(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058405
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】紙管、枠体、パーティション、及び紙管複合体
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20230418BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20230418BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20230418BHJP
A47B 47/06 20060101ALI20230418BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20230418BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20230418BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20230418BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
A47B47/06
A47G5/00 G
F16B5/10 M
F16B7/04 302D
E04B2/74 561H
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168455
(22)【出願日】2021-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】521452050
【氏名又は名称】株式会社三協丸筒
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼村 豪優
【テーマコード(参考)】
3B053
3J001
3J039
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053SE06
3J001FA18
3J001GA06
3J001GB01
3J001GC09
3J001GC12
3J001HA04
3J001JD15
3J001KA07
3J001KB03
3J039AA07
3J039BB01
3J039FA00
3J039FA03
(57)【要約】
【課題】 紙管に板体を差し込むことにより板体を支持する枠体を提供する。
【解決手段】 本開示による枠体は、複数の紙管と、これら複数の紙管が多角形の連続した複数の辺を構成するように、複数の紙管を連結する継ぎ手と、を備えている。複数の紙管のうちの少なくとも2つの各々は、軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有している。枠体は、少なくとも2つの紙管の各々が有するスリットを端部が貫くように、少なくとも2つの紙管に差し込まれることにより、少なくとも2つの紙管に支持される板体を、さらに備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に沿った両端部のうち、少なくとも一方を残して前記軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有する紙管。
【請求項2】
前記スリットは、前記両端部の双方を残して前記軸に沿って延びる、請求項1に記載の紙管。
【請求項3】
前記スリットは、
前記両端部のうち一端部を残して前記軸に沿って延び、互いに軸対称の位置にある2本の第1スリットと、
前記両端部のうち他端部を残して前記軸に沿って延び、互いに軸対称の位置にある2本の第2スリットとを含んでおり、
前記2本の第1スリットと前記2本の第2スリットは、前記紙管における周方向の位置が互いに異なっている、請求項1に記載の紙管。
【請求項4】
枠体であって、
複数の紙管と、
前記複数の紙管が多角形の連続した複数の辺を構成するように、前記複数の紙管を連結する継ぎ手と、を備え、
前記複数の紙管のうちの少なくとも2つの各々は、請求項1又は2に記載の紙管であり、
前記枠体は、
前記少なくとも2つの紙管の各々が有する前記スリットを端部が貫くように、前記少なくとも2つの紙管に差し込まれることにより、当該少なくとも2つの紙管に支持される板体を、さらに備える枠体。
【請求項5】
枠体であって、
複数の紙管と、
前記複数の紙管が多角形の連続した複数の辺を構成するように、前記複数の紙管を連結する継ぎ手と、を備え、
前記複数の紙管のうちの少なくとも2つの各々は、軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有し、
前記枠体は、
前記少なくとも2つの紙管の各々が有する前記スリットを端部が貫くように、前記少なくとも2つの紙管に差し込まれることにより、当該少なくとも2つの紙管に支持される板体を、さらに備える枠体。
【請求項6】
前記複数の紙管のうちの前記少なくとも2つの各々の両端部に配置され、当該両端部に接するように当該両端部を囲む別の紙管を、さらに備える、請求項4又は5に記載の枠体。
【請求項7】
パーティションであって、
支柱として用いられる紙管と、
互いに交差するように前記支柱に支えられることにより、前記支柱の周りの空間を4領域に仕切る第1仕切板及び第2仕切板とを、備え、
前記紙管は請求項3に記載の紙管であり、
前記紙管は、前記一端部を上端部とし、前記他端部を下端部とする姿勢であり、
前記第1仕切板は、前記2本の第1スリットを貫くように前記紙管に差し込まれ、
前記第2仕切板は、前記2本の第2スリットを貫くように前記紙管に差し込まれ、
前記第1仕切板は、上端から前記紙管の前記軸に沿って延びる第3スリットを有し、
前記第2仕切板は、下端から前記紙管の前記軸に沿って延びる第4スリットを有し、
前記第1仕切板と前記第2仕切板は、前記第2仕切板が前記第3スリットを貫通し、前記第1仕切板が前記第4スリットを貫通することにより、前記紙管の内側において互いに干渉することなく交差する、パーティション。
【請求項8】
前記第1仕切板及び前記第2仕切板は紙製である、請求項7に記載のパーティション。
【請求項9】
軸に沿った一端から他端にわたって前記軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有する第1紙管と、
前記第1紙管の前記軸に沿った一部に配置され、当該一部に接するように当該一部を囲む第2紙管と、を備える紙管複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管、紙管を用いた枠体、紙管を用いたパーティション、及び紙管複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
「紙管(しかん)」とは、紙で作られた管であり、トイレットペーパーの芯、ガムテープの芯、賞状の収納筒、段ボールパレットなど、「巻く」・「包む」・「支える」という3機能を中心に、多様な用途がみられる(非特許文献1、2参照)。紙管は紙製であるため、軽量であり、廃棄後には土に戻すこともでき、環境にも優しいという利点がある。
【0003】
従来より、例えば特許文献1,2に開示されるように、支柱、横梁等に紙管を用いた棚、ラック等の組立体が知られている。このような組立体に天板、棚板等の板体を配置するには、板体を支柱の上に置いたり、上下の支柱の間に挟んだり、横梁の上に置かれたりするのが通例であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-168435号公報
【特許文献2】実全昭60-134908号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本紙工業株式会社のウェブページ「紙管の知識」(https://www.nskg.co.jp/product/tube_chisiki.html)
【非特許文献2】日本紙管工業株式会社のウェブページ「紙管について」(http://n-shikan.co.jp/paper-core/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、もしも、組立体に用いられる紙管自体に板体を差し込むことができれば、組立体の美観が向上するとともに、板体が安定して支持されるであろう、ということに思い至った。本発明の一態様は上記の問題点に鑑み、上記の着想に基づいてなされたもので、板体を差し込むことのできる紙管を提供することを目的とする。本発明の別の態様は、紙管に板体を差し込むことにより板体を支持する枠体を提供することを目的とする。本発明のさらに別の態様は、紙管を支柱として用い、この紙管に板体を差し込むことにより、支柱の周りの空間を4領域に区分けするパーティションを提供することを目的とする。本発明のさらに別の態様は、紙管に板体を差し込むことのできる紙管複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、紙管であって、軸に沿った両端部のうち、少なくとも一方を残して前記軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有する。
【0008】
この構成によれば、スリットを貫くようにして板体を紙管に差し込むことが可能となる。紙管の軸に沿った両端部のうち、少なくとも一方にはスリットが無いので、紙管の強度、及び形状保持性が、確保される。
【0009】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による紙管であって、前記スリットは、前記両端部の双方を残して前記軸に沿って延びる。
この構成によれば、紙管の軸に沿った両端部の双方にスリットが無いので、紙管の強度、及び形状保持性が、さらに高められる。
【0010】
本発明のうち第3の態様によるものは、第1の態様による紙管であって、前記スリットは、前記両端部のうち一端部を残して前記軸に沿って延び、互いに軸対称の位置にある2本の第1スリットと、前記両端部のうち他端部を残して前記軸に沿って延び、互いに軸対称の位置にある2本の第2スリットとを含んでいる。そして、前記2本の第1スリットと前記2本の第2スリットは、前記紙管における周方向の位置が互いに異なっている。
【0011】
この構成によれば、2本の第1スリットを貫くように紙管に差し込まれて配置される第1の板体と、2本の第2スリットを貫くように紙管に差し込まれて配置される第2の板体とを、紙管の内側で互いに交差するように、紙管によって支持することが可能となる。
【0012】
本発明のうち第4の態様によるものは、枠体であって、複数の紙管と、前記複数の紙管が多角形の連続した複数の辺を構成するように、前記複数の紙管を連結する継ぎ手と、を備えている。前記複数の紙管のうちの少なくとも2つの各々は、第1又は第2の態様による紙管である。前記枠体は、前記少なくとも2つの紙管の各々が有する前記スリットを端部が貫くように、前記少なくとも2つの紙管に差し込まれることにより、当該少なくとも2つの紙管に支持される板体を、さらに備えている。
【0013】
この構成によれば、枠体の梁部分に紙管が用いられ、しかも板体を紙管に差し込んで支持する枠体が実現する。かかる枠体は、ラック、棚のほか、様々な組立体の構成要素として用いることができる。
【0014】
本発明のうち第5の態様によるものは、枠体であって、複数の紙管と、前記複数の紙管が多角形の連続した複数の辺を構成するように、前記複数の紙管を連結する継ぎ手と、を備えている。前記複数の紙管のうちの少なくとも2つの各々は、軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有している。前記枠体は、前記少なくとも2つの紙管の各々が有する前記スリットを端部が貫くように、前記少なくとも2つの紙管に差し込まれることにより、当該少なくとも2つの紙管に支持される板体を、さらに備えている。
【0015】
この構成によれば、枠体の梁部分に紙管が用いられ、しかも板体を紙管に差し込んで支持する枠体が実現する。かかる枠体は、ラック、棚のほか、様々な組立体の構成要素として用いることができる。本構成において、紙管は、第1又は第2の態様による紙管に限らず、軸に沿って延びるスリットを有しておれば足り、例えば、スリットが軸に沿った一端から他端にわたって延びている紙管、あるいは、スリットが中央部においてのみ軸に沿って延びている紙管であってもよい。
【0016】
本発明のうち第6の態様によるものは、第4又は第5の態様による枠体であって、前記複数の紙管のうちの前記少なくとも2つの各々の両端部に配置され、当該両端部に接するように当該両端部を囲む別の紙管を、さらに備えている。
【0017】
この構成によれば、スリットを有する紙管が、その両端部に配置された別の紙管によって、補強される。
【0018】
本発明のうち第7の態様によるものは、パーティションであって、支柱として用いられる紙管と、互いに交差するように前記支柱に支えられることにより、前記支柱の周りの空間を4領域に仕切る第1仕切板及び第2仕切板とを、備えている。前記紙管は第3の態様による紙管である。前記紙管は、前記一端部を上端部とし、前記他端部を下端部とする姿勢である。前記第1仕切板は、前記2本の第1スリットを貫くように前記紙管に差し込まれている。前記第2仕切板は、前記2本の第2スリットを貫くように前記紙管に差し込まれている。前記第1仕切板は、上端から前記紙管の前記軸に沿って延びる第3スリットを有している。前記第2仕切板は、下端から前記紙管の前記軸に沿って延びる第4スリットを有している。前記第1仕切板と前記第2仕切板は、前記第2仕切板が前記第3スリットを貫通し、前記第1仕切板が前記第4スリットを貫通することにより、前記紙管の内側において互いに干渉することなく交差している。
【0019】
この構成によれば、支柱の周りの空間を4領域に仕切るパーティションが実現する。
【0020】
本発明のうち第8の態様によるものは、第7の態様によるパーティションであって、前記第1仕切板及び前記第2仕切板は紙製である。
この構成によれば、支柱及び仕切板がともに紙製であるパーティションが実現する。
【0021】
本発明のうち第9の態様によるものは、紙管複合体であって、第1紙管と第2紙管とを備えている。第1紙管はスリットを有しており、当該スリットは、軸に沿った一端から他端にわたって前記軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通している。第2紙管は、前記第1紙管の前記軸に沿った一部に配置され、当該一部に接するように当該一部を囲むものである。
この構成によれば、スリットを貫くようにして板体を第1紙管に差し込むことが可能となる。また、第1紙管のスリットが一端から他端まで延びているにも拘わらず、第2紙管によって第1紙管が補強される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明の一態様によれば、板体を差し込むことのできる紙管が実現する。本発明の別の態様によれば、紙管に板体を差し込むことにより板体を支持する枠体が実現する。本発明のさらに別の態様によれば、紙管を支柱として用い、この紙管に板体を差し込むことにより、支柱の周りの空間を4領域に区分けするパーティションが実現する。本発明のさらに別の態様によれば、紙管に板体を差し込むことのできる紙管複合体が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施の形態による紙管の構成を例示する斜視図である。
【
図2】本発明の別の実施の形態による紙管の構成を例示する斜視図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施の形態による紙管の構成を例示する図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態による枠体の構成を例示する平面図である。
【
図6】本発明の別の実施の形態による枠体の構成を例示する平面図である。
【
図7】
図4に例示した枠体を構成要素に含む組立体の一試作品を例示する写真である。
【
図8】
図4に例示した枠体を構成要素に含む組立体の別の試作品を例示する写真である。
【
図9】
図4に例示した枠体を構成要素に含む組立体のさらに別の試作品を例示する写真である。
【
図10】
図3に例示した紙管を用いたパーティションを構成する一組の仕切板を例示する正面図であり、(a),(b)は、それぞれ一組の仕切板のうちの一方及び他方を例示している。
【
図11】
図3に例示した紙管及び
図10に例示した一組の仕切板を用いたパーティションを例示する斜視図である。
【
図12】
図4及び
図5に例示した枠体104に使用される紙管10,15を例示する斜視図であり、(a)は紙管10と紙管15が組み合わされた紙管複合体を例示し、(b)は紙管15を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態による紙管の構成を例示する斜視図である。この紙管101は、筒状の壁体1に形成されたスリット3を有している。スリット3は、軸5に沿った両端部のうち、一方(図において右端部)を残して軸5に沿って延び、かつ壁体1を内外に貫通している。図示例では、紙管101の形状は、丸筒状である。以下の実施の形態においても、紙管の形状が丸筒状である例を示すが、本発明において紙管の形状は丸筒状に限られない。
【0025】
紙管101は、このように構成されるので、スリット3を貫くようにして、板体(図示略)を紙管101に差し込むことが可能である。紙管101の軸5に沿った両端部のうちの一方にはスリット3が無いので、紙管101の強度、及び形状保持性が、確保される。
【0026】
図2は、本発明の別の実施の形態による紙管の構成を例示する斜視図である。この紙管102では、壁体1に形成されるスリット3は、軸5に沿った両端部の双方(図において左端部と右端部の双方)を残して、軸5に沿って延びている。紙管102においても、スリット3を貫くようにして、板体(図示略)を紙管102に差し込むことが可能である。紙管102では、軸5に沿った両端部の双方にスリット3が無いので、紙管102の強度、及び形状保持性が、さらに高められる。
【0027】
図3は、本発明のさらに別の実施の形態による紙管の構成を例示する図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。この紙管103では、2本のスリット3Aと2本のスリット3Bとが、壁体1に形成されている。2本のスリット3Aは、軸5に沿った両端部のうちの一端部(図において右端部)を残して、軸5に沿って延び、軸5に対して互いに軸対称の位置にある。2本のスリット3Bは、軸5に沿った両端部のうちの他端部(図において左端部)を残して、軸5に沿って延び、軸5に対して互いに軸対称の位置にある。
【0028】
2本のスリット3Aと2本のスリット3Bは、紙管101における周方向の位置が互いに異なっている。すなわち、2本のスリット3Aの周方向の中心を通る径方向の軸7Aと、2本のスリット3Bの周方向の中心を通る径方向の軸7Bとは、互いに交差する。図示例では、軸7Aと軸7Bとは、互いに直交している。
【0029】
このように構成される紙管103は、互いに交差する板体(図示略)を交差部において支持する支持体として使用することができる。すなわち、2本のスリット3Aを貫くように紙管103に差し込まれて配置される板体と、2本のスリット3Bを貫くように紙管103に差し込まれて配置される別の板体とを、紙管103の内側において互いに交差するように、紙管103によって支持することが可能となる。
【0030】
図4は、本発明の一実施の形態による枠体の構成を例示する平面図である。また、
図5は、
図4に例示した枠体の角部の断面図である。図示例の枠体104は、長短2種類の4本の紙管10を有している。4本の紙管10は、四角形の連続した4辺を構成するように、4個の継ぎ手11により連結されている。また、4本の紙管10には、板体13が支持されている。
【0031】
紙管10は、
図1に例示した紙管101、
図2に例示した紙管102の何れであっても良い。また、紙管10は、スリット3が、軸5に沿った両端部のうちの何れをも残すことなく、一端から他端にわたって延びていても良い。
図4及び
図5は、紙管10として、この形態を例示している。さらに、紙管10は、スリット3が、軸5に沿った中央部においてのみ軸5に沿って延びていてもよい。一般に、紙管10のスリット3は、軸5に沿って延びておれば足りる。
【0032】
4本の紙管10のスリット3は、4本の紙管10が形作る四角形の内側に面するように配向している。板体13は、その端部がこれら4本の紙管10のスリット3を貫いて、4本の紙管10の内部に達している。このように板体13は、4本の紙管10に差し込まれることにより、4本の紙管10によって支持されている。
スリット3の幅は、例えば、板体13の厚さと同一に設定される。あるいは、スリット3の幅は板体13の厚さよりも小さく設定され、板体13の端部がスリット3に押し込められることにより、板体13が紙管10に嵌め込まれるようにしてもよい。それにより、板体13が安定して紙管10に支持される。あるいは、スリット3の幅は板体13の厚さよりも大きく設定され、板体13の端部がスリット3に遊びをもって挿入されることにより、板体13が紙管10に支持されてもよい。本開示において、「差し込まれる」とは、いずれの形態をも含む趣旨である。
【0033】
4本の紙管10の各々の両端部には、別の紙管15が配置されている。紙管15は、紙管10よりも径が大きく、紙管10の外周面に接するように配置される。紙管15は、紙管10を補強する補強体として機能する。紙管10が、図示例の通り、スリット3が、軸5に沿った両端部のうちの何れをも残すことなく、一端から他端にわたって延びている紙管である場合には、紙管10を補強する紙管15は、特に有用である。
【0034】
継ぎ手11は、
図5の断面図に示す例では、本体部17から互いに直交する2方向に向かって、筒状の突出部19が突出している。紙管10の内側空洞に突出部19が嵌め込まれることにより、紙管10と継ぎ手11とが連結される。紙管10と突出部19とは、接着剤によって固着されていても良い。同様に、紙管15と紙管10とは、接着剤によって固着されていてもよい。継ぎ手11は、例えば合成樹脂製である。
【0035】
枠体104は、単独で使用することも可能であるが、ラック等の組立体の構成要素として使用することも可能である。枠体104を、組立体の構成要素として使用するためには、枠体104を構成する紙管10は一定の剛性を有することが望ましい。例えば、紙管10は、厚さが1.5mm以上、内径が15mm以上であることが望ましい。また、枠体104としての有用性を高める上では、紙管10の長さは90mm以上であることが望ましい。
【0036】
図6は、本発明の別の実施の形態による枠体の構成を例示する平面図である。図示例の枠体105は、長短2種類の3本の紙管10と、同一長さの2本の紙管20とを有している。合計5本の紙管10,20は、六角形の連続した5辺を構成するように、4個の継ぎ手11により連結されている。3本の紙管10には、スリット3(図示略)が形成されている。これらのスリット3を板体13の端部が貫くように、3本の紙管10に差し込まれることにより、板体13が3本の紙管10に支持されている。板体13を支持しない2本の紙管20には、スリット3は形成されていなくてもよい。枠体105を構成する紙管10,20の望ましい厚さ、内径、長さは、枠体104を構成する紙管10について述べたところと同じである。
【0037】
図5に例示した継ぎ手11は、2つの突出部19を互いに直交する2方向に延びるように形成するだけでなく、様々な角度で交差する2方向に延びるように形成することも可能である。それにより、
図6に例示するように、紙管10,20が四角形以外の多角形(三角形を含む)の連続した複数辺を構成するように、継ぎ手11により紙管10,20を連結することも可能となる。
図示例では、短い2本の紙管10の一端には、継ぎ手11が接続されない代わりに、キャップ21が接続されている。キャップ21は、例えば、半球状の本体部の平坦な底面から、
図5に例示した継ぎ手11の突出部19と同様の突出部が突出した形状を有し、この突出部が紙管10の一端から紙管10の内側空洞に嵌め込まれている。キャップ21は、例えば合成樹脂製である。
図6に例示した枠体105では、板体13は、3本の紙管10に支持されている。これに対して、板体13を2本の紙管10により支持することも可能である。例えば、
図6において、紙管20をそれと同一長さの紙管10に置き換え、紙管10をそれと同一長さの紙管20に置き換え、置き換え後の2本の紙管10(
図6において紙管20の位置に配置された紙管10)のスリット3を板体13の端部が貫くように、板体13が紙管10に差し込まれることにより、板体13が2本の紙管10に支持されてもよい。また、
図4に例示した枠体104において、板体13は、四角形の長辺をなす2本の紙管10(
図4において上下2本の紙管10)、又は短辺をなす2本の紙管10(
図4において左右2本の紙管10)によってのみ、支持されてもよい。
【0038】
図7は、
図4に例示した枠体104を構成要素に含む組立体の一試作品を例示する写真である。図示例の組立体106は、枠体104に脚部を付加した構造を成しており、例えば衝立(ついたて)として使用することができる。板体13は、図示例では透明アクリル板である。継ぎ手11に、
図4に例示した2方向継ぎ手に加えて、3方向継ぎ手を使用することにより、このような3次元構造の組立体が実現可能となる。3方向継ぎ手として、例えば、
図5に例示した突出部19が、本体部17から3方向に向かって突起する形状のものが使用可能である。なお、図示例では、紙管の外面には、金属光沢を付与する塗料が塗布されている。
【0039】
図8は、
図4に例示した枠体104を構成要素に含む組立体の別の試作品を例示する写真である。図示例の組立体107も、枠体104に脚部を付加した構造を成している。この組立体107は、例えばテーブル、台などとして使用することができる。継ぎ手11として、3方向継ぎ手を使用することにより、このような3次元構造の組立体が実現可能となる。
【0040】
図9は、
図4に例示した枠体104を構成要素に含む組立体のさらに別の試作品を例示する写真である。図示例の組立体108は、4本の支柱に3段の枠体104を連結した構造を成している。この組立体108は、例えばラックとして使用することができる。継ぎ手11として、3方向継ぎ手に加えて4方向継ぎ手を使用することにより、このような3次元構造の組立体が実現可能となる。
【0041】
図10は、
図3に例示した紙管103を用いたパーティションを構成する一組の仕切板を例示する正面図であり、(a),(b)は、それぞれ一組の仕切板のうちの一方及び他方を例示している。
図10(a)に例示する仕切板23には、上端縁の水平方向中心から下方に垂直に延びるスリット25が形成されている。図示例では、スリット25は、仕切板23の垂直方向中心に達する深さに形成されている。また、上端縁及び下端縁の水平方向中心には、それぞれ切り欠き27,29が形成されている。切り欠き27,29の幅は、パーティションの支柱として用いられる
図3に例示した紙管103の外径に相当し、深さは、紙管103のうち、スリット3A、3Bが形成されない端部の軸5に沿った長さに相当する。なお、切り欠き29は、点線により例示するように、形成しないことも可能である。
【0042】
図10(b)に例示する仕切板31は、仕切板23の上下を逆にした形状を成している。すなわち、仕切板23と仕切板31とは、同一の形状に製造し、上下を互いに逆にして使用することが可能である。仕切板23と仕切板31は、例えば、段ボール紙を切り出すことにより製造可能である。
【0043】
図11は、
図3に例示した紙管103及び
図10に例示した一組の仕切板23,31を用いたパーティションを例示する斜視図である。このパーティション109では、仕切板23,31が、支柱として用いられる紙管103に、それぞれの水平方向中心において互いに交差するように支えられる。パーティション109は、それにより、支柱としての紙管103の周りの空間を4領域に仕切る。
【0044】
紙管103は、一例として、
図3(a)の右端が上端となる姿勢で用いられる。このとき、仕切板23は、2本のスリット3Aを貫くように紙管103に下端から差し込まれ、仕切板31は、2本のスリット3Bを貫くように紙管103に上端から差し込まれる。仕切板23と仕切板31は、仕切板31が仕切板23のスリット25を貫通し、仕切板23が仕切板31のスリット25を貫通することにより、紙管103の内側空洞において、互いに干渉することなく交差する。切り欠き27は、紙管103のうちスリット3A、3Bが形成されない端部と、仕切板23、31とが干渉することを回避することに寄与する。
【0045】
図示例では、仕切板23,31は直角に交差しているが、交差角度は直角に限定されない。また、仕切板23,31は、それぞれの水平方向中心において交差する例を示したが、別の部位において交差するものであってもよい。
【0046】
図12は、
図4及び
図5に例示した枠体104に使用される紙管10,15を例示する斜視図であり、(a)は紙管10と紙管15が組み合わされた紙管複合体を例示し、(b)は紙管15を例示している。紙管複合体110は、紙管10と紙管15とを有している。紙管10は、スリット3を有しており、このスリット3は、軸5に沿った一端から他端にわたって軸5に沿って延び、かつ壁体1を内外に貫通している。紙管15は、紙管10の軸5に沿った一部に配置され、この一部に接するように、この一部を囲む紙管である。図示例では、
図4に例示したように、紙管15は、紙管10の両端部に配置されている。紙管15は、必要に応じて、紙管10の軸5に沿ったどの部位に配置されてもよい。また、紙管15の数は2個に限らず1個、あるいは3個以上であってもよい。このように構成される紙管複合体110によれば、
図4に例示したように、スリット3を貫くようにして板体13を紙管10に差し込むことが可能である。また、紙管10のスリット3が一端から他端まで延びているにも拘わらず、紙管15によって紙管10が補強される。
【符号の説明】
【0047】
1 壁体、 3 スリット、 5 軸、 3A スリット、 3B スリット、 7A 軸、 7B 軸、 10 紙管、 11 継ぎ手、 13 板体、 15 紙管、 17 本体部、 19 突出部、 20 紙管、 21 キャップ、 23 仕切板、 25 スリット、 27,29 切り欠き、 31 仕切板、 101,102,103 紙管、 104,105 枠体、 106,107,108 組立体、 109 パーティション、 110 紙管複合体。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティションであって、
支柱として用いられる紙管と、
互いに交差するように前記支柱に支えられることにより、前記支柱の周りの空間を4領域に仕切る第1仕切板及び第2仕切板とを、備え、
前記紙管は、軸に沿った両端部のうち、少なくとも一方を残して前記軸に沿って延び、かつ壁体を内外に貫通するスリットを有し、
前記スリットは、
前記両端部のうち一端部を残して前記軸に沿って延び、互いに軸対称の位置にある2本の第1スリットと、
前記両端部のうち他端部を残して前記軸に沿って延び、互いに軸対称の位置にある2本の第2スリットとを含んでおり、
前記2本の第1スリットと前記2本の第2スリットは、前記紙管における周方向の位置が互いに異なっており、
前記紙管は、前記一端部を上端部とし、前記他端部を下端部とする姿勢であり、
前記第1仕切板は、前記2本の第1スリットを貫くように前記紙管に差し込まれ、
前記第2仕切板は、前記2本の第2スリットを貫くように前記紙管に差し込まれ、
前記第1仕切板は、上端から前記紙管の前記軸に沿って延びる第3スリットを有し、
前記第2仕切板は、下端から前記紙管の前記軸に沿って延びる第4スリットを有し、
前記第1仕切板と前記第2仕切板は、前記第2仕切板が前記第3スリットを貫通し、前記第1仕切板が前記第4スリットを貫通することにより、前記紙管の内側において互いに干渉することなく交差する、パーティション。
【請求項2】
前記第1仕切板及び前記第2仕切板は紙製である、請求項1に記載のパーティション。