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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058308
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20230418BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A01G9/18
A01G7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168251
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519257463
【氏名又は名称】株式会社ミライ菜園
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱川 真志
(72)【発明者】
【氏名】洞江 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】大坪 尚充
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 啓夫
(72)【発明者】
【氏名】畠山 友史
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
【Fターム(参考)】
2B022DA12
2B022DA15
2B029JA02
2B029JA06
2B029JA10
(57)【要約】
【課題】所定の対象場へ必要十分な二酸化炭素を供給し、その対象場の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理すること。
【解決手段】二酸化炭素をハウスに供給するCO2供給装置1は、内部に二酸化炭素が貯留されたタンク11と、タンク11に貯留された二酸化炭素が導出される流路12と、流路12に設けられ、タンク11に貯留された二酸化炭素を流路12へ導出し、ハウス2へ供給するために動作するブロワ13と、ブロワ13を制御するコントローラ30と、タンク11より下流の二酸化炭素の濃度を検出するブロワ上流濃度センサ21及びハウス内濃度センサ22とを備える。コントローラ30は、各センサ21,22により検出される二酸化炭素濃度に応じてハウス2への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワ13を制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を所定の対象場に供給するように構成した二酸化炭素供給装置であって、
内部に前記二酸化炭素が貯留されたタンクと、
前記タンクに貯留された前記二酸化炭素が導出される流路と、
前記流路に設けられ、前記タンクに貯留された前記二酸化炭素を前記流路へ導出し、前記対象場へ供給するために動作するブロワと、
前記ブロワを制御するための制御手段と
を備えた二酸化炭素供給装置において、
前記タンクより下流の前記二酸化炭素の濃度を検出するための二酸化炭素濃度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、検出される前記二酸化炭素の濃度に応じて前記対象場への前記二酸化炭素の供給量を調節するために前記ブロワを制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ブロワより上流の前記流路にて前記二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも高い場合に、前記対象場への前記二酸化炭素の供給量を減らすために前記ブロワを低出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ブロワより上流の前記流路にて前記二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ブロワ上流濃度が所定の第1の基準値以下となる場合に、前記対象場への前記二酸化炭素の供給量を増やすために前記ブロワを高出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ブロワより上流の前記流路にて前記二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも低い所定の第2の基準値以下となる場合に、前記対象場への前記二酸化炭素の供給を停止するために前記ブロワを停止制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記対象場は、所定の空間を有するハウスであり、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ブロワより上流の前記流路にて前記二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサと、前記ハウスの中にて前記二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサとを含み、
前記制御手段は、それぞれ検出される前記ブロワ上流濃度及び前記ハウス内濃度に応じて前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を調節するために前記ブロワを制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記制御手段は、検出される前記ブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも高い場合及び検出される前記ハウス内濃度が所定の第3の基準値よりも高い場合の少なくとも一方を満たすとき、前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を減らすために前記ブロワを低出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項7】
請求項5に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記制御手段は、検出される前記ブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも低い場合及び検出される前記ハウス内濃度が所定の第3の基準値よりも低い場合の少なくとも一方を満たすとき、前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を増やすために前記ブロワを高出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項8】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ハウスの中にて前記二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ハウス内濃度が所定の第3の基準値よりも高い場合に、前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を減らすために前記ブロワを低出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項9】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ハウスの中にて前記二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ハウス内濃度が所定の第3の基準値以下となる場合に、前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を増やすために前記ブロワを高出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項10】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ハウスの中にて前記二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ハウス内濃度の変化代が所定の第4の基準値未満となる場合に、前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を増やすために前記ブロワを高出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項11】
請求項1に記載の二酸化炭素供給装置において、
前記所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、
前記二酸化炭素濃度検出手段は、前記ハウスの中にて前記二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、
前記制御手段は、検出される前記ハウス内濃度の変化代が所定の第4の基準値以上となる場合に、前記ハウスの中への前記二酸化炭素の供給量を減らすために前記ブロワを低出力に制御する
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の二酸化炭素供給装置において、
前記タンクには、他の設備から排出された前記二酸化炭素が貯留されており、前記タンクは、使用済みのタンクを未使用のタンクと交換するために前記流路に対し着脱可能に接続される
ことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、農業用又は園芸用のハウスなどの所定の対象場に二酸化炭素を供給するように構成した二酸化炭素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される「二酸化炭素施用装置」が知られている。この装置は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウスの中に供給する装置であって、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された複数の吸着タンクと、燃焼排ガスを複数の吸着タンクに供給し、複数の吸着タンクを通過した燃焼排ガスを複数の吸着タンクの下流側に供給する流路とを備える。また、この装置は、流路に設けられるブロワ、切替え部及び二酸化炭素の濃度センサと、ブロワ及び切替え部を制御する制御部とを更に備える。そして、制御部は、濃度センサの検出値に基づき吸着タンクにおける二酸化炭素の吸着量を判定し、その判定結果に基づきブロワ及び切替え部を制御し、燃焼排ガスを複数の吸着タンクに供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-41639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の装置では、単に吸着タンクに吸着された二酸化炭素を農業用ハウスの中に供給するだけの構成であることから、農作物の種類、又は季節や天候に応じてハウスの中の二酸化炭素濃度を管理することができなかった。すなわち、この装置では、二酸化炭素が供給される対象場の状態や条件に応じて二酸化炭素の供給量を管理することができなかった。
【0005】
また、この装置は、主に夜間にハウスの中の空気を温めるために設けられた燃焼装置から排出される燃焼排ガスの中の二酸化炭素を、吸着タンクに貯留して活用するように構成された発明である。ところが、この装置では、ハウスの規模や季節によっては、農作物の収率や品質を確保できるに十分な二酸化炭素を吸着タンクに貯留したり、ハウスへ供給したりすることができない懸念があった。この場合、吸着タンクで不足する二酸化炭素を補うために、ハウスで燃焼装置を別途運転させる必要があり、ハウスの中を燃焼装置により不必要に温めてしまうことになってしまう。
【0006】
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、所定の対象場へ必要十分な二酸化炭素を供給し、その対象場の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することを可能とした二酸化炭素供給装置を提供することにある。また、この開示技術の第2の目的は、第1の目的に加え、供給に必要な二酸化炭素を得るために熱を排出する燃焼装置を別途設けて運転する必要がなく、他の設備から排出される二酸化炭素を有効利用することを可能とした二酸化炭素供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、二酸化炭素を所定の対象場に供給するように構成した二酸化炭素供給装置であって、内部に二酸化炭素が貯留されたタンクと、タンクに貯留された二酸化炭素が導出される流路と、流路に設けられ、タンクに貯留された二酸化炭素を流路へ導出し、対象場へ供給するために動作するブロワと、ブロワを制御するための制御手段とを備えた二酸化炭素供給装置において、タンクより下流の二酸化炭素の濃度を検出するための二酸化炭素濃度検出手段を更に備え、制御手段は、検出される二酸化炭素の濃度に応じて対象場への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワを制御することを趣旨とする。
【0008】
上記技術の構成によれば、制御手段がブロワを制御することで、タンクに貯留された二酸化炭素が、流路を流れて所定の対象場へ供給される。ここで、制御手段は、二酸化炭素濃度検出手段により検出されるタンクより下流の二酸化炭素の濃度に応じて対象場への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワを制御する。従って、タンクより下流の二酸化炭素の濃度に応じて対象場へ供給される二酸化炭素の量が過不足なく調整される。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、二酸化炭素濃度検出手段は、ブロワより上流の流路にて二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサを含み、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも高い場合に、対象場への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御することを趣旨とする。
【0010】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、ブロワ上流濃度センサにより検出されるブロワ上流濃度が第1の基準値よりも高い場合に、対象場への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御する。ここで、検出されるブロワ上流濃度は、タンクから流路へ流れ出る二酸化炭素の濃度、すなわち、タンクの中の二酸化炭素濃度を反映している。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度が第1の基準値よりも高い場合に、ブロワが低出力に制御されて対象場への二酸化炭素の供給量が減るので、対象場での二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、二酸化炭素濃度検出手段は、ブロワより上流の流路にて二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサを含み、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が所定の第1の基準値以下となる場合に、対象場への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御することを趣旨とする。
【0012】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、ブロワ上流濃度センサにより検出されるブロワ上流濃度が第1の基準値以下となる場合に、対象場への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御する。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度が第1の基準値以下となる場合に、ブロワが高出力に制御されて対象場への二酸化炭素の供給量が増えるので、対象場での二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、二酸化炭素濃度検出手段は、ブロワより上流の流路にて二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサを含み、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも低い所定の第2の基準値以下となる場合に、対象場への二酸化炭素の供給を停止するためにブロワを停止制御することを趣旨とする。
【0014】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、ブロワ上流濃度センサにより検出されるブロワ上流濃度が第1の基準値より低い第2の基準値以下となる場合に、対象場への二酸化炭素の供給を停止するためにブロワを停止制御する。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度が第2の基準値以下に低下するほどにタンクの中の二酸化炭素の残留量が少なくなった場合は、ブロワが無駄に動作することがない。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、対象場は、所定の空間を有するハウスであり、二酸化炭素濃度検出手段は、ブロワより上流の流路にて二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度として検出するためのブロワ上流濃度センサと、ハウスの中にて二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサとを含み、制御手段は、それぞれ検出されるブロワ上流濃度及びハウス内濃度に応じてハウスの中への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワを制御することを趣旨とする。
【0016】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、ブロワ上流濃度センサにより検出されるブロワ上流濃度及びハウス内濃度センサにより検出されるハウス内濃度に応じて対象場への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワを制御する。ここで、検出されるブロワ上流濃度はタンクの中の二酸化炭素濃度を反映し、検出されるハウス内濃度はハウスの中の二酸化炭素濃度を反映している。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度とハウスの中の二酸化炭素濃度に応じて、タンクから対象場へ供給される二酸化炭素の量が過不足なく調整される。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の技術は、請求項5に記載の技術において、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも高い場合及び検出されるハウス内濃度が所定の第3の基準値よりも高い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御することを趣旨とする。
【0018】
上記技術の構成によれば、請求項5に記載の技術の作用に加え、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が第1の基準値よりも高い場合及び検出されるハウス内濃度が第3の基準値よりも高い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御する。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度が第1の基準値よりも高い場合及びハウスの中の二酸化炭素濃度が第3の基準値よりも高い場合の少なくとも一方を満たすときは、ブロワが低出力に制御されてハウスへの二酸化炭素の供給量が減るので、ハウスの中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の技術は、請求項5に記載の技術において、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が所定の第1の基準値よりも低い場合及び検出されるハウス内濃度が所定の第3の基準値よりも低い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御することを趣旨とする。
【0020】
上記技術の構成によれば、請求項5に記載の技術の作用に加え、制御手段は、検出されるブロワ上流濃度が第1の基準値よりも低い場合及び検出されるハウス内濃度が第3の基準値よりも低い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御する。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度が第1の基準値よりも低い場合及びハウスの中の二酸化炭素濃度が第3の基準値よりも低い場合の少なくとも一方を満たすときは、ブロワが高出力に制御されてハウスへの二酸化炭素の供給量が増すので、ハウスの中の二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、二酸化炭素濃度検出手段は、ハウスの中にて二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、制御手段は、検出されるハウス内濃度が所定の第3の基準値よりも高い場合に、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御することを趣旨とする。
【0022】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、ハウス内濃度センサにより検出されるハウス内濃度が、所定の第3の基準値より高い場合に、ハウスへの二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力制御する。ここで、検出されるハウス内濃度は、ハウスの中の二酸化炭素濃度を反映している。従って、ハウスの中の二酸化炭素濃度が第3の基準値より高い場合は、ブロワが低出力に制御されてハウスへの二酸化炭素の供給量が減るので、ハウスの中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項9に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、二酸化炭素濃度検出手段は、ハウスの中にて二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、制御手段は、検出されるハウス内濃度が所定の第3の基準値以下となる場合に、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御することを趣旨とする。
【0024】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、検出されるハウス内濃度が、所定の第3の基準値以下となる場合に、ハウスへの二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力制御する。従って、ハウスの中の二酸化炭素濃度が第3の基準値以下となる場合は、ブロワが高出力に制御されてハウスへの二酸化炭素の供給量が増えるので、ハウスの中の二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。
【0025】
上記目的を達成するために、請求項10に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、二酸化炭素濃度検出手段は、ハウスの中にて二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、制御手段は、検出されるハウス内濃度の変化代が所定の第4の基準値未満となる場合に、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御することを趣旨とする。
【0026】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、検出されるハウス内濃度の変化代が所定の第4の基準値未満となる場合に、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワを高出力に制御する。ここで、検出されるハウス内濃度の変化代は、ハウスの中における二酸化炭素の消費の程度を反映している。従って、ハウスの中における二酸化炭素の消費の程度が大きい場合は、ブロワが高出力に制御されてハウスへの二酸化炭素の供給量が増すので、ハウスの中の二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。
【0027】
上記目的を達成するために、請求項11に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、所定の対象場は、所定の空間を有するハウスであり、二酸化炭素濃度検出手段は、ハウスの中にて二酸化炭素の濃度をハウス内濃度として検出するためのハウス内濃度センサを含み、制御手段は、検出されるハウス内濃度の変化代が所定の第4の基準値以上となる場合に、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御することを趣旨とする。
【0028】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、検出されるハウス内濃度の変化代が所定の第4の基準値以上となる場合に、ハウスの中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワを低出力に制御する。従って、ハウスの中における二酸化炭素の消費の程度が小さい場合は、ブロワが低出力に制御されてハウスへの二酸化炭素の供給量が減るので、ハウスの中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。
【0029】
上記目的を達成するために、請求項12に記載の技術は、請求項1乃至11のいずれかに記載の技術において、タンクには、他の設備から排出された二酸化炭素が貯留されており、タンクは、使用済みのタンクを未使用のタンクと交換するために流路に対し着脱可能に接続されることを趣旨とする。
【0030】
上記技術の構成によれば、請求項1乃至11のいずれかに記載の技術の作用に加え、タンクには、他の設備から排出された二酸化炭素が貯留されるので、タンクで不足する二酸化炭素を補うために、ハウスで燃焼装置を別途運転させる必要がなく、ハウスの中を燃焼装置により不必要に温めてしまうことがない。また、タンクは、使用済みのタンクを未使用のタンクと交換するために流路に対し着脱可能に接続されるので、使用済みのタンクを未使用のタンクと交換して付け換えるだけで、使用中のタンクで不足する二酸化炭素が補われる。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の技術によれば、所定の対象場へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、その対象場の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0032】
請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、対象場の二酸化炭素濃度が必要以上に高くなることを防止することができる。
【0033】
請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、対象場の二酸化炭素濃度が必要以上に低くなることを防止することができる。
【0034】
請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、ブロワで消費する電力を節約することができる。
【0035】
請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、タンクの中の二酸化炭素の残留量に応じてハウスへ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウスの中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0036】
請求項6に記載の技術によれば、請求項5に記載の技術の効果と同等の効果を得ることができる。
【0037】
請求項7に記載の技術によれば、請求項5に記載の技術の効果と同等の効果を得ることができる。
【0038】
請求項8に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、ハウスの中の二酸化炭素濃度が必要以上に高くなることを防止することができる。
【0039】
請求項9に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、ハウスの中の二酸化炭素濃度が必要以上に低くなることを防止することができる。
【0040】
請求項10に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、ハウスの中における二酸化炭素の消費の程度に応じてハウスへ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウスの中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0041】
請求項11に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、ハウスの中における二酸化炭素の消費の程度に応じてハウスへ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウスの中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0042】
請求項12に記載の技術によれば、請求項1乃至11のいずれかに記載の技術の効果に加え、供給に必要な二酸化炭素を得るために熱を排出する燃焼装置を別途設けて運転する必要がなく、他の設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第1実施形態に係り、CO2供給装置を示す概略図。
図2】第1実施形態に係り、ハウス内におけるCO2供給装置等の配置を示す概略図。
図3】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
図4】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御を実行した晴天時の結果の一例であって、ハウス内温度の変化を示すタイムチャート。
図5】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御を実行した晴天時の結果の一例であって、ハウス内濃度の変化を示すタイムチャート。
図6】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御を実行した晴天時の結果の一例であって、ブロワ出力の変化を示すタイムチャート。
図7】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御を実行した雨天時の結果の一例であって、ハウス内温度の変化を示すタイムチャート。
図8】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御を実行した雨天時の結果の一例であって、ハウス内濃度の変化を示すタイムチャート。
図9】第1実施形態に係り、CO2濃度管理制御を実行した雨天時の結果の一例であって、ブロワ出力の変化を示すタイムチャート。
図10】第2実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
図11】第3実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
図12】第4実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
図13】第5実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
図14】第6実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
図15】第7実施形態に係り、CO2濃度管理制御の内容の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、二酸化炭素供給装置を具体化したいくつかの実施形態について説明する。
【0045】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
[機械的構成について]
この実施形態では、所定の対象場としての農業用ハウスの中に二酸化炭素を供給するように構成した二酸化炭素供給装置について説明する。図1に、この実施形態の二酸化炭素供給装置(以下、「CO2供給装置」と言う。)1を概略図により示す。図1に示すように、このCO2供給装置1は、内部に二酸化炭素が貯留されたタンク11と、そのタンク11に貯留された二酸化炭素が導出される流路12と、流路12の途中に設けられ、タンク11に貯留された二酸化炭素を流路12へ導出し、農業用ハウス(以下、単に「ハウス」と言う。)2の中へ供給するために動作するブロワ13とを備える。
【0047】
ハウス2は、周知の構成を有するものであり、金属製フレームにガラス等の透明板を取り付けることで構成され、内部に農作物を育成するための所定の空間3(図2参照)を有する。ハウス2の一部には、開閉可能に構成された換気用窓2aが設けられる。
【0048】
ブロワ13は、入口13aと出口13bを有し、内部に設けられたモータによりファンを回転させることにより、入口13aから二酸化炭素を取り入れ、出口13bからその二酸化炭素を送り出すようになっている。この実施形態のブロワ13は、モータの回転数を高回転と低回転の二段階に制御することで、出口13bから二酸化炭素を送り出す力を高出力と低出力の二段階に制御できるようになっている。
【0049】
この実施形態で、流路12は、パイプで構成され、ブロワ13より上流の上流側流路12aと、ブロワ13より下流の下流側流路12bとを含む。上流側流路12aの入口12aaは、タンク11に着脱可能に接続され、その出口12abは、ブロワ13の入口13aに接続される。下流側流路12bの入口12baは、ブロワ13の出口13bに接続され、その出口12bbは、ハウス2の中に開口される。
【0050】
タンク11には、他の設備で燃焼により排出された二酸化炭素が貯留されている。この実施形態では、例えば、工場や家庭で燃焼により排出された二酸化炭素を有効利用するために、タンク11には、ハウス2の設置場所とは別の場所にて所定の充填装置を使用することで二酸化炭素を貯留するようになっている。タンク11には、二酸化炭素を吸着する吸着材14が内蔵される。吸着材14として、例えば、活性炭、ゼオライト等の多孔質材料などを使用することができる。タンク11は、使用済みのタンクを未使用のタンクと交換するために流路12に対し着脱可能に接続される。すなわち、タンク11は、上流側流路12aの入口12aaに接続される管継手11aを有する。管継手11aに対し、上流側流路12aの入口12aaが着脱可能に接続される。ここで、複数のタンク11に予め二酸化炭素を貯留し、それらをハウス2の近隣に設けた倉庫等に保管しておくことで、二酸化炭素満杯の保管された未使用のタンク11を、二酸化炭素が空になった使用済みのタンク11と交換して使用することができるようになっている。
【0051】
[電気的構成について]
この実施形態で、CO2供給装置1は、ブロワ13より上流の上流側流路12aにて二酸化炭素の濃度をブロワ上流濃度CCDBとして検出するためのブロワ上流濃度センサ21と、ハウス2の中の二酸化炭素の濃度をハウス内濃度CCDHとして検出するためのハウス内濃度センサ22と、ハウス2の中の温度をハウス内温度THHとして検出するためのハウス内温度センサ23と、ブロワ上流濃度CCDB、ハウス内濃度CCDH及びハウス内温度THHを含む各種情報を表示するためのモニタ26と、検出されるブロワ上流濃度CCDB、ハウス内濃度CCDH及びハウス内温度THHに応じて二酸化炭素のハウス2への供給量を調節するためにブロワ13を制御するコントローラ30と、ブロワ13とコントローラ30に電力を供給するバッテリ28とを備える。
【0052】
コントローラ30には、各種センサ21~23及びブロワ13及びモニタ26が接続される。また、バッテリ28は、ブロワ13とコントローラ30に接続される。コントローラ30は、この開示技術の制御手段の一例に相当する。周知のようにコントローラ30は、中央処理装置(CPU)、各種メモリ、外部入力回路及び外部出力回路等を含む。この実施形態で、コントローラ30は、ハウス2の中における二酸化炭素の濃度を管理するために、後述する所定のCO2濃度管理制御を実行するようになっている。すなわち、コントローラ30は、CO2濃度管理制御を実行するために、各種センサ21~23の検出値等に基づきブロワ13及びモニタ26を制御するようになっている。
【0053】
[ハウス内におけるCO2供給装置等の配置について]
この実施形態では、CO2供給装置1は、ハウス2の中に配置される。図2に、ハウス2内におけるCO2供給装置1等の配置を概略図により示す。図2に示すように、ハウス2は、平面視で長方形をなし、その一つの短辺の中央に隣接してCO2供給装置1が配置される。CO2供給装置1は、その前面側に下流側流路12bの出口12bbに接続された吹き出し口16が配置される。この吹き出し口16は、ハウス2の長手方に沿って二酸化炭素を吹き出すように配置される。その吹き出された二酸化炭素の流れの中心を挟んだ両側の位置には、それぞれ二つ(合計四つ)の空気循環用のファン装置18が設けられる。これらのファン装置18は、ハウス2の中にて空気を循環させるために動作するようになっている。この実施形態で、これらのファン装置18は、CO2供給装置1とは別に電気的に動作するように構成されるが、CO2供給装置1と連動して動作するように構成することもできる。ハウス内濃度センサ22とハウス内温度センサ23は、ハウス2のほぼ中央にて、所定の高さに配置される。これらセンサ22,23は、各ファン装置18による空気の循環経路の中に配置される。
【0054】
[CO2濃度管理制御について]
次に、ハウス2の中の二酸化炭素濃度を管理するためにコントローラ30が実行するCO2濃度管理制御について説明する。図3に、その制御内容の一例をフローチャートにより示す。
【0055】
処理がこのルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ100で、CO2供給装置1を始動させる時刻か否かを判断する。この始動時刻と後述する停止時刻は、この装置1の使用者により、予めコントローラ30に設定される。使用者は、この始動時刻と停止時刻を、例えば、その日の日の出時刻と日の入り時刻に設定することができる。コントローラ30は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ110へ移行し、この判断結果が否定となる場合はその後の処理を一旦終了する。
【0056】
ステップ110では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づきハウス内濃度CCDHを読み込む。
【0057】
次に、ステップ120で、コントローラ30は、ハウス内濃度CCDHがブロワ停止濃度CSTPより低いか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ130へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ140へ移行する。
【0058】
ステップ130では、コントローラ30は、モニタ26に、高濃度アラートを表示させる。その後、コントローラ30は、処理を一旦終了する。この装置1の使用者は、モニタ26における高濃度アラートの表示から、ハウス2の中の二酸化炭素が必要以上の高濃度になっていることを知ることができる。
【0059】
一方、ステップ140では、コントローラ30は、ブロワ13を低出力に制御する。これにより、吹き出し口16からは二酸化炭素がハウス2の中に低流量で送り出される。
【0060】
次に、ステップ150で、コントローラ30は、 ブロワ上流濃度センサ21の検出値に基づきブロワ上流濃度CCDBを読み込む。
【0061】
次に、ステップ160で、コントローラ30は、ブロワ上流濃度CCDBがタンク交換濃度CEXより高いか否かを判断する。タンク交換濃度CEXは、使用中のタンク11を、新しいタンク11に交換させる必要がある低濃度を意味し、この開示技術の第2の基準値の一例に相当する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ170へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ180へ移行する。
【0062】
ステップ170では、コントローラ30は、ブロワ13を停止制御し、モニタ26に、タンク交換アラートを表示させる。その後、コントローラ30は、処理を一旦終了する。この装置1の使用者は、モニタ26におけるタンク交換アラートの表示から、タンク11の交換の必要性を知ることができる。
【0063】
一方、ステップ180では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づきハウス内濃度CCDHを読み込む。
【0064】
次に、ステップ190で、コントローラ30は、ハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2より高いか否かを判断する。第2の出力切り替え濃度CSS2は、ハウス2への二酸化炭素の供給を、ブロワ13を低出力のままで許容できるハウス内濃度CCDHの下限値、すなわち、ブロワ13の出力を高出力に切り替える必要のない濃度の下限値を意味し、この開示技術の第3の基準値の一例に相当する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ210へ移行する。
【0065】
ステップ200では、コントローラ30は、ブロワ13を高出力に制御する。すなわち、ブロワ13を低出力から高出力へ切り替える。これにより、吹き出し口16から二酸化炭素がハウス2の中へ高流量で送り出される。その後、コントローラ30は、処理をステップ240へ移行する。
【0066】
一方、ステップ210では、コントローラ30は、ブロワ13の停止制御中であれば同制御を継続し、停止制御中でなければ(高出力制御中又は低出力制御中であれば)ブロワ13を低出力制御する。
【0067】
次に、ステップ220では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づきハウス内濃度CCDHを読み込む。
【0068】
次に、ステップ230で、コントローラ30は、ハウス内濃度CCDHが所定の目標濃度CTDより低いか否かを判断する。目標濃度CTDは、ハウス2の中の農作物に最適な二酸化炭素の濃度を意味する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ240へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ250へ移行する。
【0069】
ステップ240では、コントローラ30は、ブロワ13を停止制御する。これにより、吹き出し口16からの二酸化炭素の送り出しが停止する。その後、コントローラ30は、処理をステップ250へ移行する。
【0070】
ステップ200、ステップ230又はステップ240から移行してステップ250では、コントローラ30は、ハウス内温度センサ23の検出値に基づきハウス内温度THHを読み込む。
【0071】
次に、ステップ260で、コントローラ30は、ハウス内温度THHが所定の上限温度THLより低いか否かを判断する。上限温度THLは、ハウス2の中の温度として許容できる温度の上限値を意味し、この実施形態では、例えば「25℃」に設定することができる。この実施形態では、ハウス2の設備として、ハウス内温度THHが上限温度THL以上になると、ハウス2の換気窓2aを自動的に開放するように構成した換気窓開閉装置(図示略)が設けられる。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ270へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ280へ移行する。
【0072】
ステップ270では、コントローラ30は、ブロワ13を停止制御する。これにより、吹き出し口16からの二酸化炭素の送り出しが停止する。ハウス内温度THHが上限温度THLを超えて換気窓2aが開放され、ハウス2の中が換気されると、ハウス2の中への二酸化炭素の供給が不要になるので、ブロワ13を停止させるのである。その後、コントローラ30は、処理をステップ280へ移行する。
【0073】
ステップ260又はステップ270から移行してステップ280では、コントローラ30は、CO2供給装置1の停止時刻であるか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ150へ戻し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ290へ移行する。
【0074】
そして、ステップ290で、コントローラ30は、ブロワ13を停止制御する。これにより、吹き出し口16からの二酸化炭素の送り出しが停止する。その後、コントローラ30は、処理を一旦終了する。
【0075】
上記したCO2濃度管理制御によれば、コントローラ30(制御手段)は、検出される二酸化炭素の濃度に応じてハウス2(対象場)への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワ13を制御するようになっている。詳しくは、コントローラ30は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが後述する第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも低いタンク交換濃度CEX(第2の基準値)以下となる場合に、ハウス2への二酸化炭素の供給を停止するためにブロワ13を停止制御するようになっている。また、コントローラ30は、検出されるハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)よりも高い場合に、ハウス2の中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御するようになっている。更に、コントローラ30は、検出されるハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2以下となる場合に、ハウス2の中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御するようになっている。
【0076】
図4図9に、上記したCO2濃度管理制御を実行した結果の一例をタイムチャートにより示す。図4図6は、晴天時の結果を同じ時系列で示し、図4は、ハウス内温度THHの変化を示し、図5は、ハウス内濃度CCDHの変化を示し、図6は、ブロワ出力の変化を示す。図6に示すように、ブロワ13は、始動時刻である午前4時に始動を開始し、その出力が所定の高出力となる。その後、図5に示すように、ハウス内濃度CCDHが、最低濃度から徐々に増加し、午前6時に第2の出力切り替え濃度CSS2に達すると、図6に示すように、ブロワ13が高出力から低出力へ切り替えられる。その後、図5に示すように、ハウス内濃度CCDHが、午前7時に最高濃度である目標濃度CTDを超えようとすると、図6に示すように、ブロワ13が停止となる。そして、図5に示すように、ハウス内濃度CCDHが、目標濃度CTDから減少し、午前8時に第2の出力切り替え濃度CSS2に達すると、図6に示すように、ブロワ13が低出力となる。その結果、図5に示すように、ハウス内濃度CCDHが再び増加し始める。その後、図4に示すように、午前9時に、ハウス内温度THHが上限温度THLに達すると、換気窓開閉装置が動作してハウス2の換気窓2aが自動的に開放される。この場合は、ハウス2への二酸化炭素の供給が不要になるので、ブロワ13が停止制御され、ブロワ13が停止となる。この結果、図5に示す、ハウス内濃度CCDHが最低濃度へ向けて減少する。なお、図4に示すように、午前9時以降のハウス内温度THHは、上限温度THLの付近でハンチングし、日没の前後から夜間へ向けて低下することになる。
【0077】
図7図9は、雨天時の結果を同じ時系列で示し、図7は、ハウス内温度THHの変化を示し、図8は、ハウス内濃度CCDHの変化を示し、図9は、ブロワ出力の変化を示す。図7図9に示すように、雨天時には、ハウス内温度THHは上限温度THLに達することなく変化する。従って、図9に示すように、ブロワ13は、始動時刻である午前4時から停止時刻である午後5時(17時)までの間で動作し、その出力は、ハウス内濃度CCDHの値に基づき、最初に高出力となってから低出力と停止との間で交互に切り替えられる。そして、図8に示すように、ハウス内濃度CCDHは、午前4時から午後5時(17時)までの間で、ブロワ13の出力変化に合わせて増減を繰り返し、その後、夜間へ向けて低下する。
【0078】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、コントローラ30(制御手段)がブロワ13を制御することで、タンク11に貯留された二酸化炭素が、流路12を流れてハウス2(対象場)へ供給される。ここで、コントローラ30は、二酸化炭素濃度検出手段により検出されるタンク11より下流の二酸化炭素の濃度に応じてハウス2への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワ13を制御する。従って、タンク11より下流の二酸化炭素の濃度に応じてハウス2へ供給される二酸化炭素の量が過不足なく調整される。このため、ハウス2へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、そのハウス2の中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0079】
この実施形態の構成によれば、コントローラ30は、ブロワ上流濃度センサ21により検出されるブロワ上流濃度CCDB及びハウス内濃度センサ22により検出されるハウス内濃度CCDHに応じてハウス2への二酸化炭素の供給量を調節するためにブロワ13を制御する。ここで、検出されるブロワ上流濃度CCDBはタンク11の中の二酸化炭素濃度を反映し、検出されるハウス内濃度CCDHはハウス2の中の二酸化炭素濃度を反映している。従って、タンク11の中の二酸化炭素濃度とハウス2の中の二酸化炭素濃度に応じて、タンク11からハウス2へ供給される二酸化炭素の量が過不足なく調整される。このため、タンク11の中の二酸化炭素の残留量に応じてハウス2へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、そのハウス2の中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0080】
この実施形態の構成によれば、コントローラ30は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが、第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)より低いタンク交換濃度CEX(第2の基準値)以下となる場合に、ハウス2への二酸化炭素の供給を停止するためにブロワ13を停止制御する。従って、タンク11の中の二酸化炭素濃度がタンク交換濃度CEX以下に低下するほどにタンク11の中の二酸化炭素の残留量が少なくなった場合は、ブロワ13が無駄に動作することがない。このため、ブロワ13で消費する電力を節約することができる。
【0081】
この実施形態の構成によれば、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22により検出されるハウス内濃度CCDHが、第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)より高い場合に、ハウス2への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力制御する。ここで、検出されるハウス内濃度CCDHは、ハウス2の中の二酸化炭素濃度を反映している。従って、ハウスの中の二酸化炭素濃度が第2の出力切り替え濃度CSS2より高い場合は、ブロワ13が低出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が減るので、ハウス2の中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。このため、ハウス2の中の二酸化炭素の濃度が必要以上に高くなることを防止することができる。
【0082】
この実施形態の構成によれば、コントローラ30は、検出されるハウス内濃度CCDHが、第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)以下となる場合に、ハウス2への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力制御する。従って、ハウスの中の二酸化炭素濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2以下となる場合は、ブロワ13が高出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が増えるので、ハウス2の中の二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。このため、ハウス2の中の二酸化炭素の濃度が必要以上に低くなることを防止することができる。
【0083】
この実施形態の構成によれば、タンク11には、他の設備から排出された二酸化炭素が貯留されるので、タンク11で不足する二酸化炭素を補うために、ハウス2で燃焼装置を別途運転させる必要がなく、ハウス2の中を燃焼装置により不必要に温めてしまうことがない。また、タンク11は、使用済みのタンク11を未使用のタンク11と交換するために流路12に対し着脱可能に接続されるので、使用済みのタンク11を未使用のタンク11と交換して付け換えるだけで、使用中のタンク11で不足する二酸化炭素が補われる。このため、供給に必要な二酸化炭素を得るために熱を排出する燃焼装置を別途設けて運転する必要がなく、他の設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0084】
ここで、仮に、ハウス2の床面積を150坪と仮定すると、ハウス2の中で一日に必要な二酸化炭素の供給量を賄うためには、燃焼装置で燃料を燃焼させ、その排ガスにより「10Kg」の二酸化炭素を新たに発生させなければならない。このCO2供給装置1によれば、他の設備から排出される二酸化炭素を有効利用することで、一日当たり「10Kg」の二酸化炭素の発生を削減できることになる。
【0085】
この実施形態の構成によれば、ハウス内温度THHが上限温度THLを超えて換気窓2aが開放され、ハウス2の中が換気されると、ブロワ13が停止する。このため、ハウス2の中の換気の実施に合わせ、タンク11の二酸化炭素の無駄な使用を防止することができる。
【0086】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0087】
この実施形態では、CO2濃度管理制御の内容の点で第1実施形態と異なる。
【0088】
[CO2濃度管理制御について]
この実施形態におけるCO2濃度管理制御について説明する。図10に、その制御内容をフローチャートにより示す。この実施形態のフローチャートは、図3のフローチャートにおけるステップ270とステップ280との間に、ステップ300~ステップ320の処理が設けられる。
【0089】
処理が図10に示すルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ100~ステップ270までの処理を実行した後、処理をステップ300へ移行する。ステップ300では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づきハウス内濃度CCDHを読み込む。
【0090】
次に、ステップ310で、コントローラ30は、ハウス内濃度CCDHがブロワ停止濃度CSTPより低いか否かを判断する。ここで、ブロワ停止濃度CSTPは、ハウス2の中の二酸化炭素濃度が過剰な高濃度にならないために設定された上限濃度を意味する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ320へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ280へ移行する。
【0091】
ステップ320では、コントローラ30は、二酸化炭素の過剰な高濃度化を防止するためにブロワ13を停止制御し、モニタ26に高濃度アラートを表示させる。これにより、吹き出し口16からの二酸化炭素の送り出しが停止する。その後、コントローラ30は、処理を一旦終了する。
【0092】
上記したCO2濃度管理制御によれば、コントローラ30(制御手段)は、第1実施形態と同様、ブロワ上流濃度CCDB及びハウス内濃度CCDHに基づきブロワ13を低出力又は高出力に制御すると共に、ハウス内温度THHが上限温度THLを超えた場合は、ブロワ13を停止制御するようになっている。加えて、コントローラ30は、ハウス内濃度CCDHを再確認し、ハウス内濃度CCDHがブロワ停止濃度CSTPよりも低い場合は、ブロワ13の低出力又は高出力の制御を繰り返し、ハウス内濃度CCDHがブロワ停止濃度CSTP以上となった場合は、二酸化炭素の過剰な高濃度化を防止するためにブロワ13を停止制御するようになっている。
【0093】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、第1実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。加えて、この実施形態では、コントローラ30(制御手段)が、ブロワ13を低出力又は高出力に制御することで、ハウス内濃度CCDHがブロワ停止濃度CSTP以上となった場合は、ブロワ13を停止制御する。このため、ハウス2(対象場)の中の二酸化炭素の濃度が過剰に高くなることを確実に防止することができる。
【0094】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0095】
この実施形態では、CO2濃度管理制御の内容の点で前記第2実施形態と異なる。
【0096】
[CO2濃度管理制御について]
この実施形態におけるCO2濃度管理制御について説明する。図11に、その制御内容をフローチャートにより示す。この実施形態のフローチャートは、図10のフローチャートにおけるステップ250~ステップ270の処理を省略し、ステップ180及びステップ190の処理の代わりに、ステップ185及びステップ195の処理が設けられる。
【0097】
処理が図11に示すルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ100~ステップ160の処理を実行し、ステップ160の判断結果が肯定となる場合に、処理をステップ185へ移行する。
【0098】
そして、ステップ185では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づきハウス内濃度CCDHを読み込み、ブロワ上流濃度センサ21の検出値に基づきブロワ上流濃度CCDBを読み込む。
【0099】
次に、ステップ195で、コントローラ30は、(a)ブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1より高いこと、(b)ハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2より高いこと、につき、(a)と(b)の少なくとも一方が成立するか否かを判断する。第1の出力切り替え濃度CSS1は、ハウス2への二酸化炭素の供給を、ブロワ13を低出力のままで許容できるブロワ上流濃度CCDBの下限値を意味し、この開示技術の第1の基準値の一例に相当する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ210へ移行する。
【0100】
上記したCO2濃度管理制御によれば、第2実施形態とは異なり、コントローラ30(制御手段)は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも高い場合及び検出されるハウス内濃度CCDHが所定の第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)よりも高い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウス2(対象場)の中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御するようになっている。
【0101】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、第2実施形態と異なり、コントローラ30(制御手段)は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも高い場合及び検出されるハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)よりも高い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウス2(対象場)の中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御する。従って、タンクの中の二酸化炭素濃度が第1の出力切り替え濃度CSS1よりも高い場合及びハウス2の中の二酸化炭素濃度が第2の出力切り替え濃度CSS2よりも高い場合の少なくとも一方を満たすときは、ブロワ13が低出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が減るので、ハウス2の中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。このため、タンク11の中の二酸化炭素の残留量に応じてハウス2へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウス2の中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0102】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0103】
この実施形態では、CO2濃度管理制御の内容の点で前記第3実施形態と異なる。
【0104】
[CO2濃度管理制御について]
この実施形態におけるCO2濃度管理制御について説明する。図12に、その制御内容をフローチャートにより示す。この実施形態のフローチャートは、図11のフローチャートにおけるステップ195の処理の代わりに、ステップ197の処理が設けられる。
【0105】
処理が図12に示すルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ100~ステップ185の処理を実行した後、ステップ197へ移行する。
【0106】
そして、ステップ197では、コントローラ30は、(a)ブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1より低いこと、(b)ハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2より低いこと、につき、(a)と(b)の少なくとも一方が成立するか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ210へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ200へ移行する。
【0107】
上記したCO2濃度管理制御によれば、第3実施形態とは異なり、コントローラ30(制御手段)は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも低い場合及び検出されるハウス内濃度CCDHが所定の第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)よりも低い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウス2(対象場)の中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御するようになっている。
【0108】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、第3実施形態と異なり、コントローラ30(制御手段)は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも低い場合及び検出されるハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)よりも低い場合の少なくとも一方を満たすとき、ハウス2(対象場)の中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御する。従って、タンク11の中の二酸化炭素濃度が第1の出力切り替え濃度CSS1よりも低い場合及びハウス2の中の二酸化炭素濃度が第2の出力切り替え濃度CSS2よりも低い場合の少なくとも一方を満たすときは、ブロワ13が高出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が増えるので、ハウス2の中の二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。このため、タンク11の中の二酸化炭素の残留量に応じてハウス2へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウス2の中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0109】
<5実施形態>
次に、第5実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0110】
この実施形態では、CO2濃度管理制御の内容の点で前記第2実施形態と異なる。
【0111】
[CO2濃度管理制御について]
この実施形態におけるCO2濃度管理制御について説明する。図13に、その制御内容をフローチャートにより示す。この実施形態のフローチャートは、図10のフローチャートにおけるステップ150~ステップ170の処理とステップ250~ステップ270の処理を省略した点で第2実施形態と構成が異なる。
【0112】
処理が図13に示すルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ100~ステップ140の処理を実行した後、ステップ180へ移行する。
【0113】
ステップ180では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づきハウス内濃度CCDHを読み込む。
【0114】
次に、ステップ190で、コントローラ30は、ハウス内濃度CCDHが第2の出力切り替え濃度CSS2(第3の基準値)より高いか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ210へ移行する。
【0115】
上記したCO2濃度管理制御では、コントローラ30(制御手段)は、第2実施形態と異なり、ブロワ上流濃度CCDBがタンク交換濃度CEX以下となった場合に、ブロワ13を停止制御し、モニタ26にタンク交換アラートを表示させるという処理を省略している。また、コントローラ30は、第2実施形態と異なり、ハウス内温度THHが上限温度THL以上となった場合に、ブロワ13を停止制御するという処理を省略している。
【0116】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、タンク11に残留する二酸化炭素の濃度がタンク交換濃度CEX以下となった場合に、ブロワ13を停止制御し、モニタ26にタンク交換アラートを表示させることができないものの、また、ハウス内温度THHが上限温度THL以上となった場合に、ブロワ13を停止制御するということができないものの、それ以外については、第2実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。
【0117】
<6実施形態>
次に、第6実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0118】
この実施形態では、CO2濃度管理制御の内容の点で前記第5実施形態と異なる。
【0119】
[CO2濃度管理制御について]
この実施形態におけるCO2濃度管理制御について説明する。図14に、その制御内容をフローチャートにより示す。この実施形態のフローチャートは、図13のフローチャートにおけるステップ180及びステップ190の代わりに、ステップ400~ステップ430の処理が設けられる。
【0120】
処理が図14に示すルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ100~ステップ140の処理を実行した後、ステップ400へ移行する。
【0121】
ステップ400では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づき第1のハウス内濃度CCDH1を読み込む。
【0122】
次に、ステップ410で、コントローラ30は、所定時間の経過を待って処理をステップ420へ移行する。
【0123】
ステップ420では、コントローラ30は、ハウス内濃度センサ22の検出値に基づき第2のハウス内濃度CCDH2を読み込む。
【0124】
次に、ステップ430で、コントローラ30は、第1のハウス内濃度CCDH1に対する第2のハウス内濃度CCDH2の比、すなわちハウス内濃度CCDHの変化代(CCDH2/CCDH1)が所定の規定値CXより小さいか否かを判断する。ここで、この変化代(CCDH2/CCDH1)が規定値CX未満となる場合は、二酸化炭素の供給量が消費量に対して大幅に不足していると推定することができ、この変化代(CCDH2/CCDH1)が規定値CX以上となる場合は、ハウス2への二酸化炭素の供給量が十分であると推定することができる。この規定値CXは、この開示技術の第4の基準値の一例に相当する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ210へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ200へ移行する。
【0125】
上記したCO2濃度管理制御によれば、第5実施形態と異なり、コントローラ30(制御手段)は、検出されるハウス内濃度CCDHの変化代(CCDH2/CCDH1)が規定値CX(第4の基準値)未満となる場合に、ハウス2(対象場)の中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御するようになっている。また、コントローラ30は、検出されるハウス内濃度CCDHの変化代(CCDH2/CCDH1)が規定値CX(第4の基準値)以上となる場合に、ハウス2の中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御するようになっている。
【0126】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、第5実施形態と異なり次のような作用及び効果が得られる。すなわち、コントローラ30(制御手段)は、検出されるハウス内濃度CCDHの変化代(CCDH2/CCDH1)が規定値CX(第4の基準値)未満となる場合に、ハウス2(対象場)の中への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御する。ここで、検出されるハウス内濃度CCDHの変化代(CCDH2/CCDH1)は、ハウス2の中における二酸化炭素の消費の程度を反映している。従って、ハウス2の中における二酸化炭素の消費の程度が大きい場合は、ブロワ13が高出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が増すので、ハウス2の中の二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。このため、ハウス2の中における二酸化炭素の消費の程度に応じてハウス2へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウス2の中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0127】
また、この実施形態の構成によれば、コントローラ30は、検出されるハウス内濃度CCDHの変化代(CCDH2/CCDH1)が規定値CX(第4の基準値)以上となる場合に、ハウス2の中への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御する。従って、ハウス2の中における二酸化炭素の消費の程度が小さい場合は、ブロワ13が低出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が減るので、ハウス2の中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。このため、ハウス2の中における二酸化炭素の消費の程度に応じてハウス2へ必要十分な二酸化炭素を供給することができ、ハウス2の中の二酸化炭素を必要十分な濃度に管理することができる。
【0128】
<7実施形態>
次に、第7実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0129】
この実施形態では、CO2濃度管理制御の内容の点で前記各実施形態と異なる。
【0130】
[CO2濃度管理制御について]
次に、この実施形態におけるCO2濃度管理制御について説明する。図15に、その制御内容をフローチャートにより示す。
【0131】
処理がこのルーチンへ移行すると、コントローラ30は、ステップ500で、CO2供給装置1を始動させるための始動時刻か否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ510へ移行し、この判断結果が否定となる場合はその後の処理を一旦終了する。
【0132】
ステップ510では、コントローラ30は、ブロワ13を低出力に制御する。これにより、吹き出し口16からは二酸化炭素がハウス2の中に低流量で送り出される。
【0133】
次に、ステップ520で、コントローラ30は、ブロワ上流濃度センサ21の検出値に基づきブロワ上流濃度CCDBを読み込む。
【0134】
次に、ステップ530で、コントローラ30は、ブロワ上流濃度CCDBがタンク交換濃度CEX(第2の基準値)より高いか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ540へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ550へ移行する。
【0135】
ステップ540では、コントローラ30は、ブロワ13を停止制御し、モニタ26に、タンク交換アラートを表示させる。その後、コントローラ30は、処理を一旦終了する。この装置1の使用者は、このタンク交換アラートの表示から、タンク11の交換必要性を知ることができる。
【0136】
一方、ステップ550では、コントローラ30は、ブロワ上流濃度センサ21の検出値に基づきブロワ上流濃度CCDBを再び読み込む。
【0137】
次に、ステップ560で、コントローラ30は、ブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1が高いか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ570へ移行し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ580へ移行する。
【0138】
ステップ570では、コントローラ30は、ブロワ13を高出力に制御する。すなわち、ブロワ13を低出力から高出力へ切り替える。これにより、吹き出し口16からは、二酸化炭素がハウス2の中へ高流量で送り出される。その後、コントローラ30は、処理をステップ590へ移行する。
【0139】
一方、ステップ580では、コントローラ30は、ブロワ13を低出力制御する。
【0140】
そして、ステップ570又はステップ580から移行してステップ590では、コントローラ30は、CO2供給装置1の停止時刻であるか否かを判断する。コントローラ30は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ520へ戻し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ600へ移行する。
【0141】
そして、ステップ600で、コントローラ30は、ブロワ13を停止制御する。これにより、吹き出し口16からの二酸化炭素の送り出しが停止する。その後、コントローラ30は、処理を一旦終了する。
【0142】
上記したCO2濃度管理制御によれば、コントローラ30(制御手段)は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも高い場合に、対象場であるハウス2への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御するようになっている。また、コントローラ30は、検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)以下となる場合に、対象場であるハウス2への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御するようになっている。
【0143】
[CO2供給装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のCO2供給装置1の構成によれば、コントローラ30(制御手段)は、ブロワ上流濃度センサ21により検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1(第1の基準値)よりも高い場合に、ハウス2(対象場)への二酸化炭素の供給量を減らすためにブロワ13を低出力に制御する。ここで、検出されるブロワ上流濃度CCDBは、タンク11の中から流路12へ流れ出る二酸化炭素の濃度、すなわち、タンク11の中の二酸化炭素濃度を反映している。従って、タンク11の中の二酸化炭素濃度が第1の出力切り替え濃度CSS1よりも高い場合に、ブロワ13が低出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が減るので、ハウス2での二酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。このため、ハウス2の中の二酸化炭素濃度が必要以上に高くなることを防止することができる。
【0144】
この実施形態の構成によれば、コントローラ30は、ブロワ上流濃度センサ21により検出されるブロワ上流濃度CCDBが第1の出力切り替え濃度CSS1以下となる場合に、ハウス2への二酸化炭素の供給量を増やすためにブロワ13を高出力に制御する。従って、タンク11の中の二酸化炭素濃度が第1の基準値以下となる場合に、ブロワ13が高出力に制御されてハウス2への二酸化炭素の供給量が増えるので、ハウス2での二酸化炭素濃度の低下が抑えられる。このため、ハウス2の中の二酸化炭素濃度が必要以上に低くなることを防止することができる。
【0145】
[別の実施形態について]
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0146】
(1)前記各実施形態では、二酸化炭素が供給される対象場の一例として、農業用ハウス2について説明したが、対象場としては、園芸用ハウスでもよく、その他、二酸化炭素を必要とする大型のチャンバや植物工場のような建物等であってもよい。また、ハウス2として、農業用ハウスや園芸用ハウスを想定できるが、植物工場として使用する建物もハウスの一例として含むことができる。
【0147】
(2)前記各実施形態では、ブロワ13を流路12の途中に設けたが、ブロワを流路の出口に設けてブロワから二酸化炭素を対象場へ送り出すように構成することもできる。
【0148】
(3)前記各実施形態では、ハウス2の中に一つのハウス内濃度センサ22を設けてハウス内濃度CCDHを検出したが、ハウスの中に複数のハウス内濃度センサを設け、それらセンサで検出される複数のハウス内濃度の平均値を最終的なハウス内濃度として求めることもできる。
【0149】
(4)前記各実施形態では、ブロワ13より上流の流路12の途中にブロワ上流濃度センサ21を設けてブロワ上流濃度CCDBを検出したが、タンクの出口(流路の入口)にブロワ上流濃度センサを設けてブロワ上流濃度を検出することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
この開示技術は、例えば、農業用又は園芸用のハウスなどにおいて植物栽培の補助装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 CO2供給装置(二酸化炭素供給装置)
2 ハウス(対象場)
3 空間
11 タンク
12 流路
13 ブロワ
21 ブロワ上流濃度センサ(二酸化炭素濃度検出手段)
22 ハウス内濃度センサ(二酸化炭素濃度検出手段)
30 コントローラ(制御手段)
CCDH ハウス内濃度
CCDH1 第1のハウス内濃度
CCDH2 第2のハウス内濃度
CCDB ブロワ上流濃度
CSS1 第1の出力切り替え濃度(第1の基準値)
CEX タンク交換濃度(第2の基準値)
CSS2 第2の出力切り替え濃度(第3の基準値)
CX 規定値(第4の基準値)
CCDH2/CCDH1 変化代
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15