52を制御する第2降圧制御を行う。
【0097】
第3及び第4判定における前記所定時間は、例えば500msec(好ましくは10~200msec)の値に設定するのが望ましい。
第1及び第2降圧制御における第1及び第2空気圧の降圧度合いは、-1kPa~-50kPa(より好ましくは-1kPa~-20kPa)とするのが望ましい。
【0098】
図7は、制御部6により駆動制御中に行われる第1及び第2降圧制御の一例を示すタイムチャートである。以下、図1及び図7を参照しながら、制御部6が実行する第1及び第2降圧制御について説明する。ここでは、第1ベローズ13が伸長動作中(吸い込み中)であり、かつ第2ベローズ14が収縮動作中(吐出中)の状態から説明する。
【0099】
制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)した時点t41で、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する(第3判定)。ここでは、時点t41において、近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ31AがONになっていないと判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t45~時点t48)に第1降圧制御を実行する。
【0100】
前記第3判定の後、第1ベローズ13の伸長動作中における時点t42において、近接センサ31AがONになると、上述の駆動制御により、第1ベローズ13が伸長状態となる手前(伸長途中状態)で、第2ベローズ14は収縮状態から伸長動作を開始する。その後、第1ベローズ13は、時点t43において伸長状態になって収縮動作を開始する。
【0101】
次に、制御部6は、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知(ON)した時点t44で、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する(第4判定)。ここでは、時点t44において、近接センサ29Aは第1ベローズ13の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ29AがONになっていないと判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第2ベローズ14の伸長時(時点t47~時点t50)に第2降圧制御を実行する。
【0102】
前記第4判定の後、第2ベローズ14の伸長動作中の時点t45において、近接センサ29AがONになると、上述の駆動制御により、第2ベローズ14が伸長状態となる手前(伸長途中状態)で、第1ベローズ13は収縮状態から伸長動作を開始する。その後、第2ベローズ14は、時点t46において伸長状態になって収縮動作を開始する。
【0103】
前記時点t45で第1ベローズ13が伸長動作を開始する際、制御部6は、時点t41で行った第3判定の判定結果が否定的であったので(近接センサ31AがONになっていないと判定したので)、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧を降圧させるように第1電空レギュレータ51を制御する第1降圧制御を実行する。
【0104】
具体的には、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧が前回(時点t43以前)の値P11よりも低い値P13となるように、第1電空レギュレータ51を制御する。これにより、第1ベローズ13の伸長速度は、前回の第1ベローズ13の伸長速度よりも遅くなる。
【0105】
次に、制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)した時点t47で、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する(第3判定)。ここでは、上記のように第1ベローズ13の伸長速度が遅くなり、第1ベローズ13の伸長時間が長くなることで、時点t47で第2ベローズ14は収縮状態に達する。したがって、時点t47において近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を検知しているので、制御部6は、近接センサ31AがONになっていると判定する。この判定結果により、制御部6は、次回の第1ベローズ13の伸長時には第1降圧制御を実行しない。
【0106】
前記時点t47において近接センサ29B及び近接センサ31AがいずれもONになると、上述の駆動制御により、第1ベローズ13が伸長状態となる手前(伸長途中状態)で、第2ベローズ14は収縮状態から伸長動作を開始する。その後、第1ベローズ13は、時点t48において伸長状態になって収縮動作を開始する。
【0107】
前記時点t47において第2ベローズ14が伸長動作を開始する際、制御部6は、前記時点t44で行った第4判定の判定結果が否定的であったので(近接センサ29AがONになっていないと判定したので)、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の第2空気圧を降圧させるように第2電空レギュレータ52を制御する第2降圧制御を実行する。
【0108】
具体的には、制御部6は、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の第2空気圧が前回(時点t42~時点t46)の値P21よりも低い値P23となるように、第2電空レギュレータ52を制御する。これにより、第2ベローズ14の伸長速度は、前回の第2ベローズ14の伸長動作時における伸長速度よりも遅くなる。
【0109】
次に、制御部6は、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知(ON)した時点t49で、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する(第4判定)。ここでは、上記のように第2ベローズ14の伸長速度が遅くなり、第2ベローズ14の伸長時間が長くなることで、時点t49で第1ベローズ13は収縮状態に達する。したがって、時点t49において近接センサ29Aは第1ベローズ13の収縮状態を検知しているので、制御部6は、近接センサ29AがONになっていると判定する。この判定結果により、制御部6は、次回の第2ベローズ14の伸長時には第2降圧制御を実行しない。
【0110】
[上限値の再設定]
第1及び第2昇圧制御が行われた場合、第1吸込側空気室26A(第2吸込側空気室26B)に供給される加圧空気の第1空気圧(第2空気圧)が必要以上に昇圧されることが考えられる。この場合、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなりすぎて、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長状態まで伸長しても、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が収縮状態に達しない場合が起こり得る。こうなると、前記駆動制御を正常に行うことができなくなり、ベローズポンプ10の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するおそれがある。
【0111】
そこで、制御部6は、第1及び第2昇圧制御により第1吸込側空気室26A(第2吸込側空気室26B)に供給される加圧空気の第1空気圧(第2空気圧)が必要以上に昇圧された場合、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時において、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)による第1空気圧(第2空気圧)の調整範囲の上限値を再設定する。
【0112】
具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13が伸長状態まで伸長したときに、第2ベローズ14が収縮状態であるか否かを判定する第5判定を行う。制御部6は、第5判定の判定結果が否定的である(収縮状態でない)場合、次回の第1ベローズ13の伸長時において、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値を、前回の第1ベローズ13の伸長時における第1空気圧よりも低く設定する。
【0113】
また、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第2ベローズ14が伸長状態まで伸長したときに、第1ベローズ13が収縮状態であるか否かを判定する第6判定を行う。制御部6は、第6判定の判定結果が否定的である(収縮状態でない)場合、次回の第2ベローズ14の伸長時において、第2電空レギュレータ52による第2空気圧の調整範囲の上限値を、前回の第2ベローズ14の伸長時における第2空気圧よりも低く設定する。
【0114】
第1及び第2空気圧の調整範囲の上限値の設定度合いは、+1kPa~+50kPa(より好ましくは+5kPa~+20kPa)とするのが望ましい。なお、言うまでもないが、第1及び第2空気圧の調整範囲の下限値は固定値であり、上限値を再設定しても下限値が変更されることはない。このように再設定された上限値は、次々回以降の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時においても、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)による第1空気圧(第2空気圧)の調整範囲の上限値として適用される。
【0115】
図8は、制御部6により第1昇圧制御を行った後に、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値を再設定する一例を示すタイムチャートである。以下、図1及び図8を参照しながら、制御部6が実行する前記上限値の再設定について説明する。なお、図8の時点t60から時点t63までの間に行われる第1電空レギュレータ51の制御については、図6の時点t20から時点t23までの間に行われる制御と同様であるため、説明を省略する。また、図8で行われる第2電空レギュレータ52の制御については、図6で行われる制御と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
制御部6は、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長途中状態を検知した時点t64において、上述の駆動制御により、第1ベローズ13の伸長動作を開始させる。その際、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧を昇圧させるように、第1電空レギュレータ51を制御する第1昇圧制御を実行する。具体的には、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧が前回(時点t62以前)の値P11よりも高い値P14となるように、第1電空レギュレータ51を制御する。これにより、第1ベローズ13の伸長速度は、前回の第1ベローズ13の伸長動作時における伸長速度よりも速くなる。
【0117】
次に、制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、上述のように第1ベローズ13の伸長速度が速くなり、第1ベローズ13の伸長時間が短くなることで、第1ベローズ13が伸長途中状態に達した時点t66でも第2ベローズ14は収縮動作中である。
【0118】
したがって、第1ベローズ13が伸長途中状態に達する前に、近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ31AがONにならなかったと判定する。この判定結果により、第1ベローズ13が伸長途中状態に達した時点t66で、制御部6による第1判定は行われないため、次回の第1ベローズ13の伸長時において第1昇圧制御は実行されない。
【0119】
次に、制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)した時点t66で、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する(第3判定)。ここでは、時点t66において、近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ31AがONになっていないと判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t69~時点t72)に第1降圧制御を実行する。
【0120】
次に、制御部6は、近接センサ29BがONになった時点t66から所定の演算時間が経過した時点t67において、第1ベローズ13が伸長状態になったと判断すると、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)しているか否かを判定する(第5判定)。ここでは、時点t67において第2ベローズ14は収縮状態に達していないので、制御部6は、近接センサ31AがONになっていないと判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t69~時点t72)に、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値を再設定する。
【0121】
前記時点t67において第1ベローズ13が伸長状態になると、制御部6は、上述の駆動制御により、第1ベローズ13の収縮動作を開始させる。その後、時点t69において、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮状態を検知すると、制御部6は、上述の駆動制御により、第1ベローズ13の伸長動作を開始させる。その際、制御部6は、前記時点t67で行った第5判定の判定結果が否定的であったので(近接センサ31BがONになっていないと判定したので)、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値を再設定する。
【0122】
具体的には、制御部6は、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値Puを、前回の第1ベローズ13の伸長時(時点t64~時点t67)において第1昇圧制御により第1吸込側空気室26Aに供給された加圧空気の第1空気圧の値P14よりも低い空気圧(ここでは値P12)に設定する。
【0123】
上限値Puの再設定後、さらに、制御部6は、前記時点t66で行った第3判定の判定結果が否定的であったので(近接センサ31AがONになっていないと判定したので)、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧を降圧させるように第1電空レギュレータ51を制御する第1降圧制御を実行する。
【0124】
具体的には、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の第1空気圧が、前回(時点t64~時点t67)の値P14よりも低く、かつ再設定された上限値Pu(P12)よりも低くなるように、第1電空レギュレータ51を制御する。ここでは、制御部6は、第1空気圧が上限値Pu(P12)となるように、第1電空レギュレータ51を制御する。これにより、第1ベローズ13の伸長速度は、前回の第1ベローズ13の伸長速度よりも遅くなる。
【0125】
次に、制御部6は、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、上述のように第1ベローズ13の伸長速度が遅くなり、第1ベローズ13の伸長時間が長くなることで、第1ベローズ13が伸長途中状態に達した時点t71で第2ベローズ14は収縮状態に達する。
【0126】
したがって、第1ベローズ13が伸長途中状態に達する前に、近接センサ31Aは第2ベローズ14の収縮状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ31AがONにならなかったと判定する。この判定結果により、第1ベローズ13が伸長途中状態に達した時点t71で、制御部6による第1判定は行われないため、次回の第1ベローズ13の伸長時において第1昇圧制御は実行されない。
【0127】
また、次回以降の第1ベローズ13の伸長時には、上記のように再設定された上限値Puが、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値として適用される。したがって、次回以降の第1ベローズ13の伸長時において第1昇圧制御が実行されても、その第1昇圧制御により昇圧された第1空気圧が上限値Puよりも高くなることはない。
【0128】
図8の制御例では、時点t67で行った第5判定の判定結果に基づいて、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t69~時点t72)に第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値を再設定しているが、当該上限値の再設定は、次回の第1ベローズ13の伸長時には行わず、次々回の第1ベローズ13の伸長時に行ってもよい。その理由は、次回の第1ベローズ13の伸長時には、上述のように第1降圧制御が実行され、前記上限値を再設定しなくても第1電空レギュレータ51により第1空気圧が降圧されるからである。
【0129】
次々回の第1ベローズ13の伸長時に前記上限値を再設定した場合、次々々回以降の第1ベローズ13の伸長時には、再設定された上限値Puが、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値として適用される。したがって、次々々回以降の第1ベローズ13の伸長時において第1昇圧制御が実行されても、その第1昇圧制御により昇圧された空気圧が上限値Puよりも高くなることはない。なお、前記上限値の再設定は、次回及び次々回の第1ベローズ13の伸長時には行わず、次々々回以降の第1ベローズ13の伸長時に行ってもよい。
【0130】
なお、図8の制御例では、第1電空レギュレータ51による第1空気圧の調整範囲の上限値を再設定する場合について説明したが、第2電空レギュレータ52による第2空気圧の調整範囲の上限値を再設定する場合も上記と同様であるため、説明を省略する。
【0131】
[本実施形態の作用効果]
以上、本実施形態のベローズポンプ装置1によれば、制御部6は、第1ベローズ13が伸長状態となる手前で第2ベローズ14を収縮状態から伸長(吸い込み)させるとともに、第2ベローズ14が伸長状態となる手前で第1ベローズ13を収縮状態から伸長(吸い込み)させるように駆動制御を行う。これにより、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の吸い込みから吐出への切り換えタイミングにおいて、第2ベローズ(第1ベローズ)は既に伸長して移送流体を吸い込んでいるので、前記切り換えタイミングで移送流体をベローズポンプ10へ吸い込む流れが遮断されることがない。その結果、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに衝撃圧力やキャビテーションが発生するのを抑制することができる。
【0132】
また、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)により、第1吸込側空気室26A(第2吸込側空気室26B)に供給される加圧空気の第1空気圧(第2空気圧)を調整することで、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長速度を調整することができる。
【0133】
上記駆動制御において、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が収縮状態を所定時間以上継続している場合がある。この場合、制御部6は、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時に、第1吸込側空気室26A(第2吸込側空気室26B)に供給する加圧空気の第1空気圧(第2空気圧)を昇圧させる第1昇圧制御(第2昇圧制御)を行う。これにより、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が必要以上に長くなったときに、第1ベローズ13(第2ベローズ14)を伸長させるための第1空気圧(第2空気圧)を自動的に高い値に設定し直すことができる。その結果、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなるので、ベローズポンプ10の吐出側の脈動が悪化するのを抑制することができる。
【0134】
上記駆動制御において、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長途中状態まで伸長したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が収縮状態まで収縮していない場合がある。この場合、制御部6は、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時に、第1吸込側空気室26A(第2吸込側空気室26B)に供給する加圧空気の第1空気圧(第2空気圧)を降圧させる第1降圧制御(第2降圧制御)を行う。これにより、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなったときに、第1ベローズ13(第2ベローズ14)を伸長させるための第1空気圧(第2空気圧)を自動的に低い値に設定し直すことができる。その結果、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が長くなって伸長速度が遅くなるので、ベローズポンプ10の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0135】
制御部6が第1昇圧制御(第2昇圧制御)を行った場合、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなりすぎて、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長状態まで伸長したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が収縮状態まで収縮していない場合がある。この場合、制御部6は、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時における第1空気圧(第2空気圧)の調整範囲の上限値を、前回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時における第1空気圧(第2空気圧)よりも低くなるように再設定する。これにより、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時に第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)により調整された第1空気圧(第2空気圧)が上限値よりも高くなるのを規制することができるので、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなりすぎるのを抑制することができる。その結果、ベローズポンプ10の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0136】
また、次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時に再設定された前記上限値は、次々回以降の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時においても、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)による第1空気圧(第2空気圧)の調整範囲の上限値として適用される。このため、次々回以降の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時において第1昇圧制御(第2昇圧制御)が実行されても、昇圧された第1空気圧(第2空気圧)が上限値よりも低くなることはない。したがって、第1昇圧制御(第2昇圧制御)により第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなって、上記駆動制御を実行できなくなるのを抑制することができる。その結果、ベローズポンプ10の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0137】
第1昇圧制御(第2昇圧制御)によって、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長状態まで伸長したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が収縮状態まで収縮していない場合、制御部6は、次々回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時における第1空気圧(第2空気圧)の調整範囲の上限値を、前回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時における第1空気圧(第2空気圧)よりも低くなるように再設定してもよい。次回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時には第1降圧制御(第2降圧制御)が実行され、前記上限値を再設定しなくても第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)により第1空気圧(第2空気圧)が降圧されるからである。これにより、次々回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時に第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)により調整された第1空気圧(第2空気圧)が上限値Puよりも高くなるのを規制することができるので、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなりすぎるのを抑制することができる。その結果、ベローズポンプ装置1の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0138】
また、次々回の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時に再設定された前記上限値は、次々々回以降の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時においても、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)による第1空気圧(第2空気圧)の調整範囲の上限値として適用される。このため、次々々回以降の第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時において第1昇圧制御(第2昇圧制御)が実行されても、昇圧された第1空気圧(第2空気圧)が上限値よりも低くなることはない。したがって、第1昇圧制御(第2昇圧制御)により第1ベローズ13(第2ベローズ14)の伸長時間が短くなって、上記駆動制御を実行できなくなるのを抑制することができる。その結果、ベローズポンプ10の吸い込み側で衝撃圧力やキャビテーションが発生するのをさらに抑制することができる。
【0139】
[その他]
上記実施形態の制御部6は、駆動制御、第1及び第2昇圧制御、第1及び第2降圧制御、及び上限値の再設定を行っているが、少なくとも駆動制御を行うものであればよい。制御部6が駆動制御のみを行う場合、ベローズポンプ装置1は、第1及び第2電空レギュレータ51,52を備える必要はなく、機械式レギュレータ3により加圧空気の空気圧を手動で調整するようにしてもよい。
【0140】
上記実施形態の第1検知部29及び第2検知部31は、ベローズ13,14の伸長途中状態と収縮状態を検知しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1検知部29及び第2検知部31は、ベローズ13,14の伸長状態と収縮途中状態(収縮状態となる手前の状態)を検知してもよい。その場合、制御部6が、伸長状態と収縮途中状態を検知する第1及び第2検知部29,31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ(第2ベローズ)が収縮状態となる手前で第2ベローズ(第1ベローズ)を伸長状態から収縮させる制御を行うベローズポンプ装置において、その制御と本発明の駆動制御とを選択的に行えるようにしたいときに、本発明の駆動制御を簡単に追加することができる点で特に有効である。
【0141】
第1検知部29及び第2検知部31は、上記実施形態の近接センサ29A,29B.31A,31Bに限定されるものではない。例えば、第1検知部29及び第2検知部31は、レーザ光等を用いた変位センサで構成されていてもよい。
【0142】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0143】
1 ベローズポンプ装置
6 制御部
13 第1ベローズ
14 第2ベローズ
26A 第1吸込側空気室(第1吸込側空気室)
26B 第2吸込側空気室(第2吸込側空気室)
27 第1駆動部
28 第2駆動部
29 第1検知部
31 第2検知部
51 第1電空レギュレータ(第1流体圧調整部)
52 第2電空レギュレータ(第2流体圧調整部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8