(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058497
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】PSEUDOMONAS AERUGINOSAに対して使用するためのDNA抗体構築物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230418BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230418BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20230418BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20230418BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20230418BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230418BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230418BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230418BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/11 Z
C12N15/31
C12N15/85 Z
A61P43/00 111
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023003954
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2019510582の分割
【原出願日】2017-05-05
(31)【優先権主張番号】62/332,363
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(71)【出願人】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー.ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】アミ パテル
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】Pseudomonas aeruginosa感染、及び、バイオフィルム形成を、予防、及び/または、治療する改善された治療方法を提供する。
【解決手段】本発明は、1つ以上のDNAモノクローナル抗体(DMAb)をコードする核酸分子に関するものであって、当該核酸分子が、a)抗-PcrV DMAb(DMAb-αPcrV)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片あるいはホモログ、b)抗-Psl DMAb(DMAb-αPsl)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片あるいはホモログ、及び、c)二重特異性抗-PcrV抗-Psl DMAb(DMAb-BiSPA)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、もしくは、そのホモログ、の1つ以上を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のDNAモノクローナル抗体(DMAb)をコードする核酸分子であって、前記核酸分子が、
a)抗-PcrV DMAb(DMAb-αPcrV)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、あるいは、そのホモログ、
b)抗-Psl DMAb(DMAb-αPsl)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、あるいは、そのホモログ、及び
c)二重特異性抗-PcrV抗-Psl DMAb(DMAb-BiSPA)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、もしくは、そのホモログ、からなる群から選択される少なくとも1つを含む、前記核酸分子。
【請求項2】
開裂ドメインをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
a)が、
a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
c)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、
d)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、
e)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列、
f)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片、
g)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列、及び
h)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列の断片、からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項5】
b)が、
a)配列番号20のアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
b)配列番号20のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
c)配列番号20のアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、
d)配列番号20のアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、
e)配列番号19のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列、
f)配列番号19のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片、
g)配列番号19のヌクレオチド配列、及び
h)配列番号19のヌクレオチド配列の断片、からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項6】
c)が、
a)配列番号18、及び、配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
b)配列番号18、及び、配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
c)配列番号18、及び、配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、
d)配列番号18、及び、配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、
e)配列番号17、及び、配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列、
f)配列番号17、及び、配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片、
g)配列番号17、及び、配列番号19からなる群より選択されるヌクレオチド配列、及び
h)配列番号17、及び、配列番号19からなる群より選択されるヌクレオチド配列の断片、からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記核酸分子が、IRESエレメントをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記IRESエレメントが、ウイルスIRES、及び、真核生物IRESからなる群から選択される、請求項6に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記核酸分子が、配列番号24、及び、配列番号25からなる群から選択されるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記核酸分子が、リボ核酸分子である請求項1~9のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項11】
発現ベクターを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の核酸分子を含む組成物。
【請求項13】
医薬として許容される賦形剤をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
対象の疾患を治療する方法であって、前記対象に対して、請求項1~11のいずれか1項に記載の核酸分子、または、請求項12~13のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
前記疾患が、Pseudomonas aeruginosa感染症である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象に対して、抗生物質を投与することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記抗生物質を、核酸分子または組成物の投与後10日未満で投与する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象におけるバイオフィルムの形成を予防または治療する方法であって、前記対象に対して、請求項1~11のいずれか1項に記載の核酸分子、または、請求項12~13のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記バイオフィルムが、Pseudomonas aeruginosaバイオフィルムである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象に対して抗生物質を投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記抗生物質を、核酸分子または組成物の投与後10日未満で投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象において合成二重特異性抗体を生成するための組成物であって、1つ以上の抗体、または、その断片をコードする1つ以上の核酸分子を含み、前記二重特異性抗体が、第1及び第2の標的に結合する、前記組成物。
【請求項23】
前記第1の標的が、腫瘍関連抗原である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記第2の標的が、免疫細胞上の細胞表面マーカーである、請求項22に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、2016年5月5日に出願された米国仮特許出願第62/332,363号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、抗-PcrV、及び、二重特異性抗-PcrV抗-Psl抗体などの1つ以上の合成抗体、及び、その機能的断片を、インビボで、生成するための組換え核酸配列を含む組成物、及び、当該組成物を投与することで、対象における細菌感染を予防、及び/または、治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多剤耐性(MDR)Pseudomonas spp.は、治療が最も困難な病原体の1つである。Pseudomonas spp.の感染は、嚢胞性線維症を有する個体での急性肺炎、及び、慢性肺炎の主要な原因であり、及び、火傷、または、その他の傷害における最も一般的な感染源であり、敗血症によって死亡に至ることもある。Pseudomonas spp.は、医療用インプラント、カテーテル、及び、人工関節などの医療装置の表面に付着して、例えば、カテーテルを詰まらせたり、インプラントを物理的に損傷させたりする、などの数々の問題を引き起こす。バイオフィルム形成細菌であるPseudomonasは、高濃度の抗生物質に対して高度な耐性を示す。現在のところ、治療用抗体が、複数の疾患の治療用に承認されている。残念ながら、精製された抗体の製造、及び、送達には法外な費用を要する。さらに、これらの抗体治療は、毎週乃至毎月、改めて投与をしなければならず、このことは、医療用インプラントでのバイオフィルム形成の予防または治療など、慢性疾患の治療での厄介な検討事項となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、当該技術分野では、Pseudomonas aeruginosa感染、及び、バイオフィルム形成を、予防、及び/または、治療する改善された治療方法が必要とされている。本発明は、この要望に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態において、本発明は、1つ以上のDNAモノクローナル抗体(DMAb)をコードする核酸分子に関するものであって、当該核酸分子が、a)抗-PcrV DMAb(DMAb-αPcrV)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片あるいはホモログ、b)抗-Psl DMAb(DMAb-αPsl)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片あるいはホモログ、及び、c)二重特異性抗-PcrV抗-Psl DMAb(DMAb-BiSPA)の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、もしくは、そのホモログ、の1つ以上を含む。
【0006】
ある実施形態において、当該核酸分子は、開裂ドメインをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0007】
ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上、または、その断片、もしくは、そのホモログをコードする核酸分子は、a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、c)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、d)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、及び、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、e)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列、f)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片、g)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列、及び、h)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、及び、配列番号15からなる群から選択されるヌクレオチド配列の断片の1つ以上である。
【0008】
ある実施形態において、DMAb-αPslの可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードする核酸分子、または、その断片、もしくは、そのホモログは、a)配列番号20のアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、b)配列番号20のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、c)配列番号20のアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、d)配列番号20のアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、e)配列番号19のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列、e)配列番号19のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片、f)配列番号19のヌクレオチド配列、及び、g)配列番号19のヌクレオチド配列の断片の1つ以上である。
【0009】
ある実施形態において、DMAb-BiSPAの可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上、または、その断片、もしくは、そのホモログをコードする核酸分子は、a)配列番号18、及び、配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、b)配列番号18、及び、配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、c)配列番号18、及び、配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、d)配列番号18、及び、配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列、e)配列番号17、及び、配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列、f)配列番号17、及び、配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、そのヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片、g)配列番号17、及び、配列番号19からなる群より選択されるヌクレオチド配列、及び、h)配列番号17、及び、配列番号19からなる群より選択されるヌクレオチド配列の断片の1つ以上である。
【0010】
ある実施形態において、当該核酸分子は、IRESエレメントをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。ある実施形態において、当該IRESエレメントは、ウイルスIRES及び真核生物IRESからなる群から選択される。
【0011】
ある実施形態において、当該核酸分子は、リーダー配列をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0012】
ある実施形態において、当該核酸分子は、発現ベクターを含む。
【0013】
ある実施形態において、本発明は、DMAb-αPcrV、DMAb-αPsl、DMAb-BiSPAから選択される1つ以上のDNAモノクローナル抗体、または、その断片、または、そのホモログをコードする核酸分子を含む組成物に関する。
【0014】
ある実施形態において、当該組成物は、医薬として許容される賦形剤をさらに含む。
【0015】
ある実施形態において、本発明は、対象における疾患を予防または治療する方法に関するものであって、当該方法は、DMAb-αPcrV、DMAb-αPsl、DMAb-BiSPAから選択される1つ以上のDNAモノクローナル抗体、または、その断片、または、そのホモログを含む核酸分子または組成物を、当該対象に対して投与することを含む。
【0016】
ある実施形態において、当該疾患は、Pseudomonas aeruginosa感染症である。
【0017】
ある実施形態において、当該方法は、抗生物質を当該対象に投与するステップをさらに含む。ある実施形態において、抗生物質を、核酸分子または組成物の投与後10日未満で投与する。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、対象におけるバイオフィルム形成を予防または治療する方法に関するものであって、当該方法は、DMAb-αPcrV、DMAb-αPsl、DMAb-BiSPAから選択される1つ以上のDNAモノクローナル抗体、または、その断片、または、そのホモログを含む核酸分子または組成物を、当該対象に対して投与することを含む。
【0019】
ある実施形態において、当該バイオフィルムは、Pseudomonas aeruginosaバイオフィルムである。
【0020】
ある実施形態において、当該方法は、抗生物質を対象に対して投与することをさらに含む。ある実施形態において、抗生物質を、核酸分子または組成物の投与後10日未満で投与する。
【0021】
ある実施形態において、本発明は、1つ以上の抗体をインビボで生成するために二重特異性である1つ以上のDNAモノクローナル抗体をコードする核酸分子を含む組成物に関するものであって、当該核酸分子は、a)第1の抗原の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、もしくは、そのホモログ、及び、b)第2の抗原の可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域の1つ以上をコードするヌクレオチド配列、または、その断片、もしくは、そのホモログの1つ以上を含む。
【0022】
ある実施形態において、本発明の二重特異性抗体分子は、あらゆる所望の特異的な2つの結合部位を有し得る。幾つかの実施形態において、当該結合部位の1つは、腫瘍関連抗原に結合することができる。幾つかの実施形態において、当該結合部位の1つは、免疫細胞上の細胞表面マーカーに結合することができる。
【0023】
ある実施形態において、本発明の二重特異性抗体は、とりわけ、CD19/CD3、HER3/EGFR、TNF/IL-17、IL-1α/IL1β、IL-4/IL-13、HER2/HER3、GP100/CD3、ANG2/VEGFA、CD19/CD32B、TNF/IL17A、IL-17A/IL17E、CD30/CD16A、CD19/CD3、CEA/CD3、HER2/CD3、CD123/CD3、GPA33/CD3、EGRF/CD3、PSMA/CD3、CD28/NG2、CD28/CD20、EpCAM/CD3、または、MET/EGFRを標的とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1A~
図1Cを含む
図1は、DMAb送達、及び、インビトロ発現を実証する例示的実験の結果を示す。
図1Aは、DMAbが、モノクローナル抗体クローンV2L2MD及びABC123のIgG抗体重鎖及び軽鎖をコードし、その結果、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPA構築物が得られるようにデザインしてあることを実証している概略図を示す。最適化したDMAb構築物を、インビボのIM-EPでマウスに投与すると、筋肉細胞は、モノクローナル抗体を合成するようになる。完全に機能的なDMAbが、分泌され、そして、全身循環に移行する。
図1Bは、HEK293T細胞が、DMAb-αPcrV、DMAb-BiSPA、または、コントロールのpGX0001の1μg/ウェルでトランスフェクトされたことを実証する例示的実験の結果を示す。i)上清、及び、ii)細胞溶解物を、48時間後に回収した。試料を、ヒトIgGについてアッセイした。
図1Cは、トランスフェクトされた細胞に由来する細胞溶解物を用いて実施された例示的ウエスタンブロットの結果を示す。10μgの全細胞溶解物を各レーンに置き、そして、SDS-PAGEゲルに流した後に、ニトロセルロースメンブレン上に移した。このメンブレンを、HRPに接合したヤギ抗-ヒトIgG H+L抗体でプローブした。ECL化学発光キットを用いて試料を現像し、そして、フィルム上で可視化した。
【
図2】
図2A~
図2Dを含む
図2は、マウス骨格筋におけるDMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAの発現を実証する例示的実験の結果を示す。BALB/cマウスは、DMAb-αPcrV、または、DMAb-BiSpA DNAを有するDNA注射をTA筋肉内で行い、続いて、インビボ電気穿孔を行った。
図2Aは、DMAb-αPcrVを受ける細胞の例示的な画像を示す。
図2Bは、DMAb-BiSPAを受ける細胞の例示的な画像を示す。
図2Cは、pGX0001空ベクター主鎖を受ける細胞の例示的な画像を示す。
図2Dは、ナイーブ筋細胞の例示的な画像を示す。筋肉組織を、DMAb注射の3日後に採取し、ヤギ抗-ヒトIgG Fc抗体でプローブし、続いて、抗-ヤギIgG AF88及びDAPIで検出した。
【
図3】
図3A~
図3Fを含む
図3は、マウスにおける、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAのインビボでの発現を実証する例示的実験の結果を示す。
図3Aは、IM-EPで100μgのDMAb-αPcrVを投与したB6.Cg-Foxnl<nu>/Jマウス(n=5/群)について120日間にわたってモニターしたヒトIgGの血清レベルを実証する例示的実験の結果を示す。
図3Bは、100μg及び300μgのDMAb-αPcrVを投与したBALB/cマウス(n=10/群)における、7日目の血清レベルを実証する例示的実験の結果を示す。
図3Cは、100μgのDMAb-αPcrVを投与したBALB/cマウス(n=10/群)における、7日目のPcrVタンパク質への血清結合を実証する例示的実験の結果を示す。
図3Dは、IM-EPで100μgのDMAb-BiSPAを投与したB6.Cg-Foxnl
nu/Jマウス(n=5/群)について120日間にわたってモニターしたヒトIgGの血清レベルを実証する例示的実験の結果を示す。
図3Eは、100μg及び300μgのDMAb-BiSPAを投与したBALB/cマウス(n=10/群)における、7日目の血清レベルを実証する例示的実験の結果を示す。
図3Fは、100μgのDMAb-BiSPAを投与したBALB/cマウス(n=10/群)における、PcrVタンパク質に対する7日目の血清結合を実証する例示的実験の結果を示す。
【
図4】
図4A~
図4Cを含む
図4は、BALB/cマウスにおける、DMAb-αPcrV、DMAb-BiSPA、及び、マウスIgG2a DMAbの薬物動態を実証する例示的実験の結果を示す。BALB/cマウスは、DMAbの100μgDNA注射をTA筋肉内で行い、続いて、インビボ電気穿孔(n=10/群)を行った。血清ヒトIgG1レベルを、DMAbを注射して後、21日間モニターし、そして、ELISAによって定量した。マウスIgG2aレベルを、DMAbを注射して後、103日間モニターし、ELISAによって定量した。
図4Aは、DMAb-αPcrVの薬物動態を実証する例示的実験の結果を示す。
図4Bは、DMAb-BiSPAの薬物動態を実証する例示的実験の結果を示す。
図4Cは、コントロールのIgG2A DMAbでの薬物動態を実証する例示的実験の結果を示す。
【
図5】
図5A~
図5Dを含む
図5は、致命的肺炎を誘発した後のBALB/cマウスにおける、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAによって与えられるインビボでの機能性及び保護作用を実証する例示的実験の結果を示す。
図5Aは、300μgのDMAb-αPcrV、DMAb-BiSPA、または、ABC123 IgG(2mg/kg)を投与したBALB/cマウスの血清IgGレベルを実証する例示的実験の結果を示す。n=5マウス/群。DMAb-BiSPAを投与した2匹の動物では、抗細胞傷害活性アッセイの検出限界以下であった。抗体レベルは、接種日の血清でのDMAbを表している。
図5Bは、致死量接種の-5日目に、コントロールのDMAb-DVSF3(黒丸)、DMAb-αPcrV(赤丸)、DMAb-BiSPA(緑丸)を、または、-1日目に、精製したABC123モノクローナル抗体(紫丸)を接種したBALB/cマウスにおけるインビボでの保護作用を実証する例示的実験の結果を示す(データは、2つの独立した実験から得たものであり、n=8/群/実験、合計n=16)。
図5Cは、異なる用量のDMAb-BiSPA、100μg(紫丸)、200μg(緑丸)、300μg(赤丸)、または、DMAb-DVSF3(コントロール)の保護作用を実証する例示的実験の結果を示す。n=8匹のマウス/群。
図5Dは、異なる用量のDMAb-BiSPAを用いて血清DMAb濃度を実証する例示的実験の結果を示す。n=8匹のマウス/群。
【
図6】
図6A~
図6Dを含む
図6は、致命的P.aeruginosaを接種した後のDMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAで処置した動物の臓器保護効果を実証する例示的実験の結果を示す。
図6Aは、DMAb-DVSF3、DMAb-αPcrV、DMAb-ABC123、または、ABC123 IgGで処置をした動物における致命的肺炎誘発後の肺、脾臓、及び、腎臓からP.aeruginosa細菌の臓器負荷(CFU/mL)を定量した例示的実験の結果を示す。
図6Bは、DMAbで処置をした後の感染動物における肺重量を実証する例示的実験の結果を示す。
図6Cは、致命的接種を受けた後にDMAbで処置をした動物の肺のホモジネートにおける炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルを実証する例示的実験の結果を示す。
図6A~
図6Cでは、n=8匹のマウス/群である。線は平均値を表す。ボックスとウィスカープロットは、すべての点を表示し、棒は、最小値から最大値を示す。
図6Dは、致命的肺炎誘発の24時間後の感染動物と比較した、非感染動物におけるDMAb及びABC123 IgGの血清IgGレベルを示す例示的実験の結果を示す。
【
図7】
図7A~
図7Hを含む
図7は、P.aeruginosa6077(ヘマトキシリン及びエオシン(HE))で感染させてから48時間後の急性肺炎の組織を実証する例示的実験の結果を示す。
図7Aは、顕著な肺胞浸潤及び出血の合体領域を示している、DMAb-DVSF3を用いた電気穿孔後を実証する例示的実験の結果を示す(倍率10倍)。
図7Bは、肺胞が、顕著な好中球浸潤、出血、及び、壊死の領域を有することを実証する例示的実験の結果を示す(差し込み図)。
図7Cは、DMAb-αPcrVによる軽度の肺炎、及び、偶発細気管支破片を示す例示的実験の結果を示す(倍率10倍)。
図7Dは、混合好中球、及び、マクロファージ集団からなる肺胞浸潤を実証する例示的実験の結果を示す(差し込み図)。
図7Eは、DMAb-BiSPA群における軽度の肺胞炎を実証する例示的実験の結果を示す(倍率10倍)。
図7Fは、主として、肺胞腔における好中球浸潤、及び、軽度の出血を実証する例示的実験の結果を示す(差し込み図)。
図7Gは、ABC123 IgGコントロールが、中程度の肺胞炎を示すことを実証する例示的実験の結果を示す(倍率10倍)。
図7Hは、肺胞腔が、細胞破片と混合された好中球、及び、出血を含んでいることを実証する例示的実験の結果を示す(差し込み図)。5匹のマウス/群から得た代表的なデータ。
【
図8】
図8は、
図8A~
図8Bを含み、抗生物質投与計画を用いたDMAbの組み合わせを実証する例示的実験の結果を示す。
図8Aは、BALB/cマウスに対して、コントロールのDMAb-DVSF3(100μg)、生理食塩水+メロペネム(MEM、2.3mg/kg)、DMAb-BiSPA(100μg)、または、DMAb-BiSPA(100μg)+MEM(2.3mg/kg)を注射し、次いで、致死量のP.aeruginosa6077を接種したことを実証する例示的実験の結果を示す。MEMを、致命的接種の1時間後に投与した。感染させて後の144時間、動物をモニターした。n=8匹のマウス/群。
図7Bは、致命的接種前の動物におけるDMAb血清レベルを実証する例示的実験の結果を示す。n=8匹のマウス/群。線は平均値を表し、誤差棒は標準偏差を表す。
【
図9】
図9は、DMAb-V2L2インビボでの発現の最適化を実証する例示的実験の結果を示す。BALB/cマウスは、TA筋肉に、DMAb-αPcrV、または、DMAb-BiSpA DNAを含むDNA注射を一度だけ受け、次いで、インビボ電気穿孔を受けた。グラフは、ヒアルロニダーゼ(400U/mL)を用いた製剤と電気穿孔の最適化という流れの前後のそれぞれで、DMAb-αPcrVを、100μg、200μg、または、300μgで投与をしたBALB/cマウス(n=5/群)における、7日目の血清レベルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。当該組成物を、それを必要とする対象に投与し、合成抗体のインビボでの発現および形成を容易にする。
【0026】
特に、組換え核酸配列から発現した重鎖及び軽鎖ポリペプチドは、合成抗体に組み立てることができる。当該重鎖ポリペプチド及び当該軽鎖ポリペプチドは、抗原に結合することができ、本明細書に記載のようにして組み立てられていない抗体に比べて免疫原性がさらに強く、かつ、抗原に対して免疫応答を惹起、もしくは、誘導することが可能な合成抗体の組み立てができるように、互いに相互作用することができる。
【0027】
さらに、これらの合成抗体は、抗原誘導の免疫応答に応答して産生される抗体よりもさらに速やかに対象内で生成される。当該合成抗体は、広範な抗原に効率的に結合し、中和することができる。当該合成抗体は、疾患を効率的に防御し、及び/または、疾患生存率を改善することもできる。
【0028】
1.定義
特に定義していない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書が優先となる。本発明の実施または試験において、本明細書に記載したものと同様または同等の方法及び材料を用いることはできるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び、他の引用文献は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。なお、本明細書で開示した材料、方法、及び、実施例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0029】
本明細書で使用する用語「を含む(comprise(s))」、「を含む(include(s))」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「できる(can)」、「を含む(contain(s))」、及び、その変形は、付加的な行為または構造の可能性を妨げない、制限しない移行句、用語、または、単語であることを意図している。単数形である「a」、「and」、および「the」は、文脈上断りの無い限りは、複数形の意味を持つこともある。本開示は、明示的に記載されているかどうかに関わらず、本明細書に示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から実質的になる(consisting essentially of)」その他の実施形態も企図する。
【0030】
「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、または、IgEの抗体、または、Fab、F(ab’)2、Fdを含む、その断片もしくは誘導体、ならびに、その一本鎖抗体、及び、誘導体を意味し得る。当該抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、または、これらの混合物のうち、所望のエピトープ、または、それに由来する配列に対する十分な結合特異性を示すものであり得る。
【0031】
本明細書で互換的に使用する、「抗体断片」または「抗体の断片」は、抗原結合部位または可変領域を含む完全抗体の一部分のことを指す。この部分は、完全抗体のFc領域のある特定の重鎖領域(すなわち、抗体アイソタイプに応じてCH2、CH3またはCH4)を含まない。抗体断片の例として、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド、及び、重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドなどがあるが、これらに限定されない。
【0032】
「抗原」は、宿主内で免疫応答を惹起することが可能なタンパク質のことを指す。抗原は、抗体により認識されて結合され得る。抗原は、体内または外部環境から生じ得る。
【0033】
本明細書で使用する「コード配列」または「コード化核酸」とは、ヌクレオチド配列(例えば、RNAまたはDNA)、または、本明細書に記載の抗体をコードする核酸配列を含む核酸分子のことを指し得る。ある実施形態において、コード配列は、抗体をコードするRNA配列が転写されるDNA配列を含む。ある実施形態において、コード配列は、抗体をコードするRNA配列を含む。当該コード配列は、核酸の投与先である個体または哺乳動物の細胞での発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終止シグナルをさらに含むことができる。当該コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含み得る。
【0034】
本明細書で使用する「相補体」または「相補的」とは、ある核酸が、ヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間に、ワトソン・クリック(例えば、A-T/U及びC-G)、または、フーグスティーン塩基対を表わすことを意味し得る。
【0035】
本明細書で使用する「定電流」とは、組織、または、当該組織を規定する細胞が、同組織に送達される電気パルスの持続期間中に受容する、または、経験する電流を定義する。当該電気パルスは、本明細書に記載の電気穿孔装置から送達される。この電流は、電気パルスの寿命期間中、当該組織に定電流量で留まるが、それは、本明細書で提供される電気穿孔装置が、好ましくは、瞬間的フィードバックを有しているフィードバック素子を具備しているからである。当該フィードバック素子は、パルスの持続期間中の組織(または、細胞)の抵抗を測定し、及び、電気穿孔装置に自身の電気エネルギー出力を変化させる(例えば、電圧を上げる)ようにすることができるので、同組織での電流は、電気パルスの間ずっと(マイクロ秒のオーダーで)、及び、パルス間において、一定であり続ける。幾つかの実施形態において、フィードバック素子は、制御器を含む。
【0036】
本明細書で使用する「電流フィードバック」または「フィードバック」は、互換的に使用されており、及び、提供される電気穿孔装置の活発な応答を意味し得るが、これは、電極間の組織の電流を測定することと、電流を一定レベルで維持するために、EP装置が送達するエネルギー出力を適宜変化させることとを含む。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気処理を開始する前に、使用者が予め設定する。電気穿孔装置内の電気回路が、電極間の組織の電流を連続的にモニターし、そのモニターされた電流(または、組織内の電流)を予め設定された電流と比較し、連続的にエネルギー出力の調整を行なって、モニターされた電流を予め設定されたレベルで維持することができるように、フィードバックは、電気穿孔装置の電気穿孔コンポーネント、例えば、制御器によって達成され得る。当該フィードバックループは、瞬時のものであり得るものであり、それは、フィードバックループが、アナログ閉ループフィードバックであるからである。
【0037】
本明細書で使用する「分散電流」とは、本明細書に記載の電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得るものであり、これらのパターンは、電気穿孔される組織のあらゆる領域に対する電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限に抑えるか、または、好ましくは、消失させる。
【0038】
本明細書で互換的に使用する「電気穿孔」、「電気透過処理」、または「界面動電増強」(「EP」)は、生体膜に微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を意味し得る。こうした微細経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン、及び、水などの生体分子が、細胞膜の片側から他方の側に通過することが可能になる。
【0039】
本明細書で使用する「内因性抗体」とは、体液性免疫応答を誘導するのに有効な量で存在する、抗原を投与されている対象内で生成される抗体のことを指し得る。
【0040】
本明細書で使用する「フィードバック機構」とは、ソフトウェアまたはハードウェア(または、ファームウェア)のいずれかによって実行されるプロセスであって、(エネルギーパルスの送達前、送達中、及び/または、送達後の)所望の組織のインピーダンスを受容し、それを現在値、好ましくは、電流と比較して、送達されるエネルギーパルスを調整して、予め設定された値を達成するプロセスのことを指し得る。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路により実施され得る。
【0041】
「断片」は、機能、すなわち、所望の標的に結合でき、かつ、全長抗体と同じ意図した効果を有する抗体のポリペプチド断片を意味し得る。抗体の断片は、シグナルペプチド、及び/または、第1位のメチオニンを有していても、欠いていても、いずれの場合にも、N末端、及び/または、C末端から少なくとも1つのアミノ酸が欠けている以外は、全長と100%同一であってもよい。断片は、付加されたあらゆる異種シグナルペプチドを除いて、特定の全長抗体の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上を含み得る。当該断片は、当該抗体に対して95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または、99%以上同一であり、かつ、同一率を計算する際に含まれないN末端メチオニン、または、異種シグナルペプチドをさらに含むポリペプチドの断片を含む。さらに、断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのN末端メチオニン、及び/または、シグナルペプチドをさらに含み得る。N末端メチオニン、及び/または、シグナルペプチドは、抗体の断片に結合し得る。
【0042】
抗体をコードする核酸配列の断片は、シグナルペプチド、及び/または、第1位のメチオニンをコードする配列を有していても、または、欠いていても、いずれの場合にも、5’末端、及び/または、3’末端から少なくとも1つのヌクレオチドが欠けている以外は、全長と100%同一とし得る。断片は、付加されたあらゆる異種シグナルペプチドを除いた特定の全長コード配列の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上を含み得る。当該断片は、抗体に対して95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または、99%以上同一であり、かつ、同一率を計算する際に含まれないN末端メチオニン、または、異種シグナルペプチドをコードする配列をさらに任意に含むポリペプチドをコードする断片を含み得る。さらに、断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのN末端メチオニン、及び/または、シグナルペプチドに対するコード配列をさらに含み得る。N末端メチオニン、及び/または、シグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に結合し得る。
【0043】
本明細書で使用する「遺伝子構築物」とは、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子またはRNA分子のことを指す。当該遺伝子構築物は、RNA分子から転写されたDNA分子のことも指す。当該コード配列は、核酸分子の投与先である個体の細胞で発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと作動可能に連結した、開始及び終止シグナルを含む。本明細書で使用する用語「発現可能な形態」とは、個体の細胞に存在しているときにコード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結した必要な調節要素を含んでいる遺伝子構築物のことを指す。ある実施形態において、遺伝子構築物は、本明細書に記載のDNA配列から転写されたRNA配列を含む。例えば、ある実施形態において、当該遺伝子構築物は、本発明の抗体、その変異体、または、その断片をコードする配列を含むDNA分子から転写されたRNA分子を含む。
【0044】
本明細書において、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の関係で使用する「同一」または「同一性」は、当該配列が、指定領域に渡って指定の割合の同一残基を有することを意味し得る。この割合を計算するには、2つの配列を好適に整列させ、指定領域に渡って2つの配列を比較し、双方の配列間で同一残基が発生する位置の数を確定して一致位置の数を得て、一致した位置の個数を指定領域の合計位置数で割り、計算結果に100を掛けることで、配列同一性のパーセント値を算出し得る。2つの配列の長さが異なるか、あるいは、アライメントにより1つ以上の付着末端が生じて、指定の比較領域に単一配列のみが含まれる場合には、単一配列の残基を、計算の分母には含めるが、分子には含めない。DNAとRNAを比較する場合には、チミン(T)とウラシル(U)を同等とみなし得る。同一性は、筆算で求めてもよく、あるいは、BLASTやBLAST 2.0等のコンピューター配列アルゴリズムを使用して計算することもできる。
【0045】
本明細書で使用する「インピーダンス」は、フィードバック機構を論ずる際に利用し得るものであり、かつ、オームの法則に従って電流値に変換することができるため、予め設定された電流と比較が可能である。
【0046】
本明細書で使用する「免疫応答」とは、1つ以上の核酸、及び/または、ペプチドの導入に応答して、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系が活性化することを意味し得る。この免疫応答は、細胞性応答または体液性応答、または、その両方であり得る。
【0047】
本明細書で使用する「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合している少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。一本鎖を表現することで、相補鎖の配列も定義される。したがって、核酸は、表現される一本鎖の相補鎖も包含する。ある核酸の多くの変異体を、所定の核酸として同一目的で使用し得る。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸、及び、その相補体も含む。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズできるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも含む。
【0048】
核酸は、一本鎖または二本鎖とし得るものであり、あるいは、二本鎖と一本鎖の両方の配列の一部分を含み得る。当該核酸は、DNA、双方のゲノム、及び、cDNA、RNA、または、ハイブリッドとし得るものであり、当該核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの組み合わせを含み得るものであり、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、及び、イソグアニンを含む塩基の組み合わせを含み得る。核酸は、化学合成法、または、組換え法により取得し得る。
【0049】
本明細書で使用する「作動可能に連結した」は、遺伝子の発現が、遺伝子と空間的に接続しているプロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置し得る。当該プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子において当該プロモーターを制御する遺伝子とプロモーターとの間の距離とほぼ同一とし得る。当該技術分野で周知の通り、プロモーター機能を喪失させずに、この距離の変化に適応し得る。
【0050】
本明細書で使用する「ペプチド」、「タンパク質」、または、「ポリペプチド」とは、アミノ酸の結合配列のことを意味することができ、天然、合成、または、天然及び合成の修飾、あるいは、それらの組み合わせとすることができる。
【0051】
本明細書で使用する「プロモーター」とは、核酸の細胞での発現を、実現し、活性化し、または、増強することのできる合成分子または天然由来分子のことを意味し得る。プロモーターは、発現をさらに増強し、及び/または、空間的発現、及び/または、その一時的発現を改変する目的で、1つ以上の特定の転写調節配列を含み得る。プロモーターは、遠位のエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントを含むこともでき、このものは、転写開始部位から数千塩基対も離れた場所に位置することができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び、動物を含む起源に由来し得る。プロモーターは、遺伝子成分の発現を調節し得るものであり、発現が起こる細胞、組織、もしくは、臓器、あるいは、発現が起こる発生段階については、恒常的もしくは差次的に、または、例えば、生理的ストレス、病原体、金属イオン、あるいは、誘発剤などの外部刺激に応答して同発現を調節し得る。プロモーターの代表例として、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、及び、CMV IEプロモーターなどがある。
【0052】
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用されており、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端に結合することができるアミノ酸配列のことを指す。一般的に、シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質の局在化を指示する。本明細書で使用するシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、タンパク質を産生する細胞からタンパク質を分泌し易くする。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、タンパク質、別名、成熟タンパク質の残余から開裂されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端に結合する。
【0053】
本明細書で使用する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、例えば、核酸の複合混合物において、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が、第2の核酸配列(例えば、標的)とハイブリダイズする際の条件のことを意味し得る。ストリンジェントな条件は配列に依存するため、状況に応じて変化する。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHにおける特定の配列に対する融点(Tm)より約5~10℃低くなるように選択される。このTmとは、(所定のイオン強度、pH、及び、核酸濃度下で)標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度のことである(この標的配列は、過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3において、約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mのナトリウムイオン濃度(または、その他の塩)であり、及び、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)では、低くとも約30℃、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチドを超えるもの)では、低くとも約60℃とし得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加しても実現し得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下の条件を含む。50%ホルムアミド、5×SSC、及び、1%SDSを用いて、42℃でのインキュベート、あるいは、5×SSC、1%SDSを用いて、65℃でのインキュベートと、0.2×SSC、及び、0.1%SDSを用いて、65℃での洗浄を含む。
【0054】
本明細書で互換的に使用する「対象」及び「患者」とは、あらゆる脊椎動物を指すものであって、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、及び、マウス)、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、もしくは、アカゲザル、チンパンジーなどのサル)、及び、ヒトなどがあるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、当該対象は、ヒトあるいは非ヒトとし得る。当該対象あるいは患者は、その他の形態の処置を受け得る。
【0055】
本明細書で使用する「実質的に相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個またはそれ以上の個数のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列が、第2の配列の相補体と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%同一であること、あるいは、2つの配列が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0056】
本明細書で使用する「実質的に同一」は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、1100個、または、それ以上の個数のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列と第2の配列が、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%同一であること、あるいは、核酸に関して、当該第1の配列が、当該第2の配列の相補体と実質的に相補的であることを意味し得る。
【0057】
本明細書で使用する「合成抗体」とは、本明細書に記載の組み換え核酸配列によってコードされ、そして、対象において生成される抗体のことを指す。
【0058】
本明細書で使用する「処置」または「処置する」は、疾患の予防、抑制、抑圧、または、完全排除の手段を介して、対象を疾患から防御するものと意味することができる。疾患を予防することは、その疾患の発症前に、当該対象に対して、本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑制することは、その疾患の誘導後であって、その疾患の臨床的出現の前に、当該対象に対して、本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑圧することは、その疾患の臨床的出現後に、当該対象に対して、本発明のワクチンを投与することを含む。
【0059】
核酸に関して本明細書で使用する「変異体」は、(i)基準ヌクレオチド配列の一部または断片、(ii)基準ヌクレオチド配列またはその一部の相補体、(iii)基準核酸またはその相補体と実質的に同一の核酸、または、(iv)ストリンジェントな条件下で、基準核酸、その相補体、または、それらと実質的に同一の配列とハイブリダイズする核酸のことを意味し得る。
【0060】
ペプチドまたはポリペプチドに関して使用する「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失、または、保存的置換によってアミノ酸配列が異なっているが、少なくとも1つの生物活性を保持しているものを意味し得る。また、変異体は、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有する基準タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を、類似する特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、及び、分布)の別のアミノ酸に置換することは、当該技術分野では、通常は軽微な変化を伴うものと認識されている。こうした軽微な変化は、当該技術分野で理解されているように、アミノ酸の疎水親水度指数を検討することで、部分的に同定できる。Kyte et al., J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水親水度指数は、その疎水性と電荷の考察に基づく。類似の疎水親水度指数を有するアミノ酸は置換可能であり、その後もタンパク質機能を維持する、ことが当該技術分野において公知である。ある態様において、±2の疎水親水度指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いて、生物機能を保持したタンパク質となる置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を検討することで、そのペプチドの局所的な最大平均親水性を計算でき、抗原性と免疫原性に対して良好に相関すると報告された有用な尺度となる。本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用する米国特許第4,554,101号。当該技術分野で理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸を置換すると、例えば、免疫原性などの生物活性を保持したペプチドが得られる。親水性値が互いに±2以内のアミノ酸を用いて、置換を実施できる。アミノ酸の疎水性指標と親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。こうした知見と一致して、生物機能に適合するアミノ酸の置換とは、当該アミノ酸の相対的類似性、特に、当該アミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存するものと理解されており、このことは、疎水性、親水性、電荷、大きさ、及び、その他の特性から明らかになる。
【0061】
変異体は、完全遺伝子配列、または、その断片の全長にわたって実質的に同一な核酸配列とし得る。当該核酸配列は、当該遺伝子配列、または、その断片の全長にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%同一とし得る。変異体は、アミノ酸配列、または、その断片の全長にわたって実質的に同一なアミノ酸配列とし得る。当該アミノ酸配列は、当該アミノ酸配列、または、その断片の全長にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%同一とし得る。
【0062】
本明細書で使用する「ベクター」は、複製開始点を含む核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または、酵母人工染色体とし得る。ベクターは、DNAベクター、または、RNAベクターとし得る。ベクターは、自己複製過剰染色体ベクター、または、宿主ゲノムに組み込むベクターのいずれかとし得る。
【0063】
本明細書における数値範囲の記載については、同程度の精度で、その間に入る各数を、明示的に企図している。例えば、6~9という範囲の場合、6及び9に加えて、7及び8という数を企図しており、6.0~7.0という範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び、7.0という数を明示的に企図している。
【0064】
2.組成物
本発明は、一部は、哺乳動物細胞においてモノクローナル抗体または二重特異性抗体を産生するために使用するための新規な配列の生成に基づく。ある実施形態において、当該配列は、細菌ベクター、酵母ベクター、及び、ウイルスベクターを含むDNAまたはRNAベクターでの送達のためのものである。本発明は、抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする組み換え核酸配列を含む組成物に関する。当該組成物は、それを必要とする対象に投与された場合、当該対象にて合成抗体の生成をもたらし得る。当該合成抗体は、対象内に存在する標的分子(すなわち、抗原)に結合することができる。そのような結合は、抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸によって抗原の認識をブロックして、抗原に免疫応答を惹起または誘発することができる。
【0065】
ある実施形態において、当該組成物は、合成抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、当該組成物は、第1の合成抗体をコードする第1のヌクレオチド配列、及び、第2の合成抗体をコードする第2のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。ある実施形態において、当該核酸分子は、開裂ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0066】
ある実施形態において、当該核酸分子は、抗-PcrV抗体(DMAb-αPcrV)をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVをコードするヌクレオチド配列は、DMAb-αPcrVの可変VHまたはVL領域をコードするコドン最適化核酸配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VH領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードする。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VL領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードする。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VH領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12に記載のアミノ酸配列をコードする。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VL領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号16に記載のアミノ酸配列をコードする。
【0067】
ある実施形態において、抗-PcrV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2に記載の可変VH領域、及び、配列番号4に記載の可変VL領域をコードする。ある実施形態において、抗-PcrV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12に記載の可変VH領域、及び、配列番号16に記載の可変VL領域をコードする。ある実施形態において、抗-PcrV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6、配列番号8、配列番号10、及び、配列番号14から選択されるアミノ酸配列をコードする。
【0068】
ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VH領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1に記載の配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VL領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号3に記載の配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VH領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号11に記載のヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVの可変VL領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号15に記載の配列を含む。
【0069】
ある実施形態において、DMAb-αPcrVをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1に記載の可変VH配列、及び、配列番号3に記載の可変VL配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVをコードするヌクレオチド配列は、配列番号11に記載の可変VH配列、及び、配列番号15に記載の可変VL配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPcrVをコードするヌクレオチド配列は、配列番号5、配列番号7、配列番号9、及び、配列番号13から選択される配列を含む。
【0070】
ある実施形態において、DMAb-αPcrVをコードするヌクレオチド配列は、リーダー配列をコードする配列に作動可能に連結される。様々な実施形態において、リーダー配列に作動可能に連結した配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び、配列番号16を、それぞれ、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、及び、配列番号41に記載している。
【0071】
ある実施形態において、当該核酸分子は、抗-Psl抗体(DMAb-αPsl)をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPslをコードする当該ヌクレオチド配列は、DMAb-αPslの可変VH領域、及び、可変VL領域をコードするコドン最適化核酸配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPslをコードする当該ヌクレオチド配列は、DMAb-αPslの可変VH領域、及び、可変VL領域をコードするコドン最適化核酸配列を含む。ある実施形態において、DMAb-αPslをコードするヌクレオチド配列は、配列番号20に記載のアミノ酸配列をコードする。ある実施形態において、DMAb-αPslをコードするヌクレオチド配列は、配列番号19に記載のヌクレオチド配列を含む。
【0072】
ある実施形態において、DMAb-αPslをコードするヌクレオチド配列を、リーダー配列をコードする配列に作動可能に連結する。様々な実施形態において、リーダー配列に作動可能に連結した配列番号19及び配列番号20は、それぞれ、配列番号44及び配列番号45に記載してある。
【0073】
ある実施形態において、当該核酸分子は、二重特異性抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、二重特異性抗体は、抗-PcrV、及び、抗-Psl二重特異性抗体(DMAb-BiSPA)である。ある実施形態において、DMAb-BiSPAをコードする当該ヌクレオチド配列は、DMAb-BiSPAの可変VH領域、及び、可変VL領域をコードするコドン最適化核酸配列を含む。ある実施形態において、DMAb-BiSPAをコードするヌクレオチド配列は、配列番号18及び配列番号22から選択されるアミノ酸配列をコードする。ある実施形態において、DMAb-BiSPAをコードするヌクレオチド配列は、配列番号17及び配列番号21から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0074】
ある実施形態において、二重特異性抗体をコードするヌクレオチド配列を、リーダー配列をコードする配列に作動可能に連結する。様々な実施形態において、リーダー配列に作動可能に連結した配列番号17、配列番号18、配列番号21、及び、配列番号22を、それぞれ、配列番号42、配列番号43、配列番号46、及び、配列番号47に記載している。
【0075】
ある実施形態において、当該核酸分子は、リボヌクレオチド配列を含むRNA分子を含む。ある実施形態において、当該RNA分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20から、配列番号22、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、及び、配列番号47から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、RNA分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20から、配列番号22、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、及び、配列番号47から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子から生成された転写物を含む。ある実施形態において、RNA分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19から、配列番号21、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、及び、配列番号46から選択されるヌクレオチド配列を含むDNA分子から生成された転写物を含む。
【0076】
本発明の組成物は、細菌活性に関連するあらゆる疾患、障害、または、病態を、処置、予防、及び/または、防御することができる。特定の実施形態において、当該組成物は、細菌感染症を、処置、予防、及び/または、防御することができる。特定の実施形態において、当該組成物は、細菌バイオフィルム形成を、処置、予防、及び/または、防御することができる。特定の実施形態において、当該組成物は、Pseudomonas aeruginosa感染症を、処置、予防、及び/または、防御することができる。特定の実施形態において、当該組成物は、Pseudomonas aeruginosaバイオフィルム形成を、処置、予防、及び/または、防御することができる。特定の実施形態において、当該組成物は、敗血症を、処置、予防、及び/または、予防することができる。
【0077】
合成抗体は、当該組成物を投与した対象における疾患を、処置、予防、及び/または、防御することができる。抗原に結合することで、当該合成抗体は、当該組成物を投与した対象における疾患を、処置、予防、及び/または、防御することができる。当該合成抗体は、当該組成物を投与した対象における疾患生存率を改善することができる。ある実施形態において、当該合成抗体は、当該合成抗体の投与を受けていない同じ疾患を有する対象において予測された生存期間にわたって、当該疾患を有する対象の延命を可能にする。様々な実施形態において、当該合成抗体は、当該組成物の非存在下で予測される生存期間にわたって、当該組成物の投与を受けた当該疾患を有する対象の生存について、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または、100%の改善を示すことができる。ある実施形態において、当該合成抗体は、当該対象における疾患を防御しており、当該合成抗体の投与を受けていない対象において予期される防御を超えるものである。様々な実施形態において、当該合成抗体は、当該組成物の投与を受けた対象の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または、100%において疾患を防御しており、当該組成物の非存在下で予測される防御を超えるものである。
【0078】
当該組成物は、当該対象に当該組成物を投与した後、少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、または、60時間以内に、その対象にて当該合成抗体を生成することができる。当該組成物は、当該対象に当該組成物を投与した後、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または、10日以内に、その対象にて当該合成抗体を生成することができる。当該組成物は、当該対象に当該組成物を投与した後、約1時間~約6日、約1時間~約5日、約1時間~約4日、約1時間~約3日、約1時間~約2日、約1時間~約1日、約1時間~約72時間、約1時間~約60時間、約1時間~約48時間、約1時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、または、約1時間~約6時間以内に、その対象にて当該合成抗体を生成することができる。
【0079】
当該組成物は、それを必要とする対象に投与した場合に、抗原の投与を受けて体液性免疫応答を誘発する対象において内因性抗体を生成する場合よりも迅速に、当該対象において当該合成抗体を生成することができる。当該組成物は、抗原の投与を受けて体液性免疫応答を誘発する対象において内因性抗体を生成する少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または、10日前に、当該合成抗体を生成することができる。
【0080】
本発明の組成物は、安全であるなど、有効な組成物に必要とされる特徴を有しているため、当該組成物は、病気や死亡に至らしめるものではなく、病気を防御し、そして、投与が容易で、副作用もほぼ皆無であり、生物学的に安定で、また、用量当たりのコストも削減する。
【0081】
a.二重特異性抗体
本明細書のその他の箇所に記載したように、当該組成物は、組換え核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列は、二重特異性抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該抗体の詳細は、後述する。本発明は、第1の標的に対して特異的に結合する第1の抗原結合部位、及び、第2の標的に対して特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、例えば、生産性、安定性、結合親和性、生物学的活性、特定のT細胞への特異的標的、標的効率、及び、低い毒性などの特に有利な性質を有する、新規の二重特異性抗体を提供する。幾つかの例において、二重特異性抗体が存在し、当該二重特異性抗体は、第1の標的に対して高い親和性で結合し、かつ、第2の標的に対しては低い親和性で結合する。その他の例において、二重特異性抗体が存在し、当該二重特異性抗体は、低い親和性で第1の標的に対して、そして、高い親和性で第2の標的に対して結合する。その他の例において、二重特異性抗体が存在し、当該二重特異性抗体は、第1の標的に対して所望の親和性で結合し、及び、第2の標的に対して所望の親和性で結合する。
【0082】
ある実施形態において、当該二重特異性抗体は、a)第1の抗原に対して特異的に結合する抗体の第1の軽鎖及び第1の重鎖、及び、b)第2の抗原に対して特異的に結合する抗体の第2の軽鎖及び第2の重鎖を含む、二価抗体である。
【0083】
本発明の二重特異性抗体分子は、あらゆる所望の特異性の2つの結合部位を有し得る。幾つかの実施形態において、当該結合部位の一方は、腫瘍関連抗原に結合することができる。幾つかの実施形態において、Fab断片に含まれる結合部位は、腫瘍関連表面抗原に特異的な結合部位である。幾つかの実施形態において、一本鎖Fv断片に含まれる結合部位は、腫瘍関連表面抗原などの腫瘍関連抗原に特異的な結合部位である。
【0084】
本明細書で使用する用語「腫瘍関連表面抗原」は、腫瘍細胞の表面または腫瘍細胞内に存在、あるいは、提示することができる抗原のことを指す。これらの抗原は、細胞表面上に提示することができ、分子の膜貫通部分及び細胞質部分と組み合わされることが多い細胞外部分を有する。これらの抗原は、幾つかの実施形態において、腫瘍細胞のみが提示できるのであって、正常細胞、すなわち、非腫瘍細胞は提示できない。腫瘍抗原は、腫瘍細胞上でのみ発現することができ、または、非腫瘍細胞と比較して、腫瘍特異的変異を表すことができる。このような実施形態において、それぞれの抗原は、腫瘍特異的抗原と称し得る。幾つかの抗原は、腫瘍関連抗原と称される腫瘍細胞と非腫瘍細胞の両方によって提示される。これらの腫瘍関連抗原は、非腫瘍細胞と比較して、腫瘍細胞上で過剰発現することができ、あるいは、非腫瘍組織と比較して、腫瘍組織の構造がコンパクトでないため、腫瘍細胞における抗体結合が可能である。幾つかの実施形態において、当該腫瘍関連表面抗原は、腫瘍の脈管構造上に位置する。
【0085】
腫瘍関連表面抗原を例示すると、CD10、CD19、CD20、CD22、CD33、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、上皮成長因子受容体(EGFR)、Her2neu、Her3、IGFR、CD133、IL3R、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、CDCP1、Derlin1、テネイシン、フリズルド1-10、血管抗原VEGFR2(KDR/FLK1)、VEGFR3(FLT4、CD309)、PDGFR-α(CD140a)、PDGFR-β(CD140b)エンドグリン、CLEC14、Teml-8、及び、Tie2などがある。さらなる例として、A33、CAMPATH-1(CDw52)、癌胎児性抗原(CEA)、炭酸脱水酵素IX(MN/CAIX)、CD21、CD25、CD30、CD34、CD37、CD44v6、CD45、CD133、de2-7 EGFR、EGFRvIII、EpCAM、Ep-CAM、葉酸結合タンパク質、G250、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、c-Kit(CD117)、CSF1R(CD115)、HLA-DR、IGFR、IL-2受容体、IL3R、MCSP(メラノーマ関連細胞表面コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、Muc-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異抗原(PSA)、及び、TAG-72などがある。腫瘍の細胞外マトリックスに発現する抗原の例として、テネイシン、及び、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)がある。
【0086】
幾つかの実施形態において、本発明の抗体分子の結合部位の1つは、T細胞特異的受容体分子、及び/または、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)特異的受容体分子に結合することができる。T細胞特異的受容体、別名、「T細胞受容体」(TCR)細胞とは、T細胞に対して結合することが可能で、そして、さらなるシグナルが存在する場合には、抗原提示細胞またはAPCとも呼ばれているその他の抗原によって提示されたエピトープ/抗原によって活性化され、そして、それらに応答する。当該T細胞受容体は、天然に存在する免疫グロブリンのFab断片に似ていることが知られている。一般的に、それらは、α-及びβ-鎖を含む一価であり、幾つかの実施形態において、それらは、γ-鎖及びδ-鎖を含む(上記)。したがって、幾つかの実施形態において、当該TCRは、TCR(α/β)であり、及び、幾つかの実施形態において、TCR(γ/δ)である。当該T細胞受容体は、CD3 T細胞共受容体と複合体を形成する。CD3は、タンパク質複合体であり、4つの異なる鎖から構成される。哺乳動物において、当該複合体は、CD3γ鎖、CD36鎖、及び、2つのCD3E鎖を含む。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られている分子及びζ鎖と会合して、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。したがって、幾つかの実施形態において、T細胞特異的受容体は、CD3 T細胞共受容体である。幾つかの実施形態において、T細胞特異的受容体は、T細胞でも発現するタンパク質であるCD28である。CD28は、T細胞活性化に必要な共刺激シグナルを提供することができる。CD28は、T細胞増殖、及び、生存、サイトカイン産生、及び、T-ヘルパー2型の発生において重要な役割を果たす。T細胞特異的受容体のさらに別の例は、CD134、別名、Ox40である。CD134/OX40は、活性化して24~72時間後に発現し、そして、二次共刺激分子を定義するために使用することができる。T細胞受容体の別の例は、抗原提示細胞(APC)に関する4-1 BBリガンドに結合することができる4-1 BBであり、これにより、T細胞のための共刺激シグナルが生成する。主にT細胞で認められる受容体の別の例は、CD5であり、B細胞でも低頻度で認められる。受容体修飾T細胞機能のさらなる例は、その他の細胞の表面で発現するFasリガンドによるアポトーシスシグナル伝達を媒介するCD95であり、Fas受容体としても知られている。CD95は、休止Tリンパ球におけるTCR/CD3-駆動シグナル伝達経路を調節する、との報告がある。
【0087】
NK細胞特異的受容体分子の例は、CD16、低親和性Fc受容体、及び、NKG2Dである。T細胞、及び、ナチュラルキラー(NK)細胞の双方の表面に存在する受容体分子の例は、CD2と、CD2スーパーファミリーのさらなるメンバーである。CD2は、T細胞、及び、NK細胞での共刺激分子として作用することができる。
【0088】
幾つかの実施形態において、当該抗体分子の当該第1の結合部位は、腫瘍関連表面抗原に結合し、及び、当該第2の結合部位は、T細胞特異的受容体分子、及び/または、ナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合する。幾つかの実施形態において、当該抗体分子の当該第1の結合部位は、A33、CAMPATH-1(CDw52)、癌胎児性抗原(CEA)、炭酸脱水酵素IX(MN/CAIX)、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD37、CD44v6、CD45、CD133、CDCP1、Her3、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、CLEC14、Derlin1、上皮増殖因子受容体(EGFR)、de2-7 EGFR、EGFRvIII、EpCAM、エンドグリン、Ep-CAM、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、葉酸結合タンパク質、G250、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、c-Kit(CD117)、CSFIR(CD115)、フリズルド1-10、Her2/neu、HLA-DR、IGFR、IL-2受容体、IL3R、MCSP(メラノーマ関連細胞表面コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、Muc-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的抗原(PSA)、TAG-72、テネイシン、Teml-8、Tie2、及び、VEGFR2(KDR/FLK1)、VEGFR3(FLT4、CD309)、PDGFR-α(CD140a)、PDGFR-β(CD140b)の1つと結合し、及び、当該第2の結合部位は、T細胞特異的受容体分子、及び/または、ナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合する。幾つかの実施形態において、当該抗体分子の当該第1の結合部位は、腫瘍関連表面抗原に結合し、及び、当該第2の結合部位は、CD3、当該T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40,4-1BB、CD2、CD5、及び、CD95の1つと結合する。
【0089】
幾つかの実施形態において、当該抗体分子の当該第1の結合部位は、T細胞特異的受容体分子、及び/または、ナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合し、及び、当該第2の結合部位は、腫瘍関連表面抗原に結合する。幾つかの実施形態において、当該抗体の当該第1の結合部位は、T細胞特異的受容体分子、及び/または、ナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合し、及び、当該第2の結合部位は、A33、CAMPATH-1(CDw52)、癌胎児性抗原(CEA)、炭酸脱水酵素IX(MN/CAIX)、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD37、CD44v6、CD45、CD133、CDCP1、Her3、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、CLEC14、Derlin1、上皮増殖因子受容体(EGFR)、de2-7 EGFR、EGFRvIII、EpCAM、エンドグリン、Ep-CAM、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、葉酸結合タンパク質、G250、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、フリズルド1-10、Her2/neu、HLA-DR、IGFR、IL-2受容体、IL3R、MCSP(メラノーマ関連細胞表面コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、Muc-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、TAG-72、テネイシン、Teml-8、Tie2、及び、VEGFRの1つに結合する。幾つかの実施形態において、当該抗体の当該第1の結合部位は、CD3、当該T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40,4-1BB、CD2、CD5、及び、CD95の1つに結合し、及び、当該第2の結合部位は、腫瘍関連表面抗原に結合する。
【0090】
ある実施形態において、本発明の当該二重特異性抗体は、とりわけ、CD19とCD3、HER3とEGFR、TNFとIL-17、IL-1αとIL1β、IL-4とIL-13、HER2とHER3、GP100とCD3、ANG2とVEGFA、CD19とCD32B、TNFとIL17A、IL-17AとIL17E、CD30とCD16A、CD19とCD3、CEAとCD3、HER2とCD3、CD123とCD3、GPA33とCD3、EGRFとCD3、PSMAとCD3、CD28とNG2、CD28とCD20、EpCAMとCD3、または、METとEGFR、を標的とする。
【0091】
b.組換え核酸配列
上記したように、当該組成物は、組換え核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列は、当該抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該抗体の詳細については、後述する。
【0092】
当該組換え核酸配列を、異種核酸配列とすることができる。当該組換え核酸配列は、少なくとも1つの異種核酸配列、または、1つ以上の異種核酸配列を含むことができる。
【0093】
当該組換え核酸配列を、最適化核酸配列とすることができる。そのような最適化は、抗体の免疫原性を増大あるいは変化させることができる。最適化により、転写、及び/または、翻訳も改善することができる。最適化とは、以下の1つ以上を含むことができる。低GC含量リーダー配列によって、転写を増大させること。mRNA安定性及びコドン最適化。コザック配列(例えば、GCCACC)を追加して、翻訳を増進させる。そして、シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列を追加する。そして、シス作用配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)を可能な限り取り除くこと。
【0094】
c.組換え核酸配列構築物
当該組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素を含むことができ、その詳細については、後述する。
【0095】
当該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ、または、ペプチダーゼ開裂部位をコードする異種核酸配列も含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする異種核酸配列も含むことができる。IRESは、ウイルス性IRES、または、真核生物IRESのいずれかにし得る。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができ、各リーダー配列は、シグナルペプチドをコードする。
【0096】
ある実施形態において、シグナルペプチドは、MDWTWRILFLVAAATGTHA(配列番号24)のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、シグナルペプチドは、MVLQTQVFISLLLWISGAYG(配列番号25)のアミノ酸配列を含む。シグナルペプチドをコードする配列に作動可能に連結された本発明の抗体をコードする例示的なヌクレオチド配列として、配列番号26~配列番号47に記載のヌクレオチド配列があるが、これに限定されない。
【0097】
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終止領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終止または停止コドン、及び/または、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー、または、タグ配列も含むことができる。当該タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードすることができる。
【0098】
(1)重鎖ポリペプチド
当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸を含むことができる。当該重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域、及び/または、少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含むことができる。少なくとも1つの当該定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、定常重鎖領域3(CH3)、及び/または、ヒンジ領域を含むことができる。
【0099】
幾つかの実施形態において、当該重鎖ポリペプチドは、VH領域、及び、CH1領域を含むことができる。他の実施形態において、当該重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及び、CH3領域を含むことができる。
【0100】
当該重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。このCDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含むことができる。当該重鎖ポリペプチドのN-末端から開始して、これらのCDRを、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と命名する。当該重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及び、CDR3は、当該抗原に対する結合、または、抗原の認識に寄与することができる。
【0101】
(2)軽鎖ポリペプチド
当該組換え核酸配列構築物は、当該軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。当該軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域、及び/または、定常軽鎖(CL)領域を含むことができる。
【0102】
当該軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。このCDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含むことができる。当該軽鎖ポリペプチドのN-末端から開始して、これらのCDRを、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と命名する。当該軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及び、CDR3は、当該抗原に対する結合、または、抗原の認識に寄与することができる。
【0103】
(3)プロテアーゼ開裂部位
当該組換え核酸配列構築物は、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする異種核酸配列を含むことができる。当該プロテアーゼ開裂部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼによって認識することができる。このプロテアーゼは、エンドペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼとすることができ、例えば、フーリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン、及び、ペプシンなどがあるが、これらに限定されない。このプロテアーゼを、フーリンとすることができる。他の実施形態において、このプロテアーゼを、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、または、内部ペプチド結合を開裂する(すなわち、N-末端またはC-末端ペプチド結合を開裂しない)あらゆるプロテアーゼとすることができる。
【0104】
当該プロテアーゼ開裂部位は、開裂の効率を改善または増大する1つ以上のアミノ酸配列を含むことができる。1つ以上の当該アミノ酸配列は、個別のポリペプチドの形成または生成の効率を改善または増大することができる。1つ以上の当該アミノ酸配列は、2Aペプチド配列を含むことができる。
【0105】
(4)リンカー配列
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー配列を含むことができる。当該リンカー配列は、本明細書に記載の1つ以上の構成要素を、空間的に分離、または、連結することができる。他の実施形態において、当該リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に分離、または、連結するアミノ酸配列をコードすることができる。
【0106】
(5)プロモーター
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。1つ以上の当該プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、かつ、調節することが可能なあらゆるプロモーターとし得る。かようなプロモーターは、DNA依存RNAポリメラーゼを経由する転写に必要とされるシス作用配列要素である。遺伝子発現の指示に用いられるプロモーターは、特定の用途に依って選択される。当該プロモーターは、その自然環境における転写開始部位から由来しているため、当該組換え核酸配列構築物の当該転写開始からほぼ同じ距離で位置し得る。しかしながら、この距離の変動は、プロモーター機能を喪失せずに、適合し得る。
【0107】
当該プロモーターは、当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列に作動可能に連結され得る。当該プロモーターは、真核細胞での発現に有効であることが示されたプロモーターとし得る。当該コード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、CMVプロモーター、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、例えば、SV40初期プロモーター、及び、SV40後期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えば、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えば、CMV前初期プロモーターなど、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、または、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどとし得る。また、当該プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、ヒトポリヘドリン、または、ヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターとし得る。
【0108】
当該プロモーターは、宿主細胞が何らかの特定の外的刺激に曝された場合にのみ転写を開始する、構成的プロモーター、または、誘導性プロモーターとすることができる。多細胞生物の場合、当該プロモーターを、特定の組織、または、器官、または、発生段階に特異的にすることもできる。また、当該プロモーターは、組織特異的プロモーター、例えば、筋肉または皮膚特異的プロモーター、天然または合成のものとし得る。かようなプロモーターの例は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する米国特許出願公開公報第US20040175727号に記載されている。
【0109】
当該プロモーターは、エンハンサーと関連することができる。当該エンハンサーは、当該コード配列の上流に位置することができる。当該エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、または、CMV、FMDV、RSV、または、EBVに由来するウイルスエンハンサーとし得る。ポリヌクレオチド機能増強は、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの全内容を援用する米国特許第5,593,972号、第5,962,428号、及び、第WO94/016737号に記載されている。
【0110】
(6)イントロン
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のイントロンを含むことができる。各イントロンは、機能的スプライスドナー部位、及び、機能的スプライスアクセプター部位を含むことができる。当該イントロンは、スプライシングのエンハンサーを含むことができる。当該イントロンは、効率のよいスプライシングに必要な1つ以上のシグナルを含むことができる。
【0111】
(7)転写終止領域
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の転写終止領域を含むことができる。当該転写終止領域は、効率的な終止を提供するためにコード配列の下流とすることができる。当該転写終止領域は、上記したプロモーターと同じ遺伝子から取得することができ、あるいは、1つ以上の異なる遺伝子から取得することもできる。
【0112】
(8)開始コドン
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の開始コドンを含むことができる。当該開始コドンは、当該コード配列の上流に位置させることができる。当該開始コドンは、当該コード配列と共にインフレームにすることができる。当該開始コドンは、効率的な翻訳開始のために必要な1つ以上のシグナルと関連することができ、例えば、リボソーム結合部位と関連することができるが、これに限定されることはない。
【0113】
(9)終止コドン
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の終止または停止コドンを含むことができる。当該終止コドンは、当該コード配列の下流とすることができる。当該終止コドンは、当該コード配列と共にインフレームにすることができる。当該終止コドンは、効率的な翻訳終止のために必要な1つ以上のシグナルと関連することができる。
【0114】
(10)ポリアデニル化シグナル
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含むことができる。当該ポリアデニル化シグナルは、当該転写の効率的なポリアデニル化のために必要な1つ以上のシグナルを含むことができる。当該ポリアデニル化シグナルは、当該コード配列の下流に位置させることができる。当該ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、または、ヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルとし得る。当該SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)由来のポリアデニル化シグナルとし得る。
【0115】
(11)リーダー配列
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができる。当該リーダー配列は、シグナルペプチドをコードすることができる。当該シグナルペプチドを、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチドとすることができ、例えば、IgGシグナルペプチド、及び、IgEシグナルペプチドなどがあるが、これらに限定されない。
【0116】
d.組換え核酸配列構築物の配置
上記したように、当該組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができ、当該組換え核酸配列構築物の各々は、1つ以上の構成要素を含むことができる。1つ以上の当該構成要素とは、先に詳述した通りである。1つ以上の当該構成要素が当該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、互いにあらゆる順序で配置し得る。幾つかの実施形態において、1つ以上の当該構成要素は、後述するようにして、当該組換え核酸配列構築物に配置することができる。
【0117】
(1)配置1
ある配置において、第1の組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができ、かつ、第2の組換え核酸配列構築物は、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができる。
【0118】
当該第1の組換え核酸配列構築物は、ベクターに配置することができる。当該第2の組換え核酸配列構築物は、第2のベクター、または、他のベクターに配置することができる。当該組換え核酸配列構築物のベクターへの配置の詳細を、後述する。
【0119】
当該第1の組換え核酸配列構築物は、プロモーター、イントロン、転写終止領域、開始コドン、終止コドン、及び/または、ポリアデニル化シグナルも含むことができる。当該第1の組換え核酸配列構築物は、当該リーダー配列が、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5‘)に位置する当該リーダー配列をさらに含むことができる。したがって、当該リーダー配列によってコードされる当該シグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該重鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0120】
当該第2の組換え核酸配列構築物は、プロモーター、開始コドン、終止コドン、及び、ポリアデニル化シグナルも含むことができる。当該第2の組換え核酸配列構築物は、当該リーダー配列が、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5’)に位置する当該リーダー配列をさらに含むことができる。したがって、当該リーダー配列によってコードされる当該シグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該軽鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0121】
したがって、配置1の一例は、VH及びCH1を含む当該重鎖ポリペプチドをコードする当該第1のベクター(したがって、第1の組換え核酸配列構築物)、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該第2のベクター(したがって、第2の組換え核酸配列構築物)を含むことができる。配置1の第2の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及び、CH3を含む当該重鎖ポリペプチドをコードする当該第1のベクター(したがって、第1の組換え核酸配列構築物)、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該第2のベクター(したがって、第2の組換え核酸配列構築物)を含むことができる。
【0122】
(2)配置2
第2の配置において、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができる。当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列は、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または5’)に配置することができる。あるいは、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または5’)に配置することができる。
【0123】
当該組換え核酸配列構築物のベクターへの配置の詳細を、後述する。
【0124】
当該組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ開裂部位、及び/または、リンカー配列をコードする当該異種核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする当該異種核酸配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置することができる。したがって、当該プロテアーゼ開裂部位は、発現時に、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドを、異なるポリペプチドに分離させる。他の実施形態において、当該リンカー配列が当該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、当該リンカー配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置することができる。
【0125】
当該組換え核酸配列構築物は、プロモーター、イントロン、転写終止領域、開始コドン、終止コドン、及び/または、ポリアデニル化シグナルも含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、第1のプロモーターが、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と会合することができ、かつ、当該第2のプロモーターが、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と会合できるような、2つのプロモーターを含むことができる。さらに他の実施形態において、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列に関連する1つのプロモーターを含むことができる。
【0126】
当該組換え核酸配列構築物は、第1のリーダー配列を、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5’)に配置し、かつ、第2のリーダー配列を、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5’)に配置している、2つのリーダー配列をさらに含むことができる。したがって、当該第1のリーダー配列によってコードされる第1のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該重鎖ポリペプチドに連結することができ、かつ、当該第2のリーダー配列によってコードされる第2のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該軽鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0127】
したがって、配置2の一例は、VH及びCH1を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該リンカー配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含む。
【0128】
配置2の第2の例は、VH及びCH1を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする当該異種核酸配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置する。
【0129】
配置2の第3の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及び、CH3を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該リンカー配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置する。
【0130】
配置2の第4の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及び、CH3を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする当該異種核酸配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置する。
【0131】
e.組換え核酸配列構築物からの発現
上記したように、当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素に、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができる。したがって、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドの発現を促す。
【0132】
上記した配置1を用いる場合、当該第1の組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドの発現を促すことができ、かつ、当該第2の組換え核酸配列構築物は、当該軽鎖ポリペプチドの発現を促すことができる。上記した配置2を用いる場合、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドの発現を促す。
【0133】
発現時に、例えば、細胞、生物、または、哺乳動物に限らず、それらおいて、当該重鎖ポリペプチド及び当該軽鎖ポリペプチドから、合成抗体を組み立てることができる。特に、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドは、組み立てることで、当該抗原に結合することが可能な当該合成抗体をもたらすように、互いに相互作用することができる。他の実施形態において、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドは、本明細書に記載したようにして組み立てていない抗体と比較して、免疫原性が強い合成抗体を組み立てられるように、互いに相互作用することができる。さらに別の実施形態において、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドは、当該抗原に対して免疫応答を惹起または誘導することができる合成抗体を組み立てられるように、互いに相互作用することができる。
【0134】
当該組換え核酸配列構築物は、リーダー配列をコードする配列をも含み得る。当該リーダー配列は、当該コード配列の5’とし得る。ある実施形態において、当該N末端リーダーは、配列番号24及び配列番号25から選択されるアミノ酸配列を含む。リーダー配列に作動可能に連結された本発明の例示的な核酸、及び、アミノ酸配列を、配列番号26~配列番号47に記載している。
【0135】
f.ベクター
上記した当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のベクターに配置することができる。1つ以上の当該ベクターは、複製起点を含むことができる。1つ以上の当該ベクターを、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または、酵母人工染色体とすることができる。1つ以上の当該ベクターを、自己複製染色体外ベクター、または、宿主ゲノムに組み込まれるベクターとすることができる。
【0136】
ベクターとして、プラスミド、発現ベクター、組換えウイルス、組換え「裸のDNA」ベクターなど、あらゆる形態などあるが、これらに限定されない。「ベクター」は、細胞を、感染、トランスフェクション、一時的または永久的に形質導入することができる核酸を含む。ベクターを、裸の核酸、または、タンパク質または脂質と複合体を形成した核酸とすることが認識されるであろう。当該ベクターは、ウイルスまたは細菌の核酸、及び/または、タンパク質、及び/または、膜(例えば、細胞膜、ウイルス性脂質エンベロープなど)を任意に含む。ベクターとして、DNAの断片が付着して複製され得るレプリコン(例えば、RNAレプリコン、バクテリオファージ)などがあるが、これらに限定されない。したがって、ベクターとして、RNA、自律的自己複製環状または線状DNAまたはRNA(例えば、プラスミド、ウイルスなど、米国特許第5,217,879号を参照されたい)などあり、また、発現プラスミドと非発現プラスミドの双方もあるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、当該ベクターは、線状DNA、酵素DNA、または、合成DNAを含む。組換え微生物または細胞培養物が、「発現ベクター」を宿しているとの記載がある場合、それは、宿主染色体に取り込まれた、染色体外の環状及び線状DNA及びDNAの双方を含む。ベクターが宿主細胞によって維持される場合、当該ベクターは、有糸分裂中に自律的構造として安定に複製されるか、あるいは、宿主のゲノム内に組み込まれ得る。
【0137】
1つ以上の当該ベクターは、異種発現構築物とすることができ、それは、一般的には、標的細胞に特定の遺伝子を導入するために使用されるプラスミドである。当該発現ベクターが細胞内に一旦入ると、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドは、当該細胞転写、及び、翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。1つ以上の当該ベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、及び、故に、タンパク質を発現することができる。
【0138】
(1)発現ベクター
1つ以上の当該ベクターは、環状プラスミド、または、線状核酸とすることができる。当該環状プラスミド、及び、線状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指示することができる。当該組換え核酸配列構築物を含む1つ以上の当該ベクターは、キメラとすることができ、このことは、その構成要素の少なくとも1つが、その他の構成要素の少なくとも1つに関して異種であることを意味している。
【0139】
(2)プラスミド
1つ以上の当該ベクターを、プラスミドとすることができる。当該プラスミドは、当該組換え核酸配列構築物で細胞をトランスフェクトするために有用であり得る。当該プラスミドは、当該組換え核酸配列構築物を当該対象に導入するために有用であり得る。また、当該プラスミドは、当該プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に十分に適合し得る調節配列を含み得る。
【0140】
当該プラスミドは、当該プラスミドを染色体外で維持し、かつ、細胞内で当該プラスミドの複数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点をも含み得る。当該プラスミドを、Invitrogen(San Diego,CA)のpVAX、pCEP4、または、pREP4とすることができ、それらは、エプスタインバーウイルス起点複製、及び、核抗原EBNA-1コード領域を含み得るものであり、組み込みをしなくとも、高コピーエピソーム複製を生じ得る。当該プラスミドの主鎖を、pAV0242とすることができる。このプラスミドを、複製欠損型アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドとし得る。
【0141】
当該プラスミドを、E.coliにおけるタンパク質産生のために使用され得る、pSE420(Invitrogen,San Diego,CA)とし得る。また、当該プラスミドは、酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生のために使用され得る、p YES2(Invitrogen,San Diego,CA)とし得る。また、当該プラスミドは、昆虫細胞におけるタンパク質産生のために使用され得る、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,CA)のものとし得る。また、当該プラスミドは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞におけるタンパク質産生のために使用され得る、pcDNAIまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)とし得る。
【0142】
(3)RNAベクター
ある実施形態において、本発明の当該核酸分子は、本発明の抗体をコードするRNA分子を含む。ある実施形態において、当該RNA分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20から、配列番号22、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、及び、配列番号47から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、当該RNA分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20から、配列番号22、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、及び、配列番号47から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子が生成した転写物を含む。ある実施形態において、当該RNA分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19から、配列番号21、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、及び、配列番号46から選択されるヌクレオチド配列を含むDNA分子が生成した転写物を含む。したがって、ある実施形態において、本発明は、本発明の1つ以上の抗体をコードするRNA分子を提供する。当該RNAは、プラス鎖とし得る。したがって、幾つかの実施形態において、当該RNA分子は、逆転写などの介在性複製ステップを必要とせずに、細胞によって翻訳することができる。本発明に有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、RNAのインビボでの翻訳を促すことができる。本発明に有用なRNA分子の5’ヌクレオチドは、5’三リン酸基を有し得る。キャップされたRNAにおいて、このものは、5’から5’への架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は、3’ポリAテールを有し得る。また、ポリAポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を、その3’末端の近傍に有する。本発明に有用なRNA分子は、一本鎖とし得る。
【0143】
(4)環状及び線状ベクター
1つ以上の当該ベクターを、細胞ゲノムへの組み込みによって標的細胞を形質転換し得るか、あるいは、染色体外に存在し得る環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)とし得る。当該ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、または、provax、または、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができるあらゆる他の発現ベクターとし得る。
【0144】
電気穿孔によって対象に対して効率的に送達され、及び、当該組換え核酸配列によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができる、線状核酸または線状発現カセット(「LEC」)も提供する。このLECは、あらゆるリン酸主鎖を欠いた線状DNAとし得る。このLECは、抗生物質耐性遺伝子、及び/または、リン酸主鎖を含まなくともよい。このLECは、所望の遺伝子発現と無関係の他の核酸配列を含有していなくともよい。
【0145】
当該LECは、線状化することができるあらゆるプラスミドに由来し得る。当該プラスミドは、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができる。当該プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)、または、pM2(New Caledonia/99)とし得る。当該プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、または、provax、または、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができるあらゆる他の発現ベクターとし得る。
【0146】
当該LECを、pcrM2とすることができる。当該LECを、pcrNPとすることができる。pcrNP、及び、pcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)、及び、pM2(New Caledonia/99)から誘導することができる。
【0147】
(5)ウイルスベクター
ある実施形態において、本明細書において、本発明の核酸を細胞に送達することができるウイルスベクターを提供する。当該発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は、当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001)、及び、Ausubel et al.(1997)、及び、その他のウイルス学、及び、分子生物学のマニュアルに記載がされている。ベクターとして有用なウイルスとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及び、レンチウイルスなどがあるが、これらに限定されない。一般的に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び、1つ以上の選択マーカーを含む。(例えば、WO01/96584、WO01/29058、及び、米国特許第6,326,193号を参照されたい。ウイルスベクター、特に、レトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳類、例えば、ヒト細胞に挿入するための最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、及び、アデノ随伴ウイルスなどから誘導することができる。例えば、米国特許第5,350,674号、及び、第5,585,362号を参照されたい。
【0148】
(6)ベクターの調製方法
本明細書では、当該組換え核酸配列構築物が配置された1つ以上のベクターを調製する方法を提供する。最後のサブクローニング工程の後に、当該ベクターを用いて、当該技術分野で周知の方法を用いて、大規模発酵タンクに細胞培養物を接種することができる。
【0149】
他の実施形態において、最後のサブクローニング工程の後に、当該ベクターは、1つ以上の電気穿孔(EP)装置と共に使用することができる。このEP装置の詳細は、後述する。
【0150】
1つ以上のベクターは、公知の装置、及び、技術の組み合わせを利用して製剤または製造することができるが、好ましくは、それらを、2007年5月23日に出願された許諾対象である同時係属中の米国特許仮出願第60/939,792号に記載されたプラスミド製造技術を用いて製造する。幾つかの例において、本明細書に記載のDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤することができる。その製造技術は、米国特許出願第60/939792号に記載されたものに加えて、2007年7月3日に発行された許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されたものをはじめとする、当業者に概ね公知の様々な装置、及び、プロトコルをも含み、かつ、取り入れている。上記した参照出願及び特許である米国特許出願第60/939,792号、及び、米国特許第7,238,522号は、それぞれ、本明細書の一部を構成するものとしてそれらの全内容を援用する。
【0151】
3.抗体
上記したように、当該組換え核酸配列は、抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該抗体は、抗原に結合できるか、あるいは、抗原と反応することができ、その詳細は、後述する。
【0152】
当該抗体は、重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含んでいてもよく、それぞれは、CDRに対する支持体をもたらし、互いにCDRの空間関係を規定する、重鎖及び軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間に介在する。当該CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖または軽鎖のN-末端から開始して、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び、「CDR3」と命名する。したがって、抗原結合部位は、各々が重鎖及び軽鎖V領域からなるCDRセットを含む6つのCDRを含み得る。
【0153】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に開裂して、幾つかの断片を生じさせ、その内の2つの(F(ab)断片)は、それぞれ、無傷抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。当該酵素ペプシンは、IgG分子を開裂して、双方の抗原結合部位を含むF(ab‘)2断片を含めた幾つかの断片を供することができる。したがって、当該抗体は、FabまたはF(ab’)2とすることができる。当該Fabは、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドを含むことができる。当該Fabの当該重鎖ポリペプチドは、当該VH領域、及び、当該CH1領域を含むことができる。当該Fabの軽鎖は、当該VL領域、及び、当該CL領域を含むことができる。
【0154】
当該抗体を、免疫グロブリン(Ig)とすることができる。当該Igを、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及び、IgGとすることができる。当該免疫グロブリンは、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドを含むことができる。当該免疫グロブリンの当該重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及び、CH3領域を含むことができる。当該免疫グロブリンの当該軽鎖ポリペプチドは、VL領域及びCL領域を含むことができる。
【0155】
当該抗体を、ポリクローナル抗体、または、モノクローナル抗体とすることができる。当該抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または、完全ヒト抗体とすることができる。当該ヒト化抗体を、非ヒト種由来の相補性決定領域(CDR)の1つ以上と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを含む、所望の抗原に結合する非ヒト種由来の抗体とすることができる。
【0156】
当該抗体を、以下に詳述するような二重特異性抗体とすることができる。当該抗体は、以下にさらに詳述するような二機能性抗体とすることができる。
【0157】
上記したように、当該対象に当該組成物を投与すると、当該対象において、当該抗体を生成することができる。当該抗体は、当該対象内で半減期を有し得る。幾つかの実施形態において、当該抗体は、当該対象内でその半減期を延長または短縮するように改変され得る。そのような改変の詳細は、後述する。
【0158】
当該抗体は、その詳細を後述するように、脱フコシル化することができる。
【0159】
当該抗体は、その詳細を後述するように、当該抗原に関連する疾患の抗体依存性増強(ADE)を、緩和または防止するように修飾し得る。
【0160】
a.二重特異性抗体
当該組換え核酸配列は、二重特異性抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該二重特異性抗体は、2つの抗原、例えば、その詳細を後述する抗原の2つと結合または反応することができる。当該二重特異性抗体は、本明細書に記載の抗体の2つの断片から構成することができ、それにより、当該二重特異性抗体は、2つの所望の標的分子との結合または反応が可能となり、それら標的分子は、その詳細を後述する抗原、受容体に対するリガンドを含むリガンド、受容体上のリガンド結合部位を含む受容体、リガンド-受容体複合体、及び、マーカーを含み得る。
【0161】
b.二機能性抗体
当該組換え核酸配列は、二機能性抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該二機能性抗体は、後述する抗原と結合するか、または、反応することができる。当該二官能性抗体は、当該抗原の認識及び抗原への結合を超えて、当該抗体に対して付加的な機能性を付与するように改変することもできる。そのような改変として、因子H、または、その断片へのカップリングを含むことができるが、これらに限定されない。因子Hは、補体活性化の可溶性調節因子であり、また、補体媒介性溶解(CML)を介した免疫応答に寄与し得る。
【0162】
c.抗体半減期の延長
上記したように、当該抗体を、当該対象における当該抗体の半減期を延長または短縮するように改変し得る。当該改変は、当該対象での当該血清に含まれる当該抗体の当該半減期を延長または短縮し得る。
【0163】
当該改変は、当該抗体の定常領域に存在し得る。当該改変を、当該抗体の定常領域における1つ以上のアミノ酸の置換としてもよく、1つ以上の当該アミノ酸の置換を含有しない抗体の半減期と比較して、当該抗体の当該半減期を延長する。当該改変を、当該抗体のCH2ドメインにおける1つ以上のアミノ酸の置換としてもよく、1つ以上の当該アミノ酸の置換を含有しない抗体の半減期と比較して、当該抗体の当該半減期を延長する。
【0164】
幾つかの実施形態において、当該定常領域における1つ以上の当該アミノ酸の置換として、当該定常領域のメチオニン残基をチロシン残基で置換すること、当該定常領域のセリン残基をスレオニン残基で置換すること、当該定常領域のスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、または、それらのあらゆる組み合わせを含み得るものであって、それにより、当該抗体の当該半減期を延長する。
【0165】
他の実施形態において、当該定常領域における1つ以上の当該アミノ酸の置換として、当該CH2ドメインのメチオニン残基をチロシン残基で置換すること、当該CH2ドメインのセリン残基をスレオニン残基で置換すること、当該CH2ドメインのスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、または、それらのあらゆる組み合わせを含み得るものであって、それにより、当該抗体の当該半減期を延長する。
【0166】
d.脱フコシル化
当該組換え核酸配列は、フコシル化されていない抗体(すなわち、脱フコシル化抗体、または、非フコシル化抗体)、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。フコシル化は、当該糖フコースの分子への付加、例えば、N-グリカン、O-グリカン、及び、糖脂質へのフコースの結合を含む。したがって、脱フコシル化抗体では、フコースは、当該定常領域の当該炭水化物鎖に結合していない。次に、このフコシル化が欠如すると、当該フコシル化抗体と比較して、当該抗体によるFcγRIIIa結合、及び、抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性を改善し得る。したがって、幾つかの実施形態において、当該非フコシル化抗体は、フコシル化抗体と比較して、ADCC活性の増加を示し得る。
【0167】
当該抗体を改変して、当該抗体のフコシル化を予防または阻害し得る。幾つかの実施形態において、そのような改変抗体は、未改変の当該抗体と比較して、ADCC活性の増加を示し得る。当該改変は、重鎖、軽鎖、または、それらの組み合わせとし得る。当該改変は、当該重鎖における1つ以上のアミノ酸の置換、当該軽鎖における1つ以上のアミノ酸の置換、または、それらの組み合わせとし得る。
【0168】
e.ADE応答の低下
当該抗体を改変して、当該抗原に関連する疾患の抗体依存性感染増強(ADE)は抑制または防止するが、当該抗原は依然として中和し得る。
【0169】
幾つかの実施形態において、当該抗体を改変して、FcyRlaに対する当該抗体の結合を抑制または予防する1つ以上のアミノ酸の置換を含むようにし得る。1つ以上の当該アミノ酸の置換は、当該抗体の当該定常領域に存在し得る。1つ以上の当該アミノ酸の置換は、当該抗体の当該定常領域でのロイシン残基をアラニン残基で置換すること、すなわち、本明細書でLA、LA変異、または、LA置換として示した置換を含み得る。1つ以上の当該アミノ酸の置換は、当該抗体の当該定常領域での2つのロイシン残基を、それぞれ、アラニン残基で置換すること、すなわち、本明細書でLALA、LALA変異、または、LALA置換として示した置換を含み得る。当該LALA置換の存在は、FcyR1aに対する抗体の結合を予防またはブロックし得るものであって、したがって、当該改変抗体は、当該抗原に関連する疾患のADEを増強または惹起せずに、当該抗原は依然として中和し得る。
【0170】
4.抗原
当該合成抗体は、その抗原、または、その断片、または、その変異体に関する。当該抗原を、核酸配列、アミノ酸配列、多糖類、または、それらの組み合わせとすることができる。当該核酸配列を、DNA、RNA、cDNA、それらの変異体、それらの断片、または、それらの組み合わせとすることができる。当該アミノ酸配列を、タンパク質、ペプチド、それらの変異体、それらの断片、または、それらの組み合わせとすることができる。当該多糖類を、核酸でコードされた多糖類とすることができる。
【0171】
当該抗原を、細菌由来のものとすることができる。当該抗原を、細菌感染と関連させることができる。ある実施形態において、当該抗原を、細菌毒性因子とすることができる。
【0172】
ある実施形態において、本発明の合成抗体は、2つ以上の抗原を標的とする。ある実施形態において、二重特異性抗体の少なくとも1つの抗原は、本明細書に記載の抗原から選択される。ある実施形態において、2つ以上の抗原は、本明細書に記載の抗原から選択される。
【0173】
a.細菌性抗原
当該細菌抗原は、細菌抗原、または、その断片、または、その変異体とすることができる。当該細菌は、以下の門、Acidobacteria、Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes、Caldiserica、Chlamydiae、Chlorobi、Chloroflexi、Chrysiogenetes、Cyanobacteria、Deferribacteres、Deinococcus-Thermus、Dictyoglomi、Elusimicrobia、Fibrobacteres、Firmicutes、Fusobacteria、Gemmatimonadetes、Lentisphaerae、Nitrospira、Planctomycetes、Proteobacteria、Spirochaetes、Synergisters、Tenericutes,Thermodesulfobacteria、Thermotogae、及び、Verrucomicrobiaのいずれか1つに由来することができる。
【0174】
当該細菌を、グラム陽性菌、または、グラム陰性菌とすることができる。当該細菌を、好気性細菌、または、嫌気性細菌とすることができる。当該細菌を、独立栄養細菌、または、従属栄養細菌とすることができる。当該細菌を、中温菌、好中球、好極限性菌、好酸菌、好アルカリ菌、好熱菌、好冷菌、好塩菌、または、好濃菌とすることができる。
【0175】
当該細菌を、炭疽菌、抗生物質耐性細菌、疾患起炎菌、食中毒細菌、感染性細菌、Salmonella細菌、Staphylococcus細菌、Streptococcus細菌、または、破傷風菌とすることができる。当該細菌を、mycobacteria、Clostridium tetani、Yersinia pestis、Bacillus anthracis、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、または、Clostridium difficileとすることができる。当該細菌を、Pseudomonas aeruginosaとすることができる。
【0176】
(a)Pseudomonas aeruginosa抗原
当該細菌抗原を、Pseudomonas aeruginosa抗原、または、その断片、または、その変異体とし得る。当該Pseudomonas aeruginosa抗原は、毒性因子に由来することができる。Pseudomonas aeruginosaに関連する毒性因子として、構造成分、酵素、及び、毒素があるが、これらに限定されない。Pseudomonas aeruginosa毒性因子は、エキソ多糖類、付着因子、リポ多糖類、ピオシアニン、外毒素A、外毒素S、細胞毒素、エラスターゼ、アルカリプロテアーゼ、ホスホリパーゼC、ラムノリピッド、及び、細菌分泌系の成分の1つである。
【0177】
ある実施形態において、抗原は、細胞外多糖類(例えば、アルギン酸塩、Pel、及び、Psl)である。ある実施形態において、抗原は、多糖合成遺伝子座(psl)、そこに含まれる遺伝子(例えば、pslA、pslB、pslC、pslD、pslE、pslF、pslG、pslH、pslI、pslJ、pslK、pslL、pslM、pslN、及び、pslO)、そこでコードされるタンパク質または酵素(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、ホスホマンノースイソメラーゼ/GDP-D-マンノースピロホスホリラーゼ、トランスポーター、加水分解酵素、ポリメラーゼ、アセチル化酵素、脱水素酵素、及び、トポイソメラーゼ)、または、そこから産生される産物(例えば、Pslエキソ多糖類、別名、「Psl」)の1つである。
【0178】
ある実施形態において、抗原は、細菌分泌系の成分である。細菌に関しては、6つの異なるクラスの分泌系(タイプIからVI)が知られており、そのうち5つ(タイプI、II、II、V、及び、VI)は、Pseudomonas aeruginosaを含むグラム陰性菌であることが知られている。ある実施形態において、抗原は、遺伝子(例えば、apr、または、遺伝子を有する)、または、タンパク質(例えば、AprD、AprE、AprF、HasD、HasE、HasF、及び、HasR)、または、I型分泌系の分泌タンパク質(例えば、AprA、AprX、及び、HasAp)の1つである。ある実施形態において、抗原は、遺伝子(例えば、xcpA/pilD、xphA、xqhA、xcpP~Q、及び、xcpR~Z)、または、タンパク質(例えば、GspC~M、GspAB、GspN、GspO、GspS、XcpT~XcpX、FppA)、または、II型発現系の分泌タンパク質(例えば、LasB、LasA、PlcH、PlcN、PlcB、CbpD、ToxA、PmpA、PrpL、LipA、LipC、PhoA、PsAP、LapA)の1つである。ある実施形態において、抗原は、遺伝子(例えば、psc、pcr、pop、または、exs遺伝子)、または、タンパク質(例えば、PscC、PscE~PscF、PscJ、PscN、PscP、PscW、PopB、PopD、PcrH、及び、PcrV)、または、III型発現系の分泌タンパク質(例えば、ExoS、ExoT、ExoU、および、ExoY)の1つである。ある実施形態において、抗原は、III型分泌系の調節因子(例えば、ExsA及びExsC)である。ある実施形態において、抗原は、遺伝子(例えば、estA)、または、タンパク質(例えば、EstA、CupB3、CupB5、及び、LepB)、または、V型分泌系の分泌タンパク質(例えば、EstA、LepA、及び、CupB5)の1つである。ある実施形態において、抗原は、遺伝子(例えば、HSI-I、HSI-II、及び、HSI-III遺伝子)、または、タンパク質(例えば、Fha1、VgrGタンパク質、または、Hcpタンパク質)、または、VI型分泌系の分泌タンパク質(Hcp1)の1つである。
【0179】
5.組成物の賦形剤及び他の成分
当該組成物は、医薬として許容される賦形剤をさらに含み得る。医薬として許容される当該賦形剤を、ビヒクル、担体、または、希釈剤としての機能的分子とすることができる。医薬として許容される当該賦形剤を、界面活性剤を含むことができる、トランスフェクション促進剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AなどのLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、または、ナノ粒子、または、その他の公知のトランスフェクション促進剤とすることができる。
【0180】
当該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、ポリ-L-グルタミン酸塩(LGS)など、または、脂質である。当該トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸塩であり、かつ、当該ポリ-L-グルタミン酸塩は、6mg/ml未満の濃度で当該組成物に存在し得る。当該トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AなどのLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、及び、スクアレン及びスクアレンなどの小胞を含んでいてもよく、そして、ヒアルロン酸を用いて、当該組成物と共に投与もし得る。当該組成物は、トランスフェクション促進剤、例えば、脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)などの当該技術分野で周知のその他のリポソームなどのリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、または、ナノ粒子、または、その他の公知のトランスフェクション促進剤も含み得る。当該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、ポリ-L-グルタミン酸塩(LGS)など、または、脂質である。当該ワクチンでの当該トランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または、0.010mg/ml未満である。
【0181】
当該組成物は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号に記載の遺伝的助長因子をさらに含み得る。
【0182】
当該組成物は、約1ng~100mg、約1μg~約10mg、または、好ましくは、約0.1μg~約10mg、または、より好ましくは、約1mg~約2mgの量のDNAを含む。幾つかの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、約5ng~約1000μgのDNAを含む。幾つかの好ましい実施形態において、組成物は、約10ng~約800μgのDNAを含むことができる。幾つかの好ましい実施形態において、当該組成物は、約0.1~約500μgのDNAを含むことができる。幾つかの好ましい実施形態において、当該組成物は、約1~約350μgのDNAを含むことができる。幾つかの好ましい実施形態において、当該組成物は、約25~約250μg、約100~約200μg、約1ng~100mg、約1μg~約10mg、約0.1μg~約10mg、約1mg~約2mg、約5ng~約1000μg、約10ng~約800μg、約0.1~約500μg、約1~約350μg、約25~約250μg、約100~約200μgのDNAを含むことができる。
【0183】
当該組成物は、用いられる投与様式にしたがって製剤することができる。注射可能な医薬組成物は、滅菌された発熱物質不含のもの、及び、微粒子不含のものとすることができる。等張性製剤または溶液を用いることができる。等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及び、ラクトースがある。当該組成物は、血管収縮剤を含むことができる。当該等張性溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含むことができる。当該組成物は、ゼラチンやアルブミンなどの安定化剤をさらに含むことができる。当該安定剤、LGS、または、ポリカチオン、または、ポリアニオンなどは、製剤を、室温または周囲温度で、長時間安定にすることができる。
【0184】
6.合成抗体の生成方法
また、本発明は、合成抗体の生成方法に関する。当該方法は、その詳細を後述する送達方法を用いて、それを必要とする当該対象に対して当該組成物を投与することを含むことができる。したがって、当該組成物を当該対象に投与した際に、当該合成抗体は、対象内またはインビボで生成される。
【0185】
また、当該方法は、当該組成物を、1つ以上の細胞に導入することを含むことができ、したがって、当該合成抗体を、1つ以上の細胞において生成または製造することができる。さらに、当該方法は、当該組成物を、例えば、皮膚、及び、筋肉に限らず、それら組織の1つ以上に対して導入することを含むことができ、したがって、当該合成抗体は、1つ以上の組織において生成または製造することができる。
【0186】
7.抗体の同定方法またはスクリーニング方法
さらに、本発明は、上記した抗原に反応または結合する上記した抗体の同定またはスクリーニングの方法に関する。当該抗体を同定またはスクリーニングする当該方法を、当業者に周知の方法論における抗原に用いて、抗体を同定またはスクリーニングすることができる。そのような手法として、ライブラリ(例えば、ファージディスプレイ)由来の当該抗体の選択、及び、動物の免疫処置、続いて、当該抗体の単離、及び/または、精製があるが、これらに限定されない。
【0187】
8.組成物の送達の方法
また、本発明は、当該組成物を、それを必要とする当該対象に対して送達する方法に関する。当該送達方法は、当該組成物を、当該対象に対して投与することを含む、ことができる。投与としては、インビボ電気穿孔を利用する、及び、同電気穿孔を利用しないDNA注入、リポソーム介在送達、及び、ナノ粒子促進送達などがあるが、これらに限定されない。
【0188】
当該組成物の送達を受ける当該哺乳動物を、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、ウシ、畜牛、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、水牛、バイソン、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、及び、ニワトリとし得る。
【0189】
当該組成物を、経口、非経口、舌下、経皮、経直腸、経粘膜、局所、吸入、頬側投与、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻内、髄腔内、及び、関節内、または、それらの組み合わせなどの異なる経路で投与し得る。獣医学的使用については、通常の獣医学的実施に従って、当該組成物を、適切に許容しうる製剤として投与し得る。獣医師は、特定の動物に対して最も適切な投与計画、及び、投与経路を、容易に決定することができる。当該組成物を、伝統的なシリンジ、無針注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃」、または、その他の物理的方法、例えば、電気穿孔法(EP)、「流体力学的方法」、または、超音波によって投与し得る。
【0190】
a.電気穿孔
電気穿孔による当該組成物の投与は、細胞膜に可逆的な孔を形成させるのに効果的なエネルギーパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成することができる電気穿孔装置を用いて達成され得るものであり、及び、好ましくは、当該エネルギーパルスは、使用者が入力したプリセット電流に近い定電流である。当該電気穿孔装置は、電気穿孔コンポーネント、及び、電極アセンブリ、または、ハンドルアセンブリを含み得る。電気穿孔コンポーネントは、制御器、電流波形発生器、インピーダンステスタ、波形ロガー、入力要素、ステータス報告要素、コミュニケーションポート、メモリーコンポーネント、電源、及び、電源スイッチなどの当該電気穿孔装置の1つ以上の様々な要素を含み、及び、組み込み得る。当該電気穿孔は、インビボ電気穿孔装置、例えば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)、または、Elgenエレクトロポレーター(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting、PA)を使用して、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にし得る。
【0191】
当該電気穿孔コンポーネントは、当該電気穿孔装置の1つの要素として機能し得るものであり、及び、その他の要素は、当該電気穿孔コンポーネントと連絡する別々の要素(または、コンポーネント)である。当該電気穿孔コンポーネントは、当該電気穿孔装置の1つを超える個数の要素として機能し得るものであり、当該電気穿孔コンポーネントとはなおも別の当該電気穿孔装置のその他の要素とも連絡し得る。1つの電気機械的、または、機械的装置の一部として存在する当該電気穿孔装置の要素は、それらの要素が、1つの装置として、または、互いに連絡する別の要素として機能することができるものに限定しなくともよい。当該電気穿孔コンポーネントは、所望の組織内で定電流を生成するエネルギーパルスを送達し得るものであり、及び、フィードバック機構を含む。当該電極アセンブリは、空間的配置内に複数の電極を有する電極アレイを含み得るものであり、当該電極アセンブリは、当該電気穿孔コンポーネントからエネルギーパルスを受け、そして、電極を介して所望の組織に向けて同パルスを送達する。複数の当該電極の少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達期間ではニュートラルであり、及び、所望の組織でのインピーダンスを測定して、そのインピーダンスを、当該電気穿孔コンポーネントに連絡する。当該フィードバック機構は、測定された当該インピーダンスを受けてもよく、また、当該電気穿孔コンポーネントによって送達されたエネルギーパルスを調整して、当該定電流を維持することができる。
【0192】
複数の電極は、分散パターンでエネルギーパルスを送達し得る。複数の当該電極は、プログラムされたシーケンス下の当該電極の制御を介して、当該分散パターンでエネルギーパルスを送達してもよく、そして、プログラムされたシーケンスは、使用者によって、電気穿孔コンポーネントに入力される。プログラムされた当該シーケンスは、順に送達された複数のパルスを含んでいてもよく、複数の当該パルスの各々のパルスが、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を備えた少なくとも2つの活性電極によって送達されており、複数の当該パルスの次のパルスが、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を備えた少なくとも2つの活性電極の異なる1つによって送達される。
【0193】
当該フィードバック機構は、ハードウェア、または、ソフトウェアのいずれかで実施し得る。当該フィードバック機構は、アナログ閉回路によって実施し得る。当該フィードバックは、50μs、20μs、10μs、または、1μsごとに起こるが、好ましくは、実時間フィードバック、または、瞬時(すなわち、応答時間を決定するための入手可能な技術によって決定した実質的な瞬時)である。当該ニュートラル電極で、所望の組織でのインピーダンスを測定してもよく、そして、そのインピーダンスをフィードバック機構に連絡し、次いで、当該フィードバック機構が同インピーダンスに応答してエネルギーパルスを調整し、及び、プリセット電流と同様の値の定電流を維持する。当該フィードバック機構は、エネルギーのパルスの送達期間内に定電流を連続的かつ瞬時的に維持し得る。
【0194】
本発明の組成物の送達を促進しうる電気穿孔装置及び電気穿孔法の例として、本明細書の一部を構成するものとしてそれらの全内容を援用する、Draghia-Akli,et al.,の米国特許第7,245,963号、Smith,et al.,が出願した米国特許公開第2005/0052630号に記載されたものがある。当該組成物の送達を促進するために用い得るその他の電気穿孔装置及び電気穿孔法として、本明細書の一部を構成するものとしてそれらの全内容を援用する、2006年10月17日に出願した米国特許仮出願第60/852,149号、及び、2007年10月10日に出願した同第60/978,982号に対して35USC 119(e)による利益を主張する、2007年10月17日に出願した、同時係属中で、かつ、共有にかかる米国特許出願第11/874072号で提供されたものがある。
【0195】
Draghia-Akli,et al.,の米国特許第7,245,963号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのモジュラー電極システム、及び、その使用が記載している。このモジュラー電極システムは、複数の針電極、皮下注射針、プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクタ、及び、電源を含み得る。使用者は、支持構造上に搭載された複数の針電極を掴み、そして、体内または植物内の選択された組織に同電極をしっかりと挿入することができる。その後、皮下注射針を介して、生体分子を選択された組織へ送達する。プログラム可能な当該定電流パルス制御器を活性化して、定電流の電気パルスを、複数の針電極に印加する。印加された当該定電流電気パルスは、複数の電極間での細胞内への生体分子の導入を促進する。本明細書の一部を構成するものとして米国特許第7,245,963号の全内容を援用する。
【0196】
Smith,et al.,が出願した米国特許公開第2005/0052630号には、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に促進するために用い得る電気穿孔装置が記載されている。当該電気穿孔装置は、その操作が、ソフトウェアまたはファームウェアで指定される電気運動装置(「EKD装置」)を含む。このEKD装置は、ユーザ制御に基づく一列の電極とパルスパラメータ入力との間で一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、そして、電流波形データの保存と取得を可能にする。当該電気穿孔装置は、針電極、注射針用の中央注入チャネル、及び、取り外し可能なガイドディスクのアレイを有する交換可能な電極ディスクも含む。本明細書の一部を構成するものとして米国特許公開第2005/0052630号の全内容を援用する。
【0197】
米国特許第7,245,963号、及び、米国特許公開第2005/0052630号に記載された電極アレイ及び方法は、筋肉などの組織だけでなく、その他の組織または臓器にも深く浸透させるように適合し得る。電極アレイの形態によって、注射針(選択された生体分子を送達する)が、標的臓器にも完全に挿入され、そして、電極によって、あらかじめ描かれた領域の標的組織に対して垂直に注射投与される。米国特許第7,245,963号、及び、米国特許公開第2005/005263号に記載された電極は、好ましくは、長さが20mmで、21ゲージのものである。
【0198】
加えて、電気穿孔装置、及び、その使用を組み込んだ幾つかの実施形態で予期されるように、以下の特許、1993年12月28日発行の米国特許第5,273,525号、2000年8月29日発行の米国特許第6,110,161号、2001年7月17日発行の同第6,261,281号、2005年10月25日発行の同第6,958,060号、及び、2005年9月6日発行の米国特許第6,939,862号に記載された電気穿孔装置が存在する。さらに、様々な装置のいずれかを用いてDNAを送達することに関係している2004年2月24日発行の米国特許第6,697,669号、及び、DNA注入の方法に関する2008年2月5日発行の米国特許第7,328,064号に開示された発明を含む特許は、本明細書において企図している。本明細書の一部を構成するものとして上記した全特許の内容を援用する。
【0199】
9.処置の方法
本明細書でさらに提供されるものは、それを必要とする対象において、疾患の処置、疾患に対する防御、及び/または、予防をする方法であり、合成抗体を当該対象内で生成する。当該方法は、当該組成物を当該対象に投与することを含むことができる。当該対象への当該組成物の投与は、上記した送達の方法を用いて行うことができる。
【0200】
特定の実施形態において、本発明は、細菌感染の処置、細菌感染に対する防御、及び/または、予防の方法を提供する。ある実施形態において、当該方法は、細菌バイオフィルムを処理し、細菌バイオフィルムに対する防御、及び/または、防止をする。ある実施形態において、当該方法は、Pseudomonas aeruginosa感染、または、バイオフィルム形成を処理し、それらに対する防御、及び/または、防止をする。ある実施形態において、当該方法は、創傷へのPseudomonas aeruginosaの感染を処理し、それらに対する防御、及び/または、防止をする。
【0201】
当該対象内で合成抗体が生成されると、当該合成抗体は、当該抗原と、結合または反応することができる。かかる結合により、当該抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸による抗原の認識をブロックし、そして、当該抗原に対する免疫応答を惹起または誘発し、それにより、当該対象での抗原と関連する疾患を処理、防御、及び/または、予防することができる。
【0202】
当該組成物の用量は、1μg~10mg有効成分/体重kg/時間とすることができ、及び、20μg~10mg有効成分/体重kg/時間とすることもできる。当該組成物を、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または、31日おきに投与することができる。効果的な処置のための組成物の投与回数を、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または、10回とすることができる。
【0203】
10.抗生物質との併用
本発明は、合成抗体と治療用抗生物質との組み合わせを投与することで、それを必要とする対象において、疾患の処置、疾患に対する防御、及び/または、予防をする方法も提供する。
【0204】
当該合成抗体、及び、抗生物質薬剤は、当該対象に当該合成抗体と抗生物質薬剤との組み合わせを対象に存在せしめる、あらゆる適切な方法を用いて投与され得る。ある実施形態において、当該方法は、詳細に先述をしたいずれかの方法で、本発明の合成抗体を含む第1の組成物を投与すること、及び、当該合成抗体の投与をして、1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、または、10日未満の後に、抗生物質を含む第2の組成物を投与することを含み得る。ある実施形態において、当該方法は、詳細に先述をしたいずれかの方法で、本発明の合成抗体を含む第1の組成物を投与すること、及び、当該合成抗体の投与をして、1日が過ぎてから、2日が過ぎてから、3日が過ぎてから、4日が過ぎてから、5日が過ぎてから、6日が過ぎてから、7日が過ぎてから、8日が過ぎてから、9日が過ぎてから、または、10日が過ぎてから後に、抗生物質を含む第2の組成物を投与することを含み得る。ある実施形態において、当該方法は、抗生物質を含む第1の組成物を投与すること、及び、詳細に先述をしたいずれかの方法で、当該抗生物質の投与をして、1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、または、10日未満の後に、本発明の合成抗体を含む第2の組成物を投与することを含み得る。ある実施形態において、当該方法は、抗生物質を含む第1の組成物を投与すること、及び、詳細に先述をしたいずれかの方法で、当該抗生物質の投与をして、1日が過ぎてから、2日が過ぎてから、3日が過ぎてから、4日が過ぎてから、5日が過ぎてから、6日が過ぎてから、7日が過ぎてから、8日が過ぎてから、9日が過ぎてから、または、10日が過ぎてから後に、本発明の合成抗体を含む第2の組成物を投与することを含み得る。ある実施形態において、当該方法は、詳細に先述をしたいずれかの方法で、本発明の合成抗体を含む第1の組成物を投与すること、及び、抗生物質剤を含む第2の組成物を同時に投与することを含み得る。ある実施形態において、当該方法は、詳細に先述をしたいずれかの方法で、本発明の合成抗体を含む第1の組成物を投与すること、及び、抗生物質剤を含む第2の組成物を同時に投与することを含み得る。ある実施形態において、当該方法は、本発明の合成抗体及び抗生物質を含む単一組成物の投与を含み得る。
【0205】
本発明の合成抗体と併用可能な抗生物質として、アミノグリコシド系(例えば、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン)、キノロン系(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン)、セファロスポリン系(例えば、セフタジジム、セフェピム、セフピロム、セフトビプロール)、抗緑膿菌ペニシリン系、カルボキシペニシリン系(例えば、カルベニシリン、及び、チカルシリン)、及び、ウレイドペニシリン系(例えば、メズロシリン、アズロシリン、及び、ピペラシリン)、カルバペネム系(例えば、メロペネム、イミペネム、ドリペネム)、ポリミキシン系(例えば、ポリミキシンB、及び、コリスチン)、及び、モノバクタム系(例えば、アズトレオナム)などがあるが、これらに限定されない。
【実施例0206】
本発明は、複数の態様を有しており、その具体例を以下に示すが、これらに限定されることはない。
【0207】
11.実施例
以下の例において、本発明をさらに例示する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであって、例示目的のみで記載しているものと理解すべきである。上記した説明、及び、これらの実施例から、当業者であれば、本発明に必須の特徴を確認することができ、また、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更や改変を加えて、様々な用途や条件に適合させることができる。したがって、本明細書で説明した発明に加えて、本発明に対して様々な改変を加えることが当業者に自明であることは、上記した説明からも明らかである。そのような改変も、特許請求の範囲に属していることも意図をしている。
【0208】
例1:改変二重特異性DNAがコードしたIgG抗体(DMAb)は、致死量のpneumoniaを接種したモデルにおけるPseudomonas aeruginosaを防御する
本明細書で示した研究は、インビボでの産生及び活性を目的とした、単一特異性抗-PcrV IgG(DMAb-αPcrV)、及び、臨床候補二重特異性抗体ABC123(DMAb-BiSPA)をコードする合成DMAbの開発と分析を説明している。インビボでのDMAb産生は、双方の構築物について、機能的及び防御的な力価を迅速に生み出すことを可能にする。これらのDMAbは、持続可能であり、また、主要な器官のP.aeruginosaコロニー形成の比較可能な予防に加えて、バイオプロセスで産生したモノクローナル抗体と同等の効力を有することができる。
【0209】
現在の研究において、P.aeruginosaに対するモノクローナル抗体は、合成DNAベクター、DMAbでコードされており、そして、骨格筋によってインビボで産生できる、ことを実証している。抗-P.aeruginosaDMAbは、治療標的に対して効果的に結合し、及び、活動的なP.aeruginosa株に起因する致命的肺炎のマウスモデルにおいて防御的であった。DMAbの単回投与は、3~4ヶ月間は一過的に発現し、そして、致命的感染に対する防御は、精製したIgGでマウスを治療した場合に匹敵する。このことは、当該プラスミドが最終的に喪失するまで、DMAbを、筋肉から連続的に発現できるので、長期間のモノクローナル抗体投与において著しい進歩である。日常的な投与に加えて、抗-P.aeruginosa DMAbの別の予見可能な利点は、DMAbが抗生物質計画の延長の必要性を減じ得る、慢性疾患または移植機器に関連する再発性感染症を有する高リスク患者のためになるであろう。さらに、DMAbは、一般的に使用される抗生物質であるメロペネムと相乗的に機能することも示している。DMAbと抗生物質との組み合わせの相乗効果は、この戦略が、抗生物質治療計画を緩和して、それにより、患者への抗生物質の曝露の期間が減少する可能性を示唆している。この付加的活性は、以前の研究(DiGiandomenico et al., 2014, Sci Transl Med 6, 262ral55)において、タンパク質IgGで観察されたものと同等である。まとめると、これらの結果は、全長IgGモノクローナル抗体のDNA送達が、重篤な細菌感染を予防するため、及び、おそらくは、他の治療適応症のための有望なプラットフォーム戦略であることを示唆している。すべてのバイオプロセスで産生した抗-Pseudomonal IgGモノクローナル抗体(抗-Psl、抗-PcrV、及び、ABC123)が、多様な血清型、多型3分泌表現型(細胞毒性対浸潤性株、それぞれ、ExoU+、ExoS-、ExoU-、ExoS+)、及び、複数の感染部位から誘導したP.aeruginosa臨床分離株に対して防御的であることを示している(DiGiandomenico et al., 2012, J Exp Med 209, 1273-1287;Warrener et al., 2014, Antimicrob Agents Chemother 58,4384-4391;DiGiandomenico et al., 2014, Sci Transl Med 6, 262ral55;Thaden et al., 2016, J Infect Dis 213,640-648;Zegans et al., 2016, JAMA Ophthalmol 134,383-389)。
【0210】
当該材料と方法についての説明をする。
【0211】
細胞株及び細菌
【0212】
ヒト胎児腎臓(HEK)293T細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で維持した。細胞系を、マイコプラズマを含まない状態で維持した。ルーチンテストは、ペンシルベニア大学で行った。全ての細胞を、小さな継代数で維持した。P.aeruginosa角膜炎臨床分離株6077(PA 6077)、細胞毒性(ExoU+)株を、すべての感染実験で使用した。
【0213】
DMAb構築と発現
【0214】
単一特異性抗-P.aeruginosa PcrVタンパク質(クローンV2L2MD)(Warrener et al., 2014,Antimicrob Agents Chemother 58,4384-4391)、及び、改変した二重特異性抗-PDiGiandomenico et al., 2014, Sci Transl Med 6,26.aeruginosa(PcrV及びPslの二重特異性、クローンABC123)(DiGiandomenico et al., 2014, Sci Transl Med 6,262ra155)の配列を得た。ヒトIgG1重鎖、及び、Igκ軽鎖の各々のヌクレオチド配列を、マウス及びヒトの双方のバイアスについてコドンを最適化して、哺乳動物細胞における発現を増強した(Graf et al., 2004, Methods Mol Med 94,197-210;Demi et al., 2001, J Virol 75,10991-11001)。これらの配列についてRNA最適化も行って、mRNA安定性の改善とリボソームでの効率的な翻訳とを図り(Schneider et al., 1997,J Virol 71,4892-4903;Andre et al., 1997,J Virol 72,1497-1503)、タンパク質収量の増大を目指した(Fath et al., 2011, PLoS One 6、el7596)。次いで、最適化した重鎖及び軽鎖遺伝子を、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、及び、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリAの制御下で、pGX0001 DNA発現ベクターに挿入した。
【0215】
双方の遺伝子は、フーリン開裂部位とP2Aペプチドとで分離されたcisでコードされていた。その結果は、2つのプラスミド、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAであった。HEK 293T細胞を、GeneJammer(Agilent,Wilmington,DE)トランスフェクション試薬を用いて、DMAb DNAでトランスフェクトした。細胞上清、及び、細胞溶解物を、トランスフェクションの48時間後に回収し、そして、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び、ウエスタンブロットによって、ヒトIgG産生についてアッセイした。
【0216】
マウス筋肉組織免疫蛍光
【0217】
BALB/cマウスに対して、100μgのDMAbを、IM注射で、TA筋肉に注射をし、続いて、IM-EPを注射した。注射をして3日後に、組織を採取し、4%中性緩衝化ホルマリン(BBC Biochemical, Washington State)に固定し、及び、30%(w/v)スクロース(Sigma,MO)を含む脱イオン水に浸した。次いで、組織を、O.C.T.化合物(Sakura Finetek,CA)に包埋し、そして、凍結をした。凍結組織ブロックを、18μmの厚さの切片にした。切片にした筋肉を、ブロッキング緩衝液(0.3%(v/v)Triton-X(Sigma)、2%(v/v)ロバ血清を含むPBS)で、30分間、インキュベートし、パラフィンで覆った。ヤギ抗-ヒトIgG-Fc断片抗体(A-80-104A,Bethyl,Texas)を、インキュベート用緩衝液(1%(w/v)BSA(Sigma)、2%(v/v)ロバ血清、0.3%(v/v)トリトン-X(Sigma)、及び、0.025%(v/v)1g/mlアジ化ナトリウム(Sigma)を含むPBS)で、1:100に希釈した。50μlの染色溶液を、各切片に添加し、そして、2時間、インキュベートした。切片を、1×PBSで、5分間、3回、洗浄した。ロバ抗-ヤギIgG AF488(abl50129、Abcam、USA)を、インキュベート用緩衝液で、1:200に希釈し、そして、50μlを、各切片に添加した。切片を、1時間のインキュベートした後に洗浄し、次いで、DAPI-フルオロマウント(SouthernBiotech,AL)を用いて封入し、そして、カバーをした。
【0218】
DMAb構築物のインビボでの発現を、Retiga3000単色カメラ(Qlmaging)を備えたBX51蛍光顕微鏡(Olympus)で画像化した。
【0219】
ELISA及び抗細胞毒性活性によるヒトIgGの定量
【0220】
96ウェルの高結合性免疫吸着プレートを、10μg/mLの精製抗-ヒトIgG-Fcでコーティングし、及び、4℃で、一晩、インキュベートした。翌日、プレートを洗浄し、及び、10%FBSを含有するPBSで、室温で、少なくとも1時間、ブロックをした。試料を連続的に2倍に希釈し、そして、ブロックした当該プレートに移し、次いで、室温で、1時間、インキュベートした。精製ヒトIgGκを、標準として使用した。インキュベートの後に、1:20000の希釈で、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合した抗-ヒトIgGκ抗体を用いて、試料をプローブした。o-フェニレンジアミン二塩酸塩基質を用いてプレートを発色させ、そして、2N H2SO4で停止した。BioTek Synergy2プレートリーダーを用いて、OD450nmで、プレートを読み取った。あるいは、V2L2MDまたはABC123に特異的な抗-イディオタイプモノクローナル抗体(0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.4に懸濁した0.05μg/ウェル)を捕捉試薬として使用すること以外は、上記したように、血清からヒトIgGを定量した。精製したV2L2MDまたはABC123を、標準として使用した。
【0221】
また、384ウェルのブラックMaxiSorpプレート(10μg/mLヤギ抗-ヒトIgG(H+L)でコーティングしたもの)を用いて、血清のDMAbも定量した。プレートを洗浄し、そして、ブロッカーカゼインを含むPBSを用いて、室温で、1~2時間ブロックした。ブロッキングをした後に、ABC123またはV2L2MDを含有する標準液を、プレートで、1:2で連続希釈し、一方で、血清試料を、1:20、1:40、1:80、及び、1:160に希釈した。次いで、当該試料を含むプレートを、室温で、1時間、インキュベートした。洗浄した後に、プレートを、1:4000の希釈で、ロバ抗-ヒトIgG-HRPを用いてプローブし、次いで、室温で、1時間、インキュベートした。洗浄した後に、SuperSignal ELISA Pico Reagentを添加して、当該免疫反応を発色させ、及び、Perkin Elmer Envisionで蛍光を読み取った。
【0222】
また、PA6077の細胞毒性効果からA549細胞の保護を測定する、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAによって媒介される抗-細胞毒性活性に基づいて、血清からDMAbも定量した。マウス血清の当該活性を、V2L2MD IgGでスパイクしたナイーブマウス血清の標準曲線と比較した。
【0223】
結合ELISA
【0224】
96ウェルプレート免疫吸着プレートを、0.5μg/mLのPseudomonas PcrVタンパク質で、一晩、コーティングした。翌日、DMAbを投与した動物由来の血清試料を連続的に2倍に希釈し、次いで、ブロックをした当該プレートに移した。HRPに結合した抗-ヒトIgG H+L抗体を用いて、1:5000の希釈で、試料をプローブし、そして、OPD基質で発色させた。
【0225】
ウエスタンブロット
【0226】
DMAbでトランスフェクトした細胞由来の当該細胞溶解物を、細胞溶解緩衝液で回収した。試料を、20,000rpmで遠心分離し、そして、タンパク質画分を含む当該上清を回収した。これらの試料を、ビシンコニン酸(BCA)アッセイを用いて定量し、そして、10μgの全溶解物を、4~12%Bis-Tris SDS-PAGEゲルに充填した。当該ゲルを、iBlot2システムを用いて、ニトロセルロースメンブレンに移した。このメンブレンを、5%粉末スキムミルク+0.5%Tween-20でブロックをし、そして、HRPに接合したロバ抗-ヒトH+L抗体を用いてプローブした。バンドを、化学発光システムを用いて発色させ、そして、フィルムに可視化した。
【0227】
マウス
【0228】
メスの6~8週齢のB6.Cg-FoxnlnuJ、及び、BALB/cマウスを、The Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入し、そして、ペンシルベニア大学、または、MedImmune, AstraZenecaの動物施設に収容した。すべての動物プロトコルは、ALAACのガイドラインに従っており、ペンシルベニア大学当局、及び、MedImmune IACUC委員会の承認を受けた。さらに、The Animal Care and Use Review Office(ACURO)によって、IACUCの監督が行われた。動物たちに対して、TAまたは四重筋に、100μg~300μgのDMAb-αPcrVまたはDMAb-BiSPAのIM注射を行う30分~1時間前に、ヒアルロニダーゼ(400U/ml, Sigma Aldrich)の筋肉内(IM)予備注射を行い、続いて、電気穿孔IM-EPをした。投与の後に、DMAbの血清レベルをモニターした。
【0229】
致命的肺炎接種
【0230】
接種前の-5日目に、BALB/cマウス(n=8/群)に対して、IM-EPによって、100μgまたは300μgのDMAb-αPcrVまたはDMAb-BiSPAを投与した。無関係のデング熱ウイルスDMAb-DVSF320を、コントロールとして含めた。第4群の動物に対して、接種前の-1日目に、精製タンパク質IgG ABC123(2mg/kg)を腹腔内(IP)に注射した。0日目に、動物たちに対して、悪性抗菌耐性Pseudomonas aeruginosa株6077の9.75e5-1.0e6コロニー形成単位(CFU)を鼻腔内に接種をした。16に記載したように、生存に関して、鼻腔内接種の後、6日間、動物たちをモニターした。すなわち、動物たちを、ケタミン及びキシラジンで麻酔し、続いて、0.05mlの細菌接種物を鼻腔内に投与した。臓器負荷分析については、感染の24時間後に、DMAbで処置した動物から、肺、脾臓、及び、肝臓を摘出し、続いて、細菌CFUの計数のために、Luria寒天プレートの均質化処理とプレーティングを行った。IL-1β、IL-6、及び、KC/GROを、製造業者の指示に従って、マルチプレックスキット(Meso Scale Diagnostics)を用いて、肺ホモジネートの上清で定量をした。DMAbとメロペネム(MEM)との併用実験については、感染の4時間後にMEMを皮下投与した。
【0231】
組織病理
【0232】
感染48時間後に肺を摘出し、そして、短くとも48時間、10%中性緩衝ホルマリンで固定した。次いで、固定組織を常法で処理し、そして、パラフィンに包埋し、厚さ3μmの切片にし、次に、実験条件に対して盲検された病理学者による組織学的評価のために、Gillのヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
【0233】
統計
【0234】
すべての統計分析は、GraphPad Prism 6.0ソフトウェア、または、SPSSを用いて行った。2つの独立した割合に対する試料の大きさの計算は、アルファ0.05、及び、パワー0.90で計算した。適切なパワーを確保するために、少なくともn=5のマウスが必要であると計算された。必要に応じて、スチューデントのT検定、または、一元配置分散分析(ANOVA)の計算を行った。生存データをKaplan-Meierの生存曲線で表し、そして、多重比較のための補正が入った対数ランク検定、及び、一元配置ANOVAを用いて、有意性を計算した。p<0.05の場合、データは有意であるとみなした。すべてのグラフ内の線は平均値を表し、そして、誤差棒は標準偏差を表す。試料または動物は、分析から除外しなかった。動物実験では無作為化をしなかった。試料及び動物は、各実験を行う前に盲検化しなかった。
【0235】
実験の結果を、以下に説明する。
【0236】
抗-P.aeruginosa DNA送達モノクローナル抗体(DMAb)のデザイン、及び、インビトロ発現
【0237】
至適発現のためにDNA発現ベクター系に改めてコードされる2つの抗-P.aeruginosaモノクローナル抗体遺伝子は、前述した、致命的P.aeruginosa感染に対する強力なインビボでの保護活性に基づいている。当該ヒト免疫グロブリンγ1(IgG1)重鎖配列、及び、軽鎖配列(Fab及びFc部分)は、ヒト及びマウスのコドンバイアスの両方を考慮して最適化したヌクレオチド、及び、アミノ酸配列であり、そして、pGX0001 DNAプラスミド主鎖での単一のポリシストロニック単位としてコードされており、その結果、2つの構築物、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAをもたらした(
図1A)。当該重鎖及び軽鎖は、単一のmRNA転写物として発現され、次いで、ブタのテッショウウイルス-1 2A(P2A)開裂部位で翻訳後に開裂する。インビボでの最終産物である抗体からP2Aを完全に除去するために、フーリン開裂部位(RGRKRRS;配列番号23)も含まれていた。
【0238】
全長ヒトIgG1抗体を発現する各構築物の能力を、HEK293T細胞のインビトロでのトランスフェクションの後に評価した。48時間後に、DMAbでトランスフェクトした細胞、及び、上清を回収し、そして、全IgG ELISAを、細胞溶解物、及び、培地で行い、それにより、DMAb IgGの産生、及び、分泌を確認した(
図1B、パネルi及びii)。ウエスタンブロットを行って、抗体重鎖、及び、軽鎖の両方を発現していることを確認した。二重特異性DMAbの重鎖は、2つの可変領域特異性をコードするので、大きな分子量で認められる(
図1C)。pGX0001 DNAベクターを、陰性コントロールとして使い、及び、精製した抗-PcrV IgG1を陽性コントロールとして使った。
【0239】
抗-P.aeruginosa DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAのマウスでの発現
【0240】
インビトロでの発現を確認した後に、DNA送達したDMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAのマウスでの発現を調べた。マウス筋肉におけるDMAb発現を確認するために、抗-P.aeruginosa DMAb-αPcrV(100μg)、DMAb-BiSPA(100μg)、コントロールのDMAb-DVSF3(100μg)、または、コントロールのpGX0001空ベクター(100μg)を、BALB/cマウスに対して、前脛骨筋(TA)へ筋内注射(IM)をして投与を行い、続いて、筋肉内電気穿孔(IM-EP)を行った。注射の3日後に筋肉組織を採取し、そして、切片を、ヤギ抗-ヒトIgG Fc抗体でプローブし、続いて、AF488に接合したロバ抗-ヤギIgGで検出した(
図2)。インビボでの発現を確認した後に、さらなる実験を行って、全身循環におけるDMAbレベルをアッセイした。ヒトIgG1は、マウス免疫系によって非自己として認識されるので、免疫正常マウスにおいて抗-抗体応答を誘導する。したがって、T細胞を有しておらず、かつ、非機能性B細胞を有している免疫正常B6.Cg-Foxnl
nu/J無胸腺マウス(ヌード)で発現を評価した。抗-P.aeruginosa DMAb-αPcrV(100μg)、または、DMAb-BiSPA(100μg)を、ヌードマウス(n=5/群)のTAまたは大腿四頭筋(quad)にIM投与し、続いて、IM-EPを行った。血清を回収して、循環においてヒトIgG1発現を長期間モニターした。投与後の100~120日間にわたって、双方のDMAbの発現が観察されたことは、これらの新規なDNA送達モノクローナル抗体が、全身循環において検出可能な有意な量で骨髄筋において産生され、数週間にわたって発現が続くという仮説を支持している(
図3A及び
図3D)。
【0241】
次に、P. aeruginosa感染のモデルとして一般的に使用されている免疫正常BALB/cマウスにおいて、DMAb発現を評価した。マウス(n=10/群)に対して、DMAb-αPcrVまたはDMAb-BiSPAの100μg及び300μg用量(3つの注入箇所×100μg)を、IM-EPで投与した。注射をして7日後に、ピークのDMAb発現レベルが出現し、それらは、DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAについて、100μg用量では、それぞれ、7.1~17.1μg/ml、及び、2.9~7.2μg/mlであり、300μg用量では、それぞれ、31.2~49.7μg/mL、及び、3.2~12.7μg/mLであった(
図3B及び
図3E)。BALB/cマウスにおけるヒトIgG1 DMAb発現は、14日目までに、マウス免疫系によって排除された(
図4A及び
図4B)。比較のために、マウスIgG2a DMAbもデザインした。このことは、免疫正常BALB/cマウスにおける100日超の長期発現を実証しており、免疫系による排除を受けることなく、DMAbの長期発現を実証する(
図4C)。DMAbの標的抗原特異性を確認するために、7日後に投与した血清もELISAで組換えPcrVタンパク質への結合に関するアッセイと確認も行った(
図3C及び
図3F)。
【0242】
致命的肺炎モデルにおけるDMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAの評価
【0243】
インビトロ及びインビボでの発現の研究は、DMAbが、組換えPcrVタンパク質に結合する完全なヒトIgG1抗体を形成することを示した。インビボでDNA送達したDMAbの機能的活性に対処するために、致命的なマウス肺炎モデルを用いて、高病原性で、かつ、高細胞毒性のP.aeruginosa株6077(PA6077)に対する防御を評価した。PA6077を接種する5日前に、マウスに対して、DMAb-αPcrV(300μg)、DMAb-BiSPA(300μg)、または、デングウイルスを標的とする無関係なコントロールのDMAb-DVSF3(300μg)を注射した(Flingaiet al, 2015, Sci Rep 5, 12616)。接種をする1日前に、マウスに対して、タンパク質ABC123 IgG(2mg/kg)を投与する、陽性コントロール群も使用した。DMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAで処置した動物から無作為に選択した動物を安楽死させて、接種時の血清でのDMAb発現レベルをモニターし、ならびに、発現したDMAbの効力を評価した。
図5Aに示したように、単一特異性DMAb-αPcrV、及び、二重特異性DMAb-BiSPAの双方は、血清から全ヒトIgGを定量する場合に、それぞれ、約16、及び、8μg/mlの中央値力価を示した。インビボで発現したDMAb-αPcrV、及び、DMAb-BiSPAの効力を、血清での抗-細胞毒性活性に基づいて、抗体発現を定量することで評価した。定量化方法に差異は認められず、このことは、インビボで発現された単一特異性、及び、二重特異性DMAb-IgGが、バイオプロセスで生成したIgGと比較して、完全に機能的であり、かつ、同等の活性を有することを示している(
図5A)。次いで、各群での残余の動物に対して、致死量のP. aeruginosaを鼻腔内に接種して感染させた後の6日間(144時間)の生存をモニターした。コントロールのDMAb-DVSF3を与えた動物は、24~55時間以内に死亡した。これとは対照的に、DMAb-αPcrVまたはDMAb-BiSPAのいずれかを与えられた約94%の動物(15/16)は、接種をしても生存していた(
図5B、DMAb-DVSF3と比較してp<0.0001)。予想した通りに、ABC123 IgG(2mg/kg)を投与した陽性コントロールの動物は、すべてが、接種を受けても生存していた。加えて、100μg(1箇所×100μg)、200μg(2箇所×100μg)、または、300μg(3箇所×100μg)のDMAb-BiSPAを用いた処置を受け、次いで、P. aeruginosaを感染させたマウスは、濃度依存的な生存を示した(
図5C)。これらの結果は、これらの動物の血清で発現したDMAb-BiSPAの定量と一致しており、DMAb-BiSPAの血清タンパク質濃度は、電気穿孔を受けたDNAの量の減少に伴って減る(
図5D)。
【0244】
抗-Pseudomonas DMAbが、肺の細菌負荷を減らし、そして、全身の細菌の播種を防止する能力について分析をした。P. aeruginosaを接種して24時間の後に、肺、脾臓、及び、腎臓をアッセイし、続いて、各組織におけるコロニー形成単位(CFU)の定量を行った。DMAb-BiSPAで処置した場合では、CFU、肺での負荷については有意な減少が認められたが、DMAb-αPcrVで処置した動物では認められなかった(
図6A)。重要なことに、DMAb-BiSPAで処置した動物の肺における細菌負荷は、タンパク質ABC123 IgGで処置したマウスで認められた肺での負荷と類似しており、また、双方の抗-PseudomonasDMAbは、コントロールのDMAb-DVSF3と比較して、脾臓及び腎臓への細菌播種を抑制した(
図6A)。加えて、DMAb-αPcrV、DMAb-BiSPA、及び、ABC123 IgGは、コントロールのDMAb-DVSF3で処置したマウスと比較して、感染動物の肺水腫の予防に対して有効であることが、肺重量を測定して明らかとなった(
図6B)。これらの結果と一致して、炎症性サイトカインIL-1β、及び、IL-6、ならびに、ケモカインKC/GRO(
図6C)もまた、コントロールのDMAb-DVSF3と比較して、抗-Pseudomonas DMAbで処置したマウス、及び、タンパク質IgGで処置したマウスにおいて減少していた。非感染動物とPA6077を接種して24時間後の感染動物との間で、血清IgGレベルを比較した(
図6D)。まとめると、このデータは、DNA送達モノクローナル抗体が、骨格筋においてインビボで産生されており、そして、保護活性を媒介し、また、外因的に産生したIgG モノクローナル抗体と同様の効力を示すことを示唆している。
【0245】
接種後の肺組織病理
【0246】
感染の48時間後に採取した肺組織の病理は、DMAb-DVSF3で処置した動物での顕著な肺胞炎を実証しており、同組織は、出血及び肺胞壊死の領域に加えて、肺胞及び脈管周囲空間内への好中球及びマクロファージの浸潤を有していた。これとは対照的に、上記した肺上清由来の炎症性サイトカイン及びケモカインの減少とも符合して、DMAb-BiSPAで処置した動物において、主に好中球と少なめのマクロファージとの緩やかな集団による炎症は顕著に減少しており、これは、DMAb-αPcrV及びコントロールのABC123 IgG群におけるのと同様の変化であった(
図7)。
【0247】
抗生物質とDMAbとの併用
【0248】
グラム陰性またはP. aeruginosa感染が疑われる場合には、メロペネム(MEM)などの広域カルバペネム系抗生物質を投与する。さらに、コリスチンなどの最終手段的な抗生物質投与計画は、ヒトでの高毒性と関連しており(Falagas et al., 2005, BMC Infect Dis 5,1;Lim et al, 2010, Pharmacotherapy 30,1279-1291)、また、それらの細菌が、さらなる抗菌抵抗性を獲得する可能性がある(Hirsch and Tam,2010,Expert Rev Pharmacoecon Outcomes Res 10,441-451;Lister et al.,2009,Clin Microbiol Rev 22,582-610;Breidenstein et al.,2011,Trends Microbiol 19,419-426)。したがって、これらのリスクを低減するための代替的かつ補助的な戦略が、非常に有利である。DMAb-BiSPA処置の考え得る適用を、MEMと組み合わせて評価した。これらの実験では、必要量以下の用量のMEM(2.3mg/kg)を用いて、抵抗性細菌に感染した患者において遭遇する不適切な薬物暴露、及び、DMAb-BiSPAの必要量以下の用量(100μg、
図5Cで同定した)をシミュレーションした。これらの必要量以下の用量を組み合わせると、DMAb-BiSPAのみを投与した動物での10%と比較して、67%の生存期間が得られた(p=0.026、
図8)。MEMのみ、または、DMAb-DVSF3を投与したコントロールのマウスは、致命的接種をすると死亡した。ここまでをまとめると、このことは、DMAb処置の適用を、独立した処置として、あるいは、既存の抗生物質投与計画との組み合わせのいずれかにまで拡大する。さらに、このデータは、DMAb投与が、精製IgGモノクローナル抗体と同様に機能し、そして、標準の抗生物質処置計画と組み合わせた場合に、強化された保護活性を媒介できるという仮説を支持する。
【0249】
モノクローナル抗体改変技術の分野は、ダイナミックに進化を遂げており、また、DMAb送達は、インビボで迅速に生物学的に機能的なモノクローナル抗体を輸送するのに役立つさらなる戦略を提供する。臨床上の明白な利点に加えて、本明細書に記載の非伝統的な二重特異性モノクローナル抗体アイソフォームのインビボでの発現は、タンパク質生産工場として関与する筋肉の多様性を際立たせる。重要なことに、DMAb発現は一過性であり、その他の治療的送達と同様の有効性を有する。DNAプラスミドが必要でなくなったときに、それを除去する誘導可能なシステムを開発することが可能であり得る。あるいは、DMAb DNAは、関連する抗-ベクター応答がないので、潜在的に無期限に再投与することができ、反復投与による長期間の治療が可能となる(Hirao et al., 2010, Molecular therapy:the journal of the American Society of Gene Therapy, 18, 1568-1576;Williams, 2013, Vaccines 1, 225-249;Schmaljohn et al., 2014, Virus research 187、91~96)。DMAb送達は、モノクローナル抗体療法、及び、DNA送達技術のためだけでなく、宿主免疫を増強するための新規の病原体特異的処置法のための重要な進歩を表す。
【0250】
最近、ヒト乳癌腫のマウスモデルにおいて、Her2を標的とするDNAでコードした抗体の送達が報告されている(Kim et al., 2016, Cancer Gene Ther 23,341-347)。この研究は、タンパク質IgGに匹敵する抗腫瘍効果を示し、さらに、遺伝子でコードされたモノクローナル抗体が機能性を有することができるという概念を支持している。これは、細菌標的に対する防御であり、かつ、改変されたIgGアイソフォームの最初の送達である、DNAでコードしたモノクローナル抗体(DMAb)送達の最初の実証である。DNAプラスミドでコードした抗体を用いた初期の研究は実現可能性を実証はしたが、血清では低IgG発現を示した(Tjelle et al.,2004, Molecular therapy:the journal of the American Society of Gene Therapy,9,328-336;Perez et al.,2004, Genet Vaccines Ther 2,2)。ウイルス感染を標的とするDMAbの防御効力は以前に研究されており、チクングニア感染(Muthumani et al.,2016, J Infect Dis 214,369-378)、及び、デングウイルス(DENV)感染(Flingai et al.,2005, Sci Rep 5,12616)に対する迅速な防御を示している。DENVを標的とするDMAbもまた、疾患の抗体依存的増強を促さなかった。これら2つの感染症モデルは、高血清IgGレベルを必要としなかったが、単一のDMAbを投与した後に対象を拡大するためにも、発現レベルを増加させる最適化したDMAb製剤が望ましい。この目的のために、血清DMAb発現レベルを、Pseudomonas aeruginosaに対して使用するために最適化した(
図9)。この例では、製剤計画にヒアルロニダーゼを採用しているので、処置を受けた筋肉でのIgG発現を大きくすることができる。
【0251】
ヒトへの翻訳についてはさらなる研究が必要であるが、DMAbは、モノクローナル抗体の日常的な送達を可能にするためのステップであり、世界中の多様なコミュニティへの利用可能性を改善し得る。大型動物やヒトでの用量翻訳は、将来の研究、特に、DMAbを投与している最中にDNA用量制限の理解に取り組む上で重要である。これには、異なる送達、及び、製剤の最適化を調べて、インビボでのDNA発現を増強することを含む。ある戦略は、その他の細胞外マトリックス酵素を用いて、筋肉細胞へのDNA取り込みを促すものであり得る37。非ヒト霊長類におけるさらなる研究は、DNA投薬量の閾値、及び、薬物動態学的レベルへの影響を理解する上で役立つかもしれない。さらなる研究では、筋肉で産生されたヒトIgG DMAbのグリコシル化パターンを評価しており、バイオプロセスで産生したタンパク質IgGと比較することは有益であろうが、現在の研究に照らして、DMAbとそのタンパク質IgG対応物との間に機能性に差異はなかった。
【0252】
結論として、本明細書に記載の例は、AMR感染、特に、数多くの広域抗生物質投与計画に対して難治性であるESKAPE病原体の処置について、非常に重要であり得る。DMAbは用途が広く、かつ、複数の抗原性標的に対する単一特異性IgGを送達することができ、また、新規の二重特異性IgGをコードすることができる。DMAbの単回用量によって産生される持続的な血清モノクローナル抗体トラフレベルは、インビボでバイオプロセス製造されたタンパク質IgGが奏する機能性レベルと保護レベルとに一致する。このプラットフォームの急速な発達、及び、筋肉からの一時的な発現の延長は、タンパク質IgGモノクローナル抗体投与計画と比較して、低頻度でのモノクローナル抗体の投与を可能にすることができるので、好ましい。さらに、DMAbは、温度安定性であるので、輸送、長期保存、及び、広範な集団への投与を可能にする。ヒトにおけるDNA送達の安全性プロファイルと組み合わせた数々の魅力的な特徴は、感染症、及び、その他の潜在的な治療標的を標的とする病原体特異的手法として、大型動物モデルにおける、DMAbのさらなる研究を支援する。
【0253】
【0254】
上記した詳細な説明、及び、関連する実施例は、単なる例示でしかなく、そして、添付した特許請求の範囲、及び、それらの等価範囲のみをもってして定義される本発明の範囲が、それらによって、限定的に解釈されることはない、ことが理解されよう。
【0255】
開示した実施形態に対する様々な変更や修正は、当業者にとって明白のことであろう。そのような変更や修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施し得るものであり、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤、または、使用方法に関するものなどがあるが、これらに限定されない。