(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058264
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】瞳観察方法、撮像方法、および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230418BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168174
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】宮井 博基
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 治彦
(72)【発明者】
【氏名】武久 究
【テーマコード(参考)】
2G051
2H197
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA56
2G051AB20
2G051BA05
2G051BA10
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB07
2G051BC05
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051CB02
2H197CC02
2H197DC12
2H197DC13
2H197DC15
2H197DC18
2H197GA08
2H197GA23
(57)【要約】
【課題】結像光学系の周辺に追加光学系を配置する必要のない瞳観察方法、撮像方法、および撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る瞳観察方法は、照明光学系13および結像光学系15を備える光学系における瞳観察方法である。本発明に係る瞳観察方法は、照明光学系13を通過した第1の瞳強度分布を撮像するステップと、照明光学系13の瞳にピンホールを設置して、瞳をピンホールでスキャンし、ピンホールの位置ごとの結像光学系15の出射光の強度を、第2の瞳強度分布として測定するステップと、第1の瞳強度分布および第2の瞳強度分布に基づいて、第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、結像光学系15を通過した第3の瞳強度分布を算出するステップと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光学系および結像光学系を備える光学系における瞳観察方法であって、
前記照明光学系を通過した第1の瞳強度分布を撮像するステップと、
前記照明光学系の瞳にピンホールを設置して、前記瞳を前記ピンホールでスキャンし、前記ピンホールの位置ごとの前記結像光学系の出射光の強度を、第2の瞳強度分布として測定するステップと、
前記第1の瞳強度分布および前記第2の瞳強度分布に基づいて、前記第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、前記結像光学系を通過した第3の瞳強度分布を算出するステップと、
を含む瞳観察方法。
【請求項2】
前記光学系は、EUV(Extreme Ultraviolet)光学系である、
請求項1に記載の瞳観察方法。
【請求項3】
前記第2の瞳強度分布を測定するステップは、
前記第1の瞳強度分布と前記第2の瞳強度分布の積に基づいて、前記第3の瞳強度分布を算出する、
請求項1または2のいずれかに記載の瞳観察方法。
【請求項4】
前記第1の瞳強度分布を撮像するステップは、
前記照明光学系の出射光の進行方向に対して、観察対象より先に配置された第1撮像部を用いて、前記第1の瞳強度分布を撮像する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の瞳観察方法。
【請求項5】
前記第2の瞳強度分布を測定するステップは、
前記観察対象を用いて前記照明光学系の出射光を反射させ、前記第2の瞳強度分布を測定する、
請求項4に記載の瞳観察方法。
【請求項6】
照明光学系および結像光学系を備える光学系を用いて観察対象を撮像する撮像方法であって、
前記照明光学系を通過した第1の瞳強度分布を撮像するステップと、
前記照明光学系の瞳にピンホールを設置して、前記瞳を前記ピンホールでスキャンし、前記ピンホールの位置ごとの前記結像光学系の出射光強度を、第2の瞳強度分布として測定するステップと、
前記第1の瞳強度分布および前記第2の瞳強度分布に基づいて、前記第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、前記結像光学系を通過した第3の瞳強度分布を算出するステップと、
前記光学系を用いて前記観察対象を撮像するステップと、
を含む撮像方法。
【請求項7】
前記光学系は、EUV(Extreme Ultraviolet)光学系である、
請求項6に記載の撮像方法。
【請求項8】
照明光学系および結像光学系を備える光学系と
前記照明光学系を通過した第1の瞳強度分布を撮像する第1撮像部と、
前記照明光学系の瞳にピンホールを設置して、前記瞳を前記ピンホールでスキャンする瞳制御部と、
前記結像光学系の出射光を検出する第2撮像部と、
前記ピンホールの位置ごとの前記出射光の強度を第2の瞳強度分布として測定する測定部と、
前記第1の瞳強度分布および前記第2の瞳強度分布に基づいて、前記第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、前記結像光学系を通過した第3の瞳強度分布を算出する算出部と、
を備える撮像装置。
【請求項9】
前記光学系は、EUV(Extreme Ultraviolet)光学系である、
請求項8に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瞳観察方法、撮像方法、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスク等の観察対象を観察する光学装置が、像面を観察する機能に加えて瞳を観察する機能を備える場合がある。特許文献1は、ベルトランレンズを用いて光学系を通過した瞳強度分布を測定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-271186号公報
【特許文献2】特表2020-520481号公報
【特許文献3】特表2020-522124号公報
【特許文献4】特表2019-529971号公報
【特許文献5】特表2016-534381号公報
【特許文献6】特開平07-333164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学装置における瞳強度分布を測定する場合、結像光学系の周辺にミラーやレンズ(例えば、ベルトランレンズ)を含む追加光学系を配置する必要があるという問題がある。特にEUV(Extreme Ultraviolet)光学系では使用可能な光学素子とそのサイズに制限があるため、追加光学系を適切な位置に配置することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、結像光学系の周辺に追加光学系を配置する必要のない瞳観察方法、撮像方法、および撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る瞳観察方法は、
照明光学系および結像光学系を備える光学系における瞳観察方法であって、
前記照明光学系を通過した第1の瞳強度分布を撮像するステップと、
前記照明光学系の瞳にピンホールを設置して、前記瞳を前記ピンホールでスキャンし、前記ピンホールの位置ごとの前記結像光学系の出射光の強度を、第2の瞳強度分布として測定するステップと、
前記第1の瞳強度分布および前記第2の瞳強度分布に基づいて、前記第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、前記結像光学系を通過した第3の瞳強度分布を算出するステップと、
を含む。
【0007】
また、本発明に係る撮像方法は、
照明光学系および結像光学系を備える光学系を用いて観察対象を撮像する撮像方法であって、
前記照明光学系を通過した第1の瞳強度分布を撮像するステップと、
前記照明光学系の瞳にピンホールを設置して、前記瞳を前記ピンホールでスキャンし、前記ピンホールの位置ごとの前記結像光学系の出射光強度を、第2の瞳強度分布として測定するステップと、
前記第1の瞳強度分布および前記第2の瞳強度分布に基づいて、前記第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、前記結像光学系を通過した第3の瞳強度分布を算出するステップと、
前記光学系を用いて前記観察対象を撮像するステップと、
を含む。
【0008】
また、本発明に係る撮像装置は、
照明光学系および結像光学系を備える光学系と、
前記照明光学系を通過した第1の瞳強度分布を撮像する第1撮像部と、
前記照明光学系の瞳にピンホールを設置して、前記瞳を前記ピンホールでスキャンする瞳制御部と、
前記結像光学系の出射光を検出する第2撮像部と、
前記ピンホールの位置ごとの前記出射光の強度を第2の瞳強度分布として測定する測定部と、
前記第1の瞳強度分布および前記第2の瞳強度分布に基づいて、前記第2の瞳強度分布よりも解像度が高い、前記結像光学系を通過した第3の瞳強度分布を算出する算出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結像光学系の周辺に追加光学系を配置する必要のない瞳観察方法、撮像方法、および撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1にかかる撮像装置の概略構成図である。
【
図2】実施形態1にかかる撮像装置の構成例を示す概略構成図である。
【
図3】実施形態1にかかる瞳観察方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1にかかる撮像装置10の構成を示す概略構成図である。撮像装置10は、光源11、瞳制御部12、照明光学系13、第1撮像部14、結像光学系15、第2撮像部16、および処理装置17を備えている。
【0013】
撮像装置10は、照明光学系13および結像光学系15を含む光学系を用いて観察対象20を撮像する機能に加え、後述する第3の瞳強度分布を算出する機能を備える。第3の瞳強度分布は、後述する第1の瞳強度分布および後述する第2の瞳強度分布に基づいて算出される。
【0014】
観察対象20はステージ(不図示)に搭載されている。観察対象20は、例えばEUV(Extreme Ultraviolet)マスクである。なお、観察対象20は、フォトマスクに限られるものではなく、その他の観察対象(例えば、ウェーハ)であってもよい。
【0015】
観察対象20の撮像時、観察対象20は、後述する照明光学系13の照明領域に配置されている。一方、後述する第1の瞳強度分布の撮像時、後述する第1撮像部14が撮像を行うため、観察対象20は照明領域から退避されていてもよい。また、後述する第2の瞳強度分布の測定時、後述する第2撮像部16が測定を行うために、観察対象20を用いて照明光を反射させてもよい。具体的には、観察対象20がEUVマスクである場合、EUVマスクのマルチレイヤを用いて、照明光を反射させてもよい。
【0016】
光源11は、照明光L11を発生する。光源11は、ランプ光源、LED(Light Emitting Diode)光源、レーザ光源などである。光源11は、EUV光を発生させてもよい。光源11からの照明光L11は、瞳制御部12に入射する。
【0017】
瞳制御部12は、後述する第2の瞳強度分布の測定時、後述する照明光学系13の瞳にピンホールを設置して、瞳をピンホールでスキャンする。例えば、瞳制御部12は、照明光L11が通過するアパーチャ(不図示)を備えており、アパーチャ(不図示)をピンホールでスキャンする。アパーチャ(不図示)は、複数の光が透過する領域を持ち、任意の瞳分布を実現するプレート、例えばシグマアパーチャプレートを指す。
【0018】
瞳制御部12は、
図1に示すように、ピンホール1211を有するプレート121を備えていてもよい。プレート121は、照明光L11の進行方向に対して垂直に配置される。瞳制御部12は、プレート121を移動させることで、矢印で示されるように、瞳30をピンホール1211でスキャンする。
【0019】
なお、アパーチャ(不図示)の位置は、
図1の瞳制御部12の内部には限定されない。後述する照明光学系13の内部に、アパーチャ(不図示)が含まれていてもよい。
【0020】
照明光学系13は、照明光L11をステージ(不図示)上に導く光学系である。照明光学系13がEUV光学系である場合、照明光学系13は、反射光学系であり、ミラーを用いて照明光L11をステージ(不図示)上に導く。
【0021】
第1撮像部14は、照明光学系13を通過した第1の瞳強度分布を撮像する。第1撮像部14は、撮像素子観察側とも称される。上述の通り、観察対象20は、このとき撮像領域から退避していてもよい。第1撮像部14は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal―Oxide Semiconductor)等の2次元イメージセンサである。第1撮像部14は、後述する処理装置17に第1の瞳強度分布を出力する。
【0022】
第1撮像部14は、照明光学系13の出射光の進行方向に対して、観察対象20より先に配置されている。換言すると、照明光学系13が観察対象20より上側に配置されている場合、第1撮像部14は観察対象20より下側に配置されており、第1の瞳強度分布を下から撮像する。
【0023】
第1の瞳強度分布は、後述する第2の瞳強度分布よりも解像度が高い。しかし、第1の瞳強度分布は結像光学系15を通過した瞳強度分布ではないため、第1の瞳強度分布の撮像は、撮像装置10の光学系全体の瞳観察方法としては理想的ではない。
【0024】
結像光学系15は、観察対象20によって反射された反射光L12を集光し、出射光L13を出射する。観察対象20の撮像時だけでなく、後述する第2の瞳強度分布の測定時にも、反射光L12は結像光学系15を通過する。結像光学系15は、対物レンズ、反射型対物ミラーであってもよい。
【0025】
第2撮像部16は、結像光学系15の出射光L13を検出し、電気信号を処理装置17に出力する。第2撮像部16は、CCDカメラやCMOSイメージセンサなどである。第2撮像部16の検出結果は、観察対象20の撮像だけでなく、後述する第2の瞳強度分布の測定にも用いられる。
【0026】
処理装置17は、プロセッサやメモリなどを備えたコンピュータである。処理装置17は、測定部171および算出部172を備えている。
【0027】
測定部171は、第2撮像部16による検出結果を受け取り、ピンホール1211の位置ごとの出射光L13の強度を、第2の瞳強度分布として測定する。出射光L13の強度は、第2撮像部16における信号強度の積算値として検出されてもよい。測定部171は、第2の瞳強度分布の測定結果を、後述する算出部172に出力する。
【0028】
第2の瞳強度分布は、結像光学系15を通過した瞳強度分布ではあるが、第1の瞳強度分布よりも解像度が低い。解像度を上げるためにピンホール1211のサイズを小さくすると、第2撮像部16での信号強度が小さくなり、測定精度が低下するからである。したがって、第2の瞳強度分布の測定は、撮像装置10の光学系の瞳観察方法としては理想的ではない。
【0029】
算出部172は、第1の瞳強度分布および第2の瞳強度分布に基づいて、第3の瞳強度分布を算出する。第3の瞳強度分布は、結像光学系15を通過した瞳強度分布であり、第2の瞳強度分布よりも解像度が高い。第3の瞳強度分布を算出することにより、撮像装置10の光学系の瞳をより適切に観察できる。
【0030】
算出部172は、具体的には、第1の瞳強度分布と第2の瞳強度分布の積に基づいて第3の瞳強度分布を算出できる。算出部172は、第1の瞳強度分布または第2の瞳強度分布を正規化した後、両者の積を算出してもよい。
【0031】
撮像装置10は、第3の瞳強度分布を算出する機能に加えて、観察対象20を撮像する機能を備える。撮像装置10によると、第3の瞳強度分布を用いて光学系の瞳の状態を観察し、観察対象20の撮像が適切に行われているか否かを判断できる。
【0032】
撮像装置10は、上述した第1の瞳強度分布および上述した第2の瞳強度分布に基づいて、第3の瞳強度分布を算出する。したがって、撮像装置10は、結像光学系15の周辺に追加光学系を配置することなく、適切に瞳を観察できる。換言すると、撮像装置10によると、光学系の設置空間を最小化しつつ、結像光学系を通過した瞳を観察できる。
【0033】
次に、
図2を参照して、光学系がEUV光学系である場合について詳細に説明する。
図2は、撮像装置10aの構成を示す概略図である。撮像装置10aは、上述した撮像装置10の具体例である。観察対象20は、EUVマスクであり、照明光を反射するマルチレイヤを備える。EUVマスクには、ペリクルが取り付けられていてもよい。
【0034】
撮像装置10aは、光源11、瞳制御部12、反射光学系131、ベンディングミラー132、第1撮像部14、結像光学系15、第2撮像部16、および処理装置17を備えている。
図2では、説明の明確化のため、XYZの3次元直交座標系を示している。なお、Z方向が鉛直方向であり、観察対象20の厚さ方向と平行な方向である。したがって、Z方向が高さ方向となる。
【0035】
以下では、
図1と異なる点を中心に説明する。光源11は、EUV光を発生するEUV源である。瞳制御部12は、
図2において瞳制御部12の上に示すように、ピンホール1211を有するプレート121を備えている。また、瞳制御部12は、
図2において瞳制御部12の下に示すように、パターンが形成されたシグマアパーチャプレート122を備えている。プレート121およびシグマアパーチャプレート122は、Y軸に対して垂直に配置される。瞳制御部12は、第2の瞳強度分布の測定時、プレート121をXZ面内で移動させることで、照明光L11の瞳30をスキャンする。
【0036】
反射光学系131およびベンディングミラー132は、上述した照明光学系13を構成する。反射光学系131およびベンディングミラー132は、照明光L11を観察対象が配置されたステージ上に導く。
【0037】
第1撮像部14は、観察対象20よりもZ軸負方向側に位置しており、第1の瞳強度分布を撮像する。
図2において第1撮像部14の下に示す画像は、第1の瞳強度分布P1を示している。光強度はグレースケールで表されている。第1の瞳強度分布P1は、白抜き矢印で示すように、シグマアパーチャプレート122に形成されたパターンを含んでいる。
【0038】
結像光学系15は、観察対象20で反射された反射光L12を集光し、第2撮像部16に入射させる。第2撮像部16は、例えば、CCDセンサである。瞳制御部12におけるピンホール1211の位置と、第2撮像部16における検出結果に基づいて、第2の瞳強度分布が測定される。
図2において結像光学系15の上に示す画像は、第2の瞳強度分布P2を示している。第2の瞳強度分布P2は、第1の瞳強度分布P1よりも解像度が低い画像である。白抜き矢印で示すように、第2の瞳強度分布P2は、瞳制御部12におけるスキャンによって測定される。
【0039】
処理装置17は、以下の式(1)および式(2)を用いて、第1の瞳強度分布と、正規化された第2の瞳強度分布との積を、第3の瞳強度分布として算出する。
図2において処理装置17の上に示す画像は、第3の瞳強度分布P3を示している。点線の領域は瞳に対応している。
【数1】
【数2】
P1(x,y)は第1の瞳強度分布を表し、P2(x,y)は第2の瞳強度分布を表し、P3(x,y)は第3の瞳強度分布を表す。PID(x,y)は、正規化した第2の瞳強度分布を表している。P1(x,y)は、ステージ上での瞳観察結果とも呼ばれる。P2(x、y)は、ピンホール1211の位置つまりプレート121の位置(x、y)ごとに、第2撮像部16の受光範囲全体における光子数をカウントしたものである。
【0040】
次に、
図3を参照して、実施形態にかかる瞳観察方法の流れについて説明する。
図3は、実施形態にかかる瞳観察方法の流れを例示するフローチャートである。ステップS201~ステップS204は第2の瞳強度分布を測定するステップを示し、ステップS101は第1の瞳強度分布を測定するステップを示し、ステップS301は第3の瞳強度分布を算出するステップを示す。ステップS201~S204とステップS101の順序は逆であってもよい。観察対象20はEUVマスクであり、マルチレイヤを備えているものとする。
【0041】
ステップS201では、観察対象20が搭載されたステージを移動させ、照明光L11をマルチレイヤで反射させる。なお、ミラー等を用いて照明光L11を反射させてもよい。
【0042】
ステップS202では、シグマアパーチャプレート122をピンホール1211でスキャンする。このとき、ステップS203に示すように、第2撮像部16に入射された光子数をカウントする。
【0043】
ステップS204では、第2の瞳強度分布を決定する。第2の瞳強度分布は、第1の瞳強度分布を較正して第3の瞳強度分布を算出するために用いられる。
【0044】
ステップS101では、第1撮像部14を用いて、第1の瞳強度分布を撮像する。上述の通り、第1の瞳強度分布は、結像光学系を通らない瞳強度分布を表す。ステップS101の前に、観察対象20を照明領域から退避させてもよい。
【0045】
ステップS301では、第1の瞳強度分布および第2の瞳強度分布に基づいて、第3の瞳強度分布が算出される。第3の瞳強度分布は、結像光学系を通過した瞳の強度分布であり、解像度が第2の瞳強度分布よりも高い。
【0046】
最後に実施形態にかかる瞳観察方法が奏する効果について説明する。撮像装置において、光学系全体の瞳強度分布を測定するためには、撮像素子の手前の瞳強度分布を測定するのが理想的である。しかし、高倍率の拡大像を得る場合、瞳の物理的な位置が結像光学系の構成物に近いこと、および瞳のサイズが小さいことにより、瞳を直接観察することは困難であった。また、レンズやミラーを光学系に配置して瞳強度分布を撮像素子に投影することも可能であるが、追加光学系を適切な位置に配置することが、物理的に困難であった。
【0047】
実施形態にかかる瞳観察方法によると、解像度が高い第1の瞳強度分布、および解像度が低い第2の瞳強度分布に基づいて、光学系全体の瞳強度分布を適切に算出できる。特に、透過型レンズを使用することができないEUV光学系においても、光学系全体の瞳を適切に観察できる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0049】
10、10a 撮像装置
11 光源
12 瞳制御部
121 プレート
1211 ピンホール
122 シグマアパーチャプレート
13 照明光学系
131 反射光学系
132 ベンディングミラー
14 第1撮像部
15 結像光学系
16 第2撮像部
17 処理装置
171 測定部
172 算出部
20 観察対象
30 瞳
L11 照明光
L12 反射光
L13 出射光
P1 第1の瞳強度分布
P2 第2の瞳強度分布
P3 第3の瞳強度分布