(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058742
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/08 20060101AFI20230418BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A61B17/08
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027462
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2021123167の分割
【原出願日】2010-09-16
(31)【優先権主張番号】61/272,457
(32)【優先日】2009-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン, リンゼイ
(72)【発明者】
【氏名】ボイトー, シルビー
(72)【発明者】
【氏名】イテスク, ジョハンナ
(72)【発明者】
【氏名】カルラ, アニタ
(72)【発明者】
【氏名】ドイル, イーモン
(72)【発明者】
【氏名】ワーツ, デイビッド
(57)【要約】
【課題】複数の組織縁を接近させるためのデバイスを提供すること。
【解決手段】複数の組織縁を接近させるためのデバイスは、複数のジョーであって、各々が第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部において互いに連結されるとともに、開放構成から閉鎖構成へ変換するように構成されており、開放構成では、複数のジョーの第2の端部が互いに離れて配置されており、閉鎖構成では、複数のジョーの第2の端部が互いに近接している、複数のジョーを備えている。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組織縁(70a、70b)を接近させるためのデバイスであって、
複数のジョー(342a、342b)であって、各々が第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部において互いに連結されるとともに、開放構成から閉鎖構成へ変換するように構成されており、開放構成では、複数のジョー(342a、342b)の第2の端部が互いに離れて配置されており、閉鎖構成では、複数のジョー(342a、342b)の第2の端部が互いに近接している、複数のジョー(342a、342b)と、
前記複数のジョー(342a、342b)の間を通過するように構成されている複数のツール(326a、326b)であって、前記複数のジョー(342a、342b)に対して移動して、複数の組織縁(70a、70b)を把持して前記複数のジョー(342a、342b)の間に配置するように構成されている、複数のツール(326a、326b)と、を備えており、
前記複数のツールの各ツール(326a、326b)が、独立して作動するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記複数のジョー(342a、342b)の第1の端部が、シース(324)の遠位端部に連結されており、シース(324)が内視鏡(10)の管腔を通過するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数のジョー(342a、342b)の第1の端部が穴(346)を有しており、前記シース(324)がその穴(346)を貫通する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数のツールの各ツール(326a、326b)が、細長い区画の遠位端部に連結されており、細長い区画の近位端部が身体の外部に位置するように構成された作動デバイスに連結されており、作動デバイスが前記複数のツールの各ツール(326a、326b)を制御して前記複数の組織縁(70a、70b)を把持するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数のジョー(342a、342b)が、第1のジョー(342a)および第2のジョー(342b)を有するクリップ(340)の一部であり、その中に前記穴(346)を有する中間部分によって接合される、請求項3~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のジョー(342a)および第2のジョー(342b)が、その内面に波形表面または歯(345)を有している、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1のジョー(342a)および第2のジョー(342b)が、前記穴(346)の中心を通過する平面に関して対称である、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記クリップ(340)が、前記シース(324)の表面上に載置されて、アクセス部位(55)に送達可能である、請求項5~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数のツールが、前記シース(324)の管腔を通ってアクセス部位(55)に送達可能な把持器エンドエフェクタを有する内視鏡器具であり、把持器エンドエフェクタが、体内の任意の物体を把持するように構成された鉗子または鉤付き針を備えている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記クリップ(340)が形状記憶合金を含んでいる、請求項5~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記形状記憶合金が、チタン-パラジウム-ニッケル、ニッケル-チタン-銅、金-カドミウム、鉄-亜鉛-銅-アルミニウム、チタン-ニオブ-アルミニウム、鉄-マンガン-シリコン、ニッケル-チタン、ニッケル-鉄-亜鉛-アルミニウム、銅-アルミニウム-鉄、チタン-ニオブを含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記クリップ(340)がニチノールを含む、またはニチノールから構成されている、請求項10または11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/271,457号(2009年9月25日出願)と関連し、および優先権を主張し、この出願は、その全体が本明細書に参照によって援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、手術中に使用される組織接近クリップに関する。具体的には、本発明の実施形態は、組織縁を相互に接近させて、手術中に作成された開口を閉じるために使用され得るクリップに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、外科手術の主な動きは、伝統的な手術への低侵襲的アプローチの開発および適用である。一般外科手術においては、腹腔鏡手術手技に重点が置かれており、それは現在、腹腔内手術のほとんどに適用することができる。腹壁の外傷についての結果として得られる減少は、腹部手術を受ける患者に良好な影響をもたらす。
【0004】
最近になって、外傷が少ない経管的内視鏡手術への関心が存在している。経管的内視鏡手術において、内視鏡は、腹膜腔等の体腔内で機能するように、胃または他の臓器の壁を慎重に破る(穿刺する)ために使用される。一点アクセス手術は、外科医がほぼ排他的に患者の臍等の単一の進入点を通して手術をする先進的な低侵襲外科手術である。経管的内視鏡手術において、(必要な手術ツールとともに)可撓性内視鏡が、例えば、天然解剖学的開口部を通して胃に挿入される。いったん内視鏡が胃または他の臓器の中のアクセス部位に到達すると、臓器の壁が穿刺され、内視鏡が、細心の注意を要する外科手術を行うために遠隔制御された手術ツールを使用することができる、腹腔の中へ前進させられる。外科手術が完了すると、内視鏡およびツールは臓器壁の開口を通して引き出され、開口は閉鎖される。
【0005】
低侵襲手術は、外科手術と関連する外傷を低減する大きな可能性を有するが、これらの手技を広く採用することができる前に、いくつかの重要な開発が推進されるべきである。1つのそのような開発は、ステープルで留めるか、または別様に一緒に接合することができるように、体腔内の2つの組織縁を接近させる安全かつ有効な方法である。既存の組織接近技法は、すでに相互に接近している2つの組織縁の接合を可能にするのみである。しばしば、組織縁を接合し、それにより、治癒を開始させるためには、1つの組織縁を第1の場所から第2の組織縁の場所へ持っていく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、複数の組織縁を接近させるためのデバイスを含み得る。デバイスは、第1の端部および第2の端部を各々有する複数のジョーであって、第1の端部において連結される複数のジョーを含み得る。デバイスはまた、ジョーの間に位置する固定要素を含み得る。ジョーは、固定要素に対して開放構成から閉鎖構成まで独立して移動させられ得る。開放構成は、ジョーの第2の端部が固定要素から離れて位置する構成であり得、閉鎖構成は、ジョーの第2の端部が固定要素と噛合して、ジョーと固定要素との間に組織縁を把持する構成であり得る。
【0008】
本発明の種々の実施形態は、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。固定要素の1つの端部は、第1の端部で前記複数のジョーに連結されてもよく、第1の端部は、細長い部材の遠位端部に連結されてもよく、細長い部材の近位端部は、作動デバイスに連結されてもよく、作動デバイスは、固定要素に対してジョーを移動させるように構成されてもよく、細長い部材は、内視鏡の管腔を通過するように構成されてもよく、固定要素は、鉤を含んでもよく、鉤は、ジョーと固定要素との間において組織縁を貫通するように構成されてもよい。
【0009】
本発明の実施形態はまた、複数の組織縁を接近させるためのデバイスを含んでもよい。デバイスは、第1の端部および第2の端部を各々含む、複数のジョーを含んでもよい。ジョーは、それらの第1の端部において相互に連結され、開放構成から閉鎖構成まで変換するように構成されてもよい。開放構成は、ジョーの第2の端部が別のジョーの第2の端部から離れて位置する構成であってもよい。閉鎖構成は、ジョーの第2の端部が別のジョーの第2の端部に近接している構成であってもよい。デバイスはまた、ジョーの間を通過するように構成される1つ以上のツールを含んでもよい。ツールは、ジョーに対して移動し、ジョーの間に組織縁を把持するように構成されてもよい。
【0010】
本発明の種々の実施形態はまた、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。ジョーの第1の端部は、細長い部材の遠位端部に連結されてもよく、細長い部材は、内視鏡の管腔を通過するように構成されてもよく、第1の端部は、穴を含んでもよく、細長い部材は、穴を通って延在してもよく、ツールは、細長い区画の遠位端部に連結されてもよく、細長い区画の近位端部は、身体の外部に位置するように構成される作動デバイスに連結されてもよく、作動デバイスは、ツールを制御して組織縁を把持するように構成されてもよい。
【0011】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させるためのデバイスを含んでもよい。デバイスは、第1の端部において相互に連結される複数のジョーと、ジョーの間に位置する中間部分とを含んでもよい。中間部分は、一緒に連結された複数の分岐を含んでもよい。分岐は、移動してジョーと噛合し、分岐とジョーとの間に組織縁を把持するように構成されてもよい。
【0012】
本発明の種々の実施形態はまた、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。中間部分は、細長い部材の遠位端部に連結され、細長い部材の近位端部は、作動デバイスに連結され、作動デバイスは、各分岐を移動させるように構成されてもよく、細長い部材の遠位端部は、溝を含んでもよく、ジョーの第1の端部は、溝に近接して位置してもよく、ジョーは、第1の端部で接合されてもよく、第1の端部は、中間部分が通過する穴を含んでもよい。
【0013】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させるためのデバイスを含んでもよい。デバイスは、近位端部および遠位端部を含む、第1のジョーと、近位端部および遠位端部を含む、第2のジョーとを含んでもよい。第1のジョーおよび第2のジョーは、開放構成から閉鎖構成に変換するように構成されてもよい。開放構成は、ジョーの遠位端部が相互から離れて位置する構成であってもよく、閉鎖構成は、ジョーの遠位端部が相互に近接して位置する構成であってもよい。デバイスはまた、第1の端部および第2の端部を含む、鉤を含んでもよい。第1の端部は、第1のジョーに連結されてもよい。デバイスは、ジョーの上に特徴を含んでもよく、特徴は、ジョーが閉鎖構成であるときに、鉤の第2の端部を受容するように構成されてもよい。
【0014】
本発明の種々の実施形態は、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のジョーは、第2のジョーに対して移動してもよく、特徴は、穴を含んでもよく、ジョーは、ジョーの追従性を増加させるように構成される要素を含んでもよく、鉤は、第1の構成から第2の構成に変換するように構成されてもよく、第1の構成は、鉤の第2の端部が第1のジョーに近接している制限構成であってもよく、第2の構成は、鉤の第2の端部が第1のジョーの遠位にある展開構成であってもよく、鉤の第2の端部は、鋭い先端を含んでもよく、鉤は、鉤の表面から突出する複数のスパイクを含んでもよく、第1および第2のジョーは、細長い部材の端に連結されてもよく、細長い部材は、内視鏡の管腔を通過するように構成されてもよい。
【0015】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させる方法を含んでもよい。方法は、クリップを組織縁の場所へ送達するステップを含んでもよい。クリップは、複数のジョーと、固定要素とを含んでもよく、ジョーは、開放構成から閉鎖構成に移動させられてもよい。方法はまた、ジョーと固定要素との間に組織縁を把持するステップと、把持された組織縁とともにクリップを第2の組織縁に近接する場所へ移動させるステップとを含んでもよい。方法はさらに、第2のジョーと固定要素との間に組織縁を把持するステップと、組織縁がジョーの間に把持された状態でクリップを解放するステップとを含んでもよい。
【0016】
本発明の種々の実施形態はまた、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。固定要素が、ジョーの間に位置してもよく、ジョーは、固定要素に対して独立して移動させられてもよく、ジョーの閉鎖構成は、ジョーが固定要素と噛合する構成であってもよく、開放構成は、ジョーが固定要素から離れて配置されてもよい構成であってもよく、クリップを送達するステップは、身体の中へ延在するデバイスの管腔を通してクリップを送達するステップを含んでもよく、管腔の外側でクリップを延在させるステップは、ジョーを開放構成に変換してもよく、管腔の中へクリップを後退させるステップは、ジョーを閉鎖構成に変換してもよく、方法はさらに、ジョーを閉鎖構成に変換するように、管腔の中へクリップを後退させるステップと、ジョーと固定要素との間に組織縁を把持するステップと、ジョーと固定要素との間に別の組織縁を把持するステップとを含んでもよく、固定要素は、組織縁を貫通するように構成される鉤を含んでもよい。
【0017】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させる別の方法を含んでもよい。方法は、複数のジョーを含むクリップを組織縁の場所へ送達するステップと、第1のツールを組織縁の場所へ送達するステップとを含んでもよい。方法はまた、第1のツールを使用して組織縁を把持するステップと、把持された組織縁を有する第1のツールを、ジョーの間の場所へ後退させるステップと、第2のツールを組織縁の場所へ送達するステップとを含んでもよい。方法はさらに、第2のツールを使用して第2の組織縁を把持するステップと、組織縁を接近させるように、把持された組織縁を有する第2のツールを、ジョーの間の場所へ後退させるステップとを含んでもよい。
【0018】
本発明の種々の実施形態はまた、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。ジョーは、第1の端部と、第2の端部とを含んでもよく、開放構成から閉鎖構成まで変換するように構成されてもよく、開放構成は、ジョーの遠位端部が相互から離れて位置する構成であってもよく、閉鎖構成は、ジョーの遠位端部が相互に近接している構成であってもよく、クリップを送達するステップは、身体の中へと延在するデバイスの管腔を通してクリップを送達するステップを含んでもよく、管腔は、カテーテルの管腔または内視鏡の作業管腔のうちの1つを含んでもよく、管腔の外側でクリップを延在させるステップは、ジョーを開放構成に変換してもよく、管腔の中へクリップを後退させるステップは、ジョーを閉鎖構成に変換してもよく、方法はさらに、ジョーを開放構成に変換するように、管腔の外側でクリップを延在させるステップと、クリップを閉鎖構成に変換し、複数のジョーの間に組織縁を把持するように、管腔の中へクリップを後退させるステップとを含んでもよく、方法はさらに、第1のツールから組織縁を、および第2のツールから組織縁を解放するステップと、クリップが組織縁を把持している状態でクリップを解放するステップと、組織縁を一緒に接合するように、把持された組織縁を鉤で貫通するステップと、第1のツールから組織縁を、および第2のツールから第2の組織縁を解放するステップと、鉤が組織縁を貫通している状態で鉤を解放するステップとを含んでもよい。
【0019】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させる別の方法を含んでもよい。方法は、クリップを組織縁の場所へ送達するステップを含んでもよく、クリップは、少なくとも1つのジョーが、別のジョーに対して開放構成から閉鎖構成まで移動可能である、一緒に連結されるジョーと、ジョーに連結される鉤とを含んでもよい。方法はまた、ジョーの間に組織縁を把持するように、可動ジョーを閉鎖構成に変換するステップと、鉤によって組織縁を貫通するステップとを含んでもよい。方法はさらに、把持された組織縁とともにクリップを別の組織縁に近接する場所へ移動させるステップと、把持された組織縁を有する可動ジョーを開放構成に変換するステップとを含んでもよい。方法はまた、ジョーの間に組織縁を把持するように、可動ジョーを閉鎖構成に変換するステップを含んでもよく、組織縁は、鉤によって貫通されてもよい。
【0020】
本発明の種々の実施形態は、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。鉤が、組織縁を貫通してもよい一方で、可動ジョーは、組織縁を把持するように閉鎖構成に変換してもよく、閉鎖構成は、ジョーのうちの各々の遠位端部が相互に近接している構成であってもよく、開放構成は、ジョーのうちの各々の遠位端部が相互から離れて位置する構成であってもよく、鉤は、第1の端部と第2の端部とを含んでもよく、第1の端部は、ジョーに連結されてもよく、第2の端部は、鋭い先を形成してもよく、鉤の第2の端部は、第1のジョーに近接してもよく、方法はさらに、鉤を展開配向に移動させるステップであって、鉤の第2の端部は、組織縁を把持するように可動ジョーを閉鎖構成に変換した後に、組織縁を貫通するように設置されてもよい、ステップを含んでもよく、方法はまた、ジョーの上に追従特徴を含んでもよく、鉤は、鉤の表面から突出する複数のスパイクを含んでもよく、クリップが組織縁を把持している状態でクリップを解放するステップと、鉤が組織縁を貫通している状態でクリップから鉤を非連結するステップとを含み、クリップを送達するステップは、身体の中へ延在するデバイスの管腔を通してクリップを送達するステップを含み、デバイスは、カテーテルまたは内視鏡のうちの1つを含んでもよい。
【0021】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させる別の方法を含んでもよい。方法は、細長い部材の上に載置されたクリップを組織縁の場所へ送達するステップを含んでもよく、細長い部材は、遠位端部における複数の分岐と、分岐の周囲に位置する複数のジョーを含むクリップとを含んでもよく、分岐は、閉鎖構成と開放構成との間で移動させられてもよい。方法はまた、分岐とジョーとの間に組織縁を把持するように、分岐を開放構成に移動させるステップと、把持された組織縁とともにクリップを組織縁に近接する場所に移動させるステップとを含んでもよい。方法はまた、分岐とジョーとの間に組織縁を把持するように、分岐を開放構成に移動させるステップと、クリップが組織縁を把持している状態でクリップを解放するステップとを含んでもよい。
【0022】
本発明の種々の実施形態はまた、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。クリップを送達するステップは、身体の中へ延在するデバイスの管腔を通してクリップを送達するステップを含んでもよく、管腔の外側でクリップを延在させるステップは、ジョーを開放構成に変換してもよく、管腔の中へクリップを後退させるステップは、ジョーを閉鎖構成に変換してもよく、開放構成は、ジョーの遠位端部が相互から離れて位置する構成であってもよく、閉鎖構成は、ジョーの遠位端部が相互から近接して位置する構成であってもよく、ジョーを開放構成に変換するように、管腔の外側でクリップを延在させ、ジョーを閉鎖構成に変換し、ジョーと分岐との間に組織縁を把持するために管腔の中へクリップを後退させるステップと、閉鎖構成のジョーの間から分岐を後退させるステップとを含み、クリップを送達するステップは、細長い部材の溝の上にクリップを設置するステップであって、溝は、細長い部材の遠位端部に近接して位置してもよい、ステップと、クリップを解放した後に溝の上に第2のクリップを設置するステップとを含んでもよく、分岐は、別の分岐に対して閉鎖構成と開放構成との間で独立して移動させられてもよく、複数のクリップは、細長い部材の上に載置されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態はまた、組織縁を接近させる別の方法を含んでもよい。方法は、複数のジョーを含むクリップを組織縁の場所へ送達するステップであって、ジョーは、開放構成と閉鎖構成との間で変換するように構成される、ステップと、捕捉ツールを身体の中へ送達するステップと、捕捉ツールを使用して組織縁を引っ掛けるステップとを含んでもよい。方法はまた、ジョーの間で組織を引きずるように、捕捉ツールを後退させるステップと、ジョーの間に組織縁を把持するように、ジョーを閉鎖構成に変換するステップと、クリップが組織縁を把持している状態でクリップを解放するステップとを含んでもよい。
【0024】
本発明の種々の実施形態は、以下の側面のうちの1つ以上を含んでもよい。クリップを送達するステップは、身体の中へ延在するデバイスの管腔を通してクリップを送達するステップを含み、管腔の外側でクリップを延在させるステップは、ジョーを開放構成に変換し、管腔の中へクリップを後退させるステップは、ジョーを閉鎖構成に変換し、開放構成は、ジョーの遠位端部が相互から離れて位置する構成であってもよく、閉鎖構成は、ジョーの遠位端部が相互から近接して位置する構成であってもよく、ジョーを開放構成に展開するように、外側でクリップを延在させるステップと、ジョーを閉鎖構成に変換するように、管腔の中へクリップを後退させるステップとを含み、捕捉ツールを身体の中へ送達するステップは、第1の捕捉ツールをジョーの間で身体の中へ送達するステップと、第2の捕捉ツールをジョーの間で身体の中へ送達するステップとを含んでもよく、組織縁を引っ掛けるステップは、第1の捕捉ツールを使用して組織縁を引っ掛けるステップと、第2の捕捉ツールを使用して組織縁を引っ掛けるステップとを含んでもよく、捕捉ツールを後退させるステップは、ジョーの間の場所へ組織縁を引きずるように、捕捉ツールを後退させるステップと、ジョーの間の場所へ第2の組織縁を引きずるように、捕捉ツールを後退させるステップとを含んでもよく、クリップを送達するステップは、細長い部材の上に載置されたクリップを身体の中へ送達するステップを含み、クリップを解放するステップは、細長い部材からクリップを摺動させて外すステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、本明細書とともに、本発明の原則を説明する働きをする。
【
図1】
図1は、例示的な経管的内視鏡手術を行う内視鏡の概略図である。
【
図2】
図2Aおよび2Bは、内視鏡手術中に作成された開口を閉じるための例示的なクリップの概略図である。
【
図3】
図3A~3Hは、クリップを使用する例示的な方法の説明図である。
【
図4】
図4は、クリップの別の実施形態の概略図である。
【
図5】
図5A~5Dは、クリップを使用する例示的な方法の説明図である。
【
図6】
図6は、クリップの別の実施形態の概略図である。
【
図7】
図7A~7Eは、クリップを使用する例示的な方法の説明図である。
【
図8】
図8Aおよび8Bは、クリップの別の実施形態およびクリップを使用する方法の説明図である。
【
図9】
図9A~9Dは、クリップの別の実施形態およびクリップを使用する方法の説明図である。
【
図11】
図11A~11Eは、クリップを使用する例示的な方法の説明図である。
【
図12】
図12A~12Eは、クリップの別の実施形態およびクリップを使用する方法の説明図である。
【
図13】
図13A~13Eは、クリップの別の実施形態およびクリップを使用する方法の説明図である。
【
図14】
図14A~14Fは、クリップの別の実施形態およびクリップを使用する方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、本発明の例示的な実施形態を詳細に参照し、その実施例が添付図面に示されている。可能な限り、同一または同様の部分を指すために、図面全体にわたって同一の参照番号が使用される。たとえそうであっても、本発明は、本明細書に記載される具体的実施形態および図面に限定されない。
【0027】
図1は、例示的な内視鏡手術を行う例示的な内視鏡10を示す。内視鏡手術の非限定的実施例は、胆嚢摘出術、胃空腸吻合術、胃の切除術、ポリープ切除術、精管切除術、卵管結紮術等を含んでもよい。一実施形態では、内視鏡10、またはガイドチューブまたはカテーテル等の他の好適なデバイスが、食道を通して胃5に挿入され得る。内視鏡10は、臓器壁70上に開口80を作成し、開口80を通過し、作業部位において動作し得る。作業部位は、例えば、小腸50の一部を含むことができる。
図1の内視鏡10の示された適用は、例示的にすぎず、本開示の本発明は、当技術分野で公知である任意の外科的用途または医療処置に適用されてもよいことが強調されるべきである。
【0028】
内視鏡10は、近位端部60と遠位端部90との間に延在する細長い部材15を含んでもよい。
図1に示された構成では、近位端部60は、体外にある内視鏡10の端を含んでもよく、遠位端部90は、体内にある内視鏡10の端を含んでもよい。複数の管腔20は、内視鏡10を通って長手方向に伸びてもよい。管腔20は、体外の近位端部60と体内の遠位端部90との間に延在してもよい。いくつかの実施形態では、管腔の長手軸は、内視鏡10の長手軸と実質的に並行であってもよい。
【0029】
管腔20は、体内で診断または治療タスクを行うことに役立ち得るデバイスおよび設備へのアクセスを提供してもよい。一般に、管腔は、任意の形状または幾何学形状であってもよい。いくつかの実施形態では、一部または全ての管腔は、使用を促進するように、ポリマーまたは別の層または被覆で裏打ちされてもよい。これらの管腔20は、とりわけ、吸引管腔、洗浄管腔、照射管腔、視認管腔、および作業管腔のうちの1つ以上を含んでもよい。照射管腔は、作業部位を照射するように構成される、遠位端部におけるデバイスを含んでもよい。これらのデバイスは、とりわけ、電球、LED、光ファイバケーブル、およびライトガイドを含んでもよい。視認管腔は、体外に作業部位の画像を送達するように構成される、遠位端部90におけるデバイス(カメラ等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カメラは、CCDまたはCMOSカメラ等のデジタルカメラであってもよい。照射および視認管腔はまた、遠位端部90から近位端部60に伸びてもよい、ケーブルを含んでもよい。
【0030】
洗浄管腔は、近位端部60から遠位端部90への流体流動を促進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、洗浄管腔の近位端部60は、流体源に取り付けられてもよく、遠位端部90は、流体流動を改変するようにノズルに取り付けられてもよい。吸引管腔は、そこを通る吸引および/または流体の流動を促進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体は、洗浄管腔を通して近位端部60から作業部位へと流れてもよい。次いで、流体は、吸引管腔を通して作業部位から除去されてもよい。いくつかの実施形態では、吸引管腔はまた、作業部位から流体とともに生体物質を除去するように構成されてもよい。例えば、流体(洗浄管腔を介して作業部位に送達される)とともに、組織試料が、吸引管腔を通して体外に抽出されてもよい。
【0031】
作業管腔は、内視鏡器具30を作業部位に送達するように構成される、中空の空洞を含んでもよい。内視鏡器具30は、体外から遠隔制御されながら、作業部位で動作するように構成される、外科用ツールを含んでもよい。外科用ツールは、内視鏡器具30の遠位端部に取り付けられてもよい、エンドエフェクタ32として構成されてもよい。一般に、作業管腔は、任意の好適な形状、サイズ、および構成を有してもよい。いくつかの実施形態では、作業管腔は、実質的に円形の断面を有してもよい一方で、他の実施形態では、作業管腔の形状は、それに内視鏡器具30のエンドエフェクタ32を通過させるように構成されてもよい。内視鏡のいくつかの実施形態は、複数の外科用ツールを作業部位に送達するように複数の作業管腔を含んでもよい。
【0032】
エンドエフェクタ32に加えて、内視鏡器具30はまた、体外からエンドエフェクタ32を操作する機構を含んでもよい。この機構は、近位端部において、エンドエフェクタ32を作動デバイス(図示せず)に接続する連結部を含んでもよい。この連結部は、作動デバイスの作動に反応して、エンドエフェクタ32を操作してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ32は、相互に回転可能に連結される一対のジョーを有する鉗子を含んでもよい。本実施形態の連結部は、各々、遠位端部において鉗子のジョー、および近位端部において作動デバイスに連結される、一対のケーブルを含んでもよい。作動デバイスの作動は、ケーブルのうちの一方を他方に対して移動させ、鉗子のジョーを開閉させてもよい。
【0033】
エンドエフェクタ32は、内視鏡10と併せて使用されてもよい、任意の医療器具を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ32は、純粋に機械的な医療器具(例えば、生検鉗子、バスケット、把持器、スネア、外科用ナイフ、針、縫合器具等)を含んでもよい一方で、他の実施形態では、エンドエフェクタ32はまた、電流によって起動される部品を有するデバイス(例えば、電気モータ、切断または焼灼用の加熱要素、止血デバイス、無線周波数切除デバイス等)を含んでもよい。エンドエフェクタ32はまた、身体の内面を穿刺するために使用される、トロカール等の外科用器具を含んでもよい。
【0034】
図1に示された例示的な経管的内視鏡手術では、内視鏡10は、天然解剖学的開口部(口、肛門、および膣等)を通して体内に挿入されてもよい。内視鏡10の遠位端部90が内面(臓器壁70等)に近接すると、内視鏡器具30、例えば、臓器壁70を穿刺するために好適なエンドエフェクタが、作業管腔を介して内視鏡10の遠位端部90に送達されてもよい。エンドエフェクタは、臓器壁70を穿刺するために使用されてもよい。臓器壁70を穿刺することにより、切断された複数の組織縁を作成してもよい。これらの組織縁は、第1の組織縁70aと、第2の組織縁70bとを含んでもよい。いったん臓器壁70が穿刺されると、エンドエフェクタ32を有する内視鏡ツール30が作業管腔から引き出されてもよく、内視鏡10が開口80を通して腹腔に挿入されてもよい。内視鏡10の遠位端部90が、所望の作業部位、例えば、小腸50に設置されると、所望のタスクを行うように構成されるエンドエフェクタ32を有する内視鏡ツール30が、作業管腔を通して作業部位に送達されてもよい。
【0035】
所望の作業は、エンドエフェクタ32を使用して作業部位で行われてもよい。所望のタスクを完了するために、2つ以上のツールが必要とされる場合、他の所望のエンドエフェクタ32も、作業部位に送達されてもよい。所望の作業の完了後、内視鏡10およびツールは、開口80を通して腹腔から後退させられてもよい。開口80は、治癒過程を開始するように分離された組織縁(例えば、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70b)を接合することによって、閉じられてもよい。開口80を閉じるために、相互から空間的に変位された2つ以上の組織縁は、一緒に接合することができる前に、相互の近くに再配置される(本明細書では「接近させられる」と呼ばれる)必要があってもよい。ここで、本開示の実施形態による組織接近クリップが、作業管腔を介してアクセス部位55または開口に送達されてもよい。接近クリップは、アクセス部位55における異なる場所で組織縁を把持し、それらを相互に接近させ、組織片を一緒に接合するように構成されてもよい。
【0036】
本開示の組織接近クリップは、任意の好適な生体適合性材料でできていてもよい。一般に、クリップは、弾性、可塑性、弾性完全塑性、超弾性等である挙動を示す材料等の、任意の種類の構造挙動を有する材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料が含まれてもよい。また、いくつかの実施形態では、クリップは、複数の材料でできている複数の構成要素から構成されてもよいことが検討される。いくつかの実施形態では、クリップは、形状記憶合金(SMA)を含んでもよい。クリップに含まれるSMAの非限定的実施例は、チタン-パラジウム-ニッケル、ニッケル-チタン-銅、金-カドミウム、鉄-亜鉛-銅-アルミニウム、チタン-ニオブ-アルミニウム、鉄-マンガン-シリコン、ニッケル-チタン、ニッケル-鉄-亜鉛-アルミニウム、銅-アルミニウム-鉄、チタン-ニオブ等の合金を含む。いくつかの実施形態では、クリップは、ニチノールを含むか、またはニチノールから構成されてもよい。
【0037】
一般に、本開示のクリップは、当技術分野で公知である任意の過程によって作製されてもよい。いくつかの実施形態では、クリップのアームまたはジョーは、材料の屈曲作業によって形成されてもよく、クリップを通る穴または空洞は、機械加工またはレーザドリル作業によって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、クリップは、製造過程中または後に、熱処理または他の微細構造修正冶金作業を受けてもよい。クリップが形状記憶合金を含み得る実施形態では、クリップの材料または製造されたクリップが、冶金処理を受けてもよい。これらの冶金作業は、熱または他の刺激の印加によって、クリップが第1の構成から第2の構成まで変換することを可能にしてもよい。第1の構成は、形状記憶合金のマルテンサイト相に対応してもよく、第2の構成は、オーステナイト相に対応してもよい。ここで、本開示のクリップのいくつかの実施形態およびそれらの操作方法を以下の段落において説明する。
【0038】
図2Aは、開口80に送達され得る組織接近クリップ40の実施形態を示す。クリップ40は、単一の構造を備えてもよく、ストリップの中心に対して角度を成し、かつストリップの中心を通過する、平面54に沿って折り曲げられた材料のストリップに似ていてもよい。クリップ40は、中間部分43によって接合される、第2のジョー42aおよび第1のジョー42bという2つのジョーを有してもよい。クリップ40はさらに、貫通穴46を含んでもよい。2つのジョーの内面は、歯45等の不規則または波形表面を有してもよい。クリップ40の表面波形が歯45として図示されているが、任意の種類の表面構成も使用されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のジョー42aおよび第1のジョー42bは、貫通穴46の中心を通過してもよい平面54に関して対称であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、2つのジョーは対称ではなくてもよいことが検討される。貫通穴46は、任意の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、貫通穴46は、円形の形状を有してもよい。
【0039】
クリップ40は、2つのジョー(第2のジョー42aおよび第1のジョー42b)と、厚さの方向に沿った不変断面とを有するものとして図示されているが、クリップ40は他の構成を有することが検討される。例えば、
図2Bで示されたクリップ40aの実施形態では、クリップ40aは、第2のジョー42a、第1のジョー42b、および第3のジョー42cといった、少なくとも3つのジョーを有するチューリップの形状に似ていてもよい。ジョーは、実質的にチューリップの花弁のように成形されてもよい。クリップ40aの他の実施形態は、異なる数のジョーを有してもよい。
図2Aに示された実施形態の場合のように、クリップ40aのジョーは、その中心に位置する貫通穴46aを有する中間部分43aによって接合されてもよい。軸54aが、貫通穴46aの中心を通過してもよく、3つのジョーの内面は、波形表面または歯45aを有してもよい。
【0040】
図3A~Hは、組織縁を接近させ、それらを接合するためにクリップ40を使用する例示的な方法を示す。1つ以上のクリップ40が、プッシュロッド22の上に搭載され、管状カテーテル35を通してアクセス部位55に送達され得る。クリップ40は、カテーテル35の内部にある間、閉鎖構成となるように拘束され得る。アクセス部位55において、依然としてプッシュロッド22の上に載置されているクリップ40が、カテーテル35内から延長され得る。クリップ40がカテーテル35内から出現すると、クリップを閉鎖構成に保持する拘束が解放され得、クリップが開放構成に拡張し得る。また、いくつかの実施形態では、クリップ40がカテーテル35から出現するときに、拘束がクリップを開放構成へと強制してもよいことが検討される。アクセス部位55は、内臓壁70を通って横断しながら作成される、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bといった、1つ以上の組織縁を有してもよい。第1の組織縁70aは、1つのジョーとプッシュロッド22との間に把持され、第2の組織縁70bの場所へ引きずられてもよい。次いで、第2の組織縁70bは、別のジョーとプッシュロッド22との間に把持されてもよい。次いで、プッシュロッド22は、クリップ40の間から引き出され、カテーテル35の中へ後退させられてもよく、そのジョーの間に組織縁が掴まれた状態でクリップ40を解放する。解放されたクリップ40は、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bを接近させてもよい。ここで、このクリップ40の操作方法のいくつかの実施形態の各ステップを、さらに詳細に説明する。
【0041】
図3Aおよび3Bは、プッシュロッド22の上にクリップ40を載置するステップを示す。プッシュロッド22は、その遠位端部付近に溝28を有する細長い部材であってもよい。溝28を通り越したところに、プッシュロッドは、第2の分岐24aおよび第1の分岐24bといった2つの分岐を有するヒンジを含んでもよい。2つの分岐は、プッシュロッド22の最遠位部を形成してもよい。ヒンジ26は、各分岐が他方とは無関係に開くことを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、分岐の開放は、純粋に機械的な動作であってもよい一方で、他の実施形態では、分岐を開くために、熱および/または電気等のエネルギーが、単独で、または機械エネルギーと組み合わせて使用されてもよい。開いている間、第2の分岐24aおよび第1の分岐24bは、ヒンジ26の周りを回転してもよい。閉じている間、分岐は、反対に回転してもよい。分岐は、開閉している間、ヒンジ26の周りを回転するものとして説明されているが、また、いくつかの実施形態では、2つの分岐は、開閉している間、相互に対して別の方式で移動してもよいことも検討される。分岐の開閉は、プッシュロッド22の近位端部における作動機構によって制御されてもよい。この作動機構は、分岐を作動機構に接続する連結部を含んでもよい。これらの連結部は、作動デバイスによる起動に反応して、分岐を開閉してもよい。いくつかの実施形態では、連結部は、各分岐に連結されるケーブルを含んでもよい。これらの実施形態では、分岐に接続されるケーブルを引くことによって、分岐を開いてもよい。他の実施形態では、プッシュロッドが分岐を押し開いてもよい。いくつかの実施形態では、分岐は、バネを用いて、閉鎖構成にとどまるように付勢されてもよい。これらの実施形態では、ケーブルを引くことによって分岐を開いてもよく、ケーブルを解放することによって分岐を閉じてもよい。
【0042】
プッシュロッド22の遠位端部は、搭載されたクリップのジョーが分岐に対面するように、プッシュロッドの上に1つ以上のクリップ40を搭載するよう貫通穴46に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、貫通穴46およびプッシュロッド22の直径は、クリップとプッシュロッドの噛合表面間の摩擦抵抗が、プッシュロッド22の表面上でクリップ40を保持するようなものであってもよい。2つの分岐に最も近いクリップは、クリップの貫通穴46が溝26の上に設置されてもよいように、プッシュロッド22の上に位置してもよい。クリップ40がこの位置にある間に、プッシュロッドの分岐を開くことにより、クリップ40のジョーの歯45の上に静置するまで、分岐を回転させてもよい。例えば、クリップ40が溝26の上に位置するとき、第1の分岐24bを開くことにより、第1の分岐が第1のジョー42bの歯45に対して静置するまで、この分岐を反時計回り方向に回転させてもよい(
図3E参照)。第1の分岐24bのさらなる開放が、この分岐を第1のジョー42bに押し付けてもよい。
【0043】
搭載されたクリップとともに、プッシュロッド22が、
図3Cで見られるようにカテーテル35に挿入されてもよい。カテーテル35は、内視鏡10の作業管腔に挿入されるようにサイズ決定された外径を有する中空管を備えてもよい。クリップ40のジョーは、カテーテル35に挿入されている間に、開放構成から閉鎖構成へと内向きに偏向してもよい。カテーテル35の遠位端部の内径は、閉鎖構成のクリップが自由にカテーテル内で長手方向に摺動してもよいようなものであってもよい。プッシュロッド22は、全ての搭載されたクリップがカテーテル内に設置され、プッシュロッド22の近位端部がカテーテル35の近位端部から突出するように、カテーテル35に挿入されてもよい。遠位端部付近でいくらかの距離を置いて、カテーテル35の内面は、クリップ40の長手方向移動を停止するように設計されているフランジ58を有してもよい。いくつかの実施形態では、フランジ58は、カテーテル35の縮小直径の領域であってもよい。また、フランジ58は、突起部を通り越した搭載されたクリップの通過を防止するサイズの突起部等の、他の構成を有することができることも検討される。
【0044】
いくつかの実施形態では、カテーテル35の最遠位端部からのフランジ58の距離は、カテーテル内に設置されたプッシュロッドの上に搭載されてもよいクリップ40の数を判定する際の因数であってもよい。カテーテル35の内径は、プッシュロッド22の溝28の上にクリップを設置することを促進するように構成されてもよい。例えば、カテーテル35の近位端部から近位方向にプッシュロッド22を引くことにより、搭載されたクリップとともに、プッシュロッドを、近位端部に向かってカテーテルの中へ移動させてもよい。この移動中に、搭載されたクリップは、フランジ58の中へ通行してもよい。したがって、フランジは、近位端部に向かうクリップの長手方向移動を防止してもよい。近位端部に向かってプッシュロッドをさらに引くことにより、プッシュロッドを貫通穴46の上で摺動させ、それにより、溝の上にクリップを設置してもよい。
【0045】
ここで、挿入されたプッシュロッド22を有するカテーテル35が、内視鏡10の作業管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよい。内視鏡は、内視鏡10の遠位端部90がアクセス部位55に近接するように体内に設置されてもよい。
図3Dは、アクセス部位55へのクリップ40の送達の一実施形態を示す。カテーテル35は、搭載されたクリップ40が内視鏡10の遠位端部90から延在するように送達されてもよい。したがって、設置されている間に、プッシュロッド22を近位端部からカテーテル35の中へ押し込むことにより、搭載されたクリップ40を有するプッシュロッド22を、カテーテル35の遠位端部から外へ延在させてもよい。溝28の上に設置されたクリップ40をカテーテル35の遠位端部から延在させるように、プッシュロッド22がカテーテル35に押し込まれると、クリップ40のジョーが、その開放構成に跳ね返ってもよい。いくつかの実施形態では、ジョーは、それらの事前変形構成に完全には戻らなくてもよいが、いくらかの塑性変形を保持してもよいことが検討される。ここで、内視鏡10の遠位端部90および/またはカテーテル35の遠位端部は、拡張クリップ40を設置して、1つの組織縁(第1の組織縁70aまたは第2の組織縁70b)を接近させるように操作されてもよい。
【0046】
ここで、クリップ40は、これらの分離された組織縁を把持するために使用されてもよい。
図3Eは、第1の分岐24bと第1のジョー42bとの間に第2の組織縁70bを把持するステップを示す。第2の組織縁70bを把持するために、クリップ40は、第1の分岐24bと第1のジョー42bとの間に第2の組織縁70bを設置するように操作されてもよい。クリップ40が好適に設置されると、第1の分岐24bを開くために作動デバイスが使用されてもよい。第1の分岐24bを開くことにより、反時計回り方向にヒンジ26の周りを第1の分岐24bを回転させてもよい。第1の分岐24bを開くことにより、捕捉された第2の組織縁70bを第1のジョー42bの歯45に対して押し進め、それにより、第1の分岐24bと第1のジョー42bとの間に第2の組織縁70bをしっかりと把持してもよい。したがって、第2の組織縁70bを把持しながら、内視鏡10またはカテーテル35が、第1の組織縁70aの場所へと操作されてもよい。クリップ40が好適に第1の組織縁70aに近接して設置されると、第2のジョー42aは、第2のジョー42aと第1の分岐24aとの間に第1の組織縁70aを把持するように開かれてもよい。
図3Fは、第1の組織縁70aを把持するクリップ40を示す。
【0047】
2つの組織縁がジョーと分岐との間にしっかりと把持された状態で、プッシュロッド22は、カテーテル35に向かってクリップ40を押し進めるように、近位端部に向かって引っ張られてもよい。
図3Gは、カテーテル35に向かって引っ張られているクリップ40の一実施形態を示す。クリップ40がカテーテル35の中へ後退させられている間に、クリップの開放ジョーは、カテーテル35の壁によって内向きに押される。クリップの開放ジョーに対するカテーテル35の反応力は、組織縁および分岐がジョーの間に挟持された状態でジョーを変形させてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ40の一部または全体は、組織縁がそのジョーの間に挟持された状態で、プッシュロッド22がカテーテル35に引き込まれるにつれて、カテーテル35の遠位端部に進入してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、カテーテル35の近位端部からプッシュロッド22をさらに引くことにより、クリップ40のジョーの間から分岐をさらに引き出し、クリップの変形したジョーの間に挟持された組織縁を残してもよい。プッシュロッド22の後退時に、一対の変形したクリップ40がカテーテル35の遠位端部に進入する実施形態では、アクセス部位55から離してカテーテル35を後退させることにより、内臓壁70を伸張させ、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bがジョーの間に挟持された状態で、クリップ40がカテーテル35の遠位端部から引き出されることを可能にしてもよい。
図3Hは、そのジョーの間に挟持された組織縁を有する変形したクリップ40を示す。したがって、クリップ40は、2つの組織を一緒に接合することによって開口80を閉じてもよい。カテーテル35の中へプッシュロッド22を後退させる動作はまた、以前に説明されているように、プッシュロッド22の溝28の中に別の搭載されたクリップ40を設置してもよい。
【0049】
上記の説明は、クリップ40を使用して2つの組織縁を伴う穿刺を閉じる方法を説明しているが、2つより多くの組織縁を有する開口80を閉じるために、同じ一般的アプローチを使用することができる。2つより多くの組織縁を伴う穿刺を閉じるために、複数のジョーを有するクリップが使用されてもよい。例えば、3つの組織縁を有する開口80を閉じるために、
図2Bに示された3つのジョーを有するクリップ40aが使用されてもよい。この実施形態では、プッシュロッド22は、身体の外側から独立して開閉されてもよい、3つの分岐を含んでもよい。クリップ40aは、前述のように、プッシュロッド22の上に搭載され、アクセス部位55に送達されてもよい。アクセス部位55において、第1の組織縁は、ジョーと分岐との間に把持され、第2の組織縁の場所へ引きずられてもよい。次いで、第2の組織縁が、第2のジョーと分岐との間に把持されてもよい。次いで、カテーテル35の遠位端部は、第3の組織縁の場所へと操作されてもよく、第3の組織縁は、第3の分岐とジョーとの間に把持されてもよい。次いで、プッシュロッド22は、以前に論議されているように、クリップ40aのジョーを変形させるように、カテーテルの中へ後退させられてもよい。プッシュロッド22はさらに、ジョーの間から分岐を抽出するように後退させられてもよく、それにより、変形したジョーによって一緒に圧迫された組織縁を残す。上記の説明は、分岐の数に等しいジョーを有するクリップを説明しているが、これは要件ではない。つまり、いくつかの実施形態では、クリップのジョーの数は、分岐の数とは異なってもよい。
【0050】
また、2つより多くの組織縁を有する開口を閉じるために、2つのジョーを有するデバイス(例えば、
図2Aに示されたクリップ40等)が使用されてもよいことも検討される。そのような用途において、2つ以上の組織縁がジョーと分岐との間に把持されてもよい。第1の組織縁は、ジョーの歯45にしっかりと組み込まれることにより、ジョーが第2の組織縁を把持するために開かれたときにも解放され得ない。
【0051】
図4は、開口80を閉じるために使用され得る組織接近クリップ140の別の実施形態を示す。
図4のクリップ140は、細長い部材122の遠位端部に取り付けられてもよく、内視鏡10の作業管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ140を有する細長い部材122は、作業管腔に挿入されたカテーテルを介してアクセス部位55に送達されてもよい。細長い部材122は、クリップ140を、その近位端部に取り付けられた作動デバイスに接続してもよい。細長い部材122は、作動デバイスがクリップ140を操作することを可能にし得るリンクまたはケーブル等の機構を含んでもよい。これらの作動機構は、
図3Aのクリップ40を参照して論議されるものと同様であってもよく、または異なってもよい。クリップ140は、内視鏡10の遠位端部から突出して開口80に影響してもよい。
【0052】
クリップ140は、第1のジョー142a、第2のジョー142b、および固定中心ジョー124といった3つのジョーを含んでもよい。ジョーは、その対向面に、波形表面、歯145、または他の表面改質を有してもよい。
図3A~3Hに示された実施形態の開いた左右の分岐と同様に、第1のジョー142aおよび第2のジョー142bは移動可能であり得、作動機構を使用して開閉されてもよい。第1のジョー142aを閉じることによって、その表面上の歯145が、固定中心ジョー124の上の歯145を圧迫するまで、ヒンジ126の周りにこのジョーを作動させてもよい。そして、第2のジョー142bを閉じることによってその歯145が中心ジョー124の歯145に接触するまで、ヒンジ126の周りにこのジョーを作動させてもよい。ジョーは、反対方向にジョーを作動させることによって開かれ得る。いくつかの実施形態では、第1のジョー142aおよび第2のジョー142bは、閉鎖構成にとどまるように付勢されてもよい。これらの実施形態では、ジョーは、付勢力を克服するように開放力を印加することによって開かれてもよい。ジョーは、開放力が除去されると閉鎖構成に作動してもよい。いくつかの実施形態では、ジョーが中心ジョーに対して閉じられると、両方のジョーの上の歯145が係止してジョーを閉鎖構成に保つ。
【0053】
図5A~Dは、組織縁70aおよび70bを接近させて開口80を閉じるためにクリップ140を使用する方法を示す。クリップ140は、細長い部材122の遠位端部に取り付けられ、内視鏡10の作業管腔を介して開口80の部位に送達される。
図5Aおよび5Bは、アクセス部位55で組織縁70aを把持するクリップ140を示す。アクセス部位55において、内視鏡10は、クリップの中心ジョー124と、別のジョー、例えば、第1のジョー142aとの間に、第1の組織縁70aを設置するように操作される。次いで、作動デバイスは、第1のジョーを閉じて、第1のジョー142aと中心ジョー124との間に第1の組織縁70aをしっかり把持するように作動させられる。閉鎖構成では、第1のジョー142aおよび中心ジョー124の歯145が係合し、それにより、第1のジョー142aを閉鎖構成で係止する。
【0054】
把持された第1の組織縁70aを有するクリップ140は、第2の組織縁70bの部位へと操作される。第2の組織縁70bは、第2のジョー142bと中心ジョー124との間に設置され、第2のジョー142bは、これらのジョーの歯145の間に第2の組織縁70bを係止するように閉じられる。
図5Cは、クリップ140によってしっかりと把持された第1および第2の組織縁70aおよび70bを示す。したがって、クリップ140は、開口80を形成する組織縁を一緒に接合することによって、開口80を閉じてもよい。したがって、いったん組織縁が接合されると、クリップ140が解放されてもよい。
図5Dは、解放されたクリップ140を示す。解放されたクリップ140は、開口80を閉じたままにし、自然治癒過程が、接合された組織縁の周囲に新鮮組織を成長させることを可能にしてもよい。
【0055】
一般に、クリップは、任意の手段によって細長い部材から解放されてもよい。いくつかの実施形態では、細長い部材からクリップを解放するために、脆弱リンクまたは電解リンクが使用されてもよい。クリップ140はまた、作動機構を使用する方法を含む、任意の他の好適な方法によって、細長い部材から解放されてもよい。いくつかの実施形態では、留め具が、細長い部材122の遠位端部の上でクリップ140を保持してもよい。これらの実施形態では、作動機構は、留め具を操作してクリップ140を解放してもよい。いくつかの実施形態では、細長い部材122の遠位端部は、クリップ140の噛合面上のネジ山と噛合する、ネジ山を有してもよい。これらの実施形態では、その長手軸の周囲で細長い部材122を回転させることにより、細長い部材122からクリップ140をねじって外し、クリップ140を解放してもよい。
【0056】
図6は、開口80を閉じるために使用され得る組織接近クリップ240の別の実施形態を示す。クリップ240は、各々、ヒンジ226aおよび226b(
図7A参照)において細長い部材222にヒンジ連結される第1のジョー242aおよび第2のジョー242bを含んでもよい。第1のジョー242aおよび第2のジョー242bはまた、対向表面上に歯245または他の表面不整を含んでもよい。クリップ242は、細長い部材222の遠位端部に位置してもよく、カテーテル35内をアクセス部位55まで送達されてもよい。カテーテル35は、内視鏡10の作業管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよい。第1のジョー242aおよび第2のジョー242bは、細長い部材222の上で個別に摺動して、カテーテル35の遠位端部から延在するように構成されてもよい。鉤を有するフック224も、第1のジョー242aと第2のジョー242bとの間に位置してもよい。鉤は、フック224の遠位端部から突出する特徴のような鋭い針、または単にフック224の遠位端部における隆起外形であってもよい。クリップ240は、そのジョーの間に組織縁を締め付けることによって開口80を閉じてもよい。
図7A~Eは、組織縁を接近させて接合するためにクリップ240を使用する方法を示す。
【0057】
カテーテル35の遠位端部が第1の組織縁70aに近接しているとき、フック224とともに、第1のジョー242aは、カテーテル35内から延在させられてもよい。ジョーは、カテーテル35内から解放されたときに開くように付勢されてもよい。カテーテル35および/または内視鏡10は、拡張ジョーとフック224との間に第1の組織縁70aを設置するように設置されてもよい。
図7Aは、第1のジョー242aとフック224との間に位置する第1の組織縁70aを有するデバイス240を示す。組織が適切に設置されると、フック224とともに、第1のジョー242aは、カテーテル35の中へ後退させられてもよい。カテーテル35の内面上のキャッチまたは特徴は、第1のジョー242aが後退させられたときに第2のジョー242bがカテーテル35の中へさらに後退することを防止してもよい。カテーテル35を引き出すことにより、第1のジョー242aを閉鎖構成に押し進め、ジョーとフック224との間に組織を閉じ込めてもよい。
図7Bは、第1のジョー242aおよびフック224によって把持された第1の組織縁70aを有するクリップ240を示す。第1のジョー242aが第1の組織縁70aを覆って閉じると、フック224の鉤および第1のジョー242aの歯245が係止するか、または別の方式で協働して、第1の組織縁70aを定位置でしっかりと保持してもよい。鋭い鉤および歯を有するクリップの実施形態では、これらの鉤および歯は、第1の組織縁70aを貫通して、ジョーとフックとの間に組織縁をしっかりと保持してもよい。
【0058】
次いで、内視鏡10および/またはカテーテル35は、第2の組織縁70bの場所へと操作されてもよく、第2のジョー242bは、第1のジョー242a、フック224、および第1の組織縁70aとともにカテーテル35内から延在させられてもよい。第2のジョー242bは、カテーテル35内から解放されると、跳ね開き、第2の組織縁70bを覆って自身を設置してもよい。
図7Cは、第2のジョー242bとフック224との間に位置する第2の組織縁70bを有するクリップ240を示す。いったんジョーが適切に設置されると、第2のジョー242bは、第2の組織縁70bを覆って第2のジョー242bを閉じるようにカテーテル35の中へ後退させられてもよい。
図7Dは、後退構成のクリップ240を示す。第2の組織縁70bを覆って第2のジョー242bを閉じることによっても、フック224に対して第2の組織縁70bを押し進め、鉤および歯を第2の組織縁70bの中へ押し進めてもよい。
【0059】
組織縁が一緒にしっかりと接合されると、クリップ240は解放されてもよく、カテーテル35はアクセス部位55から引き出されてもよい。
図7Eは、カテーテル35からのクリップ240の解放を示す。フック224とともに、クリップ240は、作動機構上の着脱機構を起動することによって、細長い部材222から分離されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル35および/または細長い部材222を後退させることにより、クリップに力を及ぼす内臓壁70を伸張してもよい。この力は、細長い部材222へのクリップの接続を断絶し、それにより、カテーテル35からクリップ240を解放してもよい。以前に示されたように、細長い部材222からクリップ240を分離するために、他の着脱機構も使用されてもよい。解放されたクリップ240は、開口80を閉じて体内にとどまってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bがその鉤に取り付けられた状態で、フック224のみが解放される。これらの実施形態では、作動部材が、細長い部材222からフック224を解放する着脱機構を起動する。これらの実施形態では、フック242は、組織縁を一緒に保持し、後続の組織成長が組織縁を一緒に永久的に接合することを可能にする。
【0061】
図8Aは、開口80を閉じるために使用されてもよい、クリップ340の別の実施形態を示す。クリップ40の場合のように、クリップ340は、その中に貫通穴346を有する中間部分によって接合される、第1のジョー342aおよび第2のジョー342bといった、2つのジョーを有してもよい。2つのジョーの内面は、波形表面または歯345を有してもよい。第1のジョー342aおよび第2のジョー342bは、貫通穴46の中心を通過する平面に関して対称であってもよい。また、いくつかの実施形態では、クリップ340は、異なる構造、例えば、環状構造を有してもよいことも検討される。
【0062】
クリップ340は、シース324の表面上に載置されて、アクセス部位55に送達されてもよい。シース324は、内視鏡10の作業管腔内で摺動するカテーテル35を介してアクセス部位55に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル35は排除されてもよく、シース324は、作業管腔を介してアクセス部位55に送達されてもよい。他の実施形態を参照して上記で説明されるように、クリップ340は、カテーテル35内の閉鎖構成からカテーテル35の外側の開放構成に変換してもよい。シース324がカテーテル35に引き込まれると、クリップの長手方向移動がフランジ58によって阻止されるまで、クリップ340もカテーテル35の中へ後退してもよい。フランジ58は、クリップがカテーテル35の遠位端部からカテーテル35の近位端部まで摺動することを阻止する、カテーテル35の内面上の特徴であってもよい。
【0063】
シース324は、それを通って長手方向に伸びる2つの管腔を有してもよい。これらの管腔は、シース324の遠位端部から近位端部まで伸びる、第1の管腔324aおよび第2の管腔324bを含んでもよい。把持器エンドエフェクタ、第1の把持器326a、および第2の把持器326bを有する2つの内視鏡器具が、シース324の管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよい。把持器エンドエフェクタは、体内の任意の物体を把持するように構成される、任意の器具、例えば、鉗子、鉤付き針等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の把持器326aは第1の管腔324aを通して、第2の把持器326bは第2の管腔324bを通して、アクセス部位55に送達されてもよい。また、いくつかの実施形態では、両方の把持器は、同じ管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよいことも検討される。把持器はまた、管腔を通してアクセス部位55から抽出されてもよい。連結部322aおよび322bは、各々、第1の把持器326aおよび第2の把持器326bを、内視鏡10の近位端部における1つ以上の作動機構に接続してもよい。これらの作動機構は、アクセス部位55において把持器を操作してもよい。把持器を操作することは、アクセス部位55において把持器を平行移動および回転させることと、これらのジョーの間に切断/分離された組織縁を把持するように、把持器のジョーを移動させることとを含んでもよい。
【0064】
アクセス部位55において、各把持器は、組織片の場所へと操作されてもよい。第1の把持器326aは、第1の組織縁70aを把持してもよく、第2の把持器326bは、第2の組織縁70bを把持してもよい。次いで、把持器は、組織とともに、アクセス部位55から後退させられてもよい。シース324はまた、カテーテル35に引き込まれてもよく、それとともに把持された組織縁およびクリップ340を引く。
図8Bは、カテーテル35の中へのシース324の後退を示す。後退中に、クリップ340の移動は、フランジ58によって阻止されてもよい。シース324の継続的後退は、クリップ340のジョーを一緒に押し進めることによって、それらを塑性的に変形させてもよい。第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bは、変形したジョーの間に閉じ込められてもよく、それにより、組織縁を一緒に接合する。次いで、作動デバイスは、把持器326a、326bから組織縁を解放するように起動されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、(
図2A~3Hに示されたクリップ40を参照して説明されるように)複数のクリップ340がシース324の表面上に載置されてもよい。第1のクリップが展開された後、別のクリップ340がシース324の下方に摺動し、カテーテル35の遠位端部から外へ延在してもよい。この第2のクリップは、前述のように組織縁を接合するために使用されてもよい。
【0066】
図9A~9Dは、開口80を閉じるために使用され得るクリップの別の実施形態を示す。この実施形態のクリップ440は、内視鏡の作業管腔から延在する細長い部材424の遠位端部においてアクセス部位55に送達されてもよい。
図8A~8Bの実施形態の把持器326a、326bと同様に、第1の把持器426aおよび第2の把持器426bも、細長い部材424を通してアクセス部位55に送達されてもよい。把持器426a、426bは、体外の1つ以上の作動機構によってアクセス部位55で操作されてもよい。
図9Aは、アクセス部位55に設置されたクリップ440を示す。把持器426a、426bは、クリップ440の中の穴または空洞を通してアクセス部位55に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の把持器426aは、第1の貫通穴446aを通ってアクセス部位55の中へ延在してもよく、第2の把持器426bは、第2の貫通穴446bを通ってアクセス部位55の中へ延在してもよい。また、いくつかの実施形態では、第1および第2の把持器の両方は、同じ貫通穴を通って延在してもよいことが検討される。
【0067】
図8Bを参照して説明されるように、第1の把持器426aは、第1の組織縁70aを把持し、それをクリップ440の中へ引き込んでもよく、第2の把持器426bは、第2の組織縁70bを把持し、それをクリップ440の中へ引き込んでもよい。組織縁は、細長い部材424の中へ把持器を後退させることによって、クリップの中へ引き込まれてもよい。
図9Bは、把持器によって把持された第1および第2の組織片を有するクリップ440を示す。両方の組織縁がクリップ440の中へ引き込まれると、作動機構は、締結具450を解放して組織縁を一緒に結合するように起動され得る。締結具450は、組織縁を接合するように構成される鉤または任意の物体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、締結具450は、クリップ440の側面から解放されてもよく、第1および第2の組織片を貫通して、それらを一緒に接合してもよい。しかしながら、また、締結具450は、別の方式でクリップから解放されてもよいことが検討される。
図9Cは、2つの組織縁を一緒に接合する締結具450を示す。組織縁が一緒にしっかりと結合された後、締結具450は、クリップ440から解放されてもよい。いくつかの実施形態では、締結具450は、作動機構を起動することによって解放されてもよい。また、いくつかの実施形態では、クリップ440は、組織縁を一緒に接合した後に後退させられてもよく、ステープルは、伸張した胃壁の力によってクリップから引き離されてもよいことも検討される。
図9Dは、2つの組織縁を一緒に接合する、解放された締結具450を示す。
【0068】
図10は、取り付けられた鉤550を有する、クリップの実施形態を示す。細長い部材524に取り付けられたクリップ540は、内視鏡10の作業管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよい。以前に説明された実施形態の場合のように、クリップ540は、内視鏡10の遠位端部90から延在するにつれて、開放構成に変換してもよい。クリップ540は、ヒンジ526において接続される第1のジョー542aおよび第2のジョー542bを含んでもよい。細長い部材524は、ジョーを体外の作動機構に接続する連結部を含んでもよい。作動機構は、相互に向かってクリップ540のジョーを移動させ、それにより、閉鎖構成を形成するように構成されてもよい。
【0069】
鉤550は、クリップ540のジョーのうちの1つ、例えば、第1のジョー542aに取り付けられてもよい。鉤550は、第1の端部548aにおいて第1のジョー542aにヒンジ連結されてもよい。鉤550の第2の端部548bは、鋭い先または矢じりを形成してもよい。いくつかの実施形態では、鉤550はまた、鉤550の表面から突出するスパイク(
図12Aの鉤650の上のスパイク652と同様である)を含んでもよい。鉤550は、バネ負荷されてもよく、鉤550の第2の端部548bは、キャッチまたは別の機構によって第1のジョー542aの上で保持されてもよい。作動デバイスは、キャッチを解放するように構成されてもよい。キャッチの解放時に、鉤550は、展開構成に変換するように構成されてもよい。
図10に示されたクリップの実施形態では、鉤550は、第1の端部548aの周りを回転し、(
図11Bで見られるような)素早く第2の構成になってもよい。第2の構成では、鉤550の第2の端部548bは、第1のジョー542aから突出し、第2のジョー542bに向かってもよい。
【0070】
第2のジョー542bは、クリップ540が閉鎖構成であるときに鉤の第2の端部548bが通って突出することを可能にするために、穴528を有してもよい。第2のジョー542bはまた、第2のジョー542bにいくらかの追従性を付与するように設計されている特徴を有してもよい。
図10では、これらの追従特徴は、穴528の周囲に十字として配設された細い部材として示されている。これらの部材は、面外力が部材に印加されたときにわずかに屈曲し、それによって追従性を第2のジョー542bに提供してもよい。追従性の目的は、クリップ540の動作を参照した論議においてより明確となる。いくつかの実施形態では、他の形態の追従性強化特徴が、第2のジョー542bに組み込まれてもよい。また、いくつかの実施形態では、追従性強化特徴が排除されてもよいことも検討される。
【0071】
図11A~Eは、組織縁(例えば、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70b)を接近させ、開口80を閉じるためのクリップ540の使用を示す。内視鏡10は、クリップ540の開放ジョーの間に第1の組織縁70aを設置するように操作されてもよい。次いで、作動デバイスは、ジョーを閉じることによって第1の組織縁70aを把持するように作動させられてもよい。
図11Aは、そのジョーの間に把持された第1の組織縁70aを有するクリップ540を示す。組織がしっかりと把持された状態で、鉤550は、第1のジョー542aから解放されてもよい。鉤550を解放することによって、第1の端部548aの周囲のバネ負荷された鉤550を第2の構成まで回転させるか、または別様に作動させてもよい。第2の構成に移動している間、鋭い第2の端部548bは、把持された第1の組織縁70aを貫通してもよい。
図11Bは、鉤550によって貫通された、把持された第1の組織縁70aを有するクリップ540を示す。いくつかの実施形態では、鉤が反対側から組織を貫通しようとしている間、把持された組織は、第2のジョー542bの表面に対して押し進められ得る。第2のジョー542bの追従性の強化特徴は、必要以上の外傷を伴わずに鉤550が組織を貫通することを可能にし得る。
【0072】
クリップ540は、作動機構を使用して再び開かれてもよい。
図11Cは、開いているジョーを有するクリップ540を示す。第2の端部548bの形状は、クリップ540のジョーが開かれたときに、貫通した第1の組織縁70aが解放されることを防止してもよい。内視鏡は、クリップ540のジョーの間に第2の組織縁70bを設置するように再び操作されてもよい。ここで、ジョーは、ジョーの間に第2の組織縁70bを把持するように閉じられてもよい。ジョーが閉鎖構成まで回転すると、鉤550の先の尖った第2の端部548bが、第2の組織縁70bを貫通してもよい。
図11Dは、鉤550によって貫通された両方の組織縁を有するクリップ540を示す。クリップ540は、再び開かれてもよく、鉤550は、鉤550によって一緒に接合された組織縁を解放するように、第1のジョー542aから着脱されてもよい。
図11Eは、鉤550によって接合された組織片を示す。いくつかの実施形態では、鉤550は、作動機構を使用して、第1のジョー542aから第1の端部548aを解放することによって着脱されてもよい。鉤550の上にスパイクを有するクリップ540の実施形態では、これらのスパイクは、組織縁が鉤550から滑動して外れることを防止することに役立ち得る。いくつかの実施形態では、アクセス部位55から離れるようにクリップを後退させることによって、内臓壁70を伸張してもよい。次いで、伸張した内臓壁は、第1の端部548aを第1のジョー542aから引き離してもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、クリップ550全体は、組織縁が鉤を用いて一緒に接合された後に細長い部材524から解放されてもよい。クリップ540を解放することは、作動デバイス、または伸張した内臓壁70によって及ぼされる力によって達成されてもよい。
【0074】
図12A~12Eは、切断/分離された組織縁を接合するために使用される鉤650を有するクリップの別の実施形態を示す。
図12Aの実施形態では、クリップ640は、ヒンジ626において一緒に取り付けられる第1のジョー642aと第2のジョー642bとを含んでもよい。クリップ640は、以前の実施形態のクリップ540と同様に、送達され、アクセス部位55において操作され得る。鉤650が、第1の端部648aにおいて第1のジョー642aに取り付けられ得る。第1の端部648aは、先が尖っていてもよく、第1のジョー642aの上のキャッチまたは他の保持特徴によって第1のジョー642aの上に保持されてもよい。鉤650の第2の端部648bは、第1のジョー642aから突出し、第2のジョー642bに向かい得る。鉤650の第2の端部648bも、先が尖っていてもよい。第2のジョー642bはまた、第2の端部648bに連結し、鉤650を第2のジョー642bに保持するように構成される保持特徴を含んでもよい。鉤650はまた、その表面上にスパイク652を含んでもよい。鉤650は、第1の端部648aおよび第2の端部648bの両方に向けられたスパイク652を含んでもよい。
【0075】
第2の組織縁70bは、クリップ640のジョーの間に設置され得、ジョーは閉じられ得る。閉じている間、鉤650は、第2の組織縁70bを貫通し得る。
図12Bは、把持された第2の組織縁70bを有するクリップ640を示す。閉鎖構成である間、鉤650の第2の端部648bは、第2のジョー642bの上の保持特徴と係合し得る。ジョーは、第1の組織縁70aを把持するように再び開かれ得る。
図12Cは、開かれたジョーを有するクリップ640を示す。ここで、鉤650は、第2のジョー642bの保持特徴によって保持され得る。鉤650の上のスパイク652は、ジョーが開かれたときに第2の組織縁70bが解放されることを防止してもよい。第1の組織縁70aは、ジョーの間に設置され得、ジョーは、第1の組織縁70aを把持するように再び閉じられ得る。
図12Dは、クリップ640のジョーの間に把持された第1および第2の組織を示す。鉤650の鋭い第1の端部648aは、ジョーが閉じられたときに第1の組織縁70aを貫通し得る。したがって、鉤650は、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bを貫通し、接合し得る。以前の実施形態の場合のように、ここで、クリップ640は、開かれてもよく、鉤650は、クリップ640から解放されてもよい。鉤650は、第1の組織縁70aと第2の組織縁70bとを接合して保ってもよい。いくつかの実施形態では、2つの組織縁を一緒に接合するクリップ640を残すために、クリップ640全体が細長い部材624から解放されてもよい。
【0076】
図13A~13Eは、組織縁を付着させるために使用されるクリップの別の実施形態を示す。上記の実施形態の場合のように、クリップ740も、ヒンジ726によって接続される第1のジョー742aと第2のジョー742bとを含んでもよい。細長い部材722に取り付けられたクリップ740はまた、内視鏡10の作業管腔を通してアクセス部位55に送達されてもよく、体外の作動機構によって操作されてもよい。クリップ40の場合のように、クリップ740も、ジョーの間の場所に中空貫通穴746を含んでもよい。
【0077】
可撓性部724に取り付けられたつめ750は、貫通穴746を通してアクセス部位55に送達されてもよい。可撓性部724は、アクセス部位55においてつめ750を制御するために体外から操作されてもよい。クリップ740のジョーが開いた状態で、可撓性部724に取り付けられたつめ750は、開口80を通して前進させられ得る。
図13Bは、穿刺の反対側にあるつめ750を示す。ここで、可撓性部724およびつめ750は、細長い部材722の中へ後退させられ得る。つめ750は、第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bによって、開口80を引っ掛けて、クリップ740の中へ引きずり込んでもよい。つめ750は、組織縁を引っ掛けて、クリップ740の中へそれらを引きずり込むように構成される任意の形状を有してもよい。
【0078】
図13Cは、引っ掛けられた胃壁がそのジョーの間に設置された、クリップ740を示す。いったん第1の組織縁70aおよび第2の組織縁70bがジョーの間に適切に設置されると、クリップ740が閉じられてもよい。
図13Dは、閉鎖構成のクリップ740を示す。閉じたクリップ740は、組織縁を把持し、それにより、それらを一緒に接合してもよい。ここで、クリップ740は、解放されてもよく、内視鏡は、体内から後退させられてもよい。
【0079】
図14A~14Fは、アクセス部位55において第1の組織縁70aと第2の組織縁70bとを締結するために使用されるクリップ840の別の実施形態を示す。クリップ840は、複数のアーム、例えば、第1のアーム842aおよび第2のアーム842bから構成されてもよい。クリップ840は、2つのアームを伴って示されているが、クリップ840の異なる実施形態は、異なる数のアームを有してもよい。クリップ840はまた、第1のアーム842aと第2のアーム842bとの間に設置される中心アーム850を含んでもよい。中心アーム850は、その上に設置された鉤858を含んでもよい。いくつかの実施形態では、鉤858は、中心アーム850の遠位端部に設置されてもよい。
図14Aでは、鉤858は、中心アーム850上の突起として示されているが、鉤858は、任意の形状および構成を有してもよい。例えば、鉤858は、いくつかの実施形態では、鋭く、針状であってもよい。第1のアーム842aおよび第2のアーム842bは、中心アーム850の近位領域で、各々、取付け区画846aおよび846bにおいて中心アーム850に取り付けられてもよい。第1および第2のアーム842aおよび842bを中心アーム850に取り付けるために、任意の取付け機構が使用されてもよい。取付け区画846aおよび846bの近位では、中心アーム850は、半径方向に延在する突起部852aおよび852bを含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの突起部は、バネ負荷されてもよい。これらの実施形態では、突起部852aおよび852bは、半径方向内向きの力を印加すると、中心アーム850に向かって内向きに圧縮または押下するように構成されてもよい。他の実施形態では、突起部852aおよび852bは、バネ負荷されなくてもよいが、半径方向内向きの力を印加すると、中心アーム850に向かって移動するように別様に構成されてもよい。例えば、突起部852aおよび852bは、圧縮性材料から構成されてもよい。
【0080】
中心アーム850の近位領域における各々の取付け区画から、第1および第2のアーム842aおよび842bは、中心アーム850の長さに沿って、ある距離で長手方向かつ遠位に延在してもよい。次いで、第1および第2のアーム842aおよび842bは、これらのアームの遠位領域が中心アーム850の遠位領域と角度を成すように、中心アーム850から離れるように屈曲させられてもよい。第1のアーム842aは、第1の区画844aにおいて中心アーム850から離れるように屈曲させられてもよく、第2のアーム842bは、第2の区画844bにおいて中心アーム850から離れるように屈曲させられてもよい。第1の区画844aは、長手方向に変位させられるか、または第2の区画844bからオフセットされてもよい。
【0081】
クリップ840の近位端部に連結されるプッシュロッド822は、カテーテル835または内視鏡の遠位端部からアクセス部位55までクリップ840を延在させるように構成されてもよい。遠位方向にプッシュロッド822を作動させることによって体内にプッシュロッド822を移動させてもよく、カテーテル835の遠位端部の外へクリップ840を延在させてもよい。近位方向にプッシュロッドを作動させることによって、クリップ840とともにプッシュロッド822の遠位端部をカテーテル835の中へ後退させてもよい。
【0082】
クリップ840はまた、第1および第2のアーム842aおよび842bの近位端部に設置される端部キャップ860を含んでもよい。プッシュロッド822は、端部キャップ860の近位端部に設置される末端部864の上の貫通穴866を通過して、クリップ840の近位端部と連結してもよい。いくつかの実施形態では、末端部864は、端部キャップ860と一体であってもよい一方で、他の実施形態では、末端部864は、端部キャップ860とは別の部品であってもよい。端部キャップ860は、任意の手段によって末端部864と嵌合されてもよいが、いくつかの実施形態では、末端部864は、端部キャップ860の近位端部と締まり嵌めされてもよい。近位方向にプッシュロッド822を作動させることによって、少なくとも端部キャップ860の中へクリップ840を引き込んでもよい。クリップ840が端部キャップ860の中へ摺動するにつれて、端部キャップ860の壁は、第1および第2のアーム842aおよび842bに接触し、アームに半径方向内向きの力を印加し得る。この半径方向内向きの力は、中心アーム850に向かって、これらのアームを偏向し得る。2つのアームの第1の区画844aと第2の区画844bとが相互から長手方向に変位させられるので、端部キャップ860は、中心アーム850に向かって他方のアームに接触して偏向させる前に、これらのアームのうちの一方に接触して中心アーム850に向かって少なくとも部分的に偏向させ得る。
【0083】
図14Bは、クリップ840が端部キャップ860の中へ部分的に後退させられたクリップ840の構成を示す。
図14Bに示されたクリップ840の実施形態では、端部キャップ860は、端部キャップ860が第1のアーム842aに接触する前に、第2のアーム842bに接触し、中心アーム850に向かって偏向させる。組織片70aおよび70bを締結する手技において使用されるときに、クリップ840を有する内視鏡10またはカテーテル835は、中心アーム850と第2のアーム842bとの間に、これらの組織縁のうちの1つ、例えば、
図14Bの第2の組織縁を設置するように操作されてもよい。次いで、プッシュロッド822は、部分的に端部キャップ860の中へクリップ840を後退させるために、近位方向に作動させられてもよい。クリップ840が端部キャップ860内で摺動するにつれて、端部キャップ860の内壁は、突起部852aおよび852bの上で摺動し、これらの突起部に半径方向内向きの力を印加し得る。この半径方向内向きの力は、中心アーム850に向かって半径方向内向きに突起部852aおよび852bを押下し、それにより、クリップ840が端部キャップ860内で摺動することを可能にし得る。端部キャップ860の壁はまた、接触して第2のアーム842bに半径方向内向きの力を印加し、中心アーム850に向かって第2のアームを偏向し得る。第2のアーム842bが中心アーム850に向かって偏向するにつれて、第2の組織縁70bは、これらのアームの間に保持され得る。
図14Cは、中心アーム850と第2のアーム842bとの間に保持された第2の組織縁70bを有するクリップ840の実施形態を示す。
【0084】
次いで、内視鏡10またはカテーテル835の遠位端部は、別の組織縁、例えば、第1の組織縁70aが、第1のアーム842aと中心アーム850との間に設置され得るように、再配置され得る。近位端部に向かうプッシュロッド822のさらなる作動は、クリップ840をさらに端部キャップ860の中へ移動させてもよい。クリップ840がさらに端部キャップ860の中へ移動するにつれて、端部キャップ860の壁は、第1のアーム842aに接触し、第1のアーム842aと中心アーム850との間に第1の組織縁70aを伴って中心アーム850に向かって偏向し得る。近位端部に向かうプッシュロッド822のさらなる作動は、中心アーム850の突起部852aおよび852bを端部キャップ860上の噛合特徴862aおよび862b係合させる。いくつかの実施形態では、噛合特徴862aおよび862bは、その中に突起部852aおよび852bを嵌合させるように寸法決定される端部キャップ860の中の空洞であってもよい。噛合特徴との突起部の整列は、突起部から拘束力を緩和し、突起部が元の押下前構成に跳ね返るか、または回復することを可能にし得る。端部キャップ上の噛合特徴との突起部852aおよび852bの係合は、第1および第2のアーム842aおよび842bを閉鎖構成で係止してもよく、これらのアームは、第1および第2の組織片70aおよび70bがそれらの間にしっかりと把持された状態で中心アーム850を圧迫する。中心アーム850が鉤858を含む実施形態では、鉤858はまた、アームの間に組織縁をしっかりと固定することに役立ち得る。
図14Dは、閉鎖構成で係止されたアームを有するクリップ840の実施形態を示す。
【0085】
端部キャップ860上の噛合特徴862aおよび862bとの突起部852aおよび852bの係合はまた、近位端部に向かうプッシュロッド822のさらなる作動時に、クリップ840がさらに端部キャップ860の中へ摺動することを防止してもよい。プッシュロッド822のさらなる作動は、内臓壁70を伸張し、クリップ840の近位端部に力を及ぼしてもよい。この力は、クリップ840の近位端部からプッシュロッド822の遠位端部を着脱してもよい。他の実施形態の場合のように、クリップ840からプッシュロッド822を分離するために、任意のクリップ解放機構(ネジ式接続、脆弱リンク、電解リンク等)が使用されてもよい。
図14Eは、クリップ840から着脱されたプッシュロッド822を有するクリップ840の実施形態を示す。
【0086】
プッシュロッド822がクリップ840から着脱した後、近位端部に向かうプッシュロッド822のさらなる後退が、プッシュロッド822上の突起部824を末端部864に隣接させ得る。いくつかの実施形態では、プッシュロッド822および端部キャップ860は、プッシュロッド822がクリップ840から着脱するときに、プッシュロッドの突起部824が末端部864に隣接するように寸法決定されてもよい。突起部824は、プッシュロッド822の中の屈曲として示されているが、突起部824は、任意の形態であってもよい。プッシュロッド822のさらなる作動は、末端部864に対して突起部824を押し進め、末端部864を端部キャップ860の近位端部から抜去させてもよい。
図14Fは、端部キャップ860から分離された末端部864を有するクリップ840の実施形態を示す。ここで、プッシュロッド822は、カテーテルまたは内視鏡を通して体外へ後退させられ得る。
【0087】
端部キャップ860からプッシュロッド822を係脱するために、他の方法も使用されてもよい。いくつかの実施形態では、貫通穴866は、プッシュロッド822が回転させられ、端部キャップ860から抽出されることを可能にするように構成されてもよい。例えば、貫通穴866は、2つの方向に沿って2つの異なる断面形状を有してもよい。これらの実施形態では、1つの方向に沿った貫通穴の断面は、プッシュロッド822の直径に対応してもよく、別の方向に沿った貫通穴の断面は、突起部824の最も厚い領域に対応してもよい。貫通穴の合致断面を有する方向と突起部824を整列させるようにプッシュロッド822を回転させることにより、プッシュロッドが端部キャップ860から除去されることを可能にする。いくつかの実施形態では、突起部824は、プッシュロッド822上のC字形屈曲であってもよく、2つの異なる方向に沿った貫通穴866の断面形状は、プッシュロッド822の直径、およびプッシュロッド822上のC字形屈曲の寸法に対応してもよい。そのような実施形態では、プッシュロッド822の回転は、貫通穴866を通してプッシュロッド822を抽出してもよい。いくつかの実施形態では、プッシュロッド822の回転は、部分的に貫通穴866を通してプッシュロッド822を抽出し、末端部864をプッシュロッド822と係合させてもよい。これらの実施形態では、プッシュロッド822のさらなる作動は、端部キャップ860から末端部864を着脱し、第1および第2の組織縁70aおよび70bを把持する係止構成でクリップ840を残す。
【0088】
本発明の範囲から逸脱することなく、開示されたシステムおよび過程に種々の修正および変更を行えることが、当業者に明らかとなるであろう。例えば、組織縁の締結または治癒過程を推進するために、任意のクリップと併せて、接着剤、組織成長促進物質、または別の薬剤が使用されてもよい。また、クリップの任意の部分が、組織締結または治癒過程を支援するように、生体吸収性であってもよく、あるいは熱および/または電気を伝導してもよい。本開示は、一般に内視鏡手術で使用されるクリップのいくつかの実施形態について論議しているが、本開示のクリップは、従来の外科手術または他の種類の医療処置等の任意の医療処置で、組織縁を接近させるために使用されてもよい。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の明細および実施を考慮することによって、当業者に明らかとなるであろう。本明細および実施例は例示的なものとしてのみ考慮され、本発明の真の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示されることを目的とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
各々が第1の端部および第2の端部を有するとともに、第1の端部において互いに連結されている第1のジョーおよび第2のジョーであって、開放構成から閉鎖構成へ変換するように構成されており、開放構成では、第1および第2のジョーの第2の端部が互いに離れて配置されており、閉鎖構成では、第1および第2のジョーの第2の端部が互いに近接している、第1のジョーおよび第2のジョーと、
鉤であって、その第1の端部において第1のジョーに連結されているとともに、第1の構成から第2の構成に変換するように構成されており、第1の構成において第1のジョーと同一面にあるように構成されており、第2の構成において第1のジョーから突出して第2のジョーのほうを向くように構成されており、第1のジョーから解放されるように構成されている、鉤と、を備えている、医療デバイス。
【請求項2】
前記第2のジョーが、前記鉤の第2の端部を受容するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第2のジョーが、その内面から外面に延在する穴を有しており、前記第1のジョーおよび第2のジョーの閉鎖構成において、前記鉤の第2の端部がその穴を貫通するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記鉤がヒンジ接続によって前記第1のジョーに連結されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記鉤の第2の端部が、キャッチによって前記第1のジョーに保持されるように構成されている、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記鉤の第2の端部が鋭い先および複数のスパイクのうちの一方を有している、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記鉤が、第1の構成から第2の構成に変換するとき、前記第1のジョーの回転軸の周りを回転するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記鉤が、第1のジョーおよび第2のジョーが閉鎖構成にあるとき、患者の組織を貫通するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記鉤が、患者の組織を貫通した後で前記第1のジョーから解放されるように構成されている、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第2のジョーが追従特徴を有しており、追従特徴は面外力が印加されたときに外向きに屈曲するように構成された要素を有している、請求項1に記載の医療デバイス。