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▶ インオプテック リミテッド, ツヴァイクニーダーラッスング ドイチュランドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058736
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】電子眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/10 20060101AFI20230418BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G02C7/10
G02C11/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026816
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2021175028の分割
【原出願日】2015-05-28
(31)【優先権主張番号】102014107587.0
(32)【優先日】2014-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102014108190.0
(32)【優先日】2014-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516355678
【氏名又は名称】インオプテック リミテッド, ツヴァイクニーダーラッスング ドイチュランド
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】クノル,ラルフ ゲー.ヨット.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】さまざまな条件下で眼鏡着用者の視覚を改善する眼鏡およびシステムを提供する。
【解決手段】眼鏡は、透過率(TR)が透過状態と遮断状態との間で切り替え可能である液晶セル(LC)を有する眼鏡レンズを備える。さらに、眼鏡は、眼の視線方向を決定することができるアイトラッカー(ET)を備える。眼鏡はさらに、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)を備え、前記センサは、眼鏡レンズの眼側に配置され、少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を空間分解方法で測定する。センサは、アイトラッカーによって決定された眼の視線方向から入射する可視光の輝度を決定することができる。眼鏡はさらに、液晶セルの透過率を制御するための閉ループ制御システムを有し、眼の高さの輝度の所望の値が予め設定され、閉ループ制御システムは、眼の視線方向のセンサによって測定された輝度を実際値として使用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレア抑制による視認性向上システムであって、
1.1 少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡であって、前記眼鏡は、
1.1.1 少なくとも1つの眼鏡レンズであって、
1.1.1 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率(TR)が適切な制御によって変更可能である液晶セル(LC)を有し、
1.1.1.1 前記液晶セル(LC)は、前記透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、少なくとも1つの眼鏡レンズと、
1.1.2 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を制御もしくは調節する手段と
を備える眼鏡、
さらに、
1.2 光源(S)であって、前記光源(S)は、
1.2.1 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間の間に発光するように、前記光源(S)の発光時間および光度を制御する手段を備え、
1.2.2.1 前記光源(S)の光度と、
1.2.2.2 前記液晶セル(LC)の透過率(TR)と
1.2.2 の積の時間積分値は、前記高透過率状態の時間(Ton)が変化する時に、所定の許容範囲内で一定に維持される、光源(S)
を備えるシステムであり、
1.3 前記液晶セル(LC)および前記光源(S)の調節もしくは制御は、
1.3.1 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の期間内での前記高透過率状態の時間(Ton)の時間的位置が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、および/または
1.3.2 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の存続期間が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、
1.3.3 前記変更は秘密符号化鍵によって決定される
ように設計されるシステム。
【請求項2】
2.1 前記眼鏡は、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)を備え、
2.1.1 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記眼鏡の眼側に配置され、
2.1.2 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定し、
2.2 前記眼鏡はさらに、前記液晶セル(LC)の透過率を調節するための閉ループ制御回路(MC)を備え、
2.2.1 前記眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して、設定値が予め設定され、
2.2.2 前記制御回路は、前記センサによって測定された輝度を実際値と見なす
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
3.1 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、
3.1.1 カメラ付き撮像システム、または
3.1.2 座標系全体を測定するための少なくとも3つのセンサ、または
3.1.3 複眼を備え、
3.2 前記眼鏡はさらに、前記眼の視線方向を決定することができるアイトラッカー(ET)を備え、
3.3 前記少なくとも1つのセンサは、前記アイトラッカー(ET)によって決定された前記視線方向から入射する可視光の輝度を決定することができ、
3.4 前記制御回路は、前記眼の視線方向の前記センサによって測定された輝度を実際値と見なす
ことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
4.1 生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるための第2の光源であって、
4.2 前記液晶セル(LC)の前記低透過率状態の時間(Toff)の間に発光する第2の光源
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源は、生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるための光源である
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光源は、ディスプレイである
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
グレア抑制による視覚向上方法であって、
7.1 少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡が提供されるステップであり、
7.1.1 前記眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、
7.1.2 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率(TR)が適切な制御によって変更可能である液晶セル(LC)を有し、
7.1.2.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように選択され、
7.1.2.1.1 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)が制御もしくは調節される、眼鏡が提供されるステップと、
7.2 光源(S)が提供されるステップであって、
7.2.1 前記光源(S)の発光時間および強度は、前記光源(S)が前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)の間に発光するように制御もしくは調節され、
7.2.2.1 前記光源(S)の強度と、
7.2.2.2 前記液晶セル(LC)の透過率(TR)と
7.2.2 の積の時間積分値は、前記高透過率状態の時間(Ton)が変化する時に、所定の許容範囲内で一定に維持される、光源(S)が提供されるステップとを含み、
7.3 前記液晶セル(LC)および前記光源(S)の調節もしくは制御は、
7.3.1 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の期間内での前記高透過率状態の時間(Ton)の時間的位置が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、および/または
7.3.2 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の存続期間が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、
7.3.3 前記変更は、秘密符号化鍵によって決定される
ように設計される、方法。
【請求項8】
生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるためのシステムであって、
8.1 少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡であり、
8.1.1 少なくとも1つの眼鏡レンズであって、
8.1.1.1 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能である液晶セル(LC)を有し、
8.1.1.1.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、少なくとも1つの眼鏡レンズと、
8.1.2 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を制御する手段と
を備える眼鏡と、
8.2 生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるための光源であって、
8.2.1 前記液晶セル(LC)の前記低透過率状態の時間(Toff)の間に発光する光源とを備え、
8.3 前記液晶セル(LC)および前記眩惑させるための光源の調節もしくは制御は、
8.3.1 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の期間内での前記高透過率状態の時間(Ton)の時間的位置が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、および/または
8.3.2 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の存続期間が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、
8.3.3 前記変更は秘密符号化鍵によって決定される
ように設計される、
システム。
【請求項9】
9.1 第2の光源(S)と、
9.2 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)の間に発光するように、前記第2の光源(S)の発光時間および光度を制御もしくは調節する手段と
を有することを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の光源はディスプレイである
ことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
11.1 前記眼鏡はさらに、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)を備え、
11.1.1 前記少なくとも1つのセンサは、前記眼鏡の眼側に配置され、
11.1.2 前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定し、
11.2 前記眼鏡はさらに、前記液晶セル(LC)の透過率を調節するための閉ループ制御回路(MC)を備え、
11.2.1 前記眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して、設定値が予め設定され、
11.2.2 前記制御回路は、前記センサによって測定された輝度を実際値と見なす
ことを特徴とする、請求項8~請求項10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
12.1 前記センサ(IL,IR)は、
12.1.1 カメラ付き撮像システム、または
12.1.2 座標系全体を測定するための少なくとも3つのセンサ、または
12.1.3 複眼を備え、
12.2 前記眼鏡はさらに、前記眼の視線方向を決定することができるアイトラッカー(ET)を備え、
12.3 前記センサは、前記アイトラッカー(ET)によって決定された前記視線方向から入射する可視光の輝度を決定することができ、
12.4 前記制御回路は、前記眼の視線方向の前記センサによって測定された輝度を実際値と見なす
ことを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記液晶セル(LC)は、最大10ミリ秒で透過率を90%から10%に、および10%から90%に変化させることができるように設計される
ことを特徴とする、請求項8~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記眼鏡フレームは、前記眼鏡着用者の少なくとも1つの眼を周辺光に対して遮断するように密閉する
ことを特徴とする、請求項8~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御回路の前記設定値は、前記眼の位置の20lx~400lxの輝度を規定する
ことを特徴とする、請求項8~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記周辺光の輝度は、前記制御回路の前記設定値および制御信号から導出される
ことを特徴とする、請求項8~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
さらに少なくとも1つの輝度センサ(OL,OR)が、前記眼鏡の眼側と反対側に配置され(外部センサ)、前記周辺光の輝度を決定する
ことを特徴とする、請求項8~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
18.1 前記制御回路の前記設定値は、前記周辺光の輝度に応じて変更可能であり、
18.2 前記設定値の変更は、前記液晶セルの透過率の制御より少なくとも10倍遅いことを特徴とする、請求項16または請求項17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
19.1 前記設定値は、設定された段階を追って変化し、
19.2 前記設定値の段階的な変化は、前記液晶セルの透過率の制御より少なくとも100倍遅く、
19.3 途中でヒステリシスが生じる
ことを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御は、10マイクロ秒~1秒内で極度の輝度に反応して、前記液晶セル(LC)が前記低透過率状態に設定されるように設計される
ことを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
21.1 眼鏡着用者の両眼に対する2つの眼鏡レンズ、
21.2 個々の眼に入射する可視光の輝度を測定するための2つの眼側センサ、および
21.3 各々の眼の制御回路
を有することを特徴とする、請求項8~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記両眼に対する前記設定値は、1%~60%だけ互いに異なる
ことを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
1つの眼に入射する可視光の輝度を調節する時に、他方の眼の輝度の調節が考慮に入れられる
ことを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
24.1 前記眼鏡の眼側と反対側に配置される少なくとも1つの光源であって、
24.2 前記眼鏡着用者の視線方向に応じて制御される光源
を特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項25】
前記センサの測定値および/または前記制御回路の設定値および/または前記測定値と前記設定値から導出される環境の輝度は、地理座標受信器の地理座標信号に接続され、記録される
ことを特徴とする、請求項8~請求項24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
26.1 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な別の液晶セルを有し、
26.2 前記別の液晶セルは、前記視線方向の前記液晶セル(LC)の裏側もしくは前に配置される
ことを特徴とする、請求項8~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させる方法であって、
27.1 少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡が提供されるステップであり、
27.1.1 前記眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、
27.1.1.1 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC)を有し、
27.1.1.1.1 前記液晶セル(LC)は、高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計され、
27.1.2 前記眼鏡はさらに、前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を制御する手段を備える、眼鏡が提供されるステップと、
27.2 生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるための光源が提供されるステップであって、
27.2.1 前記液晶セル(LC)の前記低透過率状態の時間(Toff)の間に発光する、光源が提供されるステップとを含み、
27.3 前記液晶セル(LC)および前記眩惑させるための光源の調節もしくは制御は、
27.3.1 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の期間内での前記高透過率状態の時間(Ton)の時間的位置が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、および/または
27.3.2 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の存続期間が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、
27.3.3 前記変更は秘密符号化鍵によって決定されるように設計される、
方法。
【請求項28】
複数の眼鏡着用者の視野における物体の色符号化システムであって、
28.1 1人の眼鏡着用者に対する1組の眼鏡であり、
28.1.1 個々に少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、
28.1.2 前記個々の少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC)を備え、
28.1.2.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、少なくとも1つの眼鏡レンズと、
28.1.3 前記液晶セル(LC)が異なる時間で高透過率状態(Ton)に設定されるように、前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を調節もしくは制御する手段と
を備える眼鏡、および
28.2 1人の眼鏡着用者に対する1つのRGB光源(S1、S2、S3)であって、
28.2.1 前記RGB光源(S1、S2、S3)の発光時間、色、および強度を制御もしくは調節する手段であり、
28.2.1.1 第1の眼鏡着用者用の前記RGB光源(S1)は、前記眼鏡の前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)に第1の色で照明し、
28.2.2.2 第2の眼鏡着用者用の前記RGB光源(S2)は、前記眼鏡の前記液晶セル(LC)の高透過率状態の時間(Ton)に、前記第1の色とは異なる第2の色で発光する
ように制御もしくは調節する手段を有するRGB光源(S1、S2、S3)
を備えるシステム。
【請求項29】
前記個々の眼鏡の前記低透過率状態の時間(Toff)の間、前記関連付けられたRGB光源(S1、S2、S3)は、前記眼鏡を着用していない人に、時間平均で白色の印象を与えるのに必要な色を発する
ことを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1の眼鏡着用者の前記液晶セル(LC)は、前記第2の眼鏡着用者の前記高透過率状態の時間(Ton)の間、0でない透過率に減衰される
ことを特徴とする、請求項28または請求項29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
31.1 前記第1の眼鏡着用者の眼鏡の前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)に前記第1の眼鏡着用者の前記RGB光源が発する色は、前記RGB光源(S1)の個々の原色の色成分の0%~100%の任意の強度値で自由に規定可能であり、
31.2 前記液晶セル(LC)の前記関連する前記低透過率状態の時間(Toff)には前記RGB光源(S1)の主な3色に対して最大で100%の強度の不足の光が発せられる
ことを特徴とする、請求項28~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記眼鏡は、
32.1 入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)であって、
32.1.1 前記個々の少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記個々の眼鏡レンズの眼側に配置され、
32.1.2 前記個々の少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定する、少なくとも1つのセンサ(IL,IR)と、
32.2 前記個々の液晶セル(LC)の透過率をそれぞれ制御するための閉ループ制御回路(MC)であって、
32.2.1 前記眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して設定値が予め設定され、
32.2.2 前記制御回路(MC)は、前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)によって測定された輝度を実際値と見なす、閉ループ制御回路(MC)と
を備えることを特徴とする、請求項28~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
安全性の理由から前記個々の眼鏡の前記液晶セルの正確な機能をチェックするために、前記センサにアドレスすることができる追加のLED
を特徴とする、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
複数の眼鏡着用者の視野内の物体を色符号化する方法であって、
34.1 各々の眼鏡着用者が眼鏡を着用するステップであり、
34.1.1 前記眼鏡はそれぞれ、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、
34.1.2 前記個々の少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC)を備え、
34.1.2.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計され、
34.1.3 前記個々の液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)が異なる時間の高透過率状態(Ton)に設定される、眼鏡を着用するステップと、
34.2 各々の眼鏡着用者用のRGB光源(S1、S2、S3)が提供されるステップであって、
34.2.1 前記RGB光源(S1、S2、S3)の発光時間、色、および強度は、
34.2.1.1 第1の眼鏡着用者用のRGB光源(S1)が前記第1の眼鏡着用者の眼鏡の前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)に、第1の色で発光し、
34.2.2.2 第2の眼鏡着用者用のRGB光源(S2)が前記第2の眼鏡着用者の眼鏡の前記液晶セル(LC)の高透過率状態の時間(Ton)に、前記第1の色と異なる第2の色で発光するように制御される、RGB光源が提供されるステップと
を含む方法。
【請求項35】
物体の空間的印象を向上させるシステムであって、
35.1 少なくとも右眼(E(R))および左眼(E(L))の両眼を有する着用者用の眼鏡であり、
35.1.1 前記両眼それぞれの眼の前の1つの眼鏡レンズであって、
35.1.2 前記各々の眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC(L),LC(R))を備え、
35.1.2.1 前記液晶セル(LC(L),LC(R))は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、眼鏡レンズと、
35.1.2.1.1 前記液晶セル(LC(L),LC(R))の前記高透過率状態の時間(Ton)を制御もしくは調節する手段と
を有する眼鏡と、
35.2 1つの眼にそれぞれ関連付けられた2つの光源(S1(L),S1(R))であって、
35.2.1 前記2つの光源は異なる光を発し、
35.2.2 前記光源のステレオベース(DS1)は、視距離(PD)より長く、
35.2.3.1 前記右眼(E(R))に関連付けられた前記光源(S1(R))が前記右眼の前記液晶セル(LC(R))の高透過率状態の時間(Ton)の間に発光し、
35.2.3.1.1 その間、前記左眼(E(L))に関連付けられた前記光源(S1(L))は発光せず、
35.2.3.1.2 前記左眼の前記液晶セル(LC(L))は低透過率に設定され、
35.2.3.2 その逆もまた同様である
35.2.3 ように前記光源(S1(L),S1(R))の発光時間を制御もしくは調節する手段を有する、光源(S1(L),S1(R))と
を備えるシステム。
【請求項36】
前記個々の光源から前記高透過率の状態の時間(Ton)に発せられる色は、関連する前記低透過率状態の時間(Toff)の時間の間に追加されて、白色の印象を与える
ことを特徴とする、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記2つの光源は、人の眼によって知覚可能な所定の周波数で振幅変調される
ことを特徴とする、請求項35~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記眼鏡は、
38.1 入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)であって、
38.1.1 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記少なくとも1つの眼鏡レンズの眼側に配置され、
38.1.2 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定する、少なくとも1つのセンサ(IL,IR)と、
38.2 前記個々の液晶セル(LC)の透過率を調節するための少なくとも1つの閉ループ制御回路(MC)であって、
38.2.1 前記眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して少なくとも1つの設定値が予め設定され、
38.2.2 前記制御回路(MC)は、前記少なくとも1つのセンサによって測定された輝度を実際値と見なす、閉ループ制御回路(MC)と
を備えることを特徴とする、請求項35~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
物体の空間的印象を向上させる方法であって、
39.1 少なくとも右眼(E(R))および左眼(E(L))の両眼を有する眼鏡が着用者用に提供されるステップであり、前記眼鏡は、
39.1.1 前記両眼それぞれの眼の前に個々の眼鏡レンズを有し、
39.1.2 前記各々の眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC(L),LC(R))を備え、
39.1.2.1 前記液晶セル(LC(L),LC(R))は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計され、
39.1.2.1.1 前記液晶セル(LC(L),LC(R))の前記高透過率状態の時間(Ton)は制御される、眼鏡が提供されるステップと、
39.2 1つの眼にそれぞれ関連付けられた2つの光源(S1(L),S1(R))がさらに提供されるステップであって、
39.2.1 前記2つの光源は異なる光を発し、
39.2.2 前記光源のステレオベース(DS1)は、視距離(PD)より長く、
39.2.3 前記光源(S1(L),S1(R))の発光時間は、
39.2.3.1 前記右眼(E(R))に関連付けられた前記光源(S1(R))が前記右眼の前記液晶セル(LC(R))の高透過率状態の時間(Ton)の間に発光し、
39.2.3.1.1 その間、前記左眼(E(L))に関連付けられた前記光源(S1(L))は発光せず、
39.2.3.1.2 前記左眼の前記液晶セル(LC(L))は低透過率に設定され、
39.2.3.2 その逆もまた同様である
ように制御される、2つの光源(S1(L),S1(R))が提供されるステップと
を含む方法。
【請求項40】
グレア抑制により空間監視される領域の視野を改善するためのシステムであって、
40.1 眼鏡であり、
40.1.1 少なくとも1つの眼鏡レンズであって、
40.1.2 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率(TR)が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC)を有し、
40.1.2.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、少なくとも1つの眼鏡レンズと、
40.1.2.1.1 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を調節もしくは制御する手段と
を備える眼鏡と、
40.2 光パルスを発するパルス光源(S)であって、
40.2.1 前記光源(S)は、前記光源の光が着用者の視線方向に空間的に監視される領域を横断するのに必要な時間より短い時間間隔を有する光パルスを発生させることができるように設計される、パルス光源(S)と、
40.3 前記液晶セルの前記高透過率状態の時間(Ton)を制御もしくは調節する手段であって、空間観察される領域からの光パルスの後方散乱信号のみが前記液晶セル(LC)によって透過されるように、前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を一時的に設定することができる手段と
を備えるシステム。
【請求項41】
前記眼鏡は、
41.1 入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)であって、
41.1.1 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記個々の少なくとも1つの眼鏡レンズの眼側に配置され、
41.1.2 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定する、少なくとも1つのセンサ(IL,IR)と、
41.2 前記個々の液晶セル(LC)の透過率を調節するための少なくとも1つの閉ループ制御回路(MC)であって、
41.2.1 前記眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して設定値が予め設定され、
41.2.2 前記制御回路(MC)は、前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)によって測定された輝度を実際値と見なす、閉ループ制御回路(MC)と
を備えることを特徴とする、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
グレア抑制により空間監視される領域の視野を改善する方法であって、
42.1 眼鏡が提供されるステップであって、前記眼鏡は、
42.1 少なくとも1つの眼鏡レンズを備え、
42.1.2 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率(TR)が適切な制御によって変更可能な液晶セル(LC)を備え、
42.1.2.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計され、
42.1.2.1.1 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)は制御される、眼鏡が提供されるステップと、
42.2 光パルスを発するパルス光源(S)が提供されるステップであって、
42.2.1 前記光源(S)は、前記光源の光が着用者の視線方向に空間的に監視される領域を横断するのに必要な時間より短い時間間隔を有する光パルスを発生させることができるように設計される、パルス光源(S)が提供されるステップと、
42.3 空前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)が、空間観察される領域からの光パルスの後方散乱信号のみが前記液晶セル(LC)によって透過されるように一時的に設定される、光源(S)が提供されるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレア抑圧のための電子眼鏡およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光変調器を通過する光の強度は、市販されているさまざまな液晶セル(TN、STN、Fe-LCなど)を用いて、現在のアクティブ3Dテレビもしくは映画用眼鏡(いわゆるシャッターゴーグル)のように、少なくとも2つの状態、すなわち、透過する透明な状態または透過しない暗い状態になるように、電気的に制御が可能である。
【0003】
この基本的な概念に従って1960年代には、眼鏡の着用者に可変透過率を提供するために、「電子サングラス」の開発がすでに試みられていた。
【0004】
いくつかの既知の電子サングラスは、(調節ではなく)純粋な制御によって動作する、すなわち、フォトセンサは眼鏡の外側にあり、そのために、外部から眼鏡に入射する輝度のみが計測される(例えば、米国特許第5172256号明細書または独国特許出願公開第102012217326(A1)号明細書を参照)。従って、純粋な経験値のみに基づく特性線によって、LCDは明るくもしくは暗くなるように切り替えられる。
【0005】
さらに、センサの数が少な過ぎる場合が多く、受光方向も特定不可能である(センサは前方もしくは空の方を向いている)。このことにより、眼鏡が完全に誤った、さらには正反対の反応を示すことになる場合が多い。例えば、着用者が暗い観察領域(暗い隅)を覗きこみ、それと同時に(偶然に、微細な暗色パターンを有する森林の中の物体もしくは揺れる葉に日光の迷光が反射して)眼鏡に日光の迷光が差し込んだ場合、LCは暗くなるが、実際には、着用者は暗い領域を見たいので、明るくなる必要がある。
【0006】
視覚向上のためにグレアを抑制する電子システムは、80年以上前に開発されている(米国特許第2066680(A)号明細書を参照)。1934年に出願されたこの特許では、自分のヘッドライトの光が回転メカニカルスリットもしくは薄板状ディスク(「チョッパ」)によって矩形信号に(時間軸に沿って)変調され、それと同時に、全く同一のスリットもしくは薄板状ディスクがユーザ(バイザー)の視野の前で全く同じように、すなわち、正確に同じ周波数および同じ位相位置で動作し、外部世界は変調されたヘッドライトの光と同期してユーザによって知覚される。
【0007】
ユーザのバイザーが、例えば、50%の時間、閉鎖状態である(パルス対ポーズ比=1:1)である場合、望ましくない光(例えば、低レベルの日光)の50%が抑制され、見ようとする物体の視認性が向上する。
【0008】
その後、電子制御可能な光変調器(特に、液晶セルの形態)が機械式光変調器に取って代わり、それと同時に、光源も大幅に速く電子的により制御しやすいものになった(例えば、独国特許出願公開第10134770(A1)号明細書、独国特許出願公開第2001086号明細書、国際公開第2013/143998(A2)号パンフレットを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5172256号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102012217326(A1)号明細書
【特許文献3】米国特許第2066680(A)号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10134770(A1)号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第2001086号明細書
【特許文献6】国際公開第2013/143998(A2)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、さまざまな条件下で眼鏡着用者の視覚を改善する眼鏡およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、独立請求項の主題によって達成される。独立請求項の主題のさらに有利な発展形態は、従属請求項の中で特徴付けられる。これにより、全ての請求項の表現は、参照によってこの説明の内容に引用したものとする。
【0012】
以下の段落では、問題を解決する、または解決策に寄与するさまざまな態様が記載されている。これらのさまざまな態様のほぼ全ては互いに組み合わされてよいことは、当業者には明らかであろう。
アイトラッカー
【0013】
上記目的を達成するために、少なくとも1つの眼を有する眼鏡着用者用の眼鏡が提案される。眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを有する。さらに、眼鏡は、眼の視線方向を決定することができるアイトラッカーを有する。また、眼鏡には、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサが存在し、センサは眼鏡レンズの眼側に配置され、このセンサを使用して、少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定することができ、さらに、センサには
‐カメラ付き撮像システム、または
‐座標系全体を測定するための少なくとも3つのセンサ、または
‐複眼
が存在する。
【0014】
電子複眼は、生物学において飛翔昆虫の複眼を説明するのに使用される用語「個眼」と同様の意味であるが、電気式フォトセンサから成る多くの個々の眼から成り、これらの個々の眼は、導光ファンネル(レンズ無し)の下端に再び位置決めされる、または個々に、上流側マイクロレンズと共に位置決めされる、または両方の組み合わせ(ファンネルおよびマイクロレンズ)で使用される(例えば、欧州特許第0803079(A2)号明細書を参照)。
【0015】
少なくとも1つのセンサは、アイトラッカーによって決定された眼の視線方向からの可視光の輝度を決定することができる。
【0016】
眼鏡はさらに、液晶セルの透過率を調節するための閉ループ制御回路を有し、眼の位置の輝度に対して設定値が設定され、制御ループは眼の視線方向のセンサによって測定された輝度を実際値として使用する。
【0017】
この眼鏡を使用すれば、例えば、自動車の運転者が別の自動車に接近している時、または晴れた日に運転者がトンネルに出入りする時に、眼鏡着用者の実際の視線方向から来るグレアに対して迅速かつ正確に輝度を調整することができる。
【0018】
しかし、現在では、極力小型化および「ウェアラブルエレクトロニクス」の技術を背景として、小型電子機器による視覚向上のための高性能で、安全なシステムを実現することが可能であり、さらにこれらのシステムを眼鏡に容易にかつ簡単に組み込むことも可能である。
【0019】
眼鏡の範囲を拡大するために、眼鏡の液晶セルの透過率を適切なグレースケールに調整するのではなく、できる限り短いシーケンスで光透過時間と光遮断時間との間で眼鏡を切り替えるのが望ましい。人の眼がこの切り替えをできる限りほとんど感知しないように、透過時間と遮断時間とのサイクル(時間)の長さを最大で24分の1(1/24)秒にする必要がある。
【0020】
このシステムは、人が調節を感知しなくなった時に、すなわち、約60Hzの臨界フリッカー周波数(CFF)より上のサイクルタイムで動作している時に、特に効果を発揮する。
【0021】
これを実現させるためには、液晶セルは、最大10ミリ秒(ms)で透過率を90%から10%に、また10%から90%に変更することができるように設計されなければならない。
【0022】
このような液晶セルを使用すれば、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間で切り替えることができる。そのためには、液晶セルの高透過率状態の時間と低透過率状態の時間およびこれら2つの状態間の変化を制御もしくは調節する手段が存在しなければならない。調節もしくは閉ループ制御回路は、少なくとも1つのセンサに入射する可視光の輝度の増加に伴って高透過率状態の時間が短くなるように(パルス幅変調、PWM)適切に設計される
【0023】
制御回路が、眼の視線方向からの輝度を決定する時に輝度に重み付けするためのユーザ固有の眼/網膜感度曲線を考慮に入れることができるように設計されれば、制御はより一層正確になり、眼鏡着用者の眼にもより一層優しいものになる。
【0024】
ユーザ固有の眼/網膜感度曲線は、例えば、眼鏡着用者の年齢、他の一般的および/または個々の眼固有のパラメータ、特に、入射角、さらに知覚に影響を及ぼす他の光技術変数、例えば、輝度、光源の距離もしくは光度もしくは光強度(ステラジアンの角度当たりの光束)、照明レベル、個々の絶対光度(眼の位置における閾値など)、光束、干渉光源のサイズ(点と面)、光源の色もしくはスペクトル分布およびその時間的変化、眼の事前調整(明所視と暗所視など)を考慮に入れる。
【0025】
これらの感度曲線は、ヒューリスティックにかつ論理的に決定されてよいが、通常は、経験的に決定されてよく、例えば、2001年12月、ワシントンD.Cにおいて、AAA Foundation for Traffic Safetyのために作成された「Counter-measures for Reducing the Effects of Headlight Glare」(Douglas Mace、Philip Garvey、Richard J.Porter、Richard Schwab、およびWerner Adrian著)で使用され分析が行われた。
【0026】
人の眼の感度曲線は、重み付け係数として種々のテーブル(ルックアップテーブル(LUT))に記憶される、または、内部センサ、マイクロコントローラ、および予め設定される設定値を含むシステムの閉ループ制御回路において、少なくともこれらの重み付け係数が液晶セルの透過率を設定する設定信号にリアルタイムで組み込まれるように、計算式として記憶される。
【0027】
例えば、「減能グレアの場合の物体の不可視性および視認不可能性」を決定するためのAdrian・Bhanjiの公式(Adrian W.およびBhanji A.(1991)、「減能グレアの原理。眼に入る迷光をグレア角度と年齢との関数として示した公式」、First International Symposium on Glare会報、フロリダ州オーランド、185~194ページ)は、次第に視認できなくなる状態の眼に入る光の入射角への依存度を考慮に入れたものである。
【0028】
例:入射光が眼に真っ直ぐ垂直に入射する場合、グレアは最高になる(重み付けの公式の最大値)。アイトラッカーが視線方向(ベクトルET(x,y,z))を決定し、内部センサおよび/または外部センサが入射光の方向(ベクトル・グレア(x,y,z))を決定した後、マイクロコントローラは、これら2つのベクトルが共線ベクトルであるか否か、すなわち、同じ向きを有するのか否かをチェックし、それに従って、上述の重み付け曲線を使用して最大値を評価することができる。例えば、重み付け曲線がLUTとして記憶されている場合、LUTは、マイクロコントローラのメモリ内で眼の動きの視線方向ベクトルET(x,y,z)に対応して実質的に前後に移動する。これが公式として記憶されている場合、ベクトルはそれに従って角度に変換される。
【0029】
その結果、感度曲線は、光がフォトセンサに当たる前に個々に対応するように光を「重み付け」した専用のプレレンズ(例えば、個々の自由形状のプラスチックレンズ)として作られる必要がなくなる。重み負荷レンズまたは可動レンズは、網膜の感度を再現するが、全てのセンサがしっかりと取り付けられている間は、全てのことがソフトウェア内で完全に表現されるので、これらのレンズは使用されない場合がある。
【0030】
眼鏡が、少なくとも1つの眼鏡レンズに関連付けられた眼を周辺光に対して遮断するように密閉する眼鏡フレームを有するのは、特に、眼に優しく、特に正確な調節を可能にする。
【0031】
20~400lx(ルクス)の範囲の平均輝度で制御回路の設定値を設定するのは、特に、眼に優しいことがわかった。この値により、例えば、夏日に自動車がトンネルに出入りする時に、外部輝度が非常明るい輝度から設定値まで下がる、もしくはその逆に変化した場合に、眼鏡着用者の眼に対して一定輝度に制御できるようになる。輝度または光度の変化は、この時点で、1000倍もしくはそれ以上となる場合がある。眼鏡着用者は、これらの急速な輝度の変動にさらされない。輝度の変動は、常に、眼鏡の制御によって平衡に保たれる。
【0032】
明るい晴れた日に暗いトンネルもしくは暗い日陰領域(森林など)に入る場合が、典型的な例である。この場合、日中に設定された設定値は暗いサングラスに対応するので、眼は常に暗さに適応しており、最初から準備されており、したがって、暗い領域に入った時に、暗い中ですぐに見ることができるように眼鏡レンズをリアルタイムでより透明に、そしてよりクリア(開放状態)なるように調節するだけで十分である。人の眼がこれらの眼鏡無しで暗さに適応するのに要する時間は約30秒であるので、これらの眼鏡を使用すればこの時間は0.1秒(例えば、10ミリ秒)まで短くなり、暗い中ですぐに見ることができるようになる。トンネルから光の中に出る時には、まさに逆のことが生じる。
【0033】
さらに、後述する制御機能は、眼鏡レンズが、周辺光の輝度を決定するために眼鏡の眼側と反対側に配置された少なくとも1つの別の輝度センサ(外部センサ)を有する場合に、利用可能になる。
【0034】
例えば、制御回路の設定値は周辺光の輝度に応じて変化する場合があり、このような設定値の変化は液晶セルの透過率の制御に比べて少なくとも10倍遅いので、設定値の変化は眼鏡着用者の眼が難なくこの変化に適応することができるように適合しなければならない。
【0035】
輝度が急に変化した場合に、眼鏡は液晶セル(LC)が低透過率状態に設定されるように10マイクロ秒~1秒の範囲内で反応しなければならない。
【0036】
眼鏡着用者が何も読み取ることができない、もしくは見ることができない、すなわち、極めて強いグレアが眼に真っ直ぐ垂直に(0°未満で)発生した(例えば、直接日光を見た)場合のいわゆる「減能グレア」のような極限状態では(上述したように)、眼鏡は完全に閉鎖される、すなわち、完全に黒に設定される。
【0037】
この制御は、極度のグレアのためにまたは眼鏡が黒く変わるために何も見えないということが重要ではなく、眼鏡が黒に変化した状態は、眼が保護され、暗さに適応した状態が維持されるという利点がある。
【0038】
一定時間の後、または眼鏡着用者の眼の向きが変化した後、眼鏡は徐々に明るくなっていく。
【0039】
眼鏡が眼鏡着用者の両眼用の2つの眼鏡レンズを有し、さらに個々の眼に当たる可視光の輝度を測定するために個々の眼鏡レンズ上に1つのアイセンサを有する場合、グレア抑制の制御はより一層正確になる。この場合、制御は、個々の眼鏡レンズの制御回路によって、それぞれの眼に対して個々に行われてよい。
【0040】
両眼の設定値が1%~60%だけ互いにずれている場合に、輝度/コントラスト範囲のゲインは、この眼鏡を使用することで達成される。実際に、一般的な左右の偏位の値は5%~30%である。ハイダイナミックレンジ(HDR)写真と同様に、この場合、「HDRビジョン」と呼ばれる場合がある。
【0041】
以前、該システムは理論上可能であったが、最近になってようやく、極めて高速の変調器および高速のプロセッサを利用することによって、該システムは、視覚向上のためにインテリジェントで安全性に関係したマルチチャネルリアルタイム制御システムとして実装可能になり、左右の眼が区別され、および/または複数のユーザをグループ用途に含むことができるようになった。
【0042】
これを確実に実現するためには、一方の眼に入射する可視光の輝度を制御する時に、他方の眼に入射する可視入射光の輝度の制御を考慮する必要がある。
【0043】
さらに、眼鏡は、眼鏡の眼側と反対側に配置された光源と組み合わされる場合がある。この場合、光源は、眼鏡着用者の視線方向に応じて適切に制御される。このようにして、グレアを回避するために眼鏡のシャッタを閉鎖することによる暗い状態を解消することができる。例えば、各々の眼の端に1つ、合計4つのLEDが考えられる。
【0044】
その後、アイトラッカーは、視線方向に応じて4つのLEDのうちのどのLEDが励起される必要があるか、つまり、外側、上方/下方の視線方向の1つのLEDのみ、または視線方向に対応する2つのLED、または真っ直ぐ前を見るときの4つ全てのLEDを決定する。
【0045】
さらに別の可能性:
【0046】
眼鏡の隅にしっかりと取り付けられた4つのLEDの代わりに、もしくは4つのLEDに加えて、任意の他の光源/ヘッドライトがアイトラッカーを用いて眼の方向に制御されてもよい。
【0047】
そのためには、これらのランプは、自動車用の電子枢動式カーブライトと同じように、または枢動式3軸監視カメラの場合に、または自由に移動可能なハンドヘルドシステムの場合に、電子機械的に枢動されてよく、これらのランプは、電子的もしくは質量支持ジンバル(ジンバルもしくはステディカム方法)によって制御されてよく、ジンバルは地球または着用者に対して安定した座標系を維持し、ヘッドランプはジンバルに対して視線方向に枢動することができる。
【0048】
したがって、全ての種類の支持体(自動車、ヘルメット、自転車、オートバイ、手、肩、身体、ライフルなどの)内にある全てのタイプのLEDヘッドライトが考えられる。
【0049】
これは、光源が液晶セルの高透過率状態の時間に発光することができるように光源の発光時間および光度が十分に制御される場合に、特に効果的である。この場合、高透過率状態の時間が変化する間、光源の光度と液晶セルの透過率との積の時間積分値は、所定の許容範囲内で一定に維持される必要がある。
【0050】
このような閃光光源は、例えば、自動車のヘッドランプとしてよい。ヘッドランプは、運転者のために一定の輝度で常に道路や周囲を照らし、その間、対向車によるグレアは眼鏡のシャッタを閉鎖することで効果的に防止される。しかし、本明細書で説明されている意味では、他のタイプのヘッドライト(例えば、自転車ランプ、ヘルメットランプ、懐中電灯)が使用されてもよい。
【0051】
これらの条件下では、パルス対ポーズ比がどのように調節されるかに関係なく、外部もしくは対向車のヘッドライトから検出される輝度は常に一定であるので、この自動車のヘッドライトは、交換する方式では容易に交換可能であり、専用アクセサリという意味では追加のヘッドライトの購入が可能である。
【0052】
最近になってようやく、高性能の白色光および/またはRGB LED/LASERを使用して、このように視覚向上のための高性能で安全なシステムの実現が可能になった。
【0053】
自動車のヘッドライトの他に、以下のものも光源として考えられる。
‐人、光学センサ、もしくはカメラを照らすための光源、および/または
‐眼鏡レンズの眼側と反対側のディスプレイ、および/または
‐眼鏡レンズの眼側のディスプレイ、および/または
‐ヘッドアップディスプレイ。
【0054】
例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コックピットのディスプレイなどは、眼鏡レンズの眼側と反対側のディスプレイと見なされてよい。
【0055】
例えば、「グーグルグラス(Google Glass)」もしくは「バーチャルリアリティ」(「拡張現実」)のディスプレイは、眼鏡レンズの眼側で使用されてよい。
【0056】
さまざまなディスプレイがヘッドアップディスプレイ(HUD)に含まれ、そのうちいくつかは眼鏡の眼側、いくつかは眼鏡の外側、例えば、ディスプレイ付きヘルメットの形態である。全てに共通しているのは、ディスプレイを通してものを見ることができるのであるが、ヘッドアップディスプレイは追加情報を表示するということである。
【0057】
これらの全てのディスプレイでは、上述したように日光または他の不快なグレア光源に向かった状態で読み取ることができる。
【0058】
該システムは、後述するように、自身の光の検出に使用されるシステムおよび方法と完全に組み合わされてよい。
【0059】
以下に、個々のプロセスステップについてより詳細に説明する。ステップは、必ずしも示されている順序で実行される必要はなく、記載されている方法は、示されていない別のステップを含んでもよい。
【0060】
さらに、上記目的は、少なくとも1つの眼に入射する可視光の輝度を制御する方法によって達成される。該方法は、
眼鏡が提供されるステップであって、眼鏡は、
1.1 少なくとも1つの眼鏡レンズであって、
1.2 透過率(TR)が適切な制御によって変更可能である液晶セル(LC)を有する少なくとも1つの眼鏡レンズと、
2. 眼の視線方向を決定するアイトラッカー(ET)とを備える、眼鏡が提供されるステップと
3. 入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)が提供されるステップであって、
3.1 少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、眼鏡レンズの眼側に配置され、
3.2 少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定し、
3.3 少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、
3.3.1 カメラ付き撮像システム、または
3.3.2 座標系全体を測定するための少なくとも3つのセンサ、または
3.3.3 複眼を備え、
3.4 少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、アイトラッカー(ET)によって決定された眼の視線方向から当たる可視光の輝度を測定する、少なくとも1つのセンサ(IL,IR)が提供されるステップと、
4. 液晶セル(LC)の透過率を制御するための閉ループ制御回路(MC)が提供されるステップであって、
4.1 眼の位置の輝度に対して設定値が予め設定され、
4.2 制御回路は眼の視線方向のセンサによって測定された輝度を実際値と見なす、閉ループ制御回路(MC)が提供されるステップと
を含む方法によって達成される。
表示装置の可読性の向上
【0061】
上記目的を達成するために、グレア抑制による視認性向上システムも提案されている。該システムは、
‐少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡であり、
‐少なくとも1つの眼鏡レンズであって、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを有する少なくとも1つの眼鏡レンズ
を有する眼鏡を備える。液晶セルは、液晶セルの透過率が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される。この点に関して、眼鏡はさらに、液晶セルの高透過率状態の時間を制御または調節するための対応手段を有する。
【0062】
さらに、眼鏡は、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサを有し、少なくとも1つのセンサは、眼鏡レンズの眼側に配置され、眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定する。
【0063】
閉ループ制御回路は、液晶セルの透過率を調節する。制御は、高透過率状態の時間がグレアの増大に伴って短くなるように設計される(パルス幅変調PWM)。設定値は、眼鏡着用者の眼の位置の輝度に設定され、制御回路はセンサによって測定された輝度を実際値と見なす。
【0064】
さらに、該システムは、ディスプレイと、液晶セルの高透過率状態の時間の間に発光するためにディスプレイの発光時間および光度を制御する手段とを備える。この場合、高透過率状態の時間が変化する間に、ディスプレイの光度と液晶セルの透過率との積の時間積分値は、許容範囲内で一定に維持される。
【0065】
例えば、周辺光の輝度が2倍になった場合、一方では、該システムは、液晶セルの高透過率状態の時間を2分の1にすることで対応し、グレアの増大は効果的に補償される。それと同時に、ディスプレイの発光時間は短くなり、光度は2倍になる。その結果、眼鏡着用者によって知覚されるディスプレイの輝度はそのまま変わらない。
【0066】
液晶セルの透過率を切り替えるプロセスおよびディスプレイをオンとオフで切り替えるプロセスのこれら全てのプロセスは、眼鏡着用者に対してグレアもしくは他の知覚効果が発生しないような周波数および速度で行われなければならない。つまり、着用者が知覚可能な効果の全ては、少なくとも24Hz、好ましくは、少なくとも60Hzでなければならない。
【0067】
特に、以下がディスプレイと見なされる。
‐眼鏡レンズの眼側と反対側のディスプレイ、および/または
‐眼鏡レンズの眼側のディスプレイ、および/または
‐ヘッドアップディスプレイ。
【0068】
スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コックピットのディスプレイなど、またはヘッドアップディスプレイ(HUD)は、眼鏡レンズの眼側と反対側のディスプレイと見なされてよい。
【0069】
例えば、「グーグルグラス」もしくは「バーチャルリアリティ」(「拡張現実」)は、眼鏡レンズの眼側のディスプレイとして使用されてよい。
【0070】
これらのディスプレイ全ては、強烈な日光放射の場合でも、または逆光のように日光からの直接のグレアが生じた場合でも、上述したように読み取ることができる。
【0071】
好ましくは、眼鏡は、眼の視線方向を決定することができるアイトラッカーを備える。この場合、少なくとも1つのセンサは、
‐カメラ付き撮像システム、または
‐座標系全体を測定するための少なくとも3つのセンサ、
‐複眼
を備える。
【0072】
電子複眼は、生物学において飛翔昆虫の複眼を説明するのに使用される用語「個眼」と同様の意味であるが、電気式フォトセンサから成る多くの個々の眼から成り、これらの個々の眼は、導光ファンネル(レンズ無し)の下端に再び位置決めされる、または個々に、前面のマイクロレンズと共に位置決めされる、または両方の組み合わせ(ファンネルおよびマイクロレンズ)で使用される(例えば、欧州特許第0813079(A2)号明細書を参照)。
【0073】
少なくとも1つのセンサは、アイトラッカーによって決定される眼の視線方向からの可視光の輝度を決定することができる。その後、制御回路は、眼の視線方向のセンサによって測定された輝度を実際値として使用する。
【0074】
この眼鏡を使用すれば、例えば、自動車の運転者が別の自動車に接近している場合に、運転者が対向車の方向を見ているか否かに関係なく、眼鏡着用者の実際の視線方向から来るグレアに対して、輝度を迅速にかつ正確に調整することができる。ディスプレイの表示は常に、眼鏡によって実行されるグレア抑制に合わせられるので、ディスプレイの可読性が低下することはない。
【0075】
さらに上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
符号化
【0076】
上記目的は、さらに、グレア抑制による視認性向上システムによって達成される。該システムは、
‐少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡であって、
‐少なくとも1つの眼鏡レンズを備え
‐少なくとも1つの眼鏡レンズは、その透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを備え、
‐液晶セルは、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、眼鏡を備える。
【0077】
さらに、眼鏡は、液晶セルの高透過率状態の時間を制御する手段を備える。
【0078】
さらに、該システムは、液晶セルの高透過率状態の時間の間に発光するように発光時間および光度を制御するもしくは調節する手段を有する光源を備える。光源の光度と液晶セルの透過率との積の時間積分値は、高透過率状態の時間が変化する間、許容範囲内で一定に維持される。
【0079】
液晶セルおよび光源の調節もしくは制御は、高透過率状態の時間の時間的位置が高透過率状態の時間および低透過率状態の時間の期間内で連続的にもしくは不連続的に変化することができるように設計される。および/または、高透過率状態の時間および低透過率状態の時間の期間は、連続的にもしくは不連続的に変化してよい。
【0080】
これらの変化は、秘密符号化鍵によって決定される。
【0081】
液晶セルの透過率を切り替えるプロセスおよび光源をオンとオフで切り替えるプロセスのこれら全てのプロセスは、眼鏡着用者に対してグレアもしくは他の知覚可能な効果が発生しないような周波数および速度で行われなければならない。つまり、着用者が知覚可能な効果の全ては、少なくとも24Hz、好ましくは、少なくとも60Hzでなければならない。
【0082】
このような符号化は、特に、軍事治安部門(警察、消防隊など)において、広範囲の可能性を生み出す。この符号化により、符号化鍵を持たない人は誰も、例えば、光源によるグレアを解消するのが難しくなる。
【0083】
さらに、符号化により、特に、極めて同様のシステム全体(バイザーおよび光源)を有する外部ユーザが同じ空間領域で夜間に活動的である場合に、さまざまなグループ(敵であろうと、同じタスクを担った他のチームであろうと)が符号化された光源によってそれぞれ個々の秘密排他的ビューを受信することが可能になる。
【0084】
グレア抑制の自動制御のために、眼鏡は、好ましくは、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサを有する。センサは、眼鏡レンズの眼側に配置され、少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定する。さらに、眼鏡は、輝度の増加に伴って高透過率状態の時間が短くなるように(パルス幅変調、PWM)、液晶セルの透過率を制御するための閉ループ制御回路を備える。眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して、設定値が予め設定され、制御ループはセンサによって測定された輝度を実際値と見なす。
【0085】
少なくとも1つのセンサがカメラ付き撮像システム、または座標系全体にわたって測定する少なくとも3つのセンサ、または複眼を有する場合に、グレア抑制の精度は増す可能性がある。一方、眼鏡はさらに、眼の視線方向を決定することができるアイトラッカーを有する。これは、少なくとも1つのセンサが、アイトラッカーによって決定された眼の視線方向から入射する可視光の輝度を決定することができるためである。また制御ループは、眼の視線方向のセンサによって測定された輝度を実際値と見なすことができる。このことは、実際のグレアを非常に厳密に抑制することにつながるのは明らかである。
【0086】
光源または追加の第2の光源が、生物、光センサ、もしくはカメラを眩惑させるのに適しているか否かは、安全用途では特に重要である。例えば、光源は、暗視装置を眩惑させるのに適しているかもしれないが、例えば、赤外光源から、すでに低強度になっている場合がある。軍事用暗視システムは、輝度の増加に伴って機能しなくなる。これは、非常に感度の高い受信機/残光増幅器が一定の輝度で「限度を超える」、すなわち、光量が多すぎる場合に機能しなくなるためである。
【0087】
第2の光源はさらに、液晶セルの低透過率状態の時間の間だけ発光する必要があるのは明らかである。このことにより、自身の眼は眩むことはなく、犯人もしくは敵の眼を眩ますことができる。
【0088】
さらに上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
グレア兵器
【0089】
上記目的は、生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるシステムによって達成される。
‐該システムは、少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡を備え、眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを備え、液晶セルは、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される。さらに、液晶セルの高透過率状態の時間を制御する手段が存在する。
‐さらに、該システムは、生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させる光源、または液晶セルの低透過率状態の間に発光する光源を有する。
【0090】
該システムの大きな利点は、光源を利用することによって、例えば、犯人もしくは敵の目を眩ますことができるが、光源は眼鏡内の液晶セルが光を遮断する時のみに発光するので、眼鏡着用者は目が眩まないという点である。
【0091】
さらに、目が眩んだ人もしくは眩惑されるシステムは、反射スクリーン(例えば、自動車内の)もしくは不規則に反射する物体の裏側に位置してよい、または、グレアを故意に発射側に返すために意図的に鏡を使用してよい。現在の最新の技術によれば、その場合グレア兵器の操作者は、保護されず、反射によって自身の光によって健康を害する可能性がある。さらに、現在の最新の技術によれば、操作者の右側もしくは左側にいる同じ特別部隊のチームのメンバーも反射によって目が眩む可能性がある。これは、グレア兵器の不注意かつ不用意な操作の場合にも言えることである。提案されるシステムは、これらのリスクを排除するものである。
【0092】
例えば、光源は、暗視装置を眩惑させるのに適している可能性があるが、例えば、赤外光源から、すでに低強度にされている場合がある。軍事用暗視システムは、輝度の増加に伴って機能しなくなる。これは、非常に感度の高い受信機/残光増幅器が一定の輝度で「過変調」になる、すなわち、光量が多すぎる場合に機能しなくなるためである。
【0093】
このようなグレア兵器は、「ダズラー」と呼ばれる場合も多く、レーザを使用するものは、「レーザダズラー」とも呼ばれる。
【0094】
セキュリティタスクにおいて、敵の目を眩ますだけでなく、特に、例えば、暗闇の中で、人の向きをより十分に確認できるように自身のスポットライトで現場を照らしたい場合、ダズラーの非常に明るい光がスポットライト自身の光を減衰させてしまい、スポットライトが遠方で十分に見えなくなる、すなわち特に、目が眩んだ特定の人もしくは眩惑されたシステムの反射行動変化(降伏、停止、後退、向き変更など)もしくは一般的なデータ収集(車のナンバープレートの読み取りなど)は、フェージングのために十分に観察できなくなるという問題がある。
【0095】
さらに、例えば、景色の疑わしい変化を検出する(環境の能動的監視)ためにヘッドライトが、眼が眩んだ状態の敵の周囲を照らした時に、フェージングは非常にまぶしくなることが多いので、目が眩んだ人もしくは眩惑されるシステムの環境さえも十分に見えなくしてしまう。
【0096】
この状況を克服するために、該システムは、第2の光源と、液晶セルの高透過率状態の時間の間に発光するように第2の光源の発光時間および光度を制御もしくは調節する手段とを備える。
【0097】
この解決策により、システムのユーザは、敵の目が眩んでいる間に自身のいる現場を照らすことができる。第2の光源は、液晶セルが光を透過する時間の間に発光する。眩惑光源は、液晶セルが光を遮断する相補的時間でのみ発光する。システムのユーザは、グレア兵器によって眩惑されず、スポットライトを使用して景色を照らして調査することができる。
【0098】
別のオプションでは、第2の光源はディスプレイとすることも考えられる。この場合、システムのユーザは、敵を眩惑させると同時に、影響を受けていない機器自身のディスプレイからの情報を読み取ることができる。
【0099】
敵が(a)グレア兵器の発光時間を同等のシステムと同期させて、これらの時間の間に液晶セルを遮断に切り替える(シナリオA)のを防ぐ、もしくは少なくとも切り替えるのを難しくするために、さらにもっと深刻な場合、(b)グレア兵器がオフであっても、発射側の人の眼鏡が開放状態であり、このタイムスロットの間に発射側の人が自身のグレア兵器によって眩惑される可能性があると敵が推測するのを防ぐ、もしくは少なくとも推測しにくくするために、液晶セルおよびグレア兵器の光源の制御もしくは調節は、高透過率状態の時間の時間的位置が高透過率状態の時間および低透過率状態の時間の期間内で連続的にもしくは不連続的に変化する(位相ホッピング)ことができるように設計される。あるいは、高透過率状態および低透過率状態の期間は、連続的にもしくは突然に変化してよい(周波数ホッピング)。この場合、重要なのは、これらの変化は秘密符号化鍵によって決定されるということである。いずれのパターンも容易に認識可能な形で周期的に繰り返されるべきではない。
【0100】
敵のグレアからの自己防衛(シナリオA)は、十分に反応の速いシステムの場合に(技術的兵器と同等の意味で)、敵は主に、グレア兵器の「立下り」を推測するだけであるので(=不完全な知識/情報の非対称性)、符号化によって確実に行われるものではなく、システムは、特に、パルスパターンが符号化によって同期的かつ相補的なパターンでなくなるが、「非論理的にジャンプする」場合に、絶えず安全な状態で(最大エネルギーで)眼鏡の開放状態のタイムスロット全てでシステム自身の(対向する)グレア兵器で発射することはできない、つまり、特に、100Hzのシステムは1秒当たり少なくとも100のタイムスロットを有し、全ての人がこの「論理的一貫性」を使用する必要があるわけではないので、閃光兵器の短時間のドロップアウト(光の立下り)は、その後に発射側の人の眼鏡が開放状態になるということを必ずしも意味するものではない。
【0101】
さらに、レーザダズラーはランプと一緒になって、(特に、レーザおよびLEDランプは極めて速く、例えば、LCシャッタの100倍速く、つまり100Hzではなく10kHzに変調される場合があるので)、単なる1サイクルごとのホッピング「ドロップアウト」もしくは「光パルス」以上のものを発生させる場合がある。このことは、特に、「ドロップアウト」もしくは「光パルス」のいずれかが眼鏡の同期開放につながるとは限らない場合に、必然的に、敵をだまし、混乱させることにつながる。「公的に伝送される情報」(グレア兵器のドロップアウトもしくはスポットライトのパルス)には眼鏡(もしくはセンサ)の開放時間と正確な論理的関連性がなくなるので、上述の秘密符号化は、「システム上で」適用されてもよい
【0102】
該システムは、好ましくは、後述のさまざまな人の姿を色符号化する色符号化システムおよび方法と組み合わされてよい。
【0103】
上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
自身の光の検出
【0104】
上記目的は、さらに、少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡を使用したグレア抑制による視認性向上システムによって達成される。眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを有する。液晶セルは、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される。
【0105】
該システムはさらに、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサを有し、少なくとも1つのセンサは、眼鏡レンズの眼側と反対側に配置されるのが好ましい。
【0106】
さらに、該システムは、液晶セルの透過率を制御するための閉ループ制御回路を備え、眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して設定値が予め設定され、制御回路は少なくとも1つのセンサによって測定された輝度を実際値と見なす。この場合、調節もしくは制御は、グレアの増加に伴って高透過率状態の時間が短くなるように設計される。
【0107】
最後に、該システムはさらに光源を含み、光源は、液晶セルの高透過率状態の時間の間に発光するように発光時間および光度を制御するもしくは調節する手段を有する。光源の光度と液晶セルの透過率との積の時間積分値は、高透過率状態の時間が変化する間許容範囲内で一定に維持される。
【0108】
少なくとも1つのセンサによって検出される光の原因、すなわち、眩惑光源のような外部光源からの光であるのか、自身の光源からの光であるのかを識別するためには、少なくとも1つのセンサが低透過率状態の時間の間だけ入射する可視光の輝度を検出することが重要である。そのことにより、測定された輝度は外部光源からの光の輝度のみとわかるので、望ましい識別が可能になる。
【0109】
該システムは、自身の光源による眩惑を防ぐものである。
【0110】
該システムは、アイトラッカーを使用してグレアを抑制するための上記システムおよび方法と完全に組み合わされてよい。
【0111】
上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
RGB符号化
【0112】
上記目的はさらに、複数の眼鏡着用者の視野内の物体を色識別するシステムによって達成される。該システムは、少なくとも1つの眼を有する眼鏡着用者1人につき1組の眼鏡を備える。眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、少なくとも1つの眼鏡レンズはそれぞれ、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを有する。液晶セルは、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される。
【0113】
該システムは、個々の液晶セルが異なる時間に高透過率状態に設定されるように、液晶セルの高透過率状態の時間を制御もしくは調節する手段を備える。
【0114】
該システムでは、それぞれの眼鏡枠は、RGB光源を有し、さらに
‐第1の眼鏡着用者のRGB光源は、眼鏡の液晶セル(LC)の高透過率状態の時間(Ton)に第1の色で発光し、
‐第2の眼鏡着用者のRGB光源は、眼鏡の液晶セル(LC)の高透過率状態の時間(Ton)に第1の色とは異なる第2の色で発光するように、
RGB光源の発光時間、色、強度を制御もしくは調節する手段を有する。
【0115】
このように、複数の人が参加するグループ用途では、個々の参加者の視野の中で、人もしくは物体の色符号化が実行される場合があり、色符号化はその参加者のみに見えて、他の人には見えない。
【0116】
例えば、RGB光源が白色光を生成するのに適するように設計される場合、この光は、例えば、速い時系列で出力される赤色、緑色、および青色の光パルスに分解されてよい。これらの光パルスのうちの1つのみが参加者の液晶セルの高透過率状態の時間に入射される場合、参加者にはこの光パルスの色のみが見える。外部の人は、特に、シャッタ眼鏡を着用していない人は、この光を白色として知覚することになる。
【0117】
液晶セルの高透過率状態の時間が互いに同期されているグループのメンバーには、同じ色に見える。液晶セルの開放時間が異なる別のグループのメンバーには、異なる色に見える。
【0118】
色符号化が眼鏡を着用していない第三者もしくは外部の人に対して秘密もしくは不可視な状態であるために、時間依存的に透過される必要がある色は、眼鏡を着用していない人には白色の印象を与えるように、個々の眼鏡の低透過率状態の時間の間に、対応するRGB光源から発光される。
【0119】
少なくとも減衰された他の参加者もしくはグループのカラーマークのようなものを見るために、第1の眼鏡着用者の液晶セルは、第2の眼鏡着用者の高透過率状態の時間の間、低いが0ではない透過率を与えることができる。
【0120】
したがって、色符号化は、赤色、緑色、および青色の主な3色のみではなく、赤色、緑色、および青色から混合された任意の色で行われてよい。第1の眼鏡着用者のRGB光源が眼鏡の液晶セルの高透過率状態の時間に発光する時の色を自由に規定するために、液晶セルの高透過率状態の時間にRGB光源の主な個々の色の色成分の0%~100%の任意の強度値が追加されてよい。対応する液晶セルの低透過率状態の時間の間は、RGB光源の主な3色それぞれに対して、最大で100%の強度不足の光が放射される。
【0121】
この秘密カラーマーキングは、上述のグレア兵器と完全に組み合わされてよい。
【0122】
さらに、該システムは、上述のアイトラッカーを用いたグレア抑制システムおよび方法と完全に組み合わされてよい。
【0123】
同じことが、使用可能な色コードが敵によって検出されるのを防ぐ符号化鍵を用いた上述の符号化についても言える。
【0124】
該システムはさらに、表示機器の視認性向上システムおよび方法と組み合わされてよい。
【0125】
上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
空間的印象の向上
【0126】
上記目的は、物体の空間的印象を向上させるシステムによって達成される。該システムは、少なくとも右眼および左眼の両眼を有する着用者用の眼鏡を含む。眼鏡は、両眼のそれぞれの眼の前に眼鏡レンズを有し、眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを有する。液晶セルは、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間でそれぞれ、切り替え可能であるように設計される。眼鏡はさらに、液晶セルの高透過率状態の時間を制御もしくは調節する手段を有する。
【0127】
さらに、該システムは、それぞれ片方の眼に割り当てられる2つの光源を備え、光源のステレオベースは眼の間隔より長い。さらに、光源の発光時間を制御もしくは調節する手段が存在し、
‐右眼に関連付けられた光源は、右眼の液晶セルの高透過率状態の時間の間に発光し、
‐左眼に関連付けられた光源は発光せず、左眼の液晶セルは低透過率に設定される。その逆も同様である。
【0128】
この方法により、より十分な3D空間知覚が可能になる。これは、技術文献では、物体の裏側を十分に見ることはできないので、3Dは「2.5D」とも呼ばれる。物体は、より長いステレオベースから照らされ、この照明は右眼および左眼それぞれによって知覚される。このことにより、瞳孔距離が2つの光源間の距離と同程度になるという見掛け上の光学的効果が得られ、深さ分解能が向上する。
【0129】
RGB信号が2つのスポットライトそれぞれから別々に発せられるので、第三者は常に白色光を見るが、特定の色は眼鏡を通して対応する時間選択のTon時間の間で両眼それぞれに見えるということは、物体に、例えば、補色シーム(例えば、右側に赤色のフリンジ、左側に青色のフリンジ)を施すことができるということである。
【0130】
基本的に、以下の説明では、ステレオベースの延長による物理的空間的投影と、人の知覚のみに基づく視覚効果もしくは視覚強調(例えば、視覚のシステム理論的伝送チャネルによって説明される(文献:Systemtheorie der visuellen Wahrnehmung(Gert Hauske工学博士、ミュンヘン工科大学、Teubner Verlag、Stuttgart、1994年))とが区別される必要がある。
【0131】
補色空間(例えば、右に赤色、左に青色)を有する物体は、特に、背景が遠いもしくは背景が無い(景色が無い物体の)場合に、視覚的に幾分目立つ場合がある。
【0132】
空間的印象をさらに向上させること、もしくは光を背景として少なくともより明確に知覚できるようにすることは、2つの光源が人の眼で知覚可能な所定の周波数で振幅変調された場合に可能になる。
【0133】
これは、光を背景(同相および異相)とした場合の単純な視覚「閃光ハイライト」(a)から、空間的印象を向上させるような意図的な視覚効果、例えば、プルフリッヒ効果(特に、夜の逆位相)に至るまで、さまざまな視覚を実現するのに使用されてよい。
【0134】
上述の閃光(a)は、日中もしくは夕方に、特に、物体の2つの異なるフリンジの色(右に赤色、左に緑色)が交互に閃光することを想定する場合に、比較的明るい背景の前で照らされている物体の一時的な輝度変化がコントラスト強調もしくは輪郭強調として知覚されるという利点を有する。日中に閃光する方法は、特に、ここで説明されている配置の場合に、輝度のわずかな差を見やすくするための良い方法である。
【0135】
さらに、特に、夕方もしくは夜に、逆位相の閃光(b)および伝送チャネルの他の適切な効果(「HDRビジョン」の場合のように右のLCもしくは左のLCをより暗くする、もしくは伝送チャネルで伝送される光の量を少なくする)では、一方の画像もしくは両方の画像の「正面のチャネルで知覚されるランタイム」(上述のGert Hauske工学博士の文献参照)は、プルフリッヒ効果が引き起こされるように延長される。
【0136】
このシステムは、上述の色符号化と容易に組み合わせることができる。
【0137】
補色空間(右に赤色、左に青色)の代わりに、「不可視色符号化」の節で上述したように、特定の原色(例えば、赤色)の左右の変化が使用される場合がある。チームのユーザ1には右の色のフリンジは鮮やかな赤色、左のフリンジは暗赤色(および他の同様の色)に見えるが、チームのユーザ2は、物体の右の色のフリンジは薄緑色で左のフリンジは暗緑色に見える。
【0138】
さらに、特に、より遠い背景もしくは自由場の無限背景の前に物体がある場合、ステレオベースがより広くなるためのすでにハイライトが存在するので、常に白色光が強調のたに追加されてよい。
【0139】
該システムはさらに、表示機器の可読性を向上させ、アイトラッカーを用いてグレアを抑制するためのシステムおよび方法と組み合わされてよい。
【0140】
最後に、該システムはさらに、後述するように、バックライトの空間分離(LIDAR)システムおよび方法と組み合わされてよい。
【0141】
上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
LIDAR
【0142】
上記目的はさらに、グレア抑制によって観察される空間領域の視野を改善するためのシステムによって達成される。該システムは、少なくとも1つの眼鏡レンズを有する眼鏡を備え、少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率が適切な制御によって変更可能な液晶セルを有する。液晶セルは、液晶セルの透過率を高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される。該システムはさらに、液晶セルの高透過率状態の時間を制御する手段を備える。
【0143】
該システムはさらに、光パルスを発するパルス光源を含む。光源は、光源の光が眼鏡着用者の視線方向の空間観察領域を横断するのに必要な時間より短い時間間隔を有する光パルスを発生させるように設計される。
【0144】
眼鏡はさらに、液晶セルの高透過率状態の時間を制御もしくは調節する手段を備え、この手段は、観察される空間領域からの光パルスの後方散乱信号のみが液晶セルによって透過されるように、液晶セルの高透過率状態の時間を一時的に設定することができる。
【0145】
このようにして、LIDAR(光検出と測距(Light Detection And Ranging))として既知であるレーザを使用した測定方法と同様の効果が得られる。眼鏡着用者は、眼鏡の制御によって遮断された空間領域からのみバックライトを見る。このように、ヘッドライト(例えば、自動車のヘッドライト)の前で直接発生する霧、雪片、もしく雨滴による通常の散乱光は、避けられる。
【0146】
液晶セルの切り替え時間を長くするために、特定の状況下で、液晶セルの面積を低減するのが望ましい。必要に応じて、単純な眼鏡レンズから2つのコレクタレンズの組み合わせ(できる限り短い焦点距離に液晶セルが配置される)への移行が必要である。
【0147】
さらに、光の速度の時間範囲で非常に迅速な切り替え条件を達成するために、特殊な液晶セル、例えば、表面安定化強誘電性液晶セル(FLC)が使用されてもよい。
【0148】
該システムは、グレア抑制およびディスプレイの安定した可読性を実現するために上述のシステムおよび方法と完全に組み合わされてよい。
【0149】
同じことが、空間視野の拡大についても言える。これは、運転時の安全性を増すのに役立つ場合がある。
上記目的は、上述のシステムの原理に従う操作に対応した方法によって達成される。
【0150】
さらなる詳細および特徴は、従属請求項と併せて、好適な例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。この場合、個々の特徴は、単独で、もしくは複数の組み合わせで実施されてよい。問題を解決することができるのは、例示的な実施形態に限定されない。したがって、例えば、範囲データは、中間値(示されていない)、および考えられる全ての部分区間を含む。
アイトラッカーを備えたインテリジェント眼鏡
【0151】
上述の問題の全ては、液晶セルLCの形態の少なくとも1つの眼鏡レンズと、閉ループリアルタイムPID制御回路とから成るが、2つの完全に独立した上述のタイプの眼鏡レンズおよび制御回路から成るのが好ましい「インテリジェント眼鏡」によって解決される。液晶セルの透過率は、高透過率状態と低透過率状態との間で切り替えることができるように最適な制御によって変更可能であり、そのことによってシャッタ効果を実現することができる。これが十分に迅速に行われた場合に、人の視覚の慣性に基づいて、それぞれの眼の視覚的印象を変化させることができる。
【0152】
閉ループ制御回路を実装するためには、眼の方向にシャッタを通して見ることができ、その結果、「実輝度」を測定することができるように、少なくとも1つのフォトセンサが1つの眼ごとに「内側に」配置されなければならない。実輝度は、制御の「実際値」としての役割を果たす。
【0153】
技術的事実に基づいて、時間軸上の離散的(2点間)実際値と積分結果が全シャッタサイクルTにわたって区別されなければならないので、シャッタによって測定された上述の実輝度値に対して定義コメントが作成される必要がある。つまり、
(1)実際に、現在利用可能なフォトセンサは、光学測定ヘッドを備えたデジタル・ストレージ・オスロスコープと同じ様に、非常に素早く読み取りが可能であるので、シャッタを通過する光強度を逐点法に基づいて時間軸上で測定することができ(例えば、マイクロ秒範囲のサンプリング周波数によって)、したがって、離散的実際値曲線をマイクロコントローラの揮発性メモリに記憶することができる。このプロセスでは、パルス幅変調(PWM)サイクルT内のシャッタが開放されている時間(Tonもしくは透明)とシャッタが閉鎖されている時間(Toffもしくは不透明)とを正確に見分けることができる。例えば、シャッタシステムが100Hzの基本周波数で動作している場合、一過性メモリの深さは1/100Hz=10ミリ秒(ms)である。サイクルの終わりに、マイクロコントローラは、この輝度プロファイルによって純粋に数学的に積分値を求めることができ、サイクルの「実際値」を提供することができる。
(2)一方、ちょうどサイクルTの終わりに、数学的平均化を行わなくてもマイクロコントローラが読み取ることができる測定結果が得られるように、同じフォトセンサが、物理的かつ電子的に、もしくは全サイクルT、すなわち、上述の10ミリ秒にわたる切り替え技術に対して積分動作してもよい。本発明では、フォトセンサは、実際値を測定するのに使用され、迅速な2点間/離散測定を可能にする。誤解を避けるために、特に、人は、実際に、単に時間比率がTonからToffに移る場合でも、同様に濃淡値を知覚するだけであるので、用語「実際値」は、本文では、「濃淡値」(サイクルT全体の平均輝度)がサイクル時間Tで変換もしくは積分される時に使用されるのが一般的である。
【0154】
したがって、フォトセンサは効果的に眼の役割を果たして、ランダムな外側の輝度だけでなく、眼に入る光の「実輝度」を測定する。濃淡値は眼の中でのみ、もしくは人の知覚の中でのみ生成されるが、眼鏡レンズは、実際には、濃淡値を認識することはないので、眼はオン・オフ・キーイングPWMでローパスとして使用される。厳密に言えば、上述の実際値の積分シナリオ(1および2)と同じように、濃淡値に達するまでマイクロコントローラおよび/またはフォトセンサを積分動作させることによって、第3のシナリオが定義される場合がある。濃淡値は、(例えば、約250~500ミリ秒にわたって積分した後に)人は濃淡値として知覚することができる。この知覚可能な実際値を使用する場合、本文では、通常別々に示されている。
【0155】
フォトセンサもしくは輝度センサは、LCセルから一定の距離(典型的には、1~3mm)離れた位置にあるので、LC面積は、実際には、LCの開放角度のため、センサのチップ面積より大きいと考えられる。このことにより、輝度の平均化がより良好になり、点の「LCドメイン形成」の場合、もしくはLCセルの反対側の点の汚れの場合に、より正確/安定した測定が可能になる。いずれにせよ、安全性の理由および熱的理由から、外側保護ガラスを設けるのが適切であり、保護ガラスは、LCセルの前1~3mm離れた距離にある眼鏡の外側のデザインを構成する。したがって、このような点の汚れ(小さいハエ、塵粒子など)がLCに影響を及ぼすことはなくなり、確実にフォトセンサに影響を及ぼすことはなくなる。さらに、内部フォトセンサ(フォトセンサが従来式のものである場合、不透明のフォトセンサ)は、外側LCエッジ領域もしくは眼鏡フレーム領域に用いられるので、視野を妨げることはない。
【0156】
しかし、LCシャッタの中心の実輝度値をできる限り正確に決定することができるように、1つの眼に対して少なくとも2つ、好ましくは3つのフォトセンサが、直視した場合の瞳孔の統計的中心で使用される。例えば、フォトセンサは、三角形になるように配置され、その角部に、瞳孔の統計的局所平均値がくるようになり、局所平均値は、通常、直視した時の視点と一致する(すなわち、斜視でない人の視点と一致する)。その後、三角測量計算によって、この静的局所平均値もしくは直視に対する平均輝度が計算され、制御の「実際値」として使用されてよい。
【0157】
さらに、1つの眼に対して複数の内部フォトセンサを有するということは、この冗長性により、汚れが生じた場合、もしくは強い点状(punctual)の光が入射する(例えば、3つのフォトセンサのうちの1つのみにランダムな光が反射する)場合でも、測定の信頼性が維持されるという利点を有する
【0158】
一種のポテンショメータもしくは同様の「調節器」によって、最初に予め設定される「設定点」は、比較的強いサングラス(例えば、保護レベルIII(S3、8~18%透過率))と同様の暗さに目が常に適応した状態で絶えず維持されるように制御が必要である
【0159】
制御回路は、制御プロセスが人の眼によって知覚されることがないほどに非常に迅速に動作するものでなければならないので、輝度が外側でどんなに変化しても、眼に届く光の輝度は常に(設定値に対して)一定である。
【0160】
これは、いわゆるリアルタイム制御ループであり、いわゆるデルタ(制御偏差)、すなわち、設定値と実際値との差は、リトラクト状態では常に0である(正確なPIDパラメータ化)。
【0161】
しかし、このような制御は、眼鏡が外側からの光に対して完全に遮光状態である場合のみ正常に動作する。したがって、眼鏡ケースは、ダイビング用ゴーグル、スキー用ゴーグル、もしくは、スイミング用ゴーグルスタイルの柔らかい防塵遮光アイカップ付きのぴったりした安全ゴーグル、もしくは幅広のサイドバー付きで上下の光から保護する大きいゴーグルと同様の形である。電気ポテンショメータもしくは同様の調節器を使用することにより、眼鏡着用者の瞳孔は、(a)日光の下でゆっくりと開き、さらに通常の直径より大きい75%になるまで縦長に「変化」し、(b)リアルタイム制御により、この直径のまま動かずに維持されるので、外側の輝度がどんなに変化しても、疑似的に「緩やかに抑制」される。
【0162】
これは、それぞれの眼に対して別々に行われるが、起動ルーチンにおいて、それぞれの眼は同じ設定値(例えば、右眼(R)および左眼(L)に対して100lx)に設定されてよい。実際には、設定値R、Lは、比較的ゆっくりと(例えば、輝度の制御に比べて2~100倍遅く)変化し、さらに意図的にわずかな差の影響を受けるようにする(例えば、左は10%を超える透過率、右は10%未満の透過率)。その理由について、以下で説明する。
【0163】
1つの眼に対する少なくとも1つのセンサ(OL、OR)は、時間平均で日光の状態を大雑把に、比較的ゆっくりと(例えば、1~2秒間で)検出し、晴れた日であるか、曇りの日であるか、もしくは室内環境であるかを決定する。これは、日中の動的スコープが100lx~100,000lx(すなわち、10,000倍)の範囲に及ぶが、単純なLCセルは1000倍~5000倍(コントラスト比)のみを有するので、必要である。LCセルの「動作点」は、外部センサによって決定された可変設定値(晴れた日、曇りの日など)を使用して、(例えば、眼の位置で最初が100lxから300lxの非常に晴れた日に)スイッチが入れられた時の起動ルーチンの際に、正確な範囲にシフトされる。
【0164】
外部センサによって開始されるこの設定値はさらに、コントローラがそれより低いもしくは高い値で停止する時に、迅速かつ動的に変化する、すなわち、LCセルの制御変数および透過率の値はこれ以上増加しないので(すなわち、最後までずっと)、制御偏差は0になることはなくなる。
【0165】
眼を永久的に暗さに適応した状態で維持するのが目的であるので、通常は、このようにすべきでない。しかし、照明状態が全く変化し、特定の方向のコントローラ停止(LCの完全なオンもしくは完全なオフ)に達する直前に、電子的に記憶されている経験値ならびに外部センサおよび内部センサからの情報を考慮に入れた場合、設定値は、コントローラが「制御モード」の状態のままを維持し、実際にこの停止にならないように変化する。すなわち、設定値の応答は、最も広い意味で対数的もしくは同様に非線形的であるが、透過される輝度が増加するために(例えば、日光を直接見た時に)、虹彩は緩やかに制御された形で閉じることができる。しかし、このように動的スコープの拡大に合わせて設定値を調節するのは、まれな除外的な場合にのみ行われるべきである。つまり、通常の操作では、虹彩は比較的一定の暗い値(例えば、通常の直径より75%大きい)に設定されているので、すでに暗さに適応した眼は暗い部屋に入った時にすぐに(すなわち、1ミリ秒内で)見える状態になる。
【0166】
さらに、2つの設定値(L、R)は、わずかな差があり、例えば、左側の透過率が右側の透過率より5%~30%高く、その結果、知覚がわずかに異なる2つの画像からより高いコントラスト範囲(写真からHDR=「高ダイナミックレンジ」として知られており、2つの別々に露光された写真が互いにコピーされる)を有する画像を脳が再び形成することができる。必要条件は、コントラスト差は大きくすぎない、つまり、コントラスト差は人が感知できない程度、例えば、1%~60%、好ましくは5%~30%で維持するということである。30%より高い値も除外されないが、この場合、より短い時間表示されることによって、それでも脳は気付かないうちに広いコントラスト範囲の新しい画像を作成することができる。したがって、人の知覚は、インテリジェント・ソフトウェア・アルゴリズムの使用に影響を受ける。
【0167】
さらに、いわゆる「ウェアラブル技術」およびスマートフォンによく見られるように、例えば、急な移動の際に、輝度差が自動的に低減され、さらには解消されて、例えば、望ましくない効果(例えば、プルフリッヒ効果もしくは他の知覚可能なアーチファクト)を防ぐことができるように、眼鏡に傾斜センサおよび加速度センサが眼鏡に統合されてもよい。
【0168】
このタイプの電子制御の最も高度かつ最も複雑な形態は、「Swinging Flashlight Test(交互対光反射試験)」(SWIFT)のような照明状態で左右対側瞳孔アフィニティを考慮するものである。これは、視神経交叉および脳の下部で左右交差神経信号交換により生理学的に行われる。具体的には、つまり、両方の眼に対して全く同じ電子設定値(L=R=定数)で対側瞳孔アフィニティの非対称性のない健康な人の場合に、輝度は両方の眼で常に一定であるので、ニューロンの刺激は交差するように交換されない(例えば、相対性瞳孔求心路障害RAPDの場合のように)ということである。この効果を利用する方法は3つある。
(1)同じ公称値(R=L=定数)の一方のチャネル(LもしくはR)の増大した制御信号(例えば、暗さが強められた)は、非対称照明状態(例えば、関連チャネル上の過度の屋外の光)を信号伝達する。このチャネルのマイクロコントローラは、他方のマイクロコントローラもしくは他のチャネルのステートマシンと通信し、照らされている側のほぼ到達するもしくは通過したチャネルが開放される。
(2)HDR差モードの意図的な操作により、チャネルをより明るく(より透明に)切り替えることができ、特に、非常に速く、周囲が非常に透明に(Δt、比較的高いΔT)切り替えられた場合、他方のチャネルの対側瞳孔が収縮する。この効果(補償=負のフィードバック、または必要に応じて、増幅=正のフィードバック)を考慮に入れるために、他方の眼の視覚が向上するように他方のチャネルは緩やかにかつ適切に制御されるが、元々影響を受けていたチャネルには新たに反対側伝達されることはない。そのためには、システムが両方の瞳孔および両方のソフトウェア制御のチャネルによってスキャンされないように減衰が行われる。外部光の状態、2つのコントローラの作動点、個々のチャネルにおける過渡/照明変化(例えば、晴れた日、曇りの日、制御停止に近い)、およびコントローラ間の差が考慮に入れられる。
(3)医学的適用および精神病理学的適用
(a)相対性瞳孔求心路障害(RAPD)の患者に対して、患者の左右瞳孔の挙動パターンをマイクロコントローラのソフトウェアに記憶することができ、そのことにより、上述の2つのモード(1および2)での操作中に、知覚される輝度が常に一定になる、もしくは特定の所望の値と一致するように、正確なLC透過率が考慮に入れられる。
(b)医学的に規定された左右視覚訓練(例えば、脳卒中後)している患者に対して、一定の時間的パターンに基づいて片方を交互に暗くしたり明るくしたりすることができる。
(c)ストレスの多い状況にある救急隊員(例えば、活動中の兵士)は、アドレナリン濃度が急増し、そのため、通常、瞳孔が大きく開いているが、彼らに対して、ソフトウェアは、指示を受けた時に(重要)、わずかに光を減少させる(わずかに暗くする)ことで透過率を低下させる。明るい中で視覚快適性は向上する。
【0169】
この内部フォトセルは、少なくとも2倍、さらには3倍になっている。このことは、(上述したように)最も可能性の高い瞳孔位置の平均輝度を計算するだけでなく、安全性の理由から役に立つ。例えば、ソフトウェアは、論理比較により(例えば、2つのセンサは同じ輝度を示し、1つのセンサのみが全く輝度を示さない)特定のフォトセンサの汚れもしくは欠陥を認識することができ、結果として、機能している2つのフォトセンサのみを考慮に入れることができる。
【0170】
そのためには、ソフトウェアは、永久的に計算を行うコントローラコンポーネント以外に、純粋に論理的な安全ルーチン(別のステートマシン)を含み、この安全ルーチンはコントローラと並行して絶えず眼鏡の機能を保証する。(この点に関して、このタイプの最も耐故障性の眼鏡は、自動車向けであるが、ASIL基準に準拠したデュアルコアもしくはトリプルコアのプロセッサであり、ハードウェアおよびソフトウェアの両方のエラーを検査するプロセッサであることに留意されたい。)
単純なタイプのアイトラッカー
【0171】
上述の人の眼をシミュレートするフォトセンサタイプもしくはカメラタイプと同様に、眼を観察する第2のセンサが、このセンサが設置される眼鏡の内側に配置される。これは、例えば、上記フォトセンサの背面もしくはフォトセンサからわずかにずらして取り付けられてよい。種々のタイプのセンサ、例えば、比較的単純で安価なフォトセンサ、もしくはCCDセンサ、もしくは高解像度撮像システムが使用されてよい。最も単純な例では、視線方向が大雑把に検出されるのみである。特に、眼の左右の動きは、符号化赤外線ライトバリアを使用して、眼の白い部分(強膜)でさえ、容易に検出することができる。赤外光は、眼に知覚されないが、視線方向に応じてさまざまな形で反射される。IR光源の符号化が必要であるので、他の光源との混同や受光側での反射もない。この符号化は、最も単純な例では周期的としてよい(例えば、既知の周波数および位相位置を有する10kHzの矩形パルス)。位相検波器(PSD、ボックスカー増幅器としても既知である)は、他のIR信号の「ノイズ」に比べて非常に弱い場合でも、およそ10サイクルにわたって低域積分した後の発光側の信号に関して周波数から、特に位相位置(およそ1kHzの位置)から、非常に正確な振幅測定を行うことができる
【0172】
これは、単純なアイトラッカーのほんの一例に過ぎない。瞳孔位置は、非常によく似た方法(反射に基づく方法のような)で決定されてもよいが、この場合は、白い強膜での反射ではなく、黒い瞳孔への吸収作用に関して決定される。反射型光電センサは非常にコスト効率が良いので、眼の内側(鼻の近く)および眼の外側(こめかみの近く)の両方、可能であれば、眼の下(上向き/下向き)に設置されてよく、したがって、合計で2個~3個のセンサが設置されてよい。該センサを複数設置することで、視線方向に対して測定精度が向上する。
【0173】
しかし、アイトラッカーは、スマートフォンもしくはノートパソコンで使用されているのと同様の小型の高解像度撮像カメラを使用する場合に使用されるのが理想的である。このカメラは、視線方向に対する瞳孔位置を検出するので、全ての角度の瞳孔位置を検出する。
フォトセンサおよびアイトラッカーからの相関計算
【0174】
フォトセル/カメラの向き情報および輝度情報は、アイトラッカーによって決定された眼の向きと数学的に相関される。つまり、例えば、視線方向は最初に出力値と見なされ、入射輝度は同時に(すなわち、リアルタイムで)厳密に同じ角度で測定され、絶えず調節されるということである。これはリアルタイムPID制御ループであるので、制御偏差は常に0であり、視線方向の輝度は、常に一定になる、すなわち、調節された設定値となる。
【0175】
先端技術を使用することで可能であるこの制御が非常に正確に機能すれば、主軸上の瞳孔は輝度の差を感じることはない。この制御モードは、用途(例えば、スポーツ、自動車、工業、医薬、軍事)に応じて、例えば、スイッチもしくは他のコマンド(例えば、Bluetoothなどを介して眼鏡に接続されたスマートフォン)によって選択されてよい。
【0176】
一方、この極めて迅速で正確な制御モードは、用途によっては、望ましくない知覚可能なアーチファクトを発生させる可能性もある。したがって、ソフトウェアの速度が意図的に減速される、もしくはわずかな角度傾斜で輝度が調整される代替モードが設定されてよい。例えば、ユーザが実際に側方にあるグレア光源(例えば、自動車の交通)をまともに見た場合のみ、即座に一定輝度に調整され、そうでない場合は、バックライトのない領域の中央およびその周囲で瞳孔がわずかに前後に動く場合、絶えず、この輝度に調節される。
【0177】
さらに、ソフトウェアに数式もしくはルックアップテーブル(LUT)として記憶することができる個々の年齢依存のグレア感度関数は、前方視輝度センサの信号を使用してテンプレート(例えば、乗算型重み付けされた)として記憶されてよい。このセンサは、眼球のように動くことはなく、真っ直ぐになるようにしっかりと取り付けられているが、このテンプレートは、眼球の動きに合わせてアイトラッカー信号と共に動く。このことにより、実質的に、リアルタイムPID制御回路の参照変数(「実際値」とも呼ばれる)として使用される個々の視覚の角度依存グレア感度を考慮に入れた人工的な眼が形成される。目的の用途に応じて、アルゴリズムをより弱く、もしくはより強くするのは、当業者次第である。あるいは、ユーザが選択できるように規定を設けてもよい。
汎用グレア抑制システム
【0178】
これは、グレア抑制による視認性向上システム(アンチグレアシステムとしても既知である)であり、該システムは、視認性向上のためのインテリジェントで安全性に関係するマルチチャネルリアルタイム制御を実装し、この場合、左右の眼は別々に処理され、および/またはグループ用途で複数のユーザを備える。
【0179】
ゼロの暗がり(0ルクス)~薄明かり(例えば、100ルクス)の適用範囲が途切れなく網羅されるように、バイザーとスポットライトが絶えず同じように相互作用する整合性のある総合システムを実現するためには、例えば、スポットライトの積分輝度値が一定である場合、上述したように、リアルタイムで一定の輝度に制御された眼鏡が必要であるが、多くの場合、幾分簡略化した形態(アイトラッカー無し)で十分である。このような眼鏡は、輝度値への一定の制御によってグレアを抑制することができる。さらに、眼は、永久的に全く暗い状態で維持される(すなわち、比較的大きな瞳孔で調整される)ので、ユーザは、明るい状態から暗い状態に急に移動した(例えば、鬱蒼とした森林に入った)時に、通常であれば1分以上かかるところを、(リアルタイムで)即座に気付かないうちに暗さに適応することができる。しかし、コントラスト範囲または有効信号および干渉信号の商は、眼鏡レンズを通した暗さが増す(すなわち、外側の輝度が増加する)のに伴って減少する。
【0180】
これを補正するために、同期して動作するスポットライトがさらに必要である(したがって、スポットライトは、眼鏡と同じ周波数で動作する)。この場合、パルスエネルギーの大部分は、透過される光パルスごとに一定である必要がある。このためには、1サイクルの間、スポットライトの光度と発光時間との積の時間積分値はできる限り一定に維持される。
ディスプレイ付きグレア抑制システム
【0181】
これまでは、アンチグレアシステムは、主に、電動式移動(自動車、オートバイ、電車など)において、もしくは自力で速く移動する場合(自転車など)に使用および適用されており、この場合、グレアの主な原因は、対向車のヘッドライト、または日光もしくは他の妨害光源である。このようなシナリオでは、干渉信号(例えば、対向車もしくは日光)および有効信号(自身のヘッドライト)は、完全に異なる方向から来る(日光は遠くから、ヘッドライトは自動車から)と想定される。有効信号が発生する点(例えば、反射スクリーン面)でスプリアス信号(日光)が正確に反射される場合には、多少違った状況が発生する。
【0182】
しかし、どちらの状況も、眼の位置における和信号は、常に、干渉信号と有効信号から成るという点では共通している。したがって、人の知覚の観点から言えば、有効信号は、常に、時分割によって干渉信号と区別されるので、眼鏡/眼の組み合わせに対して物理的な変化はないが、干渉信号に対する有効信号の整数比は改善される必要がある。さらに、いずれの場合も、干渉信号はユーザの視線と異なる方向から来る場合もあるが、このような干渉信号は非常に強い眩惑作用を有する可能性があり、視点における視認性が低下する可能性がある。
【0183】
表示システムは、スクリーン、ディスプレイ(PC、ノートパソコン、スマートフォン、テレビなど)、付属品、もしくは他の視覚的なヒューマン・マシン・インターフェース、例えば、自動車、航空機、船舶、オートバイなどの中の全てのタイプの運転席の付属品、もしくは他の自己照明ディスプレイパネル、警告標識、タコメータ、時計、地理座標系ナビゲーションシステム、ヘッドアップディスプレイなどの全てのタイプを含む。
【0184】
これは、上述の自身のヘッドライトの場合のようにインジケータの光を変調することによって改善される。つまり、眼鏡の液晶セルが短いタイムスロット(例えば、サイクル時間Tの5%の間のみ)で開放される時はいつでも、ディスプレイの背景照明は短時間でパルス状に、好ましくは、通常より強い光強度でオンになるということである。
【0185】
ユーザがディスプレイに表示された情報を読むのに必要なディスプレイの輝度の設定値は、眼鏡が眼に当たる光を制御する輝度(例えば、400lx)と、一方では、このディスプレイの通常の輝度とから導出される。眼鏡は、一般に、400lxに制御される、すなわち、幾分暗い状態に制御されるので、Tonとディスプレイの輝度との積から得られる値は、一般に、ディスプレイの通常の輝度設定値より低くなる。このことで、必要なパルス状の上昇の余地が残される。したがって、背景照明が反応の速い光源(例えば、白色光もしくはRGB LED)から成る場合に、常に問題がない。これらの光源は、(a)ソフトウェアもしくは(b)OEMハードウェアソリューションによって制御されてよい。
(a)最も単純ケースでは、インターネットからのソフトウェアダウンロード(例えば、アプリ)は、上述のアンチグレアシステムが実行されるように、スマートフォンもしくは同様の装置(例えば、眼鏡の外側にあるタブレットもしくはノートパソコンもしくはヘッドアップディスプレイ)のディスプレイのバックライトの輝度を調節することができる。
(b)それ以外の場合、スマートフォンおよびタブレット型デバイスは、やや長い目で見て(すなわち、数年後に)、専用の過出力のバックライトをこれらのデバイスに組み込むことによって、該システムに適応できるようにしてよい。新しい民生端末が市場に出回るので、いずれにしても、この可能性は現実的であると考えてよい。民生用でないデバイス(航空機コックピットなど)の専用ディスプレイの場合、このような専用のシステムを協働して容易に次世代型インジケータに組み込む方法はすでに明らかである。
【0186】
該システムによって、例えば、95%以上のグレアが抑制され、スクリーンの光パルスは眼鏡の開放タイムスロットに正確に入射し、そして暗さに適応した眼に届く。その結果、かなり強い日光放射であっても、表示情報ははっきりと視認できるが、ディスプレイは該システム無しでは視認できない。
グレア兵器の場合のグレア抑制システム
定義:
【0187】
用語「グレア兵器」もしくは「ダズラー」は、本明細書では、総称としてのみ使用されている用語であり、すなわち、どのような光技術を実装しているか(ランプ、レーザなど)、波長もしくは強度に関係なく、したがって、非常に強いビーム強度のレーザダズラー、もしくは可変波長(多色)、もしくは他の高強度光源、さらにエッジ範囲の赤外線(IR)もしくは紫外線(UV)のレーザも同様に含まれる。全てのグレア兵器に共通しているのは、敵(個人もしくはグループのいずれか)からの明確に攻撃的で戦術的なグレアおよび干渉という考えに基づいている、または敵が使用している光電子システム(例えば、戦車のセンサシステムなど)のグレアおよび干渉に対向するものであるということである。
【0188】
最先端の技術によれば、自身のグレア兵器の極度に明るい光が自身のヘッドライトの光より強いために、例えば、景色の疑わしい変化を検出する(眩惑が成功した後の、いわゆる、環境の能動的監視)ために、眩惑された敵の周囲がヘッドライト(単数または複数)で適切に照らされている場合でも、遠方を十分に認識できなくなる。
【0189】
本発明のグレア抑制システムは、上述のようなグレア兵器(ダズラー)と組み合わされてよい。この実施形態では、眼鏡の開放時間Tonに対して、非周期的もしくは反転したスイッチオン信号がグレア兵器に供給される。したがって、グレア兵器は、常に、非常に短いタイムスロット(例えば、ダズラーのcw時間の5%)の間だけオフになり、この間、サーチヘッドライトはオンであり、眼鏡は同期して非常に短い時間の間だけ開放される。眼鏡が再び閉鎖される(不透明に切り替わる)とすぐに、グレア兵器が再び作動する。このことにより、全体として別々の2つのチャネルの動作(ヘッドライトとダズラー)が可能になる。
【0190】
ダズラーが眼鏡の短い開放タイムスロットで完全にオフである場合、このことは、視覚的に追跡不可能になるので、不利点となる。したがって、これらの時間の間、ダズラーは自由に調節可能な光度、例えば、最大光度の0.5%~5%に設定され、そのことにより、ユーザにはっきりと見える状態で維持され、気付かずに強く抑制されてしまうことはないのでグレア兵器が光っている場所を十分に認識できなくなることはない。
【0191】
このように個々の自身の光源と少なくとも1つの個々のグレア兵器とから成る2チャネルさらにはマルチチャネル動作によって、敵の軍隊もしくは彼らの光学機器(例えば、戦車のセンサ)を眩惑させることが可能であるが、さらに同時に自身の別の光源で視線方向の周囲環境を照らす/調査することも可能である。
【0192】
さらに、後述する本発明のシステムの実施形態と組み合わせて、チームのメンバーの(およびそのメンバーだけの)敵ターゲットを色でマーキングすることができ、暗号化された方法でシステムを操作することができる。
符号化を利用したグレア抑制システム
【0193】
特に、セキュリティタスク(BOS)当局および機関もしくは軍部で使用するためのグループ用途が予想される。これは、確実に当事者が不注意に互いを眩惑させることがないようにするものでなければならない。そのためには、システムのコンポーネントは、互いに同期される。同様のシステムの外部ユーザ(彼らが敵であろうと、もしくは同じタスクを有する他のチームであろうと)が存在することを無視することはできないので、眼鏡の短い対応同期開放時間がもはやサイクルパターンもしくは周期パターンと一致しなくなるようにシステムのコンポーネント(例えば、眼鏡および光源)を変調することが計画されるが、その時系列は秘密符号化鍵に従って絶えず変化する。原理上、この変化は、全ての考えられる自由変調パラメータに対して、好ましくは、位相位置、パルス位置(位相およびパルス位置ホッピング)、周波数(周波数ホッピング)、振幅(AM)、もしくはこれらの変調方法の組み合わせに対して発生する可能性がある。
【0194】
このような符号化は、当然、上述のグレア兵器を備えたシステムの構成にも適用可能である。この場合、グレア兵器も時間軸(その都度反転されるのみ)上の眼鏡および自身の光源の秘密符号化タイムスロットにより前後に「ジャンプ」する。
【0195】
また、符号化鍵の等級付けも可能であり、例えば、1つまたは複数の追加のグレア兵器(ダズラー)を、誤って互いを眩惑させずに、人もしくはチームごとに、サブキー(チームキーから継承される可能性のある)を使用して別々に暗号化することも可能である。
【0196】
例示的な実施形態は、図面に概略的に示されている。それぞれの図面内の同じ参照番号は、同一もしくは機能的に同等の要素もしくはそれらの機能の対応要素を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0197】
図1】電子眼鏡の水平断面略図である。
図2】システムにグレア兵器が装備された場合の時間の経過と共に変化するグレア抑制システムの眼鏡の透過率を示した図である。
図3】グレア信号(日光)がインジケータもしくはディスプレイ表面で反射された時の状態を示した略図である。
図4】変調不可能なディスプレイ用の追加の装置を備えた図3からの状態を示した図である。
図5】いわゆる「内部HUD」を備えた状態を示した略図である。
図5B】自身の光源のない完全な暗闇用の保護ゴーグル(作業保護)としての一実施形態を示した図である。
図6】RGB色符号化を利用したアンチグレアシステムの透過率を示した図である。
図7】RGB色符号化を利用したアンチグレアシステムのさまざまな透過レベルTR(Ch#1,Ch#2、Ch#3)の挙動を示した図である。
図8】空間的印象を向上させるためのシステムの略図である。
図9】LIDAR原理に従う粒子降下によってクローズアップ領域の反射を抑制することによって視界を改善するためのシステムの略図である。
図10】グレア抑制システムの自身の光の抑制を示した図である。
図11】さらに別の自身の光の抑制を示した図であり、初期位相を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0198】
以下の説明では、一部は図1を参照する。
【0199】
以下で説明する全てのことは、常に、1つの眼(右もしくは左、「チャネル」とも呼ばれる)に適用される。チャネルは、少なくとも1つのLCセル(2つ以上のLCセルを直列に接続することも可能である)から成り、用途に応じて、適切な迅速かつ高コントラストのLC材料(TN、STN、Fe‐LC)を含む。
【0200】
人の身体からより遠い位置のセルは、「遠位セル」と呼ばれ、眼により近い位置のセルは「近位セル」と呼ばれる。1つ~3つの複雑なフォトセンサIL1、IR1は、視線方向のLCセルLC1L、LC2L、LC1R、LC2Rを通って入射する光を検出するために、近位セルの裏側から一定距離(一般には、1~3mm)離れた位置に配置され、1つのフォトセンサは、直交xyz座標系全体を測定する少なくとも3つのセンサから成り、ベクトル(1,1,1)は、適切に視線方向を指し示している。
【0201】
このようなxyz座標フォトセンサの代替として、複眼のように、3個よりかなり多い直交チャネルを備えたフォトセンサアレイを使用することができる。各チャネルは、「粗画像」がマイクロプロセッサに伝送されるように広ダイナミックレンジにわたる輝度を測定することができる。
【0202】
このような「粗画像」の代わりに、サイズが数mm2以下の同じ小型サイズでかなり高解像度のシステム(カメラ、例えば、5メガピクセルカメラ)は、スマートフォンやノートパソコンですでに使用されているのと同様のかなりの高解像度を有してよい。このようなカメラによってプロセッサに伝送される画像は、精細に解像される。つまり、輝度を測定するための動的スコープおよび直線性は、医療用解析写真撮影で使用されるのと同様の非常に動的なチップ材料を使用することで保証される。
【0203】
純粋に安全性の理由から、このような少なくとも3つの複雑なフォトセンサ(xyz座標フォトセンサもしくは複眼フォトセンサもしくはカメラ)が1つの眼E(L)、E(R)(チャネル)ごとに使用される。
【0204】
上述のフォトセンサは全て、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトセルなどの形態にしてよく、これら全てに共通しているは、眼の色感度曲線(いわゆる、DIN5031に従ったVラムダ関数)を含めることで色に関係なく反応するという点である。このタイプのフォトセルは、例えば、無色の照明測定のための画像撮影で使用される。周囲輝度(外部センサOL、ORによって測定される、もしくはコントローラMCの操作変数と設定値とから導出される)に応じて、主に暗闇の場合のルックアップテーブル(LUT)が計算アルゴリズム(暗視に対してV´値を含む)に含められ、その結果、いわゆるプルキニエ効果(夜間に青色の感度が増す)が考慮に入れられてよい。さらに、特に、角度依存および年齢依存に関する実証的研究(例えば、1991年、Adrian氏およびBhanji氏、北米照明技術協会)に基づいて、個々の年齢依存のグレア感度が考慮に入れられてよい。
カメラ付きのフリーフォームレンズ/チャネルもしくはソフトウェア
【0205】
人の眼のように動作するようにフォトセンサの前に取り付けられた透明材料(例えば、ガラス、プラスチック、液体など)製のフリーフォームレンズを通過した輝度の感度方向の測定に、上述の眼の感度公式の物理的変換が使用されてよい。その結果、入射角によるグレアに対して人の眼と同じように敏感な「人工的な眼」が形成される。この場合、2つの要因を考慮しなければならない。つまり、(1)Vラムダ関数とV´ラムダ関数(夜間のプルキニエ効果)と、(2)角度依存のグレア感度である。
【0206】
このレンズの代わりに、フリーフォーム計算によって適切な形状に成形された黒いチャネル(すなわち、基本的には、孔)を使用することも可能であり、その端部に光電セルが配置され、光電セルが人の眼の感度に対応した開放角度を受信するようにする。
【0207】
あるいは、グレア感度公式は、純粋にアルゴリズムとして実装されてもよいし、画素ごとの方向情報および輝度もカメラ画像に含まれるので、さらにカメラの高解像度/高ダイナミック画像を受信するソフトウェア内に実装されてもよい。特に、ヒューマン・マシン・インターフェース(例えば、眼鏡のボタン、USB-PCソフトウェアインターフェース、(Bluetooth)無線を介したスマートフォンアプリ)を介して、人の年齢、もしくは他の個人嗜好、もしくはグレア感度に関する医学的適応/提案を決定することができるので、カメラ画像は、その後、個々の(年齢依存の)評価式によって重み付けされてよい。
アイトラッカー
【0208】
フォトセル/カメラの方向情報および輝度の情報は、アイトラッカーET(L)、ET(R)によって決定することができる視線方向と数学的に相関されてよい。
【0209】
ソフトウェアに公式もしくはルックアップテーブル(LUT)として記憶することができる個々の年齢依存のグレア感度関数は、その後、前方視輝度センサの信号にテンプレート(例えば、乗算型重み付けされた)として重ねられてよい。このセンサは、眼鏡にしっかりと取り付けられる。しかし、アイトラッカー信号により、このテンプレートも眼球の動きに合わせて変位され、個々の視覚の角度依存のグレア感度を考慮に入れた人工的な眼の機能が実現される。
LCセル内のパルス整形
【0210】
以下の3つの可能性がある。
(1)両方のLCセルは、システムもしくは電圧が故障した場合に正常な視覚を可能にすることができるように、電圧フリー状態で透明になるセルである。
(2)作業領域で永続的にグレアの危険性がある高い安全性が必要な用途(例えば、レーザ研究室もしくはアーク溶接時)では、全く正反対の形で動作する、すなわち、電圧フリー状態で完全に暗くなり、安全スイッチなどを押すことによってのみ透明になるように切り替えることができるLCセルが使用されてよい。
(3)上述のタイプのセルの混合、すなわち、電圧フリー状態で透過性になるセルと、不透過性になるセルとの混合。この構造は、時間軸上で矩形パルスの形状(光学測定オシロスコープ画像では立上りと立下りの傾斜が大きい矩形)で0.1秒間の透明回路の意味では、光パルスの立上りと立下り両方の傾斜を改善するのに使用されてよい。この利点は、自身の光源または複数の参加者の光源と同期する用途では、雑音および他のコントラスト低減アーチファクト(クロストーク)が低減されるという点である。
【0211】
上述の眼鏡は、グレア抑制システムの一部として使用されてよい。図2は、時間の経過と共に変化する該眼鏡の透過率(TR)を示している。したがって、透過率は、液晶セルLCを通過する強度Iと入射強度Iの商である。
【0212】
眼鏡は、時間Tonで開放される、すなわち、透明に切り替わる。残りの時間(T-Ton)では、眼鏡は閉鎖される、すなわち、不透明になる。
【0213】
シームレスでアナログの濃淡値を求めるために、図2の信号(第1の線)がアナログパルス幅変調PWMとして実装される、すなわち、図2では、例えば、PWMの異なるジャンプ状の状態のみがサイクルTからサイクル2T、3Tまで画像化される。これらの状態はさらに、パルス対サイクル時間比D(デューティーサイクル)の百分率として表されてもよい。
【0214】
「SNR」(信号対雑音比)を改善するために、透過される光パルスごとのパルスエネルギーは、特定の範囲内で一定に維持される。特に、図2の中央ラインの面積Aは、アクティブパルス幅時間Tonにパルスの個々の発光強度IE(I=強度、E=発光)を乗じた結果得られるが、この面積Aはほぼ一定に維持される。
【0215】
実際に、これは、このように高エネルギー向けに設計された適切な光源に、より高い電圧を加えることによって、もしくはより高電流を印加することによって行われてよい。既存の光源をこの目的に適した光源にするのは、当業者に委ねられる。
【0216】
さらに、光強度IEは、常に、当局(TUVなど)によって承認済みの標準化強度値I標準値と一致しなければならないが、光強度IEに100分の1のデューティサイクルDの逆数が乗算される。
【0217】
例:
パルス対ポーズ比=デューティサイクル=50%=0.5
0.5の逆数=係数2
IE=2×I標準値
【0218】
この方法は、長時間の積分によって測定された強度が、常に、定数I標準値と一致するために必要な方法である。時間的測定間隔が当局にとってわずか1秒であっても、70Hzスポットライトの場合、非常に多くの異なるパルス高さもしくはパルスサイクルがすでに時間内で平均化されているので、必要な一定の光強度値I標準値が常に得られることになる。この原理は、図2の中央ライン内の信号IEをt=0からサイクル終了T3まで積分することで明らかになる。
【0219】
さらに、眼鏡が開放状態で透明である非常に狭いタイムスロット(例えば、5%)(制御回路の設定値)では、眼は光に非常に敏感であるので、小さい強度のIE(すなわち、IEがTonで割られる)でさえ景色の観察の視認性を向上させるのに十分であり、約100-5%=95%の干渉外部光を抑制することができる。
【0220】
本発明のグレア抑制システムは、グレア兵器(ダズラー)と組み合わされてよい。図2の一番下のラインは、この状態に関するもので、眼鏡の開放時間に対して非周期的もしくは反転したオン/オフ信号をダズラーが受信する様子を示している。さらに、ダズラーは、(自由に調整可能な)0でないオフ値に制限され、例えば、最大強度IDAZの0.5%~5%が決定され、ユーザにとって視覚的に容易に観察できる状態であることがわかる。
【0221】
図3は、ディスプレイ上の反射によるグレアを抑制すると同時にディスプレイの可読性を保証するために、アンチグレアシステムがディスプレイと組み合わされる方法を示した図である。この場合、眼の位置における和信号γ1+γ2は、常に、干渉信号と有効信号とから成る。最も単純な例では、インターネットからダウンロードされたソフトウェア(例えば、アプリ)が、上述のアンチグレアシステムが実現されるように、スマートフォンSPもしくは同様のデバイス(例えば、眼鏡の外側にあるタブレットもしくはノートパソコンもしくはヘッドアップディスプレイ)のディスプレイバックライトをすでに有している場合がある。このような方法で、日光S+γ1の95%以上が抑制されると同時に、スクリーンの光パルスが眼鏡のちょうど開放タイムスロットにちょうど入射し、眼が暗さに適応する。
【0222】
眼鏡とディスプレイの同期は、さまざまな方法で行われてよい。
(1)1つの例では、電子装置が単純なパルス光を発する「マスター」であり、眼鏡は光センサ(外部センサ=OS、内部センサ=IS)を使用して純粋に光学的に同期してよい。
(2)随意により、同期情報が、眼鏡と端末との間で無線リンクRFを介して交換されてよい。一般的には、すでに既存の無線システム(例えば、Bluetooth)が使用されてよい。この場合、「マスター」デバイスは、開放状態で維持され、問題なのはプログラミングだけである。
(3)さらに、端末と眼鏡との間の同期情報SYNCは、ケーブル(例えば、USB)を使用して、もしくは任意の他の可能な方法で伝送されてもよい。この場合、端末と眼鏡のうち「マスター」である方は、開放状態で維持され、問題なのはプログラミングだけである。
【0223】
以下の説明では、図4を参照する。
【0224】
背景照明を容易に変調することができないディスプレイおよびインジケータのための解決策も可能である。少なくとも均一な背景照明を有するディスプレイ(例えば、読書用の「電子インク」を使用したペーパーライクディスプレイ)の場合、追加の液晶シャッタAddLCがこのディスプレイ上に配置もしくは固定されてよい。この追加シャッタは、他の均一(DC)を変調するが、眼鏡のタイムスロットに対応するディスプレイの背景照明の最大の(さらに干渉光によっては最大値を超える)光を変調する。均一な背景照明が非常に明るく設定される場合、この構造により、上述の視認性向上を含む外部干渉光源Sのグレア抑制の利点が得られる。追加シャッタは、眼鏡と同期するための自身のインターフェース、例えば、無線接続RF2もしくはケーブルコネクタ(例えば、USB)もしくは任意の他のアクセスSYNC2を有する。
【0225】
さらに、上記情報チャネルの適切な組み合わせ、例えば、無線接続RF1および無線接続RF2もしくはケーブルSYNC2を介してバックライトを作動させるためのソフトウェア(「アプリ」)を使用して、眼鏡と同期させてもよい。眼鏡の光学センサOS、ISによる純粋に光学的な同期も可能である。
【0226】
眼鏡の外側のヘッドアップディスプレイ(HUD)とは異なり、眼鏡内部の「HUD」は、図5に示されている特殊な例である(「グーグルグラス(Google Glasses)」もしくはSamsung社「ギアグラス(Gear Glasses)など」と同様の透明HUD)。これにより、グレア抑制による可読性が向上し、このことは、日光を誤って見た場合に重要である(シャッタは直前に完全にもしくはほぼ閉鎖される)。さらに、非常に広いダイナミックレンジにわたって眼鏡が常に正確な輝度(ほぼ一定の設定値)を制御することで可読性が向上し、内部HUDの透過率に関係なく、最適な背景輝度および/または最適なコントラストが保証されるが、外側での輝度は変化する。内部HUDは、どんな場合でも読み取ることができる。
【0227】
以下の説明では、図5Bを参照する。
【0228】
作業保護という意味においては、例えば、高強度パルス光治療(IPL治療)などの際に皮膚科医によって使用される時に、作業(例えば、光およびレーザの実験、バイオテクノロジー)を実行するために暗くしなければならない研究室や開発研究所内の暗闇で着用される非常に単純なグレアゴーグルがある。しかし、これらの保護ゴーグルは、2つの状態のみ、すなわち、オンとオフの状態のみを識別し、外側に取り付けられるフォトセンサの数があまりにも少なく、液晶セルを制御するのみでリアルタイムで制御できないために反応が不正確であるので、作業を行うのに適切でない場合が多い(例えば、独国特許第102014107587号明細書を参照)。さらに、コントローラもレギュレータも信頼性できる「実際値」を提供することができないので、眼鏡の透過状態(オンもしくはオフ)は、暗闇ではわからない状態のままである。レギュレータでさえ、完全な暗闇(例えば、約0ルクス)の中では、実際値が小さすぎて、液晶セルの正確な機能に関する信頼性できる安全関連情報を提供することができないという問題を有する。
【0229】
このような状況では、それぞれの眼鏡レンズ(すなわち、左と右)に、アクティブな発光ダイオードLEDおよび反対側に配置される内部センサIS2を備えるアクティブなライトカーテンLSが設けられ、液晶セルを通過する透過率は、広いアナログダイナミックレンジを介して特別に透過される透過率になり、完全な暗闇の中でも測定することができる。
RGB符号化によるグレア抑制システム
【0230】
以下の説明では、図6および図7を参照する。
【0231】
特に、セキュリティタスク(BOS)の当局および機関もしくは軍部で使用するためのグループ用途のグレア抑制システムの場合、例えば、(例えば、マーキングされたターゲットに対して)自由に選択可能な光の色(1つのチームのメンバーのみにはっきりと見え、脆弱な形式では、そのメンバーのグループのメンバーにも見える)を割り当てることができ、光は外部の人には白色に見えるという実施形態が使用されてよい。
【0232】
そのためには、振幅もしくは光度だけでなく、色(波長)も変調することができる自身の光源が使用される。最も単純な例では、オシレータ(例えば、OPOレーザ、OPAレーザなど)に加えて、高出力RGB LASERもしくはRGB LEDのような波長可変光源が使用されてもよく、これら光源は、一般に、別々に制御可能な3つのチャネル、すなわち、RGB色モデルに基づく原色「赤色、緑色、青色」を有し、これらは重なって白色光になる。合わせると白色光になるのであれば、RGB色モデルに近い他の種類の原色および組み合わせも可能である。
【0233】
図6の下の3つの図(R、G、BのIE)に別々に示されている第1のチャネルCh#1のR=赤色、G=緑色、B=青色は、必ずしも同時に透過される必要はなく、例えば、青色は、赤色と緑色からわずかに時間遅延して透過されてもよいが、人の脳は色をフリッカーとしてではなく、常にまとめて白色光として知覚するようにその後すぐに(数ミリ秒後に)、透過される。
【0234】
しかし、チャネル指定に対する眼鏡着用者の差は、眼鏡が開放状態(すなわち、TRがほぼ100%)のタイムスロットTonの時の色、赤色と緑色の2色が自身の光源から発光され、青色は、眼鏡が再び閉鎖(TRがほぼ0%=オフ)された時にのみ発光されるということである。図6では、この青色パルスは、「オーバーライン付きB1」で示され、文字の上のラインは、「ネゲート」を意味する。この点に関して、B1は、ネゲートされる「青色、チャネル1では見えない」。図6では、この状態は、赤色と緑色の和は混合色イエローになるので、波括弧付きのYで表されている。したがって、眼鏡Ch#1の着用者には、黄色の光が見える。このように、3色チャネルRGBおよび個々の眼鏡に対して少なくとも1つのマルチチャネル時分割多重方法が使用される。
【0235】
図6では、チャネル2では、眼鏡が開放状態のタイムスロットで赤色と青色(R+B)が混合されることがわかるが、このことは、波括弧付きM(マゼンタ、この色は、赤色と青色との混合色である)で示されている。したがって、眼鏡Ch#2の着用者には、マゼンタ色の光が見える。
【0236】
着用者がどのチャネルで仲間がターゲットを照らしているのか(例えば、シークレットマーキング)を知るために、眼鏡Ch#1は、このチャネルのタイムスロットでは、例えば、ほぼ0%の透過率(眼鏡閉鎖)から25%(例えば)の透過率(自由に調節可能)のタイムスロットでわずかだけ開放されることになるので、着用者には眼鏡Ch#2の着用者のマゼンタ色も見える。しかし、25%しか見えないので、眼鏡Ch#1の着用者は、自身の光の方により一層集中することができる。特定の用途に応じて、この減衰の程度は、0%(他のチームメンバーから見えない)~100%(全ての他の人にとって自身の光の光源と同じくらい明るい)の範囲で自由に変更可能である。
【0237】
実際には、「等しい時間信号の立ち上がり」(図6の実線、破線、点線)は重なる。しかし、明確にするために、これらは、図6では重なるように示されておらず、わずかにずらして示されている。このずれのない正確な状態は、図7に示されている。図7では、眼鏡もしくはチャネルCh#1~Ch#3は、実際に幅がほぼ等しく(同じTon)、他のチャネルのタイムスロットでは、個々の眼鏡は容易に開放される(例えば、約25%)。したがって、図7は、図6と同じ状態を表しているが、別のチャネルを有する。変数x%、y%、z%は、ここでは、各ユーザが、他の参加者の視認性の程度、またはチーム内での役割に応じて、もしくは個人の嗜好に応じて、色を自由に調節することができることを示している。
【0238】
図6は、サイクル時間T経過後のRGB光源のさまざまな例示的な変調方法を示している。冒頭で説明したパルス当たり一定エネルギーの方法(一定パルス面積A)と同様に、RGB光源は、個々の色チャネルが時間の経過と共に徐々に狭くなるが、強度は徐々に強くなる、および/またはその逆の形になるように変調されてもよい。この方法は、RGB LEDもしくはRGB LASERは、特に、眼鏡より大幅に高い周波数では、位相および振幅が比較的速く変調可能であるので、容易に可能である。したがって、単一RGBパルスの正確な位相(時間的位置)は、全サイクルから全サイクルまで(約70~140Hz)であっても、さらには1サイクルが非常に速くても(>>1kHz)、開放時間Tonの間に容易に変更可能である。このように非常に速い位相変化によって、位相変調もしくはPSKは、他の眼鏡もしくは他の受信器によって認識される個々のRGBチャネルに適用でき、例えば、眼鏡の「光同期」に使用できる。この場合、眼鏡の外部および内部センサOS、ISは、常に、この同期を行うのに十分な速さを有する。このことにより、(例えば、無線連絡が望ましくない、もしくは無線連絡が失敗した場合に)無線連絡せずに、チーム内で眼鏡を同期させることができる。
【0239】
物体の色マーキング以外に、この位相変調も、完全なマーキング(「完全情報指定」)の意味で他の情報(例えば、物体の種類、名前など)がターゲットもしくは物体に適用されるように、秘密鍵および秘密情報コンテンツによって符号化されてよい。この完全情報は、その後、外部および内部センサOS、ISによって、または別の受信装置おび復号装置によって、復号化されてよい。
【0240】
図6では、右上(IE緑色)から3番目の時間ビームを2つの時間的に半値幅のパルスG1´とG1´´(すなわち、2×1/2Ton)に分割する様子が、右上に指定A=一定と示されており、これは、上述したパルス当たり一定のエネルギーの原理に一致している。さらに、「双ビット」と同様の2つの別個のパルスによって、ほとんどどの位相変調も可能であるという意味の「xPSK」が示されており、これは、互いに対して、もしくは時間軸に対して、位相が変化およびジャンプすることが可能であり、理論上は、QPSKおよび同様のプロシージャも可能である。
【0241】
青色パルスの分割B2´とB2´´(それぞれ上に「ネゲート」のライン)は、下の方の時間ビーム(IE青色)で、しかし半分の高さ、すなわち、振幅0.5I標準値でのみ確認できる。この例でも同様に、面積A(すなわち、パルスアレイのエネルギー)は常に一定であることは明らかである。必要に応じて秘密鍵で符号化される振幅変調AMの場合、情報の伝送のために振幅情報が使用されてもよい。また、FSK方法、x-PSK方法、およびAM方法のいずれかを組み合わせて使用することも可能である。
【0242】
眼鏡と自身の光源との同期は、通常、無線信号によって行われるが、光学的に行われてもよい。同期は、特定の階層システムによって行われてよく、一人の参加者が常に「マスター」であり、他の全ての参加者は常に「スレーブ」である(例えば、マスターが機能しない場合、別の指定された「スレーブ」が「マスター」になる)。この階層は、例えば、一般的な初期化ルーチンの中で(すなわち、展開前に)、さらにプロセスの最中に(無線もしくは光学的に、LAN、WLAN、トークンリングなどのようなマルチユーザITシステムと同様のプログラム符号化認識により)決定されてよい。
【0243】
さらに、このマルチユーザシステム全体は、眼鏡のパルス幅変調ストロークが幾分延長されるように(図6のTRの右上を参照、破線の立上りおよびPWMで識別される期間Tの右側への延長)、やや少ない数のチャネルを犠牲にして操作されてよい。このPWM変調ストロークの延長は、眼鏡は、薄暗がり(例えば、0ルクス~100ルクス)の中で類似濃淡の光でさらに制御可能であるという利点がある。不可視色マーキングによるマルチチャネルのグループ用途の場合でも、眼鏡は、(上述したように)類似濃淡レベル制御動作のために、日中の運転の眼鏡の方向にシームレスに動作することができる。
【0244】
自身の光源は、必ずしも高性能RGB LEDもしくはRGB LASERのみで構成される必要はなく、例えば、自身の光源の大部分を構成する高出力白色光LEDで構成されてよく、赤緑青の色成分が色付けのためにだけ追加されてもよい。これは、少なくとも1つまたは複数のRGB LED/LASERを白色光LEDに隣接してヘッドライト/反射器に設置することで実現可能である。
【0245】
自身の眼鏡が開放状態である短いタイムスロットTonでは、図2に示されている同じ面積(中央ライン)の白色光パルスに加えて、特定の色が自身の光源からも発光される。つまり、2つの変調方法(白色光と不可視色マーキング)が、システム全体でシームレスに機能する状態が維持されるように組み合わされてよい。ここで説明する不可視色マーキングは全てのチャネル(Ch#1、Ch#2、Ch#3など)の眼鏡がそれぞれ閉鎖状態(最小透過率)である時にオンされるので、グレア兵器(上述した)はこの不可視色マーキングと並行して使用されてもよい。
【0246】
随意により、すでに上述したように、自身の光源は、例えば、敵の装置が色を復号化できず、システム全体(スポットライトと眼鏡)を妨害することができないように秘密パルスホッピングプロセスを含んでよい。当然、このシステム全体は、ディスプレイの可読性向上(図3図5)と組み合わされてもよい。
空間的印象の向上
【0247】
人の眼の視距離が限られているので、物体の距離が遠くなるほど一次元に見え、このことが物体の視認性を制限する。図8には、解決策を提供することができる本発明のシステム全体の一実施形態が示されている。視距離もしくは瞳孔距離PDが、任意の物体1と共に示されており、物体1は、(図面のサイズが限られているので、眼鏡Fのすぐ前にあるように見えるが)、例えば、(自身の2つの別個の光源S1(L)とS1(R)の範囲に応じて)数百メートル離れた位置にある。上述したように、眼鏡Fは、意図的な輝度差(HDRビジョン)および/または生理的特徴を考慮して、リアルタイムで完全に別々に(すなわち、2つの別個のチャネル/制御)輝度を調節することができる。しかし、マイクロコントローラMCはさらに、2つの別個の自身の光源を制御できるものとする。これらの光源は、該システムの着用者の左右それぞれに、着用者の瞳孔距離PDより長い距離DS1(L-R)で配置される。
【0248】
基本的に、動作モードは、上述のRGB符号化に対応する。眼鏡の液晶セルは、図のTR(L)およびTR(R)に示されているように決して同時ではなく連続的に開放される。これはやはり、時分割多重プロセスであるので、自由なチャネル(ユーザ)を犠牲にして行われ、システムは、全ての参加者が3D拡張を使用したいと望む場合に、グループ用途で半分の数のユーザを処理するだけでよい。しかし、上述のRGB符号化とは対照的に、それぞれの眼に対して、はっきりと区別可能な色、例えば、左眼に黄色Y、右眼にマゼンタ色Mが使用される。
【0249】
スペースの理由から、図8では個々のRGBチャネルが全て記録されているわけではないが、眼のチャネルL、Rそれぞれに対する眼の色は、例えば、左チャネルIE(L)の指定R1+G1で視認可能である。光パルスB1(ネゲート)は、停止タイムスロット(両方のレンズが閉鎖状態)で入射するので、外部システムは外部の第三者には中性の白色光に見える。右眼チャネルIE(R)では、例えば、停止タイムスロット(両方のレンズが閉鎖状態)でR1+B1がM(マゼンタ)に追加され、その次に、緑色パルスG1(ネゲート)が追加される。したがって、基本原理は、基本的に、RGB符号化(さらに理解を深めるために、上述の内容を参照されたい)と同じである。図8では、周期時間Tを越えた右側に、上述の位相変調方法およびxPSK方法も示されている。
【0250】
全体として、この方法により、より優れた3D知覚が可能になる。これは、物体の裏側は完全に見ることはできないので、専門家の文献では、「2.5D」とも呼ばれる場合が多い。
【0251】
該方法はさらに、変調された白色光とRGB光との混合光を使用して行われるので、高周波RGB LED/LASERモジュールを白色光LEDと混合するシステムは、やや遅い白色光LEDと互換性がある。
【0252】
特に、光源間の距離DS1を長くすることによって、および/または左右チャネルのいずれかの側で、例えば、2Hz~10Hzで知覚可能に閃光させることによって、純粋な白色光(すなわち、RGB光源無し)を使用することも可能であり、閃光は、自発照明および眼鏡の適切な制御によって可能である。
LIDAR
【0253】
ここまで説明したシステムは、下降もしくは上昇する粒子の光反射がユーザの近くで見えなくなるように拡張されてよい。例えば、夜間に雪上車を運転する際、輝度が高いために雪片がヘッドライトの真正面に現れて、空間の奥まで遥か遠くの視野を妨げるという問題が生じる。この状況は、図9に示されている。距離D1の位置では、反射粒子RP1が運転者に向かって光γ1を反射する。
【0254】
特殊なレーザもしくはLEDを使ったヘッドライトを使用して、数ナノ秒のパルス幅を有する超音波パルスが生成される場合、超音波パルスは、等しく速く動作するシャッタを使用して、存続期間を通して、ユーザに見えない/見えるように、(先行技術で既知の)LIDAR/LaDAR原理に基づいて制御されてよい。このためにはシャッタレンズは、空間的に近い粒子RP1への自身のヘッドライトの光が反射した後の(反射後やや遅れて)時間t2でのみ開放するように制御される。距離(d=ct、その逆も同様である)は一定の光速度cで乗算した結果得られ、対応する時間tは、光線の和を乗算することで求められ、一定の光速度cで割って移動距離が求められる(t2=(d+d1)/c)ので、図9の時間軸はさらに空間軸として解釈することも可能である。光が距離d(ヘッドライトから近くの粒子)+距離d1(近くの粒子から眼鏡)を移動すると、時間t2が経過したことになる。しかし、眼鏡のシャッタが時間t2経過後のみに開放する場合(図9では、TR(=on)と示されている)、光の反射は抑制され(図9では、supp)、したがって、光の反射は見えない。
【0255】
雪片または他の粒子(もしくは霧)は、全く見えないわけではなく、つまり、黒い点として現れるが、グレアが低減されることにより、空間の奥までの視野全体が大幅に改善される。
自身の光の視認もしくは抑制
【0256】
以下の説明では、図10および図11を参照する。Aは周辺光、Uは外部光(望ましくない光、例えば、日光)、Wは自身の光(望ましい)を指す。UとWとの違いは以下の通りである。
【0257】
マイクロコントローラは自身のヘッドライトWをオンにした時点を認識しているので、光パルスが伝送される直前(もしくは直後)のタイムスロットで(図10に、N-1もしくはN+1で示され、Nは伝送パルスのN番目のタイムスロットを表すのに使用されている)、どちらが十分な速さであるのかの問い合わせを外部フォトセンサに行うことができる。以下の公式が適用される。
A(t)=U(t)+W(t) (1)
または、個々に問い合わせが行われる。Nが図10のタイムスロットNの平均値である場合、
A(N)=U(N)+W(N) (2)
N-1とN+1との間の時間は非常に短いので、光パルスが伝送される「直前もしくは直後」の時間では干渉光は大幅に変化しないことが想定される。
U(N)=U(N-1)=U(N+1) (3)
【0258】
他の方法、例えば、さらに複雑で経験に基づく平均化方法、もしくは単純な算術平均が選択されてもよい。いずれの場合も、この方法では、周辺光がそれほど速く変化せず、それ自体パルス状でなければ、干渉光値U(N)はタイムスロットNで非常に高い精度で決定されると想定される。自身のビームからの追加の光が周辺光に追加されると仮定される場合(公式(1))、周辺光はA(N)の隣接するタイムスロットの周辺光より常に大きくなる。
A(N)>A(N-1)、A(N)>A(N+1) (4)
【0259】
さらに、遠方にあり、あまり反射しない物体から、すなわち、通常の景色/環境(道路、森林、田畑、大きな部屋のある家)からの通常の自身の光の反射戻り光は、強い日光のような大量の干渉光に比べて少ないので、大量のグレアを抑制する極端な用途では、以下の公式が適用される。
W(N)<<U(N) (6)
【0260】
わずかな量に対して、追加分もしくは省略分に「Δ」を使用する場合が多く、公式(1)は以下のように表されてもよい。
Δ(N)=W(N)=A(N)-U(N) (7)
【0261】
70Hzのシステムでは、Δ(N)は1秒当たり70回測定されるので、これらの値は、例えば、自身のヘッドライトの潜在的緊急停止もしくは下向き制御に対して、これらのヘッドライトを不注意にのぞき込むとき眼を適切に保護できる程度の速さの重要な短い期間で、例えば、1/3秒もしくは1/8秒(例えば、x=125ミリ秒~300ミリ秒)の期間で、平均化されてよい。
平均値:MΔ(N)=MW(N)=たとえば、期間T内の全てのW(N)の浮動算術平均=t~t+x
【0262】
この値は、その後、スイッチオフの閾値に送られてよい、または自身のヘッドライトのより均一な(アナログの)下向き制御に使用されてよい。
例:
S=自身のヘッドライトの緊急停止の決定閾値
W(N)<S 自身のヘッドライトは正常に機能を続ける
W(N)>=S 自身のヘッドライトはオフされる
【0263】
経験則により、より明るく見える光を示す経験に基づいて決定された倍数M(乗数)は閾値としての役割を果たすと言える。
S=M×U(N) (8.1)
【0264】
または、U(N)を参照するのを望まない、すなわち、過度のグレアもしくはグレア無しの「シナリオ」と切り離すのを望む場合、W(N)の倍数による自己参照型の単純な公式になる。例えば、
S=W(N)の通常の経験値の50%~500% (8.2)
【0265】
図10では、眼鏡は制御停止の「夜間モード」にあり、全てのTon時間間隔が等しく狭い(例えば、サイクル時間Tの5%)と想定される。完全に黒く塗りつぶされたビームで示されているように、所望の光W(N)は、画像の中央のグラフに示されている。通常の場合、物体からの後方反射は非常に弱いので、最初の2つのサイクルでは黒いビームは非常に弱い。どれほど多量の他の干渉光が追加されても、サイクルTで例示的に示されているように、下に示されているヘッドライトの光は一定の強度IE1で維持される、すなわち、ヘッドライトはすでに、これ以上強くすることができない強度最大値(例えば、16×IN)に達しているということである。しかし、2Tに示されている望ましくない光に対する望ましい光の比(1:1)が大幅に変化した場合、ヘッドライトの強度はRだけ低減される。極端な例の3Tでは、ヘッドライトはオフになる(IEは0近くになる)。
短い単発フラッシュと組み合わせた、IS内部センサによる測定
【0266】
さらに、上記方法の代替として、もしくは、上述したようにサイクルTにおける試験のために、ΔすなわちW(N)が測定され、その後、順に、例外的に、また、もっぱら、次のサイクル2Tのみで、期待される光パルスの代わりにランプSが、ドロップアウトとして意図的に光パルスを放出してよい。このようなサイクル2Tにおける個々の「ドロップアウト」は、(70Hzシステムの場合)1秒当たり合計70個の光パルスのうち1つのみであるので、ユーザもしくは外部の第三者はこのドロップアウトに気付かない。
【0267】
DCライトがある場合、もしくは眼鏡がAC干渉光と同期して動作する場合、干渉光は、非常に短い時間間隔N-1、N、N+1ではあまり変化せず、1つのサイクルTから次のサイクル2Tまでほぼ一定に維持される。つまり、
U(N,T)=U(N,2T) (9)
【0268】
その後、内部センサISは、サイクルTのΔW(N)を測定し、サイクル2Tでは、自身のヘッドライトがオフになるので、このΔW(N)は見えなくなる。したがって、同じタイムスロットNにおいて、W(N)の追加の測定が内部センサによって行われてよく、上記で説明した(タイムスロットN-1、N、N+1における)外部センサによる測定に頼る必要はない。両方の方法(すなわち、光源を有する内部センサ、およびオフにされた光センサ)を同時に使用する場合、この冗長性によりW(N)測定の精度および信頼性を向上させることができる。矛盾する測定値もしくは非論理的な測定値が、マイクロコントローラにより両方の方法を同時に使用することで決定され、それに応じて補正されてよい。
DCバックライト光源が無く、誤って自身の光源を見る例
【0269】
非常に暗い夜で視野を遮るものが無い(例えば、森の中で完全に1人)という極端な場合、以下の公式が適用されるものとする。
U(N)=0
【0270】
上記公式から
(2)=A(N)=U(N)+W(N)
であるので、以下の公式が適用される。
A(N)=W(N)
【0271】
この場合、眼鏡は、完全に開放/透明であり、その間、ヘッドランプは、上述のΔ測定を行うことができるように、永続的に、または明らかにもしくはほぼ永続的にオンにされてよい(例えば、300ミリ秒ごとにパルスを別々に測定する)。眼鏡は、突然の外乱が生じた場合のみ、自動的に通常のPWM変調モードに戻される。
【0272】
強いDCバックライト光源、例えば、50/60Hz低電圧回路網の電気的人工光源
【0273】
外部センサOSもしくはOL、ORは、3つの主な特徴を有する。つまり、
(1)外部センサは、産業用の人工の光(100~120Hz)に比べてずっと速く、電子的に起動することができ、マイクロコントローラによって容易に検出可能である。
(2)さらに、外部センサOSは、測定装置として標準化され(ルクス、もしくは同等の光の技術単位、もしくは対応する実効電圧の値で出力することができる)、さらに光強度も測定することができるように人の眼の感度曲線で重み付けされる。
(3)外部センサOSは、好ましくは、必ずしもというわけではないが、マイクロコントローラが瞬時に内部(LCDを通過する値)と外部(LCDを迂回する)との間でリアルタイムの「補償測定値」で測定可能であるように内部センサISと同一のセンサである。
【0274】
外部センサによって周期的な100/120Hzの振動が検出されるように、主要な人工光源が1つだけある場合、外部センサは、眼鏡のPWMの基本周波数の開始時間TNullとPWMの周波数とを決定し、この場合、外部光源の最大輝度は常にまさにサイクルの開始時に存在し、外部センサOSおよびさらに内部センサISによって即座に測定可能である。内部センサISはさらに、サイクルの開始時には、眼鏡は常に「開放」状態である、すなわち、液晶セルが透明であるので、この人工光源の最大輝度を測定することも可能である。したがって、外部センサOSおよび内部センサISは、基本的に同じ光を測定するが、透過性LCDは内部センサISの前に位置するという少しの違いがあり、つまり、連続状態で温度依存および経年変化依存の透過率を差し引いた、例えば、交差偏光子(偏光子‐検光子位置)で50%少ないというわずかな差の光を測定する。
【0275】
さらに、内部センサIS1および外部センサOS1は、仮想軸上の空間的に非常に接近した位置に、例えば、最大で3mm離間した位置に配置され、「測定ペアNo.1」(MP1)とも呼ばれる。したがって、空間周波数OF(広い意味で「ストライプパターン」)がOF>3mmであっても、全く測定誤差が発生することはない。さらに、IS2とOS2とから成る別の測定ペアMP2が、いずれも上述の測定ペアMP1に直交して存在し、その結果、測定ペアMP2が最大で3mm離間した位置にあれば、チェックボードパターン、すなわち、上述の空間周波数に対して垂直に動く空間周波数が対応する形で検出される。両方の測定ペア(MP1とMP2)は、瞳孔中心位置とセンサ配置位置との仮想三角形に従って「幾何平均値」が生成されるように、マイクロコントローラによって評価される値を提供する。
1サイクル内での積分
【0276】
内部センサISは、眼鏡が完全に開放状態で維持されている100Hz~120Hzの最初のサイクルのアイドル状態初期位相の間に、LCを通過して入射する光を測定し、この光を積分する(図11参照)。このサイクルは、100Hzもしくは120Hz同期システムの1サイクル分(すなわち、次は109Hzもしくは119Hz制御サイクルである)に過ぎないので、人の眼はこれを知覚することはない。しかし、サイクルTの第1の積分結果は存在する。
【0277】
センサISが、例えば、定数で積分する(DC干渉光)場合、真っ直ぐに伸びる線が得られ、設定閾値(トリガ設定値)を越えた後に、眼鏡を完全な閉鎖状態にする(PWMによる難しいオン・オフ・キーイング)。これは、通常、「APIDコントローラの周波数領域での同様の数学的計算」の場合に必要であるようにT+1もしくはT-1または他のサイクルを含める必要がなく、サイクルT内で決定および反応が実行されるという利点を有する。したがって、フーリエ変換、すなわち、FFTもしくはFT、DFTなどはいずれも必要ない。
【0278】
したがって、この場合、いわゆる制御は、「難しい」制御であり、サイクルT内でリアルタイムで設定値に対して反応する(「微視的制御」とも呼ばれる)。
【0279】
「巨視的制御」とは、以下の通りである。
【0280】
このN番目のサイクルの微視的積分値は、不揮発性中間メモリに記憶されて、浮動/変動平均補正値として、すなわち、次の積分値を求めるのに使用されてよい。巨視的積分値として、およそ100Hzもしくは120Hzサイクルの4分の1もしくは3分の1の範囲内(すなわち、知覚できないほどほんの一瞬の間)で使用される。
【0281】
したがって、変動する人工光の場合は、調節は、常に正確に反応して行われる。図11は、出力値もしくは外部の輝度が未知である初期位相(重み付け係数β)を示しており、サイクル2以降は、1もしくは最大の輝度、およびターゲット値Thresに達した時の積分値(Toff)を特徴とする変調ストロークに正規化されたサイクル(重み付け係数α)が続く。
【0282】
3番目のサイクルでは、例えば、外部の輝度が増加し、さらに変動する様子が示されている。対応する積分値(画像の中央のグラフ)は、より傾斜が急になるので、設定値閾値Thresにより速く到達し、その結果、眼鏡は時間内により速く閉鎖する。すなわち、Toffは前のサイクルより長くなる。積分値は、各サイクルの終わりには0に設定されるので、各サイクルは透過率TRがリアルタイムで制御される。
【0283】
シナリオ:周波数の混合が存在するような複数の強いACバックライト光源、例えば、種々の回路網の電気的人工光源
【0284】
種々の重畳周波数の混合により、外部センサが特定の干渉周波数と同期できなくなる可能性がある。しかし、このことは、オシログラムの混合が「雑音」として表され、この場合の外部光の谷部やミスファイヤが、重畳により、安定した「基礎雑音(ground noise)」による結果より多くなることはほとんどないので、利点がある。この場合、眼鏡もしくはマイクロコントローラは、同期しようとするのを停止し、一般的な設定動作周波数、例えば、70Hzに切り替えて、上記の積分スキームに従って非意図的にその周波数で動作することになる。
【0285】
シナリオ:複数の強いバックライトパルス光源、例えば、本発明のシステムもしくは同様のシステムのような電気的LEDタイプの光源
【0286】
サイクル内での即時積分により、眼鏡は、閾値に達するとすぐに閉鎖することができる。外部センサおよび内部センサのダイナミックレンジおよび測定速度は常に人の眼より速く、優れているので、極度の強度および有害なパフォーマンス、例えば、QスイッチパルスレーザもしくはパルスLEDからの高エネルギーの非常に短い光パルスを避けることもできる。
【0287】
人の眼は、角膜および網膜が傷つけられる恐れがあるので、ある程度以上増加した強度から、同時に短くなっていくパルスを知覚して、反応することができなくなる。
疑念がある場合の眼鏡の反応
【0288】
したがって、眼鏡は、高強度の時には「閉鎖」(眼保護)する傾向にあり、低強度の場合には「開放」する傾向があるが、同期させることができないカオス的特定不可能な周波数パターンの場合、複数のサイクルTにわたって(例えば、300ミリ秒にわたって)、雑音もしくはほぼ均一な光源であるように、積分および平均化を行うことによって、ある種の「平均輝度」が決定されるが、しかし、これは、基本的には、PWMの暗視および暗い範囲(適切なパルス状のスポットライトが放出される5%~約20%の開放PWMタイムスロット)の平均輝度である。
【0289】
したがって、眼鏡が提案される。眼鏡は、透過率を透過状態と遮断状態との間で切り替えることができる液晶セルLCを含む眼鏡レンズを有する。さらに、眼鏡は、眼の視線方向を決定することができるアイトラッカーETを有する。さらに、入射する可視光の輝度を測定するために少なくとも1つのセンサIL、IRが設けられ、該センサは、眼鏡レンズの眼側に配置され、少なくとも1つの眼鏡レンズによって空間分解方法で輝度を測定する。センサは、アイトラッカーによって決定された眼の視線方向からの可視光の輝度を決定することができる。眼鏡はさらに、液晶セルの透過率を制御するための閉ループ制御回路を有し、輝度の設定値は眼の位置で設定され、制御回路は、眼の視線方法のセンサによって測定された輝度を実際値と見なす。
図1
図2
図3
図4
図5
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレア抑制による視認性向上システムであって、
1.1 少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡であって、前記眼鏡は、
1.1.1 少なくとも1つの眼鏡レンズであって、
1.1.1 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率(TR)が適切な制御によって変更可能である液晶セル(LC)を有し、
1.1.1.1 前記液晶セル(LC)は、前記透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように設計される、少なくとも1つの眼鏡レンズと、
1.1.2 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)を制御もしくは調節する手段と
を備える眼鏡、
さらに、
1.2 光源(S)であって、前記光源(S)は、
1.2.1 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間の間に発光するように、前記光源(S)の発光時間および光度を制御する手段を備え、
1.2.2.1 前記光源(S)の光度と、
1.2.2.2 前記液晶セル(LC)の透過率(TR)と
1.2.2 の積の時間積分値は、前記高透過率状態の時間(Ton)が変化する時に、所定の許容範囲内で一定に維持される、光源(S)
を備えるシステムであり、
1.3 前記液晶セル(LC)および前記光源(S)の調節もしくは制御は、
1.3.1 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の期間内での前記高透過率状態の時間(Ton)の時間的位置が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、および/または
1.3.2 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の存続期間が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、
1.3.3 前記変更は秘密符号化鍵によって決定される
ように設計されるシステム。
【請求項2】
2.1 前記眼鏡は、入射する可視光の輝度を測定するための少なくとも1つのセンサ(IL,IR)を備え、
2.1.1 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記眼鏡の眼側に配置され、
2.1.2 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、前記少なくとも1つの眼鏡レンズを通過する光の輝度を測定し、
2.2 前記眼鏡はさらに、前記液晶セル(LC)の透過率を調節するための閉ループ制御回路(MC)を備え、
2.2.1 前記眼鏡着用者の眼の位置の輝度に対して、設定値が予め設定され、
2.2.2 前記制御回路は、前記センサによって測定された輝度を実際値と見なす
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
3.1 前記少なくとも1つのセンサ(IL,IR)は、
3.1.1 カメラ付き撮像システム、または
3.1.2 座標系全体を測定するための少なくとも3つのセンサ、または
3.1.3 複眼を備え、
3.2 前記眼鏡はさらに、前記眼の視線方向を決定することができるアイトラッカー(ET)を備え、
3.3 前記少なくとも1つのセンサは、前記アイトラッカー(ET)によって決定された前記視線方向から入射する可視光の輝度を決定することができ、
3.4 前記制御回路は、前記眼の視線方向の前記センサによって測定された輝度を実際値と見なす
ことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
4.1 生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるための第2の光源であって、
4.2 前記液晶セル(LC)の前記低透過率状態の時間(Toff)の間に発光する第2の光源
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源は、生物、光学センサ、もしくはカメラを眩惑させるための光源である
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光源は、ディスプレイである
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
グレア抑制による視覚向上方法であって、
7.1 少なくとも1つの眼を有する着用者用の眼鏡が提供されるステップであり、
7.1.1 前記眼鏡は、少なくとも1つの眼鏡レンズを有し、
7.1.2 前記少なくとも1つの眼鏡レンズは、透過率(TR)が適切な制御によって変更可能である液晶セル(LC)を有し、
7.1.2.1 前記液晶セル(LC)は、透過率(TR)が高透過率状態と低透過率状態との間で切り替え可能であるように選択され、
7.1.2.1.1 前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)が制御もしくは調節される、眼鏡が提供されるステップと、
7.2 光源(S)が提供されるステップであって、
7.2.1 前記光源(S)の発光時間および強度は、前記光源(S)が前記液晶セル(LC)の前記高透過率状態の時間(Ton)の間に発光するように制御もしくは調節され、
7.2.2.1 前記光源(S)の強度と、
7.2.2.2 前記液晶セル(LC)の透過率(TR)と
7.2.2 の積の時間積分値は、前記高透過率状態の時間(Ton)が変化する時に、所定の許容範囲内で一定に維持される、光源(S)が提供されるステップとを含み、
7.3 前記液晶セル(LC)および前記光源(S)の調節もしくは制御は、
7.3.1 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の期間内での前記高透過率状態の時間(Ton)の時間的位置が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、および/または
7.3.2 前記高透過率状態の時間(Ton)および低透過率状態の時間(Toff)の存続期間が連続的にもしくは不連続的に変更可能であり、
7.3.3 前記変更は、秘密符号化鍵によって決定される
ように設計される、方法。