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特開2023-58573CD123結合タンパク質並びに関連する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058573
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】CD123結合タンパク質並びに関連する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230418BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230418BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230418BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230418BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230418BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230418BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230418BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230418BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12P21/08
C12N5/10
C12N5/0783
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P43/00
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016697
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2019537049の分割
【原出願日】2017-09-21
(31)【優先権主張番号】62/397,736
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/466,192
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511001758
【氏名又は名称】アプティーボ リサーチ アンド デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス-ホヨス,ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】シューエル,イレーヌ,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】マクマハン,キャサリン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ビアンヴニュ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブランケンシップ,ジョン,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】パブリック,ピーター
(57)【要約】      (修正有)
【課題】T細胞の細胞傷害、活性化及び増殖を誘導する、CD123に特異的に結合するタンパク質分子を提供する。
【解決手段】CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、CD123結合ドメインが、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、LCDR1~3及びHCDR1~3が特定のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドを提供する。一実施形態において、多特異性ポリペプチド分子は、CD123発現細胞とT細胞上のT細胞受容体複合体の両方に結合し、標的依存的にT細胞の細胞傷害、活性化及び増殖を誘導する。本開示はまた、CD123結合ポリペプチド分子を含む医薬組成物、これらのポリペプチドをコードする核酸分子、並びにこれらの分子の作製方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、前記CD123結合ドメインが、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1が、配列番号6に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号6と異なる配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号8に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号8と異なる配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号10に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号10と異なる配列を含み;
(d)前記HCDR1が、配列番号12に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号12と異なる配列を含み;
(e)前記HCDR2が、配列番号14に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号14と異なる配列を含み;
(f)前記HCDR3が、配列番号16に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号16と異なる配列を含む、
組み換えポリペプチド。
【請求項2】
前記CD123結合ドメインが、
(a)配列番号6に記載のLCDR1アミノ酸配列;
(b)配列番号8に記載のLCDR2アミノ酸配列;
(c)配列番号10に記載のLCDR3アミノ酸配列;
(d)配列番号12に記載のHCDR1アミノ酸配列;
(e)配列番号14に記載のHCDR2アミノ酸配列;及び
(f)配列番号16に記載のHCDR3アミノ酸配列
を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記CD123結合ドメインが、
(i)配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;及び
(ii)配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域
を含む、請求項1~2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記CD123結合ドメインが、
(i)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;及び
(ii)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域
を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、前記結合ドメインが、LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域並びにHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(i)(a)前記HCDR1が、配列番号28に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号28と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号30に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号30と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号32に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号32と異なる配列を含むか;又は
(ii)(a)前記HCDR1が、配列番号36に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号36と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号38に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号38と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号40に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号40と異なる配列を含むか;又は
(iii)(a)前記HCDR1が、配列番号44に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号44と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号46に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号46と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号48に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号48と異なる配列を含むか;又は
(iv)(a)前記HCDR1が、配列番号100に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号100と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号102に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号102と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号104に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号104と異なる配列を含むか;又は
(v)(a)前記HCDR1が、配列番号108に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号108と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号110に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号110と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号112に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号112と異なる配列を含むか;又は
(vi)(a)前記HCDR1が、配列番号116に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号116と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号118に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号118と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号120に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号120と異なる配列を含むか;又は
(vii)(a)前記HCDR1が、配列番号124に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号124と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号126に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号126と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号128に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号128と異なる配列を含む、
組み換えポリペプチド。
【請求項6】
(a)前記LCDR1が、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を含む、
請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記LCDR1が、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含み、かつ前記LCDR3が、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含み、
(i)(a)前記HCDR1が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むか;又は
(ii)(a)前記HCDR1が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むか;又は
(iii)(a)前記HCDR1が、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号46に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むか;又は
(iv)(a)前記HCDR1が、配列番号100に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号102に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号104に記載のアミノ酸配列を含むか、又は
(v)(a)前記HCDR1が、配列番号108に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号110に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号112に記載のアミノ酸配列を含むか;又は
(vi)(a)前記HCDR1が、配列番号116に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号118に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号120に記載のアミノ酸配列を含むか;又は
(vii)(a)前記HCDR1が、配列番号124に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号126に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号128に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項5又は6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み;かつ
(ii)前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号20、34、42、98、106、114、又は122に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、
請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(ii)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むか;
(iii)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むか;
(iv)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号98に記載のアミノ酸配列を含むか;
(v)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号106に記載のアミノ酸配列を含むか;
(vi)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号114に記載のアミノ酸配列を含むか;又は
(vii)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号122に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、前記結合ドメインが、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1が、配列番号54に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号54と異なる配列を有し、
(b)前記LCDR2が、配列番号56に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号56と異なる配列を有し、
(c)前記LCDR3が、配列番号58に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号58と異なる配列を有し、
(d)前記HCDR1が、配列番号60に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号60と異なる配列を有し、
(e)前記HCDR2が、配列番号61に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号61と異なる配列を有し、かつ
(f)前記HCDR3が、配列番号62に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号62と異なる配列を有する、
組み換えポリペプチド。
【請求項11】
(a)前記LCDR1が、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号56に記載のアミノ酸配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含み;
(d)前記HCDR1が、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含み;
(e)前記HCDR2が、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(f)前記HCDR3が、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号50に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み;かつ
(ii)前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号52に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、
請求項10又は11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(ii)前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、前記CD123結合ドメインが、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1が、配列番号70に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号70と異なる配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号72に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号72と異なる配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号74に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号74と異なる配列を含み;
(d)前記HCDR1が、配列番号76に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号76と異なる配列を含み;
(e)前記HCDR2が、配列番号78に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号78と異なる配列を含み;かつ
(f)前記HCDR3が、配列番号80に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号80と異なる配列を含む、
組み換えポリペプチド。
【請求項15】
(a)前記LCDR1が、配列番号70に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号72に記載のアミノ酸配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号74に記載のアミノ酸配列を含み;
(d)前記HCDR1が、配列番号76に記載のアミノ酸配列を含み;
(e)前記HCDR2が、配列番号78に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(f)前記HCDR3が、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記CD123結合ドメインが、
(i)配列番号66に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;及び
(ii)配列番号68に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域
を含む、請求項14又は15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号66に記載のアミノ酸配列を含み、かつ(ii)前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、前記CD123結合ドメインが、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1が、配列番号86に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号86と異なる配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号88に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号88と異なる配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号90に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号90と異なる配列を含み;
(d)前記HCDR1が、配列番号92に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号92と異なる配列を含み;
(e)前記HCDR2が、配列番号94に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号94と異なる配列を含み;かつ
(f)前記HCDR3が、配列番号96に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号96と異なる配列を含む、
組み換えポリペプチド。
【請求項19】
(a)前記LCDR1が、配列番号86に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記LCDR2が、配列番号88に記載のアミノ酸配列を含み;
(c)前記LCDR3が、配列番号90に記載のアミノ酸配列を含み;
(d)前記HCDR1が、配列番号92に記載のアミノ酸配列を含み;
(e)前記HCDR2が、配列番号94に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(f)前記HCDR3が、配列番号96に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号82に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み;かつ
(ii)前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号84に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、
請求項18又は19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
(i)前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号82に記載のアミノ酸配列を含み;かつ
(ii)前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号84に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記ポリペプチドが、ヒトCD123に特異的に結合する、請求項1~21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記CD123結合ドメインが、ヒト可変重鎖及び軽鎖ドメインを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記CD123結合ドメインが、単鎖可変断片(scFv)である、請求項1~23のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記scFvの重鎖可変領域が、前記scFvの軽鎖可変領域のアミノ末端にある、請求項24に記載のCD123結合ドメイン。
【請求項26】
前記scFvの軽鎖可変領域が、前記scFvの重鎖可変領域のアミノ末端にある、請求項24に記載のCD123結合ドメイン。
【請求項27】
前記結合ドメインが、薬物又は毒素にコンジュゲートされている、請求項1~226のいずれか一項に記載のCD123結合ドメイン。
【請求項28】
さらに、免疫グロブリン定常領域を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項29】
さらに、第2の結合ドメインを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記ポリペプチドが、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)第2の結合ドメインを含む、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記ポリペプチドが、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)第2の結合ドメインを含む、請求項30に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記ポリペプチドが、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、(i)第2の結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)CD123結合ドメインを含む、請求項30に記載のポリペプチド。
【請求項33】
アミノ末端からカルボキシル末端の順で、(i)ヒト又はヒト化CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合するヒト又はヒト化第2の結合ドメインを含む、組み換えポリペプチド。
【請求項34】
(i)前記CD123結合ドメインが、(a)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(b)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み;かつ
(ii)前記第2の結合ドメインが、(a)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(b)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、
請求項29~33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記CD123結合ドメインがscFvであり、前記第2の結合ドメインがscFvである、請求項33に記載のポリペプチド。
【請求項36】
前記カルボキシル末端リンカーが、配列番号288を含むか、又はそれからなる、請求項30~35のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記免疫グロブリン定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2又はIgDの免疫グロブリンCH2及びCH3ドメインを含む、請求項30~36のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項38】
前記免疫グロブリン定常領域が、EU番号付けシステムに従って置換L234A、L235A、G237A、及びK322Aを含むヒトIgG1 CH2ドメインを含む、請求項37に記載のポリペプチド。
【請求項39】
前記ポリペプチドが、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)活性を全く示さないか又はほとんど示さない、請求項30~38のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項40】
前記第2の結合ドメインが、T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合する、請求項29~32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項41】
前記第2の結合ドメインが、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含み;
前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、
(a)配列番号157のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列;又は
(b)配列番号158のアミノ酸配列と少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列、を含み;かつ
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号159のアミノ酸配列と少なくとも約82%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約87%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、
請求項29~40のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項42】
前記第2の結合ドメインが、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含み;
前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号157又は配列番号158のアミノ酸配列を含み;かつ
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号159のアミノ酸配列を含む、
請求項41に記載のポリペプチド。
【請求項43】
前記第2の結合ドメインが、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含み;
前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号160のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含み;
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号161のアミノ酸配列と少なくとも約82%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約87%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、
請求項29~40のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項44】
前記第2の結合ドメインが、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含み;
前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号160のアミノ酸配列を含み;かつ
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号161のアミノ酸配列を含む、
請求項43に記載のポリペプチド。
【請求項45】
前記第2の結合ドメインが、
(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み;
前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号162、配列番号163、及び配列番号164に記載のアミノ酸配列を含み、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号165、配列番号166、及び配列番号167に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項41~44のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項46】
前記第2の結合ドメインが、CRIS-7、HuM291及びI2Cから選択されるモノクローナル抗体由来の免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項29~40のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項47】
前記第2の結合ドメインが、CRIS-7に由来し、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号168、配列番号169、及び配列番号170に記載のアミノ酸配列を有し、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号171、配列番号172、及び配列番号173に記載のアミノ酸配列を有するか;又は
(b)前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号162、配列番号163、及び配列番号164に記載のアミノ酸配列を有し、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号165、配列番号166、及び配列番号167に記載のアミノ酸配列を有する、
請求項46に記載のポリペプチド。
【請求項48】
前記第2の結合ドメインが、I2Cに由来し、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号171、172及び173に記載のアミノ酸配列を有し、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号174、175及び176に記載のアミノ酸配列を有するか;又は
(b)前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号176、177及び178に記載のアミノ酸配列を有し、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号179、180及び181に記載のアミノ酸配列を有する、
請求項46に記載のポリペプチド。
【請求項49】
前記第2の結合ドメインが、HuM291に由来し、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(a)前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号182、183及び184に記載のアミノ酸配列を有し、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号185、186及び187に記載のアミノ酸配列を有するか;又は
(b)前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、それぞれ配列番号188、189及び190に記載のアミノ酸配列を有し、かつ前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、それぞれ配列番号191、192及び193に記載のアミノ酸配列を有する、
請求項47に記載のポリペプチド。
【請求項50】
CD123結合ドメイン及びCD3結合ドメインを含むポリペプチドであって、
(i)前記ポリペプチドが、配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(ii)前記ポリペプチドが、配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(iii)前記ポリペプチドが、配列番号134のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(iv)前記ポリペプチドが、配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(v)前記ポリペプチドが、配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(vi)前記ポリペプチドが、配列番号140のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(vii)前記ポリペプチドが、配列番号142のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(viii)前記ポリペプチドが、配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(ix)前記ポリペプチドが、配列番号146のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(x)前記ポリペプチドが、配列番号148のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(xi)前記ポリペプチドが、配列番号150のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(xii)前記ポリペプチドが、配列番号152のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;
(xiii)前記ポリペプチドが、配列番号154のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むか;又は
(xiv)前記ポリペプチドが、配列番号156のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、
ポリペプチド。
【請求項51】
(i)前記ポリペプチドが、配列番号130のアミノ酸配列を含むか;
(ii)前記ポリペプチドが、配列番号132のアミノ酸配列を含むか;
(iii)前記ポリペプチドが、配列番号134のアミノ酸配列を含むか;
(iv)前記ポリペプチドが、配列番号136のアミノ酸配列を含むか;
(v)前記ポリペプチドが、配列番号138のアミノ酸配列を含むか;
(vi)前記ポリペプチドが、配列番号140のアミノ酸配列を含むか;
(vii)前記ポリペプチドが、配列番号142のアミノ酸配列を含むか;
(viii)前記ポリペプチドが、配列番号144のアミノ酸配列を含むか;
(ix)前記ポリペプチドが、配列番号146のアミノ酸配列を含むか;
(x)前記ポリペプチドが、配列番号148のアミノ酸配列を含むか;
(xi)前記ポリペプチドが、配列番号150のアミノ酸配列を含むか;
(xii)前記ポリペプチドが、配列番号152のアミノ酸配列を含むか;
(xiii)前記ポリペプチドが、配列番号154のアミノ酸配列を含むか;又は
(xiv)前記ポリペプチドが、配列番号156のアミノ酸配列を含む、
請求項50に記載のポリペプチド。
【請求項52】
前記ポリペプチドが、リダイレクトされたT細胞の細胞傷害(RTCC)を誘導する、請求項29~51のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項53】
前記ポリペプチドが、約30pM又はそれより低いEC50でRTCCを誘導する、請求項29~52のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項54】
前記CD123結合ポリペプチドが、T細胞活性化又はT細胞増殖を誘導する、請求項29~53のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項55】
前記ポリペプチドが、CD123発現細胞のT細胞依存性溶解を誘導する、請求項29~54のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項56】
前記ポリペプチドが、T細胞上のCD3タンパク質に結合した時に、OKT3抗体対照と比較して、前記T細胞からのサイトカイン放出を低下させる、請求項29~55のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項57】
前記第2の結合ドメインが、CRIS-7、HuM291及びI2Cから選択されるモノクローナル抗体とCD3εへの結合について競合する、請求項29~40及び46のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項58】
前記第2の結合ドメインが、単鎖可変断片(scFv)である、請求項29~58のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項59】
前記第2の結合ドメインが、ヒト化又はヒト結合ドメインである、請求項29~59のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項60】
アミノ末端からカルボキシル末端の順で、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)第2の結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記CD123結合ドメインが、配列番号2、配列番号4、配列番号18、又は配列番号20、配列番号42、配列番号50、配列番号52、配列番号66、配列番号68、配列番号82、配列番号84、配列番号98、配列番号106、配列番号114、又は配列番号122に記載のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項61】
前記CD123結合ドメインが、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含むscFvであり;かつ前記軽鎖可変領域及び前記重鎖可変領域が、(GlySer)、式中、n=1~5(配列番号214)を含むアミノ酸配列によって結合されている、請求項1~60のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項62】
前記第2の結合ドメインが、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含むscFvであり;かつ前記軽鎖可変領域及び前記重鎖可変領域が、(GlySer)、式中、n=1~5(配列番号214)を含むアミノ酸配列によって結合されている、請求項29~61のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項63】
前記カルボキシル末端リンカーが、(GlySer)、式中、n=1~7(配列番号314)を含むアミノ酸配列を含む、請求項30~62のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項64】
n=3~5である、請求項63に記載のポリペプチド。
【請求項65】
前記CD123結合ドメインが、12F1マウス抗体に由来しない、請求項1~64のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項66】
請求項30~65のいずれか一項に記載の2つの同一のポリペプチドを含む、二量体。
【請求項67】
請求項1~65のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項66に記載の二量体及び医薬として許容される担体、希釈材又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項68】
前記医薬組成物が、同一のscFvを含有する抗CD123 scFv×抗CD3 scFvポリペプチドよりも、対象に投与されたときに、より長い半減期を示す、請求項68に記載の医薬組成物。
【請求項69】
請求項1~65のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチドをコードする、単離核酸分子。
【請求項70】
前記核酸分子が、配列番号1、配列番号3、配列番号17、配列番号19、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号51、配列番号65、配列番号67、配列番号81、配列番号83、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、又は配列番号155に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項69に記載の単離核酸分子。
【請求項71】
請求項1~65のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸セグメントを含む発現ベクターであって、前記核酸セグメントが、宿主細胞において前記核酸セグメントの発現に適する調節配列に作動可能に連結されている、発現ベクター。
【請求項72】
前記核酸セグメントが、配列番号1、配列番号3、配列番号17、配列番号19、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号51、配列番号65、配列番号67、配列番号81、配列番号83、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、又は配列番号155に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項71に記載の発現ベクター。
【請求項73】
請求項71又は72に記載の発現ベクターを含む、組み換え宿主細胞。
【請求項74】
CD123結合ポリペプチドを生成する方法であって、前記核酸セグメントが発現する条件下で、請求項71又は72に記載の発現ベクターを含む組み換え宿主細胞を培養し、それによって、前記CD123結合ポリペプチドを生成することを含む、方法。
【請求項75】
前記組み換え宿主細胞が、CHO、HEK293、又はCOS宿主細胞株である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
さらに、前記CD123結合ポリペプチドを回収することを含む、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
CD123を発現する細胞に対してリダイレクトされたT細胞の細胞傷害(RTCC)を誘導する方法であって、前記CD123発現細胞と請求項30~65のいずれか一項に記載のポリペプチドとを接触させることを含み、前記第2の結合ドメインが、T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合し;かつ前記CD123発現細胞に対するRTCCが誘導される条件下で前記接触が起きる、方法。
【請求項78】
CD123を発現する細胞のT細胞依存性溶解を誘導する方法であって、前記CD123発現細胞と請求項30~65のいずれか一項に記載のポリペプチドとを接触させることを含み、前記第2の結合ドメインが、T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合し;かつ前記接触が、前記CD123発現細胞のT細胞依存性溶解が誘導される条件下で起きる、方法。
【請求項79】
対象における障害を治療する方法であって、前記障害がCD123の過剰発現によって特徴付けられ、請求項1~65のいずれか一項に記載の治療有効量のポリペプチド又は請求項66に記載の二量体を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項80】
前記障害が癌である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記癌が、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、芽球増加を伴う不応性貧血、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病又はホジキンリンパ腫である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
CD123の過剰発現によって特徴付けられる、対象における障害の治療用薬剤の製造のための、請求項1~65のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項66に記載の二量体。
【請求項83】
CD123の過剰発現によって特徴付けられる、対象における障害を治療する際に使用するための、請求項1~65のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項66に記載の二量体。
【請求項84】
前記障害が癌である、請求項82又は83に記載のポリペプチド。
【請求項85】
前記癌が、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、芽球増加を伴う不応性貧血、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病又はホジキンリンパ腫である、請求項84に記載のCD123結合ポリペプチド。
【請求項86】
前記ポリペプチドが、非ヒト霊長類CD123に特異的に結合する、請求項1~65のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年9月21日出願の米国仮特許出願第62/397,736号及び2017年3月2日出願の米国仮特許出願第62/466,192号の優先権及び利益を主張するものである。これらの出願のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子出願テキストファイルの説明
電子出願テキストファイル:配列表(ファイル名:APVO_054_03WO_SeqList_ST25.txt;記録日:2017年9月21日;ファイルサイズ257,861バイト)のコンピューター可読フォーマットコピーの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示の分野
本開示は、少なくとも1種類のヒト化CD123結合ドメインを有し得るCD123に特異的に結合する分子に関する。これらの分子は、癌などのCD123過剰発現によって特徴付けられる障害の特徴付け又は治療に有用である。CD123に結合するタンパク質治療薬は、単一特異性タンパク質治療薬又は多特異性タンパク質治療薬であり得る。多特異性タンパク質治療薬は、CD123発現細胞とT細胞上のT細胞受容体複合体の両方に結合し、標的依存的にT細胞の細胞傷害、活性化及び増殖を誘導することができる。
【背景技術】
【0004】
本開示の背景
CD123は、ヒトインターロイキン3(IL-3)受容体のアルファ鎖としても知られている。CD123は、I型膜貫通糖タンパク質であり、サイトカイン受容体スーパーファミリーのメンバーである。インターロイキン3受容体は、CD123及びベータ鎖(CD131)によって形成されたヘテロ二量体である。IL-3はCD123に結合し、シグナル伝達はCD131によって提供される。IL-3は、造血細胞及び免疫細胞の機能並びに生成を調節し、内皮細胞の増殖を刺激する(Testaら、Biomark Res.2:4(2014))。
【0005】
CD123は、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)及び有毛細胞白血病のサブセットを含む多くの血液悪性腫瘍で過剰発現している(同文献)。ほとんどのAML患者が最初の療法には十分に反応するが、最終的には、AML患者の大多数が再発疾患又は難治性疾患を有すると診断される(Ramosら、J.Clin.Med.4:665-695(2015))。有効性及び効力が向上し、有害作用が低下し、CD123の調節不全と関連する障害を治療するために使用することができるCD123標的分子が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示は、CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドを包含し、該CD123結合ドメインは、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、LCDR1は、配列番号6に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号6と異なる配列を含み、LCDR2は、配列番号8に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号8と異なる配列を含み、LCDR3は、配列番号10に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号10と異なる配列を含み、HCDR1は、配列番号12に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号12と異なる配列を含み、HCDR2は、配列番号14に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号14と異なる配列を含み、HCDR3は、配列番号16に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号16と異なる配列を含む。例えば、本開示は、CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドを包含し、該CD123結合ドメインは、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、LCDR1は、配列番号6に記載のアミノ酸配列又は1又は2つのアミノ酸置換によって配列番号6と異なる配列を含み、LCDR2は、配列番号8に記載のアミノ酸配列又は1又は2つのアミノ酸置換によって配列番号8と異なる配列を含み、LCDR3は、配列番号10に記載のアミノ酸配列又は1又は2つのアミノ酸置換によって配列番号10と異なる配列を含み、HCDR1は、配列番号12に記載のアミノ酸配列又は1又は2つのアミノ酸置換によって配列番号12と異なる配列を含み、HCDR2は、配列番号14に記載のアミノ酸配列又は1又は2つのアミノ酸置換によって配列番号14と異なる配列を含み、HCDR3は、配列番号16に記載のアミノ酸配列又は1又は2つのアミノ酸置換によって配列番号16と異なる配列を含む。本発明は、(a)配列番号6に記載のLCDR1アミノ酸配列、(b)配列番号8に記載のLCDR2アミノ酸配列、(c)配列番号10に記載のLCDR3アミノ酸配列、(d)配列番号12に記載のHCDR1アミノ酸配列、(e)配列番号14に記載のHCDR2アミノ酸配列、(f)配列番号16に記載のHCDR3アミノ酸配列を含むCD123結合ドメインを有する組み換えポリペプチドを含む。CD123に結合する組み換えポリペプチドは、(i)配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び(ii)配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むことができる。例えば、本発明は、請求項1に記載の組み換えポリペプチドを含み、該CD123結合ドメインは、(i)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び(ii)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、CD123結合ドメインを含む組み換えCD123結合ポリペプチドを含み、該結合ドメインは、LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域並びにHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、(i)(a)HCDR1は、配列番号28に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号28と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号30に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号30と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号32に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号32と異なる配列を含むか、又は(ii)(a)HCDR1は、配列番号36に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号36と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号38に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号38と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号40に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号40と異なる配列を含むか、又は(iii)(a)HCDR1は、配列番号44に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号44と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号46に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号46と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号48に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号48と異なる配列を含むか、又は(iv)(a)HCDR1は、配列番号100に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号100と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号102に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号102と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号104に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号104と異なる配列を含むか、又は(v)(a)HCDR1は、配列番号108に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号108と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号110に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号110と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号112に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号112と異なる配列を含むか、又は(vi)(a)HCDR1は、配列番号116に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号116と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号118に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号118と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号120に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号120と異なる配列を含むか、又は(vii)(a)HCDR1は、配列番号124に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号124と異なる配列を含み、(b)HCDR2は、配列番号126に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号126と異なる配列を含み、かつ(c)HCDR3は、配列番号128に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号128と異なる配列を含む。本発明は、(i)~(vii)によって定義される重鎖可変領域、並びに(a)配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を含むLCDR1、(b)配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を含むLCDR2、及び(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、を含む組み換えポリペプチドを含む。例えば、本発明は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及び配列番号20、34、42、98、106、114、若しくは122に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、を含む組み換えポリペプチドを含む。
【0008】
ある実施形態において、組み換えCD123結合ポリペプチドは、(a)配列番号54に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号54と異なる配列を有するLCDR1、(b)配列番号56に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号56と異なる配列を有するLCDR2、(c)配列番号58に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号58と異なる配列を有するLCDR3、(d)配列番号60に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号60と異なる配列を有するHCDR1、(e)配列番号61に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号61と異なる配列を有するHCDR2、及び(f)配列番号62に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号62と異なる配列を有するHCDR3、を含む。例えば、本発明は、CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドを含み、(i)該免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号50に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ(ii)該免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号52に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0009】
別の実施形態において、CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドは、(a)配列番号70に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号70と異なる配列を含むLCDR1、(b)配列番号72に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号72と異なる配列を含むLCDR2、(c)配列番号74に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号74と異なる配列を含むLCDR3、(d)配列番号76に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号76と異なる配列を含むHCDR1、(e)配列番号78に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号78と異なる配列を含むHCDR2、及び(f)配列番号80に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号80と異なる配列を含むHCDR3、を含む。例えば、本発明は、配列番号66及び68に記載の可変領域を含む組み換えポリペプチドを含む。
【0010】
ある実施形態において、該組み換えポリペプチドは、(a)配列番号86に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号86と異なる配列を含むLCDR1、(b)配列番号88に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号88と異なる配列を含むLCDR2、(c)配列番号90に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号90と異なる配列を含むLCDR3、(d)配列番号92に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号92と異なる配列を含むHCDR1、(e)配列番号94に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号94と異なる配列を含むHCDR2、及び(f)配列番号96に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号96と異なる配列を含むHCDR3、を含む。例えば、本発明は、配列番号82及び84に記載の可変ドメインを含むポリペプチドを含む。
【0011】
(ii)配列番号84に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域。
【0012】
本発明のポリペプチドは、ヒトCD123に特異的に結合する。ある実施形態において、該ポリペプチドは非ヒト霊長類CD123に結合する。さらなる実施形態において、該ポリペプチドはカニクイザルCD123に結合する。本発明は、ヒトCD123結合ドメインを含むCD123結合ポリペプチド及びヒト化CD123結合ドメインを含むCD123結合ポリペプチドを含む。一実施形態において、該CD123結合ドメインは、単鎖可変断片(scFv)である。
【0013】
本発明の組み換えポリペプチドは、第2の結合ドメインを含む二重特異性ポリペプチドを含む。一実施形態において、第2の結合ドメインは、T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合する。例えば、本発明は、CD3結合scFvを含む組み換えCD123結合ポリペプチドを含む。本発明は、開示されるCD123結合scFvのいずれか1つと開示されるCD3結合scFvを組み合わせることを含む。一実施形態において、該ポリペプチドは、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)第2の結合ドメインを含む。例えば、本発明は、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)第2の結合ドメインを含む組み換えポリペプチドを含む。
【0014】
本発明の一実施形態において、CD123結合ドメイン及びCD3結合ドメインを含む二重特異性ポリペプチドは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)活性をゼロ~最小限しか示さないように工学処理された改変免疫グロブリン定常領域を含む。本発明の一実施形態において、該CD3結合ドメインは、CRIS-7、HuM291及びI2Cから選択されるモノクローナル抗体に由来する。
【0015】
本発明のある実施形態において、該CD123結合ポリペプチドは、(i)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(ii)配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(iii)配列番号134のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(iv)配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(v)配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(vi)配列番号140のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(vii)配列番号142のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(viii)配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(iv)配列番号146のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(x)配列番号148のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(xi)配列番号150のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(xii)配列番号152のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、(xiii)配列番号154のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、又は(xiv)配列番号156のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、を含む。
【0016】
本発明の一実施形態において、該組み換えポリペプチドは、リダイレクトされたT細胞の細胞傷害(RTCC)を誘導する。ある実施形態において、該組み換えポリペプチドは、T細胞活性化又はT細胞増殖を誘導する。ある実施形態において、該ポリペプチドは、CD123発現細胞のT細胞依存性溶解を誘導する。
【0017】
本発明のある実施形態において、T細胞上のCD3タンパク質に結合した時に、CD123結合ドメイン及びCD3結合ドメインを含む二重特異性ポリペプチドは、OKT3抗体対照と比較して該T細胞からのサイトカイン放出を低下させる。本発明のある実施形態において、CD123結合ドメイン及びCRIS-7由来のCD3結合ドメインを含む二重特異性ポリペプチドは、OKT3又はI2C由来のCD3結合ドメインを含む二重特異性と比較して該T細胞からのサイトカイン放出を低下させる。本発明のある実施形態において、CD123結合ドメイン(例えば、配列番号2及び/又は配列番号4と少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一のアミノ酸配列を含むCD123結合ドメイン)並びにCRIS-7由来のCD3結合ドメインを含み、scFv-Fc-scFvフォーマットの二重特異性ポリペプチドは、scFv-scFvフォーマット又はダイアボディフォーマットでCD123結合ドメイン及び12C由来のCD3結合ドメインを含む二重特異性ポリペプチドと比較して、非ヒト霊長類又はヒトにおいてサイトカイン放出を低下させる。
【0018】
本発明のある実施形態において、CD123結合ドメイン及びCD3結合ドメインを含む二重特異性ポリペプチド(例えば、配列番号130又は配列番号132と少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む組み換えポリペプチド)は、MGD006又はTRI168と比較して非ヒト霊長類又はヒトにおいてサイトカイン放出を低下させる。本発明の一実施形態において、配列番号130又は配列番号132と少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む組み換えポリペプチドは、MGD006又はTRI168と比較してIFNγ、IL-2、TNFα及び/又はIL-10のレベルの低下を誘導する。
【0019】
本開示は、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチド又は該CD123結合ポリペプチドの一部をコードする単離核酸分子を包含する。該単離核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号17、配列番号19、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号51、配列番号65、配列番号67、配列番号81、配列番号83、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、又は配列番号155に記載のヌクレオチド配列を含み得る。
【0020】
本開示は、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドをコードする核酸セグメントを含む発現ベクターに関し、該核酸セグメントは、宿主細胞における核酸セグメントの発現に適する調節配列に作動可能に連結されている。発現ベクターの核酸セグメントは、配列番号1、配列番号3、配列番号17、配列番号19、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号51、配列番号65、配列番号67、配列番号81、配列番号83、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、又は配列番号155に記載のヌクレオチド配列を含み得る。
【0021】
本開示は、本明細書に記載の発現ベクターを含む組み換え宿主細胞を含む。
【0022】
本開示は、CD123結合ポリペプチドを生成する方法であって、ベクターの核酸セグメントが発現する条件下で本明細書に記載の発現ベクターを含む組み換え宿主細胞を培養し、それによってCD123結合ポリペプチドを生成することを含む方法に関する。本発明は、さらに、CD123結合ポリペプチドを回収することを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチド及び医薬として許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。該医薬組成物は、経口単位剤形、静脈内単位剤形、鼻腔内単位剤形、坐剤単位剤形、皮内単位剤形、筋肉内単位剤形、腹腔内単位剤形、皮下単位剤形、硬膜外単位剤形、舌下単位剤形、及び脳内単位剤形からなる群から選択される剤形に製剤化され得る。経口単位剤形として製剤化される医薬組成物は、錠剤、丸薬、小丸薬、カプセル、散剤、トローチ剤、顆粒剤、溶液、懸濁液、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、徐放製剤、エアロゾル、及び噴霧剤からなる群から選択され得る。
【0024】
本開示はまた、CD123を発現する細胞に対してリダイレクトされたT細胞の細胞傷害(RTCC)を誘導する方法であって、該CD123発現細胞と本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドとを接触させることを含み、第2の結合ドメインが、T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合し、該接触が、CD123発現細胞に対するRTCCが誘導される条件下で起きる方法に関する。
【0025】
本開示は、CD123を発現する細胞のT細胞依存性溶解を誘導する方法であって、該CD123発現細胞と、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチド又はCD123結合タンパク質とを接触させることを含み、該第2の結合ドメインがT細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合し、該接触が、CD123発現細胞のT細胞依存性溶解が誘導される条件下で起きる方法を包含する。
【0026】
本開示は、対象における障害(例えば、癌)を治療する方法であって、該障害がCD123の過剰発現によって特徴付けられ、本明細書に記載の治療有効量のCD123結合ポリペプチドを該対象に投与することを含む方法を包含する。本開示はまた、対象における障害(例えば、癌)の治療用薬剤の製造のための、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドに関し、該障害はCD123の過剰発現によって特徴付けられる。本開示は、対象における障害(例えば、癌)の治療における使用のための、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドを含み、該障害はCD123の過剰発現によって特徴付けられる。本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドによって治療される癌は、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)、又は有毛細胞白血病であり得る。
【0027】
本開示のこれらの及び他の実施形態並びに/又は他の態様は、本開示の以下の詳細の記述及び添付図を参照すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1A~Dは、3回の独立実験における13種の異なる二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子(TRI123、TRI125、TRI126、TRI127、TRI128、TRI129、TRI130、TRI131、TRI132、TRI134、TRI137、TRI138及びTRI139)のCD123(+)Molm-13ヒト腫瘍細胞株への結合を示す。
図2図2A~C、2B及び2Cは、2回の独立実験における13種の異なる二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子(TRI123、TRI125、TRI126、TRI127、TRI128、TRI129、TRI130、TRI131、TRI132、TRI134、TRI137、TRI138及びTRI139)の、カニクイザルCD123タンパク質安定発現CHO細胞への結合を示す。
図3図3A~Cは、2回の独立実験における13種の異なる二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子(TRI123、TRI125、TRI126、TRI127、TRI128、TRI129、TRI130、TRI131、TRI132、TRI134、TRI137、TRI138及びTRI139)を用いて4時間目に測定したMolm-13細胞株を用いるクロム51放出アッセイの結果を示す。二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子の全ては、4時間の時点で、24~48%の最大特異的溶解の範囲の効率的標的細胞溶解を示した。
図4図4A~Dは、低濃度(10pM)でのT細胞増殖の誘導を示す。
図5図5A~Dは、Molm-13細胞の存在下でCD4及びCD8T細胞の標的依存性活性化を示す。
図6】異なるECD濃度でのTRI-130のSPR分析の例を示す。
図7】TRI129及びTRI130二重特異性分子の濃度対時間曲線を示す。
図8】TRI129で処置したマウス腫瘍モデルにおける腫瘍体積の減少を示す。
図9】TRI130で処置したマウス腫瘍モデルにおける腫瘍体積の減少を示す。
図10】TRI129及びTRI130でのマウス腫瘍モデルの処置が生存の延長をもたらすことを示す。
図11】CD123結合ドメイン-ヒンジドメイン-免疫グロブリン定常ドメイン-CD3結合ドメイン構成でRTCC可能な組み換えCD123結合ポリペプチドの図である。
図12】TRI130二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子を用いて4時間目に測定したMolm-13、KG-1a及びDaudi細胞株を用いるクロム51放出アッセイの結果を示す。このアッセイは、CD123陽性腫瘍細胞株又はC123陰性腫瘍細胞株及び精製ヒトT細胞と共にインキュベートしたTRI130の細胞傷害を測定した。
図13】実施例14に記載の、TRI130で処置したカニクイザルの処置群についてのWinNonlin(登録商標)非コンパートメント(NCA)推定値及び半減期(HL)のフィットを示す。
図14】実施例14に記載の、TRI130で処置したカニクイザルにおけるリンパ球集団の経時変化を表すグラフを示す。
図15】実施例14に記載の、TRI130で処置したカニクイザルにおける好塩基球集団の経時変化を表すグラフを示す。
図16】実施例15に記載の、急性骨髄性白血病(AML)の播種性異種移植マウスモデルにおいて生物発光レベルによって測定した時の経時的な腫瘍負荷を表すグラフを示す。
図17】14日目のマウスにおける腫瘍負荷の生物発光画像を示す。
図18】実施例17に記載の、CD123Molm-13標的細胞を用いてTRI130及びTRI168誘導性T細胞活性化を測定したアッセイの結果を示す。
図19】実施例17に記載の、CD123Molm-13標的細胞のTRI130及びTRI168誘導性T細胞の細胞傷害を測定したアッセイの結果を示す。
図20】実施例17に記載の、CD123Molm-13標的細胞を用いてTRI130及びTRI168誘導性T細胞サイトカイン放出を測定したアッセイの結果を示す。
図21】実施例17に記載の、末梢血単核球(PBMC)培養物においてTRI130及びTRI168誘導性T細胞サイトカイン放出を測定したアッセイの結果を示す。
図22】実施例18に記載の、AML患者からのAML細胞試料と共にインキュベートしたTRI130の細胞傷害を測定したアッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の詳細な説明
本開示は、CD123に特異的に結合する結合ドメイン(インターロイキン3受容体α鎖としても知られる)並びにCD123に特異的に結合する結合分子(例えば、ポリペプチド及びタンパク質)を提供する。これらの結合分子は、CD123及び別の標的に特異的に結合することができる。治療有効量のCD123結合ポリペプチド又はタンパク質を、それを必要すると患者に投与することは、いくつかの癌を含むCD123の過剰発現と関連するいくつかの障害の治療に有用である。一実施形態において、CD123結合ポリペプチド又はタンパク質は、CD123を過剰発現する標的細胞及びT細胞の両方に結合し、それによってCD123を過剰発現する標的細胞とT細胞を架橋結合する。両方のドメインのそれらの標的への結合は、リダイレクトされた強力な標的依存性T細胞細胞傷害(RTCC)を誘発する(例えば、標的依存性T細胞細胞傷害性、T細胞活性化及び/又はT細胞増殖を誘導する)。本開示のCD123結合治療薬は、患者の治療に様々な利点、例えば、CD123への効果的な結合、RTCC活性の効率的な誘導、サイトカイン放出のレベルの低下及び/又は有害事象(例えば、毒性)のリスクの低減を提供する。いくつかの態様において、CD123結合タンパク質が、いくつかの形式(例えば、親抗体と比較したscFv)及び/又はいくつかの配向(例えば、VH-VLと比較したVL-VH)でより効果的にCD123に結合すると、CD123の過剰発現と関連する障害の治療により高い効力及び改善された有用性がもたらされる。
【0030】
本明細書で使用する節の見出しは、単なる構成目的のためのものであり、記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、本、及び論文を含むが、これらに限定されない、本明細書で引用される全ての文章、又は文章の一部は、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる。組み込まれる文章又は文章の一部の1以上が本出願中のその用語の定義と矛盾する用語を定義する場合、本出願に現れる定義が優先される。しかしながら、本明細書で引用される全ての参考文献、記事、出版物、特許、特許公開、及び特許出願の言及は、有効な先行技術を構成するか、若しくは世界中の全ての国における共通の一般知識の一部を形成するという承認、又は任意の形態の示唆ではなく、かつそのように解釈されるべきではない。
【0031】
本明細書において、全ての濃度範囲、割合の範囲、比の範囲、又は整数の範囲は、特に示さない限り、列挙される範囲内の全ての整数の値、必要であれば、その分数(整数の十分の一及び百分の一など)を含むと理解されるべきである。本明細書で使用する「1つ(a)」及び「1つ(an)」という用語は、特に示さない限り、列挙される構成成分の「1以上」を指すことが理解されるべきである。選択肢(例えば、「又は」)の使用は、選択肢の1つ、両方、又はその任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用する「含む(include)」及び「含む(comprise)」という用語は、同意語として使用される。加えて、本明細書に記載の構成成分(例えば、ドメイン若しくは領域)及び置換基の様々な組み合わせを含むポリペプチドは、各ポリペプチドが個々に記載されるのと同程度まで本出願によって開示されることは理解されるべきである。したがって、個々のポリペプチドの特定の構成成分の選択は、本開示の範囲内である。
【0032】
本明細書で使用する「結合ドメイン」又は「結合領域」という用語は、抗原、リガンド、受容体、基質、又は阻害剤(例えば、CD123、CD3)などの標的分子を特異的に認識し、結合する能力を保有するタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、若しくはペプチド若しくは抗体のドメイン、領域、一部、又は部位、又は抗体由来の結合ドメインを指す。代表的な結合ドメインには、単鎖抗体可変領域(例えば、ドメイン抗体、sFv、scFv、scFab)、受容体外部ドメイン、及びリガンド(例えば、サイトカイン、ケモカイン)が含まれる。ある実施形態において、結合ドメインは、(例えば、代替フレームワーク領域(FR)(例えば、任意選択で1以上のアミノ酸置換を含むヒトFR)に配置された抗体由来の可変重鎖配列及び可変軽鎖配列又は3つの軽鎖相補性決定領域(CDR)及び3つの重鎖CDRを含む)抗原結合部位を含むか、又はそれからなる。ウェスタンブロット、ELISA、ファージディスプレイライブラリースクリーニング、及びBIACORE(登録商標)相互作用分析を含めて、特定の標的に特異的に結合する本開示の結合ドメインを特定するための様々なアッセイが知られている。本明細書で使用するように、CD123結合ポリペプチドは、「第1の結合ドメイン」及び任意選択で「第2の結合ドメイン」を有することができる。ある実施形態において、「第1の結合ドメイン」は、CD123結合ドメインであり、形式は、抗体又は抗体様タンパク質又はドメインである。第1の及び第2の結合ドメインの両方を含むある実施形態において、第2の結合ドメインは、T細胞表面抗原(例えば、CD3)に結合するマウスモノクローナル抗体(例えば、CRIS-7)又はファージディスプレイ(例えば、I2C)由来のscFvなどのT細胞結合ドメインである。他の実施形態において、第2の結合ドメインは、第2のCD123結合ドメインである。さらに他の実施形態において、第2の結合ドメインは、CD123結合ドメイン又はT細胞結合ドメイン以外の結合ドメインである。
【0033】
「サイトカイン放出」又は「サイトカインストーム」又は「急性輸液反応」は、T細胞からのサイトカインの放出を指す。サイトカインが血液循環内に放出されると、発熱、吐き気、悪寒、低血圧、頻脈、無力症、頭痛、発疹、のどの痛み、及び呼吸困難などの全身症状が起こり得る。何人かの患者は、サイトカインの大量放出から生じる、重篤で、生命を脅かす応答を経験し得る。サイトカイン放出の「低下」は、OKT-3抗体又は他のCD3結合二重特異性分子と比較して、本発明の組み換えポリペプチドの投与後、少なくとも1種類のサイトカイン(例えば、IFNγ、IL-2、TNFα及び/又はIL-10)の放出の低下を指す。サイトカイン放出の低下は、インビトロアッセイを用いて、又はインビボで測定することができる。
【0034】
結合ドメイン又はタンパク質は、10-1以上の親和性又はK(すなわち、1/M単位での特定の結合相互作用の平衡結合定数)で標的に結合するが、試験試料中に存在する他の構成成分には顕著に結合しない場合、標的に「特異的に結合する」。結合ドメインは、「高親和性」結合ドメイン及び「低親和性」結合ドメインとして分類することができる。「高親和性」結合ドメインは、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012-1、又は少なくとも1013-1のKを有するそれらの結合ドメインを指す。「低親和性」結合ドメインは、10-1まで、10-1まで、10-1までのKを有するそれらの結合ドメインを指す。あるいは、親和性は、M単位(例えば、10-5M~10-13M)での特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義することができる。本開示による結合ドメインポリペプチド及び単鎖ポリペプチドの親和性は、従来技術を用いて容易に決定することができる(例えば、Scatchardら(1949) Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660;及び米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、又は同等物を参照されたい)。
【0035】
「CD3」は、T細胞受容体複合体のサブユニットである6つの鎖のマルチタンパク質複合体として当技術分野で知られている(例えば、Abbas及びLichtman,2003;Janewayら、p.172及び178,1999を参照されたい)。哺乳類において、T細胞受容体複合体のCD3サブユニットは、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、及びCD3ζ鎖のホモ二量体である。CD3γ鎖、CD3δ鎖、及びCD3ε鎖は、単一免疫グロブリンドメインを含有する免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連する細胞表面タンパク質である。CD3γ鎖、CD3δ鎖、及びCD3ε鎖の膜貫通領域は、これらの鎖が正電荷のT細胞受容体鎖と結合するのを可能にする特徴である負に帯電している。CD3γ鎖、CD3δ鎖、及びCD3ε鎖の細胞内テールの各々は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られる単一保存モチーフを含有するが、各CD3ζ鎖は3つ有する。ITAMがTCR複合体のシグナル伝達能に重要であると考えられている。本開示で使用されるCD3は、ヒト、サル、マウス、ラット、又は他の哺乳類を含む様々な動物種由来のものであり得る。
【0036】
本明細書で使用する「保存的置換」は、1個のアミノ酸の、類似の特性を有する別のアミノ酸との置換として当技術分野で認識されている。代表的な保存的置換が当技術分野で周知である(例えば、WO 97/09433,10ページ,1997年3月13日公開;Lehninger,Biochemistry,第2版;Worth Publishers社.NY:NY(1975),pp.71-77;Lewin,Genes IV,Oxford University Press,NY及びCell Press,Cambridge,MA(1990),p.8を参照されたい)。ある実施形態において、保存的置換は、ロイシンからセリンへの置換を含む。
【0037】
本明細書で使用する「誘導体」という用語は、酵素の有無にかかわらず、化学的又は生物学的手段による、例えば、グリコシル化、アルキル化、アシル化、エステル形成、又はアミド形成によるペプチドの1以上のアミノ酸残基の修飾を指す。
【0038】
本明細書で使用する、指定されたポリペプチド若しくはタンパク質「由来の」ポリペプチド又はアミノ酸配列は、該ポリペプチドの原型を指す。ある実施形態において、特定の配列由来のポリペプチド又はアミノ酸配列(時には、「出発」配列若しくは「親」配列若しくは「親の」配列と呼ばれる)は、基本的に出発配列又はその一部と同一であるアミノ酸配列を有し、その中の一部は、少なくとも10~20個のアミノ酸、少なくとも20~30個のアミノ酸、若しくは少なくとも30~50個のアミノ酸、若しくは少なくとも50~150個のアミノ酸からなるか、又はそうでなければ出発配列内にその原型を有するものとして当業者に同定され得るアミノ酸配列を有する。例えば、結合ドメインは、抗体、例えば、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、単鎖ドメイン抗体(sdAb)などに由来し得る。
【0039】
別のポリペプチド由来のポリペプチドは、出発ポリペプチドに対して1以上の変異、例えば、別のアミノ酸残基と置換されている1以上のアミノ酸残基を有し得るか、又は1以上のアミノ酸残基の挿入若しくは欠失を有する。該ポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸配列を含み得る。そのようなバリエーションは、必然的に、出発ポリペプチドと100%未満の配列同一性又は類似性を有する。一実施形態において、変異体は、出発ポリペプチドのアミノ酸配列と約60%~100%未満のアミノ酸配列同一性又は類似性のあるアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、変異体は、出発ポリペプチドのアミノ酸配列と約75%~100%未満、約80%~100%未満、約85%~100%未満、約90%~100%未満、約95%~100%未満のアミノ酸配列同一性又は類似性のあるアミノ酸配列を有する。
【0040】
本明細書で使用する場合、特に提供されない限り、免疫グロブリン分子の可変領域内のアミノ酸残基の位置は、IMGT番号付け規則(Brochet,Xら、Nucl.Acids Res.(2008)36,W503-508)に従って番号付けされ、免疫グロブリン分子の定常領域内のアミノ酸残基の位置は、EU命名法(Wardら、1995 Therap.Immunol.2:77-94)に従って番号付けされる。他の番号付け規則は、当技術分野で公知である(例えば、Kabat番号付け規則(Kabat,免疫学的に重要なタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest),第5版.Bethesda,MD:Public Health Service),National Institutes of Health (1991))。
【0041】
本明細書で使用する「二量体」という用語は、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)及び他の相互作用(例えば、静電相互作用、塩橋、水素結合、及び疎水性相互作用)を含む分子内力の1以上の形態によって互いに結合した2つのサブユニットからなり、適切な条件下(例えば、生理学的条件下、組み換えタンパク質の発現、精製、及び/若しくは保存に適する水溶液中、又は非変性及び/若しくは非還元電気泳動のための条件下)で安定である生物学的実体を指す。本明細書で使用する「ヘテロ二量体」又は「ヘテロ二量体タンパク質」は、2つの異なるポリペプチドから形成される二量体を指す。ヘテロ二量体は、4つのポリペプチド(すなわち、2つの軽鎖及び2つの重鎖)から形成される抗体を含まない。本明細書で使用する「ホモ二量体」又は「ホモ二量体タンパク質」は、2つの同一のポリペプチドから形成される二量体を指す。本発明の組み換えポリペプチドは、主に二量体形態で存在する。特徴及び活性(結合及びRTCCなど)を含むポリペプチドの全ての開示は、その二量体形態及び他の多量体形態のポリペプチドを含むことが理解されるべきである。
【0042】
いくつかの実施形態において、CD123結合ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、又はカルボキシル末端からアミノ末端の順で、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー(又はアミノ末端リンカー)、並びに(v)第2の結合ドメインを含む。本明細書で使用し、文脈に依存する「ヒンジ領域」又は「ヒンジ」は、結合ドメイン(例えば、CD123結合ドメイン)と免疫グロブリン定常領域の間のポリペプチド領域を指す。本明細書で使用し、文脈に依存する「リンカー」は、(1)単鎖Fv(scFv)中のV領域とV領域の間のポリペプチド領域、又は(2)2つの結合ドメインを含むCD123結合ポリペプチド内の免疫グロブリン定常領域と第2の結合ドメインの間のポリペプチド領域を指し得る。2つの結合ドメインを含むCD123結合ポリペプチド内の免疫グロブリン定常領域と第2の結合ドメインの間のポリペプチド領域は、「カルボキシル末端リンカー」又は「アミノ末端リンカー」とも呼ばれ得る。カルボキシル末端リンカー及びアミノ末端リンカーの非限定的な例として、グリシン-セリン(例えば、(GlySer))リピート(配列番号315)を含む可動性リンカー、(a)膜貫通タンパク質のドメイン間領域(例えば、I型膜貫通タンパク質);(b)II型Cレクチンのストーク領域;又は(c)免疫グロブリンヒンジ由来のリンカーが挙げられる。ヒンジ及びリンカーの非限定的な例を表1及び表2に提供する。いくつかの実施形態において、「リンカー」は、2つのサブ結合ドメインの相互作用に適合するスペーサー機能を提供し、その結果、生じたポリペプチドは、同じ軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体と同じ標的分子への特異的結合親和性を保持する。ある実施形態において、リンカーは、5~約35個のアミノ酸、例えば、約15~約25個のアミノ酸で構成される。いくつかの実施形態において、リンカーは、少なくとも5個のアミノ酸、少なくとも7個のアミノ酸又は少なくとも9個のアミノ酸で構成される。
【0043】
「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」は、抗体の重鎖に見られる(IgG、IgA、及びIgDについては)CH1とCH2ドメインの間に挿入され、それらを連結している天然に存在する上及び真ん中のヒンジアミノ酸配列、又は(IgE及びIgMについては)CH1とCH3ドメインの間に挿入され、それらを連結している天然に存在する上及び真ん中のヒンジアミノ酸配列を指す。ある実施形態において、野生型免疫グロブリンヒンジ領域配列は、ヒトであり、ヒトIgGヒンジ領域を含むことができる。
【0044】
「改変された野生型免疫グロブリンヒンジ領域」又は「改変された免疫グロブリンヒンジ領域」は、(a)最高で30%のアミノ酸変化(例えば、最高で25%、20%、15%、10%、若しくは5%のアミノ酸置換又は欠失)を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域、又は(b)約5個のアミノ酸(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸)、最大で約120個のアミノ酸の長さを有する(例えば、約10~約40個のアミノ酸又は約15~約30個のアミノ酸又は約15~約20個のアミノ酸又は約20~約25個のアミノ酸の長さを有する)、最大約30%のアミノ酸変化(例えば、最大約25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%のアミノ酸置換又は欠失又はそれらの組み合わせ)を有し、米国特許公開第2013/0129723号及び同第2013/0095097号に開示されるIgGコアヒンジ領域を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域の一部を指す。
【0045】
本明細書で使用する「ヒト化」という用語は、ヒトに対する免疫原性は低いが、なお元の抗体の抗原結合特性を保持している非ヒト種(例えば、マウス又はラット)由来の抗体又は免疫グロブリン結合タンパク質及びポリペプチドを、遺伝子工学技術を用いて作製する工程を指す。いくつかの実施形態において、抗体又は免疫グロブリン結合タンパク質及びポリペプチド(例えば、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域、Fab、scFv)の結合ドメイン(複数可)はヒト化される。非ヒト結合ドメインは、CDR移植(Jonesら、Nature 321:522(1986))として知られる技術、並びに「再形成」(Verhoeyenら、1988 Science 239:1534-1536;Riechmannら、1988 Nature 332:323-337;Tempestら、Bio/Technol 1991 9:266-271)、「ハイパーキメラ化」(Queenら、1989 Proc Natl Acad Sci USA 86:10029-10033;Coら、1991 Proc Natl Acad Sci USA 88:2869-2873;Coら、1992 J Immunol 148:1149-1154)、及びベニアリング(veneering)(Metcalf BW,Dalton BJ(編)、細胞接着:治療的可能性に対する分子的定義(Cellular adhesion: molecular definition to therapeutic potential)の中のMarkら,「ヒト化及びベニアリングした治療活性のある抗CD18抗体の誘導(Derivation of therapeutically active humanized and veneered anti-CD18 antibodies)、New York:Plenum Press,1994:291-312)を含むそれらの変異体を用いてヒト化され得る。非ヒト供給源由来の場合、ヒンジ領域及び定常領域ドメインなどの抗体又は免疫グロブリン結合タンパク質及びポリペプチドの他の領域もヒト化され得る。
【0046】
本明細書で使用する「免疫グロブリン二量体化ドメイン」又は「免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン」は、第2のポリペプチド鎖の異なる免疫グロブリンドメインと優先的に相互作用するか、又は結合するポリペプチド鎖の免疫グロブリンドメインを指し、異なる免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの相互作用は、第1の及び第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化(すなわち、「ヘテロ二量体」とも呼ばれる、2つの異なるポリペプチド鎖間の二量体の形成)に実質的に寄与するか、又はヘテロ二量体化を効率的に促進する。免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン間の相互作用は、第1のポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン及び/又は第2のポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの非存在下で、第1の及び第2のポリペプチド鎖の間の二量体化の統計的に有意な低下がある場合に、第1の及び第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化に「実質的に寄与するか、又は効率的に促進する」。ある実施形態において、第1の及び第2のポリペプチド鎖が共発現する場合、第1の及び第2のポリペプチド鎖の少なくとも60%、少なくとも約60%~約70%、少なくとも約70%~約80%、少なくとも80%~約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、互いにヘテロ二量体を形成する。代表的な免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインには、本明細書に提供する野生型免疫グロブリンCH1及びCLドメイン並びに改変(又は変異)した免疫グロブリンCH1及びCLドメインを含む免疫グロブリンCH1ドメイン、免疫グロブリンCLドメイン(例えば、Cκ又はCλアイソタイプ)、又はそれらの誘導体が含まれる。
【0047】
「免疫グロブリン定常領域」又は「定常領域」は、1以上の定常領域ドメインの一部若しくは全てに対応するか、若しくは由来するペプチド又はポリペプチド配列を指すために本明細書で定義される用語である。ある実施形態において、免疫グロブリン定常領域は1以上の定常領域ドメインの一部若しくは全てに対応するか、若しくは由来するが、供給源抗体の全ての定常領域ドメインではない。ある実施形態において、定常領域は、IgG CH2及びCH3ドメイン、例えば、IgG1 CH2及びCH3ドメインを含む。ある実施形態において、定常領域はCH1ドメインを含まない。ある実施形態において、定常領域を構成する定常領域ドメインはヒトである。いくつかの実施形態において(例えば、CD3又は別のT細胞表面抗原に特異的に結合する第2の結合ドメインを含むCD123結合ポリペプチド又はタンパク質のいくつかのバリエーションにおいて)、本開示の融合タンパク質の定常領域ドメインは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)及び補体活性化及び補体依存性細胞傷害(CDC)のエフェクター機能を欠くか、最小限有するが、いくつかのFc受容体(FRn、新生児Fc受容体など)に結合する能力を保持し、インビボで比較的長い半減期を保持している。他のバリエーションにおいて、本開示の融合タンパク質は、ADCC及びCDCの一方又は両方のそのようなエフェクター機能を保持する定常ドメインを含む。ある実施形態において、本開示の結合ドメインは、ヒトIgG1定常領域に融合され、IgG1定常領域は、以下の変異アミノ酸:(EUに従って番号付けられた)234位のロイシン(L234)、235位のロイシン(L235)、237位のグリシン(G237)、318位のグルタミン酸(E318)、320位のリジン(K320)、322位のリジン(K322)、又は任意のそれらの組み合わせのうちの1以上を有する。例えば、これらのアミノ酸の任意の1以上をアラニンに変えることができる。さらなる実施形態において、IgG1 Fcドメインは、アラニンに変異された(EU番号付けに従う)L234、L235、G237、E318、K320、及びK322(すなわち、それぞれL234A、L235A、G237A、E318A、K320A、及びK322A)の各々、同様に必要に応じて、N297A変異(すなわち、基本的にCH2ドメインのグリコシル化を排除するため)を有する。別の実施形態において、IgG1 Fcドメインは、L234A、L235A、G237A及びK322A変異の各々を有する。例えば、本発明は、配列番号130と少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一のアミノ酸配列を有するCD123結合ドメイン又はscFv;変異L234A、L235A、G237A及びK322Aを含むIgG1ドメイン;並びにCD3結合ドメインを含む組み換えポリペプチドを含む。本発明は、配列番号130と少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一のアミノ酸配列を含むCD123結合ドメイン;変異L234A、L235A、G237A及びK322Aを含むIgG1ドメイン;並びに配列番号192又は配列番号193と少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一のアミノ酸配列を含むCD3結合ドメイン、を含む組み換えポリペプチドを含む。
【0048】
「Fc領域」又は「Fcドメイン」は、細胞上の抗体受容体及び補体のC1q構成要素への結合に関与する供給源抗体の一部に対応するか、又は由来するポリペプチド配列を指す。Fcは、タンパク質結晶を容易に形成する抗体の断片である「結晶性断片(fragment crystalline)」を表す。元々、タンパク質消化によって説明される個々のタンパク質断片は、免疫グロブリンタンパク質の全体的な一般構造を定義し得る。文献で元々定義されるように、Fc断片は、ジスルフィド結合重鎖ヒンジ領域、CH2及びCH3ドメインからなる。しかしながら、より最近では、この用語は、CH3、CH2、及び第2のそのような鎖とジスルフィド結合二量体を形成するのに十分なヒンジの少なくとも一部からなる単鎖に適用されている。免疫グロブリンの構造及び機能の概説については、Putnam,The Plasma Proteins,V巻(Academic Press社,1987),pp.49-140;及びPadlan,Mol.Immunol.31:169-217,1994を参照されたい。本明細書で使用するように、用語Fcは、天然に存在する配列の変異体を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、CD123結合タンパク質は、例えば、米国特許出願公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に概説されているタンパク質骨格を含む。CD123結合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、第1の結合ドメイン、ヒンジ領域、及び免疫グロブリン定常領域を含み得る。他の実施形態において、CD123結合タンパク質は、例えば、米国特許出願公開第2009/0148447号に概説されているタンパク質骨格を含む。CD123結合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、免疫グロブリン定常領域、ヒンジ領域及び第1の結合ドメインを含み得る。
【0050】
本明細書に開示するCD123結合ポリペプチド及びタンパク質は、多特異性結合タンパク質骨格を取り込むことができる。骨格を用いる多特異性結合タンパク質及びポリペプチドは、例えば、PCT出願公開WO 2007/146968、米国特許出願公開第2006/0051844号、PCT出願公開WO 2010/040105、PCT出願公開WO 2010/003108、米国特許第7,166,707号、及び米国特許第8,409,577号に開示されており、それらは各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。CD123結合タンパク質は、2つの結合ドメイン(該ドメインは、同じ又は異なる標的に特異的に結合するように計画することができる)、ヒンジ領域、リンカー(例えば、カルボキシル末端リンカー又はアミノ末端リンカー)、及び免疫グロブリン定常領域を含み得る。CD123結合タンパク質は、2つの同一のジスルフィド結合ポリペプチドを含むホモ二量体タンパク質であり得る。
【0051】
本発明の一実施形態において、該CD123結合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、第1の結合ドメイン、ヒンジ領域、免疫グロブリン定常領域及び第2の結合ドメインを含む。図11に、この構成のCD123結合タンパク質が図示されている。
【0052】
本明細書で使用する「接合部アミノ酸」又は「接合部アミノ酸残基」という用語は、ヒンジと隣接免疫グロブリン定常領域又はヒンジと隣接結合ドメイン又はペプチドリンカーと隣接免疫グロブリン可変ドメイン若しくは隣接免疫グロブリン定常領域などの、ポリペプチドの2つの隣接領域又はドメインの間の1以上(例えば、約2~10個)のアミノ酸残基を指す。接合部アミノ酸は、ポリペプチドの構築物設計(例えば、ポリペプチドをコードする核酸分子の構築中に制限酵素部位の使用から生じるアミノ酸残基)から生じ得る。
【0053】
本明細書で使用する「必要とする患者」又は「必要とする対象」という用語は、本明細書に提供されるCD123結合タンパク質又はポリペプチド又はその組成物での治療又は寛解に適する疾患、障害若しくは病状のリスクがあるか、又は罹患している患者を指す。必要とする患者は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)、有毛細胞白血病(HCL)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、慢性骨髄性白血病及びホジキンリンパ腫などのCD123発現と関連する疾患と診断された患者であり得る。
【0054】
本明細書で使用する「医薬として許容される」という用語は、当技術分野で周知の経路を用いて投与した時に、一般に、アレルギー又は他の重篤な副作用を生じさせない分子実体及び組成物を指す。動物、より具体的には、ヒトにおける使用について、米国の連邦政府若しくは州政府の規制機関で承認されるか、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に記載されている分子実体及び組成物は、「医薬として許容される」とみなされる。
【0055】
本明細書で使用する「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼに結合して、転写を開始するのに関与するDNAの領域を指す。
【0056】
本明細書で使用する「核酸」、「核酸分子」、又は「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖又は二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそのポリマーを指す。具体的に制限しない限り、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと類似の方法で代謝される天然ヌクレオチドの類似体を含有する核酸を包含する。特に示さない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的修飾変異体(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列並びに明確に示される配列を暗に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1以上の選択された(又は全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基と置換される配列の作製によって達成され得る(Batzerら、(1991) Nucleic Acid Res.19:5081;Ohtsukaら、(1985) J.Biol.Chem.260:2605-2608;Cassolら、(1992);Rossoliniら、(1994) Mol.Cell.Probes 8:91-98)。核酸という用語は、遺伝子、遺伝子にコードされるcDNA、及びmRNAと互換的に使用される。本明細書で使用する「核酸」、「核酸分子」、又は「ポリヌクレオチド」という用語は、DNA分子(例えば、cDNA若しくはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体を用いて作製されるDNA若しくはRNAの類似体、並びにその誘導体、断片及びホモログを含むことが意図される。
【0057】
「発現」という用語は、核酸によってコードされる生成物の生合成を指す。例えば、目的のポリペプチドをコードする核酸セグメントの場合、発現は、核酸セグメントのmRNAへの転写及びmRNAの1以上のポリペプチドへの翻訳に関与する。
【0058】
「発現単位」及び「発現カセット」という用語は、本明細書で互換的に使用され、目的のポリペプチドをコードする核酸セグメントを意味し、宿主細胞において該核酸セグメントの発現を提供することができる。発現単位は、典型的には、全て作動可能な構成で転写プロモーター、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、及び転写終結コドンを含む。転写プロモーター及び転写終結コドンに加えて、発現単位は、さらに、例えば、エンハンサー又はポリアデニル化シグナルなどの他の核酸セグメントを含むことができる。
【0059】
本明細書で使用する「発現ベクター」という用語は、1以上の発現単位を含む、直鎖又は環状の核酸分子を指す。1以上の発現単位に加えて、発現ベクターはまた、例えば、1以上の複製開始点又は1以上の選択マーカーなどのさらなる核酸セグメントを含むことができる。発現ベクターは、一般に、プラスミド若しくはウイルスのDNAに由来するか、又は両方の要素を含有することができる。
【0060】
本明細書で使用する「配列同一性」という用語は、2以上のポリヌクレオチド配列間又は2以上のポリペプチド配列間の関係を指す。1つの配列の中の位置を、比較配列の対応する位置の中の同じ核酸塩基又はアミノ酸残基が占める場合、該配列はその位置で「同一」であると言われる。「配列同一性」の割合は、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列内に生じて、「同一」の位置の数をもたらす位置の数を決定することによって計算される。次いで、「同一」の位置の数を、比較枠内の位置の合計数で割り、100をかけると、「配列同一性」の割合が得られる。「配列同一性」の割合は、比較枠上で最適に配列させた2つの配列を比較することによって決定される。核酸配列のための比較枠は、例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900又は1000以上の核酸長であり得る。ポリペプチド配列のための比較枠は、例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300以上のアミノ酸長であり得る。比較のための最適な整列のために、比較枠内のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の一部は、参照配列が一定に保たれている一方で、ギャップと呼ばれる付加又は欠失を含むことができる。最適整列は、ギャップがあっても、参照配列と比較配列の間で最高の可能な「同一」位置の数をもたらす整列である。2つの配列間の「配列同一性」の割合は、2004年9月1日の米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)から利用可能なプログラム「BLAST2配列」のバージョンを用いて決定することができ、そのプログラムにはプログラムBLASTN(ヌクレオチド配列比較用)及びBLASTP(ポリペプチド配列比較用)が組み込まれており、これらのプログラムはKarlin及びAltschul(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(12):5873-5877,1993)に基づいている。「BLAST2配列」を利用する場合、2004年9月1日のデフォルトパラメータであるパラメータは、ワードサイズ(3)、オープンギャップペナルティ(11)、エクステンションギャップペナルティ(1)、ギャップドロップオフ(50)、期待値(10)及びマトリックス選択を含むが、これに限定されない任意の他の必要なパラメータに使用することができる。2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列は、2つの配列が、互いに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する場合、「実質的に類似の配列同一性」又は「実質的配列同一性」を有するとみなされる。
【0061】
本明細書で使用する「ポリペプチド」又は「ポリペプチド鎖」は、共有結合アミノ酸の一本鎖で、線形の連続する配列である。ポリペプチドは、1以上の鎖内ジスルフィド結合を有するか、又は形成することができる。本明細書に記載のポリペプチドに関して、配列番号によって特定されるものに対応するアミノ酸残基への言及には、そのような残基の翻訳後修飾が含まれる。
【0062】
本明細書で使用する「CD123結合タンパク質」は、「CD123結合ポリペプチド」、「ポリペプチド」、及び「組み換えポリペプチド」と互換的に使用され得る。そのような分子は、分化クラスター(Cluster of Differentiation)123、インターロイキン3受容体α鎖、及びIL3RAとしても知られるCD123(例えば、ヒトCD123)に特異的に結合する。CD123は、予想されるIg様ドメインを含む細胞外ドメイン及び2つのFnIIIドメインを有するI型膜貫通糖タンパク質である。本開示のCD123結合タンパク質は、CD123の細胞外ドメインに結合する。「CD123」という用語は、CD123の全てのアイソフォームを指し得る。例示的なヒトCD123のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を、それぞれ配列番号205及び206並びに配列番号207及び208に提供する。CD123は、インターロイキン3受容体のベータ鎖と結合して、該受容体を形成する。
【0063】
「タンパク質」は、1以上のポリペプチド鎖を含む巨大分子である。タンパク質はまた、炭水化物基などの非ペプチド成分を含むことができる。炭水化物及び他の非ペプチド置換基は、タンパク質が生成される細胞によってタンパク質に付加され得、細胞の種類によって異なる。タンパク質は、それらのアミノ酸骨格の構造の観点から本明細書で定義される。炭水化物基などの置換基は、一般に特定されないが、それでもなお存在し得る。タンパク質は、抗体又は抗体の抗原結合断片であり得る。いくつかの実施形態において、タンパク質はまた、scFv-Fc-scFv分子、scFv-scFv二量体、又はダイアボディであり得る。
【0064】
「アミノ末端」及び「カルボキシル末端」という用語は、ポリペプチド内の位置を示すために本明細書で使用される。文脈が許す場合、これらの用語は、近接又は相対位置を示すために、特定の配列又はポリペプチドの一部を参照して使用される。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシル末端に配置されるある配列は、参照配列のカルボキシル末端に近接して位置づけられるが、必ずしも完全なポリペプチドのカルボキシル末端に存在する必要はない。
【0065】
「T細胞受容体」(TCR)は、T細胞表面上に見られる分子であり、CD3と共に、一般に、主要組織適合複合体(MHC)分子と結合した抗原を認識するのに関与する。T細胞受容体は、ほとんどのT細胞内で高度に可変のα鎖及びβ鎖のジスルフィド結合ヘテロ二量体からなる。他のT細胞では、可変γ鎖及びδ鎖で構成される代替受容体が発現する。TCRの各鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、及びC末端に短い細胞質テールを保有する(Abbas及びLichtman、細胞及び分子免疫学(Cellular and Molecular Immunology)(第5版)、編集者:Saunders、Philadelphia、2003;Janewayら、免疫学:健常及び疾患における免疫系(Immunobiology:The Immune System in Health and Disease)、第4版、Current Biology Publications、P148、149、及び172、1999を参照されたい)。本開示で使用されるTCRは、ヒト、マウス、ラット、又は他の哺乳類を含む様々な動物種由来であり得る。
【0066】
本明細書で使用する「TCR複合体」は、CD3鎖と他のTCR鎖の結合によって形成される複合体を指す。例えば、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体、TCRα鎖、及びTCRβ鎖で構成され得る。あるいは、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体、TCRγ鎖、及びTCRδ鎖で構成され得る。
【0067】
本明細書で使用する「TCR複合体の構成成分」は、TCR鎖(すなわち、TCRα、TCRβ、TCRγ又はTCRδ)、CD3鎖(すなわち、CD3γ、CD3δ、CD3ε又はCD3ζ)、又は2以上のTCR鎖又はCD3鎖によって形成される複合体(例えば、TCRαとTCRβの複合体、TCRγとTCRδの複合体、CD3εとCD3δの複合体、CD3γとCD3εの複合体、又はTCRα、TCRβ、CD3γ、CD3δ、及び2つのCD3ε鎖のサブTCR複合体)を指す。
【0068】
本明細書で使用する「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」及び「ADCC」は、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞(NK)細胞及びマクロファージなどの単球細胞)が、標的細胞上の結合抗体(又はFcγRに結合できる他のタンパク質)を認識し、その後、標的細胞を溶解する細胞介在性プロセスを指す。原理上は、活性化FcγRを有する任意のエフェクター細胞が誘発されて、ADCCを媒介し得る。ADCCを媒介する主要細胞は、FcγRIIIのみを発現するNK細胞であるが、それらの活性化、局在、又は分化の状態に依存して、単球がFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現することができる。造血細胞上のFcγR発現の概説については、Ravetchら、1991,Annu.Rev.Immunol.,9:457-92を参照されたい。
【0069】
ポリペプチド又はタンパク質を参照して、本明細書で使用する「ADCC活性を有する」という用語は、ポリペプチド又はタンパク質(例えば、免疫グロブリンヒンジ領域並びにIgG(例えば、IgG1)などに由来するCH2及びCH3ドメインを有する免疫グロブリン定常領域を含むもの)が、Fc受容体を発現する細胞溶解免疫エフェクター細胞上の細胞溶解Fc受容体(例えば、FcγRIII)の結合を介して、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)を媒介できることを意味する。
【0070】
本明細書で使用する「補体依存性細胞傷害」及び「CDC」は、標的抗原に結合した抗体又は他のC1q補体結合タンパク質と共に、正常血清中の構成成分(「補体」)が、標的抗原を発現する標的細胞の溶解を示すプロセスを指す。補体は、それらの作用を発揮するように協力して、順に作用する血清タンパク質の群からなる。
【0071】
本明細書で使用する「古典的補体経路」及び「古典的補体システム」という用語は、同義であり、補体の活性化のための特定の経路を指す。古典的経路は、開始に抗原-抗体複合体を必要とし、順番にC1~C9と命名された9つの主要タンパク質構成成分の活性化を伴う。活性化プロセス中のいくつかの工程については、生成物は、その後の工程を触媒する酵素である。このカスケードは、比較的小さい開始シグナルによって大量の補体の増幅及び活性化を提供する。
【0072】
ポリペプチド又はタンパク質を参照して、本明細書で使用する「CDC活性を有する」という用語は、ポリペプチド又はタンパク質(例えば、IgG(例えば、IgG1)などに由来するCH2及びCH3ドメインを有する免疫グロブリンヒンジ領域並びに免疫グロブリン定常領域を含むもの)が、C1q補体タンパク質の結合及び古典的補体経路の活性化を介して補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介することができることを意味する。本発明の一実施形態において、組み換えポリペプチドは、CDC活性を軽減するように改変されている。
【0073】
本明細書で使用する「リダイレクトされたT細胞の細胞傷害」及び「RTCC」は、細胞傷害性T細胞が、細胞傷害性T細胞及び標的細胞の両方に特異的に結合できる多特異性タンパク質を用いて標的細胞にリクルートされ、それによって、標的依存性細胞傷害性T細胞応答が標的細胞に対して誘発されるT細胞媒介性プロセスを指す。本明細書に開示される抗CD123結合ドメイン及び抗CD3結合ドメインを含むポリペプチド並びにタンパク質は、RTCCが可能である。
【0074】
本明細書で使用する「治療」、「治療すること」、又は「寛解すること」という用語は、治療的処置又は予防的(prophylactic)/予防的(preventative)処置のいずれかを指す。処置が、処置を受ける個人の少なくとも1つの疾患症状が改善するか、又は処置が、個人における進行性疾患の悪化を遅らせるか、又はさらなる関連疾患の発症を予防することができる場合に治療的である。
【0075】
本明細書で使用する、特異的結合分子又は化合物の「治療有効量(若しくは治療有効用量)」又は「有効量(若しくは有効用量)」という用語は、統計的に有意な方法で治療される疾患の1以上の症状を寛解させるか、又は臓器機能を時計的に有意に改善させるのに十分な化合物の量を指す。単独で投与される個々の活性成分について言及する場合、治療有効用量はその成分単独を指す。組み合わせについて言及する場合、治療有効用量は、連続して又は同時に(同じ製剤中で、又は別々の製剤で同時に)投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を指す。
【0076】
本明細書で使用する「形質転換」、「形質移入」、及び「形質導入」という用語は、細胞への核酸(すなわち、ヌクレオチドポリマー)の導入を指す。本明細書で使用する「遺伝子形質転換」という用語は、DNA、特に、組み換えDNAの細胞への導入及び組み込みを指す。導入される核酸は、発現ベクターを介して細胞に導入され得る。
【0077】
本明細書で使用する「変異体」又は「変異体(複数)」という用語は、参照核酸又は参照ポリペプチドとは異なるが、その基本的な特性を保持している核酸又はポリペプチドを指す。一般に、変異体は、全体的によく似ており、多くの領域で、参照核酸又は参照ポリペプチドと同一である。例えば、変異体は、参照核酸又は参照ポリペプチドの活性部分又は全長と比較して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を示し得る。
【0078】
「軽鎖可変領域」(「軽鎖可変ドメイン」又は「VL」又はVとも呼ばれる)及び「重鎖可変領域」(「重鎖可変ドメイン」又は「VH」又はVとも呼ばれる)という用語は、それぞれ抗体の軽鎖及び重鎖由来の可変結合領域を指す。可変結合領域は、一般に、アミノ末端からカルボキシル末端に向かってFR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順で含まれる「相補性決定領域」(CDR)及び「フレームワーク領域」(FR)として知られる別々のよく定義されたサブ領域で構成されている。一実施形態において、FRはヒト化される。「CL」という用語は、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」又は「軽鎖定常領域」、すなわち、抗体軽鎖由来の定常領域を指す。「CH」という用語は、「免疫グロブリン重鎖定常領域」又は「重鎖定常領域」を指し、これは、抗体アイソタイプに依存して、さらにCH1、CH2、及びCH3(IgA、IgD、IgG)、又はCH1、CH2、CH3、及びCH4ドメイン(IgE、IgM)に分けられる。「Fab」(抗原結合断片)は、抗原に結合する抗体の一部であり、鎖間ジスルフィド結合により軽鎖と結合した重鎖の可変領域及びCH1ドメインを含む。
【0079】
本開示は、CD123(例えば、ヒトCD123)に特異的に結合する結合ドメイン、並びにこれらの結合ドメインを含むポリペプチド及びタンパク質について説明する。いくつかの実施形態において、CD123結合タンパク質及びポリペプチドは、CD123又は異なる標的に結合することができる第2の結合ドメインを含む。この開示の結合ドメインを含むポリペプチド及びタンパク質は、さらに、免疫グロブリン定常領域、リンカーペプチド、ヒンジ領域、免疫グロブリン二量体化/ヘテロ二量体化ドメイン、接合アミノ酸、タグなどを含むことができる。開示されるポリペプチド及びタンパク質のこれらの構成成分については、以下でさらに詳細に説明する。
【0080】
さらに、本明細書に開示されるCD123結合ポリペプチド及びタンパク質は、様々な異なる形式のいずれかの抗体又は融合タンパク質の形態で存在し得る(例えば、融合タンパク質は、CD123結合二重特異性分子又は多特異性分子の形態で存在し得る)。二重特異性分子の非限定的な例としては、scFv-Fc-scFv分子が挙げられる。いくつかの二重特異性分子は、第2の結合ドメインscFvと連結した抗CD123scFvを含むか、又はそれらからなり、免疫グロブリン定常領域などの他の配列を含まない。他の実施形態において、CD123結合タンパク質はダイアボディである。
【0081】
本開示によるCD123結合タンパク質は、一般に、(a)本明細書に記載のCD123結合ドメインを含む少なくとも1つのCD123結合ポリペプチド鎖を含む。いくつかのバリエーションにおいて、該CD123結合ポリペプチドは、さらに、(b)該CD123結合ドメインのカルボキシル末端にヒンジ領域、及び(c)免疫グロブリン定常領域を含む。さらなるバリエーションにおいて、該CD123結合ポリペプチドは、さらに、(d)免疫グロブリン定常領域のカルボキシル末端にカルボキシル末端リンカー、及び(e)カルボキシル末端リンカーのカルボキシル末端に第2の結合ドメインを含む。
【0082】
さらに他のバリエーションにおいて、該CD123結合ポリペプチドは、(b)該CD123結合ドメインのアミノ末端にヒンジ領域、及び(c)ヒンジ領域のアミノ末端に免疫グロブリンサブ領域を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、組み換えポリペプチドは、典型的には、免疫グロブリン定常領域及び/又はヒンジ領域による(例えば、IgG CH2及びCH3ドメイン並びにIgGヒンジ領域を含む免疫グロブリン定常領域による)ジスルフィド結合を介してホモ二量体化できる。したがって、本開示のある実施形態において、2つの同一の一本鎖CD123結合ポリペプチドは、ホモ二量体化し、二量体CD123結合タンパク質を形成する。本発明のホモ二量体の例を図11に提供する。
【0084】
他の実施形態において、CD123結合ポリペプチドは、第2の非同一ポリペプチド鎖内の異なるヘテロ二量体化ドメインとヘテロ二量体化できるヘテロ二量体化ドメインを含む。いくつかのバリエーションにおいて、ヘテロ二量体化用の第2のポリペプチド鎖は、第2の結合ドメインを含む。したがって、本開示のある実施形態において、CD123結合ドメインを含む一方の鎖と、任意選択で第2の結合ドメインを含む第2の鎖の2つの非同一ポリペプチド鎖は、二量体化し、ヘテロ二量体CD123結合タンパク質を形成する。ヘテロ二量体の種類の例としては、米国特許出願公開第2013/0095097号及び同第2013/0129723号に記載のものが挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態において、CD123結合ドメイン、タンパク質又はポリペプチドは、薬物又は毒性部分とコンジュゲートされる。
【0086】
本開示の薬物療法で使用されるCD123結合ポリペプチド、タンパク質、及びそれらの様々な構成成分については、さらに以下で説明する。
【0087】
上で示したとおり、本開示は、CD123に特異的に結合する結合ドメインに関する。いくつかのバリエーションにおいて、該CD123結合ドメインは、CD123への結合について、それぞれ配列番号194及び配列番号196に示すアミノ酸配列を有するV及びV領域を有する抗体(例えば、12F1)と競合することができる。マウス抗CD123抗体の12F1は、例えば、米国特許出願公開第2013/041739号及びKuoら、(2012) Protein Eng Design Select,p1-9に記載されている。
【0088】
CD123結合ドメインは、表3に示す配列を含むことができ、いくつかの関連する配列番号を表6にまとめる。ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含み、HCDR1は配列番号12に記載のアミノ酸配列を含み、HCDR2は配列番号14に記載のアミノ酸配列を含み、HCDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号6に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号6と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号8に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号8と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号10に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号10と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号12に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号12と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号14に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号14と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号16に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号16と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合に、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。例えば、本発明は、(i)配列番号6に記載のアミノ酸配列又は1若しくは2個のアミノ酸置換によって配列番号6と異なる配列を有するLCDR1、(ii)配列番号8に記載のアミノ酸配列又は1若しくは2個のアミノ酸置換によって配列番号8と異なる配列を有するLCDR2、(iii)配列番号10に記載のアミノ酸配列又は1若しくは2個のアミノ酸置換によって配列番号10と異なる配列を有するLCDR3、(iv)配列番号12に記載のアミノ酸配列又は1若しくは2個のアミノ酸置換によって配列番号12と異なる配列を有するHCDR1、(v)配列番号14に記載のアミノ酸配列又は1若しくは2個のアミノ酸置換によって配列番号14と異なる配列を有するHCDR2、かつ(vi)配列番号16に記載のアミノ酸配列又は1若しくは2個のアミノ酸置換によって配列番号16と異なる配列を有するHCDR3、を含む組み換えポリペプチドを含む。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。
【0089】
関連実施形態において、本発明の組み換えポリペプチドは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号2)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号4)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。一実施形態において、組み換えポリペプチドのCD123結合ドメインは、VHVL方向で配列番号4を含む可変重鎖及び配列番号2を含む可変軽鎖を含むscFvである。別の実施形態において、組み換えポリペプチドのCD123結合ドメインは、VLVH方向で配列番号2を含む可変軽鎖及び配列番号4を含む可変重鎖を含むscFvである。例えば、ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号130又は配列番号132のアミノ酸配列を含む。本発明は、配列番号130又は配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である組み換えポリペプチドを含む。
【0090】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号28に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号28と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号30に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号30と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号32に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号32と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0091】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号18)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号20)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0092】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号36に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号36と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号38に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号38と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号40に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号40と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0093】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号18)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号34)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0094】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号44に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号44と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号46に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号46と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号48に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号48と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0095】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号18)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号42)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0096】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号100に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号100と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号102に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号102と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号104に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号104と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0097】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号18)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号98)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0098】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号116に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号116と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号118に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号118と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号120に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号120と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0099】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号18)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号114)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0100】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号22に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号22と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号24と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号26と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号124に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号124と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号126に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号126と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号128に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号128と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0101】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号18)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号122)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0102】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号54に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号54と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号56に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号56と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号58に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号58と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号60に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号60と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号62に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号62と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号64に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号64と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0103】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号50)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号52)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0104】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号70に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号70と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号72に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号72と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号74に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号74と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号76に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号76と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号78に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号78と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号80に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号80と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0105】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号66)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号68)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0106】
ある実施形態において、該CD123結合ドメインは、(i)CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)、並びに(ii)CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む。いくつかのそのような実施形態において、(i)LCDR1は、配列番号86に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号86と異なる配列を有し、(ii)LCDR2は、配列番号88に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号88と異なる配列を有し、(iii)LCDR3は、配列番号90に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号90と異なる配列を有し、(iv)HCDR1は、配列番号92に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号92と異なる配列を有し、(v)HCDR2は、配列番号94に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号94と異なる配列を有し、かつ(vi)HCDR3は、配列番号96に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号96と異なる配列を有する。上記のアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3は、列挙される配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が異なる。ある実施形態において、本開示のCDRは、既知のモノクローナル抗体のCDR配列と比較した場合、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、約1以上(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は前述の変化の組み合わせを含有する。
【0107】
関連する実施形態において、CD123結合ドメインは、軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号82)又は重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列(例えば、配列番号84)、又はその両方と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は100%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0108】
ある実施形態において、CD123結合ドメインは、ヒト化免疫グロブリンV及び/又はV領域を含む。免疫グロブリンV及びV領域をヒト化する技術は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許出願公開第2006/0153837号で考察されている。ある実施形態において、CD123結合ドメインは、ヒト免疫グロブリンV及び/又はV領域を含む。
【0109】
「ヒト化」は、元の分子の抗原結合特性を完全に保持しながら、免疫原性が低い抗体をもたらすことが期待されている。元の抗体の抗原結合特性の全てを保持するために、その抗原結合部位の構造は、「ヒト化」バージョンに再生されるべきである。これは、決定的なフレームワーク残基の保持の有無にかかわらず、ヒト可変フレームワークドメイン及び定常領域上に非ヒトCDRのみを移植することによって(Jonesら、Nature 321:522(1986);Verhoeyenら、Science 239:1539(1988))、又は(リガンド結合特性を保存するために)非ヒト可変ドメイン全体を組み合わせるが、(抗原性を低減するために)暴露される残基の賢明な置換によりヒト様表面でそれらをクローキングすることによって(Padlan,Molec.Immunol.28:489(1991))達成することができる。
【0110】
基本的に、CDR移植によるヒト化には、ヒト可変領域フレームワーク及びヒト定常領域上で非ヒト抗体のCDRのみを組み替えることを伴う。理論的には、これは、免疫原性を実質的に低減又は除去するはずである(アロタイプ又はイディオタイプの違いが存在する場合を除いて)。しかしながら、元の抗体のいくつかのフレームワーク残基も保存される必要があり得ると報告された(Reichmannら,Nature,332:323(1988);Queenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10,029(1989))。
【0111】
保存される必要のあるフレームワーク残基は、コンピューターモデリングにより特定されやすい。もう1つの方法として、重要なフレームワーク残基は、既知の抗原結合部位の構造と比較することによって潜在的に特定することができる(参照により本明細書に組み込まれる(Padlan,Molec.Immunol.,31(3):169-217(1994))。
【0112】
潜在的に抗原結合に影響を与える残基は、いくつかのグループに分類される。第1のグループは、抗原部位表面と近接している残基を含み、したがって、抗原と直接接触することができた。これらの残基は、アミノ末端残基及びCDRと隣接している残基を含む。第2のグループは、抗体のCDR又は別のペプチド鎖のいずれかと接触することによって、CDRの構造又は相対的整列を変更することができた残基を含む。第3のグループは、可変ドメインの構造的完全性に影響を与えることができた埋め込み側鎖を有するアミノ酸を含む。これらのグループの残基は、通常同じ位置に見られる(Padlan,1994,上記)が、特定されるそれらの位置は、番号付けシステムに依存して異なり得る(Kabatら,「免疫学的に重要なタンパク質の配列(Sequences of proteins of immunological interest),第5版,公開番号91-3242,U.S.Dept.Health & human Services,NIH,Bethesda,Md.,1991を参照されたい)。
【0113】
当技術分野におけるヒト化抗体についての知見は、これらのポリペプチドが抗体でなくとも、本開示によるポリペプチドに適用可能である。
【0114】
いくつかの実施形態において、本開示は、CD123結合ドメインに関し、(i)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(ii)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号20に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(iii)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号34に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(iv)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号42に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(v)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号50に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号52に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(vi)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号66に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号68に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(vii)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号82に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号84に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(viii)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号122に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(ix)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号98に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;(x)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号106に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むか;又は(xi)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号114に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0115】
さらなる実施形態において、各CDRは、興味の標的(例えば、CD123)に特異的に結合するモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体のものと比較して、1、2、若しくは3個以下の置換、挿入又は欠失を含む。
【0116】
ある実施形態において、CD123結合ドメインは、CD123以外の標的に結合する1以上の追加の結合ドメイン(例えば、第2の結合ドメイン)を含むことができる。これらの他の結合ドメインは、例えば、特定のサイトカイン又は該結合ドメインポリペプチドを特定の細胞型、毒素、追加の細胞受容体、抗体などへ標的化する分子を含むことができる。
【0117】
ある実施形態において、CD123結合分子又はタンパク質は、CD123を発現する標的細胞へのT細胞の動員用のT細胞結合ドメインを含むことができる。ある実施形態において、本明細書に記載のCD123結合タンパク質は、(i)TCR複合体又はその構成成分(例えば、TCRα、TCRβ、CD3γ、CD3δ、及びCD3ε)に特異的に結合する結合ドメイン並びに(ii)CD123に特異的に結合する別の結合ドメインを含むことができる。CD123結合タンパク質は、基本的に、T細胞に結合する任意の結合ドメイン、例えば、抗体由来の結合ドメインを利用することができる。CD3結合ドメインが由来し得る例示的な抗CD3抗体は、CRIS-7モノクローナル抗体を含む(Reinherz,E.L.ら(編),白血球タイピングII(Leukocyte typing II).,Springer Verlag,New York,(1986);それぞれ配列番号209(QVVLTQSPAIMSAFPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDSSKLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMETEDAATYYCQQWSRNPPTFGGGTKLQITR)及び配列番号210(QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRSTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSSAYTNYNQKFKDKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCASPQVHYDYNGFPYWGQGTLVTVSA)に示すV及びVアミノ酸配列);HuM291(Chauら、(2001)Transplantation 71:941-950;それぞれ配列番号211(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQKPGKAPKRLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIK)及び配列番号212(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFISYTMHWVRQAPGQGLEWMGYINPRSGYTHYNQKLKDKATLTADKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSAYYDYDGFAYWGQGTLVTVSS)に示すV及びVアミノ酸配列));BC3モノクローナル抗体(Anasettiら、(1990) J.Exp.Med.172:1691);OKT3モノクローナル抗体(オルト多施設移植研究グループ(Ortho multicenter Transplant Study Group)(1985)N.Engl.J.Med.313:337)及びOKT3 ala-ala(OKT3 AA-FL又はOKT3 FLとも呼ばれる)などのその誘導体、234位及び235位にアラニン置換を有するヒト化Fc変異体(Heroldら、(2003) J.Clin.Invest.11:409);ビジリズマブ(Carpenterら、(2002) Blood 99:2712),G19-4モノクローナル抗体(Ledbetterら、1986,J.Immunol.136:3945),145-2C11モノクローナル抗体(Hirschら、(1988) J.Immunol.140:3766)及びI2Cモノクローナル抗体(例えば、米国特許公開第2011/0293619号及び同第20120244162号を参照されたい)。例えば、CD3結合ドメインは、米国特許公開第2012/0244162号の配列番号17、21、35、39、53、57、71、75、89、83、107、111、125、129、143、147、161、165、179及び183から選択されるVL領域並びに/又は米国特許公開第2012/0244162の配列番号15、19、33、37、51、55、69、73、87、91、105、109、123、127、141、145、159、163、177及び181から選択されるVH領域を含むCD3結合ドメインを含む、米国特許出願公開第2012/0244162号に開示されているCD3結合ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態において、CD3結合ドメインは、米国特許公開第2012/0244162の配列番号23、25、41、43、59、61、77、79、95、97、113、115、131、133、149、151、167、169、185、及び187から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD3結合ドメインは、WO2004/106380、WO2005/040220A1、米国特許公開第2014/0099318号に記載のもの又はそのCD3結合ドメイン由来のものである。例示的な抗TCR抗体は、BMA031モノクローナル抗体である(Borstら、(1990) Human Immunology 29:175-188)。CD3結合ドメインは、WO 2013/158856(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の抗体又は配列のいずれかに由来し得る。あるバリエーションにおいて、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドの第2の結合ドメインは、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、(a)該LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、それぞれ配列番号162、163及び164に記載のアミノ酸配列を有し、該HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、それぞれ配列番号165、166及び167に記載のアミノ酸配列を有するか、又は(b)該LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、それぞれ配列番号168、配列番号169、及び配列番号170に記載のアミノ酸配列を有し、該HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、それぞれ配列番号171、配列番号172、及び配列番号173に記載のアミノ酸配列を有する。他の態様において、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドの第2の結合ドメインは、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、(a)該LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、それぞれ配列番号171、172及び173に記載のアミノ酸配列を有し、該HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、それぞれ配列番号174、175及び176に記載のアミノ酸配列を有するか、又は(b)該LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号176、177及び178に記載のアミノ酸配列を有し、該HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、それぞれ配列番号179、180及び181に記載のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドの第2の結合ドメインは、(i)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域、並びに(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、(a)該LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、それぞれ配列番号182、183及び184に記載のアミノ酸配列を有し、該HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、それぞれ配列番号185、186及び187に記載のアミノ酸配列を有するか、又は(b)該LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、それぞれ配列番号188、189及び190に記載のアミノ酸配列を有し、該HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、それぞれ配列番号191、192及び193に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、この項に列挙されたCDR配列を含む第2の結合ドメインはヒト化される。
【0118】
CD3εに特異的に結合する第2の結合ドメインを含むCD123結合タンパク質のいくつかの実施形態において、該第2の結合ドメインは、CRIS-7、HuM291又はI2Cモノクローナル抗体とCD3εへの結合について競合する。あるバリエーションにおいて、該CD3結合ドメインは、CRIS-7、HuM291又はI2Cモノクローナル抗体由来の免疫グロブリン軽鎖可変領域(V)及び免疫グロブリン重鎖可変領域(V)を含む(例えば、第2の結合ドメインのV及びVは、それぞれモノクローナル抗体の軽鎖CDR及び重鎖CDRを含むヒト化可変領域であり得る)。第2の結合ドメインは、DRA222、TSC455、又はTSC456 CD3結合ドメインの軽鎖可変領域、重鎖可変領域、又はその両方を含み得る。DRA222、TSC455、又はTSC456のアミノ酸配列を表3に提供する。DRA222結合ドメインはまた、WO 2013/158856に記載されている。TSC455はまた、TSC394 F87Yとも呼ばれ得る。TSC455はまた、TSC394 E86D F87Y又はTSC394 DYとも呼ばれ得る。いくつかの実施形態において、第2の結合ドメインは、CD3に特異的に結合し、免疫グロブリン軽鎖可変領域及び免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、該免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号157のアミノ酸配列と少なくとも約93%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号158のアミノ酸配列と少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一若しくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含み、該免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号159のアミノ酸配列と少なくとも約82%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約87%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD3結合ドメインをさらに含むCD123結合ポリペプチド又はタンパク質は、該ポリペプチド又はタンパク質の組み換え発現中に生成される低レベルの高分子量凝集体を有し得る。CD3結合ドメインをさらに含むCD123結合ポリペプチド又はタンパク質は、該ポリペプチド又はタンパク質に存在するCD3結合ドメインに依存して、ヒト血清中に比較的長期の安定性を示し得る。
【0119】
あるバリエーションにおいて、本明細書に記載のCD123結合ポリペプチドの第2の結合ドメインは、CD3結合ドメインであり、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2013/0129730号、同第2011/0293619号、米国特許第7,635,472号、WO 2010/037836、WO 2004/106381、又はWO 2011/121110に開示されるCD3結合配列(例えば、CDR又は可変領域)の1以上を含む。いくつかの実施形態において、CD3結合ドメインは、以下の配列のうちの1以上を含む:
【表1】
【0120】
様々な実施形態において、CD3結合ドメインは、以下の配列のうちの1以上を含む:
【表2】
【0121】
ある実施形態において、本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるCD123結合ポリペプチドは、CD123結合ドメイン及びCD3結合ドメインを含む二重特異性単鎖分子である。いくつかの実施形態において、CD123結合ドメイン及び/又はCD3結合ドメインは、抗体由来であり、可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)を含む。例えば、scFvはVH及びVLを含む。これらの結合ドメイン及び可変鎖は、標的(複数可)へのある程度の結合を依然として保持する順番で配置され得る。例えば、可変ドメインは、VH CD123-VL CD123-VH CD3-VL CD3;VL CD123-VH CD123-VH CD3-VL CD3;VH CD123-VL CD123-VL CD3-VH CD3;VL CD123-VH CD123-VL CD3-VH CD3;VH CD3-VL CD3-VH CD123-VL CD123;VL CD3-VH CD3-VL CD123-VH CD123;VH CD3-VL CD3-VL CD123-VH CD123;又はVL CD3-VH CD3-VH CD123-VL CD123などの順番で配置され得る。CD3に結合している結合ドメイン中のVH領域とVL領域の対は、単鎖抗体(scFv)の形式で存在し得る。VH及びVL領域は、VH-VL又はVL-VHの順で配置され得る。いくつかの実施形態において、該scFvは、同じ方向で同じVH及びVL領域配列を含む抗体よりもより効率的にCD123に結合し得る。ある実施形態において、該scFvは、VH-VL方向よりもVL-VH方向でより効率的にCD123に結合し得るか、又は逆もまた同様であり得る(例えば、実施例2を参照されたい)。VH領域は、リンカー配列のN末端に配置され得る。VL領域は、リンカー配列のC末端に配置され得る。二重特異性単鎖分子のCD3結合ドメインにおけるドメイン配置はVH-VLであり得、該CD3結合ドメインは該CD123結合ドメインのC末端に位置する。二重特異性分子は、CD3に結合しているscFvに連結されたCD123に結合しているscFvを含み得る。これらのscFvは、短いペプチドと連結され得る。いくつかの実施形態において、二重特異性単鎖分子は、ヒンジ領域又は定常領域を含まない(例えば、各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2013/0295121号、WO 2010/037836、WO 2004/106381及びWO 2011/121110を参照されたい)。
【0122】
いくつかの実施形態において、結合ドメインは、興味の標的に特異的なV及びV領域を含む単鎖Fv断片(scFv)である。ある実施形態において、V及びV領域は、ヒトであるか、又はヒト化される。
【0123】
いくつかのバリエーションにおいて、結合ドメインは、ペプチドリンカーによって結合された免疫グロブリンV及びV領域を含む単鎖Fv(scFv)である。V及びV領域を結合させるペプチドリンカーの使用は、当技術分野で周知であり、多くの出版物がこの特定の分野に存在する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Serアミノ酸配列の3つのリピートからなる15マーである((GlySer))(配列番号213)。他のリンカーが使用され、ファージディスプレイ技術、並びに選択的感染性ファージ技術が、適切なリンカー配列を多様化し、選択するために使用されてきた(Tangら,J.Biol.Chem.271,15682-15686,1996;Henneckeら,Protein Eng.11,405-410,1998)。ある実施形態において、V及びV領域は、式(GlySer)(式中、n=1~5(配列番号214))を含むアミノ酸配列を有するペプチドリンカーによって結合される。他の適切なリンカーは、ランダム変異誘発により単一リンカー(例えば、(GlySer))(配列番号315)を最適化することによって取得することができる。
【0124】
いくつかの実施形態において、CD123結合ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で(又はカルボキシル末端からアミノ末端の順で)、(i)CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー(又はアミノ末端リンカー)、及び(v)第2の結合ドメインを含む。第1の結合ドメイン及び第2の結合ドメインを含むポリペプチド構築物の文脈中で、本明細書で使用される「ヒンジ領域」又は「ヒンジ」は、第1の結合ドメインとFc領域の間のポリペプチド領域を指す。「カルボキシル末端リンカー」又は「アミノ末端リンカー」は、Fc領域と第2の結合ドメインの間のポリペプチド領域を指す。いくつかの実施形態において、カルボキシル末端リンカー(又はアミノ末端リンカー)は、配列番号248を含むか、又はそれからなる。ある実施形態において、ヒンジは、野生型ヒト免疫グロブリンヒンジ領域である。ある他の実施形態において、1以上のアミノ酸残基を、融合タンパク質構築物設計の一部として、野生型免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ末端又はカルボキシル末端に付加することができる。例えば、ヒンジアミノ末端の追加の接合アミノ酸残基が「RT」、「RSS」、「TG」、又は「T」であり得るか、又はヒンジカルボキシル末端の追加の接合アミノ酸残基が「SG」であり得るか、又はヒンジ欠失は、カルボキシル末端に付加される「SG」を有するΔPなどの付加と組み合わせることができる。
【0125】
ある実施形態において、ヒンジ、カルボキシル末端リンカー、又はアミノ末端リンカーは、野生型免疫グロブリンヒンジ領域中の1以上のシステイン残基が1以上の他のアミノ酸残基(例えば、セリン又はアラニン)と置換されている改変免疫グロブリンヒンジである。
【0126】
例示的な改変免疫グロブリンヒンジ、カルボキシル末端リンカー、及びアミノ末端リンカーには、野生型ヒトIgG1ヒンジ中に見られ、1、2又は3個の異なるアミノ酸残基(例えば、セリン又はアラニン)と置換されている1、2又は3個のシステイン残基を有する免疫グロブリンヒトIgG1ヒンジ領域が含まれる。改変免疫グロブリンヒンジは、さらに、別のアミノ酸(例えば、セリン又はアラニン)と置換されるプロリンを有することができる。例えば、上記の改変ヒトIgG1ヒンジは、さらに、別のアミノ酸残基(例えば、セリン、アラニン)と置換された野生型ヒトIgG1ヒンジ領域の3個のシステインのカルボキシル末端にプロリンを位置づけることができる。一実施形態において、コアヒンジ領域のプロリンは置換されない。
【0127】
ある実施形態において、ヒンジ、カルボキシル末端リンカー、又はアミノ末端リンカーポリペプチドは、野生型ヒトIgG1ヒンジ、野生型ヒトIgG2ヒンジ、又は野生型ヒトIgG4ヒンジなどの野生型免疫グロブリンヒンジ領域と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0128】
さらなる実施形態において、CD123結合ポリペプチド内に存在するヒンジ、カルボキシル末端リンカー、又はアミノ末端リンカーは、免疫グロブリンヒンジに基づかないか、又は由来しない(すなわち、野生型免疫グロブリンヒンジ又は改変免疫グロブリンヒンジではない)ヒンジであり得る。そのようなヒンジ及びカルボキシル末端リンカーの例としては、膜貫通タンパク質のドメイン間領域又はII型Cレクチンのスターク領域由来の約5~約150個のアミノ酸のペプチド、例えば、約8~25個のアミノ酸のペプチド及び約7~18個のアミノ酸のペプチドが挙げられる。別の実施形態において、カルボキシル末端リンカー又はアミノ末端リンカーは、(GlySer)PS(配列番号316)などの(GlySer)リピート(配列番号315)を含む。
【0129】
ある実施形態において、ヒンジ、カルボキシル末端リンカー、及びアミノ末端リンカー配列は、約5~150個のアミノ酸、5~10個のアミノ酸、10~20個のアミノ酸、20~30個のアミノ酸、30~40個のアミノ酸、40~50個のアミノ酸、50~60個のアミノ酸、5~60個のアミノ酸、5~40個のアミノ酸、8~20個のアミノ酸、又は10~15個のアミノ酸を有する。ヒンジ又はリンカーは、主に可動性であり得るが、また、より強固な特徴を提供することができるか、又は主に最小のβシート構造を有するαヘリックス構造を含有することができる。ヒンジ及びリンカーの長さ又は配列は、ヒンジが直接的又は間接的に(ヘテロ二量体化ドメインなどの別の領域又はドメインによって)連結されている結合ドメインの結合親和性、並びにヒンジ又はリンカーが直接的又は間接的に連結されているFc領域部分の1以上の活性に影響を与え得る。
【0130】
ある実施形態において、ヒンジ、カルボキシル末端リンカー、又はアミノ末端リンカー配列は、血漿及び血清中で安定しており、タンパク質切断に抵抗性がある。IgG1上部ヒンジ領域中の第1のリジンは、タンパク質切断を最小限にするために変異させることができ、例えば、リジンは、メチオニン、スレオニン、アラニン又はグリシンと置換することができるか、又は除去される。
【0131】
本開示のいくつかの実施形態において、CD123結合ポリペプチドは、第2のポリペプチド鎖とヘテロ二量体を形成することができ、(a)免疫グロブリン定常領域のすぐアミノ末端(例えば、免疫グロブリン定常領域がCH2及びCH3ドメインを含むCH2ドメインのアミノ末端、又は免疫グロブリンサブ領域がCH3及びCH4ドメインを含むCH3ドメインのアミノ末端)にあるヒンジ領域、(b)結合ドメイン(例えば、scFv)と免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの間に挿入され、連結されるヒンジ領域、(c)免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインと免疫グロブリン定常領域(例えば、免疫グロブリン定常領域がCH2及びCH3ドメイン又はCH3及びCH4ドメインを含む)の間に挿入され、連結されるヒンジ領域、(d)免疫グロブリン定常領域と結合ドメインの間に挿入され、連結されるヒンジ領域、(e)ポリペプチド鎖のアミノ末端にあるヒンジ領域、又は(f)ポリペプチド鎖のカルボキシル末端にあるヒンジ領域を含む。本明細書に記載のヒンジ領域を含むポリペプチド鎖は、異なるポリペプチド鎖と結合して、本明細書に提供されるヘテロ二量体タンパク質を形成することができ、形成されたヘテロ二量体は、その標的特異性又はその特異的標的結合親和性を保持する結合ドメインを含有する。
【0132】
本開示による使用に適するいくつかの例示的なヒンジ、カルボキシル末端リンカー、及びアミノ末端リンカーの配列を、以下の表1及び表2に示す。追加の例示的なヒンジ及びリンカー領域は、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号241~244、601、78、763~791、228、379~434、618~749に記載されている(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)。
【表3】

【表4】
【0133】
本明細書に示すように、ある実施形態において、本開示のポリペプチドは、ポリペプチド鎖中に免疫グロブリン定常領域(定常領域とも呼ばれる)を含む。免疫グロブリン定常領域の包含は、対象への投与後、2つのCD123結合ポリペプチド鎖から形成されるホモ二量体及びヘテロ二量体タンパク質の循環からのクリアランスを遅くする。変異又は他の改変によって、免疫グロブリン定常領域は、さらに、二量体ポリペプチドエフェクター機能(例えば、ADCC、ADCP、CDC、補体固定、及びFc受容体への結合)の比較的容易な調節を可能にし、当技術分野で知られており、本明細書に記載の治療されている疾患に依存して増減し得る。ある実施形態において、本開示のポリペプチドホモ二量体及びヘテロ二量体のポリペプチド鎖の一方又は両方の免疫グロブリン定常領域は、これらのエフェクター機能の1以上を媒介することができる。他の実施形態において、これらのエフェクター機能の1以上は、対応する野生型免疫グロブリン定常領域と比較して、本開示のポリペプチドホモ二量体及びヘテロ二量体のポリペプチド鎖の一方又は両方の免疫グロブリン定常領域において低下しているか、又は存在しない。例えば、CD3結合ドメインの包含などによりRTCCを誘発するように設計された二量体CD123結合ポリペプチドについて、免疫グロブリン定常領域は、対応する野生型免疫グロブリン定常領域と比較して、エフェクター機能が低下され得るか、又はエフェクター機能がない。
【0134】
本開示のポリペプチドに存在する免疫グロブリン定常領域は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、又はそれらの任意の組み合わせの一部若しくは全てを含むことができるか、又はそれらに由来する。例えば、免疫グロブリン定常領域は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH2とCH3ドメインの両方、CH3とCH4ドメインの両方、2つのCH3ドメイン、CH4ドメイン、2つのCH4ドメイン、及びCH2ドメイン及びCH3ドメインの一部を含むことができる。
【0135】
本開示のポリペプチドの免疫グロブリン定常領域を形成することができるCH2ドメインは、野生型免疫グロブリンCH2ドメイン又はいくつかの免疫グロブリンクラス若しくはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、又はIgD)からの、並びに様々な種(ヒト、マウス、ラット、及び他の哺乳類を含む)からのその改変された免疫グロブリンCH2ドメインであり得る。
【0136】
ある実施形態において、CH2ドメインは、それぞれ米国特許公開第2013/0129723号の配列番号115、199~201及び195~197(該配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、又はIgDの野生型CH2ドメインなどの野生型ヒト免疫グロブリンCH2ドメインである。ある実施形態において、CH2ドメインは、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号115(該配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の野生型ヒトIgG1 CH2ドメインである。
【0137】
ある実施形態において、CH2ドメインは、位置297のアスパラギンにアミノ酸置換(例えば、アスパラギンからアラニン)を含む改変免疫グロブリンCH2領域(例えば、改変ヒトIgG CH2ドメイン)である。そのようなアミノ酸置換は、この部位でのグリコシル化を低減又は排除し、FcγR及びC1qへの効率的なFc結合を抑制する。297位にアスパラギンからアラニンへの置換を有する改変ヒトIgG1 CH2ドメインの配列は、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号324(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0138】
ある実施形態において、CH2ドメインは、位置234~238に少なくとも1つの置換又は欠失を含む改変免疫グロブリンCH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)である。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、位置234、235、236、237又は238、位置234及び235、位置234及び236、位置234及び237、位置234及び238、位置234~236、位置234、235及び237、位置234、236及び238、位置234、235、237、及び238、位置236~238、又は位置234~238における2、3、4、又は5個のアミノ酸の任意の他の組み合わせにおける置換を含むことができる。加えて又はあるいは、改変CH2領域は、位置234~238、例えば、位置236又は位置237における1以上(例えば、2、3、4又は5個)のアミノ酸欠失を含むことができる一方で、他の位置が置換される。上記の変異(複数可)は、改変CH2ドメインを含むポリペプチドヘテロ二量体の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性又はFc受容体結合能を低減又は排除する。ある実施形態において、位置234~238の1以上におけるアミノ酸残基は、1以上のアラニン残基と置き換えられている。さらなる実施形態において、位置234~238におけるアミノ酸残基の1つのみが欠失しているが、位置234~238における残りのアミノ酸の1以上は、別のアミノ酸(例えば、アラニン又はセリン)と置換することができる。
【0139】
ある他の実施形態において、CH2ドメインは、位置253、310、318、320、322、及び331において1以上のアミノ酸置換を含む改変免疫グロブリンCH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)である。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、位置253、310、318、320、322、又は331、位置318及び320、位置318及び322、位置318、320及び322、又は位置253、310、318、320、322、及び331における2、3、4、5又は6個のアミノ酸の任意の他の組み合わせにおける置換を含むことができる。上記の変異(複数可)は、改変CH2ドメインを含むポリペプチドヘテロ二量体の補体依存性細胞傷害(CDC)を低減又は排除する。
【0140】
ある他の実施形態において、位置297におけるアミノ酸置換に加えて、改変CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、さらに、位置234~238に1以上の(例えば、2、3、4、又は5個の)追加の置換を含むことができる。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、位置234及び297、位置234、235、及び297、位置234、236及び297、位置234~236及び297、位置234、235、237及び297、位置234、236、238及び297、位置234、235、237、238及び297、位置236~238及び297、又は位置297に加えて位置234~238における2、3、4、又は5個のアミノ酸の任意の組み合わせにおける置換を含むことができる。加えて又はあるいは、改変CH2領域は、位置234~238、例えば、位置236又は位置237において1以上(例えば、2、3、4又は5個)のアミノ酸欠失を含むことができる。追加の変異(複数可)は、改変CH2ドメインを含むポリペプチドヘテロ二量体の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性又はFc受容体結合能を低減又は排除する。ある実施形態において、位置234~238の1以上におけるアミノ酸残基は、1以上のアラニン残基と置き換えられている。さらなる実施形態において、位置234~238におけるアミノ酸残基の1つのみが欠失しているが、位置234~238における残りのアミノ酸の1以上は、別のアミノ酸(例えば、アラニン又はセリン)と置換することができる。
【0141】
ある実施形態において、位置234~238における1以上(例えば、2、3、4、又は5個)のアミノ酸置換に加えて、本開示の融合タンパク質の変異CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、補体結合に関与する1以上の位置(例えば、位置I253、H310、E318、K320、K322、又はP331)において1以上の(例えば、2、3、4、5、又は6個)の追加のアミノ酸置換(例えば、アラニンでの置換)を含有することができる。変異免疫グロブリンCH2領域の例としては、位置234、235、237(存在する場合)、318、320及び322においてアラニン置換を有するヒトIgG1、IgG2、IgG4及びマウスIgG2a CH2領域が挙げられる。例示的な変異免疫グロブリンCH2領域は、L234、L235、G237、E318、K320、及びK322におけるアラニン置換を有するマウスIGHG2c CH2領域である。
【0142】
なおさらなる実施形態において、位置297におけるアミノ酸置換及び位置234~238における追加の欠失(複数可)又は置換(複数可)に加えて、改変CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、さらに位置253、310、318、320、322、及び331における1以上(例えば、2、3、4、5又は6個)の追加の置換を含むことができる。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、(1)位置297における置換、(2)位置234~238における1以上の置換又は欠失又はそれらの組み合わせ、及び位置I253、H310、E318、K320、K322、又はP331における1以上(例えば、2、3、4、5又は6個)のアミノ酸置換、例えば、位置E318、K320及びK322における1、2、3個の置換を含むことができる。上記の位置のアミノ酸は、アラニン又はセリンによって置換することができる。
【0143】
ある実施形態において、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは、(i)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換及び位置234、235、236若しくは237における1個のアミノ酸置換;(ii)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換及び位置234~237のうちの2つにおけるアミノ酸置換;(iii)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換及び位置234~237のうちの3つにおけるアミノ酸置換;(iv)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、位置234、235及び237におけるアミノ酸置換、並びに位置236におけるアミノ酸欠失;(v)位置234~237のうちの3つにおけるアミノ酸置換並びに位置318、320及び322におけるアミノ酸置換;又は(vi)位置234~237のうちの3つにおけるアミノ酸置換、位置236におけるアミノ酸欠失、及び位置318、320及び322におけるアミノ酸置換を含む。
【0144】
位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換を有する例示的な改変免疫グロブリンCH2領域は、L234、L235、G237及びN297におけるアラニン置換及びG236における欠失を有するヒトIgG1 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号325、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)、V234、G236、及びN297におけるアラニン置換を有するヒトIgG2 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号326、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)、F234、L235、G237及びN297におけるアラニン置換及びG236の欠失を有するヒトIgG4 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号322、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)、F234及びN297におけるアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号343、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)、L235及びN297におけるアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号344、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)、G236及びN297におけるアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号345、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)、並びにG237及びN297におけるアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号346、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)を含む。
【0145】
ある実施形態において、上記のアミノ酸置換に加えて、改変CH2領域(例えば、改変ヒトIgG1 CH2ドメイン)は、上述の位置以外の1以上の位置において1以上の追加のアミノ酸置換を含有することができる。このようなアミノ酸置換は、保存的又は非保存的アミノ酸置換であり得る。例えば、ある実施形態において、P233は、改変IgG2 CH2領域においてE233に変えることができる(例えば、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号326、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)。加えて又はあるいは、ある実施形態において、改変CH2領域は、1以上のアミノ酸の挿入、欠失、又はその両方を含有することができる。挿入(複数可)、欠失(複数可)又は置換(複数可)は、免疫グロブリンCH2領域のどこかに存在し得、例えば、野生型免疫グロブリンCH2領域のN又はC末端において、ヒンジによるCH2領域と別の領域(例えば、結合ドメイン又は免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン)の連結から生じる。
【0146】
ある実施形態において、本開示のポリペプチド内の改変CH2領域は、野生型ヒトIgG1、IgG2、若しくはIgG4、又はマウスIgG2a(例えば、IGHG2c)のCH2領域などの野生型免疫グロブリンCH2領域と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である配列を含むか、又はそのような配列である。
【0147】
本開示のCD123結合ポリペプチド内の改変免疫グロブリンCH2領域は、様々な種(ヒト、マウス、ラット、及び他の哺乳類を含む)のIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、及びIgDなどの様々な免疫グロブリンアイソタイプのCH2領域に由来し得る。ある実施形態において、本開示の融合タンパク質内の改変免疫グロブリンCH2領域は、ヒトIgG1、IgG2若しくはIgG4、又はマウスIgG2a(例えば、IGHG2c)に由来し得、その配列は、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号115、199、201、及び320に記載されている(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0148】
ある実施形態において、改変CH2ドメインは、位置235、318、320、及び322におけるアラニン置換、及び必要に応じて、(例えば、アラニンへの)N297変異を有するヒトIgG1 CH2ドメイン(すなわち、L235A、E318A、K320A及びK322A置換を有するヒトIgG1 CH2ドメイン)(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号595、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)である。ある他の実施形態において、改変CH2ドメインは、位置234、235、237、318、320及び322におけるアラニン置換、及び必要に応じて、(例えば、アラニンへの)N297変異を有するヒトIgG1 CH2ドメイン(すなわち、L234A、L235A、G237A、E318A、K320A及びK322A置換を有するヒトIgG1 CH2ドメイン)(米国特許公開第2013/0129723号の配列番号596、該配列は参照により本明細書に組み込まれる)である。
【0149】
ある実施形態において、改変CH2ドメインは、ADCC、ADCP、CDCなどの免疫学的活性、補体結合、Fc受容体結合、又はその任意の組み合わせを高めることが当技術分野で知られている変異を有する改変ヒトIgG1 CH2ドメインである。
【0150】
本開示のポリペプチドの免疫グロブリン定常領域を形成することができるCH3ドメインは、様々な種(ヒト、マウス、ラット、及び他の哺乳類を含む)のある免疫グロブリンクラス又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgM)からの野生型免疫グロブリンCH3ドメイン又はその改変免疫グロブリンCH3ドメインであり得る。ある実施形態において、CH3ドメインは、それぞれ米国特許公開第2013/0129723号の配列番号116、208~210、204~207、及び212(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、又はIgMの野生型CH3ドメインなどの野生型ヒト免疫グロブリンCH3ドメインである。ある実施形態において、CH3ドメインは、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号116(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)に記載の野生型ヒトIgG1 CH3ドメインである。ある実施形態において、CH3ドメインは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、又はIgM抗体の野生型CH3ドメインに基づくか、又は由来する改変CH3ドメインなどの改変ヒト免疫グロブリンCH3ドメインである。例えば、改変CH3ドメインは、位置H433及びN434(位置はEU番号付けに従って番号付けされる)において1又は2個の変異を有するヒトIgG1 CH3ドメインであり得る。そのような位置における変異は、補体結合に関与し得る。ある他の実施形態において、改変CH3ドメインは、ヒトIgG1 CH3ドメインであり得るが、位置F405又はY407において1又は2個のアミノ酸置換を有する。そのような位置のアミノ酸は、別のCH3ドメインとの相互作用に関与する。ある実施形態において、改変CH3ドメインは、その最後のリジンが欠失している改変ヒトIgG1 CH3ドメインであり得る。この改変CH3ドメインの配列は、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号761(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0151】
ある実施形態において、ポリペプチドヘテロ二量体を形成するCD123結合ポリペプチドは、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール(knobs-into-hole)」変異を含むCH3対を含む(Marvin及びZhu,Acta Pharmacologica Sinica 26:649-58,2005;Ridgwayら,Protein Engineering 9:617-21,1996を参照されたい)。より具体的には、変異を各ポリペプチド鎖の2つのCH3ドメインのそれぞれに導入することができ、その結果、CH3/CH3結合に必要な立体相補性により、これらの2つのCH3ドメインが互いに対を形成する。例えば、ポリペプチドヘテロ二量体の1つの単鎖ポリペプチド内のCH3ドメインは、T366W変異(小さなアミノ酸を大きなアミノ酸で置換する「ノブ」変異)を含有することができ、ポリペプチドヘテロ二量体の他の単鎖ポリペプチド内のCH3ドメインは、Y407A変異(大きなアミノ酸を小さなアミノ酸で置換する「ホール」変異)を含有することができる。他の例示的な「ノブ・イントゥ・ホール」変異は、(1)一方のCH3ドメイン内のT366Y変異及び他方のCH3ドメイン内のY407T、並びに(2)一方のCH3ドメイン内のT366W変異及び他方のCH3ドメイン内のT366S、L368A及びY407V変異を含む。
【0152】
本開示のCD123結合ポリペプチドの免疫グロブリン定常領域を形成することができるCH4ドメインは、IgE又はIgM分子からの野生型免疫グロブリンCH4ドメイン又はその改変免疫グロブリンCH4ドメインであり得る。ある実施形態において、CH4ドメインは、それぞれ米国特許公開第2013/0129723号の配列番号213及び214(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のヒトIgE及びIgM分子の野生型CH4ドメインなどの野生型ヒト免疫グロブリンCH4ドメインである。ある実施形態において、CH4ドメインは、IgE又はIgM Fc領域と結合することが知られている免疫学的活性を増減させる変異を有するヒトIgE又はIgM分子のCH4ドメインに基づくか、又は由来する改変CH4ドメインなどの改変ヒト免疫グロブリンCH4ドメインである。
【0153】
ある実施形態において、本開示のCD123結合ポリペプチドの免疫グロブリン定常領域は、CH2、CH3又はCH4ドメインの組み合わせ(すなわち、CH2、CH3及びCH4から選択される2以上の定常領域ドメイン)を含む。例えば、免疫グロブリン定常領域は、CH2及びCH3ドメイン又はCH3及びCH4ドメインを含むことができる。ある他の実施形態において、免疫グロブリン定常領域は、2つのCH3ドメインを含むことができ、CH2又はCH4ドメインを含まない(すなわち、2以上のCH3のみ)。免疫グロブリン定常領域を形成する複数の定常領域ドメインは、同じ免疫グロブリン分子、又は同じクラス若しくはサブクラスの免疫グロブリン分子に基づくか、又は由来し得る。ある実施形態において、免疫グロブリン定常領域は、IgG CH2CH3(例えば、IgG1 CH2CH3、IgG2 CH2CH3、及びIgG4 CH2CH3)であり、ヒト(例えば、ヒトIgG1、IgG2、及びIgG4)CH2CH3であり得る。例えば、ある実施形態において、免疫グロブリン定常領域は、(1)野生型ヒトIgG1 CH2及びCH3ドメイン、(2)N297A置換(すなわち、CH2(N297A))を有するヒトIgG1 CH2及び野生型ヒトIgG1 CH3、又は(3)ヒトIgG1 CH2(N297A)及び最後のリジンが欠失している改変ヒトIgG1 CH3を含む。
【0154】
あるいは、複数の定常領域ドメインは、異なる免疫グロブリン分子、又は異なるクラス若しくはサブクラスの免疫グロブリン分子に基づくか、又は由来し得る。例えば、ある実施形態において、免疫グロブリン定常領域は、ヒトIgM CH3ドメインとヒトIgG1 CH3ドメインの両方を含む。免疫グロブリン定常領域を形成する複数の定常領域ドメインは、1以上(例えば、約2~10個)のアミノ酸により共に直接連結することができるか、又は互いに連結することができる。
【0155】
例示的な免疫グロブリン定常領域は、米国特許公開第2013/0129723号の配列番号305~309、321、323、341、342、及び762(該配列は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0156】
ある実施形態において、ポリペプチド二量体のCD123結合ポリペプチドの両方の免疫グロブリン定常領域は、互いに同一である。ある他の実施形態において、二量体タンパク質の一方のポリペプチド鎖の免疫グロブリン定常領域は、二量体の他方のポリペプチド鎖の免疫グロブリン定常領域と異なる。例えば、ヘテロ二量体タンパク質の一方の免疫グロブリン定常領域は、「ノブ」変異を有するCH3ドメインを含有することができるが、ヘテロ二量体タンパク質の他方の免疫グロブリン定常領域は、「ホール」変異を有するCH3ドメインを含有することができる。
【0157】
本開示は、表3に示す配列のいずれかを含むことができるCD123結合タンパク質及びポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、CD123結合タンパク質及びポリペプチドは、単一配列を含み得る。様々なクローン化配列及び構成成分の配列も表3に提示する。ポリペプチド構築物に与えられるアミノ酸配列は、ヒト又はウサギの免疫グロブリンリーダー配列を含まない。示されるCDR配列及びアミノ酸置換位置は、IMGT基準(Brochet,X,ら,Nucl.Acids Res.(2008) 36,W503-508)を用いて定義されるものである。したがって、重鎖若しくは軽鎖可変ドメイン又は領域のFR1中の第1の残基は、位置1であるとみなされる。
【0158】
【表5】
【0159】
CD123結合タンパク質は、上記のCD123結合ドメインのいずれかを含み得る。いくつかの態様において、CD123結合タンパク質は、ヒト化V又はVアミノ酸配列、又はその両方を含む。
【0160】
該ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号2及び配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号130又は配列番号132に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号130又は配列番号132に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号130、又は配列番号132に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0161】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号20に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号20に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号20に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号134、配列番号136、又は配列番号138に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号134、配列番号136、又は配列番号138に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号20、配列番号134、配列番号136、又は配列番号138に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0162】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号34に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号34に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号34に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号140に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号140に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号34、又は配列番号140に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0163】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号42に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号42に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号42に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号142に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号142に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号42、又は配列番号142に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0164】
該ポリペプチドは、配列番号50又は配列番号52に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号50及び配列番号52に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号50又は配列番号52に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号144に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号144に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号50、配列番号52、又は配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0165】
該ポリペプチドは、配列番号66又は配列番号68に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号66及び配列番号68に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号66又は配列番号68に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号146に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号146に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号66、配列番号68、又は配列番号146に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0166】
該ポリペプチドは、配列番号82又は配列番号84に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号82及び配列番号84に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号82又は配列番号84に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号148に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号148に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号82、配列番号84、又は配列番号148に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0167】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号98に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号98に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号150に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号150に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号140に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号98、又は配列番号150に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0168】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号106に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号106に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号106に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号152に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号152に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号106、又は配列番号152に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0169】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号114に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号114に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号114に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号154に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号154に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号114、又は配列番号154に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0170】
該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号122に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18及び配列番号122に記載のアミノ酸配列と少なくとも88%同一、少なくとも89%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。該ポリペプチドは、配列番号18又は配列番号122に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、少なくとも約99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号156に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号156に記載のアミノ酸配列のscFv部分と少なくとも約95%、少なくとも約97%同一、又は少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、該ポリペプチドは、配列番号18、配列番号122、又は配列番号156に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0171】
本明細書に開示されるポリペプチドは、他のCD123結合ドメイン又はポリペプチドと比較して改良された特徴を有し得る。例えば、CD123結合ドメイン又はポリペプチドは、異なるCD123結合ドメイン又はポリペプチドの等電点と比較して低下した等電点を示し得る。「等電点」又は「pI」は、正味の電荷がゼロであるpHである。タンパク質の等電点は、任意の適切な方法、例えば、分析用キャピラリー等電点電気泳動クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0172】
本明細書に開示されるCD123結合ドメイン又はタンパク質は、親抗体よりも高い親和性でCD123(例えば、ヒトCD123)と結合し得る。
【0173】
本発明の一実施形態において、該組み換えポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、(i)ヒト又はヒト化CD123結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリン定常領域、(iv)カルボキシル末端リンカー、及び(v)T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合するヒト又はヒト化第2の結合ドメインを含み、該ヒト又はヒト化CD123結合ドメインは、配列番号2及び配列番号4と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約99.5%同一であるアミノ酸配列を含み、T細胞、CD3、CD3ε又はT細胞受容体(TCR)複合体又はT細胞受容体複合体の構成成分に特異的に結合するヒト又はヒト化第2の結合ドメインは、配列番号311又は配列番号312と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0174】
本発明の一実施形態において、該組み換えポリペプチドは、マウス抗体12F1(配列番号195及び197)由来のCD123結合ドメインを含有しない。例えば、一実施形態において、該CD123結合ドメインは、12F1の重鎖若しくは軽鎖可変ドメインと顕著に同一である重鎖若しくは軽鎖可変ドメインを含まない(例えば、12F1の重鎖若しくは軽鎖可変ドメインと95%以上同一ではない)か、又はマウス12F1に含有されるような全6個のCDRを含有しない。本発明の一実施形態において、該CD123結合ドメインは、CD123への結合についてマウス抗体12F1(配列番号195及び197)と競合しない。本発明の一実施形態において、該組み換えポリペプチドはカニクイザルCD123と交差反応するが、抗体12F1(及びそのヒト化誘導体)はカニクイザルCD123と交差反応しない。
【0175】

【表6】
【0176】
一実施形態において、本発明のポリペプチド(二量体型を含む)は、ヒトCD123及び非ヒト霊長類(NHP)CD123に特異的に結合する。本発明の別の実施形態において、該ポリペプチドは、カニクイザルCD123に結合する。
【0177】
本開示はまた、本明細書に記載のCD123結合ドメイン及びポリペプチドをコードする核酸(例えば、DNA又はRNA)を含む。本開示の核酸は、下の表3に列挙したポリヌクレオチドと実質的に同一である領域を有する核酸を含む。ある実施形態において、本開示による核酸は、表3に列挙したポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも80%、典型的には、少なくとも約90%、及びより典型的には少なくとも約95%又は少なくとも約98%の同一性を有する。本開示の核酸はまた、相補的な核酸を含む。場合によって、該配列は、整列させた時に、完全に相補的である(ミスマッチなし)。他の場合、配列のミスマッチは最大約20%であり得る。本開示のいくつかの実施形態において、本開示のヘテロ二量体CD123結合タンパク質の第1の及び第2のポリペプチド鎖の両方をコードする核酸が提供される。本明細書に提供される核酸配列は、コドン最適化、縮重配列、サイレント変異、及び特定の宿主内での発現を最適化するための他のDNA技術を用いて利用することができ、本開示は、そのような配列変更を包含する。
【0178】
本発明は、配列番号1及び/又は配列番号3の核酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%及び少なくとも100%同一の核酸配列を含む核酸がコードする組み換えポリペプチドを含む。本発明は、配列番号131の核酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%及び少なくとも100%同一の核酸配列を含む核酸がコードする組み換えポリペプチドを含む。
【0179】
本開示は、本明細書に記載のCD123結合ドメイン、タンパク質及びポリペプチド(又はその部分)をコードする単離核酸分子に関し、該核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号17、配列番号19、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号51、配列番号65、配列番号67、配列番号81、配列番号83、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、又は配列番号155に記載のヌクレオチ配列を含む。
【0180】
所望のポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、該分子をベクター中に入れることによって増殖される。プラスミドを含む、ウイルス及び非ウイルスベクターを用いることができる。プラスミドの選択は、増殖が望まれる細胞の種類及び増殖の目的に依存する。いくつかのベクターが、大量の所望のDNA配列を増幅し、作製するのに有用である。他のベクターは、培養細胞内での発現に適する。さらに他のベクターは、動物又はヒト全体の細胞への導入及び発現に適する。適切なベクターの選択は、十分に当業者の範囲内である。多くのそのようなベクターは市販されている。部分又は全長のポリヌクレオチドは、典型的には、ベクター内の切断される制限酵素部位にDNAリガーゼで接着させることによってベクター内に挿入される。あるいは、所望のヌクレオチド配列を、インビボでの相同組み換えによって挿入することができる。典型的には、これは、ベクターに相同な領域を所望のヌクレオチド配列の隣接上で接着させることによって達成される。相同領域は、例えば、オリゴヌクレオチドのライゲーションによって、又は相同領域と所望のヌクレオチド配列の部分の両方を含むプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって付加される。
【0181】
発現については、発現カセット又はシステムが用いられ得る。本明細書に開示されるポリペプチドをコードする核酸を発現させるために、発現ベクター内の転写発現を制御する調節配列に作動可能に連結されるポリペプチドをコードする核酸分子が宿主細胞に導入される。プロモーター及びエンハンサーなどの転写調節配列に加えて、発現ベクターは、翻訳調節配列及び発現ベクターを保有する細胞の選択に適するマーカー遺伝子を含むことができる。本開示のポリヌクレオチドがコードする遺伝子産物は、例えば、細菌系、酵母系、昆虫系、両生類系及び哺乳類系を含む任意の便利な発現系で発現する。発現ベクターにおいて、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、所望の発現特性を取得するために、必要に応じて、調節配列に連結される。これらには、プロモーター、エンハンサー、転写終結コドン、オペレーター、抑制因子、及び誘導因子が含まれ得る。プロモーターは、調節されるか(例えば、ステロイド誘導性pINDベクター(Invitrogen))のプロモーター)、又は構成的であり得る(例えば、CMV、SV40、伸長因子、若しくはLTR配列のプロモーター)。これらは、ベクターへの連結用の上記の技術を用いて、所望のヌクレオチド配列に連結される。当技術分野で周知の任意の技術を用いることができる。したがって、発現ベクターは、一般に、転写開始領域及び翻訳開始領域を提供し、これらは誘導性又は構成的であり得、コード領域は、転写開始領域の転写制御下で、並びに転写終結領域及び翻訳終結領域に作動可能に連結される。
【0182】
発現カセット(「発現単位」)は、様々なベクター、例えば、プラスミド、BAC、YAC、ラムダ、P1、M13などのバクテリオファージ、及び植物又は動物のウイルスベクター(例えば、レトロウイルス系ベクター、アデノウイルスベクター)などに導入することができ、該ベクターは、一般的に、発現ベクターを含む細胞の選択を提供する能力によって特徴付けられる。該ベクターは、染色体外維持、特に、プラスミド又はウイルスとして、又は宿主染色体への組み込みを提供することができる。染色体外維持が望まれる場合、元の配列は、低コピー数又は高コピー数であり得るプラスミドの複製を提供する。多種多様なマーカー、特に、毒性、より特には、抗生物質に対して保護するものが、選択に利用できる。選ばれる特定のマーカーは、宿主の性質に従って選択され、場合によって、相補性は、栄養要求性宿主と共に用いることができる。DNA構築物の導入は、例えば、接合、細菌形質転換、カルシウム沈殿DNA、電気穿孔、融合、トランスフェクション、ウイルスベクターでの感染、及び遺伝子銃などを含む任意の便利な方法を使用することができる。本開示は、核酸セグメントを含む発現ベクターに関し、該核酸セグメントは、配列番号1、配列番号3、配列番号17、配列番号19、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号51、配列番号65、配列番号67、配列番号81、配列番号83、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、又は配列番号155に記載のヌクレオチド配列を含み得る。
【0183】
したがって、本開示で使用するためのタンパク質は、従来の技術に従って、遺伝子工学処理した宿主細胞内で生成することできる。適切な宿主細胞は、外来DNAで形質転換するか、又はトランスフェクトして、培養で増殖させることができる細胞型であり、細菌、真菌細胞、より高等な培養真核細胞(多細胞生物の培養細胞を含む)、特に培養哺乳類細胞を含む。クローン化DNA分子を操作し、様々な宿主細胞に外来DNAを導入する技術は、Sambrook及びRussell,分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,2001)、並びにAusubelら,分子生物学の省略プロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(第4版,John Wiley & Sons,1999)によって開示されている。例えば、本発明の組み換えポリペプチドは、CHO及びHEK293細胞から発現させることができる。
【0184】
例えば、本明細書に記載の2つの同一のCD123結合ポリペプチドを含むホモ二量体CD123結合タンパク質の組み換え発現については、発現ベクターは、一般に、プロモーターに作動可能に連結された、CD123結合ポリペプチドをコードする核酸セグメントを含む。異なる第1の及び第2のポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体CD123結合タンパク質の組み換え発現については、第1の及び第2のポリペプチド鎖は、ヘテロ二量体タンパク質全体の発現用の宿主細胞内で別々のベクターから共発現させることができる。あるいは、ヘテロ二量体CD123結合タンパク質の発現については、第1の及び第2のポリペプチド鎖は、ヘテロ二量体タンパク質全体の発現用の宿主細胞内で同じベクター内の別々の発現単位から共発現する。発現ベクター(複数可)を従来の技術によって宿主細胞に導入し、次いで、トランスフェクト細胞を従来の技術によって培養すると、コードポリペプチド(複数可)が生成し、対応するCD123結合タンパク質が生成する。
【0185】
組み換えタンパク質を宿主細胞の分泌経路に向かわせるために、分泌シグナル配列(リーダー配列としても知られる)が発現ベクターに提供される。分泌シグナル配列は、組み換えタンパク質の天然型の配列であり得るか、又は別の分泌タンパク質に由来し得るか、又は新規に合成され得る。分泌シグナル配列は、ポリペプチドをコードするDNA配列に作動可能に連結される、すなわち、2つの配列は、正しい読み枠で結合され、新たに合成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向かわせるように配置される。分泌シグナル配列は、一般に、関心のあるポリペプチドをコードするDNA配列の5’側に配置されるが、いくつかのシグナル配列は、関心のあるDNA配列中の他の場所に配置され得る(例えば、Welchら,米国特許第5,037,743号;Hollandら,米国特許第5,143,830号を参照されたい)。いくつかのバリエーションにおいて、本開示に従って使用するための分泌シグナル配列は、アミノ酸配列MEAPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号198)を有する。
【0186】
培養哺乳類細胞は、本開示内で使用するための組み換えタンパク質の生成に適する宿主である。哺乳類宿主細胞への外来DNAの導入方法には、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション(Wiglerら,Cell 14:725,1978;Corsaro及びPearson,Somatic Cell Genetics 7:603,1981:Graham及びVan der Eb,Virology 52:456,1973)、電気穿孔(Neumannら,EMBO J.1:841-845,1982),DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション(Ausubelら,上記)、及びリポソーム媒介トランスフェクション(Hawley-Nelsonら,Focus 15:73,1993;Ciccaroneら,Focus 15:80,1993)が含まれる。培養哺乳類細胞における組み換えポリペプチドの生成は、例えば、Levinsonら,米国特許第4,713,339号;Hagenら,米国特許第4,784,950号;Palmiterら,米国特許第4,579,821号;及びRingold,米国特許第4,656,134号によって開示されている。適切な哺乳類宿主細胞の例としては、アフリカミドリザルの腎臓細胞(Vero;ATCC CRL 1587)、ヒト胚腎臓細胞(293-HEK;ATCC CRL 1573)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK-21,BHK-570;ATCC CRL 8544,ATCC CRL 10314)、イヌ腎臓細胞(MDCK;ATCC CCL 34)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1;ATCC CCL61;CHO DG44;CHO DXB11(Hyclone,Logan,UT);例えば、Chasinら,Som.Cell.Molec.Genet.12:555,1986)も参照されたい)、ラット下垂体細胞(GH1;ATCC CCL82),HeLa S3細胞(ATCC CCL2.2)、ラット肝細胞癌細胞(H-4-II-E;ATCC CRL 1548) SV40形質転換サル腎臓細胞(COS-1;ATCC CRL 1650)及びマウス胚細胞(NIH-3T3;ATCC CRL 1658)が挙げられる。さらなる適切な細胞株は、当技術分野で公知であり、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection,Manassas,Virginia)などの公的保管所から利用可能である。SV-40又はサイトメガロウイルスのプロモーターなどの強力な転写プロモーターを使用することができる。例えば、米国特許第4,956,288号を参照されたい。他の適切なプロモーターには、メタロチオネイン遺伝子由来のもの(米国特許第4,579,821号及び同第4,601,978号)並びにアデノウイルス主要後期プロモーターが含まれる。
【0187】
薬物選択は、一般に、外来DNAが挿入される培養哺乳類細胞について選択するために使用される。そのような細胞は、一般的に、「形質移入体」と呼ばれる。選択剤の存在下で培養され、関心のある遺伝子をそれらの子孫に渡すことができる細胞は、「安定な形質移入体」と呼ばれる。例示的な選択マーカーには、G-418などのネオマイシン型薬物の存在下で実行される選択を可能にする抗生物質ネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝子;ミコフェノール酸/キサンチンの存在下での宿主細胞増殖を可能するキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼのgpt遺伝子;並びにゼオシン、ブレオマイシン、ブラストサイジン、及びハイグロマイシンに対する耐性を提供するマーカー(例えば、Gatignolら,Mol.Gen.Genet.207:342,1987;Drocourtら,Nucl.Acids Res.18:4009,1990を参照されたい)が含まれる。選択システムは、関心のある遺伝子の発現レベルを増加させるために使用することもでき、プロセスは「増幅」と呼ばれる。増幅は、低レベルの選択剤の存在下で形質転換体を培養し、次いで、導入遺伝子の高レベルの生成物を生成する細胞について選択するために選択剤の量を増加させることによって実行される。例示的な増幅可能な選択マーカーは、メトトレキサートに対する耐性を付与するジヒドロ葉酸還元酵素である。他の薬物耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性、多剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も使用することができる。
【0188】
昆虫細胞、植物細胞及び鳥細胞を含む他のより高等な真核細胞も、宿主として使用することができる。植物細胞内で遺伝子を発現させるためのベクターとしてのアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)の使用は、Sinkarら,J.Biosci.(Bangalore) 11:47-58,1987によって概説されている。昆虫細胞の形質転換及び外来ポリペプチドの生成は、Guarinoら,米国特許第5,162,222号及びWO 94/06463によって開示されている。
【0189】
昆虫細胞に、一般的に、オートグラファ・カリフォルニア核多角体病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus(AcNPV))に由来する組み換えバキュロウイルスを感染させることができる。King及びPossee,バキュロウイルス発現系:実験室ガイド(The Baculovirus Expression System):A Laboratory Guide (Chapman & Hall,London);O’Reillyら,バキュロウイルス発現ベクター:実験室マニュアル(Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual)(Oxford University Press.,New York 1994);及びバキュロウイルス発現プロトコル、分子生物の方法(Baculovirus Expression Protocols.Methods in Molecular Biology)(Richardson(編),Humana Press,Totowa,NJ,1995を参照されたい。組み換えバキュロウイルスはまた、Luckowら(J.Virol.67:4566-4579,1993)によって記載されるトランスポゾン系システムの使用により生成することができる。導入ベクターを利用するこのシステムは、キット形態で市販されている(BAC-TO-BACキット;Life Technologies,Gaithersburg,MD)。導入ベクター(例えば、PFASTBAC1;Life Technologies)は、「バクミド」と呼ばれる巨大プラスミドとして大腸菌内で維持されるバキュロウイルスゲノムへ、関心のあるタンパク質をコードするDNAを移動させるTn7トランスポゾンを含有する。Hill-Perkins及びPossee,J.Gen.Virol.71:971-976,1990;Bonningら,J.Gen.Virol.75:1551-1556,1994;並びにChazenbalk及びRapoport,J.Biol.Chem.270:1543-1549,1995を参照されたい。加えて、導入ベクターは、上記で開示されるポリペプチド伸張をコードするDNA又はアフィニティタグとのインフレーム融合を含むことができる。当技術分野で公知の技術を用いて、タンパク質コードDNA配列を含有する導入ベクターは、大腸菌宿主細胞に形質転換され、該細胞は、組み換えバキュロウイルスを示す割り込まれたlacZ遺伝子を含有するバクミドについてスクリーニングされる。組み換えバキュロウイルスゲノムを含有するバクミドDNAは、一般的な技術を用いて単離され、Sf9細胞などのスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞をトランスフェクトするために使用される。その後、関心のあるタンパク質を発現する組み換えウイルスが生成される。組み換えウイルスストックは、当技術分野で一般的に使用される方法によって作製される。
【0190】
タンパク質生成については、組み換えウイルスを用いて、宿主細胞、典型的には、ツマジロクサヨトウのスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(例えば、Sf9若しくはSf21細胞)又はイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(例えば、HIGH FIVE細胞;Invitrogen,Carlsbad,CA)由来の細胞株に感染させることができる。一般に、Glick及びPasternak,Molecular Biotechnology,Principles & Applications of Recombinant DNA(ASM Press,Washington,d.C.,1994)を参照されたい。米国特許第5,300,435号も参照されたい。血清を含まない培地は、細胞を成長及び維持するために使用される。適切な培地の製剤は、当技術分野で公知であり、商業的供給元から取得することができる。細胞を、約2~5×10細胞の接種密度から1~2×10細胞の密度まで成長させ、その時に、組み換えウイルスストックを、0.1~10、より典型的には、約3の感染多重度(MOI)で添加する。使用する手順は、一般に、利用可能な実験室マニュアル(例えば、King及びPossee,上記;O’Reillyら,上記;Richardson,上記を参照されたい)に記載されている。
【0191】
酵母細胞を含む真菌細胞も、本開示内で使用することができる。この点での酵母種には、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、及びピキア・メタノリカが含まれる。外来DNAでサッカロマイセス・セレビシエ細胞を形質転換し、そこから組み換えポリペプチドを生成する方法は、例えば、Kawasaki,米国特許第4,599,311号;Kawasakiら,米国特許第4,931,373号;Brake,米国特許第4,870,008号;Welchら,米国特許第5,037,743号;及びMurrayら,米国特許第4,845,075号によって開示されている。形質転換細胞は、選択マーカーによって決定される表現型、一般的な薬物耐性又は特定の栄養(例えば、ロイシン)が存在しない状態で成長する能力によって選択される。サッカロマイセス・セレビシエで使用するための例示的なベクター系は、Kawasakiら(米国特許第4,931,373号)によって開示されるPOT1ベクター系であり、これは形質転換細胞をグルコース含有培地での成長によって選択するのを可能にする。酵母で使用するための適切なプロモーター及び転写終結コドンには、解糖酵素遺伝子由来のもの(例えば、Kawasaki,米国特許第4,599,311号;Kingsmanら,米国特許第4,615,974号;及びBitter,米国特許第4,977,092号を参照されたい)並びにアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子が含まれる。米国特許第4,990,446号、同第5,063,154号、同第5,139,936号、及び同第4,661,454号も参照されたい。メタノール資化性酵母(Hansenula polymorpha)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・ギリエルモンディ(Pichia guillermondii)、及びカンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)を含む他の酵母用の形質転換系が、当技術分野で公知である。例えば、Gleesonら,J.Gen.Microbiol.132:3459-3465,1986;Cregg,米国特許第4,882,279号;及びRaymondら,Yeast 14:11-23,1998を参照されたい。アスペルギルス細胞は、McKnightら,米国特許第4,935,349号の方法に従って利用することができる。アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)を形質転換する方法は、Suminoら、米国特許第5,162,228号によって開示されている。ニューロスポラを形質転換する方法は、Lambowitz、米国特許第4,486,533号によって開示されている。ピキア・メタノリカにおける組み換えタンパク質の生成は、米国特許第5,716,808号、同第5,736,383号、同第5,854,039号、及び同第5,888,768号に開示されている。
【0192】
細菌の大腸菌、バチルス、及び他の属の株を含む、原核生物宿主細胞も、本開示内で有用な宿主細胞である。これらの宿主を形質転換し、その中でクローニングされた外来DNA配列を発現させる技術は、当技術分野で周知である(例えば、Sambrook及びRussell、上記を参照されたい)。大腸菌などの細菌内で組み換えタンパク質を発現させる場合、タンパク質は、典型的には、不溶性顆粒として細胞質内で保持され得るか、又は細菌分泌配列によって細胞膜周辺腔へと向けられ得る。前者の場合、細胞は溶解され、顆粒、例えば、グアニジンイソチオシアネート又は尿素を用いて回収及び変性される。次いで、変性タンパク質は、尿素及び還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンの組み合わせの溶液に対する透析、その後の緩衝生理食塩水に対する透析などの、変性剤の希釈によってリフォールディング及び二量体化され得る。代替法では、タンパク質は、可溶化形態で細胞質から回収され、変性剤を使用することなく単離され得る。タンパク質は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水中の水性抽出液として細胞から回収される。関心のあるタンパク質を捕捉するために、抽出物は、固定化抗体又はヘパリンセファロースカラムなどのクロマトグラフィー媒体に直接適用される。分泌タンパク質は、細胞膜周辺腔の含有物を放出させるために細胞を破壊し(例えば、超音波処理又は浸透圧ショックによって)、タンパク質を回収し、それによって、変性及びリフォールディングの必要性を取り除くことによって、可溶性で、機能的な形態で細胞膜周辺腔から回収することができる。一本鎖抗体を含む抗体は、既知の方法に従って、細菌宿主細胞で生成することができる。例えば、Birdら,Science 242:423-426,1988;Hustonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883,1988;及びPantolianoら,Biochem.30:10117-10125,1991を参照されたい。
【0193】
形質転換宿主細胞又はトランスフェクト宿主細胞は、選択される宿主細胞の成長に必要な栄養素及び他の構成成分を含有する培地中で、従来の手順に従って培養される。限定培地及び複合培地を含む様々な適切な培地が、当技術分野で公知であり、一般に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン及びミネラルを含む。培地はまた、必要であれば、成長因子又は血清などの構成成分を含有することができる。成長培地は、一般に、例えば、発現ベクター上に保有されるか、又は宿主細胞に共トランスフェクトされる選択マーカーによって補完される薬物の選択又は必須栄養素の欠損によって、外来添加DNAを含有する細胞について選択される。
【0194】
CD123結合タンパク質は、従来のタンパク質精製法によって、典型的には、クロマトグラフィー技術の組み合わせによって精製され得る。一般に、アフィニティークロマトグラフィー:原理及び方法(Affinity Chromatography:Principles & Methods)(Pharmacia LKB Biotechnology,Uppsala,Sweden,1988);Scopes,タンパク質精製:原理及び実践(Protein Purification:Principles and Practice)(Springer-Verlag,New York 1994)を参照されたい。免疫グロブリンFc領域を含むタンパク質は、固定化されたプロテインA又はプロテインGのアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。ゲル濾過などの追加の精製工程を用いて、所望のレベルの純度を得るか、又は脱塩、及び緩衝液交換などを提供することができる。
【0195】
本開示は、CD123の過剰発現によって特徴付けられる障害を有する対象を治療する方法を提供する。一般に、そのような方法は、そのような治療を必要とする対象に、本明細書に記載のポリペプチド又はCD123結合タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態において、該CD123結合タンパク質は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)から選択される少なくとも1つのエフェクター機能を含み、その結果、該CD123結合タンパク質は、対象においてCD123発現細胞に対するADCC及び/又はCDCを誘導する。
【0196】
他の実施形態において、該ポリペプチドがT細胞(例えば、TCR複合体又はCD3εなどのその構成成分)に特異的に結合する第2の結合ドメインを含む場合、該ポリペプチド又はCD123結合タンパク質は、対象においてCD123発現細胞に対するリダイレクトされたT細胞の細胞傷害(RTCC)を誘導する。いくつかの実施形態において、RTCCポリペプチド(例えば、RTCCを誘導するポリペプチド)は、ADCC及び/若しくはCDC活性を低減又は排除するための改変型定常ドメインを含む。
【0197】
本方法のいくつかのバリエーションにおいて、該障害は癌である。本開示に従って治療しやすい例示的な癌には、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、芽球増加を伴う不応性貧血、慢性骨髄性白血病及びホジキンリンパ腫が含まれる。
【0198】
本開示はまた、CD123の過剰発現によって特徴付けられる障害(例えば、癌)の治療のための薬剤製造のためのCD123結合ポリペプチドの使用を包含する。一実施形態において、該CD123結合ポリペプチドはRTCC活性を有し、例えば、CD123結合ポリペプチドは、抗CD123結合ドメイン及び抗CD3結合ドメインを含む。一実施形態において、本開示は、CD123の過剰発現によって特徴付けられる障害(例えば、癌)の治療に使用するためのCD123結合ポリペプチドを含む。
【0199】
一実施形態において、本開示は、配列番号130又は132のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は少なくとも約100%同一である組み換えポリペプチドを含む治療有効量の医薬組成物を投与することによって、急性骨髄性白血病、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、芽球増加を伴う不応性貧血、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫又はCD123の発現と関連する他の癌と診断された患者を治療する方法を提供する。
【0200】
いくつかの実施形態において、本開示は、癌を有する患者を治療する方法であって、該患者に、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、又は配列番号156に記載のアミノ酸配列を含むCD123結合ポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法及び使用について、本発明のポリペプチドは、治療が求められる疾患又は障害の管理と関連する従来の方法論と一致した方法で送達される。本明細書の開示に従って、二量体型の治療有効量のポリペプチド又はCD123結合タンパク質は、疾患若しくは障害の予防又は治療に十分な時間及び条件下で、そのような治療を必要とする対象に投与される。
【0202】
本明細書に記載のポリペプチドが投与される対象には、CD123過剰発現によって特徴付けられる特定の障害を発症するリスクの高い患者及び既にそのような障害を有することを示している患者が含まれる。典型的には、該対象は、治療が求められる障害を有すると診断されている。さらに、対象は、該障害の任意の変化(例えば、該障害の臨床症状の増減)について治療期間に監視され得る。また、いくつかのバリエーションにおいて、該対象は、CD123発現細胞を標的化することを伴う治療を必要としている別の障害を患っていない。
【0203】
予防的な適用において、医薬組成物又は医薬品は、障害のリスクを取り除くか、若しくは低下させるか、又は障害の発症を遅らせるのに十分な量で、特定の障害にかかりやすい、又はそうでなければリスクのある患者に投与される。治療的な適用において、組成物又は医薬品は、障害及びその合併症の症状を治癒、又は少なくとも部分的に停止するのに十分な量で、そのような障害を患っていることが疑われるか、又はすでに患っている患者に投与される。これを達成するのに適切な量は、治療有効用量又は治療有効量と呼ばれる。予防的及び治療的レジメンの両方において、薬剤は、通常、十分な反応(例えば、不適切な血管新生活性の抑制)が達成されるまで、いくつかの投与量で投与される。典型的には、反応は監視され、所望の反応が消え始めたら、反復投与が行われる。
【0204】
本開示の方法に従って治療のための対象患者を特定するために、受け入れられているスクリーニング方法を用いて、対象における特定の障害と関連するリスク要因を決定するか、又は対象において特定されている既存の障害の状態を決定することができる。そのような方法は、例えば、個人が特定の障害を有すると診断された親戚を有するかどうかを決定することを含むことができる。スクリーニング方法はまた、例えば、遺伝性構成成分を有することが知られている特定の障害についての家族状態を決定するための従来の精密検査を含むことができる。例えば、様々な癌はまた、特定の遺伝性構成成分を有することが知られている。癌の遺伝性構成成分は、例えば、複数のトランスフォーミング遺伝子(例えば、Ras、Raf、EGFR、cMet、及び他の物)における変異、いくつかのHLA及びキラー細胞抑制受容体(KIR)分子の有無、又は癌細胞がNK細胞及びT細胞のような細胞の免疫抑制を直接的又は間接的に調節することができる機構を含む(例えば、Ljunggren及びMalmberg,Nature Rev.Immunol.7:329-339,2007;Boyton及びAltmann,Clin.Exp.Immunol.149:1-8,2007を参照されたい)。この目的に向けて、関心のある特定の障害と関連する遺伝子マーカーを保有する個人を特定するために、通常、ヌクレオチドプローブを用いることができる。加えて、特異的障害のマーカーを特定するのに有用な多種多様な免疫学的方法が当技術分野で知られている。例えば、特異的腫瘍と関連する抗原を検出するためのモノクローナル抗体プローブを用いる様々なELISA免疫アッセイ法が利用可能であり、当技術分野で周知である。既知の患者の症状、年齢要因、関連するリスク要因などによって示されるように、スクリーニングを実行することができる。これらの方法により、臨床医は、治療のために本明細書に記載の方法を必要とする患者を日常的に選択することが可能になる。これらの方法に従って、病理学的なCD123発現細胞の標的化は、独立した治療プログラムとして、又は補助的経過観察として、又は他の治療と協調的な治療レジメンとして実行することができる。
【0205】
投与のために、本発明の(例えば、二量体型の)ポリペプチドは、医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物は、(i)CD123結合ポリペプチド、及び(ii)医薬として許容される担体、希釈材又は賦形剤を含み得る。CD123結合タンパク質を含む医薬組成物は、医薬として有用な組成物を調製するための既知の方法に従って製剤化することができ、それによって、治療用分子は、医薬として許容される担体、希釈材又は賦形剤との混合物で組み合わされる。担体は、その投与がレシピエント患者によって許容的であり得る場合に、「医薬として許容される担体」であると言われる。無菌のリン酸緩衝生理食塩水は、医薬として許容される担体の一例である。他の適切な担体、希釈材又は賦形剤は、当業者に周知である(例えば、Gennaro(編),Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company,第19版.1995)を参照されたい)。製剤は、さらに、1以上の賦形剤、防腐剤、可溶化剤、緩衝剤、バイアル表面上でのタンパク質喪失を防止するためのアルブミンなどを含むことができる。
【0206】
医薬組成物は、経口単位剤形、静脈内単位剤形、鼻腔内単位剤形、坐剤単位剤形、皮内単位剤形、筋肉内単位剤形、腹腔内単位剤形、皮下単位剤形、硬膜外単位剤形、舌下単位剤形、及び脳内単位剤形からなる群から選択される剤形で製剤化され得る。経口単位剤形は、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、散剤、ロゼンジ剤、顆粒剤、液剤、懸濁液剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、徐放性製剤、エアロゾル剤、及びスプレー剤からなる群から選択され得る。
【0207】
本発明のポリペプチドを含む医薬組成物は、治療有効量で対象に投与され得る。本開示の方法に従って、CD123結合タンパク質は、例えば、筋肉内、皮下、静脈内、心房内、関節内、非経口、鼻腔内、肺内、経皮、胸膜内、髄腔内、及び経口の投与経路を含む様々な投与様式で対象に投与することができる。
【0208】
この文脈で有効な投与量の決定は、典型的には、ヒトの臨床試験が後に続く動物モデル研究に基づき、モデル対象における対象の障害の発症又は重症度を著しく低下させる有効な投与量及び投与プロトコルを決定することによって導かれる。本開示の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒト又は動物であるか否か、投与される他の薬物、治療が予防的又は治療的であるか否か、並びに組成物それ自体の特異的活性及び個人において所望の反応を誘発する能力を含む多くの異なる要因に依存して変化する。通常、患者はヒトであるが、いくつかの疾患において、患者は非ヒト哺乳類であり得る。典型的には、投与レジメンは、最適な治療反応を提供するために、すなわち、安全性及び有効性を最適化するために調整される。したがって、治療有効量はまた、本明細書に記載のCD123結合タンパク質を投与する有益な効果が望ましくない付随的な影響を上回る量である。CD123結合タンパク質の投与については、投与量は、例えば、対象の体重の約0.1μg~100mg/kg又は1μg/kg~約50mg/kg、又は10μg~5mg/kgの範囲であり得る。
【0209】
医薬組成物の投与量は、標的部位での所望の濃度を維持するために、担当医が変更することができる。
【0210】
特に固形腫瘍の治療に関しては、エンドポイント及び抗腫瘍活性を評価するためのプロトコルは、当技術分野で周知である。各プロトコルは、腫瘍応答評価を別々に定義し得、RECIST(固形腫瘍の応答評価基準(Response evaluation Criteria in solid tumor))基準は、現在、米国立癌センターによって推奨される腫瘍応答評価の指針であると考えられている(Therasseら,J.Natl.Cancer Inst.92:205-216,2000を参照されたい)。RECIST基準によると、腫瘍応答は、全ての測定可能な病変若しくは転移の低下又は除去を意味する。疾患は、一般に、医療写真又はX線、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、又は臨床検査(病変が表面にある場合)によって、縁がはっきりと定義された状態で、少なくとも1つの寸法において、従来技術で20mm以上又はスパイラルCTスキャンで10mm以上と正確に測定することができる病変を含む場合、測定可能であるとみなされる。測定可能ではない疾患は、該疾患が、従来技術で20mm未満又はスパイラルCTスキャンで10mm未満の病変、かつ本当に測定可能ではない(小さすぎて、正確に測定できない)病変を含むことを意味する。測定可能ではない疾患には、胸水、腹水、及び間接的な証拠によって文書化された疾患が含まれる。
【0211】
客観的な状態の基準は、固形腫瘍応答を評価するためのプロトコルに必要である。代表的な基準には、以下のもの:(1)全ての測定可能な疾患の完全な消失として定義される完全な応答(CR);新しい病変なし;疾患関連症状なし;測定不能疾患の兆候なし;(2)標的病変の最長径の和の30%減少として定義される部分応答(PR);(3)任意の標的病変の最長径の和の20%増加又は新しい病変の出現として定義される進行性疾患(PD);(4)CR、PR、又は進行性疾患の基準を満たさないと定義される安定な応答又は無応答が含まれる(Therasseら、上記を参照されたい)。
【0212】
腫瘍学分野内で受け入れられている追加のエンドポイントには、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、奏功率(ORR)、進行までの時間(TTP)、及び無増悪生存期間(PFS)が含まれる(Guidance for Industry:Clinical Trial Endpoints for the Approval of Cancer Drugs and Biologics,April 2005,Center for Drug Evaluation and Research,FDA,Rockville,MDを参照されたい)。
【0213】
医薬組成物は、本明細書に記載の医薬組成物を含む容器を含むキットとして供給することができる。医薬組成物は、例えば、単回用量若しくは複数回用量用の注射溶液の形態で、又は注射前に再構成される無菌粉末として提供することができる。あるいは、そのようなキットは、乾燥粉末ディスペンサー、液体エアロゾル発生器、又は医薬組成物の投与用のネブライザーを含むことができる。そのようなキットは、さらに、適応症に関する書面による情報及び医薬組成物の使用を含むことができる。
【0214】
本開示は、本開示の純粋な例示であることが意図され、決して限定するものではない以下の実施例によってさらに明らかになる。
【0215】
実施例
実施例1:抗CD123抗体のヒト化変異体の作製並びに単一特異性及び二重特異性CD123結合分子の構築
ファージディスプレイによる単一特異性CD123結合分子の単離
抗CD123特異的scFv結合分子を、Distributed Bio社のプロトコルに従って、かつ以前にAyriss,Jら,(2007)J Proteome Res.,p1072-82に記載されている通りに、ビオチン化組み換えCD123タンパク質(配列番号200)に対する可溶性ファージディスプレイパニング技術を用いて、Distributed Bio社(South San Francisco,CA)のスーパーヒューマン(SuperHuman)ライブラリーから単離した。クローンの結合特異性を、同一の精製タグを有するCD123タンパク質及び無関係の組み換えタンパク質を用いてELISAによって特徴付けた。それぞれ配列番号201及び配列番号203のCD123のヒト変異体及びカニクイザル変異体でトランスフェクトしたHEK293細胞を用いるフローサイトメトリーを用いて、細胞表面の状況でCD123に結合するクローンを特定した。これらの実施例で言及する結合分子のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、表5の中で見つけることができる。
【0216】
ハイブリドーマ作製による単一特異性CD123結合分子の単離
抗CD123特異的抗体を、組み換えヒトCD123エクトドメイン(配列番号200)でOmniMice(Ligand社,San Diego,CA)を免疫した後に作製されたハイブリドーマライブラリーから単離した。個々のクローンの結合特異性を、それぞれ配列番号201及び配列番号203のCD123のヒト変異体及びカニクイザル変異体でトランスフェクトしたHEK293細胞にてフローサイトメトリーを用いて結合を試験することによって確認し、さらに親のHEK293細胞への結合の欠如によって確認した。配列を、製造業者のプロトコルの改変版に従って、OneStep RT-PCRキット(QIAGEN社,Valencia,CA)を用いるRT-PCRによって取得した。簡単に説明すると、各クローンのからの細胞を、凍結細胞バンクのバイアルから擦り取り、リボヌクレアーゼを含まない水に再懸濁した。次いで、この細胞懸濁液を、重鎖、カッパ又はラムダ可変ドメインに隣接する遺伝子特異的プライマーのセットを用いるRT-PCR反応の鋳型として使用した。これらの断片の各々の定常ドメイン内のリバースプライマーを用いて配列決定を行った。次いで、配列を、重複配列を含有するプライマーを用いて可変ドメインを増幅することによってscFvフォーマットに変換し、NEBuilder(登録商標) HiF DNAアセンブリークローニングキット(New England Biolabs,Beverly,MA)を用いて哺乳類発現ベクター内にアセンブルした。

【表7】
【0217】
二重特異性CD123結合分子の調製
CD123及びCD3エプシロン、TRI129(配列番号129(核酸)、配列番号130(アミノ酸));TRI130(配列番号131(核酸)、配列番号132(アミノ酸));TRI1123(配列番号133(核酸)、配列番号134(アミノ酸));TRI124(配列番号135(核酸)、配列番号136(アミノ酸));TRI137(配列番号137(核酸)、配列番号138(アミノ酸));TRI125(配列番号139(核酸)、配列番号140(アミノ酸));TRI126(配列番号141(核酸)、配列番号142(アミノ酸));TRI127(配列番号143(核酸)、配列番号144(アミノ酸));TRI134(配列番号145(核酸)、配列番号146(アミノ酸));TRI128(配列番号147(核酸)、配列番号148(アミノ酸));TRI131(配列番号149(核酸)、配列番号150(アミノ酸));TRI132(配列番号151(核酸)、配列番号152(アミノ酸));TRI138(配列番号153(核酸)、配列番号154(アミノ酸));及びTRI139(配列番号155(核酸)、配列番号156(アミノ酸))を標的とする二重特異性CD123結合分子を、鋳型として既存の二重特異性結合分子から始める標準的な分子生物学技法及び例えば、PCT出願公開WO 2007/146968、米国特許出願公開第2006/0051844号、PCT出願公開WO2010/040105、PCT出願公開WO2010/003108、及び米国特許第7,166,707号に一般的に開示されている方法を用いて作製した(表3も参照されたい)。N末端抗CD123scFv結合ドメインの挿入を、制限酵素HindIII及びXhoIでの親鋳型並びにscFvインサートの消化により達成し、所望の断片を、アガロースゲル精製により特定及び単離し、ライゲーションした。C末端抗CD3エプシロンscFv結合ドメインの挿入を、制限酵素EcoRI及びNotIでの親鋳型並びにscFvインサートの消化により達成し、所望の断片を、アガロースゲル精製により特定及び単離し、ライゲーションした。
【0218】
ヒトscFvドメインを有する構築物のアセンブリを、HindIII/BamHI断片、BamHI/XhoI断片、及びHindIII/XhoIで切断した目的ベクターを用いて、3ピースのライゲーションによって達成した。これを用いて、表4に示すヒト化二重特異性分子に対応する遺伝子配列を生成した。

【表8】
【0219】
CD123結合分子及び抗体の発現並びに精製
本明細書に開示される二重特異性CD123結合分子を、ヒトHEK293細胞の一過的トランスフェクションと、場合によっては、またCHO細胞の安定なトランスフェクションの両方によって生成した。トランスフェクト細胞を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養物の上清から精製した。凝集物がアフィニティークロマトグラフィー後に検出された場合、タンパク質の均一性を確実にするために、第2の分子ふるいクロマトグラフィーも実行した。
【0220】
実施例2:CD123(+)細胞株へのCD123結合分子の結合
癌細胞の表面上のCD123への結合活性が、抗CD123×抗CD3ε分子を保持し、カニクイザルCD123に対する交差反応性を示すことを確認するために、フローサイトメトリーを用いて、構築したCD123結合分子のCD123発現細胞株への結合を定量化した。
【0221】
単一特異性及び二重特異性タンパク質のCD123(+)細胞株への結合
CD123(+)Molm-13(Matsuo,Y.ら,1997,Leukemia 11,1469-1477)癌細胞株及びカニクイザルCD123発現CHO細胞上での結合試験を、標準的なフローサイトメトリー系の染色手順によって行った。Molm-13細胞株をDSMZ(Braunschweig,Germany)から取得した。Molm-13細胞株を、提供されたプロトコルに従って培養した。全長カニクイザルCD123タンパク質を安定発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、研究室内で開発した。典型的な実験は、氷上で30分間、0.2%のBSA及び2mMのEDTAを有するPBS緩衝液100μl中0.012nM~1,000nMの範囲の結合分子で、96ウェルプレート中の1ウェルあたり100,000細胞を標識し、その後洗浄し、氷上で30分間、PE標識した最小交差種反応性二次抗体、ヤギ抗ヒトIgG Fcγ、F(ab’)2(Jackson Laboratory)とインキュベートするものである。結合分子からのシグナルを、LSR-II(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を用いて検出し、FlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェアによって分析した。細胞上の結合分子の平均経口強度(MFI)を、二重線の除外後に決定した。EC50値の決定のための非線形回帰分析を、GraphPad Prism 7(登録商標)グラフ化及び統計用ソフトウェアで行った。
【0222】
図1A、1B、1C及び1Dは、3回の独立した実験で、CD123(+)Molm-13ヒト腫瘍細胞株への、13種の異なる二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子(TRI123、TRI125、TRI126、TRI127、TRI128、TRI129、TRI130、TRI131、TRI132、TRI134、TRI137、TRI138及びTRI139)の結合を示す。これらの実験では、一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞から調製された二重特異性構築物を利用した。これらの分子のうちの4種が、飽和濃度で同等の最大レベルの結合を実証した。TRI125、TRI129、TRI130及びTRI139について観察されたEC50値は、2~10nMであった。類似の結果を有する安定にトランスフェクトしたCHO細胞からのTRI129及びTRI130について、実験を繰り返した(データ示さず)。
【0223】
図2A、2B及び2Cは、2回の独立した実験で、カニクイザルCD123タンパク質を安定発現するCHO細胞への、13種の異なる二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子(TRI123、TRI125、TRI126、TRI127、TRI128、TRI129、TRI130、TRI131、TRI132、TRI134、TRI137、TRI138及びTRI139)の結合を示す。これらの分子のうちの7種が、飽和濃度で同等の最大レベルの結合を実証した。TRI123、TRI126、TRI129、TRI130、TRI132、TRI137及びTRI139について観察されたEC50値は、3~38nMであった。
【0224】
これらの結果から、構築された抗CD123×抗CD3ε分子が、癌細胞表面上のヒトCD123への結合活性を保持し、カニクイザルCD123と交差反応を示すことが確認される。
【0225】
実施例3:CD123(+)細胞株を用いたリダイレクトされたT細胞の細胞傷害性アッセイ
CD123とCD3εの両方への二重特異性分子結合がCD123(+)細胞株に対してT細胞の細胞傷害をリダイレクトできるかを確認するために、クロム51放出アッセイを用いて、T細胞によって誘導される標的細胞の溶解を定量化した。
【0226】
CD123(+)細胞株を用いたクロム51放出アッセイ
Molm-13ヒト腫瘍細胞株を、提供されたプロトコルに従って培養した。末梢血単核球(PBMC)を、標準的なフィコール勾配を用いて、ヒト血液から単離した。単離細胞を生理食塩水緩衝液で洗浄した。PBMCを、製造業者のプロトコルを用いて、T細胞を活性化するために、ヒトTアクチベーターCD3/CD28 Dynabeads(登録商標)(カタログ番号11131D、Gibco Life Technologies、Carlsbad、California、USA)を用いて24時間培養した。培養24時間後、PBMCを収集し、磁場に置いて、ダイナビーズを除去した。単離細胞を、RPMI培地+10%ヒト血清で洗浄した。アッセイ中に、0.061pM~1000pMの範囲の最終濃度で二重特異性分子の濃度を活性化PBMCに添加した(1ウェルあたり約100,000)。
【0227】
約2.5×10のMolm-13標的細胞を、0.125mCiの51Crで処理し、90分間、37℃、5%COの加湿インキュベーター内でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をアッセイ培地(10%ヒト血清を有するRPMI)で3回洗浄し、12.5mLのアッセイ培地に再懸濁した。この懸濁液から、96ウェルU底プレートに1ウェルあたり50μLを分注し(1ウェルあたり約10,000細胞)、全量を1ウェルあたり200μLにし、標的細胞に対するPBMCの比を10:1にした。溶解させない対照を、PBMCを取り除いて、標的細胞のみで作製した。全溶解対照を、標的細胞のみでの処理として0.20% NP-40を含めることによって作製した。バックグラウンド溶解対照を、二重特異性分子の非存在下で、PBMCを有する標的細胞によって作製した。
【0228】
プレートを、4時間、37℃で、5%COの加湿インキュベーター内でインキュベートし、その後、3分間、1000 rpmで遠心分離し、25μLの上清を、各ウェルから96ウェルLuma試料プレートの対応ウェルに移した。試料プレートを、18時間、化学的安全キャビネット内で風乾させ、次いで、標準的なプロトコルを用いて、TopCountマイクロプレートシンチレーションカウンター(PerkinElmer)にて放射活性を読み取った。
【0229】
特異的溶解率を、式:((薬物処理試料のシグナル-標的細胞のみを有する試料のバックグラウンドシグナル)/(全溶解ウェルのシグナル-標的細胞のみを有する試料のバックグラウンドシグナル))×100を用いて計算した。
【0230】
図3A、3B及び3Cは、2回の独立した実験で、13種の異なる二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子(TRI123、TRI125、TRI126、TRI127、TRI128、TRI129、TRI130、TRI131、TRI132、TRI134、TRI137、TRI138及びTRI139)を用いて、4時間の時点で測定したMolm-13細胞株を用いたクロム51放出アッセイを示す。二重特異性抗CD123×抗CD3ε分子の全ては、4時間の時点で効率的な標的細胞溶解を示し、最大特異的溶解は24~48%の範囲であった。測定されたEC50値は、4時間の時点で3~37pMの範囲であった。
【0231】
リダイレクトされたT細胞の細胞傷害性アッセイも、(i)Molm-13(ヒトCD123+細胞)及びヒトT細胞、(ii)Molm-13(ヒトCD123+細胞)及びカニクイザルT細胞並びに(iii)カニクイザルCD123及びヒトT細胞を安定発現するCHO細胞と共に、カニクイザルCD123タンパク質(TRI129及びTRI130)を安定発現するCHO細胞を用いて行った。データから、TRI129及びTRI130が、ヒト及びカニクイザルCD123+細胞並びにT細胞に対して交差反応性であることが示される。
【0232】
これらの結果から、CD123とCD3εの両方に結合する二重特異性分子が、CD123(+)細胞株に対するT細胞の細胞傷害をリダイレクトできたことが確認される。
【0233】
実施例4:抗CD123二重特異性分子によってCD123(+)細胞株に対して誘導される標的依存性T細胞増殖
標的依存性T細胞増殖の誘導時の異なる二重特異性CD123結合分子の有効性を比較するために、TRI123、TRI126、TRI129、TRI130、TRI132及びTRI139を含む6種の異なる抗CD123×抗CD3ε二重特異性分子を、2回の独立した実験で試験した。
【0234】
CD123(+)細胞株Molm-13を用いるフローサイトメトリーによってT細胞増殖を評価した。末梢血単核球(PBMC)を、標準的な密度勾配分離法を用いてヒトの血液から単離した。単離細胞を生理食塩水緩衝液で洗浄した。T細胞を、さらに、製造業者のプロトコルを用いて、Miltenyi Biotec(Bergisch Gladbach,Germany)の汎T細胞単離キットIIを用いて単離した。Molm-13細胞を、Faxitron Bioptics LLC(Tucson,Arizona,USA)のFaxitron-CellRad X線照射システムを用いて照射して、細胞分裂を防止した。
【0235】
単離T細胞集団をCFSEで標識することによって増殖を評価した。それぞれ、CFSE標識T細胞を120,000細胞/ウェルで、Molm-13腫瘍細胞を30,000細胞/ウェルで、U底96ウェルプレートにプレーティングし、腫瘍細胞に対するT細胞の比を約4:1にした。0.002pM~2,000pMの範囲の濃度の試験分子を、10%ヒトAB血清、ピルビン酸ナトリウム、抗生物質及び非必須アミノ酸を補充したRPMI 1640培地中200μL/ウェルの最終量まで細胞混合物に添加した。プレートを37℃、5% COの加湿インキュベーター内でインキュベートした。4日後、0.1%牛血清アルブミン及び2mMのEDTAを有する生理食塩水緩衝液を用いて、元のプレート中で細胞喪失を最小限にするために、フローサイトメトリー分析用の抗体で細胞を標識した。遠心分離及び上清の除去後、細胞ペレットを、以下の色素標識抗体:CD5-PE、CD8-パシフィックブルー、CD25-PE-Cy7、及び7AADの混合物と50μl容量で再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、BD LSRIIフローサイトメーターでの各ウェルの50%取得の直前に120μl容量に再懸濁した。FlowJoソフトウェアを用いて、試料ファイルを分析し、少なくとも1回の細胞分裂を行ったCD4(CD8)又はCD8 T細胞の割合を、前方散乱対側方散乱で、7AAD、CD5、CD4又はCD8 T細胞(それぞれ、7AAD、CD5 CD8又は7AAD CD5 CD8)を順次ゲーティングすることによってCFSEプロファイルに従って計算した。GraphPadプリズム7.0を用いてグラフをプロットした。
【0236】
T細胞集団の分裂の分析により(図4A及び4B)、Molm-13細胞の存在下で増殖細胞の割合が著しく増加したことが明らかになった。全分子は、低濃度(10pM)でT細胞増殖のロバストな誘導を示し、増殖は、CD4(CD8)(図4A)T細胞集団よりもCD8図4B)においてわずかにより高かった。EC50値を、CD4(図4C)集団及びCD8(図4D)集団の両方についてTRI129、TRI130及びTRI139を用いて決定し、全3つの抗CD123×抗CD3ε二重特異性分子について類似の抗力を実証した。
【0237】
これらの結果から、CD123とCD3εの両方への二重特異性分子結合が、CD123(+)細胞株に対する標的依存性T細胞増殖を誘導できたことが確認される。
【0238】
実施例5:代表的な非臨床種における薬物動態の決定
関連する非臨床種における薬物動態を決定するために、二重特異性抗CD123×抗CD3分子を、抗CD123×抗CD3分子の薬物動態(PK)評価及び毒性評価について非ヒト霊長類(NHP)種(例えば、カニクイザル)において試験する。NHP CD123への抗CD123結合ドメインの交差反応性を、ELISA又は表面プラズモン共鳴アッセイによって試験する(実施例2と同様)。NHPとヒトCD123の間に85.7%の配列同一性があるので、等しい結合が期待される。PK及び免疫原性アッセイが開発され、これを用いて、カニクイザル血清の存在下で抗CD123×抗CD3分子を検出及び定量化し、かつNHPにおける免疫原性反応を評価することができる。CD123標的分子の関連毒種としてカニクイザルを正当化するこれらの作業が正常に完了したら、単回用量のPK/耐容性実験を行う。研究は、有資格臨床研究機関(CRO)で行うことができる。研究結果を、PKパラメータ、及び薬物の作用機序又は抗薬物抗体(ADA)に起因し得ない説明できない有害事象を含む任意の有害事象について調べる。毒物学者は、研究結果を検証及び解釈し、リードの継続的な開発を支持する。この研究由来のPKパラメータを用いて、非ヒト霊長類におけるさらなる毒性研究及び/又はヒト患者における臨床研究を計画する。
【0239】
実施例6:ヒト臨床投与の際の安全性及び耐容性の試験
CD123及びCD3を標的とするリード二重特異性分子のヒトにおける安全性及び耐容性を決定するために、以下のフェーズ1臨床試験を実施することができた。抗CD123×抗CD3二重特異性分子の初のヒトでの研究は、ヒト投与における最大耐量(MTD)を特定するための用量漸増研究であり得る。
【0240】
二重特異性抗CD123×抗CD3分子はアゴニストであるので、出発用量は、抗CD123×抗CD3のインビトロ活性に基づく推定最小薬理作用量(MABEL)をもたらす用量に設定される。ヒトの薬物動態(PK)を、非臨床モデル(マウス又は非ヒト霊長類)において決定されるPK値及びMABELをもたらす用量を予測するアロメトリースケーリングを用いて推定する。二重特異性分子を、静脈内注入又は皮下注入のいずれかを用いて投与する。用量漸増は、期待される12用量コホート(N=24~72人の患者)で、標準的な3+3計画に従う。投与頻度は、非臨床研究で観察されるPKに依存するが、毎週(QW)、隔週(Q2W)、3週間に1回(Q3W)、又は毎月(Q4W)であり得る。投与は、(免疫関連応答基準(irRC)又は固形腫瘍の応答基準(RECIST)のいずれかによって定義される)疾患進行まで継続する。
【0241】
研究の主要評価項目は、MTDを定義する安全性及び毒性を制限する任意の用量である。研究の副次的評価項目は、PK、免疫原性、及びirRC又はRECIST基準のいずれかによって評価される腫瘍体積の客観的応答である。血液悪性腫瘍を有する患者にとって、微小残存病変(MRD状態)の存在などのさらなる基準が評価され得る。必要であれば、又は実行可能であれば、バイオマーカー試料を全血及びリンパ節又は骨髄生検から取得し、免疫系に対する効果及び癌又は悪性腫瘍に対する効果を監視する。
【0242】
フェーズ1研究の受け入れ基準は広く、急性骨髄性白血病(AML)、Bリンパ性白血病、芽球性形質細胞様樹状新生物(BPDCN)、及び有毛細胞白血病などのCD123発現が以前に高いことが示された複数の兆候からの難治性疾患又は再発疾患を有する患者の包含を可能にし得る。研究に登録される患者には、原発性腫瘍のアーカイブ生検試料又は転移部位の再発腫瘍の処置前生検のいずれかからの免疫組織化学的(IHC)分析からCD123発現の証拠が必要とされる。
【0243】
二重特異性抗CD123×抗CD3分子は、irRC若しくはRECIST基準からの主観的応答又はCTC、PSA、若しくはTAG72などの潜在的な予後血清バイオマーカーの変化のいずれかから臨床的利益の証拠を示すMTD又はMTD未満の用量レベルで患者に投与した場合に、十分に安全であると決定される。
【0244】

【表9】
【0245】
実施例7:抗CD123二重特異性分子によってCD123(+)細胞株に対して誘導される標的依存性T細胞活性化
CD4及びCD8T細胞の標的依存性T細胞活性化の誘導時の異なる二重特異性CD123結合分子の有効性を比較するために、TRI123、TRI126、TRI129、TRI130、TRI132及びTRI139を含む6種の異なる抗CD123×抗CD3ε二重特異性分子を、2回の独立した実験で試験した。
【0246】
CD123(+)細胞株Molm-13を用いるフローサイトメトリーによってT細胞活性化を評価した。末梢血単核球(PBMC)を、標準的な密度勾配分離法を用いてヒトの血液から単離した。単離細胞を生理食塩水緩衝液で洗浄した。T細胞を、さらに、製造業者のプロトコルを用いて、Miltenyi Biotec(Bergisch Gladbach,Germany)の汎T細胞単離キットIIを用いて単離した。
【0247】
それぞれ、T細胞を120,000細胞/ウェルで、Molm-13腫瘍細胞を30,000細胞/ウェルで、U底96ウェルプレートにプレーティングし、腫瘍細胞に対するT細胞の比を約4:1にした。0.002pM~2,000pMの範囲の濃度の試験分子を、10%ヒトAB血清、ピルビン酸ナトリウム、抗生物質及び非必須アミノ酸を補充したRPMI 1640培地中200μL/ウェルの最終量まで細胞混合物に添加した。プレートを37℃、5% COの加湿インキュベーター内でインキュベートした。20時間後、0.1%牛血清アルブミン及び2mMのEDTAを有する生理食塩水緩衝液を用いて、元のプレート中で細胞喪失を最小限にするために、フローサイトメトリー分析用の抗体で細胞を標識した。遠心分離及び上清の除去後、細胞ペレットを、以下の色素標識抗体:CD69-FITC、CD5-PE、CD8-パシフィックブルー、CD4-APC、CD25-PE-Cy7、及び7AADの混合物に50μl容量で再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、BD LSRIIフローサイトメーターでの各ウェルの50%取得の直前に120μl容量に再懸濁した。FlowJoソフトウェアを用いて、試料ファイルを分析し、CD69及びCD25を上方制御したCD4(CD8)又はCD8 T細胞の割合を、前方散乱対側方散乱で、7AAD、CD5、CD4又はCD8 T細胞(それぞれ、7AAD、CD5 CD4又は7AAD CD5 CD8)を順次ゲーティングすることによって計算した。GraphPadプリズム7.0を用いてグラフをプロットした。
【0248】
20時間後の活性化T細胞の分析(図5)は、Molm-13細胞の存在下で活性化CD4及びCD8 T細胞の割合の著しい増加を明らかにした。試験した全分子は、1~100pMの範囲の低濃度でMolm-13標的細胞の存在下でT細胞の最大活性化を誘導した(図5)。EC50値を、CD4図5C)とCD8図5D)のCD25 CD69集団の両方についてTRI129、TRI130及びTRI139を用いて決定し、全3つの抗CD123×抗CD3ε二重特異性分子について類似の抗力が実証された。
【0249】
これらの結果から、CD123とCD3εの両方への二重特異性分子の結合はCD123(+)細胞株に対する標的依存性T細胞活性化を誘導できたことが実証される。
【0250】
実施例8:二重特異性タンパク質のCD123への結合
CD123への二重特異性タンパク質の動態及び親和性を決定するために、TRI-129及びTRI-130二重特異性タンパク質を、HEK293細胞において一過的トランスフェクションによって発現させ、親和性精製とサイズ排除精製の組み合わせを用いて精製した。CD123の細胞外ドメインを、C末端上にアフィニティタグをつけて一過的に発現させ、親和性精製とサイズ排除精製の組み合わせを用いて精製した。分析を、BIACORE(商標) T200装置(Biacore社、Piscataway,NJ)を用いて行った。BIACORE(商標) T200は、リアルタイム動態結合データを提供するように設計されている表面プラズモン共鳴(SPR)ベースのバイオセンサーシステムである。
【0251】
組み換え単量体CD123外部ドメイン(ECD)への二重特異性分子のSPR結合研究を、HBS-EP+緩衝液中で、25℃で実施した。10mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)中20μg/mLでヤギ抗ヒトIgG Fcγ断片特異的AffiniPure F(ab’)2断片(Jackson Immuno Research)を、標準的なアミンカップリング化学によってCM5研究グレードセンサーチップ(R-1005-30、GE Healthcare)の表面上に3600反応単位(RU)の密度で固定した。HBS-EP+緩衝液中200nMの二重特異性分子を、安定な2000RU反応に達するまで、30μL/分の流速で、120秒間、固定した抗Fc F(ab’)2断片によって捕捉した。異なる濃度のCD123 ECD(2倍希釈による3~48nM、ブランクとして緩衝液を含む)を、120秒間、30μL/分で捕捉した二重特異性分子上に流し、その後、300秒間、解離期間を設けた。最適な再生を、15秒間、30μL/分の流速で、10mMのグリシン(pH1.7)の1回注入、その後、15秒間、30μL/分で50mMのNaOHの1回注入によって達成した。次の稼働前に、HBS-EP+緩衝液での2分の安定化を完了した。
【0252】
動態学的SPR測定から取得したセンサーグラムを、二重減算法によって分析した。参照フローセルからのシグナルを、固定又は捕捉したリガンドを有するフローセルから得られた検体結合反応から減算した。次いで、緩衝液参照反応を、複数の注入から平均化した。次いで、平均化した緩衝液参照反応を検体結合反応から減算し、最終的な二重参照データをBIACORE(商標)T200評価ソフトウェア(2.0,GE Healthcare)を用いて分析し、動態パラメータを導くために包括的にデータを適合させた(表8)。全てのセンサーグラムを、単純な1対1結合モデルを用いて適合させた。
【0253】
【表10】
【0254】
3nM~48nMの範囲の異なるECD濃度でのTRI-130のSPR分析の例を表6に示す。結合の熱力学的及び動態学的速度定数をBIACORE(商標)評価ソフトウェアを用いて計算した。例えば、CD123細胞外ドメイン(ECD)に対するTRI-130の親和性(KD)は2.74×10-9Mであり、kaは1.72×10-1-1であり、kdは4.72×10-4-1であると決定した。CD123に対するTRI-129の親和性は1.14×10-8Mであり、kaは1.79×10-1-1であり、kdは2.05×10-3-1であると決定した。
【0255】
実施例9:示差走査熱量測定
CD123結合ドメインの熱安定性を、示差走査熱量測定(DSC)を用いて評価した。DSCは、一定速度で加熱した時に、分子の熱変性と関連する熱容量変化を測定する。CD123結合ドメインscfvのTm(熱転移の中点)値は、安定性の尺度であり、融解曲線から導くことができる。
【0256】
DSC熱安定性研究を、MicroCal VP-Capillary DSCシステム(Malvern Instrument)を用いて行った。緩衝液PBS pH7.4の正確な一致を基準として使用した。基準を有する0.5mg/mLの各タンパク質試料溶液500uLを該装置にロードし、1分あたり摂氏1度の速度で、25℃~100℃に加熱した。融解曲線をOrigin7プラットフォームソフトウェア「MicroCal VP-キャピラリーDSC自動分析ソフトウェア(Capillary DSC Automated Analysis Software)」用いて分析した。各融解転移のTmを「non-2状態カーソル積分(state curser integration)」法を用いて計算した。
【0257】

【表11】
【0258】
実施例10:薬物動態活性
二重特異性分子の薬物動態活性を決定するために、雌Balb/cマウスに200mg(約10mg/kg)のTRI129又はTRI130のいずれかを静脈内(IV)注入した(各分子についてn=30、TRI129又はTRI130)。各時点で、血液を3匹のマウスから心臓穿刺によって採取した。時点は、15分、2、6、24、48、72、96、168、336及び504時間目であった。血液を血清に処理し、分注し、凍結した。血清試料中のTRI129及びTRI130の濃度を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定した。経時的血清濃度を用いて、非コンパートメント解析(NCA)及びコンパートメント解析によってPKパラメータ推定値を決定した。経時的血清濃度プロファイルを、Phoenix 64ソフトウェアを用いて解析した。GraphPad Prism 7.0を用いてグラフをプロットした。得られたデータのNCAパラメータ解析を表10に提供する。
【0259】
【表12】
【0260】
図7は、TRI129及びTRI130二重特異性分子についての濃度対時間曲線を示す。
【0261】
実施例11:抗CD123×抗CD3結合分子のインビボ有効性
TRI129及びTRI130が、インビボで腫瘍成長を阻害し、生存を延長することができるかどうかを決定するために、ヒト急性骨髄性白血病のげっ歯類モデルを利用した。MOLM-13/LUC細胞をドナーT細胞及びマトリゲルと混合し、研究の0日目にNOD/SCIDマウスの側腹部に移植した。グループあたり10匹のマウスのグループの動物に、研究0、4、及び8日目に全容量200μl中15、3及び0.6μgのタンパク質の用量で、ビヒクル、TRI129又はTRI130と共に1匹のドナーからのT細胞で処置した。研究中、経時的に腫瘍成長をノギスで測定し、マウスがエンドポイントに達した各時点で生存事象を記録し(腫瘍体積1500mm以上)、安楽死させた。図8及び図9に示すように、ドナーT細胞の非存在下でTRI129及びTRI130の影響は最小限であり、ドナーT細胞のみによる腫瘍成長に対するT細胞の影響は最小限であった。ドナーT細胞の存在下で試験した全用量で、TRI129とTRI130の両方での処置後に、腫瘍成長の顕著な阻害が見られた。生存曲線の比較のためのログランク検定と共にカプラン・マイヤー生存解析を用いて、マウスの生存期間中央値の顕著な違いを決定した。図10に示すように、共移植ヒトT細胞の存在下で、TRI129及びTRI130の全ての試験用量で処置したマウスの生存期間は、全対照グループに対して顕著に延びた。ビヒクル処置でのT細胞の共移植も、ヒトT細胞の非存在下でのTRI129又はTRI130での腫瘍の処置も、腫瘍細胞のみを移植し、ビヒクルで処置したマウスと比較して、生存期間は延長しなかった。この結果から、TRI129とTRI130の両方が、急性骨髄性白血病の異種移植モデルにおいて腫瘍成長の阻害及び生存期間の延長を促進できることが実証される。
【0262】
実施例12:TRI130はCD123発現細胞株に特異的である
TRI130の特異性を確認し、異なるレベルのCD123を発現する腫瘍細胞株に対するその細胞傷害活性を比較するために、クロム51放出アッセイを用いて、T細胞によって誘導される標的細胞溶解を定量化した。CD123陽性MOLM-13及びKG-1a AML腫瘍細胞株に対するCD123発現レベルを、フローサイトメトリーによってCD123陰性Daudi Burkittリンパ腫細胞株と比較した。CD123発現を、市販のヒトCD123フィコエリトリン(PE)コンジュゲート抗体を用いて検出した。陽性CD123発現は、MOLM-13及びKG-1a上で検出されたが、Daudi細胞上では検出されなかった。MOLM-13及びKG-1a細胞は、それぞれ平均して細胞あたり10,000及び2,000個の受容体を発現した(データ示さず)。異なる濃度のTRI130を、MOLM-13、KG-1a又はDaudi細胞株とインキュベートし、ヒト末梢血から新たに単離したヒトT細胞を精製し、次いで、24時間、抗CD3×抗CD28結合ビーズと事前活性化した。TRI130は、CD123発現について陽性である細胞株においてのみ細胞傷害を誘導し、MOLM-13とKG-1a AML腫瘍細胞株の間で同等の効力を実証した(図12)。細胞傷害を、4時間及び24時間の時点でクロム51放出アッセイを用いて推定した特異的腫瘍細胞溶解の割合として測定した(データ示さず)。これらの結果から、TRI130によって誘導されたリダイレクトT細胞細胞傷害が、CD123発現標的細胞に特異的であることが確認され、異なるレベルのCD123タンパク質を発現するAML腫瘍細胞株に対して強力なTRI130細胞傷害を実証する。
【0263】
実施例13:未処理T細胞を用いた異なるエフェクター対標的細胞比でのTRI130誘導性細胞傷害
異なるエフェクター対標的細胞比でTRI130誘導性細胞傷害活性を調べるために、中程度のレベルのCD123を発現するKG-1a細胞を、異なる濃度のTRI130とインキュベートし、事前活性化されていない5人の異なるヒトドナーからT細胞を精製した。KG-1a標的細胞を、10:1、5:1及び1:1のエフェクター対標的細胞比でT細胞と培養した。全てのエフェクター対標的細胞比でのTRI130誘導性細胞傷害活性は、全5人のドナー間で同等であった(データ示さず)。細胞傷害を、特異的腫瘍細胞溶解の割合として測定し、24時間のクロム51放出アッセイを用いて推定した。これらの結果から、有力なTRI130は、未処理T細胞を用いて、異なるエフェクター対標的細胞比で細胞傷害を誘導し、正常ドナー間での活性の変動は最小限であることが実証される。
【0264】
実施例14:カニクイザルにおける単回用量の薬物動態研究及び耐容性研究
単回用量の薬物動態研究及び耐容性研究を行い、TRI130の静脈内投与後の耐容性、免疫原性及び薬物動態学的特性を決定した。研究計画を表11に示す。意図されたヒト投与経路であるので、静脈内投与経路を本研究のために選択した。
【0265】
NHP CD3εへの結合を、単一特異的scFv-Fc融合形式で抗CD3結合ドメインを用いて決定した。抗CD3scFv-Fcを、フローサイトメトリーによってチャイニーズカニクイザルのT細胞において試験した。個々のサルで結合レベルは変化し、ヒト細胞と比較して高い、中程度又は低いレベルの結合を示した(データ示さず)。
【0266】
【表13】
36日目に動物を研究から解放した。
グループ1及び2の投与を、グループ間で遅れることなく、継続的に開始した。投与は、グループ2の第3の動物の終わり及びグループ3の第1の動物の開始から2時間遅れた。グループ4の投与は、グループ1の投与の開始から24時間遅れた。
【0267】
以下のパラメータ及びエンドポイントを、単回用量NHP研究において評価した:臨床徴候、体重、摂餌量、臨床病理学的パラメータ(血液学、凝固、及び臨床化学)、薬物動態(PK)、免疫原性、サイトカインプロファイル、及びフローサイトメトリー。
【0268】
試験した投与レベルは、予想される最大のヒト用量から予想されるヒト用量の高い倍数の範囲であった(表12)。ヒトにおいて予測される薬理学的活性用量(PAD)は、インビボ異種移植モデルに基づく0.4mcg/kgの範囲内であり(実施例11)、グループ2の用量の625倍下回る。しかしながら、インビトロ活性アッセイ(T細胞活性化、増殖及びサイトカイン放出)に基づくと、ヒトT細胞の応答と比較して、カニクイザルT細胞のTRI130への応答は10~100倍低下する。したがって、グループ2の用量は、生物製剤の約6.25~62.5倍でヒトPADと等しくなると予想される。グループ3及び4は、後者の用量の2~4倍過剰であると評価される。
【0269】
TRI130は、T細胞上でCD3と、かつ高レベルのCD123を発現するが、循環白血球の1%未満を構成する形質細胞様樹状細胞(pDC)及び好塩基球を含む免疫細胞集団上で標的分子CD123と相互作用する。CD123を標的にする他の二重特異性分子について記載されている公開データに、顕著なサイトカイン放出が記述された(Chichiliら、Sci Transl Med.2015 May 27;7(289):289ra82)。
【0270】
サイトカイン放出の予想により、本研究を2フェーズで実施した。フェーズIにおいて、処置グループ2~4を含むフェーズIIの適切な用量レベルを決定するために、2匹のセンチネル動物にTRI130を与えた。(最初にフェーズIIの中間用量レベルとして予測された)0.05mg/kgの用量レベルは、第1のセンチネルのために選択し、この動物を、投与後観察、体温、及びサイトカイン分析のための血液試料の収集を含めて、サイトカイン放出症候群の兆候について綿密に監視した。該用量は十分に耐容性を示し、24時間後、第2のセンチネル動物に、また十分に耐容性を示す(最初にフェーズIIの高用量レベルとして予測された)0.25mg/kgで投与した。
【0271】
フェーズIIの用量レベルを、TRI130に対する段階的応答をもたらす試みで選択し、フェーズIセンチネルの結果を組み入れた。センチネル動物によってフェーズIの用量レベルが十分に耐容性を示し、異常な臨床観察、サイトカイン放出レベルの上昇、又は体温上昇がなかったので、選択されるフェーズII用量レベルは、予想されるヒトPAD等価物の2500倍である0.25、0.5及び1mg/kgであった(表12)。この差を活性の最大100倍の違いまで調節したので、この研究ではヒトPADよりも25倍高い用量まで達した。
【0272】
【表14】
【0273】
カニクイザルにおける単回用量TRI130の薬物動態
TRI130を捕捉するためのCD123の細胞外ドメイン、及び結合したTRI130を検出するための抗CD3結合ドメインを認識するビオチン化抗ID抗体(5H5)を用いる標準的なELISA法を用いて、血清濃度を決定した。ほとんどの動物にとって、遅い時点での血清濃度の急速な低下は、抗薬物抗体(ADA)の存在に相当した。TRI130+/-ビオチンを用いる標準的な架橋ELISAを用いて、遅い時点で収集した血清試料中のADA力価を測定した。TRI130で処置した9匹中7匹の動物のADA力価は比較的低く、力価の値は、経時的に増加する傾向にあった(データ示さず)。しかしながら、力価はまた、TRI130の用量の増加と共に減少するように思われ、ADAの開始は高用量では遅く、通常、予想されるように、より高い用量は免疫原性のレベルの増加と相関しないことを意味した。TRI130はヒトタンパク質であるので、NHP血清試料における遅い時点でのADAの検出は正常応答とみなされ、NHPにおける免疫原性はヒト応答を予測しない。
【0274】
ELISAアッセイで検出された血清濃度の非コンパートメント解析(NCA)により、1mg/kgで投与した動物において最大84時間までのTRI130の平均終末半減期を計算した(表13)。個々に、グループ4の1匹の動物は、TRI130の明らかな皮下蓄積を有したが、このグループの別の動物は、ADAの顕著な初期誘導があり、半減期がはるかに短かった。まばらなサンプリング及び均一な重み付けをNCAのために使用し、ADAが明らかに影響した血清濃度を解析から除外した。
【0275】
【表15】
【0276】
NCAに加えて、適切な投与及び重み付けスキームと共に、事前にコンパイルされたWinNonlin(登録商標)2コンパートメントモデルを用いて、コンパートメント解析を個々の動物及び処置グループについて行った。結果は図13に示してあり、NCAパラメータ推定値と類似しており、顕著なADA又は部分皮下投与していないグループ4の1匹の動物(4003)の半減期はほぼ89時間であると決定された。グループ4の動物4002では、経時的に血清薬物レベルが徐々に増加し、Tmaxは6時間であった(表14)。したがって、そのデータを、IVボーラス投与の代わりに、血管外投与用の2コンパートメントモデルを用いて最も良く適合させた。
【0277】
NCA又はコンパートメント解析を用いて決定したPKパラメータ推定値は、おそらく、TRI130の標的媒介性結合により、用量の増加と共に半減期は増加し、クリアランスは減少するという点で、処置群間で類似していなかった。
【0278】

【表16】
TRI130用量SCの少なく一部を与え、パラメータ推定値を、SCモデルを用いて解析した。
グループ平均を、まばらなサンプリング及び適切な重み付けで、WinNonlin(登録商標)事前コンパイルモデル番号7を用いて解析した。
V1:第1の(中心)コンパートメントの体積
CL:中心又は第1のコンパートメントからのクリアランス
V2:第2のコンパートメントの体積
CLD2:第2のコンパートメントからのクリアランス
AUC:濃度-時間曲線下面積
アルファHL:マクロ定数アルファと関連する半減期
ベータHL:マクロ定数ベータと関連する半減期
Cmax:最大観測濃度
【0279】
カニクイザルにおける単回用量TRI130の耐容性
カニクイザルへのTRI130の単回用量投与は、1mg/kg以下の用量レベルで臨床的に、十分に耐容性を示した。これらの用量では、臨床所見又は体重の変化、摂餌量、臨床化学又は凝固パラメータに関連する試験品はなかった。
【0280】
TRI130の投与は、末梢血のリンパ球の減少と関連した(図14)。TRI130に関連する一過的なリンパ球の減少が、全用量での投与後2時間の時点で観察された。加えて、血液学的検査によってグループ2及び3の好塩基球数の低下がみられ(図15)、ビヒクル対照と比較して、ベースラインレベルに戻る時間がわずかに長かった(グループ1)。リンパ球及び好塩基球の平均低下はグループ4でより低く、反応が制限された1匹の動物、及び静脈内注射よりはむしろ明らかに皮下注射を受けた1匹の動物に部分的に起因するものであり、したがって、グループ4を、図14及び15に示す平均リンパ球データ及び好塩基球データから除外した。TRI130を投与した全グループは、ビヒクル対照グループと比較して好塩基球が増加した(データ示さず)。血液学パネルで指摘された変化は、投与後約1週間でほとんどベースラインレベルに戻った。
【0281】
TRI130の投与は、CRPを含む臨床化学における変化又は凝固パラメータの変化に関連しなかった。
【0282】
血清サイトカイン測定により、T細胞サイトカインIL-10及びIL-2並びにMCP-1などの二次サイトカインを含むいくつかのサイトカインにおいて最小の急上昇が示された。検出されたサイトカインのピークレベルは、投与後2又は6時間の時点であった。全体で、ビーズベースのマルチプレックスサイトカインキットを用いて、T特異的サイトカイン(IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-17、IFNγ、TNFαなど)、及び他の細胞型によって作られたサイトカイン(MCP-1など)を含む23種の個々のサイトカインレベルを決定した。本研究で検出されたサイトカインの例を表15に示す。とりわけ、1mg/kg用量で検出されたレベルは、中程度及び低い用量群よりも低かったが、より多くの正常IVボーラス薬物動態パラメータを有する動物4003は、他のグループとより類似した応答を有した。明らかな皮下用量を有するグループ4の他の動物(4002)は、いくつかのサイトカインについてピーク応答が遅れ、より遅いTmaxと一致した。概して、サイトカインレベルは、投与後96時間までにベースラインレベルに戻った。最小サイトカイン分泌は、観察可能な臨床的投与後事象又は体重若しくは食物摂取量の変化に直接つながらなかった(上記のとおり)。サイトカイン分泌は、TRI130の作用機序と一致し、標的タンパク質(CD123)が存在する場合、このシステムにおいてT細胞のある程度の活性化をもたらす。
【0283】
単回静脈内(遅いボーラス)注射によるTRI130の投与は、0.25、0.5及び1mg/kgのレベルでカニクイザルにおいて十分に耐用性を示した。これらの結果に基づき、無毒性量(NOAEL)は1mg/kgとみなされた。TRI130の血清半減期の推定値は84時間で、高用量群においてクリアランス及び分布量は正常であった。より低い用量は、クリアランスがより速く、半減期の推定値がより短いことから、カニクイザルにおける標的細胞へのTRI130の標的媒介性結合が示唆された。これらの観察は、カニクイザルでの28日の反復投与GLP毒性研究において確認され、より高い用量レベルまで拡張される。
【0284】

【表17】

**動物4002のTRI130の血清濃度Tmaxは6時間であり、皮下投与経路が示唆され、該動物においてTRI130のより遅い蓄積が示された。この動物のピークサイトカインレベルは、他の動物と比較していくぶんか遅れた。
【0285】
実施例15:急性骨髄性白血病(AML)の播種性異種移植マウスモデルにおけるTRI130の治療有効性
確立した播種性腫瘍を有するマウスにおけるTRI130の治療有効性を調べるために、ヒト急性骨髄性白血病のげっ歯類モデルを利用した。ホタルルシフェラーゼを発現するように改変されたMOLM-13細胞を用いて、生物発光イメージングによる腫瘍定量化を可能にした。本研究のために、100,000 MOLM-13 Luc細胞を、24匹のNSG雄マウスの外側尾静脈に静脈内注射した。MOLM-13 Luc細胞は、処置開始前の4日間、マウス内で確立させた。マウスを各8匹の3グループに割り当てた。1つのグループに、対照としてさらなる処置を施さなかった。残りの2グループに、第1の処置で700万個のヒトT細胞を投与した。処置は、4、8及び12日目で、PBSビヒクル対照又は3μgのTRI130からなっていた。処置は、尾静脈を介して静脈内に施した。分子を含有しない(ビヒクル対照)又は3μgのTRI130を含有する0.2mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で処置剤を送達した。注射液には、4日目の処置のみ、700万個の精製ヒトT細胞を含んでいた。TRI130処置は、骨格腫瘍量に急激で顕著な低下をもたらした(図16図17及び表16)。残存非骨格腫瘍量は、TRI130処置後も増えた。剖検及び本研究の終了時に、この残存腫瘍量が雄の生殖管と関連し、ビヒクルとTRI130の両方のグループにおいて骨格腫瘍量の有無の間の主な違いとして観察されたと決定付けた。雄マウスにおける確立された播種性MOLM-13 Luc腫瘍のTRI130での処置は、T細胞単独の対照に対して、腫瘍量の有意な(p<0.0001)低下をもたらした(表16)。MOLM-13 Luc単独のグループとビヒクル対照グループの間に顕著な違いはなかった。腫瘍量分布は、TRI130処置によって変わり、骨格部位では生物発光シグナルが消えた。
【0286】
【表18】
p-値<0.05の有意差を示す。
【0287】
実施例16:抗CD123×抗CD3 MGD006様分子の構築
TRI130活性と別の二重特異性形式を比較するために、Chichiliら、Sci Transl Med.2015 May 27;7(289):289ra82に報告された形式で、精製を可能にするためにアビジン-Flag-HIS配列が付加されたWO 2015/026892から取得したMGD006のCD123及びCD3結合ドメイン配列(核酸配列は配列番号2及び4に対応し、アミノ酸配列は配列番号1及び3に対応する)を含有する抗CD123×抗CD3二重特異性分子を作製した。得られたMGD006様構築物をTRI168と呼ぶ。
【0288】
実施例17:TRI130及びTRI168に応答するヒトT細胞活性化、細胞傷害及びサイトカイン放出
インビトロでTRI130及びTRI168タンパク質の活性を比較するために、T細胞を、正常ドナーの末梢血単核球(PBMC)から単離し、CD123+腫瘍細胞(MOLM-13)の存在下で様々な濃度のTRI130及びTRI168とインキュベートした。
【0289】
T細胞活性化を、フローサイトメトリーによって、培養の24時間後に評価した。遠心分離し、上清を除去した後、細胞ペレットを、以下の色素標識抗体:CD69-FITC、CD5-PE、CD8-パシフィックブルー、CD4-APC、CD25-PE-Cy7、及び7AADの混合物に50μl容量で再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、BD LSRIIフローサイトメーターでの各ウェルの50%取得の直前に120μl容量に再懸濁した。FlowJoソフトウェアを用いて、試料ファイルを分析し、CD69及びCD25が上方制御されたCD4+(CD8-)又はCD8+ T細胞の割合を、前方散乱対側方散乱で、7AAD-、CD5+、CD4+又はCD8+ T細胞(それぞれ、7AAD-、CD5+ CD4+又は7AAD- CD5+ CD8+)を順次ゲーティングすることによって計算した。GraphPadプリズム7.0を用いてグラフをプロットした。TRI130及びTRI168は、試験した両方のドナーを用いて、CD123+標的細胞の存在下で類似の用量依存性T細胞活性化を誘導した(表18)。この図は、CD69及びCD25陽性のCD4+及びCD8+ T細胞の割合を示す。EC50値を、CD4+とCD8+のCD25+ CD69+の両方の集団についてTRI130及びTRI168を用いて決定し、両方の分子について類似の抗力が実証された。CD123+標的細胞の非存在下では、T細胞活性化は観察されなかった(示さず)。
【0290】
Molm-13細胞傷害を、上記のように、フローサイトメトリーによって培養24時間後に評価した。FlowJoソフトウェアを用いて、試料ファイルを分析し、前方散乱対側方散乱で、7AAD、CD5細胞を順次ゲーティングすることによって細胞傷害を定量化した。GraphPadプリズム7.0を用いてグラフをプロットした。TRI130及びTRI168は、試験した両方のドナーを用いて、類似の用量依存性Molm-13細胞傷害を誘導した(図19)。この図は、精製したT細胞、TRI130及びTRI168と共に、培養24時間後の生存可能なMolm-13細胞の合計数を示す。
【0291】
24時間の培養上清における、IFNγ、IL-2、TNFα及びIL-10を含む活性化T細胞によって一般的に生成される選択されたサイトカインのサブセットのレベルを、マルチプレックス検体アッセイを用いて測定した。TRI168は、CD123+Molm-13標的細胞の存在下で、試験した両方のドナーを用いて、TRI130と比較してより高いレベルのサイトカイン分泌を誘導した(図20)。
【0292】
高レベルのCD123を発現する形質細胞様樹状細胞及び好塩基球を含む稀な正常免疫細胞集団は、PBMC試料中に存在し、抗CD123×抗CD3二重特異性分子の標的を表す。外部から標的細胞を添加しない場合のTRI130及びTRI168によって誘導されるサイトカイン分泌のレベルを調べるために、正常ドナーのPBMCを様々な濃度のタンパク質とサイトカインの両方と24時間培養し、マルチプレックス検体アッセイを用いて、得られた上清において測定した。精製したT細胞及びMOLM-13細胞との培養と同様に、TRI168は、TRI130と比較してより高いレベルのIFNγ、IL-2、TNFα及びIL-10を誘導した(図21)。
【0293】
まとめると、これらの結果から、TRI130及びMGD006様抗CD123×抗CD3二重特異性TRI168による外部添加CD123+腫瘍細胞のインビトロT細胞活性化及び細胞傷害が、同等であることが実証される。とりわけ、TRI168は、TRI130と比較して、MOLM-13腫瘍細胞を有する精製T細胞と正常ドナーPBMC試料の両方の培養物において、はるかにより高いレベルの分泌T細胞サイトカインを誘導した。診療所では、強いT細胞活性化を誘導する薬物は、過剰サイトカイン放出による「サイトカイン放出症候群」(CRS)と呼ばれる一連の有害事象を引き起こし得る。放出されたサイトカインは、全身性炎症反応を引き起こし、薬物投与を制限し得る生命を脅かす合併症につながり得る。
【0294】
実施例18:AML細胞試料のTRI130誘導性細胞傷害
TRI130が原発性AML細胞において細胞傷害を誘導できるかどうかを決定するために、AML対象からのPBMC試料を、様々な濃度のTRI130と数日間培養した。AMLの細胞傷害を、培養4日後に、フローサイトメトリーによって評価した。遠心分離し、上清を除去した後、細胞ペレットを、以下の色素標識抗体:CD69-FITC、CD5-APC、CD19-パシフィックブルー、CD25-PE-Cy7、及び7AADの混合物に50μl容量で再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、BD LSRIIフローサイトメーターでの各ウェルの50%取得の直前に120μl容量に再懸濁した。FlowJoソフトウェアを用いて、試料ファイルを分析し、前方散乱対側方散乱で、7AAD、CD5、CD19、CD25細胞を順次ゲーティングすることによって、非B細胞、非T細胞コンパートメントにおいて細胞傷害を定量化した。GraphPadプリズム7.0を用いてグラフをプロットした。TRI130は、試験した両方のドナーにおいて、非B細胞、非T AML細胞試料の用量依存性喪失を誘導した(図22)。この図は、培養96時間後、生存可能な非B細胞、非T細胞の合計数を示す。類似の結果が、24時間及び48時間の時点で得られた(データ示さず)。これらの結果から、TRI130が、原発性ヒトAML PBMC試料の培養物において細胞傷害を誘導できることが実証される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図12
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図15
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図19
図20
図21
図22
【配列表】
2023058573000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023058573000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD123結合ドメインを含む組み換えポリペプチドであって、前記結合ドメインが、LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域並びにHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(i)(a)前記HCDR1が、配列番号28に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号28と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号30に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号30と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号32に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号32と異なる配列を含むか;又は
(ii)(a)前記HCDR1が、配列番号36に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号36と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号38に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号38と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号40に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号40と異なる配列を含むか;又は
(iii)(a)前記HCDR1が、配列番号44に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号44と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号46に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号46と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号48に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号48と異なる配列を含むか;又は
(iv)(a)前記HCDR1が、配列番号100に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号100と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号102に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号102と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号104に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号104と異なる配列を含むか;又は
(v)(a)前記HCDR1が、配列番号108に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号108と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号110に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号110と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号112に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号112と異なる配列を含むか;又は
(vi)(a)前記HCDR1が、配列番号116に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号116と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号118に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号118と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号120に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号120と異なる配列を含むか;又は
(vii)(a)前記HCDR1が、配列番号124に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号124と異なる配列を含み;
(b)前記HCDR2が、配列番号126に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号126と異なる配列を含み;かつ
(c)前記HCDR3が、配列番号128に記載のアミノ酸配列又は少なくとも1つのアミノ酸置換によって配列番号128と異なる配列を含む、
組み換えポリペプチド。