(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058359
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】薬剤注入システム、純水製造システム、及び純水製造方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20230418BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20230418BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20230418BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20230418BHJP
B01D 65/08 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C02F1/00 K
B01J4/00 105A
C02F1/44 J
B01D61/02
B01D65/08
C02F1/00 B
C02F1/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168348
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規彦
(72)【発明者】
【氏名】鳥村 修平
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 貴次
【テーマコード(参考)】
4D006
4G068
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA17
4D006JA57Z
4D006JA58Z
4D006JA66Z
4D006KA02
4D006KA03
4D006KA31
4D006KA52
4D006KA54
4D006KA57
4D006KB04
4D006KB11
4D006KB12
4D006KB14
4D006KD06
4D006KD30
4D006KE02P
4D006PB02
4D006PC02
4G068AA01
4G068AB13
4G068AB15
4G068AC20
4G068AD01
4G068AF01
4G068AF20
(57)【要約】
【課題】被処理水が流れる流路に対し、該流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する場合において、注入路の閉塞を抑制する。
【解決手段】薬剤注入システムは、薬剤が収容された収容部と、被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する注入路と、前記注入路に設けられ、前記薬剤に衝撃を付与する付与部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が収容された収容部と、
被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する注入路と、
前記注入路に設けられ、前記薬剤に衝撃を付与する付与部と、
を備える薬剤注入システム。
【請求項2】
前記付与部は、
前記注入路に設けられ、開度によって前記薬剤の流量を調整する調整弁であり、
全閉状態と全開状態とに変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する
請求項1に記載の薬剤注入システム。
【請求項3】
前記付与部は、
全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する
請求項2に記載の薬剤注入システム。
【請求項4】
前記付与部は、
最初に全開状態になった後に全閉状態へ変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する
請求項2又は3に記載の薬剤注入システム。
【請求項5】
前記注入路における前記薬剤の流量を計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づき前記調整弁の前記開度を制御して、前記注入路における前記薬剤の流量を予め定められた流量に維持する流量制御部と、
前記開度が予め定められた開度以上となった場合に、前記薬剤に衝撃を付与する制御を前記付与部に対して行う付与制御部と、
を備える請求項2~4のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項6】
前記収容部の前記薬剤における前記注入路を通じた前記流路への注入が、予め定められた時間、行われた場合に、前記薬剤に衝撃を付与する制御を前記付与部に対して行う付与制御部
を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項7】
前記注入路の流路径は、前記流路の流路径よりも小さい
請求項1~6のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項8】
被処理水が流れる流路と、
前記流路に設けられた逆浸透膜装置と、
前記流路に対し、前記逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する請求項1~7のいずれか1項に記載の薬剤注入システムと、
を備える純水製造システム。
【請求項9】
被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する工程と、
前記注入路内の薬剤に衝撃を付与する工程と、
を備える純水製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、薬剤注入システム、純水製造システム、及び純水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被処理水が流れる配管に対し、逆浸透膜分離装置の上流側で、スライムコントロール剤及びスケール防止剤を、注入管を通じて注入する超純水製造システムが開示されている。
【0003】
スライムコントロール剤及びスケール防止剤の注入は、スライムコントロール剤及びスケール防止剤をタンクで希釈して、これを注入管で注入することがある。この方法は小型の純水製造システムで主に適用される。一方、大型の純水製造システムでは、タンク中にスライムコントロール剤及びスケール防止剤の原液を貯留し、これを注入管で注入することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の超純水製造システムのように、被処理水が流れる流路に対し、該流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する構成では、薬剤に含まれる成分が注入路内に付着していくと、注入路が閉塞し、薬剤の注入ができなくなる場合がある。特に、スライムコントロール剤及びスケール防止剤などは、粘度が高く、薬剤に含まれる成分が析出して、注入路内に付着しやすい場合がある。
【0006】
本発明は、被処理水が流れる流路に対し、該流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する場合において、注入路の閉塞を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様の薬剤注入システムは、薬剤が収容された収容部と、被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する注入路と、前記注入路に設けられ、前記薬剤に衝撃を付与する付与部と、を備える。
【0008】
第1態様の薬剤注入システムによれば、被処理水が流れる流路に対し、該流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する。そして、第1態様の薬剤注入システムでは、注入路に設けられた付与部が、薬剤に衝撃を付与する。このため、薬剤の成分が注入路内に付着した場合でも、該成分が注入路から剥離しやすい。これにより、注入路の閉塞を抑制できる。
【0009】
第2態様の薬剤注入システムでは、第1態様において、前記付与部は、前記注入路に設けられ、開度によって前記薬剤の流量を調整する調整弁であり、全閉状態と全開状態とに変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する。
【0010】
第2態様では、開度によって薬剤の流量を調整する付与部としての調整弁が、全閉状態と全開状態とに変化することで、薬剤に衝撃を付与する。このため、調整弁とは別に、付与部を設ける構成に比べ、部品点数を低減できる。
【0011】
第3態様の薬剤注入システムでは、第2態様において、前記付与部は、全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する。
【0012】
このように、第3態様では、付与部が、全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化するので、付与部が全閉状態と全開状態とに一回ずつ変化する場合に比べ、薬剤に対して効果的に衝撃を付与できる。
【0013】
第4態様の薬剤注入システムでは、第2態様又は第3態様において、前記付与部は、最初に全開状態になった後に全閉状態へ変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する。
【0014】
第4態様では、付与部が最初に全開状態になるので、最初に薬剤の注入路での流量を多くすることができる。このため、薬剤の成分が注入路内に付着した場合でも、該成分が注入路から剥離しやすい。これにより、注入路の閉塞を抑制できる。
【0015】
第5態様の薬剤注入システムは、第2態様~第4態様のいずれか1つにおいて、前記注入路における前記薬剤の流量を計測する計測部と、前記計測部の計測結果に基づき前記調整弁の前記開度を制御して、前記注入路における前記薬剤の流量を予め定められた流量に維持する流量制御部と、前記開度が予め定められた開度以上となった場合に、前記薬剤に衝撃を付与する制御を前記付与部に対して行う付与制御部と、を備える。
【0016】
第5態様によれば、付与部としての調整弁において注入路の閉塞が生じ始めることで開度が大きくなった際に、薬剤に衝撃を付与して、当該閉塞を抑制することができる。
【0017】
第6態様の薬剤注入システムは、第1態様~第5態様のいずれか1つにおいて、前記収容部の前記薬剤における前記注入路を通じた前記流路への注入が、予め定められた時間、行われた場合に、前記薬剤に衝撃を付与する制御を前記付与部に対して行う付与制御部を備える。
【0018】
第6態様によれば、注入路を通じて薬剤を注入することで経時的に注入路において閉塞が生じ始めた際に、薬剤に衝撃を付与して、当該閉塞を抑制することができる。
【0019】
第7態様の薬剤注入システムでは、第1態様~第6態様のいずれか1つにおいて、前記注入路の流路径は、前記流路の流路径よりも小さい。
【0020】
第7態様のように、注入路の流路径が流路の流路径よりも小さいことで、注入路にて閉塞が生じやすい構成において、薬剤に衝撃を付与し、注入路の閉塞を抑制できる。
【0021】
第8態様の純水製造システムは、被処理水が流れる流路と、前記流路に設けられた逆浸透膜装置と、前記流路に対し、前記逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する第1態様~第7態様のいずれか1つの薬剤注入システムと、を備える。
【0022】
第8態様では、薬剤注入システムにおいて、薬剤に衝撃を付与することで、注入路の閉塞を抑制できる。この結果、薬剤が流路に対し適切に注入され、純水の品質低下を抑制できる。
【0023】
第9態様の純水製造方法は、被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する工程と、前記注入路内の薬剤に衝撃を付与する工程と、を備える。
【0024】
第9態様の純水製造方法によれば、被処理水が流れる流路に対し、流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する。そして、注入路内の薬剤に衝撃を付与する。このため、薬剤の成分が注入路内に付着した場合でも、該成分が注入路から剥離しやすい。これにより、注入路の閉塞を抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、上記構成としたので、被処理水が流れる流路に対し、該流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する場合において、注入路の閉塞を抑制できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る超純水製造システムを示した概略図である。
【
図2】本実施形態に係る超純水製造システムの制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る超純水製造システムの制御装置におけるプロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る制御装置によって実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0028】
(超純水製造システム10)
本実施形態に係る超純水製造システム10を説明する。
図1は、本実施形態に係る超純水製造システム10の一例を示す概略図である。
【0029】
超純水製造システム10は、純水製造システムの一例であり、超純水を製造するシステムである。この超純水製造システム10は、
図1に示されるように、一次純水装置12と、二次純水装置112と、を備えている。
【0030】
(一次純水装置12)
一次純水装置12は、
図1に示されるように、主流路100と、被処理水ピット14と、第一ポンプ18と、流量計(FIQ)20と、熱交換器(HEX)22と、活性炭装置(AC)24と、紫外線酸化装置(UV)26と、ろ過装置30と、を備えている。さらに、一次純水装置12は、第二ポンプ34と、第一逆浸透膜装置(RO)38と、脱イオン水ピット40と、電気式脱イオン装置(EDI)42と、イオン交換樹脂装置(MB)44と、純水タンク46と、を備えている。
【0031】
主流路100は、流路の一例であり、被処理水が流れる路である。この主流路100は、被処理水が流れる配管によって構成されている。そして、主流路100における被処理水の流れ方向(以下「水流れ方向」という場合がある)の上流側から順に、主流路100に沿って、被処理水ピット14、第一ポンプ18、流量計20、熱交換器22、活性炭装置24、紫外線酸化装置26、ろ過装置30、第二ポンプ34、第一逆浸透膜装置38、脱イオン水ピット40、電気式脱イオン装置42、イオン交換樹脂装置44、及び純水タンク46が並んでいる。なお、第一逆浸透膜装置38は、逆浸透膜装置の一例である。
【0032】
また、一次純水装置12は、第一逆浸透膜装置38から分岐する分岐流路102に配置された第二逆浸透膜装置(RO)48と、主流路100に薬剤を注入する薬剤注入システム60と、を備えている。薬剤注入システム60の具体的な構成については、後述する。
【0033】
以下、各装置について説明する。
被処理水ピット14は、被処理水を貯留する。被処理水は、超純水を製造するための各種の処理が実行される水であり、原水(超純水を製造するための原料となる水)である。被処理水としては、例えば、工業用水、水道水、地下水、及び河川水などが用いられる。第一ポンプ18は、被処理水ピット14に貯留された被処理水を、主流路100に沿って、水流れ方向の下流側へ流す。
【0034】
流量計20は、主流路100を流れる被処理水の流量を計測する。熱交換器22は、被処理水の温度を熱交換によって調整する。活性炭装置24は、吸着処理によって、被処理水から、天然有機物、残留塩素、及びトリハロメタン等を除去する。紫外線酸化装置26は、紫外線照射により、被処理水に含まれる生菌、バクテリアなどを分解して殺菌処理を行う。
【0035】
ろ過装置30には、被処理水をろ過するフィルター(プレフィルター)が設けられている。そして、ろ過装置30は、ろ過処理によって、残留塩素、遊離塩素、及び微粒子等の懸濁物質を除去する。
【0036】
第二ポンプ34は、高圧ポンプであって、ろ過装置30によって懸濁物質が除去された被処理水を、第一逆浸透膜装置38へ流す。
【0037】
第一逆浸透膜装置38には、被処理水が透過する逆浸透膜が設けられ、第一逆浸透膜装置38は、逆浸透膜処理によって、イオン、塩類を除去した透過水と、濃縮水とに被処理水を分離する。このように、被処理水が逆浸透膜を透過することで、逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかったシリカ、カルシウム等のスケールが付着する恐れがある。また、逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかった細菌や藻類など微生物により形成されたスライム(汚濁物)が付着する恐れがある。なお、スケールとは、被処理水中に溶け込んでいるカルシウムやシリカなどが析出したものである。
【0038】
脱イオン水ピット40は、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過した透過水を一時的に貯留する。電気式脱イオン装置42は、被処理水(透過水)を電気的に再生しながら、脱イオン処理を行う。イオン交換樹脂装置44は、被処理水から無機イオンを除去する。純水タンク46は、一次純水装置12によって製造された一次純水を貯留する。
【0039】
第二逆浸透膜装置48は、
図1に示されるように、第一逆浸透膜装置38から分岐する分岐流路102の途中に配置されている。分岐流路102は、第一逆浸透膜装置38によって分離した濃縮水が流れる流路であって、一端が第一逆浸透膜装置38に接続され、他端が被処理水ピット14に接続されている。分岐流路102は、被処理水が流れる配管によって構成されている。
【0040】
第二逆浸透膜装置48には、濃縮水が透過する逆浸透膜が設けられ、第二逆浸透膜装置48は、逆浸透膜処理によって、第一逆浸透膜装置38によって分離した濃縮水からイオン、塩類を除去した処理水と、排水(酸化水)とに分離する。排水は、排水ピット52に貯留され、処理水は、被処理水ピット14に戻される。
【0041】
このように、濃縮水が第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜を透過することで、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかったシリカ、カルシウム等のスケールが付着する恐れがある。さらに、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかった細菌や藻類など微生物により形成されたスライム(汚濁物)が付着する恐れがある。
【0042】
(二次純水装置112)
二次純水装置112は、
図1に示されるように、水流れ方向において、純水タンク46の下流側に配置されている。
【0043】
この構成において、二次純水装置112は、一次純水からさらに不純物を取り除く。そして、二次純水装置112によって得られた超純水は、使用場所であるユースポイント120へ送られる。ユースポイント120へ送られた超純水のうち、使用されなかった超純水はそのまま純水タンク46へ戻され、一次純水と一緒に純水タンク46に貯留される。
【0044】
(薬剤注入システム60)
薬剤注入システム60は、主流路100に対し、薬剤を注入するシステムである。薬剤注入システム60は、具体的には、
図1に示されるように、分岐流路104と、第三ポンプ50と、第一注入部62と、第二注入部82と、制御装置160と、を備えている。
【0045】
分岐流路104は、脱イオン水ピット40から分岐された流路であり、一端が脱イオン水ピット40に接続されている。分岐流路104は、脱イオン水ピット40に貯留された被処理水の一部を取り出すための流路である。この分岐流路104は、被処理水が流れる配管によって構成されている。第三ポンプ50は、分岐流路104に配置されている。この第三ポンプ50は、脱イオン水ピット40から分岐流路104の下流へ被処理水を送る。
【0046】
(第一注入部62)
第一注入部62は、スライムコントロール剤を主流路100へ注入する機能を有している。具体的には、第一注入部62は、第一タンク70と、第一注入路63と、第一エジェクター64と、第一流量計(FIQ)66と、第一流量調整弁(FCV)68と、を備えている。
【0047】
第一タンク70は、収容部の一例であり、液状のスライムコントロール剤を収容する。第一タンク70に収容されるスライムコントロール剤は、薬剤の一例であり、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜、及び第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜でのスライムの発生を抑制する機能を有している。
【0048】
スライムコントロール剤は、特に制限なく使用可能である。具体的には、スライムコントロール剤の主成分としては、2,2-ジブロモ-3-ニトロプロピオンアシド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Cl-MIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT),4,5-ジクロロ-1,2-ジチオラン-3-オン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ベンゾイソチアゾリン-3-オン、グルタールアルデヒド、クロラミン、クロラミンT、クロラミンB、スルファミン、スルファミン酸等のスルファミン化合物、硝酸銀、硫酸銀等の銀化合物、硫酸銅、硝酸銅等の銅化合物、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等のニッケル化合物、などが用いられる。また、スライムコントロール剤には、安定剤が含まれる場合がある。当該安定剤としては、例えばpH調整剤、無機塩、酸化防止剤等が挙げられる。
【0049】
スライムコントロール剤の25℃における粘度は、取り扱い性の観点から、例えば、1mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは、例えば、100mPa・s以上2000mPa・sとされる。なお、スライムコントロール剤の場合、主成分は不安定な物質である場合が多く、第一タンク70中に保管中から少しずつ分解が進む可能性がある。また、安定剤はスライムコントロール剤中に高濃度で存在する場合もあり、これが析出等を起こし、第一注入路63において問題を起こす場合がある。
【0050】
第一注入路63は、注入路の一例であり、主流路100に対し第一タンク70のスライムコントロール剤を注入する流路である。第一注入路63は、具体的には、注入流路63Aと、注入流路63Bと、を有している。
【0051】
注入流路63Aは、一端が分岐流路104の他端に接続され、他端が主流路100において第一逆浸透膜装置38に対する上流側に接続されている。具体的には、注入流路63Aの他端は、主流路100において、ろ過装置30と第二ポンプ34との間の部分に接続されている。注入流路63Aは、分岐流路104の他端から主流路100におけるろ過装置30と第二ポンプ34との間へ被処理水を流す流路である。
【0052】
注入流路63Bは、一端が第一タンク70に接続され、他端が第一エジェクター64の吸入口64Aに接続されている。この注入流路63Bは、第一タンク70に収容されたスライムコントロール剤を、第一タンク70から第一エジェクター64へ流す流路である。
【0053】
第一注入路63は、少なくとも注入流路63Bの流路径が、主流路100の流路径よりも小さくされている。なお、第一注入路63では、注入流路63Aは、被処理水が流れる配管(注入管)によって構成され、注入流路63Bは、スライムコントロール剤が流れる配管(注入管)によって構成されている。
【0054】
第一エジェクター64は、注入流路63Aに配置されている。この第一エジェクター64は、例えば、圧力差による吸引力によって、注入流路63Bを流れるスライムコントロール剤を、吸入口64Aを通じて吸入する。これにより、注入流路63Aを流れる被処理水にスライムコントロール剤が供給される。そして、スライムコントロール剤が供給された被処理水が、注入流路63Aを通じて、主流路100に対し、ろ過装置30と第二ポンプ34との間へ注入される。
【0055】
第一流量計66、及び第一流量調整弁68は、第一タンク70から第一エジェクター64へ向かって、この順で、注入流路63Bに配置されている。
【0056】
第一流量計66は、計測部の一例であり、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤の流量を計測する。なお、第一流量計66が計測したスライムコントロール剤の流量の情報は、制御装置160へ送られる。
【0057】
第一流量調整弁68は、調整弁の一例であり、開度によってスライムコントロール剤の流量を調整する調整機能を有している。第一流量調整弁68は、付与部の一例でもあり、スライムコントロール剤に衝撃を付与する付与機能も有している。第一流量調整弁68は、後述するように、その動作が制御装置160によって制御される。第一流量調整弁68は、制御装置160によって制御されることで、スライムコントロール剤の流量を調整する調整動作と、スライムコントロール剤に衝撃を付与する付与動作と、を行う。第一流量調整弁68による具体的な調整動作及び付与動作については後述する。
【0058】
以上のように、第一注入部62は、スライムコントロール剤を主流路100において、第一逆浸透膜装置38に対する上流側に(具体的には、ろ過装置30と第二ポンプ34との間に)注入する。本実施形態では、一例として、主流路100を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤が、主流路100に対して注入される。
【0059】
なお、本例では、スライムコントロール剤を第一エジェクター64で希釈したのち、注入流路63Aを通じて、主流路100へ注入しているが、第一エジェクター64を主流路100に設置して、注入流路63Aを経ずに注入する構成とすることも可能である。
【0060】
なお、被処理水に注入されたスライムコントロール剤は、主流路100を流れて、第一逆浸透膜装置38に到達する。第一逆浸透膜装置38に到達したスライムコントロール剤は、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく、濃縮水に含有され、分岐流路102を流れる。ここで、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく濃縮水に含有するスライムコントロール剤の濃度は、第一逆浸透膜装置38に到達する前の状態のスライムコントロール剤の濃度と比して高くなる。
【0061】
さらに、高濃度となったスライムコントロール剤を含有する濃縮水は、分岐流路102を流れて第二逆浸透膜装置48に到達する。第二逆浸透膜装置48に到達したスライムコントロール剤は、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜を透過することなく排水に含有され、排水ピット52に排出される。
【0062】
なお、本実施形態において、注入流路63Bを注入路の一例と把握し、主流路100、分岐流路104及び注入流路63Aを流路の一例と把握してもよい。この場合では、第一注入部62は、注入流路63Aへスライムコントロール剤を注入する構成部と把握される。
【0063】
(第二注入部82)
第二注入部82は、スケール防止剤を主流路100へ注入する機能を有している。具体的には、第二注入部82は、第二タンク90と、第二注入路83と、第二エジェクター84と、第二流量計(FIQ)86と、第二流量調整弁(FCV)88と、を備えている。
【0064】
第二タンク90は、収容部の一例であり、液状のスケール防止剤を収容する。第二タンク90に収容されるスケール防止剤は、薬剤の一例であり、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜、及び第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜でのスケールの発生を抑制する機能を有している。
【0065】
スケール防止剤は、主成分の種類から、ホスホン酸系、ポリカルボン酸系、アクリル酸系に大別される。具体的には、スケール防止剤としては、オルガノ株式会社製の「オルパージョン」シリーズ、BWA Water Additives社製の「Flocon(登録商標)」シリーズ、Nalco社製の「PermaTreat(登録商標)」シリーズ、ゼネラル・エレクトリック社製の「Hypersperse(登録商標)」シリーズ、栗田工業株式会社製の「クリバーター(登録商標)」シリーズなどが用いられる。スケール防止剤には、安定剤が含まれる場合がある。当該安定剤としては、例えばpH調整剤、無機塩、酸化防止剤等が挙げられる。
【0066】
スケール防止剤の25℃における粘度は、取り扱い性の観点から、例えば、1mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは、例えば、100mPa・s以上2000mPa・sとされる。このように、スケール防止剤の粘度は、少なくとも、被処理水の粘度よりも高い。一般的に、スケール防止剤には高濃度、場合によっては、飽和溶解度に近い濃度の主成分が含まれる場合が多く、そのため、注入する第二注入路83で析出を起こす可能性がある。
【0067】
第二注入路83は、注入路の一例であり、主流路100に対し第二タンク90のスケール防止剤を注入する流路である。第二注入路83は、具体的には、注入流路83Aと、注入流路83Bと、を有している。
【0068】
注入流路83Aは、一端が分岐流路104の他端に接続され、他端が主流路100において第一逆浸透膜装置38に対する上流側に接続されている。具体的には、注入流路83Aの他端は、主流路100において、ろ過装置30と第二ポンプ34との間の部分に接続されている。注入流路83Aは、分岐流路104の他端から主流路100におけるろ過装置30と第二ポンプ34との間へ被処理水を流す流路である。
【0069】
注入流路83Bは、一端が第二タンク90に接続され、他端が第二エジェクター84の吸入口84Aに接続されている。この注入流路83Bは、第二タンク90に収容されたスケール防止剤を、第二タンク90から第二エジェクター84へ流す流路である。
【0070】
第二注入路83は、少なくとも注入流路83Bの流路径が、主流路100の流路径よりも小さくされている。なお、第二注入路83では、注入流路83Aは、被処理水が流れる配管(注入管)によって構成され、注入流路83Bは、スケール防止剤が流れる配管(注入管)によって構成されている。
【0071】
第二エジェクター84は、注入流路83Aに配置されている。この第二エジェクター84は、例えば、圧力差による吸引力によって、注入流路83Bを流れるスケール防止剤を、吸入口84Aを通じて吸入する。これにより、注入流路83Aを流れる被処理水にスケール防止剤が供給される。そして、スケール防止剤が供給された被処理水が、注入流路83Aを通じて、主流路100に対し、ろ過装置30と第二ポンプ34との間へ注入される。
【0072】
第二流量計86、及び第二流量調整弁88は、第二タンク90から第二エジェクター84へ向かって、この順で、注入流路83Bに配置されている。
【0073】
第二流量計86は、計測部の一例であり、注入流路83Bにおけるスケール防止剤の流量を計測する。なお、第二流量計86が計測したスケール防止剤の流量の情報は、制御装置160へ送られる。
【0074】
第二流量調整弁88は、調整弁の一例であり、開度によってスケール防止剤の流量を調整する調整機能を有している。第二流量調整弁88は、付与部の一例でもあり、スケール防止剤に衝撃を付与する付与機能も有している。第二流量調整弁88は、後述するように、その動作が制御装置160によって制御される。第二流量調整弁88は、制御装置160によって制御されることで、スケール防止剤の流量を調整する調整動作と、スケール防止剤に衝撃を付与する付与動作と、を行う。第二流量調整弁88による具体的な調整動作及び付与動作については後述する。
【0075】
以上のように、第二注入部82は、スケール防止剤を主流路100において、第一逆浸透膜装置38に対する上流側に(具体的には、ろ過装置30と第二ポンプ34との間に)注入する。本実施形態では、一例として、主流路100を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤が、主流路100に対して注入される。
【0076】
なお、本例では、スケール防止剤を第二エジェクター84で希釈したのち、注入流路83Aを通じて、主流路100へ注入しているが、第二エジェクター84を主流路100に設置して、注入流路83Aを経ずに注入する構成とすることも可能である。
【0077】
なお、被処理水に注入されたスケール防止剤は、主流路100を流れて、第一逆浸透膜装置38に到達する。第一逆浸透膜装置38に到達したスケール防止剤は、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく、濃縮水に含有され、分岐流路102を流れる。ここで、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく濃縮水に含有するスケール防止剤の濃度は、第一逆浸透膜装置38に到達する前の状態のスケール防止剤の濃度と比して高くなる。
【0078】
さらに、高濃度となったスケール防止剤を含有する濃縮水は、分岐流路102を流れて第二逆浸透膜装置48に到達する。第二逆浸透膜装置48に到達したスケール防止剤は、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜を透過することなく排水に含有され、排水ピット52に排出される。
【0079】
なお、本実施形態において、注入流路83Bを注入路の一例と把握し、主流路100、分岐流路104及び注入流路83Aを流路の一例と把握してもよい。この場合では、第二注入部82は、注入流路83Aへスケール防止剤を注入する構成部と把握される。
【0080】
(制御装置160)
制御装置160は、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88の動作を制御する制御機能を有している。具体的には、制御装置160は、
図2に示されるように、プロセッサ161と、メモリ162と、ストレージ163と、タイマー164と、を有している。
【0081】
プロセッサ161としては、例えば、汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)が用いられる。なお、プロセッサの一例としては、特定の処理を実行させるために専用に設計された回路で構成された専用のプロセッサであってもよい。
【0082】
ストレージ163は、制御プログラム163A(
図3参照)を含む各種プログラムと、各種データと、を格納する。ストレージ163は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0083】
メモリ162は、プロセッサ161が各種プログラムを実行するための作業領域であり、プロセッサ161が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。プロセッサ161は、ストレージ163から制御プログラム163Aを含む各種プログラムをメモリ162に読み出し、メモリ162を作業領域としてプログラムを実行する。タイマー164は、超純水製造システム10の運転時間等の時間を計測するための計測部である。
【0084】
制御装置160において、プロセッサ161は制御プログラム163Aを実行することにより、各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのプロセッサ161とソフトウェア資源としての制御プログラム163Aの協働によって実現される機能構成について説明する。
図3は、プロセッサ161の機能構成を示すブロック図である。
【0085】
図3に示されるように、制御装置160において、プロセッサ161は、制御プログラム163Aを実行することにより、取得部161Aと、流量制御部161Bと、付与制御部161Cとして機能する。
【0086】
取得部161Aは、第一流量計66が計測したスライムコントロール剤の流量の情報(以下、第一流量情報をという)を取得する。また、取得部161Aは、第二流量計86が計測したスケール防止剤の流量の情報(以下、第二流量情報をという)を取得する。さらに、取得部161Aは、タイマー164が計測した超純水製造システム10の運転時間等の時間の情報(以下、時間情報をという)を取得する。
【0087】
流量制御部161Bは、取得部161Aが取得した第一流量情報に基づき、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤の流量を予め定められた流量が維持されるように、第一流量調整弁68の開度を制御する。換言すれば、流量制御部161Bは、第一流量計66の計測結果に基づき、第一流量計66の開度を制御して、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤の流量を予め定められた流量に維持する。
【0088】
また、流量制御部161Bは、取得部161Aが取得した第二流量情報に基づき、注入流路83Bにおけるスケール防止剤の流量を予め定められた流量が維持されるように、第二流量調整弁88の開度を制御する。換言すれば、流量制御部161Bは、第二流量計86の計測結果に基づき、第二流量計86の開度を制御して、注入流路83Bにおけるスケール防止剤の流量を予め定められた流量に維持する。
【0089】
付与制御部161Cは、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤に衝撃を付与する制御(以下、付与制御という)を第一流量調整弁68に対して行う。この結果、第一流量調整弁68は、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤に衝撃を付与する動作(以下、付与動作という)を実行する。衝撃を付与する対象としてのスライムコントロール剤には、スライムコントロール剤に含まれる成分が析出した析出物、及び、粘度が高くなったスライムコントロール剤(すなわち、注入流路63Bにおける流れを妨げているもの)が含まれる。
【0090】
本実施形態では、第一流量調整弁68は、全閉状態と全開状態とに変化することで、付与動作を実行する。第一流量調整弁68は、全閉状態と全開状態とに変化することで、弁体等の移動する構成要素が、スライムコントロール剤や他の構成要素等に衝突し、これにより発生する衝撃(具体的には、振動)を、スライムコントロール剤に付与する。本実施形態では、第一流量調整弁68は、注入流路63B、及び注入流路63Bを構成する配管(注入管)に対しても、衝撃(具体的には、振動)を付与する。
【0091】
ここで、スライムコントロール剤に含まれる成分が析出を起こさないまでも、高粘度なったスライムコントロール剤が、注入流路63B中、特に第一流量調整弁68にとどまって、流路が詰まる(狭くなる)問題を起こす場合がある。この問題がいったん生じた場合、注入流路63Bの流速は一般的に低いので、問題物質が洗い流されることがないので、この場所で、問題がどんどん大きくなる。問題を起こしやすい場所は、薬剤の原液が流れる流路で、特に、第一流量調整弁68等の流路が狭くなる場所である。したがって、衝撃を付与する場所としては、スライムコントロール剤の原液が供給される流路(すなわち、スライムコントロール剤の原液が接触する部分)であって、特に、第一流量調整弁68の配置部分であることが好ましい。
【0092】
本実施形態では、第一流量調整弁68の開閉によって衝撃を付与する場合では、第一流量調整弁68に付着した異物を、開閉動作によって直接除去する効果もあるので、最も効果的である。これは、スライムコントロール剤由来の異物は単なる微粒子ではなく、粘着性を持つ、例えば糊状の物質を形成する場合があるためである。なお、この開閉動作によって除去された異物は、最終的には主流路100に流入することになるが、プレフィルター(図示されていない)もしくは、第一逆浸透装置38にて除去されるので、製造される純水もしくは超純水に影響することはない。
【0093】
第一流量調整弁68は、具体的には、全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化することで、付与動作を実行する。例えば、第一流量調整弁68は、全閉状態と全開状態とに短時間(例えば、0秒を超え且つ5秒以下)にて切り替えられることで、全閉状態と全開状態とに連続的に変化する。さらに、第一流量調整弁68は、最初に全開状態になった後に全閉状態へ変化することで、付与動作を実行する。
【0094】
さらに、本実施形態では、付与制御部161Cは、第一流量調整弁68の開度が予め定められた開度以上となった場合に、付与制御を第一流量調整弁68に対して行う。予め定められた開度は、一例として、70~90%の範囲の中から所定の値が設定される。
【0095】
また、付与制御部161Cは、超純水製造システム10の運転時間が、予め定められた時間、行われた場合に、付与制御を第一流量調整弁68に対して行う。換言すれば、付与制御部161Cは、第一タンク70のスライムコントロール剤における第一注入路63を通じた主流路100への注入が、予め定められた時間、行われた場合に、付与制御を第一流量調整弁68に対して行う。予め定められた時間は、スライムコントロール剤の注入によって注入流路63Bにて閉塞が生じる時間よりも短い時間であって、一例として、24時間以上500時間以下の範囲の中から所定の値が設定される。この予め定められた時間は、24時間以上500時間以下であることが好ましく、100時間以上200時間以下であることが、より好ましい。
【0096】
また、付与制御部161Cは、注入流路83Bにおけるスケール防止剤に衝撃を付与する制御(以下、付与制御という)を第二流量調整弁88に対して行う。この結果、第二流量調整弁88は、注入流路83Bにおけるスケール防止剤に衝撃を付与する動作(以下、付与動作という)を実行する。衝撃を付与する対象としてのスケール防止剤には、スケール防止剤に含まれる成分が析出した析出物、及び、粘度が高くなったスケール防止剤(すなわち、注入流路83Bにおける流れを妨げているもの)が含まれる。
【0097】
本実施形態では、第二流量調整弁88は、全閉状態と全開状態とに変化することで、付与動作を実行する。第二流量調整弁88は、全閉状態と全開状態とに変化することで、弁体等の移動する構成要素が、スケール防止剤や他の構成要素等に衝突し、これにより発生する衝撃(具体的には、振動)を、スケール防止剤に付与する。本実施形態では、第二流量調整弁88は、注入流路83B、及び注入流路83Bを構成する配管(注入管)に対しても、衝撃(具体的には、振動)を付与する。
【0098】
ここで、スケール防止剤に含まれる成分が析出を起こさないまでも、高粘度なったスケール防止剤が、注入流路83B中、特に第二流量調整弁88にとどまって、流路が詰まる(狭くなる)問題を起こす場合がある。この問題がいったん生じた場合、注入流路83Bの流速は一般的に低いので、問題物質が洗い流されることがないので、この場所で、問題がどんどん大きくなる。問題を起こしやすい場所は、薬剤の原液が流れる流路で、特に、第二流量調整弁88等の流路が狭くなる場所である。したがって、衝撃を付与する場所としては、スケール防止剤の原液が供給される流路(すなわち、スケール防止剤の原液が接触する部分)であって、特に、第二流量調整弁88の配置部分であることが好ましい。
【0099】
本実施形態では、第一流量調整弁68の開閉によって衝撃を付与する場合では、第一流量調整弁68に付着した異物を、開閉動作によって直接除去する効果もあるので、最も効果的である。これは、スケール防止剤由来の異物は単なる微粒子ではなく、粘着性を持つ、例えば糊状の物質を形成する場合があるためである。なお、この開閉操作によって除去された異物は、最終的には主流路100に流入することになるが、プレフィルター(図示されていない)もしくは、第一逆浸透装置38にて除去されるので、製造される純水もしくは超純水に影響することはない。
【0100】
第二流量調整弁88は、具体的には、全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化することで、付与動作を実行する。例えば、第二流量調整弁88は、全閉状態と全開状態とに短時間(例えば、0秒を超え且つ5秒以下)にて切り替えられることで、全閉状態と全開状態とに連続的に変化する。さらに、第二流量調整弁88は、最初に全開状態になった後に全閉状態へ変化することで、付与動作を実行する。
【0101】
さらに、本実施形態では、付与制御部161Cは、第二流量調整弁88の開度が予め定められた開度以上となった場合に、付与制御を第二流量調整弁88に対して行う。予め定められた開度は、一例として、70~90%の範囲の中から所定の値が設定される。
【0102】
また、付与制御部161Cは、超純水製造システム10の運転時間が、予め定められた時間、行われた場合に、付与制御を第二流量調整弁88に対して行う。換言すれば、付与制御部161Cは、第二タンク90のスケール防止剤における第二注入路83を通じた主流路100への注入が、予め定められた時間、行われた場合に、付与制御を第二流量調整弁88に対して行う。予め定められた時間は、スケール防止剤の注入によって注入流路83Bにて閉塞が生じる時間よりも短い時間であって、一例として、100時間以上200時間以下の範囲の中から所定の値が設定される。
【0103】
なお、本実施形態では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88による付与動作は、超純水製造システム10の運転中に実行される。すなわち、超純水製造システム10の運転を停止せずに、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88による付与動作が実行される。
【0104】
また、超純水製造システム10の使用者によって、操作パネル等の操作部を通じて、上記の予め定められた開度、及び予め定められた時間が変更可能とされていてもよい。
【0105】
また、第一流量調整弁68の開度、第一流量計66が計測した流量、及びスライムコントロール剤の注入流路63A又は主流路100での濃度が、異常値を示す場合に、使用者に対して警告動作を行う構成では、付与動作中と、付与動作実行後の予め定められた期間とにおいて、警告動作を解除するようにしてもよい。これは、付与動作中と、付与動作実行後の予め定められた期間とにおいて、当該開度、当該流量、及び当該濃度が異常値となる場合があるためである。
【0106】
さらに、第二流量調整弁88の開度、第二流量計86が計測した流量、及びスケール防止剤の注入流路83A又は主流路100での濃度が、異常値を示す場合に、使用者に対して警告動作を行う構成では、付与動作中と、付与動作実行後の予め定められた期間とにおいて、警告動作を解除するようにしてもよい。これは、付与動作中と、付与動作実行後の予め定められた期間とにおいて、当該開度、当該流量、及び当該濃度が異常値となる場合があるためである。
【0107】
(本実施形態に係る制御処理)
次に、本実施形態に係る制御処理の一例について説明する。
図4は、制御装置160によって実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4は、第一注入部62における制御処理を示したものであり、以下では、第一注入部62における制御処理について説明するが、第二注入部82においても、第一注入部62と同様に制御処理が実行される。
【0108】
本制御処理は、プロセッサ161が、ストレージ163から制御プログラム163Aを読み出し、実行することにより行なわれる。本制御処理は、一例として、超純水製造システム10の運転が開始されることで、実行が開始される。
【0109】
プロセッサ161は、
図4に示されるように、本制御処理を開始すると、まず、第一注入部62にてスライムコントロール剤の注入を開始させ、ステップS102へ移行する。スライムコントロール剤の注入においては、プロセッサ61は、第一流量計66の計測結果に基づき、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤の流量を予め定められた流量が維持されるように、第一流量調整弁68の開度を制御する。
【0110】
ステップS102では、プロセッサ161は、超純水製造システム10の運転時間が、予め定められた時間、経過したか否か判定する(ステップS102)。予め定められた時間は、前述のように、スライムコントロール剤の注入によって注入流路63Bにて閉塞が生じる時間よりも短い時間であって、一例として、100時間以上200時間以下の範囲の中から所定の値が設定される。
【0111】
プロセッサ161は、超純水製造システム10の運転時間が、予め定められた時間、経過したと判定した場合に(ステップS102:YES)、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤に衝撃を付与する付与動作を、第一流量調整弁68に実行させ(ステップS104)、超純水製造システム10の運転時間の計測をリセットして(ステップS106)、ステップS102へ戻る。
【0112】
プロセッサ161は、超純水製造システム10の運転時間が、予め定められた時間、経過していないと判定した場合に(ステップS102:NO)、ステップS108に移行する。
【0113】
ステップS108では、プロセッサ161は、第一流量調整弁68の開度が、予め定められた開度以上であるか否か判定する。予め定められた開度は、前述のように、一例として、70~90%の範囲の中から所定の値が設定される。
【0114】
プロセッサ161は、第一流量調整弁68の開度が、予め定められた開度以上であると判定した場合に(ステップS108:YES)、注入流路63Bにおけるスライムコントロール剤に衝撃を付与する付与動作を、第一流量調整弁68に実行させ(ステップS104)、超純水製造システム10の運転時間の計測をリセットして(ステップS106)、ステップS102へ戻る。
【0115】
プロセッサ161は、第一流量調整弁68の開度が、予め定められた開度未満であると判定した場合に(ステップS108:NO)、ステップS104、S106を経ずに、ステップS102へ戻る。
【0116】
なお、本実施形態では、超純水製造システム10の運転が停止された場合に、いずれのステップを実行しているかに関わらず、本制御処理を終了する。本制御処理の上記手順は一例であり、本制御処理としては、種々の手順を用いることが可能である。本制御処理では、例えば、ステップS102の判定、及びステップS108の判定のどちらか一方のみを行う構成であってもよい。
【0117】
(純水製造方法における薬剤注入方法)
本実施形態では、前述の制御処理が実行することにより、以下のように、純水を製造する純水製造方法における薬剤注入方法が実行される。本薬剤注入方法は、純水製造方法における一部の工程を構成し、注入工程と、付与工程と、を有している。
【0118】
注入工程では、被処理水が流れる主流路100に対し、主流路100に設けられた第一逆浸透膜装置38に対する上流側で、第一注入路63及び第二注入路83を通じて薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)を注入する。当該薬剤の注入においては、第一流量計66及び第二流量計86の計測結果に基づき、注入流路63B、83Bにおける薬剤の流量を予め定められた流量が維持されるように、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88の開度が制御される。
【0119】
付与工程では、第一注入路63及び第二注入路83内の薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与する付与動作を実行する。本実施形態では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88は、全閉状態と全開状態とに変化することで、前述のように、付与動作を実行する。
【0120】
(本実施形態に係る作用効果)
以上のように、本実施形態の薬剤注入システム60によれば、主流路100に対し、第一逆浸透膜装置38に対する上流側で、第一注入路63及び第二注入路83を通じて薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)を注入する。そして、薬剤注入システム60では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が、第一注入路63及び第二注入路83内の薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与する。このため、当該薬剤の成分が第一注入路63及び第二注入路83内に付着した場合でも、該成分が第一注入路63及び第二注入路83から剥離しやすい。これにより、第一注入路63及び第二注入路83の閉塞を抑制できる。
【0121】
また、薬剤注入システム60では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が、全閉状態と全開状態とに変化することで、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与する。このため、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88とは別に、当該薬剤に衝撃を付与する付与部を設ける構成に比べ、部品点数を低減できる。
【0122】
また、薬剤注入システム60では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が、全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化するので、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が全閉状態と全開状態とに一回ずつ変化する場合に比べ、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に対して効果的に衝撃を付与できる。
【0123】
また、薬剤注入システム60では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が最初に全開状態になるので、最初に薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)の第一注入路63及び第二注入路83での流量を多くすることができる。このため、当該薬剤の成分が第一注入路63及び第二注入路83内に付着した場合でも、該成分が第一注入路63及び第二注入路83から剥離しやすい。これにより、第一注入路63及び第二注入路83の閉塞を抑制できる。
【0124】
また、薬剤注入システム60では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88の開度が予め定められた開度以上となった場合に、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与する付与制御を第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88に対して行う。
【0125】
このため、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88において注入流路63B、83Bの閉塞が生じ始めることで開度が大きくなった際に、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与して、当該閉塞を抑制することができる。
【0126】
また、薬剤注入システム60では、超純水製造システム10の運転時間が、予め定められた時間、行われた場合に、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与する付与制御を第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88に対して行う。
【0127】
このため、注入路63、83を通じて薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)を注入することで経時的に注入流路63B、83Bの閉塞が生じ始めた際に、当該薬剤に衝撃を付与して、当該閉塞を抑制することができる。
【0128】
また、薬剤注入システム60では、第一注入路63は、少なくとも注入流路63Bの流路径が、主流路100の流路径よりも小さくされている。また、第二注入路83は、少なくとも注入流路83Bの流路径が、主流路100の流路径よりも小さくされている。
【0129】
このように、注入流路63B、83Bの流路径が主流路100の流路径よりも小さいことで、注入流路63B、83Bにて閉塞が生じやすい構成において、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与し、注入流路63B、83Bの閉塞を抑制できる。
【0130】
以上のように、超純水製造システム10では、薬剤注入システム60において、薬剤に衝撃を付与することで、注入流路63B、83Bの閉塞を抑制できる。この結果、薬剤が主流路100に対し適切に注入され、純水の品質低下を抑制できる。
【0131】
(評価)
本評価では、以下の実施例1及び比較例1における「注入流路63B、83Bの閉塞の抑制効果」について評価を行った。
【0132】
(実施例1)
実施例1では、
図4に示される前述の制御処理を実行しながら、超純水製造システム10の運転を行った。実施例1では、ステップS102における予め定められた時間を、168時間とした。ステップS108における予め定められた開度を90%の開度とした。実施例1では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88を全閉状態と全開状態とに交互に連続的に10回変化することで、付与動作を実行した。このとき、全閉状態及び全開状態の各々を、3秒毎に切り替えた。
【0133】
(比較例1)
比較例1では、
図4に示される前述の制御処理を実行せず、超純水製造システム10の運転を行った。したがって、比較例1では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88の付与動作は実行されることがない。
【0134】
(評価結果)
実施例1では、超純水製造システム10の運転を行って、少なくとも3年間、注入流路63B、83B、第一流量調整弁68、及び第二流量調整弁88において閉塞するトラブルは発生しなかった。
【0135】
これに対して、比較例1では、超純水製造システム10の運転を行って、およそ3か月程度で、注入流路63B、83Bにおける第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88のいずれかの箇所で閉塞するトラブルが発生し、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88の少なくとも一方のメンテナンスが必要となった。
【0136】
(変形例)
本実施形態では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が、薬剤に衝撃を付与する付与部の一例として機能していたが、これに限られない。付与部の一例としては、例えば、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88とは別に設ける付与部であってもよい。当該付与部としては、例えば、超音波等の振動を発生する発生器や、注入流路63B、83Bを構成する配管に部材を当たる機器などが用いられる。この発生器や機器は、例えば、注入流路63B、83Bを構成する配管に取り付けられる。
【0137】
また、本実施形態では、薬剤(スライムコントロール剤及びスケール防止剤)に衝撃を付与する付与動作を、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88に実行させていたが、これに限られない。例えば、超純水製造システム10の使用者が、手動により、注入流路63B、83Bを構成する配管を叩くなどして、付与動作を実行してもよい。なお、これらの方法では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88の開閉による直接的な詰まりの解消は望めないが、薬剤や析出物等を振動で取り除くことが可能である。
【0138】
また、本実施形態では、薬剤注入システム60は、薬剤の一例として、スライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入していたが、これに限られない。薬剤注入システム60は、例えば、スライムコントロール剤及びスケール防止剤の一方を注入する構成であってもよい。薬剤注入システム60は、スライムコントロール剤及びスケール防止剤の少なくとも一方に加えて、又は替えて、他の薬剤(例えば、pH調整剤)を注入する構成であってもよい。他の薬剤を注入する場合においても、第一注入部62及び第二注入部82と同様の構成が用いられる。
【0139】
また、本実施形態では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88が、全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化することで、付与動作を実行していたが、これに限られない。第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88は、例えば、全閉状態と全開状態とに一回ずつ変化することで、付与動作を実行してもよく、薬剤に衝撃を付与できればよい。
【0140】
また、本実施形態では、第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88は、最初に全開状態になった後に全閉状態へ変化することで、付与動作を実行していたが、これに限られない。第一流量調整弁68及び第二流量調整弁88は、例えば、最初に全閉状態になった後に全開状態へ変化することで、付与動作を実行してもよく、薬剤に衝撃を付与できればよい。
【0141】
また、本実施形態では、第一注入路63は、注入流路63Aの他端が、主流路100において、ろ過装置30と第二ポンプ34との間の部分に接続されていたが、これに限られない。注入流路63Aの他端は、主流路100において、第一逆浸透膜装置38に対する上流側に接続されていればよい。換言すれば、第一注入部62は、少なくとも、第一逆浸透膜装置38に対する上流側にスライムコントロール剤を注入する構成であればよい。
【0142】
また、本実施形態では、第二注入路83は、注入流路83Aの他端が、主流路100において、ろ過装置30と第二ポンプ34との間の部分に接続されていたが、これに限られない。注入流路83Aの他端は、主流路100において、第一逆浸透膜装置38に対する上流側に接続されていればよい。換言すれば、第二注入部82は、少なくとも、第一逆浸透膜装置38に対する上流側にスケール防止剤を注入する構成であればよい。
【0143】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0144】
10 超純水製造システム(純水製造システムの一例)
12 一次純水装置
14 被処理水ピット
18 第一ポンプ
20 流量計
22 熱交換器
24 活性炭装置
26 紫外線酸化装置
30 ろ過装置
34 第二ポンプ
38 第一逆浸透膜装置(逆浸透膜装置の一例)
40 脱イオン水ピット
42 電気式脱イオン装置
44 イオン交換樹脂装置
46 純水タンク
48 第二逆浸透膜装置
50 第三ポンプ
52 排水ピット
60 薬剤注入システム
62 第一注入部
63 第一注入路(注入路の一例)
63A 注入流路
63B 注入流路
64 第一エジェクター
64A 吸入口
66 第一流量計(計測部の一例)
68 第一流量調整弁(付与部の一例、調整弁の一例)
70 第一タンク(収容部の一例)
82 第二注入部
83 第二注入路(注入路の一例)
83A 注入流路
83B 注入流路
84 第二エジェクター
84A 吸入口
86 第二流量計(計測部の一例)
88 第二流量調整弁(付与部の一例、調整弁の一例)
90 第二タンク(収容部の一例)
100 主流路(流路の一例)
102 分岐流路
104 分岐流路
112 二次純水装置
120 ユースポイント
160 制御装置
161 プロセッサ
161A 取得部
161B 流量制御部
161C 付与制御部
162 メモリ
163 ストレージ
163A 制御プログラム
164 タイマー
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が収容された収容部と、
被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する注入路と、
前記注入路に設けられ、前記薬剤に衝撃を付与する付与部と、
を備え、
前記付与部は、
前記注入路に設けられ、開度によって前記薬剤の流量を調整する調整弁であり、
全閉状態と全開状態とに変化することで、前記調整弁における移動する要素が前記薬剤又は他の要素に衝突し、これにより発生する衝撃を、前記被処理水が前記流路を流れている状態において、前記薬剤に付与する
薬剤注入システム。
【請求項2】
前記付与部は、
全閉状態と全開状態とに交互に連続的に複数回変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する
請求項1に記載の薬剤注入システム。
【請求項3】
前記付与部は、
最初に全開状態になった後に全閉状態へ変化することで、前記薬剤に衝撃を付与する
請求項1又は2に記載の薬剤注入システム。
【請求項4】
前記注入路における前記薬剤の流量を計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づき前記調整弁の前記開度を制御して、前記注入路における前記薬剤の流量を予め定められた流量に維持する流量制御部と、
前記開度が予め定められた開度以上となった場合に、前記薬剤に衝撃を付与する制御を前記付与部に対して行う付与制御部と、
を備える請求項1~3のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項5】
前記収容部の前記薬剤における前記注入路を通じた前記流路への注入が、予め定められた時間、行われた場合に、前記薬剤に衝撃を付与する制御を前記付与部に対して行う付与制御部
を備える請求項1~4のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項6】
前記注入路の流路径は、前記流路の流路径よりも小さい
請求項1~5のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項7】
被処理水が流れる流路と、
前記流路に設けられた逆浸透膜装置と、
前記流路に対し、前記逆浸透膜装置に対する上流側で、前記収容部の前記薬剤を注入する請求項1~6のいずれか1項に記載の薬剤注入システムと、
を備える純水製造システム。
【請求項8】
被処理水が流れる流路に対し、前記流路に設けられた逆浸透膜装置に対する上流側で、注入路を通じて薬剤を注入する工程と、
前記注入路内の薬剤に衝撃を付与する付与工程と、
を備え、
前記付与工程は、
前記注入路に設けられ、開度によって前記薬剤の流量を調整する調整弁を用い、
前記調整弁を全閉状態と全開状態とに変化することで、前記調整弁における移動する要素が前記薬剤又は他の要素に衝突し、これにより発生する衝撃を、前記被処理水が前記流路を流れている状態において、前記薬剤に付与する
純水製造方法。