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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058271
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】監視カメラ
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20230418BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20230418BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230418BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230418BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20230418BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230418BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20230418BHJP
【FI】
H04N5/225 430
H04N5/225 200
G03B15/00 S
G03B15/00 P
G03B17/02
G03B17/08
G03B17/56 A
G03B19/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168185
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾又 章斗
(72)【発明者】
【氏名】田坂 浩一
(72)【発明者】
【氏名】片岡 哲志
【テーマコード(参考)】
2H054
2H100
2H101
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB05
2H054BB07
2H100AA61
2H100CC04
2H100EE00
2H101CC01
2H105AA12
2H105DD07
2H105EE06
5C122DA11
5C122EA02
5C122FB03
5C122GD04
5C122GE01
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】ドームカバーに付着する雨等の水滴を除去し、水滴による画質の劣化を効率的に抑制する。
【解決手段】監視カメラは、天井面に略平行に取り付けられた装置本体に、円周方向に搭載される複数のカメラユニットと、複数のカメラユニットを一括して覆うドームカバーを有し、装置本体に取り付けられるドームカバー組立体と、を備え、ドームカバーは、ドームカバーの軸線を含み、軸線と平行な仮想面において、R面に連続して軸線に接近するに従って下方へ傾斜する水滴誘導面と、水滴誘導面に連続する水滴受け部とが形成され、複数のカメラユニットは、仮想面において、仮想面に垂直な方向のチルト回転中心を中心にレンズ中心軸を旋回させるカメラを有し、水滴受け部は、カメラが最大チルト角で軸線側に傾けられた状態において、カメラの画角における軸線側の画角境界に対してレンズ中心軸と反対側に設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に略平行に取り付けられた装置本体に、円周方向に搭載される複数のカメラユニットと、
前記複数のカメラユニットを一括して覆うドームカバーを有し、前記装置本体に取り付けられるドームカバー組立体と、を備え、
前記ドームカバーは、前記ドームカバーの軸線を含み、前記軸線と平行な仮想面において、R面に連続して前記軸線に接近するに従って下方へ傾斜する水滴誘導面と、前記水滴誘導面に連続する水滴受け部とが形成され、
前記複数のカメラユニットは、前記仮想面において、前記仮想面に垂直な方向のチルト回転中心を中心にレンズ中心軸を旋回させるカメラを有し、
前記水滴受け部は、前記カメラが最大チルト角で前記軸線側に傾けられた状態において、前記カメラの画角における前記軸線側の画角境界に対して前記レンズ中心軸と反対側に設けられる、
監視カメラ。
【請求項2】
前記ドームカバーは、前記天井面に接近する方向に凹む円形凹部が前記軸線を中心に同軸で形成され、
前記水滴受け部は、前記円形凹部の半径方向外側に円環状となって設けられる、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記水滴受け部は、複数の前記カメラにより共有される、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記水滴誘導面と水平面との間の挟角は、1°~10°の範囲である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の監視カメラ。
【請求項5】
前記水滴受け部は、前記軸線に対して直交する方向の距離が10mm以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の監視カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、クリアードーム窓に付着した埃、水滴等を取り除き、クリアードーム窓をクリアーにして映像を明瞭に撮像できるようにする監視カメラ装置が開示されている。監視カメラ装置は、少なくとも監視カメラが内蔵されたハウジング本体と、ハウジング本体の一面に設けられた透明なプラスチック製の半球面状のドーム型カバー部と、ハウジング本体に回動可能に設けられ、ドーム型カバー部を清掃するワイパー機構と、ワイパー機構を往復回動駆動させるワイパー駆動部とを備える。ワイパー機構は、ドーム型カバー部の曲面に沿う円弧面を有するシリコンゴム製のワイパーブレードと、両端部がハウジング本体のドーム型カバー部の底面に平行な中心軸周りに回動可能に設けられ、ワイパーブレードがドーム型カバー部側に所定長さ突出されて取り付けられるワイパーアームとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-126526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の監視カメラ装置は、ワイパー機構と、ワイパー機構を往復回動駆動させるワイパー駆動部と、を備えるため、製品コストが高くなるという課題があった。また、天井に取り付けられる場合、監視カメラ装置は、ワイパー機構およびワイパー駆動部等の機構により、取付面である天井面からの装置高さが大きくなる(薄厚化に支障がでる)という課題があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、ドームカバーに付着する雨等の水滴を除去し、水滴による画質の劣化を効率的に抑制できる監視カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、天井面に略平行に取り付けられた装置本体に、円周方向に搭載される複数のカメラユニットと、前記複数のカメラユニットを一括して覆うドームカバーを有し、前記装置本体に取り付けられるドームカバー組立体と、を備え、前記ドームカバーは、前記ドームカバーの軸線を含み、前記軸線と平行な仮想面において、R面に連続して前記軸線に接近するに従って下方へ傾斜する水滴誘導面と、前記水滴誘導面に連続する水滴受け部とが形成され、前記複数のカメラユニットは、前記仮想面において、前記仮想面に垂直な方向のチルト回転中心を中心にレンズ中心軸を旋回させるカメラを有し、前記水滴受け部は、前記カメラが最大チルト角で前記軸線側に傾けられた状態において、前記カメラの画角における前記軸線側の画角境界に対して前記レンズ中心軸と反対側に設けられる、監視カメラを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ドームカバーに付着する雨等の水滴を除去し、水滴による画質の劣化を効率的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る監視カメラを斜め下方より見た斜視図
図2図1に示したドームカバー組立体の斜視図
図3図1に示した監視カメラにおける水滴の流れ方向を例示した側面図
図4図3に示した監視カメラにおける水滴受け部の位置を説明する側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る監視カメラを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
図1は、実施の形態1に係る監視カメラ11を斜め下方より見た斜視図である。
【0011】
実施の形態1に係る監視カメラ11は、例えば、天井,軒下等の屋内外に設置されて、監視対象(例えば、人物,車両,二輪車等)を撮像する。監視カメラ11は、所謂ドーム型の監視カメラであって、カメラ13を覆う保護カバーとしてドームカバー15を備える。実施の形態1に係る監視カメラ11は、例えば、複数のカメラユニット17のそれぞれがドームカバー15により一括して覆われるマルチカメラである。なお、カメラユニット17の数は、2つ以上であればよく、図1に示す4つに限定されない。
【0012】
監視カメラ11は、板金材により略円環板状に形成されたアタッチメント金具(不図示)によって、装置本体19が略水平な天井面21(図3参照)に固定されて設置される。ドームカバー組立体23は、固定ビス(不図示)により装置本体19に固定されるとともに、装置本体19を貫通する固定ビス(不図示)によりアタッチメント金具とともに固定される。つまり、監視カメラ11は、ドームカバー組立体23により装置本体19が全体的に覆われる。
【0013】
ドームカバー組立体23は、環状に形成され、装置本体19に取り付けられるフレームハウジング25を有する。フレームハウジング25は、透明なドームカバー15の外周を内穴27に水密に固定する。
【0014】
複数のカメラユニット17は、それぞれ1つのカメラ13を備える。複数のカメラユニット17のそれぞれは、所定の撮像方向にカメラ13を回転可能な構成を有する。つまり、複数のカメラユニット17のそれぞれは、監視カメラ11を使用するユーザにより、ユーザが監視(撮像)したい所定の撮像方向にカメラ13の向きを向けられるように構成されている。
【0015】
装置本体19は、軸線29を中心とする同心円の円周方向に配置された複数のカメラユニット17のそれぞれ備える。装置本体19は、複数のカメラユニット17のそれぞれを、軸線29を中心とする同心円の円周方向に移動自在にするパンベース(不図示)を備える。
【0016】
複数のカメラユニット17のそれぞれは、パンシャシーベース(不図示)を介してパンベースに支持され、ドームカバー15の軸線29をパン回転中心としてパン回転可能となる。カメラユニット17は、パンシャシーベースに対してパンシャシー31がパン方向と同方向にツイスト回転中心にツイスト回転自在に支持される。
【0017】
パンシャシー31には、チルトヒンジ33が取り付けられる。チルトヒンジ33は、パンシャシー31に対してツイスト回転中心と直交方向のチルト回転中心35を中心にチルト回転自在に支持される。チルトヒンジ33には、カメラ13が取り付けられる。カメラ13は、チルトヒンジ33に対してレンズ中心軸37(図4参照)を中心にヨー回転自在に支持される。
【0018】
図2は、図1に示したドームカバー組立体23の斜視図である。
【0019】
ドームカバー15は、親水コーティングが施されることにより、降雨時における優れた視認性と防汚性とを有する。ドームカバー15は、碗状に形成される。この碗状は、軸線29を中心とした点対称の回転体形状となる。
【0020】
ドームカバー15は、ドームカバー15の内周側に突出するドームサポート39を備える。ドームサポート39は、軸線29と同軸に設けられる。
【0021】
ドームカバー組立体23は、装置本体19に対して、下方より碗状の内周側が上向き(天井面21(図3参照)を向く方向)となるように組み合わさって(被せられ)、一体に組み立てられる。ドームカバー組立体23は、固定ビス等により環状のフレームハウジング25が円周方向に装置本体19および天井面21(図3参照)に螺着されることで、天井面21に設置される。
【0022】
図3は、図1に示した監視カメラ11における水滴41の流れ方向を例示した側面図である。
【0023】
ドームカバー15は、フレームハウジング25と接触する外周部と軸線29との間にR面43が形成される。
【0024】
R面43は、ドームカバー15の表面に付着した水滴41を水滴受け部49に誘導するための水滴誘導面45が接続される。水滴誘導面45は、ドームカバー15の軸線29を含み、軸線29と略平行となる仮想面47において、R面43に連続して軸線29に接近するに従って下方へ傾斜して形成される。この水滴誘導面45には、水滴誘導面45により誘導された水滴41を監視カメラ11の下方(-Z方向)に滴下させる水滴受け部49がさらに連続して形成される。
【0025】
以上により、実施の形態1に係る監視カメラ11は、降雨時等、ドームカバー15に付着した水滴41が、重力によりR面43から水滴誘導面45に向かって流れる。水滴誘導面45に流れた水滴41は、水滴誘導面45を伝いながら軸線29に接近する方向に位置する水滴受け部49へと流下する。水滴受け部49は、水滴受け部49に流下して溜まった水滴41を監視カメラ11の下方(-Z方向)に滴下させる。
【0026】
実施の形態1において、ドームカバー15は、軸線29を中心に同軸であって、天井面21に接近する方向に凹む円形凹部51が形成されている。このため、水滴受け部49は、円形凹部51の半径方向外側に円環状となって設けられている。なお、円形凹部51は、必須の構成でなく、省略されてもよい。なお、円形凹部51が省略される場合、水滴受け部49は、軸線29上に設けられてよい。
【0027】
図4は、図3に示した監視カメラ11における水滴受け部49の位置を説明する側面図である。
【0028】
各カメラユニット17におけるカメラ13は、上述した機構により、仮想面47に垂直な方向のチルト回転中心35を中心に、仮想面47においてレンズ中心軸37を旋回させる。図4に示すカメラ13のそれぞれは、カメラ13の画角が軸線29(つまり、ドームカバー15の略中心位置)に向かって最大チルト角θTmaxまでチルト回転した状態を示す。画角53A,53Bのそれぞれは、最大チルト角θTmaxにおける2つのカメラ13のそれぞれの撮像範囲を示す。なお、図4では説明を分かり易くするために、2つのカメラ13の画角53A,53Bのみを図示し、他の2つのカメラ13の画角の図示を省略している。
【0029】
ここで、水滴受け部49は、すべてのカメラ13がそれぞれ最大チルト角θTmaxまでチルト回転した状態で、すべてのカメラ13のそれぞれの画角53A,53B外、かつ、カメラ13の画角53A,53Bにおける軸線29側の画角境界53に対して、レンズ中心軸37と反対側に設けられる。これにより、水滴受け部49は、カメラ13の視野範囲外となっている。
【0030】
また、水滴受け部49は、水平面55を基準(つまり、0(ゼロ)°)として、水滴誘導面45および水滴受け部49(つまり、軸線29側)に向かって傾斜する挟角θK=1°~10°の傾斜を有して形成される。
【0031】
また、水滴受け部49は、軸線29に直交する方向の距離dが例えば10mm以上で設定され、複数のカメラ13により共有されてもよい。なお、円形凹部51が省略される場合、水滴受け部49は、軸線29上に設けられてよい。
【0032】
以上により、実施の形態1に係る監視カメラ11は、降雨時等、ドームカバー15に付着した水滴41を、すべてのカメラ13の画角外に位置する水滴受け部49へと流下させ、滴下させる。これにより、実施の形態1に係る監視カメラ11は、すべてのカメラ13の画角内に水滴41が留まることで生じるカメラ13の画質の劣化をより効果的に抑制できる。
【0033】
実施の形態1に係る監視カメラ11は、天井面21に略平行に取り付けられた装置本体19に、円周方向に搭載される複数のカメラユニット17と、複数のカメラユニット17を一括して覆うドームカバー15を有し、装置本体19に取り付けられるドームカバー組立体23と、を備える。ドームカバー15は、ドームカバー15の軸線29を含み、軸線29と平行な仮想面47において、R面43に連続して軸線29に接近するに従って下方へ傾斜する水滴誘導面45と、水滴誘導面45と連続する水滴受け部49とが形成される。複数のカメラユニット17は、仮想面47において、仮想面47に垂直な方向のチルト回転中心35を中心に、レンズ中心軸37を旋回させるカメラ13を有し、水滴受け部49は、カメラ13が最大チルト角θTmaxで軸線29側に傾けられた状態において、カメラ13の画角における軸線29側の画角境界53に対してレンズ中心軸37と反対側に設けられる。
【0034】
実施の形態1に係る監視カメラ11は、ドームカバー15に、軸線29を含み、軸線29と平行な仮想面47においてR面43に連続して軸線29に接近するに従って下方へ傾斜する水滴誘導面45と、水滴受け部49とが形成される。したがって、監視カメラ11は、ドームカバー組立体23の側面、あるいはドームカバー15のR面43に付着した雨水等による水滴41を、重力によりR面43に沿って下方へ流れ、R面43に連続する水滴誘導面45に到達した後、水滴誘導面45からドームカバー表面の最下面に位置する水滴受け部49まで流下させ、滴下させることができる。
【0035】
具体的に、監視カメラ11は、カメラ13が最大チルト角θTmaxで軸線29側に傾けられた状態で、仮想面47においてカメラ13の画角における軸線29側の画角境界53に対してレンズ中心軸37と反対側に設けられた水滴受け部49に水滴41が溜まり、溜まった水滴41が重力により下方に滴下することで、各カメラ13の画角内に水滴41が留まることを抑制できる。よって、実施の形態1に係る監視カメラ11は、各カメラ13により撮像された撮像画像に水滴41が映り込むことによって生じる画質の劣化を効果的に抑制できる。
【0036】
また、監視カメラ11は、ワイパー機構、ワイパー駆動部等の機構が不要となるため、製品コストを増大させることなく、撮像画像への水滴41の映り込みを抑制できる。さらに、監視カメラ11は、ワイパー機構、ワイパー駆動部等の機構が不要となるため、装置本体19が大型化を抑制するとともに、ドームカバー15の外周面から突出する突出物(例えばワイパーブレード、ワイパーアーム等)が不要となるので、監視カメラ11の天井面21からのZ方向に向かって装置高さが高くなることを抑制できる。
【0037】
また、以上により、実施の形態1に係る監視カメラ11におけるドームカバー15には、天井面21に接近する方向に凹む円形凹部51が軸線29を中心に同軸で形成され、水滴受け部49は、円形凹部51の半径方向外側に円環状となって設けられる。これにより、実施の形態1に係る監視カメラ11は、ドームカバー15の軸線29を中心に同軸で形成され、天井面21に接近する方向に凹む円形凹部51により、水滴受け部49が円形凹部51の半径方向外側に平面視で円環状となって形成されるため、ドームカバー15の任意の方向から流下する水滴41が水滴受け部49に溜まりやすくなる。したがって、監視カメラ11は、水滴受け部49により滴下されやすくなる。
【0038】
本実施の形態1における水滴受け部49は、下り傾斜する水滴誘導面45から連続して「平行」に延出する場合、凸側を下向きとした「さらばね座金形」の下面形状となる。この下面形状は、円錐台形の外周面形状とも言える。なお、水滴受け部49は、下り傾斜する水滴誘導面45から連続して「水平」に延出してもよい。この場合、水滴受け部49は、例えば「平座金形」の下面形状となる。
【0039】
ドームカバー15は、成形性および透明性に優れ、耐衝撃性を有する例えばポリカーボネート樹脂で成形される。より具体的には、碗状のドーム開口部を上としたとき、このドーム開口部の半径方向外側には円環状のフランジ部(不図示)が形成される。フランジ部には、ほぼ円筒状のストレート部が接続される。ストレート部の下端には、軸線29に徐々に接近する略球面形状のR面43が接続される。R面43の下端には、軸線29に接近するに従って下方へ傾斜する上述の水滴誘導面45が形成される。さらに、この水滴誘導面45の下端には、円環状の水滴受け部49が接続される。
【0040】
ドームカバー15は、この円環状となった水滴受け部49の内側が、円形凹部51となる。監視カメラ11は、これら水滴受け部49と、円形凹部51とが、カメラ13の撮像領域から外れた外側に位置する。特に、円形凹部51は、撮像光の透過に及ぼす影響がほとんどないため、非透明部材であってよい。
【0041】
ドームカバー15は、金型を用いた樹脂成形(射出成形等)により製造可能である。樹脂成形は、ドームカバー形状を樹脂注入空間(キャビティ)として有する金型を用い、この樹脂注入空間にゲートを介して溶融樹脂を注入する。この場合、回転体形状のドームカバー15は、軸線上に位置する放射点にゲート(例えばダイレクトゲート)を設けることで、簡単な金型構造により使用する樹脂量をより少なくしたり、溶融樹脂を放射方向に均一に注入しやすくしたりできるため、より良好な成形品を得やすい。
【0042】
このような場合、ドームカバー15は、軸線上にゲートカットの跡が残ることがある。ドームカバー組立体23は、ゲートカットの跡が円形凹部51の内側に位置するようにして、この円形凹部51を非透明部材(例えば、ドーム中央カバー57)で覆うことができる。これにより、監視カメラ11は、円環状となる水滴受け部49の内側に円形凹部51を設けることで、ゲートカットの跡を隠すことができる。
【0043】
また、以上により、実施の形態1に係る監視カメラ11における水滴受け部49は、複数のカメラ13により共有される。これにより、実施の形態1に係る監視カメラ11は、平面視で略円環面に形成されるため、カメラ13ごとに対応する水滴受け部49を設けなくてよい。また、これにより、監視カメラ11は、カメラ13のそれぞれが軸線29の同心円の円周方向に移動自在な構成であっても、ドームカバー15の円周方向360°から水滴受け部49に向かって水滴41を流下させ、ドームカバー15の円周方向に対する各カメラ13の配置、またはパン回転、チルト回転の回転角度によらず、すべてのカメラ13の画角においても水滴41の映り込みをより効果的に抑制できる。
【0044】
なお、円形凹部51が省略される構成である場合、水滴受け部49は、平面視で略円形面となり、上述した効果と同様の効果を奏する。水滴受け部49は、下り傾斜する水滴誘導面45から連続して略平行に延出し、頂点が下向き(-Z方向)となる逆円錐形の円錐側面となる。この逆円錐形の底面は、カメラ13の画角における軸線29側の画角境界53対してレンズ中心軸37と反対側に設けられる。このような場合、監視カメラ11は、複数のカメラ13に共有される水滴受け部49を、軸線29と略同軸上の一箇所に設けることができ、平面視におけるドームカバー15の直径をより小型化(特に小径化)できる。
【0045】
また、以上により、実施の形態1に係る監視カメラ11における水滴誘導面45と、水平面55との間の挟角θKは、1°~10°の範囲である。これにより、実施の形態1に係る監視カメラ11は、水滴誘導面45が水平面55との間で挟角θK=1°~10°となる下り勾配の傾斜下面を有し、監視カメラ11のZ方向の薄厚化を実現しつつ、各カメラ13の画角外への水滴41の良好な流下を実現できる。
【0046】
また、以上により、実施の形態1に係る監視カメラ11における水滴受け部49は、軸線29に対して直交する方向の距離dが10mm以上である。これにより、実施の形態1に係る監視カメラ11は、水滴受け部49の半径方向の幅である距離dが10mm以上である場合、表面張力により水滴受け部49に付着した水滴41がカメラ13の画角内まで拡がることを抑制できる。また、これにより、水滴受け部49は、表面張力によって水滴受け部49に溜まる水滴41の質量をより大きくなるため、付着した(溜まった)水滴41をより落下しやすくでき、溜まった水滴41がカメラ13の画角内まで拡がる前に落下させることができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示は、ドームカバーに付着する雨等の水滴を除去し、水滴による画質の劣化を効率的に抑制できる監視カメラの提示として有用である。
【符号の説明】
【0049】
11 監視カメラ
13 カメラ
15 ドームカバー
17 カメラユニット
19 装置本体
21 天井面
23 ドームカバー組立体
29 軸線
35 チルト回転中心
37 レンズ中心軸
43 R面
45 水滴誘導面
47 仮想面
49 水滴受け部
51 円形凹部
53 画角境界
53A,53B 画角
55 水平面
θK 挟角
θTmax 最大チルト角
図1
図2
図3
図4