(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058445
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】磁気ブレーキ機構、ロープロファイルリール及び釣具
(51)【国際特許分類】
A01K 89/02 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A01K89/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161608
(22)【出願日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202111191390.1
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522394591
【氏名又は名称】深▲せん▼波賽冬網絡科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 云廷
(72)【発明者】
【氏名】黄 亮
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108HF00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重量を軽減することができ、かつスプールの回転速度に応じてブレーキ力の大きさを自動的に調整可能な磁気ブレーキ機構、ロープロファイルリール及び釣具を提供する。
【解決手段】スプール10と、スプールの片側に設けられた磁気ブレーキアセンブリと、を含み、磁気ブレーキアセンブリは、磁気誘導線を生成するための磁石アセンブリと、磁石アセンブリとスプールの内壁との距離をスプールの回転速度に基づいて自動的に調整し、スプールによる磁気誘導線の切断範囲を調整することによってブレーキ力の大きさを自動的に調整するための遠心調整アセンブリと、を含む、磁気ブレーキ機構。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ブレーキ機構であって、
スプールと、
前記スプールの片側に設けられた磁気ブレーキアセンブリと、を含み、
前記磁気ブレーキアセンブリは、
磁気誘導線を生成するための磁石アセンブリと、
前記磁石アセンブリとスプールの内壁との距離をスプールの回転速度に基づいて自動的に調整し、スプールによる磁気誘導線の切断範囲を調整することによってブレーキ力の大きさを自動的に調整するための遠心調整アセンブリと、を含む、
ことを特徴とする磁気ブレーキ機構。
【請求項2】
前記遠心調整アセンブリは、バネを含み、
前記磁石アセンブリは、マグネットベースと、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石を含み、
前記マグネットベースには、少なくとも1つの弧状の取付ベース及びスライドベースが設けられ、
各弧状磁石が1つのスライドベースに設けられ、且つ前記弧状磁石の底部がスプール内に位置し、
前記スライドベースは、バネを介して取付ベースに可動に嵌設され、遠心力又はバネによる弾力の作用下で半径方向に移動し、スプールの回転時に弧状磁石とスプールの内壁との距離を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項3】
前記スライドベースの両端が外側へ延長して折り曲げられて第1の制限板を形成し、且つ前記取付ベースの両端が対応して外側に延長して第2の制限板を形成し、
2枚の前記第1の制限板と取付ベースとの間に前記バネがそれぞれ設けられることによって、スライドベースが遠心力又はバネによる弾力の作用下で半径方向に移動し、かつバネが圧縮される過程で、第1の制限板が第2の制限板に当接してスライドベースの位置を制限する、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項4】
前記マグネットベースには、スライドベースの半径方向の移動距離を制限するための制限ブロックが更に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項5】
前記弧状磁石、取付ベース及びスライドベースの数がいずれも2であり、2個の前記取付ベースは、前記マグネットベースの円心を囲んで設けられ、かつ前記スライドベースの両端と取付ベースの両端の間にそれぞれ前記バネが設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項6】
前記遠心調整アセンブリは、バネを含み、
前記磁石アセンブリは、スプールの片側に設けられたマグネットベースと、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石と、を含み、
前記マグネットベースには、少なくとも1つの取付柱とスライドベースが設けられ、各弧状磁石が1つのスライドベースに設けられ、且つ、前記弧状磁石の底部がスプールの内部に位置し、
前記スライドベースは、一端がバネを介して取付柱に可動に連結され、遠心力又はバネによる弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動し、スプールの回転時に、弧状磁石とスプールの内壁との距離を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項7】
前記取付柱の片側に溝が設けられ、
前記バネは、一端が溝内に位置し、他端がスライドベースに連結され、
当該スライドベースの両端に更に制限柱が設けられ、且つ前記遠心調整アセンブリは蓋板を更に含み、
前記蓋板には、長方形の制限孔が設けられ、
1つの前記制限柱が1つの制限孔内に位置し、かつ制限孔内を移動可能であり、スライドベースは、遠心力又はバネによる弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項8】
前記磁気ブレーキアセンブリが設けられたサイドカバーアセンブリを更に含み、
前記スプールの回転軸は、前記磁石アセンブリを貫通して前記サイドカバーアセンブリ内に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ブレーキ機構。
【請求項9】
リール本体と、リール本体に連結された磁気ブレーキ機構と、を含み、前記磁気ブレーキ機構が、上記請求項1~8のいずれか1項に記載の磁気ブレーキ機構である、
ことを特徴とするロープロファイルリール。
【請求項10】
上記請求項9に記載のロープロファイルリールを含む、
ことを特徴とする釣具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣具の分野に係り、特に磁気ブレーキ機構、ロープロファイルリール及び釣具に係る。
【背景技術】
【0002】
リールは、キャスト(海釣り)に必要な釣具の1つである。現在、釣具であるリールの磁気ブレーキ構造は、一般的にスプールの端面近くに磁石群を配置するが、スプールのこの端面には、磁気誘導線を切断するための部品を設けなければならない。これは、必然的にリールの加工コストと重量を増加させ、かつキャスティングプロセス中にスプールの回転速度に応じてブレーキ力の大きさを自動的に調整することができず、ウィンドノット現象が生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決しようとする技術課題は、重量を軽減することができ、かつスプールの回転速度に応じてブレーキ力の大きさを自動的に調整可能な磁気ブレーキ機構、ロープロファイルリール及び釣具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の技術課題を解決するために、本発明の一態様によれば、磁気ブレーキ機構を提供し、磁気ブレーキ機構は、スプールと、前記スプールの片側に設けられた磁気ブレーキアセンブリと、を含み、前記磁気ブレーキアセンブリは、磁気誘導線を生成するための磁石アセンブリと、前記磁石アセンブリとスプールの内壁との距離をスプールの回転速度に基づいて自動的に調整し、スプールによる磁気誘導線のカット範囲を調整することによってブレーキ力の大きさを自動的に調整するための遠心調整アセンブリと、を含む。
【0005】
更に、前記遠心調整アセンブリは、バネを含み、前記磁石アセンブリは、マグネットベースと、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石を含み、前記マグネットベースには、少なくとも1つの弧状の取付ベース及びスライドベースが設けられ、各弧状磁石が1つのスライドベースに設けられ、且つ前記弧状磁石の底部がスプール内に位置し、前記スライドベースは、バネを介して取付ベースに可動に嵌設され、遠心力又はバネによる弾力の作用下で半径方向に移動し、スプールの回転時に弧状磁石とスプールの内壁との距離を調整する。
【0006】
更に、前記スライドベースの両端が外側へ延長して折り曲げられて第1の制限板を形成し、且つ前記取付ベースの両端が対応して外側に延長して第2の制限板を形成し、2枚の前記第1の制限板と取付ベースとの間に前記バネがそれぞれ設けられることによって、スライドベースが遠心力又はバネによる弾力の作用下で半径方向に移動し、かつバネが圧縮される過程で、第1の制限板が第2の制限板に当接してスライドベースの位置を制限する。
【0007】
更に、前記マグネットベースには、スライドベースの半径方向の移動距離を制限するための制限ブロックが更に設けられている。
【0008】
更に、前記弧状磁石、取付ベース及びスライドベースの数がいずれも2であり、2個の前記取付ベースは、前記マグネットベースの円心を囲んで設けられ、かつ前記スライドベースの両端と取付ベースの両端の間にそれぞれ前記バネが設けられている。
【0009】
更に、前記遠心調整アセンブリは、バネを含み、前記磁石アセンブリは、スプールの片側に設けられたマグネットベースと、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石を含み、前記マグネットベースには、少なくとも1つの取付柱とスライドベースが設けられ、各弧状磁石が1つのスライドベースに設けられ、且つ、前記弧状磁石の底部がスプールの内部に位置し、前記スライドベースは、一端がバネを介して取付柱に可動に連結され、遠心力又はバネによる弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動し、スプールの回転時に、弧状磁石とスプールの内壁との距離を調整する。
【0010】
更に、前記取付柱の片側に溝が設けられ、前記バネは、一端が溝内に位置し、他端がスライドベースに連結され、当該スライドベースの両端に更に制限柱が設けられ、且つ前記遠心調整アセンブリは蓋板を更に含み、前記蓋板には、長方形の制限孔が設けられ、1つの前記制限柱が1つの制限孔内に位置し、且つ制限孔内を移動可能であり、スライドベースは、遠心力又はバネによる弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動可能である。
【0011】
更に、前記磁気ブレーキ機構は、前記磁気ブレーキアセンブリが設けられたサイドカバーアセンブリを更に含み、前記スプールの回転軸は、前記磁石アセンブリを貫通して前記サイドカバーアセンブリ内に配置される。
【0012】
上述の技術課題を解決するために、本発明の別の態様によれば、リール本体と、リール本体に連結された磁気ブレーキ機構とを含むロープロファイルリールを提供し、前記磁気ブレーキ機構が上記の磁気ブレーキ機構である。
【0013】
上述の技術課題を解決するために、本発明の別の態様によれば、上記ロープロファイルリールを含む釣具を提供する。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較して、本発明の遠心調整アセンブリは、前記磁石アセンブリとスプールの内壁との間の距離をスプールの回転速度に応じて自動的に調整することによって、磁石アセンブリが半径方向に移動してスプールの内壁に接近又は離間することができ、スプールの内壁近くの磁気誘導線の強さを制御し、スプールの内壁による磁気誘導線の切断範囲を調整できるので、ブレーキ力の大きさを自動的に調整するという目的を実現する。本発明は、スプールが回転時にその内壁によって磁気誘導線を切断することができ、磁気誘導線を切断する部品をスプールの端面に設ける必要がないため、重要を軽減させ、加工コストを減少させることができる。かつ磁石アセンブリとスプールの内壁との間の距離が変更可能であるため、キャスティングプロセス中にスプールの回転速度に応じて大きさの異なるブレーキ力を提供することができ、ウィンドノットの確率を減少し、同時にキャスティング距離を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の磁気ブレーキ機構の実施形態1の立体構造図である。
【
図2】本発明の磁気ブレーキ機構の実施形態1の分解構造図である。
【
図3】本発明の磁気ブレーキ機構の実施形態1の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態1における磁気ブレーキアセンブリの構造図である。
【
図5】本発明の磁気ブレーキ機構の実施形態2の分解構造図である。
【
図6】本発明の実施形態2における磁気ブレーキアセンブリの構造図である。
【
図7】本発明のロープロファイルリールの特定の実施形態の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者が本発明の目的、技術手段及び利点をより明確に理解するために、添付の図面及び実施形態を参照して本発明を以下で更に説明する。
【0017】
図1~
図4を参照すると、
図1~
図4は、本発明の磁気ブレーキ機構1の実施形態1を示している。図面に示される実施形態では、前記磁気ブレーキ機構1は、スプール10と、前記スプール10の片側に設けられた磁気ブレーキアセンブリ20とを含む。ここで、前記磁気ブレーキアセンブリ20は、磁気誘導線を生成するための磁石アセンブリと、前記磁石アセンブリとスプール10の内壁との間の距離をスプール10の回転速度に基づいて自動的に調整し、スプール10による磁気誘導線の切断範囲を調整することによって自動的にブレーキ力の大きさを調整するための遠心調整アセンブリ22とを含む。すなわち、本発明の磁気ブレーキ機構1は、スプール10の回転時に、磁石アセンブリが半径方向にスプール10の内壁に接近又は離間して、スプール10の内壁近くの磁気誘導線の強さを制御することによって、スプール10の内壁による磁気誘導線の切断範囲を調整し、ブレーキ力の大きさを自動的に調整するという目的を実現する。以上から、本発明の磁気ブレーキ機構1では、スプール10が回転時にその内壁によって磁気誘導線を切断し、磁気誘導線を切断する部品をスプール10の端面に設ける必要がないため、重量を軽減でき、加工コストを減少させることが分かる。しかも、磁石アセンブリとスプール10の内壁との間の距離が変更可能であるため、キャスティングプロセス中にスプール10の回転速度に応じて大きさの異なるブレーキ力を提供することができ、ウィンドノットの確率を減少させ、キャスティングの安定を保証する。同時に、キャスティング距離を可能な限り向上させ、特に小さなベイトでの釣り方式に適している。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記遠心調整アセンブリ22は、バネ221を含み、前記磁石アセンブリは、マグネットベース211と、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石212とを含む。前記マグネットベース211には、少なくとも1つの弧状の取付ベース2111とスライドベース213が設けられ、各弧状の磁石212が1つのスライドベース213に設けられ、且つ前記弧状磁石212の底部がスプール10内に位置する。前記スライドベース213は、バネ221を介して取付ベース2111に可動に嵌設され、遠心力又はバネ221による弾力の作用下で半径方向に移動し、スプール10の回転時に弧状磁石212とスプール10の内壁との間の距離を調整する。好ましくは、本実施形態において、前記スライドベース213には取付溝2132が設けられ、前記弧状磁石212が取付溝2132内に設けられ、前記磁石が扇形磁石であり、隣接する2つの磁石の反対側の磁性が逆である。本発明の磁気ブレーキ機構1がリール本体に組み込まれて使用されると、キャスティング時にスプール10が高速で回転し、弧状磁石212がスプール10の内壁に半径方向に接近し、スプール10の内壁によって切断可能な磁気誘導線の強さが増し、より大きなブレーキ力が提供され、スプール10の回転が速すぎるためにウィンドノットが生じることを効果的に防ぐことができる。キャスティングの後期段階では、スプール10の回転速度が徐々に低下し、弧状磁石212がバネ221の作用下でスプール10の内壁から離れ、スプール10の内壁によって切断可能な磁気誘導線の強度が弱まり、それにより、ブレーキ力が減少し、キャスティング距離が向上する。
【0019】
引き続き
図2から
図4を参照すると、いくつかの実施形態において、前記スライドベース213の両端が外側へ延長され、折り曲げられて第1の制限板2131を形成し、かつ前記取付ベース2111の両端が対応して外側に延長されて第2の制限板2113を形成する。2枚の第1の制限板2131と取付ベース2111との間にそれぞれ前記バネ221が設けられている。これにより、スライドベース213は、遠心力又はバネ221による弾力の作用下で半径方向に移動し、かつバネ221が圧縮される過程で、第1の制限板2131が第2の制限板2113に当接してスライドベース213の位置を制限し、取付ベース2111からスライドベース213が脱落することを防止する。好ましくは、本実施形態において、前記遠心調整アセンブリ22は、蓋板222を更に含む。前記蓋板222は、スライドベース213のスプール10に近い側に位置する。前記マグネットベース211と蓋板222は、ねじ23を介して固定される。当該マグネットベース211には、バネ221の伸張プロセス中にスライドベース213の移動距離を制限するために、スライドベース213の半径方向の移動距離を制限するための制限ブロック2112も設けられている。
【0020】
具体的には、本実施形態において、前記弧状磁石212、取付ベース2111及びスライドベース213の数がいずれも2であり、前記バネ221の数が4であり、2つの前記取付ベース2111が前記マグネットベース211の円心を囲んで設けられている。かつ前記スライドベース213の両端と取付ベース2111の両端との間に前記バネ221がそれぞれ設けられている。前記バネ221は、一端がスライドベース213の第1の制限板2131に接続され、他端が取付ベース2111に当接する。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記磁気ブレーキ機構1は、サイドカバーアセンブリ30を更に含み、前記磁気ブレーキアセンブリ20が前記サイドカバーアセンブリ30に設けられる。前記スプール10の回転軸101は、前記磁石アセンブリを貫通して前記サイドカバーアセンブリ30内に配置される。具体的には、前記サイドカバーアセンブリ30は、サイドカバー本体31と、サイドカバー本体31に連結されたスプールベース32とを含み、前記スプール10の回転軸101は、磁石アセンブリを貫通して前記スプールベース32内に位置する。
【0022】
本実施形態において、弧状磁石212の一部がスプール10内に設けられ、弧状磁石212に近いスプール10の内壁が、スプール10の回転時に、弧状磁石212によって生成される磁気誘導線を切断することができるため、スプール10の軽量化の設計要件に有利である。かつ磁石アセンブリとスプール10の内壁との間の距離が変更可能であり、キャスティングプロセスの初期段階では、スプール10が急速に回転すると、弧状磁石212が遠心力によって半径方向にスプール10の内壁に近づき、スプール10の内壁によって切断可能な磁気誘導線の強さが増し、より大きなブレーキ力を提供し、ウィンドノットを避ける。そして、キャスティングプロセスの後期段階では、スプール10の回転速度が徐々に低下するにつれて、弧状磁石212がバネ221の作用下でスプール10の内壁から離れ、スプール10の内壁によって切断可能な磁気誘導線の強さが弱まり、それによってブレーキ力が減少し、スプール10の回転速度の低下が遅くなり、キャスティング距離を向上させる目的を実現する。
【0023】
図5から
図6を参照すると、
図5から
図6は、本発明の磁気ブレーキ機構1の実施形態2を示している。スライドベース213と取付柱2114との連結関係を分かりやすく示すために、
図6に示す磁気ブレーキアセンブリ20における蓋板222が図示されていない。本実施形態は、実施形態1とは遠心調整アセンブリ22及びマグネットベース211の具体的な構成及び連結関係が異なるほか、他の構造が同一であるか類似である。本実施形態において、前記遠心調整アセンブリ22は、バネ221を含み、前記磁石アセンブリは、スプール10の片側に設けられたマグネットベース211と、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石212とを含み、前記マグネットベース211には、少なくとも1つの取付柱2114及びスライドベース213が設けられ、各弧状磁石212が1つのスライドベース213上に設けられ、かつ前記弧状磁石212の底部がスプール10内に位置する。前記スライドベース213の一端は、バネ221を介して取付柱2114に可動に連結され、遠心力又はバネ221による弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動し、スプール10の回転時に弧状磁石212とスプール10の内壁との間の距離を調整する。
【0024】
具体的に、本実施形態において、前記弧状磁石212、取付ベース2111、スライドベース213及びバネ221の数がいずれも2であり、2つの前記取付ベース2111が前記マグネットベース211の円心を囲んで設けられる。前記取付け柱2114の片側に溝2115が設けられ、前記バネ221の一端が溝2115内に位置し、他端がスライドベース213に連結される。当該スライドベース213の両端には、更に制限柱2133が設けられる。かつ、前記遠心調整アセンブリ22には、蓋板222を含む。前記蓋板222には、長方形の制限孔2221が設けられ、1つの前記制限柱2133が1つの制限孔2221内に位置し、かつ制限孔2221内を移動可能である。それによって、スライドベース213は、遠心力又はバネ221による弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動可能である。本実施形態において、蓋板222上の長方形の孔である制限孔2221及び制限柱2133の組み合わせによって、スライドベース212の移動軌跡の制限を実現する。スライドベース213は、遠心調整アセンブリ22の作用下で同様に弧状磁石212に近いスプール10の内壁付近の磁気誘導線の強さを制御し、ブレーキ力の大きさを自動的に調整するという目的を実現する。
【0025】
図7を参照すると、
図7は、本発明のロープロファイルリール100の特定の実施形態を示す。図示の実施形態において、前記ロープロファイルリール100は、リール本体2と、上記の実施形態1及び実施形態2に記載の磁気ブレーキ機構1とを含む。前記磁気ブレーキ機構1におけるスプール10と磁気ブレーキアセンブリ20は、リール本体2に装着可能であり、サイドカバーアセンブリ30は、リール本体2に連結される。更に、上述のロープロファイルリール100を含む釣具も提供する。当該釣具は、ロープロファイルリール100を除いた構造が従来技術における一般的な釣具の構造と同じであり、例えば、釣り竿、釣り糸などが設けられており、その構造について、当業者にはよく知られており、ここでは繰り返さない。
【0026】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明をいかなる形でも限定するものではない。当業者は、上記の実施形態に基づいて様々な同等の変更及び改良を加えることができ、特許請求の範囲内で行われるすべての同等の変更又は修正は、本発明の保護範囲内にある。
【0027】
(付記)
(付記1)
磁気ブレーキ機構であって、
スプールと、
前記スプールの片側に設けられた磁気ブレーキアセンブリと、を含み、
前記磁気ブレーキアセンブリは、
磁気誘導線を生成するための磁石アセンブリと、
前記磁石アセンブリとスプールの内壁との距離をスプールの回転速度に基づいて自動的に調整し、スプールによる磁気誘導線の切断範囲を調整することによってブレーキ力の大きさを自動的に調整するための遠心調整アセンブリと、を含む、
ことを特徴とする磁気ブレーキ機構。
【0028】
(付記2)
前記遠心調整アセンブリは、バネを含み、
前記磁石アセンブリは、マグネットベースと、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石を含み、
前記マグネットベースには、少なくとも1つの弧状の取付ベース及びスライドベースが設けられ、
各弧状磁石が1つのスライドベースに設けられ、且つ前記弧状磁石の底部がスプール内に位置し、
前記スライドベースは、バネを介して取付ベースに可動に嵌設され、遠心力又はバネによる弾力の作用下で半径方向に移動し、スプールの回転時に弧状磁石とスプールの内壁との距離を調整する、
ことを特徴とする付記1に記載の磁気ブレーキ機構。
【0029】
(付記3)
前記スライドベースの両端が外側へ延長して折り曲げられて第1の制限板を形成し、且つ前記取付ベースの両端が対応して外側に延長して第2の制限板を形成し、
2枚の前記第1の制限板と取付ベースとの間に前記バネがそれぞれ設けられることによって、スライドベースが遠心力又はバネによる弾力の作用下で半径方向に移動し、かつバネが圧縮される過程で、第1の制限板が第2の制限板に当接してスライドベースの位置を制限する、
ことを特徴とする付記2に記載の磁気ブレーキ機構。
【0030】
(付記4)
前記マグネットベースには、スライドベースの半径方向の移動距離を制限するための制限ブロックが更に設けられている、
ことを特徴とする付記2に記載の磁気ブレーキ機構。
【0031】
(付記5)
前記弧状磁石、取付ベース及びスライドベースの数がいずれも2であり、2個の前記取付ベースは、前記マグネットベースの円心を囲んで設けられ、かつ前記スライドベースの両端と取付ベースの両端の間にそれぞれ前記バネが設けられている、
ことを特徴とする付記2に記載の磁気ブレーキ機構。
【0032】
(付記6)
前記遠心調整アセンブリは、バネを含み、
前記磁石アセンブリは、スプールの片側に設けられたマグネットベースと、複数の磁石からなる少なくとも1つの弧状磁石と、を含み、
前記マグネットベースには、少なくとも1つの取付柱とスライドベースが設けられ、各弧状磁石が1つのスライドベースに設けられ、且つ、前記弧状磁石の底部がスプールの内部に位置し、
前記スライドベースは、一端がバネを介して取付柱に可動に連結され、遠心力又はバネによる弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動し、スプールの回転時に、弧状磁石とスプールの内壁との距離を調整する、
ことを特徴とする付記1に記載の磁気ブレーキ機構。
【0033】
(付記7)
前記取付柱の片側に溝が設けられ、
前記バネは、一端が溝内に位置し、他端がスライドベースに連結され、
当該スライドベースの両端に更に制限柱が設けられ、且つ前記遠心調整アセンブリは蓋板を更に含み、
前記蓋板には、長方形の制限孔が設けられ、
1つの前記制限柱が1つの制限孔内に位置し、かつ制限孔内を移動可能であり、スライドベースは、遠心力又はバネによる弾力の作用下で円周方向及び半径方向に移動可能である、
ことを特徴とする付記6に記載の磁気ブレーキ機構。
【0034】
(付記8)
前記磁気ブレーキアセンブリが設けられたサイドカバーアセンブリを更に含み、
前記スプールの回転軸は、前記磁石アセンブリを貫通して前記サイドカバーアセンブリ内に配置される、
ことを特徴とする付記1に記載の磁気ブレーキ機構。
【0035】
(付記9)
リール本体と、リール本体に連結された磁気ブレーキ機構と、を含み、前記磁気ブレーキ機構が、上記付記1~8のいずれか1つに記載の磁気ブレーキ機構である、
ことを特徴とするロープロファイルリール。
【0036】
(付記10)
上記付記9に記載のロープロファイルリールを含む、
ことを特徴とする釣具。
【外国語明細書】