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特開2023-58620貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058620
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/24 20190101AFI20230418BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20230418BHJP
   G07D 11/36 20190101ALI20230418BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20230418BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20230418BHJP
【FI】
G07D11/24
G07D11/26
G07D11/36
G07G1/12 321H
G06Q40/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018406
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2019180331の分割
【原出願日】2019-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】津川 晃
(72)【発明者】
【氏名】稲本 雅也
(57)【要約】
【課題】貨幣処理装置の精査を容易に実行することができる貨幣処理システムを提供する。
【解決手段】貨幣処理システムにおいて、第1貨幣処理機は、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣量及び第2貨幣処理機が収納している貨幣量のそれぞれを管理在高として記憶する記憶部と、精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信し、前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果が、前記記憶部に記憶された前記第1貨幣処理機の管理在高及び前記第2貨幣処理機の管理在高と一致するか否かを判定する第1制御部と、を有し、前記第2貨幣処理機は、前記精査命令を受信した場合に、前記第2貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行し、実行した精査による精査結果を前記第1貨幣処理機に送信する第2制御部、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貨幣処理機と、前記第1貨幣処理機と通信可能な第2貨幣処理機とを備える貨幣処理システムであって、
前記第1貨幣処理機は、
予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信する第1制御部と、
前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力する出力部と
を有し、
前記第2貨幣処理機は、
前記精査命令を受信した場合に、前記第2貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行し、実行した精査による精査結果を前記第1貨幣処理機に送信する第2制御部、
を有する、
貨幣処理システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記精査実行日時の後に手処理による精査が必要な装置に対して手処理による精査を実行させるように報知する請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記精査実行日時に、前記第2貨幣処理機に起動命令を送信し、前記第2貨幣処理機と通信できない場合は、回線に異常があることを記憶部に記憶する請求項1又は2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記精査実行日時に、前記第2貨幣処理機に起動命令を送信し、前記第2貨幣処理機が起動できない場合は、起動失敗したことを記憶部に記憶する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記第2貨幣処理機から所定時間内に精査結果を受信できない場合に、異常が発生したと判定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記第2貨幣処理機から扉の開閉を検知した情報を受信した場合に、警告情報を表示部に表示する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記精査実行日時をランダムに決定する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
第2貨幣処理機と通信可能な第1貨幣処理機として動作する貨幣処理装置であって、
予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信する制御部と、
前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力する出力部と
を備える貨幣処理装置。
【請求項9】
第1貨幣処理機と、前記第1貨幣処理機と通信可能な第2貨幣処理機とを備える貨幣処理システムが実行する貨幣処理方法であって、
第1制御部が、予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信することと、
出力部が、前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力することと、
第2制御部が、前記精査命令を受信した場合に、前記第2貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行し、実行した精査による精査結果を前記第1貨幣処理機に送信することと、
を含む、
貨幣処理方法。
【請求項10】
第2貨幣処理機と通信可能な第1貨幣処理機のコンピュータに、
予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信することと、
前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力することと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関などの店舗では、店舗全体の在高が一元管理されている。
特許文献1には、関連する技術として、オープン出納機に、テラーが窓口端末の操作により現金を入出金する貨幣入出金機(オートキャッシャー)を店舗内ネットワークで接続することにより、店舗全体の在高を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-130141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、オートキャッシャー及びオープン出納機が行う自動精査は、オートキャッシャー及びオープン出納機それぞれに対して個別に精査スケジュールを設定し実施されるものである。そのため、担当者は、多数の装置それぞれに精査スケジュールを設定する必要があり、担当者の負担となっていた。
【0005】
そこで、この発明は、貨幣処理装置の精査を効率良く実行することができる貨幣処理システム、貨幣処理装置、貨幣処理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、貨幣処理システムは、第1貨幣処理機と、前記第1貨幣処理機と通信可能な第2貨幣処理機とを備える貨幣処理システムであって、前記第1貨幣処理機は、予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信する第1制御部と、前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力する出力部とを有し、前記第2貨幣処理機は、前記精査命令を受信した場合に、前記第2貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行し、実行した精査による精査結果を前記第1貨幣処理機に送信する第2制御部、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様における貨幣処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記精査実行日時の後に手処理による精査が必要な装置に対して手処理による精査を実行させるように報知するものであってもよい。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第1又は2の態様における貨幣処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記精査実行日時に、前記第2貨幣処理機に起動命令を送信し、前記第2貨幣処理機と通信できない場合は、回線に異常があることを記憶部に記憶するものであってもよい。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、第1乃至3の態様のいずれか1つにおける貨幣処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記精査実行日時に、前記第2貨幣処理機に起動命令を送信し、前記第2貨幣処理機が起動できない場合は、起動失敗したことを記憶部に記憶するものであってもよい。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、第1乃至4の態様のいずれか1つにおける貨幣処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記第2貨幣処理機から所定時間内に精査結果を受信できない場合に、異常が発生したと判定するものであってもよい。
【0011】
本発明の第6の態様によれば、第1乃至5の態様のいずれか1つにおける貨幣処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記第2貨幣処理機から扉の開閉を検知した情報を受信した場合に、警告情報を表示部に表示するものであってもよい。
【0012】
本発明の第7の態様によれば、第1乃至6の態様のいずれか1つにおける貨幣処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記精査実行日時をランダムに決定するものであってもよい。
【0013】
本発明の第8の態様によれば、貨幣処理装置は、第2貨幣処理機と通信可能な第1貨幣処理機として動作する貨幣処理装置であって、予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信する制御部と、前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力する出力部とを備える。
【0014】
本発明の第9の態様によれば、貨幣処理方法は、第1貨幣処理機と、第1貨幣処理機と、前記第1貨幣処理機と通信可能な第2貨幣処理機とを備える貨幣処理システムが実行する貨幣処理方法であって、第1制御部が、予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信することと、出力部が、前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力することと、第2制御部が、前記精査命令を受信した場合に、前記第2貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行し、実行した精査による精査結果を前記第1貨幣処理機に送信することと、
を含む。
【0015】
本発明の第10の態様によれば、プログラムは、第2貨幣処理機と通信可能な第1貨幣処理機のコンピュータに、予め設定された精査実行日時に、前記第1貨幣処理機が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令を前記第2貨幣処理機に送信することと、前記第1貨幣処理機の精査結果及び前記第2貨幣処理機から受信した精査結果を出力することとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の貨幣処理システムにより、貨幣処理装置の精査を効率良く実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による貨幣処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による出納機の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による出納機プリンタによる印字の一例を示す図である。
図4】本本発明の一実施形態におけるデータテーブルTBL1の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による出納機が管理する全管理在高データの一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるキャッシャーの構成の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による両替機の構成の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による現金管理装置の構成の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による貨幣処理システムの処理フローを示す第1の図である。
図10】本発明の一実施形態による貨幣処理システムの処理フローを示す第2の図である。
図11】本発明の一実施形態による貨幣処理システムの処理フローを示す第3の図である。
図12】本発明の一実施形態による出納機操作表示部が表示する第1の表示例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態による出納機操作表示部が表示する第2の表示例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態による出納機操作表示部が表示する第3の表示例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態による出納機操作表示部が表示する第4の表示例を示す図である。
図16】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態にかかる貨幣処理システムについて詳しく説明する。
【0019】
(貨幣処理システムの構成)
貨幣処理システム1は、例えば、金融機関等の店舗に設置されるシステムである。貨幣処理システム1は、図1に示すように、出納機10(第1貨幣処理機の一例)、窓口に設置されるキャッシャー(貨幣入出金機)20-1、20-2及び20-3(第2貨幣処理機の一例)、これら各キャッシャーに接続される窓口端末21-1、21-2及び21-3、両替機30(第2貨幣処理機の一例)、現金管理装置40(第2貨幣処理機の一例)を備える。以下、キャッシャー20-1、20-2及び20-3の各々を区別する必要がない場合には、総称してキャッシャー20と呼ぶ。また、窓口端末21-1、21-2及び21-3の各々を区別する必要がない場合には、総称して窓口端末21と呼ぶ。キャッシャー20は、テラーにより対応する窓口端末21から入力される取引情報に従って貨幣の入出金を行う。なお、出納機10、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40のそれぞれは、無線または有線のLAN(Local Area Network)によって接続されている。
【0020】
(出納機の構成)
出納機10は、貨幣を収納し保管するとともに、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40のそれぞれと通信を行い、貨幣処理システム1全体の在高を管理する。また、出納機10は、キャッシャー20それぞれの取引情報に応じて大口の入出金の処理を行う。取引情報とは、貨幣の入金や出金などの取引内容(例えば、金額など)を示す情報である。出納機10は、図2に示すように、紙幣処理ユニット101、新券処理ユニット102、硬貨処理ユニット103、束処理ユニット104、棒金処理ユニット105、出納機ターミナル106、通信部107及び電源部108を備える。
【0021】
紙幣処理ユニット101は、バラ紙幣の入金処理、バラ紙幣の出金処理などを行う。新券処理ユニット102は、紙幣の特に新券についての出金処理などを行う。硬貨処理ユニット103は、バラ硬貨についての入出金処理などを行う。束処理ユニット104は、外部から装填される小束紙幣を収納したり、紙幣処理ユニット101に収納されているバラ紙幣から小束紙幣を作成して収納したり、小束紙幣の出金処理などを行う。棒金処理ユニット105は、外部から装填される棒金(包装済みの硬貨)を収納したり、硬貨処理ユニット103に収納されているバラ硬貨から棒金を作成して収納したり、棒金の出金処理などを行う。通信部107は、出納機10と、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40との間で通信を行う。電源部108は、各部へ電源を供給する。
【0022】
紙幣処理ユニット101、新券処理ユニット102、硬貨処理ユニット103、束処理ユニット104、棒金処理ユニット105のそれぞれは、出納機10の現金処理ユニットである。現金処理ユニットにおいて適切な処理が行われなかった貨幣については、リジェクトされる。ここでの適切な処理が行われなかった貨幣(リジェクト貨幣)とは、例えば、装置が正常に識別できなかった貨幣、装置が複数枚重なっていると判断した紙幣などである。入金時のリジェクト貨幣は、入金口に返却され、出金時のリジェクト貨幣は、リジェクト庫に収納される。また、出金に適さない汚損貨幣などは、汚損貨収納庫に収納される。
【0023】
出納機ターミナル106は、紙幣処理ユニット101、新券処理ユニット102、硬貨処理ユニット103、束処理ユニット104、棒金処理ユニット105それぞれを制御する。出納機ターミナル106は、図2に示すように、出納機カードリーダ106b、出納機操作表示部106c、出納機プリンタ106d、出納機記憶部106e(記憶部の一例)、出納機制御部106f(第1制御部の一例)を備える。
【0024】
出納機カードリーダ106bは、カードに記録されている操作者を識別する情報(操作者IDなど)を読み取る。
【0025】
出納機操作表示部106cは、操作者による操作の入力を受け付けると、情報を表示する。情報の表示は、例えば、後述するアプリケーションプログラムにより実行可能な「連携機器登録」、「連携機器在高照会」、「夜間精査設定」などのメニューである。出納機操作表示部106cは、例えば、タッチパネルの機能を有する表示部である。
【0026】
「連携機器登録」メニューは、出納機10と通信を可能にする装置を登録するためのメニューである。操作者が「連携機器登録」メニューに応じた操作を出納機操作表示部106cに対して行うことにより、出納機制御部106fは、出納機10と通信可能な装置として、例えば、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40などを登録する(すなわち、出納機記憶部106eに書き込む)ことができる。
【0027】
「連携機器在高照会」メニューは、出納機10において、当日分の処理を締上するときに、「連携機器登録」メニューを介して、出納機10と通信可能な装置として登録された後述するキャッシャー20を含む装置が記憶する管理在高を取得して管理するためのメニューである。操作者が「連携機器在高照会」メニューに応じた操作を出納機操作表示部106cに対して行うことにより、出納機制御部106fは、出納機10と通信可能な装置が記憶する管理在高をそれぞれの装置から取得することができる。
【0028】
「夜間精査設定」メニューは、精査実行日時(すなわち、出納機10自体の精査及び出納機10が精査命令を出納機10と通信可能な装置に送信し、精査を実行させる精査スケジュール)を設定するためのメニューである。操作者が「夜間精査設定」メニューに応じた操作を出納機操作表示部106cに対して行うことにより、出納機制御部106fは、精査スケジュールとして、例えば、毎週〇曜日、毎月末日、または不定期に決定した日(すべての曜日を対象として実行間隔の間においてランダムに決定した1日(例えば、10日間ごとに期間を区切り、各10日間においてランダムに決定した1日))の夜間(例えば、18時00分~9時00分))を設定することができる。
【0029】
また、出納機操作表示部106cは、出納機10による出納機10自体の精査結果、出納機10によるキャッシャー20それぞれの精査結果、出納機10による両替機30の精査結果、出納機10による現金管理装置40の精査結果の概要を表示する。
なお、出納機操作表示部106cが表示する精査結果の具体例については、後述する。
【0030】
出納機プリンタ106dは、出納機10による出納機10自体の精査結果、出納機10によるキャッシャー20それぞれの精査結果、出納機10による両替機30の精査結果、出納機10による現金管理装置40の精査結果を印字する。
なお、出納機プリンタ106dによって印字される精査結果は、例えば、図3に示すように、精査対象の装置(例えば、出納機10、各キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40)ごとに、出納機10が記憶している管理在高(図3における「機器在高(バラ万から棒1まで)」)と精査によって求めた実際の貨幣の計数値が示す在高(図3における「精査在高」)のそれぞれについて、貨幣の種類と各貨幣の枚数、管理在高と実際の貨幣の計数値が示す在高との差額、その差額の有無などを示す精査結果(図3における「精査完了情報」)である。なお、図3では、キャッシャー20-2の精査結果が出納機10の管理在高と一致しなかったことを示している。
【0031】
出納機記憶部106eは、出納機10が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。
具体的には、出納機記憶部106eは、出納機10が行う種々の処理を出納機制御部106fに実行させるアプリケーションプログラムを記憶する。また、具体的には、出納機記憶部106eは、出納機10、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40それぞれの管理在高と入出金等の取引情報を記憶する。
【0032】
また、具体的には、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、出納機10の紙幣処理ユニット101(装置名称を「出納機(紙幣処理ユニット)」と表記。)が収納している貨幣量を紙幣処理ユニット101の識別子ID1と紙幣処理ユニット101が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第1管理在高として記憶する。なお、図4では、手動での精査が必要になる場合には「要」と記載し、手動での精査が必要ない場合には「否」と記載している。例えば、紙幣処理ユニット101において、出金リジェクトが発生し、管理在高と計数値とが不一致の場合にはリジェクト庫に収納された貨幣を入金口へ戻し入れ再計数を行う手処理が必要になるため、この項目を「要」としている。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、出納機10の新券処理ユニット102(装置名称を「出納機(新券処理ユニット)」と表記。)が収納している貨幣量を新券処理ユニット102の識別子ID2と新券処理ユニット102が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第2管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、出納機10の硬貨処理ユニット103(装置名称を「出納機(硬貨処理ユニット)」と表記。)が収納している貨幣量を硬貨処理ユニット103の識別子ID3と硬貨処理ユニット103が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第3管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、出納機10の束処理ユニット104(装置名称を「出納機(束処理ユニット)」と表記。)が収納している貨幣量を束処理ユニット104の識別子ID4と束処理ユニット104が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第4管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、出納機10の棒金処理ユニット105(装置名称を「出納機(棒金処理ユニット)」と表記。)が収納している貨幣量を棒金処理ユニット105の識別子ID5と棒金処理ユニット105が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第5管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、キャッシャー20-1(装置名称を「キャッシャー01」と表記。)が収納している貨幣量をキャッシャー20-1の識別子ID6とキャッシャー20-1が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第6管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、キャッシャー20-2(装置名称を「キャッシャー02」と表記。)が収納している貨幣量をキャッシャー20-2の識別子ID7とキャッシャー20-2が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第7管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、キャッシャー20-3(装置名称を「キャッシャー03」と表記。)が収納している貨幣量をキャッシャー20-3の識別子ID8とキャッシャー20-3が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第8管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、両替機30(装置名称を「両替機」と表記。)が収納している貨幣量を両替機30の識別子ID9と両替機30が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第9管理在高として記憶する。また、出納機記憶部106eは、図4の第1データテーブルTBL1に示すように、現金管理装置40(装置名称を「現金管理装置」と表記。)が収納している貨幣量を現金管理装置40の識別子ID10と現金管理装置40が手動での精査が必要であるか否かを示す情報とに関連付けて第10管理在高として記憶する。現金管理装置40は、後述するように、手動での精査が必要であるため、この項目を「要」としている。
【0033】
また、具体的には、出納機記憶部106eは、出納機10が管理する、出納機10の各現金処理ユニット、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40に貨幣の精査を実行させる精査スケジュールを記憶する。出納機記憶部106eは、不揮発性メモリなどの記憶媒体から成る。
【0034】
なお、上述の出納機記憶部106eが記憶する管理在高を含め、出納機記憶部106eが記憶する出納機10によって管理される全管理在高は、図5に示すように、出納機在高データ、手許在高データ、金庫在高データを含む。出納機在高データは、出納機10についての管理在高を示すデータである。出納機在高データには、紙幣処理ユニット在高データ、新券処理ユニット在高データ、硬貨処理ユニット在高データ、束処理ユニット在高データ、棒金処理ユニット在高データが含まれる。紙幣処理ユニット在高データは、紙幣処理ユニットの管理在高を示すデータである。新券処理ユニット在高データは、新券処理ユニットの管理在高を示すデータである。硬貨処理ユニット在高データは、硬貨処理ユニットの管理在高を示すデータである。束処理ユニット在高データは、束処理ユニットの管理在高を示すデータである。棒金処理ユニット在高データは、棒金処理ユニットの管理在高を示すデータである。手許在高データは、後述するキャッシャー20についての管理在高を示すデータ(図5におけるキャッシャー01在高データ、キャッシャー02在高データ、キャッシャー03在高データ)、両替機30についての管理在高を示すデータ(図5における両替機在高データ)、現金管理装置40についての管理在高を示すデータ(図5における現金管理装置在高データ)である。金庫在高データは、貨幣処理システム1が設置されている金融機関などの店舗の金庫室に保管されている貨幣についての管理在高のデータである。
【0035】
出納機制御部106fは、出納機記憶部106eが記憶するアプリケーションプログラムに基づいて、出納機10が行う種々の処理を制御する。
具体的には、上述のように、「連携機器登録」メニューを介して、出納機制御部106fは、出納機10と通信可能な装置として、例えば、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40などを登録する。
また、具体的には、上述のように、「連携機器在高照会」メニューを介して、出納機制御部106fは、出納機10と通信可能な装置が記憶する管理在高をそれぞれの装置から取得し、出納機記憶部106eに記憶する。
また、具体的には、上述のように、「夜間精査設定」メニューを介して、出納機制御部106fは、精査スケジュールを設定することができる。
【0036】
また、具体的には、出納機制御部106fは、紙幣処理ユニット101、新券処理ユニット102、硬貨処理ユニット103、束処理ユニット104、棒金処理ユニット105、出納機カードリーダ106b、出納機操作表示部106c、出納機プリンタ106dそれぞれが行う処理を制御する。また、出納機制御部106fは、出納機10と、各キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40それぞれとの間の通信を制御する。
【0037】
また、具体的には、出納機制御部106fは、精査実行日時になると、貨幣の精査を実行させる精査命令を、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40に送信する。この精査命令に応じて、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40それぞれは、精査結果を出納機10に送信する。精査結果には、一致/不一致、紙幣の計数値、貨幣の計数値、貨幣の抜き取りを可能にする扉の開閉のログ情報などが含まれる。扉の開閉のログ情報は、ある精査が行われてから次の精査が行われるまでの間のログ情報であり、扉が開閉された時刻とその扉を備える装置(すなわち、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40)の識別子とを関連付けた情報である。また、このとき、出納機制御部106fは、出納機10が収納している貨幣の精査を実行する。そして、出納機制御部106fは、出納機10の各現金処理ユニットが収納している貨幣の精査結果が出納機記憶部106eが記憶する第1~第5管理在高のそれぞれと一致するか否かを判定する。
なお、精査実行日時は、例えば、精査担当者が所定の日時(例えば、曜日、時刻)を指定することにより決定するものであってよい。また、精査実行日時は、出納機10がランダムに決定するものであってもよい。
【0038】
また、具体的には、出納機制御部106fは、精査実行日時の後(例えば、精査実行日の翌日)に、手処理による精査が必要な装置に対して手処理による精査を実行させるように報知し、精査実行日時における精査結果及び精査実行日時の後の精査結果が、出納機記憶部106eが記憶する管理在高と一致するか否かを判定する。ここでは、手処理による精査が必要な装置とは、出納機10から送信された精査命令によって精査を行った出納機10の各現金処理ユニット、キャッシャー20、両替機30のうち精査結果が各装置が記憶する管理在高と一致しなかった装置及び現金管理装置40のことである。
【0039】
また、出納機制御部106fは、現金管理装置40の手処理による精査が完了すると、精査結果を現金管理装置40から取得する。そして、出納機制御部106fは、現金管理装置40から取得した精査結果が第10管理在高と一致するか否かを判定する。
【0040】
また、具体的には、出納機制御部106fは、精査命令に応じて実行された精査による出納機10の各現金処理ユニット、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40それぞれの精査結果のいずれかが第6~第10の管理在高と一致しない場合、精査結果を正しいものとし、その精査結果を管理在高に反映させるか否か(すなわち、管理在高の内容を精査結果で上書きするか否か)を選択させる表示を出納機操作表示部106cに対して行う。
そして、出納機制御部106fは、精査結果を正しいものとし、その精査結果を管理在高に反映させることが選択された場合に、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40のうち精査結果が管理在高と一致しない装置から所定の時刻以降に行われた取引情報を取得する。所定の時刻以降に行われたに行われた取引情報とは、例えば、締上後に行われた取引情報である。
また、出納機制御部106fは、精査結果が管理在高と一致しない場合であり、精査結果を管理在高に反映させないことが選択された場合に、出納機10の各現金処理ユニット、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40のうち精査結果が管理在高と一致しない装置の内部に残留貨幣があるか否かを確認すること、または、その精査結果が管理在高と一致しない装置の再精査が必要であることを報知する。
【0041】
出納機制御部106fは、精査実行日時に、出納機10が備える現金処理ユニットの電源をオン状態にし、キャッシャー20及び両替機30それぞれが備える現金処理ユニットの電源をオン状態にさせる起動命令を、キャッシャー20、両替機30それぞれに送信する。また、精査結果を取得した後に、出納機制御部106fは、出納機10が備える現金処理ユニットの電源をオフ状態にし、キャッシャー20及び両替機30それぞれが備える現金処理ユニットの電源、並びに現金管理装置40の駆動系の電源をオフ状態にさせる終了命令を、キャッシャー20、両替機30及び現金管理装置40それぞれに送信する。
【0042】
窓口端末21は、パーソナルコンピュータ(PC)等により構成され、テラーによる操作を受け付ける。窓口端末21は、対応するキャッシャー20と通信可能に接続されており、テラーにより入力された入出金にかかる取引情報などを対応するキャッシャー20に送信する。
【0043】
(キャッシャーの構成)
キャッシャー20は、図6に示すように、キャッシャー記憶部201、キャッシャー制御部202(第2制御部の一例)、紙幣処理ユニット203、硬貨処理ユニット204、操作表示部205、通信部206、電源部207を備える。
キャッシャー20は、対応する窓口端末21へのテラーによる操作に応じて送られてくる取引情報に従って、バラ紙幣や硬貨などの現金を入出金する。対応する窓口端末21とは、キャッシャー20を備える窓口端末21に備えられる窓口端末21である。
【0044】
キャッシャー記憶部201は、そのキャッシャー記憶部201を備えるキャッシャー20が行う処理に必要な種々の情報や入出金等の取引情報を記憶する。
具体的には、キャッシャー記憶部201は、そのキャッシャー記憶部201を備えるキャッシャー20が行う種々の処理を対応するキャッシャー制御部202に実行させるアプリケーションプログラムを記憶する。対応するキャッシャー制御部202とは、キャッシャー記憶部201を備えるキャッシャー20に備えられるキャッシャー制御部202である。
また、具体的には、キャッシャー記憶部201は、そのキャッシャー記憶部201を備えるキャッシャー20についての管理在高を記憶する。キャッシャー20についての管理在高は、そのキャッシャー20における貨幣の入出金に基づいて計算された値(理論値)である。よって、キャッシャー20についての管理在高は、そのキャッシャー20における貨幣の入出金処理によって増減する。
【0045】
キャッシャー制御部202は、対応するキャッシャー記憶部201が記憶するアプリケーションプログラムに基づいて、そのキャッシャー制御部202を備えるキャッシャー20が行う種々の処理を制御する。
具体的には、キャッシャー制御部202は、出納機10から精査命令を受信した場合に、そのキャッシャー制御部202を備えるキャッシャー20が収納している貨幣の計数を実行する。そして、キャッシャー制御部202は、出納機10から精査結果取得命令を受信した場合に、キャッシャー記憶部201に記憶された管理在高と計数値との一致/不一致を判断し、計数値及び一致/不一致を含む精査結果(精査完了)を出納機10に送信する。キャッシャー制御部202は、精査処理の際に、例えば貨幣ジャムなどの装置異常等があり、完了出来なかった場合は、失敗理由を含む精査結果(精査失敗)を出納機10に送信する。
また、具体的には、キャッシャー制御部202は、出納機10から起動命令を受信した場合に、そのキャッシャー制御部202を備えるキャッシャー20の現金処理ユニットの電源をオン状態にする。キャッシャー制御部202は、出納機10から終了命令を受信した場合に、キャッシャー20の現金処理ユニットの電源をオフ状態にする。
【0046】
紙幣処理ユニット203は、バラ紙幣の入金処理、バラ紙幣の出金処理などを行う。硬貨処理ユニット204は、バラ硬貨についての入出金処理などを行う。操作表示部205は、操作者による操作の入力を受け付けると、例えば、アプリケーションプログラムにより実行可能なメニューを表示する。操作表示部205は、例えば、タッチパネルの機能を有する表示部である。通信部206は、キャッシャー20と、出納機10、両替機30及び現金管理装置40との間で通信を行う。電源部207は、各部へ電源を供給する。
【0047】
(両替機の構成)
両替機30は、バラ紙幣及びバラ硬貨を受け付け、バラ紙幣、バラ硬貨及び棒金への両替を行う。両替機30は、図7に示すように、両替機記憶部301、両替機制御部302(第2制御部の一例)、紙幣処理ユニット303、硬貨処理ユニット304、棒金処理ユニット305、操作表示部306、通信部307、電源部308を備える。
両替機記憶部301は、両替機30が行う処理に必要な種々の情報や入出金等の取引情報を記憶する。
具体的には、両替機記憶部301は、両替機30が行う種々の処理を両替機制御部302に実行させるアプリケーションプログラムを記憶する。
また、具体的には、両替機記憶部301は、両替機30についての管理在高を記憶する。両替機30についての管理在高は、両替機30における貨幣の入出金に基づいて計算された値である。
【0048】
両替機制御部302は、両替機記憶部301が記憶するアプリケーションプログラムに基づいて、両替機30が行う種々の処理を制御する。
具体的には、両替機制御部302は、出納機10から精査命令を受信した場合に、両替機30が収納している貨幣の精査を実行する。そして、両替機制御部302は、出納機10から精査結果取得命令を受信した場合に、実行した精査による精査結果を出納機10に送信する。
また、具体的には、両替機制御部302は、出納機10から起動命令を受信した場合に、両替機30の現金処理ユニットの電源をオン状態にする。両替機制御部302は、出納機10から終了命令を受信した場合に、両替機30の現金処理ユニットの電源をオフ状態にする。
【0049】
紙幣処理ユニット303は、バラ紙幣の入金処理、バラ紙幣の出金処理などを行う。硬貨処理ユニット304は、バラ硬貨についての入出金処理などを行う。棒金処理ユニット305は、装填される棒金の出金処理などを行う。操作表示部306は、操作者による操作の入力を受け付けると、例えば、アプリケーションプログラムにより実行可能なメニューを表示する。操作表示部306は、例えば、タッチパネルの機能を有する表示部である。通信部307は、両替機30と、出納機10、キャッシャー20及び現金管理装置40との間で通信を行う。電源部308は、各部へ電源を供給する。
【0050】
(現金管理装置の構成)
現金管理装置40は、装置本体(図示せず)と、装置本体に対して引き出し可能な複数の収納庫(図示せず)とを備え、収納庫に小束紙幣及び棒金を入出庫可能に収納する。現金管理装置40は、図8に示すように、管理装置カードリーダ402、管理装置操作表示部403、収納庫ロック機構404、表示灯405、引出位置検出機構406、束検出センサ407、棒金検出センサ408、管理装置記憶部409、管理装置制御部410(第2制御部の一例)、通信部411、電源部412を備える。各収納庫に、収納庫ロック機構404、表示灯405、及び引出位置検出機構406が設けられ、収納庫に収納される貨幣に応じて束検出センサ407及び棒金検出センサ408が設けられる。
【0051】
管理装置カードリーダ402は、カードに記録されている操作者を識別する情報(操作者IDなど)を読み取る。
【0052】
管理装置操作表示部403は、操作者による操作の入力を受け付けると、情報を表示する。管理装置操作表示部403は、例えば、タッチパネルの機能を有する表示部である。
【0053】
収納庫ロック機構404は、現金管理装置40が備える複数の収納庫を閉状態で個別にロック、または、ロック解除する。
表示灯405は、収納庫ロック機構404がロック解除したときに点灯し、当該収納庫が引き出し可能であることを操作者に報知する。また、精査時には、各収納庫の表示灯405が順に点滅し、精査対象の収納庫を操作者に報知する。
引出位置検出機構406は、各収納庫の引き出し位置及び押し込み位置を検出する。
【0054】
束検出センサ407は、引出位置検出機構406により収納庫が最も引き出された全開位置になったことを検出した後、最も押し込まれた全閉位置になると、その収納庫に収納されている小束紙幣の数量及び金種を検出する。
棒金検出センサ408は、引出位置検出機構406により収納庫が最も引き出された全開位置になったことを検出した後、最も押し込まれた全閉位置になると、その収納庫に収納されている棒金の数量及び金種を検出する。
【0055】
管理装置記憶部409は、現金管理装置40が行う処理に必要な種々の情報や入出金等の取引情報を記憶する。
具体的には、管理装置記憶部409は、現金管理装置40が行う種々の処理を管理装置制御部410に実行させるアプリケーションプログラムを記憶する。
また、具体的には、管理装置記憶部409は、現金管理装置40についての管理在高を記憶する。現金管理装置40についての管理在高は、現金管理装置40における貨幣の入出金に基づいて計算された値である。
【0056】
管理装置制御部410は、管理装置記憶部409が記憶するアプリケーションプログラムに基づいて、現金管理装置40が行う種々の処理を制御する。
具体的には、管理装置制御部410は、出納機10から精査命令を受信した場合に、管理装置操作表示部403に精査処理のガイダンスを表示する。ガイダンスに従って操作者により精査対象の収納庫が全開位置に引き出され、収納庫の全閉位置まで押し込まれると、束検出センサ407及び棒金検出センサ408が貨幣を検出する。管理装置制御部410は、全ての収納庫の束検出センサ407及び棒金検出センサ408から貨幣の計数値を取得する。そして、管理装置制御部410は、取得した貨幣の計数値が、管理装置記憶部409が記憶する現金管理装置40についての管理在高と一致するか否かを判定する。
【0057】
管理装置制御部410は、出納機10から精査結果を取得する精査結果取得命令を受信した場合に、実行した精査による精査結果を出納機10に送信する。また、管理装置制御部410は、出納機10から起動命令を受信した場合に、現金管理装置40の駆動系の電源をオン状態にする。管理装置制御部410は、出納機10から終了命令を受信した場合に、現金管理装置40の駆動系の電源をオフ状態にする。
【0058】
通信部411は、現金管理装置40と、出納機10、キャッシャー20及び両替機30との間で通信を行う。電源部412は、各部へ電源を供給する。
【0059】
(貨幣処理システムが行う処理)
次に、貨幣処理システム1が行う処理について説明する。
ここでは、図10図11に示す貨幣処理システム1が行う精査処理の処理フローについて説明する。
なお、「連携機器登録」メニューを介して、出納機制御部106fにより、出納機10と通信可能な装置として、キャッシャー20、両替機30、及び、現金管理装置40が登録されているものとする。また、「夜間精査設定」メニューを介して、出納機制御部106fにより、精査実行日時が設定されて、出納機記憶部106eに精査スケジュールとして記憶されているものとする。また、設定されている精査実行日時より前(例えば、その日の営業終了後)に、締上げ処理が実施され、出納機10の現金処理ユニット、キャッシャー20の現金処理ユニット、両替機30の現金処理ユニット及び現金管理装置40の駆動系の電源は、オフ状態であるものとする。なお、この状態においても、出納機10と、キャッシャー20、両替機30および現金管理装置40との間の通信は可能である。
【0060】
(精査実行日時に行う精査の処理)
まず、図10に示す精査実行日時に行う精査の処理について説明する。
出納機制御部106fは、設定されている精査実行日時であるか否かを所定の時間間隔で(例えば、10秒ごとに)判定する(ステップS1)。
出納機制御部106fは、設定されている精査実行日時ではないと判定した場合(ステップS1においてNO)、ステップS1の処理に戻す。
また、出納機制御部106fは、設定されている精査実行日時であると判定した場合(ステップS1においてYES)、出納機ターミナル106は、待機状態から起動状態になり、現金処理ユニットの電源をオン状態にする。そして、出納機制御部106fは、出納機10と通信可能な装置として登録されているキャッシャー20、両替機30、及び、現金管理装置40のうち、自動で精査可能な現金処理ユニットを有するキャッシャー20、及び、両替機30のそれぞれに起動命令を送信する(ステップS2)。
出納機制御部106fは、回線が外れている装置(キャッシャー20、両替機30)があるか否かを判定する(ステップS3)。例えば、出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30)のIDを見つけることができた場合、回線に異常がないと判定する。また、出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30)のIDを見つけることができなかった場合、回線に異常があると判定する。
キャッシャー20、両替機30のそれぞれは、回線に異常がなく自身の装置に異常がない場合には、起動命令に応じて起動する(ステップS4、S5)。なお、図9は、キャッシャー20、両替機30の両方が起動した場合を示している。
【0061】
出納機制御部106fは、通信できない回線で接続されている装置があると判定した場合(ステップS3においてYES)、回線に異常のあった装置として出納機記憶部106eに記録する(ステップS6)。
【0062】
出納機制御部106fは、通信できない回線で接続されている装置がないと判定した場合(ステップS3においてNO)、装置(キャッシャー20、両替機30)の起動を確認し(ステップS7)、装置が起動したか否かを判定する(ステップS8)。
例えば、装置(キャッシャー20、両替機30)から応答がなかった場合、出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30)が起動しなかったと判定し(ステップS8においてYES)、起動しなかった装置として出納機記憶部106eに記録する(ステップS9)。
【0063】
装置(キャッシャー20、両替機30)から応答があった場合、出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30)が起動したと判定し(ステップS8においてNO)、起動した装置(キャッシャー20、両替機30)に精査命令を送信する(ステップS10)。
出納機制御部106fは、出納機10の自動精査を実行する(ステップS11)。
【0064】
精査命令を受けたキャッシャー制御部202は、精査命令に応じて、精査命令を受けたキャッシャー制御部202を備えるキャッシャー20の自動精査を実行する(ステップS12)。また、精査命令を受けた両替機制御部302は、精査命令に応じて両替機30の自動精査を実行する(ステップS13)。
出納機制御部106fは、所定時間後に、装置(キャッシャー20、両替機30)に精査結果取得命令を送信する(ステップS14)。ここでの所定時間とは、各装置が自動精査を完了することができる時間のことである。
【0065】
キャッシャー制御部202は、精査結果取得命令に応じて、は、精査結果を出納機10に送信する(ステップS15)。また、両替機制御部302は、精査結果取得命令に応じて、精査結果(精査完了/失敗、計数値、一致/不一致、失敗原因など)を出納機10に送信する(ステップS16)。
【0066】
出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30)から精査結果を受ける。出納機制御部106fは、受けた精査結果を出納機記憶部106eに記録する(ステップS17)。
そして、出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30)に終了命令を送信する(ステップS18)。
そして、出納機制御部106fは、電源部108をオフ状態にする(ステップS19)。
【0067】
キャッシャー制御部202は、終了命令を受け、受けた終了命令に応じて電源部207をオフ状態にする(ステップS20)。また、両替機制御部302は、終了命令を受け、受けた終了命令に応じて電源部308をオフ状態にする(ステップS21)。
【0068】
なお、ステップS15及びステップS16の処理で出納機10に送信される精査結果としては、次のものが挙げられる。
【0069】
(精査における処理が正常に完了する場合)
精査対象の装置(この場合、キャッシャー20、両替機30)は、精査が正常に終了した場合(すなわち、精査の対象である装置が記憶する管理在高と、精査の対象である装置における貨幣の計数値とが一致した場合)、計数値が示す在高を出納機10に送信する。
この場合、出納機10は、精査対象の装置から計数値が示す在高の情報を受信することになる。そのため、出納機制御部106fは、精査対象の装置から所定時間内に在高の情報を受信した場合に、その精査対象の装置から受信した在高の情報は正常な精査結果を示す情報であると判定することができる。所定時間とは、精査対象の装置ごとに設定される時間であり、精査対象の装置が精査を完了し精査結果を送信することが可能な時間よりも長い時間である。
そして、出納機制御部106fは、受信した在高の情報が出納機記憶部106eが記憶する精査対象の装置についての管理在高と一致した場合に、精査における処理が正常に行われたと判定することができる。
【0070】
(精査における処理に異常が発生した場合)
精査において異常が発生する原因としては、以下の3つが考えられる。
異常発生の1つ目の原因は、精査対象の装置の異常または通信回線の異常である。精査対象の装置の異常としては、装置に、例えば貨幣ジャム等の不具合が発生し精査を実行できない場合、装置が起動できない場合などが考えられる。
この1つ目の原因によって異常が発生する場合には、所定時間内に在高の情報を受信できないことになるため、出納機10は、所定時間内に在高の情報を受信しなかった場合に、その精査対象の装置または通信回線に異常が発生したと判定することができる。
【0071】
異常発生の2つ目の原因は、計数対象とすべき貨幣量と実際の計数対象となった貨幣量とのズレによって生じる貨幣の計数値の異常である。このような貨幣の計数値の異常が発生する原因としては、搬送不良、リジェクトされた現金の戻入忘れ、現金の不正抜取りなどが考えられる。
この2つ目の原因によって異常が発生する場合には、精査対象の装置が行った精査による貨幣の計数値は、その精査対象の装置についての管理在高と一致しない。そのため、貨幣の計数値と装置が記憶する管理在高とが一致しない場合に、精査対象の装置が貨幣の計数値と管理在高とが一致しないことを出納機10に通知することにより、出納機10は、精査対象の装置において、搬送不良、リジェクトされた現金の戻入忘れなどが発生したと判定することができる。
また、収納庫に収納した貨幣に容易にアクセスできないようにするための扉のロックの開錠のログ情報が記録されている場合、精査対象の装置が、貨幣の計数値と管理在高とが一致しないことを示す情報とともに、そのログ情報を出納機10に送信することにより、出納機10は、精査対象の装置において、現金の不正抜取が行われた可能性があると判定することができる。
【0072】
異常発生の3つ目の原因は、出納機10が記憶する精査対象の装置についての管理在高との不一致である。出納機制御部106fが精査対象の装置から所定時間内に在高の情報を受信した場合であっても、出納機記憶部106eが記憶する精査対象の装置の管理在高と受信した精査結果と不一致が生じる場合がある。このような不一致が発生する原因としては、精査対象の装置において行われた入出金の処理内容(取引情報)が、出納機10が記憶する精査対象の装置についての管理在高に反映されていないことが考えられる。よって、精査対象の装置による精査結果が出納機10が記憶する精査対象の装置についての管理在高と一致しない場合、出納機制御部106fは、精査対象の装置において行われた入出金の処理内容を、出納機10が記憶する精査対象の装置についての管理在高に反映させる必要があると判定することができる。
【0073】
(精査実行日時の後に行う精査の処理)
次に、図10に示す精査実行日時の後(例えば、精査実行日の翌朝)に行う手動精査の処理について説明する。
精査実行日時の後、操作者が出納機10の出納機ターミナル106の電源をオン状態にすると、出納機制御部106fは、精査実行日時に行った自動精査による精査結果を復元する(ステップS31)。
また、精査実行日時に行った自動精査についてのメッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS32)。
例えば、出納機制御部106fは、図12図15に示す表示を、所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)で切り替えて出納機操作表示部106cに表示させる。
【0074】
また、出納機制御部106fは、出納機10と通信可能な装置として登録されているそれぞれのキャッシャー20、両替機30、及び、現金管理装置40のそれぞれに起動命令を送信する(ステップS33)。
【0075】
起動命令を受けたキャッシャー制御部202は、起動指令に応じて電源部207をオン状態にする(すなわち、キャッシャー20を起動する)(ステップS34)。また、起動命令を受けた両替機制御部302は、起動指令に応じて電源部308をオン状態にする(すなわち、両替機30を起動する)(ステップS35)。また、起動命令を受けた管理装置制御部410は、起動指令に応じて電源部412をオン状態にする(すなわち、現金管理装置40を起動する)(ステップS36)。
【0076】
操作者は、出納機操作表示部106cに表示させるメッセージを参考にして、精査実行日時に行われた精査による精査結果が出納機10が記憶する管理在高と一致しない原因を特定する。
例えば、操作者は、図12図15に示すメニューを選択するなどして、精査実行日時に行われた精査による精査結果が出納機10が記憶する管理在高と一致しない装置について、その装置内部の搬送路に紙幣や硬貨が張り付いていないかを確認したり、リジェクトされた貨幣により不一致が生じていないかを確認したり、このような場合、搬送路上の残留貨幣やリジェクト庫に収納されたリジェクト貨幣や汚損貨収納庫に収納された汚損貨幣を入金口へ戻し入れ再計数を行うことになる。また、出納機10については、新券を処理する新券処理ユニット102などを確認する。
そして、操作者は、特定した原因を、その原因を有する装置に反映する。
【0077】
また、操作者は、現金管理装置40が備えるすべての収納庫の引き出し位置を所定の位置にして、元に戻す。これにより、束検出センサ407は、収納庫の引き出し位置が所定の位置となると、その収納庫に収納されている小束紙幣の有無及び紙幣種別を検出する。また、棒金検出センサ408は、収納庫の引き出し位置が所定の位置となると、その収納庫に収納されている棒金の有無及び貨幣種別を検出する。
そして、操作者は、束検出センサ407による小束紙幣の計数値と、棒金検出センサ408による棒金の計数値とを取得させる操作を出納機操作表示部106cに対して行う。
【0078】
操作者は、精査実行日時に行われた精査による精査結果が出納機10が記憶する管理在高と一致しなかった装置、及び、現金管理装置40に対して精査を実行させる操作を出納機操作表示部106cに対して行う。
出納機制御部106fは、出納機操作表示部106cに対して操作者が行った操作に応じて、精査実行日時に行われた精査による精査結果が出納機10が記憶する管理在高と一致しなかった装置、及び、現金管理装置40に対して精査を実行させる精査命令を送信する(ステップS37)。また、出納機制御部106fは、出納機10の手動精査を行う(ステップS38)。なお、図10に示す処理フローは、精査実行日時に行われたキャッシャー20の精査結果、両替機30の精査結果に誤りがあった場合の処理の例を示している。
【0079】
精査命令を受けたキャッシャー制御部202は、その精査命令に応じて、現金管理装置40についての手動精査を実行する(ステップS39)。また、精査命令を受けた両替機制御部302は、その精査命令に応じて、両替機30についての手動精査を実行する(ステップS40)。精査命令を受けた管理装置制御部410は、その精査命令に応じて、現金管理装置40についての手動精査を実行する(ステップS41)。
【0080】
操作者は、現金管理装置40から精査結果を取得させる操作を出納機操作表示部106cに対して行う。
出納機制御部106fは、所定時間後に、装置(キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40)に精査結果取得命令を送信する(ステップS42)。ここでの所定時間とは、各装置が手動精査を完了することができる時間のことである。
【0081】
キャッシャー制御部202は、精査結果取得命令に応じて、精査結果を出納機10に送信する(ステップS43)。キャッシャー制御部202は、電源部108を待機状態にする(ステップS44)。また、両替機制御部302は、精査結果取得命令に応じて、精査結果を出納機10に送信する(ステップS45)。両替機制御部302は、電源部308を待機状態にする(ステップS46)。また、管理装置制御部410は、精査結果取得命令に応じて、精査結果を出納機10に送信する(ステップS47)。管理装置制御部410は、電源部412を待機状態にする(ステップS48)。
【0082】
出納機制御部106fは、装置(キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40)から精査結果を受ける。出納機制御部106fは、受けた精査結果を出納機記憶部106eに記録する(ステップS49)。
【0083】
(出納機が行う表示の処理)
次に、図11に示す出納機10が精査の間に行う表示の処理について説明する。
出納機制御部106fは、ステップS6の処理で出納機記憶部106eに記録した装置があるか否かを判定する(ステップS51)。
【0084】
出納機制御部106fは、ステップS6の処理で出納機記憶部106eに記録した装置があると判定した場合(ステップS51においてYES)、回線異常を示す第1警告メッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS52)。第1警告メッセージは、回線または装置に起因して精査が完了しなかったことを示すメッセージである。そして、出納機制御部106fは、ステップS9の処理で出納機記憶部106eに記録した装置があるか否かを判定する(ステップS53)。
また、出納機制御部106fは、ステップS6の処理で出納機記憶部106eに記録した装置がないと判定した場合(ステップS51においてNO)、ステップS53の処理を行う。
【0085】
出納機制御部106fは、ステップS9の処理で出納機記憶部106eに記録した装置があると判定した場合(ステップS53においてYES)、装置の起動失敗を示す第1警告メッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS54)。そして、出納機制御部106fは、装置異常があるか否かを判定する(ステップS55)。例えば、ステップS17の処理で精査結果を取得できなかった場合にその装置を装置異常と判定する。
【0086】
出納機制御部106fは、装置異常があると判定した場合(ステップS55においてYES)、装置異常を示す第1警告メッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS56)。この装置異常を示す第1警告メッセージは、例えば、図12に示す
表示である。そして、出納機制御部106fは、各装置による精査結果と各装置が記憶する管理在高と一致するか否かを判定する(ステップS57)。
なお、図12に示すメニュー2~4のうち、メニュー2は装置を確認した後に再精査を行うためのメニューである。メニュー3は、一部の装置で精査が中断され、他の装置の精査結果は反映可能である場合の処理を示すため(つまり、精査できた装置と精査できなかった装置とを区別する(切り離す)ため)のメニューである。メニュー4は、装置で精査が中断され、原因不明で精査結果を反映させることができない場合の処理を示すため(つまりは、精査がなかったことにするため)のメニューである。
【0087】
出納機制御部106fは、各装置による精査結果と各装置が記憶する管理在高とが一致しないと判定した場合(ステップS57においてNO)、一致しないその装置の扉のログ情報において、扉の開閉を検知した情報があるか否かを判定する(ステップS58)。
【0088】
出納機制御部106fは、一致しないその装置の扉のログ情報において、扉の開閉を検知した情報がないと判定した場合(ステップS58においてNO)、第2警告メッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS59)。第2警告メッセージは、精査結果に不一致が生じたがその原因が人為的でない可能性が高いことと、確認すべき項目とを示すメッセージである。第2警告メッセージは、例えば、図13に示す表示である。そして、出納機制御部106fは、各装置による精査結果と出納機記憶部106eが記憶する管理在高とが一致するか否かを判定する(ステップS60)。
【0089】
また、出納機制御部106fは、一致しないその装置の扉のログ情報において、扉の開閉を検知した情報があると判定した場合(ステップS58においてYES)、第3警告メッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS61)。第3警告メッセージは、精査結果に不一致が生じその原因が人為的である可能性が高いことと、原因として可能性の高い項目(例えば、扉が不正に開けられた可能性があること)とを示すメッセージである。第3警告メッセージは、例えば、図14に示す表示である。そして、出納機制御部106fは、ステップS60の処理を行う。
【0090】
また、出納機制御部106fは、出納機制御部106fは、各装置による精査結果と各装置が記憶する管理在高とが一致すると判定した場合(ステップS57においてYES)、ステップS60の処理を行う。
【0091】
出納機制御部106fは、各装置による精査結果と出納機記憶部106eが記憶する管理在高とが一致しないと判定した場合(ステップS60においてNO)、第4警告メッセージを出納機操作表示部106cに表示させる(ステップS62)。第4警告メッセージは、各装置の精査結果が出納機が管理する管理在高に不一致が生じ、その原因が不明である場合のメッセージである。第4警告メッセージは、例えば、図15に示す表示である。そして、出納機制御部106fは、出納機10の管理在高を一致しないその装置の精査結果に合わせるか否かを判定する(ステップS63)。操作者が管理在高を精査結果に合わせる操作を行った場合、出納機制御部106fは、管理在高を精査結果に合わせると判定し(ステップS63においてYES)、管理在高を精査結果に反映させる(ステップS64)。そして、出納機制御部106fは、電源部108を待機状態にする(ステップS65)。
【0092】
また、操作者が管理在高を精査結果に合わせる操作を行わなかった場合、出納機制御部106fは、管理在高を精査結果に合わせないと判定し(ステップS63においてNO)、ステップS65の処理を行う。
また、出納機制御部106fは、各装置による精査結果と出納機記憶部106eが記憶する管理在高とが一致すると判定した場合(ステップS60においてYES)、ステップS65の処理を行う。
これら操作者による精査の操作と、その操作に応じて出納機制御部106fが不一致が生じている装置に精査命令を送信する処理は、不一致が生じている装置がなくなるまで繰り返される。
【0093】
以上のように、貨幣処理システム1は、第1貨幣処理機である出納機10と、第2貨幣処理機であるキャッシャー20及び第2貨幣処理機である両替機30とを備える貨幣処理システムである。
出納機10は、出納機10が収納している貨幣量と、キャッシャー20及び両替機30それぞれが収納している貨幣量のそれぞれを管理在高として記憶する出納機記憶部106eと、精査実行日時に、出納機10が収納している貨幣の精査を実行すると共に、貨幣の精査を実行させる精査命令をキャッシャー20及び両替機30それぞれに送信し、出納機10の精査結果と、キャッシャー20及び両替機30それぞれから受信した精査結果とが、出納機記憶部106eに記憶された出納機10についての管理在高と、キャッシャー20及び両替機30それぞれについての管理在高とに一致するか否かを判定する出納機制御部106fと、を有する。
また、キャッシャー20及び両替機30それぞれは、精査命令を受信した場合に、キャッシャー20及び両替機30それぞれが収納している貨幣の精査を実行し、実行した精査による精査結果を出納機10に送信するキャッシャー制御部202を有する。
このようにすれば、貨幣処理システム1により、操作者は出納機に精査実行日時を設定するのみでキャッシャーや出納機などの貨幣処理装置の精査を実行することができる。つまり、貨幣処理システムにより、貨幣処理装置の精査を効率良く実行することができる。
【0094】
なお本発明の実施形態における処理フローは、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
また、本発明の各実施形態における出納機記憶部106e、キャッシャー記憶部201、両替機記憶部301、管理装置記憶部409、その他の記憶装置等(レジスタ、ラッチを含む)は、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、出納機記憶部106e、キャッシャー記憶部201、両替機記憶部301、管理装置記憶部409、その他の記憶装置等は、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0095】
本発明の実施形態について説明したが、上述の出納機10、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40、その他の制御装置は内部に、コンピュータ装置を有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図17は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図17に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の出納機10、キャッシャー20、両替機30、現金管理装置40、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0096】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0097】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ装置にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0099】
1・・・貨幣処理システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・出納機
20-1、20-2、20-3・・・キャッシャー
21-1、21-2、21-3・・・窓口端末
30・・・両替機
40・・・現金管理装置
101、203、303・・・紙幣処理ユニット
102・・・新券処理ユニット
103、204、304・・・硬貨処理ユニット
104・・・束処理ユニット
105、305・・・棒金処理ユニット
106・・・出納機ターミナル
106b・・・出納機カードリーダ
106c・・・出納機操作表示部
106d・・・出納機プリンタ
106e・・・出納機記憶部
106f・・・出納機制御部
107、206、307、411・・・通信部
108、207、308、412・・・電源部
201・・・キャッシャー記憶部
202・・・キャッシャー制御部
205、306・・・操作表示部
301・・・両替機記憶部
302・・・両替機制御部
402・・・管理装置カードリーダ
403・・・管理装置操作表示部
404・・・収納庫ロック機構
405・・・表示灯
406・・・引出位置検出機構
407・・・束検出センサ
408・・・棒金検出センサ
409・・・管理装置記憶部
410・・・管理装置制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16