(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058554
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、並びに新生児スクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20230418BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230418BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230418BHJP
A61B 5/12 20060101ALI20230418BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G01N35/00 A
G01N35/08 A
G01N37/00 101
A61B5/12
A61B5/1455
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023015141
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2018555641の分割
【原出願日】2017-05-01
(31)【優先権主張番号】62/329,591
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518371445
【氏名又は名称】バービーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAEBIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ヴァムシー パムラ
(72)【発明者】
【氏名】ビジェイ スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】ドノヴァン ボー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単一の乾燥血液スポット(DBS)標本分析、聴性脳幹反応、パルスオキシメトリによる新生児スクリーニングを実施するためのポイント・オブ・バースシステムを提供する。
【解決手段】新生児スクリーニングを実施するための生化学カートリッジを受け取って処理するためのポイント・オブ・バース器具105を含むポイント・オブ・バースシステム100が提供され、スマートフォンまたはタブレットのような携帯型スマートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器具105と通信しており、新生児スクリーニング(NBS)モバイルアプリ192を含む。一例ではポイント・オブ・バースシステム100は新生児の生物学的スクリーニングのみを支持するが、別の例では新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニングの両方を支持する。
【選択図】
図59
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生児スクリーニングのためのポイント・オブ・バース検査システムであって、
新生児のサンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、
前記ポイント・オブ・バース器具に通信可能に結合されて、ユーザインタフェースを提
供し、前記ポイント・オブ・バース器具を操作するスマートディスプレイと、
処理すべきサンプル流体を受け入れるための生化学カートリッジと、
を含み、前記生化学カートリッジは、前記サンプル流体を処理するために前記ポイント・
オブ・バース器具に挿入され、前記スマートディスプレイにより処理されたサンプル流体
の結果を伝達する、ポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項2】
前記生化学カートリッジは使い捨て可能である、請求項1に記載のポイント・オブ・バ
ース検査システム。
【請求項3】
前記ポイント・オブ・バース器具は携帯可能である、請求項1に記載のポイント・オブ
・バース検査システム。
【請求項4】
前記スマートディスプレイは、携帯型スマートデバイスまたはラップトップコンピュー
タである、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項5】
前記システムは、新生児の生物学的スクリーニングのみを支持する、請求項1に記載の
ポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項6】
前記システムは、新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニ
ングを支持する、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項7】
前記システムは、更に、パルスオキシメトリ機構を含む、請求項6に記載のポイント・
オブ・バース検査システム。
【請求項8】
前記システムは、更に、聴覚スクリーニング機構を含む、請求項6または7に記載のポ
イント・オブ・バース検査システム。
【請求項9】
前記システムは、多重化試験を支持する、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検
査システム。
【請求項10】
前記システムは、前記生化学カートリッジ上の単一のサンプル流体で複数の検体を検査
することができる、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項11】
前記ポイント・オブ・バース器具は、複数のタイプの生化学検査を実施する、請求項1
に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項12】
前記複数のタイプの生化学検査に、酵素試験、比色試験、イムノアッセイ試験および/
または核酸試験を含む、請求項11に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項13】
前記システムは、生物学的マーカーのスクリーニングを実施する、請求項1に記載のポ
イント・オブ・バース検査システム。
【請求項14】
前記生物学的マーカーに、総ビリルビン、アンモニア、および/または中鎖アシル-C
oAデヒドロゲナーゼを含む、請求項13に記載のポイント・オブ・バース検査システム
。
【請求項15】
前記スマートディスプレイは、ユーザとインタフェースし、前記ポイント・オブ・バー
ス器具を操作するための新生児スクリーニングモバイルアプリケーションを含む、請求項
1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項16】
前記スマートディスプレイは、前記ポイント・オブ・バース器具に組み込まれたディス
プレイである、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項17】
前記生化学的カートリッジは、傾斜した液体を保持するための水平リザーバモジュール
を含む、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項18】
前記生化学カートリッジは、前記生化学カートリッジが前記ポイント・オブ・バース器
具に挿入されたときに、前記ポイント・オブ・バース器具の光学検出器に一致する光学イ
ンタフェース領域を含む、請求項1に記載のポイント・オブ・バース検査システム。
【請求項19】
サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具であって、
ハウジングと、
サンプル流体を有する生化学カートリッジを受け取るためのローディングデッキと、
ユーザとインタフェースするスマートディスプレイと、
入力リーダーと、
検査アッセイのためのプロセッサを含む生化学検査モジュールと、
を含み、前記スマートディスプレイは、検査アッセイからの結果を提供する、ポイント・
オブ・バース器具。
【請求項20】
前記ハウジングは、ベースプレートと、前記ベースプレート上に取り付けられた第1お
よび第2サイドレールと、前記サイドレールの間に配置され、前記ポイント・オブ・バー
ス器具の操作を制御する回路基板と、前記サイドレールの間に配置されるカムと、カート
リッジ係合ステッパモータと、カムベルトおよびプーリアセンブリと、前記生化学カート
リッジのサンプル流体の分配を作動させるためのモータアセンブリとを含む、請求項19
に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項21】
前記モータアセンブリは、更に、ステッパモータ支持体上のステッパモータと、バネ付
勢アダプタと、モータシャフトと、モータ係合部材とを含む、請求項20に記載のポイン
ト・オブ・バース器具。
【請求項22】
前記ハウジングは、電力入力ポートと、電源取り付けプレート上に配置された電源アセ
ンブリとを備える、請求項19に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項23】
蛍光計および/または光学分光計を更に備える、請求項19に記載のポイント・オブ・
バース器具。
【請求項24】
前記スマートディスプレイはスマートデバイスであり、前記ポイント・オブ・バース器
具は、更に、前記スマートデバイスに電気的に接続するドッキングステーションを備える
、請求項19に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項25】
前記スマートディスプレイはスマートデバイスであり、前記ポイント・オブ・バース器
具は前記スマートデバイスと無線通信する、請求項19に記載のポイント・オブ・バース
器具。
【請求項26】
前記スマートディスプレイは、ユーザとインタフェースして、ユーザが関係者に結果を
伝達し、追跡情報を提供し、前記器具を使用するためのトレーニングを提供し、臨床計算
を実行し、および/または疾患の疫学的追跡を行うことができるソフトウェアアプリケー
ションを含む、請求項19に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項27】
前記入力リーダーはバーコードリーダーである、請求項19に記載のポイント・オブ・
バース器具。
【請求項28】
前記入力リーダーにより、新生児識別情報をスキャンする、請求項19に記載のポイン
ト・オブ・バース器具。
【請求項29】
光学検出器を更に備える、請求項19に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項30】
前記器具は携帯可能である、請求項19に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項31】
前記器具は、更に、パルスオキシメトリモジュールを備える、請求項19に記載のポイ
ント・オブ・バース器具。
【請求項32】
前記器具は、更に、聴覚スクリーニングモジュールを備える、請求項19に記載のポイ
ント・オブ・バース器具。
【請求項33】
新生児スクリーニングのための生化学カートリッジであって、
底部基板と、
間隙によって前記底部基板から離間された上部基板と、
前記上部基板に隣接して配置されたカバーと、
ローディングポートと、前記ローディングポートを開閉するためのウェルキャップアセ
ンブリとを有するサンプル入力ウェルと、
を含み、前記サンプル入力ウェルは、新生児の検査流体を収集するためのものであり、前
記生化学カートリッジは、検査のために新生児スクリーニング器具に挿入するためのもの
である、生化学カートリッジ。
【請求項34】
前記サンプル入力ウェルは前記カバー内に一体化されている、請求項33に記載の生化
学カートリッジ。
【請求項35】
前記カバーは起伏領域を含む、請求項33に記載の生化学カートリッジ。
【請求項36】
前記間隙はアッセイチャンバである、請求項33に記載の生化学カートリッジ。
【請求項37】
前記サンプル入力ウェルは水平リザーバモジュールであり、前記生化学カートリッジは
、更に、カバーガスケットと、水平リザーバモジュール取り付けプレートと、前記水平リ
ザーバモジュールを保持するための取り付けポストとを含む、請求項33に記載の生化学
カートリッジ。
【請求項38】
前記ウェルキャップアセンブリは、前記水平リザーバモジュールの内部に流体を封入す
るためのホイルストリップを備え、前記生化学カートリッジは、更に、前記ホイルストリ
ップを前記水平リザーバモジュールから巻き取るための巻き取りリールと、前記上部基板
に固定されたリール係合特徴部と、リザーバモジュール捕捉特徴部とを含む、請求項37
に記載の生化学カートリッジ。
【請求項39】
前記水平リザーバモジュールは、第1サンプル流体を保持するための第1リザーバと、
第2サンプル流体を保持するための第2リザーバとを含む、請求項37に記載の生化学カ
ートリッジ。
【請求項40】
前記リザーバは傾斜している、請求項39に記載の生化学カートリッジ。
【請求項41】
前記リザーバは13~17°の角度である、請求項40に記載の生化学カートリッジ。
【請求項42】
前記カートリッジは、デジタルマイクロフルイディクスを支持する、請求項33に記載
の生化学カートリッジ。
【請求項43】
前記カートリッジは、デジタルマイクロフルイディクスを支持しない、請求項33に記
載の生化学カートリッジ。
【請求項44】
前記新生児検査流体は尿および/または血液である、請求項33に記載の生化学カート
リッジ。
【請求項45】
前記底部基板は、プリント回路基板である、請求項33に記載の生化学カートリッジ。
【請求項46】
前記底部基板と前記上部基板との間の隙間は、充填剤流体を含む、請求項33に記載の
生化学カートリッジ。
【請求項47】
新生児スクリーニングのための方法であって、
サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、
前記ポイント・オブ・バース器具とインタフェースするスマートディスプレイと、
処理のためにサンプル流体を受け取るリザーバを有する生化学カートリッジと、
を含むポイント・オブ・バース検査システムを提供するステップと、
前記検査システムに識別情報を提供するステップと、
サンプル流体を前記生化学カートリッジのリザーバに装填するステップと、
サンプル流体を充填した後に前記生化学カートリッジのリザーバを封止するステップと
、
前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具にローディングするステッ
プと、
処理するために、サンプル流体を前記生化学的カートリッジのアッセイに放出するステ
ップと、
前記ポイント・オブ・バース器具によってサンプル流体を処理するステップと、
処理されたサンプル流体の結果を取得するためにスマートディスプレイとインタフェー
スするステップと、
前記結果を伝達するステップと、
を含む、新生児スクリーニングのための方法。
【請求項48】
更に、サンプル流体を充填した後に、前記生化学カートリッジのリザーバを封止するた
めのホイルストリップを提供するステップと、前記生化学カートリッジ上に前記ホイルス
トリップの一部を固定するホイル巻き取りリールを提供するステップと、前記ホイル巻き
取りリールと係合するステッパモータを提供するステップと、前記生化学カートリッジを
前記ポイント・オブ・バース器具にローディングした後に、前記ステッパモータを作動さ
せるステップと、前記ステッパモータを作動させて、サンプル流体を放出可能にした後に
、前記リザーバから前記ホイルストリップを開封するステップと、を含む、請求項47に
記載の新生児スクリーニングのための方法。
【請求項49】
前記生化学的カートリッジのリザーバは、第1リザーバおよび第2リザーバを含む、請
求項47に記載の新生児スクリーニングのための方法。
【請求項50】
更に、両方のリザーバに第1および第2の各サンプル流体を装填した後に、前記生化学
カートリッジの第1および第2リザーバを封止するためのホイルストリップを提供するス
テップと、前記生化学カートリッジ上に前記ホイルストリップの一部を固定するホイル巻
き取りリールを提供するステップと、前記ホイル巻き取りリールと係合するステッパモー
タを提供するステップと、前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース器具に
ローディングした後に、前記ステッパモータを作動させるステップと、前記ステッパモー
タを起動させて、第1サンプル流体を前記第1リザーバに放出可能とした後に、前記ホイ
ルストリップを前記第1リザーバから開封するステップと、前記第1リザーバが開封され
て、前記第2サンプル流体を前記第2リザーバに放出可能とした後に、前記ホイルストリ
ップを前記第2リザーバから開封するステップと、を含む、請求項49に記載の新生児ス
クリーニングのための方法。
【請求項51】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法であって
、
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングソフトウェアアプリケーションを有し、
サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具と、処理するために前記サン
プル流体を受け入れるための生化学カートリッジとを含む、ポイント・オブ・バース検査
システムと通信しているスマートディスプレイを提供するステップと、
前記スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションにログインするステップと
、
オープンオーダーを選択することによって前記スマートディスプレイとインタフェース
するステップと、
前記生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップと、
サンプル流体を含む前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース検査器具に
挿入するステップと、
前記スマートディスプレイとインタフェースして、前記生化学カートリッジの処理を初
期化するステップと、
前記生化学カートリッジを処理するのに適切な流体サンプルを確認するステップと、
前記サンプル流体を前記ポイント・オブ・バース検査器具によって処理するステップと
、
前記スマートディスプレイを監視して、前記サンプル流体の処理状況を判定するステッ
プと、
処理された前記サンプル流体の検査結果を閲覧するステップと、
を含む、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項52】
前記スマートディスプレイにログインするステップは、ユーザIDおよびパスワードを
手動で入力することによって、および/またはバーコードリーダーを使用して、資格情報
をスキャンすることによって実施される、請求項51に記載のポイント・オブ・バース新
生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項53】
前記サンプル流体識別子はバーコードリーダーである、請求項51に記載のポイント・
オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項54】
更に、サンプル流体識別情報を入力して、前記スマートディスプレイの前記ソフトウェ
アアプリケーションにおいてオープンオーダーを作成するステップを含む、請求項51に
記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項55】
更に、前記生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップ
を含む、請求項51に記載のポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使
用するための方法。
【請求項56】
前記生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップは、前
記生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップの後であって、か
つ、サンプル流体を含む前記生化学カートリッジを前記ポイント・オブ・バース検査器具
に挿入するステップの前に実施される、請求項55に記載のポイント・オブ・バース新生
児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項57】
新生児からサンプル流体を収集するステップは、前記生化学カートリッジ内の入力ウェ
ルのカバーを除去するステップと、一定量のサンプル流体を挿入するステップと、前記入
力ウェルを封止するステップと、を含む、請求項55に記載のポイント・オブ・バース新
生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項58】
更に、前記検査結果を分配するステップを含む、請求項51に記載のポイント・オブ・
バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【請求項59】
更に、前記スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションとインタフェースし
て、以前に実施した検査結果を再検討するステップを含む、請求項51に記載のポイント
・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法。
【発明の詳細な説明】
【関連技術の相互参照】
【0001】
本開示の主題は、2016年4月29日に出願された「Point-of-Birth
Instrument」と題する米国特許仮出願第62/329591号に関するもの
であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の主題は、一般的に生物学的材料の処理に関しており、より具体的には、ポイン
ト・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、並びに新生児スクリーニン
グ方法に関する。
【背景技術】
【0003】
新生児スクリーニング(NBS)は、出生直後に治療されることが最良である遺伝性代
謝障害であるフェニルケトン尿症をスクリーニングするための公衆衛生対策として米国で
導入され、その後、世界的に拡大し、より多くの治療可能な状態を含むようになった。N
BSの分野は、単一の乾燥血液スポット(DBS)標本から30を超える状態をスクリー
ニングするためのマルチプレックス技術として、質量分析法の導入により多大な利益を得
てきた。しかしながら、高スループット・アプリケーションのための典型的な公衆衛生研
究所で使用される質量分析法および他の技術は、多量の液体ハンドリングおよび専門技術
者を必要とする。更に、新生児スクリーニングのための伝統的なパラダイムは、DBS標
本の分析によるが、このDBS標本は、公衆衛生または参照実験室に送付され、数日間の
処理時間を要する故、一部の致命的な疾病の診断に遅れが生じる結果となる。特定の状況
では、壊滅的であり、多くの場合、不可逆的な健康影響が生じる前に、出生から数時間以
内に直ちに診断および治療の開始を必要とする。これらの障害のうちの一部は、高ビリル
ビン血症、ガラクトース血症、中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症、高アン
モニア血症、先天性甲状腺機能低下症(CH)、および先天性副腎過形成症(CAH)を
含む。
【0004】
聴覚障害のためのスクリーニングは、出生時に聴性脳幹反応を用いて行われ、かつ先天
性心不全をスクリーニングするためにパルスオキシメトリが行われるが、現時点では生化
学スクリーニングに利用可能なポイント・オブ・バース新生児検査パネルは1つもない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポイント・オブ・バース検査システム、ポイント・オブ・バース器具、およ
び生物学的カートリッジに関する。本発明は、更に、新生児スクリーニングの方法および
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムの使用方法に関する。
【0006】
本発明の一態様では、新生児スクリーニングのためのポイント・オブ・バース検査シス
テムが開示される。ポイント・オブ・バース検査システムは、新生児のサンプル流体を処
理するためのポイント・オブ・バース器具と、ポイント・オブ・バース器具に通信可能に
結合されてユーザインタフェースを提供し、ポイント・オブ・バース器具を操作するスマ
ートディスプレイと、処理すべきサンプル流体を受け取るための生化学カートリッジと、
を含む。生化学カートリッジは、サンプル流体を処理するためにポイント・オブ・バース
器具に挿入することができる。更に、スマートディスプレイは、処理されたサンプル流体
の結果を伝達することができる。
【0007】
本発明のポイント・オブ・バース検査システムの生化学カートリッジは携帯可能であっ
てもよい。更に、本発明のポイント・オブ・バース検査システムのポイント・オブ・バー
ス器具は携帯可能であってもよい。本発明のポイント・オブ・バースシステムのスマート
ディスプレイは、携帯型スマートデバイスであってもよい。あるいは、ポイント・オブ・
バースシステムのスマートディスプレイは、ラップトップコンピュータであってもよい。
更に代替的な実施形態では、スマートディスプレイは、ポイント・オブ・バース器具に組
み込まれたディスプレイである。
【0008】
一実施形態では、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、新生児の生物学的
スクリーニングのみを支持することができる。あるいは、本発明のポイント・オブ・バー
ス検査システムは、新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニ
ングの両方を支持することができる。本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース
検査システムは、パルスオキシメトリ機構を含むことができる。本発明の別の実施形態で
は、ポイント・オブ・バース検査システムは、聴覚スクリーニング機構を含むことができ
る。本発明の更なる実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムは、パルスオキ
シメトリ機構および聴覚スクリーニング機構の両方を含むことができる。
【0009】
本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、多重化試験を支持することができる
。更に、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、生化学カートリッジ上の単一
のサンプル流体で複数の検体を検査することができる。
【0010】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムは、複数のタイプの生
化学試験を実施することができる。例えば、本発明のポイント・オブ・バース検査システ
ムは、酵素試験、比色試験、イムノアッセイ試験、および/または核酸試験等の複数のタ
イプの生化学試験を実施することができる。本発明のポイント・オブ・バース検査システ
ムの一実施形態では、システムは生物学的マーカーのスクリーニングを行うことができる
。例えば、本発明のポイント・オブ・バース検査システムは、総ビリルビン、アンモニア
、および/または中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ等の生物学的マーカーについてスク
リーニングすることができる。
【0011】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース検査システムのスマートディスプレ
イは、ユーザとインタフェースし、および/またはポイント・オブ・バース器具を操作す
るための新生児スクリーニングモバイルアプリケーションを含むことができる。
【0012】
本発明のポイント・オブ・バース検査システムの生化学カートリッジの一実施形態では
、生化学カートリッジは、液体を保持するための水平リザーバモジュールを含むことがで
きる。更に、一実施形態では、水平リザーバモジュールは傾斜していてもよい。例えば、
水平リザーバモジュールは、13~17°だけ傾斜していてもよい。本発明の一実施形態
では、生化学カートリッジは、光学インタフェース領域を含む。生化学カートリッジの光
学インタフェース領域は、生化学カートリッジがポイント・オブ・バース器具に挿入され
た際に、ポイント・オブ・バース器具の光学検出器に一致することができる。
【0013】
本発明の別の態様では、サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具が
開示される。ポイント・オブ・バース器具は、ハウジングと、サンプル流体を有する生化
学カートリッジを受け取るローディングデッキと、ユーザとインタフェースするスマート
ディスプレイと、入力リーダーと、検査アッセイのためのプロセッサを含む生化学検査モ
ジュールと、を含むことができる。ポイント・オブ・バース器具のスマートディスプレイ
は、検査アッセイから、例えばユーザ等に結果を提供することができる。
【0014】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース器具のハウジングは、ベースプレー
トと、ベースプレートに取り付けられた第1および第2サイドレールと、サイドレールの
間に配置され、ポイント・オブ・バース器具の操作を制御する回路基板とを含むことがで
きる。更に、ポイント・オブ・バース器具のハウジングは、サイドレール間に配置された
カムと、カートリッジ係合ステッパモータと、カムベルトおよびプーリアセンブリと、生
化学カートリッジのサンプル流体の分配を作動させるモータアセンブリとを含むことがで
きる。更に、モータアセンブリは、ステッパモータ支持体上のステッパモータと、バネ付
勢アダプタと、モータシャフトと、モータ係合部材とを含むことができる。
【0015】
一実施形態では、本発明のポイント・オブ・バース器具のハウジングは、電力入力ポー
トを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バース器具のハウジングは、電源取り付
け板上に配置された電源アセンブリを含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース器具のスマートディスプレイは、ス
マートデバイスまたはラップトップであってもよい。本発明のポイント・オブ・バース器
具は、スマートデバイスまたはラップトップに電子的に接続するドッキングステーション
を含むことができる。別の実施形態では、ポイント・オブ・バース器具は、スマートデバ
イスまたはラップトップと無線で通信することができる。更に別の実施形態では、ポイン
ト・オブ・バース器具は、スマートデバイスまたはラップトップに電子的に接続するだけ
でなく、スマートデバイスまたはラップトップと無線で通信するオプションを有すること
もできる。ポイント・オブ・バース器具のスマートディスプレイは、ユーザとインタフェ
ースし、および/または、ユーザが関係者に結果を伝達し、追跡情報を提供し、器具の使
用に関するトレーニングを提供し、臨床計算を実施し、および/または疾患の疫学的追跡
を行うことを可能にするソフトウェアアプリケーションを含むことができる。
【0017】
ポイント・オブ・バース器具の一実施形態では、入力リーダーはバーコードリーダーで
ある。更に、バーコードリーダーのような入力リーダーは、新生児識別情報をスキャンす
ることができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、ポイント・オブ・バース器具は、蛍光計および/または光学
分光計を含むことができる。更に、本発明のポイント・オブ・バース器具は、光学検出器
を含むことができる。ポイント・オブ・バース器具は、パルスオキシメトリモジュールお
よび/または聴覚スクリーニングモジュールを含むことができる。本発明のポイント・オ
ブ・バース器具の一実施形態では、器具は携帯可能であってもよい。
【0019】
本発明の一態様では、新生児スクリーニングのための生化学カートリッジが開示される
。本発明の生化学カートリッジは、底部基板と、底部基板から隙間によって離間した上部
基板と、上部基板に隣接して配置されたカバーと、ローディングポートおよびローディン
グポートを開閉するためのウェルキャップアセンブリを有するサンプル入力ウェルと、を
含むことができる。サンプル入力ウェルは、新生児検査流体を収集するためのものであっ
てもよい。更に、生化学カートリッジは、検査のために新生児スクリーニング器具に挿入
されてもよい。
【0020】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、サンプル入力ウェルをカバーに一体化
することができる。生化学カートリッジのカバーは、起伏領域を含むことができる。本発
明の生化学カートリッジの一実施形態では、上部基板と下部基板との間の間隙は、アッセ
イチャンバであってもよい。
【0021】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、サンプル入力ウェルは、水平リザーバ
モジュールであってもよい。更に、生化学カートリッジは、カバーガスケットと、水平リ
ザーバモジュール取り付け板と、水平リザーバモジュールを固定するための取り付けポス
トとを更に含むことができる。本発明の一実施形態では、ウェルキャップアセンブリは、
水平リザーバモジュールの内部に流体を封止するためのホイルストリップを含むことがで
きる。更に、生化学カートリッジは、水平リザーバモジュールからホイルストリップを巻
き取るための巻き取りリールと、上部基板に固定されたリール係合特徴部と、および/ま
たは、リザーバモジュール捕捉特徴部とを含むことができる。
【0022】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、水平リザーバモジュールは、第1サン
プル流体を保持するための第1リザーバと、第2サンプル流体を保持するための第2リザ
ーバとを含むことができる。本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、リザーバは
傾斜していてもよい。例えば、リザーバは、13~17°に角度付けすることができる。
【0023】
本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、カートリッジはデジタルマイクロフル
イディクスを支持する。あるいは、本発明の生化学カートリッジは、デジタルマイクロフ
ルイディクスを支持しない。本発明の生化学カートリッジの一実施形態では、新生児検査
流体は、尿および/または血液であってもよい。更に、本発明の生化学カートリッジの一
実施形態では、底部基板は、プリント回路基板を含むことができる。本発明の生化学カー
トリッジの一実施形態では、底部基材と上部基材との間の間隙は、充填剤流体を含むこと
ができる。
【0024】
本発明の更に別の代替的な態様では、新生児スクリーニングのための方法が開示されて
いる。一実施形態では、新生児スクリーニングのための方法は、(1)サンプル流体を処
理するためのポイント・オブ・バース器具と、(2)ポイント・オブ・バース器具とイン
タフェースするスマートディスプレイと、(3)処理のためのサンプル流体を受け取るた
めのリザーバを有する生化学カートリッジと、を有するポイント・オブ・バース検査シス
テムを提供するステップを含む。更に、新生児スクリーニングのための方法は、検査シス
テムに識別情報を提供するステップと、サンプル流体を生化学カートリッジのリザーバに
装填するステップと、サンプル流体を装填した後に生化学カートリッジのリザーバを封止
するステップと、生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具にローディングする
ステップと、処理するために生化学カートリッジのアッセイにサンプル流体を放出するス
テップと、ポイント・オブ・バース器具によってサンプル流体を処理するステップと、処
理されたサンプル流体の結果を得るためのスマートディスプレイとインタフェースするス
テップと、および/または結果を伝達するステップと、を含むことができる。
【0025】
新生児スクリーニングのための方法の一実施形態では、本方法は、更に、サンプル流体
を装填した後に生化学カートリッジのリザーバを封止するためのホイルストリップを提供
するステップと、生化学カートリッジ上に、ホイルストリップの一部を固定するホイル巻
き取りリールを提供するステップと、ホイル巻き取りリールと係合するステッパモータを
提供するステップと、生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具内にローディン
グした後にステッパモータを作動させるステップと、および/または、ステッパモータが
作動して、サンプル流体が放出可能となった後、リザーバからホイルストリップを開封す
るステップと、を含むことができる。
【0026】
新生児スクリーニングのための方法の一実施形態では、生化学的カートリッジのリザー
バは、第1リザーバおよび第2リザーバを含むことができる。更に、本方法は、両方のリ
ザーバに第1サンプル流体および第2サンプル流体のそれぞれを装填した後に、生化学カ
ートリッジの第1および第2リザーバを封止するためのホイルストリップを提供するステ
ップと、生化学カートリッジ上に、ホイルストリップの一部を固定するホイル巻き取りリ
ールを提供するステップと、ホイル巻き取りリールに係合するステッパモータを提供する
ステップと、生化学カートリッジをポイント・オブ・バース器具にローディングした後に
ステッパモータを作動させるステップと、ステッパモータが作動して、第1サンプル流体
を第1リザーバ内に放出可能とした後に、第1リザーバからホイルストリップを開封する
ステップと、および/または、第1リザーバが開封されて、第2サンプル流体を第2リザ
ーバに解放可能とした後に、第2リザーバからホイルストリップを開封するステップと、
を含むことができる。
【0027】
本発明の別の態様では、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用
するための方法が開示されている。一実施形態では、ポイント・オブ・バース新生児スク
リーニングシステムを使用するための方法は、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニ
ングソフトウェアアプリケーションを有するスマートディスプレイを提供するステップを
含み、このスマートディスプレイは、サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バ
ース器具と、処理するためにサンプル流体を受け取るための生化学カートリッジとを有す
るポイント・オブ・バース検査システムと通信することができる。更に、本発明のポイン
ト・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法は、スマートディ
スプレイのソフトウェアアプリケーションにログインするステップと、オープンオーダー
の選択によってスマートディスプレイとインタフェースするステップと、生化学カートリ
ッジ上のサンプル流体識別子をスキャンするステップと、サンプル流体を含む生化学カー
トリッジをポイント・オブ・バース検査器具に挿入するステップと、生化学カートリッジ
の処理を初期化するためにスマートディスプレイとインタフェースするステップと、生化
学カートリッジの処理のために適切な流体サンプルを確認するステップと、ポイント・オ
ブ・バース検査器具によってサンプル流体を処理するステップと、スマートディスプレイ
を監視して、サンプル流体の処理状況を判定するステップと、および/または、処理され
たサンプル流体の検査結果を閲覧するステップと、を含むことができる。
【0028】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施
形態では、スマートディスプレイにログインするステップは、ユーザIDおよびパスワー
ドを手動で入力することによって、および/または、バーコードリーダーを使用して資格
情報をスキャンすることによって行うことができる。更に、ポイント・オブ・バース新生
児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態では、サンプル流体識別子
は、バーコードリーダーであってもよい。
【0029】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施
形態では、本方法は、更に、サンプル流体識別情報を入力して、スマートディスプレイの
ソフトウェアアプリケーションにおいてオープンオーダーを作成するステップを含むこと
ができる。更に、ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するため
の方法は、生化学カートリッジを使用して新生児からサンプル流体を収集するステップを
含むことができる。本発明の方法の一実施形態では、生化学カートリッジを使用して新生
児からサンプル流体を収集するステップは、生化学カートリッジ上のサンプル流体識別子
をスキャンするステップの後であって、かつ、サンプル流体を含む生化学カートリッジを
ポイント・オブ・バース検査器具内に挿入するステップの前に実施してもよい。更に、本
発明の方法の新生児からサンプル流体を収集するステップは、生化学カートリッジ内の入
力ウェルのカバーを取り外すステップと、一定量のサンプル流体を挿入するステップと、
入力ウェルを封止するステップと、を含むことができる。
【0030】
ポイント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施
形態では、本方法は、更に、検査結果を分配するステップを含むことができる。更に、ポ
イント・オブ・バース新生児スクリーニングシステムを使用するための方法の一実施形態
では、本方法は、スマートディスプレイのソフトウェアアプリケーションとインタフェー
スして、以前に実施した検査結果を見直すステップを含むことができる。
【0031】
本開示の主題を一般的な用語で説明したので、次に、必ずしも縮尺通りでない添付の図
面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニングの両方を支持する、ポイント・オブ・バースプラットフォームの一例のブロック図である。
【
図2A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの一例の斜視分解図である。
【
図2B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの一例の斜視分解図である。
【
図3A】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の正面図である。
【
図3B】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の背面図である。
【
図3C】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の上面図である。
【
図3D】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の底面図である。
【
図3E】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の左側面図である。
【
図3F】
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具の右側面図である。
【
図4】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図5】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図6】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図7】ハウジングを無くすことにより、その構成要素の詳細がより明らかになっている、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の説明図である。
【
図8A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの別の例の斜視図である。
【
図8B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの別の例の分解図である。
【
図9A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図である。
【
図9B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の分解図である。
【
図10A】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図である。
【
図10B】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の分解図である。
【
図11】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を含む、本開示の生化学カートリッジの一例の正面斜視図である。
【
図12】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を含む、本開示の生化学カートリッジの一例の背面斜視図である。
【
図17】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図18】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図19】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図20】カバーを無くすことにより、その詳細がより明らかになっている、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの更に別の詳細を示す様々な説明図である。
【
図22B】更に底部基板を無くした、
図11および
図12に示す生化学カートリッジの下側の斜視図である。
【
図24A】
図11および
図12に示された生化学カートリッジに関連するポイント・オブ・バース器具のモータの分解図である。
【
図24B】
図11および
図12に示された生化学カートリッジに関連するポイント・オブ・バース器具のモータの斜視図である。
【
図25】生化学カートリッジに関するポイント・オブ・バース器具のモータの別の構成の斜視図である。
【
図26】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を欠いた、本開示の生化学カートリッジの一例の斜視図である。
【
図27】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を欠いた、本開示の生化学カートリッジの別の例の斜視図である。
【
図28】新生児スクリーニングのための、デジタルフルイディクス能力を欠いた、本開示の生化学カートリッジの別の例の上面図である。
【
図29A】デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジの上部基板および底部基板の一例の斜視図である。
【
図29B】デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジの底部基板のみの斜視図である。
【
図30A】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図30B】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図31A】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図31B】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図32A】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図32B】新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリッジと共に使用することができるカバーアセンブリの他の例の斜視図である。
【
図33A】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールの一例の様々な説明図である。
【
図33B】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールの一例の様々な説明図である。
【
図34A】水平リザーバモジュールの正面封止面を示す水平リザーバモジュールの正面斜視図である。
【
図34B】水平リザーバモジュールの分配角度を示す、水平リザーバモジュールの断面図である。
【
図35A】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35B】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35C】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35D】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35E】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35F】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35G】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図35H】新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリッジの水平リザーバモジュールを展開するプロセスの一例を示す説明図である。
【
図36】例えば、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具の機能ブロック図の一例を示す説明図である。
【
図37】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図38】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図39】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図40】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図41】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図42】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図43】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図44】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図45】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図46】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図47】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図48】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図49】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図50】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図51】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図52】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す説明図である。
【
図53】組み込みディスプレイを含むポイント・オブ・バース器具の一例の正面図である。
【
図54】新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジを使用する方法の一例のフロー図である。
【
図55】ラップトップコンピュータを含む本開示のポイント・オブ・バースシステムの一例を示す説明図である。
【
図56】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【
図57】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【
図58】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【
図59】生化学的スクリーニングと組み合わせた生理学的スクリーニングを支持する本開示のポイント・オブ・バースシステムの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の主題は、本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示されている添付の図
面を参照して、以下でより詳しく説明される。同様の番号は、全体を通して同様のエレメ
ントを指す。本開示の主題は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載
の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、
本開示が適用法的要件を満たすように提供される。実際に、本明細書に記載された本開示
の主題の多くの修正および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に提示された
教示の利益を有する本開示の主題に関係する技術分野の当業者には思い当たるであろう。
従って、本開示の主題は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正お
よび他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理
解されたい。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の主題は、ポイント・オブ・バースシステムおよび器
具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングのための方法を提供する。即ち、
新生児スクリーニングを行うための生化学カートリッジを受け取って処理するためのポイ
ント・オブ・バース器具を含むポイント・オブ・バースシステムが提供される。更に、携
帯型スマートデバイス(即ち、スマートフォンまたはタブレット)等のスマートディスプ
レイは、ポイント・オブ・バース器具と通信しており、スマートディスプレイは、ポイン
ト・オブ・バースシステムを操作するためのユーザインタフェースである新生児スクリー
ニング(NBS)モバイルアプリを含むことができる。更に、ポイント・オブ・バースシ
ステムを使用する方法が提供される。
【0035】
一実施形態では、ポイント・オブ・バースシステムおよびポイント・オブ・バース器具
は、新生児の生物学的スクリーニングのみを支持する。しかしながら、他の実施形態では
、ポイント・オブ・バースシステムおよびポイント・オブ・バース器具は、新生児の生物
学的スクリーニングおよび新生児の生理学的スクリーニング(例えば、新生児パルスオキ
シメトリおよび新生児聴覚スクリーニング)の両方を支持する。
【0036】
本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、および新
生児スクリーニングの方法の一態様は、可搬性が高く、使い勝手がよい。
【0037】
本開示のポイント・オブ・バースシステムおよび器具、生化学カートリッジ、および新
生児スクリーニングのための方法の別の態様では、生化学カートリッジの液体供給システ
ムは、重力による液体の信頼性のある分注のために傾斜された、または角度付けられた水
平リザーバモジュール(HRM)に特徴を有する。
【0038】
次に、
図1は、本発明による新生児の生物学的スクリーニングおよび新生児の生理学的
スクリーニングの両方を支持するポイント・オブ・バースプラットフォーム10の一例の
ブロック図である。例えば、ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、生物学的
スクリーニング20および生理学的スクリーニング30の両方を支持する。
【0039】
生物学的スクリーニング20は、多重化試験22を利用することができる。新生児スク
リーニングプログラムでは、多重化試験22は、複数の化合物を同時に識別する能力を指
す。ポイント・オブ・バースプラットフォーム10では、生物学的スクリーニング20は
、特定の生物学的マーカーのスクリーニングを含む。例示的な生物学的マーカーには、高
ビリルビン血症を検出するための総ビリルビン(TSB)、グルコース-6-リン酸デヒ
ドロゲナーゼ欠損(G6PD)、高アンモニア血症を検出するためのアンモニア、GAL
T欠損を検出するためのガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GAL
T)、およびMCAD欠損を検出するための中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(MC
AD)が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
生理学的スクリーニング30は、新生児パルスオキシメトリ32および新生児聴覚スク
リーニング34を含むことができるが、これらに限定されない。新生児パルスオキシメト
リ32は、重度先天性心疾患(CCHD)の検出を改善する容認された検査である。新生
児聴覚スクリーニング34(聴覚障害の早期発見・早期支援(Early Hearin
g Detection and Intervention)(EHDI)とも呼ばれ
る)は、退院前に、全ての新生児に対する聴覚喪失に対するスクリーニングを実施するこ
とを指す。例えば、聴性脳幹反応(ABR)試験および耳音響放射(OAE)試験は、新
生児集団をスクリーニングするための適切な生理学的尺度である。両者とも非侵襲性であ
る。ABR試験は、内耳(蝸牛)および聴覚のための脳経路に関する情報を提供する。O
AE検査では、外耳道の閉塞、中耳液の存在および蝸牛の外有毛細胞の損傷を検出するこ
とができる。
【0041】
ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、(1)少量の血液サンプルを処理す
る能力、(2)同じカートリッジおよびプラットフォーム上に1つのサンプルを有する2
つ以上の検体を検査する能力、(3)1つのプラットフォーム上で異なるタイプの生化学
検査(酵素試験、比色試験、イムノアッセイ試験、および核酸試験)を実施する能力、お
よび(4)新生児の退院前に、より完全な疾患または疾患のリスク判定を行う能力を提供
する点で、実験室ベースの技術よりも有利である。ポイント・オブ・バースプラットフォ
ーム10はまた、新生児の病気に焦点を当てたアッセイメニューによる新生児関連の検査
のみに焦点を当てている故に、従来のポイント・オブ・ケア生化学アッセイプラットフォ
ームとは区別される。
【0042】
ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は、ポイント・オブ・バースシステム、
ポイント・オブ・バース器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングのため
の方法を介して例示することができる。ポイント・オブ・バースプラットフォーム10は
、米国だけでなく、そのような検査のためのインフラが存在しない発展途上国においても
新生児スクリーニングに革命を起こす可能性を有する。ユーザのトレーニングは殆ど必要
ない。更に、ポイント・オブ・バース器具は、1時間以内に遠隔ガイドを介してインスト
ールすることができる。例示的なポイント・オブ・バースシステム、ポイント・オブ・バ
ース器具、生化学カートリッジ、および新生児スクリーニングの方法の更なる詳細は、図
2A~
図59を参照して以下に示され、説明される。
【0043】
次に、
図2Aおよび
図2Bは、新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オ
ブ・バースシステム100、ポイント・オブ・バース器具105、および生化学カートリ
ッジ200の一例の斜視分解図である。ポイント・オブ・バースシステム100は、
図1
のポイント・オブ・バースプラットフォーム10に示された構造に基づいている。
【0044】
即ち、ポイント・オブ・バースシステム100は、携帯型スマートデバイス190のよ
うなスマートディスプレイに機械的かつ通信可能に連結することができるポイント・オブ
・バース器具105を含み、スマートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器具1
05用のユーザインタフェースおよびネットワーク接続装置であってもよい。スマートデ
バイス190は、例えば、スマートフォンまたはタブレットデバイスとすることができる
。ポイント・オブ・バースシステム100は、更に、生化学カートリッジ200を含む。
生化学カートリッジ200は、対象の新生児から採取された処理すべきサンプル流体を受
け取るための使い捨てカートリッジである。生化学カートリッジ200は、処理のために
ポイント・オブ・バース器具105に差し込むことができる。生化学カートリッジ200
の例のより詳細は、
図11~
図35Hを参照して以下に示され、説明される。
【0045】
ポイント・オブ・バース器具105は、ハウジング(または本体)110と、生化学カ
ートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ112と、スマー
トデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション114と、オペレータID
情報、カートリッジID情報、およびサンプルID情報等のポイント・オブ・バースシス
テム100に関連する任意の情報をスキャンするためのバーコードリーダー116等の入
力リーダーと、含む。一例では、スマートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器
具105に電気的に接続するために(例えば、給電および通信のために)ドッキングステ
ーション114に物理的にドッキングすることができる。しかしながら、別の例では、ス
マートデバイス190は、ポイント・オブ・バース器具105から分離していてもよく、
電気的接続がなくとも、ポイント・オブ・バース器具105と無線通信させることができ
る。更に、新生児スクリーニング(NBS)モバイルアプリ192は、ポイント・オブ・
バースシステム100を動作させるためにスマートデバイス190上に存在することがで
きる。
【0046】
ポイント・オブ・バースシステム100は、例えば、(1)1人の赤ちゃんまたは多く
の赤ちゃんを一度に検査し、(2)生化学アッセイ(酵素、比色およびイムノアッセイ)
を実施し、(3)(聴性脳幹反応または耳音響放射を使用する)聴覚スクリーニングを実
施し(
図56および
図57参照)、および(4)パルスオキシメトリ検査を実行する(図
58および
図59参照)ために使用することができるニア・バース・プラットフォームで
ある。ここでもまた、試験メニューには、総ビリルビン(TSB)、グルコース-6-リ
ン酸脱水素酵素欠乏症(G6PD)、高アンモニア血症、ガラクトース血症、および他の
障害に対する新生児検査が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0047】
ポイント・オブ・バース器具105は、軽量かつ携帯型の装置である。ポイント・オブ
・バース器具105のハウジング(または本体)110は、限定されるものではないが、
成形プラスチックおよび金属(例えば、アルミニウム)等の軽量で、頑丈であり、耐久性
のある任意の材料で形成することができる。ポイント・オブ・バース器具105は、例え
ば、約7インチ(17.78cm)~約9インチ(22.86cm)の幅、約7インチ(
17.78cm)~約10インチ(25.4cm)の高さ、および、約10インチ(25
.4cm)~約12インチ(30.48cm)の深さであり得る。一例では、ポイント・
オブ・バース器具105は、幅が約8インチ(20.32cm)、高さが約9インチ(2
2.86cm)、深さが約11インチ(27.94cm)である。しかしながら、物理的
特徴については任意の変化が可能である。例えば、
図2Aには、背の高い物理的形状を有
するポイント・オブ・バース器具105の例が示される一方、
図2Bには、より背の低い
物理的形状を有するポイント・オブ・バース器具105の例が示される。この例に加えて
、
図3A~
図3Fはそれぞれ、
図2Aに示すポイント・オブ・バース器具105の正面図
、背面図、上面図、底面図、左側面図、右側面図を示す。
【0048】
ポイント・オブ・バース器具105は、電力を使用するか、または電池電力を使用して
作動させることができる。ここでもまた、ポイント・オブ・バース器具105は、スマー
トフォンまたはタブレットデバイス(例えば、スマートデバイス190)等のスマートデ
ィスプレイとインタフェースする能力を有し、生化学検査、パルスオキシメトリおよび聴
覚スクリーニングのためのモジュールを有することができる。NBSモバイルアプリ19
2を使用して、例えば、関係者に結果をメールし、フォローアップ医師のリストを提供し
、トレーニングを提供し、ビリルビン測定のためのノモグラム等の臨床計算を実行し、疾
患の疫学的追跡を実施する等することができる。更に、ポイント・オブ・バース器具10
5は、1~2セットの波長のための蛍光と、約400nm~約800nmの紫外線(UV
)範囲にわたる吸光度とを含む生化学的スクリーニングのための光学検出システムを含む
。
【0049】
生化学カートリッジ200は、尿および全血サンプルを含む任意の生理学的流体を使用
することができる。生化学検査のためには、2つの主要な処理ステップ、即ち、(1)サ
ンプルを生化学カートリッジ200に装填するステップと、(2)生化学カートリッジ2
00をポイント・オブ・バース器具105にローディングするステップとがある。ポイン
ト・オブ・バース器具105は、その動作を管理するための、即ち、アッセイを実行する
ためのプロセッサまたはコントローラを含む。生化学的アッセイのための総アッセイ時間
は、サンプル入力から結果出力まで約15分であり得る。ポイント・オブ・バース器具1
05は、各タイプの検査を実行するのに必要な全てのソフトウェアを含むことが好ましい
。また、ポイント・オブ・バース器具105は、日頃メンテナンスをしなくとも堅牢であ
るように設計されることが好ましい。ポイント・オブ・バース器具105の構成要素のよ
り詳細は、
図4、
図5、
図6、および
図7を参照して以下に示され、説明される。
【0050】
次に、
図4、
図5、
図6、および
図7は、ハウジング(または本体)110を無くすこ
とによってその構成要素のより詳細を明らかにしている、
図2Aおよび
図2Bのポイント
・オブ・バース器具105の様々な図である。例えば、ポイント・オブ・バース器具10
5は、バーコードリーダー116と、ベースプレート122の上に取り付けられた2つの
サイドレール120と、2つのサイドレール120の間に配置された主回路基板124お
よび下側回路基板126と、電源取り付け板132上に配置される電力入力ポート128
および電源アセンブリ130と、カートリッジデッキプレート134と、蛍光計取り付け
板138上の1つ以上の蛍光計136と、分光計140と、2つのサイドレール120の
間に配置されたカム142と、カートリッジ係合ステッパモータ144と、カムベルトお
よびプーリアセンブリ146と、ステッパモータ支持体152上のステッパモータ150
と、バネ付勢アダプタ154と、モータシャフト156と、モータ係合部材158とを含
む。
【0051】
バーコードリーダー116は、任意の標準的なバーコード技術とすることができる。ポ
イント・オブ・バース器具105の検査作業中に、バーコードリーダー116を使用して
、オペレータID情報、カートリッジID情報、およびサンプルID情報等の情報を取得
する。
【0052】
サイドレール120、ベースプレート122、およびカートリッジデッキプレート13
4は、プラスチックまたは金属部材等の任意の強固な剛性部材とすることができる。
【0053】
主回路基板124および下側回路基板126は、ポイント・オブ・バース器具105の
全体的な動作を制御するための電子機器を含む。主回路基板124および下側回路基板1
26上に実装され得る機能の例については、
図36を参照されたい。
【0054】
ポイント・オブ・バース器具105は、電力または電池電力で作動させることができる
。一例では、ポイント・オブ・バース器具105は、電池電源(電池は図示せず)を使用
し、従って電力入力ポート128を使用しない。別の例では、ポイント・オブ・バース器
具105は、DCアダプタを使用して給電される。この場合、電力入力ポート128はD
Cアダプタプラグを受容する。電池電力またはDCアダプタのいずれかを使用することに
より、DC電源は、ポイント・オブ・バース器具105の能動部品を給電するために必要
に応じてDC入力を調整する電源アセンブリ130を供給する。更に別の例では、ポイン
ト・オブ・バース器具105は、標準的な家庭用AC電圧を使用して給電される。この場
合、電力入力ポート128はACプラグを受け取り、電源アセンブリ130は追加のAC
からDCへの変換機能を実行する。
【0055】
よく知られているように、蛍光計は蛍光の強度を測定するための装置であり、生化学分
析に一般的に使用される。よく知られているように、光学分光計は、電磁スペクトルの特
定の部分にわたる光の特性を測定するために使用され、材料を識別するために分光分析に
おいて一般に使用される機器である。従って、蛍光計136および分光計140は、ポイ
ント・オブ・バース器具105における光学的検出のために使用される。
【0056】
ポイント・オブ・バース器具105では、生化学カートリッジ200がカートリッジロ
ーディングデッキ112に挿入されると、生化学カートリッジ200の底部基板210の
縁部がカム142と係合される。続いて、カートリッジ係合ステッパモータ144を使用
して、生化学カートリッジ200を引いて固定位置に係止させるようにカム142を回転
させる。カートリッジ係合ステッパモータ144は、例えば、Oriental Mot
or U.S.A.Corp(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能なPKP
シリーズ2相単軸ステッパモータ(1.8°)のうちの1つとすることができる。カート
リッジ係合ステッパモータ144は、カムベルトおよびプーリアセンブリ146を介して
カム142に回転可能に連結される。
【0057】
ステッパモータ150は、生化学カートリッジ200(
図24Aおよび
図24B参照)
と係合し、生化学カートリッジ200内の液体分配機構を作動させるために使用される。
ステッパモータ150もまた、例えば、Oriental Motor U.S.A C
orp.のPKPシリーズ2相単軸ステッパモータ(1.8°)のうちの1つであっても
よい
【0058】
前述の構成要素は、全体として構成要素の完全なリストではないが、ポイント・オブ・
バース器具105の主要構成要素のサンプリングである。ポイント・オブ・バース器具1
05の構成要素によって支持することができる機能のより詳細は、
図36を参照して以下
に示され、説明される。
【0059】
次に、
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ、新生児スクリーニングのための、本開示のポイ
ント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの別の例の斜視図お
よび分解図である。この例では、ポイント・オブ・バースシステム100は、ポイント・
オブ・バース器具305、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を
含む。ポイント・オブ・バース器具305は、ハウジング(または本体)310と、生化
学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ312と、ス
マートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション314とを含む。ポイ
ント・オブ・バース器具305は、
図2Aまたは
図2Bに示すポイント・オブ・バース器
具105と比較して、僅かに異なる寸法、機能、および審美的特徴を有し得る。
【0060】
次に、
図9Aおよび
図9Bはそれぞれ、新生児スクリーニングのための本開示のポイン
ト・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜視図
および分解図である。この例では、ポイント・オブ・バースシステム100は、ポイント
・オブ・バース器具405、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200
を含む。ポイント・オブ・バース器具405は、ハウジング(または本体)410、生化
学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ412と、ス
マートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション414とを含む。ポイ
ント・オブ・バース器具405は、
図2Aまたは
図2Bに示すポイント・オブ・バース器
具105と比較して僅かに異なる寸法、機能、および審美的特徴を有する。
【0061】
次、
図10Aおよび
図10Bはそれぞれ、新生児スクリーニングのための、本開示のポ
イント・オブ・バースシステムおよび器具、並びに生化学カートリッジの更に別の例の斜
視図および分解図である。この例では、ポイント・オブ・バースシステム100は、ポイ
ント・オブ・バース器具505、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ2
00を含む。ポイント・オブ・バース器具505は、ハウジング(または本体)510、
生化学カートリッジ200を受け入れるためのカートリッジローディングデッキ512と
、スマートデバイス190を受け入れるためのドッキングステーション514とを含む。
ポイント・オブ・バース器具505は、
図2Aまたは
図2Bに示すポイント・オブ・バー
ス器具105と比較して僅かに異なる寸法、機能、および審美的特徴を有する。
【0062】
次に、
図11および
図12はそれぞれ、新生児スクリーニング用の本開示の生化学カー
トリッジ200の一例の正面斜視図および背面斜視図であり、生化学カートリッジ200
は、デジタルフルイディクス能力を含む。更に、
図13、
図14、
図15、および
図16
は、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200の側面図、背面図、上面図およ
び下面図をそれぞれ示している。
【0063】
用語「前面」、「背面」、「上部」、「底部」、「上(over)」、「下」および「
上(on)」は、生化学カートリッジ200の構成要素の相対的な位置、例えば、生化学
カートリッジ200の上部基板および底部基板または前面基板および背面基板の相対的な
位置に関連して、本明細書の全体を通して使用される。生化学カートリッジ200は、空
間におけるその向きに関係なく機能することが理解されよう。
【0064】
この例では、生化学カートリッジ200は、間隙(図示せず)によって分離された底部
基板210(例えば、プリント回路基板(PCB))および上部基板212(例えば、プ
ラスチックまたはガラス基板)を含む。この間隙は、限定されないが、シリコーンオイル
またはヘキサデカン充填剤流体のような低粘度オイルのような充填剤流体を含むことがで
きる。新生児スクリーニング操作の間、化学反応またはアッセイは、底部基板210と上
部基板212との間の間隙内で実施され得る。
【0065】
カバー214(例えば、プラスチックカバー)は、上部基板212の上に設けられる。
サンプル入力ウェル216は、カバー214に一体化されている。サンプル入力ウェル2
16は、ローディングポート218と、ローディングポート218を開閉するためのウェ
ルキャップアセンブリ220とを有する。カバー214は、所定の凹領域または起伏領域
222も含むことができる。凹領域または起伏領域222は、生化学カートリッジ200
内の構成要素および/または構成要素のレイアウトに応じて調整することができる。
【0066】
生化学カートリッジ200の上部基板212に関連して、光学インタフェース領域22
4(
図12参照)が設けられる。生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器
具105に設置されている場合、ポイント・オブ・バース器具105の光学検出構成要素
(例えば、2つの蛍光計136および分光計140)の位置は、上部基板212の光学的
インタフェース領域224に一致する。
【0067】
リール取り付け特徴部226(
図16参照)は、上部基板212に設けられている。リ
ール取り付け特徴部226は、ホイル巻き取りリール245(
図17および
図19参照)
を受け入れるための貫通孔である。
【0068】
次に、
図17~
図20は、
図11および
図12の生化学カートリッジ200の様々な別
の図であり、生化学カートリッジ200は、カバー214を無くして示されている故に、
その詳細がより明らかになっている。即ち、
図17、
図18、
図19、および
図20はそ
れぞれ、カバー214を外した生化学カートリッジ200の斜視図、上面図、背面図およ
び側面図を示す。生化学カートリッジ200は、更に、カバーガスケット228と、HR
M取り付け板239を更に含む水平リザーバモジュール(HRM)230と、HRM23
0を保持するための一対の取り付けポスト242と、HRM230の内部に流体を封止す
るためのホイルストリップ244と、HRM230からホイルストリップ244を巻き取
るためのホイル巻き取りリール245と、上部基板212(
図16参照)のリール取り付
け特徴部226にスナップ嵌めすることができるリール係合特徴部246と、リザーバモ
ジュール捕捉特徴部254(
図18および
図23A参照)と、を含むことができる。HR
M230の更なる詳細は、
図33A~
図35Hを参照して以下に示され、説明される。
【0069】
次に、
図21は、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200のカバー214
の下面の斜視図である。カバー214は、更に、カバーリム248と、サンプル入力ウェ
ル216を受け入れるためのウェル開口部250と、ホイル巻き取りリール245の上部
を捕捉するためのリール捕捉特徴部252とを含む。
【0070】
次に、
図22Aは、カバー214を無くした
図11および
図12に示す生化学カートリ
ッジ200の下面の斜視図である。
図22Bは、更に底部基板210を外した生化学カー
トリッジ200の下面を示す。この図では、基板ガスケット256および反応(またはア
ッセイ)チャンバ領域258が明らかになっている。反応(またはアッセイ)チャンバ領
域258は、底部基板210と上部基板212との間の間隙である。
【0071】
次に、
図23Aは、
図11および
図12に示す生化学カートリッジ200の底部基板2
10に対する上部基板212の斜視図である。
図23Bは、生化学カートリッジ200の
底部基板210のみを示す。この図では、デジタルフルイディクス能力(即ち、エレクト
ロウェッティング)を支持するための電極構成260および電気I/O接触262が示さ
れている。この例では、生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器具105
に設置されると、電気I/O接触262は、ポイント・オブ・バース器具105の主回路
基板124に電気的に接続される。更に、いくつかの例では、乾燥試薬を電極構成260
の反応レーンに設けることができる。
【0072】
次に、
図24Aおよび
図24Bはそれぞれ、
図11および
図12に示す生化学カートリ
ッジ200に関連したポイント・オブ・バース器具105のステッパモータ150の分解
図および斜視図である。即ち、ステッパモータ150はモータシャフト156を含み、バ
ネ付勢アダプタ154は、モータシャフト156上に取り付けられる。バネ付勢アダプタ
154の遠位先端は、上部基板212から突出するホイル巻き取りリール245のリール
係合特徴部246と係合する。このように、ポイント・オブ・バース器具105のステッ
パモータ150を使用して、生化学カートリッジ200のホイル巻き取りリール245を
回転させることにより、HRM230を作動させる。
【0073】
図24Aおよび
図24Bには、ステッパモータが生化学カートリッジの下側に係合する
構成が示される一方、
図25には、ポイント・オブ・バース器具のステッパモータが生化
学カートリッジの上面を介して係合する別の構成が示されている。この例では、リール係
合特徴部246は、ホイル巻き取りリール245の上側にあり、リール係合特徴部246
は、カバーの開口部を通じて突出している。ステッパモータ150は、バネ付勢アダプタ
154を有する。続いて、モータ係合部材158がバネ付勢アダプタ154の遠位端部に
設置される。次に、モータ係合部材158の遠位端部は、ホイル巻き取りリール245の
リール係合特徴部246と係合する。別の例としては、
図35Hを参照されたい。
【0074】
図11~
図23Bは、デジタルフルイディクスを支持する生化学カートリッジ200の
一例を示す一方で、
図26~
図29Bは、デジタルフルイディクス能力を欠いた、新生児
スクリーニングのための生化学カートリッジ200の例を示す。「デジタルフルイディク
ス能力を欠く」とは、エレクトロウェッティング操作を実行するための何らかの電極構成
が存在しないことを意味する。デジタルフルイディクス能力がない場合、生化学カートリ
ッジ200は、例えば、フローセルであってもよい。一例では、
図26は、デジタルフル
イディクス能力を欠いた生化学カートリッジ200の斜視図を示す。ここでも、生化学カ
ートリッジ200は、底部基板210、上部基板212、カバー214、サンプル入力ウ
ェル216、ウェルキャップアセンブリ220、および凹状領域または起伏領域222を
含むことができる。
【0075】
別の例では、
図27および
図28はそれぞれ、デジタルフルイディクス能力を欠いた生
化学カートリッジ200の斜視図および上面図を示す。ここでも、生化学カートリッジ2
00は、底部基板210、上部基板212、カバー214、サンプル入力ウェル216、
ウェルキャップアセンブリ220、および凹状領域または起伏領域222を含むことがで
きる。
図29Aは、デジタルフルイディクスを支持していない生化学カートリッジ200
の底部基板210および上部基板212を示す。更に、
図29Bは、デジタルフルイディ
クスを支持していない生化学カートリッジ200の底部基板210のみを示す。この例で
は、底部基板210は、任意の電極構成(例えば、
図23Aの電極構成260)および/
または電気I/O接触(例えば、
図23Aの電気I/O接触262)を含まない。これら
の例では、乾燥試薬は、底部基板210および/または上部基板212の表面上に提供さ
れてもよい。
【0076】
次に、
図30A~
図32Bは、新生児スクリーニングのために本開示の生化学カートリ
ッジ200と共に使用することができるカバーアセンブリの3つの他の例の斜視図である
。それぞれ、サンプル入力ウェル216、ローディングポート218、ウェルキャップア
センブリ220、凹状領域または起伏領域222、およびカバーガスケット228を更に
含むカバー214を含む。これらの3つの例では、全体的なカバー面積並びに凹状領域ま
たは起伏領域222の形状および配置は異なっていてもよい。
【0077】
次に、
図33Aおよび
図33Bは、生化学カートリッジ200のHRM230の例の多
様な図である。HRM230は、特定の流体を保持し、続いて、生化学カートリッジ20
0内に特定の流体を分配するために設けられている。HRM230は、第1流体234を
保持するための第1リザーバ232と、第2流体238を保持するための第2リザーバ2
36とを含み、両者ともHRM取り付けプレート239上に載置されている。更に、HR
M230は、第1リザーバ232および第2リザーバ236の開口部の周りの周辺領域で
ある前面240を有する。前面240は、HRM230が流体で満たされると、封止され
るHRM230の表面である。更に、HRM230は、2つのリザーバのみに限定されな
い。HRM230は、任意の数のリザーバを含むことができる。
【0078】
この例では、第1リザーバ232は第2リザーバ236より大きい。例えば、第1リザ
ーバ232は約2mLの流体を保持することができる一方、第2リザーバ236は約1m
Lの流体を保持することができる。更に、この例では、HRM230は、例えば、深さが
約15mm、高さが約16mm、および長さが約46mmとすることができる。
【0079】
デジタルフルイディクス能力を有する生化学カートリッジ200の例では、第1リザー
バ232の第1流体234は、シリコーンオイルまたはヘキサデカン充填剤流体のような
低粘性オイル等の充填剤流体とすることができるが、これらに限定されない。第2リザー
バ236の第2流体238は、例えば、緩衝溶液、液体試薬、または水のような希釈剤で
あってもよい。しかしながら、デジタルフルイディクス能力を有しない生化学カートリッ
ジ200の例では、オイルは必要ではない。従って、第1リザーバ232および第2リザ
ーバ236の両方を、緩衝溶液、液体試薬、または水等の希釈剤で充填することができる
。
【0080】
次に、
図34Aは、HRM230の他の例の正面斜視図であり、HRM230の正面封
止面を示している。この例では、HRM230は、
図33Aおよび
図33Bに示すHRM
230より小さい。即ち、この例では、第1リザーバ232は、依然として第2リザーバ
236よりも大きい。しかしながら、第1リザーバ232は約1.2mLの流体を保持す
ることができる一方、第2リザーバ236は約0.8mLの流体を保持することができる
。更に、この例では、HRM230は、例えば、深さが約24mm、高さが約14mm、
長さが約33mmとすることができる。
【0081】
更に、
図34Aに示すHRM230において、例えば、第2リザーバ236の周囲は約
6.325インチ(15.84cm)であり、前面240は約0.279平方インチ(1
.8平方cm)の表面積を有する。前面240の任意の部分の幅(即ち、壁厚)は、例え
ば、約2mm(78.7ミル)とすることができる。確実に封止するのに適した表面積を
有することが重要である。任意に、ホイルストリップ244を結合するための表面積を増
やすために、前面240の端縁の周りにリップ(図示せず)を設けることができる。
【0082】
任意のHRM230に関して、HRM230は、重力のみによって所望の速度で最適な
分配を行うための特定の分配角度を有する。例えば、
図34Bは、HRM230の断面図
を示し、分配角度αを示す。分配角度αは、一例では約13°~約17°であり、別の例
では約15°である。ここでもまた、HRM230は2つのリザーバのみに限定されない
。更に、HRM230内の複数のリザーバのそれぞれの分配角度αは、同じであっても異
なっていてもよい。
【0083】
HRM230は、例えば、成形プラスチックで形成することができる。例えば、HRM
230は、高密度ポリエチレン(HDPE)、環状オレフィン重合体(COP)、環状オ
レフィン共重合体(COC)、またはポリプロピレン(PP)で形成することができる。
更に、HRM230からの重力による液体の流れを支援するために、および/または液体
のピンニングを低減するために、(1)第1リザーバ232および第2リザーバ236内
の表面を疎水性材料でコーティングすることができ、(2)第1リザーバ232および第
2リザーバ236の内部の表面はテクスチャ(例えば、110μmテクスチャ構造)を有
することができ、および/または(3)少量のオイル(例えば、シリコーンオイル)(例
えば、200μLの希釈剤に対して50μLのオイル)を希釈剤に添加することができる
。
【0084】
次に、
図35A~
図35Hは、新生児スクリーニングのための本開示の生化学カートリ
ッジ200のHRM230を展開するプロセスの一例である。
図35Aを参照すると、H
RM230が提供されている。次に、
図35Bを参照すると、第1リザーバ232は第1
流体234で充填され、第2リザーバ236は第2流体238で充填されている。続いて
、
図35Cを参照すると、HRM230はホイルストリップ244で封止されている。即
ち、ホイルストリップ244は、HRM230の前面240に接着されている。ホイルス
トリップ244は、余分な長さまたは尾部が一方の側に延在するように設置される。次に
、
図35Dを参照すると、ホイルストリップ244の余分な長さまたは尾部は、それ自体
の上に折り返され、HRM230の上を通過する。続いて、
図35Eを参照すると、ホイ
ルストリップ244の余分な長さまたは尾部は、ホイル巻き取りリール245に取り付け
られている。続いて、
図35Fを参照すると、HRM230とホイルストリップ244お
よびホイル巻き取りリール245との組み合わせは、上部基板212に取り付けられてい
る。次に、
図35Gを参照すると、Oリング247がホイル巻き取りリール245の上に
配置されている。続いて、
図35Hを参照すると、カバー214が上部基板212の頂部
に配置されており、それによってホイル巻き取りリール245を捕捉し固定している。ホ
イルストリップ244は、HRM230が失われることなく長期間にわたり密閉状態で保
存され得るように、例えば、水蒸気透過率(MVTR)が低いアルミニウムホイルストリ
ップとすることができる。更に、ホイルストリップ244は、強度を高めるためにポリエ
チレンテレフタレート(PET)裏打ちホイルとすることができる。一例では、HRM2
30への接着剤保持ホイルストリップ244はPE250接着剤である。
【0085】
HRM230と共に、そのホイルストリップ244およびホイル巻き取りリール245
は、併せて生化学カートリッジ200の液体供給システムを形成する。次に、再び、
図2
4A、
図24B、
図25および
図35A~
図35Hを参照すると、HRM230からの液
体の分配に関する生化学カートリッジ200の動作は以下の通りである。生化学カートリ
ッジ200がポイント・オブ・バース器具105に挿入されると、ステッパモータ150
が生化学カートリッジ200のホイル巻き取りリール245と係合し、HRM230は依
然として密閉状態にある。続いて、HRM230から液体を分配するために、ステッパモ
ータ150が作動され、ホイルストリップ244はホイル巻き取りリール245上に巻か
れ始める。その際、第1リザーバ232上のホイルストリップ244はゆっくりと剥がれ
始め、それによって、第1流体234をゆっくりと放出し、第1流体234は生化学カー
トリッジ200の反応(アッセイ)チャンバ部分に流入する。最終的に、ステッパモータ
150が動作し続けると、第2リザーバ236上のホイルストリップ244もゆっくりと
剥がされ、それによって第2流体238をゆっくりと放出し、第2流体238は、生化学
カートリッジ200の反応(またはアッセイ)チャンバ部分に流入する。
【0086】
ステッパモータ150を使用することで、液体が第1リザーバ232から放出された後
に第2リザーバ236から放出される液体のタイミングを制御することができる。例えば
、希釈剤を分配する前に、オイルが完全に展開することが望ましい。更に、第1リザーバ
232および第2リザーバ236は基本的に側面に取り付けられている故、通気および開
口は同じホイルストリップ244を使用して達成される。更に、HRM230の設計は、
分配中に気泡が形成される危険性を低減するか、または完全に排除する。更に、HRM2
30の設計は、リザーバによる死容積を低減するか、または完全に排除する。
【0087】
ホイルストリップ244をHRM230から確実に除去する最適な引っ張り力(例えば
、最小トルク)のために、ホイルストリップ244の余分な長さまたは尾部の、ホイル巻
き取りリール245に向かう経路は、HRM230の前面240の平面にほぼ平行である
。これは、ホイル巻き取りリール245の外面をHRM230の前面240の平面に実質
的に接するように配置することによって達成することができる。
【0088】
次に、
図36は、例えば、
図2Aおよび
図2Bのポイント・オブ・バース器具105の
機能ブロック図の一例である。ポイント・オブ・バース器具105は、主回路基板124
を含む。主回路基板124は、マイクロコントローラ610、USBポート612、CA
Nポート614、アクセルMEMS、LED618、電力I/O128(例えば、電力入
力ポート128)、インピーダンス検出器620、インターロックおよびタイマー622
(例えば、インターロック回路およびウォッチドッグタイマー)、FPGA624、SD
RAM626、EEPROM628、デジタルフルイディクス能力を有する生化学カート
リッジ200を駆動するためのエレクトロウェッティング制御630、熱制御632、H
RMステッパモータ150を制御するためのモータ1制御634、カートリッジ係合ステ
ッパモータ144を制御するためのモータ2制御を含む。
【0089】
特定の他の機能、限定されないが、例えば分光計140に関連する照明器具638、2
つの蛍光計136、他のLED640、特定のセンサおよびヒータ642、および特定の
位置スイッチ646等は、主回路基板124と通信する。バーコードリーダー116もま
た、主回路基板124と通信する。バーコードリーダー116は、更に、SVDCIN6
48およびUSBポート650を含む。更に、電源130(例えば、電源アセンブリ13
0)は、主回路基板124および他の全ての能動部品に電力を供給する。更に、スマート
デバイス190(図示せず)は、任意の有線または無線手段を使用して主回路基板124
と通信することができる。
【0090】
次に、
図37~
図52は、新生児スクリーニングのための、本開示のポイント・オブ・
バースシステム100、ポイント・オブ・バース器具105、および生化学カートリッジ
200のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)700の一例である。GUI7
00は、例えば、上部表示パネル710および下部表示パネル715を含む。上部表示パ
ネル710を使用して、より多くのグローバル情報および制御をユーザに提示する一方、
下部表示パネル715を使用して、より特定の選択された情報および制御をユーザに提示
する。GUI700は、任意の標準的なユーザインタフェース制御および表示フォーマッ
トを含むことができる。GUI700は、スマートデバイス190等のスマートディスプ
レイ上に表示することができる。即ち、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプ
リ192を使用してGUI700を起動することができる。
【0091】
図37のGUI700は、ユーザがユーザIDおよびパスワードを入力して手動でログ
インするためのログイン画面を示す。あるいは、ユーザは、ポイント・オブ・バース器具
105のバーコードリーダー116を使用して自分のIDバッジをスキャンすることによ
ってログインすることができる。
【0092】
図38のGUI700は、下部表示パネル715にオープンオーダーおよびクローズド
オーダーの選択タブを含むホームページを示す。
図38では、オープンオーダータブが選
択されている。患者の名前、オーダー済みアッセイ、およびオーダー日付を示すリストが
提示される。
【0093】
図39のGUI700は、クローズドオーダータブが選択されたホームページを示して
いる。ここでもまた、患者の名前、オーダー済みアッセイ、およびオーダー日付を示すリ
ストが提示される。
【0094】
オープンオーダーのリストから名前を選択することにより、検査を開始して実行するこ
とができる。例えば、
図40のGUI700は、ポイント・オブ・バース器具105のバ
ーコードリーダー114を用いて、選択された生化学カートリッジ200上のバーコード
をスキャンする、新生児スクリーニング検査を実行する最初のステップをユーザに示す。
更に、患者情報は、縮小または拡張表示のいずれかにて表示される。
【0095】
図41のGUI700は、生化学カートリッジ200をポイント・オブ・バース器具1
05に挿入する、新生児スクリーニング検査を実行する次のステップをユーザに示す。こ
こでもまた、患者情報が表示される。
【0096】
生化学カートリッジ200がポイント・オブ・バース器具105に挿入されると、初期
化プロセスが開始される。
図42のGUI700は、初期化プロセスの状態を示す。ここ
でもまた、患者情報が表示される。
【0097】
図43のGUI700は、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー1
16を使用して、選択された患者のサンプルを保持する容器上のバーコードをスキャンす
る、新生児スクリーニング検査を実行する次のステップをユーザに示す。ここでもまた、
患者情報は、縮小表示にて表示される。
図44は、患者情報の拡大表示を示す。
【0098】
図45のGUI700は、一定量の患者のサンプルを生化学的カートリッジ200に追
加し、続いて「検査実行」ボタンを選択して検査を開始する、新生児スクリーニング検査
を実行する次のステップをユーザに示す。ここでもまた、患者情報が表示される。
【0099】
図46のGUI700は、追加されたサンプルの量を確認するステップをユーザに示す
。
【0100】
図47のGUI700は、検査が実行されていることをユーザに示し、かつその状況を
示す。例えば、残りのテスト時間の量を完了済みパーセントと共に示すことができる。こ
こでもまた、患者情報が表示される。
【0101】
図48のGUI700は、実行中の検査の状況を示す別の方法を示す。即ち、
図48の
GUI700は、患者の名前の横のパーセント記号を介して、および/または、下部表示
パネル715の底部に沿ったバーを介して進捗を示すことができるホームページを示す。
【0102】
完了済みオーダーリストから患者を選択することにより、
図49のGUI700は検査
結果をユーザに示す。一例では、ビジュアルを提供して、検出されたマーカーのレベルを
示すことができる。更に、ユーザは、より詳細な情報を見るか、または情報を印刷するか
を選択することができる。
【0103】
新生児スクリーニング検査を実施する際に、ある種のエラー状態が生じることがある。
一例では、
図50のGUI700は、生化学カートリッジ200に装填されたサンプルの
量が検査を行うのに不十分である場合に発生し得る警告を示す。この例では、
図50のG
UI700は、「サンプル量不足」の警告が表示され、検査はキャンセルされる。
【0104】
図51のGUI700は、警告を他の方法で表示することができることを示す。例えば
、グローバル警告を上部表示パネル710に表示することができる。ユーザは、警告を選
択して、より多くの情報を得ることができる。ユーザの裁量で、複数のグローバル警告を
表示し、再検討することができる。例えば、
図52のGUI700は、グローバル警告を
再検討する例を示す。
【0105】
本開示のポイント・オブ・バースシステム100のGUI700は、
図37~
図52に
示される描写、設計、および情報だけに限定されるものではない。これらは単なる例示に
過ぎない。GUI700は、任意の描写、設計、および情報を含むことができる。
【0106】
次に、
図53は、内蔵ディスプレイ132であるスマートディスプレイを含むポイント
・オブ・バース器具105の一例の正面図である。ポイント・オブ・バースシステム10
0の動作、より詳細には、ポイント・オブ・バース器具105の動作は、スマートデバイ
ス190上のNBSモバイルアプリ192を使用することに限定されない。任意のスマー
トディスプレイを本発明に関連して使用することができる。例えば、別の実施形態では、
ポイント・オブ・バース器具105は、例えばタッチスクリーンであり得る内蔵ディスプ
レイ132を有する。ディスプレイ132を使用して、
図37~
図52のGUI700に
示されるのと実質的に同じ情報を提示することができる。従って、この例では、ポイント
・オブ・バースシステム100にスマートデバイス190が存在する必要はない。
【0107】
次に、
図54は、新生児スクリーニングのために本開示のポイント・オブ・バースシス
テム100を使用する方法800の一例のフロー図である。方法800は、限定するもの
ではないが、以下のステップを含むことができる。
【0108】
ステップ810にて、ポイント・オブ・バースアプリケーションが起動され、ユーザが
ログインする。例えば、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192が起動
される。続いて、GUI700を使用して、ユーザは、例えば
図37に示され説明される
ようにログインする。
【0109】
ステップ815にて、ユーザは、オープンオーダーおよび/または完了済みオーダーを
示すホームページを参照する。例えば、GUI700を使用して、ユーザは、
図38およ
び
図39に示され、説明されるように、オープンオーダーおよび/または完了済みオーダ
ーを参照する。
【0110】
ステップ820にて、ユーザは、オープンオーダーの表示から対象の患者を選択する。
例えば、GUI700を使用して、ユーザは、例えば
図38に示され、説明されるように
、オープンオーダー表示からスクリーニングされる患者を選択する。
【0111】
ステップ825にて、ユーザは、選択された患者に適した生化学カートリッジを取得し
、スキャンする。例えば、ユーザは、選択された患者に適した生化学カートリッジ200
を取得する。続いて、
図40に示すようなGUI700の指示により促進されるように、
ユーザは、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー116を使用して、
生化学カートリッジ200のバーコードをスキャンする。
【0112】
ステップ830にて、ユーザは、選択された生化学カートリッジをポイント・オブ・バ
ース器具に挿入する。例えば、
図41に示すようなGUI700の指示により促進される
ように、ユーザは、選択された生化学カートリッジ200をポイント・オブ・バース器具
105に挿入する。
【0113】
ステップ835にて、ユーザは、生化学カートリッジが初期化されるまで待機する。例
えば、
図42に示すようなGUI700の指示によって促進されるように、ユーザは、生
化学カートリッジ200が初期化するまで待機する。
【0114】
ステップ840にて、ユーザは、選択された患者のサンプル流体の容器を取得し、スキ
ャンする。例えば、ユーザは、選択された患者のサンプル流体の容器を取得する。続いて
、
図43および/または
図44に示すようなGUI700の指示によって促進されるよう
に、ユーザは、ポイント・オブ・バース器具105のバーコードリーダー116を使用し
てサンプル容器上のバーコードをスキャンする。一例では、サンプル容器はピペットであ
る。
【0115】
ステップ845にて、ユーザは、選択された患者のサンプル流体を生化学カートリッジ
に装填する。例えば、
図45に示すようなGUI700の指示によって促進されるように
、ユーザは、ウェルキャップアセンブリ220を開くことによって、生化学カートリッジ
200のサンプル入力ウェル216を開口する。続いて、ユーザは、一定量のサンプル流
体をサンプル入力ウェル216のローディングポート218にピペットで注入する。例え
ば、ユーザは、ウェルキャップアセンブリ220を閉じることによって、生化学カートリ
ッジ200の入力ウェル216を閉鎖する。
【0116】
判定ステップ850にて、生化学カートリッジ200に十分なサンプル流体が存在する
か否かが判定される。例えば、ポイント・オブ・バース器具105の計器により分析が行
われ、生化学カートリッジ200に存在するサンプル流体の量が判定される。十分なサン
プル流体が存在する場合、方法800はステップ855に進む。しかしながら、サンプル
流体の量が不十分である場合、方法800は終了し、例えば、
図50に示すようなGUI
700に示されるように、検査はキャンセルされる。
【0117】
ステップ855にて、新生児スクリーニング検査がポイント・オブ・バース器具105
内で開始される。
【0118】
ステップ860にて、ユーザは、新生児スクリーニング検査の進捗を監視する。例えば
、テストの進捗は、
図47および
図48に示すようにGUI700にて表示することがで
きる。
【0119】
ステップ865にて、ユーザは、新生児スクリーニング検査の結果を閲覧する。例えば
、完了した任意の検査について、ユーザは、例えば、
図49のGUI700に示すように
、検査結果を閲覧することができる。更に、スマートデバイス190上のNBSモバイル
アプリ192を使用して、任意の検査結果を記録し、任意の許可された当事者に分配する
ことができる。従って、スマートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192を使用
して、(スマートデバイス190上の結果を閲覧することによって)検査結果をユーザに
伝達することができると共に、(スマートデバイス190を使用して結果を分配すること
によって)他の認可された当事者に伝達することができる。
【0120】
次に、
図55は、スマートディスプレイとしてラップトップコンピュータを含む本開示
のポイント・オブ・バースシステム100の一例である。例えば、スマートデバイス19
0の代わりに、ポイント・オブ・バースシステム100は、任意の有線または無線手段を
使用して、ポイント・オブ・バース器具105と通信しているラップトップコンピュータ
195を使用することができる。この例では、ラップトップコンピュータ195は、NB
Sモバイルアプリ192の代わりにNBSデスクトップアプリケーション192を使用す
る。スマートデバイス190と同様に、ラップトップコンピュータ195を使用すること
により、ポイント・オブ・バースシステム100の携帯が可能となる。
【0121】
これまで、
図2A~
図53を参照して、ポイント・オブ・バースシステム100におけ
る生化学的スクリーニングのみについて上述してきたが、ポイント・オブ・バースシステ
ム100は、生化学スクリーニングに加えて生理学的スクリーニングを含むことができる
。例えば、
図56~
図59を参照すると、生理学的スクリーニングおよび生化学的スクリ
ーニングの両方を支持する、本開示のポイント・オブ・バースシステム100の例が提供
されている。一例では、
図56は、前述したように、ポイント・オブ・バース器具105
、スマートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含むポイント・オブ・バ
ースシステム100を示す。更に、ポイント・オブ・バースシステム100は、新生児パ
ルスオキシメトリ機構900を含む。この例では、新生児パルスオキシメトリ機構900
は、スマートデバイス190と直接通信している。NBSモバイルアプリ192の特徴は
、新生児パルスオキシメトリ機構900からの/新生児パルスオキシメトリ機構900へ
の情報を処理するステップを含むことができる。別の例では、
図57は、新生児パルスオ
キシメトリ機構900が、スマートデバイス190の代わりに、ポイント・オブ・バース
器具105に物理的に接続されている構成を示す。この例では、ポイント・オブ・バース
器具105は、新生児パルスオキシメトリ機構900からの情報を、処理するためにスマ
ートデバイス190上のNBSモバイルアプリ192に送信する。
【0122】
更に別の例では、
図58は、前述したように、ポイント・オブ・バース器具105、ス
マートデバイス190、および生化学カートリッジ200を含むポイント・オブ・バース
システム100を示す。更に、ポイント・オブ・バースシステム100は、新生児聴覚ス
クリーニング機構910を含む。この例では、新生児聴覚スクリーニング機構910は、
スマートデバイス190と直接通信している。NBSモバイルアプリ192の特徴は、新
生児聴覚スクリーニング機構910からの/新生児聴覚スクリーニング機構910への情
報を処理するステップを含むことができる。更に別の例では、
図59は、新生児聴覚スク
リーニング機構910が、スマートデバイス190の代わりにポイント・オブ・バース器
具105に物理的に接続されている構成を示す。この例では、ポイント・オブ・バース器
具105は、新生児聴覚スクリーニング機構910からの情報を、処理するためにスマー
トデバイス190上のNBSモバイルアプリ192に送信する。
【0123】
長年にわたる特許法の慣例に従い、用語「a」、「an」および「the」は、特許請
求の範囲を含む本出願で使用される場合、「1つ以上」を指す。従って、例えば、「被験
体」への言及は、文脈が明らかに反対(例えば、複数の被験体)等でない限り、複数の被
験体を含む。
【0124】
本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む」(「comprise」、「c
omprises」および「comprising」)は、文脈上他の意味に解すべき場
合を除いて、非排他的な意味で使用される。同様に、用語「含む」(「include」
)およびその文法上の変形は、限定的ではなく、リスト内の品目の列挙が、リストされた
品目に置換または追加され得る他の同様の品目を除外するものではないようにする。
【0125】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、特に断りのない限り、量、大き
さ、寸法、割合、形状、処方、パラメータ、パーセンテージ、量、特徴、並びに明細書お
よび特許請求の範囲で使用される他の数値を表す全ての数字は、用語「約」が値、量また
は範囲と共に明示的に現れなくても、用語「約」によって全ての場合において修飾される
と理解されるべきである。従って、反対のことが示されていない限り、以下の明細書およ
び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、正確ではないおよび正確である必要
はないが、所望に応じて近似であるおよび/またはより大きくても小さくてもよく、本開
示の主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて、許容誤差、換算係数、
四捨五入、測定誤差等、および当業者に知られている他の因子を反映する。例えば、用語
「約」は、値を指す場合、いくつかの実施形態では±100%、いくつかの実施形態では
±50%、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつ
かの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0
.5%、およびいくつかの実施形態では±0.1%の特定の量からの変動を包含すること
を意味することができ、そのような変動は、開示の方法を実施するのに、または開示の組
成物を使用するのに適切である。
【0126】
更に、用語「約」は、1つ以上の数字または数値範囲と関連して使用される場合、範囲
内の全ての数字を含む全てのそのような数を指すと理解されるべきであり、記載の数値の
上および下の境界を延長することによってその範囲を変更する。終点による数値範囲の列
挙は、全ての数字、例えば、その範囲内に包含されるその小数を含む整数全体(例えば、
1~5の列挙は、1、2、3、4および5、並びにそれらの小数、例えば、1.5、2.
25、3.75、4.1等を含む)並びにその範囲内の任意の範囲を含む。
【0127】
前述の主題は、理解を明確にする目的で例示および実施例によって幾分か詳細に記載さ
れているが、当業者には、添付の特許請求の範囲内で、ある種の変更および修正を実施で
きることが理解されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル流体を処理するためのポイント・オブ・バース器具であって、
ハウジングと、
サンプル流体を有する生化学カートリッジを受け取るためのローディングデッキと、
ユーザとインタフェースするスマートディスプレイと、
入力リーダーと、
検査アッセイのためのプロセッサを含む生化学検査モジュールと、
を含み、前記スマートディスプレイは、検査アッセイからの結果を提供する、ポイント・オブ・バース器具。
【請求項2】
前記ハウジングは、ベースプレートと、前記ベースプレート上に取り付けられた第1および第2サイドレールと、前記サイドレールの間に配置され、前記ポイント・オブ・バース器具の操作を制御する回路基板と、前記サイドレールの間に配置されるカムと、カートリッジ係合ステッパモータと、カムベルトおよびプーリアセンブリと、前記生化学カートリッジのサンプル流体の分配を作動させるためのモータアセンブリとを含む、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項3】
前記モータアセンブリは、更に、ステッパモータ支持体上のステッパモータと、バネ付勢アダプタと、モータシャフトと、モータ係合部材とを含む、請求項2に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項4】
前記ハウジングは、電力入力ポートと、電源取り付けプレート上に配置された電源アセ
ンブリとを備える、請求項19に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項5】
蛍光計および/または光学分光計を更に備える、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項6】
前記スマートディスプレイはスマートデバイスであり、前記ポイント・オブ・バース器具は、更に、前記スマートデバイスに電気的に接続するドッキングステーションを備える、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項7】
前記スマートディスプレイはスマートデバイスであり、前記ポイント・オブ・バース器具は前記スマートデバイスと無線通信する、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項8】
前記スマートディスプレイは、ユーザとインタフェースして、ユーザが関係者に結果を伝達し、追跡情報を提供し、前記器具を使用するためのトレーニングを提供し、臨床計算を実行し、および/または疾患の疫学的追跡を行うことができるソフトウェアアプリケーションを含む、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項9】
前記入力リーダーはバーコードリーダーである、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項10】
前記入力リーダーにより、新生児識別情報をスキャンする、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項11】
光学検出器を更に備える、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項12】
前記器具は携帯可能である、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項13】
前記器具は、更に、パルスオキシメトリモジュールを備える、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項14】
前記器具は、更に、聴覚スクリーニングモジュールを備える、請求項1に記載のポイント・オブ・バース器具。
【請求項15】
新生児スクリーニングのための生化学カートリッジであって、
底部基板と、
間隙によって前記底部基板から離間された上部基板と、
前記上部基板に隣接して配置されたカバーと、
ローディングポートと、前記ローディングポートを開閉するためのウェルキャップアセンブリとを有するサンプル入力ウェルと、
を含み、前記サンプル入力ウェルは、新生児の検査流体を収集するためのものであり、前記生化学カートリッジは、検査のために新生児スクリーニング器具に挿入するためのものである、生化学カートリッジ。
【請求項16】
前記サンプル入力ウェルは前記カバー内に一体化されている、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項17】
前記カバーは起伏領域を含む、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項18】
前記間隙はアッセイチャンバである、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項19】
前記サンプル入力ウェルは水平リザーバモジュールであり、前記生化学カートリッジは、更に、カバーガスケットと、水平リザーバモジュール取り付けプレートと、前記水平リザーバモジュールを保持するための取り付けポストとを含む、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項20】
前記ウェルキャップアセンブリは、前記水平リザーバモジュールの内部に流体を封入するためのホイルストリップを備え、前記生化学カートリッジは、更に、前記ホイルストリップを前記水平リザーバモジュールから巻き取るための巻き取りリールと、前記上部基板に固定されたリール係合特徴部と、リザーバモジュール捕捉特徴部とを含む、請求項19に記載の生化学カートリッジ。
【請求項21】
前記水平リザーバモジュールは、第1サンプル流体を保持するための第1リザーバと、
第2サンプル流体を保持するための第2リザーバとを含む、請求項19に記載の生化学カートリッジ。
【請求項22】
前記リザーバは傾斜している、請求項21に記載の生化学カートリッジ。
【請求項23】
前記リザーバは13~17°の角度である、請求項22に記載の生化学カートリッジ。
【請求項24】
前記カートリッジは、デジタルマイクロフルイディクスを支持する、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項25】
前記カートリッジは、デジタルマイクロフルイディクスを支持しない、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項26】
前記新生児検査流体は尿および/または血液である、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項27】
前記底部基板は、プリント回路基板である、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【請求項28】
前記底部基板と前記上部基板との間の隙間は、充填剤流体を含む、請求項15に記載の生化学カートリッジ。
【外国語明細書】