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特開2023-587474次元(4D)フロー磁気共鳴画像化のための装置、方法、および物品
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  • 特開-4次元(4D)フロー磁気共鳴画像化のための装置、方法、および物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058747
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】4次元(4D)フロー磁気共鳴画像化のための装置、方法、および物品
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A61B5/055 390
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028376
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2020109786の分割
【原出願日】2015-01-16
(31)【優先権主張番号】61/928,702
(32)【優先日】2014-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516215925
【氏名又は名称】アーテリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ベッカーズ
(72)【発明者】
【氏名】アルバート シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アクセリオ-シリーズ
(72)【発明者】
【氏名】トリン アルニ ターラム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マルク レイモンド ボーシャン
(57)【要約】
【課題】磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法を提供することを課題とする。
【解決手段】磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、臨床施設ネットワーク上で実行している匿名化サービスによって、生のDICOMファイルを受け取るステップと、前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップと、前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報を、前記プレーンテキスト患者健康情報の前記それぞれのハッシュと置き換えるステップとを含むことを特徴とする。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、
臨床施設ネットワーク上で実行している匿名化サービスによって、生のDICOMファイルを受け取るステップと、
前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップと、
前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報を、前記プレーンテキスト患者健康情報の前記それぞれのハッシュと置き換えるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記生のDICOMファイル内のすべての患者健康情報フィールドを識別するステップをさらに含み、前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップは、ソルテッドハッシュを生成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記匿名化サービスによってプレーンテキスト患者健康情報をハッシュに変える前記臨床施設ネットワーク内で維持されるキーにアクセスするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
臨床施設ネットワーク上で実行している前記匿名化サービスに対して、前記臨床施設のVPNを介してのみの前記臨床施設ネットワーク外部からのアクセスを可能にするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、
第1のプロキシサーバによって、複数の要求にサービスするステップであって、前記要求は、臨床施設ネットワークから、および前記臨床施設ネットワーク外部から来る、ステップと、
前記要求の少なくともいくつかに応答して、前記プロキシサーバによって、ハッシュされた患者健康情報からプレーンテキスト情報を生成するステップと、
前記プロキシサーバによって、前記ハッシュされた患者健康情報を前記プレーンテキスト情報と置き換えるステップと、
もたらされた情報をクライアントデバイスに送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、
クライアントによって前記MRI画像処理および解析システムのサーバに接続するステップであって、前記サーバは臨床施設ネットワーク外部にある、ステップと、
プレーンテキストで患者健康情報をレンダリングするのに必要とされる情報を前記クライアントが欠損しているかどうかを示すフラグをチェックするステップと、
プレーンテキストで前記患者健康情報PHIをレンダリングするのに必要とされる情報を前記クライアントが欠損しているという標識に応答して、前記クライアントによって匿名化サービスに接続するステップと、
前記クライアントによって、前記匿名化サービスにプレーンテキストでの前記患者健康情報を要求するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記クライアントによって、前記匿名化サービスにプレーンテキストでの前記患者健康情報を要求するステップは、ハッシュまたは識別子を提供するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記クライアントによって、受け取られた前記プレーンテキスト患者健康情報をローカルにキャッシュするステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ユーザがログアウトすることに応答して、前記クライアントによって、前記キャッシュされたプレーンテキスト患者健康情報をパージするステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に磁気共鳴画像(MRI)に関し、より詳細には、4次元(4D)フローMRIに関する。
【背景技術】
【0002】
MRIは、医療用画像で最も一般的に利用されるが、他の分野でも使用され得る。MRIマシンは、典型的には中央または長手方向のボアを有するコイルの環状アレイである主磁石を含む。主磁石は、強い安定した磁場(たとえば、0.5テスラから3.0テスラ)を作成することができる。ボアは、撮像される対象、たとえば人体の少なくとも部分を受け入れるようなサイズにされる。医療用画像アプリケーションで使用される場合、MRIマシンは、腹臥位の患者(prone patient)が容易に滑ってまたは転がってボアに出入りすることが可能な患者テーブルを含むことがある。
【0003】
MRIマシンはまた、勾配磁石を含む。勾配磁石は、主磁石によって作成される磁場よりも比較的小さい変動磁場(たとえば、180ガウス(0.018テスラ)から270ガウス(0.027テスラ)を作成して、対象(たとえば患者)の選択された部分が撮像されることを可能にする。MRIマシンはまた、撮像されるべき対象(たとえば患者)の選択された部分に高周波エネルギーを当てるように作動される高周波(RF)コイルを含む。異なるRFコイルが、異なる構造(たとえば解剖学的構造)を撮像するために使用され得る。たとえば、1つのセットのRFコイルが患者の頸部を撮像するのに適切であることがあるのに対し、別のセットのRFコイルが患者の胸部または心臓を撮像するのに適切であることがある。MRIマシンは通常、追加の磁石、たとえば、常伝導磁石および/または永久磁石を含む。
【0004】
MRIマシンは、典型的には、コンピュータシステムを含み、またはコンピュータシステムに通信可能に結合され、コンピュータシステムは、画像および/もしくはコイルを制御するため、ならびに/または画像処理を行って撮像される対象の部分の画像を作成するために使用される。従来、MRIマシンは、物理的構造、たとえば、解剖学的構造を表すマグニチュードデータセット(magnitude data sets)を作成する。データセットは、医療におけるデータ画像と通信(Digital Imaging and Communications in Medicine:DICOM)規格に準拠する場合が多い。DICOMファイルは、典型的には、予め定められたフォーマットでピクセルデータおよびメタデータを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/571,908号明細書
【特許文献2】国際公開第2013/006709号明細書
【特許文献3】米国特許仮出願第61/928,702号明細書
【発明の概要】
【0006】
近年、4Dフローデータセットを作成する提案がされており、4Dフローデータセットは、解剖学的データ、ならびにx速度、y速度、およびz速度として命名され得る3つの直交方向における速度を含む。
【0007】
使用の際、MRI調査は、単一患者セッションに対して定義され得る。各MRI調査は、典型的には、灌流および4Dフロー取得のいくつかの系列を含み、その間に、複数のセットのMRIデータ(たとえば100個の画像)が系列ごとに取得される。系列は、マグニチュード取得部分および位相取得部分に分割され得る。もたらされた画像は情報でアノテーションを付けられ得る。
【0008】
4DフローパルスシーケンスMRIは、低コスト、高速および正確な医療用画像を提供するために、特に心臓に関するMRI手順について大きく期待されている。採用へのいくつかの障害は、高いコストを含む。たとえば、画像化中に解剖構造を評価するためにMRI手順(たとえば取得)中に臨床家(たとえば医師)が参加する必要があることに関連付けられた高い金銭コストおよび機会逸失コストがある。また、MRI医療用画像化が行われる臨床施設で利用される計算の強力なコンピュータ、およびそのような機器を操作および維持するのに必要とされる担当者に関連付けられた高いコストも存在する。息こらえを必要とする手法は、ある種の患者(たとえば非常に若い子供または乳児)では実現可能でないことがある。また、呼吸(すなわち、肺または呼吸周期)および/または心周期と画像取得の同期は、かなり長い手順である。長い手順は、単一の患者に対して高価な機器およびコスト高な担当者が期間中に割り当てられるので、コストが増大してスループットが低下する。それはまた、患者の不安を高める傾向がある。これらの手法は、高度に訓練された技術者および臨床家が参加することを必要とする傾向があるだけでなく、画像化結果のアノテーションが難しい傾向がある。さらに、画像たとえば解剖学的構造を解釈する際の主観性のため、セッション間はもちろん系列間の再現性が低い傾向がある。
【0009】
本明細書では、これらの課題の1または複数に少なくとも部分的に対処する種々の装置、方法、および物品が説明される。
【0010】
MRI取得の際に特定の平面のみを取得する代わりに、位相コントラストを含む完全な3Dボリュームセットを取得する4Dパルスシーケンスが利用され、したがって、それは4D位相コントラストMRIと命名される。これは、取得後に患者が引き続き存在しなくても臨床家が望む任意の平面を見る自由を臨床家に提供する。エラー検出および/または補正、セグメント化(たとえば、境界範囲の線引き)、定量化、確認、および可視化(たとえば、フロー情報の視覚表現と解剖構造の視覚表現との融合)が、もたらされたMRIデータセットに対して行われ得る。画像処理および解析の大部分は、自律的に(たとえば、人間の介在なしに)行われることができる。
【0011】
MRI画像処理および解析システムは、1または複数のMRI取得システムから遠隔に配置されることができ、MRIデータセットでのエラー検出および/もしくは補正(たとえば、位相エラー補正、位相エイリアシング、信号アンラッピング(signal unwrapping)、および/または他のアーチファクトに対するもの)、セグメント化(segmentation)、解剖学的構造に重ね合わされたフロー(たとえば、速度、動脈対静脈流、シャント)の可視化、定量化、確認、ならびに/または患者固有の4Dフロープロトコルの生成を行うことができる。非同期コマンドおよび画像化パイプライン(imaging pipeline)は、複雑または大規模な4DフローMRIデータセットであっても適時かつセキュアな様式で遠隔画像処理および解析を可能にする。
【0012】
遠隔MRI画像処理および解析システムは、クラウドベースのウェブサービス、またはソフトウェアアズサービス(software as services:SAS)を提供してもよい。MRI画像処理および解析システムは、強力な計算リソース、たとえば、GPUの大きいセットまたはアレイを利用する。MRI画像処理および解析システムは、複数のMRI取得システムに対してサービングすることができ、MRI取得システムは、1または複数の診断エンティティによって操作され、かつ/または1または複数の診断施設に配置される。これは、診断施設へのコスト、および高価な計算機器を取得し維持することに関連付けられた負担をかなり低減することができる。
【0013】
本明細書に説明される手法は、MRI手順を単純化することができる。こうした手法は、完全な4Dフロー画像を捕捉するターンキーシステムを提供し、MRI手順中に臨床家が参加する必要性を排除する。こうした手法はまた、MRI手順の長さをかなり短くすることもできる。これは、担当者および機器に関連付けられたコストを低減する。これはまた、スループットを増大させることができ、機器の有効寿命中に多数の患者にわたって資本集約的MRIシステムが償却されることを可能にする。
【0014】
本明細書に説明される手法はまた、結果の自動化されたまたはさらに自律的な検証を提供する。質量変換原理(mass conversation principals)に依拠して、少なくとも1つの手法は、シャントまたは他の解剖学的異常を識別することができる。
【0015】
患者間または集団間にわたる向上された再現性により、本明細書に説明される手法は、新しい指標の識別、新しい治療法の開発を可能にし得る。
【0016】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIデータのセットを受け取るステップであって、MRIデータのセットは、複数のボクセルの各々についてそれぞれの解剖学的構造および血流情報を含む、ステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIフローデータのセットにおける構造の1または複数のインスタンスを識別するステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIフローデータのセットにおける構造の識別された1または複数のインスタンスに基づいて、MRIフローデータのセットにおける輪郭を導き出すステップとを含むものとして要約され得る。MRIフローデータのセットにおける構造の1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおけるコヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおけるコヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける有向コヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおけるコヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける有向流跡線(directional pathline)または構造的コヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおけるコヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける離散フーリエ変換(DFT)成分コヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおけるコヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける加速度コヒーレンシの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。
【0017】
少なくとも1つのプロセッサによって、MRIフローデータのセットにおける識別された1または複数のインスタンスに基づいて、MRIフローデータのセットにおける臨床マーカーの1または複数のインスタンスを識別するステップをさらに含んでよい。MRIフローデータのセットにおける臨床マーカーの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける解剖学的マーカーおよび/または時間的マーカーの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおける臨床マーカーの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける動脈瘤、狭窄、またはプラーク(plaque)の1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおける臨床マーカーの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける1または複数の圧力勾配を識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおける臨床マーカーの1または複数のインスタンスを識別するステップは、MRIフローデータのセットにおける心臓の解剖学的ランドマークの1または複数のインスタンスを識別するステップを含むことができる。MRIフローデータのセットにおける構造の識別された1または複数のインスタンスに基づいて、MRIフローデータのセットにおける輪郭を導き出すステップは、種々の身体組織を表すMRIフローデータのセットにおける輪郭を導き出すステップを含むことができる。
【0018】
方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、血液身体組織を非血液身体組織から自律的にセグメント化するステップをさらに含むことができる。
【0019】
方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、空気を身体組織から自律的にセグメント化するステップをさらに含むことができる。
【0020】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、被検体の第1の調査のために、第1のパス(first pass)において、第1のMRI取得系列の前に、プロセッサベースのデバイスにおいて入力を受け取るステップであって、入力は、第1のMRI取得に固有である、ステップと、受け取られた入力に少なくとも部分的に基づいて、プロセッサベースのデバイスによって、4Dフローローカライザ(4D flow localizer)を生成するステップとを含むものとして要約され得る。入力を受け取るステップは、臨床的適応(clinical indication)、造影剤のタイプまたはアイデンティティ、造影剤の量、被検体の重さ、被検体の高さ、および被検体の心拍、ボーラスが被検体に提供された後に経過された時間の量、MRIハードウェア製造者の識別、使用されるコイルのタイプ、ならびに使用されるMRIマシンの少なくとも1つの特性の識別のうちの少なくとも1つを受け取るステップを含むことができる。
【0021】
方法は、被検体の第1の調査のために、第2のパス(second pass)において、第2のMRI取得系列の前に、プロセッサベースのデバイスにおいて第1のMRI取得系列に関する情報を受け取るステップと、受け取られた情報に少なくとも部分的に基づいて、プロセッサベースのデバイスによって、高忠実度4Dフローローカライザを生成するステップとをさらに含むことができる。プロセッサベースのデバイスにおいて第1のMRI取得系列に関する情報を受け取るステップは、第1のMRI取得系列から出力を受け取るステップを含むことができる。プロセッサベースのデバイスにおいて第1のMRI取得系列に関する情報を受け取るステップは、第1のMRI取得系列の品質を示すメトリクスを受け取るステップを含むことができる。第1のMRI取得系列の品質を示すメトリクスを受け取るステップは、少なくとも1人の人間によって評価される第1のMRI取得系列の品質を示す少なくとも1つの評価を含むことができる。受け取られた情報に少なくとも部分的に基づいて、プロセッサベースのデバイスによって、高忠実度4Dフローローカライザを生成するステップは、取得の期間、VENC、視野、繰り返し時間(TR)、エコー時間(TE)、行分解能、列解分解能、スライス分解能、時間分解能、およびフリップ角のうちの1または複数を指定するステップを含むことができる。高忠実度4Dフローローカライザを生成するステップは、速度エンコーディング(velocity encoding:VENC)パラメータの値を決定するステップを含むことができる。速度エンコーディング(VENC)パラメータの値を決定するステップは、内腔における血流の速度の少なくとも近似を決定するステップと、ルックアップテーブルを用いてVENCの値を選択するステップとを含むことができる。速度エンコーディング(VENC)パラメータの値を決定するステップは、取得で使用されるコイルのチャネルの数を決定するステップと、コイルにおけるチャネルの数に少なくとも部分的に基づいて、VENCの値を選択するステップとを含むことができる。
【0022】
プロセッサベースのデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体とを有することができ、上記方法のいずれか1つを実施するように動作可能であり得る。
【0023】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、MRI画像データセットの複数のボクセルについて、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、ボクセルをいくつかの個数のビンにグループ分けするステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスを介して、ビンの個数を減少させるステップと、ビンのうちの第1のビンおよび第2のビンについて、ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むかを決定するステップと、動脈血流を表すボクセルに第1のセットの色を割り当てるステップと、静脈血流を表すボクセルに第2のセットの色を割り当てるステップであって、第2のセットの色は第1のセットの色と異なる、ステップとを含むものとして要約され得る。動脈血流を表すボクセルに第1のセットの色を割り当てるステップは、動脈血流を表すボクセルに単一の青色を割り当てるステップを含みことができ、静脈血流を表すボクセルに第2のセットの色を割り当てるステップは、静脈血流を表すボクセルに単一の赤色を割り当てるステップを含むことができる。
【0024】
ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むことができるか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むことができるかを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、いくつかの解剖学的ランドマークに対するボクセルのうちの少なくとも1つの近接に基づいて、ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むことができるか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むことができるかを決定するステップを含むことができる。ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むことができるか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むことができるかを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、いくつかの解剖学的ランドマークに対する各ビン内のボクセルのうちの最も近い1つに基づいて、ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むことができるか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むことができるかを決定するステップを含むことができる。
【0025】
方法は、プロセッサベースのデバイスによって、解剖学的ランドマークを自律的に識別するステップをさらに含むことができる。
【0026】
方法は、プロセッサベースのデバイスによって、解剖学的ランドマークを識別するユーザ入力を受け取るステップをさらに含むことができる。
【0027】
複数のボクセルのうちの少なくともいくつかの各々について、ボクセルを複数のビンにグループ分けする前に、それぞれのボクセルが血流を表すかどうかを決定するステップと、血流を表すと決定されたボクセルを論理的にマークするステップとをさらに含むことができる。それぞれのボクセルが血流を表すことができるかどうかを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、それぞれのボクセルが血流を表すことができるかどうかを自律的に決定するステップを含むことができる。それぞれのボクセルが血流を表すことができるかどうかを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、それぞれのボクセルが血流を表すことができるかどうかを示すユーザ入力を受け取るステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスを介して、ビンの個数を減少させるステップは、1つのビンのボクセルが別のビンのボクセルと時間をかけて接触している場合に、それらのボクセルをビンの一方へ統合するステップを含むことができる。
【0028】
方法は、3つ以上のビンがあるかどうかを決定するステップと、3つ以上のビンがあると決定することに応答して、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、ボクセルのいくつかが潜在的シャントを表すかどうかを決定するステップとをさらに含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、ボクセルのいくつかが潜在的シャントを表すかどうかを決定するステップは、定義された閾値数のボクセルよりも少ない数のボクセルによってまたは定義された閾値領域よりも小さい領域によって隣接ビンが接続されている領域を識別するステップを含むことができる。
【0029】
方法は、潜在的シャントまたは潜在的シャントに少なくとも近接する領域を表すボクセルのうちの少なくとも1つに対して視覚的強調を提供するステップをさらに含むことができる。潜在的シャントまたは潜在的シャントに少なくとも近接する領域を表すボクセルのうちの少なくとも1つに対して視覚的強調を提供するステップは、潜在的シャントまたは潜在的シャントに少なくとも近接する領域を表すボクセルに、第3のセットの色を割り当てるステップであって、第3のセットの色は、第1のセットの色とも第2のセットの色とも異なる、ステップを含むことができる。
【0030】
方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、入力を受け取るステップであって、入力は、ボクセルが実際のシャントを表すかどうかの人間評価を示す、ステップと、ボクセルが実際のシャントを表すかどうかの人間評価を示す受け取られた入力に基づいて、潜在的シャントを表すボクセルの色を更新するステップとをさらに含むことができる。ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むことができるか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むことができるかを決定するステップは、ビンの少なくともいくつかの各々について、閾値コヒーレンス値を上回るコヒーレンス値を有するビン内の任意のボクセルを識別するステップと、閾値コヒーレンス値を上回るコヒーレンス値を有するビン内の任意のボクセルについて、複数の時点のすべてにわたる平均速度と、それぞれのボクセルの重心を解剖学的構造の重心と接続するベクトルとの間の角度を計算するステップと、ビン内のすべてのボクセルと、解剖学的構造の重心との間の平均角度を計算するステップとを含むことができる。
【0031】
ビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが動脈血流を表すボクセルを含むことができるか、およびビンのうちの第1のビンまたは第2のビンのどちらが静脈血流を表すボクセルを含むことができるかを決定するステップは、最も大きい平均角度を有するビンを動脈血流を表すものとして割り当てるステップと、最も小さい平均角度を有するビンを静脈血流を表すものとして割り当てるステップとをさらに含むことができる。複数の時点のすべてにわたる平均速度と、それぞれのボクセルの重心を解剖学的構造の重心と接続するベクトルとの間の角度を計算するステップは、複数の時点のすべてにわたる平均速度と、それぞれのボクセルの重心を心臓の重心と接続するベクトルとの間の角度を計算するステップを含むことができる。
【0032】
プロセッサベースのデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体とを有することができ、上記方法のいずれか1つを実施するように動作可能であり得る。
【0033】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIデータのセットを受け取るステップであって、MRIデータのセットは、複数のボクセルの各々についてそれぞれの解剖学的構造および血流情報を含む、ステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、有向コヒーレンスに基づいて血流を隔離するための第1のフィルタを、MRIデータの受け取られたセットの少なくとも部分に適用するステップとを含むものとして要約され得る。有向コヒーレンスに基づいて血流を隔離するための第1のフィルタを、MRIデータの受け取られたセットの少なくとも部分に適用するステップは、いくつかのボクセルの各々について、それぞれのボクセルについての有向コヒーレンスを算出するステップを含むことができる。それぞれのボクセルについての有向コヒーレンスを算出するステップは、それぞれのボクセルと、それぞれのボクセルの近隣要素である複数の近隣ボクセルとの間の重み付けされた有向コヒーレンススコア(weighted directional coherence scores)のセットを合計するステップと、合計の結果を、すべての適用された重みの合計によって割るステップとを含むことができる。
【0034】
方法は、それぞれのボクセルと複数の近隣ボクセルとの間の重み付けされた有向コヒーレンススコアを決定するステップをさらに含むことができる。それぞれのボクセルと複数の近隣ボクセルとの間の重み付けされた有向コヒーレンススコアを決定するステップは、正規化された速度ベクトルのドット積を決定するステップと、三角関数ACOSをドット積の結果に適用して、角度付けされた差を決定するステップと、0とπとの間の角度差をスケーリングして0と1との間の結果を得るステップと、スケーリングの結果を、それぞれのボクセルと近隣ボクセルのそれぞれ1つとの間の距離を示すそれぞれの重みによって乗じるステップとを含むことができる。
【0035】
方法は、それぞれの重みを決定するステップをさらに含むことができる。それぞれの重みを決定するステップは、3つのすべての次元に関する最小間隔を求めるステップと、その最小間隔をボクセルの間の距離によって割るステップとを含むことができる。第1のフィルタは、時点ごとに1つのボリュームで適用され得る。第1のフィルタは、時点ごとに、すべての時点にわたって平均化された1つのボリュームで適用され得る。
【0036】
方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、さらにランダムノイズを除去するための第2のフィルタを、MRIデータの受け取られたセットの少なくとも部分に適用するステップをさらに含むことができる。
【0037】
プロセッサベースのデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体とを有することができ、上記方法のいずれか1つを実施するように動作可能であり得る。
【0038】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIデータのセットを受け取るステップであって、MRIデータのセットは、複数のボクセルの各々についてそれぞれの解剖学的構造および血流情報を含む、ステップと、MRIデータのセットにおける解剖学的ボリュームを識別するステップと、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを決定するステップと、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローを決定するステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップとを含むものとして要約され得る。
【0039】
方法は、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較することの結果に基づいて、先行の動作を検証するステップをさらに含むことができる。
【0040】
方法は、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較することの結果に基づいて、先行のセグメント化動作を検証するステップをさらに含むことができる。
【0041】
方法は、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較することの結果に基づいて、通知を提供するステップをさらに含むことができる。
【0042】
方法は、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較することの結果に基づいて、検出されたシャントの通知を提供するステップをさらに含むことができる。MRIデータのセットにおける解剖学的ボリュームを識別するステップは、内腔、内腔の部分、脈管(vessel)、脈管の部分、腔(chamber)、または解剖学的構造内の空洞もしくは空洞の部分のうちの少なくとも1つを識別するステップを含むことができる。MRIデータのセットにおける解剖学的ボリュームを識別するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、解剖学的ボリュームを自律的に識別するステップを含むことができる。MRIデータのセットにおける解剖学的ボリュームを識別するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって受け取られたユーザ入力に基づいて、解剖学的ボリュームを自律的に識別するステップを含むことができる。
【0043】
方法は、識別された解剖学的ボリュームへの天然の入口を識別するステップと、識別された解剖学的ボリュームからの天然の出口を識別するステップとをさらに含むことができる。
【0044】
方法は、第1の位置を、識別された解剖学的ボリュームへのインレットとして命名するステップと、第2の位置を、識別された解剖学的ボリュームからのアウトレットとして命名するステップであって、第2の位置は第1の位置から離間されている、ステップとをさらに含むことができる。識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを決定するステップは、第1の位置において識別された解剖学的ボリュームをスライスする第1の平面の法線ベクトルと、各ボクセルにおける速度ベクトルとのドット積を決定するステップを含むことができ、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローを決定するステップは、第2の位置において識別された解剖学的ボリュームをスライスする第2の平面の法線ベクトルと、各ボクセルにおける速度ベクトルとのドット積を決定するステップを含むことができ、第2の位置は第1の位置と異なる。
【0045】
方法は、識別された解剖学的ボリューム内への血液の正味のフロー(net flow)を決定するステップと、識別された解剖学的ボリューム外への血液の正味のフローを決定するステップとをさらに含むことができる。識別された解剖学的ボリューム内への血液の正味のフローを決定するステップは、第1の位置において識別された解剖学的ボリュームをスライスする第1の平面の法線ベクトルと各ボクセルにおける速度ベクトルとのドット積の結果を時間的に積分するステップを含むことができ、識別された解剖学的ボリューム外への血液の正味のフローを決定するステップは、第2の位置において識別された解剖学的ボリュームをスライスする第2の平面の法線ベクトルと各ボクセルにおける速度ベクトルとのドット積の結果を時間的に積分するステップを含むことができる、第2の位置は第1の位置とは異なる。
【0046】
識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、識別された解剖学的ボリュームのインレットおよびアウトレットにおけるフローの値が、少なくとも定義された閾値内で一致するかどうかを決定するステップを含むことができ、識別された解剖学的ボリュームのインレットおよびアウトレットにおけるフローの値が、少なくとも定義された閾値内で一致しないと決定することに応答して、不一致の標識を提供するステップをさらに含むことができる。識別された解剖学的ボリュームのインレットおよびアウトレットにおけるフローの値が、少なくとも定義された閾値内で一致するかどうかを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、インレットおよびアウトレットにおけるフローの値が定義された閾値内で一致するかどうかを自律的に決定するステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、上行胸部大動脈を通る血液のフローを、上大静脈および下行胸部大動脈を通る血液の組み合わされたフローと比較するステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、上大静脈および下大静脈を通る血液の組み合わされたフローを、肺脈管構造のセットを通る血液のフローと比較するステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、肺脈管構造のセットを通る血液のフローを、右肺脈管構造のセットおよび左肺脈管構造のセットを通る血液の組み合わされたフローと比較するステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、左肺脈管構造のセットを通る血液のフローを、すべての左肺静脈を通る血液のフローの合計と比較するステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、右肺脈管構造のセットを通る血液のフローを、すべての右肺静脈を通る血液のフローの合計と比較するステップを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、識別された解剖学的ボリューム内への血液のフローを、識別された解剖学的ボリューム外への血液のフローと比較するステップは、心臓の心腔を出る血液のフローを、心臓の各心腔についての収縮期ボリュームおよび拡張期ボリュームの変化と比較するステップを含むことができる。
【0047】
プロセッサベースのデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体とを有することができ、上記方法のいずれか1つを実施するように動作可能であり得る。
【0048】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIデータのセットを受け取るステップであって、MRIデータのセットは、複数のボクセルの各々についてそれぞれの解剖学的構造および血流情報を含む、ステップと、MRIデータのセットにおける解剖学的ボリュームを識別するステップと、複数の平面を識別するステップであって、複数の平面は、各々が共通点を交差し、各々がそれぞれの向きで解剖学的ボリュームを横断し、向きは互いに異なる、ステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、心周期全体にわたって平面の各々を通る血液のフローを自律的に比較するステップとを含むものとして要約され得る。
【0049】
心周期全体にわたって平面の各々を通る血液のフローを自律的に比較するステップは、平面の各々を通る血液のフローが心周期全体にわたって少なくともある定義された閾値内で一致するかどうかを自律的に決定するステップを含む。
【0050】
方法は、心周期全体にわたって平面の各々を通る血液のフローを比較することの結果に基づいて、先行の動作を検証するステップをさらに含むことができる。
【0051】
方法は、心周期全体にわたって平面の各々を通る血液のフローを比較することの結果に基づいて、先行のセグメント化動作を検証するステップをさらに含むことができる。
【0052】
方法は、心周期全体にわたって平面の各々を通る血液のフローを比較することの結果に基づいて、通知を提供するステップをさらに含むことができる。
【0053】
プロセッサベースのデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体とを有することができ、上記方法のいずれか1つを実施するように動作可能であり得る。
【0054】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIデータのセットを受け取るステップであって、MRIデータのセットは、複数のボクセルの各々についてそれぞれの解剖学的構造および血流速度情報を含む、ステップと、MRIデータのセットに表された脈管におけるシード点を識別するステップと、シード点における最大フローマグニチュード(flow magnitude)を有する時点を識別するステップと、解剖学的構造および血流速度情報の両方に基づいて、フローの方向に垂直である断面平面を決定するステップと、決定された断面平面に少なくとも部分的に基づいて、脈管の内腔境界を決定するステップとを含むものとして要約され得る。
【0055】
解剖学的構造および血流速度情報の両方に基づいて、フローの方向に垂直である断面平面を決定するステップは、シード点におけるベクトルの粗半球(coarse hemisphere)を生成するステップであって、フロー方向に最も近い任意のベクトルが最も大きい重みを有する、ステップと、粗半球を構成するベクトルの各々について、粗半球上のベクトルに垂直である複数の光線を投射するステップと、光線の各々について、解剖構造ピクセル強度(anatomy pixel intensity)および速度マグニチュード(velocity magnitude)の両方における変化のマグニチュードが、変化閾値に達するかまたは変化閾値を超えると、それぞれの光線を終端するステップとを含むことができる。
【0056】
解剖学的構造および血流速度情報の両方に基づいて、フローの方向に垂直である断面平面を決定するステップは、いくつかの光線の各々について、いくつかのもたらされた三角形のすべての領域の合計を計算するステップであって、シード点、それぞれの光線の終端、および別の1つの光線の終端が、もたらされた三角形を定義する、ステップと、血流の方向に最も垂直である平面に対する法線ベクトルとして、領域の最も小さい計算された合計を有する粗半球上のベクトルを選択するステップとをさらに含むことができる。
【0057】
方法は、最強フロー時点、および法線ベクトルと共に、初期のシード点において解剖学的構造および血流速度情報の両方を組み合わせる多断面再構成を再サンプリングするステップをさらに含むことができる。
【0058】
方法は、動的輪郭モデルを用いて脈管の内腔境界を描く輪郭を求めるステップをさらに含むことができる。
【0059】
方法は、勾配降下を使用してエネルギー最小化関数を適用して、滑らかな輪郭を求めるステップをさらに含むことができる。
【0060】
方法は、輪郭が領域または曲率で閾値よりも大きく発散しているかどうかを決定するステップと、輪郭が領域または曲率で閾値よりも大きく発散していると決定することに応答して、輪郭を置換輪郭と置き換えるステップであって、置換輪郭は、置き換えられる輪郭の時点に隣接した複数の時点における輪郭の線形ブレンドである、ステップとをさらに含むことができる。
【0061】
プロセッサベースのデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体とを有することができ、上記方法のいずれか1つを実施するように動作可能であり得る。
【0062】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、非同期コマンドおよび画像パイプラインの第1のチャネルを介して、複数のクライアントデバイスから複数のユーザイベントを受け取るステップと、ユーザイベントのうちの少なくともいくつかを永続層(persistence layer)に捕捉するステップと、捕捉されたイベントのどれを抑制する(squelch)かを決定するステップと、画像処理および解析を行うステップと、非同期コマンドおよび画像パイプラインの第2のチャネルを介して、ユーザイベントに対するそれぞれの応答をクライアントに提供するステップとを含むものとして要約され得る。
【0063】
非同期コマンドおよび画像パイプラインの第1のチャネルを介して、複数のクライアントデバイスから複数のユーザイベントを受け取るステップは、サーバによってユーザイベントを受け取るステップを含むことができ、サーバによって、ユーザイベントを、ユーザイベントに関連付けられたMRIデータセットの画像処理および解析のためにMRI画像処理および解析システムに提供するステップをさらに含むことができる。ユーザイベントのうちの少なくともいくつかを永続層に捕捉するステップおよび捕捉されたイベントのどれを抑制するかを決定するステップは、ユーザイベントをメッセージとして受け取るステップと、画像処理および解析システムがビジーであるかどうかを決定するステップと、計算サーバがビジーでないと決定することに応答して、メッセージを計算サーバに即座に転送するステップとを含むことができる。ユーザイベントのうちの少なくともいくつかを永続層に捕捉するステップおよび捕捉されたイベントのどれを抑制するかを決定するステップは、ユーザイベントをメッセージとして受け取るステップと、画像処理および解析システムがビジーであるかどうかを決定するステップと、計算サーバがビジーであると決定することに応答して、メッセージをスロット内に置くステップとを含むことができる。
【0064】
方法は、スロット内に置かれたメッセージよりも最近のメッセージをスロット内に置くステップをさらに含むことができる。
【0065】
方法は、完了イベントを検出するステップと、ユーザイベントに対するそれぞれの応答をそれぞれのクライアントに転送するステップとをさらに含むことができる。画像データを含むことができる応答に対応して、応答を、HTTPS画像要求として、およびHTTPS AJAX要求またはバイナリサポートを有するウェブソケット(Web socket)を介して送る。画像データを含むことができない応答に対応して、応答をウェブソケットを介して直接送る。
【0066】
方法は、スロット内にメッセージがあるかどうかを決定するステップと、スロット内にメッセージがあると決定することに応答して、完了イベントが検出されるのを待つステップと、完了イベントを検出することに応答して、メッセージをスロットから計算サーバに送るステップと、スロットをクリアするステップとをさらに含むことができる。
【0067】
方法は、プロパティをリンクした複数の画像を、1つのより大きい画像としてレンダリングするステップと、1つの大きい画像を単一の応答として送るステップとをさらに含むことができる。
【0068】
方法は、1つの大きい画像を単一の応答として送る前に、画像内に線、マーカー、または平面のうちの少なくとも1つをオーバーレイするステップをさらに含むことができる。
【0069】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、第1のファイアウォールを介するセキュアな臨床施設ネットワークからの情報に対するアクセスを遠隔で提供するステップであって、すべてのセキュアな患者健康情報(patient health information)がセキュアな臨床施設ネットワーク上で保持される、ステップと、第2のファイアウォールによって、インターネットからMRI画像処理および解析システムを保護するステップとを含むものとして要約され得る。
【0070】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、臨床施設ネットワーク上で実行している匿名化サービスによって、生のDICOMファイルを受け取るステップと、生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップと、生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報を、プレーンテキスト患者健康情報のそれぞれのハッシュと置き換えるステップとを含むものとして要約され得る。
【0071】
方法は、生のDICOMファイル内のすべてのプレーンテキスト患者健康情報フィールドを識別するステップをさらに含むことができ、生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップは、ソルテッドハッシュ(salted hash)を生成するステップを含む。
【0072】
方法は、匿名化サービスによってプレーンテキスト患者健康情報をハッシュに変える臨床施設ネットワーク内で維持されるキーにアクセスするステップをさらに含むことができる。
【0073】
方法は、臨床施設ネットワーク上で実行している匿名化サービスに対して、臨床施設のVPNを介してのみの臨床施設ネットワーク外部からのアクセスを可能にするステップをさらに含むことができる。
【0074】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、第1のプロキシサーバによって、複数の要求にサービスするステップであって、要求は、ウィズ臨床施設ネットワークから、および臨床施設ネットワーク外部から来る、ステップと、要求の少なくともいくつかに応答して、プロキシサーバによって、ハッシュされた患者健康情報からプレーンテキスト情報を生成するステップと、プロキシサーバによって、ハッシュされた患者健康情報をプレーンテキスト情報と置き換えるステップと、もたらされた情報をクライアントデバイスに送信するステップとを含むものとして要約され得る。
【0075】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、クライアントによってMRI画像処理および解析システムのサーバに接続するステップであって、サーバは臨床施設ネットワーク外部にある、ステップと、プレーンテキストで患者健康情報をレンダリングするのに必要とされる情報をクライアントが欠損しているかどうかを示すフラグをチェックするステップと、プレーンテキストで患者健康情報PHIをレンダリングするのに必要とされる情報をクライアントが欠損しているという標識に応答して、クライアントによって匿名化サービスに接続するステップと、クライアントによって、匿名化サービスにプレーンテキストでの患者健康情報を要求するステップとを含むものとして要約され得る。クライアントによって、匿名化サービスにプレーンテキストでの患者健康情報を要求するステップは、ハッシュまたは識別子を提供するステップを含むことができる。
【0076】
方法は、クライアントによって、受け取られたプレーンテキスト患者健康情報をローカルにキャッシュするステップをさらに含むことができる。
【0077】
方法は、ユーザがログアウトすることに応答して、クライアントによって、キャッシュされたプレーンテキスト患者健康情報をパージするステップをさらに含むことができる。
【0078】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法は、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、MRIデータのセットを受け取るステップであって、MRIデータのセットは、複数のボクセルの各々についてそれぞれの解剖学的構造および血流情報を含む、ステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、複数の使用可能な時点にわたってMRIデータのセットにおける複数のボクセルの各々に対して離散フーリエ変換(DFT)を適用するステップと、少なくとも1つのプロセッサベースのデバイスによって、使用可能な時点にわたるボクセルの各々におけるDFTのいくつかの成分を検査するステップとを含むものとして要約され得る。
【0079】
複数の使用可能な時点にわたってMRIデータのセットにおける複数のボクセルの各々に対してDFTを適用するステップは、血流情報の3つの速度成分(x,y,z)に対してDFTを適用するステップを含むことができる。複数の使用可能な時点にわたってMRIデータのセットにおける複数のボクセルの各々に対してDFTを適用するステップは、血流情報のもたらされた速度マグニチュードに対してDFTを適用するステップを含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、DFT成分に少なくとも部分的に基づいて、血液プールを静的組織からセグメント化するステップをさらに含むことができる。DFT成分に少なくとも部分的に基づいて、血液プールを静的組織からセグメント化するステップは、少なくとも1つのプロセッサによって自律的に、低次の非DC DFT成分のセットに少なくとも部分的に基づいて、血液プールを静的組織からセグメント化するステップを含むことができる。方法は、MRIデータにおける肺組織を識別するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、いくつかのDFT要素を相対的マグニチュードまたは位相に関係なく一緒に組み合わせて、胸部スキャン内ですべての血流を突き止めるための汎用マスクを作成するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、いくつかのDFT要素を、DFT要素の相対的マグニチュードまたは位相を考慮に入れて一緒に組み合わせて、身体内の血液プールの特定の領域を識別するための洗練されたマスクを作成するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、DFT成分の位相を最大収縮期の時点と比較するステップと、期待される値からの位相のずれの量に基づいて、各ボクセルに確率を割り当てるステップとをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、洗練されたマスクに少なくとも部分的に基づいて、大動脈における血流と肺動脈における血流とを区別するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって自律的に、もたらされた確率値のヒストグラムに少なくとも部分的に基づいて、確率カットオフ値を識別するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって自律的に、もたらされた確率値のヒストグラムに少なくとも部分的に基づいて、動脈固有のマスクのための確率カットオフ値を識別するステップと、動脈固有のマスクに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの他のマスクのための確率カットオフ値を決定するステップとをさらに含むことができる。動脈固有のマスクに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの他のマスクのための確率カットオフ値を決定するステップは、汎用血液マスクのフラッドフィル(flood fill)を行って、異質な接続されていない要素を除去するステップを含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、いくつかのフロー方向、いくつかの勾配、および/またはもたらされた確率値に沿ったいくつかの流跡線に少なくとも部分的に基づいて、動脈固有のマスクを2つの主要部分に分離するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、空間における2つの主要部分のフローの平均方向または相対位置の少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて、大動脈と肺動脈を互いに区別するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって自律的に、心臓の壁についての確率マスクを作成するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、心臓の壁についての確率マスクを血流マスクと組み合わせるステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、渦電流補正を行う際に心臓の壁についての確率マスクを利用するステップをさらに含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、心臓の壁についての確率マスクを利用して、画像内の心臓の位置および/またはサイズの少なくとも一方を提供するステップをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図面において、同一の参照番号は同様の要素または動作を識別する。図面内のサイズおよび相対的位置は、必ずしも原寸通りに描かれていない。たとえば、種々の要素および角度の形状は必ずしも原寸通りではなく、これらの一部の要素は、図面の見やすさを改善するために任意に拡大および位置調整されることがある。さらに、図示される要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する何らかの情報を伝えることは必ずしも意図されてなく、単に図面での認識を容易にするように選択されていることがある。
図1】1つの例示された実施形態による、臨床現場に配置された少なくとも1つのMRI取得システムと、MRI取得システムから遠隔に配置されて1または複数のネットワークを介してMRI取得システムに通信可能に結合された少なくとも1つの画像処理システムとを含む、ネットワーク化された環境の概略図である。
図2】1つの例示された実施形態による、MRI取得システムと、MRI画像処理および解析サービスを提供するMRI画像処理および解析システムとの機能ブロック図である。
図3A】1つの例示された実施形態による、MRI画像処理および解析またはレンダリングシステムにおけるデータフローの概略図である。
図3B】1つの例示された実施形態による、MRI画像化および処理/解析環境におけるデータフローの概略図である。
図4A】1つの例示された実施形態による、身体の脈管または腔におけるフロー速度の範囲に対する例示的な速度エンコーディング(VENC)値のルックアップテーブルを示す図である。
図4B】1つの例示された実施形態による、心臓用コイルのチャネルの数に対するスキャン長さまたは期間の例示的な値のルックアップテーブルを示す図である。
図5】1つの例示された実施形態による、4Dフローローカライザおよびオプションの洗練アルゴリズムを用いる動作の方法を示すフロー図である。
図6】1つの例示された実施形態による、血流のカラーマップを生成する動作の高レベル方法を示すフロー図である。
図7】1つの例示された実施形態による、ビンが静脈流に対応するかそれとも動脈流に対応するかを決定する方法を示すフロー図である。
図8】1つの例示された実施形態による、ビンが静脈流に対応するかそれとも動脈流に対応するかを決定する方法を示すフロー図である。
図9A】1つの例示された実施形態による、非同期コマンドおよび画像化パイプラインの動作の概略図である。
図9B】異なる時間の図9Aの非同期コマンドおよび画像化パイプラインの動作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下の説明では、種々の開示されている実施形態の完全な理解を提供するために、いくつかの特定の詳細が提示される。しかしながら、これら特定の詳細の1または複数なしに、または他の方法、構成要素、材料などと共に実施形態が実施され得ることは、当業者には理解されよう。他の例では、MRIマシン、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、および/または通信ネットワークに関連付けられた良く知られている構造は、実施形態の説明を無用に不明瞭にすることを避けるために図示または説明されていない。
【0082】
文脈で別段の要求がない限り、明細書および後続の特許請求の範囲を通して、単語「comprise(含む、備える)」および「comprises」および「comprising」のような変形は、「including(含む)」と同義であり、包含的またはオープンエンドである(すなわち、追加の記載されていない要素または方法行為を排除しない)。
【0083】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所での「一実施形態では」または「実施形態では」という表現の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、1または複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。
【0084】
本明細書および添付された特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。「または」という用語は、文脈で明確に別段の指示がない限り、「および/または」を含む意味で一般に利用されることにも留意されたい。
【0085】
本出願で提供される表題および要約書は、単に便宜のためのものであり、実施形態の範囲または意義を解釈するものではない。
【0086】
本明細書で説明される実装形態の多くは、本質的に3次元ボリュームについてMRIマグニチュードおよび位相情報を期間にわたって捕捉する、4DフローMRIデータセットを活用する。この手法は、息こらえ、または患者の心周期または肺周期に対する同期もしくはゲーティングを必要とせずに、MRIデータセットの捕捉または取得を可能にすることができる。代わりに、MRIデータセットが捕捉または取得されて、たとえば、心周期または肺周期に基づいて、取得された情報を再ビニング(re-binning)することによって、所望される情報を導き出すために画像化処理および解析が利用される。これは、本質的に、通常は時間集約的である取得動作であるものを画像化処理および解析段階へ押し付けることになる。簡略化された例えとして、いくつかの点で、それは、患者の肺周期または心周期を懸念することなく解剖学的構造(たとえば、胸部、心臓)のムービーを捕捉すること、すなわち、肺周期または心周期によって導入される相対的動きを考慮して捕捉されたムービーを処理することであると考えられ得る。捕捉された情報は、解剖学的構造を示すマグニチュード情報、および速度を示す位相情報の両方を含む。位相情報は、静止組織と非静止組織との区別を可能にし、たとえば、静止組織(たとえば、脂肪、骨)から非静止組織(たとえば、血液、空気)が区別されることを可能にする。位相情報はまた、非静止組織(たとえば空気)が他の非静止組織(たとえば血液)から区別されるのを可能にする。これは、有利には、組織間の自動化されたもしくはさらに自律的なセグメント化、および/または静脈血流から心房血流(atrial blood flow)を区別することを可能にすることができる。解剖学的情報上に重ね合わされ得るフロー可視化情報の自動化されたまたはさらに自律的な生成を可能にすることができる。これはまた、有利には、異常の識別および/または結果の検証をする自動化されたまたはさらに自律的なフロー定量化を可能にすることができる。
【0087】
ワークフローは一般に、順に述べると、1)画像取得、2)画像再構成、ならびに3)画像処理または後処理および解析の3つの部分に分割され得る。あるいは、ワークフローは、1)操作、2)前処理、ならびに3)可視化および定量化に分割され得る。
【0088】
画像取得は、1または複数のパルスシーケンスを決定、定義、生成、または他の形式の設定をすることを含むことができ、1または複数のパルスシーケンスは、MRIマシン(たとえば制御磁石)を稼動させ、生のMRIを取得するために使用される。4Dフローパルスの使用は、マグニチュードで表される解剖学的構造の捕捉だけでなく、位相で表される速度の捕捉も可能にする。本明細書に説明される方法または技法の少なくとも1つ、患者固有4Dパルスシーケンスの生成は、画像取得部分の間またはその一部として生じる。画像再構成は、たとえば、高速フーリエ変換を利用し、MRIデータセットをもたらすことができ、MRIデータセットはDICOM規格に適合した形態であることが多い。画像再構成は、従来より計算集約的であり、これはスーパーコンピュータに依存することが多い。それらの要件は、多くの臨床施設にかなりの負担となる。本明細書説明される方法および技法の多くは、画像化処理または後処理および解析の間またはその一部として生じる。それらは、エラー検出および/または補正、セグメント化、フローに関係付けられた情報と解剖学的構造との融合を含む可視化、定量化、シャントを含む異常の識別、偽データの識別を含む確認を含むことができる。あるいは、エラー検出および/または補正は、前処理部分の間に生じることがある。
【0089】
図1は、1つの例示された実施形態によるネットワーク化された環境100を示し、その環境において、1または複数のMRI取得システム(1つが示される)102が、1または複数のネットワーク106a、106b(2つがまとめて106として示される)を介して、少なくとも1つの画像処理および解析システム104に通信可能に結合されている。
【0090】
MRI取得システム102は、典型的には、臨床施設、たとえば、病院または専用化された医療用画像センターに配置される。本明細書に説明されるような様々な技法および構造は、有利には、画像処理および解析システム104がMRI取得システム102から遠隔に配置されることを可能にすることができる。画像処理および解析システム104は、たとえば、別の建物、都市、州、地方、または国にさえ配置されてもよい。
【0091】
MRI取得システム102は、たとえば、MRIマシン108、コンピュータシステム110、およびMRIオペレータのシステム112を含むことができる。MRIマシン108は、典型的には中央または長手方向のボア116を有するコイルの環状アレイである主磁石114を含むことができる。主磁石108は、強い安定した磁場(たとえば、0.5テスラから2.0テスラ)を作成することができる。ボア116は、撮像される対象、たとえば人体118の少なくとも部分を受け入れるようなサイズにされる。医療用画像アプリケーションで使用される場合、MRIマシン108は、典型的には、腹臥位の患者118が容易に滑ってまたは転がってボア116に出入りすることが可能な患者テーブル120を含む。
【0092】
MRIマシンはまた、勾配磁石122のセット(1つのみ示される)を含む。勾配磁石122は、主磁石114によって作成される磁場よりも比較的小さい変動磁場(たとえば、180ガウス(0.018テスラ)から270ガウス(0.027テスラ)を作成して、対象(たとえば患者)の選択された部分が撮像されることを可能にする。
【0093】
MRIマシン108はまた、撮像されるべき対象(たとえば患者118)の選択された部分に高周波エネルギーを当てるように作動される高周波(RF)コイル124(1つのみ示される)を含む。異なるRFコイル124が、異なる構造(たとえば解剖学的構造)を撮像するために使用され得る。たとえば、1つのセットのRFコイル124が患者の頸部を撮像するのに適切であることがあるのに対し、別のセットのRFコイル124が患者の胸部または心臓を撮像するのに適切であることがある。MRIマシン108は通常、追加の磁石、たとえば、常伝導磁石および/または永久磁石を含む。
【0094】
MRIマシン108は、典型的には、プロセッサベースのMRI制御システム126を含み、またはそれに通信可能に結合され、プロセッサベースのMRI制御システム126は、画像および/またはコイル114、122、124を制御するために使用される。プロセッサベースの制御システム126は、1もしくは複数のプロセッサ、非一時的なコンピュータ可読もしくはプロセッサ可読メモリ、駆動回路、および/または、MRIマシン108とインターフェースするインスタンス構成要素を含むことができる。プロセッサベースの制御システム126は、いくつかの実装形態では、MRI動作からもたらされるデータに対するある種の前処理を行うこともできる。
【0095】
MRIオペレータのシステム128は、コンピュータシステム130、モニタもしくはディスプレイ132、キーパッドおよび/もしくはキーボード134、ならびに/または、マウス136、ジョイスティック、トラックパッド、トラックボールなどのカーソル制御デバイスを含むことができる。MRIオペレータのシステム128は、1または複数の非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読媒体、たとえば、磁気または光ディスクなどの回転媒体138からのコンピュータまたはプロセッサ実行可能命令を含むまたは読み取ることができる。オペレータのシステム128は、技術者がMRIマシン108を操作して患者118からMRIデータを捕捉することを可能にすることができる。本明細書に説明される種々の技法、構造、特徴は、臨床家または医師の参加を必要とせずに技術者によってMRIマシン108操作を可能にすることができる。それは、有利にはMRI手順のコストをかなり低下させることができる。また、本明細書に説明されるように、種々の技法、構造、特徴は、従来の技法を使用するよりはるかに迅速にMRI手順が行われることを可能にすることができる。それは、有利には、各MRI導入のスループットを増大して、はるかに多数の手順にわたって資本集約的機器のコストを償却することを可能にすることができる。たとえば、高い計算能力のコンピュータが、臨床現場から遠隔に配置されることができ、複数の臨床施設にサービングするために使用されることができる。また、本明細書に説明される種々の技法、構造、および特徴は、追加的または代替的に、有利には、各患者がMRI手順にさらされる時間を減少させ、MRI手順にしばしば伴う不安を減少または緩和することができる。たとえば、本明細書に説明される画像処理および解析技法を用いて、息こらえ、ならびに/または患者の肺周期および/もしくは心周期との同期の必要性を除去することで、取得のための時間をかなり減少させる、たとえば、8から10分に減少させることができる。
【0096】
画像処理および解析システム104は、着信要求および応答を取り扱うための1または複数のサーバ139と、1または複数のレンダリングまたは画像処理および解析コンピュータ140とを含むことができる。サーバ139は、たとえば、1または複数のサーバコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、スーパーコンピュータ、またはパーソナルコンピュータの形態を取り、サーバソフトウェアまたは命令を実行することができる。1または複数のレンダリングまたは画像処理および解析コンピュータ140は、1または複数のコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、スーパーコンピュータ、またはパーソナルコンピュータの形態を取り、画像処理および/または解析ソフトウェアまたは命令を実行することができる。1または複数のレンダリングまたは画像処理および解析コンピュータ140は、典型的には1つ、好ましくは複数のグラフィック処理ユニット(GPU)またはGPUコアを利用する。
【0097】
画像処理および解析システム104は、プロセッサ実行可能命令および/もしくはデータまたは他の情報を記憶する1または複数の非一時的コンピュータ可読媒体142(たとえば、磁気または光ハードドライブ、RAID、RAM、Flash)を含むことができる。画像処理および解析システム104は、1または複数の画像処理および解析オペレータのシステム144を含むことができる。画像処理および解析オペレータのシステム144は、コンピュータシステム146、モニタもしくはディスプレイ148、キーパッドおよび/もしくはキーボード150、ならびに/または、マウス152、ジョイスティック、トラックパッド、またはトラックボールなどのカーソル制御デバイスを含むことができる。画像処理および解析オペレータのシステム144は、1または複数のネットワーク、たとえばLAN154を介して、レンダリングまたは画像処理および解析コンピュータ140に通信可能に結合され得る。多くの画像処理技法および解析は完全に自動化されることができるが、画像処理および解析オペレータのシステムは、患者から捕捉されたMRIデータに対して技術者がいくつかの画像処理および/または解析操作を行うことを可能にすることができる。
【0098】
多くの実装形態では、単一の非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体142として示されているが、非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体142は、複数の非一時的記憶媒体を構成してもよい。複数の非一時的記憶媒体は、一般に共通の位置に配置されてよく、または様々な遠隔位置に分散されてもよい。したがって、生のMRIデータ、前処理されたMRIデータ、および/または処理されたMRIデータのデータベースは、1つまたは2つ以上の非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体において実装され得る。そのようなデータベースは、別個のコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体142に別々に記憶されてもよく、互いに同じコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体142に記憶されてもよい。コンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体142は、画像処理および解析システム104と同じ場所に、たとえば、同じ部屋、建物、または施設に配置されてもよい。あるいは、コンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体142は、画像処理および解析システム104から遠隔に、たとえば、異なる施設、都市、州、または国に配置されてもよい。電子もしくはデジタル情報、ファイルもしくまたはレコード、または他の情報の集合が、非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読媒体142内の特定の位置に、すなわち、そのような媒体における連接する場合もまたはしない場合もある論理的にアドレス可能な部分に記憶され得る。
【0099】
上述されたように、画像処理および解析システム104は、MRI取得システム102から遠隔に配置され得る。MRI取得システム102と画像処理および解析システム104は、たとえば、1または複数の通信チャネルを介して、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)106aおよび広域ネットワーク(WAN)106bを介して、通信をすることができる。ネットワーク106は、たとえば、インターネット、インターネットのワールドワイドウェブ部分、エクストラネット、および/またはイントラネットなど、パケット交換通信ネットワークを含むことができる。ネットワーク106は、セルラー電話およびデータネットワーク、ならびに基本電話システム(POTS)ネットワークなど、他の種々のタイプの遠隔通信ネットワークの形態を取ってもよい。通信インフラストラクチャのタイプは、限定的とみなされるべきではない。
【0100】
図1に示されるように、MRI取得システム102は、第1のLAN106aに通信可能に結合される。第1のLAN106aは、臨床施設によってまたは臨床施設のために運用されるネットワークとすることができ、臨床施設のためのローカルエリア通信を提供することができる。第1のLAN106aは、WAN(たとえばインターネット)106bに通信可能に結合される。第1のファイアウォール156aは、第1のLANのためのセキュリティを提供することができる。
【0101】
また、図1に示されるように、画像処理および解析システム104は、第2のLAN154に通信可能に結合される。第2のLAN154は、画像処理施設もしくはエンティティによってまたはそれのために運用されるネットワークとすることができ、画像処理施設またはエンティティのためのローカルエリア通信を提供することができる。第2のLAN154は、WAN106b(たとえばインターネット)に通信可能に結合される。第2のファイアウォール156bは、第2のLAN154のためのセキュリティを提供することができる。
【0102】
画像処理施設またはエンティティは、臨床施設から独立していてよく、たとえば、1つ、2つ、または多数の臨床施設にサービスを提供する独立事業体であってよい。
【0103】
図示していないが、通信ネットワークは、1または複数の追加のネットワーキングデバイスを含むことができる。ネットワーキングデバイスは、サーバ、ルータ、ネットワークスイッチ、ブリッジ、および/またはモデム(たとえば、DSLモデム、ケーブルモデム)などを含む任意の多種多様な形態を取ることができる。
【0104】
図1は、代表的なネットワーク化された環境100を示しているが、典型的なネットワーク化された環境は、多くの追加のMRI取得システム、画像処理および解析システム104、コンピュータシステム、ならびに/またはエンティティを含んでよい。本明細書に教示されている概念は、示されているよりも多くが組み入れられたネットワーク化された環境で同様に利用されてもよい。たとえば、単一のエンティティが、複数の診断エンティティに対して画像処理および解析サービスを提供してもよい。診断エンティティのうちの1または複数が、2つ以上のMRI取得システム102を運用してもよい。たとえば、大きい病院または専用化された医療用画像センターが、単一の施設で2つ、3つ、またはさらに多数のMRI取得システムを運用してもよい。典型的には、画像処理および解析サービスを提供するエンティティは、複数のエンティティを運用し、それにより、2つ、3つ、またはさらに多数のレンダリングまたは画像処理および解析コンピュータ140を含み得る画像処理および解析システム104を提供することができる。
【0105】
図2は、1または複数の画像処理および解析システム104(1つのみ図示される)と、1または複数の関連付けられた非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体204(1つのみ図示される)とを備えるネットワーク化された環境200を示す。関連付けられた非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体204は、1または複数の通信チャネル、たとえば、高速通信をすることができる1または複数のパラレルケーブル、シリアルケーブル、またはワイヤレスチャネルを介して、例として、FireWire(登録商標)、ユニバーサルシリアルバス(登録商標)(USB)2もしくは3、および/またはThunderbolt(登録商標)、ギガバイトイーサネット(登録商標)を介して、画像処理および解析システム104に通信可能に結合される。
【0106】
ネットワーク化された環境200はまた、1または複数のエンドMRI取得システム102(1つのみ図示される)を備える。MRI取得システム102は、1または複数の通信チャネル、たとえば、1または複数の広域ネットワーク(WAN)210、例として、インターネットまたはそのワールドワイドウェブ部分によって、画像処理および解析システム104に通信可能に結合される。
【0107】
動作に際して、MRI取得システム102は、典型的には、画像処理および解析システム104に対するクライアントとして機能する。動作に際して、画像処理および解析システム104は、典型的には、MRI取得システム102から要求または情報(たとえば、MRIデータセット)を受け取るためのサーバとして機能する。本明細書では、MRI取得システム102から(たとえばWANを介して)遠隔で画像処理および解析が行われることを可能にする非同期コマンドおよび画像化パイプラインを利用する全体的プロセスが説明される。この手法は、いくつかの特徴的な利点を提供して、たとえば、臨床家(たとえば医師)の参加を必要とせずに、技術者によってMRI取得システム102が操作されることを可能にする。また、医療用画像および個人患者固有の健康情報に対するアクセスを可能にしながらセキュリティを高めるための種々の技法または手法が説明される。
【0108】
いくつかの実装形態ではMRI取得システム102から遠隔に配置されるように示されているが、画像処理および解析システム104はMRI取得システム102と同じ場所に配置されてもよい。他の実装形態では、本明細書に説明されている動作または機能のうちの1または複数は、MRI取得システム102によって、またはMRI取得システム102と同じ場所に配置されたプロセッサベースのデバイスを介して行われることがある。
【0109】
画像処理および解析システム104は、MRIデータセットを受け取り、MRIデータセットに対して画像処理を行い、処理されたMRIデータセットを、たとえば、レビューのために臨床家に提供する。画像処理および解析システム104は、たとえば、MRIデータセットに対するエラー検出および/または補正、たとえば、位相エラー補正、位相エイリアシング検出、信号アンラッピング、ならびに/または他のアーチファクトの検出および/もしくは補正を行うことができる。位相エラーは位相に関係付けられ、位相エイリアシングも同様である。信号アンラッピングはマグニチュードに関係付けられる。他の種々のアーチファクトは、位相および/またはマグニチュードに関係付けられ得る。
【0110】
画像処理および解析システム104は、たとえば、種々の組織タイプを区別するセグメント化を行うことができる。画像処理および解析システム104は、たとえば、定量化、例として、閉じられた解剖学的構造の内外への血流または2つ以上の解剖学的構造を通る血流を比較することを行うことができる。画像処理および解析システム104は、有利には、定量化を使用して結果を検証する、たとえば、特定の組織の識別を確かめ、かつ/または結果の確実度の標識を提供することができる。加えて、画像処理および解析システム104は、有利には、定量化を使用してシャントの存在を識別することができる。
【0111】
いくつかの実装形態では、画像処理および解析システム104は、たとえば、動脈血流と静脈血流を区別することを含む、血流を反映した画像を生成することができる。たとえば、画像処理および解析システム104は、動脈血流を示すための第1のカラーマップ(たとえば青)と、静脈血流を示すための第2のカラーマップ(たとえば赤)とを利用することができる。画像処理および解析システム104は、他のある特徴的な色または視覚的強調を使用して異常性(たとえばシャント)を示すことができる。異なる組織間ならびに動脈血流と静脈血流を区別するための多数の異なる技法が説明される。フロー可視化が、たとえば、1または複数の層として、解剖学的構造またはマグニチュードデータの視覚表現に、またはその上方に重ね合わされ得る。
【0112】
いくつかの実装形態では、画像処理および解析システム104は、特定の患者に関してMRI取得システム102を操作する際に使用するための患者固有4Dフロープロトコルを生成することができる。それは、MRIマシンの操作のための適切な速度エンコーディング(VENC)を設定することを含むことができる。
【0113】
画像処理および解析システム104は、人間の入力なしに自律的にこれらの動作または機能のうちの1または複数を行うことができる。あるいは、画像処理および解析システム104は、人間の入力、たとえば、点、位置もしくは平面を識別する、または他の形式で解剖学的組織の特性を識別する人間の入力に基づいて、これらの動作または機能のうちの1または複数を行うことができる。いくつかの平面およびビューが予め定義されることができ、それにより、オペレータ、ユーザ、または臨床家が、平面(たとえば、弁平面)または命名されたビュー(たとえば、2腔断面、3腔断面、4腔断面)を単純に選択して、所望されるビューを迅速および容易に得ることを可能にする。
【0114】
ネットワーク化された環境200は、他のコンピュータシステムおよびネットワーク機器、たとえば、追加のサーバ、プロキシサーバ、ファイアウォール、ルータ、および/またはブリッジを利用してもよい。画像処理および解析システム104は、本明細書では単数形で言及される場合があるが、典型的な実施形態で複数の含まれる画像処理および解析システム104があり得るため、これは実施形態を単一のデバイスに限定するように意図されていない。特に説明されない限り、図2に示されている種々のブロックの構成および動作は、従来の設計のものである。結果として、そのようなブロックは、当業者によってそれらは理解されるので本明細書にさらに詳細に説明される必要はない。
【0115】
画像処理および解析システム104は、1または複数の処理ユニット212a、212b(まとめて212)、システムメモリ214、およびシステムバス216を含むことができ、システムバス216は、システムメモリ214を含む種々のシステム構成要素を処理ユニット212に結合する。処理ユニット212は、1または複数の中央処理装置(CPU)212a、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)212b、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、任意の論理処理ユニットであり得る。システムバス216は、メモリコントローラを有するメモリバス、周辺バス、および/またはローカルバスを含む、任意の知られているバス構造またはアーキテクチャを利用することができる。システムメモリ214は、読出し専用メモリ(「ROM」)218およびランダムアクセスメモリ(「RAM」)220を含む。基本入力/出力システム(「BIOS」)222は、ROM218の一部を形成することができ、起動時などに画像処理および解析システム104内の要素間の情報を転送するのを助ける基本ルーチンを含む。
【0116】
画像処理および解析システム104は、ハードディスク226の読み書きのためのハードディスクドライブ224、取外し可能光ディスク232の読み書きのための光ディスクドライブ228、および/または磁気ディスク234の読み書きのための磁気ディスクドライブ230を含むことができる。光ディスク232はCD-ROMであってよく、磁気ディスク234は磁気フロッピーディスクまたはディスケットであってよい。ハードディスクドライブ224、光ディスクドライブ228および磁気ディスクドライブ230は、システムバス216を介して処理ユニット212と通信することができる。ハードディスクドライブ224、光ディスクドライブ228、および磁気ディスクドライブ230は、当業者に知られているように、そのようなドライブとシステムバス216との間に結合されるインターフェースまたはコントローラ(図示せず)を含むことができる。ドライブ224、228および230、ならびにそれらに関連付けられたコンピュータ可読媒体226、232、234は、画像処理および解析システム104のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性ストレージを提供する。図示された画像処理および解析システム104は、ハードディスク224、光ディスク228、および磁気ディスク230を利用して示されているが、コンピュータによってアクセス可能なデータを記憶できる他のタイプのコンピュータ可読媒体、たとえば、WORMドライブ、RAIDドライブ、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(「DVD」)、Bernoulliカートリッジ、RAM、ROM、スマートカードなどが利用されてもよいことは、当業者には理解されよう。
【0117】
オペレーティングシステム236、1または複数のアプリケーションプログラム238、他のプログラムまたはモジュール240、およびプログラムデータ242などのプログラムモジュールが、システムメモリ214に記憶され得る。アプリケーションプログラム238は、MRI画像データセットに対する画像処理および解析をプロセッサ212に行わせる命令を含むことができる。たとえば、アプリケーションプログラム238は、位相または速度に関係付けられたデータに対する位相エラー補正をプロセッサ212に行わせる命令を含むことができる。たとえば、アプリケーションプログラム238は、位相エイリアシングのための補正をプロセッサ212にさせる命令を含むことができる。また、たとえば、アプリケーションプログラム238は、信号アンラッピングをプロセッサ212に行わせる命令を含むことができる。追加的または代替的に、アプリケーションプログラム238は、アーチファクトに対する識別および/または補正をプロセッサ212にさせる命令を含むことができる。
【0118】
アプリケーションプログラム238は、たとえば、種々の組織タイプを区別するセグメント化をプロセッサ212に行わせる命令を含むことができる。アプリケーションプログラム238は、定量化、たとえば、閉じられた解剖学的構造の内外への血流または2つ以上の解剖学的構造を通る血流を比較することをプロセッサ212に行わせる命令を含むことができる。アプリケーションプログラム238は、定量化を使用して結果を検証する、たとえば、特定の組織の識別を確かめ、かつ/または結果の確実度の標識を提供することを、プロセッサ212にさせる命令を含むことができる。アプリケーションプログラム238は、プロセッサ212に定量化を使用してシャントの存在を識別させる命令を含むことができる。
【0119】
アプリケーションプログラム238は、血流を反映する画像、たとえば動脈血流と静脈血流を区別する画像を生成することを、プロセッサ212にさせる命令を含むことができる。たとえば、動脈血流を示すために第1のカラーマップ(たとえば青)が使用されてよく、静脈血流を示すために第2のカラーマップ(たとえば赤)が使用されてよい。他のある特徴的な色または視覚的強調を使用して異常性(たとえばシャント)が示されてもよい。カラーマップを生成するために色変換機能が適用されてもよい。アプリケーションプログラム238は、解剖構造の可視化またはレンダリングされた画像(たとえば、MRIマグニチュードデータ)上にフローの可視化(たとえば、血流速度および/またはボリュームを示すMRI位相データ)を重ね合わせることを、プロセッサ212にさせる命令を含むことができる。それらの命令は、たとえば、カラーヒートマップ(color heat map)として、および/または方向およびマグニチュード(たとえば、長さ、線太さによって表される)を有するベクトル(たとえば、矢印アイコン)として、解剖構造(すなわちマグニチュード)およびフロー(すなわち位相)情報の融合を提供するように、解剖構造の画像上の1または複数の層としてフロー視覚化がレンダリングされるようにすることができる。それらの命令は、追加的または代替的に、信号歪み、乱流、および/または圧力の空間マッピングまたは可視化の生成を引き起こすことができ、それらの空間マッピングまたは可視化は、解剖学的構造の空間マッピングまたは可視化にオーバーレイされまたは重ね合わされ得る。位相または速度に関係付けられた情報を、解剖学的情報の可視化または解剖学的構造の視覚表現と融合することは、解剖学的ランドマークの識別を容易にすることができる。それらの命令は、グラフィックス処理ユニットすなわちGPUのセットまたはアレイを活用して、可視化を迅速にレンダリングすることができる。
【0120】
また、変換機能は、どの視覚効果(たとえば色)をどの組織に適用するかを決定するために適用され得る。たとえば、動脈血流は青の色合いに着色されてよく、静脈血流は赤の色合いに着色されてよく、また、脂肪組織が黄色に着色されてもよい。MRI画像データセットにおけるマグニチュードとして表される解剖学的構造は、たとえば、グレースケールを使用して可視化され得る。ビューの深さは、たとえば、グラフィカルユーザインターフェース上のスライダコントロールを介して、オペレータまたはユーザに調節可能であり得る。したがって、可視化は、速度情報の視覚表現を解剖学的情報または表現の視覚表現と有利に融合する融合ビューの形態とすることができる。
【0121】
アプリケーションプログラム238は、特定の患者に関してMRI取得システム102を操作する際に使用するための患者固有4Dフロープロトコルをプロセッサ212に生成させる命令を含むことができる。それは、たとえば技術者によって提供される患者固有入力に基づいてよく、また、MRIデータセットを捕捉するために使用されている特定のMRIマシンに基づいてよい。
【0122】
アプリケーションプログラム238は、MRI取得システムから画像データセットを受け取り、画像データセットを処理および/または解析し、処理および/または解析された画像および他の情報を画像処理から遠隔に配置されたユーザに対して時間制約を満たしかつセキュアな様式で提供することを、プロセッサ212にさせる命令を含むことができる。それは、種々の図を参照して本明細書で詳細に説明される。
【0123】
また、システムメモリ214は、通信プログラム、たとえば、後述されるように、インターネット、イントラネット、エクストラネット、遠隔通信ネットワークまたは他のネットワークを介して電子情報またはファイルを供給することを画像処理および解析システム104に行わせるサーバ244を含むことができる。図示された実施形態におけるサーバ244は、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張マークアップ言語(XML)またはワイヤレスマークアップ言語(WML)などのマークアップ言語に基づくことができ、ドキュメントの構造を表すためにドキュメントのデータに追加された構文的に区切られた文字を使用するマークアップ言語で動作することができる。いくつかの適切なサーバは、Mozilla、Google、Microsoft、およびApple Computerなどから商業的に入手可能であり得る。
【0124】
図2ではシステムメモリ214に記憶されるものとして示されているが、オペレーティングシステム236、アプリケーションプログラム238、他のプログラム/モジュール240、プログラムデータ242、およびサーバ244は、ハードディスクドライブ224のハードディスク226、光ディスクドライブ228の光ディスク232、および/または磁気ディスクドライブ230の磁気ディスク234に記憶されることが可能である。
【0125】
オペレータは、タッチスクリーンまたはキーボード246などの入力デバイス、および/またはマウス248などのポインティングデバイス、および/またはグラフィカルユーザインターフェースを介して、コマンドおよび情報を画像処理および解析システム104に入力することができる。他の入力デバイスは、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、タブレット、スキャナなどを含むことができる。これらおよび他の入力デバイスは、システムバス216に結合するシリアルポートインターフェースなどのインターフェース250を介して処理ユニット212のうちの1または複数に接続されるが、パラレルポート、ゲームポート、またはワイヤレスインターフェースまたはユニバーサルシリアルバス(「USB」)など、他のインターフェースが使用されてもよい。モニタ252または他の表示デバイスが、ビデオアダプタなどのビデオインターフェース254を介してシステムバス216に結合される。画像処理および解析システム104は、スピーカ、プリンタなど他の出力デバイスを含むことができる。
【0126】
画像処理および解析システム104は、1または複数の遠隔コンピュータおよび/またはデバイスへの論理接続を使用して、ネットワーク化された環境200において動作することができる。たとえば、画像処理および解析104は、1または複数のMRI取得システム102への論理接続を使用して、ネットワーク化された環境200において動作することができる。通信は、有線および/またはワイヤレスネットワークアーキテクチャ、たとえば、有線およびワイヤレス企業規模コンピュータネットワーク、イントラネット、エクストラネット、ならびに/またはインターネットを介することができる。他の実施形態は、遠隔通信ネットワーク、セルラーネットワーク、ページングネットワーク、および他のモバイルネットワークを含む、他のタイプの通信ネットワークを含むことができる。画像処理および解析システム104とMRI取得システム102との間には、通信経路内の任意の様々なコンピュータ、スイッチングデバイス、ルータ、ブリッジ、ファイアウォール、および他のデバイスが存在し得る。
【0127】
MRI取得システム102は、典型的には、MRIマシン108、ならびに1または複数の関連付けられたプロセッサベースのデバイス、たとえば、MRI制御システム126および/またはMRIオペレータのシステム128の形態を取る。MRI取得システム102は、患者からMRI情報またはデータセットを捕捉する。したがって、いくつかの例では、MRI取得システム102は、それをMRI画像処理および解析システム104から区別するように、フロントエンドMRI取得システムまたはMRI捕捉システムと命名されることがあり、MRI画像処理および解析システム104は、いくつかの例では、MRIバックエンドシステムと命名されることがある。MRI取得システム102は、本明細書では単数形で各々言及されることがあるが、これは、実施形態を単一のMRI取得システム102に限定するように意図されていない。典型的な実施形態では、2つ以上のMRI取得システム102があってよく、ネットワーク化された環境200において多数のMRI取得システム102がある場合が多い。
【0128】
MRI取得システム102は、1または複数のサーバコンピュータ(図示せず)に通信可能に結合され得る。たとえば、MRI取得システム102は、1または複数の診断施設サーバコンピュータ(図示せず)、ルータ(図示せず)、ブリッジ(図示せず)、LAN106a(図1)などを介して通信可能に結合されることができ、それらは、ファイアウォール156a(図1)を含むまたは実装することができる。サーバコンピュータ(図示せず)は、サーバ命令のセットを実行して、臨床施設または現場におけるLAN106aを介して通信可能に結合されたいくつかのMRI取得システム102(すなわちクライアント)のためのサーバとして機能し、したがって、MRI取得システム102とMRI画像処理および解析システム104との間の媒介として作用することができる。MRI取得システム102は、クライアント命令のセットを実行して、WANを介して通信可能に結合されているサーバコンピュータのクライアントとして機能することができる。
【0129】
MRI制御システム126は、典型的には、1または複数のプロセッサ(たとえば、マイクロプロセッサ、中央処理装置、デジタルシグナルプロセッサ、グラフィック処理ユニット)と、非一時的プロセッサ可読メモリ(たとえば、ROM、RAM、Flash、磁気および/または光ディスク)とを含む。MRIオペレータのシステム128は、適切な命令を実行するコンピュータ、たとえば、パーソナルコンピュータ(たとえば、デスクトップまたはラップトップコンピュータ)、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、携帯情報端末、ワークステーションコンピュータ、および/またはメインフレームコンピュータなどの形態を取ることができる。
【0130】
MRIオペレータのシステム128は、1または複数の処理ユニット268、システムメモリ269、およびシステムバス(図示せず)を含むことができ、システムバスは、システムメモリ269を含む種々のシステム構成要素を処理ユニット268に結合する。
【0131】
処理ユニット268は、1または複数の中央処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィック処理ユニット(GPU)など、任意の論理処理ユニットとすることができる。商業的に入手可能なコンピュータシステムの非限定的例は、米国のIntel Corporationの80×86もしくはPentium シリーズマイクロプロセッサ、IBMのPowerPCマイクロプロセッサ、Sun Microsystems,Inc.のSparcマイクロプロセッサ、Hewlett-Packard CompanyのPA-RISCシリーズマイクロプロセッサ、Motorola Corporationの68xxxシリーズマイクロプロセッサ、ATOMプロセッサ、またはA4もしくはA5プロセッサを含むが、これらに限定されない。特に説明されない限り、図2に示されているMRI取得システム102の種々のブロックの構成および動作は、従来の設計のものである。結果として、そのようなブロックは、当業者によってそれらは理解されるので本明細書にさらに詳細に説明される必要はない。
【0132】
システムバスは、メモリコントローラを有するメモリバス、周辺バス、およびローカルバスを含む、任意の知られているバス構造またはアーキテクチャを利用することができる。システムメモリ269は、読出し専用メモリ(「ROM」)270およびランダムアクセスメモリ(「RAM」)272を含む。基本入力/出力システム(「BIOS」)271は、ROM270の一部を形成することができ、起動時などにMRI取得システム102内の要素間の情報を転送するのを助ける基本ルーチンを含む。
【0133】
MRIオペレータのシステム128はまた、コンピュータ可読記憶媒体274、たとえば、ハードディスク、光ディスク、および/または磁気ディスクの読み書きのための、1または複数のメディアドライブ273、たとえば、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、WORMドライブ、および/または光ディスクドライブを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体274は、たとえば、取外し可能媒体の形態を取ることができる。たとえば、ハードディスクはウィンチェスタードライブの形態を取ってよく、光ディスクはCD-ROMの形態を取ることができ、また、磁気ディスクは磁気フロッピーディスクまたはディスケットの形態を取ることができる。メディアドライブ273は、1または複数のシステムバスを介して処理ユニット268と通信する。メディアドライブ273は、当業者に知られているように、そのようなドライブとシステムバスとの間に結合されるインターフェースまたはコントローラ(図示せず)を含むことができる。メディアドライブ273およびそれらに関連付けられた非一時的コンピュータ可読記憶媒体274は、MRI取得システム102のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性ストレージを提供する。ハードディスク、光ディスク、および磁気ディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体274を利用するものとして示されているが、MRIオペレータのシステム128は、コンピュータによってアクセス可能なデータを記憶できる他のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体、たとえば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(「DVD」)、Bernoulliカートリッジ、RAM、ROM、スマートカードなどを利用してもよいことは、当業者には理解されよう。データまたは情報、たとえば、電子またはデジタルファイルまたはデータまたはそれに関係付けられたメタデータが、非一時的コンピュータ可読記憶媒体274に記憶され得る。
【0134】
オペレーティングシステム、1または複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムまたはモジュールおよびプログラムデータのようなプログラムモジュールが、システムメモリ269に記憶され得る。プログラムモジュールは、MRI処理および解析システム104によってホストまたは提供されるウェブサイト、エクストラネットサイトまたは他のサイトもしくはサービス(たとえばウェブサービス)、および関連付けられたウェブページ、他のページ、画面もしくはサービスにアクセスするための命令を含むことができる。
【0135】
特に、システムメモリ269は、MRI取得システム102が、電子またはデジタル情報またはファイルまたはデータまたはメタデータを、MRI処理および解析システム104によって提供されるMRI画像処理および/または解析サービスと交換することを可能にする、通信プログラムを含むことができる。通信プログラムは、たとえば、MRI取得システム102が、情報、ファイル、データ、および/またはメタデータにアクセスし、それらをインターネット、企業イントラネット、エクストラネット、または他のネットワークのウェブサイトなどのソースと交換することを可能にする、ウェブクライアントまたはブラウザとすることができる。そうしたことは、エンドユーザクライアントが、与えられたウェブサイト、たとえば、MRI処理および解析システム104によってホストされるものにアクセスするための十分な権利、許可、特権、または権限を有することを必要とし得る。本明細書に論じられるように、患者を識別するデータは、臨床施設によってまたは臨床施設のために運用されているシステム上に存在することができるが、画像処理施設によってもしくは画像処理施設のために運用されているシステムまたは画像処理施設担当者によって、またはそれらを介してアクセス可能でない場合がある。ブラウザは、たとえば、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張マークアップ言語(XML)またはワイヤレスマークアップ言語(WML)などのマークアップ言語に基づくことができ、ドキュメントの構造を表すためにドキュメントのデータに追加された構文的に区切られた文字を使用するマークアップ言語で動作することができる。
【0136】
システムメモリ269に記憶されるものとして説明されているが、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、他のプログラム/モジュール、プログラムデータ、および/またはブラウザは、メディアドライブ273のコンピュータ可読記憶媒体274に記憶されることが可能である。オペレータは、タッチスクリーンまたはキーボード276などの入力デバイス、および/またはマウスなどのポインティングデバイス277を介して、コマンドおよび情報をMRIオペレータのシステム128に入力することができる。他の入力デバイスは、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、タブレット、スキャナなどを含むことができる。これらおよび他の入力デバイスは、システムバスに結合するシリアルポートインターフェースなどのインターフェースを介して処理ユニット269に接続されるが、パラレルポート、ゲームポートまたはワイヤレスインターフェースまたはユニバーサルシリアルバス(「USB」)など、他のインターフェースが使用されてもよい。ディスプレイまたはモニタ278が、ビデオアダプタなどのビデオインターフェースを介してシステムバスに結合され得る。MRIオペレータシステム128は、スピーカ、プリンタなど他の出力デバイスを含むことができる。
【0137】
MRI画像処理および解析システムは、種々の組織タイプがMRI4Dフローデータセットから差し引かれるまたはそれに追加されることを可能にする静止インターフェースを構築することができる。たとえば、脂肪または骨などの静止組織が、空気または流れる血液などの非静止組織から区別され得る。MRI画像処理および解析システムは、さらに、種々の非静止組織を自律的に区別する、たとえば、空気(たとえば肺)と流れる血液とを区別することができる。さらに、MRI画像処理および解析システムは、動脈血流と静脈血流を区別することができる。
【0138】
たとえば、MRI画像処理および解析システムは、脈動パターンまたは波形を有することが期待される血液組織を識別するために、高速フーリエ変換を利用することができる。空気または肺は、近隣ボクセルの速度が比較されるとき、定義されたボリュームにわたってランダムに見えるパターンを有する傾向がある。たとえば、強いまたは速い速度を有するボクセルは、典型的には空気を示す。MRIデータセットは、だいぶ大きく、たとえば、256×256×256×20の時点であり得る。MRI画像処理および解析システムは、異なる組織タイプを検出するために勾配(たとえば勾配降下法)に依拠することができ、有利には、比較的大きいMRIデータセットを迅速に取り扱うために、解析解手法より数値的手法を利用することができる。数値的手法の有効桁の数(たとえば2)を制御することにより、MRI画像処理および解析システムは、特定の適用に十分に正確な結果を得ながらも、非常に速い(たとえば、30分に対して1秒)結果を達成することができる。
【0139】
いくつかの実装形態では、異なる組織タイプが、1つずつ患者MRIデータセットから差し引かれることができる。たとえば、空気または肺を差し引き、血液を差し引き、静脈流から心房流を分離し、骨を差し引き、脂肪を残す。特に、脂肪は静的であるので、脂肪を表す各ボクセルは、それらと関連付けられたゼロ速度を有するはずである。MRI画像処理および解析システムは、有利には、そのようなグラウンドトゥルース(ground truth)を利用してすべての組織タイプについてMRIデータセットを補正することができる。
【0140】
非ゼロ速度が脂肪タイプ組織について見出された場合、これは、データのセット全体(たとえば、すべての組織について)を調節するために使用され得る。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、識別された領域またはボリューム(たとえば、脂肪または軟部組織)に基づいて、多項式モデルを生成するまたは作り出すことができる。それは、単純な多項式(たとえば、ax2+bx+c)、またははるかに複雑な多項式(たとえば、非一様有理Bスプライン)であり得る。MRI画像処理および解析システムは、たとえば、線形回帰技法または線形代数技法を使用して、多項式の係数が画像にフィットするのを見出すことができる。これは、脂肪または軟部組織だけでなくフィールド全体に対してMRI画像処理および解析システムが適用する(たとえば、それから差し引く)ことができるモデルをもたらす。
【0141】
一実装形態では、実際の患者データから差し引かれ得る参照セットのデータまたは「ファントム」モデルを作り出すために、レプリカボディ(replica body)が撮像される。レプリカボディは、実際の身体のMRI応答を模倣するが血流を有しない材料で形成され得る。基準セットのデータまたは「ファントム」モデルにおける位相勾配は、ノイズ(たとえばランダムノイズ)を表すことができ、位相シフトを補正するために使用されることができる。この手法は、有利なことに、3Dデータにフィットする多項式を生成する必要性を回避する。生成された参照セットまたはファントムモデルは、数ヶ月にわたるMRIマシン動作において有効であり得るが、MRIマシンが補修または移動される場合、新しいセットの参照データまたはファントムモデルが生成されるべきである。
【0142】
MRI画像処理および解析システムは、異なる組織タイプを除去するため、または静脈または心房血流を除去するための種々のフィルタまたはマスクを定義することができる。フィルタまたはマスクは、異常な血流、たとえば、ある合理的な範囲の外側の(たとえば、高いまたは速すぎる、遅いまたは低すぎる)血流、または、血流が無いはずの解剖学的構造(たとえば、骨)において血液が流れているように見える場合の血流などを除去することができる。また、フィルタまたはマスクは、ある閾値より大きい絶対値を有するマグニチュードを持つボクセルのみを表示するように定義され得る。フィルタまたはマスクは、マグニチュードおよび速度のクロス積の絶対値であってある定義された閾値よりも大きい絶対値を有するボクセルのみを表示するように定義され得る。さらに、たとえば、高速度ジェットを識別またはビュー表示するために、近隣ボクセルのベクトルと同じ方向のベクトルを有するボクセルのみを示すフィルタまたはマスクが定義され得る。特に、近隣ボクセルの速度ベクトルが様々な方向であることは、ノイズの標識であり得る。
【0143】
図3Aは、1つの例示された実施形態による、MRI画像処理および解析またはレンダリングシステムにおける典型的なデータフロー300を示す。
【0144】
MRI画像処理および解析システム104(図1)は、「生」のMRI画像データ302を、たとえば、DICOM規格準拠電子ファイルの形態で受け取る。いくつかの実装形態では、「生」のMRI画像データ302は、たとえば、取得部分(MRI取得システム102、図1)に関連付けられたプロセッサベースのシステムによって、いくらかの最小レベルの画像前処理が行われていることがある。
【0145】
304で、MRI画像処理および解析システムは、「生」データに対してデータ前処理を行う。
【0146】
前処理は、たとえば、MRI画像処理および解析システムが自律的に行うことが可能な位相エラー補正306を含むことができる。位相エラー補正306の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0147】
前処理304の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、308で組織セグメント化を行うことができる。MRI画像処理および解析システムは、文字Aを囲む円で示されるように、自律的に組織セグメント化306を行うことができる。追加的または代替的に、MRI画像処理および解析システムは、文字Mを囲む円で示されるように、たとえば、MRI画像処理および解析システムとの対話(たとえば、人間からの入力の受信)によって、手動で組織セグメント化308を行うことができる。組織セグメント化306の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0148】
前処理304の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、310でランドマーク識別を行うことができる。MRI画像処理および解析システムは、文字Aを囲む円で示されるように、自律的にランドマーク識別310を行うことができる。代替的または追加的に、MRI画像処理および解析システムは、文字Mを囲む円で示されるように、たとえば、MRI画像処理および解析システムとの対話(たとえば、人間からの入力の受信)によって、手動でランドマーク識別310を行うことができる。ランドマーク識別310の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0149】
312で、MRI画像処理および解析システムは、前処理データに対して可視化を行う。
【0150】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、314で速度重み付けされたボリュームレンダリングを行うことができる。速度重み付けされたボリュームレンダリング314の種々の適切な手法については、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0151】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、316で同時ベクトル場および解剖学的構造可視化またはレンダリングを行うことができる。同時ベクトル場および解剖学的構造可視化またはレンダリング316の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0152】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、318で天然ボリュームレンダリング遷移(natural volume rendering transition)を行うことができる。天然ボリュームレンダリング遷移318の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0153】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、320で対話型ランドマーク付けベースビュー(interactive landmarked based view)を提供または作成することができる。対話型ランドマーク付けベースビュー320を提供する種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0154】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、322で対話型3Dボリュメトリックセグメント化(interactive 3D volumetric segmentation)を行うまたは提供することができる。対話型3Dボリュメトリックセグメント化322を提供する種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0155】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、324で可視化ガイド付き心臓および/または脈管照合(visualization guided cardiac and/or vessel interrogation)を行うことができる。可視化ガイド付き心臓および/または脈管照合324を行うまたは提供する種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0156】
可視化312の一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、326で立体3Dベクトル場および解剖学的可視化を行うまたは提供することができる。立体3Dベクトル場および解剖学的可視化326を提供する種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0157】
328で、MRI画像処理および解析システムは、前処理データに対して可視化を行う。
【0158】
定量化328を行う一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、330で脈管測定を行うことができる。MRI画像処理および解析システムは、文字Aを囲む円で示されるように、自律的に脈管測定330を行うことができる。代替的または追加的に、MRI画像処理および解析システムは、文字Mを囲む円で示されるように、たとえば、MRI画像処理および解析システムとの対話(たとえば、人間からの入力の受信)によって、手動で脈管測定330を行うことができる。脈管測定330の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0159】
定量化328を行う一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、332で血流定量化を行うことができる。MRI画像処理および解析システムは、文字Aを囲む円で示されるように、自律的に血流定量化332を行うことができる。代替的または追加的に、MRI画像処理および解析システムは、文字Mを囲む円で示されるように、たとえば、MRI画像処理および解析システムとの対話(たとえば、人間からの入力の受信)によって、手動で血流定量化332を行うことができる。血流定量化332の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0160】
定量化328を行う一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、334で心腔ボリューム定量化を行うことができる。MRI画像処理および解析システムは、文字Aを囲む円で示されるように、自律的に心腔ボリューム定量化334を行うことができる。代替的または追加的に、MRI画像処理および解析システムは、文字Mを囲む円で示されるように、たとえば、MRI画像処理および解析システムとの対話(たとえば、人間からの入力の受信)によって、手動で心腔ボリューム定量化334を行うことができる。心腔ボリューム定量化334の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0161】
定量化328を行う一部として、MRI画像処理および解析システムは、たとえば、336で圧力定量化を行うことができる。MRI画像処理および解析システムは、文字Aを囲む円で示されるように、自律的に圧力定量化336を行うことができる。代替的または追加的に、MRI画像処理および解析システムは、文字Mを囲む円で示されるように、たとえば、MRI画像処理および解析システムとの対話(たとえば、人間からの入力の受信)によって、手動で圧力定量化336を行うことができる。圧力定量化336の種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0162】
338で、MRI画像処理および解析システムは、自動化された結果検証を行う。自動化された結果検証338を行う種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0163】
340で、MRI画像処理および解析システムは、自動化された構造報告を行う。自動化された構造報告340を行う種々の適切な手法は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0164】
図3Bは、1つの例示された実施形態による、MRI画像化および処理/解析環境におけるデータフロー350を示す。
【0165】
MRI画像化および処理/解析データフロー350は、3つのセグメントまたは段階、すなわち、画像取得段階352、画像再構成段階354、および後処理段階356に分解され得る。
【0166】
画像取得段階352中に、MRIマシンの磁石を駆動するために種々のパルスシーケンス(PS1、PS2、PSn、4DフローPS)が利用され、生またはk空間MRIデータまたは情報が収集される。生またはk空間MRIデータまたは情報は、複数のボクセルを表し、各ボクセルのマグニチュード値および位相値を含むことができる。マグニチュード値は解剖学的構造を表し、位相値は血流または速度を表す。
【0167】
生のMRIデータは、画像再構成段階354中に処理される。画像再構成は、たとえば、標準化されたファイル、たとえば、DICOM規格フォーマットにおけるMRIデータセットをもたらすことができる。画像再構成は、MRIマシン製造者、たとえば、GE、Siemens、Philipsに固有であってもよく、MRIマシン製造者によって提供されたソフトウェアまたはファームウェアを利用してもよい。典型的には、画像再構成は、MRIマシンが配置された現場でローカルに行われる。
【0168】
MRIデータセット(たとえばDICOMファイル)は、後処理段階356でさらに処理される。いくつかの特に有利な実装形態では、後処理段階356は、画像取得段階352および画像再構成段階354から遠隔で行われる。たとえば、後処理段階356は、専用化された後処理施設で行われることができ、専用化された後処理施設はさらに、画像取得段階352および画像再構成段階354を行う1または複数のエンティティ(たとえば、臨床施設または組織)から分離され独立したエンティティによって運用され得る。
【0169】
後処理段階356は、操作段階360、エラー検出および/または補正段階362、可視化段階364、ならびに定量化段階366に分割され得る。順を追って示されているが、これらの段階360~366は示されているのと異なる順序で行われてもよく、順を追って行われなくてもよい。たとえば、各段階にグループ分けされたアクションの多くが同時に行われてよく、または、1つの段階における一部の行為が別の段階の行為の前に行われてもよい一方、その1つの段階の他の行為が別の段階の行為の後に行われてもよい。
【0170】
操作段階360は、要求(たとえば、MRIデータセットに関するウェブ要求)を受信すること、要求をキューに入れること、および応答を提供することを含むことができる。操作段階を、たとえば、非同期コマンドおよび画像化パイプラインアーキテクチャを介して実装するための多くの技法が以下に説明される。
【0171】
エラー検出および/または補正段階362は、MRIデータセットに対してエラー検出および可能な場合にエラー補正を行うことを含む。エラー検出および/または補正段階362は、たとえば、渦電流検出および/もしくは補正、位相検出および/もしくは補正、画像アンラッピング、マグニチュードエイリアシング検出および/もしくは補正、位相エイリアシング検出および/もしくは補正、ならびに/またはアーチファクト検出および/もしくは補正を行うことを含むことができる。多くのエラー検出および/または補正技法が本明細書の他の箇所で詳細に説明される。エラー検出および/または補正行為の多くがレンダリングまたは後処理システムによって自律的に行われ得るとともに、その他はコンピュータへの人間の介入または入力を利用し得る。
【0172】
可視化段階364は、様々なアクション、たとえば、ランドマーク(たとえば、解剖学的ランドマークまたは構造)を定義または設定すること、セグメント化を介して2次元輪郭および/または3次元ボリュームを生成することを含むことができる。加えて、可視化段階364は、動脈血流と静脈血流を表す情報を区別すること、および、たとえば適切な色(たとえば、青、赤)を介して、それらを識別することを含むことができる。加えて、可視化段階364は、健康な被検体に生じるはずがない血流を表す疑われるシャントを識別すること、および、たとえば適切な色を介して、それらを識別することを含むことができる。可視化行為の多くがレンダリングまたは後処理システムによって自律的に行われ得るとともに、その他はコンピュータへの人間の介入または入力を利用し得る。
【0173】
定量化段階366中、種々の特性が定量化され比較され得る。たとえば、定量化段階366は、質量保存またはフロー保存の概念を利用することができる。それによって、血液のフローは定量化され比較され得る。たとえば、ボリューム内への血液のフローは、典型的には、ボリューム外への血液のフローと一致する。ボリュームは、たとえば、脈管構造(たとえば、動脈、静脈、洞)または心臓、心腔など、身体器官を構成することができる。ボリュームは、天然のインレットおよび天然のアウトレットを有する取り囲まれた構造であり得る。あるいは、ボリュームは、自然に生じたいかなる入口または出口にも対応しない定義されたインレットおよびアウトレットを有する場合がある。たとえば、動脈の任意のセグメントが、ボリュームとして線引きまたは識別され得る。また、たとえば、2つ以上の解剖学的構造が組み合わされてボリュームを形成または定義する場合もある。
【0174】
ボリューム内外へのフローを比較することを用いて、シャント(たとえば、正常で健康な組織に生じないはずの血流を可能にする欠損)を識別することができる。ボリューム内外へのフローを比較することを用いて、他の後処理アクションを検証または確認する、たとえば、1または複数のボクセルに対する動脈流対静脈流のセグメント化または割当てを検証することができる。
【0175】
多くの定量化技法が本明細書の他の箇所で詳細に説明される。定量化行為の多くがレンダリングまたは後処理システムによって自律的に行われ得るとともに、その他はコンピュータへの人間の介入または入力を利用し得る。
【0176】
事前取得(Pre-Acquisition)
4Dフローローカライザ
4Dフローローカライザは、高忠実度4Dフロースキャンまたは取得のための情報を収集するように調整された固有のパルスシーケンス(すなわち、MRIスキャンまたは取得中にMRIマシンの磁石を制御する命令または駆動信号)である。4Dフローローカライザは、本質的に、第2のパス(すなわち、高忠実度4Dフロースキャンまたは取得)のための適切なまたは最適化された設定を規定するのを助けるための第1のパススキャンまたは取得である。患者がスキャナに入る前に、4Dフローローカライザのタイプが、いくつかの変数に基づいて選択される。臨床的適応、造影剤のタイプ、造影剤の量、患者重さ、患者高さおよび心拍、ハードウェア製造者、使用されるコイルのタイプ、ならびにハードウェアのタイプ(1.5Tまたは3T)が、使用すべき最適ローカライザを予測するために使用される。次いで、ローカライザデータが、患者固有の4Dフロープロトコルを構築するために、プロセッサベースのシステム(たとえば、画像処理および解析システムのサーバ)に送られる。
【0177】
たとえば、ローカライザは、VENC(速度エンコーディング)および必要とされる時間分解能を選択するのを助けることができる。たとえば、VENCは、対象の脈管の内部で見られる最大速度に全体的または部分的に基づいて選択され得る。VENCは、ルックアップテーブル手法および/または補間を使用して選択されてもよい。図4Aは、速度の種々の範囲に対するVENCの例示的値を有するルックアップテーブル400を示す。
【0178】
また、たとえば、スキャンの長さまたは期間が、MRI手順に使用されるコイル(たとえば心臓用コイル)のチャネルの数に全体的または部分的に基づいて選択され得る。典型的には、チャネルの数が小さいほど、信号対雑音比(SNR)が小さくなり、すなわち、より長い画像化時間が必要とされる。図4Bは、心臓用コイルの総チャネル数に対するいくつかの例示的なスキャン長さまたは期間を示すテーブル402である。
【0179】
加えて、より多くのデータが収集されて画像処理および解析システムのサーバに送られると、学習または洗練アルゴリズムが、入力パラメータのセットに基づいて使用すべき最適設定を検出することができる。このアルゴリズムは、(たとえば、高忠実度4Dフロースキャンの品質の1~10の範囲からの)臨床家からのフィードバックを利用して、選択された出力変数が与えられたスキャン(すなわち取得)に対して適切であったかどうかを知るまたは認識する際にアルゴリズムを訓練してもよい。アルゴリズムは、ニューラルネットワークの訓練を含むがこれに限定されない1または複数の人工知能(AI)技法を利用してもよい。訓練セットが無い場合、高忠実度4Dフロースキャンの入力変数のデフォルト値が選択されることになる。品質メトリックに加えて、画像がサーバに戻って来ると、このデータは、次のスキャン設定がどうあるべきかを決定する際に使用される。目標は、時間または手順数に伴ってスキャン品質を向上させることである。入力パラメータは、スキャン品質が向上するかまたは低下するかを決定するために増分または減分される。特定の機関から十分な数の訓練セットがあった場合、撮像される必要がある任意の新しい患者のための最適入力変数を選択するために、多変数最適化アルゴリズムが使用され得る。
【0180】
使用の際、各患者について、MRI画像化および解析システムは、患者固有の1または複数のパルスシーケンスであって、MRIデータセットを取得するためにMRIマシンを操作するために使用される1または複数のパルスシーケンスを生成することができる。たとえば、MRI画像化および解析システムは、患者に対して4~6つのパルスシーケンスを生成することができる。MRIマシンは、たとえば、MRIマシンオペレータまたは技術者によって入力された信号に応答して、パルスシーケンスを実行することができる。特に、そうしたことは、臨床家(たとえば医師)の参加または時間を必要とせずに、所望されるMRIデータセットの捕捉または取得を可能にする。入力は、患者特性、勾配コイルの識別、および/またはコントラストを含むことができる。
【0181】
図5は、1つの例示された実施形態による、4Dフローローカライザおよびオプションの洗練アルゴリズムを用いる動作500の方法を示す。
【0182】
初期入力変数502が生成または収集されて4Dフローローカライザ504を作成する。入力変数502は、たとえば、MRIオペレータのシステム112を介して収集され、たとえば、人間によって入力され、および/または自動的もしくは自律的に収集され得る。入力変数502は、臨床的適応、造影剤の名称または識別子、造影剤の量または用量、ボーラスが患者または被検体に注入または提供された後に経過された時間の量、患者または被検体重さ、患者または被検体高さ、患者または被検体年齢、患者または被検体の心拍、ハードウェア製造者、メーカー、モデル、シリアル番号または他のハードウェア識別子、コイルのタイプ(たとえば、心臓用コイル、チャネルの数)、ハードウェア磁石強度(たとえば、1.5T、3T)、患者または被検体が鎮静されているかどうかの標識などのうちの1または複数を含むことができる。
【0183】
4Dフローローカライザ504は、プロセッサベースのデバイスを介して生成され得る。多くの実装形態では、プロセッサベースのデバイスは画像処理および解析システムの一部であるが、本明細書の教示はそれに限定されない。たとえば、いくつかの実装形態では、4DフローローカライザはMRI取得システムの構成要素または部分によって生成され得る。
【0184】
4Dフローローカライザ504を使用するMRIマシンの動作が、出力変数のセット506を生成または作成する。出力変数506は、少なくともいくつかの例では、4Dフローローカライザ画像の形態を取ることができる。
【0185】
508で、出力変数(たとえば4Dフローローカライザ画像)が洗練される。たとえば、プロセッサベースのデバイスが、アルゴリズム、たとえば機械学習アルゴリズムを実行することができる。あるいは、ニューラルネットワークが洗練を行うために利用され得る。
【0186】
上述されたように、機械学習または他の手法が洗練を可能にして、高忠実度4Dフローの入力変数510のセットを生成することができる。高忠実度4Dフローの入力変数510は、たとえば、スキャンまたは取得の長さまたは期間、VENC、視野、繰り返し時間(TR)(mm)、エコー時間(TE)(mm)、行分解能(mm)、列解分解能(mm)、スライス分解能(mm)、時間分解能(ms)、フリップ角(度)のうちの1または複数を含むことができる。
【0187】
プロセッサベースのデバイスは、高忠実度4Dフローの入力変数510を使用して、高忠実度4Dフロースキャンまたは取得512を生成する。高忠実度4Dフロースキャンまたは取得512は、高忠実度4Dフローの出力変数514をもたらす。高忠実度4Dフローの出力は、たとえば、4Dフロー画像、(1または複数の専門家によって評価される、たとえば、1~10のような尺度での)スキャンの品質、スキャン中に生じるイベント(たとえば、患者が動かされる)のうちの1または複数を含むことができる。
【0188】
可視化
動脈および静脈血流隔離
左心(すなわち動脈)血流と右心(すなわち静脈)血流との間の差異を強調するために、MRI画像処理および解析システムは、各側に対して一意のカラーマップ(すなわち色勾配マップ)を生成するように動作可能である。MRI画像処理および解析システムは、2Dレンダリングまたは3Dレンダリング(すなわち、流跡線および流線)を使用して、それぞれのカラーマップで着色されたボクセルを有する画像データを生成する。典型的には、動脈血流はカラーマップに基づいて赤を有し、静脈血流はカラーマップに基づいて青を有する。健康な系では、これら2つの血液プールは、たとえば肺における光顕レベルを除いて、決して互いに接触しない。身体内のどのボクセルがどちらの側に属するかを決めるために、MRI画像処理および解析システムは、アルゴリズムを実行し、そのアルゴリズムは、各ボクセルについて、ボクセルがどのビンに属するかを決定し、そのボクセルに適切な色を割り当てる。
【0189】
図6には、1つの例示された実施形態による、血流のカラーマップを生成する方法600が示されている。
【0190】
方法600は、たとえば、呼出しルーチンによって呼び出されることに応答して、602で開始する。
【0191】
604で、複数のボクセルの各ボクセルについて、MRI画像処理および解析システムは、与えられたボクセルが血液プール内であるかどうかを決定する。それを決定するために、MRI画像処理および解析システムは、いくつかのセグメント化アルゴリズムまたは方法のいずれか、たとえば、本明細書に説明されている種々のセグメント化アルゴリズムまたは方法を利用することができる。MRI画像処理および解析システムは、取り囲まれたボリュームもしくは領域または経路を識別するためにセグメント化および/または決定を自律的に行うことができる。あるいは、MRI画像処理および解析システムは、与えられたボクセルが血液のプール内であるかどうかを識別する、または他の形式で血液組織と非血液組織との間のセグメント化を容易にする、人間のオペレータまたはユーザからの入力を受け取ることができる。決定は、たとえば、すべてのボクセルが解析されるまで、繰り返されることができる。
【0192】
与えられたボクセルが血液プール内であると決定された場合、606で、MRI画像処理および解析システムは、与えられたボクセルを血液タイプ組織として(たとえば論理的に)マークする、識別する、または他の形式で論理的に割り当てる。
【0193】
608で、MRI画像処理および解析システムは、血液としてマークまたは識別されているすべての近隣ボクセルを同じビン内に置く。これらのビンが時間をかけて互いに空間的に接触する場合、MRI画像処理および解析システムは、それらの接触しているボクセルのビンを同じビンに統合する。任意選択で、MRI画像処理および解析システムは、血液プールにおける流線および/または流跡線を計算することができ、それは、接続されているビンを強調することが可能である。
【0194】
610で、MRI画像処理および解析システムは、ビンの数をカウントする。理想的には、ビンは2つのみ存在し、1つが動脈血流に対応し1つが静脈血流に対応する。
【0195】
612で、MRI画像処理および解析システムは、3つ以上のビンが存在するかどうかを決定する。MRI画像処理および解析システムが、3つ以上のビンが存在すると決定した場合、制御は614へ進む。さもなければ、制御は626へ進む。
【0196】
シャント(すなわち、右心フローと左心フローとの間の接続)がある領域は、典型的には、医学的問題または異常状態を示す。614で示されるように、MRI画像処理および解析システムは、これらの領域に対してシャント検出方法およびアルゴリズムを行うことができる。適切なシャント検出方法またはアルゴリズムは、本明細書の他の箇所で説明される。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、定義された閾値数のボクセルまたは定義された閾値領域よりも少ない数のボクセルによって隣接ビンが接続されている領域を決定または識別することができる。たとえば、閾値が10ボクセルである場合、MRI画像処理および解析システムは、616で示されるように、10未満のボクセルによって血流の2つの大きいボリュームを一緒に接続している任意の領域を、シャントとして暫定的にマークまたは識別することができる。必ずしもそのような領域がシャントであると想定しないように注意が払われる必要がある。これらの領域は、たとえば、狭窄弁または狭窄であり得る。任意選択で618において、MRI画像処理および解析システムは、オペレータまたはユーザに対してこれらの領域を視覚的に強調(たとえば強調表示)する。オペレータまたはユーザは、シャントの存在または不在を非常に速やかに視覚的に確かめることができ、620で示されるように、MRI画像処理および解析システムによって受け取られる対応する入力を提供する。622で、MRI画像処理および解析システムは、それに応じて対応するボクセルをマークまたは識別する。624で、MRI画像処理および解析システムは、シャントの存在または不在を確かめたユーザ入力に基づいて、領域に関連付けられた色を更新しまたは割り当てる。たとえば、シャントの存在が確かめられた場合、MRI画像処理および解析システムは、対応する領域を赤と青のいずれのカラーマップでも着色しない。代わりに、MRI画像処理および解析システムは、特有の色をこの領域のボクセルに関連付けて、オペレータまたはユーザに対してこの領域を視覚的に強調(たとえば強調表示)する。
【0197】
626で、MRI画像処理および解析システムは、ビンが静脈流に対応するかそれとも動脈流に対応するかを決定する。ビンが静脈流に対応するかそれとも動脈流に対応するかを決定する種々の手法は、図4および図5を参照して本明細書に論じられている。628で、MRI画像処理および解析システムは、2つのビンの各々のボクセルをそれぞれの色または色のセットと関連付け、たとえば、動脈流に関して1または複数の青、静脈流に関して1または複数の赤を関連付ける。方法600は、630で終了する。
【0198】
図7は、1つの例示された実施形態による、ビンが静脈流に対応するかそれとも動脈流に対応するかを決定する方法700を示す。方法700は、解剖学的ランドマーク(すなわち、空間内の点、たとえば、左心室の心尖)が既に定義されている場合、特に適切であり、血液プール内のランドマークだけの単純な選択を可能にする。ランドマークの識別および/または選択のための技法は、本明細書の他の箇所で説明される。
【0199】
動脈血流を定義するために、702で、MRI画像処理および解析システムは、動脈血流に関連付けられた解剖学的ランドマークの1または複数について、自律的に識別もしくは選択する、または手動識別または選択によるユーザ入力を受け取ることができる。解剖学的ランドマークは、たとえば、大動脈弁点、僧帽弁点、および/または大動脈(たとえば、大動脈洞内の点、上行大動脈内の点、大動脈弓の上部の点、下行大動脈内の点)のうちの1または複数を含むことができる。
【0200】
静脈血流を定義するために、704で、MRI画像処理および解析システムは、静脈血流に関連付けられた解剖学的ランドマークの1または複数について、自律的に識別もしくは選択する、または手動識別または選択によるユーザ入力を受け取ることができる。解剖学的ランドマークは、たとえば、肺動脈弁点、三尖弁点、左肺動脈内の点、右肺動脈内の点、下大静脈内の点、および/または上大静脈内の点のうちの1または複数を含むことができる。
【0201】
706で、MRI画像処理および解析システムは、すべての解剖学的ランドマーク点に対するビン内の最も近い点の距離を自律的に求めるまたは決定することができる。理想的には、この距離は、各ランドマークが血液プールのそれぞれ1つにあるので、ゼロであるべきである。708で、MRI画像処理および解析システムは、解剖学的ランドマークが動脈血液プール内であるかそれとも静脈血液プール内であるかに応じて、各解剖学的ランドマークに最も近い各ビンを動脈血流または静脈血流のいずれかに割り当てる。710で、MRI画像処理および解析システムは、競合があるかどうかを決定する。競合は、シャントの存在、またはボクセルの接続されたグループが間違ったビン内にあることを示す。競合の識別に応答して、712で、MRI画像処理および解析システムは標識または通知を提供する。
【0202】
MRI画像処理および解析システムは、たとえば、自律的に、またはオペレータまたはユーザ入力に応答して、画像ナビゲーションを実装する。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、距離スクロールを実装し、ある定義された空間方向で(たとえば、x軸、y軸、またはz軸に沿って)定義された数の空間スライスを通過する動き、および空間スライス間のデータの比較を可能にする。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、時間または時相スクロールを実装し、ある定義された時間方向(たとえば、進む時間、戻る時間)で定義された数の時間的に連続したスライスを通過する動き、および時間スライス間のデータの比較を可能にする。本明細書の他の箇所で述べられているように、MRI画像処理および解析システムは、有利には、アーチファクトを識別するために利用されるスライスの間の比較を使用することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、ズームおよび/またはパン操作を実装して、オペレータまたはユーザが画像の部分へのズームまたは画像をパンすることを可能にする。
【0203】
図8は、1つの例示された実施形態による、ビンが静脈流に対応するかそれとも動脈流に対応するかを決定する方法800を示す。方法800は解剖学的ランドマークが識別されていない場合に特に適切である。
【0204】
方法800は、たとえば、呼出しルーチンからの呼出しに応答して、802で開始する。
【0205】
方法800は、ベクトル角度(Vector Angles)に基づく。804で、MRI画像処理および解析システムは、心臓の重心を求める。それは、自律的に行われても、オペレータまたはユーザ入力に基づいてもよい。たとえば、重心は、DICOMタグから抽出されることが可能であり、それは、これらのフィールドに0,0,0が患者解剖構造内の特定点に対応する患者座標系があるからである。
【0206】
806で、MRI画像処理および解析システムは、閾値を上回るコヒーレンスを有するビン内のすべてのボクセルを決定または識別する。808で、閾値を上回るコヒーレンスを有するビン内のすべてのボクセルについて、MRI画像処理および解析システムは、すべての時点にわたる平均速度と、ボクセルの重心を心臓の重心と接続するベクトルとの間の角度を計算する。次いで、MRI画像処理および解析システムは、ビン内のすべてのボクセルと重心との間の平均角度を計算する。810で、MRI画像処理および解析システムは、プロセッサへの追加のビンがあるかを決定し、すべてのビンについて計算806、808を繰り返すために、ループ814内の812でビンを増分する。動脈血流は心臓から離れるように移動するので、816で、MRI画像処理および解析システムは、最も大きい平均角度を有するビンが動脈血流になるように割り当てる。MRI画像処理および解析システムは、818で、最も小さい平均角度を有するビンが静脈血流になるように割り当てる。
【0207】
方法800は、820で終了する。
【0208】
追加的または代替的に、MRI画像処理および解析システムは確率を利用することができる。血液プールが既に識別されているいくつかの他のデータセットに基づいて、MRI画像処理および解析システムは、アトラスを作り出して、新しいデータセットをアトラスと比較することができる。アトラスと新しいデータセットを共に位置合わせする(co-register)ことによって、MRI画像処理および解析システムは、ビンを正しい血液プールに割り当てることができる。
【0209】
追加的または代替的に、MRI画像処理および解析システムは速度信号を利用してもよい。特に、静脈の血液速度波形は、動脈の血液速度波形に対して相異なる(たとえば、より低速のフロー、波形の形状が相異なる)。
【0210】
有向コヒーレンスに基づく血流フィルタ
フィルタが、有向コヒーレンスを測定することにより血流ボクセルを隔離するために使用され得る。
【0211】
フィルタは、特定のボクセルにおける3Dフローベクトルがその近隣ボクセルのフローベクトルと比べてどれほど類似しているかを決定する4D特徴抽出オペレータである。フィルタは、与えられた時間での特定のボクセルにおける3Dフローベクトルが与えられた時間の前および後の時点での同じボクセルの3Dフローベクトルとどれほど類似しているかを決定することができる。これは、ランダムノイズをフィルタで除去するのを支援して、血管の隔離をもたらすことができる。
【0212】
フィルタは、時点ごとに1つのボリュームで生成されることができ、血管を移動を可能にする。あるいは、フィルタは、すべての時点にわたって平均化された1つのボリュームについて生成されることができ、これは、典型的にはそれ自体でより優れたノイズリダクションを達成する。平均期間は、シネ(cine)の長さ(すなわち、もたらされる取得の期間)から心位相または呼吸位相に変更されてもよい。
【0213】
フィルタは、さらにランダムノイズを除去するために、別のフィルタ、たとえば、ブール関数または重み付けされた関数を用いる(解剖構造_マグニチュード*速度_マグニチュード)などによって補助され得る。
【0214】
両方のフィルタが各々単一入力(たとえば、パーセンテージ閾値)にのみ依拠するので、フィルタは単一の2D入力ジェスチャに組み合わされ得る。例として、左から右への移動は、有向コヒーレンスパーセンテージ閾値を増加させ、下から上への移動は、第2のフィルタのパーセンテージ閾値を増加させる。
【0215】
速度ボリュームの品質/マグニチュードは、解剖構造部分、場所、スキャナなどから変化するので、これらのフィルタに対する異なるデフォルト値がメタデータ組合せごとに使用されてよい。
【0216】
特定のボクセルに対する有向コヒーレンスは、ボクセルとすべての適用可能な近隣ボクセルとの間の重み付けされた有向コヒーレンススコアを合計し、適用された重みのすべての合計によって割ることによって算出される。たとえば、ボクセルがボリュームの左縁部にあった場合、適用可能な近隣ボクセルは、左側を除くすべての次元に対する与えられた半径内のすべてのボクセル、および隣接時点ボリュームにおける同じ中心ボクセルから構成されることになる。
【0217】
2つのボクセル間の有向コヒーレンススコアは、正規化された速度ベクトルのドット積を取り、それらを関数ACOSに通して、角度付けされた差を求め、次いで、0~π間のその角度をスケーリングして0~1の結果を求めることによって算出される。次いで、その結果は、(ボクセル間の距離を表す)重みで乗じられる。ボクセルのうちの1つがマグニチュード0で速度を有する場合、0.5のデフォルトスコアが重みによって乗じられる。
【0218】
有向コヒーレンススコアに適用される重みは、 3つのすべての次元について最小間隔を求め、その数を(間隔によって定義される)ボクセルの間の距離によって割ることによって算出される。たとえば、隣接スライス上、列上、かつ行上のボクセルに対する「重み」は、min_間隔/sqrt(列_間隔2+行_間隔2+スライス_間隔2)となる。
【0219】
すべての有向コヒーレンススコアが算出された後、最小値および最大値が求められ、より効果的な閾値設定のために与えられた範囲内のスコアをスケーリングするために使用される。
【0220】
定量化
結果検証
フローデータが正しいかどうかの見通しを提供する物理的原理が存在する。たとえば、取り囲まれたボリュームに入るフローは、取り囲まれたボリュームから出るフローと等しくなければならない。取り囲まれたボリュームに入るフロー値とそれから出るフロー値との間の不一致は、シャントまたは他の解剖学的問題を示し得る。MRI画像処理および解析システムは、この一般的原理を様々な特定のやり方で利用することができる。それは、たとえば、ボリュームをスライスする平面の法線ベクトルと各点またはボクセルにおける速度ベクトルとのドット積として決定され得る。正味のフローに関して、ドット積は時間的に積分され得る。フローは、たとえば、時間あたりの圧力(たとえば、秒あたりのミリバール)、または時間あたりのボリューム(たとえば、秒あたりのリットル)として表されることがある。
【0221】
i)閉じられた脈管またはその部分に入るフローは、閉じられた脈管から出るフローに一致しなければならない。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、脈管もしくは内腔もしくは他の線引きされたボリュームまたは種々の器官の空洞を識別し、次いで、脈管もしくは内腔もしくは他の線引きされたボリュームのインレットおよびアウトレットを識別することができる。インレットおよび/またはアウトレットは、内腔または物理的孔もしくは開口の解剖学的に有意な開始部または終了部であり得る。あるいは、インレットおよび/またはアウトレットは、たとえば、天然の開始部、終了部、または開口もしくは孔の内方へ離間された定義された、論理的構成体であり得る。MRI画像処理および解析システムは、インレットにおけるフロー値がアウトレットにおけるフロー値と、たとえば、ある定義された閾値(たとえば1%)内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0222】
ii)上行胸部大動脈を通るフローは、上大静脈(SVC)および下行胸部大動脈を通る組み合わされたフローと一致するべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、上行胸部大動脈、SVC、および下行胸部大動脈を識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、上行胸部大動脈を通るフロー値がSVCおよび下行胸部大動脈を通る組み合わされたフローと、ある定義された閾値(たとえば1%)内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0223】
iii)SVCおよび下大静脈(IVC)を通る組み合わされたフローは、肺脈管構造(PA)を通るフローと一致するべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、SVC、IVC、およびPAを識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、SVCおよびIVCを通る組み合わされたフロー値がPAを通るフローと、ある定義された閾値(たとえば1%)内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0224】
iv)PAを通るフローは、右肺脈管構造(RPA)および左肺脈管構造(LPA)を通る組み合わされたフローと一致するべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、PA、RPA、およびLPAを識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、PAを通るフロー値がRPAおよびLPAを通る組み合わされたフロー値と、ある定義された閾値(たとえば1%)内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0225】
v)LPAを通るフローは、すべての左肺静脈を通るフローの合計と一致するべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、LPAおよび左肺静脈を識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、LPAを通るフロー値がすべての左肺静脈を通るフローと、ある定義された閾値(たとえば1%)内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0226】
vi)RPAを通るフローは、すべての右肺静脈を通るフローの合計と一致するべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、RPAおよび右肺静脈を識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、RPAを通るフロー値がすべての右肺静脈を通るフローと、ある定義された閾値(たとえば1%)内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0227】
vii)閉じられたボリュームを通るフローは、閉じられたボリュームを横断する平面の向きに関わらず同じであるべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、2つ以上の平面であって、与えられた点を交差し、各々がそれぞれの向きで脈管を横断する平面(すなわち、各々が同じ点を交差する異なる法線ベクトルを有する2つ以上の平面)を識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、心周期全体にわたるフローが平面のすべてについて少なくともある定義された閾値内で一致するかどうかを、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0228】
viii)心臓の心腔を出るフローは、心臓の各心腔についての収縮期ボリュームおよび拡張期ボリュームの変化と一致するべきである。MRI画像処理および解析システムは、自律的に、または人間オペレータに使用されることによって、心臓の1または複数の腔を識別することができる。MRI画像処理および解析システムは、自律的に決定することができる。MRI画像処理および解析システムは、決定の結果の標識を提供することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、フローが一致しないという標識、不一致の量もしくはパーセンテージの標識、および/またはフローが一致するという標識を提供することができる。
【0229】
MRI画像処理および解析システムは、手動でまたは自律的に、結果の検証として上記の動作のうちの任意の1または複数を行うことができる。これは、フロー値の精度を示す信頼尺度を提供することができる。たとえば、フロー値(たとえば、5.4L/min)を単に提供(たとえば表示)する代わりに、結果検証は、MRI画像処理および解析システムが精度の指標を有する結果(たとえば、95%の信頼区間で5.4L/min±0.3L/min)を提供することを可能にする。エラー推定は、上に挙げられた関係の左側と右側の間の差を評価することによって決定され得る。加えて、他のエラー推定は、(たとえば、位置、向き、輪郭の膨張/侵食で)測定値を何回か摂動させることによって導き出され、それにより、統計的に評価され得るいくつかの測定値(たとえば、平均、95%信頼区間など)を生成することができる。また、データまたは結果におけるあり得るエラーの水準を知ることは、他の前処理アルゴリズム(すなわち渦電流補正)を助けることもできる。たとえば、これは、実装アルゴリズムによって、データまたは結果をより正確にするためにデータをどの方向で歪めるべきかを知るために使用され得る。
【0230】
セグメント化
フロー駆動されるセグメント化(Flow Driven Segmentation)
本明細書に説明されている種々の実装形態は、有利には、任意のタイプの定量化のために入力として血流データセット(すなわち、x速度、y速度、およびz速度)を利用する。従来、解剖学的(すなわちマグニチュード)データセットのみが磁気共鳴(MR)定量化に使用されている。例として、血流データセットは血流定量化の代用として機能し得るが、脈管または腔の内腔境界を決定する(すなわち、解剖学的データセットをセグメント化する)ための入力としても使用され得る。血流データセットはまた、圧力、壁せん断応力を計算するため、ならびに2Dおよび3D画像をどのようにレンダリングするかを決定するために使用され得る。どのようにフローが画像のレンダリングを変更できるかの例として、MRI画像処理および解析システムは、特定のフロー条件に一致する解剖学的ボクセルのみを(すなわち、そのボクセル内の速度マグニチュードが、特定の定義された閾値、たとえば、ユーザ定義された閾値を上回る場合)レンダリングすることができる
【0231】
例は、他の組織タイプからの血液を隔離するためのフロー駆動されるセグメント化(たとえば、ボリューム、領域、経路)である。具体例として、心臓の腔のボリュメトリックセグメント化がある。スキャン中の時点のいくつかでは、心臓の腔におけるフローに対して非常に高いマグニチュードを有することがある。MRI画像処理および解析システムは、腔の幾何モデルを導き出すためにこれらの時点を使用することができる。幾何モデルが高フローマグニチュード時点から導き出されると、MRI画像処理および解析システムは、モデルをマグニチュードスキャンと共に位置合わせすることができる。続いて、MRI画像処理および解析システムは、他の時点とモデルを揃える非線形変換を求めるために他の時点とモデルを位置合わせすることができる。
【0232】
血管をセグメント化し提供される脈管断面の内腔境界を決定するための例示的なアルゴリズムでは、脈管におけるシード点が与えられると、シード点における最大フローマグニチュードを有する時点が識別される。この時点は、血液の最も強いジェットが脈管を通って移動している時を示す。システムは、フローの方向に垂直な断面を決定するために解剖構造および速度データの組合せを使用する。フローの方向は、使用する直交した断面の強い標識を与える。いくつかの場合、フローは、不十分な結果を導くであろう乱れを有することがある。加えて、システムは、シード点におけるベクトルの粗半球を作り、そこでは、フロー方向に最も近いベクトルが最も大きい重みを有する。粗半球を構成するベクトルの各々についていくつかの光線が半球上のベクトルに垂直に投射される。これらの光線は、解剖構造ピクセル強度および速度マグニチュードの両方における変化のマグニチュードが十分に変化されているときに終端される。これは、その平面上の脈管の境界の近似を提供する。シード点、光線nの終端、および光線(n+1)の終端が三角形を形成する。システムは、すべてのもたらされた三角形の領域の合計を計算する。この計算から最も小さい結果領域を有する半球上のベクトルが、フローの方向に最も垂直である平面に対する法線として選択される。
【0233】
次に、多断面再構成(MPR)が再サンプリングされ、多断面再構成は、初期のシード点、最強フロー時点で、先行ステップからの法線ベクトルと共に解剖構造および速度データの両方を組み合わせる(すなわち乗じる)。動的輪郭モデルまたはスネーク(snakes)と呼ばれる技法が、脈管の内腔境界を描く輪郭を求めるために使用され得る。シード輪郭が、領域測定値を求めるために投射された光線の終端点に基づいて作り出される。次いで、動的輪郭が、脈管壁を描く滑らかな輪郭を求めることを試みる。この滑らかな輪郭は、勾配降下を使用してエネルギー最小化関数を適用することによって求められる。エネルギー関数に伴われる力は、1)輪郭上の点の有限差分を使用して一次および二次導関数の内力、2)重心から外方へ常に押している外力(バルーン力)、ならびに3)大きい勾配マグニチュードを有する領域に向かって点を引く外力を含む。
【0234】
内力は、輪郭が滑らかになることを確実にする。外方の押す力は、MPRを通して輪郭を拡張するために使用される。勾配マグニチュードに向かって引く力は、バルーンを克服し脈管壁の輪郭を引き寄せるはずである。脈管の内腔境界を決定しているアルゴリズムは、MPR内の勾配によって大きく影響されるので、MPRは、たとえばガウス畳み込みを使用して、まず滑らかにされる。最強フロー時点についての輪郭が求められると、残りの時点が同じやり方で評価される。動的輪郭モデルは非常に敏感なので、輪郭が領域または曲率で大きく発散する場合、それは放棄されたように扱われる。放棄されたいずれの輪郭も、隣接時点からの輪郭の線形ブレンドである輪郭と置き換えられる。
【0235】
全体的プロセス
非同期コマンドおよび画像化パイプライン。
コマンドは、ウェブソケットプロトコルを介して持続接続を使用してクライアントからサーバに送られる。画像は、同じウェブソケット接続を介して規格を通して返される。アプリケーションが画像を生成しそれらをクライアントへ返すことができるよりもかなり高い頻度でユーザイベントが起き得るので、いくつかのイベントが抑制されなければならない。非同期コマンドおよび画像パイプラインを使用することで、すべての重要なユーザイベントがサーバへ送られまたはサーバによって処理されることを可能にする。すべての重要なイベントが永続層に捕捉され、可能とする時間を決めて、必要とされる場合、どのイベントが抑制されるか決定し、もしあれば、最良の可能なユーザエクスペリエンスを作り出す。画像は、ネットワークが対応できる速度で単に処理されクライアントに返される
【0236】
遠隔に配置されたレンダリングシステム(すなわち、画像処理および解析システム)のためのアーキテクチャ設計は、クライアントからウェブサーバに送られるコマンドを含み、ウェブサーバは、これらのコマンドを解釈し、1または複数の計算サーバが、クライアントへたとえばウェブサーバを介して送り返される画像または計算結果を生成する。メッセージが分散され得る作業を含む場合、複数の計算ノードが使用される場合があり、そうでなければ、メッセージは適切な計算ノードにルーティングされる。すべてのユーザイベントが画像または計算をする単純な設計の問題は、レンダリングシステムが結果を生成してサーバによってネットワークを介してクライアントへ結果を返させるよりもかなり高い頻度でユーザイベントが生じ得ることである。また、単純にイベントを抑制することは、結果として重要なユーザ対話が損なわれることになり得る。
【0237】
ネットワークは、非同期コマンドおよび画像化パイプラインを利用することができ、それは、2つの通信チャネルを使用し、1つは、クライアントがサーバにコマンドを送るためのものであり、1つは、サーバがクライアントに応答を送るためのものである。この手法は、すべてのイベントの永続層への捕捉を可能にし、どのイベントが抑制されるかおよび逆にどのイベントがサービスされるかを知的に判断して、最良の可能なユーザエクスペリエンスを作り出す。結果は、画像処理および解析計算が行われ送信されることが可能な速度で単に処理されクライアントに返される。
【0238】
非同期コマンドおよび画像化パイプライン900の動作の例が、図9Aおよび図9Bに示されている。図9Aに示されるように、クライアント902はメッセージ904を開始する。中間層906がメッセージ904を受け取り、どの計算サーバがメッセージを取り扱うかを決定する。908で、中間層906は、計算サーバ910(たとえば、図1の画像処理および解析システム104のサーバ)が同等のコマンドを実行するのにビジーであるかどうかをチェックして決定する。計算サーバ910がビジーでない場合、矢印912で示されるように、メッセージ904が計算サーバ910へ即座に転送される。そうでない場合、矢印916で示されるように、メッセージ910は、計算サーバ910から完了イベントを受け取ったときに実行されるように、コマンドスロット914内に置かれる。計算サーバ910が準備完了する前に別のメッセージ904が到着した場合、コマンドスロット914内のメッセージは、より新しいメッセージと置き換えられる。あるいは、より新しいメッセージがキュー内に追加されてもよい。
【0239】
図9Bに示されるように、計算サーバ910がコマンド918の実行を完了すると、計算サーバ910は完了イベント920を発生する。中間層906は、完了イベント920を受け取り、矢印924で示されるように、応答922をクライアント902に転送する。中間層906は、926で、コマンドスロット914内にメッセージがあるかどうかを決定する。コマンドスロット914内にメッセージがある場合、完了イベント920は、矢印928で示されるように、中間層906を作動させてメッセージ904’を計算サーバ910へ送るようにし、コマンドスロット914がクリアされる。
【0240】
適切な画像化パイプラインの別の例として、あるワークフローでは、プロパティをリンクした複数の画像が同時にレンダリングされることを必要とする。いくつかの場合、現在のワークフロー行為が、たとえば20個の画像の同時のビュー表示を必要とすることがある。これらの画像の各々が別個の要求によって取得された場合、要求を作り出し送る際にかなりのオーバヘッドがあるので、パフォーマンスが大きく悪化することになる。代わりに、すべての画像が、1つの大きい画像上にまたは1つの大きい画像としてレンダリングされることができ、そのもたらされた「スプライトシート(sprite sheet)」に対する単一の応答のみが送られる。次いで、クライアントはピクセルオフセットを使用することにより画像を表示する。たとえば、ビューが各々256×256の4つの画像を有する場合、スプライトシートは、画像の各々が互いに接して置かれまたは配列された256×1024となり得る。そして、クライアントは、0、256、512、および768のオフセットを使用することにより256×256で4つの画像を表示することになる。
【0241】
加えて、画像内の任意の線、マーカー、または平面が、オーバーレイとしてクライアント上に描かれ、どのようにオーバーレイをレンダリングするかをクライアントに通知する情報が、テキストベースのメッセージによってサーバから来る。これは、オーバーレイがサーバ上でレンダリングされてJPEGとしてエンコードされ送信される場合よりも、オーバーレイデータのより高品質なレンダリングを提供する。
【0242】
ワークフローアーキテクチャ
説明:4Dフローの主要な利点の1つは、取得中、放射線科医が現場にいる必要がないことである。技術者は、胸部または関心領域を位置指定し、この関心領域の取得を開始するために1つのボタンを押すことだけが必要である。これは、典型的な心臓MRワークフローを大幅に変更する。加えて、オフライン処理のため、患者は取得後にスキャナから即座に立ち去ることができる。ことによると患者が取得中に移動したために、技術者が画像品質について懸念される場合、5分以下で技術者に1つの心位相の画像を与えるために、加速された再構成が使用され得る。技術者がその画像の品質を確認すると、彼らは患者を退去させることに自信を持つことができる。フル4Dフロースキャンが完了されていると、自動化された画像再構成のために生データが送られる(これは、スキャナでオンラインでまたはオフラインで行われることができる)。これがオフラインで行われる場合、これは、病院ネットワークまたはMorpheusクラウド内で行われることができる。画像再構成の後、ワークフローは、DICOM画像を取り込み、Morpheusソフトウェア内にそれらをインポートする。この時点で、Morpheus技術者または病院技術者は、オフラインのケースを処理するために上記で強調されたワークフローステップ(画像前処理、セグメント化、可視化、および定量化)を通過する。目標は、臨床家がMorpheusソフトウェアの前に座ったときに彼らが行う必要があることのすべては、報告を検証しアノテーションを付けることだけであるように、臨床家のためのケースを設定することである。目標は、このプロセスを10分以下で完了させることである。このワークフローは、今日の市場の他の多くのソフトウェアアプリケーションとは大幅に異なり、その主な理由は、非常に少ないソフトウェアアプリケーションが中央データベースに接続され(すなわちクラウド内)、任意のデバイス(たとえば、家庭のラップトップ、タブレットなど)上のデータに複数のユーザが迅速にアクセスすることを可能にする柔軟性を有するためである。
【0243】
匿名化サービス
典型的には保護された医療情報(PHI)と命名されたクラスの情報について多数の規制要件が存在している。多くの臨床施設(たとえば病院)または臨床施設を運用するエンティティは、いかなるPHIも彼らのネットワークまたはコントロールから離れることを望まない。同様に、多数の取り扱いおよびセキュリティ要件を回避するため、および潜在的責任を除去または低減するため、臨床施設にサービスを提供するエンティティは、PHIから隔離されることを望むことがある。ネットワーク化された環境の種々の実装形態は、PHIが臨床施設の自身のネットワークから離れることを防止するサービスを実装することができる。
【0244】
いくつかの手法が本明細書に説明されており、好ましい手法は、PHIを保持するデータベースの位置に応じて変わる。
【0245】
PHIを含むデータベース、およびPHIにアクセスを必要とするコンピュータノードがすべて臨床施設の自身のネットワーク内であるケースでは、臨床施設の自身のネットワークの外部にある遠隔に配置されたMRI画像処理および解析システムによって提供されるMRI画像化および解析サービスに対してユーザがアクセスすることを可能にする、典型的な2つの異なる実装形態がある。
【0246】
1)第1の実装形態は、複数のファイアウォールを利用する。臨床施設(たとえば病院)配備は、いくつかのセキュリティ層から構成されるべきである。セキュアな臨床施設ネットワークが、すべてのPHI情報(たとえば、MONGO(登録商標)データベース、データファイル)を含むべきである。MRI画像処理および解析システム(たとえば、そのサーバ構成要素)は、必要に応じてファイアウォールを介してデータアクセスをするためにセキュアな臨床施設ネットワークに対する適切なアクセス許可と共に、非武装地帯(DMZ)または境界ネットワーク構成において実行するべきである。別のファイアウォールがインターネットからDMZを分離すべきであり、ポート80および443のみがインターネットを通してパブリックにさらされるべきである。このようにして、ユーザは、遠隔位置またはネットワーク(たとえば家庭)から通常のURLを介してログインし、遠隔位置またはネットワークからPHIにアクセスする(たとえば見る)ことができる。
【0247】
2)第2の実装形態は、仮想プライベートネットワーク(VPN)を利用する。MRI画像処理および解析システムによって提供されたサービスにアクセスするための特定のURLは、クライアントデバイスがまず臨床施設のVPNを介して接続されている場合のみにアクセス可能である。
【0248】
臨床施設が、臨床施設の自身のネットワークの外部のデータベースにおけるPHIを欲しておらず、PHIへのアクセスを必要とするコンピュータノードが、臨床施設の自身のネットワークの外部でホストされている(たとえば、AMAZON(登録商標)ウェブサービスすなわちAWS)場合、匿名化サービスは臨床施設のネットワーク内で実行することができる。匿名化サービスは、生のDICOMファイルを受け取り、いかなるプレーンテキストPHIも除去することによって生のDICOMファイルを匿名化し、プレーンテキストPHIをPHIのハッシュと置き換える(たとえば、DICOM画像内のすべてのPHIフィールドが識別されソルテッドハッシュに変換される)。プレーンテキストPHIをハッシュに変えるキーは、臨床施設の自身のネットワーク内で維持され、匿名化サービスによってアクセス可能である。
【0249】
この匿名化サービスは、少なくとも2つの方法で動作することができる。
【0250】
1)第1の実装形態は、プロキシサーバを利用する。要求がクライアントから来ると、臨床施設のネットワーク内または臨床施設のネットワーク外部のいずれかで、要求は、プロキシサーバを通り、匿名化サービスが。ハッシュをプレーンテキストPHIと置き換える。これは、クライアントが常にPHIを見ることを可能にする。この実装形態では、すべてのHTTP/S要求がプロキシサーバに通される。
【0251】
2)第2の実装形態は、1回限りの参照(one-time Lookup)が利用される。臨床施設のネットワークの外部に配置されたMRI画像処理および解析システムのサーバにクライアントが接続すると、フラグが、PHIをレンダリングするために必要とされる情報をクライアントが欠損しているかどうかを、クライアントに対して示す。クライアントがプレーンテキストPHIを有していない場合、クライアントは、匿名化サービスに接続し、ハッシュまたは識別子(ID)を提供することによってPHIを要求する。すると、提供されたハッシュまたはIDに基づいて、正しいプレーンテキストPHIがクライアントに提供される。次いで、受け取られたPHIは、セッションがアクティブである限り、クライアントによってローカルに記憶(キャッシュ)される。ユーザがログアウトすると、クライアントはキャッシュをパージする。
【0252】
上に説明された実装形態のすべてにおいて、PHIは、クライアントから匿名化サービスへ/から暗号化されたサーバから/へ送信される。加えて、任意の記憶されたデータも暗号化された形態であり得る。
【0253】
顧客が、クラウドで彼らのPHIがホストされて欲しいが、しかしながらいくつかの状況で、PHIを(たとえば、学会のため)彼らのクライアントで隠したい場合のため、本発明者らは、(匿名化サービスの一部となる)匿名化フィルタを作り出している。匿名化フィルタは、クライアントデータストリーム上で設置されるフィルタであり、フィルタを通過するトラックを検査し、データが通信パイプラインを通って進むことを可能にする前にPHIを除去する(それは、ストリーミングデータフィルタである)。
【0254】
位相エイリアシング検出および/または補正
位相エイリアシングは、典型的には、MRIデータセット内の特定の情報の2πオフセットの結果である。位相エイリアシングは、たとえば、間違った色のボクセルとして出現することがあり、たとえば、黒のボクセルの出現が、第1の方向の血流を表し、すぐに隣接したボクセルが、たとえば第1の方向と逆の第2の方向を表す白である。位相エイリアシングは、速度エンコーディング(VENC)パラメータが不正確に(たとえば過度に大きく)設定された結果であり得る。注目すべきことに、一般に、より良い分解能を達成するためにVENCパラメータを大きく設定することは望ましいが、VENCパラメータを過度に大きく設定することは、ボクセルを「ネガティブ」画像として見えるようにする傾向がある。
【0255】
それらを検出するために、MRI画像処理および解析システムは、解剖学的構造、たとえば、脈管の本体を検出することができる。次いで、MRI画像処理および解析システムは、検出された境界内の各ボクセルを解析し、境界付けられたボリューム内のフローがすべて同じ方向であるまたは同じ方向の定義された角度閾値内であることを決定することができる。特に、MRI画像処理および解析システムは、ボクセルの各々についてのそれぞれのベクトルを比較することができ、ベクトルは、特定のボクセルによって表された組織の動きの方向を示す。MRI画像処理および解析システムは、異常に見えるボクセルをマークすることができる。MRI画像処理および解析システムは、近隣ボクセル、たとえば、最も近い近隣要素、および/またはある定義された範囲または程度で外方の次に最も近い近隣要素をチェックすることができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、2次元またはより多い典型的には3次元で、与えられたボクセルに最も近い近隣要素を最初にチェックすることができる。1または複数の異常に見える近隣ボクセルを識別したことに応答して、MRI画像処理および解析システムは、外方へ次のレベルのボクセルについて反復することができる。これは、第1の異常に見えるボクセルに対してすべての次に最も近い近隣ボクセル、または第2のもしくはその後に識別された異常に見えるボクセルに対して最も近い近隣ボクセルを含むことができる。MRI画像処理および解析システムは、異常に見えるボクセルのセットから関心領域(ROI)を定義または形成する。
【0256】
追加的または代替的に、MRI画像処理および解析システムは、継続性または質量保存を利用することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、境界付けされたボリューム内へのフローが境界付けされたボリューム外へのフローと一致するかどうかを決定することができる。
【0257】
いくつかの実装形態では、MRI画像処理および解析システムは、たとえば補正値(たとえば2π)を追加することによって、位相エイリアシングを補正することを試みることができる。他の手法は、様々なVENCパラメータ(すなわち、異なる頻度)での複数のパスが、最も良くどれが作用するかを調べるために試行される、マルチVENC手法を含む。複数
【0258】
信号アンラッピング
いくつかの例では、画像のいくつかの部分の出現が不正確な位置で現れることがある。たとえば、画像の下方部または底部が画像またはフレームの上部に現れる。これは、データまたは情報の不正確な順序からもたらされ、それは、信号が周期的であることが、しばしば、画像の両端部(たとえば、上端、下端)における不正確なレンダリングをもたらすからである。このときのエラーは、画像ラッピングまたはマグニチュードエイリアシングと呼ばれることがある。
【0259】
そのような例において、MRI画像処理および解析システムは、補正アクションを実装する、たとえば、不正確に配置された(たとえば異常)部分を画像からクロッピングする、またはさらに、不正確に配置された部分を画像もしくは画像フレーム内の正しい位置へ移動させることによって画像を補正することができる。いくつかの実装形態では、MRI画像処理および解析システムは、ユーザ入力に依存して、不正確に配置された部分を識別することができる。他の実装形態では、MRI画像処理および解析システムは、不正確に配置された部分を自律的に識別することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、不連続性に関して画像データを解析することができる。たとえば、MRI画像処理および解析システムは、時間スライス整合性によって時間スライスに関する画像を比較することができる。MRI画像処理および解析システムは、たとえば、ボクセル強度値(マグニチュード)の勾配または段差を識別することができる。たとえば、静止組織においてマグニチュードの大きい変化(たとえば倍増)が生じないはずであり、したがって、それはエラーとして検出される。
【0260】
他のアーチファクト
いくつかの例では、アーチファクトがMRIデータセットにおいて現れることがある。たとえば患者またはその部分の動きが、もたらされた画像のぶれを生じさせることがある。また、たとえば、金属の存在が、もたらされた画像の縞または他の視覚的アーチファクトを生じることがある。造影剤もアーチファクトを生じることがある。
【0261】
典型的には、これらのアーチファクトは補正するのが難しい。しかしながら、MRI画像処理および解析システムは、アーチファクトの出現を検出し、データセットにおけるアーチファクトの存在を医療提供者(たとえば医師)に警告することができる。
フロー駆動されるセグメント化
【0262】
システムは、たとえば、自動的にまたは自律的に、4Dフロー情報における構造(たとえば、1D、2D、3Dフロー構造)を識別することができ、臨床マーカーを識別することができる。たとえば、システムは、自動的にまたは自律的に、解剖学的および/または時間的臨床マーカーまたは臨床ランドマークなどの臨床マーカーを識別することができる。臨床マーカーは、たとえば、動脈瘤、狭窄、およびプラークのうちの1または複数を含むことができる。たとえば、臨床マーカーは、心臓の種々の構造、たとえば、心臓の心尖、大動脈、大静脈、および僧帽弁または三尖弁などの弁のような、解剖学的マーカーまたはランドマークを含むことができる。臨床マーカーは、たとえば、他の知られている構造および/または他の痕跡を含むことができる。いくつかの例では、システムは、構造を使用して種々の臨床マーカーを識別することができる。システムは、たとえば、自動的にまたは自律的に、種々の構造または臨床マーカーをセグメント化するまたは線引きすることができる。たとえば、システムは、たとえば、他の身体組織(たとえば心臓組織)の相対的に小さい動的性質に比べて大きい肺内の空気の動的性質に少なくとも部分的に基づいて、他の身体組織から肺をセグメント化するまたは線引きすることができる。また、たとえば、システムは、さらに、たとえば、非血液組織に対して血液組織の比較的に動的および/または周期的な性質に少なくとも部分的に基づいて、非血液組織から血液組織をセグメント化するまたは線引きすることができる。また、たとえば、システムは、非流体組織(たとえば、脈管構造、心臓、脂肪)から流体物質(たとえば、肺内の空気、脈管構造または心臓内の血液)をセグメント化するまたは線引きすることができる。
【0263】
身体内の特定の位置の血流は、しばしば経時的に血流の速度によって特徴付けられ得る。これは、特に、心臓内ならびに身体の大動脈および大静脈内の血流について当てはまる。心周期の律動的性質のため、時間的に解像された速度データセットにおける血流パターンを特徴付ける1つの方法であって、単一の心周期にわたり時点が均等に分散される方法は、使用可能な時点にわたって各ボクセルまたはピクセルにおいて算出された離散フーリエ変換(DFT)の成分を検査することによる。解析は、個々の速度成分(x、yおよびz)の変換、またはもたらされた速度マグニチュードの変換を用いて、1または複数のプロセッサによって行われることができる。
【0264】
DFT成分は、静止組織から血液プールをセグメント化するために有用である。この目的のために、低次の非DC成分が最も有用であるが、なぜならば、これらの成分は、心臓内の血流と、心臓に接続された大動脈および大静脈との両方で強く表れるとともに、渦電流および他のソースによって引き起こされる静止組織内の擬似速度信号は、時間的に大きく静的な傾向があるからである。肺内および身体の外側の空気は、その典型的な高速度信号を有し、やはりこの変換で強く表れるが、これらの領域は、他の技法、たとえば、解剖構造の画像における単純な閾値を使用して容易に除去される。
【0265】
血流の異なる領域(たとえば、下大静脈および上大動脈と比べられた大動脈)は、異なるそれぞれの形状またはフローパターンを有するので、胸部スキャン内のすべての血流を突き止めるように設計された汎用マスクは、所望されるDFT成分をそれらの相対的マグニチュードまたは位相に関わらず一緒に組み合わせることによって得られることが可能である。そのようなマスクの適用は、一般に、静止組織から血液プールを分離するのに良い働きをする。血液プールの特定の領域を識別するように設計されたより洗練されたマスクは、DFT成分の位相およびマグニチュードを考慮に入れることによって、システムを介して作成され得る。DFT成分の位相は、最大収縮期の時点と比較されることができ、期待される値からの位相のずれに基づいて、各ボクセルに確率が割り当てられる。最大収縮期の時点は、他の箇所で説明されている種々の技法を通して決定され得る。同様に、システムは、異なるDFT成分の相対的マグニチュードを検査し、フローの基地される特性に基づいて確率値を作成することができる。システムは、確率値を血液マスク全体と組み合わせて、特定の血液プール関心領域のための非常に正確な血液マスクを作成することができる。特に、大動脈および肺動脈における血流の非常に特徴的な時間的性質は、この技法を使用して、血液プールの残りの部分から容易に区別されセグメント化され得る。
【0266】
心室からの動脈流に関してこのような方法で作成された血液確率マスクは、それらが動脈流を識別する強度のため、もたらされた確率値のヒストグラムがシステムによってユーザからの支援なしに(すなわち自律的に)適切な確率カットオフ値を自動的に識別するために使用され得るという性質を有する。動脈マスクについて適切な確率カットオフが決定されると、システムは、もたらされたマスクを使用して、上述された汎用血液マスクなど他のマスクについての確率カットオフ値を決定するのを支援することができる。動脈マスクのもたらされた精度のため、それは、高い確率で、血液プール内になるように保証され得る点を提供するためにも有用である。そのような点は、より精度の低い汎用血液マスクのフラッドフィルを行って、異質な接続されていない要素を除去することによってそれを除去することなど、種々の目的のためにシステムに有用である。
【0267】
動脈流マスクが作成されると、心室、血流、または血液プールからの血流のマーク領域は、大動脈流および肺動脈流に自動的に分割され得る。動脈内のフローと肺動脈内のフローとの間に直接的接続が無いので、システムは、確率値と共にフロー方向および勾配ならびに/または流跡線を使用して、動脈マスクを2つの主要要素に分離することができる。分離されると、システムは、フローの平均方向または空間内の2つのセグメントの相対的位置などの解剖学的手掛かりによって、大動脈と肺動脈を互いに容易に区別することができる。
【0268】
心臓の組織は心周期と共に律動的に動くので、時間的に解像された解剖構造データセットのピクセルあたりのDFTを計算することは、時間的に解像された速度データセット内の血液プールを識別するために使用されるのと同様の様式で心臓の壁についての確率マスクを生成するために使用され得る。この上記の使用と同様に、非ゼロ低周波数成分は、心拍と同じ全体的周期を有する運動を識別するために最も有用である。心筋を正確に識別するマスクを作成することは、いくつかの目的のために有用である。システムは、このマスクを血流マスクと組み合わせて、心臓全体をカバーするマスクを作成することができる。これは、たとえば、非静止組織の領域を無視することが重要な前述された渦電流補正において、または単純により良好な可視化のためにシステムによって心臓をセグメント化するために、有用である。また、心臓壁マスクは、システムによって、異なる領域の血液プールおよび心臓の腔をセグメント化するための有用な情報を提供し、システムによって、心臓壁などのランドマークの自動的または自律的識別を支援するために、他のメトリクスと組み合わされて使用され得る。
【0269】
また、心筋を正確に識別するマスクが、スキャンまたは画像内の心臓の位置およびサイズなどのメトリクスを提供するために使用され得る。スキャンまたは画像内の心臓の位置は、多くの用途を有する。たとえば、その位置は、たとえば肺内の左血流から右血流を分離するために、血液が心臓に向かって移動しているかそれとも心臓から離れて移動しているかを決定するためにシステムによって実行される血流セグメント化ルーチンによって使用され得る。
【0270】
上述された自動化された手法は、解剖学的構造およびフローを識別するにあたり従来の手法にあった主観性を除去して、高水準または再現性を提供する。この再現性は、MRIデータの新しい使用法を可能にする。たとえば、単一の患者に関するMRIデータが、異なるセッションにわたって傾向として信頼性をもってレビューされ得る。さらに驚くべきことに、複数の患者に関するMRIデータは、集団または人口統計的対象にわたり傾向として信頼性をもってレビューされ得る。
【0271】
上述された種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わされ得る。2011年7月7日に出願された特許文献1、2012年7月5日に出願された特許文献2、および2014年1月17日に出願された特許文献3を含むがこれらに限定されない、本明細書で参照されおよび/または出願データシートで列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、本明細書の特定の教示および定義と矛盾しない限り、参照により本明細書にそれら全体が組み込まれる。実施形態の態様は、種々の特許、出願、および刊行物のシステム、回路、および概念を利用して、さらなる実施形態を提供するために、必要に応じて修正され得る。
【0272】
上記の詳細な説明に照らして、これらのおよび他の変更が実施形態に対して行われ得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、用語は、特許請求の範囲を、明細書および特許請求の範囲で開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、特許請求の範囲が権利を有するのと同等の完全な範囲に従うすべての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、
臨床施設ネットワーク上で実行している匿名化サービスによって、生のDICOMファイルを受け取るステップと、
前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップと、
前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報を、前記プレーンテキスト患者健康情報のそれぞれのハッシュと置き換えるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記生のDICOMファイル内のすべての患者健康情報フィールドを識別するステップをさらに含み、前記生のDICOMファイル内の任意のプレーンテキスト患者健康情報のハッシュを生成するステップは、ソルテッドハッシュを生成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記匿名化サービスによってプレーンテキスト患者健康情報をハッシュに変える前記臨床施設ネットワーク内で維持されるキーにアクセスするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
臨床施設ネットワーク上で実行している前記匿名化サービスに対して、臨床施設のVPNを介してのみの前記臨床施設ネットワーク外部からのアクセスを可能にするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、
第1のプロキシサーバによって、複数の要求にサービスするステップであって、前記要求は、臨床施設ネットワークから、および前記臨床施設ネットワーク外部から来る、ステップと、
前記要求の少なくともいくつかに応答して、前記プロキシサーバによって、ハッシュされた患者健康情報からプレーンテキスト情報を生成するステップと、
前記プロキシサーバによって、前記ハッシュされた患者健康情報を前記プレーンテキスト情報と置き換えるステップと、
もたらされた情報をクライアントデバイスに送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
磁気共鳴画像(MRI)ベースの医療用画像システムと共に用いるための動作の方法であって、
クライアントによってMRI画像処理および解析システムのサーバに接続するステップであって、前記サーバは臨床施設ネットワーク外部にある、ステップと、
プレーンテキストで患者健康情報をレンダリングするのに必要とされる情報を前記クライアントが欠損しているかどうかを示すフラグをチェックするステップと、
プレーンテキストで前記患者健康情報PHIをレンダリングするのに必要とされる情報を前記クライアントが欠損しているという標識に応答して、前記クライアントによって匿名化サービスに接続するステップと、
前記クライアントによって、前記匿名化サービスにプレーンテキストでの前記患者健康情報を要求するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記クライアントによって、前記匿名化サービスにプレーンテキストでの前記患者健康情報を要求するステップは、ハッシュまたは識別子を提供するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記クライアントによって、受け取られた前記プレーンテキストでの前記患者健康情報をローカルにキャッシュするステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ユーザがログアウトすることに応答して、前記クライアントによって、前記キャッシュされたプレーンテキスト患者健康情報をパージするステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。