(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058448
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ポイントベースのネット構造における適合化によるデジタル画像素材の再構築
(51)【国際特許分類】
G06T 9/00 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
G06T9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162034
(22)【出願日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 005 196.3
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522395783
【氏名又は名称】ポール・ゼッチ
【氏名又は名称原語表記】Paul Zetzsch
【住所又は居所原語表記】22,Aeussere Schneeberger Strasse,08056 Zwickau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114638
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 寛也
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ゼッチ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像の種類やサイズに関係なく、画像を強力に圧縮し、選択されたネット構造の種類やパラメータに応じて、所要メモリを大幅に低減することができるデジタル画像を再構築方法を提供する。
【解決手段】デジタル画像を再構築する方法は、ポイントベースで調整可能で、かつ、一義的に再構成可能なネット構造を生成する。再構成可能なネット構造は、ネット構造の中央領域から外方に向い、段階的に拡大若しくは縮小する平らなフィールドの重なり又は考慮されていない領域を生じさせることなく配置し、該当するネット構造をデジタル画像上に載置する。ネット構造の中心は、デジタル画像の内側又は外側の任意の位置とし、ネット構造のフィールドのそれぞれの色を、例えばガウスフィルタのモデルによる計算によるか又は直下にある元の画像区分の色情報からの選択により確定し、成立した画像を、ベクターベースのグラフィックス形式で記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像を再構築するためのコンピュータ実装方法において、
-ポイントベースで調整可能でかつ一義的に再構成可能なネット構造が生成され、
-その個々のフィールドは、前記ネット構造の中央領域から外方に向かって重なりまたは考慮されていない領域を生じさせることなく、全面がこれらの平らなフィールドによって覆われるような手順で段階的に拡大もしくは縮小し、
-次いで、該当するネット構造をデジタル画像(以下では「元の画像素材」とも称する)上に載置し、前記ネット構造の中心は、前記画像の内側または外側の同じ平面のどこにでも存在することができ、
-続いて、前記ネット構造のフィールドのそれぞれの色が、例えばガウスフィルタのモデルによる計算によって、または直下にある元の画像区分の色情報からの選択によって確定され、
-成立した画像が、ベクターベースのグラフィックス形式で記憶される
ことを特徴とする、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
-前記方法の暫定的な結果がこれに合わせて特別にカスタマイズされた同様にベクターベースではあるが新種のグラフィックス用ファイル形式で無損失に記憶され、
-前記結果は、基礎となるポイントベースのネット構造の種類とパラメータ、個々の色値をリストアップする順序を確定するためのアルゴリズム、ならびにネット構造自体のフィールドの色値のみの保持を必要とすることで再び特徴付けられている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
デジタル画像の1つまたは複数のカット部分、すなわち画像の一部のみに対する、請求項1に記載の方法の適用。
【請求項4】
基礎となる元の画像素材は、手動でまたはプログラムを用いて、
-複数の写真を連続して撮影し、
-これに対して、オブジェクトまでの距離または光学ズームの倍率を変更し、
-請求項1に記載の方法を適用する目的のために、より高い光学ズーム倍率の写真が、より低いズーム倍率の写真に重ねられる/より低いズーム倍率の写真を覆うか、
-またはこのようにして成立した写真に含まれるすべての色情報を評価する、
ことによって実現される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
-表示解像度、つまり、ラスターに細分化されたスクリーン上のディスプレイにおいて本方法に従って生成された画像の鮮明度が、ズーム倍率に依存することなく適度に一定に維持され、
-それぞれの使用されるネット構造で許容されるように、
-これに対して当該目的に対し、過度に多くの画像データが記録されることも過度に少ない画像データが記録されることもなく、
-センターの解像度が尺度を形成する、
請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2.2 技術領域
本発明は、情報科学の分野における技術開発であり、すなわちコンピュータ実装発明である。この技術分野の中では、本発明は、画像および映像処理の分野に特定することができる。
【背景技術】
【0002】
2.3 出願人が知っている従来技術
ここでは、セクション2.11下の参考リストを参照する。
【0003】
本出願人によって説明される方法に関し、今日既に実行可能なことは以下のとおりである:
-(a)ぼかし
写真を意識的に変更するという趣旨で、これにより画像の描画またはコントラストが低減される。ここでは、画像内の特定の領域または例えばオブジェクトが処理のために選択される。ここでは、恰も写真の上にわずかに半透明の素材を重ねたように示される、画像に数学的関数を適用する「ガウスぼかし」についても取り上げる。「ガウスぼかし」は一般的であり、どこでも研究可能である。
-(b)被写界深度マップ、
これにより自然と存在する被写界深度もしくは写真の被写界深度は、無段階に再調整することができる。
-(c)ベクター化
ラスターグラフィックスのピクセルを走査し、場合によっては線または形状を作成し、これによって、不鮮明に/ぼやけて見えることなく画像を自由に拡張可能にする、特定のアルゴリズムに従ってラスターグラフィックスをベクターグラフィックスに変換する自動化されたプロセスという趣旨でのラスター画像グラフィックスのベクター化。
-(d)無損失変換
個々の各ピクセル(フィールド)の位置、範囲、ならびに色値をブロックの形態で記録することにより、ラスターグラフィックスをベクターグラフィックスに無損失に変換する。これにより、変換の結果は、元の画像と純粋に光学的に100%同じとなる。
-(e)ラスターグラフィックスを(d)で説明したやり方に従ってベクターグラフィックスに変換すること、これは、
-画像の個々の領域の解像度が(ピクセルの数の意味で)低減されもしくは高められ、多くの一般的な画像処理プログラムにおいて可能であり、
-この操作は、画像が所期の領域において特に良好な解像度になるまで繰り返され、これに対して解像度は、縁部に向けて緩慢に低下することを特徴としている。
-(f)局所的細分化
二次元オブジェクトおよび三次元オブジェクトの局所的細分化。
-(g)有限要素
二次元および三次元領域において固体要素、シェル要素、またはライン要素を生成し、このようにして表現もしくはオブジェクトを有限数のより小さな要素に分割するジェネレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2.4 これまでに公知の実施形態の欠点の提示
ここでは、セクション2.11下の参考リストを参照する。
本出願人から説明された従来技術に関して、以下の欠点/課題/ギャップが確認される:
-(a)画像の特定の領域をぼかすことによって、
-この画像のための所要メモリは、一般的な圧縮法によって必ずしも低減されるわけではない。
-ピクセルラスター構造は変更されず、すなわち不鮮明な領域は、詳細に示される領域と同じ量の色情報を含んでいる。
-(b)ここでは(a)と同様に、画像素材の表面的な変更にすぎず、すなわちこの効果も同様に、画像を圧縮して所要メモリを低減するために考えられたものではない。
-(c)このタイプの方法は、各画像に適用可能なわけではなく、自然物のオブジェクト画像もしくは写真をこのような手順で代表的にベクター化することは困難でしかない。多くの場合、この方法は、その構造が簡素で色総数も非常に少ないことで際立つグラフィックスに関してのみ意味がある。
-(d)このようにしてベクター形式に変換されたグラフィックスのファイルサイズは、原画像のファイルサイズよりも著しく大きくなるはずである。なぜなら、光学的な変化が存在しないからであり、この種の変換は不要になるであろう。
-(e)この原則によれば、良好な解像度領域とさほど良好でない解像度領域との間に滑らかに/調和的に段階付けられた移行部は存在しない。さらに、最初はすべてを手動で調整する必要があること(どの領域をどの程度鮮明にするかなど)、あるいは有意で応用可能なアルゴリズムをベクターベースのラスターグラフィックス内でベクターベースのラスターグラフィックスの作成のために開発する必要があることなどが加わる。
-(f)このように示されたオブジェクトまたは画像が影響を受ける構造は不規則であり、これに応じて所要メモリも増大する。その上さらに、細分化は多かれ少なかれ頻繁に手動で確定する必要があり、このことにも相応に時間がかかる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
2.5 解決された技術的課題
以下では、出願人によって本明細書で出願される請求項1に記載された画像を再構築するための方法を「本発明」と称する。また以下では、出願人によって本明細書で出願される方法のユーザーを「処理者」と称する。なお従来技術に関する出願人の情報、ならびに欠点に関する参照は、以下では、例えば(a)のように括弧付きの小文字のみで示すものとする。
【0006】
本発明によれば、以下のことが可能になる。
-画像の種類やサイズに関係なく、画像を強力に圧縮し、そのため、選択されたネット構造の種類やパラメータに応じて、所要メモリを大幅に低減することができる。
これに対して処理者にとって重要な画像の領域/カット部分は、(四角形のネット構造の例のように特定の条件のもとで)完全にもしくは大部分が圧縮から免れ続け、これによってさらに元の画像内の重要な領域のすべての情報もしくはほぼすべての情報を含む。
-画像の良好な解像度領域とさほど良好でない解像度領域との間の有意でわかりやすくならびに調和的に段階付けられた移行部が生成される。
-その目的および意味がわかりやすく、ならびに理解しやすいパラメータの入力により、画像へのさらなる手動介入を必要とすることなく新種の画像構造が(例えば(e)のように)生成される。
-請求項2に記載のように、デジタル画像用の新種のファイル形式が作成される。
【0007】
請求項2に記載したように、本方法に合わせて固有にカスタマイズされる発明特有のファイル形式を作成することにより、以下のことが可能になる。
-本発明の基本方式に従って変換された画像の所要メモリは、ファイルのサイズにもよるが、本発明の基本方式に従って作成された通常のベクター形式と比較して改めて大幅に低減される。
-本発明の基本方式に従って変換された画像は、互換性のあるソフトウェアを使用してより高速に表示される傾向がある。なぜなら、前述の請求項2からの新種の画像形式は、簡素に構造化されているため呼び出しに要する情報が少なくて済むからである。
【0008】
2.6 この課題を解決するための手段/技術的実現
このセクションでは、アプローチに対する考察について、ならびに特にコンピュータ実装発明がどのように実現できるかについて詳述する。
【0009】
ここでは、セクション2.14下で見いだされる
図9および
図10を参照する。
【0010】
2.6.1 実現
請求項1に記載の方法の間に生成されるネット構造はポイントベースであり、すなわち、一義的に決定可能な中心点を有する。これは、パラメータ「場所」もしくは「中心点」によって示される。その他に、本方法に従って生成されたネット構造は、「センターベース」と称することができる。なぜなら、このネット構造は、その種類(四角形、三角形、円形、らせん形)に依存することなく、周囲の「リング」(セクション2.12の定義も参照)とは明らかに異なるセンターを有しているからである。本方法は調整可能である。すなわち、生成されたネット構造の外観ならびに本方法のさらなるプロパティを正確に設定/調整することができるパラメータが存在する。そのセンターから外方に向かって拡大または縮小するフィールドからなる、本方法に従って作成されるネット構造は、その作成後、元の画像素材であるデジタル画像上に載置される。その上さらに、生成されたネット構造のフィールドの各々には、特定のパラメータに従って評価される一義的に決定可能な色素材が含まれる。この評価の結果は、該当するフィールド/該当する面の新規の色について決定する。最後に、成立した画像は、ベクターベースのグラフィックスの形態で記憶され、これは、スケーラブルベクターグラフィックス(.svg)などの一般的なフォーマットまたは例えば請求項2記載の特有の方法に従って作成された画像ファイル用の新種のフォーマットであってよい。
【0011】
2.6.1.1 アプローチおよび考察
説明した課題の解決のために、以下の考察が生じた:
-変換中にもしくは変換によって特定された領域が他の領域よりも一層考慮されるように努めるべくラスター画像ファイルがベクター化され、元の画像上に載置される異なるサイズのフィールドを有するラスター(もしくは本明細書ではネット構造と称する)の使用は有意に見える。
-本発明によって生成されるネット構造は、調和的に段階付けられて拡大もしくは減少する画像解像度を保証できるようにするために、ポイントベース、センターベースまたは線分ベースであってよい。
-線分ベースのネット構造は非実用的に見える。なぜなら、(ネット構造のセンターを形成する線分の始点および/または終点が元の画像の領域内に存在する場合には)フィールドを(画素、ピクセルの意味での)ネット構造の拡張の経過において重なりまたは考慮されていない領域を生じさせることなく拡大または縮小させる、調和的で均一な段階付けを引き起こすアルゴリズムを見つけることが全くできないか、できたとしても困難しか伴わないからであり、あるいは(その始点および終点が元の画像の外部に存在する線分の場合には)詳細な領域もしくはさほど詳細ではない領域を非常に不正確にしか確定することができないからである。さらに、主観的見解によれば、円形またはらせん形のネット構造は、線分ベースのセンターに移行させることはまったくできない。
-他の種類のネット構造も考えられなくはないが、わかりにくく、セクション2.6.1.3.2下で説明されているポイントベース(/センターベース)のネット構造よりも実現が困難である確率が高いであろう。
-最も手近な解決手段:ポイントベースのネット構造の開発は、
-その中心が、これを囲繞し、ネット構造内に存在するセンターの中心も形成し、
-容易に追跡可能でかつ手近な手順でより小さな同一のフィールドに分割され、
それぞれ同一の(例外:らせん形のネット構造)フィールドからなる行/リングによって囲繞され、
-他の行/リングおよびセンターと比較して同じ形状を有し(もしくは同様の形状の円形またはらせん形のネット構造フィールドの場合)
-その他にすべての方向で同じもしくはほぼ同じ拡張を有すること(例えば四角形ならびに三角形のネット構造におけるフィールドの同じ辺の長さ)によって特徴付けられる。
-様々な種類のデジタル画像(例えば、写真、スケッチ、絵画、地図、衛星画像)に適用するために、様々な種類のネット構造を利用可能にすることは役に立ち、有意であるかもしれないが、請求項1に記載された方法のために考えられる、パラメータによって適合化可能なさらなるネット構造を多数開発することはむだなもしくは嗜好に応じた審美的価値しかないかもしれない。
この大まかな線引きは、「セクション2.6.1.3の構造技術的実現」の観点下で見いだされる、それぞれに属するパラメータを伴った手近なネット構造につながる。
【0012】
2.6.1.2 IT技術的実現
ここでは、セクション2.14下で見いだされる
図9および
図10を参照する。
【0013】
請求項4に記載の被写界深度画像を作成する際に、個々の画像を記録し、光学ズームレベルもしくはオブジェクトまでの距離を変更するタスクは、手動で実施するかまたはコンピュータシステムのプロセッサによって引き継がせることができる。個々の画像の結合(ステッチング)も同様に手動またはコンピュータシステムのプロセッサによって実施することができる。
【0014】
請求項1に記載のネット構造は、そのパラメータがユーザーによって手動でまたはコンピュータシステムによって有意な手順で自動的に確定された後、コンピュータシステムのプロセッサによって生成される。様々なパラメータについての値の入力から、生成されたネット構造の内部にフィールドの重なりまたは考慮されていない領域を生じさせることを達成しようとする場合、このことは、本方法の中断を引き起こさず、むしろ例えばコンピュータシステムのプロセッサによる付加的な計算によって補償および調和させることができる。そのネット構造は、コンピュータシステムのメインメモリに一時記憶される。デジタル画像へのネット構造の投影ならびに色値の評価は、そのコンピュータシステムのプロセッサによって行われる。その下にある画像素材からの計算または選択から生じるそのネット構造のフィールドの色値は、コンピュータシステムのメインメモリによって再び一時記憶される。続いてプロセスから明らかになる全体の構造/画像は、コンピュータシステムのプロセッサによってベクターベースのグラフィックスの形態で記憶される。
【0015】
セクション2.7.2下で(画像ファイル用の新種のファイル形式)もしくは請求項2に記載されているように、本方法の暫定的な結果が、コンピュータシステムのプロセッサによってこれに合わせて特別にカスタマイズされたファイル形式でデータ、特に画像データおよび画像データに割り当てられたパラメータの整理のために記憶されることも同様に可能であり自明である。このフォーマットは、ヘッダおよびデータ領域からなる。ヘッダには、請求項1に記載の方法に従って生成されたネット構造の構造およびそのパラメータに関する一般的な情報、ならびに色値が記憶される順序に関する情報が含まれる一方で、データ領域には、ネット構造の種類、ネット構造の構造を決定する個々のパラメータに対する値、ならびにすべての色値に関する情報が含まれる。
【0016】
セクション2.8.5下の説明に従って撮影(被写界深度撮影)された写真は、必ずしもネット構造を作成および使用する前に相互に接続する必要はない。同様に、事前にネット構造を作成しておき(あるいはこれを標準方式でかつコンピュータシステム内でカメラの解像度に適合化させて準備し)、個々の写真を撮影直後に相次いでこのネット構造に組み込んでいくことも考えられている。その際、ズームレベルが最大の写真もしくはオブジェクトまでの距離が最も短い写真から開始することは有意である。この場合、最初にネット構造の内側領域のフィールドを、対応する写真からの選択または計算によって着色することになる。続いて、その周辺は、それぞれ後続するあまり詳細ではない撮影から生じる。ここで説明したこの処理は、コンピュータシステムのプロセッサによって完全に引き継ぐことが可能である。写真および着色されるネット構造の一時記憶は、コンピュータシステムのメインメモリが引き継ぐ。
【0017】
2.6.1.3 構造技術的実現
このセクションでは、3つのネット構造、ならびに考えられる所属のパラメータについて詳述する。
【0018】
2.6.1.3.1 一般的なパラメータ
最初に、この文脈では、すべてのネット構造について一般的に有効な7つのパラメータ[(a)~(g)]を指摘する必要がある。ここでのおよび以下のそれぞれのネット構造において説明するパラメータの正確な実現は、可能なものとしての実現であり、必須の実現ではないことを理解されたい。ここでは、これらが手近にあり、請求項1に記載の方法自体もしくはネット構造に属していることとして説明したい。その他に、パラメータのそれぞれの入力値の意味を確定することにより、セクション2.14下で見いだされる図面の成立手順の原則をより良好に理解することができる。
-(a)拡張
請求項1に記載の方法に従って成立したネット構造は、理論的には外方に向かって無限に拡張することができる。ただし、ネットワークがある程度拡張されてから、特定の別のパラメータの変更を行うこと、もしくは請求項1に記載の方法を元の画像の一部のみに適用することが考えられる。拡張は、例えば、正の有理数の形態で示すことができ、これは、それぞれのネット構造のセンター周りにいくつの完全なもしくは壊れた行/リングを生成すべきかを示す。セクション2.14下で見いだされる図面については以下が当てはまる:
拡張=0:ネット構造のセンターのみが表示される。
拡張=10:センター、ならびに周囲の10のリングが表示される。
拡張=0.5:センター、ならびに厳密に中心で分割されたリングが表示される。
-(b)着色
ここに提示する4つのネット構造は、アルゴリズムと特定の可変のパラメータとに従ってプログラム/コンピュータによって作成され、画像ファイル上に載置される。これにより、このようにして成立したネット構造の個々のフィールドには、元の画像から一義的に特定可能な色素材を割り当てることができる。これらのフィールドは、特有の方法に従って新規に着色され、この場合、それぞれのネット系のフィールドの新規配色を担う選択可能なバインディングアルゴリズムは、持続時間も決定し、この持続時間は、請求項1に記載の方法を実現するプログラムが、元の画像を請求項1に記載の方法から生じるベクターグラフィックス(もしくは請求項2に記載の本発明に合わせて固有にカスタマイズされる可能なグラフィックスファイル形式)に変換するために必要とされるものである。フィールドの色の確定については、以下の可能性が考えられる:
-それぞれの格子フィールド内でランダムに存在する色がフィールド全体の色を決定する。
-フィールドの境界内で最も頻繁に発生する色がフィールド全体の色を決定する。
-各フィールド内に存在する色素材の一般的な方法に従って生じる「平均」がフィールド全体の色を決定する。
-(c)サイズ
このパラメータは、変換すべき原画像のピクセルサイズと、請求項1に記載の方法に従って生成されたネット構造のセンターにおけるフィールドのサイズもしくは請求項1に記載の方法に従って生成されたネット構造のセンター全体のサイズとの比率を表し、この場合、1の値には、ネット構造のセンターにおける個々のフィールドが、元の画像におけるピクセルの最大拡張と同じ最大拡張を有しているという意味が付与されることは自明である(例えば同一の面積が決め手であってもよい)。さらに、パラメータ「サイズ」について2の値に、請求項1に記載の方法に従って生成されたネット構造のセンターにおける個々のフィールドの最大拡張が、それぞれ元の画像からの2つのピクセルの最大拡張の合計に対応しているという意味を割り当てられることは自明である。ネット構造のサイズについてはあらゆる任意の正の有理数が考えられる。
-(d)場所/中心
このパラメータは、原画像内のネット構造の中心の位置を表す。このパラメータは、例えば水平方向もしくは垂直方向のピクセル/座標の情報に関して決定することができ(例えば、アプローチに応じて、左から1001番目のピクセルの中心、ならびに上または下から2001番目のピクセルの中心についてx=1000.5;y=2000.5など)、この場合、x値についてもy値についてもあらゆる有理数が考えられる。原点は、理論的には、原画像の外部に存在することも可能である。
-(e)回転
このパラメータは、元の画像に対する選択されたネット構造のセンターの回転を表し、この場合、情報は、角度もしくは%で表されることが自明である。
-(f)成長の変化
ここでは成長と称するが、このパラメータは、それぞれのネット構造固有の別のパラメータから生じ、これについての情報は、それぞれのネット構造の説明に見いだすことができる。このパラメータは、新規のリングごとに成長がどの程度変化するかを示す。成長の変化について確定すべき値は、絶対値または相対値(例えば%など)で表示できよう。
-(g)ピッチ成長
このパラメータは、それぞれのネット構造固有の別のパラメータから生じ、これはここではピッチと称するが、これについての情報は、それぞれのネット構造の説明に見いだすことができる。このパラメータは、新規のリングごとにピッチがどの程度変化するかを示す。ピッチ成長は、有理数でなければならない。以下の規定は自明であろう:
-ピッチ成長=1:ピッチが0の場合(センターではピッチはそれぞれネット構造のセンターにおける比率に関連する)、最初の囲繞リングでのピッチは1である。
-ピッチ成長=(-2):ピッチが10の場合、最初の囲繞リングでのピッチは8で、第2のリングでは6である。
-ピッチ成長=1.5:ピッチが0の場合、最初の囲繞リングでのピッチは2であり(….5の場合、切り上げられる)、第2では3である。
百分率でのピッチ成長は、指数関数的な成長を可能にするために考えられよう。
【0019】
2.6.1.3.2 ネット構造
ここでは、3つのネット構造について詳述する。
それぞれのネット構造の種類(四角形、三角形、円形)に関連して、それぞれ最も身近なアルゴリズムをそのようなネット構造の作成のために見つけることが試みられた。その他に、すべてのネット構造に対して一般的に有効な基本方式を実現することが試みられた(このことはとりわけパラメータの使用によっても明らかとなる)。
【0020】
2.6.1.3.2.1 四角形のネット構造
説明:
四角形のネット構造は、
-線分もしくは四角形の完全に再構成可能な原理からなる。
-この構成は、
-(1)特定の数(方形数)のより小さな四角形に分割される四角形の基準面(センター)と、
-(2)外方に向かって無限に拡張可能でかつ拡大もしくは縮小し続ける四角形からなるシステムとからなる。
-ここでは、行ごとの四角形の数が、センターを囲繞する四角形の各リングとともに成長に応じて変化することが当てはまる[テーブルまたは例えばpngラスターグラフィックスなどの場合のように「行」(セクション2.12下での用語「行」の定義も参照)ごとに2つの四角形が追加される代わりに]。
-これらの四角形の間に隙間はなく、全面が覆われる。
-さらに、これらの四角形は重ならない。
【0021】
四角形のネット構造内でのパラメータの使用:
-パラメータ解像度
このパラメータは、このネット構造に関連して、ネット構造のセンターにおいて一行もしくは一列がどのくらいの数の四角形からなっているかを示す。この場合、以下のようになる:
-解像度=10:この四角形のネット構造のセンターは、10×10フィールド、すなわち100フィールドからなる。
-解像度=2:この四角形のネット構造のセンターは、2×2フィールド、すなわち4フィールドからなる。
四角形の構造では、解像度についての値は正の整数でなければならない。正の有理数のセット全体も考えられなくはないが、このことはフィールドの断片化につながり、そもそもあまり意味がない。アルゴリズムも不必要に複雑になるであろう。
-パラメータ成長
このパラメータは、このネット構造に関連して、行ごとにどのくらいの数の四角形が追加されるかを示す。この場合、0の値は、同一の四角形からの一般的なラスターを表すことは自明である。この場合、以下のようになる:
-成長=2:四角形の数は、行ごとに2ずつ低減する。すなわち、センターを囲繞する四角形の数は、行ごとに不変のままである(解像度=10のネット構造の場合、最初のリングにおける8フィールドの長さ/幅は、センターにおける10フィールド行の長さ/幅に対応する)
-成長=3:四角形の数は、行ごとに3ずつ低減する。すなわち、センターを囲繞する四角形の数は、行ごとに1ずつ低減する(解像度=10のネット構造の場合、最初のリングにおける7フィールドの長さ/幅は、センターにおける10フィールド行の長さ/幅に対応する)。成長値>2は、ネット構造の最大拡張も同時に決定する。
-成長=(-1):四角形の数は行ごとに1ずつ増加する。すなわち、センターを囲繞する四角形の数は行ごとに3ずつ増加する(解像度=10のネット構造の場合、最初のリングにおける11ピクセルの長さ/幅は、センターの10ピクセル行の長さ/幅に対応する)。
四角形の構造では、成長値は整数でなければならない(有理数のセット全体も考えられるが、これにより、各行の最後に不完全な/断片化されたフィールドが生じる場合もある)
-パラメータピッチ
このパラメータは、このネット構造に関連して、ネット構造の個々のフィールドがどのくらいの数のより小さな同一の四角形/部分に分割されるかを示す。この場合、このパラメータは、パラメータ「サイズ」に影響を与えるのではなく、むしろピッチはネット構造に対する原画像のサイズ比が確定された後で初めて生じる。ピッチの規定については、ネット構造のセンターにおける比率が常に有効である。ピッチの値は、成立したフィールドの個別部分の大きさが同一となり、とりわけ請求項2に記載された新種のファイル形式用の色値の記憶順序において不鮮明さが生じないことを保証するために自然数でなければならない。正の有理数(非自然数)も同様に考えられなくはないが複雑であり、そもそも意味がない。したがって、以下の規定は自明であろう:
-ピッチ=1:分割は存在しない。
-ピッチ=2:各四角形は、4つのより小さな四角形(2×2フィールド)に分割される。
-ピッチ=5:各四角形は、25個のより小さな四角形(5×5フィールド)に分割される。
【0022】
例:
四角形内の10個のフィールドからなる(解像度=10)、つまり100個の小さな四角形からなるセンターは、このシステムによれば、それぞれ11個の四角形からなる行によって囲繞され得るであろう(成長=1)。したがって、この11個の四角形のうち9個の辺の長さの合計は、センターから一列に並んだ10個の四角形の辺の長さの合計長さに対応する。ただし、全体としては、この10×10のフィールドを測るセンターは、40個の四角形によってのみ囲繞されている(なぜなら、ある行の最初の四角形は、同時に他の3つの囲繞する行の最後の四角形も形成するからである)。つまり、次の囲繞する4つの行は、この特別なアルゴリズムに従ってそれぞれ12個の四角形からなり、44個の四角形からなる四角形リングを形成する。
【0023】
ここでは、セクション2.14下で見いだされる
図1を参照する:
「四角形のネット構造、解像度=10;成長=1;成長の変化=0;拡張=9;回転=0;ピッチ=1;ピッチ成長=0」
【0024】
2.6.1.3.2.2 三角形のネット構造
三角形のネット構造は、
-線もしくは正三角形の完全に再構成可能な原理からなる。
-この構成は、
-(1)特定の数のより小さな三角形に分割される、正三角形の形態の基準面(センター)と、
-(2)外方に向かって無限に拡張可能でかつ拡大し続ける正三角形からなるシステムとからなる。
-ここでは、行ごとの三角形の数は、センターを囲繞する三角形の各リングとともに成長に応じて変化することが当てはまる。
-これらの三角形の間に隙間はなく、全面が覆われる。
-さらに、これらの三角形は重ならない。
【0025】
2.6.1.3.2.3 円形のネット構造
円形のネット構造は、
-円および直径区分の完全に再構成可能な原理からなる。
-この構成は、
-(1)特定の数の円セグメント(以下でより詳細に説明される解像度の値)に分割される円形のセンターと、
-(2)その内周および外周が円形リング内のフィールドの数から生じる(なぜならフィールド内で測られる周区分は径方向の拡張に対応するからである)囲繞する円形リングとからなる。
-さらに、新規の各リングとともに、可変のフィールド数が追加される(値の成長)。
-これは、それぞれ同じ大きさの区分に分割され、外方に向かって無限に拡張可能でかつ拡大もしくは縮小し続ける円からなるシステムである。
-(センター内ではない)円形リング内のフィールドのそれぞれの内周セグメント(別の場所もそれぞれの周セグメントの長さを導出するために考えられる、例えば中央の/平均的な周面セグメントなど)は、長さにおいて径方向の拡張に対応しており、そのため、個々のフィールドは、特に円形のネット構造の外方領域においてほぼ四角形である。
-これらのセグメントの間に隙間はなく、全面が覆われる。さらに、これらのセグメントは重ならない。
【0026】
2.6.1.3.3 有意な組み合わせ/特殊な形態
ここでは、請求項5を参照する。
【0027】
一般的なスクリーンは、ここでは画素のラスター状のシステムにバインディングされているため、請求項1の方法に従って成立した画像を表示するためにはそのラスターに適合化させる必要がある。請求項1に記載の方法の経済的適用に関連して、以下のさらなる考察が生じる:
この場合、請求項1の方法に従って生成された画像の所要メモリを不必要に増やすことなく、本方法に従って生成された画像が、どれだけズームインするか(どれだけズームするか)に依存することなくディスプレイで常にほぼ同じように良好に解像できれば有意であろう。ここで重要となるのは、成長を示すパラメータ、すなわち、リングごとにどのくらいの数のフィールドが追加されるかを示すパラメータである。「十分に高い表示解像度」の可能な定義として、ディスプレイの1ピクセルが、それぞれのネット構造の少なくとも全フィールドの面積に対応することを適用できるかもしれない。このことも、画像の最も解像度の低い領域の解像度が、出力/表示されるピクセルごとにネット構造の少なくとも1つのフィールドに対応する場合にそれぞれ与えられるものである。この場合は、パラメータ「解像度」についての値を、所望の最終的な表示サイズに対応するように選択することが有意であろう。例えば、ある画像を後で一度、500×500ピクセルのフォーマットで表示すべき場合に、最大限可能なズーム倍率のもとでこのネット構造のセンターを1:1で、すなわち無損失で表示するためには、その解像度に対して四角形のネット構造の場合に値500を確定するのがよい。この結果、この特殊な形態の基本方式に従って、例えば四角形のネット構造の場合に、2の成長値を使用することになる(すなわち、1つの行の四角形/フィールドの数は、このようにして成立した画像全体にわたって一定に維持される)。
【0028】
2.7 実施タイプ
2.7.1 ラスター画像ファイルを変換するための方法
請求項1に記載の方法によれば、例えば、一般的なデジタルラスター画像、例えばpng形式の画像(同様にベクターグラフィックスをこのやり方で変換することも考えられる)をベクターグラフィックスの特殊なタイプに変換すること、例えばスケーラブルベクターグラフィックス(.svg)に変換することが可能になる。
【0029】
2.7.2 画像ファイル用の新種のファイル形式
ここでは、請求項2を参照する。
【0030】
2.7.2.1 説明/考察
通常のラスターグラフィックスは、理論的には同様に四角形のベクターとその色値とからなっているにもかかわらず、ベクターファイルとして記憶されることはない。これは、(列と行とが特定の数の同一の四角形を形成する)ピクセル系のみをラベル付けし、特定の列挙アルゴリズム(例えば、上から下、左から右)に従ってそれぞれの色値を確定するのが効率的であるがゆえに基づいている。これにより、多くのメモリスペースが節約される。そのため、請求項1に記載された方法についても、固有のファイル形式が考えられる。画像ファイルを本方法の方式に従って変換する同じプログラムは、画像の再構成のために必要な情報を一時記憶し、プログラム内部のファイル形式をそのために選択することも可能であろう。このことは、サイズや選択されたネット構造に応じてメモリスペースに大規模な節約~超大規模な節約をもたらすであろう。ここでは、このファイル形式の拡張の値がそれぞれのネット構造を用いて原画像全体をカバーするのに十分な大きさである最も簡素な形態のみを詳述する。
【0031】
2.7.2.2 記憶すべき必要な画像情報/プロパティ
請求項1に記載された方法に従って変換されたこの種の画像を間違いなく再構成するためには、以下の情報が必要である:
-ネット構造の種類(四角形、三角形、円形、らせん形)
-必要なすべてのパラメータ(場所、サイズ、解像度、着色、成長、成長の変化、回転、伸長、ピッチ、ピッチ成長、ねじれ、ねじれ成長、円弧長さ)
-個々のフィールドの色値を確定する順序が示されたアルゴリズム。これは、それぞれネット構造に所属している。
そのようなファイルを表示するために必要な他のすべての情報は、プログラム内部に(対応するファイルの表示/作成/変換の実施を担うソフトウェア内部に)記憶できよう。
【0032】
2.7.2.3 さらなる考察
さらなる圧縮のために、ラスター画像グラフィックスにつき一般的な圧縮手法を、例えばランレングス符号化の形式で新種の画像形式に移行させることも考えられる。この所要メモリの新たな節約は、例えばスケーラブルベクターグラフィックス(.svg)のような通常のベクターグラフィックの場合の趣旨では不可能である。さらにこの固有のファイル形式は、中心にラベル付けする手段を提供する。このフォーマットで記憶されたファイルを互換性のあるプログラムで開くと、ズームをその中心に合わせてロックすることができる。すなわち、画像をズームイン/拡大した場合、所属のネット構造のセンターおよび中心は自身が画像の中央にない場合でも自動的にズームインされる。
この画像ファイル用のフォーマットは、高い個性によって特徴付けられ、その特徴に基づきいくつかの一般的な画像表示または処理プログラムによって長年にわたり受け入れられる可能性が高いであろう。そのため、これらの画像ファイルの使用のためにこれに合わせて特別にカスタマイズされたプログラムを使用する必要がもはやなくなる。この基本方式は簡素で一義的であり、実現は自明であり、有意でもある。この種の画像ファイルによれば、現下の従来技術では成し遂げられない利点を得ることができるので、長期的には互換性の問題はほとんど見られない。それにもかかわらず、一般的に認知され広く知られているベクターフォーマットは、請求項1の方法から引き出される画像の普及と公表のために非常に有用と思われる。
【0033】
2.7.3 画像処理における効果
純粋な変換と同様に、請求項1に記載の方法は、純粋なデジタル画像処理に適用可能である。純粋な効果として、この方法は、デジタルラスター画像の基礎となるラスター構造がそのまま残るか、もしくは画像処理の完了後に再び効力を発揮することでとりわけ特徴付けられる。
【0034】
2.7.4 動画像領域での出現形態
本明細書に記述されたすべての実施形態は、動画像に転用可能である。請求項1に記載の方法によれば、動画像を個々の画像の各々に適用することによってベクター形式に変換することができる。そのため、このようにして成立した動画像のための固有のファイルタイプも同様に考えられる(請求項2に記載の新種のファイル形式が動画像のみに転用される)。動画像素材の処理に関して、新規のパラメータは、各画像を個別に処理する必要がないため有意に思われる。そのため、例えば、フレームごとに個々のパラメータを変更するための機能を作成することができよう。例えば、ネット構造全体をあるフレームから次のフレームに回転させることは、簡素だが関心の高い効果が期待できよう。動画像処理は比較的複雑なところがあり多くのパラメータが考えられるが、ここでは、個別に挙げることはしない。
【0035】
2.7.5 機械学習の使用
場合によっては、特定の適用目的に対して、請求項1に記載の方法もしくは請求項2に記載の方法に従って個々の画像を手動で変換することに価値がない場合もあるため、いわゆる「機械学習」を適用し、これによって、1つまたは複数の画像ファイルを完全に自動化して変換することも有意であり得よう。これは、経験から引き出される知識の人工的な生産である。請求項1からの方法に従った変換に適用される場合、いくつかの有意なアプローチが生じる。1つの手段は、教師あり学習による、すなわち、元の画像から与えられた入力および出力から、どの内容および情報が重要であるかを教え込む関数をアルゴリズムが学習する「機械学習」を実行するソフトウェアであろう。そのため、顔認識アルゴリズム、記号や文字を評価するアルゴリズム、または(例えば複数の画像/写真を見渡し)反復を見つけ出すアルゴリズムなどを統合することができよう。
【0036】
2.8 応用例
2.8.1 画像内のオブジェクト/人物などの強調
例えば、背景のどこかに二人の人物が写っている大判の風景画像を思い浮かべた場合、画像の解像度が十分に高いならば、人物を拡大したフォーマットでも高精細に表示するために人物にズームインすることができる。しかしながら、画像の残りの部分は高解像度を全く必要としないことが多いので、請求項1に記載の方法によれば、画像の残りから注意を調和的にそらしながら、詳細な領域のサイズ、場所、および解像度を確定することができる。これにより、多くのメモリスペースが節約され(とりわけ固有のファイル形式の場合)、焦点がセットされ、調和的な移行が保証され、そしてとりわけ、フィールド構造の種類を用途に応じて確定することができる(四角形、三角形、円形、らせん形)。
【0037】
2.8.2 位置情報と局所的詳細との結合
例えばドローンや衛星などで撮影された詳細な航空写真に請求項1に記載の方法を適用すれば、画像内で場所を詳細に表示することができ、この場合、周囲は外方に向かって調和的にかつ段階的にぼかされる。これにより、一方では、あるものがどこにあるのかを明確にすることができ、これに対して他方では、その場所/対象物などに関する正確な情報を呼び出すことが可能である。ここでも、処理すべきデジタル画像が大きいほど、膨大なメモリスペースを節約することができる利点が得られる。企業や個人は、例えば、ウエブページ上で会社や住宅の位置を示すために、よくある外部サーバーの地図データを埋め込む代わりに、本方法に従って画像を作成し利用することができる。ズームイン機能(調整器を用いてズームすれば、請求項2に記載されたグラフィックスファイルのセンター/中心が自動的にズームインされる)と組み合わせれば、地図データの埋め込みに対する有意な代替手段が形成される。
【0038】
2.8.3 フィールド構造の個別の適合化(芸術的価値)
最も重要な情報を(ほぼ)最小のメモリスペース消費で伝送すると同時に完全に調和的に移行することの他に、この方法は付加的にアートな形態として理解することもできる。例えば円形のオブジェクトを適宜強調するために、画像に対して円形に配置されたフィールドを個々のアルゴリズムに従って作成することが可能である。
【0039】
2.8.4 画像内のオブジェクト/人物などを認識できなくする
本明細書で既に何度か取り上げたように、本方法は、画像の特定の領域をさほど良好でない解像度にすることも同様に良好に可能であり、これに対して、外方に向かう解像度は増大し続ける。この目的のために必要なことは、様々なパラメータに対して適正な値を確定するだけである。この方法によれば、特定のポイントから注意をそらすことができ、人を認識できなくすることができる。解像度が良好に低い領域がいずれにせよ既に存在する画像が変換される場合でも(例えば、該当する領域の解像度を低減することによって隠される車のナンバープレートなど)、このことは、請求項1に記載の方法を用いて調和的に隠蔽することができる。
【0040】
2.8.5 被写界深度撮影
出発点は、カメラを用いたオブジェクトの焦点合わせであり、この場合、より高い光学ズームレベルが選択される。写真が撮られると、対物レンズは自動的に光学ズームレベルをできるだけ迅速に低減し始め、ここでは、立て続けに新しい写真が撮られる。そのようにして成立した全画像素材は重ねて置かれ、この場合、ズームレベルのより高い画像が前景に存在する。続いて、請求項1に記載の方法が適用され、これによって、余分な情報が除かれ、画像は調和的に構成される。最良の場合、請求項1からの方法に従って生成されるべきベクターファイルの計算、もしくは(実際的に)請求項2に記載の方法に従った新種のファイル形式は、カメラ内部のプログラムによって直接引き継がれる。
【0041】
ここでは、請求項4を参照する。
【0042】
2.8.6 距離・ズーム関連フォトステッチング全般を目立たなくする
請求項4に記載された方法に依存せずに、以下の手順は、場合によっては全く一般的な観点から有用にかつ容易に実現可能であり得る:
ここでは、被写体の複数の写真が作成され、この場合、オブジェクトまでの距離かまたはカメラの(光学的)ズーム倍率、あるいはその両方が変更される。このようにして成立した重なり合った写真は引き続きつなぎ合わされる。その際、2つの撮影の間の移行が可及的にシームレスになるように注意する必要がある。複数のデジタル画像をつなぎ合わせることができる手法は既に多く存在しており、そのためここでは特に取り上げることはしない。ここでは、ズームや距離に起因する補正も重要である。その上さらに、請求項1に記載の方法が適用される。この場合、それぞれのネット構造のセンターを、最も高いズーム倍率の画像部分、あるいは最も短い距離から撮影した画像部分に置くことはもちろん自明である。
【0043】
ここでは、改めて請求項4を参照する。
【0044】
2.9 経済的利用
-請求項1に記載の方法または特許請求の範囲に記載の方法のうちの複数またはすべての組み合わせ、適用手段、および製品を実現/適用するコンピュータプログラム(同様にモバイルアプリケーションまたはオンラインアプリケーションも可能)につき、販売またはライセンス供与が可能である。ここでは、セクション2.14下で見いだされる
図8を参照する:
「請求項1に記載の方法を実施するコンピュータプログラムのユーザーインターフェースの可能な実現」。
-請求項1による方法の使用自体がライセンス供与可能であり、画像および動画像処理プログラムのメーカーから関心をよせられる可能性があろう。
-請求項1に記載の方法によって成立したデジタル画像および動画像、ならびに所属するすべての種類の印刷物は販売が可能である。
-請求項4に記載の方法を自動化してもしくは手動で適用することが可能なカメラも販売が可能である。
-請求項4による方法の使用がライセンス供与可能であり、光学ズーム機能付きカメラのメーカーから関心をよせられる可能性があろう。
-請求項1からの方法に従って成立した画像素材の使用に対するライセンスは販売が可能である。記述されたネット構造の利用により、または個々のネット構造の利用にもよって特定の形状を強調したい設計者は関心をよせる可能性があろう。
【発明の効果】
【0045】
2.10 本発明によって達成される利点
2.10.1 請求項1に記載の方法によるもの
本発明の利点は、本明細書において既にいくつか言及されている、とりわけ「セクション2.5 解決された技術的課題」の下に見いだされた。
短く要約すれば以下のことが言える:
-詳細の傾向的に重要でない周囲は、選択された詳細の解像度を損なわせることなく圧縮することができる。したがって、請求項1に記載の方法を使用する場合、ならびに特に請求項2に記載の新種のファイル形式を使用する場合、元の画像素材のサイズに応じて、所要メモリを格段に少なくすることができる。
-同一画像内の高解像度領域と低解像度領域との間の滑らかでかつ調和的な移行を保証することができる。
-画像内の重要な詳細は、画像の残りの部分よりも高い解像度によって強調すること/際立たせることができる。
-広い撮影アングルと画像のセンターにおける高い解像度との利点を統合する画像ファイルが考えられる。異なる距離からまたは異なるズーム倍率の利用によって成立した複数の画像からの情報は、この目的のために唯1つの画像に結合される。
【0046】
2.10.2 請求項1および4の組み合わせによるもの
請求項1に従って生成されたネット構造に、複数の写真からの色情報を導入すると、さらなる利点が得られる。
-複数の画像が相互に結び付けられる。唯1枚の画像を開く必要があるだけで、広い撮影アングルや背景の詳細を認識することができる。
-唯1枚の画像を記録する必要があるだけで、これにより、コンピュータシステム上の画像ファイルの整理が容易になる。
-とりわけ新種のファイル形式で記憶する場合、場合によっては、複数の個別画像を保持する場合に比べてメモリスペースの節約になる可能性がある。
-背景の詳細と広い撮影アングルのどちらもとらえたい場合、カメラの内部または外部のコンピュータシステムが、光学ズームレベルもしくはオブジェクトまでの距離を変更しながらすべての写真の撮影を担うことにより、多くの時間や手間を節約することができる。
【0047】
2.11 参考リスト/検証物
ここには、従来技術もしくは従来技術における欠点が示されている(「セクション2.3 出願人が知っている従来技術」および「セクション2.4 これまでに公知の実施形態の欠点の提示」から)。従来技術に対するいくつかの情報は、一般的に公知なものと見なされているため、この点に関する出願人の言及の各々についての裏付けが見つからない可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【非特許文献】
【0049】
【0050】
2.12 定義
ここでは、誤解が生じないように、説明でよく使われる用語を再度正確に定義しておく。
-ネット構造
これに関しては、領域を複数のフィールドに分割する、線分と円弧とからなる、請求項1に従って作成されたシステムと理解されたい。
-フィールド
この用語は、ネット構造の線によって一義的に区切られた領域を表し、多くの場合、用語ピクセルまたは画素に置き換えられるが、定義によれば、例えば円形断面など、この適用分野で一般的に使用されていない形状には必ずしも移行できるものではない。
-リング
用語リングとは、センターの外側にあるそれぞれ一義的に関連性のある(通常は同じ大きさの)すべてのフィールドの面積の合計に関連し、この場合、リングの最初のフィールドは、それぞれその最後のフィールドに隣接している。リングはネット構造のセンターを囲繞し、場合によってはさらなる内側にあるリングを囲繞する。円形のネット構造において、リングとは、例えば、一般的に公知のいわゆる「円形リング」である。
-行
この用語は、四角形、ならびに三角形のネット構造にのみ適用可能であり、センターまたは他の行に一辺が接するフィールドの面積の合計と同等である。この場合、相前後して一列に並んだすべてのフィールドが一行を形成していることが当てはまり、そのため、いくつかのフィールドは、(リングの個々の行の接点において)リング内の複数の列に所属する。
-ラスター
この用語は、これが同一の四角形のみからなることを特徴とする特別な種類の(ここではこのように称する)ネット構造を記述するものである。これは行および列から形成され、これらはすべて相互に同じ距離を有している。このようにして成立した「フィールド」は、これらの特別なケースではピクセルまたは画素とも称され得る。
-ラスターグラフィックス
この用語は、ピクセルのラスター状の配置構成によって特徴付けられるコンピュータ可読データの形態を記述している。ラスターグラフィックス用の例示的な形式としては、一般的なPNG形式が挙げられよう。
-ピクセル
用語ピクセルは、ラスターグラフィックスにおける個々の画素を表す。これには厳密に1つの色値が割り当てられている。場合によっては、本明細書では、基礎となるネット構造間の共通性を明確にするため、ピクセルについて用語フィールドも使用されている。
-所要メモリ
この用語は、コンピュータまたはその他の情報処理媒体上で必要とされる空きメモリスペースの容量を記述している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
2.13 図面リスト
【表3】
【
図3】円形のネット構造の可能な実施形態; 解像度 = 4; 成長 = 4; 成長の変化 = 0; 拡張 = 8; 回転 = 0; ピッチ = 1; ピッチ成長 = 0; ねじれ = 0; ねじれ成長 = 0'
【
図4】円形のネット構造の可能な実施形態; 解像度 = 4; 成長 = 1; 成長の変化 = 1; 拡張 = 5; 回転 = 0; ピッチ = 1; ピッチ成長 = 1; ねじれ = 0; ねじれ成長 = 0
【
図5】円形のネット構造の可能な実施形態; 解像度 = 4; 成長 = 4; 成長の変化 = 0; 拡張 = 未知; 回転 = 0; ピッチ = 4; ピッチ成長 = 0; ねじれ = 0; ねじれ成長= 0
【
図6】円形のネット構造の可能な実施形態; 解像度 = 4; 成長 = 0; 成長の変化 = 0; 拡張 = 4; 回転 = 0; ピッチ = 2; ピッチの成長 = 0; ねじれ = 3度; ねじれ成長 = 100%
【
図8】請求項1に記載の方法を実施するコンピュータプログラムのユーザーインターフェースの可能な実現
【
図9】請求項1に記載の方法の技術的実現-
図1/2
【
図10】請求項1に記載の方法の技術的実現-
図2/2
【外国語明細書】