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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058214
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】部品圧着装置および部品圧着方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230418BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20230418BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
H01L21/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168066
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃
(72)【発明者】
【氏名】足立 聡
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
【Fターム(参考)】
5E353BC02
5E353GG31
5E353JJ21
5E353MM08
5E353QQ01
5E353QQ11
5E353QQ30
5F044KK01
5F044LL09
5F044PP15
(57)【要約】
【課題】生産性の向上を図ることができる部品圧着装置を提供する。
【解決手段】部品圧着装置1は、基板3を供給する貼着部20と、供給された基板3に部品5を載置する仮圧着部30と、基板3に載置されている部品5を基板3に熱圧着する本圧着部40と、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40を収容する筐体7と、気圧調整機構70とを備え、気圧調整機構70は、筐体7内において仮圧着部30が配置されている第1空間の気圧が、(i)筐体7内において貼着部20が配置されている第2空間の気圧、および、(ii)筐体7内において本圧着部40が配置されている第3空間の気圧よりも高くなるように、筐体7内における気圧を調整する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を供給する基板供給部と、
供給された前記基板に部品を載置する部品載置部と、
前記基板に載置されている前記部品を前記基板に熱圧着する熱圧着部と、
前記基板供給部、前記部品載置部、および前記熱圧着部を収容する筐体と、
前記筐体内において前記部品載置部が配置されている第1空間の気圧が、(i)前記筐体内において前記基板供給部が配置されている第2空間の気圧、および、(ii)前記筐体内において前記熱圧着部が配置されている第3空間の気圧よりも高くなるように、前記筐体内における気圧を調整する気圧調整機構と、
を備える部品圧着装置。
【請求項2】
さらに、前記部品載置部に前記部品を供給する部品供給部を備え、
前記筐体は、前記部品供給部をさらに収容し、
前記気圧調整機構は、
前記筐体内において前記部品供給部が配置されている第4空間の気圧よりも、前記第1空間の気圧が高くなるように、前記筐体内における気圧を調整する、
請求項1に記載の部品圧着装置。
【請求項3】
前記気圧調整機構は、前記筐体の外部のエアを浄化して前記筐体の内部に吸引する1以上の吸気部と、前記筐体の内部のエアを前記筐体の外部に排出する1以上の排気部とのうちの少なくとも1つを有する、
請求項1または2に記載の部品圧着装置。
【請求項4】
前記1以上の吸気部のうちの少なくとも1つの吸気部は、前記第1空間に接して配置されている、
請求項3に記載の部品圧着装置。
【請求項5】
前記1以上の吸気部は、前記第1空間に供給されるエアの風量が、前記第2空間および前記第3空間のそれぞれに供給されるエアの風量よりも大きくなるように、前記筐体の外部のエアを前記筐体の内部に吸引する、
請求項3または4に記載の部品圧着装置。
【請求項6】
前記1以上の排気部は、前記第1空間から排出されるエアの風量が、前記第2空間および前記第3空間のそれぞれから排出されるエアの風量よりも小さくなるように、前記筐体の内部のエアを前記筐体の外部に排出する、
請求項3~5の何れか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項7】
前記基板は、前記基板供給部から前記部品載置部を介して前記熱圧着部へ、移動経路に沿って移動し、
前記1以上の吸気部は、前記筐体における前記移動経路よりも上方の部位に配置され、
前記1以上の排気部は、前記筐体における前記移動経路よりも下方の部位に配置される、
請求項3~6の何れか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項8】
基板供給部と部品載置部と熱圧着部とが筐体に収容されている場合に、前記筐体内において前記部品載置部が配置されている第1空間の気圧が、(i)前記筐体内において前記基板供給部が配置されている第2空間の気圧、および、(ii)前記筐体内において前記熱圧着部が配置されている第3空間の気圧よりも高くなるように、前記筐体内における気圧を調整する気圧調整工程と、
前記基板供給部が前記部品載置部に基板を供給する基板供給工程と、
前記基板供給部から供給された前記基板に前記部品載置部が部品を載置する部品載置工程と、
前記基板に載置されている前記部品を前記熱圧着部が前記基板に熱圧着する熱圧着工程と、
を含む部品圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に部品を圧着する部品圧着装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルなどのパネルに電子部品(以下、単に「部品」と呼称する)を圧着する部品圧着装置が提供されている。特許文献1では、このような部品圧着装置が液晶ドライバ実装機として開示されている。この部品圧着装置は、液晶パネルの端部に、異方性導電部材であるACF(Anisotropic Conductive Film)を介して部品を圧着する。つまり、その液晶パネルの端部には、接着部材としてACFが貼着されている。部品圧着装置は、液晶パネルのそのACFが貼着された部分に部品を搭載して、液晶パネルに圧着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-317784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の部品圧着装置では、生産性が低下する可能性があるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示では、生産性の向上を図ることができる部品圧着装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る部品圧着装置は、基板を供給する基板供給部と、供給された前記基板に部品を載置する部品載置部と、前記基板に載置されている前記部品を前記基板に熱圧着する熱圧着部と、前記基板供給部、前記部品載置部、および前記熱圧着部を収容する筐体と、前記筐体内において前記部品載置部が配置されている第1空間の気圧が、(i)前記筐体内において前記基板供給部が配置されている第2空間の気圧、および、(ii)前記筐体内において前記熱圧着部が配置されている第3空間の気圧よりも高くなるように、前記筐体内における気圧を調整する気圧調整機構と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の部品圧着装置は、生産性の向上を図ることができる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における部品圧着装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態における部品圧着装置の平面図である。
図3図3は、実施の形態における部品圧着装置の外観の一例を示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態における吸気部および排気部の具体的な配置例を示す図である。
図5図5は、実施の形態における部品圧着装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施の形態におけるエアの供給および排出と筐体内の気圧分布との一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態における部品圧着装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施の形態の変形例1における筐体の一例を示す図である。
図9図9は、実施の形態の変形例2における吸気部および排気部の取り付け例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した上記特許文献1の部品圧着装置に関し、以下の課題が生じることを見出した。
【0012】
上記特許文献1の部品圧着装置は、ACFを基板に貼り付けるACF貼付装置と、ACFを介して部品を基板に仮圧着する仮圧着装置と、その仮圧着された部品に対する本圧着を行う部品実装機とを備える。そして、部品圧着装置は、これらのACF貼付装置、仮圧着装置および部品実装機による作業によって、基板に1以上の部品が圧着された実装基板を生産する。ここで、これらのACF貼付装置、仮圧着装置および部品実装機は、部品圧着装置の筐体によって覆われている。
【0013】
したがって、部品圧着装置の周囲に漂う粉塵などのパーティクルは、筐体の内部に入り込もうとしても、その筐体によって遮られる。その結果、パーティクルの筐体内への進入が抑制される。これにより、パーティクルが基板と部品との接合部位に付着することによる実装基板の歩留まりの低下を抑えることができる。
【0014】
しかしながら、パーティクルは、部品圧着装置の筐体の外部だけでなく、その筐体の内部にも存在する。例えば、ACF貼付装置、仮圧着装置および部品実装機が作業を行うことによって、パーティクルが舞い上がることがある。このようなパーティクルが、基板と部品との接合部位に付着する可能性がある。その結果、筐体だけでは、パーティクルによる実装基板の歩留まりの低下を十分に抑えることが難しい。つまり、実装基板の生産性が低下する可能性がある。
【0015】
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る部品圧着装置は、基板を供給する基板供給部と、供給された前記基板に部品を載置する部品載置部と、前記基板に載置されている前記部品を前記基板に熱圧着する熱圧着部と、前記基板供給部、前記部品載置部、および前記熱圧着部を収容する筐体と、前記筐体内において前記部品載置部が配置されている第1空間の気圧が、(i)前記筐体内において前記基板供給部が配置されている第2空間の気圧、および、(ii)前記筐体内において前記熱圧着部が配置されている第3空間の気圧よりも高くなるように、前記筐体内における気圧を調整する気圧調整機構と、を備える。
【0016】
これにより、第1空間の気圧が第2空間および第3空間の気圧よりも高いため、第1空間から第2空間および第3空間に流れる気流が生じる。その結果、基板供給部および熱圧着部における作業によって第2空間および第3空間でパーティクルが舞い上がったとしても、そのパーティクルが漂って第1空間に進入することを抑制することができる。つまり、第1空間に配置されている部品載置部が、基板に部品を載置するときに、そのパーティクルが部品と基板との間に入り込む可能性を抑制することができる。そのため、パーティクルが基板と部品との接合部位に付着することによる実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、実装基板の生産性を向上することができる。言い換えれば、第1空間のクリーン度を向上することができ、実装基板の品質を高めることができる。
【0017】
また、さらに、前記部品載置部に前記部品を供給する部品供給部を備え、前記筐体は、前記部品供給部をさらに収容し、前記気圧調整機構は、前記筐体内において前記部品供給部が配置されている第4空間の気圧よりも、前記第1空間の気圧が高くなるように、前記筐体内における気圧を調整してもよい。
【0018】
これにより、第1空間の気圧が第4空間の気圧よりも高いため、第1空間から第4空間に流れる気流が生じる。その結果、部品供給部における作業によって第4空間でパーティクルが舞い上がったとしても、そのパーティクルが漂って第1空間に進入することを抑制することができる。つまり、第1空間に配置されている部品載置部が、基板に部品を載置するときに、そのパーティクルが部品と基板との間に入り込む可能性を抑制することができる。そのため、パーティクルが基板と部品との接合部位に付着することによる実装基板の歩留まりの低下をさらに抑えることができ、実装基板の生産性をさらに向上することができる。言い換えれば、第1空間のクリーン度をさらに向上することができ、実装基板の品質をさらに高めることができる。
【0019】
また、前記気圧調整機構は、前記筐体の外部のエアを浄化して前記筐体の内部に吸引する1以上の吸気部と、前記筐体の内部のエアを前記筐体の外部に排出する1以上の排気部とのうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0020】
これにより、筐体内における気圧を簡単に調整することができる。
【0021】
また、前記1以上の吸気部のうちの少なくとも1つの吸気部は、前記第1空間に接して配置されていてもよい。
【0022】
これにより、その少なくとも1つの吸気部によって第1空間の気圧を簡単に高くすることができる。
【0023】
また、前記1以上の吸気部は、前記第1空間に供給されるエアの風量が、前記第2空間および前記第3空間のそれぞれに供給されるエアの風量よりも大きくなるように、前記筐体の外部のエアを前記筐体の内部に吸引してもよい。
【0024】
これにより、第1空間の気圧を第2空間および第3空間の気圧よりも簡単かつ効率的に高くすることができる。
【0025】
また、前記1以上の排気部は、前記第1空間から排出されるエアの風量が、前記第2空間および前記第3空間のそれぞれから排出されるエアの風量よりも小さくなるように、前記筐体の内部のエアを前記筐体の外部に排出してもよい。
【0026】
これにより、第1空間の気圧を第2空間および第3空間の気圧よりも簡単かつ効率的に高くすることができる。
【0027】
また、前記基板は、前記基板供給部から前記部品載置部を介して前記熱圧着部へ、移動経路に沿って移動し、前記1以上の吸気部は、前記筐体における前記移動経路よりも上方の部位に配置され、前記1以上の排気部は、前記筐体における前記移動経路よりも下方の部位に配置されてもよい。
【0028】
これにより、筐体内では基板の上方から下方に流れるダウンフローの気流が生じるため、基板よりも下側のパーティクルが上方に舞い上がることを抑制することができる。その結果、作業が行われる基板の上面にパーティクルが付着することを抑制することができ、実装基板の生産性をさらに向上することができる。
【0029】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略平行などの表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0031】
(実施の形態)
[部品圧着装置の概略構成]
図1は、本実施の形態における部品圧着装置の概略構成を示す図である。
【0032】
本実施の形態における部品圧着装置1は、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの基板3に部品5を実装することによってディスプレイパネルなどの実装基板を製品として生産する装置である。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的には、部品5は、IC(Integrated Circuit)チップ、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などである。
【0033】
このような部品圧着装置1は、図1に示すように、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、部品供給部50とを有する。貼着部20、仮圧着部30および本圧着部40はこの順で連結され、部品供給部50は仮圧着部30に連結されている。
【0034】
貼着部20は、他の装置などから搬入された例えば矩形状の基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれにACFなどの接着部材を貼着する。そして、貼着部20は、その接着部材が貼着された基板3を、仮圧着部30に搬出する。つまり、本実施の形態における貼着部20は、基板3を仮圧着部30に供給する基板供給部として構成されている。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
【0035】
部品供給部50は、仮圧着部30に部品5を供給する。
【0036】
仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3の接着部材が貼着されている部位に、部品供給部50から供給された部品5を搭載して仮圧着する。つまり、本実施の形態における仮圧着部30は、基板供給部である貼着部20から供給された基板3に部品5を載置する部品載置部として構成されている。そして、仮圧着部30は、その部品5が仮圧着された基板3を、本圧着部40に搬出する。
【0037】
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着を行う。この本圧着は、熱圧着とも呼ばれる。つまり、本実施の形態における本圧着部40は、基板3に載置されている部品5をその基板3に熱圧着する熱圧着部として構成されている。そして、本圧着部40は、その本圧着が行われた基板3を、他の装置などに搬出する。
【0038】
このように、部品圧着装置1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3を実装基板として搬出する。
【0039】
[部品圧着装置の詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品圧着装置1の平面図である。具体的には、図1は、部品圧着装置1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板3の搬送方向、すなわち左右方向をX軸方向と称し、鉛直方向、すなわち上下方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板3の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
【0040】
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACFを貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を有する。また、貼着部20は、それぞれ基台1a上に配置されている基板移動機構21と、貼着機構22と、搬送機構62Aとを備える。
【0041】
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構であって、基板3を保持するステージ23を有する。ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられている。基板移動機構21は、そのステージ23上に載置された基板3をその複数の吸着孔23aによって真空吸着して保持する。そして、基板移動機構21は、基板3を吸着保持するステージ23を水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(すなわちZ軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
【0042】
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、それぞれACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。
【0043】
搬送機構62Aは、基台1aにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に配置されている。搬送機構62Aは、基部63と、2つのアームユニット64とを備える。基部63は、移動ベース61上をX軸方向に自在に移動する。2つのアームユニット64は、基部63上にX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。このような搬送機構62Aは、貼着部20のステージ23に載置された基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。
【0044】
部品供給部50は、仮圧着部30の奥側(すなわちY軸方向正側)に設けられている。例えば、部品供給部50は、それぞれ基台1b上に配置されている供給リール51と、打ち抜き部52と、可動ステージ53と、レール54とを備える。供給リール51には、TCPなどのテープが巻き付けられている。このような部品供給部50は、テープから部品5を打ち抜き、その部品5を可動ステージ53に載置して仮圧着部30に順次供給する。
【0045】
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、それぞれ基台1a上に配置されている基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品移送機構35と、搬送機構62Bとを備える。
【0046】
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージ36の上方に位置させる。
【0047】
部品移送機構35は、部品供給部50から供給される部品5を、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。
【0048】
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、圧着ツール34とバックアップステージ36とを備える。
【0049】
バックアップステージ36は、ステージ37に保持されている基板3の縁部を下方から支持する。なお、この縁部には、基板3においてACFが貼着されている圧着対象部位が含まれている。
【0050】
圧着ツール34は、部品5を保持し、バックアップステージ36によって支持されている基板3の上面に部品5を圧着する。つまり、圧着ツール34は、基板3の圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、部品移送機構35によって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごとバックアップステージ36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。
【0051】
搬送機構62Bは、搬送機構62Aと同様の構成を有し、移動ベース61上に配置される。このような搬送機構62Bは、仮圧着部30のステージ37に載置された基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。
【0052】
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(熱圧着工程ともいう)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
【0053】
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の圧着支持部46の上方に位置させる。
【0054】
圧着機構42は、圧着ツール43および圧着支持部46を備え、例えば約200℃に加熱された圧着ツール43で基板3の部品5を圧着支持部46側に押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
【0055】
搬送機構62Cは、搬送機構62Aと同様の構成を有し、移動ベース61上に配置される。このような搬送機構62Cは、本圧着部40のステージ49に載置された基板3を受け取り、部品圧着装置1の外部にある装置などに受け渡す。
【0056】
図3は、部品圧着装置1の外観の一例を示す斜視図である。
【0057】
部品圧着装置1は、筐体7を備える。筐体7は、図2に示す貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50を収容する。また、このような筐体7には、複数の吸気部71と、複数の排気部72とが取り付けられている。例えば、複数の吸気部71は、筐体7の上部に取り付けられ、複数の排気部72は、筐体7の側部に取り付けられている。具体的には、吸気部71は、筐体7における貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50のそれぞれの上方の部位に取り付けられている。また、例えば2個の排気部72は、筐体7における貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50のそれぞれの側方の部位に取り付けられている。
【0058】
吸気部71は、モータと、そのモータによって回動するファンと、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどのフィルタとを備える。モータによって回動するファンは、部品圧着装置1の周囲、すなわち筐体7の外部にあるエアをその筐体7の内部に供給する。このとき、その外部のエアは、フィルタを通過して筐体7の内部に送り込まれる。その結果、外部のエアに含まれる粉塵などのパーティクルはそのフィルタによって取り除かれる。したがって、その外部のエアは、浄化され、清浄エアとして筐体7の内部に供給される。
【0059】
排気部72は、吸気部71と同様、モータと、そのモータによって回動するファンとを備える。モータによって回動するファンは、筐体7の内部にあるエアをその筐体7の外部に排出する。
【0060】
図4は、吸気部71および排気部72の具体的な配置例を示す図である。なお、図4の(a)は、部品圧着装置1をY軸方向の負側から見た状態を示し、図4の(b)は、部品圧着装置1をZ軸方向の正側から見た状態を示し、図4の(c)は、部品圧着装置1をX軸方向の正側から見た状態を示す。
【0061】
図4の(a)および(c)に示すように、複数の吸気部71のうち、筐体7における貼着部20の上方の部位に取り付けられている吸気部71aは、筐体7内において貼着部20が配置されている第2空間に対してエアを供給する。なお、この第2空間では、貼着部20が基板3の電極部4にACFを貼り付ける作業が行われる。また、複数の吸気部71のうち、筐体7における仮圧着部30の上方の部位に取り付けられている吸気部71bは、筐体7内において仮圧着部30が配置されている第1空間に対してエアを供給する。なお、この第1空間では、仮圧着部30の圧着ツール34が、ACFを介して基板3の電極部4に部品5を仮圧着する作業が行われる。また、複数の吸気部71のうち、筐体7における本圧着部40の上方の部位に取り付けられている吸気部71cは、筐体7内において本圧着部40が配置されている第3空間に対してエアを供給する。なお、この第3空間では、本圧着部40の圧着ツール43が部品5を基板3に対して本圧着する作業が行われる。また、複数の吸気部71のうち、筐体7における部品供給部50の上方の部位に取り付けられている吸気部71dは、筐体7内において部品供給部50が配置されている第4空間に対してエアを供給する。なお、この第4空間では、供給リール51に巻き付けられているテープから、打ち抜き部52が部品5を打ち抜き、その部品5を可動ステージ53に載置して仮圧着部30に供給する作業が行われる。
【0062】
一方、図4の(b)に示すように、複数の排気部72のうち、筐体7における貼着部20の側方の部位に取り付けられている4個の排気部72aは、上述の第2空間のエアを筐体7の外部に排出する。なお、その4個の排気部72aのうちの2個の排気部72aは、筐体7における貼着部20よりも手前側の部位に取り付けられ、残りの2個の排気部72aは、筐体7における貼着部20よりも奥側の部位に取り付けられている。複数の排気部72のうち、筐体7における仮圧着部30の側方の部位に取り付けられている2個の排気部72bは、上述の第1空間のエアを筐体7の外部に排出する。なお、その2個の排気部72bは、筐体7における仮圧着部30よりも手前側の部位に取り付けられている。複数の排気部72のうち、筐体7における本圧着部40の側方の部位に取り付けられている4個の排気部72cは、上述の第3空間のエアを筐体7の外部に排出する。なお、その4個の排気部72cのうちの2個の排気部72cは、筐体7における本圧着部40よりも手前側の部位に取り付けられ、残りの2個の排気部72cは、筐体7における本圧着部40よりも奥側の部位に取り付けられている。複数の排気部72のうち、筐体7における部品供給部50の側方の部位に取り付けられている2個の排気部72dは、上述の第4空間のエアを筐体7の外部に排出する。なお、その2個の排気部72dは、筐体7における部品供給部50よりも奥側の部位に取り付けられている。
【0063】
ここで、基板3は、貼着部20から仮圧着部30を介して本圧着部40へ、移動経路に沿って移動する。この移動は、例えば、搬送機構62A、62Bおよび62Cなどによって行われる。また、移動経路は、X軸方向に沿う経路である。そして、本実施の形態では、複数の吸気部71は、筐体7におけるその移動経路よりも上方の部位に配置され、複数の排気部72は、筐体7におけるその移動経路よりも下方の部位に配置される。
【0064】
これにより、第1空間、第2空間、第3空間、および第4空間では、基板3の上方から下方に向かってエアが流れるダウンフローの気流が発生する。
【0065】
図5は、部品圧着装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0066】
部品圧着装置1は、図5に示すように制御部10を備える。この制御部10は、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50などと例えば制御線によって通信可能に接続され、これらの各部を制御する。なお、部品供給部50は、上述の供給リール51、打ち抜き部52、可動ステージ53、およびレール54などを含む供給機構50aを備え、制御部10によって制御される。制御部10は、コンピュータであってもよい。また、制御部10は、部品圧着装置1に備えられている記憶部に格納されている制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって実現されてもよい。なお、その記憶部は、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などのメモリであってもよく、HDD(Hard Disk Drive)などであってもよい。
【0067】
さらに、制御部10は、貼着部20に対して配置されている吸気部71aおよび4個の排気部72aを制御する。同様に、制御部10は、仮圧着部30に対して配置されている吸気部71bおよび2個の排気部72bを制御する。さらに、制御部10は、本圧着部40に対して配置されている吸気部71cおよび4個の排気部72cを制御し、部品供給部50に対して配置されている吸気部71dおよび2個の排気部72dを制御する。なお、制御部10は、筐体7に収容されていてもよく、筐体7の外部に配置されていてもよい。
【0068】
本実施の形態では、部品圧着装置1に備えられている複数の吸気部71および複数の排気部72は、筐体7内における気圧を調整する気圧調整機構70として構成されている。
【0069】
このような気圧調整機構70は、上述のエアの供給および排出によって、筐体7内において仮圧着部30が配置されている第1空間の気圧が、(i)筐体7内において貼着部20が配置されている第2空間の気圧、および、(ii)筐体7内において本圧着部40が配置されている第3空間の気圧よりも高くなるように、筐体7内における気圧を調整する。さらに、気圧調整機構70は、上述のエアの供給および排出によって、筐体7内において部品供給部50が配置されている第4空間の気圧よりも、上述の第1空間の気圧が高くなるように、筐体7内における気圧を調整する。
【0070】
[エアの供給および排出と気圧分布]
図6は、エアの供給および排出と筐体7内の気圧分布との一例を示す図である。なお、図6の(a)は、部品圧着装置1をY軸方向の負側から見た場合における、エアの供給および排出の一例を示し、図6の(b)は、その場合における筐体7内の気圧分布の一例を示す。図6の(c)は、部品圧着装置1をX軸方向の正側から見た場合における、エアの供給および排出の一例を示し、図6の(d)は、その場合における筐体7内の気圧分布の一例を示す。
【0071】
例えば、図6の(a)に示すように、吸気部71aは、貼着部20の第2空間にエアを供給し、吸気部71bは、仮圧着部30の第1空間にエアを供給し、吸気部71cは、本圧着部40の第3空間にエアを供給する。このとき、吸気部71bによって供給されるエアの風量は、吸気部71aによって供給されるエアの風量、および、吸気部71cによって供給されるエアの風量よりも大きい。さらに、4個の排気部72aは、貼着部20の第2空間からエアを外部に排出し、2個の排気部72bは、仮圧着部30の第1空間からエアを外部に排出し、4個の排気部72cは、本圧着部40の第3空間からエアを外部に排出する。このとき、排気部72bによって排出されるエアの風量は、排気部72aによって排出されるエアの風量、および、排気部72cによって排出されるエアの風量よりも小さい。
【0072】
その結果、図6の(b)に示すように、筐体7内において、第1空間の気圧が第2空間および第3空間の気圧よりも高い気圧分布が形成される。なお、図6の(b)に示すグラフの縦軸は気圧を示し、横軸は部品圧着装置1におけるX軸方向の位置を示す。
【0073】
つまり、本実施の形態では、複数の吸気部71は、第1空間に供給されるエアの風量が、第2空間および第3空間のそれぞれに供給されるエアの風量よりも大きくなるように、筐体7の外部のエアを筐体7の内部に吸引する。
【0074】
また、本実施の形態では、複数の排気部72は、第1空間から排出されるエアの風量が、第2空間および第3空間のそれぞれから排出されるエアの風量よりも小さくなるように、筐体7の内部のエアを筐体7の外部に排出する。
【0075】
これにより、第1空間の気圧を第2空間および第3空間の気圧よりも簡単かつ効率的に高くすることができる。そして、第1空間の気圧が第2空間および第3空間の気圧よりも高いため、筐体7内では第1空間から第2空間および第3空間に流れる気流が生じる。その結果、貼着部20および本圧着部40における作業によって第2空間および第3空間でパーティクルが舞い上がったとしても、そのパーティクルが漂って第1空間に進入することを抑制することができる。つまり、第1空間に配置されている仮圧着部30が、基板3に部品5を載置するときに、そのパーティクルが部品5と基板3との間に入り込む可能性を抑制することができる。そのため、パーティクルが基板3と部品5との接合部位に付着することによる実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、実装基板の生産性を向上することができる。言い換えれば、第1空間のクリーン度を向上することができ、実装基板の品質を高めることができる。
【0076】
また、例えば、図6の(c)に示すように、吸気部71bは、仮圧着部30の第1空間にエアを供給し、吸気部71dは、部品供給部50の第4空間にエアを供給する。このとき、吸気部71bによって供給されるエアの風量は、吸気部71dによって供給されるエアの風量よりも大きい。さらに、2個の排気部72bは、仮圧着部30の第1空間からエアを外部に排出し、2個の排気部72dは、部品供給部50の第4空間からエアを外部に排出する。このとき、排気部72bによって排出されるエアの風量は、排気部72dによって排出されるエアの風量よりも小さい。
【0077】
その結果、図6の(d)に示すように、筐体7内において、第1空間の気圧が第4空間の気圧よりも高い気圧分布が形成される。なお、図6の(d)に示すグラフの縦軸は気圧を示し、横軸は部品圧着装置1におけるY軸方向の位置を示す。
【0078】
つまり、本実施の形態では、複数の吸気部71は、第1空間に供給されるエアの風量が、第4空間に供給されるエアの風量よりも大きくなるように、筐体7の外部のエアを筐体7の内部に吸引する。また、本実施の形態では、複数の排気部72は、第1空間から排出されるエアの風量が、第4空間から排出されるエアの風量よりも小さくなるように、筐体7の内部のエアを筐体7の外部に排出する。
【0079】
これにより、第1空間の気圧を第4空間の気圧よりも簡単かつ効率的に高くすることができる。そして、第1空間の気圧が第4空間の気圧よりも高いため、筐体7内では第1空間から第4空間に流れる気流が生じる。その結果、部品供給部50における作業によって第4空間でパーティクルが舞い上がったとしても、そのパーティクルが漂って第1空間に進入することを抑制することができる。つまり、第1空間に配置されている仮圧着部30が、基板3に部品5を載置するときに、そのパーティクルが部品5と基板3との間に入り込む可能性を抑制することができる。そのため、パーティクルが基板3と部品5との接合部位に付着することによる実装基板の歩留まりの低下をさらに抑えることができ、実装基板の生産性をさらに向上することができる。
【0080】
[処理動作]
図7は、本実施の形態における部品圧着装置1の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0081】
まず、部品圧着装置1は、上述の気圧調整機構70を用いて筐体7内の気圧を調整する気圧調整工程を実行する(ステップS1)。つまり、貼着部20と仮圧着部30と本圧着部40と部品供給部50とが筐体7に収容されている場合に、気圧調整工程では、筐体7内において仮圧着部30が配置されている第1空間の気圧が、(i)筐体7内において貼着部20が配置されている第2空間の気圧、(ii)筐体7内において本圧着部40が配置されている第3空間の気圧、および(iii)筐体7内において部品供給部50が配置されている第4空間の気圧、よりも高くなるように、気圧調整機構70が筐体7内における気圧を調整する。
【0082】
次に、部品圧着装置1は、基板供給工程を実行する(ステップS2)。この基板供給工程では、貼着部20が基板3の電極部4にACFを貼り付けて、その基板3を仮圧着部30に供給する。次に、部品圧着装置1は、部品載置工程を実行する(ステップS3)。この部品載置工程では、仮圧着部30が、貼着部20から供給された基板3に部品5を載置する。つまり、仮圧着部30が、基板3の電極部4にACFを介して部品5を仮圧着する。そして、部品圧着装置1は、熱圧着工程を実行する(ステップS4)。この熱圧着工程では、本圧着部40が、基板3に載置されている部品5を基板3に熱圧着する。なお、上述のステップS1~S4の処理は、制御部10による制御によって実現される。
【0083】
以上のように、本実施の形態では、筐体内における第1空間の気圧が第2空間、第3空間、および第4空間の気圧よりも高くなるように調整されるため、パーティクルによる実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、実装基板の生産性を向上することができる。
【0084】
また、その筐体7内における気圧の調整は、複数の吸気部71および複数の排気部72によって行われるため、筐体7内における気圧を簡単に調整することができる。なお、本実施の形態における気圧調整機構70は、具体的には4個の吸気部71および12個の排気部72を備えるが、気圧調整機構70は、1つの吸気部71のみを備えてもよく、1つの排気部72のみを備えてもよい。また、気圧調整機構70に備えられる吸気部71の個数は4個に限らず、気圧調整機構70に備えられる排気部72の個数は12個に限らない。つまり、本実施の形態における気圧調整機構70は、筐体7の外部のエアを浄化して筐体7の内部に吸引する1以上の吸気部71と、筐体7の内部のエアを筐体7の外部に排出する1以上の排気部72とのうちの少なくとも1つを有する。このような場合でも、筐体7内における気圧を簡単に調整することができる。そして、その1以上の吸気部71のうちの少なくとも1つの吸気部71bは、図4に示すように、第1空間に接して配置されている。つまり、吸気部71bは、筐体7の外部のエアを第1空間に供給する。この吸気部71bによって第1空間の気圧を簡単に高くすることができる。
【0085】
さらに、本実施の形態における筐体7の内部では、基板3の上方から下方に流れるダウンフローの気流が生じるため、基板3よりも下側のパーティクルが上方に舞い上がることを抑制することができる。その結果、作業が行われる基板3の上面にパーティクルが付着することを抑制することができ、実装基板の生産性をさらに向上することができる。
【0086】
(変形例1)
上記実施の形態では、図4の(c)に示すように第1空間と第4空間との間は、広く開放されているが、一部のみ開放されて残りの部分は筐体7によって仕切られていてもよい。
【0087】
図8は、上記実施の形態の変形例1における筐体7の一例を示す図である。
【0088】
例えば、筐体7は、第1筐体7aと、第2筐体7bと、ダクト8とを備えていてもよい。第1筐体7aは、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40を収容し、第2筐体7bは、部品供給部50を収容する。そして、ダクト8は、部品5を部品供給部50から仮圧着部30に搬送するための通路であって、第1筐体7aと第2筐体7bとの間を接続する。
【0089】
このような図8に示す筐体7であっても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
(変形例2)
上記実施の形態では、第1空間、第2空間、第3空間、および第4空間のそれぞれに対して1以上の吸気部71と1以上の排気部72とを備えたが、これに限定されない。
【0091】
図9は、上記実施の形態の変形例2における吸気部71および排気部72の取り付け例を示す図である。なお、図9の(a)は、部品圧着装置1の部品供給部50を除く部分をY軸方向の負側から見た状態を示し、図9の(b)は、部品圧着装置1の部品供給部50を除く部分をZ軸方向の正側から見た状態を示す。
【0092】
例えば、吸気部71は、図9の(a)に示すように、配管73を介して、筐体7内の第1空間、第2空間、および第3空間にエアを供給してもよい。この場合、配管73における第1空間と接する開口は、配管73における第2空間と接する開口、および第3空間と接する開口よりも広い。したがって、このような場合であっても、第1空間に供給されるエアの風量を、第2空間および第3空間のそれぞれに供給されるエアの風量よりも大きくすることができる。つまり、第1空間の気圧を第2空間および第3空間の気圧よりも高くすることができ、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
同様に、例えば、排気部72は、図9の(b)に示すように、配管74を介して、筐体7内の第1空間、第2空間、および第3空間からエアを排出してもよい。この場合、配管74における第1空間と接する開口は、配管74における第2空間と接する開口、および第3空間と接する開口よりも狭い。したがって、このような場合であっても、第1空間から排出されるエアの風量を、第2空間および第3空間のそれぞれから排出されるエアの風量よりも小さくすることができる。つまり、第1空間の気圧を第2空間および第3空間の気圧よりも高くすることができ、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0094】
以上、一つまたは複数の態様に係る部品圧着装置について、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態およびその変形例に施したものや、上記実施の形態およびその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0095】
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、基板3は液晶パネルであって、その液晶パネルに部品5が仮圧着および本圧着されるが、基板3は液晶パネル以外の基板であってもよい。
【0096】
また、上記実施の形態およびその変形例における部品圧着装置1の部品供給部50は、TCPなどのテープから打ち抜かれた部品5を仮圧着部30に供給するが、トレイなどによってICなどの部品5を仮圧着部30に供給してもよい。
【0097】
また、上記実施の形態およびその変形例における気圧調整機構70は、図6に示すように、筐体7内において気圧分布を形成するが、筐体7内の第1空間、第2空間、第3空間、および第4空間の気圧を陽圧に保つように、エアの供給および排出を行ってもよい。これにより、筐体7に取り付けられているカバーが開けられたとしても、筐体7内が陽圧であるため、筐体7の外部のパーティクルが筐体7内に入り込み難くすることができる。
【0098】
また、上記実施の形態およびその変形例では、吸気部71および排気部72のそれぞれがファンを備えているが、何れか一方はファンを備えていなくてもよい。例えば、吸気部71がファンを備えていない場合には、その吸気部71は、例えばHEPAフィルタが配置された吸気孔として構成される。この場合、1つ以上の排気部72のファンによるエアの筐体7外への積極的な排出によって、筐体7の外部のエアは、その吸気孔およびHEPAフィルタを介して筐体7内に供給される。また、排気部72がファンを備えていない場合には、その排気部72は排気孔として構成される。この場合、1つ以上の吸気部71のファンによるエアの筐体7内への積極的な供給によって、筐体7内のエアは、その排気孔を介して筐体7の外部に排出される。
【0099】
また、上記実施の形態およびその変形例では、第1空間、第2空間、および第3空間のそれぞれの間には仕切板は配置されていないが、基板3を移動させるための移動経路を除く範囲で仕切板が配置されていてもよい。
【0100】
また、制御部10は、1つまたは複数の電子回路で構成されてもよい。1つまたは複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つまたは複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)またはLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。ICまたはLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、ICまたはLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、または、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示は、例えば液晶ディスプレイなどを生産する部品圧着装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 部品圧着装置
3 基板
4 電極部
5 部品
7 筐体
7a 第1筐体
7b 第2筐体
8 ダクト
10 制御部
20 貼着部(基板供給部)
21 基板移動機構
22 貼着機構
23 ステージ
23a 吸着孔
30 仮圧着部(部品載置部)
31 基板移動機構
32 部品搭載機構
34 圧着ツール
35 部品移送機構
36 バックアップステージ
37 ステージ
37a 吸着孔
40 本圧着部(熱圧着部)
41 基板移動機構
42 圧着機構
43 圧着ツール
46 圧着支持部
49 ステージ
49a 吸着孔
50 部品供給部
50a 供給機構
51 供給リール
52 打ち抜き部
53 可動ステージ
54 レール
61 移動ベース
62A 搬送機構
62B 搬送機構
62C 搬送機構
63 基部
64 アームユニット
70 気圧調整機構
71、71a、71b、71c、71d 吸気部
72、72a、72b、72c、72d 排気部
73、74 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9