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特開2023-585折板屋根における太陽電池モジュールの支持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000585
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】折板屋根における太陽電池モジュールの支持装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20221222BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20221222BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20221222BHJP
【FI】
E04D13/18
E04D13/00 K
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101506
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】504232974
【氏名又は名称】株式会社ダイドーハント
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】岡室 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】島田 貴行
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM05
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】折板屋根における山折部の上に搭載される太陽電池モジュールに関して、所定の隙間を介して隣り合う太陽電池モジュールの相互に対向する軒方向の先端部と棟方向の尾端部を固定支持する支持装置を提供する。
【解決手段】折板屋根の山折部に突設したルーフボルト(3)により固定される本体金具(4)と、本体金具に内装される止め金具(5)と、止め金具から上方に延びる締結ボルト(6)と、締結ボルトに螺着した締結ナットにより太陽電池モジュールの先端部(M1)と尾端部(M2)を保持する押え金具(8)により構成され、本体金具(4)は、前記先端部(M1)及び尾端部(M2)を支持する支持レール(16,16)と、前記先端部(M1)と尾端部(M2)の間の隙間Sに挿入される翼片(18,18)を一体に形成している。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根における棟側と軒側に向かうX方向に延びる山折部(1a)の上に搭載される太陽電池モジュールに関して、X方向に所定の隙間Sを介して隣り合う太陽電池モジュール(M,M)の相互に対向する軒方向の先端部(M1)と棟方向の尾端部(M2)を固定支持する支持装置であり、
折板屋根の山折部に設置された状態で該山折部に突設したルーフボルト(3)の1軸により固定される金具であり、X方向に所定長さを有する一対の支持レール(16,16)を並設し、該支持レールにより前記太陽電池モジュールの先端部と尾端部を下方から支持する先端支持部(16a)と尾端支持部(16b)を形成した本体金具(4)と、
前記本体金具に内装されると共に前記支持レールの下側に係止される止め金具(5)と、
前記止め金具に挿通係止された状態で一対の支持レールの間から上方に延びる締結ボルト(6)と、
前記太陽電池モジュールの先端部と尾端部の上面に跨設された状態で前記締結ボルトに締結される締結ナット(27)により下動させられる押え金具(8)により構成されており、
前記本体金具(4)は、両側から起立して前記隙間Sに挿入される一対の翼片(18,18)を一体に形成しており、該翼片のX方向の両側縁部をそれぞれ太陽電池モジュールの先端面と尾端面に当接させることにより該本体金具の回動を阻止する回動阻止手段(32)を構成して成ることを特徴とする折板屋根における太陽電池モジュールの支持装置。
【請求項2】
前記翼片(18)は、本体金具の両側面から外向きに突出する連設部(18a)と、該連設部から上向きに延びるフィン部(18b)を備え、
前記本体金具の先端支持部と尾端支持部を含む上面に重ねて配置されるアース金具(7)を設けており、
前記アース金具(7)の幅W2は、本体金具(4)の幅W1に対して、W2>W1となるように形成され、該アース金具の両側縁から下向きに延設されて本体金具の両側面に嵌合される嵌合片(30)を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根における太陽電池モジュールの支持装置。
【請求項3】
前記翼片(18)は、フィン部(18b)の軒方向に臨む側縁部に切欠き部(18c)を形成し、該切欠き部により翼片の連設部を側方に開放する排水手段(31)を構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の折板屋根における太陽電池モジュールの支持装置。
【請求項4】
前記本体金具(4)は、押出成形材により形成されると共に両端の開放部をX方向に配置して成り、両側壁(13,13)の上縁部から内側に向けて支持レール(16,16)を延設し、該支持レールの下方で両側壁の内側にリブ(17)を形成しており、
前記締結ボルト(6)は、頭部(6a)から軸部(6b)に臨む首部に断面角形の角根(6c)を設けた角根ボルトにより構成され、
前記止め金具(5)は、前記一対の支持レールの間に配置される盤状部(21)と、該盤状部の両側から支持レールの下側に配置される固定板部(22)と、該固定板部から下向きに延設された下向き板部(23)を一体に形成し、前記盤状部(21)に締結ボルトの首部の角根(6c)を嵌入する角孔(24)を開設すると共に、盤状部(21)の下面に締結ボルトの頭部(6a)を係止する爪片(25)を設けており、
X方向に向けて止め金具(5)を本体金具(4)に挿入し、下向き板部(23)を前記リブ(17)に載置させた状態から止め金具(5)を持ち上げたとき、前記下向き板部(23,23)が本体金具の両側壁(13,13)の内側面に沿って摺動するガイド手段(23a)を構成し、前記盤状部(21)を一対の支持レール(16,16)の間に嵌合すると共に、前記固定板部(22,22)を支持レール(16,16)の下面に当接するように構成されて成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の折板屋根における太陽電池モジュールの支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根における棟側と軒側に向かうX方向に延びる山折部の上に搭載される太陽電池モジュールに関して、X方向に所定の隙間を介して隣り合う太陽電池モジュールの相互に対向する軒方向の先端部と棟方向の尾端部を固定支持する支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折板屋根の山折部の上に太陽電池モジュールを搭載するための装置が提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、折板屋根の山折部に、順次、下部分割金具、上部分割金具、架台レールを設置し、架台レールの上に太陽電池モジュールを搭載する技術が開示されている。下部分割金具は、山折部の頂面に設置され、剣先ボルトにより固定される。上部分割金具は、下部分割金具に対して、両金具の側壁を重ね合わせた状態で横向きボルトにより固着される。架台レールは、折板屋根の山折部に沿って延びる長尺材とされ、上部分割金具の上に設置され、上部分割金具を挿通して上向きに延びる縦向きボルトにより固着される。
【0004】
しかしながら、特許文献1の場合、折板材を固定支持するためにフレームから突設された剣先ボルトを利用するものであるから、前記下部分割金具の設置位置が剣先ボルトの位置により制約を受けるという問題がある。
【0005】
しかも、特許文献1は、下部分割金具及び上部分割金具により長尺の架台レールを設置する技術とされており、部品点数が多く、設置作業が煩雑であり、高コストである。
【0006】
ところで、折板屋根の場合、山折部が棟側と軒側に向かうX方向に延びているので、架台レールを使用しなくても、X方向に列設される太陽電池モジュールを固定支持するための支持装置を提供することが可能である。
【0007】
即ち、1組の金具から成る支持装置を山折部の延長方向に所定間隔をあけて設置することにより、X方向に所定の隙間を介して隣り合う太陽電池モジュールの相互に対向する軒方向の先端部と棟方向の尾端部を固定支持する支持装置を提供することが可能となり、これによれば、特許文献1のような架台レールは不要となり、上記問題を解決することができる。
【0008】
この点に関して、特許文献2は、折板屋根の山折部に設置された状態で該山折部に突設したルーフボルトの1軸により固定される下側の基板金具と、その上に回動自在かつスライド自在に設けられた上側の基板金具により構成され、隣り合う太陽電池モジュールの相互に対向する軒方向の先端部と棟方向の尾端部を上側の基板金具により固定支持する支持装置が開示されている。
【0009】
上側の基板金具には、該金具を挿通して上向きに延びる縦向きボルトが設けられ、パネル支持金具に太陽電池モジュールの端部を支持した状態で、該端部の上面に跨設された押え金具を前記ボルトに締結したナットにより下動させるように構成されている。
【0010】
従って、特許文献2によれば、特許文献1について指摘した上記の問題を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5691479号公報
【特許文献2】特許第6470673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献2のように、折板屋根の山折部に対して、1組の金具を山折部に突設したルーフボルトの1軸により固定する構成とされている場合、ルーフボルトのナット締付が不十分とされ又は弛みを生じたとき、ボルト軸廻りに回動するおそれがある。そして、太陽電池モジュールの端部を支持していた上側の基板金具が回動させられると、所期の支持状態が失われるという問題がある。
【0013】
また、特許文献2の場合、上側の基板金具を下側の基板金具に回動自在かつスライド自在に搭載し、横方向に貫通するボルトにより固定する構造とされているので、太陽電池モジュールの荷重により回動部分やスライド部分に変形や破損を生じるおそれがあり、太陽電池モジュール設置後のメンテナンス等に際して、金具の位置調整等が困難になるという問題がある。
【0014】
本発明は、折板屋根の山折部に搭載される太陽電池モジュールの隣り合う軒方向の先端部と棟方向の尾端部を固定支持する支持装置に関して、上記問題を解決した装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明が手段として構成したところは、折板屋根における棟側と軒側に向かうX方向に延びる山折部の上に搭載される太陽電池モジュールに関して、X方向に所定の隙間Sを介して隣り合う太陽電池モジュールの相互に対向する軒方向の先端部と棟方向の尾端部を固定支持する支持装置であり、折板屋根の山折部に設置された状態で該山折部に突設したルーフボルトの1軸により固定される金具であり、X方向に所定長さを有する一対の支持レールを並設し、該支持レールにより前記太陽電池モジュールの先端部と尾端部を下方から支持する先端支持部と尾端支持部を形成した本体金具と、前記本体金具に内装されると共に前記支持レールの下側に係止される止め金具と、前記止め金具に挿通係止された状態で一対の支持レールの間から上方に延びる締結ボルトと、前記太陽電池モジュールの先端部と尾端部の上面に跨設された状態で前記締結ボルトに締結されるナットにより下動させられる押え金具により構成されており、前記本体金具は、両側から起立して前記隙間Sに挿入される一対の翼片を一体に形成しており、該翼片のX方向の両側縁部をそれぞれ太陽電池モジュールの先端面と尾端面に当接させることにより該本体金具の回動阻止手段を構成して成る点にある。
【0016】
好ましくは、前記翼片は、本体金具の両側面から外向きに突出する連設部と、該連設部から上向きに延びるフィン部を備え、前記本体金具の先端支持部と尾端支持部を含む上面に重ねて配置されるアース金具を設けており、前記アース金具の幅W2は、本体金具の幅W1に対して、W2>W1となるように形成され、該アース金具の両側縁から下向きに延設されて本体金具の両側面に嵌合される嵌合片を設けている。
【0017】
この際、翼片は、フィン部の軒方向に臨む側縁部に切欠き部を形成し、該切欠き部により翼片の連設部を側方に開放する排水手段を構成することが好ましい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、前記本体金具は、押出成形材により形成されると共に両端の開放部をX方向に配置して成り、両側壁の上縁部から内側に向けて支持レールを延設し、該支持レールの下方で両側壁の内側にリブを形成しており、前記締結ボルトは、頭部から軸部に臨む首部に断面角形の角根を設けた角根ボルトにより構成され、前記止め金具は、前記一対の支持レールの間に配置される盤状部と、該盤状部の両側から支持レールの下側に配置される固定板部と、該固定板部から下向きに延設された下向き板部を一体に形成し、前記盤状部に締結ボルトの首部の角根を嵌入する角孔を開設すると共に、盤状部の下面に締結ボルトの頭部を係止する爪片を設けている。そこで、X方向に向けて止め金具を本体金具に挿入し、下向き板部を前記リブに載置させた状態から止め金具を持ち上げたとき、前記下向き板部が本体金具の両側壁の内側面に沿って摺動することによりガイド手段を構成し、前記盤状部を一対の支持レールの間に嵌合すると共に、前記固定板部を支持レールの下面に当接するように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽電池モジュールMの荷重は、本体金具4により支持される。この際、支持レール16の先端支持部16a及び尾端支持部16bが受ける垂直荷重は、該支持レール16に一体形成された両側壁13、13により強固に支持することができるという効果がある。換言すると、押え金具8のための締結ボルト6を設けた止め金具5は、太陽電池モジュールMの荷重を受けないように構成されているので、止め金具5と本体金具4の間の接合部に歪み変形や破損を生じるおそれはない。
【0020】
しかも、本発明によれば、本体金具4は、両側から起立して一体形成した一対の翼片18、18を隣り合う太陽電池モジュールの隙間Sに挿入し、該翼片18のX方向の両側縁部をそれぞれ太陽電池モジュールの先端面と尾端面に当接させることにより、回動阻止手段32を構成しているので、固定用ナット12が弛んだときでも、本体金具4がルーフボルト3の軸廻りに回動することを阻止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の1実施形態に係る支持装置を折板屋根の山折部に設置し、太陽電池モジュールを固定支持した状態を示す斜視図である。
図2】1実施形態に係る支持装置を分解状態で示す斜視図である。
図3】支持装置を構成する本体金具に関して、(A)は本体金具を折板屋根の山折部に設置してルーフボルトにより固定する前の状態を示す斜視図、(B)は本体金具の断面を示す斜視図である。
図4】本体金具が山折部に設置固定された状態を示しており、(A)はY方向の断面図、(B)はX方向の断面図である。
図5】支持装置を構成する止め金具に関して、(A)は止め金具を本体金具に挿入する前の状態を示す斜視図、(B)は止め金具の拡大図である。
図6】本体金具と止め金具に関して、(A)は止め金具を本体金具に挿入して持ち上げた状態を示す斜視図、(B)は部分拡大図である。
図7】本体金具に止め金具を内装した状態を示しており、(A)はY方向の断面図、(B)はX方向の断面図、(C)は挿入中の状態を示す断面図である。
図8】本体金具とアース金具に関して、(A)は本体金具にアース金具を取付ける前の状態を示す斜視図、(B)は本体金具の翼片が設けられた部分を拡大断面により示す斜視図、(C)は本体金具にアース金具が取付けられた状態を示す拡大断面図である。
図9】本体金具と止め金具とアース金具を組付けた状態で、止め金具に挿入係止された締結ボルトに対して押え金具を臨ませた状態を示す斜視図である。
図10】支持装置により太陽電池モジュールを固定支持した状態をX方向の断面で示しており、(A)は最も軒先側に配置された支持装置を示す断面図、(B)はそれ以外の支持装置を示す断面図である。
図11】支持装置を構成する本体金具と止め金具の組付状態における意匠を示しており、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0023】
図1に示すように、折板屋根1を構成する屋根材は、棟側と軒側に向かうX方向に延びる帯状の山折部1aと谷折部1bを形成しており、山折部1aと谷折部1bの間には傾斜部1cが形成されている。尚、軒方向をX1で示し、棟方向をX2で示している。
【0024】
本発明の1実施形態に係る支持装置2は、X方向に所定間隔をあけて山折部1aに設置固定され、X方向に所定の隙間Sを介して隣り合うように配置される太陽電池モジュールM、Mの相互に対向する軒方向(X1方向)の先端部M1と棟方向(X2方向)の尾端部M2を固定支持するように構成されている。
【0025】
この際、屋根上のX方向及びそれに直交するY方向に向けて、多数の太陽電池モジュールMが縦横に配置され、X方向に隣り合う太陽電池モジュールは、支持装置2により固定支持される。尚、Y方向に隣り合う太陽電池モジュールを固定支持するための装置は、本発明の目的ではないから、此処では説明を省略する。
【0026】
図2に示すように、支持装置2は、主要部品として、ルーフボルト3、本体金具4、止め金具5及び締結ボルト6、アース金具7、押え金具8により構成されている。
【0027】
(ルーフボルト)
ルーフボルト3は、公知のものであり、ボルト9aの先端大径部から順にノッチ付きの拡開スリーブ9bとカラー9cを外挿し、ボルト9aのねじ軸部にパッキン付き座金10を外挿させた状態でナット11を螺着する構成のものとされている。
【0028】
そこで、ルーフボルト3は、折板屋根1の山折部1aに穿設した孔に挿通させられ、拡開スリーブ9bを山折部1aの下側に配置すると共に、パッキン付き座金10を山折部1aの上側に配置し、ナット11を固定した状態でボルト9aを回転すると、拡開スリーブ9bが変形して拡開させられる。これにより、拡開した拡開スリーブ9bとパッキン付き座金10が山折部1aを挟持することにより締結固定され、ボルト9aを山折部1aから上向きに突設する(図3及び図4参照)。因みに、一般的に「ルーフボルト」の用語は、折板屋根の重ね部分の締付に使用する専用ボルトを意味しているが、本発明における「ルーフボルト3」は、それに限定されるものではなく、それと同様の構成と機能により、山折部1aに固着可能となるように構成されたボルトを含む意味であることを理解されたい。
【0029】
(本体金具)
上述のようにして折板屋根1の山折部1aにルーフボルト3のボルト9aを突設した状態で、図3及び図4に示すように、本体金具4が山折部1aに設置され、前記ボルト9aに固定用ナット12を螺着することにより固定される。
【0030】
本体金具4は、アルミニウム等の金属素材による押出成形材を所定寸法に切断することにより形成されており、切断により開放された両端部をX方向に向けて配置される。
【0031】
図3及び図4に示すように、本体金具4は、Y方向に間隔をあけて並設された一対の板状の側壁13、13と、両側壁13、13の下端近傍部を上下に間隔をあけて連結した下側横板部14及び上側横板部15と、両側壁13、13の上縁部から内向きに折曲されることによりX方向に延びる支持レール16を一体に形成している。更に、前記支持レール16、16の下方位置で両側壁13、13の内側面にはX方向に延びるリブ17が一体に形成されており、両側壁13、13の上縁近傍の外側面には上向きに起立する翼片18が一体に形成されている。
【0032】
本体金具4は、両側壁13、13の下端を接支部13aとして山折部1aに載置することにより設置される。下側横板部14にはX方向に長い形状の窓孔19が開設されており、上側横板部15にはX方向に長い形状の長孔20が穿設されている。
【0033】
山折部1aに本体金具4を設置したとき、窓孔19にルーフボルト3のパッキン付き座金10及びナット11が受入れられ、ボルト9aを長孔20に挿通させ上側横板部15から上向きに挿出させる。そこで、ボルト9aの挿出端に固定用ナット12を螺着して上側横板部15を締結することにより、本体金具4が設置状態で固定される。締結固定に際し、本体金具4は、窓孔19及び長孔20を介して、山折部1aの上でルーフボルト3に対するX方向の設置位置を調節することが可能であり、所望の正確な位置に設置した状態で固定される。
【0034】
X方向に関して、翼片18の長さL(図6(B)参照)は、支持レール16よりも短く形成されると共に支持レール16のほぼ中央に臨んで設けられており、翼片18の長さLは、隣り合う太陽電池モジュールM、Mの間の隙間S(図1参照)に相当する長さとするように形成されている。
【0035】
そこで、支持レール16は、翼片18を超えてX方向に延びる両端近傍部により、それぞれ、棟側に配置される太陽電池モジュールMの軒方向の先端部M1を下方から支持するための先端支持部16aと、軒側に配置される太陽電池モジュールMの棟方向の尾端部M2を下方から支持するための尾端支持部16bを形成する。
【0036】
(止め金具)
図5ないし図7に示すように、山折部1aに設置固定された本体金具4に対して止め金具5が組付けられる。この際、組付けに先立ち、止め金具5には締結ボルト6が挿通され係止される。
【0037】
止め金具5は、アルミニウム等の金属素材による押出成形材を所定寸法に切断することにより形成されており、本体金具4の支持レール16、16の間に配置される分厚い盤状部21と、該盤状部21の両側に延設され前記支持レール16、16の下側に配置される固定板部22と、該固定板部22から下向きに折曲された下向き板部23を一体に形成している。この際、一対の下向き板部23、23は、本体金具4の両側壁13、13の間に挿入可能な幅寸法とされ、しかも、挿入した状態において、下向き板部23、23の外側面は、両側壁13、13の内側面に沿って摺動するガイド手段23aを形成するように構成されている。
【0038】
前記締結ボルト6は、鍋頭形状の頭部6aからねじ軸部6bに臨む首部に断面角形(図例では正方形)の角根6cを設けた角根ボルトにより構成されており、止め金具5における盤状部21の中央部に対して下方から挿通され、回動を阻止された状態で上向き姿勢を保持することが可能となるように構成されている。
【0039】
このため、止め金具5は、盤状部21の中央に前記締結ボルト6の首部の角根6cを嵌入させる角形(図例では正方形)の角孔24を開設し、盤状部21の下面に締結ボルト6の頭部6aを係止する爪片25を一体に形成している。
【0040】
締結ボルト6は、前記角孔24に下方から挿通させられ、この際、角根6cが角孔24に嵌入することにより回動不能な状態とされる。頭部6aを盤状部21の下面に向けて押しつけると、頭部6aの周縁部が爪片25を乗り越えて嵌合係止され、落下不能な状態に保持される。
【0041】
止め金具5は、締結ボルト6を挿通させ保持した状態で、X方向に向けて本体金具4に挿入される。
【0042】
本体金具4の開放された端部から、支持レール16とリブ17の間の空間に向けて止め金具5を差し込むと、下向き板部23、23のガイド手段23aが本体金具4の両側壁13、13の内側面に沿って摺動しながら挿入される。図示実施形態の場合、図7(C)に示すように、下向き板部23、23の下端をリブ17、17に載置させた状態でX方向に移動できるので、挿入作業が容易である。この際、支持レール16とリブ17の間の空間は、止め金具5と支持レール16の間に余裕空間Gができるように広く形成されているので、挿入の開始時に細かい位置決め作業のための神経を使うことは必要でなく、作業性が良い。
【0043】
止め金具5を本体金具4の所定位置に内装した後、締結ボルト6と共に引き上げると、下向き板部23、23のガイド手段23aが本体金具4の両側壁13、13の内側面に沿って摺動しながら上動させられ、固定板部22、22が支持レール16、16の下面に当接することにより停止する。このとき、支持レール16、16の先端の間に盤状部21が嵌入されるが、盤状部21の上面が支持レール16、16の上面から突出しないように形成することが好ましい。
【0044】
図例の場合、止め金具5の固定板部22、22を支持レール16、16の下面に当接させた状態で、両側壁13、13からビス26をねじ込むことにより下向き板部23を固定するように構成している。しかしながら、ビス26のねじ込みは、必ずしも必要ではなく、後述するように、太陽電池モジュールMを搭載した後、押え金具8の上から締結ナット27を螺着することにより締結ボルト6を引き上げ、これにより、止め金具5を上動させ、固定板部22、22を支持レール16、16の下面に当接させるようにしても良い。
【0045】
(アース金具)
図8及び図9に示すように、本体金具4には、支持レール16、16の先端支持部16aと尾端支持部16bを含む上面のほぼ全面にアース金具7が重ねて配置される。
【0046】
アース金具7は、薄い金属板のプレス成形により形成されており、締結ボルト6を挿通させるための開口部28を開設している。図示実施形態の場合、開口部28は、アース金具7のX方向の端縁から切欠き状に形成されており、これにより、締結ボルト6をX方向から開口部28に導くことを可能にしている。
【0047】
アース金具7のX方向の両端部には、プレス成形によるボス状の小突起が形成されており、支持レール16、16の先端支持部16a及び尾端支持部16bに食い込む下向き突起29aが下面に突設され、その近傍部において上向き突起29bが上面に突設されている。上向き突起29bは、後述するように太陽電池モジュールMが搭載されたとき、先端部M1及び尾端部M2の下面に食い込まされる。
【0048】
アース金具7の四隅に位置して両側縁から下向きに折曲された嵌合片30が設けられており、アース金具7を本体金具4の上面に重ねて配置したとき、嵌合片30が本体金具4の両側面に嵌合されるように構成している。
【0049】
図8(C)に示すように、アース金具7の幅W2は、本体金具4の幅W1に対して、W2>W1となるように形成されており、これにより、本体金具4の両側面に嵌合される嵌合片30をアース金具7の側縁からプレス成形により下向きに折曲形成することを可能としている。
【0050】
これに対して、本体金具4の翼片18は、アース金具7の両側縁に干渉しないように構成されており、本体金具4の両側面から外向きに突出する連設部18aと、該連設部18aから外向き傾斜して上向きに延びるフィン部18bにより形成されている。これにより、図8(C)に示すように、アース金具7は、本体金具4の上面の全面を覆う幅W2を有するように形成されている。
【0051】
この際、前記翼片18は、図8(B)に示すように、フィン部18bの軒方向(X1方向)に臨む側縁部に切欠き部18cを形成することにより、翼片18の連設部18aを側方に開放する排水手段31を設けている。これにより、屋根上において、連設部18aとフィン部18bの間のL形折曲部に溜まる雨水は、軒先方向に位置して切欠き部18cにより形成された排水手段31から排出されるので、翼片18及びアース金具7の早期腐食が防止される。
【0052】
(太陽電池モジュールの搭載と押え金具)
図9に示すように、X方向に関し、翼片18、18を太陽電池モジュールM、Mの隙間Sに対応する基準位置として、基準位置から、棟側に延びる領域R1に棟側の太陽電池モジュールMの先端部M1が搭載され、軒側に延びる領域R2に軒側の太陽電池モジュールMの尾端部M2が搭載される。
【0053】
搭載された太陽電池モジュールMの先端部M1と尾端部M2の上面には、押え金具8が跨設状態に配置され、孔8aに締結ボルト6を挿通させた状態で、上方から締結ナット27を螺着し、押え金具8を下動させるように構成している。これにより、先端部M1及び尾端部M2は、アース金具7を介して本体金具4の支持レール16の先端支持部16a及び尾端支持部16bに押し付けられた状態で固定される。
【0054】
押え金具8は公知のものであり、孔8aを設けた溝形部8bの両側にレール状のフランジ8c、8cを延設しており、前記溝形部8bを隣り合う太陽電池モジュールの隙間Sに挿入させ、フランジ8c、8cをそれぞれ太陽電池モジュールの先端部M1及び尾端部M2の上面に当接させるように構成されている。
【0055】
以上のようにして、折板屋根の山折部3aに対して、本発明の支持装置により、太陽電池モジュールMが固定支持された状態を図10に示している。
【0056】
図10(A)は、軒側の軒端部に設けられた支持装置を示しており、基本的構成は、上述の実施形態について説明した支持装置2と同様であるが、隣り合う太陽電池モジュールの先端部M1と尾端部M2を固定支持するものではなく、軒端部に配設された太陽電池モジュールMの先端部だけを固定支持するものであるから、上述の押え金具8とは異なる形状の押え金具8Xが使用されている。
【0057】
図10(B)に示すように、本発明において、太陽電池モジュールMの荷重は、アース金具7を介して本体金具4により支持されている。支持レール16の先端支持部16a及び尾端支持部16bが受ける垂直荷重は、該支持レール16に一体形成された両側壁13、13により強固に支持される。換言すると、太陽電池モジュールの先端部M1及び尾端部M2を上方から固定保持する押え金具8のための締結ボルト6を設けた止め金具5は、太陽電池モジュールMの荷重を受けないように構成されているので、止め金具5と本体金具4の間の接合部に歪み変形や破損を生じるおそれはない。
【0058】
ところで、折板屋根1の山折部1aに本体金具4を設置した状態で、ルーフボルト3の1軸により固定するように構成した場合、本体金具4は、ナットが弛緩すると、回り止め手段が設けられていない限り、ボルトの軸廻りに回動するおそれがある。そして、それにより、太陽電池モジュールの下面を支持していた支持部が該下面から位置ずれしてしまうという問題ある。
【0059】
この点に関して、本体金具4は、図10(B)に示すように、両側から起立して一体形成した一対の翼片18、18を隣り合う太陽電池モジュールの隙間Sに挿入するように構成し、該翼片18のX方向の両側縁部をそれぞれ太陽電池モジュールの先端面と尾端面に当接させているので、この当接部により回動阻止手段32が構成されており、本体金具4の回動を阻止することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0060】
M 太陽電池モジュール
M1 先端部
M2 尾端部
S 隙間
1 折板屋根
1a 山折部
1b 谷折部
1c 傾斜部
2 支持装置
3 ルーフボルト
4 本体金具
5 止め金具
6 締結ボルト
6a 頭部
6b ねじ軸部
6c 角根
7 アース金具
8 押え金具
8a 孔
8b 溝形部
8c フランジ
9a ボルト
9b 拡開スリーブ
9c カラー
10 パッキン付き座金
11 ナット
12 固定用ナット
13 側壁
13a 接支部
14 下側横板部
15 上側横板部
16 支持レール
16a 先端支持部
16b 尾端支持部
17 リブ
18 翼片
18a 連設部
18b フィン部
18c 切欠き部
19 窓孔
20 長孔
21 盤状部
22 固定板部
23 下向き板部
23a ガイド手段
24 角孔
25 爪片
26 ビス
27 締結ナット
28 開口部
29a 下向き突起
29b 上向き突起
30 嵌合片
31 排水手段
32 回動阻止手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11