(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058329
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ用セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/02 20060101AFI20230418BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01G9/02
H01G9/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168291
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 篤弥
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真
(72)【発明者】
【氏名】笠井 誉子
(57)【要約】
【課題】熱処理後の吸液性が高く、セパレータ強度に優れる固体電解コンデンサ用セパレータを提供する。
【解決手段】フィブリル化耐熱性繊維、アクリル繊維及び熱融着性合成繊維を含む固体電解コンデンサ用セパレータであって、アクリル繊維を25質量%以上、熱融着性合成繊維を15質量%以上35質量%以下の範囲で含有する固体電解コンデンサ用セパレータ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィブリル化耐熱性繊維、アクリル繊維及び熱融着性合成繊維を含む固体電解コンデンサ用セパレータであって、アクリル繊維を25質量%以上、熱融着性合成繊維を15質量%以上35質量%以下の範囲で含有する固体電解コンデンサ用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサ用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)に関する。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサは、電解質として導電性高分子等の固体電解質を用いた電解コンデンサである。電解液のみを電解質に用いた電解コンデンサの伝導機構がイオン伝導であるのに対し、固体電解コンデンサの伝導機構は電子伝導であり、高い周波数まで優れた伝導度を有する。そのため、例えばCPUに電源を供給するための降圧回路に固体電解コンデンサを用いることで、低リップル化やコンデンサ個数の削減といったメリットを得ることができる。近年の電子機器の小型化、高性能化の要求に対応するため、固体電解コンデンサの使用が拡大している。
【0003】
固体電解質として導電性高分子を用いた固体電解コンデンサにおいては、導電性高分子をコンデンサ素子内に保持させる方法として、コンデンサ素子内にて導電性高分子の前駆体となるモノマーを酸化剤により酸化重合させる方法と、あらかじめモノマーを重合した導電性高分子をコンデンサ素子内に含浸させる方法とがある。
【0004】
コンデンサ素子内にて導電性高分子を酸化重合させる場合、モノマー及び酸化剤を含む重合液をコンデンサ素子に含浸後、加熱・乾燥して酸化重合させ、導電性高分子層をコンデンサ素子内に形成させる。また、あらかじめ重合した導電性高分子を含浸させる場合、導電性高分子を水等の媒体に分散させた懸濁状態の分散液をコンデンサ素子に含浸後、加熱・乾燥し、導電性高分子層をコンデンサ素子内に形成させる。
【0005】
導電性高分子をコンデンサ素子内に保持させる場合に、前記したどちらの方法であっても、セパレータを構成する繊維の耐熱性と吸液性が重要である。例えば、特許文献1には合成繊維を主体とする不織布を用いた固体電解コンデンサ用セパレータが開示されている。また、特許文献2には、融点又は炭化温度が300℃以上のフィブリル化耐熱性繊維を含有する湿式不織布を用いた固体電解コンデンサ用セパレータが開示されている。しかしながら、これらのセパレータは繊維間の隙間が大きく、緻密性に欠けるため、吸液性が不十分であった。
【0006】
一方、耐熱性及び吸液性に優れた固体電解コンデンサ用セパレータとして、融点又は熱分解温度が250℃以上のフィブリル化高分子とフィブリル化セルロースと芯鞘型複合繊維とを含有した湿式不織布からなる、固体電解コンデンサ用セパレータが開示されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【0007】
確かに、これらのセパレータは熱処理を施す前の吸液性に優れているものの、200℃以上の熱処理を施した後には、芯鞘型複合繊維等の熱融着性合成繊維の溶融に伴う繊維間空隙の閉塞及び繊維表面の親水性低下により、吸液性が著しく損なわれてしまう。近年、リフロー工程の熱処理温度の高まりを受け、セパレータの熱収縮を見越して、事前にセパレータ単体で熱処理を施した後にスリット、成形を行う場合も多く、熱処理後における吸液性に関して改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-340829号公報
【特許文献2】特開2008-283085号公報
【特許文献3】特開2004-235293号公報
【特許文献4】特開2020-88089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、熱処理後の吸液性が高く、セパレータ強度に優れる固体電解コンデンサ用セパレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の発明により達成される。
フィブリル化耐熱性繊維、アクリル繊維及び熱融着性合成繊維を含む固体電解コンデンサ用セパレータであって、アクリル繊維を25質量%以上、熱融着性合成繊維を15質量%以上35質量%以下の範囲で含有する固体電解コンデンサ用セパレータ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ用セパレータにおいて、フィブリル化耐熱性繊維、アクリル繊維及び熱融着性合成繊維を含み、アクリル繊維を25質量%以上含有させることで熱処理後においても吸液性を保持させることができ、導電性高分子の重合液や分散液の含浸性を良好なものとすることができる。また、熱融着性合成繊維を15質量%以上35質量%以下の範囲で含有させることで、熱処理後の吸液性を維持させつつ、セパレータ強度に優れる固体電解コンデンサ用セパレータを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明における固体電解コンデンサとは、固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサを指す。導電性高分子としては、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、これらの誘導体が挙げられる。
【0013】
本発明におけるフィブリル化耐熱性繊維とは、融点又は熱分解温度が250℃以上の耐熱性繊維をフィブリル化したものを指す。耐熱性繊維としては、例えばパラ型全芳香族ポリアミド、メタ型全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレンなどが用いられる。これらの中でも均一性の高いフィブリル化耐熱性繊維が得られやすいパラ型全芳香族ポリアミドが好ましい。
【0014】
本発明に係わるフィブリル化耐熱性繊維の変法濾水度は、0~500mlの範囲にあることが好ましい。変法濾水度が500mlより高いと、フィブリル化が十分に進んでおらず、太い幹繊維が多く存在するため、細孔径が大きくなりやすく、導電性高分子の分布が不均一になる場合がある。ここで、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121-2:2012に準拠して測定した値のことである。フィブリルとは、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。フィブリル化耐熱性繊維は、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも13MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて製造される。
【0015】
本発明のセパレータにおいて、フィブリル化耐熱性繊維の含有量は、セパレータに含まれる繊維全体の30~60質量%であることが好ましく、35~55質量%であることがより好ましい。フィブリル化耐熱性繊維の含有量が30質量%未満だと、セパレータの熱寸法安定性が不十分になり、リフロー耐熱性が不十分となる場合がある。一方、フィブリル化耐熱性繊維の含有量が60質量%を超えると、セパレータの強度が不十分となる場合がある。
【0016】
本発明におけるアクリル繊維とは、JIS L0204-2:2020に規定される、アクリロニトリルの繰り返し単位が質量比で85%以上含む長鎖状合成高分子からなる繊維であり、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニルなどを共重合させてなる樹脂を溶液紡糸や静電紡糸などの方法で紡糸して作製された繊維を指す。
【0017】
本発明におけるアクリル繊維の平均繊維径は、1~12μmが好ましく、2~10μmがより好ましく、3~8μmがさらに好ましい。平均繊維径が1μm未満では、繊維が細すぎて、セパレータから脱落する場合がある。平均繊維径が12μmより太いと、厚みむらが生じる場合やセパレータの厚みを薄くすることが困難になる場合がある。なお、本発明における平均繊維径とは、不織布断面の走査型電子顕微鏡写真より、不織布を形成する繊維について、繊維の長さ方向に対して垂直な断面又は垂直に近い断面の繊維を30本選択し、その繊維径を測定した平均値である。合成樹脂繊維は熱や圧力によって溶融する場合や変形する場合がある。その場合は、断面積を測定して、真円換算の繊維径を算出する。
【0018】
本発明におけるアクリル繊維の繊維長は1~15mmが好ましく、2~10mmがより好ましく、2~6mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと、セパレータから脱落することがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
【0019】
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、アクリル繊維を25質量%以上含有する。アクリル繊維の含有量が25質量%未満だと、熱処理後の吸液性が不十分となる。アクリル繊維の含有量は、より好ましくは25~70質量%であり、さらに好ましくは25~60質量%であり、さらに好ましくは25~50質量%である。アクリル繊維の含有量が70質量%より多い場合、セパレータの強度が不十分となる場合がある。
【0020】
本発明の熱融着性合成繊維は、芯部がポリエチレンテレフタレートなどの融点250℃以上の樹脂からなり、鞘部がポリエチレンイソフタレートなど融点200℃以下の成分を含有する樹脂からなる芯鞘複合繊維、ポリオレフィンなどの融点200℃以下の低融点の樹脂を使用した繊維、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂の未延伸繊維などを指すが、これらに限定されるものではない。熱融着性合成繊維は、これらから1種類を選択して使用しても良いし、2種類以上混合して使用しても良い。
【0021】
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、熱融着性合成繊維を15質量%以上35質量%以下の範囲で含有する。熱融着性合成繊維の含有量が15質量%未満の場合、セパレータとしての充分な強度が得られなくなり、熱融着性合成繊維の含有量が35質量%を超える場合、熱処理後に充分な吸液性が得られなくなる。熱融着性合成繊維の含有量は、より好ましくは18~32質量%であり、さらに好ましくは20~30質量%である。
【0022】
本発明において、熱融着性合成繊維の平均繊維径は、好ましくは2~30μmであり、より好ましくは3~25μmであり、さらに好ましくは4~20μmである。繊維径が2μm未満の熱融着性合成繊維を使用した場合には、セパレータの強度が不十分となる場合がある。一方、繊維径が30μmを超える熱融着性合成繊維を使用した場合、抄紙の際の繊維分散が悪くなり、セパレータの地合が不均一となりやすく、導電性高分子層が不均一となる場合がある。
【0023】
本発明において、熱融着性合成繊維の繊維長は、好ましくは1~15mmであり、より好ましくは2~12mmであり、さらに好ましくは3~10mmである。繊維長が1mm未満の場合には、セパレータの強度が低下する場合があり、15mmを超える場合には、繊維分散性が低下しやすく、セパレータの地合が不均一となりやすく、導電性高分子層が不均一となる場合がある。
【0024】
本発明のセパレータにおいては、必要に応じて、前記したフィブリル化耐熱性繊維、アクリル繊維及び熱融着性合成繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、合成繊維としては、全芳香族ポリエステル、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、これらの誘導体等の合成樹脂からなる繊維が挙げられる。天然繊維としては、麻パルプ、コットンリンター、リント;再生繊維としては、リヨセル、レーヨン;半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス;無機繊維としては、アルミナ繊維、アルミナ・シリカ繊維、ロックウール、ガラス繊維、マイクロガラス繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナウィスカ、ホウ酸アルミウィスカなどの繊維が挙げられる。上記の繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。また、断面形状がT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有できる。
【0025】
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、長網、短網、円網、傾斜型等の抄紙網の中から選ばれる一種の抄紙網を有する抄紙機、これらの抄紙網の中から同種あるいは異種の抄紙網を2つ以上組み合わせたコンビネーション抄紙機などを用いて、湿式抄紙して製造される湿式不織布であることが好ましい。湿式抄紙で使用される分散助剤やその他添加薬品、剥離剤などは、非イオン性のものが好ましいが、固体電解コンデンサの特性に影響を及ぼさない程度であれば、イオン性のものを適量用いても良い。
【0026】
本発明において、固体電解コンデンサ用セパレータの坪量は、特に制限はないが、5~50g/m2が好ましく、8~35g/m2がより好ましい。
【0027】
本発明において、固体電解コンデンサ用セパレータの厚みは、特に制限はないが、固体電解コンデンサが小型化できること、収容できる電極面積を大きくでき、容量を稼げる点から薄い方が好ましい。具体的には、固体電解コンデンサ組立時に破断しない程度の強度を持ち、ピンホールがなく、高い均一性を備える厚みとして、10~100μmが好ましく用いられ、12~80μmがより好ましく、15~60μmがさらに好ましい。10μm未満では、十分なセパレータ強度が得られない場合があり、100μmより厚くなると、セパレータの抵抗が高くなる場合がある。
【0028】
固体電解コンデンサ用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などの後加工処理が施される。熱処理は、150~300℃の温度で実施することが好ましい。150℃未満では熱処理が不十分になりやすく、300℃より高いと熱収縮しやすい。200℃以上で熱処理を行うと、熱融着性合成繊維の溶融に伴う繊維間空隙の閉塞等によりセパレータの吸液性が著しく低下する場合があるが、本発明のセパレータは200℃以上の熱処理においても吸液性の低下が抑制される。
【実施例0029】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお部及び%は、特記しない場合は質量基準である。
【0030】
表1に示した繊維と配合量(質量%)に従って、抄紙用スラリーを調製した。ここで、表1中の記号を説明する。
【0031】
<フィブリル化耐熱性繊維>
FB:パラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理した、変法濾水度350ml、質量加重平均繊維長1.16mm、繊維幅20μmのフィブリル化耐熱性繊維。ここで、質量加重平均繊維長は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して、投影繊維長(Proj)モードにおいて測定した質量加重平均繊維長(L(w))であり、繊維幅はKajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した繊維幅(Fiber Width)である。
【0032】
<非フィブリル化合成繊維>
A:繊度0.1dtex、繊維長3mmのアクリル繊維(アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸誘導体の3成分からなるアクリロニトリル系共重合体)
PET:繊度0.1dtex、繊維長3mmの延伸ポリエチレンテレフタレート繊維
C:繊度0.8dtex、繊維長3mmのレーヨン繊維
【0033】
<熱融着性合成繊維>
B1:繊度1.1dtex、繊維長5mmの芯鞘複合繊維(芯部:ポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘部:エチレングリコールとテレフタル酸及びイソフタル酸との共重合体(融点110℃))
B2:繊度0.5dtex、繊維長5mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維
B3:繊度1.2dtex、繊維長5mmの芯鞘複合繊維(芯部:ポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘部:ポリエチレン(融点125℃))
【0034】
【0035】
円網抄紙機を用いてスラリー1~13を湿式抄紙し、線圧10~500N/cmでカレンダー処理して、実施例1~7及び比較例1~6の固体電解コンデンサ用セパレータを作製した。さらに、得られたセパレータの一部を200℃の恒温乾燥機で1時間熱処理し、熱処理後のセパレータ試料とした。
【0036】
実施例及び比較例のセパレータについて、下記物性の測定と評価を行い、結果を表2に示した。
【0037】
<坪量>
JIS P8124:2011に準拠して、セパレータの坪量を測定した。
【0038】
<厚さ>
JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚さを測定した。
【0039】
<吸液性>
熱処理前及び熱処理後のセパレータ試料より、幅20mm、長さ150mmの試験片を流れ方向が長辺となるように切り出し、下端10mmのみをイオン交換水中に浸して固定し、10分間に吸い上がるイオン交換水の吸水高さを測定し、吸液性の指標とした。熱処理後の試料に関し、以下の基準で吸液性を評価した。本発明において、◎又は○であれば吸液性が優れると判断する。
◎:10mm以上。
○: 8mm以上、10mm未満。
△: 6mm以上、 8mm未満。
×: 6mm未満。
【0040】
<引張強度>
熱処理後のセパレータ試料より、幅50mm、長さ200mmの試験片を流れ方向が長辺となるように切り出し、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA-1150)を用いて、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/分で伸張し、切断時の荷重値を引張強度とした。以下の基準で引張強度を評価した。本発明において、◎又は○であれば引張強度が優れると判断する。
◎:25N/50mm以上。
○:20N/50mm以上、25N/50mm未満。
△:15N/50mm以上、20N/50mm未満。
×:15N/50mm未満。
【0041】
【0042】
表2の結果から、本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、熱処理後の吸液性及びセパレータ強度に優れることがわかる。