(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058613
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230418BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018063
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2018196900の分割
【原出願日】2018-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 鋭彦
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 健人
(72)【発明者】
【氏名】中江 伸也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷媒量が減少した場合でも、ポンプ室内に空気が入り込むことを抑制し、冷却効率の低下を抑制する冷却ユニットを提供する。
【解決手段】冷却ユニット1は、水平方向に拡がるコールドプレート10と、タンク11とポンプ12とを有する。タンク11は、冷媒を溜めるタンク室50を有する。ポンプ12は、冷媒を移送させる羽根車16が収容されるポンプ室40を有する。タンク室の水平方向に垂直な第1方向上端は、ポンプ室の第1方向上端よりも上側に位置し、タンク及びポンプは、第1方向に垂直な方向に対向して隣接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に拡がるコールドプレートと、
タンクとポンプとを有し、
前記タンクは、冷媒を溜めるタンク室を有し、
前記ポンプは、冷媒を移送させる回転体が収容されるポンプ室を有し、
前記タンク室の水平方向に垂直な第1方向上端は前記ポンプ室の前記第1方向上端よりも上側に位置し、
前記タンク、及び、前記ポンプは、前記第1方向に垂直な第2方向に対向して隣接する、冷却ユニット。
【請求項2】
ラジエータをさらに有し、
前記ラジエータは、冷媒が流れるパイプ流路を有し、
前記タンク室の前記第1方向上端は、前記パイプ流路の前記第1方向上端よりも上側に位置する、請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項3】
前記コールドプレートは、内部に冷媒が流通する第1冷媒流路を有し、
前記タンク室の前記第1方向上端は、前記第1冷媒流路の前記第1方向上端よりも上側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項4】
前記タンク室と前記ポンプ室とを接続する接続流路をさらに有し、
前記接続流路の少なくとも一部は、前記タンク室および前記ポンプ室の外側に位置する、請求項1-3のいずれかに記載の冷却ユニット。
【請求項5】
前記第1冷媒流路が前記接続流路の少なくとも一部を含む、請求項4に記載の冷却ユニット。
【請求項6】
前記ラジエータの前記第1方向上端は、前記タンクの前記第1方向上端と同じまたはほぼ同じ位置に配置される、請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項7】
前記タンク室は略直方体である、請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項8】
前記タンクは側面が切り欠かれた切欠部を有し、前記ポンプの少なくとも一部は前記切欠部に配置される、請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項9】
前記ポンプは側面が切り欠かれた切欠部を有する、請求項1に記載の冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却ユニットは、リザーバと冷媒を移送する回転体を有するポンプを、備える(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/061058号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の冷却ユニットは、冷却ユニットの使用に伴い冷媒の量が減少し、ポンプ室内に空気が入り込む場合がある。ポンプ室内に空気が入り込み、冷媒の少ない空間で回転体が回転すると、冷媒の循環量が低下し、冷却ユニットの冷却効率が低下する可能性がある。
【0005】
冷却ユニット内の冷媒量が減少した場合でも、ポンプ室内に空気が入り込むことを抑制し、冷却ユニットの冷却効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
水平方向に拡がるコールドプレートと、タンクとポンプとを有し、タンクは、冷媒を溜めるタンク室を有し、ポンプは、冷媒を移送させる回転体が収容されるポンプ室を有し、タンク室の水平方向に垂直な第1方向上端はポンプ室の第1方向上端よりも上側に位置し、タンク、及び、ポンプは、第1方向に垂直な第2方向に対向して隣接する、冷却ユニット。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、冷却ユニットの冷却効率の低下を防ぐことを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な第1実施形態に係る冷却ユニットの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な第2実施形態に係る冷却ユニットの断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の例示的な第3実施形態に係る冷却ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、コールドプレート10に対して、タンク11が配置されている方向を「上側」、タンク11が配置されている方向の反対側を「下側」、とそれぞれ称し、上下方向を定義する。また、本願では、コールドプレート10に対してタンク11が配置されている方向を「第1方向」と称する。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下方向および水平方向を定義したものであって、本発明に係る冷却ユニット1の製造時および使用時の向きを限定するものではない。
【0010】
また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0011】
<第1実施形態>
本発明の例示的な一実施形態の冷却ユニット1について説明する。
図1は本発明の例示的な第1実施形態に係る冷却ユニットの断面図である。
図2は、本発明の例示的な第1実施形態に係る冷却ユニット1の断面図である。
【0012】
冷却ユニット1は、コールドプレート10とタンク11とポンプ12を有する。タンク11とポンプ12は、コールドプレート10の第1方向上側に配置される。
【0013】
<コールドプレート>
コールドプレート10は、銅又はアルミニウム等の熱伝導性の高い金属からなり、上面視において水平方向に拡がる矩形の板状である。なお、本実施形態のコールドプレート10は上面視において四角形であるがこの限りではなく、例えば、上面視において複数の角を有する多角形、または円形であってもよい。コールドプレート10の下面には発熱部品30が配置される。
【0014】
コールドプレート10は、内部に冷媒が流通する第1冷媒流路21を有する。第1冷媒流路21は、コールドプレート10内の空間である。第1冷媒流路21の内部には平行に複数並んで配置されるブレード211が設けられる。また、第1冷媒流路21には流入口212および流出口213が設けられる。流入口212を介して第1冷媒流路21に流入した冷媒は流出口213を介して第1冷媒流路21から放出する。
【0015】
本実施形態における冷媒は液体であり、例えば、エチレングリコール水溶液またはプロピレングリコール水溶液のような不凍液や純水等が使用される。
【0016】
<ポンプ>
冷却ユニット1は、ポンプ12を有する。本実施形態における、ポンプ12は遠心型ポンプであり、冷媒が流れるポンプ室40を有する。ポンプ室40は後述するモータ(不図示)の第1方向下側に配置される。ポンプ室40には冷媒を移送することができる羽根車16(回転体)が配置される。
【0017】
ポンプ室40は吸込口411と吐出口(不図示)とを有する。吸込口411はポンプ室40の第1方向下端に設けられ、コールドプレート10の流出口212と第1方向上下に一致して連通する。吐出口(不図示)は後述するタンク11の貫通孔111と連通する。本実施形態では、吐出口とタンク11の貫通孔111とは、接続管80とラジエータ70を介して接続される。
【0018】
ポンプ12の羽根車16は、第1方向に延びる中心軸を中心に回転可能に支持され、モータの回転軸と連結される。モータの駆動により羽根車16が回転することで、吸込口411からポンプ室40内に流入した冷媒が吐出口から吐き出される。
【0019】
<タンク>
冷却ユニット1は、タンク11を有する。タンク11は略直方体であり、樹脂材料で形成されている。タンク11を金属で成形する場合と比較して、容易に成形することができる。また、湿気などが付着する環境においても、タンク11の表面が錆びることを防ぐことができる。タンク11は、流れ込んだ冷媒が溜まるタンク室50を有する。タンク室50は、タンク11が第1方向上側に向かって凹んで形成された凹部である。タンク室50は、略直方体である。冷却ユニット1がタンク室50を有することで、冷却ユニット1内に循環させる冷媒の量を増やすことができる。冷却ユニット1内を循環させる冷媒の量を増やすことで、冷却ユニット1の冷却効率の低下を抑制することができる。
【0020】
タンク11は、貫通孔111を有する。本実施形態において、貫通孔111は、第1方向と垂直な方向に延びる。貫通孔111は、ポンプ12の吐出口と連通する。本実施形態では、貫通孔111と吐出口とは後述する接続管80とラジエータ70のパイプ流路721を介して接続される。
【0021】
本実施形態では、ポンプ12とタンク11とは隣接して配置されている。詳細には、タンク12は側面が切り欠かれた切欠部12aを有し、ポンプ12の少なくとも一部は切欠部12aに配置される。ポンプ12を切欠部12aに配置することで、冷却ユニット1を小型化することができる。
【0022】
冷却ユニット1は、仕切り部60をさらに有する。仕切り部60は水平方向に拡がり、タンク11とコールドプレート10との第1方向間に配置される。詳細には、仕切り部60はタンク室50を形成する凹部の開口を塞ぐ。タンク室50は、タンク11の凹部の内面と仕切り部60の第1方向上面によって形成される。仕切り部60は、第1方向上下に貫通する貫通部601を有する。貫通部601はタンク室50と連通し、貫通部601の第1方向下端は流入口212と連通する。なお、本実施形態において、貫通部601は、流入口212である。ポンプ室40から吐出された冷媒は、タンク室50を通って、貫通部601に流れ込む。貫通部601を通った冷媒は、第1流路21に流れ込む。仕切り部60は、タンク室50に流れ込む冷媒の流れを規制し、貫通部601により、コールドプレート10の所定の位置に冷媒を流し込むことができる。
【0023】
冷却ユニットは、ラジエータ70をさらに有する。ラジエータ70は、冷却用の複数のフィン71およびパイプ72を有する。フィン71は平板上に形成され、第1方向上方に向けて起立する。フィン71は平行に等間隔に複数配置される。パイプ72は、複数のフィン21の孔(不図示)に挿通されて溶接により複数のフィン21と固定される。このとき、パイプ23の延びる方向とフィン21の延びる方向が直交する。パイプ72は、内部が中空であって、冷媒が通るパイプ流路721を形成する。パイプ流路721の一端は直接的または間接的に貫通孔111と連通する。後述するが、パイプ流路721の一端は、例えば、接続管80を介して貫通孔111と連通してもよい。また、パイプ流路721は、第1方向に複数配置されていてもよい。
【0024】
冷却ユニット1は接続管80をさらに有する。接続管80は、内部が中空であって、例えば、ゴムなどの弾性体で成形される。接続管80の内部には冷媒が流れる。接続管80は、ポンプ12とラジエータ70とを接続する。詳細には、接続管80の一端はパイプ流路721の一端と連通する。接続管80の他端は、ポンプ24の吐出口と連通する。接続管80は、タンク11とラジエータ70とを接続する。詳細には、接続管80の多端は、パイプ流路721の他端と連通する。また、接続管80の一端は、貫通孔111と連通する。
【0025】
(冷却ユニットの動作)
コールドプレート10の下面に、例えばCPU等の冷却されるべき発熱部品30を接触させてポンプ24を駆動する。これにより、第1冷媒流路21、ポンプ室40、パイプ流路721、タンク室50の順で冷媒が循環する。発熱部品30の発熱はコールドプレート10に伝達される。コールドプレート10に伝達された熱は第1冷媒流路21を流通する冷媒に伝達される。冷媒はラジエータ70を介して放熱が行われ、発熱部品30の温度上昇を抑制することができる。
【0026】
タンク室50の第1方向上端は、ポンプ室40の第1方向上端よりも上側に位置する。
【0027】
ポンプ室40は、冷媒で満たされていることが望ましい。冷却ユニット1内に入り込んだ空気は、冷媒と共に冷却ユニット1内を循環する。具体的には、ポンプ室40内に入り込んだ空気は、羽根車16により押し出され、ラジエータ70のパイプ流路721を通ってタンク11のタンク室50に入り込む。タンク室50に入り込んだ空気は、タンク室50の第1方向上端まで上昇する。タンク室50の第1方向上端まで上昇した空気は、タンク室50の第1方向上端にとどまり、ポンプ室40側へ流れない。したがって、タンク室50の第1方向上端は、ポンプ室40の第1方向上端よりも上側に位置することで、空気をタンク室50の第1方向上端に溜めることができ、ポンプ室40内に空気が流れ込むことを抑制できる。よって、冷却ユニット1の冷却効率が低下することを抑制できる。
【0028】
また、上述したように、タンク室50に入り込んだ冷媒をコールドプレート10に流す貫通部601はタンク室50の下側に設けられることが望ましい。第1方向下端に設けられることで、タンク室50に入り込んだ空気が、よりポンプ室40側に流れにくくすることができる。
【0029】
本実施形態ではタンク室50は直方体と説明したが、これに限らない。
【0030】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。
図2は、第2実施形態の冷却ユニット1を示す断面図である。説明の便宜上、前述の第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。
【0031】
タンク室50の第1方向上端は、ラジエータ70のパイプ流路721の第1方向上端よりも上側に位置する。第1実施形態では、空気がポンプ室40内に溜まらないことが望ましいと説明したが、空気がパイプ流路721内に溜まらないことも望ましい。詳細には、パイプ流路721に入り込んだ空気は、貫通孔111を通って、タンク室50に入り込む。タンク室50に入り込んだ空気は、タンク室50の第1方向上端まで上昇する。タンク室50の第1方向上端まで上昇した空気は、タンク室50の第1方向上端にとどまり、ポンプ室40側へ流れない。つまり、タンク室50に入り込んだ空気は、ラジエータ70のパイプ流路721に流れ込まない。したがって、タンク室50の第1方向上端は、ラジエータ70のパイプ流路721の第1方向上端よりも上側に位置することで、パイプ流路721に空気が溜まることを防ぎ、ラジエータ70の冷却効率の低下を防ぐことができる。
【0032】
<第3実施形態>
次に第3実施形態について説明する。
図3は、第3実施形態の冷却ユニット1Aと冷却ユニット1Bを示す斜視図である。説明の便宜上、前述の第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。
【0033】
冷却ユニットは複数設けられていてもよい。冷却ユニット1A、1Bは同様の構成であり、同様の大きさである。冷却ユニット1A、1Bは、水平方向に並べて配置される。冷却ユニット1A、1Bは、接続管(80a、80b、80c)とラジエータ70を介して直列に接続される。詳細には、ポンプ24Aの吐出口Aは接続管80aを介してラジエータ70のパイプ流路721の一端に接続される。パイプ流路721の他端は接続管80bを介してタンク11Bの貫通孔111Bに接続される。冷却ユニット1Bの吐出口Bは、接続管80cを介して、貫通孔111Aに接続される。したがって、冷媒は冷却ユニット1Aと冷却ユニット1B内を循環する。冷却ユニットを複数設けることで、ポンプ12Aとポンプ12Bの冷却効率の低下を抑制しつつ、複数の放熱部品(30A、30B)を冷却することができる。
【0034】
(その他)
上記実施形態は、本発明の例示にすぎない。実施形態の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0035】
上記実施形態では遠心型のポンプを用いたが、ダイヤフラム型、カスケード型等のポンプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1、1A、1B・・・冷却ユニット
10、10A、10B・・・コールドプレート
11、11A、11B・・・タンク
12、12A、12B・・・ポンプ
16・・・羽根車
21・・・第1冷媒流路
24、24A、24B・・・ポンプ
30、30A、30B・・・発熱部品
40・・・ポンプ室
50・・・タンク室
60・・・仕切り部
70・・・ラジエータ
80、80a、80b、80c・・・接続管