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特開2023-58240蛍光体ホイールユニット及び投写型画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058240
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】蛍光体ホイールユニット及び投写型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230418BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G03B21/14 C
G03B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168134
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】辻 企世子
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】増田 裕行
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA45
2K203GA22
2K203GA35
2K203HA03
2K203HA30
2K203KA73
2K203KA75
2K203LA04
2K203LA13
2K203LA26
2K203LA27
2K203LA37
(57)【要約】
【課題】冷却効率を向上させた蛍光体ホイールユニット及び投写型画像表示装置を提供する。
【解決手段】蛍光体ホイールユニットは、入射した光から蛍光光を出射する蛍光体ホイールと、蛍光体ホイールを回転駆動するモータと、複数のフィンが配列され、蛍光体ホイールの回転により生成される気流の一部または全部が流入する気流入口面を有する第1の熱交換器と、蛍光体ホイールの回転により生成される気流の方向を規制する規制部材と、を備える。蛍光体ホイールの基材107fの延在方向に垂直な面上において、規制部材により規制された気流の方向と、蛍光体ホイールの回転軸に垂直な方向との間の角度は、0度以上45度以下である。規制部材により規制された気流の方向の延長上に気流入口面が配置され、第1の熱交換器によって冷却された気体が蛍光体ホイールに戻る。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光から蛍光光を出射する蛍光体ホイールと、
前記蛍光体ホイールを回転駆動するモータと、
複数のフィンが配列され、前記蛍光体ホイールの回転により生成される気流の一部または全部が流入する気流入口面を有する第1の熱交換器と、
前記蛍光体ホイールの回転により生成される気流の方向を規制する規制部材と、を備え、
前記蛍光体ホイールの基材の延在方向に垂直な面上において、前記規制部材により規制された気流の方向と、前記蛍光体ホイールの回転軸に垂直な方向との間の角度は、0度以上45度以下であり、
前記規制部材により規制された気流の方向の延長上に前記気流入口面が配置され、
前記第1の熱交換器によって冷却された気体が前記蛍光体ホイールに戻る、
蛍光体ホイールユニット。
【請求項2】
前記規制部材により規制された気流の方向は、前記蛍光体ホイールの基材の延在方向に垂直な面上において、前記蛍光体ホイールの回転軸方向と垂直な方向である、
請求項1に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項3】
前記規制部材により規制された気流の方向と前記気流入口面の法線方向とは、平行である、
請求項1または2に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項4】
前記規制部材として、前記蛍光体ホイールを収容するホイールケースを備え、
前記ホイールケースは、気体が流入する吸気口と、前記蛍光体ホイールを冷却した気体を排気する排気口とを有する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項5】
前記ホイールケースによって規制された気流の方向と、前記排気口の開口面の法線方向とが、平行である、
請求項4に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項6】
前記排気口の開口面の法線方向と、前記蛍光体ホイールの回転軸方向とが垂直である、
請求項4または5に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項7】
前記気流入口面の法線方向と前記排気口の開口面の法線方向とが、平行である、
請求項4から6のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項8】
前記ホイールケースの前記排気口の長手方向の長さは、対向する前記第1の熱交換器において前記複数のフィンが配列される方向の前記気流入口面の長さと等しい、
請求項4から7のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項9】
前記気流入口面に流入し前記第1の熱交換器を通過した気体が当たる位置に配置された壁部を備え、
前記第1の熱交換器は、前記第1の熱交換器によって冷却された気体が流出する気流出口面を備え、
前記気流入口面から前記第1の熱交換器に流入した気体は、前記壁部に当たって前記気流出口面から流出する、
請求項1から8のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項10】
前記気流入口面と前記気流出口面とは、同一面上に配置される、
請求項9に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項11】
前記気流出口面は、前記気流入口面よりも前記蛍光体ホイールの回転軸側に配置される、
請求項9に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項12】
前記蛍光体ホイールは、前記光が入射する入射面と対向する背面にフィンを備える、
請求項1から11のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項13】
前記蛍光体ホイールと、前記モータと、前記第1の熱交換器と、を収容する筐体と、
前記筐体外に配置され、複数のフィンを有する第2の熱交換器と、を備え、
前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器とが熱伝導部材で接続されている、
請求項1から12のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項14】
前記第2の熱交換器に冷却風を送るファンを備える、
請求項13に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項15】
前記蛍光体ホイールは、入射した光を通過させる孔を有する、
請求項1から14のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項16】
前記蛍光体ホイールユニットは、前記蛍光体ホイールの入射面と対向する背面側に、前記蛍光体ホイールの前記孔を通過した光を受ける光学部材を備える、
請求項15に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項17】
前記光学部材は、ミラーである、
請求項16に記載の蛍光体ホイールユニット。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1つに記載の蛍光体ホイールユニットを備える、
投写型画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光体ホイールユニットに関し、詳しくは、蛍光体ホイールを冷却するための冷却構造を有する蛍光体ホイールユニット及びそれを備える投写型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型画像表示装置は、蛍光体ホイールに光を照射することで、照射した光を、その光の色と異なる色の光に変換することができる。しかしながら、照射した光の半分近くのエネルギーは変換されずに熱になり、蛍光体ホイールが高温になるため、冷却する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1では筐体の中で風を循環させて蛍光カラーホイール(蛍光体ホイール)で温められた風を熱交換器に通して冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6773789号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年において、蛍光体ホイールユニットに照射される光量が増加する傾向にあり、蛍光体ホイールユニットの冷却効率を向上させる必要がある。
【0006】
本開示は、蛍光体ホイールユニットにおいて、冷却効率を向上させた蛍光体ホイールユニット及び投写型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の蛍光体ホイールユニットは、入射した光から蛍光光を出射する蛍光体ホイールと、蛍光体ホイールを回転駆動するモータと、複数のフィンが配列され、蛍光体ホイールの回転により生成される気流の一部または全部が流入する気流入口面を有する第1の熱交換器と、蛍光体ホイールの回転により生成される気流の方向を規制する規制部材と、を備える。蛍光体ホイールの基材107fの延在方向に垂直な面上において、規制部材により規制された気流の方向と、蛍光体ホイールの回転軸に垂直な方向との角度は、0度以上45度以下である。規制部材により規制された気流の方向の延長上に気流入口面が配置され、第1の熱交換器によって冷却された気体が蛍光体ホイールに戻る。
【0008】
本開示の投写型画像表示装置は、上述した蛍光体ホイールユニットを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示における蛍光体ホイールユニットにおいて、冷却効率を向上させた蛍光体ホイールユニット及び投写型画像表示装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の蛍光体ホイールユニットの全体正面図
図2】筐体を外した蛍光体ホイールユニットの斜視図
図3】筐体を外した蛍光体ホイールユニットの斜視図
図4】筐体を外した蛍光体ホイールユニットの正面図
図5】ホイールケースに収容された蛍光体ホイールの斜視図
図6】筐体の側壁側から見た第1の熱交換器の斜視図
図7】蛍光体ホイールユニット内の気体の流れを説明する斜視図
図8】実施の形態2の蛍光体ホイールユニットの全体斜視図
図9A】実施の形態2の筐体を外した蛍光体ホイールユニットの斜視図
図9B】実施の形態2のホイールケースの背面図
図9C】実施の形態2の変形例の蛍光体ホイールユニットの説明図
図9D】実施の形態2の変形例の蛍光体ホイールユニットの説明図
図10】実施の形態3の投写型画像表示装置1の全体構成を示す概略図
図11】第1の変形例の筐体を外した蛍光体ホイールユニットの上面図
図12】第2の変形例の筐体を外した蛍光体ホイールユニットの斜視図
図13】第3の変形例の筐体を外した蛍光体ホイールユニットの上面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、図1図4を参照して、実施の形態1を説明する。図1は、本開示の実施の形態1の蛍光体ホイールユニット100の全体正面図である。図2及び図3は、筐体101を外した状態の蛍光体ホイールユニット100の斜視図である。図4は、筐体101を外した蛍光体ホイールユニット100の正面図である。なお、各図において、励起光Ltが入射する方向をY方向とし、蛍光体ホイール107が励起光Ltを受光する平面をX方向及びX方向と直交するZ方向とで形成されるXZ平面とし、XZ平面とY方向とは直交する。
【0014】
[1-1.構成]
図1に示すように、蛍光体ホイールユニット100は、筐体101と、筐体101の外部に配置された第2の熱交換器103と、ファン105とを備える。筐体101は、例えば、金属製である。
【0015】
また、図2から図4に示すように、蛍光体ホイールユニット100は、筐体101内に、蛍光体ホイール107と、ホイールケース109と、モータ111と、第1の熱交換器113と、熱伝導部材115と、を備える。
【0016】
蛍光体ホイール107は、入射した励起光Ltを蛍光光に変換し、変換した蛍光光を出射する。蛍光体ホイール107は、励起光Ltが入射する入射面107a上に蛍光体層107bが配置されている。蛍光体層107bにおいて、入射した、例えば青域の励起光Ltから、緑域、赤域成分の色光を含む黄色域の蛍光が発光する。
【0017】
ホイールケース109は、蛍光体ホイール107を収容し、蛍光体ホイール107の回転により生成される気流の方向を規制する。ホイールケース109は、例えば、金属製である。モータ111は、回転軸Ar(図5参照)周りに蛍光体ホイール107を回転駆動する。
【0018】
第1の熱交換器113は、蛍光体ホイール107から流れ出た気流を中に通過させ、このときに気体の熱が伝導され、気体を冷却する。第1の熱交換器113は、Z方向に平行に配列された複数の矩形状のフィン113aを有する。気体がそれぞれのフィン113aの間を通過する際に、気体の熱がフィン113aに放熱される。フィン113aは熱伝導率の高い金属製であり、例えば、銅またはアルミニウムで構成されている。筐体101は密閉された空間であり、第1の熱交換器113によって冷却された気体は、蛍光体ホイール107に戻る。このように、筐体101内に蛍光体ホイール107から第1の熱交換器113を通って再び蛍光体ホイール107に循環する気流の流れが発生する。
【0019】
熱伝導部材115は、第1の熱交換器113の熱を第2の熱交換器103に伝導する。熱伝導部材115は、例えば、ヒートパイプであり、筐体101内に配置された第1の熱交換器113と筐体101外に配置された第2の熱交換器103とを接続する。
【0020】
ファン105は、第2の熱交換器103に冷却風を送ることで、第2の熱交換器103の熱を冷却風に放熱し、第2の熱交換器103の冷却効率を向上させる。このようにして、筐体101内の熱を筐体101外に効率よく放熱することができる。
【0021】
蛍光体ホイールユニット100は、さらに、入射する励起光を蛍光体ホイール107に集光する凸レンズ117を備える。
【0022】
<蛍光体ホイール>
次に、図4及び図5を参照して蛍光体ホイール107及びホイールケース109について説明する。図5は、ホイールケース109に収容された蛍光体ホイール107の斜視図である。
【0023】
蛍光体ホイール107は、金属製の基材107fを備え、基材107fは、光が入射する側に入射面107aと、入射面107aと対向する背面107cを有する。基材107fの入射面107aに、円環状の蛍光体層107bが配置されている。また、蛍光体ホイール107は、基材107fの背面107cに配置された複数のフィン107dを備える。フィン107dは、例えば、蛍光体ホイール107の外周から中心部に向けて湾曲する曲板が背面107cから起立している。フィン107dを備えることで、蛍光体ホイール107の回転により生成される風量を多くすることができる。これにより、蛍光体ホイール107の冷却効率を向上させることができる。
【0024】
ホイールケース109は、蛍光体ホイール107の背面107c側に、気体が流入する吸気口109aを有し、蛍光体ホイール107の回転軸Arの方向と垂直な方向に、蛍光体ホイール107を冷却した気体を排気する排気口109bを有する。ホイールケース109は、円盤状の蛍光体ホイール107の外周を囲む形状を有し、外周を囲む一部分に矩形の排気口109bが形成されている。したがって、蛍光体ホイール107の回転により生成される気流の方向が、ホイールケース109により規制される。蛍光体ホイール107の基材107fの延在方向に垂直な面(XY平面)上において、規制された気流の方向Daは、蛍光体ホイール107の回転軸Arの方向と垂直である。ここで、規制された気流の方向Daは、規制された気流の主方向のことであり、「垂直」とは、完全に垂直な場合と、完全に垂直な状態から±数度程度の傾いた状態も含まれる。
【0025】
吸気口109aから流入した気体に蛍光体ホイール107が放熱することで、温度が上昇した気体が排気口109bから排気される。排気口109bの開口面は、例えば、矩形形状である。排気口109bの長手方向の長さL1は、第1の熱交換器113のフィン113aが配列される方向の長さL2と実質的に同じ長さである(図4参照)。排気口109bの開口面の法線方向Nd1は、蛍光体ホイール107の回転軸Arの方向と垂直である。ここで、「垂直」とは、完全に垂直な場合と、完全に垂直な状態から±数度程度の傾いた状態も含まれる。
【0026】
<第1の熱交換器>
次に図6を参照して、第1の熱交換器113について説明する。図6は、蛍光体ホイールが配置された側から見た第1の熱交換器113の斜視図である。
【0027】
第1の熱交換器113は、蛍光体ホイール107の回転により生成される気流の一部または全部が流入する気流入口面113bを有する。気流入口面113bは、ホイールケース109の排気口109bと対向して位置しており、例えば、平行に位置している。ホイールケース109の排気口109bの開口面の法線方向Nd1と気流入口面113bの法線方向Nd2とは、平行である。ここで、「平行」とは、完全に平行な場合と、完全に平行な状態から±数度程度の傾いた状態も含まれる。これにより、ホイールケース109の排気口109bから流れ出た気流を効率よく第1の熱交換器113内に案内することができる。
【0028】
第1の熱交換器113は、第1の熱交換器113によって冷却された気体が流出する気流出口面113cを有する。実施の形態1では、第1の熱交換器113に対して蛍光体ホイール107が配置された側と反対側に筐体101の側壁101a(図7参照)が配置されているので、ホイールケース109の排気口109bから流れ出て第1の熱交換器113のそれぞれのフィン113aの間を流れる気流は、側壁101aに当たる。側壁101aに当たった気流は、再び、筐体101の内側に向けてフィン113aの間を流れ、気流出口面113cから流出する。気流入口面113bと気流出口面113cとは、同一面上に配置される。第1の熱交換器113は、筐体101の側壁101aに接触していてもよいし、離れていてもよい。また、第1の熱交換器113のフィン113aによって、側壁101aを形成していてもよい。なお、第1の熱交換器113は、それぞれのフィン113aで形成される流路空間の+X方向は、一部のカシメ部分を除いては、風の流出を遮るものはない。従って、気流入口面113bと気流出口面113cの領域の大きさは、例えばそれぞれのフィン113aの間を流れる気流の速度によって変化するものであり、気流入口面113bと気流出口面113cとの、それぞれの境界としての明確な区分けはない。図6図7では、理解のしやすさを優先して、一定の矩形形状で気流入口面113bと気流出口面113cを区分けしている。
【0029】
次に、図7を参照して、筐体101内の気流の冷却について説明する。モータ111により回転する蛍光体ホイール107は、放射方向に気流を発生させる。発生した気流は、蛍光体ホイール107により温度が上昇しており、ホイールケース109の内部形状によって流れが規制され、排気口109bの開口面から第1の熱交換器113の気流入口面113bに流入する。
【0030】
気流入口面113bに流入した気流は、第1の熱交換器113のそれぞれのフィン113aの間を通り、側壁101aに当たって向きを変えて気流出口面113cから流出する。気流入口面113bから気流出口面113cに至るまでの間に、気流は第1の熱交換器113に放熱し、冷却される。冷却された気流は、気流出口面113cからホイールケース109の吸気口109aに流入することで、筐体101内を循環し、冷却することができる。
【0031】
[1-2.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る蛍光体ホイールユニット100は、入射した励起光Ltから蛍光光を出射する蛍光体ホイール107と、蛍光体ホイール107を回転駆動するモータ111と、複数のフィン113aが配列され、蛍光体ホイール107の回転により生成される気流の一部または全部が流入する気流入口面113bを有する第1の熱交換器113と、蛍光体ホイール107の回転により生成される気流の方向を規制するホイールケース109と、を備える。蛍光体ホイール107の基材107fの延在方向に垂直な面(XY平面)上において、ホイールケース109により規制された気流の方向Daは、蛍光体ホイール107の回転軸Arの方向に垂直である。ホイールケース109により規制された気流の方向Daの延長上に気流入口面113bが配置されている。第1の熱交換器113によって冷却された気体が蛍光体ホイール107に戻る。
【0032】
蛍光体ホイール107によって温度が上昇した気体は、蛍光体ホイール107の回転により放射状に流れる。この放射状に流れる気流は、ホイールケース109により気流の方向が規制される。この規制された気流の方向Daの延長上に第1の熱交換器113の気流入口面113bが配置されているので、最も流速の速い状態の気体が第1の熱交換器113に入ることができる。これにより、第1の熱交換器113の複数のフィン113a間の全体に、流速の速い気体が流れることができるので、気体の熱を効率よく伝導させることができる。このようにして冷却された気体が蛍光体ホイール107に戻るので、蛍光体ホイール107の冷却効率を向上させることができる。
【0033】
また、蛍光体ホイールケース109により規制された気流の方向Daと第1の熱交換器113の気流入口面113bの法線方向Nd2とは、平行である。これにより、蛍光体ホイール107により流れの向きを規制された気体が、第1の熱交換器113の気流入口面113bに効率よく入ることができる。
【0034】
また、ホイールケース109の排気口109bの開口面の法線方向Nd1は、蛍光体ホイール107の回転軸Arの方向と垂直であり、気流入口面113bと排気口109bの開口面とは、平行である。これにより、ホイールケース109の排気口109bから流れ出た気流が第1の熱交換器113の気流入口面113bに垂直に流入することができるので、排気口109bから流れ出る気流の多くを第1の熱交換器113に受け入れることができる。これにより、冷却効率を向上させることができる。また、蛍光体ホイールケース109により規制された気流の方向Daと、排気口109bの開口面の法線方向Nd1とが平行である。
【0035】
また、側壁101aが、気流入口面113bに流入し第1の熱交換器113を通過した気体が当たる位置に配置され、第1の熱交換器113は、第1の熱交換器113によって冷却された気体が流出する気流出口面113cを備える。気流入口面113bから第1の熱交換器113に流入した気体は、側壁101aに当たって気流出口面113cから流出する。第1の熱交換器113を一度通過した気流を側壁101aに当てることで、蛍光体ホイール107の回転軸Ar方向に延びた複数のフィン113aの間を流すことができる。これにより、筐体101内のスペースを有効に利用し、かつ、冷却効率を向上することができる。
【0036】
また、ホイールケース109の排気口109bの長手方向の長さL1は、対向する第1の熱交換器113において複数のフィン113aが配列される方向の気流入口面113bの長さL2と等しい。したがって、ホイールケース109の排気口109bから流れ出る気流を第1の熱交換器113において複数のフィン113aの間に全体的に平均的に流入させることができる。
【0037】
また、蛍光体ホイール107は、励起光Ltが入射する入射面107aと対向する背面107cにフィン107dを備える。これにより、蛍光体ホイール107を回転させたときに発生する気流の量を増やすことができ冷却効率を向上させることができる。また、フィン107dを備えることで、蛍光体ホイール107の背面107cの表面積を増やすことができ、冷却効率を向上させることができる。
【0038】
また、筐体101は、蛍光体ホイール107と、モータ111と、第1の熱交換器113とを収容する。複数のフィン103aを有する第2の熱交換器103が筐体101外に配置されており、第1の熱交換器113と第2の熱交換器103とが熱伝導部材115で接続されている。これにより、筐体101内の第1の熱交換器113の熱を筐体101外の第2の熱交換器103に伝導し、筐体101外で放熱することができるので、第1の熱交換器113の冷却効率を向上させることができる。
【0039】
(実施の形態2)
次に、図8図9A及び図9Bを参照して、実施の形態2の蛍光体ホイールユニット100Aを説明する。図8は、実施の形態2の蛍光体ホイールユニット100Aの全体斜視図である。図9Aは、筐体101Aを外した蛍光体ホイールユニット100Aの斜視図である。図9Bは、ホイールケース109Aの背面図である。
【0040】
実施の形態2の蛍光体ホイールユニット100Aは、図8及び図9に示すように、励起光Ltを時分割で蛍光体ホイール107Aを通過させて利用する構成である。この点及び以下に説明する点を除き、実施の形態1の蛍光体ホイールユニット100と実施の形態2の蛍光体ホイールユニット100Aとは同じ構成である。実施の形態2の蛍光体ホイールユニット100Aは、1DLP方式の投写型画像表示装置に用いられる。
【0041】
図9Aに示すように、実施の形態2の蛍光体ホイール107Aは、入射面107Aa上に、蛍光体層107Abと同じ円周上に、貫通孔107Aeを2ヶ所備える。また、蛍光体ホイール107Aの入射面107Aaと対向する背面側に、蛍光体ホイール107Aの貫通孔107Aeを通過した光を受ける光学部材としてのミラー121及びミラー123が配置されている。したがって、蛍光体ホイール107Aの貫通孔107Aeを通った励起光Ltは、ミラー121で反射して進行方向を90度曲げて進行し、さらにミラー123で反射して進行方向を90度曲げて進行する。これにより、蛍光体ホイール107Aに入射した励起光Ltと反対向きの励起光Ltが時分割で蛍光体ホイールユニット100Aから出射される。また、図9Bに示すように、実施の形態2のホイールケース109Aの吸気口109Aaは、貫通孔107Aeを通ってミラー121に向かう励起光Ltの妨げとならないよう、励起光Ltが通る周辺の部分も開口を拡大したような形状となっている。したがって、背面側のホイールケース109Aにおいて、環状のホイールケース109Aの一部分が欠けた形状になっている。なお、励起光Ltのうち、貫通孔107Aeを通過する光は、実質的には励起を行わないが、ここでは、励起光として同一の符号を付与して説明している。
【0042】
蛍光体ホイールユニット100Aにおいて、実施の形態1と同様に、第1の熱交換器113が蛍光体ホイール107Aの回転軸Arと垂直方向に配置されている。したがって、蛍光体ホイール107Aの背面側にはミラー121が配置されているので、蛍光体ホイール107Aの背面側に熱交換器を配置する場合に比べて、十分の大きさの第1の熱交換器113を配置することできる。
【0043】
実施の形態2の蛍光体ホイールユニット100Aにおいても、実施の形態1と同様の効果により、蛍光体ホイール107Aから流れる気流の熱を効率よく放熱することができるため、蛍光体ホイールユニット100Aの冷却効率を向上させることができる。
【0044】
上述した実施の形態2では、蛍光体ホイール107Aの背面側に貫通孔107Aeを通過した光を受ける光学部材としてミラー121が設けられたがこれに限らない。例えば、図9Cに示すように、筐体101A内部にミラーを設けず、蛍光体ホイール107Aの背面側と対向する筐体101Aの壁面101Aaに、新たな光学部材131(例えば、光学レンズや光透過ガラス)を嵌め込むように設けて、貫通孔107Aeを通過した励起光Ltが、この光学部材131を透過して直進するような構成にしてもよい。また、図9Dに示すように、筐体101A内の蛍光体ホイール107Aの背面側と壁面101Aaとの間に、別の新たな光学部材133(例えば、ミラー以外のレンズ等)をさらに設けて、貫通孔107Aeを通過した励起光Ltが直進するような構成にしてもよい。
【0045】
(実施の形態3)
以下、図10を参照して、実施の形態3を説明する。実施の形態3は、実施の形態1の蛍光体ホイールユニット100を備える投写型画像表示装置1である。図10は、実施の形態3に係る投写型画像表示装置1の全体構成を示す概略図である。
【0046】
図10の投写型画像表示装置1は、光を供給する照明光学系10と、光を色ごとに変調する光変調ユニット330と、光変調ユニット330において生成された画像光を投写する投写光学系140と、を備える。
【0047】
照明光学系10は、複数の青色半導体レーザ(以下、「LD」と称する)201、202と複数のレンズ群210、220とを備える。レンズ群210は凸レンズ211、凹レンズ212からなり、LD201からの出射光を再平行光化するアフォーカルレンズである。また、レンズ群220は凸レンズ221、凹レンズ222からなり、LD202からの出射光を再平行化するアフォーカルレンズである。LD201及びLD202は、青域の色光を発光し、直線偏光を出射する。LD201及びLD202は、出射する光がダイクロイックミラー206の入射面に対してP偏光となるように配置している。
【0048】
LD201から出射された光は凸レンズ211及び凹レンズ212を通過した際、所望の光線幅の平行光に成形された後、拡散板204を通過後にダイクロイックミラー206に到達する。
【0049】
ダイクロイックミラー206は、P偏光の青色光を透過させ、S偏光の青色光を反射させる。また、ダイクロイックミラー206は、緑、赤成分を含む色光を反射させる。ダイクロイックミラー206へ入射するLD201の青色光はダイクロイックミラー206の入射面に対しP偏光となるよう配置していることから、LD201からの出射光はダイクロイックミラー206をそのまま透過し、コンデンサレンズ群230の方向に進行する。
【0050】
ダイクロイックミラー206にて透過した青色光は、コンデンサレンズ群230に入射する。コンデンサレンズ群230はコンデンサレンズ231、232からなり、徐々に集光しながら、蛍光体ホイールユニット100内の蛍光体ホイール107の近傍に集光スポットを形成する。
【0051】
スポット光で励起された蛍光体層107bは、例えば、緑域、赤域成分の色光を含む黄色域光を発光する。蛍光体ホイール107は、回転軸Ar周りに回転させることにより、青色励起光による蛍光体層107bの温度上昇を抑制し、蛍光変換効率を安定に維持することができる。蛍光体層107bから出射した緑域、赤域成分の色光は、偏光状態がランダムな自然光として出射され、再びコンデンサレンズ232、231で集光され、略平行光に変換されたのち、ダイクロイックミラー206で反射される。ダイクロイックミラー206にて反射された光は、コンデンサレンズ124に入射してロッドインテグレータ125に集光する。
【0052】
一方、LD202から出射された光は凸レンズ221及び凹レンズ222を通過した際、所望の光線幅の略平行光に成形された後、ミラー203にて方向を変えられた後、拡散板205を通過後、ダイクロイックミラー206に到達する。ダイクロイックミラー206へ入射するLD202の青色光も同様にダイクロイックミラー206の入射面に対しP偏光となるよう配置していることから、LD202からの出射光はダイクロイックミラー206をそのまま透過し、コンデンサレンズ124に入射してロッドインテグレータ125に集光する。
【0053】
このようにして、蛍光体ホイール250から出射した緑域成分と赤域成分を含む黄域の色光と、LD202からの青域成分の色光が、ダイクロイックミラー206にて合成され、白色光としてロッドインテグレータ125に入射する。これら赤域成分、緑域成分、青域成分の色光は良好な3原色を示し、これらの色光は色合成により良好なホワイトバランスの発光特性を得ることができることに加え、DMD146にてON/OFF制御を行うことで所望の色度座標の色に変換することができる。
【0054】
ロッドインテグレータ125は、ガラスなどの透明部材によって構成される中実材のロッドである。ロッドインテグレータ125は、入射する光を内部で複数回反射させることにより、光強度分布を均一化した光を生成する。なお、ロッドインテグレータ125は、内壁がミラー面によって構成される中空材のロッドであってもよい。
【0055】
レンズ126、127、128は、ロッドインテグレータ125からの出射光をDMD146に略結像するリレーレンズである。ロッドインテグレータ125を出射した光は
レンズ126、127、128を透過し、ミラー134、135で反射されたのち、内部全反射プリズム(以下、「TIRプリズム」と称する)130に入射する。TIRプリズム130は略三角柱状のプリズムで構成され、プリズム内を臨界角以上の角度で入射する光を全反射する。ミラー135からTIRプリズム130に入射した光は、このプリズム面で全反射され、光変調ユニット330の色分離合成プリズム340に入射する。
【0056】
光変調ユニット330は、入射した光の色を分離する色分離合成プリズム340と、分離された光を変調する光変調素子としてのDMD146B、146R、146Gを備える。
【0057】
色分離合成プリズム340は3つのプリズム340B、340R、340Gから構成され、プリズム340Bにおけるプリズム340Rとの近接面には青域反射ダイクロイックコート層185が、プリズム340Rにおけるプリズム340Gとの近接面には赤域反射ダイクロイックコート層186が形成されている。プリズム340Bは略三角柱状のプリズムであり、TIRプリズム130から入射した光はプリズム340Bを通過した後、青域反射ダイクロイックコート層185に到達する。
【0058】
一方、赤域反射ダイクロイックコート層186は赤域光に相当する波長を反射し、その他の光(緑域光、青域光)を透過するよう構成している。TIRプリズム130から入射し、青域反射ダイクロイックコート層185に到達した白色の色光は、色分離合成プリズム340内のプリズム340Bに設けた青域反射ダイクロイックコート層185に入射し、青域成分の色光は反射された後、プリズム340B表面にて全反射された後にDMD146Bに略結像する。
【0059】
一方、緑域及び赤域成分の色光は青域反射ダイクロイックコート層185を透過した後、プリズム340Rに入射する。プリズム340Rは略三角柱状のプリズムであり、プリズム340Bから入射した光はプリズム340Rを通過した後、赤域反射ダイクロイックコート層186に到達する。到達した緑域及び赤域成分の色光は、赤域反射ダイクロイックコート層186にて、赤域成分の色光が反射された後、プリズム340Rとプリズム340Bとの間に設けた空隙によりプリズム340R表面にて全反射された後にDMD146Rに略結像する。
【0060】
赤域反射ダイクロイックコート層186にて反射されなかった緑域成分の色光はプリズム340Gに入射する。プリズム340Rは略四角柱状のプリズムであり、プリズム340Gを通過後にDMD146Gに略結像する。
【0061】
画像信号等の各種制御信号に基づき、DMD146B、146R、146Gを変調させ、光強度の異なる画像光を生成する。具体的にはDMD146B、146R、146Gは、複数の可動式の微小ミラーを有する。各微小ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMD146B、146R、146Gは各種制御信号に基づいて各微小ミラーの角度を変更することにより、反射光を投写光学系140に向けるか否かを切り替える。
【0062】
DMD146Bで反射された青域の色光は、プリズム340Bに再び入射しプリズム340B表面にて全反射された後に青域反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青域反射ダイクロイックコート層185にて反射された光はプリズム340Bを通過後、画像として投影する光(DMD-ON光)は投写光学系140に入射したのちに投影面400に出射され、画像として投影しない光(DMD-OFF光)は投写光学系140に入射せずプリズム340Bより出力される。
【0063】
DMD146Rで反射された赤域の色光は、プリズム340Rに再び入射しプリズム340R表面にて全反射された後に赤域反射ダイクロイックコート層186に再入射する。赤域反射ダイクロイックコート層186にて反射された光はプリズム340Rを通過後、プリズム340Bに設けられた青域反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青域反射ダイクロイックコート層185にて透過された光はプリズム340Bを通過後、画像として投影する光(DMD-ON光)は投写光学系140に入射したのちに投影面400に出射され、画像として投影しない光(DMD-OFF光)は投写光学系140に入射せずプリズム340Bより出力される。
【0064】
DMD146Gで反射された緑域の色光は、プリズム340Gに再び入射した後、赤域反射ダイクロイックコート層186に再入射する。赤域反射ダイクロイックコート層186にて透過された光はプリズム340Rを通過後、プリズム340Bに設けられた青域反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青域反射ダイクロイックコート層185にて透過された光はプリズム340Bを通過後、画像として投影する光(DMD-ON光)は投写光学系140に入射したのちに投影面400に出射され、画像として投影しない光(DMD-OFF光)は投写光学系140に入射せずプリズム340Bより出力される。
【0065】
投写光学系140は、複数の投写レンズを備え、色分離合成プリズム340から出射された色合成された光を拡大する。このようにして、DMD146B、146R、146Gにて反射されたDMD-ON光は色分離合成プリズム340内で青域、緑域、赤域の各色光が再度色合成された後、投写光学系140を通して投影面400に到達しフルカラー画像として知覚される。なお、画像には、静止画像と動画像の両方が含まれる。
【0066】
蛍光体ホイールユニット100を備える投写型画像表示装置1は、蛍光体ホイールユニット100の冷却効率を向上させることができるので、LD201の出射光から得られる黄色域光の光量を増やすことができ、より輝度の高い画像を投写することができる。なお、実施の形態3の投写型画像表示装置1は、3DLP方式の投写型画像表示装置であったが、1DLP方式の投写型画像表示装置でもよい。
【0067】
(他の実施の形態)
以上のように、本開示における技術の例示として、上記実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0068】
上述した実施の形態では、第1の熱交換器113の気流入口面113bと気流出口面113cとは同一平面上に配置されていたがこれに限らない。図11に示す第1の変形例のように、変形例の蛍光体ホイールユニット100Bにおいて、第1の熱交換器113Bの気流出口面113Bcは、気流入口面113Bbよりも、蛍光体ホイール107の回転軸ArとのX方向距離が小さくなるように配置されてもよい。つまり、第1の熱交換器113Bのフィン113BaがL字形状を有し、フィン113Baが排気口109b側よりもモータ111側に突出するように、第1の熱交換器113Bを配置してもよい。
【0069】
この構成によれば、実施の形態1よりも、第1の熱交換器113Bを大型化することができるので、冷却効率をより向上させることができる。
【0070】
上述した実施の形態では、第1の熱交換器113の気流入口面113bは、ホイールケース109の排気口109bの開口面とは平行であったがこれに限らない。図12に示す第2の変形例ように、第1の熱交換器113Cの気流入口面113Cbがホイールケース109の排気口109bの開口面と対向するように配置されていれば、平行でなくてもよい。この場合でも、ホイールケース109により規制された気流の方向Daの延長上に気流入口面113Cbが配置されているので、排気口109bから流れ出る風速の速い気流を気流入口面113Cbに流入させることができる。これにより、冷却効率を向上させることができる。また、第2の変形例では、第1の熱交換器113Cは、気流出口面113Ccに加え、気流出口面113Cdも有している。こうすることで、フィン113Caの角部にも風を行きわたらせることができるので、気体の熱をより効率よく第1の熱交換器113Cに伝導させることができる。
【0071】
上述した実施の形態では、ホイールケース109から流れ出る気流の方向は、蛍光体ホイール107の回転軸Ar方向と垂直な方向に規制されていたが、これに限らない。図13に示す第3の変形例のように、蛍光体ホイール107の基材107fの延在方向に垂直な面(XY平面)上において、ホイールケース109Dにより規制された気流の方向が、蛍光体ホイール107の回転軸Ar方向と交差する方向であればよい。例えば、ホイールケース109Dが、回転軸Arに垂直な面Saに対して、蛍光体ホイール107の基材107fの延在方向に垂直な面(XY平面)上において角度θを有する方向に延びる吹き出し口109Dcを有していてもよい。これにより、排気口109Dbから流れ出る、ホイールケース109Dにより規制された気流の方向は、回転軸Arの方向に対して傾斜した方向になり、第1の熱交換器113Dの気流入口面113Dbに対して斜めに流入する。蛍光体ホイール107の基材107fの延在方向に垂直な面(XY平面)上において、ホイールケース109Dにより規制された気流の方向と、蛍光体ホイール107の回転軸Arに垂直な面Saとの角度θは、例えば、0度以上45度以下である。なお、熱交換器113Dは、第2の変形例のように、回転軸Arに対して傾斜して配置してもよい。これにより、排気口109Dbから流れ出る、ホイールケース109Dにより規制された気流を、第1の熱交換器113Dの気流入口面113Dbに対して垂直に流入することができる。また、ホイールケース109Dの吹き出し口109Dcは、一部が回転軸Arに垂直に延び、一部が回転軸Arに垂直な面Saに対して、鋭角の角度θを有する方向に延びてもよい。
【0072】
上述した実施の形態では、ホイールケース109が、蛍光体ホイール107の回転により生成される気流の方向を規制する規制部材として機能していたがこれに限らない。例えば、ホイールケース109の代わりに、モータ111と蛍光体ホイール107との間に壁部を配置して、さらに、筐体101の壁を利用して規制部材として構成してもよい。
【0073】
上述した実施の形態では、蛍光体ホイール107の背面107cにフィン107dが配置されていたがこれに限らない。蛍光体ホイール107は、フィン107dを有していなくてもよい。蛍光体ホイール107がフィン107dを備えていなくても、蛍光体ホイール107が回転すると、蛍光体ホイール107の放射方向に気流が発生する。
【0074】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0075】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0076】
(実施の形態の概要)
(1)本開示の蛍光体ホイールユニットは、入射した光から蛍光光を出射する蛍光体ホイールと、蛍光体ホイールを回転駆動するモータと、複数のフィンが配列され、蛍光体ホイールの回転により生成される気流の一部または全部が流入する気流入口面を有する第1の熱交換器と、蛍光体ホイールの回転により生成される気流の方向を規制する規制部材と、を備える。蛍光体ホイールの基材107fの延在方向に垂直な面上において、規制部材により規制された気流の方向と、蛍光体ホイールの回転軸に垂直な方向との間の角度は、0度以上45度以下である。規制部材により規制された気流の方向の延長上に気流入口面が配置される。熱交換器によって冷却された気体が蛍光体ホイールに戻る。
【0077】
蛍光体ホイールの回転により放射状に流れる気流は、規制部材により気流の方向が規制される。この規制された気流の方向の延長上に第1の熱交換器の気流入口面が配置されているので、最も流速の速い状態の気体が第1の熱交換器に入ることができる。これにより、第1の熱交換器の複数のフィン間の全体に、流速の速い気体が流れることができるので、気体の熱を効率よく伝導させることができる。また、このようにして冷却された気体が蛍光体ホイールに戻るので、蛍光体ホイールの冷却効率を向上させることができる。
【0078】
(2)(1)の蛍光体ホイールユニットにおいて、規制部材により規制された気流の方向は、蛍光体ホイールの基材107fの延在方向に垂直な面上において、蛍光体ホイールの回転軸方向と垂直な方向である。これにより、回転軸Ar方向には気流の流れを規制していないので、規制部材での気流の圧力損失を低減して気流を流出することができ、気流の速度の低減を抑制することができる。
【0079】
(3)(1)または(2)の蛍光体ホイールユニットにおいて、規制部材により規制された気流の方向と第1の熱交換器の気流入口面の法線方向とは、平行である。
【0080】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、規制部材として、蛍光体ホイールを収容するホイールケースを備え、ホイールケースは、気体が流入する吸気口と、蛍光体ホイールを冷却した気体を排気する排気口とを有する。
【0081】
(5)(4)の蛍光体ホイールユニットにおいて、ホイールケースによって規制された気流の方向と、排気口の開口面の法線方向とが平行である。
【0082】
(6)(4)または(5)の蛍光体ホイールユニットにおいて、排気口の開口面の法線方向と、蛍光体ホイールの回転軸方向とが垂直である。
【0083】
(7)(4)から(6)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、気流入口面の法線方向と排気口の開口面の法線方向とが、平行である。
【0084】
(8)(4)から(7)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、ホイールケースの排気口の長手方向の長さは、対向する第1の熱交換器において複数のフィンが配列される方向の気流入口面の長さと等しい。
【0085】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、第1の熱交換器の気流入口面に流入し第1の熱交換器を通過した気体が当たる位置に配置された壁部を備える。第1の熱交換器は、第1の熱交換器によって冷却された気体が流出する気流出口面を備える。気流入口面から第1の熱交換器に流入した気体は、壁部に当たって気流出口面から流出する。
【0086】
(10)(9)の蛍光体ホイールユニットにおいて、第1の熱交換器の気流入口面と気流出口面とは、同一面上に配置される。
【0087】
(11)(9)の蛍光体ホイールユニットにおいて、第1の熱交換器の気流出口面は、気流入口面よりも蛍光体ホイールの回転軸との距離が近くなるように配置される。
【0088】
(12)(1)から(11)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、蛍光体ホイールは、光が入射する入射面と対向する背面にフィンを備える。
【0089】
(13)(1)から(12)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、蛍光体ホイールと、モータと、第1の熱交換器と、を収容する筐体と、筐体外に配置され、複数のフィンを有する第2の熱交換器と、を備える。第1の熱交換器と第2の熱交換器とが熱伝導部材で接続されている。
【0090】
(14)(13)の蛍光体ホイールユニットにおいて、第2の熱交換器に冷却風を送るファンを備える。
【0091】
(15)(1)から(14)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットにおいて、蛍光体ホイールは、入射した光を通過させる孔を有する。
【0092】
(16)(15)の蛍光体ホイールユニットにおいて、蛍光体ホイールユニットは、蛍光体ホイールの入射面と対向する背面側に、蛍光体ホイールの孔を通過した光を受ける光学部材を備える。
【0093】
(17)(16)の蛍光体ホイールユニットにおいて、光学部材は、ミラーである。
【0094】
(18)本開示の投写型画像表示装置は、(1)から(17)のいずれか1つの蛍光体ホイールユニットを備える。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示は、光を入射させて蛍光光を出射する蛍光体ホイールユニット及びそれを備える投写型画像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
100、100A 蛍光体ホイールユニット
101、101A 筐体
101a 側壁
103 第2の熱交換器
103a フィン
105 ファン
107、107A 蛍光体ホイール
107a、107Aa 入射面
107b、107Ab 蛍光体層
107c 背面
107d フィン
107Ae 貫通孔
109、109A、109D ホイールケース
109a、109Aa 吸気口
109b、109Db 排気口
111 モータ
113、113B、113C、113D 第1の熱交換器
113a、113Ba、113Ca フィン
113b、113Bb、113Cb、113Db 気流入口面
113c、113Bc、113Cc、113Cd 気流出口面
115 熱伝導部材
117 凸レンズ
121、123 ミラー
Ar 回転軸
Lt 励起光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13