(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058392
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】給水管理システム、サーバー、制御装置、給水管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/02 20060101AFI20230418BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20230418BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20230418BHJP
A47L 15/46 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
E03C1/02
E03C1/05
A47L15/42 D
A47L15/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168435
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】521451178
【氏名又は名称】堀 宣
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 宣
(72)【発明者】
【氏名】任 文
(72)【発明者】
【氏名】レニィ ホン
【テーマコード(参考)】
2D060
3B082
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BA05
2D060BA10
2D060BB01
2D060BC07
2D060BC11
2D060CA04
2D060CA07
3B082BD01
3B082DB00
3B082DC02
(57)【要約】
【課題】人を介さないで管理対象の給水装置の動作に必要な設定値を生成できる給水管理システムを提供する。
【解決手段】給水管理システム1は、制御装置4と、サーバー5とを備える。制御装置4は、与えられた設定値に基づいて、第1給水装置2の給水口からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように第1給水装置2を制御する。サーバー5は、複数の第2給水装置6の各々の給水口からの一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器62の各々の測定値をデータ解析して、適正使用量と、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように第1給水装置2を動作させるための設定値とを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた設定値に基づいて、第1給水装置の給水口からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を制御する制御装置と、
複数の第2給水装置の各々の給水口からの一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器の各々の測定値をデータ解析して、前記適正使用量と、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を動作させるための前記設定値とを生成する処理部と、を備える
給水管理システム。
【請求項2】
前記設定値は、前記第1給水装置が備える電磁弁の開と閉とを交互に間欠的に行うときの1回当たりの給水時間の設定値及び1回当たりの停止時間の設定値である、
請求項1に記載の給水管理システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記設定値を生成した後、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まる場合に、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内で更に低減するように前記設定値を調整する、
請求項1又は2に記載の給水管理システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記設定値を生成した後、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まらない場合に、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まるように前記設定値を調整する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の給水管理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1給水装置に漏水が発生した場合、又は、前記第1給水装置が故障した場合に、その事を報知する報知部を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の給水管理システム。
【請求項6】
前記第1給水装置は、食器洗浄装置用又は機械浴槽用の給水装置であり、
前記複数の第2給水装置は、食器洗浄装置用の給水装置及び機械浴槽用の給水装置の少なくとも一方を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の給水管理システム。
【請求項7】
前記第1給水装置は、
シンク又は浴槽に上方から給水する前記給水口と、
前記給水口への給水と停水を行うための電磁弁と、
前記給水口の下方に被検知物が存在することを検知する検知センサと、
センサ自動給・停止モード、自動水張りモード及び間欠給水モードのうちのいずれかの給水モードを選択するためのモード設定部と、を備え、
前記センサ自動給・停止モードでは、前記第1給水装置は、前記給水口の下方に前記被検知物が存在することを前記検知センサで検知する場合に自動的に前記電磁弁を開いて前記給水口から給水し、かつ前記給水口の下方に前記被検知物が存在することを前記検知センサで検知しない場合に自動的に前記電磁弁を閉じて前記給水口からの給水を停止し、
前記自動水張りモードでは、前記第1給水装置は、前記電磁弁を開いて前記給水口から給水を開始して前記給水口からの給水が前記シンク又は前記浴槽に所定量溜まると自動的に前記電磁弁を閉じて前記給水口からの給水を停止し、
前記間欠給水モードでは、前記第1給水装置は、前記電磁弁の開と閉とを交互に間欠的に行って前記給水口から間欠的に給水する
請求項1~6のいずれか1項に記載の給水管理システム。
【請求項8】
前記制御装置とは別体のサーバーを更に備え、
前記処理部は、前記サーバーに備えられている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の給水管理システム。
【請求項9】
前記処理部は、前記制御装置に備えられている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の給水管理システム。
【請求項10】
請求項8に記載の給水管理システムの前記サーバーを構成する
サーバー。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の給水管理システムの前記制御装置を構成する
制御装置。
【請求項12】
与えられた設定値に基づいて、第1給水装置の給水口からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を制御する第1工程と、
複数の第2給水装置の各々の給水口の一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器の各々の測定値をデータ解析して、前記適正使用量と、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を動作させるための前記設定値を生成する第2工程と、を1以上のプロセッサに実行させる給水管理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の給水管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水管理システム、サーバー、制御装置、給水管理方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本発明は、給水装置を制御する給水管理システム、給水管理システムを構成するサーバー、給水管理システムを構成する制御装置、給水装置を制御する給水管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の食器前洗い用給水装置は、間欠給水モードの開時間設定操作部及び閉時間設定操作部が設けられた操作パネルを有する。これら開時間設定操作部及び閉時間設定操作部によって間欠給水モードの開時間及び閉時間が手動で設定される。また、この給水装置は、設置前表示、目標値表示及び現在使用量表示を行う表示部を有する。設定前表示は、上記食器前洗い用給水装置を設置する以前の食器の前洗い作業での給水使用量の実測値を表示する。目標値表示は、上記食器前洗い用給水装置を設置した状態の食器の前洗い作業の給水使用量の目標値を表示する。現在使用量表示は、上記食器前洗い用給水装置を設置した状態の食器の前洗いの給水使用量の実測値を表示する。
【0003】
上記食器前洗い用給水装置では、利用者が、他の給水装置の給水使用量を解析し、その解析結果に基づいて上記目標値を決定する。また、上記食器前洗い用給水装置では、利用者が、目標値表示と現在使用量表示との差を見てどれだけ節水すべきかを判断し、その判断に基づいて間欠給水モードの開時間及び閉時間を設定及び調整する。このように、この給水装置では、給水装置の動作に必要な設定値(目標値、間欠給水モードの開時間及び閉時間)は、利用者によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記給水装置では、利用者が給水装置の動作に必要な設定値(例えば目標値、開時間及び閉時間)を決定し設定する必要があるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記事情を鑑みたものであり、人を介さないで管理対象の給水装置の動作に必要な設定値を生成できる給水管理システム、サーバー、制御装置、給水管理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る給水管理システムは、制御装置と、処理部とを備える。前記制御装置は、与えられた設定値に基づいて、第1給水装置の給水口からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を制御する。前記処理部は、複数の第2給水装置の各々の給水口からの一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器の各々の測定値をデータ解析して、前記適正使用量と、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を動作させるための前記設定値とを生成する。
【0008】
本発明の一態様に係るサーバーは、前記給水管理システムの前記サーバーを構成する。
【0009】
本発明の一態様に係る制御装置は、前記給水管理システムの前記制御装置を構成する。
【0010】
本発明の一態様に係る給水管理方法は、第1工程と、第2工程とを、1以上のプロセッサに実行させる。前記第1工程では、与えられた設定値に基づいて、第1給水装置の給水口からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように前記給水装置を制御する。前記第2工程では、複数の第2給水装置の各々の給水口の一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器の各々の測定値をデータ解析して、前記適正使用量と、前記第1給水使用量が前記適正使用量の範囲内に収まるように前記第1給水装置を動作させるための前記設定値とを生成する。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記給水管理方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、人を介さないで管理対象の給水装置の動作に必要な設定値を生成できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る給水管理システムの構成図である。
【
図2】
図2は、同上の給水管理システムを構成する食器洗浄装置の構成図である。
【
図3】
図3は、同上の給水管理システムを構成する制御装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の給水管理システムを構成するサーバーのブロック図である。
【
図5】
図5は、同上の給水管理システムの全体動作を説明するシーケンス図である。
【
図6】
図6は、同上の給水管理システムの設定調整の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、同上の給水管理システムの設定調整の動作を説明する別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る給水管理システム1について説明する。下記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の例に過ぎない。また、下記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
(1)実施形態
(1-1)給水管理システム1の概要
図1~
図7を参照して、本実施形態に係る給水管理システム1について説明する。
【0016】
病院、介護施設、ホテル等の施設では、食器洗い作業(例えば食器の前洗い作業)又は機械浴槽(介護浴槽ともいう)で使用する水(湯を含む)を供給するために、給水装置2が設置されている。本実施形態では、給水装置2は、水だけでなく湯も供給可能である。したがって、本実施形態では、「給水」とは、水だけでなく湯も供給することを意味する。
【0017】
図1に示す給水管理システム1は、給水装置2(管理対象の給水装置(第1給水装置))の給水使用量(第1給水使用量)を適正使用量の範囲に収まるように、給水装置2の給水を管理するシステムである。より詳細には、給水管理システム1は、給水装置2とは別の場所に設置されたサーバー5を用いて、給水装置2を遠隔で監視及び制御することで、給水装置2の給水を管理する。さらに詳細には、給水管理システム1は、複数の別の施設で使用されている他の給水装置6(データ収集対象の給水装置(第2給水装置))の給水使用量(第2給水使用量)をAI(人工知能)技術を用いて解析することで、給水装置2の給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように、給水装置2を動作させるための最適運転モデルを作成し、この最適運転モデルに基づいて給水装置2を制御する。
【0018】
なお、最適運転モデルは、管理対象の給水装置2の動作で必要な各種の設定値と、給水装置2の上記適正使用量と、給水装置2を動作させるためのプログラムとを含む。
【0019】
以下の説明では、給水管理システム1が、施設に設置された食器洗浄装置で用いられる給水装置を管理対象とする場合を例示する。なお、食器洗浄装置(特に食器前洗い装置)で用いられる給水装置の給水の使用状況と、機械浴槽で用いられる給水装置の給水の使用状況とは、類似しているため、機械浴槽で用いられる給水装置を管理対象とすることも可能である。
【0020】
(1-2)給水管理システム1の構成
図1に示すように、給水管理システム1は、管理対象の給水装置2を含む食器洗浄装置3と、制御装置4と、サーバー5と、複数のデータ収集対象の給水装置6と、を備える。
【0021】
なお、本実施形態では、食器洗浄装置3のうち管理対象の給水装置2以外の部分は、給水管理システム1の構成要素に含まれなくてもよい。また、複数のデータ収集対象の給水装置6は、給水管理システム1の構成要素に含まれなくてもよい。
【0022】
給水装置2及び制御装置4は、有線又は無線(短距離無線通信(例えばWi-Fi(登録商標)))で通信可能に接続されている。制御装置4、サーバー5及び複数の給水装置6は、ネットワーク7を介して互いに通信可能に接続されている。
【0023】
食器洗浄装置3は、施設に設置された食器洗浄装置(例えば業務用の食器洗浄装置)である。食器洗浄装置3は、管理対象の給水装置2を有し、給水装置2の給水を用いて食器を洗浄する。
【0024】
複数の給水装置6はそれぞれ、管理対象の給水装置2が設置された施設とは別の施設(以下、単に「別の施設」という)に設置された給水装置であり、管理対象の給水装置2と同様に、食器洗浄装置又は機械浴槽で用いられている。すなわち、本実施形態では、管理対象の給水装置2と給水の使用状況が同じ又は類似する給水装置6をデータ収集対象としている。
【0025】
サーバー5は、複数の別の施設で使用されている複数の給水装置6の一定時間(例えば1分又は10分)毎の給水使用量の測定値を収集し、収集した測定値をAI技術を用いてデータ解析することで、上記最適運転モデルの各種の設定値(すなわち給水装置2の動作に必要な設定値)及び適正使用量を生成する。そして、サーバー5は、最適運用モデルに基づいて制御装置4を制御することで、制御装置4を介して、給水装置2の給水が適正使用量の範囲内に収まるように給水装置2を制御する。
【0026】
制御装置4は、
図2に示すように、食器洗浄装置3の近くに設置されており、サーバー5が作成した最適運転モデルに基づいて、給水装置2の給水が適正使用量の範囲内に収まるように給水装置2を制御する。
【0027】
(1-3)給水装置2の構成
図2に示すように、管理対象の給水装置2は、例えば、業務用厨房に設置された食器洗浄装置3で用いられている。すなわち、食器洗浄装置3は、給水装置2を備える。より詳細には、食器洗浄装置3は、汚れた食器10の前洗いを行うための食器前洗い部11と、食器前洗い部11で手洗いにより前洗いされた食器10を洗浄する食器本洗浄部12とを備える。
【0028】
食器前洗い部11は、汚れた食器10を置くための台13と、台13に隣接して設けた前洗い用のシンク14と、汚れた食器10を手洗いにより前洗いするために前洗い用シンク14に給水するための食器前洗い用の給水装置2とを備える。
【0029】
給水装置2は、シンク14に上方から給水する給水口15と、給水口15への給水及び停水を行うための電磁弁16(16a,16b)と、給水口15の下方に被検知物が存在することを検知する検知センサ17と、電磁弁16を開にした際の電磁弁16(16a,16b)を流れる水量(すなわち給水口15からの給水使用量)を測定する流量センサ18とを備える。流量センサ18は、一定時間(例えば1分)毎に電磁弁16を流れる流量(すなわち給水口15の給水使用量)を測定しその測定値を制御装置4の通信部からサーバー5に送信する。
【0030】
給水装置2は、電磁弁16(16a)が配置された給水管路19と、電磁弁16(16b)が配置された給湯管路20と、給水管路19及び給湯管路20の各々の下流側端部が接続された湯水混合装置21と、湯水混合装置21の出口側に接続された蛇口菅22とを更に備える。検知センサ17は、蛇口菅22の先端を構成する給水口15の近くに配置されている。
【0031】
給水装置2は、食器前洗い部11のほかに食器本洗浄部12にも給水(給湯を含む)を行っている。そして、給水装置2から食器本洗浄部12への給水のための給水管路にも、流量センサ及び電磁弁が設けられている。その流量センサは、一定時間毎に電磁弁を流れる流量を測定しその測定結果を制御装置4の通信部からサーバー5に送信する。
【0032】
(1-4)制御装置4の構成
図3に示すように、制御装置4は、サーバー5との間で通信を行う通信部41と、給水装置2の給水モードを切り替えるためのモード設定部42と、給水装置2からの給水を制御する制御部43と、給水装置2の利用者に所定情報を報知する報知部44とを備える。本実施形態では、制御装置4は、一例として、給水装置2を操作するための操作パネルに備えられている。
【0033】
通信部41は、最適運転モデル(各種の設定値及びプログラム)をネットワーク7を介してサーバー5から受信する。また、通信部41は、流量センサ18が一定時間毎に測定した測定値をネットワーク7を介してサーバー5に送信する。この測定値は、通信部41からサーバー5に送信されてサーバー5の後述のデータベース53に登録される。
【0034】
モード設定部42は、給水装置2に設定された複数(例えば3つの)の給水モードの中の1つを選択するための操作部である。上記複数の給水モードは、自動水張りモードと、自動給・停止モードと、間欠給水モードとを含む。自動水張りモードは、電磁弁16を開いて給水口15から給水を開始して給水口15からの給水がシンク14において所定量(例えばシンク14の満水量)溜まると自動的に電磁弁16を閉じて給水停止をするモードである。自動給・停止モードは、給水口15の下方に被検知物が存在することを検知センサ17で検知した場合に、自動的に電磁弁16を開いて給水口15から給水し、かつ検知センサ17で給水口15の下方に被検知物の存在を検知しない場合に、自動的に電磁弁16を閉にして給水を停止するモードである。間欠給水モードは、電磁弁16の開(給水)と閉(給水停止)とを交互に間欠的に行って給水口15から間欠的に給水するモードである。なお、本実施形態では、給水装置2は食器洗浄装置3で用いられるため、シンク14に給水するが、給水装置2が機械浴槽で用いられる場合は、シンク14の代わりに浴槽に給水することになる。
【0035】
なお、本実施形態では、間欠給水モードの1回当たりの給水時間の設定値及び1回当たりの停止時間の設定値はそれぞれ、最適運転モデルの各種の設定値で与えられる。自動水張りモードの上記満水量の設定値も最適運転モデルの各種の設定値で与えられる。なお、上記満水量は、最適運転モデルの各種の設定値で与える代わりに、シンク14の容量の情報を制御装置4に初期設定することで与えてもよい。
【0036】
モード設定部42は、センサ自動給・停止モードを選択するための操作部と、自動水張りモードを選択するための操作部と、間欠給水モードを選択するための操作部とを有する。これら3つの操作部の中の1つが操作されることで、上記3つの給水モードのうち、操作された操作部に対応する給水モードが選択される。この選択により、制御装置4は、選択された給水モードで動作するように給水装置2を制御する。
【0037】
制御部43は、設定値取得部43aと、電磁弁制御部43bと、水張り設定処理部43cと、間欠時間設定処理部43dと、モード切替処理部43eとを有する。
【0038】
設定値取得部43aは、通信部41を介してサーバー5から、給水装置2を制御するための最適運転モデル(各種の設定値及びプログラム)を取得する。上記各種の設定値は、例えば、間欠給水モードの1回当たりの開時間の設定値及び1回当たりの閉時間の設定値、自動水張りモードの上記満水量の設定値、及び、給水装置2の一定期間の適正使用量の設定値を含む。
【0039】
電磁弁制御部43bは、モード切替処理部43e、間欠時間設定処理部43d及び水張り設定処理部43cの各々の処理結果に基づいて、給水装置2に設けられた電磁弁16(16a,16b)の開閉制御を行う。また、電磁弁制御部43bは、給水装置2から食器本洗浄部12への給水管路に設けられた電磁弁も制御する。
【0040】
水張り設定処理部43cは、設定値取得部43aが取得した満水量の設定値に基づいて、自動水張りモードの上記満水量の設定値を設定する。
【0041】
間欠時間設定処理部43dは、設定値取得部43aが取得した開時間の設定値及び閉時間の設定値に基づいて、間欠給水モードで用いる電磁弁16の1回当たりの開時間及び1回当たりの閉時間の各々の設定値を設定する。
【0042】
モード切替処理部43eは、モード設定部42で選択された給水モードに従って電磁弁16が開閉するように、電磁弁制御部43bを制御する。より詳細には、モード切替処理部43eは、自動水張りモードが選択されると、自動水張りモード選択時からの給水口15の給水使用量が水張り設定処理部43cが設定した満水量になるまでは電磁弁16を開に制御し、自動水張りモード選択時からの給水口15の給水使用量が水張り設定処理部43cが設定した満水量になると電磁弁16を閉に制御する。
【0043】
また、モード切替処理部43eは、自動給・停止モードが選択されると、検知センサ17が被検知物を検知する間は電磁弁16を開に制御し、検知センサ17が被検知物を検知しなくなると電磁弁16を閉に制御する。また、モード切替処理部43eは、間欠給水モードが選択されると、間欠時間設定処理部43dが設定した開時間及び閉時間の各々の設定値に従って、電磁弁16を間欠制御するときの開時間及び閉時間を制御する。すなわち、モード切替処理部43eは、間欠時間設定処理部43dが設定した開時間、電磁弁16を開に制御し、その後、間欠時間設定処理部43dが設定した閉時間、電磁弁16を閉に制御する。そして、モード切替処理部43eは、間欠給水モードが選択されている間、電磁弁16の開と閉を交互に繰り返す。
【0044】
報知部44は、サーバー5の後述の漏水検知部56及び故障検知部57の各々の検知結果を給水装置2の周辺の利用者に報知する。より詳細には、報知部44は、漏水検知部56が給水装置2の漏水を検知した場合、この検知した事を利用者に報知する。また、報知部44は、故障検知部57が給水装置2の故障を検知した場合、この検知した事を利用者に報知する。報知部は、音声出力で報知してもよいし、文字又は図形などを表示することで報知してもよい。
【0045】
本実施形態では、通信部41、モード設定部42、制御部43、及び報知部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成としており、メモリに格納されているプログラムをCPUで実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよい。
【0046】
(1-5)複数の給水装置6の構成
図1に示すように、複数の給水装置6は、上記最適運転モデルの各種の設定値を生成するためのデータ(例えば給水装置6の一定時間毎の給水使用量の測定値)を収集するための給水装置である。
【0047】
複数の給水装置6はそれぞれ、個別の制御装置61と接続されており、その個別の制御装置61によって、その給水装置6の給水口の一定期間の給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように制御されている。各制御装置61は、管理対象の給水装置2を制御する制御装置4と同様に、サーバー5からの最適運転モデル(当該給水装置6を制御するための最適運転モデル)に基づいて動作するタイプであってもよい。また、各制御装置61は、管理者等が手動で当該給水装置6の動作に必要な各種の設定値を設定することで動作するタイプであってもよい。
【0048】
複数の給水装置6はそれぞれ、その給水口からの給水使用量を測定する流量センサ62(測定器)を備えている。流量センサ62は、給水口からの給水使用量を一定時間(例えば1分又は10分)毎に測定し、その測定値を、個別の制御装置61内の通信部63を介して後述するサーバー5(
図4参照)に送信する。この測定値は、サーバー5のデータベース53に登録される。
【0049】
(1-6)サーバー5の構成
図4に示すように、サーバー5は、通信部51と、サーバー5の各種の処理を実行する処理部50と、表示部59とを備える。処理部50は、データ収集部52と、データベース53と、生成部54と、設定調整部55と、漏水検知部56と、故障検知部57と、表示制御部58とを備える。
【0050】
通信部51は、複数の給水装置6及び制御装置4との間でネットワーク7を介して通信を行う。
【0051】
データ収集部52は、複数の給水装置6の各々から一定時間(例えば1分又は10分)毎に流量センサ62の測定値を通信部51を介して収集し、収集した測定値を、各給水装置6の基本情報と対応付けてデータベース53に登録する。また、データ収集部52は、管理対象の給水装置2から一定時間(例えば1分又は10分)毎に流量センサ18の測定値を通信部51を介して収集し、収集した測定値を、給水装置2の基本情報と対応付けてデータベース53に登録する。給水装置2,6の基本情報は、給水装置2,6を使用する店舗の業種、業態及び客席数などの情報を含む。給水装置2,6の基本情報は、予め、サーバー5を管理する管理者によって登録されている。
【0052】
なお、測定値を収集するときの上記一定時間は、一例として1分又は10分であるが、1分又は10分に限定されない。上記一定時間(すなわち流量センサ18,62の測定間隔)は、より短い方が給水装置2,6の給水モードを解析し易くなり、例えば間欠給水モードの1回当たりの開時間及び1回当たりの閉時間を解析し易くなる。
【0053】
データベース53には、データ収集部52が複数の給水装置6及び管理対象の給水装置2から収集した流量センサ62,18の測定値(すなわち一定時間毎の給水使用量の測定値)が、給水装置6,2の基本情報と対応付けて登録されている。
【0054】
生成部54は、AI(人工知能)を用いて、データベース53に登録されている複数の給水装置6の各々の一定時間毎の給水使用量の測定値をデータ解析する。このデータ解析の結果から、生成部54は、管理対象の給水装置2を制御するための最適運転モデルの各種の設定値を生成する。より詳細には、例えば、生成部54は、AIを用いて、データベース53に登録されている複数の給水装置6の各々の一定時間毎の測定値から各給水装置6の動作パターンを分析し、分析した各給水装置6の動作パターンから各給水装置6の一定期間(例えば1ヶ月)の給水使用量を判定し、その判定結果から給水装置2の上記一定期間の適正使用量を生成する。また、生成部54は、AIを用いて、データベース53に登録されている複数の給水装置6の各々の一定時間毎の測定値から各給水装置6の動作パターンを分析し、分析した各給水装置6の動作パターンから各給水装置6の各種の設定値を判定し、その判定結果から上記の適正使用量に対する給水装置2の各種の設定値を生成する。AIは、ルールベース型であってもよいし、機械学習型であってもよい。機械学習は、例えば、ディープラーニング、教師あり学習、教師なし学習、又は強化学習である。
【0055】
なお、各種の設定値には、間欠給水モードの1回当たりの開時間及び1回当たりの閉時間の各々の設定値が含まれる。なお、上記一定期間は、例えば1ヶ月であるが、1週間でもよいし、1日でもよいし、1年でもよい。また、上記一定期間は、サーバー5に設置された操作部によって変更可能であってもよい。
【0056】
生成部54は、データベース53に登録されている全ての給水装置6の測定値を用いてデータ解析することで、上記各種の設定値を生成してもよい。また、生成部54は、データベース53に登録されている全ての給水装置6のうち、管理対象の給水装置2と同じ又は類似する業種、業態及び客席数の給水装置6の測定値だけを用いてデータ解析することで、上記各種の設定値を生成してもよい。
【0057】
生成部54は、最適運転モデルで用いるプログラム(管理対象の給水装置2を制御するためのプログラム)については、複数の給水装置6の各々で用いられているプログラムのうち、管理対象の給水装置2と同じ仕様の給水装置6で用いられているプログラムを流用してもよい。すなわち、データベース53には、複数の給水装置6の各々で用いられているプログラムが基本情報として登録されており、生成部54は、データベース53に登録されている複数のプログラムの中から、管理対象の給水装置2で用いるプログラムを選択して用いてもよい。
【0058】
生成部54は、作成した最適運転モデル(各種の設定値及びプログラム)を通信部51から制御装置4に送信する。これにより、制御装置4は、最適運転モデルに基づいて給水装置2を制御する。
【0059】
設定調整部55は、上記最適運転モデルが給水装置2に適用された後に、生成部54が生成した最適運転モデルの上記各種の設定値を自動的に調整する。より詳細には、設定調整部55は、上記最適運転モデルが適用された給水装置2の一定期間(例えば1ヶ月)の給水使用量の測定値(データベース53に登録されている流量センサ18の測定値)に基づいて、最適運転モデルの各種の設定値を給水装置2に最適化するように調整する。そして、その調整された各種の設定値はサーバー5から制御装置4に送信され、制御装置4において、現在使用中の各種の設定値が、サーバー5から受信した上記の調整された各種の設定値に変更(更新)される。
【0060】
より詳細には、設定調整部55は、データベース53に登録されている流量センサ18の測定値を用いて、給水装置2の一定期間(例えば1ヶ月)の給水使用量を計算し、計算した一定期間の給水使用量が、生成部54が生成した一定期間(例えば1ヶ月)の適正使用量の範囲内に収まっているかを監視する。なお、上記一定期間は、一例として1ヶ月であるが、例えば1時間、1日又は1週間であってもよい。また、上記一定期間は、制御装置4の所定の操作部によって、複数の期間(例えば1時間、1週間及び1ヶ月)の中から選択可能であってもよい。
【0061】
設定調整部55は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が、生成部54が生成した適正使用量の範囲内に収まっていない場合は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まるように、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの給水時間及び停止時間の各々の設定値)を調整する。これにより、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まっていない場合は、自動的に、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まるように、上記各種の設定値が調整される。
【0062】
また、設定調整部55は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まっている場合は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内で極力少ない使用量になるように(すなわち更に低減するように)、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの給水時間及び停止時間の各々の設定値)を調整する。これにより、最適運転モデルが給水装置2に適用された後でも、自動的に、給水装置2の節水率を向上させることができる。
【0063】
漏水検知部56は、給水装置2での漏水の発生を検知する。より詳細には、漏水検知部56には、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値に対して漏水閾値が設定されている。漏水閾値は、上記適正使用量よりも高い値である。漏水検知部56は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値(データベース53に登録されている流量センサ18の測定値)が漏水閾値を超えるか否かによって、給水装置2で漏水が発生しているか否かを判定する。漏水検知部56は、給水装置2の漏水の発生を検知すると、その検知結果を、通信部51を介して制御装置4に通知して制御装置4の報知部44から報知させる。
【0064】
故障検知部57は、給水装置2での故障の発生を検知する。より詳細には、故障検知部57は、設定調整部55が上記各種の設定値を調整したときの給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値の変化量が予測した量(予測量)よりも小さい場合、給水装置2で故障が発生したと判定する。故障検知部57は、給水装置2の故障の発生を検知すると、その検知結果を、通信部51を介して制御装置4に通知して制御装置4の報知部44から報知させる。
【0065】
表示部59は、例えば液晶又は有機ELで構成された表示装置である。表示部59は、例えば、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値及び適正使用量をそれぞれグラフ(例えば折れ線グラフ又は棒グラフ)で表して互いに重ね合わせて表示する。これにより、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値及び適正使用量との関係を分かり易く表示できる。なお、上記のようにグラフで表示するときは、横軸に時間を取り、縦軸に使用量を取ってグラフ表示してもよい。
【0066】
表示制御部58は、表示部59の表示を制御する。表示制御部58は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値及び適正使用量をそれぞれグラフで表して表示部59に互いに重ねて表示する。適正使用量のグラフについては、表示制御部58は、生成部54が生成した適正使用量に基づいて生成する。一定期間の給水使用量の測定値のグラフについては、表示制御部58は、データベースに登録されている給水装置2の流量センサ18の測定値に基づいて生成する。
【0067】
なお、上記グラフ表示において上記一定期間として1ヶ月を採用する場合は、1年分の各月(1ヶ月分)の給水使用量の測定値及び適正使用量を月順に並べて表示してもよい。また、上記一定期間として1日を採用する場合は、1ヶ月分の各日(1日分)の給水使用量の測定値及び適正使用量を日順に並べて表示してもよい。
【0068】
なお、表示部59は、さらに、給水管理システム1を導入する前の上記一定期間の給水使用量の測定値のグラフを上記グラフに重ねて表示してもよい。この場合は、データベース53に、給水装置2の基本情報として、給水管理システム1を導入する前の上記一定期間の給水使用量の測定値を登録しておき、その基本情報に基づいて、給水管理システム1を導入する前の上記一定期間の給水使用量の測定値のグラフを作成する。
【0069】
本実施形態では、通信部51及び処理部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成としており、メモリに格納されているプログラムをCPUで実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよい。
【0070】
(1-7)動作説明
図5を参照して給水管理システム1の動作を説明する。
【0071】
複数の給水装置6の各々において、給水装置6の流量センサ62は、一定時間毎に給水装置6の給水使用量を測定し(ステップS1)、測定した測定値を給水装置6に接続された通信部63を介してサーバー5に送信する。なお、
図5では、複数の給水装置6のうち1つだけ図示している。ステップS1の測定は、実際は複数回行われているが、1回分のみ図示している。
【0072】
サーバー5は、各給水装置6の流量センサ62から各給水装置6の測定値を受信すると、受信した測定値を、各給水装置6の基本情報と対応付けてデータベース53に登録する(ステップS2)。サーバー5は、データベース53に登録されている各給水装置6の流量センサ(測定器)62の測定値(すなわち各給水装置6の一定時間毎の給水使用量の測定値)をデータ解析することで、管理対象の給水装置2を制御するための最適運転モデルの各種の設定値(すなわち給水装置2の制御に必要な各種の設定値)を生成する(ステップS3)。上記各種の設定値は、例えば、間欠給水モードの1回当たりの開時間及び1回当たりの閉時間の各々の設定値を含む。サーバー5は、データベース53に登録されている複数の給水装置6のプログラムのうち、給水装置2の仕様と同じ給水装置6のプログラムを最適運転モデルのプログラムに流用する。そして、サーバー5は、生成した最適運転モデル(各種の設定値及びプログラム)を通信部51を介して制御装置4に送信する。
【0073】
制御装置4は、サーバー5からの最適運転モデルを受信すると、受信した最適運転モデルに基づいて管理対象の給水装置2を制御する(ステップS4)。この制御の最中において、給水装置2の流量センサ18は、一定時間毎に給水装置2の給水使用量を測定し(ステップS5)、測定した測定値を、制御装置4の通信部41を介してサーバー5に送信する。なお、
図5では、ステップS5の測定は、複数回行われているが、1回分のみ図示している。
【0074】
サーバー5は、制御装置4から給水装置2の流量センサ18の測定値を受信すると、受信した測定値を、給水装置2の基本情報に対応付けてデータベース53に登録する(ステップS6)。サーバー5は、ステップS3で生成した適正使用量のグラフを生成し、かつ、データベース53に登録されている給水装置2の流量センサ18の測定値に基づいて給水装置2の一定期間の給水使用量を計算しその計算結果のグラフを生成する(ステップS7)。そして、サーバー5は、生成した2つのグラフ(給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値のグラフ及び適正使用量のグラフ)を重ねて表示部59に表示する(ステップS8)。これにより、表示部59によって、管理対象の給水装置2の一定期間の給水使用量と適正使用量との関係が一目で把握できる。
【0075】
また、サーバー5は、ステップS3で生成した最適運転モデルの各種の設定値を給水装置2に最適化させるための設定調整を行う(ステップS9)。この設定調整は、第1調整と第2調整とを含む。第1調整では、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まらない場合に、サーバー5は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まるように、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの開時間及び閉時間の各々の設定値)を調整する。また、第2調整では、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まる場合に、サーバー5は、給水装置2の一定期間の給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内で極力少ない使用量になるように(すなわち更に低減するように)、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの給水時間及び停止時間の各々の設定値)を調整する。そして、サーバー5は、設定調整した各種の設定値を通信部51を介して制御装置4に送信する。
【0076】
制御装置4は、サーバー5から設定調整された各種の設定値を受信すると、ステップS4で受信した最適運転モデルの各種の設定値(制御装置4で現在使用中の各種の設定値)を、受信した上記各種の設定値(設定調整された各種の設定値)に変更する(ステップS10)。そして、制御装置4は、その変更した各種の設定値に基づいて給水装置2を制御する。これにより、最適運転モデルが給水装置2に適用された後に、制御装置4で使用中の各種の設定値が給水装置2に対して最適値になるように自動的に調整される。
【0077】
なお、上記説明において、ステップS6,S7のグラフ表示の処理と、ステップS9の設定調整の処理とは、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0078】
図6及び
図7を参照して、
図5のステップS10の設定調整時の動作の詳細を説明する。
【0079】
サーバー5は、データベース53を用いて給水装置2の一定期間の給水使用量(以下、単に「給水使用量」と記載する)を計算し、計算した給水使用量が適正使用量の範囲内に収まっている否かを判定する(ステップS20)。この判定の結果、給水使用量が適正使用量の範囲内に収まっていない場合(ステップS20:NO)は、サーバー5は、さらに、給水使用量が漏水閾値を超えているか否かを判定する(ステップS21)。この判定の結果、給水使用量が漏水閾値を超えている場合(ステップS21:Yes)は、サーバー5は、給水装置2で漏水が発生していると判定する(ステップS22)。そして、サーバー5は、その判定結果を、制御装置4に通知し、制御装置4の報知部44から報知させる(ステップS23)。そして、処理が終了する。
【0080】
他方、ステップS21の判定の結果、給水使用量が漏水閾値を超えていない場合(ステップS21:No)は、サーバー5は、さらに、給水使用量が適正使用量の範囲の上限値を超えているか否かを判定する(ステップS24)。この判定の結果、給水使用量が適正使用量の範囲の上限値を超えている場合(ステップS24:Yes)は、サーバー5は、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの開時間及び閉時間の各々の設定値)を、給水使用量が減少する方向に一定量調整する(ステップS25)。そして、サーバー5は、この調整に対する給水使用量の測定値の変化量が予測量よりも小さいか否かを判定する(ステップS26)。この判定の結果、ステップS25の調整に対する給水使用量の測定値の変化量が予測量よりも小さい場合(ステップS26:Yes)は、サーバー5は、給水装置2で故障が発生していると判定する(ステップS27)。そして、サーバー5は、その判定結果を、制御装置4に通知して制御装置4の報知部44から報知させる(ステップS28)。そして、処理が終了する。
【0081】
他方、ステップS26の判定の結果、ステップS25の調整に対する給水使用量の測定値の変化量が予測量よりも小さくない場合(ステップS26:No)は、処理がステップS24に戻る。そして、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲の上限値を超えなくなるまで、ステップS24~S26の処理が繰り返される。これにより、適正使用量の上限値を超えた給水使用量が適正使用量の上限値を超えなくなるように、各種の設定値が調整される。
【0082】
他方、ステップS24の判定の結果、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲の上限値を超えていない場合(ステップS24:No)は、サーバー5は、さらに、給水使用量が適正使用量の範囲の下限値を下回っているか否かを判定する(ステップS29)。この判定の結果、給水使用量が適正使用量の範囲の下限値を下回っている場合(ステップS29:Yes)は、サーバー5は、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの開時間及び閉時間の各々の設定値)を、給水使用量が増加する方向に一定量調整する(ステップS30)。そして、サーバー5は、この調整に対する給水使用量の測定値の変化量が予測量よりも小さいか否かを判定する(ステップS31)。この判定の結果、ステップS30の調整に対する給水使用量の測定値の変化量が予測量よりも小さい場合(ステップS31:Yes)は、サーバー5は、給水装置2で故障が発生していると判定する(ステップS27)。そして、サーバー5は、その判定結果を制御装置4に通知して制御装置4の報知部44から報知させる(ステップS28)。そして、処理が終了する。
【0083】
他方、ステップS31の判定の結果、ステップS30の調整に対する給水使用量の測定値の変化量が予測量よりも小さくない場合(ステップS31:No)は、処理がステップS29に戻る。そして、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲の下限値を下回らなくなるまでステップS29~S31の処理が繰り返される。これにより、適正使用量の下限値を下回る給水使用量が適正使用量の下限値を下回らなくなるように、各種の設定値が調整される。
【0084】
他方、ステップS29の判定の結果、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲の下限値を下回らない場合(ステップS29:No)は、サーバー5は、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まっていると判定して、処理がステップS20に戻る。
【0085】
他方、ステップS20の判定の結果、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内に収まっている場合(ステップS20:Yes)は、サーバー5は、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲の下限値よりも少し大きい一定値(下限近傍値)以下であるか否かを判定する(ステップS32)。なお、上記下限値と上記一定値(下限近傍値)との幅は、例えば、後述のステップS33の1回の設定調整に対する給水使用量の測定値の変化量と同じ値である。これにより、給水使用量が上記下限値と上記一定値(下限近傍値)との間にある場合は、給水使用量が適正使用量の範囲内で上記下限値に最も近い値になる。つまり、給水使用量が上記下限値と上記一定値(下限近傍値)との間にある状態からステップS33の設定調整を更に1回行うと、給水使用量の測定値が上記下限値を下回ることになる。
【0086】
ステップS32の判定の結果、給水使用量の測定値が下限近傍値よりも大きい場合(ステップS32:No)は、サーバー5は、最適運転モデルの各種の設定値(例えば間欠給水モードの開時間及び閉時間の各々の設定値)を給水使用量が減少する方向に一定量調整する(ステップS33)。そして、処理がステップS32に戻る。他方、ステップS32の判定の結果、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲内で下限近傍値よりも小さい場合(ステップS32:Yes)は、サーバー5は、給水使用量は、適正使用量の範囲内で十分に小さい値に制御されている(すなわち給水装置2の節水率が十分に高い状態にある)と判定して、処理を終了する。このように、ステップS32,S33を繰り返すことで、最適運転モデルが給水装置2に適用された後に、給水使用量の測定値が適正使用量の範囲の下限値に最大限接近するように、各種の設定値が調整される。これにより、給水装置2の節水率が最大限に向上される。
【0087】
(1-8)主な効果
以上、本実施形態に係る給水管理システム1によれば、制御装置4と、処理部50とを備える。制御装置4は、与えられた設定値に基づいて、給水装置2(第1給水装置)の給水口15からの一定期間の給水使用量(第1給水使用量)が適正使用量の範囲内に収まるように給水装置2を制御する。処理部50は、複数の給水装置6(第2給水装置)の各々の給水口からの一定時間毎の給水使用量(第2給水使用量)を測定する複数の流量センサ62(測定器)の各々の測定値をデータ解析して、上記適正使用量と、給水装置2の給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように給水装置2を動作させるための上記設定値とを生成する。
【0088】
この構成によれば、処理部50によって、複数の給水装置6の各々の給水使用量の測定値をデータ解析して、上記適正使用量及び上記設定値を生成する。これにより、人を介さないで、給水装置2の動作に必要な設定値を生成できる。
【0089】
また、給水管理システム1は、制御装置4とは別体のサーバー5を更に備える。処理部50は、サーバー5に備えられている。この構成によれば、処理部50は、制御装置4とは別体のサーバー5に備えられる。これにより、サーバー5をクラウド側に配置し、制御装置4及び給水装置2をローカル側に配置して、サーバー5によって遠隔から給水装置2の給水を管理できる。また、1つのサーバー5によって、複数の給水装置2の給水を管理可能である。
【0090】
(2)サーバー、制御装置、給水管理方法、及びプログラム
上記実施形態に係る給水管理システム1と同様の機能は、サーバー5、制御装置4、給水管理方法、コンピュータプログラム(プログラム)、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0091】
一態様に係るサーバーは、上記実施形態に係る給水管理システム1のサーバー5を構成する。
【0092】
一態様に係る制御装置は、上記実施形態に係る給水管理システム1の制御装置4を構成する。
【0093】
一態様に係る給水管理方法は、第1工程(ステップS4)と、第2工程(ステップS3)とを含む。第1工程(ステップS4)では、与えられた設定値に基づいて、給水装置2(第1給水装置)の給水口15からの一定期間の給水使用量(第1給水使用量)が適正使用量の範囲内に収まるように給水装置2を制御する。第2工程(ステップS3)では、複数の給水装置6(第2給水装置)の各々の給水口の一定時間毎の給水使用量(第2給水使用量)を測定する複数の流量センサ62(測定器)の各々の測定値をデータ解析して、上記適正使用量と、第1給水装置2の給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように給水装置2を動作させるための上記設定値を生成する。
【0094】
一態様に係るプログラムは、上記給水管理方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0095】
一態様に係る非一時的記録媒体は、上記物品管理方法を1以上のプロセッサに実行させるプログラムを記録する。
【0096】
(3)変形例
以下、上記実施形態の変形例を説明する。なお、上記実施形態と下記変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0097】
(3-1)変形例1
上記実施形態では、処理部50は、サーバー5に備えられるが、制御装置4に備えられてもよい。また、サーバー5の機能を全て制御装置4に持たせて、サーバー5を省略してもよい。
【0098】
(3-2)変形例2
上記実施形態では、間欠給水モードでは、開時間で給水装置2の給水が実行され、閉時間で給水装置2の給水が停止される。ただし、間欠給水モードで、開時間では給水装置2の給水が実行され、閉時間では、開時間での給水よりも少ない量の給水が行われるようにしてもよい。
【0099】
(4)態様
上記実施形態及び変形例から本発明は下記の態様を取り得る。
【0100】
第1の態様の給水管理システム(1)は、制御装置(4)と、処理部(50)とを備える。制御装置(4)は、与えられた設定値に基づいて、第1給水装置(2)の給水口(15)からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように第1給水装置(2)を制御する。処理部(50)は、複数の第2給水装置(6)の各々の給水口からの一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器(62)の各々の測定値をデータ解析して、適正使用量と、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように第1給水装置(2)を動作させるための設定値とを生成する。
【0101】
この構成によれば、処理部(50)によって、複数の第2給水装置(6)の各々の第2給水使用量の測定値をデータ解析して、上記適正使用量及び上記設定値を生成する。これにより、人を介さないで、第1給水装置(2)の動作に必要な設定値を生成できる
第2の態様の給水管理システム(1)では、第1の態様において、設定値は、前記第1給水装置が備える電磁弁の開と閉とを交互に間欠的に行うときの1回当たりの給水時間の設定値及び1回当たりの停止時間の設定値である。
【0102】
この構成によれば、第1給水装置(2)の給水を間欠制御するときの1回当たりの給水時間の設定値及び1回当たりの停止時間の設定値を上記データ解析によって生成できる。
【0103】
第3の態様の給水管理システム(1)では、第1又は第2の態様において、処理部(50)は、前記設定値を生成した後、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まる場合に、第1給水使用量が適正使用量の範囲内で更に低減するように設定値を調整する。
【0104】
この構成によれば、設定値の生成後に、第1給水使用量が適正使用量の範囲内で更に低減するように上記設定値を自動的に調整できる。
【0105】
第4の態様の給水管理システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、処理部(50)は、前記設定値を生成した後、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まらない場合に、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように設定値を調整する。
【0106】
この構成によれば、設定値の生成後に、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まらない場合は、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように上記設定値を自動的に調整できる。
【0107】
第5の態様の給水管理システム(1)では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、制御装置(4)は、第1給水装置(2)に漏水が発生した場合、又は、第1給水装置(2)が故障した場合に、その事を報知する報知部(44)を更に備える。
【0108】
この構成によれば、第1給水装置(2)に漏水が発生した場合、又は、第1給水装置(2)が故障した場合に、その事を利用者に報知できる。
【0109】
第6の態様の給水管理システム(1)では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、第1給水装置(2)は、食器洗浄装置用又は機械浴槽用の給水装置であり、複数の第2給水装置(6)は、食器洗浄装置用の給水装置及び機械浴槽用の給水装置の少なくとも一方を含む。
【0110】
この構成によれば、第1給水装置(2)として、厨房用又は機械浴槽用の給水装置を管理対象にできる。
【0111】
第7の態様の給水管理システム(1)では、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、第1給水装置(2)は、シンク(14)又は浴槽に上方から給水する給水口(15)と、給水口(15)への給水と停水を行うための電磁弁(16)と、給水口(15)の下方に被検知物が存在することを検知する検知センサ(17)と、センサ自動給・停止モード、自動水張りモード及び間欠給水モードのうちのいずれかの給水モードを選択するためのモード設定部(42)と、を備える。センサ自動給・停止モードでは、第1給水装置(2)は、給水口(15)の下方に被検知物が存在することを検知センサ(17)で検知する場合に自動的に電磁弁(16)を開いて給水口(15)から給水し、かつ給水口(15)の下方に被検知物が存在することを検知センサ(17)で検知しない場合に自動的に電磁弁(16)を閉じて給水口(15)からの給水を停止する。自動水張りモードは、第1給水装置(2)は、電磁弁(16)を開いて給水口(15)から給水を開始して給水口(15)からの給水がシンク(14)又は浴槽に所定量(満水量)溜まると自動的に電磁弁(16)を閉じて給水口(15)からの給水を停止する。間欠給水モードでは、第1給水装置(2)は、電磁弁(16)の開と閉とを交互に間欠的に行って給水口(15)から間欠的に給水する。
【0112】
この構成によれば、3つの給水モード(センサ自動給・停止モード、自動水張りモード及び間欠給水モード)のうちのいずれかの給水モードを選択可能な第1給水装置(2)の給水を管理可能である。
【0113】
第8の態様の給水管理システム(1)は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、制御装置(4)とは別体のサーバー(5)を更に備える。処理部(50)は、サーバー(5)に備えられている。
【0114】
この構成によれば、処理部(50)は、制御装置(4)とは別体のサーバー(5)に備えられる。これにより、サーバー(5)をクラウド側に配置し、制御装置(4)及び第1給水装置(2)をローカル側に配置して、サーバー(5)によって遠隔から第1給水装置(2)の給水を管理できる。また、1つのサーバー(5)によって、複数の第1給水装置(2)の給水を管理可能である。
【0115】
第9の態様の給水管理システム(1)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、処理部(50)は、制御装置(4)に備えられている。
【0116】
この構成によれば、制御装置(4)は、第1給水装置(2)と同じローカル側に設置されることを想定しており、処理部(50)を第1給水装置(2)と同じローカル側の制御装置(4)に配置できる。
【0117】
第10の態様のサーバー(5)は、第8の態様の給水管理システム(1)のサーバー(5)を構成する。
【0118】
この構成によれば、給水管理システム(1)を構成し、上記処理部(50)を備えるサーバー(5)を提供できる。
【0119】
第11の態様の制御装置(4)は、第1~第10の態様のいずれか1つの給水管理システム(1)の制御装置(4)を構成する。
【0120】
この構成によれば、給水管理システム(1)の制御装置(4)を提供できる。
【0121】
第12の態様の給水管理方法は、第1工程(ステップS4)と、第2工程(ステップS3)と、を1以上のプロセッサに実行させる。第1工程(ステップS4)では、与えられた設定値に基づいて、第1給水装置(2)の給水口(15)からの一定期間の第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように第1給水装置(2)を制御する。第2工程(ステップS3)では、複数の第2給水装置(6)の各々の給水口の一定時間毎の第2給水使用量を測定する複数の測定器(62)の各々の測定値をデータ解析して、適正使用量と、第1給水使用量が適正使用量の範囲内に収まるように第1給水装置(2)を動作させるための設定値を生成する。
【0122】
この構成によれば、複数の第2給水装置(6)の各々の第2給水使用量の測定値をデータ解析して、上記適正使用量及び上記設定値を生成する。これにより、人を介さないで、第1給水装置(2)の動作に必要な設定値を生成できる。
【0123】
第13の態様のプログラムでは、第12の態様の給水管理方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0124】
この構成によれば、給水管理方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0125】
1 給水管理システム
2 給水装置(第1給水装置)
4 制御装置
5 サーバー
6 給水装置(第2給水装置)
15 給水口
16 電磁弁
17 検知センサ
42 モード設定部
44 報知部
50 処理部
62 測定器