(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058599
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】神経変性疾患を処置するためのカンナビノイド含有複合混合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20230418BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20230418BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20230418BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20230418BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230418BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230418BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230418BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230418BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K31/015
A61K31/045
A61K31/05
A61K36/185
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017412
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2019540310の分割
【原出願日】2017-10-10
(31)【優先権主張番号】62/406,764
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519128842
【氏名又は名称】ジービーエス グローバル バイオファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スモール-ホワード,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ヘレン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、又はハンチントン病を含む、神経変性疾患を処置するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】活性医薬成分としての使用に適したカンナビノイド含有複合混合物が提供される。複合混合物は、少なくとも1種の第1の主要カンナビノイド、少なくとも1種の第1の微量カンナビノイド、及び場合により、少なくとも1種の第1の選択されたテルペンを含む。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の主要カンナビノイド、
少なくとも第1の微量カンナビノイド、及び
場合により、少なくとも第1の選択されたテルペン
を含む、薬学的活性成分。
【請求項2】
前記第1の主要カンナビノイドがカンナビジオール(CBD)である、請求項1に記載の活性成分。
【請求項3】
前記第1の主要カンナビノイドがカンナビノール(CBN)である、請求項1に記載の活性成分。
【請求項4】
前記第1の微量カンナビノイドがカンナビジバリンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項5】
第2の微量カンナビノイドを含み、前記第2の微量カンナビノイドがカンナビクロメンである、請求項4に記載の活性成分。
【請求項6】
第2の微量カンナビノイドを含み、前記第2の微量カンナビノイドがカンナビゲロールである、請求項4に記載の活性成分。
【請求項7】
第3の微量カンナビノイドを含み、前記第3の微量カンナビノイドがカンナビクロメンである、請求項5に記載の活性成分。
【請求項8】
少なくとも第1の選択されたテルペンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項9】
第2の選択されたテルペンを含む、請求項8に記載の活性成分。
【請求項10】
前記第1及び第2のテルペンがリモネン及びリナロールである、請求項9に記載の活性成分。
【請求項11】
前記第1及び第2のテルペンがピネン及びフィトールである、請求項9に記載の活性成分。
【請求項12】
リモネン、リナロール、ネロリドール、ピネン、及びフィトールを含む、請求項8に記載の活性成分。
【請求項13】
実質的にTHCを含まない、請求項1から12のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項14】
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも75重量%を構成する、請求項1から13のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項15】
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも80重量%を構成する、請求項14に記載の活性成分。
【請求項16】
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも85重量%を構成する、請求項15に記載の活性成分。
【請求項17】
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも90重量%を構成する、請求項16に記載の活性成分。
【請求項18】
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも95重量%を構成する、請求項17に記載の活性成分。
【請求項19】
前記主要カンナビノイド、前記微量カンナビノイド、及び前記選択されたテルペン以外の前記活性成分における全ての化合物が、カンナビス・サティバから抽出可能である、請求項14から18のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項20】
前記主要カンナビノイドが、合計で前記活性成分の5~40重量%を構成し、
前記微量カンナビノイドが、合計で前記活性成分の5~70重量%を構成し、
前記選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の0~70重量%を構成する、
請求項1から19のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項21】
前記主要カンナビノイドが、合計で前記活性成分の10~35重量%を構成し、
前記微量カンナビノイドが、合計で前記活性成分の30~70重量%を構成し、
前記選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の0~50重量%を構成する、
請求項20に記載の活性成分。
【請求項22】
薬学的活性成分を製造する方法であって、任意の順序で、
少なくとも第1の主要カンナビノイド、
少なくとも第1の微量カンナビノイド、及び
場合により、少なくとも第1の選択されたテルペン
を混合するステップを含む、方法。
【請求項23】
前記第1の主要カンナビノイド、前記第1の微量カンナビノイド、及び前記任意の第1の選択されたテルペンのうちの少なくとも1種が、カンナビス・サティバ抽出物に加えられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンの各々のカンナビス・サティバ抽出物における濃度を測定する、先行するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の主要カンナビノイド、前記第1の微量カンナビノイド、又は前記任意の第1の選択されたテルペンのうちの少なくとも1種が、前記活性成分における所定の濃度を達成するように加えられる、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記カンナビス・サティバ抽出物を調製する先行するステップをさらに含む、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記カンナビス・サティバ抽出物が、前記活性成分の所定の組成に最も近くなるように選択されたカンナビス・サティバ品種から調製される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項22から27のいずれか一項に記載の方法によって生成される、請求項1から21のいずれか一項に記載の活性成分。
【請求項29】
請求項1から21及び28のいずれか一項に記載の活性成分、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項30】
油剤である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
乳剤である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
ゲル剤である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
エアロゾル剤である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項34】
吸入による投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
気化器による投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
ネブライザーによる投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
エアロゾライザーによる投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
経口投与、口腔投与又は舌下投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
静脈内、筋肉内、又は皮下投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
髄腔内又は脳室内投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
局所投与のために製剤化されている、請求項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記活性成分が、少なくとも0.01mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、請求項29から41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記活性成分が、少なくとも0.1mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記活性成分が、少なくとも0.5mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記活性成分が、少なくとも1mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
神経変性疾患を処置する方法であって、有効量の請求項29から45のいずれか一項に記載の医薬組成物を、神経変性疾患を有する患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項47】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、又はハンチントン病である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記神経変性疾患がパーキンソン病である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記医薬組成物が吸入により投与される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記医薬組成物が経口により投与される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記医薬組成物が口腔投与により投与される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記医薬組成物が舌下投与により送達される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記医薬組成物が注射により投与される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記医薬組成物が局所適用により投与される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記医薬組成物が、ニューロンの生存又はドーパミン放出をモジュレートするのに十分な量で投与される、請求項46から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり1g未満の量で投与される、請求項46から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり500mg未満の量で投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり100mg未満の量で投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり10mg未満の量で投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記医薬組成物が、必要に応じて投与される、請求項46から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記医薬組成物が、1日に1回投与される、請求項46から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記医薬組成物が、1日に2~4回投与される、請求項46から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記医薬組成物が、1週間に2~4回投与される、請求項46から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記医薬組成物が、1週間に1回投与される、請求項46から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記医薬組成物が、2週間に1回投与される、請求項46から59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月11日に出願された米国仮出願第62/406,764号に対する優先権の利益を主張し、その全体は参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2.背景
高齢集団において、パーキンソン病、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、及びハンチントン病に関連する神経変性により、健康への負担がますます増加している。
【0003】
これらの神経変性障害の中で、パーキンソン病(PD)の病態生理学は特に十分に研究されている。
【0004】
機構的には、PDの運動症状は、中脳黒質におけるドーパミン産生ニューロンの死及び様々な脳領域におけるレビー小体の沈着と関連している。ドーパミン応答系の脱感作もまた記録されており、このことは、ドーパミンの産生及び効力の両方が疾患において損なわれることを示唆している。PDを処置するために現在承認されている既存の薬剤のほとんどは、ドーパミン枯渇、例えば、動作緩慢の症状に対処し、疾患の進行を修正しない。
【0005】
ミトコンドリア機能はPDの病因の中心である。1980年代において、ミトコンドリア電子伝達鎖複合体I阻害剤である、違法薬物MPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)の使用者がPDを発症した。それらの症状及び最終的な剖検所見により、PDの態様が要約された。レビー小体は明らかに欠如していたが(同様にMPTPにより処置した霊長類においても見られた)、ドーパミン療法は一時的に成功した。これは、他のアームのPD病態がMPTP曝露の特徴であったことを示している。これらの研究以来、多くの文献が、ミトコンドリア、特に酸化と、PDとの間の関連を支持している。さらに、ミトコンドリア複合体I及びIIIが関与しており、PD脳/ドーパミン作動性ニューロンにおける活性酸素種のそれらの産生と、酸化ストレスとの間の関連は解明されている。
【0006】
カンナビノイドは、PDを含む様々な神経障害を処置するための可能性のある薬剤として示唆されている。
【0007】
先験的に、カンナビノイドは、PDの根底にある機構経路をターゲティングし、疾患の進行を改善する可能性がある有望な薬物であるように見える。第1に、それらは明らかに抗酸化剤として作用することができ、特にミトコンドリアにおける酸化ストレスに対抗する。第2に、カンナビノイド受容体はPDにおいて損傷した脳領域に位置し、淡蒼球及び黒質網様部(substantia nigra pars reticulate)は脳において最も高いCB1受容体発現レベルのいくつかを示し、また、イオンチャネル型カンナビノイド受容体TRPV1も発現する。第3に、カンナビノイドはニューロンにおける生存促進因子であり、酸化的に誘導される細胞死を阻止する。単離されたカンナビノイド化合物は、抗アグリソーム因子(anti-aggresomal factor)として作用することができ、デルタ-9テトラ-ヒドロカンナビノール(THC)がアルツハイマー病におけるAβプラークペプチドと直接結合し、脱凝集を引き起こすという証拠さえある。カンナビノイドはプロクリアランス(pro-clearance)であり、自食作用及び封入体の溶解を促す。
【0008】
まとめると、エンドカンナビノイドシステムのこれらの機能は、病理学的な脳の老化における理論的介入ストラテジーと同様にそれらの外因性対応物を極めて良好に位置付ける。実際、CB1欠損マウスは、認知低下の早期発症並びにPDに共通する組織学的及び分子的特徴を示し、喫煙及び摂取されたマリファナは、患者が経験した事例報告において、運動機能の一時的及び持続的向上の両方、疼痛の減少並びに運動機能の改善に関連している。
【0009】
多くのカンナビノイドが個々に又は対で試験されているが、試験されたカンナビノイド組成物は予測される治療効果を実証しておらず、特に、アサ(Cannabis)植物全体の使用と同等の有効性があることは証明されていない。これは、種々のアサ品種に存在する大きな変動性と相まって、各アサ植物に存在する化合物の複雑性に起因し得る。アサ植物の微量成分(カンナビノイド及び他の天然に存在する成分)が全体的な治療効果に正又は負に寄与する可能性もある。
【0010】
多くの調査研究により、PDに対する有効な治療は、ドーパミン産生の回復を標的とするだけでなく、カルシウム過負荷誘導細胞死にも対処すべきであることが示唆されている。例えば、Caliら、Cell Tissue Res. 357(2):439~54ページ(2014);Kangら、Nature Communications 3、Article number: 1146 (2012)を参照のこと。カチオンチャネル(例えば、TRPV1)についてのリガンドを含有するアサ混合物は、これらのカルシウム過負荷誘導成分が同定されず、除去されない場合、治療可能性を限定する可能性がある。
【発明の概要】
【0011】
したがって、PD及び他の神経変性疾患を処置するための新規及び有効な薬理学的作用剤が引き続き必要とされている。PD及び他の神経変性疾患の処置に有効である、明確に定義されたカンナビノイドの組成物が特に必要とされている。
【0012】
3.要旨
本発明は、活性医薬成分としての使用に適した新規カンナビノイド含有複合混合物、複合混合物を製造する方法、及び複合混合物を含む医薬組成物を提供する。本発明はさらに、神経変性疾患を処置するためのそれらの使用方法に関する。
【0013】
本発明の一態様は、少なくとも第1の主要カンナビノイド、少なくとも第1の微量カンナビノイド、及び場合により少なくとも第1の選択されたテルペンを含む薬学的活性成分に関する。一部の実施形態では、第1の主要カンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。一部の実施形態では、第1の主要カンナビノイドはカンナビノール(CBN)である。
【0014】
一部の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビジバリンである。一部の実施形態では、成分は第2の微量カンナビノイドをさらに含み、第2の微量カンナビノイドはカンナビクロメンである。一部の実施形態では、第2の微量カンナビノイドはカンナビゲロールである。一部の実施形態では、成分は第3の微量カンナビノイドを含み、第3の微量カンナビノイドはカンナビクロメンである。
【0015】
一部の実施形態では、成分は少なくとも第1の選択されたテルペンをさらに含む。一部の実施形態では、活性成分は第2の選択されたテルペンをさらに含む。一部の実施形態では、第1及び第2のテルペンはリモネン及びリナロールである。一部の実施形態では、第1及び第2のテルペンはピネン及びフィトールである。一部の実施形態では、活性成分は、リモネン、リナロール、ネロリドール、ピネン、及びフィトールを含む。
【0016】
一部の実施形態では、活性成分は実質的にTHCを含まず、したがって精神作用は限定されるか、又は実証可能な精神作用はない。
【0017】
一部の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%を構成する。
【0018】
一部の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペン以外の活性成分における全ての化合物は、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)から抽出可能である。
【0019】
一部の実施形態では、主要カンナビノイドは合計で活性成分の5~40重量%を構成し、微量カンナビノイドは合計で活性成分の5~70重量%を構成し、選択されたテルペンは合計で活性成分の0~70重量%を構成する。
【0020】
一部の実施形態では、主要カンナビノイドは合計で活性成分の10~35重量%を構成し、微量カンナビノイドは合計で活性成分の30~70重量%を構成し、選択されたテルペンは合計で活性成分の0~50重量%を構成する。
【0021】
本発明の別の態様は、薬学的活性成分を製造する方法であって、少なくとも第1の主要カンナビノイドを加えるステップ、少なくとも第1の微量カンナビノイドを加えるステップ、及び場合により、少なくとも第1の選択されたテルペンを加えるステップによる方法に関する。一部の実施形態では、第1の主要カンナビノイド、第1の微量カンナビノイド、及び任意の第1の選択されたテルペンは、カンナビス・サティバ抽出物に加えられる。一部の実施形態では、この方法は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンの各々のカンナビス・サティバ抽出物中の濃度を測定する、及び/又は比活性を算出する、先行するステップをさらに含む。
【0022】
一部の実施形態では、第1の主要カンナビノイド、第1の微量カンナビノイド、又は任意の第1の選択されたテルペンは、活性成分中の所定の濃度を達成するように加えられる。
【0023】
一部の実施形態では、この方法は、カンナビス・サティバ抽出物を調製する、先行するステップをさらに含む。一部の実施形態では、カンナビス・サティバ抽出物は、選択されたカンナビス・サティバ品種から調製される。
【0024】
本発明の別の態様は、この方法によって製造される薬学的活性成分に関する。
【0025】
本発明はさらに、薬学的活性成分と、薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む医薬組成物に関する。
【0026】
一部の実施形態では、医薬組成物は、油剤、乳剤、ゲル剤、又はエアロゾル剤である。
【0027】
一部の実施形態では、医薬組成物は、吸入、気化器(vaporizer)、ネブライザー、又はエアロゾライザー(aerosolizer)による投与のために製剤化されている。
【0028】
一部の実施形態では、医薬組成物は、経口、口腔(buccal)、又は舌下投与のために製剤化されている。
【0029】
一部の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、又は皮下投与のために製剤化されている。一部の実施形態では、医薬組成物は、髄腔内又は脳室内投与のために製剤化されている。
【0030】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与のために製剤化されている。
【0031】
一部の実施形態では、活性成分は、少なくとも0.01、0.1、0.5、又は1mg/mlの濃度で医薬組成物に存在する。
【0032】
本発明の別の態様は、神経変性疾患を処置する方法であって、有効量の本明細書に開示される医薬組成物を、神経変性疾患を有する患者に投与するステップによる方法に関する。一部の実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、又はハンチントン病である。
【0033】
一部の実施形態では、医薬組成物は吸入によって投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経口により投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は口腔投与によって投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は舌下投与によって送達される。一部の実施形態では、医薬組成物は注射によって投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所適用によって投与される。
【0034】
一部の実施形態では、医薬組成物は、ニューロンの生存又はドーパミン放出をモジュレートするのに十分な量で投与される。
【0035】
一部の実施形態では、主要カンナビノイドは、1用量あたり1g未満、500mg未満、100mg未満、又は10mg未満の量で投与される。
【0036】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて、1日に1回、1日に2~4回、1週間に2~4回、1週間に1回又は2週間に1回投与される。
【0037】
本発明のこれら及び他の態様は以下にさらに詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
4.図面の簡単な説明
【
図1A】
図1Aは、1-メチル-4-フェニルピリジニウム(MPP)によって誘導されるニューロン細胞死に対する個々の主要カンナビノイド及び微量カンナビノイドの保護効果を示す、実施例1からのデータを示す表である。保護効果は、対照と比較したMPP誘導細胞死からの救出%として提示する。各データ点は、特定の濃度(1、10、又は100μM)の各主要又は微量カンナビノイドで行った24回(8×3)の独立した実験の平均を表す。標準偏差は括弧内に提示される。
【
図1B】
図1Bは、個々の選択されたテルペンの保護効果を示す実施例1からのデータを示す表である。データは
図1Aにおいて上記したように提示する。
【
図2】
図2は、実施例1において試験した副混合物(ENT1~12)の組成を特定している表である。微量カンナビノイドであるか、又は選択されたテルペンであるかに関わらず、各化合物はENT組成物に等モル濃度で存在する。
【
図3A】
図3Aは、MPP誘導細胞死に対する、主要カンナビノイド(カンナビジオール又はカンナビノール)を有するか、又は有さない、異なる副混合物、ENT1~12の保護効果を示す実施例1からのデータを示す表である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに提示した同じセットのデータを折れ線グラフとして示す図である。X軸は、主要カンナビノイド(CBD又はCBN)を有するか、又は有さない副混合物(ENT1~12)の1つを含む試験混合物を表す。Y軸は、対照と比較したMPP誘導細胞死からの救出%を表す。
【
図4】
図4は、ドーパミン放出の刺激に対する、主要カンナビノイド(CBD又はCBN)を有するか、又は有さない副混合物(ENT1~12)の効果を示す実施例2からのデータを示す表である。異なる組成物に応答した、測定されたドーパミン放出の量は、既知の分泌促進剤の組合せであるPMA/イオノマイシンに応答したドーパミン放出の量と比較した%として提示する。
【
図5】
図5は、実施例1及び実施例2からの結果を比較する棒グラフであり、MPP誘導細胞死に対する保護効果(無地の棒)及び
図2A~4に提示された異なる組成物のドーパミン放出に対する効果(ドットを付した棒)をまとめている。無地の棒は、対照と比較したMPP誘導細胞死からの救出%を表す(左側のy軸)。ドットを付した棒は、PMA/イオノマイシンに応答したドーパミン放出の量と比較した、%としてのドーパミン放出の量を表す(右側のy軸)。
【
図6A】
図6A及び6Bは、TRPV1がCath.aニューロンにおけるカルシウム依存性細胞死を媒介することができることを示すグラフである。
図6Aは、各場合、刺激の非存在下(左側の棒)及び250nMのカプサイシンによる刺激から80分後(右側の棒)での、HEK野生型細胞、TRPV1発現構築物をトランスフェクトしたHEK細胞、及びCath.a細胞における10mMの外部CaCl
2の存在下での80分における細胞死(トリパンブルー陽性によって測定された)をグラフにし、カプサイシンはCath.a細胞において細胞死を誘導することができることを示す。
図6Bは、各場合、刺激の非存在下(左側の棒)及び250nMのカプサイシンによる刺激から80分後(右側の棒)での、HEK野生型細胞、TRPV1発現構築物をトランスフェクトしたHEK細胞、及びCath.a細胞における外部カルシウムの非存在下での80分における細胞死(トリパンブルー陽性細胞のパーセント)をグラフにし、Cath.a細胞のカプサイシン誘導死は外部カルシウムの存在に依存することを実証している。
【
図6B】
図6A及び6Bは、TRPV1がCath.aニューロンにおけるカルシウム依存性細胞死を媒介することができることを示すグラフである。
図6Aは、各場合、刺激の非存在下(左側の棒)及び250nMのカプサイシンによる刺激から80分後(右側の棒)での、HEK野生型細胞、TRPV1発現構築物をトランスフェクトしたHEK細胞、及びCath.a細胞における10mMの外部CaCl
2の存在下での80分における細胞死(トリパンブルー陽性によって測定された)をグラフにし、カプサイシンはCath.a細胞において細胞死を誘導することができることを示す。
図6Bは、各場合、刺激の非存在下(左側の棒)及び250nMのカプサイシンによる刺激から80分後(右側の棒)での、HEK野生型細胞、TRPV1発現構築物をトランスフェクトしたHEK細胞、及びCath.a細胞における外部カルシウムの非存在下での80分における細胞死(トリパンブルー陽性細胞のパーセント)をグラフにし、Cath.a細胞のカプサイシン誘導死は外部カルシウムの存在に依存することを実証している。
【
図7】
図7は、米国、ネバダ州において現在、医薬として使用されているが、精神活性カンナビノイドTHC及びTHCA(「A品種混合物」)を除外するように改変されたカンナビス・サティバ品種の実際の化学プロファイルによりモデル化されたカンナビノイド及びテルペンの混合物が、有意なTRPV1媒介性カルシウム流入を誘導することを実証しているグラフである。
図6A及び6Bに提示されているデータと併せて、これらのデータは、神経変性疾患を処置するためのカンナビノイド含有複合混合物、特に、ドーパミン作動性の細胞の機能及び生存能力を保存することが意図されるカンナビノイド含有複合混合物が、TRPV1依存性カルシウム流入を誘発するカンナビノイド及びテルペンを優先的に除外するべきであるか、又は低減されたレベルで含有するべきであることを実証している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面は、例示のみを目的として本発明の様々な実施形態を示す。当業者は、本明細書に記載されている本発明の原理から逸脱することなく、本明細書に例示されている構造及び方法の代替実施形態が利用され得ることを以下の説明から容易に理解する。
【0040】
5.詳細な説明
5.1.定義
他に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味を有する。本明細書に使用される場合、以下の用語は、以下のそれらに帰属する意味を有する。
【0041】
「主要カンナビノイド」は、カンナビジオール(CBD)又はカンナビノール(CBN)を意味する。主要カンナビノイドは、化学合成、化学修飾によって得ることができるか、又は1種以上のアサ植物に由来する植物材料から得ることができる。
【0042】
「微量カンナビノイド」は、カンナビクロメン、カンナビゲロール、又はカンナビジバリンを意味する。微量カンナビノイドは、化学合成、化学修飾によって得ることができるか、又は1種以上のアサ植物に由来する植物材料から得ることができる。
【0043】
「選択されたテルペン」は、リモネン、リナロール、ネロリドール、ピネン、又はフィトールを意味する。選択されたテルペンは、化学合成、化学修飾、商業的によって得ることができるか、又は1種以上のアサ植物に由来する植物材料から得ることができる。
【0044】
「副混合物(sub-mixture)」、又は「ENT」は、本明細書に定義されている微量カンナビノイド及び/又は選択されたテルペンから選択される複数の化合物を含む混合物である。
図2は、本明細書に提示されている実施例において試験した、副混合物ENT1~12の特定の組成を示している。
【0045】
「カンナビノイド含有複合混合物」は、主要カンナビノイド及び副混合物(ENT)を含む組成物である。
【0046】
薬学的活性成分は、その成分が0.3%(w/v)未満のデルタ-9テトラヒドロカンナビノールを含有する場合、「THCを実質的に含まない」。薬学的活性成分を含む医薬組成物は、医薬組成物が0.3%(w/v)未満のデルタ-9テトラヒドロカンナビノールを含有する場合、「THCを実質的に含まない」。
【0047】
「カンナビス・サティバ抽出物」は、流体及び/又は気体抽出によって、例えば、CO2を用いた超臨界流体抽出(SFE)によってカンナビス・サティバ植物材料から得られる組成物である。カンナビス・サティバ抽出物は、典型的に、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、選択されたテルペン、並びにまた、他のテルペン、フィトカンナビノイド、及び二次代謝産物を含有する。例えば、カンナビス・サティバ抽出物は、ビサボロール、フムレン、テルピネン、カリオフィレン、カンフェン、ゲラニオール、グアイオール、イソプレゴール(isopulegoll)、オシメン、シメン、ユーカリプトール、テルピノレン、及びミルセンのうちの1つ以上を含み得る。
【0048】
5.2.他の解釈上の規則
本明細書に列挙された範囲は、列挙された端点を含めて、その範囲内の値の全てについての省略表現であることが理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50からなる群からの任意の数、数の組合せ、又は部分的な範囲を含むことが理解される。
【0049】
他に示されない限り、1つ以上の立体中心を有する化合物への言及は、各々の立体異性体、及びそれらの立体異性体の全ての組合せを意図する。
【0050】
5.3.実験結果の概要
実施例1においてより完全に記載されているように、本発明者らは、パーキンソン病における神経変性の進行を修正することができる薬剤を同定するために一般的に使用されているin vitroアッセイにおいて、(i)各々の主要カンナビノイド、(ii)各々の微量カンナビノイド、(iii)各々の選択されたテルペン、(iv)副混合物(ENT)1~12、及び(v)2種の主要カンナビノイドの各々と組み合わせた各々のENT混合物の神経保護効果を試験した。
【0051】
単独で使用された主要及び微量カンナビノイドは、10μM又は100μM濃度においていくらかの適度な神経保護効果を示した。しかしながら、選択されたテルペンのほとんどは、100μM濃度でさえ、検出可能な神経保護効果を示さなかった。
【0052】
対照的に、本発明者らのデータは、主要カンナビノイドの非存在下で適用した場合、ある特定の副混合物の相乗効果を実証した。
【0053】
例えば、主要カンナビノイドを含まないENT8(カンナビクロメン及びカンナビジバリン)はMPP誘導細胞毒性を23%低下させたが、その個々の成分の保護効果の算出した合計は10%のみであった。同様に、ENT1(3種全ての微量カンナビノイド及び5種全ての選択されたテルペンを含む)はMPP誘導毒性を37%低下させたが、その個々の成分の効果の合計は12%であった。ENT10(3種全ての微量カンナビノイド及び2種の選択されたテルペンである、リモネン及びリナロール)はMPP誘導毒性を31%低下させたが、その個々の成分の救出効果の合計は12%のみであった。実際の効果と個々の効果の算出した合計との間の差(
図3Bの両矢印を参照のこと)は、相乗効果を表す。
【0054】
MPP誘導細胞毒性を50%より多く低下させるいくつかの組成物を用いて、副混合物が主要カンナビノイドと一緒に適用された場合、さらに大きな相乗効果が観察された。例えば、ENT10+カンナビジオールは毒性を64%低下させ、ENT1+カンナビジオールは細胞毒性を62%低下させ、ENT6+カンナビジオールは細胞毒性を51%低下させ、ENT10+カンナビノールは51%の救出を提供する。保護の程度は個々の効果の合計よりも有意に高かった:例えば、個々の成分の効果の合計は、ENT10+カンナビジオールについて26%のみであり、ENT1+カンナビジオールについて26%であり、ENT6+カンナビジオールについて24%であり、ENT10+カンナビノールについて17%であった。
【0055】
純粋な化合物から調製された試験組成物はTHCを含まなかった。
【0056】
これらのデータは、パーキンソン病及び他の神経変性障害における神経変性を阻止するか、又は低減させる際のある特定のカンナビノイド含有複合混合物の効力を予測する。
【0057】
本発明者らは、PC12細胞からのドーパミン放出を刺激するそれらの能力を試験した実施例1及び実施例2において、より高い神経保護効果を示すある特定の組成物を選択した。
【0058】
単独で、及び主要カンナビノイドと組み合わせて、ある特定のENT副混合物は、ドーパミン放出を有意に増加させた。例えば、陽性対照であるPMA/イオノマイシン(正規化のために、100%に設定した)によって誘導された分泌と比較して、ENT1+カンナビジオールは分泌を146%増加させ、ENT8+カンナビジオールは分泌を138%増加させ、ENT1単独は分泌を131%増加させ、ENT1+カンナビノールは分泌を131%増加させた。
【0059】
これらのデータは、パーキンソン病及び他の神経変性障害におけるドーパミン枯渇の症状を処置する際のある特定のカンナビノイド含有複合混合物の効力を予測する。
【0060】
多くの調査研究により、PDに対する有効な治療は、ドーパミン産生の回復を標的とするだけでなく、カルシウム過負荷誘導細胞死にも対処すべきであることが示唆されている。例えば、Caliら、Cell Tissue Res. 357(2):439~54ページ(2014);Kangら、Nature Communications 3、Article number: 1146 (2012)を参照のこと。実施例3に詳細に記載されているように、本発明者らは、TRPV1媒介性カルシウム流入が、in vitroでCath.aカテコールアミン作動性ニューロンの死を引き起こし得ることを実証し、米国、ネバダ州において現在、医薬として使用されている(精神活性カンナビノイドTHCA及びTHCを除外するように改変された)カンナビス・サティバ品種の実際の化学プロファイルによりモデル化されたカンナビノイド及びテルペンの混合物が、有意なTRPV1媒介性カルシウム流入を誘導することができることを実証した。これらのデータは、神経変性疾患を処置するためのカンナビノイド含有複合混合物、特に、ドーパミン作動性の細胞の機能及び生存能力を保存することが意図されるカンナビノイド含有複合混合物が、TRPV1依存性カルシウム流入を誘発するカンナビノイド及びテルペンを除外するか、又は低減されたレベルで含有するように設計されるべきであることを実証している。
【0061】
5.4.薬学的活性成分
5.4.1.主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、選択されたテルペン
したがって、第1の態様では、少なくとも第1の主要カンナビノイド、少なくとも第1の微量カンナビノイド、及び場合により少なくとも第1の選択されたテルペンを含む薬学的活性成分(本明細書では同義語として「活性成分」及び「活性医薬成分」とも称される)が提供される。
【0062】
一部の実施形態では、第1の主要カンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。一部の実施形態では、第1の主要カンナビノイドはカンナビノール(CBN)である。一部の実施形態では、薬学的活性成分はカンナビジオール及びカンナビノールの両方を含む。
【0063】
一部の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビジバリンである。一部の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビゲロールである。一部の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビクロメンである。
【0064】
一部の実施形態では、活性成分は第2の微量カンナビノイドをさらに含む。
【0065】
これらのうちある特定の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビジバリンであり、第2の微量カンナビノイドはカンナビゲロールである。これらのうちある特定の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビジバリンであり、第2の微量カンナビノイドはカンナビクロメンである。
【0066】
これらのうちある特定の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビゲロールであり、第2の微量カンナビノイドはカンナビジバリンである。これらのうちある特定の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビゲロールであり、第2の微量カンナビノイドはカンナビクロメンである。
【0067】
これらのうちある特定の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビクロメンであり、第2の微量カンナビノイドはカンナビジバリンである。これらのうちある特定の実施形態では、第1の微量カンナビノイドはカンナビクロメンであり、第2の微量カンナビノイドはカンナビゲロールである。
【0068】
一部の実施形態では、活性成分は第3の微量カンナビノイドをさらに含む。これらの実施形態では、活性成分は、カンナビジバリン、カンナビゲロール、及びカンナビクロメンを含む。
【0069】
ある特定の現在好ましい実施形態では、第1の主要カンナビノイドはCBDであり、第1の微量カンナビノイドはカンナビジバリンである。他の現在好ましい実施形態では、第1の主要カンナビノイドはCBNであり、第1の微量カンナビノイドはカンナビジバリンである。これらの好ましい実施形態の一部では、成分は第2の微量カンナビノイドをさらに含む。これらのうちある特定の実施形態では、第2の微量カンナビノイドはカンナビクロメンである。これらのうちある特定の実施形態では、第2の微量カンナビノイドはカンナビゲロールである。
【0070】
一部の実施形態では、活性成分は少なくとも第1の選択されたテルペンを含む。
【0071】
一部の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリモネンである。一部の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリナロールである。一部の実施形態では、第1の選択されたテルペンはネロリドールである。一部の実施形態では、第1の選択されたテルペンはピネンである。一部の実施形態では、第1の選択されたテルペンはフィトールである。
【0072】
一部の実施形態では、活性成分は第2の選択されたテルペンをさらに含む。
【0073】
これらのうちある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリモネンであり、第2の選択されたテルペンはリナロールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリモネンであり、第2の選択されたテルペンはネロリドールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリモネンであり、第2の選択されたテルペンはピネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリモネンであり、第2の選択されたテルペンはフィトールである。
【0074】
これらのうちある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリナロールであり、第2の選択されたテルペンはリモネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリナロールであり、第2の選択されたテルペンはネロリドールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリナロールであり、第2の選択されたテルペンはピネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはリナロールであり、第2の選択されたテルペンはフィトールである。
【0075】
ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはネロリドールであり、第2の選択されたテルペンはリモネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはネロリドールであり、第2の選択されたテルペンはリナロールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはネロリドールであり、第2の選択されたテルペンはピネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはネロリドールであり、第2の選択されたテルペンはフィトールである。
【0076】
ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはピネンであり、第2の選択されたテルペンはリモネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはピネンであり、第2の選択されたテルペンはリナロールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはピネンであり、第2の選択されたテルペンはネロリドールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはピネンであり、第2の選択されたテルペンはフィトールである。
【0077】
ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはフィトールであり、第2の選択されたテルペンはリモネンである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはフィトールであり、第2の選択されたテルペンはリナロールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはフィトールであり、第2の選択されたテルペンはネロリドールである。ある特定の実施形態では、第1の選択されたテルペンはフィトールであり、第2の選択されたテルペンはピネンである。
【0078】
ある特定の現在好ましい実施形態では、第1及び第2の選択されたテルペンはリモネン及びリナロールである。一部の好ましい実施形態では、第1及び第2の選択されたテルペンはピネン及びフィトールである。
【0079】
一部の実施形態では、活性成分は、3種、4種、又は5種全ての選択されたテルペンを含む。
【0080】
5.4.1.1.相対含有量
典型的な実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の5~40重量%(wt%)を構成する。
【0081】
ある特定の実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の5~10wt%、活性成分の10~15wt%、活性成分の15~20wt%、活性成分の20~25wt%、活性成分の25~30wt%、活性成分の30~35wt%、又は活性成分の35~40wt%を構成する。ある特定の実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%を構成するが、各場合、40wt%以下である。
【0082】
典型的な実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の5~70重量%を構成する。
【0083】
ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の5~10wt%、活性成分の10~15wt%、活性成分の15~20wt%、活性成分の20~25wt%、活性成分の25~30wt%、活性成分の30~35wt%、又は活性成分の35~40wt%を構成する。ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の40~45wt%、45~50wt%、50~55wt%、55~60wt%、60~65wt%、又は65~70wt%を構成する。ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の少なくとも5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%又は50wt%を構成するが、各場合、70wt%以下である。ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%を構成するが、各場合、70wt%未満である。
【0084】
典型的な実施形態では、選択されたテルペンは、合計で活性成分の0~70重量%を構成する。少なくとも1種の任意の選択されたテルペンが存在する実施形態では、選択されたテルペンは、合計で活性成分の5~70wt%を構成する。
【0085】
ある特定の実施形態では、選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、又は少なくとも65wt%を構成するが、各場合、70wt%未満である。
【0086】
一部の現在好ましい実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の10~35重量%を構成し、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の30~70重量%を構成し、選択されたテルペンは、合計で活性成分の0~50重量%を構成する。
【0087】
一部の実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の5~40%(w/v)を構成する。
【0088】
ある特定の実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の5~10%(w/v)、活性成分の10~15%(w/v)、活性成分の15~20%(w/v)、活性成分の20~25%(w/v)、活性成分の25~30%(w/v)、活性成分の30~35%(w/v)、又は活性成分の35~40%(w/v)を構成する。ある特定の実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の少なくとも5%(w/v)、少なくとも10%(w/v)、少なくとも15%(w/v)、少なくとも20%(w/v)、少なくとも25%(w/v)、少なくとも30%(w/v)、少なくとも35%(w/v)を構成するが、各場合、40%(w/v)以下である。
【0089】
一部の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の5~70%(w/v)を構成する。
【0090】
ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の5~10%(w/v)、活性成分の10~15%(w/v)、活性成分の15~20%(w/v)、活性成分の20~25%(w/v)、活性成分の25~30%(w/v)、活性成分の30~35%(w/v)、又は活性成分の35~40%(w/v)を構成する。ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の40~45%(w/v)、45~50%(w/v)、50~55%(w/v)、55~60%(w/v)、60~65%(w/v)、又は65~70%(w/v)を構成する。ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の少なくとも5%(w/v)、10%(w/v)、15%(w/v)、20%(w/v)、25%(w/v)、30%(w/v)、35%(w/v)、40%(w/v)、45%(w/v)又は50%(w/v)を構成するが、各場合、70%(w/v)以下である。ある特定の実施形態では、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の少なくとも55%(w/v)、少なくとも60%(w/v)、少なくとも65%(w/v)を構成するが、各場合、70%(w/v)未満である。
【0091】
一部の実施形態では、選択されたテルペンは、合計で活性成分の0~70%(w/v)を構成する。少なくとも1種の任意の選択されたテルペンが存在する実施形態では、選択されたテルペンは合計で活性成分の5~70%(w/v)を構成する。
【0092】
ある特定の実施形態では、選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも5%(w/v)、少なくとも10%(w/v)、少なくとも15%(w/v)、少なくとも20%(w/v)、少なくとも25%(w/v)、少なくとも30%(w/v)、少なくとも35%(w/v)、少なくとも40%(w/v)、少なくとも45%(w/v)、少なくとも50%(w/v)、少なくとも55%(w/v)、少なくとも60%(w/v)、又は少なくとも65%(w/v)を構成するが、各場合、70%(w/v)未満である。
【0093】
一部の現在好ましい実施形態では、主要カンナビノイドは、合計で活性成分の10~35%(w/v)を構成し、微量カンナビノイドは、合計で活性成分の30~70%(w/v)を構成し、選択されたテルペンは、合計で活性成分の0~50%(w/v)を構成する。
【0094】
5.4.1.2.絶対含有量
一部の実施形態では、薬学的活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンからなる。これらの実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の100wt%を構成する。
【0095】
一部の実施形態では、活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンから本質的になる。
【0096】
他の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の100重量%(wt%)未満を構成する。
【0097】
一部の実施形態では、薬学的活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンからなる。これらの実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の100%(w/v)を構成する。
【0098】
一部の実施形態では、活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンから本質的になる。
【0099】
他の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の100%(w/v)未満を構成する。
【0100】
5.4.2.他の成分
一部の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の100重量%(wt%)未満を構成する。
【0101】
様々なそのような実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の少なくとも75重量%を構成するが、100wt%未満である。特定の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも91重量%、少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、又は少なくとも95重量%を構成するが、100wt%未満である。特定の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%を構成するが、100wt%未満である。
【0102】
主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンが、合計で薬学的活性成分の100重量%(wt%)未満を構成する実施形態では、活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペン以外の化合物をさらに含む。典型的なそのような実施形態では、活性成分における全ての他の化合物は、カンナビス・サティバから抽出可能である。特定の実施形態では、活性成分における全ての他の化合物は、カンナビス・サティバから製造された抽出物に存在する。
【0103】
一部の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の100%(w/v)未満を構成する。
【0104】
様々なそのような実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で薬学的活性成分の少なくとも75%(w/v)を構成するが、100%(w/v)未満である。特定の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、又は少なくとも95%(w/v)を構成するが、100%(w/v)未満である。特定の実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンは、合計で活性成分の少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%(w/v)を構成するが、100%(w/v)未満である。
【0105】
主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンが、合計で薬学的活性成分の100%(w/v)未満を構成する実施形態では、活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペン以外の化合物をさらに含む。典型的なそのような実施形態では、活性成分における全ての他の化合物は、カンナビス・サティバから抽出可能である。特定の実施形態では、活性成分における全ての他の化合物は、カンナビス・サティバから製造された抽出物に存在する。
【0106】
5.4.2.1.THC含有量
様々な実施形態では、活性成分は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を実質的に含まない。これらの実施形態は、神経変性疾患を処置する際に活性医薬成分の治療特性を保持し、精神活性作用を欠き、ある特定の調節性及び他の利点を提供する。
【0107】
ある特定の実施形態では、活性成分はTHCを実質的に含まない。これらのうちある特定の実施形態では、活性成分は1~10重量パーセント(wt%)のTHCを含む。特定の実施形態では、活性成分は、2~9wt%のTHC、3~8wt%のTHC、4~7wt%のTHCを含む。ある特定の実施形態では、活性成分は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10wt%のTHCを含む。
【0108】
ある特定の実施形態では、活性成分はTHCを実質的に含まない。これらのうちある特定の実施形態では、活性成分は1~10パーセント(w/v)のTHCを含む。特定の実施形態では、活性成分は、2~9%(w/v)のTHC、3~8%(w/v)のTHC、4~7%(w/v)のTHCを含む。ある特定の実施形態では、活性成分は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10%(w/v)のTHCを含む。
【0109】
5.4.3.活性成分を調製する方法
一部の実施形態では、薬学的活性成分は、化学的に純粋な主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンを所望の最終濃度に混合することによって調製される。主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンの各々は、独立して、カンナビス・サティバ抽出物などの組成混合物から精製された中間体の全合成若しくは合成修飾のいずれかによって化学的に合成され得るか、又は以下に記載されている実施例のように、商業的に購入され得る。
【0110】
他の実施形態では、薬学的活性成分は、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンのいずれか1種以上を所定の所望の最終濃度に調整することによって、出発組成混合物から調製される。典型的な実施形態では、出発組成混合物はカンナビス・サティバ抽出物である。現在好ましい実施形態では、出発組成混合物はカンナビス・サティバ抽出物であり、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンのうちの1種以上が、所定の所望の最終濃度を達成するように混合物に加えられる。
【0111】
典型的なそのような実施形態では、方法は、出発組成混合物中の各々の所望の主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンの濃度を決定する、先行するステップをさらに含む。
【0112】
これらのうちある特定の実施形態では、方法は、カンナビス・サティバ抽出物を調製する、さらに先行するステップをさらに含む。カンナビス・サティバ抽出物を調製する方法は、米国特許第6,403,126号、同第8,895,078号及び同第9,066,910号;Doorenbosら、Cultivation, extraction, and analysis of cannabis sativa L.、ANNALS OF THE NEW YORK ACADEMY OF SCIENCES、191、3~14ページ(1971);Fairbairn and Liebmann、The extraction and estimation of the cannabinoids in Cannabis sativa L. and its products、JOURNAL OF PHARMACY AND PHARMACOLOGY、25、150~155ページ(1973);Oroszlan及びVerzar-petri、Separation, quantitation and isolation of cannabinoids from cannabis sativa L. by overpressured layer chromatography、JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A、388、217~224ページ(1987)に記載されており、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、抽出方法は、活性成分の所定の組成に最も近い含有量の主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンを有する抽出物を提供するように選択される。
【0113】
一部の実施形態では、方法は、カンナビス・サティバ品種を選択する第1のステップをさらに含む。
【0114】
ある特定の実施形態では、選択される品種は、植物全体又はその抽出可能な部分において、活性成分の所定の組成に最も近い典型的な含有量の主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンを有する。ある特定の実施形態では、選択される品種は、活性成分の所定の組成に最も近い抽出物を提供することができる品種である。特定の実施形態では、選択される品種は、植物、その抽出可能な部分、又はその抽出物において、所望の主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンの所定の重量比に最も近い典型的な含有量を有する。特定の実施形態では、選択される品種は、植物、その抽出可能な部分、又はその抽出物において、最も少ない数の所望の主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンの濃度の調整を必要とする典型的な含有量を有する。特定の実施形態では、選択される品種は、植物、その抽出可能な部分、又はその抽出物において、所望の主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンの濃度の最も安価な調整を必要とする典型的な含有量を有する。
【0115】
5.4.4.方法による生成物
典型的な実施形態では、薬学的活性成分は、上記のセクション4.4.3に記載されている方法のうちの1つによって調製される。
【0116】
主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンのうちのいずれか1種以上を所定の所望の最終濃度に調整することによって、薬学的活性成分が出発組成混合物から調製される実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペン以外の活性成分における全ての化合物が出発組成混合物内に存在する。出発組成混合物がカンナビス・サティバ抽出物である実施形態では、主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペン以外の活性成分における全ての化合物がカンナビス・サティバ抽出物内に存在する。
【0117】
5.5.医薬組成物
別の態様では、医薬組成物が提供される。医薬組成物は、本明細書に開示されている薬学的活性成分及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む。
【0118】
5.5.1.薬学的活性成分の含有量
典型的な実施形態では、活性成分は、医薬組成物中に少なくとも0.01mg/ml、少なくとも0.1mg/ml、少なくとも0.5mg/ml、又は少なくとも1mg/mlの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、活性成分は、医薬組成物中に少なくとも1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、又は25mg/mlの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、活性成分は、医薬組成物中に少なくとも30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/ml又は50mg/mlの濃度で存在する。
【0119】
5.5.2.製剤一般
医薬組成物は、液剤、油剤、乳剤、ゲル剤、コロイド剤、エアロゾル剤又は固形剤を含む、ヒト又は獣医学に適した任意の形態であってもよい。
【0120】
医薬組成物は、経腸及び非経口投与経路を含む、ヒト又は獣医学に適した任意の投与経路による投与のために製剤化され得る。
【0121】
様々な実施形態では、医薬組成物は、吸入による投与のために製剤化されている。これらのうちある特定の実施形態では、医薬組成物は、気化器による投与のために製剤化されている。これらのうちある特定の実施形態では、医薬組成物は、ネブライザーによる投与のために製剤化されている。これらのうちある特定の実施形態では、医薬組成物は、エアロゾライザーによる投与のために製剤化されている。
【0122】
様々な実施形態では、医薬組成物は、経口投与、口腔投与、又は舌下投与のために製剤化されている。
【0123】
一部の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、又は皮下投与のために製剤化されている。
【0124】
一部の実施形態では、医薬組成物は、髄腔内又は脳室内投与のために製剤化されている。
【0125】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与のために製剤化されている。
【0126】
5.5.3.吸入による投与に適合した薬理学的組成物
一部の実施形態では、気化器、ネブライザー、又はエアロゾライザーによる医薬組成物の投与に適合した、本明細書に記載されている医薬組成物の単位剤形が提供される。一部の実施形態では、剤形は、バイアル、アンプルであり、場合により、使用者の開放を可能にするために刻み目が付けられる。特定の実施形態では、ネブライザーは、ジェットネブライザー又は超音波ネブライザーである。
【0127】
吸入可能な組成物は、一般に、例えば、鼻又は肺噴霧剤として水溶液中で投与される。鼻噴霧剤として液体を分配するための好ましいシステムは、米国特許第4,511,069号に開示されている。そのような製剤は、水溶液を生成するために本発明による組成物を水に溶解し、溶液を無菌にすることによって簡便に調製され得る。製剤は、例えば、米国特許第4,511,069号に開示されている密封された分配システムにおいて、複数回投与用容器で提供されてもよい。他の適切な鼻噴霧剤送達システムは、Transdermal Systemic Medication、Y. W. Chien Ed.、Elsevier Publishers、New York、1985;M. Naefら、Development and pharmacokinetic characterization of pulmonal and intravenous delta-9-tetrahydrocannabinol (THC) in humans、J. PHARM. SCI. 93、1176~84ページ(2004);並びに米国特許第4,778,810号;同第6,080,762号;同第7,052,678号;及び同第8,277,781号(各々は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。さらなるエアロゾル送達形態には、医薬溶媒、例えば、水、エタノール、又はそれらの混合物に溶解又は懸濁した生物学的に活性な薬剤を送達する、例えば、圧縮空気、ジェット、超音波、及び圧電ネブライザーが含まれ得る。
【0128】
粘膜製剤は、例えば、鼻腔内送達のための、適切な粒径、又は適切な粒径範囲内の乾燥、通常、凍結乾燥した形態で、生物学的に活性な薬剤を含む、乾燥粉末製剤として投与される。鼻又は肺の経路内に沈着するのに適した最小粒径は、多くの場合、約0.5ミクロンの空気動力学的質量等価中央径(mass median equivalent aerodynamic diameter)(MMEAD)、一般に約1ミクロンのMMEAD、及びより典型的に約2ミクロンのMMEADである。鼻腔内の沈着に適した最大粒径は、多くの場合、約10ミクロンのMMEAD、一般に約8ミクロンのMMEAD、より典型的に約4ミクロンのMMEADである。これらのサイズ範囲内の鼻腔内呼吸性粉末は、様々な従来技術、例えば、ジェットミル、噴霧乾燥、溶媒沈殿、超臨界流体凝縮などによって生成され得る。適切なMMEADのこれらの乾燥粉末は、粉末をエアロゾル化される量に分散させるために、肺又は鼻吸入時に患者の呼吸に頼る従来の乾燥粉末吸入器(DPI)を介して患者に投与され得る。或いは、乾燥粉末は、粉末をエアロゾル化される量に分散させるために外部動力源を使用する空気補助装置、例えば、ピストンポンプを介して投与され得る。
【0129】
5.5.4.経口/口腔/舌下投与に適合した薬理学的組成物
経口、口腔又は舌下投与のための製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味付けされた基剤、通常、スクロース及びアカシア又はトラガカントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態、又は水性若しくは非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤として、又は水中油型若しくは油中水型液体乳剤として、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤として、又はトローチ剤(不活性基剤、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアを使用する)として、及び/又はマウスウォッシュ剤などとしてであってもよく、各々、活性成分として所定量の対象ポリペプチド治療剤を含有する。懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
【0130】
経口、口腔又は舌下投与(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)のための固体剤形において、1種以上の治療剤は、1種以上の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、及び/又は以下のいずれかと混合されてもよい:(1)充填剤又は増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又はアカシア;(3)保湿剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレート;(8)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物;並びに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤も含んでもよい。類似の種類の固体組成物もまた、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として利用されてもよい。経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般に使用されている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実、ピーナッツ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香料、着色剤、芳香剤、及び防腐剤を含んでもよい。
【0131】
5.5.5.注射に適合した薬理学的組成物
静脈内、筋肉内、若しくは皮下注射、又は苦痛部位での注射に関して、活性成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容される水溶液の形態である。当業者は、例えば、等張ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム注射、リンガー注射、乳酸リンガー注射を使用して適切な溶液を十分に調製することができる。必要であれば、防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0132】
様々な実施形態では、単位剤形は、バイアル、アンプル、ボトル、又は予め充填された注射器である。一部の実施形態では、単位剤形は、0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、12.5mg、25mg、50mg、75mg、又は100mgのカンナビノイド組成物を含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、125mg、150mg、175mg、又は200mgのカンナビノイド組成物を含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、250mgのカンナビノイド組成物を含有する。
【0133】
典型的な実施形態では、単位剤形における医薬組成物は液体形態である。様々な実施形態では、単位剤形は、0.1mLから50mlの間の医薬組成物を含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、1ml、2.5ml、5ml、7.5ml、10ml、25ml、又は50mlの医薬組成物を含有する。
【0134】
特定の実施形態では、単位剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、又は1mg/mlの濃度にて1mlのカンナビノイド組成物を含有するバイアルである。一部の実施形態では、単位剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、又は1mg/mlの濃度にて2mlのカンナビノイド組成物を含有するバイアルである。
【0135】
一部の実施形態では、単位剤形における医薬組成物は、固体形態、例えば、可溶化に適した凍結乾燥物(lyophilate)である。
【0136】
皮下、皮内、又は筋肉内投与に適した単位剤形の実施形態には、予め装填された注射器、自動注射器、及び自動注射ペンが含まれ、各々、本明細書上記の所定量の医薬組成物を含有する。
【0137】
様々な実施形態では、単位剤形は、注射器及び所定量の医薬組成物を含む、予め装填された注射器である。ある特定の予め装填された注射器の実施形態では、注射器は皮下投与のために適合される。ある特定の実施形態では、注射器は自己投与に適している。特定の実施形態では、予め装填された注射器は使い捨て注射器である。
【0138】
様々な実施形態では、予め装填された注射器は、約0.1mL~約0.5mLの医薬組成物を含有する。ある特定の実施形態では、注射器は、約0.5mLの医薬組成物を含有する。特定の実施形態では、注射器は、約1.0mLの医薬組成物を含有する。特定の実施形態では、注射器は、約2.0mLの医薬組成物を含有する。
【0139】
ある特定の実施形態では、単位剤形は自動注射ペンである。自動注射ペンは、本明細書に記載されている医薬組成物を含有する自動注射ペンを含む。一部の実施形態では、自動注射ペンは所定の体積の医薬組成物を送達する。他の実施形態では、自動注射ペンは、ユーザによって設定された体積の医薬組成物を送達するように構成される。
【0140】
様々な実施形態では、自動注射ペンは、約0.1mL~約5.0mLの医薬組成物を含有する。特定の実施形態では、自動注射ペンは、約0.5mLの医薬組成物を含有する。特定の実施形態では、自動注射ペンは、約1.0mLの医薬組成物を含有する。他の実施形態では、自動注射ペンは、約5.0mLの医薬組成物を含有する。
【0141】
5.5.6.局所投与に適合した薬理学的組成物
局所投与のための医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤及び散剤が含まれ得る。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが、必要であり得るか、又は好適であり得る。被覆コンドーム、グローブなどもまた有用であり得る。適切な局所製剤には、本発明において特徴付けられているカンナビノイド含有複合混合物が、局所送達剤、例えば、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤及び界面活性剤と混合されているものが含まれる。適切な脂質及びリポソームには、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及びカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が含まれる。本発明において特徴付けられているカンナビノイド含有複合混合物は、リポソーム内に封入されてもよいか、又はリポソーム、特にカチオン性リポソームとの複合体を形成してもよい。或いは、カンナビノイド含有複合混合物は、脂質、特にカチオン性脂質と複合体化されてもよい。適切な脂肪酸及びエステルには、限定されないが、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1~10アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又はそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0142】
5.6.用量範囲一般
場合により、in vivo及び/又はin vitroアッセイが、使用のための最適な投薬範囲を特定するのに役立つように利用されてもよい。製剤に利用される正確な用量はまた、投与経路、及び状態の重症度に依存し、医師の判断及び各々の対象の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、in vitro又は動物モデル試験システムから導かれる用量応答曲線から推定され得る。
【0143】
5.7.単位剤形
医薬組成物は、簡便には、単位剤形で提供され得る。
【0144】
単位剤形は、典型的に、医薬組成物の1つ以上の特定の投与経路に適合される。
【0145】
様々な実施形態では、単位剤形は、吸入による投与のために適合される。これらのうちある特定の実施形態では、単位剤形は、気化器による投与のために適合される。これらのうちある特定の実施形態では、単位剤形は、ネブライザーによる投与のために適合される。これらのうちある特定の実施形態では、単位剤形は、エアロゾライザーによる投与のために適合される。
【0146】
様々な実施形態では、単位剤形は、経口投与、口腔投与、又は舌下投与のために適合される。
【0147】
一部の実施形態では、単位剤形は、静脈内、筋肉内、又は皮下投与のために適合される。
【0148】
一部の実施形態では、単位剤形は、髄腔内又は脳室内投与のために適合される。
【0149】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与のために製剤化されている。
【0150】
単回の剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物のその量である。
【0151】
5.8.使用方法
5.8.1.神経変性疾患を処置する方法
別の態様では、本明細書に記載されているカンナビノイド含有複合混合物に応答する疾患を有する対象を処置する方法が提供される。この方法は、本明細書に記載されている治療有効量のカンナビノイド含有複合混合物を対象に投与するステップを含む。
【0152】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されている活性成分に応答する疾患は、脳又は中枢神経系(CNS)の疾患である。一部の実施形態では、疾患は神経変性疾患である。一部の実施形態では、疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、又はハンチントン病である。
【0153】
典型的な実施形態では、カンナビノイド含有複合混合物は、上記の医薬組成物の形態で投与される。これらの方法は特に、動物、より特には、ヒトの治療的及び予防的処置を目的とする。
【0154】
「処置」、「処置する」などの用語は、一般的に所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを意味するために本明細書に使用される。この効果は、疾患、状態、又はその症状を完全に又は部分的に予防するという点で予防的であってもよく、並びに/或いは疾患若しくは状態及び/又は副作用、例えば、疾患若しくは状態に起因する症状の部分的又は完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書に使用される場合、「処置」は、哺乳動物、特にヒトの疾患又は状態の任意の処置を包含し、(a)疾患若しくは状態にかかりやすい傾向があり得るが、その疾患若しくは状態を有するとまだ診断されていない対象において、疾患若しくは状態が発生することを予防すること;(b)疾患若しくは状態を阻害すること(例えば、その発症を停止すること);又は(c)疾患若しくは状態を軽減すること(例えば、疾患又は状態の退縮を引き起こし、1つ以上の症状を改善すること)を含む。任意の状態の改善は、当該技術分野において公知の標準的な方法及び技術に従って容易に評価され得る。疾患の方法によって処置される対象の集団は、望ましくない状態又は疾患に罹患している対象、並びに状態又は疾患の発症のリスクがある対象を含む。
【0155】
「治療有効用量」又は「有効量」という用語は、所望の効果を生じる用量又は量を意味し、その用量又は量は所望の効果のために投与される。正確な用量又は量は、処置の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者によって確認される(例えば、Lloyd (1999) The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照のこと)。
【0156】
「十分な量」という用語は、所望の効果を生じるのに十分な量を意味する。
【0157】
「治療有効量」という用語は、疾患の症状を改善するのに有効な量である。予防は治療と考えることができるので、治療有効量は「予防有効量」とすることができる。
【0158】
「改善する」という用語は、重症度又は進行の予防、軽減、それらの寛解、又は治癒を含む、疾患状態、例えば、神経変性疾患状態の処置における任意の治療的に有益な結果を指す。
【0159】
投与される実際の量、並びに投与の速度及び経時変化は、処置される疾患の性質及び重症度に依存する。処置の処方、例えば、投薬量などの決定は、一般的な医師及び他の医療専門家の責任の範囲内であり、典型的に、処置される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法及び医師に知られている他の要因を考慮に入れる。上述の技術及びプロトコールの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A. (ed)、1980に見出され得る。
【0160】
一部の実施形態では、医薬組成物は、吸入、経口、口腔投与、舌下投与、注射又は局所適用によって投与される。
【0161】
一部の実施形態では、医薬組成物は、ニューロンの生存又はドーパミン放出をモジュレートするのに十分な量で投与される。一部の実施形態では、主要カンナビノイドは、1用量あたり1g未満、500mg未満、100mg未満、10mg未満の量で投与される。
【0162】
一部の実施形態では、医薬組成物は、1日に1回、1日に2~4回、1週間に2~4回、1週間に1回、又は2週間に1回投与される。
【0163】
組成物は、単独で、又は処置される状態に応じて同時に若しくは連続してのいずれかで他の処置と組み合わせて投与されてもよい。
【0164】
本発明は、主要カンナビノイド及び副混合物を含む新規組成物を提供する。本発明者らは、この組成物が神経保護及びドーパミン放出の刺激の有意な生理学的効果を有し、それによって、これらが、疾患の進行の間のドーパミン欠損及びドーパミン作動性細胞死に関与することが周知であるPDに対する治療効果を有することができることを実証した。さらに、本発明者らは、有意な相乗効果を与える主要カンナビノイド及び副混合物の特定の組合せを同定した。本発明は、本明細書に同定されている薬理学的組成物を使用して、PD及び他の神経変性疾患を処置する方法をさらに提供する。
【実施例0165】
5.9.実施例
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
【0166】
[実施例1]
5.9.1.実施例1:カンナビノイド含有複合混合物の神経保護効果
(i)各々の主要カンナビノイド、(ii)各々の微量カンナビノイド、(iii)各々の選択されたテルペン、(iv)副混合物(ENT)1~12、及び(v)2種の主要カンナビノイドの各々と別々に組み合わせた各々のENT混合物の神経保護効果を、1-メチル-4-フェニルピリジニウム(MPP)によって誘導されるニューロン細胞死に対する保護に基づいて評価した。MPPは、注射後にヒトパーキンソニズムを引き起こすことが知られているMPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)の活性代謝産物である。MPPはドーパミン作動性ニューロンに取り込まれ、ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化を妨げ、ドーパミンレベルを低下させ、細胞死を徐々に引き起こすことは周知である。MPPは一般に、パーキンソン病を処置する際に効果的な薬剤についての細胞アッセイに使用されている。
【0167】
MPPアッセイは、CNSカテコールアミン作動性細胞株であるCath.a細胞においてin vitroで実施した。細胞をATCCガイドライン(https://www.atcc.org/Products/All/CRL-11179.aspxを参照のこと)に従って培養し、本質的にQiら、J. Neuroscience、17(4):1217~1225ページ(1997)に記載されている実験の前に血清枯渇(36時間の0.5%FBS培養)によってCAD分化状態に誘導した。
【0168】
神経保護効果を、MPPを適用してから18時間後に、各化合物又は化合物の混合物を細胞培養物に適用することによって試験した。細胞生存率をMPPへの曝露の24時間後に評価し、これは試験化合物又は化合物混合物への曝露の6時間後である。
【0169】
各個々の化合物の神経保護効果を、
図1A~Bに記載されているように3つの異なる濃度で試験した。図において、化合物の保護効果は、対照(化合物を添加していない)と比較したMPP誘導細胞死からの救出%として提示される。各データ点は、主要又は微量カンナビノイドの各々の特定の濃度(1、10、又は100μM)において得られた24の実験結果の平均を表す。24の実験結果は、異なる3日に8回の独立した実験を3回繰り返すこと(「8×3」)によって得た。
【0170】
主要及び微量カンナビノイドは、10μM又は100μMの濃度においていくらかの神経保護効果を示した。しかしながら、選択されたテルペンのほとんどは、100μM濃度でさえ、検出可能な神経保護効果を示さなかった。
【0171】
微量カンナビノイド及び/又は選択されたテルペンを含む副混合物(ENT1~12)の神経保護効果も試験した。ENT1~12の組成は
図2に記載されている。各実験において、ENT混合物の各成分の最終モル濃度が10μMになるようにENT混合物を適用した。各ENTを、主要カンナビノイドの非存在下、10μM(最終濃度)のCBDの存在下、及び10μM(最終濃度)のCBNの存在下で試験した。これらの神経保護効果を、上記のように試験し、分析し、
図3A~3Bに提示した。
【0172】
図3Aにおいて、「実際の効果」の列は、「主要カンナビノイドなし」、「カンナビジオール(10μM)」、及び「カンナビノール(10μM)」での副混合物(ENT1~12)の保護効果を測定した実際の実験データを提示する。各データ点は、10μM濃度の各成分において行った24回(8×3)の独立した実験の平均を表す。標準偏差は括弧内に提示する。「個々の効果の合計」の列は、「主要カンナビノイドなし」、「カンナビジオール(10μM)」、又は「カンナビノール(10μM)」のいずれかで、それぞれの副混合物の個々の成分により観察された保護効果の算出した合計を提供する(
図1A及び1Bを参照のこと)。「個々の効果の合計」は、個々の化合物の効果が独立しており、厳密に相加的である場合の保護効果を推定する。
【0173】
図3A~3Bにおけるデータは、主要カンナビノイドの非存在下で適用した場合の、ある特定の副混合物の相乗効果を実証している。
【0174】
例えば、主要カンナビノイドを含まないENT8(カンナビクロメン及びカンナビジバリン)はMPP誘導細胞毒性を23%低下させたが、その個々の成分の保護効果の合計は10%のみであった。同様に、ENT1(3種全ての微量カンナビノイド及び5種全ての選択されたテルペンを含む)はMPP誘導毒性を37%低下させたが、その個々の成分の効果の合計は12%であった。ENT10(3種全ての微量カンナビノイド及び2種の選択されたテルペンである、リモネン及びリナロール)はMPP誘導毒性を31%低下させたが、その個々の成分の救出効果の合計は12%のみである。カンナビノイド及び副混合物の実際の効果と、個々の効果の算出された合計との差(
図3Bの両矢印を参照のこと)は相乗効果を表す。
【0175】
ENT混合物を主要カンナビノイドと一緒に適用した場合、より大きな相乗効果が観察された。結果を、
図3Aにおいて、ENT+カンナビジオールについて第5列、並びにENT及びカンナビノールについて第7列にそれぞれ提示する。その個々の成分の救出効果の合計も比較のために提示する。
【0176】
データはまた、
図3Bに折れ線グラフとして提示されている。
図3Bの実線は、MPPアッセイにおいて測定した、主要カンナビノイド(CBN又はCBD)を含むか、又は含まない、副混合物(ENT1~12)の保護効果を示す「実際の効果」のデータを示す。点線は、
図1A~1Bに提示されているデータに基づいた、混合物の個々の成分の保護効果の合計である「個々の効果の合計」を示す。双方向の矢印で示されている線の間の距離は相乗作用の尺度である。
【0177】
本発明者らは、MPP誘導細胞毒性を50%より多く低下させるいくつかの組成物を同定した:例えば、ENT10+カンナビジオールは毒性を64%低下させ;ENT1+カンナビジオールは細胞毒性を62%低下させ;ENT6+カンナビジオールは細胞毒性を51%低下させ;ENT10+カンナビノールは51%の救出を提供する。保護の程度は個々の効果の合計よりも有意に高かった:例えば、個々の成分の効果の合計は、ENT10+カンナビジオールについては26%のみ;ENT1+カンナビジオールについては26%;ENT6+カンナビジオールについては24%;及びENT10+カンナビノールについては17%であった(
図3A~B)。
【0178】
これらのデータは、パーキンソン病及び他の神経変性障害における神経変性を予防するか、又は低減させる際のこれらの組成物の有効性を予測する。さらに、有効性はTHCの非存在下で観察される。
【0179】
[実施例2]
5.9.2.実施例2:カンナビノイド含有複合混合物のドーパミン放出効果
本発明者らは、実施例1において、より高い神経保護効果を示す、ある特定の組成物を選択し、PC12細胞からのドーパミン放出に対するそれらの効果を試験した。
【0180】
本発明者らは、PMA/イオノマイシン(陽性対照)又は試験組成物を適用してから30分後に3つの複製ウェルから上清試料を回収し、Abnova製のドーパミンELISAキット(http://www.abnova.com/protocol_pdf/KA1887.pdf)を使用して培地中のドーパミンを測定した。PMA/イオノマイシンは、複数の細胞内キナーゼ経路の活性化(PMA)及び遊離カルシウムの細胞内レベルの上昇(イオノマイシン)によって分泌促進性(pro-secretory)(分泌促進剤)であることが周知である。
【0181】
試験結果を、PMA/イオノマイシンと比較した分泌の増加パーセンテージとして
図4に提示する。「主要カンナビノイドなし」の列は、主要カンナビノイドの非存在下での副混合物のドーパミン放出効果を示すデータを提供する。「カンナビジオール(10μM)」の列は、10μMのカンナビジオールと組み合わせた、それぞれの副混合物のうちの1つのドーパミン放出効果を示すデータを提供する。「カンナビノール(10μM)」の列は、10μMのカンナビノールと組み合わせた、示した副混合物のドーパミン放出効果を示すデータを提供する。
【0182】
異なる組成物に応答したドーパミン放出の量を、PMA/イオノマイシン(陽性対照)に応答したドーパミン放出の量と比較した%として提示する。
【0183】
ENT及び/又は主要カンナビノイド組成物はドーパミン放出を有意に増加させた。例えば、ENT1+カンナビジオールはPMA/イオノマイシンの刺激効果の146%を有し、ENT8+カンナビジオールはPMA/イオノマイシンの刺激効果の138%を有し、ENT1単独はPMA/イオノマイシンの刺激効果の131%を有し、ENT1+カンナビノールはPMA/イオノマイシンの刺激効果の131%を有する。
【0184】
[実施例3]
5.9.3.実施例3:カルシウム流入カウンタースクリーニング(counter-screen)の開発
多くの調査研究により、PDに対する有効な治療は、ドーパミン産生の回復を標的とするだけでなく、カルシウム過負荷誘導細胞死にも対処すべきであることが示唆されている。例えば、Caliら、Cell Tissue Res. 357(2):439~54ページ(2014);Kangら、Nature Communications 3、Article number: 1146 (2012)を参照のこと。
【0185】
したがって、本発明者らは、TRPV1誘導性カルシウム媒介細胞死に対するHEK野生型細胞、TRPV1過剰発現HEK細胞、及びCath.a細胞の感受性を研究した。
【0186】
細胞を組織培養皿に播種し、ビヒクル(HEK野生型及びCath.a)又はテトラサイクリン(1マイクロモル)のいずれかで16時間処理して、95%CO2雰囲気下で37℃にてTRPV1発現(HEK-TRPV1)を誘導した。洗浄後、培地を、3%FBSを含有し、10ミリモルのCaCl2を含有するか又はCaCl2を含有せず(zero added CaCl2)、且つ1ミリモルのEGTAを含有する改変ナトリウムリンガー溶液と置き換えた。次いで、細胞をビヒクル又はカプサイシン(1μM)のいずれかにより80分間刺激し、その後、細胞スクレーパーにより分離し、10%(v/v)トリパンブルーを含む培地に再懸濁した。2分後、7マイクロリットルの細胞懸濁液のアリコートを血球計において計数し、少なくとも200個の細胞の視野をトリパンブルー陽性又は陰性状態について記録した。
【0187】
図6A及び6Bは、TRPV1がCath.aニューロンにおけるカルシウム依存性細胞死を媒介することができることを示す。
図6Aは、各場合、刺激の非存在下(左側の棒)及び250nMのカプサイシンによる刺激から80分後(右側の棒)での、HEK野生型細胞、TRPV1発現構築物をトランスフェクトしたHEK細胞、及びCath.a細胞における10mMの外部CaCl
2の存在下での80分における細胞死(トリパンブルー陽性によって測定された)をグラフにし、カプサイシンはCath.a細胞において細胞死を誘導することができることを示す。
図6Bは、各場合、刺激の非存在下(左側の棒)及び250nMのカプサイシンによる刺激から80分後(右側の棒)での、HEK野生型細胞、TRPV1発現構築物をトランスフェクトしたHEK細胞、及びCath.a細胞における外部カルシウムの非存在下での80分における細胞死(トリパンブルー陽性細胞のパーセント)をグラフにし、
図6Aにおいて示されたCath.a細胞のカプサイシン誘導死は外部カルシウムの存在に依存することを確認している。
【0188】
カンナビノイド含有複合混合物が、TRPV1カルシウム流入及び潜在的細胞死を誘発する可能性を評価するために、本発明者らは、米国、ネバダ州において現在医薬として使用されているカンナビス・サティバ品種の実際の化学プロファイルに基づいて、カンナビノイド及びテルペンの複合混合物であるA品種混合物を調製した。実際の化学プロファイルは、THC及びTHCAの意図的な除外並びにある特定の不安定又は不溶性の成分の除外によってA品種混合物において改変した。
【0189】
HEK293細胞株に、pcDNA6TR(Invitrogen、CA)プラスミド(テトラサイクリン感受性TRExリプレッサータンパク質をコードする)を安定にトランスフェクトし、37℃の加湿した5%CO2雰囲気下でDMEM+10%ウシ胎仔血清(55℃にて1時間不活性化した)+2mMグルタミン中に維持した。TRex293細胞に対する選択圧は、10μg/mlのブラストサイジン(Sigma、St Louis、MO)中での連続培養によって維持した。
【0190】
TRPV1の誘導発現を用いてTRex HEK293細胞を産生するために、親細胞を、pcDNA4TOベクターにおけるラットTRPV1 cDNAを用いてエレクトロポレーションし、クローン細胞株を、400μg/mlのゼオシン(Invitrogen、CA)の存在下で限界希釈によって選択した。37℃にて16時間、1μg/mlのテトラサイクリンを使用してTRPV1発現を誘導した。抗FLAGウェスタンブロットを使用して安定な株を誘導タンパク質発現についてスクリーニングし、誘導発現を確認した。電気生理学的測定により、これらの誘導細胞におけるTRPV1の存在及びI/V曲線「シグネチャ」がさらに確認された。
【0191】
TRPV1によって媒介されるカルシウム応答を、細胞培養系におけるカルシウムアッセイによって試験した。細胞を洗浄し、以下の組成(mM):NaCl 145、KCl 2.8、CsCl 10、CaCl2 10、MgCl2 2、グルコース10、Hepes・NaOH 10、pH7.4、330mOsmの標準改変リンガー溶液中で37℃にて30分間、0.2μMのフルオ-4アセトキシメチルエステル(「フルオ-4」)とインキュベートした。細胞を50,000個の細胞/ウェルにて96ウェルプレートに移し、示したように刺激した。Flexstation 3(Molecular Devices、Sunnydale、USA)を使用してカルシウム信号を取得した。SoftMax(登録商標)Pro 5(Molecular Devices)を使用してデータを分析した。示される場合、名目上カルシウムを含まない外部条件は、1mMのEGTAを含有する0mMのCaCl2リンガー溶液の調製によって達成した。示される場合、カプサイシン(10μM)及びイオノマイシン(500nM)を陽性対照として使用してカルシウム応答を誘導した。示される場合、カプサゼピン(10μM)を使用してTRPV1媒介性カルシウム応答を特異的に拮抗させた。示される場合、ベースライントレース(刺激なし、NS)を差し引いた。示される場合、ビヒクル単独のトレースを差し引いた。示される場合、対応する混合物と一致した種々の希釈剤を含むビヒクルを陰性対照として使用した。
【0192】
A品種混合物に応答する、HEK細胞及びTRPV1を発現するHEK細胞へのTRPV1媒介性カルシウム流入を試験した。
図7は、経時的(秒)なフルオ-4相対蛍光単位(フルオ-4 RFU)として測定したカルシウム流出データを提示する。
図7に提供されているように、A品種混合物の適用に応答する有意なTRPV1媒介性カルシウム流出を観察した。
【0193】
これらのデータは、神経変性疾患を処置するためのカンナビノイド含有複合混合物、特に、ドーパミン作動性の細胞の機能及び生存能力を保存することが意図されるカンナビノイド含有複合混合物は、TRPV1媒介性カルシウム流入を誘発するそれらの能力についてカウンタースクリーニングされるべきであり、TRPV1依存性カルシウム流入を誘発するカンナビノイド及びテルペンを除外するか、又は低減されたレベルで含有するように設計されるべきであることを実証している。
【0194】
[実施例4]
5.9.4.実施例4:カンナビノイド含有複合混合物のカウンタースクリーニング(counter-screening)
副混合物(ENT)1~12、及び2種の主要カンナビノイドの各々と別々に組み合わせた各々のENT混合物を、実施例3に記載されているように、HEK細胞及びTRPV1を発現するHEK細胞へのカルシウム媒介性流入について評価し、最小のTRPV1媒介性カルシウム流入を誘発することが実証される。特に、ENT1+カンナビジオール、ENT8+カンナビジオール、ENT1単独、及びENT1+カンナビノールは、最小のTRPV1媒介性カルシウム流入を誘発することが実証される。
【0195】
6.参照による組み込み
本出願において引用されている全ての刊行物、特許、特許出願及び他の文献は、各個々の刊行物、特許、特許出願又は他の文献が、全ての目的のために参照により組み込まれるように個々に示されるのと同じ程度まで全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0196】
7.等価物
本開示は、とりわけ、カンナビノイド含有複合混合物の組成物を提供する。本開示はまた、カンナビノイド含有複合混合物を投与するステップによって神経変性疾患を処置する方法を提供する。様々な特定の実施形態が例示され、記載されているが、上記明細書は限定的ではない。本発明(複数可)の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。本明細書を検討すると、多くの変形例が当業者には明らかになるであろう。
本発明は例えば以下の態様を含む。
[項1]
少なくとも第1の主要カンナビノイド、
少なくとも第1の微量カンナビノイド、及び
場合により、少なくとも第1の選択されたテルペン
を含む、薬学的活性成分。
[項2]
前記第1の主要カンナビノイドがカンナビジオール(CBD)である、項1に記載の活性成分。
[項3]
前記第1の主要カンナビノイドがカンナビノール(CBN)である、項1に記載の活性成分。
[項4]
前記第1の微量カンナビノイドがカンナビジバリンである、項1から3のいずれか一項に記載の活性成分。
[項5]
第2の微量カンナビノイドを含み、前記第2の微量カンナビノイドがカンナビクロメンである、項4に記載の活性成分。
[項6]
第2の微量カンナビノイドを含み、前記第2の微量カンナビノイドがカンナビゲロールである、項4に記載の活性成分。
[項7]
第3の微量カンナビノイドを含み、前記第3の微量カンナビノイドがカンナビクロメンである、項5に記載の活性成分。
[項8]
少なくとも第1の選択されたテルペンを含む、項1から7のいずれか一項に記載の活性成分。
[項9]
第2の選択されたテルペンを含む、項8に記載の活性成分。
[項10]
前記第1及び第2のテルペンがリモネン及びリナロールである、項9に記載の活性成分。
[項11]
前記第1及び第2のテルペンがピネン及びフィトールである、項9に記載の活性成分。
[項12]
リモネン、リナロール、ネロリドール、ピネン、及びフィトールを含む、項8に記載の活性成分。
[項13]
実質的にTHCを含まない、項1から12のいずれか一項に記載の活性成分。
[項14]
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも75重量%を構成する、項1から13のいずれか一項に記載の活性成分。
[項15]
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも80重量%を構成する、項14に記載の活性成分。
[項16]
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも85重量%を構成する、項15に記載の活性成分。
[項17]
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも90重量%を構成する、項16に記載の活性成分。
[項18]
前記主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び任意の選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の少なくとも95重量%を構成する、項17に記載の活性成分。
[項19]
前記主要カンナビノイド、前記微量カンナビノイド、及び前記選択されたテルペン以外の前記活性成分における全ての化合物が、カンナビス・サティバから抽出可能である、項14から18のいずれか一項に記載の活性成分。
[項20]
前記主要カンナビノイドが、合計で前記活性成分の5~40重量%を構成し、
前記微量カンナビノイドが、合計で前記活性成分の5~70重量%を構成し、
前記選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の0~70重量%を構成する、
項1から19のいずれか一項に記載の活性成分。
[項21]
前記主要カンナビノイドが、合計で前記活性成分の10~35重量%を構成し、
前記微量カンナビノイドが、合計で前記活性成分の30~70重量%を構成し、
前記選択されたテルペンが、合計で前記活性成分の0~50重量%を構成する、
項20に記載の活性成分。
[項22]
薬学的活性成分を製造する方法であって、任意の順序で、
少なくとも第1の主要カンナビノイド、
少なくとも第1の微量カンナビノイド、及び
場合により、少なくとも第1の選択されたテルペン
を混合するステップを含む、方法。
[項23]
前記第1の主要カンナビノイド、前記第1の微量カンナビノイド、及び前記任意の第1の選択されたテルペンのうちの少なくとも1種が、カンナビス・サティバ抽出物に加えられる、項22に記載の方法。
[項24]
主要カンナビノイド、微量カンナビノイド、及び選択されたテルペンの各々のカンナビス・サティバ抽出物における濃度を測定する、先行するステップをさらに含む、項23に記載の方法。
[項25]
前記第1の主要カンナビノイド、前記第1の微量カンナビノイド、又は前記任意の第1の選択されたテルペンのうちの少なくとも1種が、前記活性成分における所定の濃度を達成するように加えられる、項22から24のいずれか一項に記載の方法。
[項26]
前記カンナビス・サティバ抽出物を調製する先行するステップをさらに含む、項23から25のいずれか一項に記載の方法。
[項27]
前記カンナビス・サティバ抽出物が、前記活性成分の所定の組成に最も近くなるように選択されたカンナビス・サティバ品種から調製される、項26に記載の方法。
[項28]
項22から27のいずれか一項に記載の方法によって生成される、項1から21のいずれか一項に記載の活性成分。
[項29]
項1から21及び28のいずれか一項に記載の活性成分、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
[項30]
油剤である、項29に記載の医薬組成物。
[項31]
乳剤である、項29に記載の医薬組成物。
[項32]
ゲル剤である、項29に記載の医薬組成物。
[項33]
エアロゾル剤である、項29に記載の医薬組成物。
[項34]
吸入による投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項35]
気化器による投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項36]
ネブライザーによる投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項37]
エアロゾライザーによる投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項38]
経口投与、口腔投与又は舌下投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項39]
静脈内、筋肉内、又は皮下投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項40]
髄腔内又は脳室内投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項41]
局所投与のために製剤化されている、項29から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項42]
前記活性成分が、少なくとも0.01mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、項29から41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項43]
前記活性成分が、少なくとも0.1mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、項42に記載の医薬組成物。
[項44]
前記活性成分が、少なくとも0.5mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、項43に記載の医薬組成物。
[項45]
前記活性成分が、少なくとも1mg/mlの濃度で前記医薬組成物に存在する、項44に記載の医薬組成物。
[項46]
神経変性疾患を処置する方法であって、有効量の項29から45のいずれか一項に記載の医薬組成物を、神経変性疾患を有する患者に投与するステップを含む、方法。
[項47]
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、又はハンチントン病である、項46に記載の方法。
[項48]
前記神経変性疾患がパーキンソン病である、項47に記載の方法。
[項49]
前記医薬組成物が吸入により投与される、項46から48のいずれか一項に記載の方法。
[項50]
前記医薬組成物が経口により投与される、項46から48のいずれか一項に記載の方法。
[項51]
前記医薬組成物が口腔投与により投与される、項46から48のいずれか一項に記載の方法。
[項52]
前記医薬組成物が舌下投与により送達される、項46から48のいずれか一項に記載の方法。
[項53]
前記医薬組成物が注射により投与される、項46から48のいずれか一項に記載の方法。
[項54]
前記医薬組成物が局所適用により投与される、項46から48のいずれか一項に記載の方法。
[項55]
前記医薬組成物が、ニューロンの生存又はドーパミン放出をモジュレートするのに十分な量で投与される、項46から54のいずれか一項に記載の方法。
[項56]
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり1g未満の量で投与される、項46から55のいずれか一項に記載の方法。
[項57]
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり500mg未満の量で投与される、項56に記載の方法。
[項58]
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり100mg未満の量で投与される、項57に記載の方法。
[項59]
前記主要カンナビノイドが、1用量あたり10mg未満の量で投与される、項58に記載の方法。
[項60]
前記医薬組成物が、必要に応じて投与される、項46から59のいずれか一項に記載の方法。
[項61]
前記医薬組成物が、1日に1回投与される、項46から59のいずれか一項に記載の方法。
[項62]
前記医薬組成物が、1日に2~4回投与される、項46から59のいずれか一項に記載の方法。
[項63]
前記医薬組成物が、1週間に2~4回投与される、項46から59のいずれか一項に記載の方法。
[項64]
前記医薬組成物が、1週間に1回投与される、項46から59のいずれか一項に記載の方法。
[項65]
前記医薬組成物が、2週間に1回投与される、項46から59のいずれか一項に記載の方法。
前記医薬組成物が、1日に2~4回投与される、1日に1回投与される、1週間に2~4回投与される、1週間に1回投与される、又は2週間に1回投与される、請求項1に記載の医薬組成物。