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特開2023-58647改良された電池セパレータ、電極、セル、リチウム電池および関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058647
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】改良された電池セパレータ、電極、セル、リチウム電池および関連方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/489 20210101AFI20230418BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230418BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20230418BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20230418BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20230418BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20230418BHJP
【FI】
H01M50/489
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/485
H01M10/0569
H01M50/434
H01M50/451
H01M50/446
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019990
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2019551711の分割
【原出願日】2018-03-19
(31)【優先権主張番号】62/473,596
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェンミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェイフォン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い充電率においてもリチウム析出が起こらないリチウムイオン電池またはセルを提供する。
【解決手段】改良された電池セパレータおよび当該改良された電池セパレータを含むエネルギーセルを提供する。改良された電池セパレータは、電解質によって湿潤しているとき、以下の特性:体積を有さないか、または低体積である;質量を有さないか、または低質量である;液体電解質をできる限り浸漬する;上記電解質におけるいずれの有害物質もブロックまたは除去する;いずれの高温においても溶融しない;いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない;スチール以上の機械強度を有する;いずれの条件下でも電子絶縁体である;および金属デンドライト成長をブロックする;のうちの少なくとも1つを有する多孔質膜を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質によって湿潤しているとき、以下の特性:
体積を有さないか、または低体積である:
質量を有さないか、または低質量である:
液体電解質をできる限り浸漬する:
前記電解質におけるいずれの有害物質もブロックまたは除去する:
いずれの高温においても溶融しない:
いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない:
スチール以上の機械強度を有する:
いずれの条件下でも電子絶縁体である:
金属デンドライト成長をブロックする;
のうち少なくとも1つを有する多孔質膜を含む改良された電池セパレータ。
【請求項2】
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、体積を有さないか、または低体積である、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、質量を有さないか、または低質量である、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、液体電解質をできる限り浸漬する、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、デンドライトをブロックする、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、いずれの高温においても溶融しない、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、スチール以上の機械強度を有する、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、いずれの条件下でも電気絶縁体である、および、
電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、金属デンドライト成長をブロックする
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
前記特性のうちの少なくとも2つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記特性のうちの少なくとも3つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項5】
前記特性のうちの少なくとも4つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
前記特性のうちの少なくとも5つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
前記特性のうちの少なくとも6つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項8】
前記特性のうちの少なくとも7つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項9】
前記特性のうちの少なくとも8つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項10】
前記特性のうちの少なくとも9つを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項11】
前記電池セパレータが、マクロ多孔質、ミクロ多孔質、またはナノ多孔質であり、前記
電池セパレータの複数の孔が、イオン伝導性媒体で充填されている;
乾燥しているとき(電解質なし)かつ/または電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、リチウムイオンを伝導する;および
前記セパレータが、無限のGurley値を有する;
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~10のいずれかに記載の電池セパレータ。
【請求項12】
リチウム析出を伴わず3.0C(1C=2.3mA/cm)以上の充電率で充電され得るエネルギーセルであって:
リチウムを含むアノード;および
カソード;
を含む、前記エネルギーセル。
【請求項13】
前記充電率が、3.5C以上である;
前記充電率が、4.0C以上である;
前記充電率が、4.5C以上である;
前記充電率が、3.0C以上、5.0C未満である;
前記アノードの厚さが、約50~約200ミクロンである;
前記アノードの厚さが、約60~約200ミクロンである;
前記アノードの厚さが、約60~約125ミクロンである;
前記カソードの厚さが、約50~約200ミクロンである;
前記カソードの厚さが、約75~約200ミクロンである;
前記カソードの厚さが、約75~約150ミクロンである;
前記アノードの多孔度が、15%以上である;
前記アノードの多孔度が、20%以上である;
前記アノードの多孔度が、30%以上である;
前記アノードの多孔度が、40%以上である;
前記アノードの多孔度が、15%以上、50%以下である;
前記カソードの多孔度が、10%以上である;
前記カソードの多孔度が、15%以上である;
前記カソードの多孔度が、20%以上である;
前記カソードの多孔度が、30%以上である;
前記カソードの多孔度が、10%以上、40%未満である;
前記アノードの屈曲度が、2.0以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.7以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.5以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.3以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.2以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下である;
前記カソードの屈曲度が、2.0以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.7以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.5以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.3以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.2以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.2以上1.5以下である;
前記アノードがリチウムを含み、また、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCOAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;
前記カソードが:天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含
む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;
電解質をさらに含み、前記電解質が:エチレンカーボネート(EC);エチルメチルカーボネート(EMC);ジエチルカーボネート(DEC);ジメチルカーボネート(DMC);プロピレンカーボネート(PC);およびこれらの組み合わせからなる群から選択される;ならびに
前記電解質が電解質添加剤を含む;
のうちの少なくとも1つを有する、請求項12に記載のエネルギーセル。
【請求項14】
請求項1のセパレータをさらに含む、請求項12または13に記載のエネルギーセル。
【請求項15】
前記アノードが、約50~約200ミクロンの厚さを有する;
前記アノードの厚さが、約60~約200ミクロンである;
前記アノードの厚さが、約60~約125ミクロンである;
前記アノードの多孔度が、15%以上である;
前記アノードの多孔度が、20%以上である;
前記アノードの多孔度が、30%以上である;
前記アノードの多孔度が、40%以上である;
前記アノードの多孔度が、15%以上、50%以下である;
前記アノードの屈曲度が、2.0以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.7以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.5以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.3以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.2以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.0以上2.0以下である;および
前記アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下である;
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12または13に記載のエネルギーセル。
【請求項16】
前記カソードの厚さが、約50~約200ミクロンである;
前記カソードの厚さが、約75~約200ミクロンである;
前記カソードの厚さが、約75~約150ミクロンである;
前記カソードの多孔度が、10%以上である;
前記カソードの多孔度が、15%以上である;
前記カソードの多孔度が、20%以上である;
前記カソードの多孔度が、30%以上である;
前記カソードの多孔度が、10%以上、40%未満である;
前記カソードの屈曲度が、2.0以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.7以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.5以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.3以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.2以下である;および
前記カソードの屈曲度が、1.2以上1.5以下である;
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12または13に記載のエネルギーセル。
【請求項17】
前記アノードが、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCOAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項16に記載のエネルギーセル。
【請求項18】
前記カソードが:天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項12または13のいずれかに記載のエネルギーセル。
【請求項19】
二次リチウム電池を含むまたはこれに含まれている、請求項12または13のいずれかに記載のエネルギーセル。
【請求項20】
改良が、請求項1~10のいずれかに記載のセパレータを含む、リチウム電池またはセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
この出願は、合衆国法典第35巻第119条(e)(1)の下、2017年3月20日に出願された米国仮特許出願第62/473,596号の利益及び優先権を主張するものである。この米国仮特許出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示または発明は、新規または改良されたセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、電池、セル、システム、ならびに/あるいは、かかるセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、セル、システムなどの、リチウム電池、特に二次リチウム電池、例えば二次リチウムイオン電池、および/またはCE、ESS、および/もしくはEDV電池のための設計、理解、製造、および/または使用方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、かかる新しい考え、定義、および/またはデータを使用して屈曲度、多孔度、リチウム析出、およびセル設計を調査または定義するための新しいまたは改良された方法を対象とする。また、電池寿命を向上させる、電池不良を低減する、デンドライトを低減する、リチウム析出を低減する、充電および放電率、改良された構成、改良された性能などを保持するための方法、システムならびに電池構成要素が本明細書に開示されている。
【背景技術】
【0003】
改良された電池セパレータ、特に、とりわけ、デンドライトをブロックし、高温においても溶融しないリチウムイオン電池セパレータに対する要求が存在する。
【0004】
リチウムイオン電池において、炭素質材料が、リチウムイオン電池のアノード材料として一般に使用されてきた。炭素質材料のエネルギー密度は非常に高いが、充電および放電電圧が、リチウム析出のそれと非常に近い。そのため、リチウム析出が、過剰電位によって、特に高い充電率下で起こり得、大きな分極を引き起こす。電池内でのリチウム金属の析出は、深刻な安全上の懸念を引き起こし、熱的事象、暴走、または爆発に至る場合がある。そのため、高い充電率においてもリチウム析出が起こらないリチウムイオン電池またはセルが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示または発明は、上記の要求、課題もしくは問題に対処することができ、かつ/あるいは、新規または改良されたセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、電池、セル、システム、ならびに/あるいは、かかるセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、セル、システムなどの、リチウム電池、特に二次リチウム電池、例えば二次リチウムイオン電池、および/またはCE、ESS、および/もしくはEDV電池のための設計、理解、製造、および/または使用方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、かかる新しい考え、定義、および/またはデータを使用して屈曲度、多孔度、リチウム析出、およびセル設計を調査または定義するための新しいまたは改良された方法を対象とする。また、電池寿命を向上させる、電池不良を低減する、デンドライトを低減する、リチウム析出を低減する、充電および放電率、改良された構成、改良された性能などを保持するための方法、システムならびに電池構成要素が本明細書に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、この出願は、改良された電池セパレータを対象とする。改良されたセパレータは、電解質によって湿潤しているとき、以下の特性:体積を有さないか、または低体積である;質量を有さないか、または低質量である;液体電解質をできる限り浸漬する;上記電解質におけるいずれの有害物質もブロックまたは除去する;いずれの高温においても溶融しない;いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない;スチール以上の機械強度を有する;いずれの条件下でも電子絶縁体である;金属デンドライト成長をブロックする;のうちの少なくとも1つを有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの1つまたは1つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの2つまたは2つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの3つまたは3つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの4つまたは4つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの5つまたは5つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの6つまたは6つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの7つまたは7つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの8つまたは8つ以上を有する。いくつかの実施形態において、セパレータは、上記特性のうちの全て9つまたは少なくとも全て9つを有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書において上記に記載されている電池セパレータは、多孔質、ミクロ多孔質、またはナノ多孔質電池セパレータであり、電池セパレータの孔は、イオン伝導性媒体で充填されている。いくつかの実施形態において、イオン伝導性媒体によって充填されている孔を有する電池セパレータは、乾燥しているとき(電解質が添加されていないとき)、電解質によって湿潤しているとき、または、乾燥しているとき(電解質が添加されていないとき)および電解質によって湿潤しているときの両方において、リチウムイオンを伝導する。
【0008】
別の態様において、リチウム析出を伴わず3.0C(1C=2.3mA/cm)以上の充電率で充電され得るエネルギーセル。いくつかの実施形態において、セルは、3.5C以上、4.0C以上、4.5C以上、または3.0C以上、5.0C未満である充電率で充電されることが可能であり得る。
【0009】
エネルギーセルは、少なくとも以下:リチウムを含むアノード;およびカソード;を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、リチウムを含むアノードは、約50~約200ミクロンの厚さを有する。厚さは、約60~約200ミクロン、または約60~約125ミクロンであってもよい。アノードの多孔度は、いくつかの実施形態において、15%以上、20%以上、30%以上、または40%以上であってよい。いくつかの実施形態において、アノードの多孔度は、15%以上、50%以下であってよい。アノードの屈曲度は、いくつかの実施形態において、2.0以下、1.7以下、1.5以下、1.3以下、または1.2以下であってよい。いくつかの実施形態において、屈曲度は、1.0および2.0の間、好ましくは1.2および2.0の間である。さらにより好ましくは、アノードの屈曲度は、1.2以上、1.3以下であってよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、リチウムを含むアノードは、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCOAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料からできている。
【0012】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているエネルギーセルのカソードは、約50~約200ミクロン、約75~約200ミクロン、または約75~約150ミクロンの厚さを有する。カソードの多孔度は、いくつかの実施形態において、10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、または10%以上、40%未満であってよい。カソードの屈曲度は、いくつかの実施形態において、2.0以下、1.7以下、1.5以下、1.3以下、または1.2以下であってよい。いくつかの好ましい実施形態において、カソードの屈曲度は、1.0以上、2.0以下であってよい。さらにより好ましくは、カソードの屈曲度は、1.2以上、1.5以下であってよい。
【0013】
エネルギーセルのカソードは、いくつかの実施形態において、天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料でできていてよい。
【0014】
さらに、リチウムを含むアノードおよびカソードに加えて、本明細書に記載されているエネルギーセルは、電解質を含んでいてよい。電解質は:エチレンカーボネート(EC);エチルメチルカーボネート(EMC);ジエチルカーボネート(DEC);ジメチルカーボネート(DMC);プロピレンカーボネート(PC);およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態において、電解質は、電解質添加剤を含んでいてよい。
【0015】
いくつかのさらなる実施形態において、本明細書において記載されているエネルギーセルは、本明細書に記載されている改良されたセパレータを含めた、セパレータを含んでいてよい。例えば、エネルギーセルは、リチウムを含むアノード、カソード、およびセパレータを含んでいてよい。いくつかの他の実施形態において、エネルギーセルは、リチウムを含むアノード、カソード、電解質、およびセパレータを含んでいてよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、エネルギーセルは、一次または二次エネルギーセルであってよい。
【0017】
別の態様において、リチウムを含むアノードが本明細書に記載されている。リチウムを含むアノードは、本明細書に記載されているエネルギーセルにおいて使用され得る。いくつかの実施形態において、リチウムを含むアノードは、約50~約200ミクロンの厚さを有する。厚さは、約60~約200ミクロン、または約60~約125ミクロンであってもよい。アノードの多孔度は、いくつかの実施形態において、15%以上、20%以上、30%以上、または40%以上であってよい。いくつかの実施形態において、アノードの多孔度は、15%以上、50%以下であってよい。アノードの屈曲度は、いくつかの実施形態において、2.0以下、1.7以下、1.5以下、1.3以下、または1.2以下であってよい。いくつかの実施形態において、屈曲度は、1.0および2.0の間、好ましくは1.2および2.0の間である。さらにより好ましくは、アノードの屈曲度は、1.2以上、1.3以下であってよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、リチウムを含むアノードは、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCOAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料からできている。
【0019】
いくつかの実施形態において、カソードにおける空隙は、イオン伝導性媒体を含んでいてよい。
【0020】
別の態様において、本明細書に記載されているエネルギーセルにおいて使用され得るカソードが開示されている。いくつかの実施形態において、カソードは、約50~約200ミクロン、約75~約200ミクロン、または約75~約150ミクロンの厚さを有する。カソードの多孔度は、いくつかの実施形態において、10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、または10%以上、40%未満であってよい。カソードの屈曲度は、いくつかの実施形態において、2.0以下、1.7以下、1.5以下、1.3以下、または1.2以下であってよい。いくつかの好ましい実施形態において、カソードの屈曲度は、1.0以上、2.0以下であってよい。さらにより好ましくは、カソードの屈曲度は、1.2以上、1.5以下であってよい。
【0021】
カソードは、いくつかの実施形態において、天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料でできていてよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、カソードの空隙は、イオン伝導性媒体(ICM)を含んでいてよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、イオン輸送、屈曲度、およびGurleyを示す。
図2図2は、イオン輸送および屈曲度を示す。
図3図3は、例示的なLi-イオンセルの設計原理を示す。
図4図4は、Li-イオンセルの分極を示す。
図5図5は、大電流放電後の電極粒子におけるLi濃度の図示である。
図6図6は、電気化学モデル、熱的モデル、及び化学モデルを示す。
図7図7は、基本的な電気化学式を示す。
図8図8は、平衡でのLi-イオンにおける電位、充電、および放電のレビューを示す。
図9図9は、ファラデーの反応則にしたがった多孔質li-イオンセル100%でのリチウム濃度分布のグラフである。
図10図10は、充電および放電における電解質中のリチウム濃度を示すグラフを含む。
図11図11は、放電におけるカソード電位降下を示すグラフおよびかかるグラフの部分の拡大を含む。
図12図12は、4C放電におけるアノード電位増加を示すグラフおよびかかるグラフの部分の拡大を含む。
図13図13は、4C充電におけるアノードでの電極電位降下を示す2つのグラフを含む。
図14図14は、4C充電におけるアノード電位降下を示すグラフおよびかかるグラフの部分の拡大を含む。
図15図15は、4C充電におけるカソード電位増加を示すグラフおよびかかるグラフの部分の拡大を含む。
図16図16は、セル電圧を経時的に示すDCIR測定からのグラフを含む。
図17図17は、開始状態(t=0)における1Xおよび2Xの2つの異なる厚さを有する電極における厚さx(m)に対する電位(V)/SOCをプロットしている2つのグラフを含む。
図18図18は、動的状態(t>0)における2つの異なる厚さを有する電極における厚さx(m)に対する電位(V)/SOCをプロットしている2つのグラフを含む。
図19図19は、異なる充電率が、異なる厚さを有する電極に使用されているとき、Li析出が開始するときを示すチャートである。
図20図20は、異なる充電率が、異なる多孔度値を有する電極に使用されているとき、Li析出が開始するときを示すチャートである。
図21図21は、異なる充電率が、異なる屈曲度値を有する電極に使用されているとき、Li析出が開始するときを示すチャートである。
図22図22は、Li析出を有さないセルについての基準のセルパラメータを含むチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に記載されている実施形態は、以下の詳細な説明、例、および図を参照することによって、より容易に理解され得る。しかし、本明細書に記載されている要素、装置、および方法は、詳細な説明、例、および図において提示されている具体的な実施形態に限定されない。これらの実施形態は、単に本発明の原理を示しているだけであることが認識されるべきである。多数の変更および適合が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかであろう。
【0025】
また、本明細書に開示されている全ての範囲は、本明細書に組み込まれているありとあらゆるサブ範囲を包含することが理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」と記述されている範囲は、1.0以上の最小値によって開始して10.0以下の最大値によって終端するありとあらゆるサブ範囲、例えば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9を含むとされるべきである。
【0026】
本明細書に開示されている全ての範囲もまた、別途明確に記述されていない限り、当該範囲の終点を含むとされるべきである。例えば、「5および10の間」、「5から10」、または「5~10」の範囲は、概して、終点5および10を含むとされるべきである。
【0027】
さらに、「最大で」という句が、ある量または数量と併せて使用されているとき、当該量は、少なくとも、検出可能な量または数量であることが理解されるべきである。例えば、材料が、「最大で」ある量まで存在し、具体的な量は、検出可能な量から、最大で、当該具体的な量を含めて存在し得る。
【0028】
少なくとも選択された実施形態によると、改良された電池セパレータ、当該改良された電池セパレータを任意選択的に含む改良されたエネルギーセル、ならびに/または、本明細書に記載されている、当該改良された電池セパレータもしくは当該改良されたエネルギーセルと共に任意選択的に使用される改良されたアノードおよびカソードが、本明細書に記載されている。
【0029】
電池セパレータ
特定の実施形態において別途記載されていない限り、本明細書に記載されている膜または電池セパレータは、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、電池セパレータは、電解質によって湿潤しているとき、以下の特性::体積を有さないか、または低体積である;質量を有さないか、または低質量である;液体電解質をできる限り浸漬する;上記電解質におけるいずれの有害物質もブロックまたは除去する;いずれの高温においても溶融しない;いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない;スチール以上の機械強度を有する;いずれの条件下でも電子絶縁体(電子伝導なし)である;金属デンドライト成長をブロックする;のうちの少なくとも1つを有する多孔質膜を含む改良された電池セパレータであってよい。
【0030】
上記特性のうちのいくつかを付与する1つの方法は、セラミックを電池セパレータに組み込むことによるものである。例えば、いくつかの実施形態において、セラミックコーティングは、電池セパレータの部分である多孔質膜の1つ以上の表面に適用されてよい。いくつかの実施形態において、セラミック材料は、ミクロ多孔質膜に組み込まれてよい。例えば、上記膜が、乾式プロセス、例えば、Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスによって形成されるとき、セラミック材料は、使用されるポリマー、例えば、ポリオレフィンポリマーと共に押し出されて、上記膜を形成し得る。いくつかの実施形態において、上記膜が、乾式プロセス、例えば、Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスによって形成される多層膜であるとき、セラミック材料は、上記層のいくつかのみにあり、他の層にはなくてよい。セラミック材料は、使用されるポリマーと共にセラミック材料を押出して層のうちの他のものを形成するのではなく、使用されるポリマーと共にセラミック材料を押出して上記層のいくつかを形成することによって、他の層ではなく上記層のいくつかに組み込まれ得る。
【0031】
多くのセラミックスは、液体よりもさらに良好にイオンを伝導し得る。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,432、586号の開示を参照されたい。セラミックスは、電解質における有害物質をブロックまたは除去することもできる。セラミックスは、非常に高温でも溶融せず、ほとんどの条件下で、ほとんどのアノードまたはカソード材料と反応しない。セラミックスは、機械的に強い。そのため、セラミックスは、本明細書に記載されている改良された電池セパレータの特性のうちのいくつかを付与するための1つの好ましい材料である。
【0032】
多孔質膜
特定の実施形態において別途記載されていない限り、本明細書に記載されている多孔質膜は、限定されない。当該多孔質膜は、ナノ多孔質、ミクロ多孔質、またはマクロ多孔質であってよい。いくつかの好ましい実施形態において、多孔質膜は、ミクロ多孔質である。
【0033】
ミクロ多孔質は、本明細書において使用されているとき、当該膜が、ミクロ孔またはミクロメータサイズの孔を含むことを意味する。いくつかの実施形態において、ミクロ多孔質膜の平均孔径は、2ミクロン未満であり、好ましい実施形態において、平均孔径は、1ミクロン未満である。いくつかの実施形態において、平均孔径は、0.01および1ミクロンの間、好ましくは0.01~0.08ミクロンの間、より好ましくは0.01および0.06ミクロンの間であり、いくつかの実施形態において、0.01~0.04、0.01~0.03、または0.1~0.02ミクロンである。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態において、ミクロ多孔質膜それ自体は、例えば、その上にセラミックコーティングなどのいずれのコーティングも有することなく、2~50ミクロン、4~40ミクロン、4~30ミクロン、4~20ミクロン、4~10ミクロン、または10ミクロン未満の範囲の厚さを有する。厚さは、Emveco Microgage
210-Aミクロメータ厚さ試験機、および試験手順ASTM D374を使用して、ミクロメータ、μmで測定され得る。薄いミクロ多孔質膜が、いくつかの用途に好ましい。例えば、電池セパレータとして使用されるとき、より薄いセパレータ膜は、電池におけるさらなるアノードおよびカソード材料の使用、結果として、より高いエネルギー、およびより高い電力密度の電池の結果を可能にする。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、ミクロ多孔質膜は、多孔度、例えば、約40~約70%、場合により約40~約65%、場合により約40~約60%、場合により約40~約55%、場合により約40~約50%、場合により約40~約45%などの表面多孔度を有する。いくつかの実施形態において、特定の用途に望ましいとき、多孔度は、7
0%超40%未満であってよいが、40~70%の範囲が電池セパレータの作動範囲であり、開示されているミクロ多孔質膜が使用され得る1つの方法である。多孔度は、ASTM D-2873を使用して測定され、基板の縦方向(MD)および横方向(TD)において測定される、ミクロ多孔質膜の面積における、空隙スペース、例えば、孔の百分率として定義される。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態において、ミクロ多孔質膜は、50~300、75~300、および/または100~300の範囲のJIS Gurleyを有し得る。しかし、特定の実施形態において別途記載されていない限り、JIS Gurley値は、さほど限定されず、より高い、例えば、300超、または、より低い、例えば、50未満のJIS Gurley値が、異なる目的に望ましい場合がある。Gurleyは、日本産業規格(JIS Gurley)におけるように本明細書において定義されており、OHKEN透過率試験機を使用して測定される。JIS Gurleyは、100ccの空気が1平方インチのフィルムを4.9インチの水の定圧で通過するのに必要とされる時間(秒)として定義される。
【0037】
ミクロ多孔質膜は、本明細書における記述されている目標と矛盾しないいずれの方法で製造されてもよい。例えば、いくつかの好ましい実施形態において、ミクロ多孔質膜は、乾式プロセスのミクロ多孔質膜であり、これは、フィルムが溶媒の使用なしに形成されたことを意味する。例示的な乾式プロセスは、ポリマーを押出して無孔前駆体を形成する工程および当該前駆体を延伸して、とりわけ、孔を形成する工程を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる乾式延伸プロセスである。例示的な乾式延伸プロセスは、Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスである。押出工程は、いくつかの実施形態において、互いに同じであっても異なっていてもよい2つ以上のポリマー混合物が共押出される共押出を含んでいてよい。他の実施形態において、ミクロ多孔質膜は、粒子の延伸製造プロセス、およびβ核生成二軸延伸(BN-BOPP)製造プロセスによって作製されてよい。代替的には、他の実施形態において、多孔質基板は、韓国のCelgard Korea,Limited、日本のAsahi Kaseiおよび/または日本のTonenの、相分離または抽出プロセスとして公知である場合がある、溶媒および/または油の使用を含めた湿式プロセスによって製造されてよい。代替的には、他の実施形態において、ミクロ多孔質膜は、織物タイプの膜であっても不織物タイプの膜であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ミクロ多孔質膜は、エレクトロスピニングコーティングプロセスを使用して形成されてよい。エレクトロスピニングプロセスは、ナノスケールファイバ自体が多孔質である必要なく、ポリマー組成物をナノスケールファイバの形態で適用する方法を付与する。ファイバ間のスペースは、エレクトロスピニングされたコーティングまたは層において必要な開口または多孔度を付与する。
【0038】
いくつかの実施形態において、ミクロ多孔質膜は、単層、2層、または多層膜であってよい。「層」という用語は、(例えば、「単層」、「2層」または「多層」という用語において)本明細書において使用されているとき、2~50ミクロンの厚さを有する単押出または単キャスト層を含む。単層は、2~50ミクロンの厚さを有する単押出または単キャスト層であってよい。当業者によって理解されるように、単押出層は、それ自体が押出された層であり、いずれの他の層とも共に押出されていない。また、共押出された2層または多層ミクロ多孔質膜の層は、それぞれ、本明細書において使用されているとき「層」であるとされる。共押出された2層における層の数は、2であり、共押出された多層フィルムにおける層の数は、3以上である。2層または多層の共押出されたフィルムにおける層の正確な数は、ダイ設計によって決定され、必ずしも、共押出されて共押出されたフィルムを形成する材料ではない。例えば、共押出された2または多層フィルムは、同じ材料を使用して2または3つ以上の層のそれぞれを形成することで形成されてよく、これらの層は、それぞれが同じ材料でできているが、なお、別個の層であるとされる。正確な数は
、同じく、ダイ設計によって決定される。共押出された2または多層フィルムの層は、それぞれ、0.1~20ミクロン、好ましくは0.1~5ミクロン、最も好ましくは0.1~3ミクロン、0.1~2ミクロン、0.1~1ミクロン、0.1~0.9ミクロン、0.1~0.8ミクロン、0.1~0.7ミクロン、0.1~0.6ミクロン、0.1~0.5ミクロン、0.1~0.4ミクロン、0.1~0.3ミクロン、または0.1~0.2ミクロンの厚さを有し得る。
【0039】
同じく、単層のミクロ多孔質膜は、いずれの他の層に沿っても押出もキャストもされていない、単一の押出またはキャスト層からなる。単層は、例えば、2~50ミクロンの厚さを有し得る。
【0040】
他の実施形態において、ミクロ多孔質膜は、2層のミクロ多孔質膜であってよく、これは、共に積層された、または異なるもしくは同じの2つのポリマー組成物を共押出して共押出されたフィルムを形成することによって製造される共押出された2層からなる、2つの、単独の押出(単押出)またはキャスト(単キャスト)フィルムからなっている。2層のミクロ多孔質膜の合計厚さ(2層膜を作り上げている個々の層の厚さとは異なる)は、例えば、0.2~50ミクロンであってよい。2層のミクロ多孔質膜を作り上げている2つのフィルムの厚さは、0.1~25ミクロンであってよい。共押出方法は、押出+積層方法よりも薄い層の形成を可能にする。
【0041】
他の実施形態において、ミクロ多孔質膜は、多層のミクロ多孔質膜、例えば、3つ以上の層を含む膜であってよい。多層のミクロ多孔質膜は、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層、または10層膜であってよい。他の実施形態において、当該膜は、11~100層を含んでいてよい。多層のミクロ多孔質膜は、3つ以上の単層を(例えば、押出(例えば、単押出)またはキャスト(例えば、単キャスト)によって)個々に形成し、次いで、これらを一緒に積層することによって形成されてよい。これらの実施形態において、多層のミクロ多孔質膜の厚さは、6~100ミクロンであってよく、多層のミクロ多孔質膜の各層の厚さが、2~30ミクロンである。他の実施形態において、多層のミクロ多孔質膜は、同じであっても異なっていてもよい3つ以上のポリマー組成物を共押出することによって形成されてよい。この実施形態において、多層のミクロ多孔質膜の厚さは、1ミクロンと薄くても、50ミクロンと厚くてもよい。個々の層は、0.1~20ミクロンの厚さを有していてよい。
【0042】
他の実施形態において、多層のミクロ多孔質膜は、以下:単押出または単キャスト層を形成する工程;2つ以上の層を共押出する工程;および積層工程の組み合わせによって形成されてよい。例えば、単層を押出またはキャストすることができ、次いで、2つのポリマー組成物を押出して、共押出された2層を形成することができ、次いで、単層および2層を一緒に積層して、多層のミクロ多孔質膜を形成することができる。いくつかの実施形態において、2または3つ以上の共押出された2層または多層を一緒に積層して、多層のミクロ多孔質膜を形成する。いくつかの実施形態において、多層のミクロ多孔質膜を、インフレーションフィルム(または気泡)共押出方法を使用して形成することができ、ここで、気泡は、自身の上で崩壊している。この方法は、2(2層)、4、6、8、10、12、または他の偶数の層を有する多層のミクロ多孔質膜を形成し得る。この方法は、3、5(5層)、7、9、11、または他の奇数の層を有するミクロ多孔質膜は形成しない。
【0043】
例えば、ミクロ多孔質膜は、全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT公報WO/2017/083633号に記載されているようにミクロ多孔質膜であってよい。
【0044】
本明細書に記載されている実施形態において、積層は、熱、圧力、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを印加して、別々のフィルムまたは層を取り付けることを
含み得る。積層されて、本明細書に記載されている2層または多層のミクロ多孔質膜を形成するフィルムまたは層は、積層前および/または後に、アニーリング、MD延伸、TD延伸、カレンダリング、ヒートセット、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに付されてよい。代替的に、または付加的に、これらのフィルムまたは層を積層することによって形成される積層体は、アニーリング、MD延伸、TD延伸、カレンダリング、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに付されてよい。この場合、アニーリング、MD延伸、TD延伸、およびカレンダリングのうちの少なくとも1つが、積層後に行われる。
【0045】
特定の実施形態において別途記載されていない限り、本明細書に記載されている多孔質膜の組成は、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、いずれの押出可能なポリマーから構成されていてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、押出可能なポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの混合物を含めたポリオレフィンである。
【0046】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている多孔質膜の孔(例えば、ナノ孔、ミクロ孔、またはマクロ孔)は、イオン伝導性媒体(ICM)によって充填されていてよい。ICMは、ポリマーおよび溶媒電解質を含んでいてよい。例えば、ICMは、PVDFおよび電解質などのポリマーを含んでいてよい。リチウムイオンは、孔におけるICMまたは液体電解質において伝導する。ミクロ多孔質膜は、電解質によって湿潤されていない(乾燥している)ときでも、孔がICMで充填されているときにはイオンを伝導する。孔におけるポリマー(例えば、ICMからのポリマー)を用いたミクロ多孔質膜は、無限のGurley(10,000以上)を有する。以下を含めた種々の電解質がある:純粋な液体電解質---多くが、ポリマーフィルムに浸漬されて(Gurley=無限)ゲル電解質を形成することができ、多くが、多孔質フィルムの孔内に浸漬され得る(ある特定の値を有するGurley)。電池は、両方のタイプのポリマーフィルムでよく機能する。現状では、液体電解質がポリマーと遭遇するとき、液体電解質の少なくとも一部が、ポリマーにいくらか染み込む(湿潤、膨潤またはゲル化させる)。染み込む液体電解質の量に応じて、本発明者らは、これらを、ゲル電解質、またはポリマー電解質と呼ぶことができる。100%「純粋な液体電解質」(多くの場合、ポリマーが液体を吸い上げることに起因してセルには存在し得ない)。ICMに関する屈曲度の本発明者らの新しい数学的定義は、全体としての層の性能を記載することができる。
【0047】
図1に説明するように、イオン伝導性媒体におけるLiイオン輸送は、流体の流れ、例えば、本明細書に記載されている多孔質膜のような多孔質材料を通しての液体電解質の流体の流れとは全く異なる。イオン伝導性媒体は、流動しない。屈曲度は、以下の式(1):式中、εは、多孔度である;に示されるMacMullin数(N)として示される、電解質の抵抗(ρ)に対するセパレータ膜の抵抗(ρ)の比である。
(ρ)/(ρ)=N=τ/ε (1)
【0048】
イオン伝導性媒体は、無限のGurleyを有する固体電解質、ゲル電解質または液体電解質取り込みポリマーのうちの少なくとも1つであってよいが、依然として、イオンを輸送することができ、そのτまたは屈曲度は常に1に等しい。屈曲度(τ)は、以下の式(2)によって表される:
τ=L/x (2)
【0049】
式(2)において、Lは、孔の実際の長さであり、xは、孔の一方の端からもう一方までの直線距離である。Lおよびxの両方を図1に示す。
【0050】
エネルギーセル
特定の実施形態において別途記載されていない限り、本明細書に記載されているエネルギーセルは、さほど限定されず、一次または二次のいずれかのエネルギーセルであってよい。例えば、好ましい実施形態において、エネルギーセルは、電気化学エネルギーセルである。エネルギーセルはまた、一次または二次セルであってもよい。当業者によって理解されるように、一次セルは、一度だけ使用されるように設計されていて、二次セルまたは再充電可能な電池のように電気によって再充電され、また、再利用されることがない電池である。概して、一次セルにおける電気化学反応は可逆的ではないが、二次セルにおける電気化学反応は可逆的である。好ましい実施形態において、本明細書におけるエネルギーセルは、二次電気化学エネルギーセルである。
【0051】
エネルギーセルの構造もまた、さほど限定されない。これは、アノード、カソード、電解質、およびセパレータを含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、エネルギーセルは、アノード、カソード、および固体電解質を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、エネルギーセルは、アノード、カソード、セパレータ、および電解質を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。セパレータは、本明細書に記載されているセパレータであってよい。
【0052】
少なくとも1つの好ましい実施形態において、本明細書におけるエネルギーセルは、以下:リチウムを含むアノード、カソード、ならびに、電解質およびセパレータ、固体電解質およびセパレータ、または固体電解質のみのうちの少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる。
【0053】
特定の実施形態において別途記載されていない限り、アノードの材料は、さほど限定されず、アノード材料としての使用に許容可能であることが知られているまたは分かっているいずれの材料であってもよい。いくつかの好ましい実施形態において、アノード材料は、リチウムも含むアノード材料としての使用に許容可能であることが知られているまたは分かっている材料である。例えば、リチウムを含むアノード材料は:コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCoAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのであってよい。
【0054】
カソードの材料もまた、さほど限定されず、カソード材料としての使用に許容可能であることが知られているまたは分かっているいずれの材料であってもよい。いくつかの好ましい実施形態において、カソードは、天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0055】
特定の実施形態において別途記載されていない限り、アノードの厚さは、さほど限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、アノードの厚さは、約50~約200ミクロン、約55~200ミクロン、約60~200ミクロン、約65~200ミクロン、約70~200ミクロン、約75~200ミクロン、約80~200ミクロン、約85~200ミクロン、約90~200ミクロン、約90~200ミクロン、約100~200ミクロン、約105~200ミクロン、約110~200ミクロン、約115~200ミクロン、約120~200ミクロン、約125~200ミクロン、約130~200ミクロン、約135~200ミクロン、約140~200ミクロン、約145~200ミクロン、約150~200ミクロン、約155~200ミクロン、約160~200ミクロン
、約170~200ミクロン、約180~200ミクロン、または約200ミクロンである。いくつかの好ましい実施形態において、アノードの厚さは、約61ミクロン以上である。いくつかの好ましい実施形態において、厚さは、約90ミクロン以上である。他の好ましい実施形態において、厚さは、約122ミクロン以上である。電極厚さが約61ミクロン以上、約90ミクロン以上、または約122ミクロン以上であるとき、リチウム析出が、電荷が3.5C(1C=2.3mA/cm)を超えても開始しないことを示している図19を参照されたい。いくつかの実施形態において、Li析出は、5.0C以上、6.0C以上、7.0C以上、8.0C以上、または9.0C以上の充電率においても回避され得る。アノードの厚さを参照するとき、「約」という語は、±5ミクロンを意味する。
【0056】
カソードの厚さもまた、さほど限定されない。カソードの厚さは、約50~約200ミクロン、約60~200ミクロン、約70~200ミクロン、約80~200ミクロン、約90~200ミクロン、約100~200ミクロン、約110~200ミクロン、約120~200ミクロン、約130~200ミクロン、約140~200ミクロン、約150~200ミクロン、約160~200ミクロン、約170~200ミクロン、約180~200ミクロン、または約190~200ミクロンである。いくつかの好ましい実施形態において、カソードの厚さは、約74ミクロン以上、約111ミクロン以上、または約148ミクロン以上であってよい。電極厚さが約74ミクロン以上、約111ミクロン以上、または約148ミクロン以上であるとき、リチウム析出が、電荷が3.5C(1C=2.3mA/cm)を超えても開始しないことを示している図19を参照されたい。いくつかの実施形態において、Li析出は、5.0C以上、6.0C以上、7.0C以上、8.0C以上、または9.0C以上の充電率においても回避され得る。カソードの厚さを参照するとき、「約」という語は、±5ミクロンを意味する。
【0057】
充電(安全性)の際の厚さおよびLi析出。厚さおよびセルレート性能、一定の充電容量。放電および充電の反応速度論は類似している。充電の反応速度論に焦点をあてる。所与の電気化学システム、固定化化学、材料および他の添加剤の粒径について、本発明者らは、有効な電気化学反応領域が相対的に固定されると仮定していることに注意されたい。図17は、開始状態(t=0)における電極厚さ1Xおよび2Xに関する4C充電率のシステムを示す。図18は、動的状態(t>0)における電極厚さ1Xおよび2Xに関する4C充電率のシステムを示す。
【0058】
特定の実施形態において別途記載されていない限り、アノードの多孔度は、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、当該多孔度は、約15%(0.15)以上であり、いくつかの実施形態において、約20%(0.2)以上であり、いくつかの好ましい実施形態において、約30%(0.3)以上であり、いくつかのさらにより好ましい実施形態において、約40%(0.4)以上である。「約」という語は、アノードの多孔度を参照するとき、±5%を意味する。図20に示すように、アノードの多孔度が約15%以上、約20%以上、約30%以上、または約40%以上であるとき、リチウム析出は、充電率が3.0C以上であるときでも、セルにおいて開始しない。いくつかの実施形態において、Li析出は、3.5C、4.0C、4.5C、5.0C、6.0C、7.0C以上の充電率においても開始し得ない。図20において、電極の厚さは、各例が同じ量の活物質を有するように、したがって、可変値が結果に影響しないように、変動されている。
【0059】
カソードの多孔度もまた、限定されない。いくつかの実施形態において、当該多孔度は、約10%(0.1)以上であり、または好ましい実施形態において、約15%(0.15)以上、約20%(0.20)以上、または約30%(0.3)以上である。「約」という語は、カソードの多孔度を参照するとき、±5%を意味する。図20に示すように、カソードの多孔度が約10%以上、約15%以上、約20%以上、または約30%以上で
あるとき、リチウム析出は、充電率が3.5C以上であるときでも、セルにおいて開始しない。いくつかの実施形態において、Li析出は、3.5C、4.0C、4.5C、5.0C、6.0C、7.0C以上の充電率においても開始し得ない。図20において、電極の厚さは、各例が同じ量の活物質を有するように、したがって、可変値が結果に影響しないように、変動されている。
【0060】
特定の実施形態において別途記載されていない限り、アノードの屈曲度は、さほど限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、アノードの屈曲度は、約1.2以下、約1.3以下、約1.5以下、または約1.7以下である。いくつかの実施形態において、アノードの屈曲度は、1.0以上、2.0以下である。いくつかの好ましい実施形態において、アノードの屈曲度は、約1.0~約1.3または1.0~1.3である。アノードの屈曲度を参照するとき、「約」は、±0.2を意味する。図21に示すように、アノードの屈曲度が1.0および1.3の間であるとき、リチウム析出は、充電率が3.5C以上であるときでも、セルにおいて開始しない。屈曲度が1.0および1.7の間であるとき、リチウム析出は、充電率が3.0C以上であるときでも、セルにおいて開始しない。いくつかの実施形態において、リチウム析出は、充電率が4.0C、4.5C、5.0C、6.0C、または7.0Cを超えるときでも開始し得ない。
【0061】
同様に、特定の実施形態において別途記載されていない限り、カソードの屈曲度は、さほど限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、カソードの屈曲度は、約1.7以下、約1.5以下、約1.3以下、または約1.2以下である。カソードの屈曲度は、1.0と低くても、約2.0と高くてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、カソードの屈曲度は、約1.0および約1.5の間または約1.2および約2.5の間である。カソードの屈曲度を参照するとき、「約」は、±0.2を意味する。図21に示すように、アノードの屈曲度が1.0および1.3の間であるとき、リチウム析出は、充電率が3.5C以上であるときでも、セルにおいて開始しない。屈曲度が1.0および1.7の間であるとき、リチウム析出は、充電率が3.0C以上であるときでも、セルにおいて開始しない。いくつかの実施形態において、リチウム析出は、充電率が4.0C、4.5C、5.0C、6.0C、または7.0Cを超えるときでも開始し得ない。
【0062】
アノードおよびカソード材料は、上記に記載されている通りである。いくつかの好ましい実施形態において、アノードおよびカソード材料は、アノードおよびカソードを形成するバインダと組み合わされる。特定の実施形態において別途記載されていない限り、この組み合わせにおけるアノードまたはカソード材料およびバインダの相対量は、さほど限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、活物質(すなわち、カソードまたはアノード材料)の量は、80重量%~99.9重量%である。いくつかの好ましい実施形態において、当該量は、90~99.9重量%であり、いくつかの他の好ましい実施形態において、当該量は、95~99.9重量%である。
【0063】
図22において、本明細書における開示による例示的なセルを付与している。
【0064】
アノードおよびカソードに加えて、本明細書におけるエネルギーセルは、電解質、または電解質およびセパレータを含んでいてよい。
【0065】
特定の実施形態において別途記載されていない限り、セパレータは、さほど限定されず、本明細書に記載されているいずれのセパレータであってもよい。特定の実施形態において別途記載されていない限り、電解質は、さほど限定されず、一次または二次エネルギーセルにおいて有用であることが知られているまたは分かっているいずれの電解質であってもよい。いくつかの好ましい実施形態において、電解質は:エチレンカーボネート(EC);エチルメチルカーボネート(EMC);ジエチルカーボネート(DEC);ジメチル
カーボネート(DMC);プロピレンカーボネート(PC);およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、電解質は、これに添加される電解質添加剤を含んでいてよい。
【0067】
本明細書に記載されている電解質添加剤は、電解質が本明細書における記述されている目標と一致している限り、さほど限定されない。電解質添加剤は、電池性能を改善するために、電池メーカー、特にリチウム電池メーカーによって典型的には添加されるいずれの添加剤であってもよい。例えば、例示的な電解質添加剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、A Review of Electrolyte Additives
for Lithium-Ion Batteries,J.of Power Sources,vol.162,issue 2, 2006 pp.1379-1394によって開示されている。いくつかの好ましい実施形態において、電解質添加剤は、SEI改良剤、カソード保護剤、難燃添加剤、LiPF塩安定剤、過充電保護剤、アルミニウム腐食防止剤、リチウム析出剤もしくは改良剤、または溶媒和促進剤、アルミニウム腐食防止剤、湿潤剤、および増粘剤からなる群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、添加剤は、1を超える特性を有していてよく、例えば、湿潤剤および増粘剤であってよい。
【0068】
例示的なSEI改良剤として、VEC(ビニルエチレンカーボネート)、VC(ビニレンカーボネート)、FEC(フルオロエチレンカーボネート)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレート)が挙げられる。例示的なカソード保護剤として、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-ジエチルアミノトリメチルシラン、LiBOBが挙げられる。例示的な難燃添加剤として、TTFP(トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェート)、フッ素化プロピレンカーボネート、MFE(メチルノナフルオロブチルエーテル)が挙げられる。例示的なLiPF塩安定剤として、LiF、TTFP(トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスファイト)、1-メチル-2-ピロリドン、フッ素化カルバメート、ヘキサメチル-ホスホルアミドが挙げられる。例示的な過充電保護剤として、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、2、2-ジフェニルプロパン、フェニル-tert-ブチルカーボネートが挙げられる。例示的なLi析出改良剤として、AlI、SnI、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、パーフルオロポリエーテル、長いアルキル鎖を有するテトラアルキルアンモニウムクロリドが挙げられる。例示的なイオン性溶媒和促進剤として、12-クラウン-4、TPFPB(トリス(ペンタフルオロフェニル))が挙げられる。例示的なAl腐食防止剤として、LiBOB、LiODFB、例えば、ボレート塩が挙げられる。例示的な湿潤剤および粘度希釈剤として、シクロヘキサンおよびPが挙げられる。
【0069】
アノードまたはカソード
特定の実施形態において別途記載されていない限り、本明細書に記載されているアノードまたはカソードは、さほど限定されず、本明細書に記載されているエネルギーセルに組み込まれるものと同様であってよい。しかし、この表題下に記載されているアノードおよびカソードは、エネルギーセルに組み込まれていないが、将来的にはなされる可能性がある。
【0070】
複合体、車両、またはデバイス
本明細書において上記に記載されている電池セパレータ、および、これに直接接触して設けられている1つ以上の電極、例えば、アノード、カソード、またはアノードおよびカソードを含む複合体。電極のタイプは、さほど限定されない。例えば、電極は、リチウムイオン二次電池における使用に好適なものであってよい。
【0071】
好適なアノードは、372mAh/g以上、好ましくは≧700mAh/g、最も好ましくは≧1000mAH/gのエネルギー容量を有し得る。アノードは、リチウム金属箔もしくはリチウム合金箔(例えばリチウムアルミニウム合金)、またはリチウム金属および/もしくはリチウム合金と材料、例えば、炭素(例えば、コークス、黒鉛)、ニッケル、銅との混合物から構成される。アノードは、リチウムを含有する層間化合物またはリチウムを含有する挿入化合物から単にできているわけではない。
【0072】
好適なカソードは、アノードと適合可能ないずれのカソードであってもよく、層間化合物、挿入化合物、または電気化学的に活性なポリマーを含んでいてよい。好適な層間材料として、例えば、MoS、FeS、MnO、TiS、NbSe、LiCoO、LiNiO、LiMn、V13、V、およびCuClが挙げられる。好適なポリマーとして、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、およびポリチオフェンが挙げられる。
【0073】
本明細書において上記に記載されている任意のセパレータ、エネルギーセル、またはアノードまたはカソードは、いずれの車両、例えば、電気自動車、またはデバイス、例えば、完全または部分的に電池式の携帯電話もしくはラップトップに組み込まれてもよい。
【0074】
少なくとも選択された実施形態、態様、または目的によると、本開示または発明は、新規または改良されたセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、電池、セル、システム、ならびに/あるいは、かかるセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、セル、システムなどの、リチウム電池、特に二次リチウム電池、例えば二次リチウムイオン電池、および/またはCE、ESS、および/もしくはEDV電池のための設計、理解、製造、および/または使用方法を提供することができ、あるいは、これらを対象とすることができる。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、かかる新しい考え、定義、および/またはデータを使用して屈曲度、多孔度、リチウム析出、およびセル設計を調査または定義するための新しいまたは改良された方法を対象とする。また、電池寿命を向上させる、電池不良を低減する、デンドライトを低減する、リチウム析出を低減する、充電および放電率、改良された構成、改良された性能などを保持するための方法、システムならびに電池構成要素が本明細書に開示されている。
【0075】
少なくとも選択された実施形態、態様、または目的によると、本開示または発明は、新規または改良されたセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、電池、セル、システム、ならびに/あるいは、かかるセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、セル、システムなどの、リチウム電池、特に二次リチウム電池、例えば二次リチウムイオン電池、および/またはCE、ESS、および/もしくはEDV電池のための設計、理解、製造、および/または使用方法を、例えば、以下を含めて提供することができ、あるいは、これらを対象とすることができる:
【0076】
電解質によって湿潤しているとき、以下の特性:
体積を有さないか、または低体積である:
質量を有さないか、または低質量である:
液体電解質をできる限り浸漬する:
上記電解質におけるいずれの有害物質もブロックまたは除去する:
いずれの高温においても溶融しない:
いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない:
スチール以上の機械強度を有する:
いずれの条件下でも電子絶縁体である:
金属デンドライト成長をブロックする;
のうちの少なくとも1つを有する多孔質膜を含む改良された多孔質膜または電池セパレータ。
【0077】
電解質によって湿潤しているとき、体積を有さないか、または低体積である、上記電池セパレータ。
【0078】
電解質によって湿潤しているとき、質量を有さないか、または低質量である、上記電池セパレータ。
【0079】
電解質によって湿潤しているとき、液体電解質をできる限り浸漬する、上記電池セパレータ。
【0080】
電解質によって湿潤しているとき、デンドライトをブロックする、上記電池セパレータ。
【0081】
電解質によって湿潤しているとき、いずれの高温においても溶融しない、上記電池セパレータ。
【0082】
電解質によって湿潤しているとき、いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない、上記電池セパレータ。
【0083】
電解質によって湿潤しているとき、スチール以上の機械強度を有する、上記電池セパレータ。
【0084】
電解質によって湿潤しているとき、いずれの条件下でも電気絶縁体である、上記電池セパレータ。
【0085】
電解質によって湿潤しているとき、金属デンドライト成長をブロックする、上記電池セパレータ。
【0086】
上記特性のうち少なくとも2つを有する、上記電池セパレータ。
【0087】
上記特性のうち少なくとも3つを有する、上記電池セパレータ。
【0088】
上記特性のうち少なくとも4つを有する、上記電池セパレータ。
【0089】
上記特性のうち少なくとも5つを有する、上記電池セパレータ。
【0090】
上記特性のうち少なくとも6つを有する、上記電池セパレータ。
【0091】
上記特性のうち少なくとも7つを有する、上記電池セパレータ。
【0092】
上記特性のうち少なくとも8つを有する、上記電池セパレータ。
【0093】
上記特性のうち少なくとも9つを有する、上記電池セパレータ。
【0094】
電池セパレータが、マクロ多孔質、ミクロ多孔質、またはナノ多孔質であり、孔が、イオン伝導性媒体で充填されている、上記電池セパレータ。
【0095】
乾燥しているとき(電解質なし)かつ/または電解質によって湿潤しているとき、セパ
レータが、リチウムイオンを伝導する、上記電池セパレータ。
【0096】
無限のGurley値を有する、上記電池セパレータ。
【0097】
無限のGurley値を有する、上記電池セパレータ。
【0098】
リチウム析出を伴わず3.0C(1C=2.3mA/cm)以上の充電率で充電され得るエネルギーセルであって:
リチウムを含むアノード;および
カソード;
を含む、上記エネルギーセル。
【0099】
充電率が、3.5C以上である、上記エネルギーセル。
【0100】
充電率が、4.0C以上である、上記エネルギーセル。
【0101】
充電率が、4.5C以上である、上記エネルギーセル。
【0102】
充電率が、3.0C以上、5.0C未満である、上記エネルギーセル。
【0103】
アノードの厚さが、約50~約200ミクロンである、上記エネルギーセル。
【0104】
アノードの厚さが、約60~約200ミクロンである、上記エネルギーセル。
【0105】
アノードの厚さが、約60~約125ミクロンである、上記エネルギーセル。
【0106】
カソードの厚さが、約50~約200ミクロンである、上記エネルギーセル。
【0107】
カソードの厚さが、約75~約200ミクロンである、上記エネルギーセル。
【0108】
カソードの厚さが、約75~約150ミクロンである、上記エネルギーセル。
【0109】
アノードの多孔度が、15%以上である、上記エネルギーセル。
【0110】
アノードの多孔度が、20%以上である、上記エネルギーセル。
【0111】
アノードの多孔度が、30%以上である、上記エネルギーセル。
【0112】
アノードの多孔度が、40%以上である、上記エネルギーセル。
【0113】
アノードの多孔度が、15%以上、50%以下である、上記エネルギーセル。
【0114】
カソードの多孔度が、10%以上である、上記エネルギーセル。
【0115】
カソードの多孔度が、15%以上である、上記エネルギーセル。
【0116】
カソードの多孔度が、20%以上である、上記エネルギーセル。
【0117】
カソードの多孔度が、30%以上である、上記エネルギーセル。
【0118】
カソードの多孔度が、10%以上、40%未満である、上記エネルギーセル。
【0119】
アノードの屈曲度が、2.0以下である、上記エネルギーセル。
【0120】
アノードの屈曲度が、1.7以下である、上記エネルギーセル。
【0121】
アノードの屈曲度が、1.5以下である、上記エネルギーセル。
【0122】
アノードの屈曲度が、1.3以下である、上記エネルギーセル。
【0123】
アノードの屈曲度が、1.2以下である、上記エネルギーセル。
【0124】
アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下である、上記エネルギーセル。
【0125】
カソードの屈曲度が、2.0以下である、上記エネルギーセル。
【0126】
カソードの屈曲度が、1.7以下である、上記エネルギーセル。
【0127】
カソードの屈曲度が、1.5以下である、上記エネルギーセル。
【0128】
カソードの屈曲度が、1.3以下である、上記エネルギーセル。
【0129】
カソードの屈曲度が、1.2以下である、上記エネルギーセル。
【0130】
カソードの屈曲度が、1.2以上1.5以下である、上記エネルギーセル。
【0131】
リチウムを含むアノードが、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCOAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、上記エネルギーセル。
【0132】
カソードが、天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、上記エネルギーセル。
【0133】
電解質をさらに含む、上記エネルギーセル。
【0134】
電解質が:エチレンカーボネート(EC);エチルメチルカーボネート(EMC);ジエチルカーボネート(DEC);ジメチルカーボネート(DMC);プロピレンカーボネート(PC);およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記エネルギーセル。
【0135】
電解質が、電解質添加剤を含む、上記エネルギーセル。
【0136】
上記膜または電池セパレータをさらに含む、上記エネルギーセル。
【0137】
リチウムを含むアノード。
【0138】
約50~約200ミクロンをの厚さを有する、上記アノード。
【0139】
アノードの厚さが、約60~約200ミクロンである、上記アノード。
【0140】
アノードの厚さが、約60~約125ミクロンである、上記アノード。
【0141】
アノードの多孔度が、15%以上である、上記アノード。
【0142】
アノードの多孔度が、20%以上である、上記アノード。
【0143】
アノードの多孔度が、30%以上である、上記アノード。
【0144】
アノードの多孔度が、40%以上である、上記アノード。
【0145】
アノードの多孔度が、15%以上、50%以下である、上記アノード。
【0146】
アノードの屈曲度が、2.0以下である、上記アノード。
【0147】
アノードの屈曲度が、1.7以下である、上記アノード。
【0148】
アノードの屈曲度が、1.5以下である、上記アノード。
【0149】
アノードの屈曲度が、1.3以下である、上記アノード。
【0150】
アノードの屈曲度が、1.2以下である、上記アノード。
【0151】
アノードの屈曲度が、1.0以上2.0以下である、上記アノード。
【0152】
アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下である、上記アノード。
【0153】
カソード。
【0154】
カソードの厚さが、約50~約200ミクロンである、上記カソード。
【0155】
カソードの厚さが、約75~約200ミクロンである、上記カソード。
【0156】
カソードの厚さが、約75~約150ミクロンである、上記カソード。
【0157】
カソードの多孔度が、10%以上である、上記カソード。
【0158】
カソードの多孔度が、15%以上である、上記カソード。
【0159】
カソードの多孔度が、20%以上である、上記カソード。
【0160】
カソードの多孔度が、30%以上である、上記カソード。
【0161】
カソードの多孔度が、10%以上、40%未満である、上記カソード。
【0162】
カソードの屈曲度が、2.0以下である、上記カソード。
【0163】
カソードの屈曲度が、1.7以下である、上記カソード。
【0164】
カソードの屈曲度が、1.5以下である、上記カソード。
【0165】
カソードの屈曲度が、1.3以下である、上記カソード。
【0166】
カソードの屈曲度が、1.2以下である、上記カソード。
【0167】
カソードの屈曲度が、1.2以上1.5以下である、上記カソード。
【0168】
リチウムを含む上記アノードであって、リチウムを含む当該アノードが、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(NiMnCo)O)、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(NiCOAl)O)、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、上記アノード。
【0169】
天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、上記カソード。
【0170】
本明細書に示され、記載され、または特許請求されている、新しいまたは改良されたセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、電池、セル、システム、ならびに/あるいは、かかるセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、セル、システムなどの、リチウム電池、特に二次リチウム電池、例えば二次リチウムイオン電池、および/またはCE、ESS、および/もしくはEDV電池のための設計、理解、製造、および/または使用方法;かかる新しい考え、定義、および/またはデータを使用して屈曲度、多孔度、リチウム析出、およびセル設計を調査または定義するための新しいまたは改良された方法;電池寿命を向上させる、電池不良を低減する、デンドライトを低減する、リチウム析出を低減する、充電および放電率、改良された構成、改良された性能、ならびに/またはこれらの組み合わせを保持するための新しいまたは改良された方法、システムならびに電池構成要素;など。
【0171】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示または発明は、新規または改良されたセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、電池、セル、システム、ならびに/あるいは、かかるセパレータ、電池セパレータ、電極、カソード、アノード、セル、システムなどの、リチウム電池、特に二次リチウム電池、例えば二次リチウムイオン電池、および/またはCE、ESS、および/もしくはEDV電池のための設計、理解、製造、および/または使用方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、かかる新しい考え、定義、および/またはデータを使用して屈曲度、多孔度、リチウム析出、およびセル設計を調査または定義するための新しいまたは改良された方法を対象とする。また、電池寿命を向上させる、電池不良を低減する、デンドライトを低減する、リチウム析出を低減する、充電および放電率、改良された構成、改良された性能などを保持するための方法、システムならびに電池構成要素が本明細書に開示されている。
【0172】
少なくともある特定の実施形態によると、改良された電池セパレータであって、電解質によって湿潤しているとき、以下の特性:体積を有さないか、または低体積である;質量を有さないか、または低質量である;液体電解質をできる限り浸漬する;上記電解質におけるいずれの有害物質もブロックまたは除去する;いずれの高温においても溶融しない;いずれの条件下でもカソードまたはアノードと反応しない;スチール以上の機械強度を有
する;いずれの条件下でも電子絶縁体である;金属デンドライト成長をブロックする;のうちの少なくとも1つを有する多孔質膜を含む、上記セパレータが本明細書に開示されている。高い充電率においてもリチウム析出が起こらないエネルギーセルも本明細書に開示されている。エネルギーセルは、本明細書に開示されている改良されたセパレータを含み得る。エネルギーセルは、リチウムを含むアノードをさらに含み、いくつかの実施形態において、炭素質物質を含むカソードをさらに含む。エネルギーセルから分離しているが、本明細書に開示されているエネルギーセルにおいて使用され得る、アノードおよびカソードも本明細書に開示されている。
【0173】
構造および方法の上記の詳細な説明は、単に説明目的で提示されている。例は、最良の形態を含めた例示的な実施形態を開示するために、また、当業者が本発明を実施することを可能にするために使用されており、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実施することを含んでいる。これらの例は、排他的であること、または本発明を開示されている詳細な工程および/もしくは形態に限定することは意図しておらず、多くの変更および変形が、上記の教示に照らして可能である。本明細書に記載されている特徴は、任意の組み合わせで組み合わされてよい。本明細書に記載されている方法の工程は、物理的に可能である任意の順番で実施されてよい。本発明の特許請求可能な範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されており、当業者が気付く他の例を含んでいてよい。かかる他の例は、特許請求の範囲の一語一句の語と異ならない構造要素を有しているとき、または、特許請求の範囲の一語一句の語とごく僅かな差を有して等価な構造要素を含んでいるとき、特許請求の範囲内であることが意図される。
【0174】
添付の特許請求の範囲の組成物および方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の説明として意図されている、本明細書に記載されている具体的な組成物および方法によって範囲が限定されるものではない。機能的に等価である任意の組成物および方法は、特許請求の範囲内にあることが意図される。組成物および方法の種々の変更は、本明細書に示されかつ記載されているものに加えて、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。さらに、本明細書に開示されているある特定の代表的な組成物および方法工程のみが具体的に記載されているが、組成物および方法工程の他の組み合わせもまた、具体的に列挙されていない場合でも、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。そのため、工程、要素、成分、または構成要素の組み合わせが本明細書または以下に明確に言及され得るが、しかし、明確に記述されていなくても、工程、要素、成分、および構成要素の他の組み合わせが含まれる。
【0175】
明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。範囲は、「約」特定の1つの値から、かつ/または「約」特定の別の値までとして本明細書において表されている場合がある。かかる範囲が表されているとき、別の実施形態は、当該特定の1つの値から、かつ/または当該特定の別の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって、近似値として表されているとき、上記特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。当該範囲の各々の終点は、他の終点との関係において、また、他の終点からは独立しての両方において有意であることがさらに理解される。「任意選択的」または「任意選択的に」は、その後に記載されている事象または状況が起こっても起こらなくてもよいこと、および、かかる記載が、上記事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含んでいることを意味する。
【0176】
この明細書の詳細な説明および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語および当該語の変形、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むが限定されない」ということを意味しており、例
えば、他の添加剤、成分、整数、または工程を排除することは意図していない。「から本質的になる」および「からなる」という用語は、「含む(comprising)」および「含む(including)」の代わりに使用されて、本発明のより具体的な実施形態を提供することができ、また、開示もされている。「例示的な」は、「の例」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の指示を伝達することは意図していない。「例えば」は、制限的な意味ではなく、説明的または例示的な目的で使用されている。
【0177】
記述されている場合に以外に、本明細書および特許請求の範囲において使用されている幾何学形状、寸法などを表す全ての数が、少なくとも理解されるべきであり、特許請求の範囲の等価物の原則の適用を限定することを企図して、有効数字および常套の四捨五入のアプローチの数に照らして解釈されるべきではない。
【0178】
別途定義されない限り、本明細書において使用されている全ての技術的および科学的用語は、開示されている発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に列挙されている公報およびこれらに列挙されている材料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0179】
加えて、本明細書に実例として開示されている発明は、好適には、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素の非存在下で実施され得る。
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【手続補正書】
【提出日】2023-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンを含む1μm未満の平均孔径を有する乾式多孔質膜を有する改良された電池セパレータであって、
前記乾式多孔質膜は、各層が0.1~0.9μmの厚さを有する共押出しされた多層を含み、イオン伝導性媒体によって満たされており、
前記イオン伝導性媒体は、固体電解質、ゲル電解質および液体電解質からなる群より選択され、
10000ガーレー(Gurley)以上を有する、電池セパレータ。
【請求項2】
前記電池セパレータが、マクロ多孔質、ミクロ多孔質、またはナノ多孔質であり、乾燥しているとき(電解質なし)かつ/または電解質によって湿潤しているとき、前記セパレータが、リチウムイオンを伝導する、請求項に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
リチウム析出を伴わず3.0C(1C=2.3mA/cm2)以上の充電率で充電され得るエネルギーセルであって:
リチウムを含むアノード
カソード;および
請求項1に記載の電池セパレータ
を含み、
前記アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下であり、
前記アノードが、コバルト酸リチウム(LCO);マンガン酸リチウム(LMO);リン酸鉄リチウム(LFP);(Li(Ni x Mn y Co z )O 2 )、ここで、0.33>x>0.9およびx+y+z=1;NCA(Li(Ni x CO y Al z )O 2 )、ここで、0.8>x>0.9およびx+y+z=1;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、
前記カソードが:天然黒鉛;人工黒鉛;無定形炭素;スズおよび/もしくはケイ素を含む合金;スピネルチタン酸リチウム;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;
前記エネルギーセル。
【請求項4】
前記充電率が、3.0C以上、5.0C未満である;
前記カソードの厚さが、75~150ミクロンである;
前記アノードの多孔度が、15%以上、50%以下である;
前記カソードの多孔度が、10%以上、40%未満である;
前記アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下である;
前記カソードの屈曲度が、1.2以上1.5以下である;
のうちの少なくとも1つを有し、
電解質をさらに含み、前記電解質が:エチレンカーボネート(EC);エチルメチルカーボネート(EMC);ジエチルカーボネート(DEC);ジメチルカーボネート(DMC);プロピレンカーボネート(PC);およびこれらの組み合わせからなる群から選択される;ならびに
前記電解質が電解質添加剤を含む;
請求項に記載のエネルギーセル。
【請求項5】
前記アノードが、50~200ミクロンの厚さを有する;
前記アノードの多孔度が、15%以上、50%以下である;
前記アノードの屈曲度が、1.2以上1.3以下である;
のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のエネルギーセル。
【請求項6】
前記カソードの厚さが、約50~約200ミクロンである;
前記カソードの多孔度が、10%以上、40%未満である;
前記カソードの屈曲度が、1.2以上1.5以下である;
のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のエネルギーセル。
【請求項7】
二次リチウム電池を含むまたはこれに含まれている、請求項に記載のエネルギーセル。
【請求項8】
請求項1に記載のセパレータを含む、リチウム電池またはセル。
【請求項9】
二次リチウム電池を含むまたはこれに含まれている、請求項4、5又は6に記載のエネルギーセル。