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特開2023-58283タッチ機能付き表示装置および表示処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058283
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】タッチ機能付き表示装置および表示処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230418BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230418BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230418BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/044
G09G5/00 550C
G09G5/00 520V
G09G5/00 510H
G09G3/20 691D
G09G3/20 621A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168207
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城後 新
【テーマコード(参考)】
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA10
5C080DD26
5C080EE01
5C080EE19
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK02
5C080KK07
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182AB08
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA65
5C182BA75
5C182BC26
5C182CC24
5C182DA26
5C182DA66
(57)【要約】
【課題】タッチパネルを利用したタッチの結果表示や描画表示の遅延を抑制しつつ、タッチパネルを利用しない場合には、消費電力の抑制を行うことができるタッチ機能付き表示装置を提供する。
【解決手段】タッチ機能付き表示装置は、静電容量方式のタッチパネルを表示面上に備えた表示部と、タッチパネルの表面に対して離間方向から接近して表面における指示位置を指定する位置指示体が表面から所定距離だけ離間して設定された検出面を超えて接近したか否かをタッチパネルと位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する検出部と、位置指示体が検出面を超えて接近したことが検出された場合、表示部の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替え、位置指示体が検出面を超えて接近したことが検出されない場合、第1更新頻度を維持する制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルを表示面上に備えた表示部と、
前記タッチパネルの表面に対して離間方向から接近して前記表面における指示位置を指定する位置指示体が前記表面から所定距離だけ離間して設定された検出面を超えて接近したか否かを前記タッチパネルと前記位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する検出部と、
前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出された場合、前記表示部の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替え、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出されない場合、前記第1更新頻度を維持する制御部と、
を備える、タッチ機能付き表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、パネルセルフリフレッシュ機能を備え、
前記制御部は、前記パネルセルフリフレッシュ機能が動作中で、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出された場合、前記パネルセルフリフレッシュ機能を非動作とするとともに前記更新頻度を前記第2更新頻度に切り替える、請求項1に記載のタッチ機能付き表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記タッチパネルと前記位置指示体との間の前記静電容量の分布態様に基づき、前記位置指示体が静電気を発生器によって発生する入力機器であるか生体であるかを判別し、その判別結果に基づき、前記検出面の設定位置を切り替える、請求項1または請求項2に記載のタッチ機能付き表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置指示体が前記生体であると判定された場合、前記位置指示体が前記入力機器であると判定された場合に比べて、前記設定位置を前記表面に近い位置に設定する、請求項3に記載のタッチ機能付き表示装置。
【請求項5】
表示部の表示面上に配置された静電容量方式のタッチパネルの表面に対して離間方向から接近して前記表面における指示位置を指定する位置指示体が前記表面から所定距離だけ離間して設定された検出面を超えて接近したか否かを前記タッチパネルと前記位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する検出処理と、
前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出された場合、前記表示部の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替え、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出されない場合、前記第1更新頻度を維持する切替制御処理と、
を、表示装置に実行させる、表示処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タッチ機能付き表示装置および表示処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、タッチ機能を備える表示装置を搭載する場合が増えている。タッチ機能を備える表示装置は、タッチパネルを備え、タッチパネルの表面に指が触れたり、専用のタッチペンが触れたりすることを検出し、入力操作を実現している。また、このようなタッチ機能を備える表示装置の中には、消費電力を低減するための構成を備えるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-133527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、タッチ機能付き表示装置において、例えば、表示装置に表示されているアイコン等の選択を行う場合には、アイコンの位置を指先やペン先でタッチする。一方、タッチパネル上で文字や図形等を描画して表示装置に表示させる場合は、描画に伴いタッチパネル上で移動する指先やペン先の位置を逐次検出し、検出した位置の移動軌跡を表示装置で表示することで実現することが考えられる。しかしながら、この場合、移動軌跡の表示品質は、表示装置の表示更新頻度によって左右される場合がある。例えば、指先やペン先の移動速度が表示装置の表示更新頻度に対して十分に遅い場合、指先やペン先の移動に追従するように移動軌跡を表示することができる。一方、指先やペン先の移動速度が表示装置の表示更新頻度より早い場合、指先やペン先の移動に対して移動軌跡の表示が遅れ(追従性が低下し)、違和感や煩わしさを利用者に与えてしまう。この場合、表示装置の表示更新頻度を一般的な画像を表示する場合の標準的な表示更新頻度より早くすれば、上述の不都合は緩和可能であるが、その反面、消費電力が増加してしまうという問題がある。換言すれば、消費電力を低減する構成を備える表示装置の場合、タッチペンや指等による描画を違和感なく表示し難いという問題がある。
【0005】
したがって、本発明が解決する課題の一例は、タッチパネルを利用したタッチの結果表示や描画表示の遅延を抑制しつつ、タッチパネルを利用しない場合には、消費電力の抑制を行うことができるタッチ機能付き表示装置および表示処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るタッチ機能付き表示装置は、静電容量方式のタッチパネルを表示面上に備えた表示部と、前記タッチパネルの表面に対して離間方向から接近して前記表面における指示位置を指定する位置指示体が前記表面から所定距離だけ離間して設定された検出面を超えて接近したか否かを前記タッチパネルと前記位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する検出部と、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出された場合、前記表示部の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替え、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出されない場合、前記第1更新頻度を維持する制御部と、を備える。
【0007】
また、タッチ機能付き表示装置の前記表示部は、例えば、パネルセルフリフレッシュ機能を備え、前記制御部は、前記パネルセルフリフレッシュ機能が動作中で、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出された場合、前記パネルセルフリフレッシュ機能を非動作とするとともに前記更新頻度を前記第2更新頻度に切り替えるようにしてもよい。
【0008】
また、タッチ機能付き表示装置の前記制御部は、例えば、前記タッチパネルと前記位置指示体との間の前記静電容量の分布態様に基づき、前記位置指示体が静電気を発生器によって発生する入力機器であるか生体であるかを判別し、その判別結果に基づき、前記検出面の設定位置を切り替えるようにしてもよい。
【0009】
また、タッチ機能付き表示装置の前記制御部は、例えば、前記位置指示体が前記生体であると判定された場合、前記位置指示体が前記入力機器であると判定された場合に比べて、前記設定位置を前記表面に近い位置に設定するようにしてもよい。
【0010】
本発明の第2態様に係る表示処理プログラムは、表示部の表示面上に配置された静電容量方式のタッチパネルの表面に対して離間方向から接近して前記表面における指示位置を指定する位置指示体が前記表面から所定距離だけ離間して設定された検出面を超えて接近したか否かを前記タッチパネルと前記位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する検出処理と、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出された場合、前記表示部の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替え、前記位置指示体が前記検出面を超えて接近したことが検出されない場合、前記第1更新頻度を維持する切替制御処理と、を、表示装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、位置指示体による位置指示や位置指示体の移動による描画が行われる際には、表示画面の更新頻度が早くなり、指示位置や描画の表示遅れが抑制されたスムーズな表示ができる。また、位置指示体が検出面を超えて接近していない場合、つまり、位置指示体が利用されないと見なせる場合は、消費電力の抑制が可能な遅い更新頻度で表示が行われる。したがって、タッチパネルを利用したタッチの結果表示や描画表示の遅延を抑制しつつ、タッチパネルを利用しない場合には、消費電力の抑制を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態にかかるタッチ機能付き表示装置の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態にかかるタッチ機能付き表示装置の機能構成を示す例示的かつ模式的ブロック図である。
図3図3は、実施形態のかかるタッチ機能付き表示装置のタッチパネルに専用のペンが接近した場合と生体が接近した場合における静電容量の分布を示す例示的かつ模式的な分布図である。
図4図4は、実施形態のかかるタッチ機能付き表示装置のタッチパネルに専用のペンが接近する場合の検出領域の高さを説明する例示的かつ模式的な図である。
図5図5は、実施形態のかかるタッチ機能付き表示装置のタッチパネルに生体(例えば、指)が接近する場合の検出領域の高さを説明する例示的かつ模式的な図である。
図6図6は、実施形態のかかるタッチ機能付き表示装置の処理の前半部分の流れを説明する例示的なフローチャートである。
図7図7は、実施形態のかかるタッチ機能付き表示装置の処理の後半部分の流れを説明する例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
図1は、実施形態にかかるタッチ機能付き表示装置の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0015】
図1は、タッチ機能付き表示装置の一例として、携帯型のタブレット端末を示す。なお、以下の説明において、タッチ機能付き表示装置は、単に「表示装置10」と表記する。
【0016】
表示装置10は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OLED(Organic Light Emitting Diode)等である。表示装置10は、例えば、薄い矩形形状の筐体10aの一面側のほぼ全面に表示面12aを備える表示部12を有する。筐体10aの側面等には、図示を省略した電源スイッチや音量調整等の各種機能を実現するスイッチ類、音声データを出力するスピーカ等が配置されている。また、筐体10aの表示面12a側の一部や表示面12aの裏面側(筐体10aの裏面側)の一部等には、撮像部(カメラ)のレンズ部が配置されている。撮像部は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。
【0017】
また、表示装置10の表示面12aは、透明な入力装置としての静電容量方式のタッチパネル14で覆われている。したがって、表示装置10の利用者は、タッチパネル14を通して、表示装置10(表示面12a)で表示される各種画像(例えば、アイコンやテキスト、映像コンテンツ等)を視認することができる。また、前述したように、タッチパネル14は静電容量方式であるため、利用者は、表示面12aに表示される画像に対応したタッチパネル14の表面14a(操作面)の位置を指や専用のペン16で触れたり、表面14a上を動かしたりして操作することで、表示面12aに表示された画像の選択を行ったり、表示面12a上で文字や図形等の描画を行うことができる。
【0018】
前述したように、タッチパネル14は静電容量方式である。したがって、タッチパネル14は、当該タッチパネル14とペン16や指との間の静電容量の大きさの変化や分布の変化を検出することで、指やペン16で指示している位置を検出することができる。その検出結果に基づき、表示装置10は、表示中の画像(アイコン等)の選択を行ったり、タッチパネル14(表面14a)上で描画された文字や図形等の表示や認識、描画データの入力等を行ったりすることができる。例えば、利用者がタッチパネル14の表面14a上で指タッチを行ったり、移動させたりすることで、タッチパネル14における静電容量を変化させ、入力操作を認識させることができる。
【0019】
同様に、利用者等が支持するペン16を用いても、タッチパネル14に入力操作を認識させることができる。タッチパネル14の操作に適した専用のペンとして、例えば、アクティブ方式のペン16を利用することが知られている。アクティブ方式のペン16とは、例えば、ペン軸に内蔵された静電気の発生器16aによって、所定強度の静電気を常時またはペンの利用時に発生させる。以下の説明では、アクティブ方式のペン16を、単に「ペン16」と表記する。ペン16を用いる場合、指タッチのような生体を用いて静電容量を変化させる場合に比べ、積極的に所定強度の静電気が出力されため、タッチパネル14は、より顕著に静電容量の変化を検出することができる。その結果、接触位置(指示位置、座標位置)の検出精度が向上し、タッチ位置の精度向上や描画品質の向上に寄与できる。
【0020】
なお、表示部12は、ペン16のペン先16bが表面14aに接触する前の状態(非接触の状態)で、表示面12a上にタッチパネル14を介してペン先16bが接触すると見なせる指示位置を示すマーカ18を表示する機能、いわゆる「ホバー機能」を備えるものがある。ホバー機能は、例えば、ペン16のペン先16bが、表面14aに対して離間方向の所定距離(例えば、5~10mm)に設定されたホバー有効面を超えて表面14aに接近した場合、表示面12a上の対応する位置にマーカ18を表示する。このホバー機能は、ペン先16bの動きに追従して表示されるので、ペン先16bが表面14a(表示面12a)上のどこにあるかを認識させ易くするので、利用者の使い勝手を向上させるユーザインターフェースとなる。なお、指等の生体を用いて指示位置を指定する場合も同様にホバー機能が有効になるが、上述したように、生体はペン16に比べて静電容量の変化が顕著に現れ難いため、ホバー機能が有効になる所定距離は、ペン16の場合より短くなる。すなわち、表面14aにより近い位置まで接近した場合にホバー機能が有効になる。なお、指等の生体およびペン16は、表面14aに対して指示位置を指定するため、本実施形態では、「位置指示体」と称する場合がある。
【0021】
図2は、上述したタッチ機能付きの表示装置10の機能構成を示す例示的かつ模式的ブロック図である。
【0022】
表示装置10は、表示部12やタッチパネル14を備える一般的なパーソナルコンピュータを利用可能であり、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、SSD(Solid State Drive)26やフラッシュメモリ等の記憶部の他、通信インターフェース、入出力インターフェース等で構成されている。
【0023】
CPU20は、例えば、表示部12で表示される画像に関連した画像処理や、タッチパネル14を介して検出されるペン16や指で指示される指示位置を特定する処理を実行する。その他、図示を省略した撮像部の制御や各種スイッチに基づく制御、通信制御、音声の入出力制御等、表示装置10の制御全般を行うことができる。CPU20は、ROM22等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM24は、CPU20での演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、SSD26は、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、表示装置10の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU20や、ROM22、RAM24等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、表示装置10が大型で、スペース的な余裕がある場合、SSD26に替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。なお、以下に示すCPU20の説明では、タッチパネル14を利用した場合のタッチ位置の結果表示や描画表示の遅延等を抑制しつつ(ホバー機能時の表示遅延等の抑制をしつつ)、タッチパネル14を利用しない場合には、消費電力の抑制を行う機能を主に説明する。したがって、CPU20が実行する表示装置10の他の機能や構成の説明は適宜省略する。
【0024】
CPU20は、上述したようにタッチパネル14の使用時の表示遅延を抑制したホバー機能の実現と、タッチパネル14の非使用時の消費電力の抑制を実現する構成を備える。例えば、CPU20は、コンテンツ表示制御部28、タッチ検出部30、タイミング制御部32等のモジュールを備える。また、タイミング制御部32は、PSR(Panel Self-Refresh)制御部32a、周波数制御部32b等の詳細モジュールを含む。また、ホバー機能の実現はタッチパネル14に内蔵しているタッチコントロールICで行ってもよく、PSRの制御も表示部12のLCDやOLEDに内蔵しているTcon(Timing controller)で実施してもよい。
【0025】
コンテンツ表示制御部28は、表示部12で表示する画像情報の制御を行う。例えば、表示装置10の起動時における表示制御、タッチパネル14を介して入力されたコマンドに従う画像の表示制御等を行う。また、コンテンツ表示制御部28は、例えば、インターネット等を介して外部から取得した情報の表示制御、SSD26等に記憶された情報の表示制御等を行うことができる。
【0026】
タッチ検出部30は、ペン16や指等の生体(位置指示体)がタッチパネル14の表面14aに接近し場合の接近状況や上述したホバー機能が有効になる距離(ホバー有効面)まで接近したか否か等の検出を行う。タッチ検出部30は、例えば、タッチパネル14に対する位置指示体の接近状況を静電容量の変化として捉え、静電容量分布を座標情報に変換して位置指示体の位置を検出する。
【0027】
なお、タッチ検出部30は、位置指示体がタッチパネル14に接近した場合の静電容量の分布態様に基づき、接近した位置指示体が指等の生体であるか、発生器16aによって静電気を発生している入力機器としてのペン16であるかを識別することができる。図3に示されるように、発生器16aによって静電気を発生しているペン16の場合、タッチ検出部30で検出される静電容量の変化(強度)は大きく、静電容量の分布は、曲線P(実線)で示されるように鋭角な高い山形状になる傾向がある。一方、指等の生体の場合、静電容量の変化(強度)はペン16に比べて小さく、静電容量の分布は、曲線H(破線)で示されるようになだらかな低い山形状になる傾向がある。静電容量の強度はタッチパネル14(表面14a)に近づくほど大きくなるが、曲線Pと曲線Hの関係は概ね維持されるため、タッチパネル14において、静電容量の変化が検出できる範囲に位置指示体が進入してきた時点で、位置指示体がペン16であるか、指等の生体であるかの識別が可能になる。
【0028】
タッチ検出部30は、ペン16がタッチパネル14の表面14aに対して離間方向から接近し場合の接近状況やホバー機能が有効になる距離まで接近したか否かの検出を行うために、表面から所定距離だけ離間して設定された例えば2段階の閾値を設定している。また、タッチ検出部30は、タッチパネル14に接近してくる位置指示体がペン16であるか生体であるかの判別結果に基づき、閾値をペン16用の閾値または指等の生体用の閾値に切り替える。なお、タッチ検出部30はタッチパネル14に内蔵されるタッチコントロールICで実施してもよい。
【0029】
図4は、表示装置10において、タッチパネル14に位置指示体としてのペン16が接近する場合の検出領域の高さ(検出閾値)を説明する例示的かつ模式的な図である。
【0030】
図4に示されるように、タッチ検出部30は、ペン16が、表面14aに対して離間方向から接近した場合で、ペン16が利用されると見なすことができる距離まで接近したか否かを判定する第1閾値Aを設定している。すなわち、第1閾値Aは、ペン16によって、表面14a上で位置指定や描画が行われる可能性があると見なすことができる検出領域34Aの最上面である検出面34を規定する。第1閾値Aは、表示部12の表示面12aを基準とした場合、例えば100mmの高さの位置を規定する。なお、第1閾値Aは、ペン16の接近によってタッチパネル14における静電容量の変化が検出できればよく、ペン16の正確な位置が検出できる必要はなく、適宜変更可能である。例えば、ペン16の発生器16aが発生する静電気の状態によっても変更可能である。図4の場合、ペン16が、位置P2~P6等に存在する場合、タッチ検出部30は、表面14a上で位置指定や描画が行われる可能性があると見なし、位置P1や位置P7等に存在する場合は、ペン16は利用される可能性は低いと見なす。タッチ検出部30は、ペン16が検出面34(第1閾値A)を超えて検出領域34Aに進入した場合、その情報をタイミング制御部32に提供する。
【0031】
また、タッチ検出部30は、図4に示されるように、ペン16が、表面14aに対して離間方向から接近した場合に、ホバー機能が有効になる距離まで接近したか否かを判定する第2閾値Bを設定している。すなわち、第2閾値Bは、ペン16によって、表面14a上で実際に位置指定や描画が行われる際にマーカ18の表示が必要となるホバー有効領域36Aにペン16が進入したか否かを判定するための、ホバー有効領域36Aの最上面の位置を示すホバー有効面36を規定する。第2閾値Bは、表示部12の表示面12aを基準とした場合、例えば10mmの高さの位置を規定する。なお、第2閾値Bは、ペン16の接近によってタッチパネル14における静電容量の変化を正確に検出できて、ペン16が指示する位置に対応する表示面12aの画素位置が特定できる距離であればよく、適宜変更可能である。したがって、例えば、ペン16の発生器16aが発生する静電気の状態によっても変更可能である。図4の場合、ペン16が、位置P3~P5等に存在する場合、タッチ検出部30は、ホバー機能が有効と判定し、位置P1~P2等や位置P6~P7等に存在する場合は、ホバー機能は無効と判定する。タッチ検出部30は、ペン16がホバー有効面36(第2閾値B)を超えてホバー有効領域36Aに進入した場合、その情報をコンテンツ表示制御部28に提供する。
【0032】
図5は、表示装置10において、タッチパネル14に位置指示体としての生体の一例ある指38が接近する場合の検出領域の高さ(検出閾値)を説明する例示的かつ模式的な図である。なお、上述したように、タッチパネル14に指38が接近した場合、ペン16が接近した場合に比べて静電容量の変化が少ない。そのため、指38(生体)が接近する場合の検出領域の高さ(検出閾値)は、ペン16(入力機器)の場合よりタッチパネル14(表示面12a)に接近した値(近い位置)に設定される。その結果、指38(生体)の検出精度を向上するようにしている。
【0033】
図5に示されるように、タッチ検出部30は、指38が、表面14aに対して離間方向から接近した場合で、指38により指示動作が行われると見なすことができる距離まで接近したか否かを判定する第3閾値Cを設定している。すなわち、第3閾値Cは、指38によって、表面14a上で位置指定や描画が行われる可能性があると見なすことができる検出領域40Aの最上面である検出面40を規定する。第3閾値Cは、表示部12の表示面12aを基準とした場合、例えば50mmの高さの位置を規定する。なお、第3閾値Cは、指38の接近によってタッチパネル14における静電容量の変化が検出できればよく、指38の正確な位置が検出できる必要はなく、適宜変更可能である。図5の場合、指38が、位置Q2~Q6等に存在する場合、タッチ検出部30は、表面14a上で位置指定や描画が行われる可能性があると見なし、位置Q1や位置Q7等に存在する場合は、指38によって指示動作や描画動作(指38で表面14aをなぞる動作)が行われる可能性は低いと見なす。タッチ検出部30は、指38が検出面40(第3閾値C)を超えて検出領域40Aに進入した場合、その情報をタイミング制御部32に提供する。
【0034】
また、タッチ検出部30は、図5に示されるように、指38が、表面14aに対して離間方向から接近した場合に、ホバー機能が有効になる距離まで接近したか否かを判定する第4閾値Dを設定している。すなわち、第4閾値Dは、指38によって、表面14a上で実際に位置指定や描画が行われる際にマーカ18の表示が必要となるホバー有効領域42Aに指38が進入したか否かを判定するための、ホバー有効領域42Aの最上面の位置を示すホバー有効面42を規定する。第4閾値Dは、表示部12の表示面12aを基準とした場合、例えば5mmの高さの位置を規定する。なお、第4閾値Dは、指38の接近によってタッチパネル14における静電容量の変化を正確に検出できて、指38が指示する位置に対応する表示面12aの画素位置が特定できる距離であればよく、適宜変更可能である。図5の場合、タッチ検出部30は、指38が、位置Q3~Q5等に存在する場合、タッチ検出部30は、ホバー機能が有効と判定し、位置Q1~Q2等や位置Q6~Q7等に存在する場合は、ホバー機能は無効と判定する。タッチ検出部30は、指38がホバー有効面42(第4閾値D)を超えてホバー有効領域42Aに進入した場合、その情報をコンテンツ表示制御部28に提供する。
【0035】
このように、タッチ検出部30が、位置指示体の識別を行い、閾値をペン16用の閾値(検出面34)または指38等の生体用の閾値(検出面40)に切り替えることにより、位置指示体に応じた検出処理が実行可能になり、適切な表示部12の表示更新頻度の切り替え、およびホバー機能の追従性の向上ができる。
【0036】
タイミング制御部32は、タッチ検出部30から提供される位置指示体の位置情報に基づき、表示装置10の表示更新頻度の切り替えを行う。タイミング制御部32は、表示更新頻度の制御を行うために、上述したようにPSR制御部32a、周波数制御部32b等の詳細モジュールを備える。
【0037】
PSR制御部32aは、表示部12の表示内容が所定期間以上変化しない場合、例えば、静止画を所定期間以上表示している場合、消費電力を抑制する周知のパネルセルフリフレッシュ(Panel Self-Refresh:PSR)機能を実行する。一般的な表示装置の場合、静止画を表示し続けている場合でも所定の更新頻度、例えば60Hzで同じ内容の画像を生成して更新表示している。例えば、60Hz(13.3msec)の周期で入力画像データを取得し画像処理を行い、その都度生成した同じ画像データで更新している。一方、本実施形態の表示装置10が備えるPSR機能の場合、静止画を所定期間以上表示させる場合に、入力画像データの送信動作を停止し、処理済みの画像データ(静止画のデータ)をコンテンツ表示制御部28等に記憶しておく。そして、静止画を表示する場合には、新たな画像処理を行うことなく、記憶しておいた画像データを出力することで、システム全体での消費電力を削減している。したがって、PSR制御部32aは、画像内容に変化が生じれば直ちにPSR機能を解除(OFF)する。
【0038】
周波数制御部32bは、タッチパネル14に対する位置指示体の接近状況に応じて表示部12の表示更新頻度(リフレッシュレート)を変更する(切り替える)。具体的には、周波数制御部32bは、位置指示体(ペン16や指38)が検出面34や検出面40を超えてタッチパネル14に接近したことが検出された場合、つまり、位置指示体の使用が推定される場合である。この場合、周波数制御部32bは、表示部12の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替える。また、周波数制御部32bは、位置指示体が検出面34や検出面40を超えて接近したことが検出されない場合、第1更新頻度を維持する。なお、この場合、位置指示体が検出面34や検出面40を超えて接近した状態から離間方向に移動して、検出できなくなった場合も、第1更新頻度を維持する。すなわち、周波数制御部32bは、第2更新頻度から第1更新頻度に切り替える。
【0039】
第1更新頻度は、例えば、表示部12は動画等を表示する場合に違和感なく滑らかに表示することができる一般的に更新頻度で、例えば60Hzで画像データを更新する。一方、第2更新頻度は、第1更新頻度より早い更新頻度、例えば120Hzで画像データを更新する。つまり、位置指示体を文字や図形の描画のためにタッチパネル14上で、一般的な筆記スピードで移動させた場合でもマーカ18による移動軌跡の表示が位置指示体の動きに追従して表示できるように画像データの更新を行う。なお、第1更新頻度および第2更新頻度の値は一例であり、適宜変更可能である。例えば、第2更新頻度は、表示装置10を使用する利用者の筆記スピードに応じて、例えば利用者が変更できるようにしてもよい。
【0040】
このように、位置指示体による位置指定や描画を行う場合に更新頻度が早い第2更新頻度に切り替えることにより、位置指示体の移動に対する追従性を改善し、遅延表示が抑制された違和感のないスムーズな表示を行うことができる。一方、位置指示体を利用しない通常表示の場合は、更新頻度が第2更新頻度より遅い第1更新頻度で表示を行うようにすることで、消費電力の低減に寄与することができる。つまり、表示品質の向上と消費電力の低減の両立が図り易くなる。
【0041】
なお、タイミング制御部32は、パネルセルフリフレッシュ(PSR)機能が動作中で、位置指示体が検出面34や検出面40を超えて接近したことが検出された場合、PSR制御部32aによりPSR機能を非動作とするとともに、周波数制御部32bにより更新頻度を第2更新頻度に切り替えるようにしてもよい。この場合、位置指示体がホバー有効面36やホバー有効面42を超える前、つまり、マーカ18の表示が始まる前に、PSR機能が解除され、表示部12は、画像データの更新が可能な制御状態に復帰する。その結果、位置指示体がホバー有効面36やホバー有効面42を超えたときに、第2更新頻度による画像更新制御でマーカ18の表示を行うことができる。つまり、PSR機能をホバー機能が有効になる時点で解除する場合に比べて、迅速にマーカ18の表示開始することが可能になり、マーカ18の表示追従性の改善にさらに寄与できる。
【0042】
以上のように構成されるタッチ機能付きの表示装置10の表示処理の流れを図6図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図6は、表示装置10の処理の前半部分の流れを説明する例示的なフローチャートであり、図7は、表示装置10の処理の後半部分の流れを説明する例示的なフローチャートである。
【0043】
まず、CPU20は、表示装置10の電源がONされているか否か確認する(S100)。表示装置10の電源がONされていない場合(S100のNo)、このフローは実行されない。一方、表示装置10の電源がONされている場合(S100のYes)、周波数制御部32bは、表示部12の表示周波数を第1更新頻度(MHz:例えば60Hz)に設定する(S102)。そして、コンテンツ表示制御部28は、画像データ等の表示処理を第1更新頻度で実行する(S104)。コンテンツ表示制御部28による表示処理が実行されている間、PSR制御部32aは、表示部12の表示内容に変化があるか監視し(S106)、変化がない場合(S106のNo)、つまり、表示部12に静止画等が所定期間以上(例えば、180秒以上)表示されている場合、PSR機能をONして(S108)、省電力モードを実行して、図7のフローに移行した、S110の処理を実行する。
【0044】
また、図6のフローのS106において、表示部12の表示内容に変化がある場合(S106のYes)、図7のフローに移行して、タッチ検出部30は、タッチパネル14における静電容量分布の変化があるか監視する(S110)。つまり、位置指示体がタッチパネル14に接近したか否かの検出を行う。S110において、静電容量分布の変化が検出された場合(S110Yes)、タッチ検出部30は、静電容量分布のパターンがペン16であるか指38等の生体であるかの判定を行う(S112)。静電容量分布のパターンが、図3に曲線P(実線)で示すようなペン16に特有の鋭角の山形パターンである場合(S112のYes)、タッチ検出部30は、ペン用閾値(第1閾値A、第2閾値B)の設定を行う(S114)。
【0045】
S112において、静電容量分布のパターンが、ペン16に特有のパターンではない場合(S112のNo)、つまり、図3に曲線H(破線)で示すような指38(生体)に特有のなだらかな山形パターンである場合である。この場合、タッチ検出部30は、生体用閾値(第3閾値C、第4閾値D)の設定を行う(S116)。
【0046】
S114において、ペン用閾値が設定された場合、タッチ検出部30は、静電容量の変化に基づき、ペン16と見なせる位置指定体が第1閾値A(検出面34)を超えてタッチパネル14に接近したか否か監視する(S118)。一方、S116において、生体用閾値が設定された場合、タッチ検出部30は、静電容量の変化に基づき、生体(指38)と見なせる位置指定体が第3閾値C(検出面40)を超えてタッチパネル14に接近したか否か監視する(S120)。
【0047】
S118において、ペン16が第1閾値A(検出面34)を超えて(S118のYes)、タッチパネル14に接近して検出領域34Aに進入したことが確認できた場合、または、S120において、第3閾値C(検出面40)を超えて(S120のYes)、生体(指38)がタッチパネル14に接近して検出領域40Aに進入したことが確認できた場合、PSR制御部32aは、現在、PSR機能がONしているか(有効か)否かを確認する(S122)。そして、PSR機能がON(有効)の場合(S122のYes)、PSR機能をOFF(非動作状態)にする(S124)。
【0048】
S122において、PSR機能がONではない場合(S122のNo)、または、S124でPSR機能がOFFされた場合、周波数制御部32bは、表示部12の表示周波数を第2更新頻度(NHz:例えば120Hz)に設定する(S126)。そして、タッチ検出部30は、静電容量分布に基づき、ペン16を検出中であるか否か確認する(S128)。静電容量分布のパターンがペン16の特徴を示すものであれば(S128のYes)、タッチ検出部30は、静電容量の変化に基づき、ペン16と見なせる位置指定体が第2閾値B(ホバー有効面36)を超えてタッチパネル14に接近したか否か監視する(S130)。そして、第2閾値Bを超えている場合(S130のYes)、すなわち、ホバー有効面36を超えている場合、コンテンツ表示制御部28は、ペン先16bの対応する表示面12a上の位置にマーカ18を表示する(S132)。一方、S128で静電容量分布のパターンがペン16の特徴を示すものではない場合(S128のNo)、つまり、静電容量分布のパターンが生体(指38)の特徴を示すものである場合、タッチ検出部30は、静電容量の変化に基づき、生体(指38)と見なせる位置指定体が第4閾値D(ホバー有効面42)を超えてタッチパネル14に接近したか否か監視する(S134)。そして、第4閾値Dを超えている場合(S134のYes)、すなわち、ホバー有効面42を超えている場合、生体(指38の指先)の対応する表示面12a上の位置にマーカ18を表示する(S132)。
【0049】
そして、マーカ18が表示された場合、タッチ検出部30は、静電容量分布変化が継続しているか否か確認する(S136)。つまり、位置指示体によるタッチパネル14上における位置特定や描画が継続して行われているか否かを確認する。S136において、静電容量分布変化が継続している場合(S136のYes)、S112の処理に移行して、タッチ検出部30は、位置指示体によるタッチパネル14上における位置特定や描画がペン16で実行されているか生体(指38)で行われているかの判定を行い、以降の処理を行う。
【0050】
S136において、静電容量分布変化が継続していない場合(S136のNo)、つまり、位置指示体によるタッチパネル14上における位置特定や描画が終了したと見なせる場合、CPU20は、コンテンツ表示制御部28による表示部12の表示処理が継続しているか否か確認する(S138)。S138において、表示処理が継続していないと判定された場合(S138のNo)、表示装置10の表示が終了処理されている場合、CPU20は表示装置10の電源をOFFして(S140)、このフローを一旦終了する。
【0051】
S138において、コンテンツ表示制御部28による表示処理が継続していると判定された場合(S138のYes)、S100に移行し、以降の処理を実行する。また、S134において、生体(指38)と見なせる位置指定体が第4閾値D(ホバー有効面42)を超えていない場合(S134のNo)、マーカ18を表示することなくS136に移行して、以降の処理を実行する。同様に、S130において、ペン16と見なせる位置指定体が第2閾値B(ホバー有効面36)を超えていない場合(S130のNo)、マーカ18を表示することなくS136に移行して、以降の処理を実行する。
【0052】
また、S120において、生体(指38)と見なせる位置指示体が第3閾値C(検出面40)を超えていない(S120のNo)と判定された場合、つまり、生体(指38)が検出領域40Aに進入していないと判定された場合、S136に移行し、以降の処理を実行する。同様に、S118において、ペン16と見なせる位置指示体が第1閾値A(検出面34)を超えていない(S118のNo)と判定された場合、つまり、ペン16が検出領域34Aに進入していないと判定された場合、S136に移行し、以降の処理を実行する。
【0053】
また、S110において、静電容量分布の変化が検出されない場合(S110のNo)、S138に移行して、以降の処理を実行する。
【0054】
上述したように、本実施形態のタッチ機能付きの表示装置10は、例えば、表示部12と、タッチ検出部30(検出部)と、周波数制御部32b(制御部)とを備える。表示部12は、静電容量方式のタッチパネル14を表示面12a上に備える。タッチ検出部30は、タッチパネル14の表面14aに対して離間方向から接近して表面14aにおける指示位置を指定する位置指示体が表面14aから所定距離だけ離間して設定された検出面34(検出面40)を超えて接近したか否かをタッチパネル14と位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する。周波数制御部32bは、位置指示体が検出面34(検出面40)を超えて接近したことが検出された場合、表示部12の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替える。また、周波数制御部32bは、位置指示体が検出面34(検出面40)を超えて接近したことが検出されない場合、第1更新頻度を維持する。
【0055】
このように、本実施形態の表示装置10によれば、タッチパネル14に対する位置指示体の接近状態に基づいて、表示部12の表示更新頻度(リフレッシュレート)を切り替える。つまり、位置指示体が利用される場合には、表示部12の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度より早い第2更新頻度に切り替える。その結果、位置指示体の移動に対して位置指示体で指示する位置を示すマーカ18の表示遅延を抑制し易く、位置指示体の移動に対する追従性を向上することができる。また、位置指示体が利用されない場合には、位置指示体を利用するときの第2更新頻度より遅い第1更新頻度で、表示部12の画像表示制御が実行される。その結果、消費電力の軽減に寄与することができる。
【0056】
また、表示部12は、PSR機能を備え、周波数制御部32bは、PSR機能が動作中で、位置指示体が検出面34(検出面40)を超えて接近したことが検出された場合、PSR制御部32aを介してPSR機能を非動作とするとともに更新頻度を第2更新頻度に切り替える。この構成によれば、例えば、消費電力の軽減状態でも、位置指示体を用いて14上で文字や図形等を描画する際に位置指示体で指示する位置を示すマーカ18の表示をよりスムーズに行うことが可能になり、位置指示体の移動に対する追従性をさらに向上することができる。
【0057】
また、タッチ検出部30は、タッチパネル14と位置指示体との間の静電容量の分布態様に基づき、位置指示体が静電気を発生器16aによって発生するペン16(入力機器)であるか生体(指38)であるかを判別する。そして、タッチ検出部30は、その判別結果に基づき、検出面34(検出面40)の設定位置を切り替える。この構成によれば、例えば、位置指示体に応じた位置指示体の位置の検出処理が実行可能になり、適切な表示部12の表示更新頻度の切り替え、およびホバー機能の追従性の向上ができる。
【0058】
また、タッチ検出部30は、位置指示体が生体(指38)であると判定された場合、位置指示体がペン16(入力機器)であると判定された場合に比べて、検出面40(設定位置)を表面14aに近い位置に設定する。この構成によれば、例えば、指38(生体)の検出精度を向上することができる。
【0059】
本実施形態の表示処理プログラムは、検出処理と切替制御処理とを表示装置に実行させる。検出処理は、表示部12の表示面12a上に配置された静電容量方式のタッチパネル14の表面14aに対して離間方向から接近して表面14aにおける指示位置を指定する位置指示体が表面14aから所定距離だけ離間して設定された検出面34(40)を超えて接近したか否かをタッチパネル14と位置指示体との間の静電容量の変化に基づいて検出する。切替制御処理は、位置指示体が検出面34(40)を超えて接近したことが検出された場合、表示部12の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度から、当該第1更新頻度より更新頻度が早い第2更新頻度に切り替える。また、切替制御処理は、位置指示体が検出面34(40)を超えて接近したことが検出されない場合、第1更新頻度を維持する。
【0060】
このように、本実施形態の表示処理プログラムによれば、タッチパネル14に対する位置指示体の接近状態に基づいて、表示部12の表示更新頻度(リフレッシュレート)を切り替える。つまり、位置指示体が利用される場合には、表示部12の表示画面の単位時間当たりの更新頻度を第1更新頻度より早い第2更新頻度に切り替える。その結果、位置指示体の移動に対して位置指示体で指示する位置を示すマーカ18の表示遅延を抑制し易く、位置指示体の移動に対する追従性を向上することができる。また、位置指示体が利用されない場合には、位置指示体を利用するときの第2更新頻度より遅い第1更新頻度で、表示部12の画像表示制御が実行される。その結果、消費電力の軽減に寄与することができる。
【0061】
本実施形態の表示装置10(CPU20)で実行される表示処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0062】
さらに、表示処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される表示処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0063】
なお、上述した実施形態では、タッチ機能付きの表示装置10の一例として、携帯型のタブレット端末を示したが、タッチパネル14を備える表示装置であれば、本実施形態の技術が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。表示装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話、ノートブック型のパーソナルコンピュータ、据え置き型のデスクトップコンピュータ、テレビ受像器等でもよい。また、車両や船舶、航空機等に搭載される表示装置や設備に搭載される表示装置、ゲーム機等に搭載される表示装置等にも、本実施形態の構成は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0064】
上述した実施形態では、表示装置10がPRS機能を搭載する例を示したが、PSR機能を搭載しない表示装置でも、タッチパネル14を搭載していれば、本実施形態の表更新頻度の切替技術は適用可能であり、表示品質の向上と消費電力の低減の両立を図る効果を得ることができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、生態(指38)が検出領域40Aに進入した際にも表示更新頻度を第1更新頻度から第2更新頻度に切り替える例を示した。生体(指38)によりタッチパネル14上で文字や図形を描画する場合、ペン16に比べて、移動速度(筆記スピード)が遅い場合があり、マーカ18の追従遅れが目立ち難い場合がある。また、指先はペン先16bに比べて太い場合が多く、指38とマーカ18とが重なり易く、指38の移動に対してマーカ18の追従遅れが生じても目立ち難い場合がある。したがって、タッチ検出部30において、静電容量分布のパターンにより位置指示体が生体(指38)であると判定された場合、表示部12の表示更新頻度は、第1更新頻度を維持するようにしてもよい。なお、位置指示体が生体(指38)の場合に、表示部12の表示更新頻度を第1更新頻度で維持するか第2表示頻度に切り替えるかを、利用者が選択できるようにしてもよい。例えば、表示装置10の初期設定画面等で表示更新頻度に関する選択肢を提示して設定できるようにしてもよい。
【0066】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10…表示装置、12…表示部、12a…表示面、14…タッチパネル、14a…表面、16…ペン(位置指示体)、16a…発生器、16b…ペン先、18…マーカ、20…CPU、28…コンテンツ表示制御部、30…タッチ検出部、32…タイミング制御部、32a…PSR制御部、32b…周波数制御部、34,40…検出面、34A,40A…検出領域、36,42…ホバー有効面、36A,42A…ホバー有効領域、38…指(生体、位置指示体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7