(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058355
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】絶縁導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 13/22 20060101AFI20230418BHJP
H01B 13/16 20060101ALI20230418BHJP
C25D 13/12 20060101ALI20230418BHJP
C25D 13/00 20060101ALI20230418BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20230418BHJP
C25D 13/16 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C25D13/22 A
H01B13/16 A
C25D13/12 A
C25D13/00 307D
C25D13/00 305Z
H01F41/04 A
C25D13/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168339
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】工藤 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 和彦
(72)【発明者】
【氏名】桜井 英章
【テーマコード(参考)】
5E062
5G325
【Fターム(参考)】
5E062EE02
5G325KA05
5G325KB25
(57)【要約】
【課題】導体コイルなどの屈曲部を有する屈曲状導体の屈曲部を樹脂皮膜で被覆した絶縁導体であって、屈曲部の内側表面と外側表面とに形成される樹脂皮膜の膜厚の差が小さく、樹脂皮膜の膜厚の均一性が高い絶縁導体を製造できる方法を提供する。
【解決手段】樹脂粒子を含む電着液に前記屈曲状導体を浸漬し、前記屈曲状導体の前記屈曲部の内側表面に対向する位置に内側電極を配置した状態で、前記屈曲部と前記内側電極との間に直流電圧を印加することによって、前記屈曲状導体に前記樹脂粒子を電着させて電着膜を形成する電着工程と、前記電着膜が形成された前記屈曲状導体を加熱して、前記屈曲状導体に前記電着膜を焼き付けて樹脂皮膜を形成する焼付工程と、を含む絶縁導体の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲部を有する屈曲状導体の前記屈曲部を樹脂皮膜で被覆する絶縁導体の製造方法であって、
樹脂粒子を含む電着液に前記屈曲状導体を浸漬し、前記屈曲状導体の前記屈曲部の内側表面に対向する位置に内側電極を配置した状態で、前記屈曲部と前記内側電極との間に直流電圧を印加することによって、前記屈曲状導体に前記樹脂粒子を電着させて電着膜を形成する電着工程と、
前記電着膜が形成された前記屈曲状導体を加熱して、前記屈曲状導体に前記電着膜を焼き付けて樹脂皮膜を形成する焼付工程と、を含む絶縁導体の製造方法。
【請求項2】
電着工程において、さらに、前記屈曲状導体の前記屈曲部の外側表面に対向する位置に外側電極を配置し、前記屈曲部と前記内側電極との間に直流電圧を印加すると共に、前記屈曲部と前記外側電極との間に直流電圧を印加する請求項1に記載の絶縁導体の製造方法。
【請求項3】
前記外側電極は、前記屈曲状導体の前記屈曲部を挟むように配置された一対の電極片を含む請求項2に記載の絶縁導体の製造方法。
【請求項4】
前記屈曲状導体が、平角導線からなり、前記平角導線をコイル状に巻回したコイル状屈曲部と、前記コイル状屈曲部の両端のそれぞれに接続されている引き出し部とを備える平角導体コイルである請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁導体の製造方法。
【請求項5】
前記内側電極の断面形状が、円形状、楕円形状、多角形状のいずれかである請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル状に巻回した導体を絶縁性の樹脂皮膜で被覆したコイル状絶縁導体は、電動機や発電機のステータ(固定子)として用いられる。コイル状絶縁導体の製造方法としては、導体をコイル状に巻回して、コイル状屈曲部を有する導体コイルを形成した後、導体コイルのコイル状屈曲部を樹脂皮膜で被覆する方法が知られている。
【0003】
導体コイルのコイル状屈曲部を樹脂皮膜で被覆する方法としては、電着法が知られている。電着法とは、樹脂粒子が分散されている電着液に、導体コイルのコイル状屈曲部と電極とを浸漬し、コイル状屈曲部と電極との間に直流電圧を印加することによって、コイル状屈曲部に樹脂粒子を電着させて電着膜を形成し、次いで電着膜を加熱して、電着膜を導体コイルに焼き付けることによって絶縁皮膜を形成する方法である。
【0004】
電着法を用いたコイル状絶縁導体の製造方法では、樹脂皮膜内の膜厚分布を小さくするために、電着法を実施する前に、導体コイルのコイル状屈曲部の導体と導体との間隔を広げることが検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電着法を用いて導体コイルのコイル状屈曲部に電着膜を形成する際は、電極をコイル状屈曲部の外側表面の外部に配置するのが一般的である(特許文献1の
図3を参照)。電極をコイル状屈曲部の外側表面の外部に配置すると、電極に近いコイル状屈曲部の外側表面に形成された電着膜の膜厚が相対的に厚く、コイル状屈曲部の内側表面に形成された電着膜の膜厚が相対的に薄くなることがある。コイル状屈曲部の内側表面と外側表面とで電着膜の膜厚が異なる状態で導体コイルに電着膜を焼き付けると、相対的に膜厚の薄いコイル状屈曲部の内側表面の電着膜に亀裂が生じることがある。また、得られるコイル状絶縁導体は、コイル状屈曲部の内側表面と外側表面とで電着膜の膜厚が異なり、絶縁性能が不均一となることがある。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、導体コイルなどの屈曲部を有する屈曲状導体の屈曲部を樹脂皮膜で被覆した絶縁導体であって、屈曲部の内側表面と外側表面とに形成される樹脂皮膜の膜厚の差が小さく、樹脂皮膜の膜厚の均一性が高い絶縁導体を製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の絶縁導体の製造方法は、屈曲部を有する屈曲状導体の前記屈曲部を樹脂皮膜で被覆する絶縁導体の製造方法であって、樹脂粒子を含む電着液に前記屈曲状導体を浸漬し、前記屈曲状導体の前記屈曲部の内側表面に対向する位置に内側電極を配置した状態で、前記屈曲部と前記内側電極との間に直流電圧を印加することによって、前記屈曲状導体に前記樹脂粒子を電着させて電着膜を形成する電着工程と、前記電着膜が形成された前記屈曲状導体を加熱して、前記屈曲状導体に前記電着膜を焼き付けて樹脂皮膜を形成する焼付工程と、を含む。
【0009】
本発明の絶縁導体の製造方法によれば、電着膜を形成する際に、屈曲状導体の屈曲部の内側表面に内側電極を配置した状態で、屈曲部と前記内側電極との間に直流電圧を印加するので、屈曲部の内側表面から外側表面にかけて膜厚が均一な電着膜を形成することができる。そして、この電着膜を屈曲状導体に焼き付けることによって得られる樹脂皮膜の膜厚の均一性も向上する。したがって、本発明の絶縁導体の製造方法によれば、屈曲状導体の屈曲部の内側表面と外側表面とに形成される樹脂皮膜の膜厚の差が小さく、樹脂皮膜の膜厚の均一性が高い絶縁導体を得ることができる。
【0010】
ここで、本発明の絶縁導体の製造方法においては、前記電着工程において、さらに、前記屈曲状導体の前記屈曲部の外側表面に対向する位置に外側電極を配置し、前記屈曲部と前記内側電極との間に直流電圧を印加すると共に、前記屈曲部と前記外側電極との間に直流電圧を印加する構成とされていてもよい。
この場合、屈曲状導体の前記屈曲部の外側表面に対向する位置に外側電極が配置されているので、屈曲部の外側表面に形成される電着膜の膜厚がより均一になる。
【0011】
また、本発明の絶縁導体の製造方法においては、前記外側電極は、前記屈曲状導体の前記屈曲部を挟むように配置された一対の電極片を含む構成とされていてもよい。
この場合、外側電極が屈曲状導体の屈曲部を挟むように配置されているので、屈曲部の外側表面に形成される電着膜の膜厚がさらに均一になる。
【0012】
また、本発明の絶縁導体の製造方法においては、前記屈曲状導体が、平角導線からなり、前記平角導線をコイル状に巻回したコイル状屈曲部と、前記コイル状屈曲部の両端のそれぞれに接続されている引き出し部とを備える平角導体コイルである構成とされていてもよい。
この場合、屈曲状導体が平角導体コイルであるので、得られる絶縁導体は、電動機や発電機のステータ用として有用である。
【0013】
また、本発明の絶縁導体の製造方法においては、前記内側電極の断面形状が、円形状、楕円形状、多角形状のいずれかである構成とされていてもよい。
合この場合、内側電極は、断面形状が円形状、楕円形状、多角形状のいずれかであるので、屈曲部の内側表面に形成される電着膜の膜厚がより均一になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、屈曲部の内側表面と外側表面とに形成される樹脂皮膜の膜厚の差が小さく、樹脂皮膜の膜厚の均一性が高い絶縁導体を製造できる方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法の電着工程における屈曲状導体と電極の配置の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法において用いることができる屈曲状導体の別の例を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法において用いることができる内側電極の別の例を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法の電着工程における屈曲状導体と内側電極の配置の別の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法の電着工程における屈曲状導体と外側電極の配置の別の一例を示す図であり、(a)は斜視図であって、(b)は平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法における屈曲状導体と外側電極の配置のさらに別の一例を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法の電着工程における屈曲状導体と内側電極の配置のさらに別の一例を示す断面図である。
【
図9】本発明例1及び比較例1で得られたPAI皮膜付き銅線コイルの正面図である。
【
図10】本発明例1で得られたPAI皮膜付き銅線コイルのPAI皮膜の膜厚の度数分布と確率密度を示すグラフである。
【
図11】比較例1で得られたPAI皮膜付き平角銅線コイルのPAI皮膜の膜厚の度数分布と確率密度を示すグラフである。
【
図12】本発明例2におけるU字状平角銅線と内側電極の配置を示す正面図である。
【
図13】本発明例2、3及び比較例2で厚さを測定したU字状平角銅線の部位の位置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態である絶縁導体の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態の絶縁導体の製造方法は、屈曲部を有する屈曲状導体の屈曲部を樹脂皮膜で被覆する絶縁導体の製造方法である。本実施形態の製造方法によって得られる絶縁導体は、例えば、電動機や発電機のステータとして用いられる。
【0017】
本実施形態の絶縁導体の製造方法は、電着工程と、焼付構成とを含む。
電着工程は、屈曲状導体の屈曲部に電着膜を形成する工程である。電着工程では、絶縁性の樹脂粒子を含む電着液に屈曲状導体を浸漬し、屈曲状導体の屈曲部の内側表面に対向する位置に内側電極を配置した状態で、屈曲部と内側電極との間に直流電圧を印加する。これにより、屈曲状導体に樹脂粒子を電着させて電着膜を形成する。また、屈曲状導体の屈曲部の外側表面に対向する位置に外側電極を配置し、屈曲部と内側電極との間に直流電圧を印加すると共に、屈曲部と外側電極との間に直流電圧を印加してもよい。
焼付工程は、電着膜が形成された屈曲状導体を加熱して、屈曲状導体に電着膜を焼き付けて樹脂皮膜を形成する工程である。
【0018】
屈曲状導体の形状は、特に制限ない。屈曲状導体は、例えば、コイル状、U字状、V字状であってもよい。屈曲状導体は、丸導線であってもよいし、平角導線であってもよい。
次に、実施形態の絶縁導体の製造方法を、屈曲状導体が平角導線をコイル状に巻回した平角導体コイルである場合を例にとって説明する。
【0019】
電着工程を
図1と
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法の電着工程における屈曲状導体(平角導体コイル)と電極の配置の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、電着工程では、電着液1に平角導体コイル10を浸漬させる。電着液1は電着液タンク2に貯留されている。
【0021】
電着液1は、樹脂粒子と溶媒とを含む。樹脂粒子は正または負の電荷を有する。樹脂粒子は負の電荷を有することが好ましい。樹脂粒子としては、例えば、ポリイミド系樹脂粒子、フッ素樹脂粒子を用いることができる。ポリイミド系樹脂粒子の例としては、ポリアミドイミド樹脂粒子およびポリイミド樹脂粒子を挙げることができる。フッ素樹脂粒子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)粒子、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)粒子を挙げることができる。樹脂粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。樹脂粒子は、ポリイミド系樹脂粒子、あるいはポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂との混合物であることが好ましい。ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂との混合物は、フッ素樹脂粒子を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。樹脂粒子の粒子径に特に制限はないが、例えば、メジアン径が50nm以上500nm以下の範囲内にある。電着液1の樹脂粒子の含有率は特に制限はないが、例えば、1.5質量%以上10質量%以下の範囲内であり、好ましくは1.5質量%以上5質量%以下の範囲内である。
【0022】
電着液1の溶媒は、有機溶媒と、水と、疎水性塩基とを含んでいてもよい。有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(γ-BL)などの極性溶剤を用いることができる。これらの溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。また、疎水性塩基は、有機溶媒に対して親和性を有することが好ましい。疎水性塩基の例としては、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジベンジルアミン、デシルアミン、オクチルアミン、ヘキシルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミントリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミン、アニリン等を挙げることができる。これらの疎水性塩基は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。有機溶媒と水との合計量に対する有機溶媒の含有率は、例えば、70質量%以上87質量%以下の範囲内にある。疎水性塩基の含有率は、例えば、電着液に対して0.02質量%以上0.1質量%以下の範囲内である。
【0023】
ポリアミドイミド樹脂粒子分散液は、例えば、次にようにして製造することができる。先ず、ポリアミドイミドと、ポリアミドイミドを溶解可能な有機溶媒とを含むポリアミドイミドワニスを調製する。次いで、ポリアミドイミドワニスに疎水性塩基を添加した後、ポリアミドイミドワニスを撹拌しながら、ポリアミドイミドの貧溶媒である水を加えて、ポリアミドイミド樹脂粒子を析出させる。
【0024】
平角導体コイル10は、平角導線をエッジワイズ方向に、正方形状に巻回したコイル状屈曲部11と、コイル状屈曲部11の両端にそれぞれ接続されている引き出し部12とを備える。平角導体コイル10の平角導線及びコイル状屈曲部11のサイズは特に制限はない。平角導線の厚さは、例えば、1mm以上10mm以下の範囲内である。平角導線の幅は、例えば、2mm以上20mm以下の範囲内である。コイル状屈曲部11の全長(
図1のCL)は、例えば、20mm以上150mm以下の範囲内である。コイル状屈曲部11の内周の一辺の長さは10mm以上90mm以下の範囲内である。コイル状屈曲部11の幅(
図2のCW)及び高さ(
図2のCH)は、例えば、20mm以上100mmの範囲内である。コイル状屈曲部11の平角導線と平角導線との間に間隔が設けられていてもよい。平角導線の間隔は、例えば、1mm以上10mm以下の範囲内にあってもよい。平角導体コイル10の引き出し部12は、例えば、直流電源(図示せず)と接続している。
【0025】
平角導体コイル10のコイル状屈曲部11の内側表面11aに対向する位置に内側電極20として円柱電極21が配置されている。また、コイル状屈曲部11の外側表面11bに対向する位置に外側電極30として、一対の平板電極片31a、31bが配置されている。一対の平板電極片31a、31bは、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11を挟むように配置されている。内側電極20(円柱電極21)と外側電極30(平板電極片31a、31b)とは、例えば、直流電源(図示せず)と接続している。内側電極20及び外側電極30は、平角導体コイル10に対する電圧が同一となるように、一つに繋げた状態で直流電源と接続していることが好ましい。
【0026】
電着工程では、平角導体コイル10と内側電極20と外側電極30とを上記のように配置した状態で、平角導体コイル10と内側電極20との間、及び平角導体コイル10と外側電極30との間に直流電圧を印加して、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11に樹脂粒子を電着させて電着膜を形成する。印加する直流電圧は、10V以上600V以下の範囲内にあることが好ましい。電着膜の厚さは、目的とする絶縁皮膜の厚さによっても異なるが、通常は、5μm以上60μm以下の範囲内である。
【0027】
焼付工程では、電着膜を形成した平角導体コイル10を加熱して、平角導体コイルに電着膜を焼き付けて樹脂皮膜を形成する。平角導体コイル10に電着膜を焼き付ける際の加熱温度及び時間は、電着膜が硬化して樹脂皮膜を生成する範囲であれば特に制限はない。加熱温度は、例えば、200℃以上450℃以下の範囲内である。加熱時間は、例えば、1分間以上10分間以下の範囲内である。
【0028】
絶縁皮膜形成工程の前に、平角導体コイル10に付着している電着液1を除去することが好ましい。電着液1を除去する方法としては、平角導体コイル10に圧縮空気を吹き付けて電着液1を吹き飛ばす方法、平角導体コイル10を絶縁皮膜が生成する温度よりも低い温度で加熱して電着液1を揮発させる方法を用いることができる。
【0029】
図1及び
図2において、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11は平角導線を正方形状に巻回した形状であるが、コイル状屈曲部11の形状はこれに限定されるものではない。コイル状屈曲部11の形状は、例えば、長方形状、円形状、トラック形状とすることができる。平角導体コイル10の変形例を
図3に示す。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法において用いることができる平角導体コイルの別の例を示す正面図である。
図3の(a)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11が長方形状とされている。
図3の(b)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11が円形状とされている。
図3の(c)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11がトラック形状とされている。
なお、平角導体コイル10は平角導線をエッジワイズ方向に巻回したものに限定されるものではない。平角導体コイル10は、平角導線をフラットワイズ方向に巻回したものであってもよい。
【0031】
図1及び
図2において、内側電極20は断面形状が円形状の円柱電極21であるが、内側電極20の形状はこれに限定されるものではない。内側電極20の断面形状は、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11の形状に合わせて、例えば、楕円形状、多角形状とすることができる。内側電極20の変形例を
図4に示す。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法において用いることができる内側電極の別の例を示す断面である。
図4の(a)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11が正方形状であって、内側電極20が、断面形状が正方形である四角柱電極22とされている。
図4の(b)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11が長方形状であって、内側電極20が、断面形状が長方形である四角柱電極23とされている。
【0033】
図1及び
図2において、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11の内側表面11aに対向する位置に1つの内側電極20を挿入しているが、内側電極20の個数はこれに限定されるものではない。平角導体コイル10と内側電極20の配置の変形例を
図5に示す。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法における平角導体コイルと内側電極の配置の別の一例を示す断面図である。
図5の(a)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11が正方形状であって、コイル状屈曲部11の内側表面11aに対向する位置に断面形状が正方形である四角柱電極22が4つ正方形の角の位置に配置されている。
図5の(b)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11が長方形状であって、コイル状屈曲部11の内側表面11aに対向する位置に断面形状が円形である円柱電極21が3つ長方形の長手方向に沿って配置されている。
図5の(c)に示す例では、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11がトラック形状であって、コイル状屈曲部11の内側表面11aに対向する位置に断面形状が円形である円柱電極21が3つトラック形状の長手方向に沿って配置されている。
【0035】
図1及び
図2において、外側電極30は一対の平板電極片31a、31bであって、一対の平板電極片31a、31bが平角導体コイル10のコイル状屈曲部11を挟むように配置されているが、平角導体コイル10と外側電極30の配置はこれに限定されるものではない。平角導体コイル10と外側電極30の配置の変形例を
図6及び
図7に示す。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法における平角導体コイルと外側電極の配置の別の一例を示す図であり、(a)は斜視図であって、(b)は平面図である。
図6に示す例では、平角導体コイル10は、引き出し部12がコイル状屈曲部に対して垂直方向に延び、外側電極30は円筒電極32とされており、円筒電極32が平角導体コイル10のコイル状屈曲部11を囲むように配置されている。
【0037】
図7は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法における平角導体コイルと外側電極の配置のさらに別の一例を示す平面図である。
図7に示す例では、外側電極30は角筒電極33とされており、角筒電極33が平角導体コイル10のコイル状屈曲部11を囲むように配置されている点で、
図6に示す例と相違する。
【0038】
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁導体の製造方法によれば、電着工程において、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11に電着膜を形成する際に、コイル状屈曲部11の内側表面11aに内側電極20を配置した状態で、コイル状屈曲部11と内側電極20との間に直流電圧を印加するので、コイル状屈曲部11の内側表面11aから外側表面11bにかけて膜厚が均一な電着膜を形成することができる。そして、焼付工程において、この電着膜を屈曲状導体に焼き付けることによって得られる樹脂皮膜の膜厚の均一性も向上する。したがって、本実施形態の絶縁導体の製造方法によれば、コイル状屈曲部11の内側表面11aと外側表面11bとに形成される樹脂皮膜の膜厚の差が小さく、樹脂皮膜の膜厚の均一性が高い絶縁導体を得ることができる。
【0039】
本実施形態の絶縁導体の製造方法においては、前記電着工程において、さらに、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11の外側表面11bに対向する位置に外側電極30を配置し、コイル状屈曲部11と内側電極との間に直流電圧を印加すると共に、コイル状屈曲部11と外側電極30との間に直流電圧を印加する構成とされているので、コイル状屈曲部11の外側表面11bに形成される電着膜の膜厚がより均一になる。
【0040】
本実施形態の絶縁導体の製造方法においては、外側電極30は、平角導体コイル10のコイル状屈曲部11を挟むように配置された一対の平板電極片31a、31bを含むので、コイル状屈曲部11の外側表面11bに形成される電着膜の膜厚がさらに均一になる。
【0041】
本実施形態の絶縁導体の製造方法においては、屈曲状導体として、平角導線からなり、平角導線をコイル状に巻回したコイル状屈曲部11と、コイル状屈曲部11の両端のそれぞれに接続されている引き出し部12とを備える平角導体コイルであるので、得られる絶縁導体は、電動機や発電機のステータ用として有用である。
【0042】
本実施形態の絶縁導体の製造方法において、内側電極20の断面形状が、円形状、楕円形状、多角形状のいずれかである場合は、コイル状屈曲部11の内側表面11aに形成される電着膜の膜厚がより均一になる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0044】
例えば、本実施形態において、屈曲状導体は平角導体コイル10であるが、屈曲状導体は平角導体コイル10に限定されるものではない。屈曲状導体として、U字状やV字状の屈曲状導体を用いてもよい。U字状の屈曲状導体を用いた例を
図8に示す。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態に係る絶縁導体の製造方法の電着工程における屈曲状導体(U字状導体)と電極の配置のさらに別の一例を示す断面図である。U字状導体40のU字状屈曲部41と引き出し部42とを有する。U字状屈曲部41は電着液に浸漬されている。U字状導体40のU字状屈曲部41の内側表面41aに対向する位置に内側電極20が配置されている。また、U字状屈曲部41の外側表面41bに対向する位置に外側電極30として、一対の平板電極片31a、31bが配置されている。この場合、U字状屈曲部41の内側表面41aに対向する位置に内側電極20が配置され、外側表面41bに対向する位置に外側電極30が配置されているので、上述の平角導体コイル10の場合と同様の効果が得られる。
【実施例0046】
[本発明例1]
(1)平角銅線コイルの作製
無酸素銅製の平角銅線(厚さ:1.7mm、幅:9.0mm)を用意した。平角銅線を、丸棒に添ってエッジワイズ曲げ加工にてL字状(90度)に折り曲げて、コイル状屈曲部と、そのコイル状屈曲部の両端にそれぞれ接続されている引き出し部とを備える平角銅線コイル(コイル状屈曲部の長さ:45mm、コイル状屈曲部の高さ:48mm)を作製した。コイル状屈曲部の形状は、内側表面の各辺の長さが30mmである正方形とし、巻回数は5回とした。また、コイル状屈曲部の全長は45mmとし、コイル状屈曲部の平角銅線の間隔は10mmとした。
【0047】
(2)電着液の調製
NMP(N-メチル-2-ピロリドン)にPAI(ポリイミドアミド)を溶解したPAIワニス(PAI:NMP=20質量%:80質量%)を得た。得られたPAIワニスに、NMPとトリ-n-プロピルアミンと水を加えてPAI粒子を析出させて、PAI粒子:NMP:水:トリ-n-プロピルアミン=2.0質量%:79質量%:18.95質量%:0.05質量%の電着液を調製した。
【0048】
(3)PAI皮膜付き平角銅線コイルの製造
電着液タンクに、上記(2)で調製した電着液を投入し、次いで、スターラーと投げ込み式調温器を入れて、電着液を撹拌しながら、電着液の液温を20℃±1℃に保持した。
【0049】
一方、上記(1)で作製した平角銅線コイルを、酸化皮膜除去剤(ハイクリーンC-100、株式会社シミズ製)を5質量%含む酸化皮膜除去剤水溶液に2分間浸漬した。次いで、酸化皮膜除去剤水溶液から取り出した平角銅線コイルをイオン交換水に2分間浸漬した。こうして、平角銅線コイルの表面の酸化皮膜を除去した。
【0050】
平板部と、平板部の一方の面に備えられたコイル固定部とを有するステンレス製の治具を用意し、治具の固定部に酸化皮膜を除去した平角銅線コイルの引き出し部の一方を取り付けた。電着液タンクの上縁部に治具の平板部を載置し、平角銅線コイルのコイル状屈曲部を電着液に浸漬させた。
【0051】
内側電極として、銅製円柱電極(直径:2.3mm)を平角銅線コイルのコイル状屈曲部の内側空間の中央の位置に挿入した。また、外側電極として、一対の銅製平板電極片(長さ100mm、高さ100mm)を、平角銅線コイルのコイル状屈曲部を挟む位置に配置した。治具を直流電源のプラス端子に接続し、内側電極と外側電極をそれぞれ導線で繋げて、直流電源のマイナス端子に接続した。
【0052】
次に、平角銅線コイルと電極(外側電極及び内側電極)との間に、直流電源を用いて100Vの直流電圧を印加して直流電流を2分間流して、平角銅線コイルのコイル状屈曲部の表面にPAI粒子を電着させた。なお、電着中は、クーロンメータを用いて、平角銅線コイルと電極との間を流れた電荷量(クーロン量)を計測した。
【0053】
電着終了後、電着液から平角銅線コイルを治具に固定した状態のまま取り出した。平角銅線コイルを目視で観察し、平角銅線コイルのコイル状屈曲部にPAI粒子の電着層が形成されていることを確認した後、平角銅線コイルに圧縮空気を吹き付けて、平角銅線コイルに付着している電着液を吹き飛ばした。
【0054】
次に、内部にホットプレートを備えた熱風乾燥器を用意し、内部温度を200℃に調整した後、そのホットプレート上に、電着液を吹き飛ばした後の平角銅線コイルを治具に固定した状態のまま静置して、200℃で5分間加熱した。この際、平角銅線コイルがホットプレートに接しないように、治具の平板部の平面(コイル固定部が備えられていない側の面)を下向きにした。その後、熱風乾燥器の内部温度を300℃に昇温し、300℃で5分間加熱して、平角銅線コイルにPAI粒子を焼き付けた。こうして、PAI皮膜付き平角銅線コイルを製造した。
【0055】
[比較例1]
内側電極を平角銅線コイルのコイル状屈曲部の内側空間に挿入しなかったこと以外は、本発明例1と同様にして、PAI皮膜付き平角銅線コイルを製造した。
【0056】
[評価]
本発明例1及び比較例1で得られたPAI皮膜付き平角銅線コイルのPAI膜の膜厚の均一性を下記の方法により評価した。
図9は、本発明例1及び比較例1で得られたPAI皮膜付き銅線コイルの正面図である。PAI皮膜付き平角銅線コイル10PのPAI皮膜付きコイル状屈曲部11Pを、
図9に示すように、正面側から見て正方形のコイル状屈曲部の各辺の中央の位置を切断線13に沿って切断した。得られたコイル状屈曲部の切断片をそれぞれ樹脂に埋め込み、切断面が露出するように研磨して、PAI皮膜の膜厚測定用の試料を作製した。得られた試料の切断片の断面(厚さ:1.7mm、幅:9.0mmの四角形)について、4つの角部と4つの辺の各中央部の合計8カ所のPAI皮膜の膜厚を測定した。PAI皮膜の膜厚は、株式会社キーエンス製マイクロスコープを用いて、200倍レンズを用いて1つの断面全体を撮影し、得られた断面画像から同マイクロスコープの画像計測機能を使用して測定した。そして、得られたPAI膜の膜厚を集計し、膜厚の度数分布と確率密度を算出した。その結果を、
図10と
図11に示す。
【0057】
図10は、本発明例1で得られたPAI皮膜付き平角銅線コイルのPAI皮膜の膜厚の度数分布と確率密度を示すグラフであり、
図11は、比較例1で得られたPAI皮膜付き平角銅線コイルのPAI皮膜の膜厚の度数分布と確率密度を示すグラフである。
図10及び
図11のグラフから、平角銅線コイルの内側表面に対向する位置に内側電極を配置した本発明例1で得られたPAI皮膜付き銅線コイルは、内側電極を配置しなかった比較例1で得られたPAI皮膜付き平角銅線コイルと比較して、度数分布及び確率密度の膜厚の範囲が狭い。すなわち、本発明例1で得られたPAI皮膜付き平角銅線コイルはPAI皮膜の膜厚の均一性が高いことがわかる。
【0058】
[本発明例2]
無酸素銅製の平角銅線(厚さ:1.7mm、幅:9.0mm)を丸棒に添ってエッジワイズ曲げ加工にてL字状(90度)に折り曲げて、U字状平角銅線を作製した。得られたU字状平角銅線の表面の酸化皮膜を、本発明例1と同様に酸化皮膜除去剤を用いて除去した。
【0059】
図12は、本発明例2におけるU字状平角銅線と内側電極の配置を示す正面図である。
図12に示すように、U字状平角銅線40aは、引き出し部42の長さを15mmとし、U字状屈曲部41の外側幅を48mmとした。酸化皮膜を除去したU字状平角銅線40aを本発明例1と同様に治具(不図示)に取り付けて、U字状平角銅線40aのU字状屈曲部41を本発明例1と同じ電着液1に浸漬し、U字状屈曲部41の内側空間の中央の位置に、内側電極20として、銅製円柱電極(直径:12mm)を配置した。治具を直流電源のプラス端子に接続し、内側電極20を直流電源のマイナス端子に接続した。次に、U字状平角銅線40aと内側電極20との間に、直流電源を用いて300Vの直流電圧を印加して直流電流を2分間流して、U字状平角銅線40aのU字状屈曲部41にPAI粒子を電着させた。電着終了後、電着液からU字状平角銅線40aを取り出し、本発明例1と同様にして、U字状平角銅線40aに付着している電着液を吹き飛ばした後、U字状平角銅線を加熱して、U字状平角銅線40aにPAI粒子を焼き付けた。こうして、PAI皮膜付きU字状平角銅線を製造した。
【0060】
[本発明例3]
U字状平角銅線40aのU字状屈曲部41を挟むように、外側電極として、一対の銅製平板電極片(長さ100mm、高さ100mm)を配置し、内側電極と外側電極とをそれぞれ銅線で繋げて、直流電源のマイナス端子に接続したこと以外は、本発明例2と同様にして、PAI皮膜付きU字状平角銅線を製造した。
【0061】
[比較例2]
内側電極を外し、外側電極のみとしたこと以外は、本発明例3と同様にして、PAI皮膜付きU字状平角銅線を製造した。
【0062】
[評価]
本発明例2、3及び比較例2で得られたPAI皮膜付きU字状平角銅線のPAI膜の膜厚の均一性を下記の方法により評価した。
図13は、本発明例2、3及び比較例2で厚さを測定したU字状平角銅線の部位の位置を示す正面図である。
図13に示すように、U字状平角銅線40aの下部から60mmの位置の内側表面から2mm、5mm、7mmの位置をそれぞれa、b、cとし、下部から30mmの位置の内側表面から2mm、5mm、7mmの位置をそれぞれd、e、fとし、角部の位置の内側表面から2mm、5mm、7mmの位置をそれぞれg、h、iとして、U字状平角銅線の厚さを、マイクロメーターを用いて測定した。また、電着によって得られたPAI皮膜付きU字状平角銅線についても同じ場所で厚さ測定した。PAI皮膜付きU字状平角銅線とU字状平角銅線の厚さの差を2で割った値をPAI皮膜の膜厚とした。その結果を、下記の表1に示す。
【0063】
【0064】
内側電極のみを用いた本発明例2及び内側電極と外側電極を用いた本発明例3は、外側電極のみを用いた比較例2と比較して、PAI皮膜の平均膜厚が大きく、PAI皮膜の平均膜厚の標準誤差および膜厚の範囲が小さくなった。この結果から、屈曲状導体の屈曲部に対して電着法を用いて樹脂皮膜で被覆する際には、内側電極を用いることが有効で、特に内側電極と外側電極を用いることが有効であることが確認された。