(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058586
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】9-アミノメチルミノサイクリン化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/65 20060101AFI20230418BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A61K31/65
A61P17/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017224
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2019505163の分割
【原出願日】2017-08-03
(31)【優先権主張番号】62/532,454
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/514,479
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/370,527
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517334296
【氏名又は名称】パラテック ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タナカ,エス.,ケン
(72)【発明者】
【氏名】トザニス,エヴァンゲロス,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ギャリティ-ライアン,リン
(72)【発明者】
【氏名】マンリー,エイミー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置する方法を提供する。
【解決手段】9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を投与するステップを含む、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、2日間連続して1日あたり約450mgの用量で、次に5日間以上、1日あたり約300mgの用量で経口投与される、方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌性皮膚又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、前記対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、1日1回の経口用量として、450mg又は600mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与される、方法。
【請求項2】
前記1日1回の経口用量が、450mgであり、5日間以上連続して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1日1回の経口用量が、600mgであり、5日間以上連続して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
細菌性皮膚又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、前記対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、経口負荷用量で、次いで300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1日1回の経口用量で、前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与される、方法。
【請求項5】
前記経口負荷用量が、600mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の24時間前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記経口負荷用量が、450mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の24時間前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記経口負荷用量が、300mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記経口負荷用量が、450mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記経口負荷用量が、600mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記経口負荷用量が、450mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
細菌性皮膚又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、前記対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが2日間連続して1日あたり約450mgの用量で、次に5日間以上、1日あたり約300mgの用量で経口投与される、方法。
【請求項12】
細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、大きな膿瘍、フルンケル/腫物、癰、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)又は膿瘡である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、急性細菌性皮膚及び皮膚組織感染症(ABSSSI)である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ABSSSIが、市中感染型ABSSSIである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ABSSSIが、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、及び/又は大きな膿瘍を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、以下に限定されないが、外傷、外科手順又はIV薬物使用を含めた皮膚損傷の結果である、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、血管不全又は浮腫の結果である、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ヒト対象に、絶食状態下で9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが投与される、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、1日1回投与される(例えば、各経口用量は、約24時間空けて投与される)、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記対象が処置されるよう、前記対象が、最大約14日間(これを含む)、最大約10日間(これを含む)、最大約9日間(これを含む)、最大約8日間(これを含む)、又は最大約7日間(これを含む)、最大約5日間(これを含む)、処置される、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、7~10日間、処置される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、8日間、処置される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記塩がトシル酸塩である、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、グラム陽性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記グラム陽性病原体が、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus species)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス属種(Enterococcus species)(エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)(例えばVRE又はVSE)、又はエンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)(例えばVRE又はVSE))、ストレプトコッカス・アンギノスス(Streptococcus anginosus)群(S.アンギノスス、S.コンステラトゥス(S. constellatus)及びS.インテルメディウス(S. intermedius)、すなわちベータ、アルファ又は非溶血性)、ビリダンス連鎖球菌群(Viridans group Streptococci)(VGS)、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記黄色ブドウ球菌が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)又はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ストレプトコッカス属種が、ストレプトコッカス・アンギノスス群を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ストレプトコッカス属種が、ベータ溶血性連鎖球菌又はS.アンギノススを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記ストレプトコッカス属種が、非溶血性連鎖球菌又はS.インテルメディウスを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ストレプトコッカス属種が、アルファ溶血性連鎖球菌又はS.コンステラトゥスを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記エンテロコッカス属種が、エンテロコッカス・ファエカリス(VSE)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記ストレプトコッカス属種が化膿連鎖球菌を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、グラム陰性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記グラム陰性病原体が、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)又はそれらの組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
処置に関連するGI有害事象(AE)が、大部分は軽度である、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
処置に関連するGI有害事象(AE)が、処置の中止に至らない、請求項1から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の最初の2回の用量後のAUC0-24が、約10,000ng×時/mLである、請求項1から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の各用量が、150mgの錠剤として投与される、請求項1から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
約70~100%の臨床成功率を有する、請求項1から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
臨床成功率が、約80~100%、約79~98%、約79~94%、約84~98%、約80~88%又は約84~89%である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
臨床成功率が、第1の経口用量の48~72時間後に観察され、約79~94%、又は約84~89%、又は約87.5%である、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
ABSSSIが、創傷感染から実質的になり、臨床成功率が、約84~94%又は約89%である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ABSSSIが、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、臨床成功率が、約74~84%又は約79%である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
ABSSSIが、大きな膿瘍から実質的になり、臨床成功率が、約90~98%又は約94%である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
臨床成功率が、処置の最後の用量の約7~14日後に観察される全臨床成功率であり、約79~98%、約75~95%、約79~89%、84%、約95~100%、又は約98%である、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項46】
ABSSSIが、創傷感染から実質的になり、全臨床成功率が、約80~85%又は約82~83%である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ABSSSIが、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、全臨床成功率が、約85~91%、約87~88%、又は約88%である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
ABSSSIが、大きな膿瘍から実質的になり、全臨床成功率が、約80~88%、又は約84%である、請求項45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2016年8月3日に出願の米国仮特許出願第62/370,527号、2017年6月2日に出願の同第62/514,479号及び2017年7月14日に出願の同第62/532,454号に対する、出願日の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
テトラサイクリン抗生物質の開発は、微生物が殺菌及び/又は静菌組成物を生成することが可能であるという証拠のため、世界の多数の地域から収集された土壌検体の系統的なスクリーニングの直接的な結果であった。これらの新規な化合物の最初のものは、クロルテトラサイクリンという名称で、1948年に導入された。2年後、オキシテトラサイクリンが利用可能になった。これらの化合物の化学構造の解明により、それらの類似性が確認され、1952年に、このグループの第3のメンバーである、テトラサイクリンの産生に関する解析的基礎がもたらされた。初期のテトラサイクリン中に存在する環に結合したメチル基のない、ミノサイクリン化合物の新規なファミリーが1957年に調製され、1967年に公に入手可能になり、ミノサイクリンは、1972年までに使用された。
【0004】
後の研究努力は、様々な治療条件及び投与経路の下で有効な、新規なテトラサイクリン抗生物質の組成物の開発に注力されてきた。新規なテトラサイクリンアナログもやはり検討され、このアナログは、最初に導入されたミノサイクリン化合物以上の有効性があることを証明することができている。例としては、米国特許第2,980,584号、同第2,990,331号、同第3,062,717号、同第3,165,531号、同第3,454,697号、同第3,557,280号、同第3,674,859号、同第3,957,980号、同第4,018,889号、同第4,024,272号、及び同第4,126,680号が挙げられる。これらの特許は、医薬品として活性なテトラサイクリン及びテトラサイクリンアナログ組成物の範囲の代表である。
【0005】
歴史的に、それらの初期開発及び導入の直後に、テトラサイクリンは、リケッチア;いくつかのグラム陽性及び陰性菌;並びに鼠径リンパ肉芽腫、封入体結膜炎及びオウム病の原因となる病原体に対して薬理学的にかなり有効であることが見出された。したがって、テトラサイクリンは、「広域スペクトル」抗生物質として知られるようになった。その後の、それらのインビトロでの抗菌活性、実験感染における有効性及び薬理学的特性の確立により、テトラサイクリンは、1つのクラスとして、治療の目的に急速に幅広く使用されるようになった。
【0006】
しかし、このような、重度な及び軽症な疾病並びに疾患の両方に対するテトラサイクリンの幅広い使用により、片利共生性及び病原性のどちらでもある非常に感受性の高い細菌種(例えば、肺炎球菌(pneumococci)及びサルモネラ菌(Salmonella))の間でさえも、これらの抗生物質に対する耐性の発現が直接もたらされた。テトラサイクリン耐性生物の増加により、最適な抗生物質として、テトラサイクリン及びテトラサイクリンアナログの組成物の使用の全般的な低下がもたらされた。さらに、他の抗菌剤も、過剰使用され、多剤耐性(MDR)菌の株を生成させた。
【0007】
過去10年間にわたり、様々な範囲の抗生物質に対する多剤耐性を有するグラム陽性菌が、大きな処置難題として現れた。2種の発生により、現在、利用可能な抗生物質は、グラム陽性生物により引き起こされる感染の処置にかなり有用なものとはならなくなる恐れがあるという不安が高まっている。第1は、エンテロコッカス属(Enterococcus species)属種におけるバンコマイシン耐性の発現、及びその後の、そのような耐性要素の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)への転移である。バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌は、疫学的に深刻にはなっていないが、その存在こそが懸念事項であり、なぜなら、バンコマイシンは、耐性グラム陽性病原体により引き起こされる感染にとって、最適な薬剤であったからである。
【0008】
第2の重要な発生は、市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現である。これらの株は、長い時間をかけて徐々に多剤耐性になっている。世界中の多数の地域では、MRSA感染は、市中発症を伴う散発性ブドウ球菌感染が大多数である。これらの株はまた、局所的(皮膚及び皮膚構造)及び侵襲的(菌血性)感染の多数の突発的な発生に関連してきた。
【0009】
細菌感染を処置するための有効な抗菌剤が一般に必要とされている以外に、経口抗生物質による治療法に対する具体的な必要性もやはり存在している。
【0010】
IV投与と比較すると、経口での抗生物質による治療法は、病院訪問及び/又は滞在を行う必要性がなくなる可能性があるので、有利となり得、したがって、処置の総合的費用が削減される、病院環境における二次感染への患者の曝露が制限される、及び通院がそれほど容易ではない又は病院がない地域、特に世界の孤立した若しくは経済的に未発達の地域又は領域において、処置の利用可能性が増大する。
【0011】
残念なことに、抗生物質耐性の向上により、より古い薬剤を使用すると、病院訪問数が増加し、ひいては、他の細菌により感染する患者の機会が増大する。
【0012】
したがって、有効な新規の経口抗菌剤、特に、例えば、ABSSSIなどの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置するための、経口だけの投与レジメンが依然として必要とされている。ABSSSIは単独で、1年あたり750,000件を超える入院の原因となっており(2011年の最新のデータに基づく)、2005年~2011年に、ABSSSIの入院患者が17.3%増加していることを示している。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一態様は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(オマダサイクリン又はOMCとしても知られている)又はその塩を経口投与するステップを含む、対象を処置する方法であって、1日1回の経口用量として、450mg又は600mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与される、方法を提供する。
【0014】
ある種の実施形態では、1日1回の経口用量は450mgであり、5日間以上連続して投与される。
【0015】
ある種の実施形態では、1日1回の経口用量は600mgであり、5日間以上連続して投与される。
【0016】
本発明の関連態様は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、1日1回の経口用量として、300mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5、6、7又は8日間、連続して投与される、方法を提供する。
【0017】
本発明の別の関連態様は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、経口負荷用量で、次いで300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1日1回の経口用量で、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与される、方法を提供する。
【0018】
ある種の実施形態では、経口負荷用量は、600mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の24時間前に投与される。
【0019】
ある種の実施形態では、経口負荷用量は、450mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の24時間前に投与される。
【0020】
ある種の実施形態では、経口負荷用量は、300mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される。
【0021】
ある種の実施形態では、経口負荷用量は、450mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される。
【0022】
ある種の実施形態では、経口負荷用量は、600mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される。
【0023】
ある種の実施形態では、経口負荷用量は、450mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される。
【0024】
別の態様では、本発明は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置する方法であって、前記対象を処置することを必要とするヒト対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが2日間連続して1日あたり約450mgの用量で、次に5日間以上、1日あたり約300mgの用量で経口投与される、方法を提供する。
【0025】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、大きな膿瘍、フルンケル/腫物、癰、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)又は膿瘡である。
【0026】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、市中感染型ABSSSIなどの急性細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染(ABSSSI)である。
【0027】
ある種の実施形態では、ABSSSIは、隣接関連組織の全表面積において75cm2以上である。
【0028】
ある種の実施形態では、ABSSSIは、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒及び/又は大きな膿瘍を含む。
【0029】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、以下に限定されないが、外傷、外科手順又はIV薬物使用を含めた、皮膚損傷の結果である。
【0030】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、血管不全又は浮腫の結果である。
【0031】
ある種の実施形態では、ヒト対象に、絶食状態下で9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが投与される。
【0032】
ある種の実施形態では、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンは、1日1回投与される(例えば、各経口用量は、約24時間空けて投与される)。
【0033】
ある種の実施形態では、対象が処置されるよう、対象は、最大約14日間(これを含む)、最大約10日間(これを含む)、最大約9日間(これを含む)、最大約8日間(これを含む)、又は最大約7日間(これを含む)、最大約5日間(これを含む)、処置される。
【0034】
ある種の実施形態では、対象は、7~10日間、処置される。
【0035】
ある種の実施形態では、対象は、8日間、処置される。
【0036】
ある種の実施形態では、塩は、トシル酸塩である。
【0037】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、グラム陽性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている。例えば、グラム陽性病原体は、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、連鎖球菌の属種(Streptococcus species)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス属種(Enterococcus species)(エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)(VRE又はVSEなど)、又はエンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)(VRE又はVSEなど))、ストレプトコッカス・アンギノスス(Streptococcus anginosus)群(S.アンギノスス、S.コンステラトゥス(S. constellatus)及びS.インテルメディウス(S. intermedius)、すなわちベータ、アルファ又は非溶血性)、ビリダンス連鎖球菌群(Viridans group Streptococci)(VGS)、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)又はそれらの組合せを含むことができる。黄色ブドウ球菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)又はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)とすることができる。連鎖球菌の属種は、ストレプトコッカス・アンギノスス群を含むことができる。連鎖球菌の属種は、ベータ溶血性連鎖球菌又はS.アンギノススを含むことができる。連鎖球菌の属種は、非溶血性連鎖球菌又はS.インテルメディウスを含むことができる。連鎖球菌の属種は、アルファ溶血性連鎖球菌又はS.コンステラトゥスを含むことができる。エンテロコッカス属種は、エンテロコッカス・ファエカリス(VSE)を含むことができる。連鎖球菌の属種は、化膿連鎖球菌を含むことができる。
【0038】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、グラム陰性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている。例えば、グラム陰性病原体は、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)又はそれらの組合せを含むことができる。
【0039】
ある種の実施形態では、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、上述のグラム陽性病原体及びグラム陰性病原体、又はそれらの組合せのいずれかによって引き起こされることが知られているか、又は疑われている。
【0040】
ある種の実施形態では、処置に関連する胃腸管(GI)の有害事象(AE)は、大部分は軽度である。ある種の実施形態では、処置に関連するGI有害事象(AE)は、処置の中止に至らない。
【0041】
ある種の実施形態では、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の最初の2回の用量後のAUC0-24は、約10,000ng×時/mLとなる。
【0042】
ある種の実施形態では、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の各用量は、150mgの錠剤として投与される。
【0043】
ある種の実施形態では、本方法は、約70~100%の臨床成功率を有する。例えば、臨床成功率は、約80~100%、約79~98%、約79~94%、約84~98%、約80~88%又は約84~89%とすることができる。
【0044】
ある種の実施形態では、臨床成功率は、第1の経口用量の48~72時間後に観察され、約79~94%又は約84~89%又は約87.5%となる。ある種の実施形態では、ABSSSIは、創傷感染から実質的になり、臨床成功率は、約84~94%又は約89%となる。ある種の実施形態では、ABSSSIは、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、臨床成功率は、約74~84%又は約79%となる。ある種の実施形態では、ABSSSIは、大きな膿瘍から実質的になり、臨床成功率は、約90~98%又は約94%となる。
【0045】
ある種の実施形態では、臨床成功率は、処置の最後の用量の約7~14日後に観察される全臨床成功率であり、約79~98%、約75~95%、約79~89%、84%、約95~100%又は約98%となる。ある種の実施形態では、ABSSSIは、創傷感染から実質的になり、全臨床成功率は、約80~85%又は約82~83%となる。ある種の実施形態では、ABSSSIは、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、全臨床成功率は、約85~91%、約87~88%、又は約88%となる。ある種の実施形態では、ABSSSIは、大きな膿瘍から実質的になり、全臨床成功率は、約80~88%、又は約84%となる。
【0046】
関連態様では、本発明は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置する方法であって、前記対象を処置することを必要とするヒト対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を投与するステップを含み、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが2日間連続して1日あたり約150mgの用量で静脈内(i.v.)に、次に5日間以上、1日あたり約300mgの用量で経口に投与される、方法を提供する。9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの経口用量とi.v.用量との間で確立されている公知の生物学的同等性のため、150mgのi.v.用量は、450mgの経口用量の生物学的同等性と見なされる。したがって、本発明のこの態様における代替的な実施形態は、本発明の範囲内に包含されると考えられる。
【0047】
いずれの一実施形態も、組合せが不適切ではない、又は明示的に排除されていない限り、実施例においてのみ開示されている又は本発明の一態様の下でしか開示されていない、そのような実施形態を含めた、いずれか1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】300mgの単回経口用量のオマダサイクリンに関する、血漿中濃度-時間曲線を示すグラフである。
【
図2】100mgのオマダサイクリンが、1日間、BID(12時間空けて1日2回の投与)でi.v.投与され、次いでi.v.で1日あたり100mg投与される、投与レジメンに関するPKデータを示すグラフである。
【
図3】450mgのオマダサイクリンが、2日間、QD(1日1回)でp.o.投与され、次いでp.o.で1日あたり300mg投与される、投与レジメンに関するPKデータを示すグラフである。
【
図4】600mgのオマダサイクリンが、2日間、QD(1日1回)でp.o.投与され、次いでp.o.で1日あたり300mg投与される、投与レジメンに関するPKデータを示すグラフである。
【
図5】経口投与後の、オマダサイクリンの血漿中濃度対時間曲線を示すグラフである。時間に対するオマダサイクリンの平均(±SD)血漿中濃度は、薬物動態集団に関して、オマダサイクリン用量(300、450又は600mg)によって示される。経口オマダサイクリン用量は、それぞれ3つの期間において、5日間の連続投与の各々について時間0に投与した。1日目(左側パネル)及び5日目(右側パネル)において、PK解析するために血液試料を採集した。データは、対象が特定の用量を服用した期間にかかわらず、すべての対象に対するオマダサイクリン用量によりプールした。
【
図6】オマダサイクリンは、mITT(修正インテントツートリート(Intent To Treat)集団(左側の一対の棒を参照されたい)(FDA一次エンドポイント)における、早期臨床応答(ECR)に関して、及びmITT PTE集団(一対の中央棒を参照されたい)とCE-PTE(PTEにおける臨床評価可能な集団)集団(右側の一対の棒を参照されたい)(EMA共一次エンドポイント)との両方における、PTE時の臨床的成功(処置後/治療評価)に関して、リネゾリドに対して、統計学的に非劣性(10%マージン)であることを実証した。
【発明を実施するための形態】
【0049】
1.概略
オマダサイクリン(9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)は、大部分のグラム陽性病原体に対してインビトロで非常に活性である。例えば、オマダサイクリンは、複雑性皮膚感染及び皮膚組織感染の処置に有効であることが示されている(参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,265,740号を参照されたい)。オマダサイクリンはまた、非定型病原体(例えば、レジオネラ属種(Legionella spp.))、並びに一部の嫌気性病原体及びグラム陰性病原体にも活性を示す。この薬物は、テトラサイクリン耐性と、メチシリン、バンコマイシン、エリトロマイシン及びシプロフロキサシンを含めた現在、利用可能な抗生物質に対して耐性がある株の両方の機構を発現する株に対して活性がある。オマダサイクリンはまた、標準治療に対して耐性がある分離株を含めた、最も一般的なABSSSI病原体に対して活性があることも実証した。
【0050】
オマダサイクリンは、i.v.とp.o.(経口)投与の両方が開発されている。現在まで、1000名を超える対象が、完了した臨床検討で一方又は両方の製剤を服用している。
【0051】
完了した第1相試験では、最大で600mgまでの単回i.v.用量及び最大で600mgまでの単回p.o.用量が検討された。最大で14日間及び7日間、連続した、1日1回100mg及び1日1回200mgの多回i.v.用量がそれぞれ検討された。最大で10日間、連続した、1日1回200mg及び1日1回300mgの多回p.o.用量が検討された。さらに、5日間、連続した、1日1回450mg及び1日1回600mgの多回p.o.用量も検討された。
【0052】
第2相試験では、複雑性皮膚感染及び皮膚組織感染(cSSSI)を有する219名の対象が、オマダサイクリン(n=111)又はリネゾリド(n=108)により処置された。処置は、i.v投与から始められ(1日あたり100mg)、治験責任医師の裁量で、p.o.治療(1日あたり200mg)に切り替えられた。この検討では、検討処置の合計期間は、平均10日間、及び最大20日間であった。
【0053】
治験依頼者により終了された同様の設計となる第3相試験では、cSSSIを有する140名の対象が、オマダサイクリン(n=68)又はリネゾリド(n=72)によって、オマダサイクリンの場合、平均で10日間及び最大で20日間、及びリネゾリドの場合、22日間、処置された。患者は、検討薬物であるオマダサイクリンIV(1日あたり100mg)で最初に処置され、次に、治験責任医師の裁量で経口治療(1日あたり300mg)に切り替えられた。IV処置の予期期間は4~7日間であった。予期した処置(IV及び経口)の合計期間は、最大で14日間であった。本検討は、IV処置期の間、二重盲検化され、経口処置期の間は、評価者盲検とされた。
【0054】
ABSSSIを有する成人の処置の場合、オマダサイクリンとリネゾリドを比較した、最近に完了した第3相試験では、対象は、2回分の用量について、12時間ごと(q12h)にオマダサイクリン100mg(i.v.)による治療から開始し、次に、24時間ごと(q24h)に100mg(i.v.)、又はq12hでリネゾリド600mg(i.v.)とされた。対象は、最低3日間のi.v.治療の後、経口治療(オマダサイクリン300mg(q24h)又はリネゾリド600mg(q12h))に切り替えられることが可能であった。全処置期間は、7~14日間であった。検討結果により、オマダサイクリンはリネゾリドに非劣性であることが示された。オマダサイクリン対リネゾリドに関する、FDAの一次解析集団(スクリーニング時に、単独のグラム陰性病原体のないITT対象として定義し、合計でN=627である)では、最初の用量の48~72時間後における病変サイズの低下に基づく臨床的成功は、それぞれ、84.8%対85.5%(95%信頼区間[CI]:-6.3、4.9)となった。最後の用量の7~14日後の治験責任医師による臨床応答のアセスメントに基づいた臨床的成功は、86.1%対83.6%(CI:-3.2、8.2)であった。オマダサイクリンは、十分に忍容された:処置中に発生した有害事象(TEAE)は、48.3%対45.7%で報告された。深刻なTEAEは、オマダサイクリン及びリネゾリド処置対象の、それぞれ3.4%対2.5%となり、TEAEによる中止は、1.9%対2.2%となった。
【0055】
しかし、上記の検討のすべてにおいて、投与レジメンの一部は、オマダサイクリンのi.v.投与を必要とし、したがって、病院訪問及び/若しくは滞在をする、又は外来患者向けの点滴施設で時間を過ごす必要がある。したがって、特に、市中感染型細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染(例えば、ABSSSI又はcSSSI)を処置するのに望ましい、病院訪問をなくす、経口だけで有効な投与レジメンを開発する努力の一環として、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染の処置を必要とするヒト対象が、最近に完了した第3相試験、すなわち、1日間、約300mgのBID(1日2回で、各回、300mgで約12時間空けて投与)、次いで合計で7~14日間、1日あたり約300mgの用量において使用したものと同等の用量でオマダサイクリンが経口投与される、最初の経口のみの投与レジメンを開発した。着目すべきことに、先の第1相試験により、オマダサイクリンの錠剤製剤を使用する300mgの経口用量は、100mg用量のi.v.と生物学的に同等(血清AUCに基づく)であることが実証された。
【0056】
食物消費は、経口投与された300mg用量のオマダサイクリンの経口での生体利用率にかなり影響を及ぼすと言う点で、オマダサイクリンは、大きな食物影響を有することが見出された。実施例1を参照されたい。健常な志願者におけるPK検討により、生体利用率は、絶食での用量と比べて、投与の4時間前の乳成分不含食の場合、15%~17%低下し、投与の2時間前の乳成分不含食の場合、40%~42%低下し、投与の2時間前の乳成分含有食の場合、59%~63%低下することが示された。したがって、投与のより近くに高脂肪食が消費される場合、及び食事中に乳成分が含まれる場合、食物の影響は一層、顕著であった。この結果に基づくと、経口オマダサイクリンは、治療的有効性を達成するよう設計された経口用量の場合の最大生体利用率を達成するため、食事の少なくとも6時間後に、投与されるべきである。
【0057】
特に、2回の経口用量が、投与レジメンの開始時に、1日で投与されることになる場合、この食物の影響は、患者の服薬遵守への大きな負担を課す。
【0058】
第1相試験の予備結果により、300mg(QD(q24h))及び450mg(QD(q24h))の経口投与レジメンは、同様のかつ有利な忍容性プロファイルを有することが示された。さらに、PKの結果及びPKモデル化により、2回用量について450mg(p.o.、QD(q24h))、次いで300mg(p.o.、QD(q24h))のレジメンは、2回用量について300mg(p.o.、q12h)、次に300mg(p.o.、QD(q24h))で開始した投与レジメンと同じ時間枠内でほぼ同一の定常状態濃度を実現することが示される。どちらのレジメンも、合計が900mgの経口オマダサイクリンは、最初の2日間をかけて投与される。実施例2を参照されたい。
【0059】
したがって、一態様では、本発明は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置することを必要とする、ヒト対象を処置する方法を提供する。
【0060】
第1の実施形態では、本方法は、対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップであって、1日1回の経口用量として、450mg又は600mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与されるステップを含む。
【0061】
第2の実施形態では、本方法は、対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップであって、1日1回の経口用量として、300mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5、6、7又は8日間、連続して投与されるステップを含む。
【0062】
第3の実施形態では、第1の実施形態の1日1回の経口用量が450mgであり、5日間以上連続して投与される。
【0063】
第4の実施形態では、第1の実施形態の1日1回の経口用量が600mgであり、5日間以上連続して投与される。
【0064】
第5の実施形態では、本方法は、対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップであって、経口負荷用量(例えば、300mgの1日1回の経口用量よりも多い用量)で、次いで、300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1日1回の経口用量で、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与されるステップを含む。
【0065】
第6の実施形態では、第5の実施形態の経口負荷用量は、600mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300、450又は600mgの最初の1日1回の経口用量の24時間前に投与される。
【0066】
第7の実施形態では、第5の実施形態の経口負荷用量は、450mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300、450又は600mgの最初の1日1回の経口用量の24時間前に投与される。
【0067】
第8の実施形態では、第5の実施形態の経口負荷用量は、300mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される。
【0068】
第9の実施形態では、第5の実施形態の経口負荷用量は、450mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される。
【0069】
第10の実施形態では、第5の実施形態の経口負荷用量は、600mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される。
【0070】
第11の実施形態では、第5の実施形態の経口負荷用量は、450mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される。
【0071】
第12の実施形態では、本方法は、対象が処置されるよう、対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(オマダサイクリン)又はその塩を経口投与するステップであって、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが2日間連続して1日あたり約450mgの用量で、次に5日間以上、例えば、7~14日間の全処置期間、1日あたり約300mgの用量で経口投与される、ステップを含む。
【0072】
本明細書で使用する場合、「細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染」は、緩い結合組織及び粘膜などの皮膚及び関連軟部組織の感染である。細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染に関与する病原体は、細菌種である。このような感染は、多くの場合、対象となる9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンなどの抗生物質による処置を必要とする。
【0073】
第13の実施形態では、第1~第12の実施形態のいずれか1つの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、大きな膿瘍、フルンケル/腫物、癰、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)又は膿瘡である。
【0074】
第14の実施形態では、第1~第12の実施形態のいずれか1つの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、急性細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染(ABSSSI)であり、これは、最も一般には、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒及び大きな膿瘍を含む。
【0075】
ABSSSIは、米国では、1年あたり、病院入院者のほぼ10%、及び救急病棟への訪問が340~380万人を占めている。病院退院の記録の分析により、ABSSSIによる入院の74%が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に活性な抗生物質による経験的な処置を含むことが示される。
【0076】
第15の実施形態では、第14の実施形態のABSSSIは、市中感染型ABSSSIである。
【0077】
第16の実施形態では、第15の実施形態の市中感染型ABSSSIは、市中関連型MRSA感染により引き起こされる。
【0078】
第17の実施形態では、第14~第16の実施形態のいずれか1つのABSSSIは、隣接関連組織の全表面積において75cm2以上である。
【0079】
第18の実施形態では、第14~第17の実施形態のいずれか1つのABSSSIは、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、及び/又は大きな膿瘍を含む。
【0080】
第19の実施形態では、第14の実施形態の細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染(例えば、ABSSSI)は、入院中に感染を助長させるか、又は発生する。
【0081】
第20の実施形態では、第1~第19の実施形態のいずれか1つのABSSSIは、中度から重度のABSSSIである。
【0082】
第21の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、以下に限定されないが、外傷、外科手順又はIV薬物使用を含めた、皮膚損傷の結果(又はこれに起因する結果)である。
【0083】
第22の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、血管不全又は浮腫の結果(又はこれに起因する結果)である。
【0084】
第23の実施形態では、第1~第22の実施形態のいずれか1つのヒト対象に、絶食状態下で、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが経口投与される。
【0085】
例えば、オマダサイクリンを投与されたヒト対象は、食物、制酸薬、又は多価カチオン(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、鉄又は亜鉛)を含有するマルチビタミン剤、又は水を除く飲料を、各投与前の少なくとも6時間に摂取しない。さらに、上記のヒト対象は、各投与後、2時間、食物を摂取せず、4時間、乳製品、制酸薬、又は多価カチオン(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、鉄又は亜鉛)を含有するマルチビタミン剤を摂取しない。
【0086】
第24の実施形態では、第1~第23の実施形態のいずれか1つの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンは、1日1回投与される(例えば、各経口用量は、約24時間空けて投与される)。例えば、ヒト対象は、少なくとも6時間、一晩、絶食した後の朝に、経口用量のオマダサイクリンを服用することができる。
【0087】
第25の実施形態では、第1~第24の実施形態のいずれか1つの対象は、対象が処置されるよう、最大で約14日間(これを含む)、最大で約13日間(これを含む)、最大で約12日間(これを含む)、最大で約11日間(これを含む)、最大で約10日間(これを含む)、最大で約9日間(これを含む)、最大で約8日間(これを含む)、又は最大で約7日間(これを含む)、最大で約6日間(これを含む)、最大で約5日間(これを含む)、又は最大で約4日間(これを含む)、処置される。
【0088】
第26の実施形態では、第25の実施形態の対象は、7~10日間、処置される。
【0089】
第27の実施形態では、第25の実施形態の対象は、8日間、処置される。
【0090】
第28の実施形態では、第1~第27の実施形態のいずれか1つの塩は、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン/オマダサイクリンのトシル酸塩である。
【0091】
第29の実施形態では、第1~第28の実施形態のいずれか1つの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、グラム陽性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている。
【0092】
第30の実施形態では、第29の実施形態のグラム陽性病原体は、(非限定的に)黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、連鎖球菌の属種、ストレプトコッカス・アガラクチアエ、ストレプトコッカス・ミティス、エンテロコッカス属種(エンテロコッカス・ファエカリス(VRE又はVSEなど)、又はエンテロコッカス・ファエシウム(VRE又はVSEなど))、ストレプトコッカス・アンギノスス群(S.アンギノスス、S.コンステラトゥス及びS.インテルメディウス、すなわちベータ、アルファ又は非溶血性)、ビリダンス連鎖球菌群(VGS)、ウエルシュ菌、フィネゴルディア・マグナ又はそれらの組合せを含むことができる。
【0093】
第31の実施形態では、第30の実施形態の黄色ブドウ球菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)又はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)である。
【0094】
第32の実施形態では、第30の実施形態の連鎖球菌の属種は、ストレプトコッカス・アンギノスス群を含む。
【0095】
第33の実施形態では、第30の実施形態の連鎖球菌の属種は、ベータ溶血性連鎖球菌又はS.アンギノススを含む。
【0096】
第34の実施形態では、第30の実施形態の連鎖球菌の属種は、非溶血性連鎖球菌又はS.インテルメディウスを含む。
【0097】
第35の実施形態では、第30の実施形態の連鎖球菌の属種は、アルファ溶血性連鎖球菌又はS.コンステラトゥスを含む。
【0098】
第36の実施形態では、第30の実施形態のエンテロコッカス属種は、エンテロコッカス・ファエカリス(VSE)を含む。
【0099】
第37の実施形態では、第30の実施形態の連鎖球菌の属種は、化膿連鎖球菌を含む。
【0100】
第38の実施形態では、第1~第28の実施形態のいずれか1つの細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染は、グラム陰性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われる。
【0101】
第39の実施形態では、第38の実施形態のグラム陰性病原体は、エンテロバクター・クロアカ、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニアエ、プレボテラ・デンティコラ、プレボテラ・メラニノジェニカ又はそれらの組合せを含むことができる。
【0102】
第40の実施形態では、第1~第39の実施形態のいずれか1つにおける、処置に関連するGI有害事象(AE)(存在する場合)は、大部分が軽度である。
【0103】
第41の実施形態では、第1~第40の実施形態のいずれか1つにおける、処置に関連するGI有害事象(AE)(存在する場合)は、治療の中止に至らない。
【0104】
第42の実施形態では、第1~第41の実施形態のいずれか1つの方法は、リネゾリド(N-[[3-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2-オキソオキサゾリジン-5-イル]メチル]アセトアミド)よりも高い臨床成功率を有し、この場合、12時間ごとに、600mgのリネゾリドが経口投与される。
【0105】
第43の実施形態では、第1~第42の実施形態のいずれか1つにおいて、処置前の測定値(任意のレスキュー抗菌治療を受けていない)に比べて、病変サイズが20%以上の低下を伴う生存として定義される、早期臨床応答(ECR)(例えば、最初の用量の48~72時間後)の成功が、ヒト対象において達成される。
【0106】
第44の実施形態では、第1~第43の実施形態のいずれか1つにおいて、臨床応答(CR)の成功が、処置完了後、ヒト対象において達成され、この場合、この臨床応答の成功が、さらなる抗菌治療を必要としない程度にまで、感染の1つ以上の兆候及び症状の解決又は改善を伴う生存として定義される。
【0107】
第45の実施形態では、第1~第44の実施形態のいずれか1つにおいて、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の最初の2回の用量後のAUC0-24が、約9,000ng×時/mL、9,500ng×時/mL、10,000ng×時/mL又は10,500ng×時/mL、又は上記の数のうちの2つのいずれかの間にある。
【0108】
第46の実施形態では、第1~第45の実施形態のいずれか1つでは、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の各用量は、150mgの錠剤として投与される。すなわち、450mgの経口用量の場合、3錠となり、300mgの経口用量の場合、2錠となる。
【0109】
第47の実施形態では、第1~第46の実施形態のいずれか1つの方法は、約70~100%の臨床成功率を有する。
【0110】
第48の実施形態では、第47の実施形態の臨床成功率は、約80~100%、約79~98%、約79~94%、約84~98%、約80~88%又は約84~89%となる。
【0111】
第49の実施形態では、第47又は第48の実施形態の臨床成功率は、第1の経口用量の48~72時間後に観察され、約79~94%又は約84~89%又は約87.5%となる。
【0112】
第50の実施形態では、第49の実施形態のABSSSIは、創傷感染から実質的になり、臨床成功率は、約84~94%又は約89%となる。
【0113】
第51の実施形態では、第49の実施形態のABSSSIは、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、臨床成功率は、約74~84%又は約79%となる。
【0114】
第52の実施形態では、第49の実施形態のABSSSIは、大きな膿瘍から実質的になり、臨床成功率は、約90~98%又は約94%となる。
【0115】
第53の実施形態では、第47又は第48の実施形態の臨床成功率は、処置の最後の用量の約7~14日後に観察される全臨床成功率であり、約79~98%、約75~95%、約79~89%、84%、約95~100%又は約98%となる。
【0116】
第54の実施形態では、第53の実施形態のABSSSIは、創傷感染から実質的になり、全臨床成功率は、約80~85%又は約82~83%となる。
【0117】
第55の実施形態では、第53の実施形態のABSSSIは、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、全臨床成功率は、約85~91%、約87~88%、又は約88%となる。
【0118】
第56の実施形態では、第53の実施形態のABSSSIは、大きな膿瘍から実質的になり、全臨床成功率は、約80~88%又は約84%となる。
【0119】
第57の実施形態では、第1~第56の実施形態のいずれか1つでは、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩は、細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染(例えば、ABSSSI)の処置の場合、リネゾリドよりも高い有効性を有する。リネゾリドは、Zyvox(商標)という商標で上市されている、N-[[3-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)-2-オキソオキサゾリジン-5-イル]メチル]アセトアミドである。ある種の実施形態では、リネゾリドは、12時間ごとに、600mgを経口に又は600mgを静脈内に投与される。
【0120】
第58の実施形態では、第1~第57の実施形態のいずれか1つでは、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩は、薬学的に許容される担体と共に投与される。
【0121】
第59の実施形態では、第58の実施形態の薬学的に許容される担体は、経口投与に許容される。
【0122】
第60の実施形態では、第1~第59の実施形態のいずれか1つにおいて、本方法は、例えば、最初の用量の48~72時間後に、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%以上で病変サイズが低下することに基づいた、臨床成功率を有する。
【0123】
第61の実施形態では、第1~第60の実施形態のいずれか1つにおいて、本方法は、例えば、最後の用量の7~14日(例えば、7~10日、又は7、8、9、10日)後に、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%以上で、治験責任医師による臨床応答のアセスメントに基づいた臨床的成功となる、臨床成功率を有する。
【0124】
第62の実施形態では、第1~第61の実施形態のいずれか1つにおいて、ヒト対象は、菌血症を併発している。
【0125】
第63の実施形態では、第1~第62の実施形態のいずれか1つにおいて、ヒト対象は、肥満(例えば、BMI≧30を有するもの)である。
【0126】
第64の実施形態では、第1~第63の実施形態のいずれか1つにおいて、ヒト対象は、軽度から中度の腎障害を有する。
【0127】
第65の実施形態では、第1~第64の実施形態のいずれか1つにおいて、ヒト対象は、肝障害を有する。
【0128】
第66の実施形態では、第1~第65の実施形態のいずれか1つにおいて、ヒト対象は、45歳超、50歳超、55歳超、60歳超、65歳超、70歳超又は75歳超である。
【0129】
第67の実施形態では、第1~第66の実施形態のいずれか1つにおいて、ヒト対象はIV薬物の使用者である。
【0130】
様々な実施形態のさらなる詳細が、以下に記載されている。
2.定義
【0131】
「ABSSSI」又は「急性細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染」はまた、時として、皮膚及び軟部組織感染(SSTI)とも呼ばれる。それは、緩い結合組織及び粘膜などの皮膚及び関連軟部組織の感染のタイプである。米国保健省のFDAは、「Guidance for Industry Acute Bacterial Skin and Skin Structure Infections:Developing Drugs for Treatment」(参照により本明細書に組み込まれている「指針」)と題する文書を2013年10月に発刊し、ABSSSIの処置に対する薬物の臨床開発において治験依頼者を支援している。この指針は、ABSSSIを、75cm2以上の測定表面積を有する、蜂窩織炎/丹毒、創傷感染及び大きな皮下膿瘍として定義している。この指針は、膿痂疹などのそれほど深刻ではない皮膚感染、及び小さな皮下膿瘍並びに動物又はヒトの咬傷に起因する感染などのより複雑な処置レジメンを必要とする感染、壊死性筋膜炎、糖尿病性足感染症、褥瘡潰瘍性感染、菌壊死及び壊疽性膿瘡、又は抗生物質による処置を必要とし得る75cm2未満の感染に対処するものではない。
【0132】
したがって、ある種の実施形態では、ABSSSIは、本明細書で使用する場合、蜂窩織炎/丹毒、創傷感染及び大きな皮下膿瘍を含む。ある種の実施形態では、蜂窩織炎/丹毒、創傷感染、及び/又は大きな皮下膿瘍は、約75cm2となる最小病変表面積を有する。病変サイズは、赤色、浮腫又は硬化の領域によって測定することができる。
【0133】
ある種の実施形態では、顔面などのある身体表面部位を含むABSSSIの領域、又は第3相臨床試験に適切かつ適格性のある幼児の場合に関し、ABSSSIは、75cm2より小さい、例えば約70cm2、65cm2、60cm2、55cm2、50cm2、45cm2又は約40cm2の表面積を有する病変を含むことができる。
【0134】
ある種の実施形態では、ABSSSIは、顔面、眼の近く又は手などのある身体の位置を含むことができ、この場合、病変は、40cm2よりも小さいことさえあり得るが、やはり抗生物質により処置され得る。
【0135】
ある種の他の実施形態では、ABSSSIは、75cm2未満の表面積を有する病変を含まない。
【0136】
処置可能な皮膚感染及び皮膚組織感染のサイズは、隣接関連組織の全表面積によって測定することができる。病変サイズを評価する方法は、一般に、以下に限定されないが、以下:(1)長さと垂直方向の幅の乗算である手作業による測定、(2)デジタル式表面測定、及び(3)コンピュータ支援によるトレーシング(tracing)を含む。例えば、隣接関連組織の全表面積は、例えば、創傷定規を使用することにより測定される、最大長さ(頭部から先端部まで)と最大幅(長さに対して垂直に測定)との乗算値として算出することができる。
【0137】
ある種の実施形態では、ABSSSIは、本明細書で使用する場合、蜂窩織炎/丹毒、創傷感染、大きな皮下膿瘍、及び膿痂疹などのそれほど深刻ではない皮膚感染、及び小さな皮下膿瘍(例えば、75cm2未満の病変表面積を有するもの)を含む。他の実施形態では、ABSSSIは、膿痂疹などのそれほど深刻ではない皮膚感染、及び小さな皮下膿瘍を含まない。
【0138】
「関与組織」は、以下:紅斑、浮腫又は硬化のうちの1つ以上の証拠を示す組織として定義される。
【0139】
「創傷感染」は、周囲の紅斑、浮腫及び/又は硬化を伴う創傷から化膿性ドレナージがあることを特徴とする感染を含む。ある種の実施形態では、周囲の紅斑、浮腫及び/又は硬化は、創傷の周辺縁部からの最短距離で、少なくとも5cm広がっている。
【0140】
「蜂窩織炎/丹毒」は、紅斑、浮腫及び/又は硬化の領域の広がりを特徴とする、びまん性皮膚感染を含む。
【0141】
「大きな膿瘍」は、真皮内又はより深部に、周囲の紅斑、浮腫及び/又は硬化を伴う、膿汁の集まりを特徴とする感染を含む。ある種の実施形態では、周囲の紅斑、浮腫及び/又は硬化は、膿瘍の周囲縁部からの最短距離で、少なくとも5cm広がっている。
【0142】
ABSSSIを引き起こす一般的な細菌の病原体は、以下に限定されないが、化膿連鎖球菌及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含めた黄色ブドウ球菌を含み、さらにそれほど一般的ではない原因には、他の連鎖球菌の属種、エンテロコッカス・ファエカリス又はグラム陰性細菌が含まれる。
【0143】
ある種の実施形態では、ABSSSIは、市中感染型ABSSSIであり、これは(院内感染型ABSSSIとは反対に)、健康管理システムと接触していない又はほとんど接触がないヒトにより感染する。対照的に、院内感染型ABSSSIは、長期間の健康管理施設に居住しているもの、又は病院若しくは他の健康管理施設を最近訪れたものにより感染される。
【0144】
「有害事象(AE)」は、処置中に、主題である9-アミノメチルミノサイクリン化合物(9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)をある用量又は一連の用量で投与されたヒトにおいて発生した、兆候、症状、疾患、又は検査による若しくは生理学的な観察の形態での、任意の予期しなかった、望ましくない又は計画外の事象を含む。
【0145】
用語「有効量」は、ここでは、細菌感染を処置するために必要とされるオマダサイクリンの量を含む。例えば、有効量は、細菌の死滅、及び/又は細菌成長の阻害によって、所望の治療効果を達成するのに十分に有効なレベルを記載する。好ましくは、細菌感染は、病原体(例えば、細菌)が根絶されると、処置される。
【0146】
「絶食状態」とは、本明細書で使用する場合、処置される対象に、食物、制酸薬、若しくは多価カチオン(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、鉄又は亜鉛)を含有するマルチビタミン剤、又は水以外の飲料を、各投与前の少なくとも6時間、及び各投与後、2時間、食物を、4時間、乳製品、制酸薬若しくは多価カチオン(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、鉄又は亜鉛)を含有するマルチビタミン剤を与えないことを含む。
【0147】
「フルンケル/腫物」は、毛包の深部細菌感染を含む。
【0148】
「癰」は、複数のフルンケルの癒着を含む。
【0149】
「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)」は、細菌黄色ブドウ球菌の毒素産生株に由来するエクソトキシンにより引き起こされる、赤みのある水疱形成皮膚を含む。
【0150】
「膿瘡」は、化膿連鎖球菌及び/又は黄色ブドウ球菌によって引き起こされる、痂皮性ただれ又は潰瘍(膿痂疹の深い形態)を含む。
【0151】
ABSSSIに対する「臨床応答」は、ベースラインと比較して、レスキュー治療を受けなかった患者、及び生存している患者において測定される、48~72時間時における病変サイズの低下率に基づくことができる。この時間枠における患者の臨床応答は、一般にベースラインと比べて、20パーセント以上の病変サイズの低下率として定義される。
【0152】
全身性炎症応答の証拠は、以下:白血球(WBC)数の増加(例えば、10,000個細胞/mm3以上)又は白血球減少(例えば、4,000個細胞/mm3以下);全末梢白血球(WBC)数にかかわらない、未成熟好中球の増加(例えば、15%以上のバンド形態);リンパ球への浸潤、例えば、適格性のある感染に起因するドレナージを示唆する位置に近位の及びその位置のリンパ管炎又はリンパ節症;約38.0℃[100.4°F]超又は36.0℃[95.5°F]未満の温度によって立証される発熱又は低体温のうちの少なくとも1つによって示すことができる。
【0153】
用語「処置すること」又は「処置」とは、障害、例えば処置される細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染(例えば、ABSSSI)の1つ以上の症状の改善、根絶又は軽減を指す。ある種の実施形態では、障害という用語は、処置される感染に関連する細菌の根絶を含む。
【0154】
用語「予防」とは、細菌感染のリスクを予防又は軽減することを意味する。
【0155】
用語「耐性」又は「耐性のある」とは、臨床検査標準協会(CLSI)及び/又は食品医薬品局(FDA)により定義される、抗生物質/生物標準を指す。
【0156】
「薬学的に許容される担体」は、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩と共投与することが可能な物質であって、薬物化合物が、その所期の機能を発揮すること、例えば細菌性皮膚感染又は皮膚組織感染を処置又は予防することを可能にする、物質を含む。好適な薬学的に許容される担体には、以下に限定されないが、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、様々なパラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。医薬調製物は、滅菌され得、所望の場合、本発明の活性化合物と有害なことに反応しない、補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、着香剤及び/又は芳香性物質などと混合され得る。
【0157】
ある種の実施形態では、薬学的に許容される(不活性)担体は、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディ剤、散剤、噴霧剤、クリーム剤、軟膏(salve)、坐剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤(ointment)、水性懸濁液剤、注射溶液剤、エリキシル剤、シロップ剤などの形態がある。このような担体は、固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性培地及び様々な非毒性有機溶媒などを含む。さらに、経口医薬組成物は、好適に甘味及び/又は風味が付与され得る。一般に、本発明の治療上有効なオマダサイクリンは、このような剤形中に、重量で約5.0%~約70%の範囲の濃度レベルで存在する。
【0158】
経口投与の場合、マイクロクリスタリンセルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンなどの様々な賦形剤を含有する錠剤は、デンプン(及び好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギン酸及びある種のシリケート錯体などの様々な崩壊剤を、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン及びアカシアのような顆粒結合剤と一緒に使用されてもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤は、多くの場合、錠剤化目的で非常に有用である。同様のタイプの固形組成物もまた、ゼラチンカプセル中の充填剤として使用されてもよく、これに関連する好ましい物質はまた、ラクトース又は乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールを含む。
【0159】
水性懸濁液剤及び/又はエリキシル剤が経口投与に望ましい場合、活性成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及び様々な類似のそれらの組合せなどの希釈剤と共に、様々な甘味剤又は着香剤、着色物質又は染料、並びにそのように望まれる場合、乳化剤及び/懸濁化剤も一緒にされてもよい。
【0160】
ある種の実施形態では、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩は、ラクトース一水和物、マイクロクリスタリンセルロース、フマル酸ステアリルナトリウム、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、亜硫酸水素ナトリウム、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、タルク、グリセロールモノカプリロカプレート、ラウリル硫酸ナトリウム及び/又は酸化鉄イエローを含めた賦形剤を含む錠剤として製剤化される。
【0161】
ヒト対象の処置に加えて、本発明の治療方法はまた、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなどの家畜;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウなどの家禽;ウマ;並びにイヌ及びネコなどのペットの処置向けの重要な獣医学的用途を有するであろう。同様に、オマダサイクリン及びその塩は、植物などの非動物対象を処置するために使用されてもよい。
【0162】
一般に上で記載されている本発明により、以下の実施例は、本明細書に記載されている本発明をさらに例示する(しかし、限定するものではない)。
【実施例0163】
[実施例1]
健常志願者におけるオマダサイクリンの生体利用率に及ぼす食物の影響
オマダサイクリン(OMC、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)は、インビトロでの抗菌活性の改善を特徴とする、ファーストインクラスのアミノメチルサイクリン抗生物質である(Honeymanら、Antimicrob Agents Chemother. 59巻:7044~7053頁、2015年)。オマダサイクリンは、グラム陽性好気性細菌及びグラム陰性好気性細菌、多数の嫌気性細菌、並びにレジオネラ属種及びマイクロプラズマ属種(Mycoplasma spp.)を含めた非定型病原体という幅広い範囲に対してインビトロでの活性があることを実証している(Maconeら、Antimicrob Agents Chemother. 58巻:1127~1135頁、2014年;Duboisら、In vitro activity of omadacycline against Legionella pneumophila. 第55回、ICAAC(2015年9月17~21日、San Diego、CA)で発表した概要;Kimら、Activity and efficacy of omadacycline against Clostridium difficile. 2016年 ECCMID(Amsterdam、オランダ)で発表した概要)。複雑性皮膚感染及び皮膚組織感染を有する患者では、オマダサイクリンは、リネゾリドに匹敵する臨床的有効性及び忍容性があることを実証した(Noel.ら、Antimicrob Agents Chemother. 56巻:5650~5654頁、2012年;Noelら、Safety and efficacy of PTK 0796(omadacycline) as treatment of complicated skin and soft tissue infection(cSSTI)。第23回欧州臨床微生物・感染症疾患学会議(2012年3月31日~4月3日、London、英国)で発表したポスター)。
【0164】
第3相試験は、急性細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染(ABSSSI)を有する患者において、経口及び静脈内(IV)への単剤療法としてのオマダサイクリンで結論づけられた。
【0165】
開発過程の間に、経口オマダサイクリン製剤が、忍容性を改善すると同時に経口生体利用率を最適化するために、一連の錠剤及び塩製剤によるカプセル剤中の遊離塩基から展開された。現在の第3相の錠剤製剤は、オマダサイクリンのトシル酸塩であり、この塩は、絶食状態下で投与した場合、34.5%の絶対生体利用率を有することが示された。この検討の主要な目的は、健常な成人対象において、食物の消費後の様々な時点における、300mgの単回経口用量のオマダサイクリン(第3相の錠剤製剤として投与)の相対生体利用率を評価することであった。
【0166】
この検討の結果により、300mgの単回OMC用量の経口生体利用率に食物消費が影響を及ぼすことが示された。
【0167】
手短に言えば、この検討は第1相の無作為化された、4つの期間の非盲検交差検討であった。期間1の1日目の投与前に、対象を、4つの処置順序の1つに無作為化した(表1を参照されたい)。各期間の1日目に、対象は食物の消費後の様々な時点において、300mgのオマダサイクリン(2×150mgの錠剤)を単回経口用量で服用した。各投与期間の間、少なくとも5日間のウォッシュアウト期があった。最終検討完了時の訪問が、オマダサイクリンの最後の用量の6~10日後に行われた。
【0168】
【0169】
高脂肪(食事の全カロリー含量の約50%)及び高カロリー(約800~1000カロリー)食は、食品医薬品局の指針推奨に従い、それぞれ、タンパク質、炭水化物及び脂肪から約150、250、及び500~600カロリーを提供した(FDA指針、2002年)。これらの食事は、20分間内に消費されることになっていた。処置B、C及びDの場合の用量投与は、食事の終了時間に基づいた。4つの処置期間のすべての間、対象は、投与後少なくとも3時間、食物も水以外の飲料も摂取せず、投与後4時間、乳製品、制酸薬又はマルチビタミン剤を摂取しなかった。
【0170】
合計で32名の対象が登録され、少なくとも1つの処置期間に投与された。全体の平均年齢は、32.3歳であり、21~50歳の範囲であった。47%が男性(表2)であった。期間3のベースラインにおいて、アルコールのスクリーニングが陽性であったため、1名の対象が本検討を中止され、処置A及びDを受けなかった。1名の対象が離脱を求め、処置B及びCを受けなかった。PKデータは、各処置条件について31名の対象が利用可能であった。
【0171】
【0172】
オマダサイクリンの薬物動態(PK)アセスメント用の血液試料は、投与前(用量前)、及び各期間において、投与の0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12、16及び24時間後に採集した。PKパラメータは以下を含んだ:投与後0~24時間の血漿中濃度-時間曲線(AUC)下の面積(AUC0-24);時間0から最後の定量可能な濃度までのAUC(AUC0-t);時間0から無限まで外挿したAUC(AUC0-inf);観察された最大(ピーク)血漿中濃度(Cmax);Cmaxへの到達時間(Tmax);終末消失半減期(T1/2);終末期速度定数(λz)。
【0173】
安全性及び忍容性は、以下により評価した:有害事象(AEs);各処置期間における、投与後24時間以内の複数の時間点でのバイタルサインの測定;及び各処置期間における投与後24時間での臨床検査試験。
【0174】
統計解析に関すると、オマダサイクリンに関する個々のPKパラメータは、記述統計学を用いて要約した。AUC及びCmaxの幾何平均を求めた。PKパラメータは、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Pharsight Corp,St. Louis、Missouri)、バージョン6.2.1を使用し、非コンパートメント解析を使用して評価した。参照処置(絶食状態:処置A)と比べた、試験処置(摂食状態:処置B、C及びD)の信頼区間(CI)は、AUC0-24、AUC0-t、AUC0-inf及びCmaxについて構築した。幾何平均の試験対参照の比(B/A、C/A又はD/A)に対する90%CIが、AUC0-24、AUC0-t、AUC0-inf及びCmaxに対して80%~125%の基準間隔内に含まれている場合、食物の影響はないと結論づけた。Tmaxに関しては、ウイルコクソンの符号付き順位検定を行った。p≦0.05は、統計的有意性があると見なした。
【0175】
固定効果としての処置条件、順序及び期間、並びに変量効果としての順序内に組み入れた対象による線形混合効果モデルを、効果の推定及び絶食状態と比べた摂食状態の90%信頼区間(CI)に関する、自然対数変換後PKパラメータにあてはめた。
【0176】
【0177】
PK解析により、このPK解析に含めた31名の対象の場合、絶食時のAUC0-inf、AUC0-t及びAUC0-24は、それぞれ、10.2、7.2及び7.2mcg×時/mLであり、Cmaxは、0.6mcg/mLであった。すべての処置期間にわたり、平均T1/2は、13.5~13.8時間の範囲にあり、メジアンTmaxは、2.5~2.9時間の範囲であった。処置に関連した有害事象、又は検査値若しくはバイタルサインの臨床的に関連性のある変化は発生しなかった。表3を参照されたい。
【0178】
オマダサイクリンへの全身性曝露の有意な低下が、処置Aに対して、3つの処置(処置B、C及びD)すべての場合に観察された(
図1及び表4)。
【0179】
【0180】
投与に、より近く高脂肪食が消費される場合、及び食事中に乳成分が含まれる場合、食物の影響は一層、顕著であった。絶食での用量と比べて、オマダサイクリン曝露(Cmax及びAUC)は、投与の4時間前の乳成分不含食の場合、15%~17%低下し、投与の2時間前の乳成分不含食の場合、40%~42%低下し、投与の2時間前の乳成分含有食の場合、59%~63%低下した。オマダサイクリンに対する全身性曝露における対象間ばらつきは、Cmax及びAUCの場合、処置A、B及びC(CV22.4~29.2%)に関して類似した。対照的に、処置Dの場合、CVは、これらのパラメータに関して42.6~44.4%であった。
【0181】
安全性及び忍容性に関すると、2名の対象が、処置中に発生したAE(1名は吐き気を、1名は眠気を報告した)を経験した。どちらの事象も、強度は軽度であり、検討薬物に無関係と見なした。AEのために検討を中止した対象はなく、深刻なAE(SAE)を経験した対象はいなかった。心拍数のベースラインからのわずかな増加(投与して4~6時間後に8~10bpmのメジアン)が、処置Aの場合に観察された(すなわち、最も高いオマダサイクリン曝露を有する群)。他のすべての処置群の中で、心拍数のベースラインからのメジアン変化は、すべての測定した時間点において≦3bpmであった。血圧の顕著な変化は観察されなかった。臨床検査試験の臨床的に有意な変化はなかった。
【0182】
これらの結果により、オマダサイクリンの単回経口用量は、十分に忍容されることが示された。食物の2~4時間以内に300mgの用量の投与は、絶食状態と比較すると、生体利用率が低下した。したがって、好ましくは、1日1回の経口オマダサイクリンを少なくとも食事をして6時間後に投与すべきである。
【0183】
[実施例2]
健常な成人対象における、オマダサイクリン又はプラセボの多回経口用量の安全性、忍容性及び薬物動態を評価するための、3つの期間の第I相無作為化二重盲検交差検討
【0184】
この検討の主要な目的は、5日間にわたり毎日、投与した、300mg、450mg及び600mgの用量の経口オマダサイクリンの薬物動態(PK)を評価して比較することであった。本検討の二次目的は、健常な成人対象における、多回用量のオマダサイクリンの安全性及び忍容性を評価することであった。
【0185】
次に、ABSSSIの処置に関すると、予測される毎日の治療経口用量(いかなる負荷用量も除く)は300mgであった。起こり得る将来の検討のため、又は経口用製剤を使用する負荷用量の投与のため、1日あたり300mgより多い用量を使用して、目的の器官/組織における標的細菌を処置するのに十分なオマダサイクリン濃度を実現することが可能である。1回の早期臨床検討は、最大600mgのオマダサイクリンの単回経口用量を評価したが、1日あたり300mgより多い多回用量を評価する検討はなかった。この検討は、1日あたり300mgより多い用量で多回経口用量のオマダサイクリンの安全性、忍容性及び薬物動態(用量直線性及び比例)に関するデータを取得するよう設計した。忍容性を評価する際に、偏りが生じる可能性を最小限にするため、プラセボ群を参照として含ませた。
【0186】
この検討では、1日あたり300、450、及び600mgのオマダサイクリン又はプラセボの多回経口用量を選択して投与した。最低用量である300mgを、多回用量検討において評価し、十分に忍容された。この1日あたりの用量をやはり、ABSSSIの第3相試験において検討した。1つの早期臨床検討において、カプセル中の最大600mgまでの単回経口用量を健常な成人対象に投与し、許容可能な安全性プロファイルを有することが決定された。400mg以上の経口用量において、GI AEの出現率がいくらか増大したが、事象は、通常、軽度(重度なものはなかった)であり、これらの事象の一部は、経口用製剤に関係し得た可能性がある。オマダサイクリンの最終的な最適化錠剤製剤を使用する、1日あたり最大600mgまでの多回用量は、許容可能な安全性プロファイルを有することが予期されたが、より大規模な臨床検討においてこれらの用量を評価する前に、小規模の注意深く管理した第1相試験において評価することが重要であった。
【0187】
すなわち、本検討は、健常な成人対象における、3つの期間の、第1相無作為化二重盲検交差検討であった。本検討は、スクリーニング期間(-21日目~-2日目)、3つのベースライン期間(各期間の-1日目)、3つの処置期間(各期間の1日目~6日目)、及び検討完了による訪問(期間3における検討薬物の最後の用量後の6~10日以内)からなった。1つの期間における最後の用量と次の期間における最初の用量との間に、少なくとも5日間のウォッシュアウトが存在した。血液サンプリング、尿サンプリング及び安全性アセスメントが完了した24時間後に、期間3の6日目に解放されるまで、期間1の-1日目から対象を検討施設に拘束した。対象は、期間3における検討薬物の最後の用量の6~10日後に、検討完了による訪問のために、検討施設に戻された。
【0188】
対象選択
健常で非喫煙の男性及び女性対象が、18~55歳の間の年齢(これらを含む)、≧50kgの体重であり、肥満度指数が18~30kg/m2(これらを含む)を有し、スクリーニング(期間1において投与する前の21日以内に行う)の間及び期間1に対するベースライン(-1日目)におけるすべての適格性基準を満たし、かつ書面のインフォームドコンセントが用意された場合、本検討への参加が認定された。健康状態は、過去の病歴、臨床検査試験、バイタルサイン(口腔身体温度、収縮期血圧、拡張期血圧及び心拍数)、12の誘導心電図(ECG)、及びスクリーニング時の身体検査によって決定した。適格性基準は、連続して最大4個の錠剤を飲み込む能力を含んだ。
【0189】
対象は、オマダサイクリンによる以前の処置、他の治験薬の最近の使用;ECG異常;経口投薬に忍容する能力がない;妊娠又は授乳している;検討開始前の指定した時間枠内における、タバコ製品、処方薬、ハーブサプリメント又は市販薬の使用、又はキサンチン(例えば、カフェイン)含有食物若しくは飲料の摂取;失血/献血;ヘモグロビンレベルが低い;クレアチニンレベル又は血液尿素窒素レベルが高い;尿路閉塞/排尿困難がある;アルコール又は薬物試験に陽性である;任意のテトラサイクリンに対して過敏性又はアレルギーがある;肝疾患又は肝損傷の兆候がある;検討開始の2週間以内に深刻な疾病がある;検討を妨害する恐れのある任意の計画済み医療的介入;又は、検討プロトコルにおいて指定される疾患又は医療的状態の経歴のために、本検討への参加から除外された。
【0190】
検討設計
各期間の1日目~5日目に、対象は、無作為化スケジュールに従い、1日1回、6時間の絶食後、以下の処置(オマダサイクリン又はプラセボ)の1つを服用した。
A. 300mgのオマダサイクリン(2×150mgの錠剤)
AP.300mgのオマダサイクリンに対するプラセボ(2×プラセボ錠剤)
B. 450mgのオマダサイクリン(3×150mgの錠剤)
BP.450mgのオマダサイクリンに対するプラセボ(3×プラセボ錠剤)
C 600mgのオマダサイクリン(4×150mgの錠剤)
CP.600mgのオマダサイクリンに対するプラセボ(4×プラセボ錠剤)
【0191】
検討薬物の用量はすべて、投与前の少なくとも6時間、食物も水を除く飲料もなしに、朝に投与した。次に、対象は、投与後少なくとも2時間、食物も水以外の飲料も摂取せず、投与後4時間、乳製品、制酸薬又はマルチビタミン剤を摂取しなかった。
【0192】
投与前に、対象は、期間1における投与前の21日以内に、適格性を決定するためのスクリーニング評価を受けた。次に、ベースライン評価のために、投与の前日(期間1の-1日目)に、対象を臨床施設に入院させた。期間1の1日目の投与前に、最大30名の対象(24名がオマダサイクリン、6名がプラセボ)を、以下の表中に提示されているラテン方格法を使用して、3つの処置順序の1つに無作為に割り当てた。
【0193】
【0194】
約10名の対象を、各順序に無作為に割り当てた。プラセボは、忍容性を評価するための基準として、各順序中に2名の対象に投与した。オマダサイクリンに割り当てられた対象は、3つの期間のすべての間、及び試験した用量レベルのすべてにおいて、オマダサイクリンを服用した。プラセボに割り当てられた対象は、3つの期間のすべての間、プラセボを服用した。治験責任医師及び対象は、対象がオマダサイクリン又はプラセボを服用しているかどうかに関して盲検化された。
【0195】
検討アセスメント
1.血漿中の薬物動態
オマダサイクリンの薬物動態(PK)解析を行うための一連の血液試料を、各期間の1日目及び5日目の投与後、指定した時間点から24時間時まで採集した。具体的には、オマダサイクリンのPKアセスメント用の血液試料は、以下の時間点:投与前(用量前)、及び各期間における1日目及び5日目の投与の0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12、16及び24時間後に、すべての対象から採集した。1日目の場合の24時間時の血液試料を、各期間の2日目の投与前に採集した。
【0196】
Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara、Princeton、New Jersey)バージョン6.2.1を使用して、投与後0~24時間の血漿中濃度対時間曲線下の面積(AUC)(AUC0-24)、時間0から最後の定量可能な濃度までのAUC(AUClast)、観察された最大血漿中濃度(Cmax)、観察された最大血漿中濃度に到達するための時間(Tmax)、終末消失半減期(T1/2)、終末期速度定数(λz)及びAUC0-24とCmaxとの蓄積因数(Rac)を含めた、非コンパートメントPKパラメータを、血漿中オマダサイクリン濃度及び実際の時間データから、各期間の1日目及び5日目に決定した。
【0197】
オマダサイクリンを服用し、かつ少なくとも1つの評価可能PKパラメータを有した対象を、このPK解析集団に含ませた。しかし、対象が、用量の服用を忘れた、メジアンTmaxと等しい時間から2倍の時間において、又はそれらより前に下痢又は嘔吐した場合、PK集団から除外することができる。
【0198】
2.尿の薬物動態
期間2の5日目、及び期間の1日目及び5日目の指定した間隔:用量前、投与の0~4、4~8、8~12及び12~24時間後に、対象のサブセットから尿試料を採集した。1日目の12~24時間の間隔での尿試料を、2日目の投与前に採集した。本検討が既に進行している後に、検討プロトコルへの修正によって尿のPK解析を追加したので、尿試料を対象のサブセットからしか採集しなかった。
【0199】
SASバージョン9.2を使用して、尿中のオマダサイクリン濃度及び採集間隔データから以下の尿PKパラメータ:腎クリアランス(CLr)、投与の0~24時間後の尿中に未変化のまま排出された用量の割合(Fe0-24)、及び投与後24時間にわたり尿中に未変化のまま排出された薬物量(Aet1-t2)を決定した。付加的なパラメータAe0-4、Ae4-8、Ae8-12、Ae12-24及びAe0-24も算出した。
【0200】
3.安全性及び忍容性
安全性アセスメントは、有害事象(AE)のモニタリング、臨床検査試験の結果、バイタルサインの測定値、12の誘導心電図(ECG)結果及び身体検査の所見を含んだ。任意の検討薬物(オマダサイクリン又はプラセボ)を少なくとも1回、用量を服用した、無作為に割り当てられた対象すべてを、安全性解析集団に含ませた。有害事象は、MedDRAバージョン17.1を使用して、基本語及び器官別大分類によってコード化した。
【0201】
安全性及び忍容性は、AEのモニタリング及び記録、臨床検査試験の結果(血液学、血清化学及び尿検査)、バイタルサインの測定値(口腔身体温度、収縮期血圧、拡張期血圧、及びHR)、12の誘導心電図の結果及び身体検査の所見によって評価した。
【0202】
薬物動態検討用の統計解析:
個々の血漿及び尿中濃度及び時間偏差データは、データリスト中に示した。血漿及び尿中濃度データは、記述統計学(対象数、平均、SD、変動係数[CV]、メジアン、最小値及び最大値)を使用して、各処置の場合の日数及び時間点又は間隔によって要約した。定量限界未満(BLQ)の濃度は、血漿及び尿中濃度の記述統計学の要約ではゼロとして処理した。平均及び個々の血漿中濃度対時間プロファイルは、線形スケールと半対数スケールの両方に関して図中に示した。
【0203】
非コンパートメントPKパラメータは、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara、Princeton、New Jersey)バージョン6.2.1又はそれより高次のものを使用して、血漿中濃度及び実際の時間データから決定した。尿PKパラメータは、SASバージョン9.2又はそれより高次のものを使用して、尿中濃度及び採集間隔データから決定した。さらなる統計解析はすべて、SAS(登録商標)ソフトウェア(SAS Institute、Cary、North Carolina)、バージョン9.2を使用して行った。
【0204】
PK解析に関しては、BLQ値は、2つの定量可能な濃度間のBLQ値が、不明であるとして設定したことを除いて、ゼロとして処理した。PKパラメータ算出から、不明濃度を不明なものとして処理した。終末期において、連続BLQ濃度の後に定量可能な濃度が続く場合、BLQ濃度後のそれらの濃度は、不明として処理した。
【0205】
個々のPKパラメータは、データリスト中に示した。記述統計学(対象数、平均、SD、CV、メジアン、最小値及び最大値)は、各期間の1日目及び5日目の投与後に、PKパラメータの推定値について算出した(例えば、血漿中濃度からAUC0-24、AUClast、Cmax、Tmax、T1/2及びRac[5日目のみ];尿中濃度からCLr、Fe0-24及びAe0-24)。AUC0-24、AUClast及びCmaxに関して幾何平均を含めた。
【0206】
信頼区間(CI)の影響及び構築の推定に使用するため、固定効果としての処置(A、B及びC)、順序(1A、2A及び3A)及び処置期間、並びに変量効果としての順序内に組み入れた対象による線形混合効果モデル(SAS PROC MIXED)を、各期間の1日目及び5日目の投与後に、自然対数変換後の用量に正規化したPKパラメータAUC0-24/用量、AUClast/用量、及びCmax/用量にあてはめた。対数スケールに対する差異の点推定値及び90%CIを累乗して、元々のスケールに対する幾何平均とそれぞれ90% CIとの比の推定値を得た。多重度に対する調整は行わなかった。
【0207】
1日目及び5日目の投与の両方の後のオマダサイクリンのCmax、AUClast及びAUC0-24を、指数モデル(10):ln(PK)=a+b×ln(用量)+誤差(式中、PKはPKパラメータであり、aは切片であり、bは傾きである)にあてはめることにより、3つの用量レベルのすべてにわたる用量線形性を評価した。傾きbの推定値は、対応する両側90%CIと共に報告した。
【0208】
オマダサイクリンの蓄積の統計解析に関しては、固定効果としての日数及び変量効果としての対象による線形混合効果モデルを、自然対数変換後Cmax及びAUC0-24にあてはめて、1日目と比較した5日目の90%CIを構築した(各用量レベルで個別に)。
【0209】
結果
a.検討対象の人口統計、ベースライン特徴及び素因
本検討に登録された33名の対象のうち、26名がオマダサイクリンを服用するよう割り当てられ、7名がプラセボを服用するよう割り当てられた。人口学的及びベースライン特徴は、一般に、オマダサイクリン処置群とプラセボ処置群との間(表2-1)、及びオマダサイクリン処置順序(データは図示せず)全体で類似した。本検討における対象の大多数は、白人(57.6%)及び男性(81.8%)であった。対象の全体の平均年齢は、36.9歳であり、21~55歳の範囲であった。
【0210】
【0211】
検討薬物(オマダサイクリン又はプラセボ)を少なくとも1回、用量を服用した、33名の対象すべてを、安全性解析集団に含ませた。26名のオマダサイクリン処置対象のうちの25名(96.2%)を、PK解析集団に含ませた(1名の対象は、投与後の嘔吐によりこの集団から除外した)。4名のオマダサイクリン処置対象(15.4%)及び1名のプラセボ処置対象(14.3%)が、本検討を中止した。これらの早期中断は、4名の対象において、処置中に発生した有害事象(TEAE)によるものであった(以下を参照されたい)。さらに、1名のオマダサイクリン処置対象は、経過観察ができなかった。したがって、22名の対象がすべて、5回用量分の300mg、450mg及び600mgのオマダサイクリンを服用し、6名の対象がすべて、期間1、2及び3において5回の用量分のプラセボを服用した。これらの対象は、本検討を完了したと見なした。
【0212】
b.血漿中薬物動態
1日目及び5日目の終わりにおけるPK検討の予備結果を以下にまとめた。
【0213】
【0214】
この検討及び他の第1相試験からの薬物動態データを使用して、以下の投与レジメンに関するPKモデルを構築し、その結果を
図2~
図4に提示した。
【0215】
具体的には、
図2は投与レジメンに関するPKデータを示すグラフであり、この場合、100mgのオマダサイクリンを、1日間、BID(12時間空けて、1日2回の投与)でi.v.投与し、次いで100mg i.v./日で投与した。
【0216】
図3は、投与レジメンに関するPKデータを示すグラフであり、450mgのオマダサイクリンを、2日間、QD(1日1回)でp.o.投与し、次いで300mg p.o./日で投与した。
【0217】
図4は、投与レジメンに関するPKデータを示すグラフであり、600mgのオマダサイクリンを、2日間、QD(1日1回)でp.o.投与し、次いで300mg p.o./日で投与した。
【0218】
図2及び
図3に示されている投与レジメンのAUC
0-24は、ほとんど同一であったことが明白である。
【0219】
より詳述なデータ解析を、以下に提示した。
【0220】
各5日間の処置期間の1日目と5日目の両方に対する、試験したすべてのオマダサイクリンの用量レベルにおいて、平均血漿中オマダサイクリン濃度は、投与後2.5時間にピークがあり(T
max)、オマダサイクリンは、投与後の最大24時間まで(最後のサンプリング時間)、血漿中で測定可能であった(
図5及び表2-2)。
【0221】
【0222】
1日目と5日目の両方に対する、オマダサイクリン用量(300対450対600mg)を増加させるにつれて、オマダサイクリンの全曝露(AUC
0-24及びAUC
last)及びピーク濃度(C
max)は増大し、対応する用量に対して、1日目よりも5日目に高くなった(
図5及び表2-2)。血漿中のオマダサイクリンの平均半減期(T
1/2)は、3つの試験した用量レベルにわたり類似しており、1日目の13.03~13.66時間の範囲、及び5日目に15.49~16.83時間の範囲になった(表2-2)。全身性オマダサイクリン曝露における対象間ばらつきは低く、3つの試験した用量レベルのすべてにおいて類似しており、変動係数(CV)は、1日目では、C
max、AUC
0-24及びAUC
lastの場合、23.2%~26.6%の範囲であり、5日目のC
max、AUC
0-24及びAUC
lastの場合、25.0%~27.1%であった(表2-2)。
【0223】
オマダサイクリンのAUC0-24、AUClast及びCmaxは、オマダサイクリン用量を増加させるにつれて増大するが、観察された曝露の増大は、両方の分析日に、用量比例未満であった(表2-2及び表2-3)。
【0224】
【0225】
統計解析により、用量が300mgから600mgに増加すると、1日目のオマダサイクリン曝露(用量で正規化したAUC0-24に基づく)は、曝露が完全に用量比例である場合に、予測されるものの76%となること(表2-3);5日目では、観察されたオマダサイクリン曝露の増大は、予測されるものの88%となること(表2-3)が示された。Cmax値の分析も同様に、この検討では、オマダサイクリン濃度が用量に線形であるが、用量比例未満となることが実証された(表2-2及び表2-3)。
【0226】
統計解析により、1日1回、5日間、連続して投与した後の、血漿中のオマダサイクリンの蓄積も明らかになった。用量に応じて、5日目と1日目の間の蓄積率は、AUC0-24の場合、1.40~1.62、及びCmaxの場合、1.24~1.35の範囲となった(データは図示せず)。これらの知見は、血漿中のオマダサイクリンの半減期が長いことと一致している。
【0227】
上記のデータにより、オマダサイクリンの平均濃度は2.5時間時にピークとなり、最大で24時間まで(最後の試験時間点)、オマダサイクリンの投与濃度(300、450及び600mg)のすべてにおいて、測定可能な状態が続くことが示された。5日目に、300mgのオマダサイクリンを投与された対象における平均定常状態曝露(AUC0-24)は、9267ng・時/mLであり、これは、300mgの経口投与した以前の検討の結果と一致するものである。AUC0-24とCmaxのどちらも、用量が増加するにつれて増大し、ほぼ用量比例するが、いくらかそれを下回った(予測の74%~88%)。これは、投与の1日目と5日目の両方に該当した。オマダサイクリンは、その比較的長い半減期(1日目では、平均=約13時間、5日目では、約16時間)のため、5日間連続投与する過程にわたり、血漿中に蓄積した。したがって、すべての試験した用量レベルでは、5日目の全身性曝露は、1日目よりも約50%高かった。この蓄積の度合いは、早期薬理学検討において、1日1回、オマダサイクリンを、IV又は経口用製剤を多回投与した後に観察されたものとやはり一致する。
【0228】
全身性曝露に関すると、この検討により、450mgの投与での1日目のオマダサイクリンの血漿中濃度は、300mgの投与での5日目のそれと類似していることが示された(それぞれ、平均AUC0-24=8976.5及び9267.2ng・時/mL)。治療の投与レジメンが1日あたり300mgの経口投与を組み込んだ適応の場合、これらのデータは、1~2日間、1日1回、450mgの初期経口「負荷用量」の使用と、その後に1日1回、300mgの経口投与という戦略を支持するものである。このような戦略は、処置のIV期の必要性を潜在的になくすことを可能にし、ABSSSIを有する患者における、経口のみのオマダサイクリン処置の現在進行中の第3相試験において現在評価されている(臨床試験登録番号(ClinicalTrials.gov ID)、NCT02877927)。
c.尿の薬物動態
【0229】
本検討が進行している後に、プロトコル修正によって尿の試料採集及びPK解析を本検討に追加したので、限られた試料数でしか評価しなかった(期間2の5日目に9名の対象に由来する試料、並びに期間3の1日目及び5日目に8名の対象に由来する試料)。この試料サイズが小さ過ぎるため、オマダサイクリン用量群間に有意な比較を作製することができなかったが、この解析結果は、部分的オマダサイクリン腎クリアランス及び尿中排せつの総合的な指標を提供した。
【0230】
すべてのオマダサイクリン用量群について、投与の0~24時間後(Fe0-24)の尿中に未変化のまま排出された用量の平均割合は、1日目では、約5%~約7%の範囲となり、5日目では、約7%~約9%の範囲となった。腎クリアランス(CLr)は、1日目では、2.8~4.2L/時であり、5日目では、2.4~3.3L/時であった(表2-4)。
【0231】
【0232】
対象のサブセットにおける尿KP解析により、オマダサイクリンの部分的腎クリアランス及び尿中排せつの事前指標が提供された。5日目に、用量レベルに応じて、投与した経口用量の約7%~約9%が、24時間にわたり、尿中に未変化のまま排出された。この検討において使用されている錠剤製剤の絶対生体利用率が35%であることが分かっているので、上記のことは、吸収された用量の約20%~25%を表す。尿中に未変化のオマダサイクリンが存在することは、現在、調査されている適応症である、尿路感染症において有用となり得ることを示唆するものである。
d.安全性及び忍容性
【0233】
全体として、安全性集団における33名の対象のうちの12名は、検討中に、合計で36のTEAEを報告した(表2-5)。
【0234】
【0235】
TEAEは、オマダサイクリンを服用した対象の38.5%、及びプラセボを服用した対象の28.6%により報告された。TEAEの最も高い百分率が、胃腸管(GI)障害として分類された。最も高い頻度で報告されたTEAEは吐き気であり、これは、オマダサイクリンの300及び450mg用量群の≦7.7%に、及び600mg群の16.7%に発生した。この検討において報告されたTEAEのすべてが、重症度が軽度又は中度のどちらかであった。本検討中に報告された深刻なTEAE(SAE)はなかった。3つのオマダサイクリン用量レベルの各々において、1名の対象、及びプラセボ群において1名の対象を含む、4名の対象が、検討中止に至るTEAEを経験した。
【0236】
バイタルサインの測定、身体検査、ECG結果、血液学又は尿検査パラメータの解析において、臨床的に有意な知見はなかった。血清化学の解析により、各投与期間のベースラインと5日目との間に、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度のメジアン変化が、300、450及び600mgのオマダサイクリンを投与された対象において、それぞれ、-2.0、5.0及び19.5IU/Lであることが示された。プラセボ群中の対応する変化は、-5.0~-1.0IU/Lの範囲であった。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ビリルビン又は他の血清化学パラメータのメジアンに実質的な変化は認められなかった。個々の最高のALT値は、150IU/L(正常[ULN]の上限値より2.7倍高い)であり、これは、期間1において最初に450mg、次に、期間2において300mgのオマダサイクリンを服用し、次に、肝臓酵素の変化のため中止になった対象において発生した。この対象のビリルビン値は、評価したすべての時間点において、正常な範囲内に留まった。
【0237】
この血漿PKの知見により、1日1回の経口投与の間に、用量あたり投与されるオマダサイクリンの量を増加させることにより、一層高い全身性薬物曝露を達成することができるが、曝露による有益性は、用量比例しないことが示された。さらに、オマダサイクリンの投与をある点を超えて増加させると、安全性及び忍容性に関して副作用を有するように思われる。300、450及び600mgの多回用量はすべて、一般に、この検討では十分に忍容されたが(TEAEはすべて、重症度が軽度又は中度のどちらかであった)、用量間にいくらかの差異があった。処置に関連するTEAEの頻度は、オマダサイクリン用量が300から450mg(15.4%対8.3%)まで増加するに伴って増加しなかったが、このような事象は、600mg(25.0%)の場合に、一層頻度が高かった。TEAEの最も頻度の高いクラスの中では、GI障害、吐き気が、600mgの用量レベルの場合に、より少ない用量の場合よりも少なくとも9%高い出現率で発生し、下痢の報告は、600mgの場合、2例しか発生しなかった。さらに、血清化学の解析により、わずかであるが、メジアンALT濃度の注目に値する用量依存的増加があることが示された。個々のALT値は、ULNより3倍を超えなかったが、600mgではより高いメジアンALTであることは、この用量の場合、血清のトランスアミナーゼレベルが一層顕著に向上する機会を増加させることを示唆する。300mgを超える経口用量が有益となり得る状況の場合、これらの知見に基づくと、450mgが、有利な安全性及び忍用性を伴って、一層高いオマダサイクリン曝露を実現する可能性が最も高い経口用量であると特定した。
【0238】
要約すると、この第1相試験は、300mgよりも高い多回経口用量のオマダサイクリンの薬物動態(PK)及び安全性/忍容性を検討した。3つの期の交差設計を使用して、健常な成人を、1つの期間あたり5日間、連続して、1日1回、オマダサイクリン(300mg、450mg及び600mgを様々な順序で;n=26)又はプラセボ(n=7)を服用するよう無作為化した。血漿では、オマダサイクリンの最大濃度及び全曝露は、用量が増加するにつれて増大したが、用量比例未満であった(予測の74%~88%)。オマダサイクリンの血漿中の蓄積の動力学は、用量レベル間で類似した。5日目の曝露は、1日目の場合よりも約50%高かった。1日目における450mgを投与した場合のオマダサイクリンの血漿中濃度は、5日目における、300mgを投与した場合と類似した。尿のPK解析により、未変化のオマダサイクリンの部分的腎クリアランス及び尿中排せつが示された。用量はすべて、一般に、十分に忍容された。これらの結果は、1日1回の300mgの経口オマダサイクリンに低下させる前の負荷用量として、1日1回450mgの経口オマダサイクリン(1回又は2回の用量)を使用するなどの、経口のみの投与レジメンの一部として、又は処置全体を通じて1日1回、450mgの経口オマダサイクリンを使用する投与レジメンにおいて、1日1回、450mgのオマダサイクリンを使用することを支持するものである。
【0239】
[実施例3]
急性細菌性皮膚感染及び皮膚組織感染(ABSSSI)を有する成人対象を処置するための、経口オマダサイクリンと経口リネゾリドとの安全性及び有効性を比較する、複数の施設での第3相無作為化二重盲検の検討
【0240】
第1のアミノメチルサイクリン抗生物質である、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンは、他には、オマダサイクリン(OMC)としても知られているが、テトラサイクリンクラスの半合成誘導体である。1つのクラスとして、テトラサイクリンは、約70年間、使用されてきた。テトラサイクリンは、十分に忍容されており、様々な細菌感染の処置に有効であることが証明されている。
【0241】
オマダサイクリンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含めた、最も一般的なABSSSI病原体に対して活性があることを実証した。オマダサイクリンは、複雑性皮膚感染及び皮膚組織感染(cSSSI)を有する219名の対象の第2相試験、及びcSSSIを有する140名の対象の治験依頼者により終了された第3相試験において評価した。オマダサイクリンは、十分に忍容され、確立されている比較物(リネゾリド)と同様の有効性であることを実証した。
【0242】
ABSSSIを有する成人対象の処置における、静脈内(i.v.)及び経口(p.o.)によるオマダサイクリンと、i.v.及びp.o.のリネゾリドとの安全性並びに有効性を比較した645名の対象の最近に完了した世界的な第3相試験では、オマダサイクリンは、リネゾリドに非劣性であり、十分に忍容された。
I.検討設計
【0243】
これは、ABSSSIを有する成人対象の処置において、p.o.リネゾリドと比較した、p.o.オマダサイクリンの安全性及び有効性を実証するために設計された第3相試験であった。具体的には、本検討は、グラム陽性病原体によるものであることが知られているか、又は疑われているABSSSIを有する成人対象の処置において、7~14日間、経口(p.o.)投与されたオマダサイクリンは、7~14日間、経口投与されたリネゾリドに非劣性(10%)であることを実証するよう設計した。さらに、本検討は、ABSSSIを有する成人対象の処置において、オマダサイクリンは安全であること、及び観察された臨床応答は、ABSSSIの特定された原因となる病原体を中和することによるものであることを実証するよう設計した。最後に、経口オマダサイクリンの薬物動態(PK)を、成人対象におけるこれらで評価した。
【0244】
この実験は、グラム陽性病原体によることが知られているか、又は疑われているABSSSIを有する成人対象を処置するため、オマダサイクリンとリネゾリドとを比較する、無作為化した(1:1)、二重盲検、二重ダミーの活性比較物により管理した第3相試験として設計した。大きな膿瘍を有する対象の登録は、無作為対象の最大30%以内とすることができる。無作為化前の72時間以内に、許容された短時間作用型抗生物質の単回用量を服用した対象の登録は、無作為対象の25%未満に限定した。対象の無作為化は、感染のタイプ(創傷感染、蜂窩織炎/丹毒又は大きな膿瘍)、及び先に許容された短時間作用型抗生物質の服用(はい又はいいえ)により、処置群間で階層化した。
【0245】
本検討は、スクリーニング、二重盲検処置及び経過観察という3つのプロトコルにより規定された期からなった。血液培養を除く、すべてのスクリーニング評価を、無作為化前の24時間以内に、完了した。血液培養は、試験物品の最初の用量の前の24時間以内に完了した。選択基準を満たした対象、及び除外基準を満たさなかった対象を、処置群に無作為に割り当て、無作為化後、4時間以内に、施設において、試験物品のその最初の用量を服用した(オマダサイクリン又はリゾネリドの一方)。
【0246】
本検討は、米国FDA及び欧州医薬品庁(EMA)のABSSSIの処置に関する抗菌薬の開発に関する指針、さらに米国感染症学会(Infectious Diseases Society of America:IDSA)の指針及び国立衛生研究所財団のバイオマーカーコンソーシアムからの2012年更新版に準拠して設計した。
【0247】
比較薬物であるリネゾリドは、グラム陽性病原体によって引き起こされるABSSSIを処置するため、世界規模で承認を受けており、許容可能な十分に確定された安全性プロファイルを有する。リネゾリドは、経口投与され得、MRSAを含むグラム陽性病原体によって引き起こされたABSSSIを処置するために規制当局から認可された。
【0248】
対象は、約30日間、検討に参加した。スクリーニングの後に、適格性のある対象を、オマダサイクリン又はリネゾリドのどちらか一方による、7~14日間のp.o.処置を受けるよう無作為に割り当てた。経過観察のためのオフィス訪問は、試験物品の最後の用量の約7日~14日後に行われ、経過観察の電話による接触は、試験物品の最初の用量の、約30~37日後に行われた。
【0249】
インフォームドコンセント以外に、この検討における無作為化に適格となるよう、適格対象は、以下の重要な基準をすべて満たした:(1)18歳以上の年齢の男性又は女性である;(2)適格性のある皮膚感染及び皮膚組織感染を有した。臨床試験の目的に関すると、すべての適格性のある病変は、創傷定規を使用することにより、治験責任医師により測定される、最大長さ(頭部から先端部まで)と最大幅(長さに対して垂直に測定)との乗算値として算出される、隣接関連組織の全表面積において75cm2以上とした。関与組織は、以下のうちの1つ以上の明確な証拠を示す組織として定義した:紅斑、浮腫又は硬化;(3)適格な感染の分類は以下であった:創傷感染、すなわち創傷の末梢縁部からの最短距離で、少なくとも5cm広がっている、周囲の紅斑、浮腫及び/又は硬化を伴う創傷から化膿性ドレナージがあることを特徴とする感染;蜂窩織炎/丹毒、すなわち、紅斑、浮腫及び/又は硬化の領域の広がりを特徴とする、びまん性皮膚感染;大きな膿瘍、すなわち膿瘍の末梢縁部からの最短距離で、少なくとも5cm広がっている、周囲の紅斑、浮腫及び/又は硬化を伴う、真皮内又はより深部に膿汁の集まりを特徴とする感染症;(4)無作為化前の24時間以内に、以下のうちの1つによって示される、全身性炎症応答の証拠を有したもの:白血球(WBC)数の増加(10,000個細胞/mm3以上)又は白血球減少(例えば、4,000個細胞/mm3以下);全末梢WBC数にかかわらない、未成熟好中球の増加(15%以上のバンド形態);リンパ球への浸潤:適格性のある感染に起因するドレナージを示唆した位置に近位の及びその位置のリンパ管炎又はリンパ節症;及び治験責任医師によって立証される発熱又は低体温(38.0℃[100.4°F]超又は36.0℃[95.5°F]未満の温度)。
【0250】
スクリーニング期の間に、対象の適格性、及び各対象に対するベースライン特徴(検討下で、感染に関連する病歴に対して特定の注意を払う、総括的な病歴及び身体検査に基づく)を確立した。対象は、それらが、ABSSSIの兆候及び症状を呈している場合に、スクリーニングに適格性があった。例えば、スクリーニング評価時に、ABSSSIのタイプ:選択基準において定義される、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒又は大きな膿瘍を記録した。適格となるために、隣接関連組織の全表面積(すなわち、周辺紅斑、浮腫及び/又は硬化)において75cm2以上でなければならない。
【0251】
感染の原発部位の解剖構造学的位置も記録した。感染の複数の非隣接領域を有する対象の場合、最も深刻に影響を受けた部分は、スクリーニング時に特定し、原発性病変部位として指定した。感染部位に存在する任意の異物(例えば、木材、金属、プラスチックなど)の存在及び性質に注目した。感染の原発部位に関する以下の情報を記録した:原発性病変部位に近位のリンパ節症の存在;及び原発性病変部位に近位のリンパ管炎の存在;原発性病変部位からのドレナージの存在、及び説明(漿液状/漿液血液状、漿液膿性又は化膿性)。以下の特徴に対する感染の半定量的(なし、軽度、中度、重度)説明:圧痛、浮腫、紅斑及び硬化も得た。
【0252】
病変サイズのスクリーニング評価測定値は、無作為化する前の4時間以内に採集した。病変の表面積は、隣接関与(紅斑、浮腫及び/又は硬化)を含む、病変の全体の頭部から先端部までの最大長さと最大幅と(最大長さに対して垂直)とを乗算することにより算出した。治験責任医師の定規による測定値を使用して、病変サイズを立証することができた。
【0253】
さらに、各対象は、原発性ABSSSI病変部位における疼痛の数値的評価尺度(0~10)などの疾患状況及び処置有効性に関連するある種の転帰又はパラメータ;SF-36v2(登録商標)健康調査(これは、特定の状態又は疾患に着目した、疾患に特異的な健康調査とは反対に、年齢(18歳以上)、疾患及び処置群の全体で使用され得るので、一般健康調査とも称した)を報告するように求められた。さらに、尿のディップスティックが、スクリーニング時に施設で行われた。
【0254】
選択基準を満たした対象、及び除外基準を満たさなかった対象を、処置群に無作為に割り当て、無作為化後、4時間以内に、施設において、試験物品のその最初の用量の投与を受けた。
【0255】
対象は、以下の2つの処置群のうちの1つに無作為化された(1:1):
【0256】
・ 調査的治療:オマダサイクリン450mgを、2用量で24時間ごと(q24h)に、p.o.で、次いで、300mgをp.o.でq24h。全処置期間は7~14日間である。
・ 基準治療法:リネゾリド600mgを、12時間ごと(q12h)に、p.o.。全処置期間は7~14日間である。
【0257】
本検討は、活性なオマダサイクリン錠剤にサイズ及び形状が適合する、及びオーバーカプセル封入したプラセボ及びオーバーカプセル封入した活性なリネゾリド錠剤に適合するオマダサイクリンプラセボ比較錠剤を使用する、二重盲検の二重ダミー設計を使用した。二重盲検化を維持するため、両方の群の対象は、同数の錠剤を服用した。
【0258】
二重盲検の処置期間は、現在の実験に準拠し、7~14日間の期間に設計した。以下の表は、安全性集団における、実際の検討薬物の曝露の要約である:
【0259】
【0260】
曝露期間の百分率は、少なくとも1回の用量を服用した対象に基づいた。日数での検討薬物の曝露期間=最後の用量の日-最初の用量の日+1
【0261】
試験物品の用量はすべて、水と共に摂取された。経口オマダサイクリンに及ぼす食物の影響のため、奇数回で用量を投与するには、絶食が要求された。これらの絶食要件は、対象がその用量を服用する日時を決定する際に考慮した。
II.有効性及び評価
【0262】
処置の完了後の2回の訪問時、検討治療の対象の最後の日の7~14日後にあたるPTE(治療後評価)訪問時、及び処置の最初の用量の30~37日後にあたる、最終的な経過観察アセスメント時に、対象を評価した。最終的な経過観察アセスメントは、電話による接触により、或いはPTE訪問時若しくはその後に、臨床的成功と見なされて、留意されるAE若しくは臨床的に有意な検査又はECGの異常を有していなかった対象の場合、別の双方向技術により行うことができた。そうでない場合、このアセスメントは、対面での検討訪問により行った。
【0263】
有効性の解析は、重要アセスメントの以下のリストに基づいた:
・ 感染部位の臨床的アセスメント
・ 病変サイズのアセスメント
・ 補助的外科手順の必要性のアセスメント
・ 感染の微生物学的アセスメント
・ 治験責任医師による臨床応答のアセスメント
・ 全死因死亡のアセスメント
【0264】
それぞれは、以下にさらに詳細に記載されている。
a.感染部位の臨床的アセスメント
【0265】
感染部位の臨床的アセスメントは、スクリーニング時及び最終的な経過観察アセスメントを除く予定される各評価時に行った。感染部位の臨床的アセスメントは、最初の用量の後の48~72時間以内に行った。感染の原発部位を検査し、以下の情報を記録した:原発性病変部位からのドレナージの存在、及び説明(漿液状/漿液血液状、漿液膿性又は化膿性);及び以下の特徴(圧痛、浮腫、紅斑及び硬化)に対する感染の半定量的(なし、軽度、中度、重度)説明。
b.病変サイズのアセスメント
【0266】
定規による病変の測定は、スクリーニング時及び最終的な経過観察アセスメントを除く予定される各評価時に行った。
【0267】
病変の表面積は、隣接関与(紅斑、浮腫及び/又は硬化)を含む、病変の全体の頭部から先端部までの最大長さと最大幅(最大長さに対して垂直)とを乗算することにより算出した。治験責任医師の定規による測定値を使用して、病変サイズを立証した。
c.感染部位の微生物学的アセスメント
【0268】
スクリーニング訪問時に、感染部位から物質を採集し、グラム染色及び培養のため、施設の現地微生物学検査室に提出した。提出された検体のタイプを記録した。グラム染色に関する検査報告には、低倍率視野(すなわち100×)による多形核白血球数の半定量的説明、及び観察された細菌の説明を含んだ。血液培養物はまた、同時に起こる菌血症を評価するために行った。
【0269】
感染部位は治療に応答するので、反復培養は、臨床的に適切にはなり得ない、及び/又は培養するための物質は存在し得ない。EOT及び/又はPTE訪問時には、感染部位の検体培養物及びグラム染色は、臨床的に失敗し、検討下で、感染に対する代替的な抗菌性処置を必要とする対象のみについて得た。
【0270】
施設の現地検査室に提出されたすべての検体は、好気性培養、及び適切な場合、嫌気性培養について評価した。培養結果には、一次培養プレート上の生物の半定量的説明、並びに属及び種のレベルに対するすべての分離株の特定が含まれた。リネゾリドに対する感受性試験は、検査室で選択された標準的方法を使用して、現地で行われた。この試験の結果は、治療法を案内する一助となる臨床的知見と共に使用した。
【0271】
感染部位の検体又は血液から特定された細菌の分離株はすべて、属及び種の照合を行うため、並びにオマダサイクリン、リネゾリド、及び現在承認されている抗生物質のパネルに対して行われる標準最小発育阻止濃度(MIC)を試験するため、中央検査室に提出した。
【0272】
グラム陰性、又は嫌気性微生物、又はリネゾリドに非感受性であった微生物であるという証拠がある場合に、試験物品を継続する又は中止する、並びに抗菌レジメンを変更するという決定は、治験責任医師の臨床的判断に基づいて行われ、ソース文書に記録された。d.臨床転帰のアセスメント
【0273】
臨床転帰のアセスメントは、以下に記載されている、早期臨床応答アセスメント(プログラムによる)、EOT及びPTE時に行った。
i) 早期臨床応答アセスメント時における検討下での感染の評価
【0274】
早期臨床応答アセスメント時における、治療法に対する応答の正式決定(試験物品の最初の用量の48~72時間後)は、病変の測定値を使用してプログラムにより行った。
【0275】
早期臨床応答アセスメント時における「臨床的成功」は、以下のうちの3つすべてを満足するものとして定義した:対象が生存している;原発性病変のサイズが、スクリーニング測定値に比べて、任意の代替的(レスキュー)抗菌治療を受けなくとも、20%以上、縮小した;及び対象は、臨床的失敗又は不確定(定義は以下を参照されたい)に対するいずれの基準も満足しなかった。
【0276】
「臨床的失敗」は、以下の基準のいずれかを満足するものとして定義した:原発性病変のサイズが、スクリーニング測定値と比べて、20%以上、縮小しなかった;感染が不適切に応答して、代替的(レスキュー)抗菌治療が必要となるという決定に基づいて、試験物品を中止した;対象は、検討中に1つの細菌に由来する様々な感染のために、検討中の感染に有効となり得る抗菌治療を受けた;対象は、早期臨床応答アセスメント前に試験物品の中止が必要となったAEを発症し、代替(レスキュー)抗菌治療が必要であった;又は早期臨床応答アセスメント前に死亡した。
【0277】
「不確定」は、以下の理由のため、試験物品に対する臨床応答が、適切に推測され得ない場合に与えた:対象が同意を取り消したので、早期臨床応答アセスメントに現れず、経過観察ができなかった、又は他の理由。
ii) EOT時における検討中の感染の臨床評価
【0278】
EOT訪問時(試験物品の最後の用量の当日、又はその2日後以内)に、感染未満の臨床的状態が、以下に詳述されているように示された。
【0279】
処置(EOT)アセスメントの終了時の「臨床的成功」は、以下を満足すると定義した:対象は生存した;及び、さらなる抗菌治療を必要としないほど十分に感染が解決された(これらの対象は、補助的(すなわち、非抗生物質による)処置、例えば、回復中の創傷上の包帯、未感染組織のデブリードメント(すなわち、壊死)を必要とする感染に関連するいくらかの残留変化を有することがある)。
【0280】
臨床的失敗は、以下の基準のいずれかを満足するものとして定義され、臨床的失敗の主要な理由を指定した:感染が不適切に応答して、代替的(レスキュー)抗菌治療が必要になるという決定に基づいて、試験物品を中止した;対象は、検討中に1つの細菌に由来する様々な感染のために、検討中の感染に有効となり得る抗菌治療を受けた;又は対象は、計画された試験物品レジメンの完了前に試験物品の中止が必要となったAEを発症し、代替(レスキュー)抗菌治療が必要であった;検討中の感染のため、計画していなかった大規模な外科的介入(すなわち、ベッドの脇で通常、行われない手順);対象が評価前に死亡した;又はその他。
【0281】
「不確定」は、試験物品に対する臨床応答が、適切に推測され得ない場合に与えた。該当するすべてが記される:対象が同意を取り下げたので、EOTアセスメントに現れず、経過観察ができなかった、又は他の理由。
iii) PTE時における検討中の感染の臨床評価
【0282】
治療後の評価であるPTE訪問時(対象の検討治療の最後の日の7~14日後)に、検討中の原発性感染に関連する以下の転帰の1つが示された:
【0283】
治療後評価アセスメント時の「臨床的成功」は、以下を満足するものとして定義した:対象が生存した;さらなる抗菌治療を必要としないほど十分に感染が解決された(これらの対象は、補助的(すなわち、非抗生物質による)処置、例えば、回復中の創傷上の包帯、未感染組織のデブリードメント(すなわち、壊死)を必要とする感染に関連するいくらかの残留変化を有することがある)。
【0284】
「臨床的失敗」は、以下の基準のいずれかを満足するものとして定義され、臨床的失敗の主要な理由を指定した:感染は、代替的(レスキュー)抗菌治療による追加の処置を必要とした;対象は、検討中に1つの細菌に由来する様々な感染のために、検討中の感染に有効となり得る、EOTとPTEとの間に抗菌治療を受けた;検討中の感染のため、EOTとPTEとの間に、計画していなかった大規模な外科的介入(すなわち、ベッドの脇で通常、行われない手順);対象が評価の前に死亡した;及びその他。
【0285】
「不確定」は、試験物品に対する臨床応答が、適切に推測され得ない場合に与えた。該当するすべてが記された:対象が同意を取り下げたので、PTEアセスメントに現れず、経過観察ができなかった、及び他の理由。
【0286】
III.薬物動態検討
PKデータは、集団PKモデルを使用して解析した。集団PKモデルに対するスパースサンプリング法を使用して、PK解析用の血液試料を採集した。試料数及び採集スケジュールは、個々の対象に対して様々である。2日目と3日目の間に、対象あたり最大で4つの血液試料を採集した。その目的のため、新しい静脈穿刺により、又はカニューレだけを使用して、血液を採集した。試験物品のすべての用量及びPK試料の採集に関する日時を記録した。対象が誰であるか、試料数、及び最も近い分数での試料採集の時間を採集管に直ちに記録した。この管を10分間、1500×gで遠心分離にかけた。分離した血漿を、2つの等しい一定分量で予めラベルを付けた管に移した。この管を採集して60分以内に、-70℃に凍結した。試料が凍結した時間を、最も近い分数で記録した。
【0287】
オマダサイクリンの試料は、特定の感度の高いバリデーション済み液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS/MS)法を使用して分析した。
【0288】
IV.安全性のモニタリング
有害事象(AE)は、試験物品を投与されたヒト又は臨床検討において発生した、兆候、症状、疾患、又は検査若しくは生理学的観察の形態の、予期しなかった、望ましくない又は計画していなかった任意の事象である。事象は、試験物品又は臨床検討との因果関係を必要としない。AEには、以下に限定されないが、以下を含む:既に存在している状態の任意の臨床的に深刻な悪化;偶然であるか又は意図的なものであるかにかかわらず、試験物品の過剰摂取から発生したAE;過剰摂取は、プロトコルにおいて指定された用量を超える用量である;試験物品の乱用(例えば、非臨床的理由のための使用)から生じるAE;及び試験物品の使用の中止に関連したAE。
【0289】
AEの重症度(又は強度)は、以下の基準を使用して分類した:
【0290】
軽度:これらの事象は、通常、一時的な、最小限の処置を必要とするか、又は処置を必要とせず、対象の日常の活動の妨げとならなかった。
【0291】
中度:これらの事象は、不便さ又は治療的手段に関する懸念のレベルは低かった。中度の事象は、正常機能のある程度の妨げをもたらす恐れがあるが、損傷の深刻なリスクも恒久的リスクも引き起こさない。
【0292】
重度:これらの事象は対象の通常の日常生活の妨げとなり、全身性薬物治療又は他の処置を必要とすることがある。重度な事象は、通常、正常な機能を失わせるものであった。
【0293】
深刻な有害事象(SAE)は、死亡に至る;生命を脅かす(以下を参照されたい);入院を必要とするか、又は現在の入院を長期化させる(以下を参照されたい);永続性又は深刻な身体障害又は機能喪失をもたらす(以下を参照されたい);先天性奇形又は出生異常をもたらすAEである。さらに、死亡に至る恐れのない、生命を脅かす恐れのない、又は入院を必要としない、重要な医療的事象は、適切な医療的判断に基づいて、事象が対象を危険にさらし、この定義において、上で列挙した転帰のいずれか1つを予防するために、医療的又は外科的介入を必要とし得る場合、SAEと見なすことができる。そのような事象の例には、緊急治療室又は自宅で集中処置を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院には至らない血液疾患若しくは発作、又は薬物依存若しくは薬物乱用の発症が含まれる。
【0294】
生命の危険を脅かすとは、事象が報告者により発生すると、差し迫った死亡リスクがあることを指す。生命の危険を脅かす経験は、一層重度な形態で発生するので、死亡を引き起こす恐れがあるが、実際に発生した場合、即座の死亡リスクを生じない経験は含まない。
【0295】
入院は、病院へ公式な受け入れである。入院又は入院の長期化は、AEが深刻であるかの基準を構成するものであるが、それ自体、SAEとは見なされない。AEの非存在下で、入院又は入院の長期化は、参加治験責任医師によって、SAEとして報告されなかった。これは以下の状況における例である:入院又は入院の長期化が、プロトコルにより必要とされる手順にとって必要であった;入院又は入院の長期化が、型通りの手順の一部であり、続いて中心的となる(例えば、術後のステント除去);及び悪化しなかった既に存在している状態のための入院。
【0296】
障害は、正常な生命機能を行うためのヒトの能力の実質的な破壊として定義される。情報がSAEを構成するかどうかに関する疑いがなんらか存在する場合、この情報は、SAEとして取り扱われる。
【0297】
対象のAE及びSAEが報告され、インフォームドコンセント用紙の署名から最終的な経過観察アセスメントの時間まで報告された。対象は、この期間の間に、AE及びSAEを報告するよう指示された。対象に最後に接触した後の30日以内の死亡の報告は、治験依頼者に報告され、死亡の原因に関連する追加情報が求められて、文書化された。
【0298】
対象は、事象が弱まって、状態がベースラインまで戻る、又は恒久的な障害の場合、状態が安定化するまで、AE及びSAEのすべてに関する医療上の必要なものとして追跡調査された。
【0299】
AEは、対象の身体検査の間、及び臨床評価について検出された、兆候又は症状に基づいた。AEは、外科的手順又は診断的手順を必要とするので、これらの手順に至らしめる疾病は、手順自体ではなく、AEとして記録された。死亡は、AEの転帰として記録された。対象へのいかなる予期しないリスクも速やかに報告された。
【0300】
すべてのAE及びSAEに対する、関連性、因果関係(すなわち、試験物品が事象を引き起こした妥当な可能性が存在するかどうか)に関することを評価した。関連性は、以下の分類を使用して特徴づけた:
・ 無関係:この関係は、試験物品と報告された事象との間に関連性がないことを示唆した。事象は、基礎的な医療的状態、同時治療又は事故などの、他の要因により説明することができ、試験物品と事象との間に、考えられる時間的又は生物学的な関係は存在しなかった。
・ 関係がある:この関係は、試験品の投与とAEとの間に明白な因果関係が存在すること、又は事象が検討医薬により引き起こされた妥当な可能性が存在すること、及び他の条件(併発疾病、疾患状態の進行/発現、又は同時投薬の反応)が事象を説明できないように思われたことを示唆した。
【0301】
AE及びSAEはまた、プロトコルに対するその潜在的な関係も評価した。プロトコルに関連する有害事象は、試験物品に関連しないものであるが、治験責任医師又は医療監視者(又は、被指定人)によって、研究条件に関連している、すなわち対象が試験に参加しているという事実に関連していると見なされた。例えば、プロトコルに関連するAEは、プロトコルによって必要とされた医療的手順に関連する、予期しなかった事象であることがある。AEの重症度(又は強度)は、以下の基準を使用して分類した:
【0302】
・軽度:これらの事象は、通常、一時的な、最小限の処置を必要とするか、又は処置を必要とせず、対象の日常の活動の妨げとならなかった。
・中度:これらの事象は、不便さ又は治療的手段に伴う懸念のレベルは低かった。中度の事象は、正常機能のある程度の妨げをもたらす恐れがあるが、損傷の深刻なリスクも恒久的リスクも引き起こさない。
・重度:これらの事象は対象の通常の日常生活の妨げとなり、全身性薬物治療又は他の処置を必要とすることがある。重度な事象は、通常、正常な機能を失わせるものであった。
【0303】
AEの重症度の変化は、新規事象として文書化されて、強度の各レベルにおける事象の期間のアセスメントを行うことが可能となった。
【0304】
プロトコルにより定義された安全性の検査試験の結果は、特定の検査安全性解析の一部として解析した。他の時間点における、さらなる検査試験の結果は、標準臨床実践の一部として利用可能となり得る。本検討全体を通じて、検査に関連する異常は、対象のベースラインアセスメント及び臨床的過程をもたらす予期値の範囲の外側に臨床的に有意性があると見なされた場合のみ、AEとして記録され、別のAE診断の一部として認識されなかった。
【0305】
本検討における登録に対象が適格であるとする皮膚感染(適格「ABSSSI」)は、この感染の進行に関するデータが、有効性解析の一部としてとらえられるので、特有なものであった。したがって、悪化/進行が深刻なAEに対する基準をやはり満たさない限り、適格ABSSSIの悪化又は進行は、AEというとりはむしろ、臨床的失敗として記録された(有効性アセスメントの一部として)(この場合、この事象もやはり、SAEとして報告された)。対照的に、治験責任医師が、適格ABSSSIとは区別すると見なした、任意の新規な感染又は二次的感染(例えば、異なる解剖学的構造位置における、二次的皮膚膿瘍)は、重症でなかろうが、重症であろうが、すべての場合においてAEとして報告された。
【0306】
V.データ解析
データの解析はすべて、医薬品規制調和国際会議(ICH-E9)、及び治験依頼者の指針書、及び標準に従った。統計解析は、統計解析ソフトウェア(SAS)を使用して行った。
【0307】
模擬表、図及びリスト(TFL)シェル(shell)を含む、以下の項目に組み込んだSAPを、検討の開始前に用意した。この計画は、分析用集団、すべてのデータの取り扱い規約、並びに安全性及び有効性を解析するために使用するよう指定した統計学的方法を規定した。一次有効性転帰及び統計解析を選択するための様々な規制要件の結果として、2つの個別のSAPを用意した(それぞれ1つずつFDA及びEMA用)。以下の項目は、全体の構成、及び解析手法を表示している。
【0308】
一次及び二次転帰の推理的統計解析は、以下に概説した通りに行った。カテゴリー変数、及び数、平均、標準偏差(SD)、メジアン、連続変数に対する最小値及び最大値を含む記述統計学を用意した。比較はすべて、オマダサイクリン対リネゾリドに関するものであった。探索的解析も行うことができた。個々の対象のデータのリストを生成した。
分析集団
【0309】
いくつかの対象の解析集団は、有効性及び安全性の様々な解析を行うため、以下の通り定義した:
【0310】
インテントトゥトリート(ITT)集団は、すべての無作為対象からなった。
【0311】
安全性集団は、試験物品を受けたすべての無作為対象からなった。
【0312】
修正インテントトゥトリート(mITT)集団は、スクリーニング時に、グラム陰性単独で原因となる病原体のない、すべての無作為対象からなった。
【0313】
微生物学的に修正されたインテントトゥトリート(マイクロ-mITT)集団は、スクリーニング時に、少なくとも1種のグラム陽性原因性病原体(例えば、血液培養物から、又はベースラインにおける原発性ABSSSI部位から得られた微生物試料の培養物から特定した細菌病原体)を有したmITT集団の対象からなった。
【0314】
臨床的評価が可能(CE)な集団(CE-PTE及びCE-EOT)は、試験物品の少なくとも1回の用量の投与を受け、適格ABSSSI、PTE/EOT訪問時に、不確定の臨床応答のない、治験責任医師による臨床応答のアセスメントを有し、かつ必要なアセスメントに関連する特定の基準を満たした、すべてのmITT対象からなった。
【0315】
生物学的評価が可能(ME)な集団は、スクリーニング時における、少なくとも1種のグラム陽性原因性病原体を有したCE集団の対象を含んだ(すなわち、マイクロ-mITT及びCE-PTE/EOT集団の両方におけるすべての対象)。
【0316】
上記で定義した検討に参加した様々な対象集団を、以下に要約する。
【0317】
【0318】
ITT集団における対象配置を以下に要約する:
【0319】
【0320】
mITT集団における対象配置を以下に要約する:
【0321】
【0322】
CE-PTE集団における対象配置を以下に要約する:
【0323】
【0324】
安全性集団の人口学的及びベースライン特徴を、以下に要約する。
【0325】
【0326】
mITT集団の人口学的及びベースライン特徴を、以下に要約する。
【表18】
【0327】
mITT集団におけるベースラインでの原発性ABSSSI感染部位を以下に要約する。
【0328】
【0329】
マイクロmITT集団における属及び種による、ABSSSI部位又は血液培養物に由来するベースライン病原性生物を以下に要約する:
【0330】
【0331】
上記の表では、百分率は、各処置群における対象数に基づいた。多重検体から単離された同一病原体を有する対象は、その病原体に対して一度だけ計数した。血液と初代ABSSSI培養物の両方から特定した同一病原体を有する対象は、一度だけ計数した。MRSA及びMSSAは、個別の病原体と見なした。VRE及びVSEは、個別の病原体と見なした。黄色ブドウ球菌の対象あたりの数が表示されている場合、MRSAとMSSAの両方を有する対象は一度だけ計数した。各エンテロコッカス属種の対象あたりの数が表示されている場合、VREとVSEの両方を有する対象は一度だけ計数した。単なる代表的な、又は最も豊富に存在する属/種を示した。
【0332】
一次有効性解析
すべての有効性解析に関すると、対象データは、対象が無作為化された群において解析した。FDAとEMAの両方に対する一次解析に関すると、対象は、対象が無作為化された階層において解析した。
【0333】
早期臨床応答は、臨床的成功、臨床的失敗及び不確定(既に定義した)とすることができる。不確定応答は、mITT集団における臨床的成功を有する対象の百分率を算出するための分母に含まれ、したがって、FDAのための一次解析の目的の場合、臨床的失敗として実質的に見なした。
【0334】
PTE有効性変数における治験責任医師による臨床応答のアセスメントは、mITT集団における、臨床的成功、臨床的失敗及び不確定(既に定義した)となる転帰、並びにCE集団における臨床的成功及び臨床的失敗により、PTE訪問時の治験責任医師による臨床応答のアセスメントとして定義した。EOTにおける臨床的失敗の応答を有する対象は、PTEにおける臨床的失敗として定義した。不確定応答は、mITT集団における臨床的成功を有する対象の百分率を算出するための分母に含まれ、したがって、EMAのための一次解析の目的の場合、臨床的失敗と実質的に見なした。
【0335】
オマダサイクリンの有効性が、ABSSSIを有する成人対象の処置において、リネゾリドに非劣性であることを実証するため、以下の仮説を臨床成功率の解析によって評価した。
【0336】
早期臨床応答エンドポイントに対する帰無仮説及び対立仮説は、以下の通り、mITT集団において評価した。
Ho:θT-θC≦-Δ
Hai:θT-θC >-Δ
(式中、オマダサイクリンレジメンの臨床成功率はθTであり、リネゾリドの臨床成功率はθCである)。
【0337】
Δは、非劣性(NI)マージンであり、0.10である。
【0338】
類似の帰無仮説及び対立仮説は、PTEエンドポイントに対して、0.10のΔで設定することができる。早期臨床応答(FDA)エンドポイントの場合、臨床成功率の差異(差異の点推定値を使用した:オマダサイクリン応答率-リネゾリド応答率)に対する両側95%信頼区間(CI)への手法を使用して、mITT集団におけるリネゾリド群と比較したオマダサイクリンの群のNIを試験した。95%CIは、Miettinen及びNurminenによって提唱された無階層法を使用して算出した。オマダサイクリンは、CIの下限が-0.10より大きい場合(すなわち、-10%)、リネゾリドに非劣性と見なされる。
【0339】
mITTとCE集団の両方における、PTE(EMA)一次有効性解析における治験責任医師による臨床応答のアセスメントの場合、臨床成功率の差異(差異の点推定値を使用した:オマダサイクリン応答率-リネゾリド応答率)に対する両側95%CI手法を使用して、リネゾリド群と比較したオマダサイクリンの群のNIを試験した。95%CIは、Miettinen及びNurminenによって提唱された階層化(無作為化階層化因子に対する)法を使用して算出した。オマダサイクリンは、CIの下限が-0.10より大きい場合(すなわち、-10%)、リネゾリドに非劣性と見なす。
【0340】
PTEにおける早期臨床応答及び治験責任医師による臨床応答のアセスメントは、個別に試験し、共一次エンドポイントではなかった。PTE有効性に基づいた有効性のない薬物を承認する確率は、早期臨床応答エンドポイントに対する結果にかかわらず2.5%であり、その逆でもある。少なくとも1つのエンドポイントの獲得によりグローバル承認される場合、調整しか必要としないであろう。さらに、NIは、NIを結論づける両方の集団において示されなければならないので、EMA(mITT及びCE集団)に対する共一次有効性エンドポイントに、アルファ調整を必要としない。したがって、複数のエンドポイントに対して調整はなかった。
【0341】
mITT集団における、試験物品(オマダサイクリン又はリネゾリド)の最初の用量の48~72時間後における早期臨床応答を以下に要約する。
【0342】
【0343】
上の表において、CI=信頼区間である;差異は、オマダサイクリン群とリネゾリド群との間の早期臨床成功率の観察される差異である。95%CIは、階層化しない、Miettinen及びNurminen法に基づいて構築した。百分率は、各処置群における対象数に基づいた。
【0344】
オマダサイクリンとリネゾリドの両方に対する、mITT集団における早期臨床成功率(48~72時間時)が、
図6に図示されている。一番左側の一対の棒を参照されたい。これらのデータは、臨床成功率の観察された5.0%の差異は、95%CI(信頼区間)で、-0.2%~10.3%の間の統計学的非劣性の10%マージンの範囲内に十分にあり、したがって、一次有効性ポイント(FDAの承認のため)を満足する。
【0345】
マイクロmITT集団における、ABSSSI部位又は血液培養物に由来するベースライン病原体による、試験物品(オマダサイクリン又はリネゾリド)の最初の用量の48~72時間後における早期臨床応答を、以下に要約する:
【0346】
【0347】
上の表において、N1=ベースライン病原体を含む処置群におけるマイクロmITT集団における対象数;n=特定の分類における対象数。百分率は、N1に基づいた。多重検体から単離された同一病原体を有する対象は、その病原体に対して一度だけ計数した。血液と初代ABSSSI培養物の両方から特定した同一病原体を有する対象は、一度だけ計数した。百分率は、表示した病原体を有する対象数に基づいた。単なる代表的な、又は最も豊富に存在する属/種を示す。
【0348】
劣性の帰無仮説が、mITT集団における早期臨床応答に不合格となり、オマダサイクリンに対する観察された成功応答率が、リネゾリドの場合に観察される率よりも高い場合、優位性の形式統計解析を行う。処置による差異に対して両側95%CIの下限値が、0%より高い場合、オマダサイクリンは、リネゾリドより優れていると見なす。
【0349】
一次有効性転帰は、感染のタイプ、及び処置群による無作為化階層の72時間前に、許容される抗菌治療の受け入れという階層化因子全体にわたって個別に評価した。感染の階層の各タイプ及び以前の各抗菌治療の階層に関すると、早期臨床応答率における観察される差異に関する両側95%CIを、mITT集団に対して算出した。一次有効性転帰のさらなる部分群の解析を、記述的分析として行うことができる。
【0350】
層別化因子全体にわたるこれらの個別のアセスメントの結果を以下に要約する。
【0351】
具体的には、mITT集団における、試験物品(オマダサイクリン又はリネゾリド)の最初の用量の48~72時間後における、感染のタイプによる早期臨床応答を、以下に要約する:
【0352】
以下の表において、CI=信頼区間である;差異は、オマダサイクリン群とリネゾリド群との間の早期臨床成功率の観察される差異である。感染の各タイプの範囲内の95%CIは、階層化しない、Miettinen及びNurminen法に基づいて構築した。百分率は、感染の各タイプの範囲内の各処置群における対象数に基づいた。[1]感染の実際のタイプ=eCRFに記録された感染のタイプ。
【0353】
【0354】
mITT及びCEPTE集団における治験責任医師のアセスメントに基づいた、PTE訪問時の全臨床応答を以下に要約する。
【0355】
【0356】
CI=信頼区間である;差異は、オマダサイクリン群とリネゾリド群との間のPTEにおける全臨床成功率の観察される差異である。[1]95%CIは、階層化しない、Miettinen及びNurminen法に基づいて構築した。[2]95%CIは、階層化重みとしてコクラン-マントル-ヘンツェル重みを使用して、階層化を伴うMiettinen及びNurminen法に基づいて、感染のタイプ及び以前の抗生物質の服用に関して調整した。[2]に関すると、以前の抗生物質のサブグループの服用を1つの群に一緒にした。感染のタイプを一緒にしなかった。PTEにおける全臨床応答は、EOT及びPTE訪問時の治験責任医師のアセスメントに基づいた。百分率は、各処置群における対象数に基づいた。
【0357】
オマダサイクリンとリネゾリドの両方に関する、mITT PTE集団及びCE-PTE集団の治験責任医師のアセスメントに基づいて、PTE訪問時の全臨床成功率/応答率もまた、
図6に図示されている。中央(mITT PTE)及び一番右(CE-PTE)の一対の棒を参照されたい。これらのデータにより、mITT PTE集団における全臨床応答率の観察される3.3%の差異は、95%CI(信頼区間)における、-2.2%と9.0%(階層化による)との間の、統計学的非劣性の10%マージンの範囲内にあること、及びCE-PTE集団における全臨床応答率の観察される2.3%の差異は、95%CI(信頼区間)における、-0.5%と5.8%(階層化による)との間の、統計学的非劣性の10%マージンの範囲内にあることが示される。したがって、共一次有効性ポイント(EMA承認のため)も満足する。
【0358】
mITT集団における感染のタイプによる、治験責任医師のアセスメントに関するPTE訪問時の全臨床応答を以下に要約する。
【0359】
【表25】
CI=信頼区間である;差異は、オマダサイクリン群とリネゾリド群との間のPTEにおける全臨床成功率の観察される差異である。感染の各タイプの範囲内の95%CIは、階層化しない、Miettinen及びNurminen法に基づいて構築した。百分率は、感染の各タイプの範囲内の各処置群における対象数に基づいた。
[1]感染の実際のタイプ=eCRFに記録された感染のタイプ。
【0360】
マイクロ-mITT集団におけるABSSSI部位又は血液培養物に由来するベースライン病原体による治験責任医師のアセスメントに基づいて、PTE訪問時の全臨床的成功を以下に要約する。
【0361】
【0362】
N1=ベースライン病原体を含む処置群におけるマイクロ-mITT集団における対象数。n=特定の分類における対象数。百分率は、N1に基づいた。多重検体から単離された同一病原体を有する対象は、その病原体に対して一度だけ計数した。血液と初代ABSSSI培養物から特定した同一病原体を有する対象は、一度だけ計数した。百分率は、表示した病原体を有する各処置群における対象数に基づいた。
【0363】
一次有効性転帰(PTEにおける、早期臨床応答及び治験責任医師による臨床応答のアセスメント)の追加的及び感度解析を行った(データを図示せず)。感度解析は、無作為化した階層に基づいた、及びそれとは別に対象が実際に属する階層に基づいた一次有効性転帰の調整した解析の実施、並びに不確定応答を有する対象のすべてが臨床的成功と見なされる解析の実施を含む。
【0364】
二次有効性解析
mITT及びCE集団における、PTEでの治験責任医師のアセスメントにより(不確定応答を有する対象がCE集団から除外されるという定義による)、臨床的成功、臨床的失敗及び不確定として分類される対象の数及び百分率を、各処置群について算出した。Miettinen及びNurminenの方法を使用して、臨床成功率の観察される差異に関する両側未調整95%CIを構築した。mITT及びCE集団中の、PTEにおける治験責任医師による臨床応答のアセスメントに関すると、両側95%CIは記述的目的のためだけのものであり、NIの結論づけは行わなかった。
【0365】
マイクロ-mITT集団に関して、早期臨床応答に対する、各応答分類における各処置群中の対象の数及び百分率を提示した。ME集団における、PTE訪問時の治験責任医師によって、臨床的成功及び臨床的失敗として分類された対象の数及び百分率を算出した。Miettinen及びNurminenの方法を使用して、臨床成功率の観察される差異に関する両側未調整95%CIを構築した。
【0366】
病原体(グラム陰性原因性病原体及びMRSAを含む)による臨床的成功のPTEにおける、成功した早期臨床応答を有する対象の数及び百分率、並びに治験責任医師による臨床応答のアセスメントを、マイクロ-mITT及びME集団において得た。
【0367】
さらなる有効性変数の解析
一次及び二次転帰の有効性所見を支持するため、さらなる有効性解析を行った。CIは、記述的目的のために決定したが、NIの結論づけは行わなかった。
【0368】
ITT集団における試験物品の最初の用量の48~72時間後に、早期臨床的成功、臨床的失敗及び不確定として分類される対象の数及び百分率を算出した。Miettinen及びNurminenの方法を使用して、臨床成功率の観察される差異に関する両側未調整95%CIを構築した。
【0369】
mITT及びCE集団における、EOTでの治験責任医師のアセスメントにより(不確定応答を有する対象がCE集団から除外されるという定義による)、臨床的成功、臨床的失敗及び不確定として分類される対象の数及び百分率を、各処置群について算出した。Miettinen及びNurminenの方法を使用して、臨床成功率の観察される差異に関する両側未調整95%CIを構築した。
【0370】
適切な場合、臨床的兆候及び症状(圧痛、浮腫、紅斑、硬化及びドレナージ)のベースラインからの変化、臨床的兆候及び症状の完全な解決、温度、ABSSSI病変の測定値(病変領域の絶対的な低下率、例えば0~<5%、5~<10%、10~<20%、≧20%など)、及び検討訪問による全身性兆候を含めた記述的要約を提示した。
【0371】
試験物品の最初の用量の15日及び30日後における全死因死亡(ACM)を、ITT集団において要約した。経過観察ができなかった対象は、この分析の場合、死亡と見なす。致死率の観察される差異に関する両側未調整95%CIを、ACMに関して算出した。
【0372】
対象あたり及び病原体あたりの微生物学的転帰を、EOT及びPTE訪問時における、マイクロ-mITT及びME集団について得た。対象あたりの微生物学的に有利な転帰率の差異に関する、両側未調整95%CIを得た。
【0373】
mITT分析一式におけるPTEでの早期臨床応答及び治験責任医師による臨床応答のアセスメントの一致解析を示した。
【0374】
安全性転帰の尺度
安全性変数は、AE、バイタルサインの変化、ECGパラメータ、及び本検討の過程の間に得られた検査試験の結果を含む。安全性解析に関すると、実際に受けた処置に応じて、対象を解析した。
【0375】
要約表には、処置中に発生した有害事象(TEAE)のすべてが提示されている。TEAEは、試験物品の最初の用量時又はその後の開始日時のAEとして定義する。AEは、国際医薬用語集(MedDRA)を使用してコードされ、器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)により、各処置群に対してTEAEをそれぞれ有する対象の数及び百分率を表すことにより要約した。追加的な表は、SAE、重度のTEAE、試験物品に関連すると判断されたTEAE、試験物品の中止に至るTEAE、及び特に関心の持たれるTEAEを経験した対象のSOC及びPTによる要約を提示している。
【0376】
安全性集団におけるAEの概説が、以下に提示されている:
【0377】
【0378】
百分率は、安全性集団に基づいた。TEAEは、活性試験物品の最初の用量後に発生したAEとして定義する。
【0379】
安全性集団における、器官別大分類及び基本語によって、検討薬物の中止に至った処置中に発生した有害事象(TEAE)の要約が以下に提示されている。
【0380】
【0381】
器官別大分類及び基本語のコード化は、MedDRAバージョン17.1に基づいた。百分率は、安全性集団に基づいた。TEAEは、活性試験物品の最初の用量後に発生したAEとして定義する。対象が、同一MedDRA分類にコードされる2つ以上のTEAEを有した場合、その対象は、1回しか計数しなかった。
【0382】
安全性集団において、基本語による最も頻度の高い(≧2%)処置中に発生した有害事象(TEAE)のまとめが、以下に提示されている。
【0383】
【0384】
基本語のコード化は、MedDRAバージョン17.1に基づいた。百分率は、安全性集団に基づいた。TEAEは、活性試験物品の最初の用量後に発生したAEとして定義した。対象が、同一MedDRA分類にコードされる2つ以上のTEAEを有した場合、その対象は、1回しか計数しなかった。
【0385】
安全性集団において、最も頻度の高いGI処置中に発生した有害事象(TEAE)の要約が以下に提示されている。
【0386】
【0387】
器官別大分類及び基本語のコード化は、MedDRAバージョン17.1に基づいた。百分率は、安全性集団に基づいた。TEAEは、活性試験物品の最初の用量後に発生したAEとして定義した。対象が、同一MedDRA分類にコードされる2つ以上のTEAEを有した場合、その対象は、最高の重症度で1回しか計数しなかった。不明の重症度を有するTEAEは、表示しなかった。
【0388】
以下の変数を、記述的に解析した:訪問によるスクリーニングからの変化を含めた、バイタルサイン(収縮期及び拡張期BP、脈拍数、身体温度、呼吸数);訪問による臨床的に注目すべきバイタルサイン(SAPにおいて指定される事前に定義した基準を満足する)。注目すべきバイタルサインデータを有する対象を列挙した。
【0389】
ECGデータ(RR間隔、PR間隔、QRS間隔、QTc、QTc Bazettの補正式[QTcB]及びQTc Fridericiaの補正式[QTcF])を、予定された各評価時に、総合的なスクリーニング後最悪値(worst post-Screening value)について、記述的に要約した。12の誘導ECGを得た各訪問時におけるスクリーニングからの変化も得た。外れ値解析は、スクリーニング後最悪値に基づいて行った。
【0390】
以下の変数を、記述的に解析した:訪問による検査変数;訪問による検査変数のスクリーニングからの変化;及び、訪問による臨床的に注目すべき検査値(SAPにおいて指定される事前に定義した基準を満足する)。
【0391】
個々の対象の検査データのリストを生成した。臨床的に注目すべきものに関して事前に定義した基準を満足する値は、一覧表示内にフラグを付けた。
【0392】
薬物動態
集団PK解析を行い、PKパラメータを特徴づけた。1つ以上の定量化したオマダサイクリン濃度の決定値を有する対象を含めた、集団PKデータ一式を、投与日時、並びにすべての生物学的分析決定値及び対象の背景情報と一緒にした血液試料から構築する。血液試料又は用量に関する実際の日付又は時間が分からない場合、PK濃度の関連する生物学的決定値は、すべての解析から除外した。PKパラメータを算出するため、定量限界未満のオマダサイクリン濃度を要約統計における不明データとして処理した。
【0393】
重要であると以前に決定された他の共変数と共に、年齢(歳)、体重(kg)、性別及び人種/民族性を含めた変数を、集団PKデータベースに組み込んだ。集団解析データ一式における対象に基づいて、これらの変数に関するスクリーニング時の記述的要約を報告した。外れ値は、この解析から除外されてもよい。これらは、観察された濃度対報告された投与後時間の散布図によって決定した。対象あたりのモデルをベースとする解析に寄与する試料数の分布を表にした。同様に、検討日数又は週数によって、試料濃度に関する簡単な要約記述統計を算出した。
【0394】
集団PKモデル化に関すると、第1相試験からの結果により、オマダサイクリンPKは線形であること、及び静脈点滴後、血漿中濃度-時間プロファイルは、3コンパートメント配置を示すことが示された。したがって、可能性の高い構造PKモデルは、i.v.点滴に対して0次吸収過程(zero order input)、及びp.o.投与に対して一次吸収過程となる、3コンパートメントモデルになると思われる。このPKモデルは、パラメータクリアランス、分布容積、生体利用率及び吸収速度定数を含む。関連集団モデルは、非線形混合効果モデルである。この集団モデルは、個人差、及び同一対象に対応する観察全体にわたる類似性を認識するため、変量効果、及びPKパラメータに関する共変数を付け加える。集団のモデル化時に、以前に報告された構造PKモデルを最初に考慮する。付加誤差と比例的誤差とを組み合わせた、残余誤差モデルを最初に考慮する。このモデルに対する診断法が、偽収束を示唆する場合、単純化(例えば、ランダム効果がほとんどないか、又は代替残余誤差モデル)するのが適切となることがある。モデル診断法の一部として、さらなる共変数をグラフにより検討し(性別、人種/民族性、年齢)、一部は、最終モデルに保持され得、追加の変数は競合モデルに保持されて、ほぼ間違いなく重要ではない効果の推定値がもたらされる。観察される濃度対集団推定濃度及び個々の推定濃度との散布図を、適合性の総合的な質の総合アセスメントの一部として使用する。モデル化の間、FDAによって概要されている幅広い原理に従う。
【0395】
定常状態(曲線下面積[AUC]0-24、ss、最高血漿中濃度への時間[Tmax、ss]、最高血漿中濃度[Cmax、ss])における個々のモデルをベースとする曝露尺度を算出し、要約する。
【0396】
オマダサイクリン曝露と応答(有効性及び安全性)との間の関係は、適宜、データが吟味される。集団PKモデルを使用して、個々の対象のAUCを、続いて考えられるAUC/MICブレイクポイントを算出する。
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
細菌性皮膚又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、前記対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、1日1回の経口用量として、450mg又は600mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与される、方法。
[実施形態2]
前記1日1回の経口用量が、450mgであり、5日間以上連続して投与される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記1日1回の経口用量が、600mgであり、5日間以上連続して投与される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]
細菌性皮膚又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、前記対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、経口負荷用量で、次いで300~600mg(例えば、300mg、450mg又は600mg)の1日1回の経口用量で、前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、5日間以上投与される、方法。
[実施形態5]
前記経口負荷用量が、600mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の24時間前に投与される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
前記経口負荷用量が、450mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの1回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の24時間前に投与される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態7]
前記経口負荷用量が、300mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態8]
前記経口負荷用量が、450mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、12時間前及び24時間前に投与される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態9]
前記経口負荷用量が、600mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態10]
前記経口負荷用量が、450mgの前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの2回の経口用量から実質的になり/経口用量からなり、300mg、450mg又は600mgの最初の前記1日1回の経口用量の、それぞれ、24時間前及び48時間前に投与される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態11]
細菌性皮膚又は皮膚組織感染を処置することを必要とするヒト対象を処置する方法であって、前記対象が処置されるよう、前記対象に有効量の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩を経口投与するステップを含み、前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが2日間連続して1日あたり約450mgの用量で、次に5日間以上、1日あたり約300mgの用量で経口投与される、方法。
[実施形態12]
細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、大きな膿瘍、フルンケル/腫物、癰、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)又は膿瘡である、実施形態1から11のいずれかに記載の方法。
[実施形態13]
細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、急性細菌性皮膚及び皮膚組織感染症(ABSSSI)である、実施形態1から11のいずれかに記載の方法。
[実施形態14]
ABSSSIが、市中感染型ABSSSIである、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]
ABSSSIが、創傷感染、蜂窩織炎/丹毒、及び/又は大きな膿瘍を含む、実施形態14に記載の方法。
[実施形態16]
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、以下に限定されないが、外傷、外科手順又はIV薬物使用を含めた皮膚損傷の結果である、実施形態1から15のいずれかに記載の方法。
[実施形態17]
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、血管不全又は浮腫の結果である、実施形態1から15のいずれかに記載の方法。
[実施形態18]
前記ヒト対象に、絶食状態下で9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが投与される、実施形態1から17のいずれかに記載の方法。
[実施形態19]
前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが、1日1回投与される(例えば、各経口用量は、約24時間空けて投与される)、実施形態1から18のいずれかに記載の方法。
[実施形態20]
前記対象が処置されるよう、前記対象が、最大約14日間(これを含む)、最大約10日間(これを含む)、最大約9日間(これを含む)、最大約8日間(これを含む)、又は最大約7日間(これを含む)、最大約5日間(これを含む)、処置される、実施形態1から19のいずれかに記載の方法。
[実施形態21]
前記対象が、7~10日間、処置される、実施形態20に記載の方法。
[実施形態22]
前記対象が、8日間、処置される、実施形態20に記載の方法。
[実施形態23]
前記塩がトシル酸塩である、実施形態1から22のいずれかに記載の方法。
[実施形態24]
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、グラム陽性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている、実施形態1から23のいずれかに記載の方法。
[実施形態25]
前記グラム陽性病原体が、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus species)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス属種(Enterococcus species)(エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)(例えばVRE又はVSE)、又はエンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)(例えばVRE又はVSE))、ストレプトコッカス・アンギノスス(Streptococcus anginosus)群(S.アンギノスス、S.コンステラトゥス(S. constellatus)及びS.インテルメディウス(S. intermedius)、すなわちベータ、アルファ又は非溶血性)、ビリダンス連鎖球菌群(Viridans group Streptococci)(VGS)、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)又はそれらの組合せを含む、実施形態24に記載の方法。
[実施形態26]
前記黄色ブドウ球菌が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)又はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)である、実施形態25に記載の方法。
[実施形態27]
前記ストレプトコッカス属種が、ストレプトコッカス・アンギノスス群を含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態28]
前記ストレプトコッカス属種が、ベータ溶血性連鎖球菌又はS.アンギノススを含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態29]
前記ストレプトコッカス属種が、非溶血性連鎖球菌又はS.インテルメディウスを含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態30]
前記ストレプトコッカス属種が、アルファ溶血性連鎖球菌又はS.コンステラトゥスを含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態31]
前記エンテロコッカス属種が、エンテロコッカス・ファエカリス(VSE)を含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態32]
前記ストレプトコッカス属種が化膿連鎖球菌を含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態33]
前記細菌性皮膚又は皮膚組織感染が、グラム陰性病原体によって引き起こされることが知られているか、又は疑われている、実施形態1から23のいずれかに記載の方法。
[実施形態34]
前記グラム陰性病原体が、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)又はそれらの組合せを含む、実施形態33に記載の方法。
[実施形態35]
処置に関連するGI有害事象(AE)が、大部分は軽度である、実施形態1から34のいずれかに記載の方法。
[実施形態36]
処置に関連するGI有害事象(AE)が、処置の中止に至らない、実施形態1から35のいずれかに記載の方法。
[実施形態37]
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の最初の2回の用量後のAUC0-24が、約10,000ng×時/mLである、実施形態1から36のいずれかに記載の方法。
[実施形態38]
前記9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン又はその塩の各用量が、150mgの錠剤として投与される、実施形態1から37のいずれかに記載の方法。
[実施形態39]
約70~100%の臨床成功率を有する、実施形態1から38のいずれかに記載の方法。
[実施形態40]
臨床成功率が、約80~100%、約79~98%、約79~94%、約84~98%、約80~88%又は約84~89%である、実施形態39に記載の方法。
[実施形態41]
臨床成功率が、第1の経口用量の48~72時間後に観察され、約79~94%、又は約84~89%、又は約87.5%である、実施形態39又は40に記載の方法。
[実施形態42]
ABSSSIが、創傷感染から実質的になり、臨床成功率が、約84~94%又は約89%である、実施形態41に記載の方法。
[実施形態43]
ABSSSIが、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、臨床成功率が、約74~84%又は約79%である、実施形態41に記載の方法。
[実施形態44]
ABSSSIが、大きな膿瘍から実質的になり、臨床成功率が、約90~98%又は約94%である、実施形態41に記載の方法。
[実施形態45]
臨床成功率が、処置の最後の用量の約7~14日後に観察される全臨床成功率であり、約79~98%、約75~95%、約79~89%、84%、約95~100%、又は約98%である、実施形態39又は40に記載の方法。
[実施形態46]
ABSSSIが、創傷感染から実質的になり、全臨床成功率が、約80~85%又は約82~83%である、実施形態45に記載の方法。
[実施形態47]
ABSSSIが、蜂窩織炎/丹毒から実質的になり、全臨床成功率が、約85~91%、約87~88%、又は約88%である、実施形態45に記載の方法。
[実施形態48]
ABSSSIが、大きな膿瘍から実質的になり、全臨床成功率が、約80~88%、又は約84%である、実施形態45に記載の方法。