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特開2023-58561固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058561
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20230418BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20230418BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230418BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20230418BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/053
C08K3/04
C08L1/02
B01J13/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015522
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2021513741の分割
【原出願日】2019-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0054295
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0057683
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0058790
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,クワンソク
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,フン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソプ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォンヒョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】無機物又は有機物由来の等方性及び/又は異方性材料を分散質として用いて、これを室温で固体であるポリオール及び糖類などの分散媒に分散させることによって、保管及び使用が容易であり、輸送コストが低減され、製品保管時に発生する凝集及び沈殿を防止又は軽減することができ、作業効率を向上させて工程費用を削減することができ、ポリウレタンに適用時、強度を向上させることができ、従来の硬化剤に比べて向上された強度を提供できる固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散質及び前記分散質が分散されている分散媒を含む固体分散体であって、
前記分散質が、有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、
前記分散媒が、室温で固体状態の非水性分散媒である、固体分散体。
【請求項2】
無機物粒子が、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、スズ、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金、カオリン、クレイ、タルク、マイカ、ベントナイト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、石綿、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硅藻土、カーボンブラック、黒鉛、岩綿、ガラスウール、ガラス繊維、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、それらの2つ以上の金属の合金、又はそれらの2つ以上の混合物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
有機物粒子が、アゾ系化合物、ジアゾ系化合物、縮合アゾ系化合物、チオインジゴ系化合物、インダントロン系化合物、キナクリドン系化合物、アントラキノン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ペリレン系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラピリジン系化合物、ジオキサジン系化合物、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ乳酸、アセテート繊維、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、デンプン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリイミド又はそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の固体分散体。
【請求項4】
分散媒が、糖類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、水素化糖、アルカンジオール、アミン系化合物、フェノール系化合物、イミダゾール系化合物、酸無水物系化合物、無水糖アルコール又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上である請求項1に記載の固体分散体。
【請求項5】
分散媒が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、マルトース、スクロース、ラクトース、オリゴ糖、セルロース、デンプン、グリコーゲン、テトリタン(tetritan)、ペンチタン(pentitan)、ヘプチタン(heptitan)、ソルビタン、マンニタン、イジタン、ガラクチタン、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド、テトリトール、ペンチトール、ヘプチトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、ポリプロピレングリコール変成体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ブチレンアジぺートジオール、1,6-ヘキサンアジペートジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ポリ(エチレングリコール)ジアミン、(R)-(+)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジアミン、(S)-(-)-1,1'-ビナフチル-2,2’-ジアミン、1,1’-ビナフチル-2,2'-ジアミン、4-エトキシベンゼン-1,2-ジアミン、(1R,2R)
-N、N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン、N,N-ビス(4-ブチルフェニル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,5-ジメチルフェノール、2,3-ジメチルフェノール、イミ
ダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、イミダゾールトリフルオロメタンスルホネート、イミダゾール-2-カルボン酸、4-ブロモ-1H-イミダゾール、N-ベンジル-2-ニトロ-1H-イミダゾール-1-アセトアミド、2-クロロ-1H-イミダゾール、イミダゾール-d、イミダゾール-N、イミダゾール-2-C,N、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、イタコン酸無水物、トランス-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、3,3-テトラメチレングルタル酸無水物、ステアリン酸無水物、cis-アコニット酸無水物、トリメリット酸無水物クロリド、フェニルコハク酸無水物、3,3-ジメチルグルタル酸無水物、メチルコハク酸無水物又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上である請求項4に記載の固体分散体。
【請求項6】
分散質の含量が、分散媒100重量部に対して、0.0001重量部~95重量部である請求項1に記載の固体分散体。
【請求項7】
鎖延長用室温固体分散体である請求項1に記載の固体分散体。
【請求項8】
硬化用室温固体分散体である請求項1に記載の固体分散体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに1項に記載の固体分散体を含む分散体組成物。
【請求項10】
分散質及び分散媒を混合する工程;及び
混合物中の分散媒を溶融させる工程;
を含む固体分散体の製造方法であって、
前記分散質が、有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、
前記分散媒が、室温で固体状態の非水性分散媒である、固体分散体の製造方法。
【請求項11】
前記混合物中の分散媒を溶融させる工程は、分散媒の融点以上の温度で真空を適用することによって水分を除去し、混合物を溶融させることによって行われる請求項10に記載の固体分散体の製造方法。
【請求項12】
ポリウレタンプレポリマーと、請求項7に記載の固体分散体との反応によって製造される、鎖延長ポリウレタン。
【請求項13】
(1)ポリウレタンプレポリマーに、請求項7に記載の固体分散体を添加する工程;及び
(2)得られた前記工程(1)の混合物を反応させる工程;
を含む鎖延長ポリウレタンの製造方法。
【請求項14】
ポリウレタンプレポリマーが、50~100℃で12~36時間真空乾燥させたポリオールとポリイソシアネートを、窒素雰囲気下で50~100℃の温度で0.1~5時間反応させて得られる請求項13に記載の鎖延長ポリウレタンの製造方法。
【請求項15】
前記工程(1)の結果混合物を反応させる工程が、80~200℃で10~30時間硬化させて行われる請求項13に記載の鎖延長ポリウレタンの製造方法。
【請求項16】
エポキシ樹脂;及び
請求項8に記載の固体分散体;
を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項17】
エポキシ樹脂及び請求項8に記載の固体分散体を混合する工程を含むエポキシ樹脂組成物の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
【請求項19】
請求項18に記載の硬化物を含む成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物に関する。より詳細には、無機物又は有機物由来の等方性及び/又は異方性材料を分散質として用いて、これを室温で固体であるポリオール及び糖類などの分散媒に分散させることによって、保管及び使用が容易であり、輸送コストが低減され、製品保管時に発生する凝集及び沈殿を防止又は軽減することができ、作業効率を向上させて工程費用を削減することができ、ポリウレタンに適用時、強度を向上させることができ、従来の硬化剤に比べて向上された強度を提供できる固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機物又は有機物由来の等方性及び/又は異方性材料は、軽量化材料、ハイブリッド材料、表面保護剤、導電性ペースト、導電性インク、センサー、精密解析素子、光メモリ、液晶表示素子、ナノ磁石、熱電媒体、燃料電池用高機能触媒、有機太陽電池、ナノガラスデバイス、研磨剤、薬物担体、環境触媒、塗料、印刷インク、インクジェット用インク、カラーフィルター用レジスト、筆記道具用インクなどの使用分野で主な材料として使用されている。このとき、前記無機物又は有機物由来の等方性材料及び/又は異方性材料は、水性分散媒又は非水性分散媒中で、微小粒子として分散体を調製して利用することによって、効率的に加工特性、製品特性及び素材物性を向上させ、品質安定化や製造時の収率向上に寄与する物質として工業的に使用されている。
【0003】
しかし、分散質の素材変更、粒子サイズの微小化又は粒子形状を制御することを目的として、分散質の安定分散化が困難になり、分散質が分散媒中に短時間で凝集又は沈殿する可能性がある。分散質の凝集及び沈殿問題は、分散体の製造における生産性、加工特性、取り扱い特性及び製品収率の低下、並びに最終製品の特性、素材物性及び品質の低下につながっている。さらに、外観的に、透明性、光沢及び着色力の低下、色ムラ及びクラック発生など望ましくない現象を引き起こすことが知られている。このような分散質の凝集及び沈殿を抑制し、分散安定化を達成するために分散剤が使用されている。
【0004】
従来、特許文献1又は2に開示されているように、分散剤を用いて分散体の凝集を抑制し、安定した分散体組成物を得ることが検討されてきた。しかし、分散媒及び分散質の多様化、分散質の粒子サイズの微小化、粒子形状の多様化、最終製品の高品質化、生産性の向上、加工特性に対する高い要求の観点から、以前に提案された分散剤は要求特性を十分に満たしていなかった。
【0005】
従来の分散体組成物の最大の問題は、分散媒として水を用いる分散体組成物をポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂などに適用する場合、水及びポリオールのマスターバッチ又は水とエポキシのマスターバッチを製造する工程がさらに必要とされることがあり、分散質の凝集を防ぐための界面活性剤が必要であった。
【0006】
したがって、別個の分散剤又は界面活性剤を使用せずに、分散質の凝集及び沈殿を防止又は改善することができる分散体及び分散体組成物の開発と、前記分散体をポリウレタンなどに適用するための鎖延長剤及び前記分散体を硬化剤として用いるエポキシ樹脂組成物の開発が必要な実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国 公開特許公報 第10-2013-0023254号
【特許文献2】韓国 公開特許公報 第10-2013-0096307号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のような問題点を解決するために、本発明は、無機物又は有機物由来の等方性及び/又は異方性材料を分散質として用い、それを室温で固体であるポリオール及び糖類などの分散媒に分散させることによって、保管及び使用が容易であり、輸送コストが低減され、製品保管時に発生する凝集及び沈殿現象を防止又は改善し、作業効率を向上させ、工程費用を低減し、ポリウレタンに適用時、強度を向上させることができ、従来の硬化剤に比べて向上された強度を提供することができる固体分散体、その製造方法、それを用いる鎖延長ポリウレタン及びそれを含むエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した技術的課題を解決するために、本発明の第1側面は、分散質及び前記分散質が分散されている分散媒を含む固体分散体であって、前記分散質が有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、前記分散媒が室温で固体状態の非水性分散媒である固体分散体を提供する。
【0010】
本発明の別の側面によれば、前記固体分散体を含む分散体組成物が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、分散質及び分散媒を混合する工程;及び混合物中の分散媒を溶融させる工程;を含む固体分散体の製造方法であって、前記分散質が、有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、前記分散媒が、室温で固体状態の非水性分散媒である固体分散体の製造方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、ポリウレタンプレポリマーと、前記固体分散体の反応によって製造される鎖延長ポリウレタンが提供される。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、(1)ポリウレタンプレポリマーに、前記固体分散体を添加する工程;及び(2)得られた前記工程(1)の混合物を反応させる工程;を含む鎖延長ポリウレタンの製造方法が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、エポキシ樹脂;及び前記固体分散体;を含むエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、エポキシ樹脂及び前記固体分散体を混合する工程を含むエポキシ樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、前記エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の側面によれば、前記硬化物を含む成形品が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による無機物又は有機物由来の等方性材料及び/又は異方性材料が分散されている固体分散体は、製品保管中の凝集を低減又は排除することができ、それにより、製品(固体分散体)使用時の工程投入時間の短縮が可能であり、凝集した製品を再分散させるための別途の追加工程又は時間を低減又は排除することができ、そのような追加作業時の作
業者の労働及び安全に対する懸念がほとんど又は全くないため、作業効率を向上させることができる。
また、本発明の固体分散体は、多量の分散質が均一に分散されており、これをポリウレタンの鎖延長剤として用いるとき、従来の鎖延長剤に比べて強度を向上させることができる。
硬化剤として用いる場合、従来の硬化剤に比べて強度が向上されたエポキシ樹脂の硬化物に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、分散質及び前記分散質が分散されている分散媒を含む固体分散体であって、前記分散質が、有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、前記分散媒が室温で固体状態の非水性分散媒である固体分散体に関するものである。
【0020】
また、本発明の別の側面によれば、前記固体分散体を含む分散体組成物が提供される。
【0021】
本発明の固体分散体又は分散体組成物は室温で固体であってもよい。本明細書において、室温とは、20±5℃の範囲の常温であり、例えば、25℃であってもよい。特に限定されないが、本発明の固体分散体は、鎖延長用室温固体分散体又は硬化用室温固体分散体として用いることができる。
【0022】
本発明の固体分散体は、分散媒に分散された分散質を含む。前記固体分散体に含まれた分散質が高分子又は硬化物の製造(例えば、ポリウレタンの製造又はエポキシ硬化物の製造)に適用されるとき、その分散質の種類に応じて製造された高分子又は硬化物(例えば、ポリウレタン又はエポキシ硬化物)の電気的性質、熱的物性及び/又は機械的物性などを向上させる役割を果たす可能性があるが、これに限定されない。
【0023】
本発明の分散媒中に分散されている分散質粒子は、無機物粒子、有機物粒子又はそれらの混合物から選ばれてもよい。
【0024】
例えば、無機物粒子としては、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、スズ、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀(例えば銀粒子、銀ナノワイヤ、銀ナノロッドなど)、金(例えば、金粒子、金ナノワイヤ、金ナノロッドなど)、白金、それらの2つ以上の金属の合金、又はそれらの2つ以上の混合物を用いることができる。そのとき、前記無機物粒子を媒体から安定して取り出すために、アルカン酸、脂肪酸、ヒドロキシカルボン酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルケニルコハク酸無水物、チオール、フェノール誘導体、アミン、両親媒性ポリマー、高分子界面活性剤、低分子界面活性剤などの保護剤でコーティングすることができる。
【0025】
その他に、カオリン、クレイ、タルク、マイカ、ベントナイト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、石綿、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硅藻土、カーボンブラック、黒鉛、岩綿、ガラスウール、ガラス繊維、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、炭素ナノ繊維又は炭素ナノチューブ(単層炭素ナノチューブ、二層壁炭素ナノチューブ又は多層炭素ナノチューブなど)等を無機物粒子として用いることができ、前述した無機物粒子のうち、2種以上の混合物が用いることができるが、それらに限定されない。
【0026】
また、有機物粒子としては、アゾ系化合物、ジアゾ系化合物、縮合アゾ系化合物、チオインジゴ系化合物、インダントロン系化合物、キナクリドン系化合物、アントラキノン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ペリレン系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラピリジン系化合物又はジオキサジン系化合物などの有機顔料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ乳酸、アセテート繊維、セルロース(例えば、ナノセルロースフィブリル、ナノセルロースクリスタルなど)、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、デンプン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド又はポリイミドなどの高分子樹脂;又はそれらの2種以上の混合物を用いることができるが、それらに限定されない。
【0027】
本発明の分散媒に分散されている前記分散質粒子は、結晶状又は非晶質状であってもよい。また、本発明の分散媒に分散されている前記分散質粒子は、等方性粒子、異方性粒子又は繊維状粒子であってもよい。
【0028】
本発明の分散媒に分散されている前記分散質粒子は、好ましくは、ナノセルロースフィブリル、ナノセルロースクリスタル、グラフェン、グラファイト、炭素ナノチューブ、炭素ナノ繊維、銀粒子、銀ナノワイヤ、銀ナノロッド、金粒子、金ナノワイヤ、金ナノロッド又はそれらの組み合わせよりなる群から選ばれた一つ以上であってもよいが、それらに限定されない。
【0029】
本発明において、前記分散質粒子は、公知の方法によって得ることができる。分散質の微粒子を作成する方法としては、粗大粒子を機械的に粉砕して微細化するトップダウン方式と、複数の単位粒子を生成し、それらが凝集したクラスター状態を経て粒子が形成されるボトムアップ方式の2種類がある。任意の方法で調製されたものであっても好ましく用いることができる。また、微粒子の調製方法としては、湿式法及び乾式法のいずれの方法を使用してもよい。また、ボトムアップ方式には、物理的方法と化学的方法があるが、いずれの方法であってもよい。
【0030】
ボトムアップ方式をより詳細に説明するために、前記分散質粒子の中で金属ナノ粒子を調製する方法を例示する。ボトムアップ方式には、物理的方法の代表例として、バルク金属を不活性ガス中で蒸発させ、ガスとの衝突により冷却・凝縮させて、ナノ粒子を生成するガス蒸発法がある。また、化学的方法には、液相の保護剤の存在下で金属イオンを還元し、生成されたゼロ価金属をナノサイズで安定化する液相還元法又は金属錯体の熱分解法などがある。液相還元法としては、化学的還元法、電気化学的還元法、光還元法、又は化学的還元法と光照射還元法とを組み合わせた方法などを利用することができる。
【0031】
また、本発明で好ましく用いられる分散質粒子は、前記のトップダウン方式及びボトムアップ方式のいずれかによって得ることができ、水液相、非水液相及び気相の任意の環境下で製造することができる。
【0032】
本発明の固体分散体は、分散質を分散させるための分散媒を含む。前記固体分散体に含まれた分散媒をポリウレタンの製造に適用する場合、ポリウレタンの鎖を延長する役割を果たすことができ、前記固体分散体に含まれた分散媒がエポキシ樹脂の硬化に適用される場合、エポキシ樹脂を硬化させる役割を果たすことができる。
【0033】
本発明で使用可能な分散媒は、室温では固体であるが、室温を超える温度に昇温すると
、液状に変化することができる非水系分散媒であってもよい。このような非水系分散媒を用いることにより、室温で固体分散体を保管するとき、分散質の凝集又は沈殿を防止又は改善して、分散安定化を達成することができる。
【0034】
前記非水系分散媒は、好ましくは、ポリウレタンの鎖を延長するか、又はエポキシ樹脂を硬化させることができるものであってもよい。例えば、糖類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、水素化糖、アルカンジオール、アミン系化合物、フェノール系化合物、イミダゾール系化合物、酸無水物系化合物、無水糖アルコール又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上を用いることができる。
【0035】
糖類には、単糖類、二糖類及び多糖類が含まれ、前記単糖類の種類は、特に限定されない。室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース又はそれらの混合物などを単糖として用いることができる。
【0036】
前記二糖類の種類は、特に限定されるものではなく、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、マルトース、スクロース、ラクトース又はそれらの混合物などを用いることができる。
【0037】
前記多糖類の種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、オリゴ糖、セルロース、デンプン、グリコーゲン又はそれらの混合物などを用いることができる。
【0038】
前記ポリエーテルポリオールの種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、ポリプロピレングリコール変成体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリテトラヒドロフラン)又はそれらの混合物などを用いることができる。
【0039】
前記ポリエステルポリオールの種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、ブチレンアジぺートジオール、1,6-ヘキサンアジペートジオール又はそれらの混合物などを用いることができる。
【0040】
前記水素化糖の種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール、ヘプチトール又はそれらの混合物などが用いられ、好ましくはヘキシトール、例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0041】
前記アルカンジオールの種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0042】
ただ、化学的分散媒を用いると、環境問題が発生する可能性がある。例えば、フェノール系化合物を用いた場合、硬化後に少量の遊離フェノールが検出されるという問題がある。また、アミン系化合物を用いた場合、臭気による作業に制限がある。
【0043】
一実施形態によれば、本発明の非水性分散媒として、無水糖アルコール(例えば、一無水糖アルコール、二無水糖アルコール又はそれらの混合物など)を用いることが好ましい場合がある。この場合、臭気による作業の制限及び硬化後に化学的物質が溶出される問題などがない。
【0044】
前記アミン系化合物の種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアミン、(R)-(+)-1,1'-ビ
ナフチル-2,2’-ジアミン、(S)-(-)-1,1'-ビナフチル-2,2’-ジ
アミン、1,1'-ビナフチル-2,2'-ジアミン、4-エトキシベンゼン-1,2-ジアミン、ジアミド-dPEG(登録商標)-ジアミン、(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン、N,N-ビス(4-ブチルフェニル)ベンゼン-1,4-ジアミン又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0045】
前記フェノール系化合物の種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,5-ジメチルフェノール、2,3-ジメチルフェノール又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0046】
前記イミダゾール系化合物の種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、イミダゾールトリフルオロメタンスルホネート、イミダゾール-2-カルボン酸、4-ブロモ-1H-イミダゾール、N-ベンジル-2-ニトロ-1H-イミダゾール-1-アセトアミド、2-クロロ-1H-イミダゾール、イミダゾール-d、イミダゾール-N、イミダゾール-2-C,N又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0047】
前記酸無水物系化合物の種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、イタコン酸無水物、トランス-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、3,3-テトラメチレングルタル酸無水物、ステアリン酸無水物、cis-アコニット酸無水物、トリメリット酸無水物クロリド、フェニルコハク酸無水物、3,3-ジメチルグルタル酸無水物、メチルコハク酸無水物又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0048】
前記一無水糖アルコールの種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、テトリタン(tetritan)、ペンチタン(pentitan)、ヘキシタン(hexitane)、ヘプチタン(heptitan)又はそれらの混合物などであってもよく、好ましくは、ヘキシタン(hexitane)、例えば、ソルビタン、マンニタン、イジタン、ガラクチタン又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0049】
前記二無水糖アルコールの種類は、特に限定されるものではなく、室温で固体であり、室温を超える融点以上に昇温すると、液体状態に変わるものであれば、無制限に用いることができる。例えば、二無水糖ヘキシトールなどであってもよく、好ましくは、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの混合物よりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0050】
一実施形態において、本発明の固体分散体が鎖延長用室温固体分散体である場合、分散媒として、無水糖アルコール、水素化糖、アルカンジオール又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上を用いることができる。
【0051】
一実施形態において、本発明の固体分散体が硬化用室温固体分散体である場合、分散媒として、アミン系化合物、フェノール系化合物、イミダゾール系化合物、酸無水物系化合物、無水糖アルコール又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上を使用することができる。好ましくは、一無水糖アルコール及び二無水糖アルコールなどの無水糖アルコールから選ばれる1又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0052】
本発明の固体分散体において、分散質の含量は、用いられる分散質の種類に応じて変わり得るが、分散媒100重量部に対して、0.0001重量部以上、0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.5重量部以上、又は1重量部以上であってもよく、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、60重量部以下又は50重量部以下であってもよく、例えば、0.0001重量部~95重量部、好ましくは0.05重量部~80重量部であってもよいが、これに限定されない。前記分散質の含量が少な過ぎると、固体分散体を適用したポリウレタンの強度向上が弱くなり、固体分散体を適用したエポキシ樹脂硬化物での分散質効果による物理的、電気的特性などが低下することがある。前記分散質の含量が多すぎると、固体分散体内に均一に分散された状態ではなく、分散質同士が絡み合った状態で存在する可能性がある。
【0053】
本発明は、別の側面によれば、分散質及び分散媒を混合する工程;及び混合物中の分散媒を溶融させる工程;を含む固体分散体の製造方法であって、前記分散質が有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、前記分散媒が室温で固体状態の非水性分散媒である、固体分散体の製造方法が提供される。
【0054】
特に限定されないが、前記混合物中の分散媒を溶融させる工程において、分散媒の融点以上の温度で真空をかけることにより、水分を除去しながら前記混合物を溶融させることができる。さらに、次に、前記溶融した混合物を室温で冷却して、固体分散体を得ることができる。
【0055】
本明細書において、前記固体分散体の製造方法に記載された各成分は、前述した固体分散体の成分と同じである。
【0056】
本発明はさらに別の側面によれば、(1)ポリウレタンプレポリマーに、前記本発明の固体分散体を添加する工程;及び(2)得られた前記工程(1)の混合物を反応させる工程;を含む、鎖延長ポリウレタンの製造方法が提供される。
【0057】
本発明の鎖延長ポリウレタンの製造方法において、前記ポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる。例えば、50~100℃、好ましくは70~90℃で12~36時間、好ましくは20~28時間十分に真空乾燥させたポリオールとポリイソシアネートを4口反応器に加えた後、窒素雰囲気下で、50~100℃、好ましくは50~70℃の温度を維持しながら、0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間反応させて、ポリウレタンプレポリマーを製造することができる。
【0058】
本発明で使用できるポリオールは、特に限定されないが、ポリエーテルポリオールを使用できる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体やブロック共重合体、エチレンオキシドとブチレンオキシドのランダム共重合体又はブロック共重合体などを用いることができる。
【0059】
本発明で使用できるポリイソシアネート化合物は特に制限されないが、具体的には、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-ト
リレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジ
フェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4',4''-トリフェニルメタントリイソシ
アネート、m-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジエチルアゾジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0060】
本発明の鎖延長ポリウレタンの製造方法において、前記ポリウレタンプレポリマーに、鎖延長用固体分散体を加えた後、それらをコーティング処理されたモールド内に加えた後、80~200℃、好ましくは100~150℃で、10~30時間、好ましくは15~25時間硬化させて、鎖延長ポリウレタンを製造することができる。
【0061】
本発明はさらに別の側面によれば、ポリウレタンプレポリマーと、前記本発明の固体分散体との反応によって製造された鎖延長ポリウレタンが提供される。
【0062】
本明細書において、前記鎖延長ポリウレタン及び鎖延長ポリウレタンの製造方法に記載された各成分は、前記の固体分散体の成分と同じである。
【0063】
本発明のさらに別の側面によれば、エポキシ樹脂;及び前記固体分散体;を含むエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0064】
一実施形態において、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA-エピクロロヒドリン樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、二環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、臭化エポキシ樹脂、バイオ由来エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを挙げられるが、それらに限定されない。
【0065】
別の実施形態において、エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタングリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミンなどの芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒドロキノン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂;アルキル変成トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変成フェノール型エポキシ樹脂;ナフトール型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、脂環式ジエポキシ-アジぺートなどの脂環式エポキシなどの脂肪族エポキシ樹脂又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを挙げられるが、それらに限定されない。
【0066】
さらに別の実施形態において、エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジフェニルホスフェート(DPP)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテルなどの一つのエポキシ基を有するグリシジルエーテル、これらエポキシ樹脂の核水素化エポキシ樹脂又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0067】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂と固体分散体の含有率は、エポキシ樹脂に対する固体分散体の当量比(固体分散体の当量/エポキシ樹脂の当量)が、例えば、0.25~1.75の範囲、より具体的には、前記当量比が0.75~1.25の範囲、さらに具体的には、前記当量比が0.95~1.05の範囲である。エポキシ樹脂の当量に対する固体分散体の当量が小さすぎると、機械的強度が低下し、熱的及び接着強度に関する物性が低下される問題が生じる可能性がある。逆に、エポキシ樹脂の当量に対する固体分散体の当量が多すぎると、機械的強度、熱的及び接着強度の側面で物性が低下される問題が生じる可能性がある。
【0068】
硬化促進効果のために、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化触媒をさらに含むことができる。
【0069】
本発明で使用可能な硬化触媒は、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのアミン化合物(例えば、第三級アミン);1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;トリフェニルフォスフィン、亜燐酸トリフェニルなどの有機リン化合物;テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミドなどの第四級ホスホニウム塩;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等やその有機塩などのジアザビシクロアルケン;オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ又はアルミニウムアセチルアセトン錯体などの有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;三フッ化ホウ素、トリフェニ
ルボレートなどのホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二スズなどの金属ハロゲン化物;潜在性硬化触媒(例えば、ジシアンジアミド、アミンをエポキシ樹脂などに付加した高融点分散型潜在性アミン付加物;イミダゾール系、リン系、フォスフィン系促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性触媒;アミン塩型潜在性触媒;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩などの高温解離型の熱カチオン重合型の潜在性触媒など)又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものが挙げられるが、そられに限定されない。
【0070】
一実施形態において、硬化触媒は、アミン化合物、イミダゾール化合物、有機リン化合物又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0071】
本発明のエポキシ樹脂組成物に硬化触媒が含まれる場合、その使用量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01重量部~1.0重量部、より具体的には0.05重量部~0.5重量部、さらに具体的には0.08重量部~0.2重量部であってもよいが、それらに限定されない。硬化触媒の使用量が少な過ぎると、エポキシ樹脂の硬化反応が十分に進まず、機械的物性及び熱的物性が低下される場合がある。逆に、硬化触媒の使用量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物を保管していても硬化反応が遅くなり、粘度が上昇するという問題が生じる可能性がある。
【0072】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、エポキシ樹脂組成物に通常使用される添加剤成分を一つ以上さらに含むことができる。
【0073】
このような添加剤成分としては、例えば、酸化防止剤、UV吸収剤、充填剤、樹脂改質剤、シランカップリング剤、希釈剤、着色剤、消泡剤、消泡制、分散剤、粘度調節剤、光沢調節剤、湿潤剤、伝導性付与剤又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを用いることができる。
【0074】
前記酸化防止剤は、得られる硬化物の耐熱安定性をさらに改善させるために用いることができ、特に限定されない。例えば、フェノール系酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエンなど)、硫黄系酸化防止剤(メルカプトプロピオン酸誘導体など)、リン系酸化防止剤(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシドなど)又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを用いることができる。組成物内の酸化防止剤の含量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01~10重量部、又は0.05~5重量部、又は0.1~3重量部であってもよい。
【0075】
前記UV吸収剤は、特に限定されないが、例えば、BASFジャパン社製のTINUBIN P及びTINUVIN 234などのベンゾトリアゾール系UV吸収剤;TINUVIN 1577EDのようなトリアジン系UV吸収剤;CHIMASSOLV 2020FDLなどのヒンダードアミン系UV吸収剤又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを用いることができる。組成物内のUV吸収剤の含量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01~10重量部、又は0.05~5重量部、又は0.1~3重量部であってもよい。
【0076】
前記充填剤は、エポキシ樹脂又は硬化剤に配合して硬化物の機械的特性を向上させることを主目的として使用されている。一般に、添加量が増えると、機械的特性は向上される。無機質充填剤には、タルク、砂、シリカ、炭酸カルシウム、などの増量剤;マイカ、石英、ガラス繊維等の補強性充填剤;石英粉、グラファイト、アルミナ、エアロジル(チキソトロピー特性を付与する目的)等の特殊な用途を有するものがあり、金属質には、アルミニウム、酸化アルミニウム、鉄、酸化鉄、銅などの熱膨張係数、耐摩耗性、熱電導性、接着性に寄与するものがあり、酸化アンチモン(SB23)などの難燃性を付与するもの
があり、チタン酸バリウム、有機物には微細なプラスチック球(フェノール樹脂、尿素樹脂など)のような軽量化用充填剤などがある。また、補強性を有する充填剤として、各種ガラス繊維や化学繊維クロスは、積層品の製造において広い意味の充填剤として取り扱うことができる。樹脂にチキソトロピー性(液浸により垂直面に含浸した樹脂、または硬化中に垂直面に含浸した樹脂がこぼれたり失われたりすることを防ぐために、流動時に液体状態、静止時に固体状態となる性質を有することをいう)を付与するために単位表面積が広い微細な粒子を用いる。例えば、コロイダルシリカ(Aerosil)やベントナイト系列の粘土質が用いられる。
【0077】
一実施形態において、充填剤は特に限定されない。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、酸化チタン、アルミナ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるものを用いることができる。組成物中の充填剤の含量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01~80重量部、又は0.01~50重量部、又は0.1~20重量部であってもよい。
【0078】
前記樹脂改質剤は、特に限定されない。例えば、ポリプロピレングリシジルエーテル、重合脂肪酸ポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール、ウレタンプレポリマーなどの可撓性付与剤などが挙げられる。組成物中の樹脂改質剤の含量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01~80重量部、又は0.01~50重量部、又は0.1~20重量部であってもよい。
【0079】
前記シランカップリング剤は特に限定されない。例えば、クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。組成物中のシランカップリング剤の含量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01~20重量部、又は0.05~10重量部、又は0.1~5重量部であってもよい。
【0080】
前記希釈剤は、エポキシ樹脂や硬化剤に添加して粘度を下げることを主目的として用いられ、使用時に、流動性、消泡性の改善、部品への浸透性の改善など、又は充填剤を効果的に添加することができるようにする役割を果たす。希釈剤は、一般に溶剤とは異なり揮発せず、樹脂硬化時に硬化物に残存することで、反応性と非反応性の希釈剤とに分かれる。ここで、反応性の希釈剤は、1つ以上のエポキシ基を有し、反応に関与して硬化物の架橋構造に入り、非反応性希釈剤は、単に硬化物中に物理的に混合されて分散されるだけである。一般に使用される反応性希釈剤には、ブチルグリシジルエーテル(BGE)、フェニルグリシジルエーテル(PGE)、脂肪族グリシジルエーテル(C12-C14)、修飾t-カルボキシルグリシジルエステル等が含まれる。一般に使用される非反応性希釈剤には、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、ノニルフェノール、Hysol等が用いられる。
【0081】
一実施形態において、希釈剤は特に限定されないが、例えば、n-ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル又はそれらの組合わせを用いることができる。組成物中の希釈剤の含量は、前記エポキシ樹脂及び固体分散体の合計100重量部に対して、0.01~80重量部、又は0.01~50重量部、又は0.1~20重量部であってもよい。
【0082】
樹脂に色を追加するための着色剤には顔料又は染料が用いられる。一般に用いられる顔料には、二酸化チタニウム、カドミウムレッド、シャイニィグリーン、カーボンブラック、クロームグリーン、クロムイエロー、ネイビーブルー、シャイニィブルー、などの着色剤が用いられる。
【0083】
また、樹脂から気泡を除去するための消泡剤及び脱泡剤、樹脂と顔料との分散効果を高めるための分散剤、エポキシ樹脂同士の密着性を向上させる湿潤剤、粘度調節剤、樹脂の光沢度の調節のための光沢調節剤、接着力を向上させるための添加剤、電気的性質を与えるための添加剤など種々添加剤が使用可能である。
【0084】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、密閉硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉など従来から知られている硬化装置を用いることができる。該当硬化に利用する加熱方法は、特に限定されないが、例えば、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱などの従来の公知の方法によって行うことができる。
【0085】
硬化温度及び硬化時間は、80℃~250℃で30秒~10時間の範囲であってもよい。一実施形態では、80℃~120℃、0.5時間~5時間の条件で前硬化した後、120℃~180℃、0.1時間~5時間の条件で後硬化することができる。一実施形態では、短時間硬化のために、150℃~250℃、30秒~30分の条件で硬化することができる。
【0086】
本発明のさらに別の側面によれば、エポキシ樹脂及び前記固体分散体を混合する工程を含むエポキシ樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0087】
本発明のさらに別の側面によれば、前記エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物が提供される。
【0088】
本発明のさらに別の側面によれば、前記硬化物を含む成形品が提供される。
【実施例0089】
本発明は、以下の実施例および比較例を通じてより詳細に説明される。しかしながら、本発明の範囲は、それによっていかなる方法にも限定されない。
【0090】
[実施例]
1.鎖延長用固体分散体及び鎖延長ポリウレタンの製造
<鎖延長用固体分散体の製造>
実施例1-A1: ナノセルロースフィブリルと無水糖アルコールを含む固体分散体
ロータリーエバポレータに、イソソルビド100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加えて、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。
【0091】
実施例1-A2: ナノセルロースフィブリルと水素化糖を含む固体分散体
ロータリーエバポレータに、ソルビトール100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加えて、均一に混合した。その後、ソルビトールの融点以上の100℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、ナノセルロースフィブリルが分散されたソルビトール(固体分散体)を製造した。
【0092】
実施例1-A3: ナノセルロースフィブリルとアルカンジオールを含む固体分散体
ロータリーエバポレータに1,4-ブタンジオール100g(シグマアルドリッチ社製
)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、1,4-ブタンジオールの融点以上の40℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、ナノセルロースフィブリルが分散された1,4-ブタンジオール(固体分散体)を製造した。
【0093】
実施例1-A4: グラフェンと無水糖アルコールを含む固体分散体
ロータリーエバポレータに、イソソルビド100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。
【0094】
実施例1-A5: グラフェンと水素化糖を含む固体分散体
ロータリーエバポレータに、ソルビトール100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、ソルビトールの融点以上の100℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたソルビトール(固体分散体)を製造した。
【0095】
実施例1-A6: グラフェンとアルカンジオールを含む固体分散体
ロータリーエバポレータに、1,4-ブタンジオール100g(シグマアルドリッチ社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、1,4-ブタンジオールの融点以上の40℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散された1,4-ブタンジオール(固体分散体)を製造した。
【0096】
比較例1-A1: ナノセルロースフィブリルとポリプロピレングリコールを含む液状分散体
ロータリーエバポレータに、室温で液体状態のポリプロピレングリコール100g(PPG-3000;KUMHO PETROCHEMICAL社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、真空をかけ、水分を除去しながらナノセルロースフィブリルが分散されたポリプロピレングリコール(液状分散体)を製造した。
【0097】
比較例1-A2: グラフェンとポリプロピレングリコールを含む液状分散体
ロータリーエバポレータに、室温で液体状態のポリプロピレングリコール100g(PPG-3000;KUMHO PETROCHEMICAL社製)とグラフェンが1.5mg/mLに分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、真空をかけ、水分を除去しながらグラフェンが分散されたポリプロピレングリコール(液状分散体)を製造した。
【0098】
<鎖延長ポリウレタンの製造>
実施例1-B1: ナノセルロースフィブリルと無水糖アルコールを含む固体分散体を用いたポリウレタンの製造
80℃で24時間十分に真空乾燥させたポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)(PTMEG、分子量:1,000)100g(0.1mol)と4,4’-メチレンジフ
ェニルジイソシアネート(MDI)50.5g(0.2mol)を4口反応器に加えた後
、窒素の雰囲気下で、60℃の温度を維持しながら1時間反応して、ポリウレタンプレポリマーを製造した。次に、ポリウレタンプレポリマーのNCO%を測定して理論的なNCO%に達したとき、前記実施例1-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド14.6gを鎖延長剤として加え、混合物をコーティング処理されたモールド内に投入した後、110℃で16時間硬化させて、鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0099】
実施例1-B2: グラフェンと無水糖アルコールを含む固体分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記実施例1-A4で製造された分散体(グラフェンが分散されたイソソルビド)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0100】
実施例1-B3: ナノセルロースフィブリルとアルカンジオールを含む固体分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記実施例1-A3で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散された1,4-ブタンジオール)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0101】
実施例1-B4: グラフェンとアルカンジオールを含む固体分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記実施例1-A6で製造された分散体(グラフェンが分散された1,4-ブタンジオール)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0102】
実施例1-B5: ナノセルロースフィブリルと水素化糖を含む固体分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記実施例1-A2で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたソルビトール)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0103】
実施例1-B6: グラフェンと水素化糖を含む固体分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記実施例1-A5で製造された分散体(グラフェンが分散されたソルビトール)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0104】
比較例1-B1: 無水糖アルコールを鎖延長剤として用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、イソソルビドを用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0105】
比較例1-B2: 無水糖アルコールを鎖延長剤として用いて、別途のナノセルロースフィブリルを加えたポリウレタンの製造
80℃で24時間、十分に真空乾燥させたポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)
(PTMEG、分子量:1,000)100g(0.1mol)とナノセルロースフィブ
リル0.146gを4口反応器に加えた後、窒素の雰囲気下で徐々に撹拌した。次に、窒素の雰囲気下で、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)50.5g(0.2mol)を4口反応器に加えた後、60℃の温度を維持しながら1時間反応して、ポリウレタンプレポリマーを製造した。次いで、ポリウレタンプレポリマーのNCO%を測定し、理論的なNCO%に達したとき、イソソルビドを鎖延長剤として14.6gを加え、これらをコーティング処理されたモールド内に入れた後、110℃で16時間硬化させて、鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0106】
比較例1-B3: 無水糖アルコールを鎖延長剤として用いて、別途のグラフェンを加えたポリウレタンの製造
ナノセルロースフィブリル0.146gの代わりに、グラフェン0.146gを加えたことを除いては、比較例1-B2と同様の方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0107】
比較例1-B4: ナノセルロースフィブリルとポリプロピレングリコールを含む液状分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記比較例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたポリプロピレングリコール)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0108】
比較例1-B5: グラフェンとポリプロピレングリコールを含む液状分散体を用いたポリウレタンの製造
鎖延長剤として、前記実施例1-A1で製造された分散体(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記比較例1-A2で製造された分散体(グラフェンが分散されたポリプロピレングリコール)を用いたこと以外は、実施例1-B1と同じ方法で鎖延長ポリウレタンを製造した。
【0109】
<物性測定方法>
[再分散性評価方法]
前記実施例1-A1~1-A6及び比較例1-A1~1-A2で製造された分散体を24時間、室温保管後、各分散体10gを15mLの水入りのバイアルに入れ、磁石棒を利用して1時間撹拌することによって、試料を製造した。次いで、前記製造された試料内の分散質の分散度を肉眼で観察し、その結果を下記表1に示した。
○○: 分散質の分散状態が、分散体組成物の製造直後と比較して同じ状態である
○: 分散質の分散状態が、分散体組成物の製造直後と比較して、小さな塊が浮いている状態である
×: 分散質の分散状態が分散体組成物の製造直後と比較して、大きな塊りが浮いている状態である
××: 分散質が水に溶解していない状態である
【0110】
[貯蔵安定性評価方法]
前記再分散性評価方法に記載されているのと同じ方法で試料を製造した。次いで、製造された各試料を室温で1時間保管した後、分散質の凝集及び沈殿の程度を肉眼で観察し、その結果を下記表1に示した。
○○: 分散質が凝集せず、沈殿しない
○: 少量の分散質が凝集して、沈殿する
×: ほとんどの分散質が凝集して、沈殿する
【0111】
[引張応力の評価方法]
前記実施例1-B1~1-B6及び比較例1-B1~1-B5で製造されたポリウレタン試片について、ASTM D412に準拠した万能引張試験機を使用して引張応力を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
前記表1に記載のように、本発明の実施例1-A1~1-A6の場合、分散体が室温で固体状態で存在し、貯蔵安定性に優れているため、長期保管が容易であり、また、再分散性に優れていることを確認した。
しかし、分散媒が室温で液体状態にある分散体の場合(比較例1-A1及び1-A2)、分散質が互いに絡み合い、小さな塊り形で凝集し、その結果、再分散性が低下した。また、室温で長期保管時に凝集及び沈殿が発生し、貯蔵安定性が悪いことが確認された。
また、前記表2に記載のように、本発明の実施例1-B1~1-B6の場合、分散質(ナノセルロースフィブリル又はグラフェン)が均一に分散されている分散体を用いるすることにより、鎖延長ポリウレタンの引張応力が30Mpa以上に著しく向上されたことが確認された。
しかし、単に無水糖アルコールのみを鎖延長剤として用いた比較例1-B1の場合、実施例対比引張応力が著しく劣っていた。無水糖アルコールのみを鎖延長剤として用い、添加剤(ナノセルロースフィブリル又はグラフェン)をプレポリマーのポリオールと混合使用した比較例1-B2及び1-B3の場合、添加剤が均一に分散されず、これを適用したポリウレタンの場合、凝集が発生して引張応力を測定することができなかった。
また、分散質が分散されているが、室温で液体状態にある分散体を用いた比較例1-B4及び1-B5の場合、分散質同士が絡み合い、小さな塊の形で凝集し、沈殿した。したがって、試料を用いる前に、追加の撹拌工程を実施する必要があった。長期間保管する場合、分散質が凝集し、撹拌しても分散され難い問題があった。
【0115】
2.硬化用固体分散体及びエポキシ樹脂組成物の製造
<硬化用固体分散体の製造>
実施例2-A1: ナノセルロースフィブリルと無水糖アルコールを含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒としてイソソルビド100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルを1重量%分散させた水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を
溶融した。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド(硬化用固体分散体)を製造した。
【0116】
実施例2-A2: グラフェンと無水糖アルコールを含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒としてイソソルビド100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、グラフェンが分散されたイソソルビド(硬化用固体分散体)を製造した。
【0117】
実施例2-A3: ナノセルロースフィブリルとアミン系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒として(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン10g(シグマアルドリッチ社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液10g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、(1R,2R)-N、N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミンの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散された(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン(硬化用固体分散体)を製造した。
【0118】
実施例2-A4: グラフェンとアミン系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒として(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン10g(シグマアルドリッチ社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液10g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミンの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、グラフェンが分散された(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン(硬化用固体分散体)を製造した。
【0119】
実施例2-A5: ナノセルロースフィブリルとフェノール系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒として2,3-キシレノール10g(シグマアルドリッチ社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液10g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、2,3-キシレノールの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散された2,3-キシレノール(硬化用固体分散体)を製造した。
【0120】
実施例2-A6: グラフェンとフェノール系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒として2,3-キシレノール10g(シグマアルドリッチ社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液10g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、2,3-キシレノールの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、グラフェンが分散された2,3-キシレノール(硬化用固体分散体)を製造した。
【0121】
実施例2-A7: ナノセルロースフィブリルとイミダゾール系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒としてイミダゾール10g(シグマアルドリッチ社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液10g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、イミダゾールの融点以上の100℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたイミダゾール(硬化用固体分散体)を製造した。
【0122】
実施例2-A8:グラフェンとイミダゾール系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒としてイミダゾール10g(シグマアルドリッチ社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、イミダゾールの融点以上の100℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、グラフェンが分散されたイミダゾール(硬化用固体分散体)を製造した。
【0123】
実施例2-A9: ナノセルロースフィブリルと酸無水物系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒としてマレイン酸無水物100g(シグマアルドリッチ社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、マレイン酸無水物の融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたマレイン酸無水物(硬化用固体分散体)を製造した。
【0124】
実施例2-A10: グラフェンと酸無水物系化合物を含む硬化用固体分散体
ロータリーエバポレータに、分散媒としてマレイン酸無水物100g(シグマアルドリッチ社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、マレイン酸無水物の融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、グラフェンが分散されたマレイン酸無水物(硬化用固体分散体)を製造した。
【0125】
比較例2-A1: ナノセルロースフィブリルとポリプロピレングリコールを含む硬化剤
ロータリーエバポレータに、室温で液体状態のポリプロピレングリコール100g(PPG-3000;KUMHO PETROCHEMICAL社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、真空をかけ、水分を除去しながらナノセルロースフィブリルが分散されたポリプロピレングリコール(液状硬化剤)を製造した。
【0126】
比較例2-A2: グラフェンとポリプロピレングリコールを含む硬化剤
ロータリーエバポレータに、室温で液体状態のポリプロピレングリコール100g(PPG-3000;KUMHO PETROCHEMICAL社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、真空をかけ、水分を除去しながらグラフェンが分散されたポリプロピレングリコール(液状硬化剤)を製造した。
【0127】
<エポキシ樹脂組成物の製造>
実施例2-B1: ナノセルロースフィブリルと無水糖アルコールを含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)系の二管能性エポキシ樹脂(YD-128;KUKDO CHEMICAL社製)、エポキシ当量(EEW):187g/eq、1当量)と前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド(SAMYANG社製、ヒドロキシ当量(HEW):73g/eq、1当量)を混合し、前記混合物100重量部に対して、触媒としてN,N-ジメチルブチルアミン0.1重量部を加えて、エポキシ樹脂組成物を製造した。
次いで、テフロンフィルムでコーティングされたモールドに前記エポキシ樹脂組成物を入れ、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間、及び180℃で1時間段階的に硬化させた。
【0128】
実施例2-B2: グラフェンと無水糖アルコールを含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A2で製造されたグラフェンが分散されたイソソルビド(SAMYANG社製、ヒドロキシ当量(HEW):73g/eq、1当量)を用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0129】
実施例2-B3: ナノセルロースフィブリルとアミン系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A3で製造されたナノセルロースフィブリルが分散された(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミンを用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0130】
実施例2-B4: グラフェンとアミン系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A4で製造されたグラフェンが分散された(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミンを用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0131】
実施例2-B5: ナノセルロースフィブリルとフェノール系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A5で製造されたナノセルロースフィブリルが分散された2,3-キシレノールを用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0132】
実施例2-B6: グラフェンとフェノール系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A6で製造されたグラフェンが分散された2,3-キシレノールを用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成
物を製造した後、硬化させた。
【0133】
実施例2-B7: ナノセルロースフィブリルとイミダゾール系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A7で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイミダゾールを用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0134】
実施例2-B8: グラフェンとイミダゾール系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A8で製造されたグラフェンが分散されたイミダゾールを用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0135】
実施例2-B9: ナノセルロースフィブリルと酸無水物系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A9で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたマレイン酸無水物を用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0136】
実施例2-B10: グラフェンと酸無水物系化合物を含む硬化用固体分散体を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、前記実施例2-A10で製造されたグラフェンが分散されたマレイン酸無水物を用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0137】
比較例2-B1: 無水糖アルコールを硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記前記実施例2-A1で製造されたナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビドの代わりに、イソソルビド(SAMYANG社製、ヒドロキシ当量(HEW):73g/eq、1当量)を用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0138】
比較例2-B2: 無水糖アルコールを硬化剤として用いて、別途のナノセルロースフィブリルを加えたエポキシ樹脂組成物の製造
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)系のニ管能性エポキシ樹脂(YD-128;KUKDO CHEMICAL社製、エポキシ当量(EEW):187g/eq、1当量)、イソソルビド(SAMYANG社製、ヒドロキシ当量(HEW):73g/eq、1当量)及びナノセルロースフィブリル0.73gを混合し、前記混合物100重量部に対して、触媒としてN,N-ジメチルブチルアミン(DMBA;シグマアルドリッチ社製)0.1重量部を加えて、エポキシ樹脂組成物を製造した。
次いで、テフロンフィルムでコーティングされたモールドに前記エポキシ樹脂組成物を入れ、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間、及び180℃で1時間段階的に硬化させた。
【0139】
比較例2-B3: 無水糖アルコールを硬化剤として用いて、別途のグラフェンを加えたエポキシ樹脂組成物の製造
ナノセルロースフィブリル0.73gの代わりに、グラフェン0.73gを加えたことを除いては、比較例2-B2と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0140】
比較例2-B4: ナノセルロースフィブリルとポリプロピレングリコールを含む硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造された硬化剤(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記比較例2-A1で製造された硬化剤(ナノセルロースフィブリルが分散されたポリプロピレングリコール)を用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0141】
比較例2-B5: グラフェンとポリプロピレングリコールを含む硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の製造
硬化剤として、前記実施例2-A1で製造された硬化剤(ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド)の代わりに、前記比較例2-A2で製造された硬化剤(グラフェンが分散されたポリプロピレングリコール)を用いたこと以外は、実施例2-B1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を製造した後、硬化させた。
【0142】
<物性測定方法>
[再分散性評価方法]
前記実施例2-A1~2-A10及び比較例2-A1~2-A2で製造された硬化用固体分散体を24時間、室温保管後、各硬化用固体分散体10gを15mLの水入りのバイアルに入れ、磁石棒を利用して1時間撹拌することによって、試料を製造した。次いで、前記製造された試料内の分散質の分散度を肉眼で観察し、その結果を下記表3に示した。
○○: 分散質の分散状態が、硬化用固体分散体の製造直後と比較して同じ状態である
○: 分散質の分散状態が硬化用固体分散体の製造直後と比較して、小さな塊りが浮いている状態である
×: 分散質の分散状態が硬化用固体分散体の製造直後と比較して、大きな塊りが浮いている状態である
××: 分散質が水に溶解していない状態である
【0143】
[貯蔵安定性評価方法]
前記再分散性評価方法に記載されたのと同様の方法で試料を製造した。次いで、製造された各試料を室温で1時間保管した後、分散質の凝集及び沈殿程度を肉眼で観察し、その結果を下記表3に示した。
○○: 分散質が凝集せず、沈殿しない
○: 少量の分散質が凝集し、沈殿する
×: ほとんどの分散質が凝集し、沈殿する
【0144】
[引張応力の評価方法]
前記実施例2-B1~2-B10及び比較例2-B1~2-B5で製造されたエポキシ樹脂組成物の硬化物試片について、ASTM D412に準拠して万能引張試験機を利用して引張応力を測定し、各試片について5回の引張応力を測定し、その5回の平均値を下記表4に示した。
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
前記表3に記載のように、本発明の実施例2-A1~2-A10の場合、硬化用固体分散体が室温で固体状態で存在しているため、貯蔵安定性に優れている。その結果、長期保管が容易であり、また、再分散性に優れていることを確認した。
しかし、分散媒が室温で液体状態にある液体状態にある分散体の場合(比較例2-A1及び2-A2)の場合、分散質同士が絡み合い、小さな塊り形の凝集が発生した。その結果、再分散性が低下した。また、室温で長期保管時に凝集・沈殿が発生し、貯蔵安定性が悪いことが確認された。
また、前記表4に記載のように、本発明の実施例2-B1~2-B10の場合、分散質(ナノセルロースフィブリル又はグラフェン)が均一に分散されている硬化用固体分散体を用いることにより、エポキシ樹脂組成物の硬化物の引張応力が68Mpa以上に著しく向上されたことが確認された。
しかし、単に分散媒(無水糖アルコール)のみを硬化剤として用いた比較例2-B1の場合、引張応力は実施例の引張応力よりも著しく劣っていた。分散媒(無水糖アルコール)のみを硬化剤として用い、添加剤(ナノセルロースフィブリル又はグラフェン)を事前に分散させずに混合した比較例2-B2及び2-B3の場合、添加剤が均一に分散されず、これが適用されたエポキシ樹脂組成物の硬化物の場合、凝集が発生して引張応力自体を測定することができなかった。
また、分散質が分散されているが、室温で液体状態で存在する液状分散体を用いた比較例2-B4及び2-B5の場合、分散質同士が絡み合い、小さな塊り形で凝集し、沈殿した。各試片の5回引張応力測定中の2回は、凝集により測定が不可能であり、その引張応力5回平均値が実施例対比著しく悪かった。したがって、試料を用いる前に、追加の撹拌工程を実施する必要があった。長期間保管する場合、分散質が凝集し、撹拌しても分散され難い問題があった。
【0148】
3.分散体組成物の製造
<分散体組成物の製造>
実施例3-1: ナノセルロースフィブリルと単糖類を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、グルコース100g(SAMYANG社製)とナノセルロ
ースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、グルコースの融点以上の150℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたグルコース(固体分散体組成物)を製造した。
【0149】
実施例3-2: ナノセルロースフィブリルと二糖類を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、スクロース100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、スクロースの融点以上の190℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたスクロース(固体分散体組成物)を製造した。
【0150】
実施例3-3: ナノセルロースフィブリルと多糖類を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、デンプン100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano
Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、デンプンの融点以上の220℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたデンプン(固体分散体組成物)を製造した。
【0151】
実施例3-4: ナノセルロースフィブリルと無水糖アルコールを含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、イソソルビド100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、ナノセルロースフィブリルが分散されたイソソルビド(固体分散体組成物)を製造した。
【0152】
実施例3-5: ナノセルロースフィブリルと水素化糖を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、ソルビトール100g(SAMYANG社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、ソルビトールの融点以上の100℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、ナノセルロースフィブリルが分散されたソルビトール(固体分散体組成物)を製造した。
【0153】
実施例3-6: ナノセルロースフィブリルとポリエーテルポリオールを含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、ポリテトラヒドロフラン100g(重量平均分子量:1000g/mol、シグマアルドリッチ社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、ポリテトラヒドロフランの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、ナノセルロースフィブリルが分散されたポリテトラヒドロフラン(固体分散体組成物)を製造した。
【0154】
実施例3-7: グラフェンと単糖類を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、グルコース100g(SAMYANG社製)とグラフェン
が1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、グルコースの融点以上の150℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、グラフェンが分散されたグルコース(固体分散体組成物)を製造した。
【0155】
実施例3-8:グラフェンと二糖類を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、スクロース100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、スクロースの融点以上の190℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたスクロース(固体分散体組成物)を製造した。
【0156】
実施例3-9: グラフェンと多糖類を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、デンプン100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、デンプンの融点以上の220℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたデンプン(固体分散体組成物)を製造した。
【0157】
実施例3-10: グラフェンと無水糖アルコールを含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、イソソルビド100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点以上の80℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたイソソルビド(固体分散体組成物)を製造した。
【0158】
実施例3-11: グラフェンと水素化糖を含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、ソルビトール100g(SAMYANG社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、ソルビトールの融点以上の100℃の温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたソルビトール(固体分散体組成物)を製造した。
【0159】
実施例3-12: グラフェンとポリエーテルポリオールを含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、ポリテトラヒドロフラン100g(重量平均分子量:1000g/mol;シグマアルドリッチ社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、ポリテトラヒドロフランの融点以上の80℃温度条件下で、真空をかけ、水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次いで、前記溶融した混合物を室温まで冷却して、グラフェンが分散されたポリテトラヒドロフラン(固体分散体組成物)を製造した。
【0160】
比較例3-1: ナノセルロースフィブリルとポリプロピレングリコールを含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、室温で液体状態のポリプロピレングリコール100g(PPG-3000;KUMHO PETROCHEMICAL社製)とナノセルロースフィブリルが1重量%で分散された水溶液100g(KB101;Asia Nano Cellulose社製)を加え、均一に混合した。その後、真空をかけ、水分を除去しながらナノセルロースフィブリルが分散されたポリプロピレングリコール(液状分散体組成物
)を製造した。
【0161】
比較例3-2: グラフェンとポリプロピレングリコールを含む分散体組成物
ロータリーエバポレータに、室温で液体状態のポリプロピレングリコール100g(PPG-3000;KUMHO PETROCHEMICAL社製)とグラフェンが1.5mg/mLで分散された水溶液100g(WDG;MExplorer社製)を加え、均一に混合した。その後、真空をかけ、水分を除去しながらグラフェンが分散されたポリプロピレングリコール(液状分散体組成物)を製造した。
【0162】
前記実施例3-1~3-12及び比較例3-1及び3-2で製造された分散体組成物について、下記の方法で再分散性及び貯蔵安定性を評価し、その結果を下記表5に記載した。
【0163】
[再分散性評価方法]
前記実施例3-1~3-12及び比較例3-1及び3-2で製造された分散体組成物を24時間室温保管後、各分散体組成物の10gを15mLの水入りのバイアルに入れ、磁石棒を利用して1時間撹拌することによって、試料を製造した。次いで、前記製造された試料内の分散質の分散度を肉眼で観察した。
○○: 分散質の分散状態が分散体組成物の製造直後と比較して、同じ状態である
○: 分散質の分散状態が分散体組成物の製造直後と比較して、小さな塊りが浮いている状態である
×: 分散質の分散状態が分散体組成物の製造直後と比較して、大きな塊りが浮いている状態である
××: 分散質が水に溶解していない状態である
【0164】
[貯蔵安定性評価方法]
前記再分散性評価方法に記載されているのと同じ方法で試料を製造した。次いで、製造された各試料を室温で1時間保管した後、分散質の凝集・沈殿の程度を肉眼で観察した。
○○: 分散質が凝集せず、沈殿しない
○: 少量の分散質が凝集し、沈殿する
×: ほとんどの分散質が凝集し、沈殿する
【0165】
【表5】
【0166】
前記表5に記載のように、本発明の実施例3-1~3-12の場合、室温において固体
状態で存在し、貯蔵安定性に優れているため、長期間保管が容易であり、また、再分散性に優れていることが確認された。
しかし、分散媒が室温で液体状態にある比較例3-1及び3-2の場合、分散質同士が絡み合い、小さな塊りの形で凝集した。その結果、再分散性が低下した。また、室温で長期間保管時に凝集・沈殿が発生し、貯蔵安定性が悪いことが確認された。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散質及び前記分散質が分散されている分散媒を含む固体分散体であって、
前記分散質が、有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、
前記分散媒が、室温で固体状態の非水性分散媒であり、
前記分散媒が、アミン系化合物、フェノール系化合物、イミダゾール系化合物、酸無水物系化合物、無水糖アルコール又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上である、固体分散体。
【請求項2】
無機物粒子が、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、スズ、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金、カオリン、クレイ、タルク、マイカ、ベントナイト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、石綿、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硅藻土、カーボンブラック、黒鉛、岩綿、ガラスウール、ガラス繊維、グラフェン、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、それらの2つ以上の金属の合金、又はそれらの2つ以上の混合物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
有機物粒子が、アゾ系化合物、ジアゾ系化合物、縮合アゾ系化合物、チオインジゴ系化合物、インダントロン系化合物、キナクリドン系化合物、アントラキノン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ペリレン系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラピリジン系化合物、ジオキサジン系化合物、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ乳酸、アセテート繊維、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、デンプン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリイミド又はそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の固体分散体。
【請求項4】
分散媒が、ポリ(エチレングリコール)ジアミン、(R)-(+)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジアミン、(S)-(-)-1,1'-ビナフチル-2,2’-ジアミン、1,1’-ビナフチル-2,2'-ジアミン、4-エトキシベンゼン-1,2-ジアミン、(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン、N,N-ビス(4-ブチルフェニル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,5-ジメチルフェノール、2,3-ジメチルフェノール、イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、イミダゾールトリフルオロメタンスルホネート、イミダゾール-2-カルボン酸、4-ブロモ-1H-イミダゾール、N-ベンジル-2-ニトロ-1H-イミダゾール-1-アセトアミド、2-クロロ-1H-イミダゾール、イミダゾール-d、イミダゾール-N、イミダゾール-2-C,N、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、イタコン酸無水物、トランス-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、3,3-テトラメチレングルタル酸無水物、ステアリン酸無水物、cis-アコニット酸無水物、トリメリット酸無水物クロリド、フェニルコハク酸無水物、3,3-ジメチルグルタル酸無水物、メチルコハク酸無水物、テトリタン(tetritan)、ペンチタン(pentitan)、ヘプチタン(heptitan)、ソルビタン、マンニタン、イジタン、ガラクチタン、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上である請求項に記載の固体分散体。
【請求項5】
分散質の含量が、分散媒100重量部に対して、0.0001重量部~95重量部である請求項1に記載の固体分散体。
【請求項6】
硬化用室温固体分散体である請求項1に記載の固体分散体。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに1項に記載の固体分散体を含む分散体組成物。
【請求項8】
分散質及び分散媒を混合する工程;及び
混合物中の分散媒を溶融させる工程;
を含む固体分散体の製造方法であって、
前記分散質が、有機物粒子、無機物粒子又はそれらの混合物であり、
前記分散媒が、室温で固体状態の非水性分散媒であり、
前記分散媒が、アミン系化合物、フェノール系化合物、イミダゾール系化合物、酸無水物系化合物、無水糖アルコール又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる一つ以上である、固体分散体の製造方法。
【請求項9】
前記混合物中の分散媒を溶融させる工程は、分散媒の融点以上の温度で真空を適用することによって水分を除去し、混合物を溶融させることによって行われる請求項に記載の固体分散体の製造方法。
【請求項10】
エポキシ樹脂;及び
請求項に記載の固体分散体;
を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
エポキシ樹脂及び請求項に記載の固体分散体を混合する工程を含むエポキシ樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
【請求項13】
請求項12に記載の硬化物を含む成形品。