(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058671
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】接着アセンブリを備える注射装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A61M5/142 522
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023021765
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2020520292の分割
【原出願日】2018-10-12
(31)【優先権主張番号】62/571,579
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515298235
【氏名又は名称】イネイブル インジェクションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ブレル,ディラン,エル
(72)【発明者】
【氏名】フドレストン,マシュー,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,ジョエッタ,レニー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファンチック,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ウェイテス,ダニエル,イー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬剤流体注射装置を患者に取り付ける方法を提供する。
【解決手段】皮膚対向表面を含む薬剤流体注射装置を準備する工程を含み、皮膚接着剤と皮膚接着剤の少なくとも一部を覆う実質的に隣接する折りたたまれた第1のフィルムセグメントとが皮膚対向表面によって保持され、第1のフィルムセグメントは第1のフィルムセグメントを皮膚接着剤に解放可能に接着される第1の接着剤接触部分と第1の自由部分とに分割する第1の折り線を含み、皮膚接着剤を露出するように第1の皮膚接着剤接触部分を皮膚接着剤から徐々に引き離すように第1のフィルムセグメントの第1の自由部分に張力を及ぼす工程を含み、露出された皮膚接着剤を患者の皮膚に取りつける工程を含む、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤流体注射装置を患者に取り付ける方法であって、
(a)薬剤流体注射装置を準備する工程を含み、前記薬剤流体注射装置は皮膚対向表面によって保持される皮膚接着剤を有する前記皮膚対向表面と、前記皮膚接着剤の少なくとも一部を覆う実質的に隣接する折りたたまれた第1のフィルムセグメントとを含み、前記第1のフィルムセグメントは前記第1のフィルムセグメントを前記皮膚接着剤に解放可能に接着される第1の接着剤接触部分と第1の自由部分とに分割する第1の折り線を含み、
(b)前記皮膚接着剤を露出するように前記第1の皮膚接着剤接触部分を前記皮膚接着剤から徐々に引き離すように前記第1のフィルムセグメントの前記第1の自由部分に張力を及ぼす工程を含み、
(c)露出された前記皮膚接着剤を患者の皮膚に取りつける工程を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のフィルムセグメントは、前記皮膚接着剤の第1の部分を覆い、
前記薬剤流体注射装置は前記皮膚接着剤の第2の部分を覆う実質的に隣接する折りたたまれた第2のフィルムセグメントを備え、前記第2のフィルムセグメントは前記第2のフィルムセグメントを前記皮膚接着剤に解放可能に接着される第2の接着剤接触部分と第2の自由部分とに分割する第2の折り線を含み、前記(b)は、前記皮膚接着剤の前記第1の部分を露出し、さらに、前記皮膚接着剤の前記第2の部分を露出するように前記第2の皮膚接着剤接触部分を前記皮膚接着剤から徐々に引き離すように前記第2のフィルムセグメントの前記第2の自由部分に張力を及ぼす工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(b)は、前記第1の自由部分と前記第2の自由部分が取り付けられている移送装置から前記注射装置を取り外すことによって実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記皮膚接着剤の前記第1の部分と前記第2の部分はそれぞれ前記皮膚接着剤の半分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記(b)は、前記注射装置を把持することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記(b)は、前記注射装置の周縁を把持することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(b)は、前記移送装置を把持することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の自由部分は、前記移送装置に取り付けられる延長された第1の取り付けタブを含み、前記第2の自由部分は、前記移送装置に取り付けられる延長された第2の取り付けタブを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記(b)は、前記第1の自由部分が取り付けられる移送装置から前記注射装置を取り外すことによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記(b)は、前記注射装置を把持することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記(b)は、前記注射装置の周縁を把持することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(b)は、前記移送装置を把持することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルムセグメントの前記第1の自由部分は、前記移送装置に取り付けられる延長された第1の取り付けタブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚接着剤は、前記注射装置の前記皮膚対向表面に結合される皮膚付着層によって保持され、前記皮膚付着層は除去タブを含み、さらに、前記除去タブを把持し引くことによって患者の皮膚から前記注射装置を取り外す工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記患者の皮膚から前記注射装置を取り外す工程は、前記注射装置の縁部に対して前記除去タブを把持することによって前記注射装置を把持することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の皮膚から前記注射装置を取り外す工程は、前記皮膚付着層が患者の皮膚からある角度で取り外されるように前記注射装置を持ち上げ、ねじることを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の相互参照]
本出願は、2017年10月12日に出願された米国仮特許出願第62/571,579号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般的には、身体に装着する薬剤流体注射装置アセンブリと、それに関連し得る身体に装着する薬剤流体注射装置と流体移送装置との組み合わせに関する。より特定的には、本出願は、注射装置がパッケージまたは移送装置などの支持構造から取り外されるときに皮膚接着剤を露出させる皮膚接着剤構成を有する身体に装着する注射装置に関する。本開示はまた、薬剤流体を注射装置に移送するために使用される注射装置および移送装置のアセンブリに関し、これは、流体移送装置からの注射装置の除去時に(注射中に装置を患者に固定する)注射装置の接着層を自動的に露出させる。本開示はさらに、様々な身体形状への強化された形態で患者の身体に接着する身体に装着する注射装置皮膚接着剤構造に関する。
【背景技術】
【0003】
患者によって一時的にまたは長期間装着される注射装置は、医療分野でよく知られており、装着型注射装置と呼ばれることがある。本出願の主題は、身体装着型薬剤流体注射装置および/または関連する流体移送装置を患者に固定するためのアセンブリに関する。本主題は、様々な薬剤流体注射装置および/または関連する流体移送装置に適用可能であるが、本説明は、具体的かつ非排他的に、2014年6月17日に出願された米国特許出願公開第2016/0144105号に記載された身体装着型薬剤流体注射装置に言及する。本出願はまた、2017年6月15日に出願された米国仮特許出願第62/520,335号と同日付けで出願された「流体移送装置およびシステム」と題する米国仮特許出願第62/571,419号に記載されているような、薬剤流体移送装置と組み合わせたような注射装置の使用にも言及する。上記の出願はすべて、あたかもここで完全に繰り返されているかのように、参照によりここに組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
第1の局面では、本開示は、薬剤流体の供給を受けるように構成された装着型注射装置のハウジングと、ハウジングによって保持されてハウジング内の引込位置とハウジングから延びた注射位置との間で可動な注射針とを含む接着剤アセンブリを備え、ハウジングはさらに、装着型注射装置が患者の身体上にあるときに患者の皮膚に対向する皮膚対向表面を含む、薬剤流体注射装置を提供する。接着剤アセンブリを備えた装着型薬剤流体注射装置はまた、注射中にハウジングを患者の皮膚に固定するために皮膚対向表面の少なくとも一部によって保持される皮膚接着剤と、皮膚接着剤を覆う複数の実質的に隣接する折りたたまれたフィルムセグメントとを含み、各フィルムセグメントは、フィルムセグメントを、皮膚接着剤に剥離可能に接着される接着剤接触部分と、張力がかかると皮膚接着剤から皮膚接着剤接触部分を徐々に引き離すように動作可能な自由部分とに分割する折り線を含む。
【0005】
第2の局面では、本開示は、薬剤流体の供給を受けるように構成された装着型注射装置のハウジングと、ハウジングによって保持されてハウジング内の引込位置とハウジングから延びる注射位置との間で可動な注射針とを含む接着剤アセンブリとを備え、ハウジングはさらに、装着型注射装置が患者の身体上にあるときに患者の皮膚に対向する皮膚対向表面を含む、装着型薬剤流体注射装置を提供する。接着剤アセンブリを備えた装着型薬剤流体注射装置はまた、ハウジングの皮膚対向表面に取り付けられた片側と、患者の皮膚に接着するための皮膚接着剤を保持する反対側とを有する可撓性皮膚接触基板を含む。装着型注射装置が使用されるまで皮膚接着剤を覆うために保護フィルムが皮膚接着剤に取り外し可能に接着され、可撓性皮膚接触基板は片側において装着型注射装置に取り付けられておらず反対側において皮膚接着剤を保持する周縁部分を有し、それによって、装着型注射装置に取り付けられていない周縁部分は、可撓性基材が患者によりよく適合することを可能にする。
【0006】
第3の局面では、本開示は、薬剤流体注射装置と、それと協働する関係で薬剤流体を保持するように構成された流体移送装置とを備える、接着剤アセンブリを有する装着型薬剤流体注射装置を提供する。薬液注射装置は、薬剤流体の供給を受けるように構成されたハウジングと、ハウジングによって保持され、ハウジング内の引込位置とハウジングから延びる注射位置との間で移動可能な注射針とを含み、ハウジングはさらに、薬剤流体注射装置が患者の皮膚上にあるときに患者の皮膚に対向する皮膚対向表面を含む。薬剤流体注射装置はまた、注射中にハウジングを患者の皮膚に固定するためにハウジングの皮膚対向表面の少なくとも一部によって保持される皮膚接着剤と、皮膚接着剤を覆う複数の実質的に隣接する折りたたまれたフィルムセグメントを含み、各折りたたまれたフィルムセグメントは、フィルムセグメントを、皮膚接着剤に解放可能に接着される接着剤接触部分と、張力がかかると接着剤接触部分を皮膚接着剤から徐々に引き離すように動作可能な自由部分とに分割する折り線を含む。流体移送装置は、支持面を有するベースを含み、薬剤流体注射装置をベースの支持面上に解放可能に保持するように構成され、移送装置はさらに、各フィルムセグメントの各自由部分と係合するように構成され、それによって、薬剤流体注射装置のベースからの解放とベースの支持面からの薬剤流体注射装置の分離において、移送装置は、フィルムを皮膚接着剤から取り除くために、各折りたたまれたフィルムセグメントの自由部分に張力を及ぼす。
【0007】
上述のように、さらに本明細書で説明するように、接着剤アセンブリを備えた例示的な注射装置および本開示の同じものを使用する例示的な方法は、いくつかの有利な特徴を備える。また、前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はどちらも例示であり、説明のみを目的として提供されており、請求される主題を限定するものではないことを理解されたい。本開示のさらなる特徴および目的は、好ましい実施形態の以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
好ましい実施形態を説明する際に、同様の部品が同様の参照番号を有する添付の図面を参照する。
【0009】
図1aは、皮膚接着剤の構成を有する接着剤アセンブリを備えた例示的な装着型注射装置の側面図である。
【0010】
図1bは、
図1aの注射装置アセンブリの下側に保持されている皮膚接着剤構造の分解斜視図であり、説明のために相対的な厚さが誇張されている。
【0011】
図2は、
図1aの接着剤アセンブリを備えた装着型注射装置の上面図である。
【0012】
図3は、
図1aの注射装置アセンブリの下側の斜視図である。
【0013】
図4a~
図4cは、移送装置の支持面(または他のパッケージング)などの支持面から徐々に引き離され、同時に皮膚接着剤剥離ライナーが注射装置の下側の皮膚接着剤から引き離されている装着型注射装置アセンブリを模式的に示す。
【0014】
図5a~5eは、支持面から徐々に引き離され、同時に皮膚接着剤剥離ライナーが注射装置の下側の皮膚接着剤から引き離されている装着型注射装置アセンブリを示す。
【0015】
図6a~6dは、バルーンを使用した、様々な身体形状に適合する
図1aの注射装置アセンブリに組み込まれた皮膚接着剤構造の利点を示す。
【0016】
図7は、注射が完了した後の患者の皮膚からの
図1aの注射装置アセンブリの除去を図示する。
【0017】
図8aは、1つの視野角から見た、
図1aの接着剤アセンブリを備えた装着型薬剤流体注射装置と、標準的な医療用薬物バイアルおよびシリンジが取り付けられた薬剤流体移送装置との組み合わせの斜視図である。
【0018】
図8bは、異なる視野角から見た、
図8aの組み合わせの斜視図である。
【0019】
【0020】
図面は縮尺通りではないことが理解されるべきである。潜在的な代替構成を含む、接着剤アセンブリを備えた例示的な注射装置のいくつかの詳細は含まれていないが、そのような詳細は、本開示に照らして当業者の理解の範囲内であると見なされる。また、本発明は、図示された例示的な実施形態に限定されないことも理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1aを参照すると、装着型注射装置104および皮膚接着剤構造106を含む、接着剤アセンブリ102を備えた装着型薬剤流体注射装置として、接着剤アセンブリを備えた注射装置の一例が示されている(
図1bも参照)。注射装置104は、上面または頂面108および注射中に患者の皮膚に対向する底面または下面110を有する。皮膚接着構造106は、底面110上に保持され、以下に説明するように機能する。
【0022】
図示された注射装置の詳細は、ここに参照によって組み込まれる、2014年6月17日に出願された米国特許出願公開第2016/0144105号に見られる。この装置は、限定ではなく例示の目的で使用される。本出願の接着剤構造の特徴はまた、異なる形状、構造、または動作原理の装着型注射装置への適用を見出すことができる。
【0023】
図示された装着型注射装置104は、薬剤流体の供給を受けるように構成された全体的に剛性のプラスチックの外側ハウジング112を有し、ハウジング112内の引込位置とハウジング112から延びる注射位置との間で移動可能な注射針を保持する。ハウジング112はまた、患者の身体上にあるときに患者の皮膚に対向する皮膚対向表面または底面110を含む。
図1aに見られるように、皮膚対向表面または底面110は、全体的に平坦で平面であり、その周縁で凸状に上向きに湾曲している。底面110は、
図1aには示されていない中央開口部を有し、それを通して、注射中に、注射針が(患者の皮膚を貫通するために)移動可能に延びる。
【0024】
上で指摘したように、皮膚接着剤116は、注射中にハウジング112を患者の皮膚に固定するために、皮膚対向表面110の少なくとも一部によって保持される。皮膚接着構造体106は、注射装置104の底面110上に保持される。図示された皮膚接着剤構造106は、
図1aおよび
図1bに見られる皮膚付着層114を含み、これは、任意の適切な材料で構築されてもよく、好ましくは可撓性である。この例では、皮膚付着層114は、可撓性不織布高分子材料、またはPET材料として示され、これは、不織布キャリア基板または可撓性皮膚接触基板と呼ばれる場合がある。この皮膚付着層114は、装着型注射装置104のハウジング112の最外周へ外向きに延びる大きさである。
【0025】
可撓性皮膚接触基板または皮膚付着層114はまた、
図1a、
図2、および
図3に見られ得る、除去タブ122を形成する半径方向に延びる部分を含み得る。除去タブ122は、患者からの除去の容易さを向上させる。除去タブ122は、皮膚付着層114の一部であるが、患者の取り扱いを容易にするために接着剤を含まない。患者が注射装置104を患者の皮膚の注射部位から除去したい場合、患者は、除去タブ122が注射装置104の縁部に対して把持された状態で注射装置104を把持することができ、注射装置104は、例えば、
図7に見られるように、持ち上げられ、ねじられ、それにより、皮膚付着層114を患者の皮膚からある角度で引っ張る。
【0026】
片側の可撓性皮膚接触基板または皮膚付着層114は、好ましくは、装置側接着剤116によって注射装置ハウジング112の底面110に永久的に結合される。装置側接着剤116は、適切な強度の任意の接着剤、例えば、医療グレードのアクリル接着剤であり得る。
図1aでは、装置側接着剤116が注射装置104の全周縁まで延びておらず、代わりに、接着剤がない可撓性皮膚接触基板または皮膚付着層114の余白または周縁部118が残っていることがわかる。後でさらに詳しく説明するように、これにより、患者の身体の表面の曲線に対する緊張の緩和と強化された適合が提供される。あるいは、皮膚付着層114は、例えば、熱かしめまたは超音波溶接などの適切な機械的手段を使用することによって、注射装置の下側に永久的に結合され得る。
【0027】
注射中に注射装置104を患者の皮膚に接着するために、皮膚接着剤120は、好ましくは、皮膚付着層114の反対側の皮膚に面する側の表面全体に沿って提供される(除去タブ122を除く)。皮膚接着剤120は、所望の摩耗時間および生体適合性のために十分な強度の任意の適切な接着剤、例えば、医療グレードのアクリル接着剤で作製され得る。強度に関しては、当然のことながら、皮膚接着剤120は、装置側接着剤116よりも弱いため、注射が完了した後、注射装置104および皮膚付着層114を患者の皮膚から取り除くことができる。
【0028】
可撓性の皮膚接触基板または皮膚付着層114の反対側の皮膚接着剤120は、輸送および保管の間、皮膚接着剤120を露出させて患者の皮膚への注射装置104の取り付けを可能にするために除去する必要がある剥離層またはライナー124で覆われる。本開示によれば、剥離層124は、PETなどの、皮膚接着剤120に強く接着せず、手動で容易に比較的小さい力で皮膚接着剤120から引き離すことができる材料で構成されたフィルムを含む。
【0029】
より具体的には、剥離層またはライナー124は、皮膚接着剤120を覆い、皮膚接着剤120を不注意な接触から保護するように、実質的に隣接する複数の折りたたまれたフィルムセグメントから形成される。例示の目的で示されるように、各折りたたみセグメントは、それ自体に沿ってまたはそれ自体の上に折り返されるように折り目を含み、折り目は、ハウジング112の皮膚対向表面110を実質的に二分する折り線に沿って延び、セグメントを、皮膚接着剤120に解放可能に接着される皮膚接着剤接触部分と、皮膚接着剤接触部分に接続され、その下にあり、張力に応じて皮膚接着剤接触部分を徐々に皮膚接着剤120から離れるように、皮膚接着剤120の全表面積にわたる剥離層124の同時除去と比較して除去に対するより低い抵抗を提供する剥離線に沿って引っ張るように動作する自由部分とに分割する。
【0030】
図示の実施形態では、
図1a~
図4cに見られるように、2つの折りたたまれたフィルムセグメント126a,126bがあり、それらのそれぞれは、全体的に円形であり、折りたたんだときに各セグメントが半円形または円の半分の形状を形成するように、直径に沿った折り線でそれ自体に沿ってまたはそれ自体の上に折り返される。
【0031】
全体的に上述したように、各フィルムセグメント126a,126bは、それぞれの折り目128a,128bを有し、各セグメントを、皮膚接着剤120に解放可能に接着される皮膚接着剤接触部分130a,130bと、それ自体に沿って、皮膚接着剤接触部分130a,130bの下に折り返される自由部分132a,132bとに分割する。したがって、折りたたまれたフィルムセグメント126a,126bのそれぞれは、集合的な皮膚接着剤接触部分130a,130bの実質的に半分を覆う。必要に応じて、たとえばパイ形状または他の構成を有する複数のセグメントを使用することなどによって、3つ以上のセグメントを使用することができる。自由部分132a,132bは、それぞれの皮膚接着剤接触部分130a,130bを、折り線128a,128bから皮膚の周縁に徐々に移動または進行する剥離線に沿って皮膚接着剤120から引き離すために、下向きに張力をかけられることができる。下向きの張力が自由部分132a,132bに加えられ続けると、皮膚接着剤接触部分130a,130bは、皮膚接着剤120から徐々にかつ段階的に引き離される。
【0032】
剥離層124の除去は、
図4a~
図4cに図式的に示され、
図5a~
図5eの装着型注射装置104と比較して示されている。連続するステップに示され、上記で説明されているように、接着構造106を備えた注射装置104は、任意の適切な流体移送装置またはパッケージング、または他の適切な構造の支持面であり得る支持面から徐々に分離される。注射装置104が支持面から分離されると、フィルムセグメント126a,126bの自由部分132a,132b(180度離れて配置された半径方向に延びる取り付けタブ134a,134bで支持面に固定される)が、皮膚接着剤接触部分130a,130bを可撓性皮膚接触基板または皮膚付着層114の下側に位置する皮膚接着剤120から離れるように引き始め、または、剥離し始める。
【0033】
剥離ライナーフィルムセグメント126a,126bの引っ張りまたは剥離は、折り線128a,128bで始まり、剥離層124と皮膚接着剤120との間の剥離線136a,136bは、注射装置104と支持面との間の距離が増加するにつれて、フィルムセグメント126a,126bが皮膚付着層114の下側から完全に取り除かれるまで、各セグメント126a,126bに沿って外側に徐々に進む。これにより、使用者は、遅れることなく、剥離層124を個別に除去する手間をかけることなく、注射装置104を患者の皮膚にすぐに配置することができる。2つ折りセグメント126a,126bは、剥離層124の非常に滑らかで容易な除去を可能にする。また、セグメント126a,126bがそれ自体の上に折り返される折り線128a,128bは、剥離層124のフィルムを皮膚接着剤120から分離するための剥離層124と皮膚接着剤120との間の剥離点または線の開始を提供する。
【0034】
前述のように、可撓性の皮膚接触基板または皮膚付着層114の周縁部118に沿って装置側接着剤116はない(
図1b、
図4aおよび
図4bを参照)。これにより、皮膚付着層114は、患者への付着位置において、患者の体の形状または患者の皮膚の湾曲または起伏に、よりよく適合することができる。
図6a~
図6dは、バルーンを使用して湾曲した皮膚表面をモデル化することにより、これを示している。皮膚付着層114の余白の周縁部分118は、皮膚と一緒に曲がることができ、患者からの注射装置の偶発的または時期尚早の分離を回避するのに役立つ張力緩和を提供する。
【0035】
図8aおよび
図8bを参照すると、これらの図は、限定ではなく例証の目的で、移送装置150に取り付けられたバイアル152およびシリンジ154を備えた薬剤流体移送装置150の支持面上に取り付けられた注射装置アセンブリ102を備える組み立てられた移送システムを示す。この特定の移送装置(上記の参照によって組み込まれる、同日に同時に出願された米国仮特許出願第62/571,419号にも示される)は、限定ではなく例示のみを目的として示されている。請求される主題から逸脱することなく、他の構成の他の移送装置を使用することができる。
【0036】
図8aおよび8bは、異なる視野角から見られ、アセンブリが移送装置150の反対側から見られることを可能にする。図に示されるように、図示された移送装置104は、
図8aに見られるように、注射装置104が載置される支持面158をその片側が形成する移送装置ベース156を含む。ハーネスまたは保持具160は、ベース156に取り付けられた周辺リングまたはリング構造162内の移送装置ベース156上に注射装置104を保持する。三方活栓弁アセンブリなどの任意の弁アセンブリまたはサブアセンブリ164は、移送装置ベース156の下側に取り付けられ、バルブサブアセンブリのバイアルポート166、シリンジポート168、およびバルブサブアセンブリ164に関連する直立した注射装置の流体移送ポート170に固定されているとき、薬剤流体バイアル152、シリンジ154、および注射装置104間の選択的な流体連通を提供する。この実施形態における流体移送の基本的な動作原理は、参照により本明細書に組み込まれる、上記で特定された出願(米国仮特許出願第62/571,419号)で前述したものと本質的に同じである。
【0037】
図9を参照すると、この実施形態における移送装置ベース156の一方の側(便宜上、頂部側または上側と呼ばれる場合がある)は、保持具160によってベース156に固定されるときに注射装置104がその上に載る平坦な支持面158を提供する。
図2および
図3に最もよく見られる半径方向に突出する取り付けタブ134a,134bは、例えばリング構造または他の接続領域にて移送装置に取り付けられ、その結果、剥離層124の折りたたまれたセグメント126a,126bの自由部分132a,132bは、注射装置104が移送装置150の支持面158から持ち上げられると、折りたたみセグメント126a,126bの皮膚接着剤接触部分130a,130bを引っ張って引き離す。
図4a~
図4cおよび
図5a~5eに示すように同様に操作して剥離層を取り除く。したがって、各折りたたまれたフィルムセグメント126a,126bの自由部分132a,132bは、剥離層124の拡張取り付けタブ134a,134bへの剥離接続を含み、移送装置150は、剥離接続124と係合するように構成される。この例では、剥離接続は、折りたたまれたフィルムセグメント126a,126bの延長部134a,134bに存在し、移送装置150は、折りたたまれたフィルムセグメント126a,126bの延長部に接続するように構成された係合面を含む。
【0038】
本主題は、特定の構造、方法、および例を参照して本明細書で説明されているが、これは例示の目的のみであり、本主題は、この主題を使用しながら、特定の構成と外観が異なる広範囲の装置およびシステムに適用可能であることが理解される。本主題の範囲については、下記の請求項を参照せよ。この特許は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によってのみ制限される。
【外国語明細書】