(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058513
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】9-アミノメチルミノサイクリン化合物及び市中感染型細菌性肺炎(CABP)の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/65 20060101AFI20230418BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A61K31/65
A61P31/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006239
(22)【出願日】2023-01-19
(62)【分割の表示】P 2019522669の分割
【原出願日】2017-10-31
(31)【優先権主張番号】62/500,611
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/514,415
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/422,843
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/416,010
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/480,516
(32)【優先日】2017-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517334296
【氏名又は名称】パラテック ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トザニス,エヴァンゲロス エル.
(72)【発明者】
【氏名】マクガヴァン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】マンリー,アミー
(72)【発明者】
【氏名】ギャリティ-ライアン,リン
(72)【発明者】
【氏名】タナカ,エス.ケン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法を提供する。
【解決手段】9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口又はIV用量のいずれか、又は両方の組合せで使用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、
(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項2】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、
(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項3】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項4】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項5】
ステップ(2)が、約100mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の1回の静脈内用量からなる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項7】
ステップが、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日又は20日以内に完了する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップが、7~14日以内に完了する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップが、7~10日以内に完了する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップが、11~14日以内に完了する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステップが、10日以内に完了する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
IV投薬の日数が、3~10日である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
IV投薬の日数が、3~6日である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
IV投薬の日数が、7~10日である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
IV投薬の日数が、5日である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
1回以上の経口用量を含み、IV投薬の日数が、4~7日である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
IV投薬の日数が、4~5日である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
IV投薬の日数が、6~7日である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
IV投薬の日数が、5日である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
経口投薬の日数が、1~7日である、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
経口投薬の日数が、1~4日である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
経口投薬の日数が、5~7日である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
経口投薬の日数が、5日である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
IV投薬の日数が、5日であり、経口投薬の日数が、5日である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約300~450mgの3回の経口用量、それに続く、
(2)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項26】
各経口用量が約300mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
各経口用量が約450mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(1)における各経口用量が、約300mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(1)における各経口用量が、約450mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(2)における各経口用量が、約300mgである、請求項25、28又は29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(2)における各経口用量が、約450mgである、請求項25、28又は29に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(2)における各経口用量が、約600mgである、請求項25、28又は29に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(1)の最初の2回の経口用量が、各300mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量が、約300、450又は600mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(1)の最初の2回の経口用量が、各450mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量が、約300、450又は600mgである、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)約450~600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く、
(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
【請求項36】
前記投与計画が、
(1)約450又は600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く、
(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記投与計画が、
(1)24時間あけて投与される約450mgの1日2回の経口用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ステップが、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日以内に完了する、請求項25~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ステップが、7~14日以内、7~10日以内、11~14日以内又は10日以内に完了する、請求項25~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記CABPが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)を含む肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)、大腸菌又はそれらの組合せによって引き起こされる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記肺炎連鎖球菌が、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)、マクロライド耐性肺炎連鎖球菌、セファロスポリン耐性肺炎連鎖球菌又は多剤耐性肺炎連鎖球菌(MDRSP)である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記CABPが、細胞内病原体、例えばレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)又はそれらの組合せによって引き起こされる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記CABPが、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)によって引き起こされる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象がヒトである、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記経口用量のそれぞれが、2個の150mg錠として独立に投与される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記静脈内用量のそれぞれが、約30分(例えば、少なくとも30分及び45分以下)にわたって連続的に投与される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記投与計画が、3日以上の間24時間毎に1回の400mgの静脈内用量、それに続く、24時間毎に1回の400mg経口用量のモキシフロキサシンの1回以上の用量として投与されるモキシフロキサシンと比較して非劣性の10%(又は12.5%)マージン内である臨床的成功率を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象が、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、ここで、前記症状は、無し、軽度、中程度及び重度の4段階評価で評価され、改善は、ベースラインから前記3日目~5日目での評価への、少なくとも1段階の改善である(例えば、重度から中程度、中程度から無し、又は軽度から無し)、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、それらから選択される症状のいずれにおいても悪化がなく、体温、血圧、心拍数及び呼吸数から選択される少なくとも1つのバイタルサインの改善を経験する、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
対象が、ステップ(3)投薬(存在するとすれば)の直前に、一晩絶食し、少なくとも6時間食物又は水以外の飲料をとらず、対象が、ステップ(3)投薬後も絶食を継続し、2時間食物をとらず、4時間乳製品をとらない、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記塩が、トシレート塩である、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
約70%~100%の臨床的成功率を有する、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記臨床的成功率が、約75~95%、約80~95%、約75~90%、約80~90%、約75~85%、約80~85%、約85~90%、約90~95%、約80~82%又は約81%である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記臨床的成功率が、第1の静脈内用量の投与後約72~120時間で観察される約75~85%である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記臨床的成功率が、約80~82%又は80%又は81%である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される(例えば、臨床的に評価可能な集団又はCE-PTEにおける、又はITT集団における治療後評価の時間に相当する)、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記臨床的成功率が、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%又は97%である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、PORTリスククラスIIとして分類されるCABPを有する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
約70~100%、約75~96%、約75~90%、約80~83%、約82%、約80~96%、約90~96%又は約95%の臨床的成功率を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約75~85%又は約90~100%である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記臨床的成功率が、約82%又は約95%である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、PORTリスククラスIIIとして分類されるCABPを有する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
約80~100%、約85~95%、約90~95%、約90~91%又は約93~94%の臨床的成功率を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~100%である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記臨床的成功率が、約90~91%又は約93~94%である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、PORTリスククラスIVとして分類されるCABPを有する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
約70~100%、約75~95%、約80~95%、約83~85%又は約90~91%の臨床的成功率を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約80~95%である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記臨床的成功率が、約83~85%又は約90~91%である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記対象が、PORTリスククラスIII又はIVとして分類されるCABPを有する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
約75~100%、約85~95%、約85~90%、約88~89%、約90~95%又は約92~93%の臨床的成功率を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~95%である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記臨床的成功率が、約88~89%又は約92~93%である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記対象の治療と関連する消化管(GI)有害事象(AE)が、軽度である、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象の治療と関連するGI有害事象(AE)が、前記方法を用いる療法の中断をもたらさない、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記対象の治療が、(1)前記対象におけるC.ディフィシル(例えば、C.ディフィシル大腸炎(C. difficile colitis)及び偽膜性大腸炎(Pseudomembranous colitis))感染のリスクの増大をもたらさない、又は(2)前記対象において腸マイクロバイオームを実質的に破壊しない、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象が、C.ディフィシル感染症を発生するリスクがある、又は素因を有している、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記対象が、最近、1種以上の抗生物質(例えば、広域性抗生物質)を用いて治療されている、消化管の手術を受けている、結腸の疾患(例えば、炎症性腸疾患又は結腸直腸がん)を有する、腎臓疾患を有する、免疫系が弱まっている、化学療法中である、これまでにC.ディフィシル感染症を有している、65歳以上である、プロトンポンプ阻害剤を服用している、又は前記対象をC.ディフィシル感染症を発生しやすくする環境(例えば、病院、ナーシングホーム又は介護付き住宅)に住んでいる、請求項77に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
テトラサイクリン抗生物質の開発は、殺菌性及び/又は静菌性組成物を産生可能な微生物の証拠を求めた、世界各地から集めた土壌試料の系統的スクリーニングの直接的な結果であった。これらの新規化合物のうち最初のものは、クロルテトラサイクリンの名前のもと、1948年に導入された。2年後、オキシテトラサイクリンが利用可能になった。これらの化合物の化学構造の解明によって、その類似性が確認され、また、1952年のこのグループの第3のメンバー、テトラサイクリンの製造の解析的基礎を与えた。初期のテトラサイクリンには存在する環が結合しているメチル基を有さない、ミノサイクリン化合物の新規ファミリーが、1957年に調製され、1967年に公的に利用可能になり、ミノサイクリンは1972年まで使用されていた。
【0002】
最近、研究努力は、変動する治療条件及び投与経路下で有効な新規テトラサイクリン抗生物質組成物を開発することに集中している。最初に導入されたミノサイクリン化合物と同等である又はより有効であると証明され得る新規テトラサイクリン類似体も調べられている。例として、米国特許第2,980,584号、同2,990,331号、同3,062,717号、同3,165,531号、同3,454,697号、同3,557,280号、同3,674,859号、同3,957,980号、同4,018,889号、同4,024,272号及び同4,126,680号が挙げられる。これらの特許は、医薬上活性なテトラサイクリン及びテトラサイクリン類似体組成物の範囲の代表的なものである。
【0003】
歴史的に、その最初の開発及び導入の直後に、テトラサイクリンは、リケッチア、いくつかのグラム陽性菌及びグラム陰性菌並びに結膜炎及びオウム病を含む鼠径リンパ肉芽腫症の原因となる病原体に対して高度に薬理学的に有効であるとわかった。したがって、テトラサイクリンは、「広域性」抗生物質として知られるようになった。in vitro抗菌活性、実験感染症における有効性及び薬理学的特性のその後の確立とともに、クラスとしてのテトラサイクリンは、急速に治療目的で広く使用されるようになった。しかし、重症及び軽症の病気及び疾患両方のためのテトラサイクリンのこの広範な使用は、共生及び病原性両方の(例えば、肺炎球菌(Pneumococci)及びサルモネラ菌(Salmonella))高度に感受性の細菌種の間でさえ、これらの抗生物質に対する耐性の出現に直接的につながった。テトラサイクリン耐性生物の増加は、最適な抗生物質としてのテトラサイクリン及びテトラサイクリン類似体組成物の使用の全体的な低下をもたらした。さらに、その他の抗菌薬も過剰使用され、多剤耐性菌株を作り出した。したがって、一般に、細菌感染症の治療のための有効な抗菌薬、特に、疾患の原因となる病原体による重度の耐性のない、又は少ない抗菌薬が必要である。
【0004】
市中感染肺炎(CAP)としても知られる市中感染型細菌性肺炎(CABP)(これらの用語は同義的に使用され得る)は、胸痛、咳、痰生成、呼吸困難、悪寒、戦慄、発熱又は低血圧を伴う肺の柔組織の急性細菌感染として定義され、胸部X線写真で新規大葉性又は多葉性浸潤物の存在を伴う。CABPを引き起こす一般的な通常の細菌病原体として、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及びモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)が挙げられる。肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)及びレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)などの非定型細菌病原体も、CABPを引き起こす。
【0005】
CABPは、米国(US)において及び世界において罹病率及び死亡率の主因である(Mandellら、Clin. Infect. Dis.第44巻:S27~S72、2007年)。米国では、年にCABPの4~600万の症例が生じ、1000万回の医師の訪問、600,000の入院及び何万人もの死亡をもたらす。年間米国保険医療予算に対するCABPの総費用は、100億ドルを越える(2007年の調整したドルで)(Niedermanら、Clin. Ther.第20巻(4号):820~37頁、1998年)。さらに、一般的な病原体の間で抗生物質に対する耐性が増加しており、新規抗生物質に対して結果として重大な必要性がある(Spellbergら、Clin. Infect. Dis.第46巻(2号):155~164頁、2008年)。最も頻繁に処方される現在利用可能な抗生物質に対する細菌耐性は、感染症を治療するその可能性を制限しており、これが、第一選択の経験的な単剤療法としてのその使用を妨げている。CABPにおける、地域社会におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)及び多剤耐性肺炎連鎖球菌(MDR-SP)は、ペニシリン(両方に対する耐性率100%)、セファロスポリン(セフトリアキソンに対してそれぞれ100%及び11%)、マクロライド(アジスロマイシン/エリスロマイシンに対して、それぞれ83%及び86%)及びキノロン(レボフロキサシンに対して、それぞれ73%及び2%)に対する耐性のために、治療課題を突き付けてきた。さらに、キノロン及びベータ-ラクタムクラスの抗生物質の使用と関連する「コラテラルダメージ」についての懸念の増大は、CABPのための新規抗生物質治療選択肢の必要性をさらに強調する(Paterson、Clin Infect Dis.第38巻付録4:S341~345、2004年)。耐性による療法の失敗は、CABPの罹病率及び死亡率に寄与し続け、軽度疾患の治療失敗は、入院の増大をもたらし、医療費の増大に寄与する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において記載される本発明は、CABPの治療において使用するための9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(オマダサイクリン(Omadacycline)又は「化合物1」)などの9-アミノメチルミノサイクリンを提供する。
【0007】
本発明はまた、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンは、CABPの治療のためにIV投与形として、単独で、又は経口投与形と組み合わせて(最初のIV用量後の経口ステップダウンなど)提供できるという発見に部分的に基づいている。特定の実施形態では、本発明は、CABPの治療のためにIV投与形として、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンの使用を提供する。
【0008】
本発明は、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンは、細胞内CABP病原体を含む、CABPと関連するさまざまな病原体に対して比較的広域のスペクトルを有するという発見にさらに基づいている。化合物1は、一般的な通常の及び非定型の病原体に対するin vitro活性並びに24時間の持続する気道上皮被覆液(ELF)及び肺胞マクロファージ(AM)を含む肺胞細胞(AC)濃縮を有するという所見は、化合物1が、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)及び/又はコクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)を含む細胞内CABP病原体などの感受性病原体によって引き起こされる下気道細菌感染の治療のために抗菌薬として有用性を有するということを示唆する。
【0009】
本発明は、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンは、以下にさらに記載されるようなCABPと関連するさまざまな病原体に対して比較的広域のスペクトルを有するという発見にさらに基づいている。
【0010】
化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンはまた、MRSA及びペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)などの抗生物質耐性病原体と関連するCABPの治療にとって有利である。耐性病原体に対するその有効性のために、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンはまた、既知の又は疑わしい薬物耐性菌が原因病原体であり得る場合に、最先端の治療薬として使用できる。他方、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンはまた、その他の抗生物質によってこれまでに治療されているが、不適切な応答を有していた、又は消化管AE(GI管AE)及び/若しくはC.ディフィシル(C. difficile)感染などの容認できない若しくは望ましくない有害事象(AE)を発生していた/示していた患者において治療薬として使用できる。
【0011】
したがって、本発明の一態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投薬計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、(4)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
本発明の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
本発明の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明の別の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む方法を提供する。
【0015】
特定の実施形態では、ステップ(2)は、約100mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の1回の静脈内用量からなる。
【0016】
本発明のさらに別の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量とに従って投与することを含む方法を提供する。
【0017】
特定の実施形態では、本方法のステップは、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日内で完了する。
【0018】
特定の実施形態では、ステップは、7~14日、例えば、7~10日、11~14日又は10日内に完了する。
【0019】
特定の実施形態では、IV投薬の日数は、3~10日、例えば、3~6日、7~10日又は5日である。
【0020】
特定の実施形態では、方法は、1回以上の経口用量を含み、IV投薬の日数は、4~7日、例えば、4~5日、6~7日又は5日である。
【0021】
特定の実施形態では、経口投薬の日数は、1~7日、例えば、1~4日、5~7日又は5日である。
【0022】
特定の実施形態では、IV投薬の日数は、5日であり、経口投薬の日数は、5日である。
【0023】
本発明の別の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約300~450mgの3回の経口用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む方法を提供する。
【0024】
特定の実施形態では、各経口用量は、約300mgである。
【0025】
特定の実施形態では、各経口用量は、約450mgである。
【0026】
特定の実施形態では、ステップ(1)における各経口用量は、約300mgである。
【0027】
特定の実施形態では、ステップ(1)における各経口用量は、約450mgである。
【0028】
特定の実施形態では、ステップ(2)における各経口用量は、約300mgである。
【0029】
特定の実施形態では、ステップ(2)における各経口用量は、約450mgである。
【0030】
特定の実施形態では、ステップ(2)における各経口用量は、約600mgである。
【0031】
特定の実施形態では、ステップ(1)の最初の2回の経口用量は、各300mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量は、約300、450又は600mgである。
【0032】
特定の実施形態では、ステップ(1)の最初の2回の経口用量は、各450mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量は、約300、450又は600mgである。
【0033】
本発明の別の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように投与することを含む方法であって、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5、6、7又は8連続日間、300mgの1日1回経口用量として投与される方法を提供する。
【0034】
本発明の別の関連態様は、その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、対象に9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)約450~600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む方法を提供する。
【0035】
特定の実施形態では、投与計画は、(1)約450又は600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量である。
【0036】
特定の実施形態では、投与計画は、(1)24時間あけて投与される約450mgの1日2回の経口用量、それに続く、(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量である。
【0037】
特定の実施形態では、ステップは、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日内に完了する。
【0038】
特定の実施形態では、ステップは、7~14日内、7~10日内、11~14日内又は10日内に完了する。
【0039】
特定の実施形態では、CABPは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)を含む肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、クラミドフィラ・シタッシ、コクシエラ・ブルネッティ、大腸菌(Escherichia coli)又はそれらの組合せによって引き起こされる。
【0040】
特定の実施形態では、肺炎連鎖球菌は、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)、マクロライド耐性肺炎連鎖球菌、セファロスポリン耐性肺炎連鎖球菌又は多剤耐性肺炎連鎖球菌(MDRSP)である。
【0041】
特定の実施形態では、CABPは、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、クラミドフィラ・シタッシ、コクシエラ・ブルネッティ又はそれらの組合せなどの細胞内病原体によって引き起こされる。
【0042】
特定の実施形態では、CABPは、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)によって引き起こされる。
【0043】
特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0044】
特定の実施形態では、前記経口用量のそれぞれは、2個の150mg錠として独立に投与される。
【0045】
特定の実施形態では、前記静脈内用量のそれぞれは、約30分(例えば、少なくとも30分及び45分以下)にわたって連続的に投与される。
【0046】
特定の実施形態では、投与計画は、(1)モキシフロキサシンのものよりも高い、又は(2)モキシフロキサシンと比較して非劣性の10%(又は12.5%)マージン内である臨床的成功率を有し、ここで、モキシフロキサシンは、3日以上の間24時間毎に1回の400mgの静脈内用量、それに続く、24時間毎に1回の400mg経口用量のモキシフロキサシンの1回以上の用量として投与される。
【0047】
特定の実施形態では、対象は、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、ここで、前記症状は、無し、軽度、中程度及び重度の4段階評価で評価され、改善は、ベースラインから前記3日目~5日目での評価への、少なくとも1段階の改善である(例えば、重度から中程度、中程度から無し、又は軽度から無し)。
【0048】
特定の実施形態では、ステップ(1)後3日目~5日目に、対象は、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、それらから選択される症状のいずれにおいても悪化がなく、体温、血圧、心拍数及び呼吸数から選択される少なくとも1つのバイタルサインの改善を経験する。
【0049】
特定の実施形態では、対象は、ステップ(3)投薬の直前に、一晩絶食し、少なくとも6時間食物又は水以外の飲料をとらず、対象は、ステップ(3)投薬後も絶食を継続し、2時間食物をとらず、4時間乳製品をとらない。
【0050】
特定の実施形態では、塩は、トシレート塩である。
【0051】
特定の実施形態では、方法は、約70%~100%の臨床的成功率を有する。
【0052】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約75~95%、約80~95%、約75~90%、約80~90%、約75~85%、約80~85%、約85~90%、約90~95%、約80~82%又は約81%である。
【0053】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、第1の静脈内用量の投与後約72~120時間で観察される約75~85%である。
【0054】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約80~82%又は80%又は81%である。
【0055】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される(例えば、臨床的に評価可能な集団又はCE-PTEにおける、又はITT集団における治療後評価の時間に相当する)。
【0056】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%又は97%である。
【0057】
特定の実施形態では、対象は、PORTリスククラスIIとして分類されるCABPを有する。
【0058】
特定の実施形態では、方法は、約70~100%、約75~96%、約75~90%、約80~83%、約82%、約80~96%、約90~96%又は約95%の臨床的成功率を有する。
【0059】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約75~85%又は約90~100%である。
【0060】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約82%又は約95%である。
【0061】
特定の実施形態では、対象は、PORTリスククラスIIIとして分類されるCABPを有する。
【0062】
特定の実施形態では、方法は、約80~100%、約85~95%、約90~95%、約90~91%又は約93~94%の臨床的成功率を有する。
【0063】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~100%である。
【0064】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約90~91%又は約93~94%である。
【0065】
特定の実施形態では、対象は、PORTリスククラスIVとして分類されるCABPを有する。
【0066】
特定の実施形態では、方法は、約70~100%、約75~95%、約80~95%、約83~85%又は約90~91%の臨床的成功率を有する。
【0067】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約80~95%である。
【0068】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約83~85%又は約90~91%である。
【0069】
特定の実施形態では、対象は、PORTリスククラスIII又はIVとして分類されるCABPを有する。
【0070】
特定の実施形態では、方法は、約75~100%、約85~95%、約85~90%、約88~89%、約90~95%又は約92~93%の臨床的成功率を有する。
【0071】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~95%である。
【0072】
特定の実施形態では、臨床的成功率は、約88~89%又は約92~93%である。
【0073】
特定の実施形態では、前記対象の治療と関連する消化管(GI)有害事象(AE)は軽度である。
【0074】
特定の実施形態では、前記対象の治療と関連するGI有害事象(AE)は、方法を用いる療法の中断をもたらさない。
【0075】
特定の実施形態では、対象の治療は、(1)対象におけるC.ディフィシル(C.ディフィシル大腸炎及び偽膜性大腸炎としても知られる)感染のリスクの増大をもたらさない、又は(2)対象において腸マイクロバイオームを実質的に破壊しない。
【0076】
特定の実施形態では、対象は、C.ディフィシル感染症を発生するリスクにある、又は素因を有している。
【0077】
特定の実施形態では、対象は、最近、1種以上の抗生物質(広域性抗生物質など)を用いて治療されている、消化管の手術を受けている、結腸の疾患(例えば、炎症性腸疾患又は結腸直腸がん)を有する、腎臓疾患を有する、免疫系が弱まっている、化学療法中である、これまでにC.ディフィシル感染症を有している、65歳以上である、プロトンポンプ阻害剤を服用している、又は前記対象をC.ディフィシル感染症を発生しやすくする環境(例えば、病院、ナーシングホーム又は介護付き住宅)に住んでいる。
【0078】
明確に拒否されない限り、又は不適当でない限り任意の1つの実施形態を、任意の他の実施形態と組み合わせることができるということは理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】
図1は、AC(肺胞細胞)、血漿及びELFにおける、平均化合物1(オマダサイクリン)濃度対時間プロフィールを示す図である。
【
図2】
図2は、化合物1(「オマダサイクリン」)が、ITT(治療企図)集団における早期臨床応答(ECR)について(左側のバーの対を参照のこと)(FDA主要エンドポイント)、及びITT集団(中央のバーの対を参照のこと)及びCE-PTE(PTEでの臨床的に評価可能な集団)集団(右のバーの対を参照のこと)両方におけるPTE(治療後/療法評価)での臨床的成功について(FDA副次的エンドポイント)、モキシフロキサシンに対して統計的非劣性(10%マージン)を実証したことを示す図である。
【
図3】
図3は、化合物1(「オマダサイクリン」)が、PORTリスククラスIII/IVとして分類されるCABPを有する患者に制限されたITT集団(左のバーの対を参照のこと)及びPORTリスククラスIII/IVとして分類されるCABPを有する患者に制限されたCE-PTE集団(右のバーの対を参照のこと)の両方において、PTEでの臨床的成功に基づいて、モキシフロキサシンに対して統計的非劣性(10%マージン)を実証したことを示す図である(EMA共主要エンドポイント)。
【
図4】
図4は、10種以上の分離菌を用いる化合物1治療群における、ベースライン病原体による、化合物1(オマダサイクリン)及びモキシフロキサシン両方のPTEでの臨床的成功率を示す図である。N1=指定のベースライン病原体を有する対象数。n=指定のカテゴリー中の対象数。パーセンテージは、指定のベースライン病原体を有する対象数に基づいている。
【
図5】
図5は、経口投与後のオマダサイクリンの血漿濃度対時間曲線を示す図である。オマダサイクリンの平均(±SD)血漿濃度対時間は、薬物動態集団について、オマダサイクリン用量(300、450又は600mg)によって示されている。経口オマダサイクリン用量は、3期間のそれぞれにおいて5連続日の投薬のそれぞれで時間0で投与された。血液サンプルは、1日目(左パネル)及び5日目(右パネル)にPK解析のために採取した。データは、特定の用量を投与された期間に関わらず、すべての対象についてオマダサイクリン用量によってプールされた。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明は、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(化合物1/オマダサイクリン)は、指定の投与量及び投与計画に基づいて、CABPなどの特定の細菌感染を治療するために有効であるという発見に少なくとも部分的に関する。
【0081】
本発明は、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンは、以下にさらに記載されるようなCABPと関連するさまざまな病原体に対して比較的広域のスペクトルを有するという発見にさらに基づいている。
【0082】
さらに、化合物1などの9-アミノメチルミノサイクリンはまた、細胞内CABP病原体に対して比較的広域のスペクトルを有する。化合物1は、一般的な通常の及び非定型の病原体に対するin vitro活性並びに24時間の持続する気道上皮被覆液(ELF)及び肺胞マクロファージ(AM)を含む肺胞細胞(AC)濃縮を有するという所見は、化合物1が、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、クラミドフィラ・シタッシ及び/又はコクシエラ・ブルネッティを含む細胞内CABP病原体などの感受性病原体によって引き起こされる下気道細菌感染の治療のために抗菌薬として有用性を有するということを示唆する。
【0083】
したがって、一態様では、本発明は、その治療を必要とする対象においてCABPを治療する方法を提供する。
【0084】
第1の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(例えば、トシレート塩として)を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内(IV)用量、それに続く、(2)それぞれ直前のIV用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上のIV用量、それに続く、(3)午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、(4)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0085】
関連する第2の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0086】
関連する第3の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100~125mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100~125mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300~475mg(すなわち、経口用量で投与されるIV用量の3倍)の1回の経口用量、それに続く、(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~475mg(すなわち、経口用量で投与されるIV用量の3倍)の1回以上の経口用量に従って投与することを含む。特定の実施形態では、100~125mgのIV用量は、約100~120mg、約100~115mg、約100~110mg及び約100~105mgであり、300~475mgの経口用量は、対応するIV用量の3倍である(すなわち、300~475mgの経口用量は、それぞれ、約300~360mg、約300~345mg、約300~330mg及び約300~315mgである)。
【0087】
第4の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(例えば、トシレート塩として)を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)約200mgの1回の静脈内(IV)用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前のIV用量の24時間後に投与される、各約100mgの1回以上のIV用量、それに続く、(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、(4)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0088】
第5の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0089】
関連する第6の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0090】
関連する第7の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100~125mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100~125mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300~475mg(すなわち、経口用量で投与されるIV用量の3倍)の1回以上の経口用量に従って投与することを含む。特定の実施形態では、100~125mg IV用量は、約100~120mg、約100~115mg、約100~110mg及び約100~105mgであり、300~475mgの経口用量は、対応するIV用量の3倍である(すなわち、300~475mgの経口用量は、それぞれ、約300~360mg、約300~345mg、約300~330mg及び約300~315mgである)。
【0091】
第8の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)約200mgの1回の静脈内用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される、各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、(3)任意選択で、それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0092】
第9の実施形態では、第5~第8の実施形態のうちいずれか1つの方法中のステップ(2)は、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の約100mgの1回の静脈内用量からなる。
【0093】
第10の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量とに従って投与することを含む。
【0094】
関連する第11の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約100~125mgの3回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100~125mgの1回以上の静脈内用量とに従って投与することを含む。特定の実施形態では、100~125mgのIV用量は、約100~120mg、約100~115mg、約100~110mg及び約100~105mgである。
【0095】
関連する第12の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)約200mgの1回の静脈内用量、それに続く、(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される、各約100mgの1回以上の静脈内用量とに従って投与することを含む。
【0096】
第13の実施形態では、第1~12の実施形態のいずれか1つの方法ステップは、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日内で完了する。特定の関連実施形態では、方法ステップは、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日又は20日内に完了する。さらに別の実施形態では、方法ステップは、5日、6日又は21日内に完了する。特定の関連実施形態では、方法ステップは、5又は6日内に完了する。特定の関連実施形態では、方法ステップは、7~14日内に完了する。
【0097】
第14の実施形態では、第1~12の実施形態のいずれか1つの方法ステップは、7~14日内、例えば、7~10日、11~14日又は10日内に完了する。
【0098】
第15の実施形態では、第14の実施形態におけるIV投薬の日数は、3~10日、例えば、3~6日、7~10日又は5日である。
【0099】
第16の実施形態では、第1~15の実施形態のいずれか1つの方法は、1回以上の経口用量を含み、IV投薬の日数は、4~7日、例えば、4~5日、6~7日又は5日である。
【0100】
第17の実施形態では、第16の実施形態における経口投薬の日数は、1~7日、例えば、1~4日、5~7日又は5日である。
【0101】
第18の実施形態では、第1~17の実施形態のいずれか1つにおけるIV投薬の日数は、5日であり、経口投薬の日数は、5日である。
【0102】
第19の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(例えば、トシレート塩として)を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)12時間あけて投与される各約300~450mg(例えば、300mg又は450mg)の3回の経口用量、それに続く、(2)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0103】
第20の実施形態では、第19の実施形態の各経口用量は、約300mgである。
【0104】
第21の実施形態では、第19の実施形態の各経口用量は、約450mgである。
【0105】
第22の実施形態では、第19の実施形態のステップ(1)における各経口用量は、約300mgである。
【0106】
第23の実施形態では、第19の実施形態のステップ(1)における各経口用量は、約450mgである。
【0107】
第24の実施形態では、第19、22又は23の実施形態のステップ(2)における各経口用量は、約300mgである。
【0108】
第25の実施形態では、第19、22又は23の実施形態のステップ(2)における各経口用量は、約450mgである。
【0109】
第26の実施形態では、第19、22又は23の実施形態のステップ(2)における各経口用量は、約600mgである。
【0110】
第27の実施形態では、第19の実施形態のステップ(1)における最初の2回の経口用量は、各300mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量は、約300、450又は600mgである。
【0111】
第28の実施形態では、第19の実施形態のステップ(1)における最初の2回の経口用量は、各450mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量は、約300、450又は600mgである。
【0112】
第29の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(例えば、トシレート塩として)を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)約450~600mg(例えば、450mg又は600mg)の1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0113】
第30の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(例えば、トシレート塩として)を、対象が治療されるように、以下の投与計画:(1)約300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1回以上の経口用量に従って投与することを含む。
【0114】
第31の実施形態では、方法は、対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、対象が治療されるように投与することを含み、ここで、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンは、5、6、7又は8連続日間の300mgの1日1回の経口用量として投与される。
【0115】
第32の実施形態では、第29の実施形態の投与計画は、(1)約450~600mg、例えば、450mg又は600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量である。
【0116】
第33の実施形態では、第29の実施形態の投与計画は、(1)24時間あけて投与される約450mgの1日2回の経口用量、それに続く、(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量である。
【0117】
第34の実施形態では、第29の実施形態の投与計画は、(1)24時間あけて投与される約600mgの1日2回の経口用量、それに続く、(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量である。
【0118】
第35の実施形態では、第25~34の実施形態のいずれか1つのステップは、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日内に完了する。
【0119】
第36の実施形態では、第25~34の実施形態のいずれか1つのステップは、7~14日内、7~10日内、11~14日内又は10日内に完了する。
【0120】
第37の実施形態では、第1~36の実施形態のいずれか1つのCABPは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)を含む肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラ・ニューモニエ、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、クラミドフィラ・シタッシ、コクシエラ・ブルネッティ、大腸菌又はそれらの組合せによって引き起こされる。
【0121】
第38の実施形態では、第37の実施形態の肺炎連鎖球菌は、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)、マクロライド耐性肺炎連鎖球菌、セファロスポリン耐性肺炎連鎖球菌又は多剤耐性肺炎連鎖球菌(MDRSP)である。
【0122】
第39の実施形態では、第1~36の実施形態のいずれか1つのCABPは、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、クラミドフィラ・シタッシ、コクシエラ・ブルネッティ又はそれらの組合せなどの細胞内病原体によって引き起こされる。
【0123】
第40の実施形態では、第1~36の実施形態のいずれか1つのCABPは、パラインフルエンザ菌によって引き起こされる。
【0124】
第41の実施形態では、第1~40の実施形態のいずれかの対象は、ヒトである。
【0125】
第42の実施形態では、第1~41の実施形態のいずれかの経口用量のそれぞれは、2個の150mg錠として独立に投与される。
【0126】
第43の実施形態では、第1~42の実施形態のいずれかの静脈内用量のそれぞれは、約30分(例えば、少なくとも30分及び45分以下)にわたって連続的に投与される。
【0127】
第44の実施形態では、第1~43の実施形態のいずれかの投与計画は、3日以上の間24時間毎に1回の400mg静脈内用量、それに続く、24時間毎に1回のモキシフロキサシンの400mgの経口用量の1回以上の用量として投与された、モキシフロキサシンと比較して非劣性の10%(又は12.5%)マージン内である臨床的成功率を有する。
【0128】
第45の実施形態では、第1~44の実施形態のいずれかの対象は、(1)咳、膿性痰の生成、呼吸困難(息切れ)及び胸膜炎性胸痛から選択される症状のうち少なくとも3つを有し、(2)発熱又は低体温(温度>38.0℃[100.4°F]又は<36.0℃[95.5°F])、収縮期血圧(SBP)<90mm Hgを有する低血圧症、頻脈(心拍数1分あたり>90拍動(bpm))及び頻呼吸(呼吸数(RR)>20呼吸/分)から選択される少なくとも2つの異常なバイタルサインを有し、(3)CABPと関連する少なくとも1つの臨床徴候又は検査所見:低酸素血症(動脈血ガス[ABG]による動脈血酸素の分圧[PaO2]<60mm Hg又はパルスオキシメトリによる酸素飽和<90%)、肺硬化の臨床証拠(例えば、身体検査所見による)(例えば、打診時濁音、気管支呼吸音又はヤギ声)及び総白血球細胞(WBC)数の増大(>12,000個細胞/mm3)又は白血球減少症(WBC<4,000個細胞/mm3)又は未熟好中球の増大(総末梢WBC数に関わらず、>15%桿状核球形態)を有する、(4)X線写真によって確認される肺炎(すなわち、ステップ(1)に先立つ24又は48時間内の急性細菌性肺炎と一致する、胸部X線(CXR)又は胸部コンピューター断層撮影法(CT)スキャンでの大葉又は多葉分布における新規又は進行性肺浸潤物)を有する、(5)PORTリスククラスII、III若しくはIVであると分類される疾患を有する、又は低拡大視野あたり10個より少ない扁平上皮細胞及び25個を超える多形核細胞を特徴とする適当な痰検体を有する。
【0129】
第46の実施形態では、第1~44の実施形態のいずれかの対象は、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、ここで、症状は、無し、軽度、中程度及び重度の4段階評価で評価され、改善は、ベースラインから3日目~5日目での評価への、少なくとも1段階の改善である(例えば、重度から中程度、中程度から無し、又は軽度から無し)。
【0130】
第47の実施形態では、第1~46の実施形態のいずれかの対象は、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、それらから選択される症状のいずれにおいても悪化がなく、体温、血圧、心拍数及び呼吸数から選択される少なくとも1つのバイタルサインの改善を経験する。
【0131】
化合物1は、食物消費が、経口投与された化合物1の300mgの用量の経口バイオアベイラビリティに対して相当な影響を与えるという点において、相当な食物効果を有するとわかった。実施例3を参照のこと。健常なボランティアにおけるPK研究は、絶食時用量と比較して、バイオアベイラビリティは、投薬の4時間前の乳成分を含まない食事について15%~17%、投薬の2時間前の乳成分を含まない食事について40%~42%、及び投薬の2時間前の乳成分を含む食事について59%~63%低減されたことを示した。したがって、食物の効果は、投薬近くに高脂肪食が消費された場合に、及び食事に乳成分が含まれた場合に、より明白であった。この結果に基づいて、経口化合物1は、治療効力を達成するように設計された経口用量の最大バイオアベイラビリティを達成するために、食事の少なくとも6時間後に投与されなければならない。
【0132】
したがって、第48の実施形態では、第1~47の実施形態のいずれか1つの対象は、ステップ(3)投薬の直前に、一晩絶食し、少なくとも6時間食物又は水以外の飲料をとらず、対象は、ステップ(3)投薬後も絶食を継続し、2時間食物をとらず、4時間乳製品をとらない。
【0133】
第49の実施形態では、第1~48の実施形態のいずれか1つの塩は、トシレート塩である。
【0134】
第50の実施形態では、第1~49の実施形態のいずれか1つの方法は、約70%~100%の臨床的成功率を有する。
【0135】
第51の実施形態では、第50の実施形態の臨床的成功率は、約75~95%、約80~95%、約75~90%、約80~90%、約75~85%、約80~85%、約85~90%、約90~95%、約80~82%又は約81%である。
【0136】
第52の実施形態では、第51の実施形態の臨床的成功率は、第1の静脈内用量の投与後約72~120時間で観察される約75~85%である。
【0137】
第53の実施形態では、第52の実施形態の臨床的成功率は、約80~82%又は80%又は81%である。
【0138】
第54の実施形態では、第51の実施形態の臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される(例えば、臨床的に評価可能な集団又はCE-PTEにおける、又はITT集団における治療後評価の時間に相当する)。
【0139】
第55の実施形態では、第54の実施形態の臨床的成功率は、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%又は97%である。
【0140】
第56の実施形態では、第1~55の実施形態のいずれか1つの対象は、PORTリスククラスIIとして分類されるCABPを有する。
【0141】
第57の実施形態では、第56の実施形態の方法は、約70~100%、約75~96%、約75~90%、約80~83%、約82%、約80~96%、約90~96%又は約95%の臨床的成功率を有する。
【0142】
第58の実施形態では、第57の実施形態の臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約75~85%又は約90~100%である。
【0143】
第59の実施形態では、第58の実施形態の臨床的成功率は、約82%又は約95%である。
【0144】
第60の実施形態では、第1~55の実施形態のいずれか1つの対象は、PORTリスククラスIIIとして分類されるCABPを有する。
【0145】
第61の実施形態では、第1~60の実施形態のいずれか1つの方法は、約80~100%、約85~95%、約90~95%、約90~91%又は約93~94%の臨床的成功率を有する。
【0146】
第62の実施形態では、第61の実施形態の臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~100%である。
【0147】
第63の実施形態では、第62の実施形態の臨床的成功率は、約90~91%又は約93~94%である。
【0148】
第64の実施形態では、第1~55の実施形態のいずれか1つの対象は、PORTリスククラスIVとして分類されるCABPを有する。
【0149】
第65の実施形態では、第64の実施形態の方法は、約70~100%、約75~95%、約80~95%、約83~85%又は約90~91%の臨床的成功率を有する。
【0150】
第66の実施形態では、第65の実施形態の臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約80~95%である。
第67の実施形態では、第66の実施形態の臨床的成功率は、約83~85%又は約90~91%である。
【0151】
第68の実施形態では、第1~55の実施形態のいずれか1つの対象は、PORTリスククラスIII又はIVとして分類されるCABPを有する。
【0152】
第69の実施形態では、第68の実施形態の方法は、約75~100%、約85~95%、約85~90%、約88~89%、約90~95%又は約92~93%の臨床的成功率を有する。
【0153】
第70の実施形態では、第69の実施形態の臨床的成功率は、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~95%である。
【0154】
第71の実施形態では、第70の実施形態の臨床的成功率は、約88~89%又は約92~93%である。
【0155】
第72の実施形態では、第1~71の実施形態のいずれか1つの方法における対象の治療と関連する消化管(GI)有害事象(AE)は、軽度である。
【0156】
第73の実施形態では、第1~71の実施形態のいずれか1つの方法における対象の治療と関連するGI有害事象(AE)は、方法を用いる療法の中断をもたらさない。
【0157】
第74の実施形態では、第1~73の実施形態のいずれか1つの方法における対象の治療は、(1)対象におけるC.ディフィシル(C.ディフィシル大腸炎及び偽膜性大腸炎としても知られる)感染のリスクの増大をもたらさない、又は(2)対象において腸マイクロバイオームを実質的に破壊しない。
【0158】
第75の実施形態では、第74の実施形態の対象は、C.ディフィシル感染症を発生するリスクにある、又は素因を有している。
【0159】
第76の実施形態では、第75の実施形態の対象は、最近、1種以上の抗生物質(広域性抗生物質など)を用いて治療されている、消化管の手術を受けている、結腸の疾患(例えば、炎症性腸疾患又は結腸直腸がん)を有する、腎臓疾患を有する、免疫系が弱まっている、化学療法中である、これまでにC.ディフィシル感染症を有している、65歳以上である、プロトンポンプ阻害剤を服用している、又は対象をC.ディフィシル感染症を発生しやすくする環境に住んでいる(例えば、病院、ナーシングホーム又は介護付き住宅に)。
【0160】
第77の実施形態では、前述の方法のいずれかにおいて、対象の治療と関連するGI有害事象(AE)は、方法を用いる療法の中断をもたらさず、対象の治療は、(1)対象におけるC.ディフィシル(例えば、C.ディフィシル大腸炎及び偽膜性大腸炎)感染のリスクの増大をもたらさない、又は(2)対象において腸マイクロバイオームを実質的に破壊しない。
【0161】
本明細書において、用語「対象」は、細菌感染を患うことができる動物(例えば、非ヒト哺乳動物)を含み得る。対象の例として、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジなど)、実験動物(マウス、ラットなど)、ペット(例えば、イヌ、ネコ、フェレットなど)及び霊長類(例えば、ヒト及びサル、ゴリラ、チンパンジーなどといった非ヒト霊長類)などの動物が挙げられる。
【0162】
上記の実施形態のいずれにおいても、対象は、ヒト、非ヒト霊長類又は非ヒト哺乳動物であり得る。
【0163】
用語「治療すること」又は「治療」とは、治療されるべき障害、例えば、細菌感染症の1以上の症状の改善、根絶又は減少を指す。特定の実施形態では、障害という用語は、治療されるべき感染症と関連する細菌の根絶を含む。
【0164】
用語「予防」とは、細菌感染のリスクを防ぐこと又は低減することを意味する。
【0165】
用語「耐性」又は「耐性である」とは、臨床検査標準協会(Clinical and Laboratories Standards Institute)(CLSI)及び/又は食品医薬品局(Food and Drug Administration)(FDA)によって定義されるような抗生物質/生物標準を指す。
【0166】
特定の実施形態では、感染症は、ペニシリン又はテトラサイクリンなどのその他の抗生物質に対して耐性であり得る。
【0167】
用語「有効量」は、細菌感染症(例えば、CABP)を治療するために必要とされるテトラサイクリン化合物(例えば、化合物1)の量を含む。例えば、有効量は、細菌の死滅及び/又は細菌成長の阻害によって所望の治療効果を達成するのに十分な有効レベルを説明する。好ましくは、細菌感染は、病原体(例えば、細菌)が根絶される場合に治療される。細菌感染はまた、感染症の少なくとも1つの症状が低減される、軽減される、又は排除される場合に治療される。
【0168】
用語「評価可能な臨床的成功」とは、(1)評価可能な臨床的失敗について基準を全く満たさなかった、又は(2)何らかのその他の理由のために、有効である可能性がある非研究抗生物質を受けなかった、及び(3)盲検評価者が、治癒評価の試験で、感染症が十分に解決し、その結果、抗生物質が必要とされないことを示した臨床治験参加者を指す。
【0169】
用語「評価可能な臨床的失敗」とは、以下の基準:盲検評価者が、研究薬を中断し、感染症が不適切に応答し、その結果、代替抗生物質(複数可)が必要とされたことを示した;盲検評価者が、おそらくは薬物と関連する又は薬物と関連する可能性があると評価された有害事象のために研究薬を中断した;感染の主な部位が外科的に除去された;又は対象が静脈内若しくは経口治療の最後の後に評価されなかった、のうちいずれか1つを満たした臨床治験参加者を指す。
【0170】
用語「臨床的成功率」とは、治験中の集団の総数によって除された評価可能な臨床的成功の数を指す。
【0171】
用語「微生物学的に評価可能な臨床的成功率」とは、評価可能な臨床的成功の定義を満たし、ベースラインで感染性病原体を有していたものを指す。
【0172】
一実施形態では、経口投与される場合に、テトラサイクリン化合物、例えば、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの有効量は、約150~約600mg、約150~約450mg、約150~約300mg又は約300mgである。
【0173】
特定の実施形態では、各経口用量は、複数の150mg用量(例えば、150mg、2×150mg、3×150mg又は4×150mg)として投与される。例えば、300mgの経口用量は、2個の150mg錠/丸剤/カプセル剤/ゲルなどからなり得る。
【0174】
別の実施形態では、テトラサイクリン化合物、例えば、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの有効量は、静脈内(IV)投与される場合、約50~約200mg、約50~約150mg、約50~約100mg又は約100mg又は約200mgである。
【0175】
化合物は、IV製剤中又は経口製剤中のいずれかで、塩(例えば、トシレート塩又は塩酸塩)として、又は遊離塩基として投与できる。例えば、米国特許第8,383,610号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたような、化合物1のトシレート塩などの任意の塩又は塩の多形を、本発明において使用できる。さらに、米国特許第9,314,475号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたような、錠剤形態の経口製剤などの任意の製剤を、本発明において使用できる。
【0176】
例えば、対象の年齢、集団、投与量及び血液レベルにおいて、値及び範囲が本明細書において提供される場合には常に、範囲の列挙された上限及び/又は下限を含むこれらの値及び範囲によって包含されるすべての値及び範囲が、本発明の範囲内に包含されるものとするということは理解されるべきである。さらに、これらの値及び範囲中のすべての値はまた、範囲の上限又は下限であり得る。
【0177】
別の実施形態では、テトラサイクリン化合物(例えば、化合物1)は、静脈内に又は経口によって1日あたり1回又は2回投与され得る。特定の実施形態では、1日あたり2回の投与は、2回の同等用量を有する。
【0178】
特定の実施形態では、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンは、約60%を超える微生物学的に評価可能な臨床的成功率を有する。特定の実施形態では、本発明の化合物は、治療企図(ITT)患者集団において、又は臨床的に評価可能な(CE)患者集団において約60%、65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93.7%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、99%を超える又はそれ以上の臨床的成功率を有する。
【0179】
本明細書において、「治療企図(又はITT)」集団とは、すべての登録臨床治験対象を指す。特定の実施形態では、ITT集団は、少なくとも1用量の研究薬(例えば、化合物1)を受けたすべての登録臨床治験対象にさらに制限される。「臨床的に評価可能な(又はCE)」集団とは、関連臨床プロトコールによって定義されるような定性可能な感染を有していたすべてのITT対象、例えば、CABPを有するものを指す。「臨床的成功」とは、研究薬の最後の用量後、一定期間(例えば、10~17日)で臨床治験責任医師によって評価される、ITT又はCE集団におけるベースライン症状の改善の継続又は解決の完了を指す。
【0180】
一実施例では、対象は、静脈内で治療され、経口ステップダウンが続く。特定の実施形態では、対象は、先行するIV用量無しに経口用量によって直接治療される。
【0181】
特定の実施形態では、本発明は、感染症(例えば、CABP)について対象を治療する方法であって、対象に、有効量の化合物1又はその塩を投与することを含む方法を提供し、ここで、対象は、最初に約1、2、3、4又は5日静脈内で治療され、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15日の経口治療が続き、その結果、対象が治療される。特定の実施形態では、IV治療の第1日は、より高い負荷用量(例えば、2×用量又は2×100mg用量)からなる。特定の実施形態では、2日目及びそれ以降の各IV用量は、直前のIV用量から約24時間で投与される。特定の実施形態では、総治療期間は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15日である。特定の実施形態では、IV負荷用量の一方(例えば、2回目のIV負荷用量)又は両方が、300mg又は450mg経口用量によって置き換えられる。
【0182】
別の実施形態では、本発明は、感染症(例えば、CABP)について対象を治療する方法であって、前記対象に、有効量の化合物1又はその塩を投与することを含む方法を提供し、ここで、最初に静脈内で治療された対象は、化合物1血液レベルが上昇しており、続いて、経口治療で化合物1血液レベルが低減し、その結果、対象が治療される。特定の実施形態では、最初に上昇される化合物1血液レベルは、より高い(例えば、2×)負荷用量、例えば、各約100mgの2回のIV負荷用量によって達成される。
【0183】
本発明の医薬組成物
本発明はまた、治療上有効な量のテトラサイクリン化合物(例えば、9-アミノメチルテトラサイクリン化合物、例えば、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)又はその塩及び任意選択で、医薬上許容される担体を含む医薬組成物を利用する、又は関する。
【0184】
さらなる実施形態では、本発明は、約100~約700mg(例えば、約300、450又は600mg)の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。さらなる実施形態では、医薬上許容される担体は、経口投与にとって許容される。別のさらなる実施形態では、テトラサイクリン化合物は、遊離塩基又はトシレート塩である。
【0185】
なお別のさらなる実施形態では、組成物は、約110~約490mg、約120~約480mg、約130~約470mg、約140~約460mg、約150~約450mg、約160~約440mg、約170mg~約430mg、約180mg~約420mg、約190mg~約410mg、約200mg~約400mg、約210mg~約390mg、約220mg~約380mg、約230mg~約370mg、約240mg~約360mg、約250mg~約350mg、約260mg~約340mg、約270mg~約330mg、約280mg~約320mg、約290mg~約310mg又は約300mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンを含む。任意選択で、医薬上許容される担体は、経口投与に適している。
【0186】
別の実施形態では、本発明はまた、約50~約250mg(例えば、約100mg)の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩(例えば、塩酸塩)及び静脈内投与に適した医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0187】
なお別のさらなる実施形態では、組成物は、約100~約300mg、約125~約275mg、約150mg~約250mg、約100mg~約200mg、約100mg若しくは約200mgのIV又は経口9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンを含む。
【0188】
用語「医薬上許容される担体」は、本発明のテトラサイクリン化合物、例えば、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンと同時投与されることが可能な、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を発揮する、例えば、細菌感染を治療又は予防することを可能にする物質を含む。適した医薬上許容される担体として、それだけには限らないが、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠パラフィン、香料オイル、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペトロエスラール(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。医薬品は、滅菌されてもよく、必要に応じて、本発明の活性化合物と有害に反応しない、補助剤、例えば、滑沢剤、保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、バッファー、着色料、矯味剤及び/又は芳香族物質などと混合されてもよい。
【0189】
本来塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物(例えば、化合物1)は、種々の無機及び有機酸とさまざまな塩を形成可能である。本来塩基性である本発明のミノサイクリン化合物の医薬上許容される酸付加塩を調製するために使用され得る酸として、非毒性酸付加塩、すなわち、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシネート(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパルモ酸塩(palmoate)[すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)]などの医薬上許容されるアニオンを含有する塩を形成するものがある。このような塩は、対象、例えば、哺乳動物への投与のために医薬上許容されなければならないが、実際には、医薬上容認できない塩としての反応混合物から本発明のミノサイクリン化合物を最初に単離すること、次いで、アルカリ性試薬を用いる処理によって後者を遊離塩基化合物に単純に変換し、その後、後者の遊離塩基を医薬上許容される酸付加塩に変換することが望ましいことが多い。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、水性溶媒媒体中で、又はメタノール若しくはエタノールなどの適した有機溶媒中で、塩基化合物を実質的に当量の選択された無機又は有機酸を用いて処理することによって容易に調製される。溶媒を注意深く蒸発させると、所望の固体塩が容易に得られる。本発明のテトラサイクリン化合物は、トシレート(例えば、p-トルエンスルホン酸塩)塩として、又は遊離塩基として経口的に、又は塩酸塩として静脈内に投与されることが好ましい。
【0190】
本発明のテトラサイクリン化合物(例えば、化合物1)及びその医薬上許容される塩は、経口、非経口又は局所経路のいずれかによって投与され得る。一般に、これらの化合物は、治療されている対象の体重及び状態並びに選択された特定の投与経路に応じて、有効投与量で最も望ましく投与される。変法は、治療されている対象の種及び前記医薬に対するその個々の応答に、並びに選択された医薬製剤の種類及びこのような投与が実施される期間及び間隔に応じて生じ得る。
【0191】
本発明の医薬組成物は、単独で又は対象、例えば、哺乳動物においてテトラサイクリン応答性状態を治療するためのその他の公知の組成物と組み合わせて投与できる。哺乳動物は、ペット(例えば、ネコ、イヌ、フェレットなど)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギなど)、実験動物(ラット、マウス、サルなど)及び霊長類(チンパンジー、ヒト、ゴリラ)を含む。公知の組成物「と組み合わせて」という用語とは、本発明の組成物及び公知の組成物の同時投与、最初の本発明の組成物、それに続く公知の組成物の投与及び最初の公知の組成物、それに続く本発明の組成物の投与を含むように意図される。テトラサイクリン応答性状態を治療するための任意の当業者に公知の治療用組成物を、本発明の方法において使用できる。
【0192】
本発明の化合物は、単独で又は医薬上許容される担体又は希釈剤と組み合わせてこれまでに言及された任意の経路によって投与でき、投与は、単回又は複数回用量で実施してもよい。例えば、本発明の新規治療薬は、さまざまな異なる投与形で投与できることが有利であり、すなわち、それらを、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディ、散剤、スプレー、クリーム、軟膏(salves)、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏(ointments)、水性懸濁液、注射用溶液、エリキシル、シロップなどの形態中で種々の医薬上許容される不活性担体と組み合わせてもよい。このような担体として、固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性媒体及び種々の非毒性有機溶媒などが挙げられる。さらに、経口医薬組成物は、適宜加糖及び/又は風味づけしてもよい。一般に、本発明の治療上有効なテトラサイクリン化合物は、約5.0重量%~約70重量%の範囲の濃度レベルでこのような投与形中に存在する。
【0193】
経口投与のために、微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム及びグリシンなどの種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギン酸及び特定の複合ケイ酸などの種々の崩壊剤とともに、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン及びアラビアガムのような造粒結合剤と一緒に使用してもよい。さらに、錠剤化目的で、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤は、極めて有用であることが多い。同様の種類の固体組成物もまた、ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用してもよく、これに関連して好ましい材料としてまた、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0194】
経口投与のために、水性懸濁液及び/又はエリキシルが望まれる場合には、有効成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及び種々の同様のそれらの組合せなどの希釈剤と一緒に、種々の甘味料又は香味剤、着色物質又は染料と、そのように望まれる場合には、乳化剤及び/又は懸濁剤とも同様に組み合わせてもよい。
【0195】
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉内注射を含む)のために、ゴマ油若しくはピーナッツオイル中又は水性プロピレングリコール中の本発明の治療用化合物の溶液を使用してもよい。水溶液は、必要に応じて適宜緩衝されなくてはならず(好ましくは、8より高いpH)、液体希釈剤はまず等張性にされなければならない。
【0196】
これらの水溶液は、静脈内注射目的に適している。油性溶液は、関節内、筋肉内及び皮下注射目的に適している。滅菌条件下でのすべてのこれらの溶液の調製は、当業者に周知の標準製薬技術によって容易に達成される。非経口適用のために、適した調製物の例として、溶液、好ましくは、油性又は水性溶液並びに懸濁液、エマルジョン又は坐剤を含むインプラントが挙げられる。治療用化合物は、注射剤とともによく使用される滅菌生理食塩水又は5%生理食塩水デキストロース溶液などの流体担体中に分散されているなどの、複数回又は単回用量形式で滅菌形態で製剤化され得る。
【0197】
経腸適用のために、タルク及び/又は炭水化物担体結合剤などを有する錠剤、糖衣錠又はカプセル剤が特に適しており、担体は、ラクトース及び/又はコーンスターチ及び/又はジャガイモデンプンが好ましい。加糖ビヒクルが使用されるシロップ、エリキシルなども使用できる。マイクロカプセル化、多重コーティングなどによって、活性成分が、異なって分解可能なコーティングで保護されるものを含む、持続放出組成物を製剤化できる。
【0198】
ヒト対象の治療に加えて、本発明の治療的方法はまた、例えば、ウシ(cattle)、ヒツジ、ヤギ、ウシ(cows)、ブタなどの家畜、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウなどといった家禽類、ウマ並びにイヌ及びネコなどのペットの治療のための重要な獣医適用も有する。また、本発明の化合物は、植物などの非動物対象を治療するために使用され得る。
【実施例0199】
本発明の例示
[実施例1]
健常成人対象における化合物1及びチゲサイクリンの肺内定常状態濃度を評価するための非盲検並行群複数回IV用量研究
下気道感染症(RTI)において有効であるために、抗生物質は、呼吸器病原体に影響を及ぼすために呼吸器組織において適当な濃度に達しなくてはならない。細胞外及び細胞内病原体の両方とも、感染症を引き起こす可能性があり、したがって、すべての病原体を網羅するために、抗生物質の細胞外及び細胞内濃度が適切でなくてはならない。気管支粘膜における抗生物質の濃度は、薬物の気管支浸透への信頼できる指標を提供し、気管支炎及び気管支肺炎の治療の血清レベルよりも良好な臨床有効性の予測因子であり得る。
【0200】
気道上皮被覆液(ELF)及び主に肺胞マクロファージ(AM)を含む肺胞細胞(AC)は、それぞれ、一般的な細胞外及び細胞内病原体の重要な感染部位として提唱されている。ELFにおける抗菌剤の濃度の直接測定によって、RTIのための薬剤の適当な投薬への、並びに気道感染症のための薬物の薬物動態(PK)及び曝露-応答標的を評価するための、より情報に基づいたアプローチが可能となる。気道流体及び組織を採取するための気管支肺胞洗浄(BAL)は、抗生物質の全身投与後の細胞外及び細胞内両方の抗生物質濃度を確認する標準法となっている。細胞外濃度は、ELFを反映する流体から算出され、細胞内濃度は、マクロファージを含むACにおいて測定される。
【0201】
この研究は、健常対象における化合物1の肺内PKを決定するように設計され、現在、ヒトにおける肺のコンパートメント中の化合物1の濃度に関する情報はない。
【0202】
化合物1は、市中感染型細菌性肺炎(CABP)のほとんどの一般的な通常の及び非定型原因に対してin vitro活性を有するとわかっており、CABPの治療のために開発されている。ほとんどのグラム陽性病原体に対してin vitroで極めて活性である。また、非定型病原体(例えば、レジオネラ属(Legionella)の種(spp.)、クラミドフィラ属(Chlamydophila)の種)並びにいくつかの嫌気性及びグラム陰性病原体に対して活性を示す。薬物は、テトラサイクリン耐性の両方の機序を発現する株並びにメチシリン、バンコマイシン、エリスロマイシン及びシプロフロキサシンを含む現在利用可能な抗生物質に対して耐性である株に対して活性である。化合物1のin vitro活性は、血清又は肺界面活性剤によって影響を受けなかったが、これは、下気道を含む感染症における有用性の可能性と一致する重要な特徴である。さらに、肺炎連鎖球菌及びインフルエンザ菌によって引き起こされる下気道感染症のマウスモデルにおいて有効であるとわかっている。マウスでは、肺組織における化合物1濃度は、血漿中濃度を3.7~4.4倍超える。細胞内細菌及び組織培養実験に対するin vitro結果は、化合物1が哺乳動物細胞内で濃縮することを示す。
【0203】
チゲサイクリンは、化合物1と同様のPKプロフィールを有し、ヒトELFにおけるその実証された濃度レベルを用いると、チゲサイクリンを含めることは、研究においてアッセイ感度を提供するように意図される。
【0204】
化合物1は、iv及び経口投与の両方のために開発されており、化合物1に曝露された536人の対象を含む16の第1相治験において十分に特性決定されている。さらに、化合物1は、複雑性皮膚及び皮膚構造感染症(cSSSI)を有する219人の対象の第2相治験及びcSSSIを有する143人の対象を登録した治験依頼者によって終了された第3相治験において評価された。化合物1は、十分に許容され、確立された対照薬(リネゾリド)と同様の有効性を実証した。
【0205】
治験の目的は、肺のコンパートメント(ELF及びAMを含む肺のACにおける)における化合物1の濃度を決定し、血漿薬物動態(PK)プロフィールとの比較において肺分布の経時的推移を規定することであった。化合物1を、定常状態全身濃度まで健常な対象に静脈内に4日間(5用量)投与した。薬物の最後の用量後の設定時間にBALを有するように対象をグループ化した。付随する血液サンプルを採取して、組織を血清抗生物質濃度と比較した。
【0206】
この治験において得られたデータ、すなわち、一般的な通常の及び非定型病原体に対するin vitro活性並びに24時間の持続ELF及びAC(主にAM)濃度は、化合物1が、感受性病原体によって引き起こされる下気道細菌感染症の治療のための有用な抗菌薬である可能性を有することを示唆する。
【0207】
チゲサイクリンは、化合物1と同様のPKプロフィールを有し、ELFにおける濃度を達成するその能力を用いると、チゲサイクリンを含めることは、研究においてアッセイ感度を提供した。
【0208】
したがって、この研究の主な目的は、ELF及びAC(主にAM)における化合物1の濃度を決定し、健常成人対象における化合物1の付随する血漿PKサンプリングを用いて肺分布の経時的推移を規定することであった。
【0209】
第2の目的は、健常成人対象における肺及び血漿コンパートメントの化合物1のPKを評価することであった。
【0210】
探索目的は、健常成人対象における肺及び血漿コンパートメントにおけるチゲサイクリンPKと比較した、肺及び血漿コンパートメントにおける化合物1のPKを決定することであった。
【0211】
この研究は、定常状態レベルの投薬への化合物1及びチゲサイクリンの投与後の健常成人対象における肺コンパートメント(ELF及びAC)における化合物1及びチゲサイクリンの濃度を決定するために単一施設複数回用量非盲検研究として設計された。およそ42人の対象が化合物1を受け、気管支肺胞洗浄(BAL)が実施され、およそ20人の対象がチゲサイクリンを受け、BALが実施されることを確実にするために、およそ62人の対象の登録が計画された。中断した、又はスクリーニング不適格であった対象を置き換えるために、さらなる対象が登録されるべきであった。
【0212】
およそ42人の対象が、5用量の化合物1 100mgを静脈内に受け(t=0、12、24、48及び72時間での30分の注入)、ELF及びACサンプルの採取のために、化合物1対象は、7つのBALサンプリング時点のうちの1つに等しく割り当てられた(BAL時点群あたりおよそ6人の対象)。
【0213】
研究の完了時に、42人の登録された対象が、化合物1を受けた(男性69%、中央値年齢36歳、中央値BMI 27kg/m2)。6人の対象は、7つの時点のそれぞれでBALを有していた。1人の対象は、BALサンプリングエラーを有しており、BAL解析に含まれなかった。
【0214】
ELF及びAC中の化合物1濃度を、各対象について1回のみの観察で測定し、すべての対象から得たデータを、平均肺内濃度のPK解析のためにプールした。BAL流体中の化合物1の濃度を、血漿及びBALにおいて検出された尿素レベルに対する希釈係数によって正規化した。
【0215】
各対象について1つの標準気管支鏡検査を実施した。1つのBAL時点群内では、4日目の最後の用量投与の0.5、1、2、4、8、12及び24時間後のいずれかで、同一時点ですべての対象を評価した。血漿尿素測定のために気管支鏡検査の時点で血液サンプルを採取した。さらに、4日目にすべての対象について用量後0、0.5(注入の最後)、1、1.5、2、3、4、6、8、12及び24時間で、血漿PK評価のために血液サンプルを採取した。
【0216】
以下のスケジュールに従って化合物1治療対象において血液サンプルを採取し、BALを実施した:
【0217】
【0218】
化合物1を受けている患者について、5回目の化合物1用量後の平均(±SD)血漿薬物動態パラメータは、2.26±0.76μg/mLの最大濃度、165±58Lの分布容積、8.03±1.43L/時間のクリアランス及び14.7±4.2時間の排出半減期を含んでいた。気管支鏡検査及びBALの時間での平均(±SD)化合物1濃度(μg/mL)は以下であった:
【0219】
【0220】
平均及び中央値ELFのAUC0-24値並びに血漿濃度に基づく浸透比は、1.47及び1.42であったが、血漿濃度に対するAC(肺胞細胞、主にAM)の比は、25.8及び24.8であった。
【0221】
およそ20人の対象が、1用量の100mgチゲサイクリンを静脈内に(t=0での30分の注入)、それに続く6用量の50mgチゲサイクリンを静脈内に(t=12、24、36、48、60及び72時間での30分の注入)受けた。ELF及びACサンプルの採取のために、チゲサイクリン対象を4つのBALサンプリング時点のうちの1つに等しく割り当てた(BAL時点群あたりおよそ5人の対象)。ELF及びACにおけるチゲサイクリン濃度を、各対象について1回のみの観察で測定し、すべての対象から得たデータを、平均肺内濃度のPK解析のためにプールした。BAL流体中のチゲサイクリンの濃度を、血漿及びBALにおいて検出された尿素レベルに対する希釈係数によって正規化した。
【0222】
以下のスケジュールに従ってチゲサイクリン治療対象において血液サンプルを採取し、BALを実施した:
【0223】
【0224】
安全性評価は、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、標準臨床検査室評価(血液化学、血液学)、妊娠検査及び有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)モニタリングを含んでいた。
【0225】
29%において治療により発現した有害事象(TEAE)が報告された。最も一般的なTEAEは、頭痛であった(12%)。化合物1処理対象において、重症又は重篤TEAEはなく、TEAEによる中断はなかった。バイタルサイン、検査又はECGパラメータの臨床上有意な変化はなかった。
【0226】
治療期間は、両治療群が、BALの時間で定常状態であることを確実にするよう設計された。
【0227】
気管支鏡検査の際、各50mLの滅菌生理食塩水溶液の4アリコートを、肺の右葉に滴下注入し、直ちに吸引し、氷上に置いた。第1の気管支肺胞洗浄アリコート滴下注入(BALX)画分を調製し、その後の滴下注入とは別個に解析した。第2から第4の滴下注入から得た吸引液を一旦プールし、BAL画分とした。BALのアリコートを取り出し、細胞数及び肺のマクロファージを含む差別的細胞組成を決定するために使用した。残りの上清を遠心分離し、上清及び細胞ペレットを解析まで直ちに凍結した。BAL上清のアリコートを、尿素アッセイのために別個に凍結した。細胞ペレットにおいて検出された試験物質の量を、マクロファージの対応する画分によって正規化した。画分BALXを、細胞ペレットを評価又はアッセイしなかった点を除いて同様の方法で解析した。尿素濃度を調べるための血液サンプルを、第2の滴下注入の時間(±3分)に得た。BALX及びBAL流体において検出された試験物質の濃度を、それぞれ、BALX及びBAL画分において検出された尿素レベルに関する希釈係数によって正規化した。
【0228】
対象は、およそ34日間研究に参加した。スクリーニング後、適格な対象を化合物1又はチゲサイクリン治療に無作為に割り当て、BAL洗浄サンプル時点に割り当てた。対象は、-1日目にベースライン評価を有しており、次いで、4日間の試験物質治療と、それに続いて、BALをその割り当てられた時点で受けた。研究完了訪問を、最後の試験物質用量の翌日に実施した。対象の試験物質の最後の用量の7~14日後に最後のフォローアップ評価を行い、これは、研究完了訪問時に記載されたAE又は異常を評価するために検査が必要とされない限り、電話による接触又はその他の双方向的技術によって完了され得る。
【0229】
安全性評価は、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、標準臨床検査室評価(血液化学、血液学)、妊娠検査及びAE及びSAEモニタリングを含んでいた。
【0230】
投与計画:
CABPの治療のための化合物1の現在意図される治療的用量は、2用量について12時間毎(q12h)、それに続く24時間毎(q24h)の100mg ivであり、300mgの経口q24hと切り替える選択肢を有する。
【0231】
CABPの治療のためのチゲサイクリン(TYGACIL(登録商標))の承認された治療的用量は、1用量について100mg iv、それに続く、50mg iv q12hである。
【0232】
患者組み入れ/除外基準
登録された患者は、18歳から55歳の年齢の、過去の病歴、身体検査、バイタルサイン、ECG及び臨床検査によって決定されるような良好な健康にある(治験責任医師の意見で臨床的に重大な異常がない)男性又は女性対象であった。対象が少なくとも3分間休息した後に座位でバイタルサイン(経口体温、収縮期及び拡張期血圧(BP)並びに脈拍数)を評価した。座っているバイタルサインは、以下の範囲内:経口体温、35.0℃~37.5℃(95.0°F~99.5°F)、収縮期BP、90~140mm Hg、拡張期BP、50~90mm Hg、脈拍数、40~90bpmであるべきであり、血圧及び脈拍は、スクリーニング訪問時に直立位で3分後に再度評価した。体位性低血圧の臨床徴候と関連する、収縮期における20mm Hg以下の低下又は拡張期BPにおける10mm Hgの低下、及び心拍数の増大(>20bpm)があった。範囲外のバイタルサインは、必要に応じて、治験責任医師の裁量により1回反復してもよい。
【0233】
対象は、少なくとも50kgの体重であり、≧18.0~≦30.0kg/m2の範囲内の肥満度指数(BMI)を有していた。女性は、スクリーニング及びベースライン訪問で陰性血清妊娠検査を有しており、スクリーニングから最後のフォローアップ評価を通じて許容される形態の受胎調節を使用することに応じると同意した。男性は、女性パートナー(複数可)との受胎調節の許容される方法を使用することに同意し、スクリーニングから最後のフォローアップ評価を通じて精子を提供しなかった。
【0234】
患者は、以下のうち1以上が存在する場合に治験から排除された:
・スクリーニング前の5半減期又は30日以内のどちらか長い方のその他の治験薬の使用。
・任意のテトラサイクリン(例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン又はチゲサイクリン)に対して過敏症又はアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー、じんま疹、その他の重大な反応)の病歴を有していた。
・スクリーニング又はベースライン訪問時に臨床上有意なECG異常又は以下のECG異常: PR>220msec、QRS複合>120msec、QT延長症候群、QTcフリードライヒ補正式(QTcF)>450msec(男性)及びQTcF>470msec(女性)のうちいずれかの病歴を有していた。
・妊娠中又は授乳中(母乳栄養)の女性。
・局所再発又は転移の証拠があるか否かに関わらず、過去5年以内の、治療された、又は未治療の任意の臓器系(皮膚の局在化基底細胞癌以外)の悪性腫瘍の病歴。
・スクリーニング前の3ヶ月におけるタバコ製品の使用。
・スクリーニング又はベースラインでの陽性尿コチニン試験。
・ベースライン訪問前4週間以内の任意の処方薬又はハーブ系サプリメント並びに/又はベースライン訪問前2週間以内の栄養及びフィットネス/ボディービルディングサプリメント(ビタミンが含まれる)を含む市販の(OTC)医薬の使用。
・ベースライン訪問前8週間以内の、又は現地の規制によって必要とされる場合にはより長い、400mL以上の血液又は血漿の輸血又は喪失。
・スクリーニング/ベースライン訪問時の男性についてヘモグロビンレベル<12.5g/dL、女性について<11.5g/dL。
・ベースライン訪問前2週間以内の重大な疾病。
・スクリーニング前3年以内の自律神経障害(例えば、失神、動悸などの再発性エピソード)の病歴。
・スクリーニング前3年以内の急性又は慢性気管支攣縮性疾患(治療された又は未治療の喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む)の病歴。
・治験責任医師の意見で、薬物の吸収、分布、代謝若しくは排泄を大幅に変更し得る、又は研究に参加の場合には対象を危機に曝し得る任意の外科的又は内科的状態。
・活発な、炎症性腸疾患、潰瘍、GI若しくは直腸の出血又は膵炎の病歴。
・アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、ALT、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、CK、アルカリホスファターゼ(ALP)又は血清ビリルビンなどの異常なLFTによって示されるような肝臓疾患又は肝臓傷害。治験責任医師は、以下の基準によって導かれなくてはならない:血清ビリルビンは、正常の上限(ULN)の1.2倍を超えない;上記で列挙された任意のその他の単一パラメータは、ULNの1.5倍を超えない;2以上のパラメータの任意の上昇は、対象を研究における参加から排除する。検査過誤を除外するために、試験をできるだけ早くもう一度反復してもよい。対象について適格とするために、再チェック結果は上記の基準を満たしてはならない。
・臨床上有意な異常なクレアチニン若しくは血中尿素窒素(BUN)及び/又は尿素値又は異常な尿成分(例えば、タンパク尿)によって示されるような腎機能の障害の病歴又は存在。 ・スクリーニング時の尿路閉塞又は排尿困難の証拠。
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性であると知られている。
・慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎感染が知られていた。
・スクリーニング又はベースライン訪問時の陽性アルコール検査又は陽性薬物スクリーニング。
・化合物1を用いてこれまでに治療されている、又はこの研究にこれまでに登録されている。
・治験責任医師の意見で、AEの決定又は研究手順の完了を干渉する可能性が高い任意の付随する状態。
【0235】
手順
3つのプロトコールによって規定された治験相:スクリーニング、治療及びフォローアップがあった。治験は、以下のプロトコールによって規定された評価を有していた:
・スクリーニング訪問
・ベースライン訪問
・1、2及び3日目の訪問(試験物質投薬)4日目の訪問(試験物質投薬及びBAL)
・5日目の治験完了訪問
・最後のフォローアップ評価:11~18治験日(試験物質の最後の用量後7~14日)
【0236】
治験治療を中断した対象は、クリニック退院前に治験完了手順及び最終フォローアップ評価を早期に行った。
【0237】
スクリーニングを使用して、各対象の対象適格性及びベースライン特徴を確立した。以下の情報を集めた:組み入れ/除外基準の概説、関連内科的/外科的病歴及び現在の医学的状態(肺機能に影響を及ぼし得る素因(例えば、以前の肺感染症、軽度~中程度のCOPD、喘息、喫煙歴、慢性の咳など)、人口動態、身体検査、尿アルコール検査、薬物スクリーニング、コチニン検査、バイタルサイン、12リードECG、臨床検査(血液学、化学、凝固、妊娠検査(女性のみ))及びICF併用薬の調印以降のAE(過去4週間)。
【0238】
治療期間は、5日間とした。組み入れ基準を満たし、排除基準を満たさなかった対象は、試験物質の第1の用量を受けた。以下の評価を行った:バイタルサイン、AE、同時治療並びに試験物質投与及びアカウンタビリティー。
【0239】
静脈内治療相(試験物質)の間、化合物1の注入を、以下の表1-3におけるスケジュールに従っておよそ30分間(少なくとも30分及び45分以下)にわたって連続的に投与した。チゲサイクリンの注入は、表1-4におけるスケジュールに従っておよそ30分間(少なくとも30分及び45分以下)にわたって連続的に投与した。すべての注入開始及び停止時間並びにコンプライアンス(用量の≧90%の送達)を、原資料及びeCRFに記録した。
【0240】
【0241】
フォローアップ相の間、対象を治療の完了後の2回の訪問時に評価した:5日目の治験完了訪問時及び11~18治験日(対象の試験物質の最後の用量後7~14日)の最終フォローアップ評価時。最終フォローアップ評価は、研究完了時に記載されたAE又は異常を評価するために検査が必要とされない限り、電話による接触によって実施した。
【0242】
IV注射のために、化合物1を、ゴム栓及びアルミニウムオーバーシールを備えた透明なガラスバイアル中にパッケージングされた再構成のための、100mg(及び4%過充填)の滅菌凍結乾燥粉末として供給した。賦形剤は、pHを調整するためにトシレート酸性対イオン、スクロース、塩酸及び水酸化ナトリウムを含んでいた。各バイアルは、5mLの滅菌注射水を添加することによって透明溶液に再構成した。バイアルを穏やかに回旋して、使用前に完全溶解を確実にした。起泡を防ぐために、過剰な振盪は避けた。再構成されたバイアルを直ちに使用して輸液を調製した。バイアルから5mLの再構成された溶液を取り出し、注射(0.9%塩化ナトリウム)点滴バッグのために100mLの生理食塩水(NS)中に低速で注入することによって輸液を調製した。調製した輸液は、8時間以内に使用し、2℃~8℃(35.6°F~46.4°F)で最大24時間保存した。100mLの輸液を、30分間(少なくとも30分及び45分以下)にわたって室温で連続的に投与した。
【0243】
再構成された化合物1を、最初の2用量について100mg iv q12h、それに続く、2~3用量について100mg iv q24h(第1の用量後24時間で開始する)として注入した。総治療は、5用量及び5日の期間からなっていた。
【0244】
対照薬試験物質チゲサイクリンは、100mg ivの第1の用量、それに続く、6用量について50mg iv q12hとして注入した。総治療は、7用量及び5日の期間からなっていた。
【0245】
安全性
少なくとも1用量の試験物質を受けた任意の対象が、安全性の評価に含まれた。安全性は、以下の手段によって評価した:身体検査、AE及びSAE、バイタルサイン、検査室評価(血液学、化学及び凝固(プロトロンビン時間のみ)のための血液サンプル)、ECG及び妊娠評価。
【0246】
データ解析
この治験のデータのすべての解析は、ヒト使用のための医薬品の登録のための技術的要件の調和に関する国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)(ICH-E9)及び治験依頼者のガイダンス文書及び標準に従った。統計的解析は、統計解析ソフトウェア(SAS)を使用して実施した。
【0247】
a)解析集団
対象集団が、PK及び安全性の種々の解析のために定義されており、以下のとおりである:
・PK集団は、試験物質を受け、少なくとも1つの評価可能なPKパラメータを有していたすべての対象からなっていた。
・安全性集団は、少なくとも1用量の試験物質を受けたすべての対象からなっていた。
【0248】
b)対象人口動態及びベースライン特徴
以下:対象の性質(完了した試験物質、中断の理由による中断した試験物質、完了した治験、中断の理由による中断した治験)、プロトコールの逸脱、病歴及び継続している病状について、治療群によって記述統計学を提供した。
【0249】
ベースライン人口動態及び医学的変数を、両側フィッシャー正確確率検定(カテゴリー変数について)又は両側ウィルコクソン順位和検定(順序及び連続変数について)を使用して解析した。
【0250】
c)安全性結果尺度
安全性変数は、治験の過程の間に得られた、AEの罹患率、バイタルサインの変化、ECGパラメータ及び臨床検査結果を含んでいた。対象を、実際に受けた治療に従って解析した。
【0251】
d)PK
PKデータ解析に、評価可能な血漿PKパラメータデータを有するすべての完了した対象が含まれていた。以下の化合物1及びチゲサイクリン血漿PKパラメータが決定された:
・化合物1の投薬後時間0~24時間の曲線下面積(AUC)(AUC0-24)及びチゲサイクリンの投薬後0~12時間のAUC(AUC0-12)、
・最大血漿濃度(Cmax)、
・最大血漿濃度(Tmax)までの時間及び
・片対数濃度時間曲線の終末相勾配と関連する終末相消失半減期(T1/2)。
【0252】
すべての生物流体濃度は、ng/mLで表した。定量化の限界未満(BLQ)のすべての濃度又は欠測データは、濃度データリストにおいてそのように表示された。濃度BLQは、濃度データのみの要約統計量においてゼロとして処理した。それらは、PKパラメータの算出のために考慮されなかった(投与前サンプルを例外として)。PKパラメータは、WinNonlin Proを使用する非コンパートメント法(複数可)を使用して決定した。
【0253】
本治験の主な目的は、肺ELF及びAC(主にAM)における化合物1の濃度を評価することであった。肺ELF及びACにおける化合物1及びチゲサイクリンの濃度は、それぞれ、上皮肺液における曲線下面積(濃度/時間)(AUCELF)/血漿における曲線下面積(濃度/時間)(AUCplasma)及び肺胞細胞における曲線下面積(濃度/時間)(AUCAC)/AUCplasmaとして算出した。これらは、上記の血漿PKパラメータ算出(AUC0-24及びAUC0-12)から得た。チゲサイクリン濃度情報は、アッセイ感度目的で内部検証として働いた。
【0254】
化合物1及びチゲサイクリンのAUCELFパラメータを調べるために、対応するBAL濃度から導くことによって濃度データを使用した。肺ELF(CELF)における化合物1又はチゲサイクリンの濃度は、CELF=CBAL*(VBAL/VELF)(式中、CBALは、BAL液における濃度であり、VBALは、吸引されたBAL液の容量であり、VELFは、肺ELFの容量である)として算出した。
【0255】
BAL液内の肺ELFの容量を、(ureaBAL/ureaplasma)(式中、ureaBAL及びureaplasmaはそれぞれ、BAL液及び血漿中の尿素の濃度を表した)によって推定した。
【0256】
ELF、AC及びAMから得た化合物1及びチゲサイクリン濃度データは、リストに示した。AUCELF及びAUCACは、プールされた肺濃度データから決定し、治療群によってまとめた。化合物1コホートについて、24時間の投薬間隔にわたる7時点のそれぞれについて、少なくとも6つのELF及びAC濃度があった。チゲサイクリンコホートについては、12時間の投薬間隔にわたる4時点のそれぞれについて、5つのELF及びAC濃度があった。
【0257】
AUCELF/AUCplasma及びAUCAC/AUCplasmaの割合としての肺ELF及びAC中の化合物1及びチゲサイクリンの算出された濃度を治療群によってまとめた。BALXを別個に、同一様式で評価した。化合物1及びチゲサイクリンのPK理解に対する「BALX」の影響を評価した。
【0258】
化合物1又はチゲサイクリン濃度のPKサンプル
PKサンプル採取の許可されたウィンドウは、以下のとおりであった:
【0259】
【0260】
PK血液採取及び処理のために、治験フローチャートにおいて指定される時点で、直接静脈穿刺又は前腕静脈(注入部位と反対側の腕で)に挿入された留置カニューレのいずれかによってすべての血液サンプルを採取した。気管支鏡検査予定時間で採取されたPK血液サンプルは、注入部位と反対側の腕から第2のBAL滴下注入の時間(±3分)で得た。
【0261】
血液サンプルを、ヘパリンナトリウムを含有するラベルが付けられた4mLチューブ中に採取した。サンプルを採取した直後に、チューブを5~8回穏やかに反転して、抗凝固薬を完全に混合し、次いで、遠心分離までクライオブロック(cryoblock)又は氷で囲んだ試験管ラック中に直立して静置した。サンプルを、採取の30分間以内に1500×g(重力)、およそ4℃で10分間遠心分離した。得られた血漿を2つの等しいアリコートにわけ、個々のクライオバイアル中に入れ、採取の1時間以内に-70℃以下で直ちに凍結した。生化学分析検査室への輸送まで、チューブを-70℃以下で凍結して維持した。
【0262】
BAL及びACサンプル採取及び取り扱いのために、治験フローチャートにおいて指定された時点での試験物質の最後の投与後に各対象において1回の標準気管支鏡検査を実施した。気管支鏡検査の間、対象を連続的にモニタリングした。気管支鏡検査手順予定時間の直前(30分以内)、気管支鏡検査手順予定時間の30分後及び60分後に血圧、心拍数及び呼吸数を記録した。局所リドカイン、中咽頭のための4%溶液及び上咽頭のための2%溶液を、上気道に適用し、気管支鏡検査のために対象を準備した。必要な場合には、下気道において1%リドカイン溶液を使用した。光ファイバー気管支鏡を右肺の中葉中に挿入した。4つの50mLアリコートの滅菌0.9%生理食塩水溶液を右葉中に滴下注入し、直ちに吸引し、氷上に置いた。滴下注入された第1の50mL(画分BALX)を採取し(4mLの2アリコート)、氷上に直ちに置き、その後の滴下注入とは別個に、容量を記録し、保存し、準備し、解析した。第2から第4の滴下注入から得た吸引液を直ちに集め、氷上に置き、容量を記録した。ひとたびプールされたまとめた吸引液(第2から第4)は、BAL画分を表した。
【0263】
BALのアリコートを取り出し、細胞数及び差別的細胞組成を決定するために使用した。細胞カウント及び差別化の間に肺のマクロファージの画分を決定した。BALX及びBAL上清のアリコートを、尿素アッセイのために確保した。残りの上清を、冷却遠心機において400×gで5分間直ちに遠心分離した。5mLのアリコートに分画された上清及び細胞ペレットを、解析まで、-70℃以下で直ちに凍結した。画分BALXを、細胞ペレットを評価又はアッセイしなかった点を除いて同様の方法で解析した。
【0264】
BAL液及び血漿における尿素アッセイのために、尿素濃度を調べるための血液サンプルを、第2のBAL滴下注入(±3分)の時間に得た。直接静脈穿刺又は前腕静脈(注入部位と反対側の腕で)に挿入された留置カニューレのいずれかによって、尿素血液サンプルを採取した。血漿を尿素血液サンプルからPK解析のための血漿サンプルと同一の方法で調製した。
【0265】
血漿サンプル、BAL上清サンプル及びBALX上清サンプルを、生化学分析検査室によって尿素濃度について解析した。
【0266】
単一対象からPKサンプルのすべてを採取し、-70℃以下で凍結した後、各時点から一次サンプルを、他の対象から得た対応する一次サンプルと一緒にバッチ処理し、注意深くパッケージングし、治験依頼者によって指定された生化学分析検査室へ-70℃以下で凍結輸送した。一晩の輸送の間、凍結されたままにするために、サンプルを十分なドライアイスとともに輸送した。各対象及び時点について、残りの保存されたアリコートを-70℃以下で治験依頼者によって要求された施設内で保持した。
【0267】
生化学分析検査室は、治験依頼者によって承認された、特異的な、高感度な、有効な液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS/MS)法を使用して、化合物1又はチゲサイクリンについてサンプルをアッセイした。
【0268】
ELF容量及びELF中の化合物1又はチゲサイクリン濃度を調べるために、BALX及びBAL上清中並びに血漿中で測定された尿素を使用して、従来の尿素希釈法を使用してELFの容量を算出した。ELFの容量は、以下の方程式:
VELF=VBAL *(ureaBAL/ureaplasma)(式中、VELF=BALサンプル中のELFの容量、VBAL=吸引されたBAL液の容量、ureaBAL=BAL上清中の尿素の濃度及びureaplasma=血漿中の尿素の濃度)
によって調べた。
【0269】
ELF中の化合物1又はチゲサイクリンの濃度(CELF)は、
CELF=CBAL*(VBAL/VELF)(式中、CELF=ELF中の化合物1又はチゲサイクリンの濃度、CBAL=BAL上清中の化合物1又はチゲサイクリンの測定された濃度、VELF=BALサンプル中のELFの容量及びVBAL=吸引されたBAL液の容量)
として算出した。
【0270】
AC及びAM中の化合物1又はチゲサイクリンのAC容量及び濃度を調べるために、BAL液細胞数からBAL細胞ペレット懸濁液中の採取されたACの容量を決定した。細胞の容量は、ELF中の細胞数にACの公知の容量を乗じることによって算出した。細胞の容量は、細胞数に、2.42μL/106個細胞の平均マクロファージ細胞容量を乗じることによって決定した。
【0271】
AC中の化合物1又はチゲサイクリンの測定された濃度(CAC)は、以下の方程式:
CAC=(Cpellet suspension/VAC)(式中、Cpellet suspensionは、1mLの細胞懸濁液中の化合物1又はチゲサイクリン濃度であり、VACは、1mLの細胞懸濁液中のACの容量である)
によって調べた。
【0272】
AM中の化合物1又はチゲサイクリンの測定された濃度(CAM)は、BAL液の差別的細胞数によって決定されるようなAC中のマクロファージ及び単球のパーセンテージについて調整することによってCACから導いた。
【0273】
図1は、AC、血漿及びELF中の平均化合物1濃度対時間プロフィールの結果を示す。AC(主にAM)中の平均化合物1濃度は、血漿中よりも少なくとも1桁高い(約25倍)が、ELF中の平均化合物1濃度は、血漿中よりも少なくとも約40%高いことは明らかである。表を参照のこと。
【0274】
【0275】
【0276】
このデータは、肺における化合物1の細胞外及び細胞内濃度の経時的推移及び規模に関して重要な情報を提供する。30分の注入としての100mgの化合物1の静脈内投与は、5用量後の24時間を通した同時血漿中濃度よりも、気道上皮被覆液(ELF)及び肺胞細胞(AMを含むAC)において高い濃度をもたらした。一般的な通常の及び非定型病原体に対するin vitro活性並びに24時間の持続するELF及びAC/AM濃縮は、化合物1が、感受性病原体によって引き起こされた下気道細菌感染の治療のための有用な抗菌薬であり得ることを示唆する。
【0277】
安全性モニタリング
AEは、試験物質を与えられた人において又は臨床治験において生じた、徴候、症状、疾患又は検査室的若しくは生理学的所見の形態の任意の有害な、望ましくない又は予定外の事象である。事象は、試験物質又は臨床治験と因果的に関連する必要はない。AEとして、それだけには限らないが、以下:既存の状態の任意の臨床上有意な悪化、偶発的であろうと意図的であろうと試験物質の過剰摂取(過剰摂取は、プロトコールにおいて指定されたものよりも多い用量である)から生じるAE、試験物質の乱用(例えば、非臨床的理由のための使用)から生じるAE及び試験物質の使用の中断と関連しているAEが挙げられる。
【0278】
SAEは、死亡をもたらす、命を脅かすものである、入院又は既存の入院の延長を必要とする、持続的又は相当な能力障害又は無能をもたらす、先天性異常又は出生時欠損をもたらすAEであり、又はさらに、死亡をもたらさない、命を脅かすものではない、若しくは入院を必要としない場合がある重要な医療事象も、適当な医学的判断に基づいて、対象を危機に曝し得る、及びこの定義に列挙される結果のうち1つを防ぐために内科的若しくは外科的介入を必要とし得る場合に、SAEと考えられる場合がある。このような事象の例として、緊急治療室における、又は家での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、血液悪液質又は入院をもたらさない痙攣又は薬物依存若しくは薬物乱用の発生が挙げられる。
【0279】
情報がSAEを構成するか否か何らかの疑いがある場合には、情報はSAEとして扱われた。
【0280】
プロトコール関連AEは、試験物質と関連していないが、治験責任医師又は医療モニター(又は被指名人)によって研究条件と関連している、すなわち、対象が治験に参加しているという事実と関連していると考えられる、臨床治験の間に生じるAEである。例えば、プロトコール関連AEは、プロトコールによって必要とされる医療手順と関連する有害な(untoward)事象であり得る。
【0281】
[実施例2]
健常ボランティアにおけるオマダサイクリンのバイオアベイラビリティに対する食物の効果
化合物1(9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)は、改善されたin vitro抗菌活性を特徴とするファーストインクラスのアミノメチルシクリン抗生物質である(Honeymanら、Antimicrob Agents Chemother.第59巻:7044~7053頁、2015年)。
【0282】
第3相治験は、急性細菌性皮膚及び皮膚構造感染(ABSSSI)を有する患者における経口及び静脈内(IV)単剤療法としての化合物1をもって終了した。開発プロセスの間に経口化合物1製剤は、耐容性を改善しながら経口バイオアベイラビリティを最適化するために、カプセル中の遊離塩基から一連の錠剤及び塩製剤に進化した。現在の第3相錠剤製剤は、化合物1のトシレート塩であり、これは、絶食条件下で投与されると34.5%の絶対バイオアベイラビリティを有するとわかった。この治験の主な目的は、健常成人対象において食物の消費後種々の時間での、化合物1(第3相錠剤製剤として投与された)の単回経口300mg用量の相対バイオアベイラビリティを評価することであった。
【0283】
この治験の結果は、食物の消費が、単回300mg化合物1用量の経口バイオアベイラビリティに対して効果を有することを示した。
【0284】
手短には、この治験は、第1相無作為化非盲検4期間クロスオーバー治験であった。第1相の1日目の投薬の前に、対象を4つの治療シークエンスのうちの1つに無作為化した(表2-1を参照のこと)。各期間の第1日目に、対象に300mgの化合物1(2×150mg錠剤)の単回経口用量を食物の消費後種々の時間に与えた。各投薬期間の間に少なくとも5日の休薬期間があった。最後の治験完了訪問は、化合物1の最後の用量後6~10日に行った。
【0285】
【0286】
高脂肪(食事の総カロリー含量のおよそ50%)及び高カロリー(およそ800~1000カロリー)食は、食品医薬品局ガイダンス勧告に従い、それぞれタンパク質、炭水化物及び脂肪からおよそ150、250及び500~600カロリーを提供した(FDA Guidance、2002年)。これらの食事は、20分以内で消費されるべきものであった。治療B、C及びDのための用量投与は、食事の終了時間に基づいていた。4つの治療期間すべての間、対象は、投薬後少なくとも3時間食物又は水以外の飲み物をとらず、投薬後4時間は、乳製品、制酸薬又はマルチビタミンをとらなかった。
【0287】
合計32人の対象が登録され、少なくとも1つの治療期間において投薬された。全体平均年齢は、32.3歳であり、21~50歳の範囲であり、47%が男性であった(表2-2)。1人の対象が、期間3のベースラインでの陽性アルコールスクリーニングのために治験を中断し、治療A及びDを受けなかった。1人の対象は、休薬を必要とし、治療B及びCを受けなかった。PKデータは、各治療条件について31人の対象について入手可能であった。
【0288】
【0289】
化合物1の薬物動態(PK)評価のための血液サンプルを、各期間において投薬前(投与前)並びに投薬の0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12、16及び24時間後に採取した。PKパラメータは、時間0~投薬後24時間の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)(AUC0-24)、時間0~最後の定量化可能濃度のAUC(AUC0-t)、無限大に外挿された時間0のAUC(AUC0-inf)、最大(ピーク)の観察された血漿中濃度(Cmax)、Cmaxに到達するまでの時間(Tmax)、終末相消失半減期(T1/2)、終末相速度定数(λz)を含んでいた。
【0290】
安全性及び耐容性は、有害事象(AE)、各治療期間における用量後24時間以内の複数時点でのバイタルサイン測定値及び各治療期間における用量後24時間の臨床検査によって評価した。
【0291】
統計解析のために、化合物1の個々のPKパラメータを、記述統計学を用いてまとめた。AUC及びCmaxの幾何平均を決定した。PKパラメータは、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Pharsight Corp、St. Louis、Missouri)、バージョン6.2.1を使用して非コンパートメント解析を使用して評価した。参照治療(絶食状態:治療A)と比較された試験治療(摂食状態:治療B、C及びD)の信頼区間(CI)は、AUC0-24、AUC0-t、AUC0-inf及びCmaxについて構築された。幾何平均の試験対参照比(B/A、C/A又はD/A)の90% CIが、AUC0-24、AUC0-t、AUC0-inf及びCmaxについて80%~125%の基準区間内に含有された場合に、食物の効果がないと結論づけられた。Tmaxについて、ウィルコクソン符号順位検定を実施した。p≦0.05は、統計的に有意であると考えられた。
【0292】
絶食状態と比較した摂食状態の効果及び90%信頼区間(CI)の推定のために、固定効果として治療条件、シークエンス及び期間並びにランダム効果としてシークエンス内に入れ子状態の対象を用いる線形混合効果モデルを、自然対数変換したPKパラメータにフィッティングした。
【0293】
【0294】
PK解析は、PK解析に含まれていた31人の対象について、絶食したAUC0-inf、AUC0-t及びAUC0-24は、それぞれ、10.2、7.2及び7.2mcg*h/mLであり、Cmaxは、0.6mcg/mLであることを示した。すべての治療期間にわたって、平均T1/2は、13.5~13.8時間の範囲であり、中央値Tmaxは、2.5~2.9時間の範囲であった。検査室値又はバイタルサインにおいて、治療関連有害事象又は臨床的に関連する変化は、生じなかった。表2-3を参照のこと。
【0295】
3つの治療すべて(治療B、C及びD)対治療A(
図1及び表2-4)について、オマダサイクリンに対する全身曝露の有意な低減が観察された。
【0296】
【0297】
食物の効果は、投薬のより近くに高脂肪食が消費された場合に、食事に乳成分が含まれた場合により顕著であった。絶食用量と比較して、化合物1曝露(Cmax及びAUC)が、投薬の4時間前の乳成分を含まない食事について15%~17%低減し、投薬の2時間前の乳成分を含まない食事について40%~42%低減し、投薬の2時間前の乳成分を含むの食事について59%~63%低減した。オマダサイクリンに対する全身曝露における対象間の可変性は、Cmax及びAUCについて、治療A、B及びC(CV 22.4~29.2%)については同様であった。対照的に、治療Dについては、これらのパラメータについて、CVは、42.6~44.4%であった。
【0298】
安全性及び耐容性に関して、2人の対象は、治療により発現したAEを経験し(1人は悪心を報告し、1人は傾眠を報告した)、両事象は軽度の強度のものであり、治験薬と無関係と考えられた。AEのために治験を中断した対象はなく、重篤なAE(SAE)を経験した対象もなかった。治療A(すなわち、最大オマダサイクリン曝露を有する群)について、心拍数におけるベースラインからのわずかな増大(用量後4~6時間で中央値8~10bpm)が観察された。すべてのその他の治療群において、心拍数におけるベースラインからの中央値変化は、すべての測定された時点で≦3bpmであった。血圧の著しい変化は、観察されなかった。臨床検査において臨床上重大な変化はなかった。
【0299】
結果は、化合物1の単回経口用量は十分に耐容されることを示した。食物の2~4時間内の300mg用量の投与は、絶食状態と比較してバイオアベイラビリティを低減した。したがって、好ましくは、1日1回の経口化合物1は、食事の少なくとも6時間後に投与されなければならない。
【0300】
[実施例3]
市中感染型細菌性肺炎(CABP)を有する成人対象を治療するための、モキシフロキサシンIV/POに対して化合物1 IV/POの安全性及び有効性を比較するための第3相無作為化二重盲検多施設治験
本治験は、CABPを有する成人の治療において、iv及びpoモキシフロキサシンと比較した静脈内(iv)及び経口(po)化合物1の安全性及び有効性を評価する。
【0301】
より詳しくは、本治験の主な目的は、2用量について12時間毎(q12h)の化合物1 100mg iv、それに続く、24時間毎に1回(q24h)の100mg iv/300mg poが、CABPを有する成人の治療においてモキシフロキサシン400mg iv/po q24hに対して非劣性であることを実証することである。副次的目的は、安全性集団においてCABPを有する成人対象の治療における化合物1の安全性を評価すること、同定された原因病原体に従って臨床応答を評価すること及びCABPを有する成人対象において化合物1の薬物動態(PK)を評価することである。
【0302】
治験デザインにしたがって、無作為化された(1:1)、実薬対照薬対照、二重盲検第3相治験を実施して、CABPを有する成人の治療において化合物1及びモキシフロキサシンを比較した(肺炎アウトカム研究チーム[PORT]リスククラスII、III又はIV)。PORTリスククラス算出は、Fineら、N. Engl. J. Med.第336巻:243~250頁、1997年(参照により組み込まれる)から適応された。約750人の患者が登録された。治験のiv及びpo相の両方とも二重盲検であった。PORTリスククラスIIを特徴とする疾患を有する対象の登録は、無作為化された対象の15%以下に制限された。試験物質の第1の投与前72時間以内に許容された短時間作用型抗生物質の単回用量を受けた対象の登録は、無作為化された対象の25%以下に制限された。登録された対象は、およそ30日間治験に参加した。
【0303】
治験は、3相:スクリーニング、二重盲検治療及びフォローアップからなる。スクリーニング評価は、肺炎の血液培養サンプル採取及びX線写真確認を除いて、無作為化前24時間以内に完了した。肺炎の血液培養サンプル採取及びX線写真確認は、試験物質の第1の投与前24時間以内に完了した。スクリーニング後、組み入れ基準を満たし、排除基準を満たさない適格な対象を、治療群に無作為に割り当てて、化合物1又はモキシフロキサシンいずれかを用いる7~14日の治療を与えた。無作為化された対象には、無作為化後4時間以内に試験物質の第1の用量を与えた。
【0304】
この治験の対照薬は、CABPを有する対象を治療するための安全な第1の選択肢としてのフルオロキノロン単剤療法の広い許容性を考えて、モキシフロキサシン(400mg po q24hへの移行への選択肢を有する400mg iv q24h)であるよう選択される。モキシフロキサシンは、通常の(例えば、肺炎連鎖球菌)及び非定型(例えば、レジオネラ属、クラミドフィラ属及びマイコプラズマ属の種)病原体を含むCABPの原因病原体である呼吸器病原体に対する幅広い活性を提供し、化合物1のものと同様のスペクトルの活性を有する。化合物1と同様に、モキシフロキサシンは、iv及びpo製剤の選択肢の両方を有し、1日1回投与された。
【0305】
療法後評価訪問は、試験物質の最後の用量後およそ5~10日で行い、フォローアップの電話による接触は、試験物質の第1の用量後およそ30~37日に行った。治験の詳細を以下にさらに記載する。
【0306】
本明細書において、「療法後評価」、「治療後評価」及び「PTE」は、意味を区別せずに、本出願を通じて本明細書において同義的に使用される。
【0307】
投与計画:
化合物1を、2用量について100mg iv q12h、それに続く、100mg iv q24h(第1の用量後24時間で開始する)として投与し、最短3日(4用量)のiv治療後300mg po q24hに切り替える選択肢を有する。
【0308】
対照薬モキシフロキサシンは、400mg iv q24h(1日目の第1の用量の12時間後、化合物1投与計画と対応するために単回プラセボ注入を有する)として投与し、最短3日(4用量)のiv治療後400mg po q24hへ切り替える選択肢を有する。
【0309】
患者組み入れ/除外基準
患者は、18歳以上の男性又は女性とした。患者は、以下の基準のすべてを満たしていた:以下の症状:咳、膿性痰の生成、呼吸困難(息切れ)及び胸膜炎性胸痛のうち少なくとも3つを有していた;以下の異常なバイタルサイン:治験責任医師によって実証された発熱又は低体温(温度>38.0℃[100.4°F]又は<36.0℃[95.5°F])、収縮期血圧(SBP)<90mm Hgを有する低血圧症、心拍数1分あたり>90拍動(bpm)及び呼吸数(RR)>20呼吸/分のうち少なくとも2つを有していた;CABPと関連する少なくとも1つの臨床徴候又は検査所見:低酸素血症(動脈血ガス[ABG]による動脈血酸素の分圧[PaO2]<60mm Hg又はパルスオキシメトリによる酸素飽和<90%)、肺硬化の身体検査所見(例えば、打診時濁音、気管支呼吸音又はヤギ声)及び総白血球細胞(WBC)数の増大(>12,000個細胞/mm3)又は白血球減少症(WBC<4,000個細胞/mm3)又は未熟好中球の増大(総末梢WBC数に関わらず、>15%桿状核球)を有していた;X線写真によって確認される肺炎、すなわち、試験物質の第1の投与前24又は48時間内の急性細菌性肺炎と一致する、胸部X線(CXR)又は胸部コンピューター断層撮影法(CT)スキャンでの新規又は進行性肺浸潤物を有していた;並びにスクリーニングでPORTリスククラスII、III若しくはIVであると分類される疾患を有していた、CABPの初期治療のために最短で少なくとも3日のiv療法を必要とすると予測された。
【0310】
女性患者は、スクリーニングで陰性尿妊娠検査を有しており、スクリーニングから療法後評価(PTE)まで現地の必要条件のとおり許容される方法の受胎調節を使用することに応じると同意した。男性は、女性パートナー(複数可)との受胎調節の許容される方法を使用することに同意し、スクリーニングからPTEまで精子を提供しなかった。
【0311】
以下の条件のいずれかを有する患者は、試験において許可されなかった:試験物質の第1の投与前72時間以内に1以上の用量の有効である可能性がある全身抗菌薬治療を受けた(対象は、感染を引き起こすと同定された病原体が、与えられた抗菌薬に対して感受性であるとわかった場合に、病原体が同定されなかった状況では、抗菌薬が肺炎の治療のために承認された、又はCABPの主な原因のいずれか(例えば、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、黄色ブドウ球菌、レジオネラ・ニューモフィラ)に対して活性を有するとわかった場合に、有効である可能性がある全身抗菌薬治療を受けたと考えられた。1つの例外として、対象が、短時間作用型抗菌薬(すなわち、標準投与計画が、1日1回よりも頻繁である抗菌薬)の単回用量を用いて治療された場合には、以前の抗菌薬療法に関わらず適格であり得る;いずれかの試験物質に対して耐性であり得る病原体(例えば、クレブシエラ・ニューモニエ、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ニューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jiroveci)、偏性嫌気性菌、マイコバクテリア、真菌病原体)によって引き起こされるCABPを有するとわかっていた又は疑われていた;膿胸(肺炎随伴性胸腔滲出は、除外基準ではなかった)又は肺膿瘍と疑われた又は確認された;対象が院内感染肺炎(HAP)又は医療関連肺炎(HCAP)を有するとわかっている又は疑われた。HAPは、緊急の対象内医療施設における入院後≧48時間での臨床徴候及び症状の発生を有する肺炎と定義され、HCAPは、長期介護又は亜急性/中間医療施設(例えば、ナーシングホーム)において獲得された肺炎又は最近の入院(現在の入院の90日以内に退院し、≧48時間これまでに入院していた)後に肺炎で入院した対象における肺炎と定義される;無作為化の前に以下:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)≧2×正常の上限(ULN)、総ビリルビン>1.5×ULN又は末期肝臓疾患の証拠(例えば、腹水、肝性脳症)のうち1以上を有するとわかっていた、又は臨床上疑われた;スクリーニング前3ヶ月以内に不安定心臓病(例えば、不安定狭心症、心筋梗塞、急性うっ血性心不全、不安定心不整脈など)を起こした既知の病歴を有していた;フリードライヒ式(QTcF)>450msec(男性)又は>470msec(女性)を使用して心拍数について補正されたQT間隔を有しており、QT延長症候群を有するとわかっており、潜在的不整脈誘発又はQT延長効果の薬物を使用した、及び/又は頻脈性不整脈を示した;任意の形態の透析(例えば、血液透析、腹膜透析)を必要とした;重症腎疾患の病歴若しくは証拠又はコッククロフト・ゴールト式を使用して<30mL/分の算出されたクレアチニンクリアランス(CrCl)を有していた;以下のいずれかによって決定される重大な免疫学的疾患の証拠:<500個好中球/mm3として定義される現在の又は予測される好中球減少症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既知の感染及び過去1年以内の未知の若しくは<200個細胞/mm3であると実証された分化4のクラスター(CD4)数又は後天性免疫不全症候群(AIDS)によって規定される疾病;過去3ヶ月以内にがん化学療法、放射線療法又は強力な非副腎皮質ステロイド免疫抑制薬(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、免疫調節性モノクローナル抗体療法など)を受けたこと、又は1日あたり40mgのプレドニゾンと同等若しくはそれ以上の、若しくは先行する30日中14日を超えて副腎皮質ステロイドを受けたこと;血圧(BP)及び/又は適切な組織灌流を安定化するための必要な急性薬理学的介入、ORは、以下のすべてによって規定される敗血性ショックの証拠を有していた:治験責任医師によって実証された発熱又は低体温(温度>38.0℃[100.4°F]又は<36.0℃[95.5°F])、心拍数>90拍動/分、RR>20呼吸数/分、WBC>12,000個細胞/mm3又は<4,000個細胞/mm3又は総末梢WBC数に関わらず>10%未熟な(桿状核球)形態、30分間かけた20~30cc/kgのiv液負荷に関わらずSBP<90mm Hgを有する低血圧症及び乳酸アシドーシス(血液ラクテート濃度≧4mmol/L)、乏尿症又は精神状態の急性変化を含み得るが、それに制限されない灌流異常;既知の又は疑われる、原発性若しくは転移性腫瘍性肺疾患、誤嚥性肺炎、活発な結核、嚢胞性線維症、気管支拡張症、気管支閉塞(例えば、閉塞後肺炎)、肺の分泌物のクリアランスを妨げる慢性神経障害又は重症慢性
閉塞性肺疾患(COPD);妊娠中又は授乳中(母乳栄養)の女性;任意のテトラサイクリン(例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン又はチゲサイクリン)に対する、又は任意のフルオロキノロン系抗生物質に対する過敏症又はアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー、じんま疹、その他の重大な反応)の病歴を有していた;偽性脳腫瘍の病歴を有していた、又は先行する(スクリーニング前2週間以内の)若しくは予定されたイソトレチノインの併用;全身性エリテマトーデス又はループス様症候群の病歴を有していた;膵炎の現在の証拠を有していた;てんかん発作の素因となり得る、又は発作閾値を低下させ得る中枢神経系障害の病歴を有していた;スクリーニング前の5半減期又は30日以内のどちらか長い方のその他の治験薬の使用;化合物1を用いてこれまでに治療されている、又はこの研究にこれまでに登録されていた;治験必要条件に応じる能力を干渉し得る任意の予定された医学的介入;及び3ヶ月以下の平均余命又は治験責任医師の意見で、治験下での感染症の応答の評価、有害事象(AE)の決定若しくは予測される治療過程の完了を干渉する可能性がある任意の付随する状態を有していたことがあった。
【0312】
さらに、試験物質の第1の投与前72時間以内の、短時間作用型抗菌薬の単回用量以外の、全身の先行する又は同時抗菌薬療法は許可されなかった。プロトコールによって禁止されず、対象の福祉にとって必要であると考えられるすべてのその他の薬物療法は、治験責任医師の監督下で投与及び/又は継続され得る。
【0313】
投与計画
二重盲検治療期間は、最大14日間の期間とした。組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさなかった対象を、治療群に無作為に割り当て、無作為化後4時間以内に試験物質の第1の用量を与えた。
【0314】
以下の評価を行った:バイタルサイン、身体検査(スクリーニング検査がAEとして記録されてからの観察結果の悪化)、AE及びSAE、同時治療、CABP症状重症度スケール、微生物学的評価、12リードECG(7日目訪問時の、EOT訪問時の、そうでなければ臨床的に指示されたとおりに、試験物質の第1及び第3の用量の第1の注入の開始後直前[30分以内]及び30~90分に実施した)、中央検査室評価のための血液:血液学、化学、妊娠(女性のみについて)、試験物質投与及びアカウンタビリティー、po切り替え又は療法を継続する必要性についての評価及び臨床応答の治験責任医師の評価。
【0315】
対象を、以下の2つの治療群のうち1つに無作為化した(1:1):
a.治験療法:化合物1(pHを調整するためにトシレート酸対イオン、スクロース、塩酸及び水酸化ナトリウムとともに供給された)、100mg iv q12h(最初の2用量)、それに続く、100mg iv q24h(第1の用量後24時間で開始する)、少なくとも3日(4用量)のiv治療後に300mg(2つの150mgの化合物1錠剤及びモキシフロキサシンと対応する1つの過封入されたプラセボ錠剤)po q24hに切り替える選択肢を有する。
b.参照療法:モキシフロキサシン、400mg iv q24h(1日目の第1の用量後12時間の、化合物1投与計画と対応する単回プラセボ注入液を用いる)、少なくとも3日(4用量)のiv治療後に400mg(1つの400mgモキシフロキサシンが過封入された錠剤及び化合物1錠剤と対応する2つのプラセボ錠剤)po q24hへ切り替える選択肢を有する。
【0316】
iv治療相(最小3日、4用量)は、以下の表3-1に示されるように、活性化合物1に対応させたプラセボ注入液及びモキシフロキサシン注入液を用いるダブルダミー設計に従った。化合物1及び対応させたプラセボの注入液をおよそ30分間かけて連続的に投与した。表に示されるように、iv治療の最初の24時間の間に、モキシフロキサシン治療群の対象は、化合物1群におけるt=12時間注入に対応するようにプラセボ注入液を受けた。
【0317】
モキシフロキサシン及び対応させたプラセボの注入液をおよそ60分間かけて連続的に投与した。すべての注入開始及び停止時間を記録した。
【0318】
【0319】
化合物1の上記の治療計画の代表的な(制限するものではない)例示を以下に提供する:
【0320】
【0321】
治療(IV+経口(存在する場合))の総期間は、通常7~14日である。
対象がiv療法を受けている間、治験責任医師は、対象を毎日評価し、対象の全体的な臨床評価に基づいて以下のうち1つを選択した:
(1)iv試験物質を継続する、
(2)po試験物質に切り替える(最小3日間[4用量]のiv療法後)第1のpo用量を午前中、最後のiv用量後12~24時間に投与し、従って、最初のpo用量が、t=60時間という早さで行われ得ることは留意されたい、
(3)試験物質を中断する-この決定は、EOT評価を促した。
毎日の決定をそれぞれ記録した。
【0322】
治験の間のすべての時間で、ivを継続する、poに切り替える、又は試験物質を中断する決定は、治験責任医師の臨床判断に基づいて行った。治験責任医師は、現地の微生物検査室からの培養及び感受性結果を使用して、治療の指針として役立てた可能性があるが、試験物質を継続又は中断する決定は、感受性結果よりも臨床応答に基づいていた(化合物1感受性試験は現地の場所では入手可能ではなかったので)。CABPが、in vitroでモキシフロキサシンに対して感受性ではない微生物によって引き起こされた場合には、治験治療を継続又は中断する決定は、対象の臨床経過及び治験責任医師の臨床判断に基づいていた。この決定の理論的根拠は記録した。
【0323】
po治療に切り替える決定は、治験責任医師によってなされた。対象が、臨床上安定であり、poレジメンへの移行のための基準を満たすと考えられるには、注記及び記録された以下の所見を有していなくてはならない:
a.温度≦37.8℃(100°F)
b.心拍数≦100拍動/分
c.RR≦24呼吸数/分
d.SBP≧95mm Hg
e.パルスオキシメトリによって測定されるような酸素飽和≧90%又はABGによるPaO2≧60mm Hg
f.スクリーニングと比較したCABP症状(咳、痰生成、胸膜炎性胸痛、呼吸困難)の悪化無し
g.正常な精神状態(「錯乱がないこと」又は肺炎の発症前に正常な精神状態を有していなかった対象の疾病前ベースライン)
h.po摂取を維持する能力。
【0324】
poへの切り替えは、対象が、少なくとも最初の3日のiv治療を完了した後(4iv用量後)まで許可されなかった。
【0325】
治験責任医師がpo治療に対する対象の適格性の基準が満たされていることを確認し、po治療に切り替える決定を行った日時を記録した。po試験物質に切り替えており、治験6日目前に病院から退院した対象については、訪問は治験4及び5日目に実施し、治験6日目訪問は任意選択であった。
【0326】
po投薬のための治療計画を、表3-2に示した。ivからpo試験物質へ切り替える場合には、用量間の推奨された間隔は維持された。化合物1及びモキシフロキサシン治療群両方の第1のpo用量は、午前中、最後のiv用量後12~24時間に与えられた。po治療相はまた、活性化合物1錠剤に対応する大きさ及び形状の、及び過封入されたプラセボ及び活性モキシフロキサシン錠剤と対応する化合物1プラセボ対照薬錠剤を使用する、二重盲検、ダブルダミー設計を使用した。
【0327】
錠剤は、ラクトース一水和物、微晶質セルロース、ステアリルフマル酸ナトリウム、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、重亜硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、タルク、ダイズレシチン、キサンタンガム、FD&C Yellow6番及びFD&C 2番を含む賦形剤を有していた。化合物1錠剤は、絶食状態(少なくとも6時間、食物、制酸薬又は多価カチオン(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、鉄又は亜鉛)を含有するマルチビタミン又は水を除く飲料無し)で水とともに摂取された。投薬後、食物は2時間消費されないようにし、乳製品、制酸薬又は多価カチオン(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、鉄又は亜鉛)を含有するマルチビタミンは4時間消費されないようにした。
【0328】
【0329】
対象がpo療法を受けている間に、治験責任医師は、対象を治験7、10及び14日目に評価し、以下の行為のうち1つを選択した:
a.po試験物質を継続する、
b.試験物質を中断する-この決定は、EOT評価を促した。
【0330】
治験責任医師は、現地の微生物検査室からの培養及び感受性結果を使用して、治療の指針として役立てた可能性があるが、試験物質を継続又は中断する決定は、感受性結果よりも臨床応答に基づいていた(化合物1感受性試験は現地の場所では入手可能ではなかったので)。CABPが、in vitroでモキシフロキサシンに対して感受性ではない微生物によって引き起こされた場合には、治験治療を継続又は中断する決定は、対象の臨床経過及び治験責任医師の臨床判断に基づいていた。
【0331】
試験物質の用量調整及び中断は、許可されなかった。
【0332】
対象を、治療の完了後の2回の訪問時に、最後の治療日後PTE5~10日に、及び治療の第1の用量後最終フォローアップ評価30~37日に評価した。
【0333】
以下の表には、安全性集団における治験薬曝露がまとめられている。
【0334】
【0335】
IVから経口治療へ切り替える基準は、以下を含む:温度≦37.8℃(100°F);心拍数≦100拍動/分;呼吸数<=24呼吸数/分;収縮期血圧≧95mmHg;パルスオキシメトリによる酸素飽和≧90%又はABGによるPaO2≧60mmHg;スクリーニングに対してCABP症状の悪化無し;正常な精神状態;及びPO摂取を維持する能力。化合物1を投与された患者については、IV用量から経口用量に切り替えた295人の患者のうち100%が、上記の基準のそれぞれを満たしていた。
【0336】
安全性評価
試験物質を受けた任意の対象は、安全性の評価に含まれていた。
登録された対象の安全性評価は、身体検査、バイタルサイン(血圧、脈拍数、体温)、AE及びSAE、検査室評価(血液学、血清化学、尿検査)、12リード心電図(ECG)評価及び妊娠評価を含んでいた。
【0337】
スクリーニング後、治験日に、及びEOT及びPTE訪問時に身体検査を実施した。スクリーニング検査後に生じる(すなわち、スクリーニング時に気づかなかった)任意の新規の臨床上重要な所見は、AEとして捕らえた。
【0338】
対象がiv治療中である各用量の前に、体温、BP、脈拍/心拍数及びRRを含むバイタルサインを記録した。
【0339】
血液学、化学及び凝固(プロトロンビン時間のみ)のための血液サンプルは、スクリーニング、4日目、7日目、10日目、EOT及びPTE時に採取した。
【0340】
安全性治験は、以下の時間での標準12リードECGを含んでいた:スクリーニング、試験物質の第1の用量の第1の注入の開始の直前(30分以内)(t=0時間)、試験物質の第1の用量の第1の注入の開始後30~90分、試験物質の第3の用量の第1の注入の開始の直前(30分以内)(t=24時間)、試験物質の第3の用量の第1の注入の開始後30~90分、7日目訪問時、EOT訪問時、対象が非胸膜炎心臓性胸痛、動悸、頻脈性不整脈のAEを発生した任意の場合又はそうでなければ臨床的に指示されたとおりに。
【0341】
安全性治験はまた、妊娠及び妊孕性の評価を含んでいた。すべての女性は、スクリーニング訪問時にその場所で尿妊娠検査を行った。陽性尿妊娠検査結果が得られた場合、登録されたものはいなかった。β-hCG検査のための血清サンプルもスクリーニング訪問時に採取し、尿妊娠結果の確認のために中央検査室に送った。中央検査室でのβ-hCG検査のための血清サンプルはまた、EOT及びPTEでも採取した。女性が登録された後に中央検査室によって陽性β-hCG結果が報告された場合には、試験物質投与は、中断した。
【0342】
安全性治験はまた、試験物質の第1の投与前24時間以内に採取した2セットの血液培養物を含んでいた。各セットの血液培養物は、15~30分おいて独立した身体部位から直接静脈穿刺によって採取した。ベースライン血液培養物から細菌が単離された場合には、陽性血液培養物が検出された当日に反復血液培養物を採取した。その後の血液培養物も陽性であった場合には、血液培養物を必要に応じて、陰性血液培養物が得られるまで反復した。
【0343】
有効性評価
異なる保健当局の要件を満たすために、主要な変数を2つの応答エンドポイントで試験した:
・早期臨床応答又はECRの成功(第1の用量後72~120時間)をプログラムによって決定し、治験責任医師によって評価されるような、4つの対象症状(咳、痰生成、胸膜炎性胸痛、呼吸困難)のうち少なくとも2つにおいて改善され、これらの4症状のうちいずれにおいても悪化を伴わない生存として定義した(FDA主要有効性ポイント)。1つのこのような評価は、ITT集団において行った。
【0344】
・感染症の徴候及び症状の、さらなる抗菌薬療法が必要ではない程度までの解決を伴う、試験物質レジメンの完了後の生存として定義される、PTE訪問時の臨床応答の治験責任医師の評価の成功(EMA主要有効性ポイント)。このような評価の1つは、PORTリスククラスIII/IV対象に制限されたITT及びCE集団の両方で行った。さらに、95% CIレベルに加えて97.5% CIを10%非劣性評価に使用した。
【0345】
早期臨床応答エンドポイントは、治療企図(ITT)解析集団において試験した。PTEエンドポイントでの臨床応答の治験責任医師の評価は、ITT及び臨床的に評価可能な(CE)集団において試験した(共主要エンドポイント)。
【0346】
副次的有効性変数は以下を含んでいた:
・早期臨床応答の応答カテゴリー
・EOT及びPTEでの臨床応答の治験責任医師の評価の臨床応答カテゴリー
・同定された原因病原体による臨床応答カテゴリー
以下は、実施された重要な評価のリストである:
・治験責任医師によるCABPの徴候及び症状の評価
・感染症の微生物学的評価
・臨床応答の評価
重要な評価のそれぞれは、以下にさらに詳細に説明されている。
【0347】
a)CABP症状重症度の評価
治験責任医師によって観察されたCABP症状の評価を、最終フォローアップ評価を除き、予定評価毎に実施した。治験責任医師は、咳、痰生成、胸膜炎性胸痛及び呼吸困難の対象の症状の重症度レベルを、治験責任医師評価のための市中感染型細菌性肺炎対象症状重症度ガイダンスフレームワーク(以下を参照のこと)に基づいて4段階評価(無し、軽度、中程度又は重度)で特別に評価し、症状重症度スコアをeCRFに入力した。po試験物質に切り替えており、治験6日目前に病院から退院した対象については、治験4及び5日目に訪問を実施し、治験6日目訪問は、任意選択であった。
【0348】
【0349】
b)微生物学的評価
微生物学的評価は、呼吸器培養及びグラム染色、レジオネラ・ニューモフィラ及び肺炎連鎖球菌抗原スクリーニングについての尿検査並びにレジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ及び肺炎クラミジア力価についての血清学検査を含んでいた。
【0350】
呼吸器培養及びグラム染色のために、スクリーニング訪問時に、すべての対象から、適切な品質の喀痰された又は誘導された痰又は下気道からの流体を反映するその他の呼吸器検体(例えば、気管支肺胞洗浄又は気管支鏡検査によって得られた呼吸器流体;胸腔穿刺によって得られた胸腔流体;又は適切性基準を満たす喀痰された若しくは誘導された痰)の採取を試み、グラム染色及び培養のために現場の微生物学検査室に提出した。日付、時間及び提出された検体の種類を記録した。適切な品質の痰検体は、現場の検査室によって報告されるような以下の2つの所見を有すると定義された:
1.<10個の扁平上皮細胞/低拡大視野(lpf)(すなわち、100×)
2.>25個の多形核細胞/lpf(すなわち、100×)
【0351】
適切な品質の痰検体及び培養のためのその他のスクリーニング呼吸器検体は、試験物質の第1の用量の前に入手した。EOT及び/又はPTE訪問時に、呼吸器検体培養物及びグラム染色は、臨床的失敗であり、CABPの代替抗菌薬治療を必要とする対象についてのみ入手した。
【0352】
グラム染色に関する検査室報告は、低拡大視野(すなわち、100×)あたりの多形核白血球の数の半定量的記載及び見られた細菌の記載を含んでいた。呼吸器検体のグラム染色について、低拡大視野(すなわち、100×)あたりの扁平上皮細胞の数の半定量的記載を含めた。
【0353】
培養結果は、属及び種レベルに対するすべての病原体の同定を含んでいた。モキシフロキサシン(又はその他のフルオロキノロン)の感受性検査を標準法を使用して実施した。
【0354】
検体を適切な品質のものであるとして規定する、及び/又は呼吸器検体若しくは血液から単離され、可能性ある病原体である、2つの基準を満たす喀痰された又は誘導された痰検体から同定されたすべての分離菌を、属及び種の検証のために、並びに化合物1、モキシフロキサシン及び現在承認されている抗生物質のパネルについて実施される標準化された最小阻害濃度(MIC)検査のために中央検査室に提供した。
【0355】
レジオネラ・ニューモフィラ及び肺炎連鎖球菌抗原スクリーニングのための尿検査に関しては、レジオネラ・ニューモフィラ及び肺炎連鎖球菌抗原の存在について試験するために、スクリーニング訪問時に尿を採取した。
【0356】
レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ及び肺炎クラミジア力価についての血清学検査に関しては、スクリーニング訪問時及びPTE訪問時に中央検査室によってレジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ及び肺炎クラミジアについての血清学を実施するために血液サンプルを採取した。
【0357】
c)臨床アウトカムの評価
以下に記載されるような、早期臨床応答評価(プログラムによって)、EOT及びPTEで生じた臨床アウトカムの評価。
【0358】
1.早期臨床応答評価での治験下感染症の評価
早期臨床応答評価(試験物質の第1の用量の投与後72~120時間)での療法に対する応答の正式な決定は、eCRFに入力された、CABPと関連する対象の症状の治験責任医師の評価を使用してプログラムによって行った。治験責任医師は、対象を、早期臨床応答評価で臨床的成功、失敗又は未定と分類することに関与しなかった。咳、痰生成、胸膜炎性胸痛及び呼吸困難の対象CABP症状の重症度は、治験責任医師評価のための市中感染型細菌性肺炎対象症状重症度ガイダンスフレームワークに基づいて4段階評価(無し、軽度、中程度又は重度)で評価された。CABP対象症状重症度評価は、最終フォローアップ評価を除いて、どの予定評価でも完了した。po試験物質に切り替えており、治験6日目前に病院から退院した対象については、治験4及び5日目に訪問を実施し、治験6日目訪問は、任意選択であった。
【0359】
臨床的成功:早期臨床応答評価で、2つのCABP症状(咳、痰生成、胸膜炎性胸痛及び呼吸困難)におけるスクリーニングと比較して、少なくとも1レベルの(すなわち、重度から中程度への、中程度から軽度への、軽度から無しへの)改善を有し、その他の組み入れCABP症状における少なくとも1レベルの悪化を伴わない生存として定義された。対象が臨床的成功と考えられるためには、対象は、臨床的失敗又は未定早期臨床応答の任意の基準を満たさなくてもよい。
【0360】
臨床的失敗:以下の基準のいずれかを満たすと定義される:
・2つのCABP症状におけるスクリーニングと比較して、少なくとも1レベルの(すなわち、重度から中程度への、中程度から軽度への、軽度から無しへの)改善はなかった。
・4つのCABP症状のいずれかが、スクリーニングと比較して悪化した(少なくとも1レベル)。
・対象が、(a)CABPに起因する新規症状の進行若しくは発生又は(b)CABPの感染性合併症(例えば、膿胸、肺膿瘍)の発生のいずれかと関連する、早期臨床応答評価の前のCABPのための代替(レスキュー)抗菌薬治療を必要とした。
・対象が、治験中のものとは異なる感染症のために、治験下で感染にとって有効であり得る抗菌薬療法を受けていた。
【0361】
・AEのために治験療法を中断し、早期臨床応答評価の前にCABPのための代替抗菌薬治療を受けた。
・早期臨床応答評価の前の死亡。
【0362】
未定:試験物質に対する臨床応答が、以下のために適切に推測されることができない:
・対象が、同意を取り消した、フォローアップに失敗した、その他の理由(明記する)のために評価のために見られなかった。
・その他の特定の理由。
【0363】
2.EOTでの治験下感染症の臨床評価
EOT評価を、任意の試験物質の最後の用量の暦日、又はその後2日以内に実施した。対象が、計画された抗生物質療法の完了の前に治験における参加を早期に中止した、又は終了した場合には、EOT訪問を実施した。
【0364】
治験責任医師は、対象が、以下の臨床アウトカムのうち1つの基準を満たしたか否かを調べた:
臨床的成功:対象が生存しており、感染が十分に解決し、その結果、さらなる抗菌薬療法が必要ではなかった。これらの対象は、補助的な(すなわち、非抗生物質)治療(例えば、去痰薬)を必要とする、感染と関連するいくつかの残った所見(すなわち、咳)を有していてもよい。対象が、EOTで臨床的成功と考えられるには、対象は、EOTで臨床的失敗又は未定の任意の基準を満たさなくてもよい。
【0365】
臨床的失敗:対象が、(a)CABPの新規症状の進行若しくは発生又は(b)CABPの感染性合併症(例えば、膿胸、肺膿瘍)の発生のいずれかと関連して、EOTの前にCABPの代替抗菌薬治療を必要とした、又は(c)対象が治験療法の中断を必要としたAEを発生した。臨床的失敗のその他の理由として、以下がある:
・対象が、治験中のものとは異なる感染症のために、治験下で感染にとって有効であり得る抗菌薬療法を受けていた。
・EOT訪問前の死亡。
未定:試験物質に対する臨床応答が、以下のために適切に推測されることができなかった:
・対象が、同意を取り消した、フォローアップに失敗した、その他の理由(明記する)のためにEOT評価のために見られなかった。
・その他の特定の理由。
【0366】
3.PTEでの治験下感染症の臨床評価
PTE評価を、対象の療法の最終日後5~10日で実施した。治験責任医師は、対象が、以下の臨床アウトカムのうち1つの基準を満たしたか否かを調べた:
臨床的成功:試験物質以外の任意の全身抗菌薬療法を受けない、試験物質レジメンの完了後の生存、CABPに起因する新規症状又は合併症を伴わないスクリーニング時に存在する感染症の徴候及び症状の解決並びにさらなる抗菌薬療法を必要としないこと。
臨床的失敗:対象が、(a)CABPの新規症状の進行若しくは発生又は(b)CABPの感染性合併症(例えば、膿胸、肺膿瘍)の発生のいずれかと関連して、PTEの前にCABPの代替抗菌薬治療を必要とした。
【0367】
・対象が、治験中のものとは異なる感染症のために、治験下で感染にとって有効であり得る抗生物質を受けていた。
・PTE前の死亡。
【0368】
未定:試験物質に対する臨床応答が、以下のために適切に推測されることができなかった:
・対象が、同意を取り消した、フォローアップに失敗した、その他(明記する)のためにPTE評価のために見られなかった。
・その他の特定の理由。
【0369】
d)化合物1濃度のための薬物動態血漿サンプル
PKデータを、集団PKモデルを使用して解析した。PKサンプルを、集団PKモデルについてスパースサンプリング法を使用して採取した。サンプル数及び採取スケジュールは、個々の対象について異なっていた。治験日1~7の間に対象あたり最大4サンプルを採取した。その目的のために新鮮静脈穿刺によって、又はSOLEYを使用したカニューレによって、血液を採取した(PKサンプルは、試験物質の投与のために使用される同一ivアクセスによって引き出されなかった)。試験物質のすべての用量及びPKサンプル採取の日付及び時間を記録した。試験物質の静脈内に投与された用量について、各注入の開始及び停止時間を記録した。サンプルチューブを1500×gで10分間遠心分離し、分離された血漿を、予めラベルが付けられたチューブ中の2つの等しいアリコートに移し、採取の60分以内に-70℃でチューブを凍結した。サンプルが凍結された時間を、最も近い分に記録した。単一対象からPKサンプルのすべてを採取し、-70℃で凍結し、中央検査室へ-70℃で凍結輸送した。サンプルを、特異的な、高感度な、有効な液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS/MS)法を使用して化合物1について分析実験室でアッセイした。
【0370】
e)安全性モニタリング-有害事象
AEは、試験物質を与えられた人において又は臨床治験において生じた、徴候、症状、疾患又は検査室的若しくは生理学的所見の形態の任意の有害な(untoward)、望ましくない又は予定外の事象として定義された。事象は、試験物質又は臨床治験と因果的に関連する必要はない。AEは、それだけには限らないが、以下を含んでいた:
・既存の状態の任意の臨床上有意な悪化。
・偶発的であろうと意図的であろうと試験物質の過剰摂取から生じるAE。
過剰摂取は、プロトコールにおいて指定されたものよりも多い用量である。
・試験物質の乱用(例えば、非臨床的理由のための使用)から生じるAE。
・試験物質の使用の中断と関連しているAE。
【0371】
SAEは、
・死亡をもたらした
・命を脅かすものであった(以下を参照のこと)
・入院又は既存の入院の延長を必要とした(以下を参照のこと)
・持続的又は相当な能力障害又は無能をもたらした(以下を参照のこと)
・がんをもたらした
・先天性異常又は出生時欠損をもたらした
AEである。
・さらに、死亡をもたらさない、命を脅かすものではない、若しくは入院を必要としない場合がある重要な医療事象も、適当な医学的判断に基づいて、対象を危機に曝し得る、及びこの定義に列挙される結果のうち1つを防ぐために内科的若しくは外科的介入を必要とし得る場合に、SAEと考えられる場合がある。このような事象の例は、緊急治療室における、又は家での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、血液悪液質又は入院をもたらさない痙攣又は薬物依存若しくは薬物乱用の発生を含んでいた。
【0372】
プロトコール関連AEは、試験物質と関連していないが、治験責任医師又は医療モニター(又は被指名人)によって研究条件と関連している、すなわち、対象が治験に参加しているという事実と関連していると考えられた、臨床治験の間に生じたAEと定義された。例えば、プロトコール関連AEは、プロトコールによって必要とされる医療手順と関連する有害な(untoward)事象であり得る。
【0373】
特定の情報は、SAEと考えられないが、SAEについて示されたように記録、報告、フォローアップされなくてはならない。これは、試験物質に対する妊娠曝露、AEを伴う若しくは伴わない試験物質に対する乳汁分泌曝露、AEを伴う若しくは伴わないこのプロトコールにおいて明記されるような試験物質の過剰摂取及びAEを伴う又は伴わない試験物質に対する不注意の若しくは偶発的曝露を含んでいた。
【0374】
データ解析
この治験のデータのすべての解析は、ヒト使用のための医薬品の登録のための技術的要件の調和に関する国際会議(ICH-E9)及び治験依頼者のガイダンス文書及び標準に従った。統計的解析は、統計解析ソフトウェア(SAS)を使用して実施した。
【0375】
a)解析集団
いくつかの対象集団が、有効性及び安全性の種々の解析のために定義されており、以下のとおりである:
・ITT集団は、すべて無作為化された対象からなっていた。
・微生物学的治療企図(microITT)集団は、呼吸器検体(例えば、気管支肺胞洗浄又は気管支鏡検査によって得られた呼吸器流体、胸腔穿刺によって得られた胸腔流体又は適切性基準を満たす喀痰された若しくは誘導された痰)の培養物、血液の培養物から、又は培養物に依存しない方法(例えば、肺炎連鎖球菌若しくはレジオネラ・ニューモフィラについての陽性尿中抗原検査又はレジオネラ・ニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ若しくは肺炎クラミジアについての陽性血清学)からスクリーニングで同定された少なくとも1種の原因病原体を有しているITT集団中の対象からなっていた。
・拡大microITT集団は、適切なグラム染色が、痰培養物からの分離菌が病原体であるか否かを決定するために>10PMN/LPF及び<10SEC/LPFとして定義された点を除いて、microITT集団と同一基準を使用して定義された。ここで、PMN=多形核、SEC=扁平上皮細胞、LPF=低拡大視野。
・CE集団は、試験物質を受け、適格なCABP、アウトカムの評価を有し、SAPにおいて詳述されたすべてのその他の評価可能性基準を満たしていたすべてのITT対象からなっていた。
・CE-EOT/PTE集団は、任意の量の活性試験物質を受け、EOT/PTE訪問時の臨床応答の治験責任医師の評価を完了し、未定の臨床応答がなく、必要な評価と関連する特定の基準を満たした、すべて無作為化された安全性対象からなっていた。ここで、CE=臨床上評価可能な、EOT=治療の最後、PTE=療法評価後。
・微生物学的に評価可能な(ME)集団は、スクリーニング時に少なくとも1種の原因病原体を有するCE集団中の対象を含んでいた。
・ME-EOT/PTEは、microITT及びCE-EOT/PTE集団両方中のすべての対象からなっていた。 ・安全性集団は、試験物質を受けるすべて無作為化された対象からなっている。
【0376】
上記で定義されたような治験に登録された種々の治験集団を以下に列挙する。
【0377】
【0378】
b)対象人口動態及びベースライン特徴
以下:対象の性質(完了した試験物質、中断の理由による中断した試験物質、完了した治験、中断の理由による中断した治験)、プロトコールの逸脱、CABPバックグラウンド情報(対象人口動態:年齢(歳)、性別、人種、身長(cm)、体重(kg)、肥満度指数(BMI)(kg/m2))、PORTリスククラス、及び病歴及び継続している病状について、治療群によって記述統計学を提供した。
【0379】
ベースライン人口動態及び医学的変数を、両側フィッシャー正確確率検定(カテゴリー変数について)又は両側ウィルコクソン順位和検定(順序及び連続変数について)を使用して解析した。
【0380】
これらの解析の選択された結果は、以下の表にまとめられた。
【0381】
【0382】
パーセンテージは、ITT集団に基づいている。治療群間の相違のP値は、フィッシャー正確確率検定に由来する。中断のいくつかの理由が、有害事象ではなく死亡としてコード化されるので、有害事象のために治験治療を早期中断している対象の数は、有害事象表中の数に対応しない場合がある。無作為化されたが治療されていない対象(合計n=4)は、その他カテゴリーにおいてカウントされる。死亡総数は、12(8オマダサイクリン及び4モキシフロキサシン)である。EOT=治療の最後、PTE=治療後評価。
【0383】
【0384】
上記の表中のパーセンテージは、CE-PTE集団に基づいている。治療群間の相違のp値は、フィッシャー正確確率検定に由来していた。中断のいくつかの理由が、有害事象ではなく死亡としてコード化されるので、有害事象のために治験治療を早期中断している対象の数は、有害事象表中の数に対応しない場合がある。
【0385】
【0386】
上記の表中、年齢は、インフォームドコンセントに対する誕生日から算出されている。治療群間の相違のp値は、フィッシャー正確確率検定(カテゴリー変数について)又はウィルコクソン順位和検定(連続変数について)に由来する。各カテゴリーパラメータについて、パーセンテージの分母は、評価されたそのパラメータを有していた対象の数である。PORTスコア(実際)及びPORTリスククラス(実際)は、CRFからのPORTスコア(導かれた/補正された)に基づいている。
【0387】
【0388】
上記の表中、年齢は、インフォームドコンセントに対する誕生日から算出されている。治療群間の相違のp値は、フィッシャー正確確率検定(カテゴリー変数について)又はウィルコクソン順位和検定(連続変数について)に由来する。各カテゴリーパラメータについて、パーセンテージの分母は、評価されたそのパラメータを有していた対象の数である。PORTスコア(実際)及びPORTリスククラス(実際)は、CRFからのPORTスコア(導かれた/補正された)に基づいている。
【0389】
c)有効性解析
すべての有効性解析について、対象が無作為化された群において対象データを解析した。
【0390】
以下の表には、ITT集団における試験物質の第1の注入後72~120時間で決定された早期臨床応答の主な解析結果がまとめられている。
【0391】
【0392】
化合物1及びモキシフロキサシンの両方のITT集団における早期臨床的成功率(72~120時間で)が、
図2に表されている。バーの最も左の対を参照のこと。データは、95% CI(信頼区間)での臨床的成功率における観察された-1.6%の相違は、-7.1%から3.8%の間の統計的非劣性の10%マージンの十分に範囲内であり、従って、主要な有効性ポイント(FDA承認のための)が満たされていることを示す。
【0393】
早期臨床応答有効性変数(臨床的成功、臨床的失敗又は未定)について、ITT集団において臨床的成功を有する対象のパーセンテージの算出のための分母に、未定応答が含まれており、従って、主な解析の目的のために臨床的失敗と本質的に考えられた。
【0394】
以下の表には、ITT及びCE-PTE集団の治験責任医師評価に基づくPTE訪問時の全体的な臨床応答がまとめられている。
【0395】
【0396】
化合物1及びモキシフロキサシン両方の、ITT集団及びCE-PTE集団の治験責任医師評価に基づく、PTE訪問での全体的な臨床応答率も、
図2に表されている。バーの中央(ITT)及び最も右(CE-PTE)の対を参照のこと。データは、95% CI(信頼区間)でのITT集団における全体的な臨床応答率における観察された2.5%の相違は、-2.4%から7.4%の間の統計的非劣性の10%マージン内であり、CE-PTE集団における全体的な臨床応答率における観察された2.5%の相違は、95% CI(信頼区間)での-1.7%から6.8%の間の統計的非劣性の10%マージン内であることを示す。したがって、副次的有効性ポイント(FDA承認のための)も満たされている。
【0397】
PTE有効性変数(ITT集団における臨床的成功、臨床的失敗又は未定並びにCE集団における臨床的成功及び臨床的失敗)での臨床応答の治験責任医師の評価のために、ITT集団において臨床的成功を有する対象のパーセンテージの算出のための分母に、未定応答が含まれており、従って、EMAの主な解析の目的のために臨床的失敗と本質的に考えられた。
【0398】
CABPを有する成人の治療において化合物1の有効性が、モキシフロキサシンに対して非劣性であったことを実証するために、臨床的成功率の解析によって以下の仮説を評価した。
【0399】
早期臨床応答エンドポイントの帰無仮説及び対立仮説を、以下のとおりにITT集団において評価した:
Ho:θT-θC≦-Δ
Hai:θT-θC>-Δ
【0400】
化合物1レジメンの臨床的成功率がθTである場合には、モキシフロキサシンについてはθCである。Δは、非劣性(NI)マージンであり、0.10(又は10%)であった。
【0401】
PTEエンドポイントについて、0.10のΔを用いて同様の帰無及び対立仮説を立てることができる。早期臨床応答(FDA)エンドポイントについて、臨床的成功率の相違についての両側95%信頼区間(CI)アプローチ(相違の点推定:化合物1応答割合-モキシフロキサシン応答割合を使用する)を使用して、ITT集団においてモキシフロキサシン群と比較した化合物1群のNIについて試験した。95% CIは、Miettinen及びNurminenによって提案された非層別化法(Statistics in Medicine第4巻:213~226頁、1985年)を使用して算出した。化合物1は、CIの下限が、-0.10(又は-10%)より大きい場合にモキシフロキサシンに対して非劣性と考えられる。この概念は、本明細書において「非劣性の10%マージン内」と表されている。
【0402】
ITT及びCE集団両方におけるPTE(EMA)主要有効性解析での臨床応答の治験責任医師の評価のために、臨床的成功率の相違についての両側97.5% CIアプローチ(相違の点推定:化合物1応答割合-モキシフロキサシン応答割合を使用する)を使用して、III又はそれより高いPORTリスククラスを有する対象においてモキシフロキサシン群と比較した化合物1群のNIについて試験した。97.5% CIは、Miettinen及びNurminenによって提案された層別化された(無作為化層別化因子について)方法を使用して算出した。化合物1は、CIの下限が、-0.10(又は-10%)より大きい場合にモキシフロキサシンに対して非劣性と考えられる。
【0403】
PTEでの早期臨床応答及び臨床応答の治験責任医師の評価を別個に試験し、共主要エンドポイントではなかった。PTE有効性に基づいて無効な薬物を承認する確率は、早期臨床応答エンドポイントの結果に関わらず、1.25%であった、逆もまた同様である。調整は、少なくとも1つのエンドポイントでの勝利が世界的承認をもたらす場合にのみ必要とされるであろうが、ここではそうではなかった。さらに、NIは、NIを結論づけるために両集団において示されなければならないので、EMA(ITT及びCE集団)の共主要有効性エンドポイントについて、アルファ調整は必要でなかった。したがって、複数エンドポイントについての調整はなかった。
【0404】
主要有効性アウトカム(PTEでの早期臨床応答及び臨床応答の治験責任医師の評価)の追加及び感受性解析を実施した。劣性の帰無仮説が、ITT集団における早期臨床応答について棄却され、化合物1の観察された成功応答割合が、モキシフロキサシンの観察された割合よりも大きい場合には、優位性の正式の統計分析が実施される。治療相違の両側CIの下限が、0%よりも大きい場合に、化合物1は、モキシフロキサシンよりも優れていると考えられる。
【0405】
主要有効性アウトカムはまた、PORTリスククラスの層別化因子、治験治療前72時間における許可された抗菌薬療法を受けること及び治療群による地理的地域層にわたって別個に評価した。PORTリスククラス層のそれぞれ、先行する抗菌薬療法層のそれぞれ及び地理的地域層のそれぞれについて、早期臨床応答率における観察された相違の両側95% CIを、ITT集団について算出した。主要有効性アウトカムのさらなるサブグループ解析が、記述的解析として実施された可能性がある。
【0406】
以下の2つの表に、それぞれ、ITT集団及びCE-PTE集団におけるPORTリスククラスによる治験責任医師評価に基づくPTE訪問での全体的な臨床応答がまとめられている。
【0407】
【0408】
化合物1及びモキシフロキサシン両方の、実際のPORTリスククラスIII/IV対象に限定されたITT集団の治験責任医師評価に基づくPTE訪問時の全体的な臨床応答率が、
図3に表されている。左のバーの対を参照のこと。データは、全体的な臨床応答率における観察された3.3%の相違は、97.5% CI(信頼区間)で-2.7%から9.3%の間の統計的非劣性の10%マージン内であることを示す。したがって、共主要有効性ポイントの1つ(EMA承認のための)が満たされている。
【0409】
【0410】
化合物1及びモキシフロキサシン両方の、PORT III/IV CABPを有する患者に限定されたCE-PTE集団の治験責任医師評価に基づくPTE訪問での全体的な臨床応答率はまた、
図3に表されている。右のバーの対を参照のこと。データは、全体的な臨床応答率における観察された2.0%の相違は、97.5% CI(信頼区間)での-3.2%から7.4%の間の非劣性の10%マージン内であることを示す。したがって、別の共主要有効ポイント(EMA承認のための)も満たされている。
【0411】
感受性解析は、無作為化された層に基づいて、対象が実際に属する層に基づいて別個に、主要有効性アウトカムの調整された解析を実施すること並びに未定の応答を有するすべての対象が、臨床的成功と考えられる解析を実施することを含む。
【0412】
d)副次的変数の解析
ITT及びCE集団においてPTEで治験責任医師の評価によって臨床的成功、臨床的失敗及び未定として分類された対象の数及びパーセンテージ(定義によって、未定応答を有する対象は、CE集団から排除された)を、各治療群について算出した。両側未調整95% CIは、Miettinen及びNurminenの方法を使用する臨床的成功率における観察された相違について構築された。ITT及びCE集団におけるPTEでの臨床応答の治験責任医師の評価について、95% CIは、単に説明的なものであって、NIの結論づけはなされなかった。microITT集団について、早期臨床応答の各応答カテゴリー中の各治療群中の対象の数及びパーセンテージを示した。ME集団においてPTE訪問時に治験責任医師によって臨床的成功及び臨床的失敗として分類された対象の数及びパーセンテージを算出した。両側未調整95% CIは、Miettinen及びNurminenの方法を使用する臨床的成功率における観察された相違について構築された。
【0413】
microITT及びME集団における、成功の早期臨床応答を有する対象の数及びパーセンテージ並びに病原体による臨床的成功のPTEでの臨床応答の治験責任医師の評価を提供した。ITT集団における試験物質の第1の用量後15及び30日のすべての原因の死亡率(ACM)をまとめた。この解析について、フォローアップに失敗した対象は、死亡したと考えられた。ACMについて、死亡率における観察された相違の両側未調整95% CIが算出された。
【0414】
e)さらなる有効性変数の解析
主要及び副次的アウトカムの有効性所見を支持するために、さらなる有効性解析を実施した。説明的に、CIを決定したが、NIの結論づけはなされなかった。ITT及びCE集団においてEOTで治験責任医師の評価によって臨床的成功、臨床的失敗及び未定と分類された対象の数及びパーセンテージ(定義によって、未定応答を有する対象は、CE集団から排除された)を算出した。両側未調整95% CIは、Miettinen及びNurminenの方法を使用する臨床的成功率における観察された相違について構築された。試験物質の第1の用量後72~120時間での、バイタルサイン及びCABPと関連する臨床徴候/検査所見の安定を有する対象の数及びパーセンテージは、ITT集団中の治療群によって示された。これらは、体温(発熱又は低体温無し)、SBP(>90mm Hg)、心拍数(<90bpm)、RR(<20呼吸数/分)、PaO2(ABGによる≧60mm Hg又はパルスオキシメトリによる酸素飽和≧90%)、身体検査所見(肺硬化の所見無し)、WBC数(<12,000個細胞/mm3又は≧4,000個細胞/mm3)又は未熟好中球(<15%)を含む。治験を通じて各時点でのCABPの臨床徴候及び症状の評価の要約(対象の数及びパーセンテージ)は、ITT集団中の治療群によって示された。スクリーニング時に存在する徴候及び症状が解決した(CABP前状態へ戻る)対象の数及びパーセンテージも、治験訪問によって提供された。CABPの臨床症状の悪化のない対象、並びにCABPの新規症状のない対象の数及びパーセンテージは、ITT集団における治療群によって提供された。
【0415】
EOT及びPTE訪問時のmicroITT及びME集団について、対象あたりの、及び病原体あたりの微生物学的アウトカムが提供された。例えば、以下の表には、血液検体、呼吸器検体、尿中抗原検査及び/又は血清学から得たベースライン病原体による治験責任医師の評価に基づく、microITT集団におけるPTE訪問時の全体的な臨床的成功がまとめられている。
【0416】
【0417】
化合物1治療群中の10種以上の分離菌を有する選択された病原体について、データが抽出され、
図4に示されている。
【0418】
対象あたりの微生物学的に都合のよいアウトカム率における相違について、両側未調整95% CIを提供した。ITT解析セットにおけるPTEでの早期臨床応答及び臨床応答の治験責任医師の評価の一致解析も提示した。
【0419】
f)安全性アウトカム尺度
安全性変数は、治験の経過の間に得られた、AEの罹患率、バイタルサインの変化、ECGパラメータ及び臨床検査結果を含んでいた。
【0420】
AEとして定義された、すべての治療により発現した有害事象(TEAE)について、試験物質の第1の用量当日の開始日時又は試験物質の第1の用量後の開始日時とともに要約表を提供した。AEは、器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)によって各治療群について各TEAEを有する対象の数及びパーセンテージを提示することによって、まとめた。さらなる表形式化によって、SAE、重度TEAE、試験物質と関連していると判断されたTEAE、試験物質の中断につながるTEAE、試験物質の用量中断につながるTEAE及び特に興味深いTEAEを経験している対象のSOC及びPTによる要約が提供された。
【0421】
以下の表は、安全性集団内の有害事象(AE)の概要を提供する。
【0422】
【0423】
以下の表は、安全性集団内の基本語による選択されたTEAEの要約を提供する。いくつかの例外を有するが、選択されたTEAEは、化合物1治療群において少なくとも約2%の発生率を有する。
【0424】
【0425】
したがって、化合物1を用いる治療と関連している消化管(GI)有害事象(嘔吐、悪心、下痢及び消化不良を含むAE)は軽度であることは明らかである。
【0426】
以下の表には、治療の中断につながった選択されたTEAEがまとめられている。
【0427】
【0428】
以下の変数を、バイタルサインとして記述的に解析した:
・訪問によるスクリーニングからの変化を含むバイタルサイン(収縮期及び拡張期BP、脈拍数、体温、RR)
・訪問による臨床的に著しいバイタルサイン(SAPにおいて指定されたような予め定義された基準を満たす)
【0429】
心電図データ(RR間隔、PR間隔、QRS間隔、補正されたQT間隔[QTc]、QTcバゼット補正式[QTcB]及びQTcフリードライヒ補正式[QTcF])を、予定された各評価で、全体で最も悪いスクリーニング後値について記述的にまとめた。各訪問でスクリーニングからの変化も提供した。最も悪いスクリーニング後値に基づいて異常値解析を実施した。
【0430】
以下の変数を、臨床検査について記述的に解析した:
・訪問による検査室変数
・訪問による検査室変数のスクリーニングからの変化
・訪問による臨床的に著しい検査室値(SAPにおいて指定されたような予め定義された基準を満たす)
【0431】
g)PK
集団PK解析を実施して、PKパラメータを特性決定した。1以上の定量化された化合物1濃度測定を有する対象を含む集団PKデータセットを、用量の日付及び時間並びに血液サンプルから、すべての生化学分析的決定及び対象バックグラウンド情報とともに構築した。血液サンプル又は用量の実際の日付又は時間が失われた場合には、すべての解析からPK濃度の関連生化学分析決定が排除された。定量化限界未満の化合物1濃度は、要約統計量において、及びPKパラメータの算出のために欠測データとして扱った。
【0432】
年齢(歳)、体重(kg)、性別及び人種/民族性を含む変数を、重要であるとこれまでに決定されたその他の共変数とともに、集団PKデータベースに組み込んだ。集団解析データセット中の対象に基づいて、これらの変数のスクリーニング時の記述的要約を報告した。異常値は解析から排除してもよい。これらは、観察された濃度対用量後の時間の散布図によって決定し、報告した。モデルベースの解析に寄与した、対象あたりのサンプル数の分布を表形式化した。また、治験日又は治験週による、サンプルの濃度の簡単な要約記述統計学をコンピューターによって計算した。
【0433】
集団PKモデリングに関して、第1相治験から得た結果は、化合物1 PKは線形であり、iv注入後、血漿中濃度-時間プロフィールは、3コンパートメントの性質を示すということを示した。したがって、おそらくは構造的PKモデルは、iv注入についてゼロ次元入力を有し、po投与について第1次元入力を有する3コンパートメントモデルであろう。このPKモデルは、パラメータクリアランス、分布容積、バイオアベイラビリティ及び吸収速度定数を含有していた。関連集団モデルは、非線形混合効果モデルであった。集団モデルは、個体間の相違及び同一対象に対応する観察にわたる類似性を認識するために、PKパラメータのランダム効果及び共変数を追加した。集団モデリング時に、これまでに報告された構造的PKモデルを第1に考えた。付加誤差及び比例的誤差を組み合わせた残余誤差モデルも考慮した。モデルの診断学が、偽収束を示唆する場合には、単純化(例えば、より少ないランダム誤差又は代替残余誤差モデル)が適当であり得る。モデル診断学の一部としてさらなる共変数をグラフによって調べ(性別、人種/民族性など)、いくつかを最終モデル中に、ほぼ間違いなくとるに足らない効果の推定値を送達する競合モデル中にさらなるものを保持してもよい。観察された濃度対集団によって推定される及び個々に推定される濃度の散布図を、適合度の全体的な品質の全体的な評価の一部として使用した。モデリングの間、FDAによって概説された広い原理に従った。定常状態での個々のモデルベースの曝露尺度(濃度/時間曲線下面積[AUC0-24,ss]、最大血漿中濃度までの時間[Tmax,ss]、最大血漿中濃度[Cmax,ss])をコンピューターによって計算し、まとめた。
【0434】
化合物1曝露と応答(有効性及び安全性)間の関係性を、データについて必要に応じて調べた。集団PKモデルを使用して、個々の対象AUC及び続いて可能性のあるAUC/MIC限界点を算出した。
【0435】
[実施例4]
健常成人対象におけるオマダサイクリン又はプラセボの複数回経口用量の安全性、耐容性及び薬物動態を評価するための第I相無作為化二重盲検3期間クロスオーバー治験
本治験の主な目的は、5日にわたって毎日投与された300-、450-及び600-mg用量の経口オマダサイクリンの薬物動態(PK)を評価し、比較することであった。本治験の副次的目的は、健常成人対象におけるオマダサイクリンの複数回用量の安全性及び耐容性を評価することであった。
【0436】
CABPの治療のために、次いで、予測される治療的一日経口用量(任意の負荷用量を除く)は、300mgであった。潜在的な将来の治験のために、又は経口製剤を使用する付加用量の投与のために、300mgよりも多い一日用量を使用して、目的の臓器/組織において標的細菌を治療するのに十分なオマダサイクリン濃度を達成できることが可能である。1つの初期臨床治験は、最大600mgのオマダサイクリンの単回経口用量を評価したが、300mgよりも多い複数回一日用量を評価した治験はない。この治験は、300mgより多い一日用量でのオマダサイクリンの複数回経口用量の安全性、耐容性及び薬物動態(用量直線性及び比例性)に関するデータを得るように設計された。プラセボ群は、耐容性の評価における潜在的なバイアスを最小化するために参照として含まれた。
【0437】
300、450及び600mgのオマダサイクリン又はプラセボの複数回一日経口用量を、この治験において投与されるように選択した。最低用量の300mgを、複数回用量治験において評価し、十分に耐容され、この一日用量はまた、ABSSSIにおける第3相治験においても研究された。1つの早期臨床治験において、最大600mgの単回経口用量が、カプセル中で健常成人対象に投与され、許容される安全性プロフィールを有すると決定された。400mg以上の経口用量でGI AEの幾分かの頻度上昇があったが、事象は、通常軽度であり(重度はなかった)、これらの事象の一部が経口製剤と関連している可能性があることがあり得る。オマダサイクリンの最終最適化錠剤製剤を使用する最大600mgの複数回一日用量は、許容される安全性プロフィールを有すると予測されたが、これは、より大きな臨床治験においてこれらの用量を評価する前に、小さい注意深く管理された第1相治験において評価するために重要である。
【0438】
したがって、健常成人対象における第1相無作為化二重盲検3期間クロスオーバー治験として治験を設計した。治験は、スクリーニング期間(-21日目から-2日目)、3つのベースライン期間(各期間の-1日目)、3つの治療期間(各期間の1日目から6日目)及び治験完了訪問(期間3中の治験薬の最後の用量後6~10日以内)からなっていた。1つの期間中の最後の用量と、次の期間中の最初の用量の間に少なくとも5日の休薬があった。対象は、期間1の-1日目から、期間3の6日目の、24時間血液サンプリング、尿サンプリング及び安全性評価が完了した後の退院まで治験現場に拘束された。対象は、治験完了訪問のために、期間3中の治験薬の最後の用量後6~10日に治験センターに戻った。
【0439】
対象選択
健常な、非喫煙、男性及び女性対象が、18から55歳(両端を含む)の間の年齢、体重≧50kgであり、18から30kg/m2(両端を含む)の間の肥満度指数を有し、スクリーニングの間(期間1中の投薬前21日以内に実施された)及び期間1のベースラインで(-1日目)すべての適格性基準を満たし、書面でのインフォームドコンセントが提供された場合に、治験における参加に適格であった。健常状態は、スクリーニング時の、過去の病歴、臨床検査、バイタルサイン(経口体温、収縮期血圧、拡張期血圧及び心拍数)、12リード心電図(ECG)及び身体検査によって決定された。適格性基準は、最大4個の錠剤を連続して嚥下する能力を含んでいた。
【0440】
対象は、オマダサイクリンを用いる先行する治療、その他の治験薬の最近の使用、ECG異常、経口薬を耐容できないこと、妊娠又は母乳栄養、タバコ製品の使用、処方薬、ハーブ系サプリメント又は市販の医薬又は治験開始前の指定の時間枠内のキサンチン(例えば、カフェイン)含有食物若しくは飲料の摂取、血液喪失/輸血、低ヘモグロビンレベル、高クレアチニン若しくは血中尿素窒素レベル、尿路閉塞/排尿困難、陽性アルコール又は薬物検査、任意のテトラサイクリンに対する過敏症若しくはアレルギー、肝臓疾患若しくは肝臓傷害の徴候、治験開始の2週間以内の重大な疾病、治験を干渉し得る任意の計画された医学的介入又は治験プロトコールにおいて明記されるような疾患若しくは病状の病歴のために、治験における参加から除外された。
【0441】
研究デザイン
各期間の1日目から5日目に、対象は、無作為化スケジュールに従って、6時間の絶食後、以下の治療のうち一方(オマダサイクリン又はプラセボ)を1日1回受けた:
A.300mgのオマダサイクリン(2×150mg錠剤)
AP.300mgのオマダサイクリンのプラセボ(2×プラセボ錠剤)
B.450mgのオマダサイクリン(3×150mg錠剤)
BP.450mgのオマダサイクリンのプラセボ(3×プラセボ錠剤)
C.600mgのオマダサイクリン(4×150mg錠剤)
CP.600mgのオマダサイクリンのプラセボ(4×プラセボ錠剤)
【0442】
治験薬のすべての用量を、午前中に投与し、投薬前少なくとも6時間は食物又は水以外の飲料をとらなかった。次いで、対象は、投薬後少なくとも2時間は食物又は水以外の飲料をとらず、投薬後4時間は乳製品、制酸薬又はマルチビタミンをとらなかった。
【0443】
投薬前、対象は、期間1中の投薬前21日以内に適格性を決定するためにスクリーニング評価を受けた。次いで、対象は、ベースライン評価のために投薬の前日(期間1の-1日目)に臨床現場に入院した。期間1の1日目に投薬前に、最大30人の対象(24人のオマダサイクリン、6人のプラセボ)を、以下の表中に提示されるようなラテン方格設計を使用して3つの治療シークエンスのうち1つに無作為に割り当てた:
【0444】
【0445】
約10人の対象を、各シークエンスに無作為に割り当てた。プラセボは、耐容性を評価するために参照として各シークエンスにおいて2人の対象に投与した。オマダサイクリンに割り当てられた対象は、3期間すべての間、すべて試験された用量レベルでオマダサイクリンを受けた。プラセボに割り当てられた対象は、3期間すべての間プラセボを受けた。治験責任医師及び対象は、対象が、オマダサイクリンを受けているか、プラセボを受けているかに対して盲検された。
【0446】
治験評価
1.血漿薬物動態
オマダサイクリンの薬物動態(PK)解析のための連続血液サンプルを、各期間の1日目及び5日目の投薬後24時間中の指定の時点で採取した。具体的には、オマダサイクリンのPK評価のための血液サンプルを、以下の時点:各期間中、投薬前(投与前)並びに1日目及び5日目の投薬後0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12、16及び24時間ですべての対象から採取した。各期間について、1日目の24時間血液サンプルは、2日目の投薬の前に採取した。
【0447】
投薬後時間0~24時間の血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC)(AUC0-24)、時間0~最後の定量化可能濃度のAUC(AUClast)、最大の観察された血漿中濃度(Cmax)、最大の観察された血漿中濃度に到達するまでの時間(Tmax)、終末相消失半減期(T1/2)、終末相速度定数(λz)並びにAUC0-24及びCmaxの蓄積係数(Rac)を含む、非コンパートメントPKパラメータを、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara、Princeton、New Jersey)バージョン6.2.1を使用して、血漿オマダサイクリン濃度及び実際の時間データから、各期間の1及び5日目に決定した。
【0448】
オマダサイクリンを受けた、少なくとも1つの評価可能なPKパラメータを有していた対象を、PK解析集団中に含めたが、対象は、用量を欠いていた、下痢があった、又は中央値Tmaxの2倍に等しい時間で、又はその前に嘔吐があった場合にはPK集団から除外されていた場合もある。
【0449】
2.尿薬物動態
尿サンプルを、期間2の5日目並びに期間の1日目及び5日目に指定の間隔:投与前、投薬後0~4、4~8、8~12及び12~24時間で対象のサブセットから採取した。1日目の12~24時間間隔の尿サンプルは、2日目の投薬の前に採取した。治験がすでに進行中であった後に治験プロトコールへの修正によって尿PKの解析を加えたので、尿サンプルは、対象のサブセットからのみ採取した。
【0450】
尿オマダサイクリン濃度及び採取間隔データから、SASバージョン9.2を使用して以下の尿PKパラメータを決定した:腎クリアランス(CLr)、投薬後0~24時間の尿中の未変化で排出された用量の割合(Fe0-24)及び投薬後24時間にわたって尿中の未変化で排出された薬物の量(Aet1-t2)。さらなるパラメータAe0-4、Ae4-8、Ae8-12、Ae12-24及びAe0-24も算出した。
【0451】
3.安全性及び耐容性
安全性評価は、有害事象(AE)のモニタリング、臨床検査結果、バイタルサイン測定、12リード心電図(ECG)結果及び身体検査所見を含む。任意の治験薬(オマダサイクリン又はプラセボ)の少なくとも1用量を受けた、すべての無作為に割り当てられた対象を、安全性解析集団に含めた。有害事象は、MedDRAバージョン17.1を使用して基本語及び器官別大分類によってコード化した。
【0452】
安全性及び耐容性は、AE、臨床検査結果(血液学、血清化学及び尿検査)、バイタルサイン測定(経口体温、収縮期血圧、拡張期血圧及びHR)、12リードECG結果及び身体検査所見をモニタリングすること及び記録することによって評価した。
【0453】
薬物動態研究の統計分析:
個々の血漿及び尿濃度及び時間偏差データを、データリストにおいて提示した。血漿及び尿濃度データは、記述統計学(対象数、平均、SD、変動係数[CV]、中央値、最小及び最大)を使用して、各治療の日及び時点又は間隔によってまとめた。定量化の限界(BLQ)を下回った濃度は、血漿及び尿濃度記述統計学要約においてゼロとして扱った。時間プロフィールに対する平均及び個々の血漿中濃度を、線形及び片対数目盛の両方で図に提示した。
【0454】
非コンパートメントPKパラメータを、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara、Princeton、New Jersey)バージョン6.2.1以上を使用して、血漿中濃度及び実際の時間データから決定した。尿PKパラメータは、SASバージョン9.2以上を使用して、尿濃度及び採取間隔データから決定した。すべてのさらなる統計的解析は、SAS(登録商標)ソフトウェア(SAS Institute、Cary、North Carolina)、バージョン9.2を使用して実施した。
【0455】
PK解析のために、BLQ値をゼロとして扱ったが、2つの定量可能な濃度の間のBLQ値が欠測として設定された例外を有する。欠測濃度は、PKパラメータ算出から欠測として扱った。連続BLQ濃度に、終末相において定量可能な濃度が続く場合には、BLQ濃度後のそれらの濃度を欠測として扱った。
【0456】
個々のPKパラメータを、データリストにおいて提示した。各期間の1日目及び5日目の投薬後のPKパラメータ推定値(例えば、血漿中濃度からのAUC0-24、AUClast、Cmax、Tmax、T1/2及びRac[5日目のみ]、尿濃度からのCLr、Fe0-24及びAe0-24)の記述統計学(対象の数、平均、SD、CV、中央値、最小及び最大)を算出した。AUC0-24、AUClast及びCmaxの幾何平均を含んでいた。
【0457】
効果の推定及び信頼区間(CI)の構築において使用するために、治療(A、B及びC)、シークエンス(1A、2A及び3A)及び固定効果として治療期間及びランダム効果としてシークエンス内に入れ子状態の対象を用いる線形混合効果モデル(SAS PROC MIXED)を、各期間の1日目及び5日目の投薬後に自然対数変換した用量によって正規化されたPKパラメータAUC0-24/用量、AUClast/用量及びCmax/用量にフィッティングした。対数目盛での相違の点推定及び90% CIを指数化して、幾何平均の比及び元の目盛でのそれぞれの90% CIの推定値を得た。多重度について調整は行わなかった。
【0458】
3用量レベルすべてにわたる用量直線性を、1日目及び5日目の両用量後にオマダサイクリンCmax、AUClast及びAUC0-24を、検出力モデル(10):ln(PK)=a+b×ln(用量)+誤差(式中、PKは、PKパラメータであり、aは、切片であり、bは、勾配である)に対してフィッティングすることによって評価した。勾配bの推定値を、対応する両側90% CIとともに報告した。
【0459】
オマダサイクリンの蓄積の統計分析のために、固定効果として日及びランダム効果として対象を用いる線形混合効果モデルを、自然対数変換したCmax及びAUC0-24に対してフィッティングして、1日目と比較した5日目の90% CIを構築した(各用量レベルで別個に)。
【0460】
結果
a.治験対象の人口動態、ベースライン特徴及び性質
本治験に登録された33人の対象のうち、26人をオマダサイクリンを受けるように割り当て、7人をプラセボを受けるように割り当てた。人口動態及びベースライン特徴は、オマダサイクリン及びプラセボ治療群間で(表4-1)及びすべてのオマダサイクリン治療シークエンスにわたって(示されていないデータ)全般的に同様であった。本治験中の対象の大部分は、白人(57.6%)であり、男性(81.8%)であった。対象の全体的な平均年齢は、36.9歳であり、21~55歳の範囲を有していた。
【0461】
【0462】
33人の対象すべてが、少なくとも1用量の治験薬(オマダサイクリン又はプラセボ)を受け、安全性解析集団に含まれた。26人のオマダサイクリン治療を受けた対象のうち25人(96.2%)が、PK解析集団に含まれた(1人の対象は、投薬後の嘔吐のためにこの集団から除外された)。4人のオマダサイクリン治療を受けた対象(15.4%)及び1人のプラセボ治療を受けた対象(14.3%)が、治験を中断した。これらの早期中断は、4人の対象において治療により発現した有害事象(TEAE)によるものであり(以下を参照のこと)、さらに1人のオマダサイクリン治療を受けた対象はフォローアップに失敗した。したがって、期間1、2及び3において、22人の対象が、5用量の300-、450-及び600-mgオマダサイクリンのすべてを受け、6人の対象が、5用量のプラセボのすべてを受けた。これらの対象は、治験を完了したと考えられた。
【0463】
b.血漿薬物動態
各5日の治療期間の1日目及び5日目両方でのすべての試験されたオマダサイクリン用量レベルで、平均血漿オマダサイクリン濃度は、投薬後2.5時間でピークに達し(T
max)、オマダサイクリンは、投薬後最大24時間の間(最後のサンプリング時間)、血漿中で測定可能であった(
図5及び表4-2)。
【0464】
【0465】
オマダサイクリン総曝露(AUC
0-24及びAUC
last)及びピーク濃度(C
max)は、1日目及び5日目の両方で漸増するオマダサイクリン用量(300対450対600mg)につれて増大し、対応する用量について1日目よりも5日目で高かった(
図5及び表4-2)。血漿におけるオマダサイクリンの平均半減期(T
1/2)は、3つの試験した用量レベルにわたって同様であり、1日目で13.03~13.66時間の範囲及び5日目で15.49~16.83時間の範囲であった(表4-2)。全身オマダサイクリン曝露における対象間可変性は低く、3つの試験した用量レベルすべてで同様であり、1日目のC
max、AUC
0-24及びAUC
lastについて23.2%~26.6%及び5日目のC
max、AUC
0-24及びAUC
lastについて25.0%~27.1%の範囲の変動係数(CV)を有していた(表4-2)。
【0466】
オマダサイクリンAUC0-24、AUClast及びCmaxは、漸増するオマダサイクリン用量につれて増大したが、観察された曝露の増大は、解析の両日で用量比例的なものよりも少なかった(表4-2及び4-3)。
【0467】
【0468】
統計解析は、300mgから600mgへの用量の増大によって、1日目でのオマダサイクリン曝露(用量によって正規化されたAUC0-24に基づく)は、曝露が完全に用量比例的であった場合に予測されるものの76%であった(表4-3)、5日では、オマダサイクリン曝露の観察された増大は、予測されたものの88%であった(表4-3)ということを示した。Cmax値の解析は、同様に、そのオマダサイクリン濃度は、この治験では、用量線形であったが、用量比例的よりは少なかったということを実証した(表4-2及び4-3)。
【0469】
統計解析はまた、5連続日間の1日1回の投薬後の血漿中のオマダサイクリンの蓄積を示した。用量に応じて、5日目及び1日目の間の蓄積比は、AUC0-24について1.40~1.62及びCmaxについて1.24~1.35の範囲であった(示されていないデータ)。これらの知見は、血漿におけるオマダサイクリンの長い半減期と一致する。
【0470】
上記のデータは、オマダサイクリンの平均濃度が、すべてのオマダサイクリン投薬レベル(300、450及び600mg)で、2.5時間でピークに達し、最大24時間(最後の試験された時点)測定可能なままであったことを示した。5日目に、300-mgオマダサイクリンを投薬された対象における平均定常状態曝露(AUC0-24)は、9267ng・h/mLであり、これは、300mg経口投薬を用いるこれまでの治験の結果と一致する。AUC0-24及びCmaxの両方とも、漸増する用量につれて増大し、ほぼ用量比例的であったが幾分か少なかった(予測されたものの74%~88%)。これは、投薬の1日目及び5日目の両方での場合であった。オマダサイクリンは、その比較的長い半減期(平均=1日目で約13時間、5日目で約16時間)のために、5連続日の投薬の過程にかけて血漿中に蓄積した。したがって、すべての試験された用量レベルで、5日目での全身曝露は、1日目よりも約50%高かった。この蓄積の程度も、早期薬理学治験においてオマダサイクリンのIV又は経口製剤の複数回の1日1回の投薬後に観察されたものと一致している。
【0471】
全身曝露の点では、この治験は、450-mg投薬の1日目でのオマダサイクリン血漿中濃度は、300-mg投薬の5日目でのものと同様である(それぞれ、平均AUC0-24=8976.5及び9267.2 ng・h/mL)ということを示した。治療投与計画が300mgの一日経口投薬を組み込む適応症について、これらのデータは、450mgの1日1回の初期経口「負荷用量」を1~2日間と、それに続いて300-mgの1日1回経口投薬を使用する戦略を支持する。このような戦略は、第IV相の治療に対する必要性を潜在的に排除する可能性がある。
【0472】
c.尿薬物動態
治験が進行中であった後に、プロトコール修正によって尿サンプル採取及びPK解析を治験に加えたので、制限された数のサンプルを評価した(期間2の5日目で9人の対象から得たサンプル及び期間3の1日目及び5日目で8人の対象から得たサンプル)。このサンプルの大きさは小さすぎたので、オマダサイクリン用量群間で有意義な比較を行うことができなかったが、解析の結果は、部分的なオマダサイクリン腎クリアランス及び尿中排泄の全体的な指標を提供した。
【0473】
すべてのオマダサイクリン用量群について、投薬後0~24時間の尿中の未変化で排出された用量の平均割合(Fe0-24)は、1日目で約5%~約7%及び5日目で約7%~約9%の範囲であった。腎クリアランス(CLr)は、1日目で2.8~4.2L/時間及び5日目で2.4~3.3L/時間の範囲であった(表4-4)。
【0474】
【0475】
対象のサブセットにおける尿PK解析は、オマダサイクリンの部分的な腎クリアランス及び尿中排泄の予備的な指標を提供した。5日目に、用量レベルに応じて、投与された経口用量の約7%~約9%が、24時間かけて尿中で未変化で排出された。本治験において使用された錠剤製剤の絶対バイオアベイラビリティが35%であることがわかっているので、これは、吸収された用量のおよそ20%~25%を表す。尿中の未変化のオマダサイクリンの存在は、それが尿路感染症、現在調査されている適応症において有用であり得ることを示唆する。
【0476】
d.安全性及び耐容性
全体的に、安全性集団中の33人の対象のうち12人が、治験の間に合計36のTEAEを報告した(表4-5)。
【0477】
【0478】
TEAEが、オマダサイクリンを受けた対象の38.5%及びプラセボを受けた対象の28.6%によって報告された。最高パーセンテージのTEAEは、消化管(GI)障害として分類された。最も頻繁に報告されたTEAEは、オマダサイクリン300及び450mg用量群の≦7.7%及び600mg群の16.7%において生じた悪心であった。本治験において報告されたTEAEのすべては、軽度又は中程度のいずれかの重症度であった。重篤なTEAE(SAE)は、治験の間に報告されなかった。3つのオマダサイクリン用量レベルのそれぞれで1人の対象及びプラセボ群における1人の対象を含む4人の対象が、治験中断につながるTEAEを経験した。
【0479】
バイタルサイン測定、身体検査、ECG結果、血液学又は尿検査パラメータの解析において臨床上重要な所見はなかった。血清化学解析は、ベースライン及び各投薬期間の5日目の間で、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度の中央値変化は、それぞれ、300、450及び600mgのオマダサイクリンを用いて投薬された対象において、-2.0、5.0及び19.5IU/Lであったことを示した。プラセボ群における対応する変化は、-5.0~-1.0IU/Lの範囲であった。中央値アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、ビリルビン又はその他の血清化学パラメータにおいて実質的な変化は記載されなかった。最高の個々のALT値は、150IU/Lであり(正常の上限[ULN]を2.7倍上回る)、これは、最初に期間1において450mgオマダサイクリン、次いで、期間2において300mgを受け、次いで、肝臓酵素変化によって中断した対象において生じ、この対象のビリルビン値は、評価されたすべての時点で正常範囲内にとどまった。
【0480】
血漿PK所見は、より高い全身薬物曝露は、1日1回の経口投薬の間は、用量あたりの投与されたオマダサイクリンの増大する量によって達成され得るが、曝露利益は、用量比例的ではないことを示す。さらに、特定の点を超える、漸増するオマダサイクリン投薬は、安全性及び耐容性の点では有害作用を有するとわかる。300、450及び600mgの複数回用量は、この治験においてすべて全般的に十分に耐容されたが(すべてのTEAEは、軽度又は中程度のいずれかの重症度であった)、用量間で幾分かの相違があった。治療と関連するTEAEの頻度は、300から450mgへのオマダサイクリン用量の増大につれて増大しなかった(15.4%対8.3%)が、600mgを用いた場合は、このような事象はより頻繁であった(25.0%)。TEAEの最も頻繁なクラス、GI障害内で、悪心が、600mg用量レベルについて、より低い用量についてよりも少なくとも9%高い罹患率で生じ、600mgを用いた場合の下痢の2つの報告のみが生じた。さらに、血清化学解析は、中央値ALT濃度において小さいが著しい用量依存性増大を示した。個々のALT値は、ULNを3倍を超えて上回らなかったが、600mgでのより高い中央値ALTは、この用量を用いた場合の、より大幅に上昇した血清トランスアミナーゼレベルの変化の増大を示唆する。これらの知見に基づいて、300mgを上回る経口用量が有益であり得る状況については、好都合な安全性及び耐容性とともに、より高いオマダサイクリン曝露を提供する可能性が最も高い経口用量として、450mgが同定された。
【0481】
要約すると、この第1相治験は、300mgより高い複数回経口オマダサイクリン用量の薬物動態(PK)及び安全性/耐容性を調査した。3期間クロスオーバー設計を使用して、健常成人を、オマダサイクリン(可変シークエンスにおいて300-、450-及び600-mg、n=26)又はプラセボ(n=7)を、1期間あたり1日1回で5連続日間受けるように無作為化した。血漿において、オマダサイクリン最大濃度及び総曝露は、漸増する用量につれて増大したが、用量比例的よりも少なかった(予測されるものの74%~88%)。オマダサイクリン血漿蓄積の動態学は、用量レベル間で同様であり;5日目での曝露は、1日目のものよりも約50%高かった。450mgの投薬の1日目でのオマダサイクリン血漿中濃度は、300mg投薬の5日目のものと同様であった。尿PK解析は、未変化のオマダサイクリンの部分的な腎クリアランス及び尿中排泄を示した。すべての用量が、全般的に十分に耐容された。これらの結果は、経口のみの投与計画の一部としての1日1回の450-mgの経口オマダサイクリンの使用、例えば、1日1回の300-mg経口オマダサイクリンへ低下する前の負荷用量として、又は治療を通じて1日1回の450-mgの経口オマダサイクリンを使用する投与計画において、1日1回の450-mg経口オマダサイクリン(1又は2用量)を使用することを支持する。
要約すると、この第1相治験は、300mgより高い複数回経口オマダサイクリン用量の薬物動態(PK)及び安全性/耐容性を調査した。3期間クロスオーバー設計を使用して、健常成人を、オマダサイクリン(可変シークエンスにおいて300-、450-及び600-mg、n=26)又はプラセボ(n=7)を、1期間あたり1日1回で5連続日間受けるように無作為化した。血漿において、オマダサイクリン最大濃度及び総曝露は、漸増する用量につれて増大したが、用量比例的よりも少なかった(予測されるものの74%~88%)。オマダサイクリン血漿蓄積の動態学は、用量レベル間で同様であり;5日目での曝露は、1日目のものよりも約50%高かった。450mgの投薬の1日目でのオマダサイクリン血漿中濃度は、300mg投薬の5日目のものと同様であった。尿PK解析は、未変化のオマダサイクリンの部分的な腎クリアランス及び尿中排泄を示した。すべての用量が、全般的に十分に耐容された。これらの結果は、経口のみの投与計画の一部としての1日1回の450-mgの経口オマダサイクリンの使用、例えば、1日1回の300-mg経口オマダサイクリンへ低下する前の負荷用量として、又は治療を通じて1日1回の450-mgの経口オマダサイクリンを使用する投与計画において、1日1回の450-mg経口オマダサイクリン(1又は2用量)を使用することを支持する。
(付記)
(付記1)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、
(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記2)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)任意選択で、午前中、直前の静脈内用量の12~24時間後に投与される約300mgの1回の経口用量、それに続く、
(4)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記3)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記4)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)任意選択で、それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量、それに続く、
(3)それぞれ直前の用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記5)
ステップ(2)が、約100mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の1回の静脈内用量からなる、付記3又は4に記載の方法。
(付記6)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約100mgの3回の静脈内用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の静脈内用量の24時間後に投与される各約100mgの1回以上の静脈内用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記7)
ステップが、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日又は20日以内に完了する、付記1~6のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
ステップが、7~14日以内に完了する、付記1~6のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
ステップが、7~10日以内に完了する、付記8に記載の方法。
(付記10)
ステップが、11~14日以内に完了する、付記8に記載の方法。
(付記11)
ステップが、10日以内に完了する、付記8に記載の方法。
(付記12)
IV投薬の日数が、3~10日である、付記1~11のいずれか一項に記載の方法。
(付記13)
IV投薬の日数が、3~6日である、付記12に記載の方法。
(付記14)
IV投薬の日数が、7~10日である、付記12に記載の方法。
(付記15)
IV投薬の日数が、5日である、付記12に記載の方法。
(付記16)
1回以上の経口用量を含み、IV投薬の日数が、4~7日である、付記1~15のいずれか一項に記載の方法。
(付記17)
IV投薬の日数が、4~5日である、付記16に記載の方法。
(付記18)
IV投薬の日数が、6~7日である、付記16に記載の方法。
(付記19)
IV投薬の日数が、5日である、付記16に記載の方法。
(付記20)
経口投薬の日数が、1~7日である、付記16~19のいずれか一項に記載の方法。
(付記21)
経口投薬の日数が、1~4日である、付記20に記載の方法。
(付記22)
経口投薬の日数が、5~7日である、付記20に記載の方法。
(付記23)
経口投薬の日数が、5日である、付記20に記載の方法。
(付記24)
IV投薬の日数が、5日であり、経口投薬の日数が、5日である、付記16に記載の方法。
(付記25)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)12時間あけて投与される各約300~450mgの3回の経口用量、それに続く、
(2)任意選択で、それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記26)
各経口用量が約300mgである、付記25に記載の方法。
(付記27)
各経口用量が約450mgである、付記25に記載の方法。
(付記28)
ステップ(1)における各経口用量が、約300mgである、付記25に記載の方法。
(付記29)
ステップ(1)における各経口用量が、約450mgである、付記25に記載の方法。
(付記30)
ステップ(2)における各経口用量が、約300mgである、付記25、28又は29に記載の方法。
(付記31)
ステップ(2)における各経口用量が、約450mgである、付記25、28又は29に記載の方法。
(付記32)
ステップ(2)における各経口用量が、約600mgである、付記25、28又は29に記載の方法。
(付記33)
ステップ(1)の最初の2回の経口用量が、各300mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量が、約300、450又は600mgである、付記25に記載の方法。
(付記34)
ステップ(1)の最初の2回の経口用量が、各450mgであり、ステップ(1)の最後の経口用量が、約300、450又は600mgである、付記25に記載の方法。
(付記35)
その治療を必要とする対象において市中感染型細菌性肺炎(CABP)を治療する方法であって、前記対象に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を、前記対象が治療されるように、以下の投与計画:
(1)約450~600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く、
(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300~600mgの1回以上の経口用量
に従って投与することを含む、方法。
(付記36)
前記投与計画が、
(1)約450又は600mgの1日1回又は2回の経口用量(1日2回の経口用量について24時間あけて投与される)、それに続く、
(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
である、付記35に記載の方法。
(付記37)
前記投与計画が、
(1)24時間あけて投与される約450mgの1日2回の経口用量、それに続く、
(2)それぞれ直前の経口用量の24時間後に投与される各約300mgの1回以上の経口用量
である、付記35に記載の方法。
(付記38)
ステップが、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日又は21日以内に完了する、付記25~37のいずれか一項に記載の方法。
(付記39)
ステップが、7~14日以内、7~10日以内、11~14日以内又は10日以内に完了する、付記25~37のいずれか一項に記載の方法。
(付記40)
前記CABPが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)を含む肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)、大腸菌又はそれらの組合せによって引き起こされる、付記1~39のいずれか一項に記載の方法。
(付記41)
前記肺炎連鎖球菌が、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(PRSP)、マクロライド耐性肺炎連鎖球菌、セファロスポリン耐性肺炎連鎖球菌又は多剤耐性肺炎連鎖球菌(MDRSP)である、付記40に記載の方法。
(付記42)
前記CABPが、細胞内病原体、例えばレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)又はそれらの組合せによって引き起こされる、付記1~39のいずれか一項に記載の方法。
(付記43)
前記CABPが、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)によって引き起こされる、付記1~39のいずれか一項に記載の方法。
(付記44)
前記対象がヒトである、付記1~43のいずれか一項に記載の方法。
(付記45)
前記経口用量のそれぞれが、2個の150mg錠として独立に投与される、付記1~44のいずれか一項に記載の方法。
(付記46)
前記静脈内用量のそれぞれが、約30分(例えば、少なくとも30分及び45分以下)にわたって連続的に投与される、付記1~45のいずれか一項に記載の方法。
(付記47)
前記投与計画が、3日以上の間24時間毎に1回の400mgの静脈内用量、それに続く、24時間毎に1回の400mg経口用量のモキシフロキサシンの1回以上の用量として投与されるモキシフロキサシンと比較して非劣性の10%(又は12.5%)マージン内である臨床的成功率を有する、付記1~46のいずれか一項に記載の方法。
(付記48)
前記対象が、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、ここで、前記症状は、無し、軽度、中程度及び重度の4段階評価で評価され、改善は、ベースラインから前記3日目~5日目での評価への、少なくとも1段階の改善である(例えば、重度から中程度、中程度から無し、又は軽度から無し)、付記1~47のいずれか一項に記載の方法。
(付記49)
前記対象が、ステップ(1)後3日目~5日目に、胸痛、咳の頻度又は重症度、喀痰の量及び呼吸困難から選択される少なくとも2つの症状において改善を経験し、それらから選択される症状のいずれにおいても悪化がなく、体温、血圧、心拍数及び呼吸数から選択される少なくとも1つのバイタルサインの改善を経験する、付記1~47のいずれか一項に記載の方法。
(付記50)
対象が、ステップ(3)投薬(存在するとすれば)の直前に、一晩絶食し、少なくとも6時間食物又は水以外の飲料をとらず、対象が、ステップ(3)投薬後も絶食を継続し、2時間食物をとらず、4時間乳製品をとらない、付記1~49のいずれか一項に記載の方法。
(付記51)
前記塩が、トシレート塩である、付記1~50のいずれか一項に記載の方法。
(付記52)
約70%~100%の臨床的成功率を有する、付記1~51のいずれか一項に記載の方法。
(付記53)
前記臨床的成功率が、約75~95%、約80~95%、約75~90%、約80~90%、約75~85%、約80~85%、約85~90%、約90~95%、約80~82%又は約81%である、付記52に記載の方法。
(付記54)
前記臨床的成功率が、第1の静脈内用量の投与後約72~120時間で観察される約75~85%である、付記53に記載の方法。
(付記55)
前記臨床的成功率が、約80~82%又は80%又は81%である、付記54に記載の方法。
(付記56)
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される(例えば、臨床的に評価可能な集団又はCE-PTEにおける、又はITT集団における治療後評価の時間に相当する)、付記53に記載の方法。
(付記57)
前記臨床的成功率が、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%又は97%である、付記56に記載の方法。
(付記58)
前記対象が、PORTリスククラスIIとして分類されるCABPを有する、付記1~57のいずれか一項に記載の方法。
(付記59)
約70~100%、約75~96%、約75~90%、約80~83%、約82%、約80~96%、約90~96%又は約95%の臨床的成功率を有する、付記58に記載の方法。
(付記60)
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約75~85%又は約90~100%である、付記59に記載の方法。
(付記61)
前記臨床的成功率が、約82%又は約95%である、付記60に記載の方法。
(付記62)
前記対象が、PORTリスククラスIIIとして分類されるCABPを有する、付記1~57のいずれか一項に記載の方法。
(付記63)
約80~100%、約85~95%、約90~95%、約90~91%又は約93~94%の臨床的成功率を有する、付記62に記載の方法。
(付記64)
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~100%である、付記63に記載の方法。
(付記65)
前記臨床的成功率が、約90~91%又は約93~94%である、付記64に記載の方法。
(付記66)
前記対象が、PORTリスククラスIVとして分類されるCABPを有する、付記1~57のいずれか一項に記載の方法。
(付記67)
約70~100%、約75~95%、約80~95%、約83~85%又は約90~91%の臨床的成功率を有する、付記66に記載の方法。
(付記68)
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約80~95%である、付記67に記載の方法。
(付記69)
前記臨床的成功率が、約83~85%又は約90~91%である、付記68に記載の方法。
(付記70)
前記対象が、PORTリスククラスIII又はIVとして分類されるCABPを有する、付記1~57のいずれか一項に記載の方法。
(付記71)
約75~100%、約85~95%、約85~90%、約88~89%、約90~95%又は約92~93%の臨床的成功率を有する、付記70に記載の方法。
(付記72)
前記臨床的成功率が、治療の最後の用量後、約5~10日で観察される約85~95%である、付記71に記載の方法。
(付記73)
前記臨床的成功率が、約88~89%又は約92~93%である、付記72に記載の方法。
(付記74)
前記対象の治療と関連する消化管(GI)有害事象(AE)が、軽度である、付記1~73のいずれか一項に記載の方法。
(付記75)
前記対象の治療と関連するGI有害事象(AE)が、前記方法を用いる療法の中断をもたらさない、付記1~73のいずれか一項に記載の方法。
(付記76)
前記対象の治療が、(1)前記対象におけるC.ディフィシル(例えば、C.ディフィシル大腸炎(C. difficile colitis)及び偽膜性大腸炎(Pseudomembranous colitis))感染のリスクの増大をもたらさない、又は(2)前記対象において腸マイクロバイオームを実質的に破壊しない、付記1~75のいずれか一項に記載の方法。
(付記77)
前記対象が、C.ディフィシル感染症を発生するリスクがある、又は素因を有している、付記76に記載の方法。
(付記78)
前記対象が、最近、1種以上の抗生物質(例えば、広域性抗生物質)を用いて治療されている、消化管の手術を受けている、結腸の疾患(例えば、炎症性腸疾患又は結腸直腸がん)を有する、腎臓疾患を有する、免疫系が弱まっている、化学療法中である、これまでにC.ディフィシル感染症を有している、65歳以上である、プロトンポンプ阻害剤を服用している、又は前記対象をC.ディフィシル感染症を発生しやすくする環境(例えば、病院、ナーシングホーム又は介護付き住宅)に住んでいる、付記77に記載の方法。