(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058748
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】造血細胞分化を誘導するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20230418BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20230418BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20230418BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/078
C12N5/0735
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028752
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2021009440の分割
【原出願日】2016-01-26
(31)【優先権主張番号】62/107,517
(32)【優先日】2015-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,016
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312000284
【氏名又は名称】フェイト セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】バーラム バラマール
(72)【発明者】
【氏名】レイダン クラーク
(57)【要約】
【課題】同時培養または血清含有培地に依拠せず、かつ、中間体としての胚葉体凝集物の形成を要請せずに、幹細胞を、二次造血へと分化させる方法および組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、血清/フィーダーフリー条件下で、EBの形成を必要とすることなく、スケーラブルな単層培養プラットフォームにより、hiPSCを含む多能性幹細胞から導出した、二次造血性内皮(HE)および二次造血幹細胞(HSC)を介して、造血系統細胞を発生させるための方法および組成物を提供する。本発明はまた、単層培養において、造血系の細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するための方法および組成物であって、多能性幹細胞を、BMP経路活性化因子と、任意選択で、bFGFと接触させるステップを含む方法および組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2015年1月26日に出願された米国仮出願番号第62/107,517号および2015年11月4日に出願された米国仮出願番号第62/251,016号に基づく優先権を主張しており、これらの開示は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、多能性幹細胞から、全ての造血系の細胞を製造するための組成物および方法に関する。特に、本発明は、ヒト人工(induced)多能性幹細胞を含む多能性幹細胞から、全ての造血系の細胞を製造するための、改善された培養プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)技術は、がんを含む、多数の血液悪性腫瘍および非血液悪性腫瘍の処置のための治療において実行可能な造血細胞の、高度に有望であり潜在的に無際限の供給源を代表する。造血細胞治療の同種供給源としての、hiPSCおよび遺伝子操作hiPSC技術の有望性を推し進めるためには、造血幹細胞および前駆細胞(HSC)のみでなく、T細胞、B細胞、NKT細胞、およびNKリンパ系細胞、およびこれらの前駆細胞の多様なサブセットを含む免疫エフェクター集団も、効率的かつ再現可能に発生させることが可能なことが不可欠である。
【0004】
リンパ球を生成するポテンシャルを伴うHSCの、in vitroにおける導出は、胚発生の間の時間的および空間的に異なる、少なくとも2つの血液形成の波:一次(primitive)造血および二次(definitive)造血の存在により複雑である。一次造血は、胚体外卵黄嚢内で起始し、一過性で限局的な造血レパートリーであって、始原赤血球系細胞および骨髄性細胞を主に含むが、HSCを含まない造血レパートリーを発生させる。新生HSCは、二次造血性内皮(HE)と称する動脈血管系内の、特化した内皮前駆体からの二次波(definitive wave)の後期の間にのみ出現する。次いで、二次HEは、内皮から造血への移行を経て、HSCを発生させ、次いで、これらは、最終的に、骨髄へと移動し、成体寿命を通じて、T細胞、B細胞、NKT細胞、およびNKリンパ系細胞を含む多系統造血を存続させる。従って、HSCおよびリンパ系エフェクター細胞の、多能性幹細胞からの発生は、良好に設計および検証された方法および組成物を介して、早期の胚性造血発生の、二次プログラムへの複雑な段階を、正確に再現する能力に依存する。
in vitroにおける、hiPSCの、二次HEへの指向性分化について記載している研究の数は、限定されている。治療を目的とするhiPSCの活用における主要な障害は、多能性を維持し、そして分化を誘導するために、マウス由来の間質細胞またはヒト由来の間質細胞と共に、組成未知の血清含有培地の存在下で、このような細胞をまず同時培養することの要請であった。加えて、既存のプロトコールはまた、外胚葉細胞、中胚葉細胞、および内胚葉細胞を含む多様な分化細胞を含む、異質性の細胞凝集物である胚葉体(EB)を形成するように、iPSCを培養することからなる戦略も採用している。これらの手順は、例えば、クランプを形成するようにスピンするか、細胞をウェル内で沈殿および凝集させるか、または懸濁培養物中の受動的凝集およびクランプ形成を可能とすることにより、多能性細胞を凝集させることを要請する。形成されたEBは、ある特定の持続期間にわたり、分化下に維持し、典型的には、適正な分化を可能とするように、7~10日間にわたり、培養系を誘導し、次いで、EBを、さらなる成熟のために、接着培養へと移すか、または後続の分化ステップへと進むために、細胞型の選択のため単一細胞へと解離させる(Kennedyら、Cell Reports、2012年、1722~1735頁;Knorrら、Stem Cells Translational Medicine、2013年、2巻:274~283頁)。例えば、Kennedyらは、iPSCの分化のためにEBを発生させることについて教示しており、多能性細胞を、コラゲナーゼおよびトリプシンで処理して、小型の凝集物を形成するように、細胞のスクレーピングを可能とし、次いで、これを培養して、EBが形成された。EBの形成は、多能性幹細胞の分化を容易とすることが示されているが、凝集物および後続のEBを形成することの要請は労働集約的なものであり、この工程における細胞数の増大は最小限であり、三次元的EB凝集物中の細胞内容物の、培地因子への曝露は、一貫せず、不均等であり、これにより、分化段階が可変的な、異質性の細胞産物をもたらし、効率的で合理的となるために要請される、製造工程のスケーラビリティーおよび再現性は大きく損なわれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kennedyら、Cell Reports、2012年、1722~1735頁
【非特許文献2】Knorrら、Stem Cells Translational Medicine、2013年、2巻:274~283頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、同時培養または血清含有培地に依拠せず、かつ、中間体としての胚葉体凝集物の形成を要請せずに、幹細胞を、二次造血へと分化させる方法および組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は一般に、幹細胞を培養し、造血細胞運命へと分化させるための、細胞培養条件、培地、培養プラットフォーム、および方法に関する。
【0008】
具体的には、本発明は、血清/フィーダーフリー条件下で、EBの形成を必要とすることなく、スケーラブルな単層培養プラットフォームにより、hiPSCを含む多能性幹細胞から導出した、二次造血性内皮(HE)および二次造血幹細胞(HSC)を介して、造血系統細胞を発生させるための方法および組成物を提供する。本発明の方法に従い分化させうる細胞は、多能性幹細胞から、特定の最終分化細胞および分化転換細胞へとコミットした前駆細胞、多能性中間体を経由せずに、造血運命へと直接移行する、多様な系統の細胞にわたる範囲にある。同様に、幹細胞の分化により作製される細胞は、複能性幹細胞または前駆細胞から、最終分化幹細胞、および全ての介在する造血系統細胞にわたる範囲にある。
【0009】
本発明は、単層培養において、造血系の細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するための方法および組成物であって、多能性幹細胞を、BMP経路活性化因子と、任意選択で、bFGFと接触させるステップを含む方法および組成物を提供する。従って、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞は、胚葉体を形成せずに、多能性幹細胞から得られ、拡大される。次いで、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子と、bFGFと、WNT経路活性化因子との接触下に置いて、胚葉体を形成せずに、二次造血性内皮(HE)のポテンシャルを有する、拡大された中胚葉細胞を、多能性幹細胞から得る。bFGFと、任意選択で、ROCK阻害剤と、かつ/またはWNT経路活性化因子との引き続く接触により、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させ、これまた、分化の間に拡大される。
【0010】
造血系の細胞を得るための、本明細書で提示される方法は、EBの形成に至る細胞の拡大は僅少~最小限であり、集団内の細胞の、均質な拡大および均質な分化を要求する、多くの適用では重要であって、煩瑣かつ低効率である単層培養を可能としないため、EBに介在される多能性幹細胞の分化より優れている。
【0011】
本明細書では、造血幹細胞、ならびにT細胞、B細胞、NKT細胞、およびNK細胞など、分化させた後代細胞の導出を結果としてもたらす二次造血性内皮への分化を容易とする単層分化プラットフォームが提供される。証明された単層分化戦略は、分化効率の増強を、大スケールの拡大と組み合わせ、治療的に意味がある数の、多能性幹細胞由来の造血細胞の、多様な治療適用のための送達を可能とする。さらに、本発明により、本明細書で提示される方法を使用する単層培養は、全範囲にわたる、in vitroにおける分化、ex vivoにおけるモジュレーション、ならびにin vivoにおける、長期にわたる造血系の自己再生、再構成、および生着を可能とする機能的な造血系細胞をもたらすことも開示された。
【0012】
本発明の一態様は、多能性幹細胞由来の造血系細胞を得るための培養プラットフォームであって、群I:(i)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、二次HSCを、二次造血性内皮から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;ならびに(iii)GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含み、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するのに適する培養培地を含む培養プラットフォームを提供する。
【0013】
代替的に、多能性幹細胞由来の造血系細胞を得るための培養プラットフォームは、群II:(i)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞を得るのに適する培養培地;ならびに(iii)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地を含む。一部の実施形態では、上記の培養プラットフォームの多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の培養プラットフォームの群(II)は、(iv)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。
【0014】
上記の培養プラットフォームについての一部の実施形態では、群(I)および(II)の各々は、さらなる培養培地をさらに含む。
【0015】
群(I)は、(i)SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子を含み;BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、T細胞へと分化させるのに適する培養培地、または(ii)BMP活性化因子と;SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子を含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、T細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地をさらに含みうる。これらのさらなる培養培地は、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する。
【0016】
群(II)はさらに、(i)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まず、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体を、T細胞前駆体もしくはT細胞へと分化させるのに適する培養培地;または(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、プレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地を含むことが可能であり;これらのさらなる培養培地は、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する。
【0017】
上記の培養プラットフォームについての一部の実施形態では、群(I)および(II)の各々はなお、さらなる培養培地をさらに含む。
【0018】
群(I)は、(i)SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるのに適する培養培地;または(ii)BMP活性化因子;SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み;多能性幹細胞由来の二次HSCを、NK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地をさらに含むことが可能であり;これらのさらなる培地は、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適する。
【0019】
群(II)について述べると、上述の培地に加えて、(i)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まず、多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、NK細胞前駆体もしくはNK細胞へと分化させるのに適する培地;または(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地をさらに含むことが可能であり;これらのさらなる培地は、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適する。
【0020】
さらに別の実施形態では、提供される培養プラットフォームの群(II)は、(i)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、ROCK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来のpre-HSCを、造血複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、pre-HSCへと分化させるのに適する培養培地をさらに含み;これらの培養培地は、多能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるために提供される。
【0021】
本発明の別の態様は、多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物であって、以下の群(I)または(II)のうちの1または複数を含む組成物を提供する。
【0022】
群(I):(i)BMP活性化因子と;VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、二次HSCを、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;多能性幹細胞由来の中胚葉細胞とを含み、二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;ならびに(iii)GSK3阻害剤、BMP活性化因子と;iPSCとを含み、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地。
【0023】
群(II):(i)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来の、造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を含まず、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;ならびに(iii)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFと;iPSCとを含み、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地。
【0024】
多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物についての一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0025】
多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物についての一部の実施形態では、群(II)は、(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;多能性幹細胞とを含まず;多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地など、さらなる組成物を含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0026】
上記の多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物についての一部の実施形態では、群(I)は加えて、(i)SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子と;多能性幹細胞由来のT細胞前駆体とを含み;BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、T細胞へと分化させるのに適する培養培地、または(ii)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子と;多能性幹細胞由来の二次HSCとを含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、T細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地を含み;これらのさらなる培地は、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する。
【0027】
上記の多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物の群(II)について、一部の実施形態では、(i)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数と;多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体とを含まず、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体を、T細胞前駆体もしくはT細胞へと分化させるのに適する培養培地;または(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、二次造血性内皮を、プレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地をさらに含む。これらのさらなる培地は、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する。
【0028】
上記の多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物についての、さらに他の一部の実施形態では、群(I)は、(i)SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体とを含み、BMP活性化因子を含まず、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるのに適する培養培地;または(ii)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来の二次HSCとを含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、NK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地をさらに含む。これらのさらなる培地は、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適する。代替的に、上記の多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物の群(II)は、(i)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数と;多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体とを含まず、プレNK細胞前駆体を、NK細胞前駆体もしくはNK細胞へと分化させるのに適する培地;または(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地をさらに含む。これらの培養培地は、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適する。
【0029】
さらに他の一部の実施形態では、上記の多能性幹細胞由来の造血細胞を分化させ、拡大するための組成物の群(II)は、多能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるための、1もしくは複数の培地をさらに含み、この培地は、(i)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含むが、ROCK阻害剤と、多能性幹細胞由来のpre-HSCとを含まず、pre-HSCを、造血複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに/または(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、二次造血性内皮を、pre-HSCへと分化させるのに適する培養培地を含む。
【0030】
本発明の一態様は、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための培養プラットフォームであって、群I:(i)GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(iii)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、二次HSCを、二次造血性内皮から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;ならびに(iv)BMP活性化因子と;SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;1または複数のNotch経路活性化因子とを含み、T細胞前駆体を、二次HSCから分化させるのに適する培養培地;ならびに、任意選択で、(v)SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;1または複数のNotch経路活性化因子を含み;BMP活性化因子を含まず、T細胞を、T細胞前駆体から分化させるのに適する培養培地を含む培養プラットフォームを提供する。
【0031】
代替的に、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための培養プラットフォームは、群II:(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(iv)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、二次造血性内皮を、プレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに(v)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数と;多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体とを含まず、プレT細胞前駆体を、T細胞前駆体またはT細胞へと分化させるのに適する培養培地を含む。
【0032】
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための、上記の培養プラットフォームについての一部の実施形態では、群IIの培養プラットフォームは、(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0033】
本発明の別の態様は、多能性幹細胞由来のNK細胞を発生させるための培養プラットフォームであって、群I:(i)GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含み、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させるのに適する培養培地;(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させるのに適する培養培地;(iii)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、二次造血性内皮を、二次HSCへと分化させるのに適する培養培地;(iv)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;二次HSCを、NK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに、任意選択で、(v)SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、BMP活性化因子を含まず、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるのに適する培養培地を含む培養プラットフォームを提供する。
【0034】
代替的に、多能性幹細胞由来のNK細胞を発生させるための培養プラットフォームは、群II:(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞を、中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞から分化させるのに適する培養培地;(iv)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地;ならびに(v)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まず、プレNK細胞前駆体を、NK細胞前駆体またはNK細胞へと分化させるのに適する培養培地を含む。
【0035】
多能性幹細胞由来のNK細胞を発生させるための、上記の培養プラットフォームについての一部の実施形態では、群IIの培養プラットフォームは、(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0036】
本発明のさらに別の態様は、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(iHE)を発生させるための培養プラットフォームであって、(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;ならびに(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、IL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地を含む培養プラットフォームを提供する。
【0037】
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(iHE)を発生させるための培養プラットフォームについての一部の実施形態では、培養プラットフォームは、(iv)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。
【0038】
本発明のなお別の態様は、多能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるための培養プラットフォームであって、(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;(iv)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み;二次造血性内皮を、pre-HSCへと分化させるのに適する培養培地;ならびに(v)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、ROCK阻害剤を含まず、pre-HSCを、造血複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、培養プラットフォームは、(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0039】
本発明の別の態様は、多能性幹細胞の分化を、二次造血系細胞へと方向付けるための方法であって、群I:(i)多能性幹細胞を、GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞の、多能性幹細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮細胞の、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次HSCの、造血性内皮細胞からの分化および拡大を誘発するステップとを含む方法を提供する。
【0040】
代替的に、多能性幹細胞の分化を、二次造血系細胞へと方向付けるための方法は、群II:(i)多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、中胚葉細胞の、多能性幹細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞の、中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次造血性内皮の、二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップとを含み;任意選択で、多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、造血性内皮を有する中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップを含む。
【0041】
多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けるための方法についての一部の実施形態では、群(II)の方法は、多能性幹細胞を、MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0042】
多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けるための方法についての一部の実施形態では、多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化は、胚葉体の発生を欠き、単層培養形態にある。
【0043】
上記の方法についての一部の実施形態では、得られた多能性幹細胞由来の二次造血性内皮細胞は、CD34+である。一部の実施形態では、得られた二次造血性内皮細胞は、CD34+ CD43-である。一部の実施形態では、二次造血性内皮細胞は、CD34+ CD43- CXCR4- CD73-である。
【0044】
上記の方法についての他の一部の実施形態では、群Iは、(i)多能性幹細胞由来の二次HSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次HSCの、T細胞前駆体への分化を誘発するステップと、任意選択で、T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;1または複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、T細胞前駆体の、T細胞への分化を誘発するステップとをさらに含む。一部の実施形態では、方法の群IIは、(i)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮の、プレT細胞前駆体への分化を誘発するステップと;任意選択で、(ii)プレT細胞前駆体を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まない組成物と接触させて、プレT細胞前駆体の、T細胞前駆体またはT細胞への分化を誘発するステップとをさらに含む。方法についての一部の実施形態では、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体は、CD34+ CD7+である。
【0045】
上記の多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けるための方法についての、さらに他の一部の実施形態では、方法の群Iは、(i)多能性幹細胞由来の二次HSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次HSCの、NK細胞前駆体への分化を誘発するステップと;任意選択で、(ii)NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、BMP活性化因子を含まない組成物と接触させて、NK細胞前駆体の、NK細胞への分化を誘発するステップとをさらに含むか、または方法の群IIは、(i)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮の、プレNK細胞前駆体への分化を誘発するステップと;任意選択で、(ii)多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含む組成物であって、媒体が、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まない組成物と接触させて、プレNK細胞前駆体の、NK細胞前駆体もしくはNK細胞への分化を誘発するステップとをさらに含む。一部の実施形態では、方法の群IIは、(i)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮の、pre-HSCへの分化を誘発するステップと;(ii)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含むがROCK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来のpre-HSCを、造血複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法を使用して得られた多能性幹細胞由来の二次HSCは、CD34+ CD45+であり、長期にわたる生着に適する。
【0046】
本発明の別の態様は、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための方法であって、群I:(i)多能性幹細胞を、GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含む組成物と接触させて、中胚葉細胞の、多能性幹細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)中胚葉細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮の、中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まない組成物と接触させて、二次HSCの、二次造血性内皮からの分化および拡大を誘発するステップと;(iv)二次HSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、二次HSCの、T細胞前駆体への分化を誘発するステップと;任意選択で、(v)T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;1または複数のNotch経路活性化因子とを含むが;BMP活性化因子を含まない組成物と接触させて、T細胞前駆体の、T細胞への分化を誘発するステップとを含む方法を提供する。
【0047】
代替的に、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための方法は、群II:(i)多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、中胚葉細胞の、多能性幹細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞の、中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次造血性内皮の、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iv)二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮の、プレT細胞前駆体への分化を誘発するステップと;(v)プレT細胞前駆体を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み;VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まない組成物と接触させて、プレT細胞前駆体の、T細胞前駆体またはT細胞への分化を誘発するステップとを含み;任意選択で、播種された多能性幹細胞、中胚葉細胞、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くことができる。一部の実施形態では、上記の方法の群IIは、iPSCを、MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。方法についての一部の実施形態では、多能性幹細胞の、T系統細胞への分化は、胚葉体の発生を欠き、単層培養フォーマットにある。
【0048】
本発明のさらに別の態様は、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるための方法であって、群I:(i)多能性幹細胞を、GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含む組成物と接触させて、多能性幹細胞の、中胚葉細胞への分化を誘発するステップと;(ii)中胚葉細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む組成物と接触させて、中胚葉細胞の、二次造血性内皮への分化を誘発するステップと;(iii)二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮の、二次HSCへの分化を誘発するステップと;(iv)二次HSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次HSCの、NK細胞前駆体への分化を誘発するステップと;任意選択で、(v)多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、BMP活性化因子を含まない組成物と接触させて、NK細胞前駆体の、NK細胞への分化を誘発するステップとを含む方法を提供する。代替的に、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるための方法は、群II:(i)多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、中胚葉細胞の、多能性幹細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞の、中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;ROCK阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮の、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iv)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮の、プレNK細胞前駆体への分化を誘発するステップと;(v)多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むが、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体の、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体またはNK細胞への分化を誘発するステップとを含み;任意選択で、播種された多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップを含む。一部の実施形態では、群IIの多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるための方法は、iPSCを、MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、iPSCを播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるための方法は、胚葉体の発生を欠き、単層培養フォーマットにある。
【0049】
本発明の別の態様は、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させるための方法であって、(i)iPSCを、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞の、多能性幹細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞の、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;ROCK阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮の、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップとを含み;任意選択で、播種された多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、上記の多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させるための方法は、iPSCを、MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、iPSCを播種し、拡大するステップをさらに含み、かつ/またはiPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、iPSCを、二次造血性内皮の細胞へと分化させる上記の方法は、胚葉体の発生を欠き、単層培養フォーマットにある。
【0050】
本発明の別の態様は、多能性幹細胞由来の、造血系の複能性前駆体を発生させるための方法であって、(i)iPSCを、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞の、iPSCからの分化および拡大を誘発するステップと;(ii)多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞の、中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iii)二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、二次造血性内皮の、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞からの分化および拡大を誘発するステップと;(iv)二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮の、pre-HSCへの分化を誘発するステップと;(v)pre-HSCを、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含むが、ROCK阻害剤を含まない組成物と接触させて、pre-HSCの、造血複能性前駆体への分化を誘発するステップとを含み;任意選択で、播種された多能性幹細胞、中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、上記の多能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるための方法は、多能性幹細胞を、MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含むが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない組成物と接触させて、多能性幹細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、多能性幹細胞の、上記の方法を使用する造血複能性前駆体への分化は、胚葉体の発生を欠き、単層培養フォーマットにある。
【0051】
本発明のさらなる態様は、本明細書で開示される培養プラットフォームから発生させる、1または複数の細胞集団:多能性幹細胞由来の(i)CD34+二次造血性内皮(iCD34)であって、上記iCD34細胞が、複能性前駆細胞、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、T細胞、およびNK細胞へと分化する能力を有し、CD34+ CD43-である、CD34+二次造血性内皮;(ii)二次造血性内皮(iHE)であって、上記iHE細胞がCD34+である、二次造血性内皮;(iii)多能性幹細胞由来の二次HSCであって、上記iHSCがCD34+ CD45+である、二次HSC;(iv)造血複能性前駆細胞であって、上記iMPP細胞が、CD34+ CD45+である、造血複能性前駆細胞;(v)CD34+ CD7+であるT細胞前駆体;(vi)CD4+またはCD8+であるT細胞;(vii)CD56+ CD7+ CD161+であるNK細胞前駆体;ならびに(viii)CD56+ CD57+ CD16+ CD94-であるNK細胞を含む組成物を提供する。
【0052】
本発明のなおさらなる態様は、本明細書で開示される方法を使用して発生させる、1または複数の細胞株またはクローン細胞:多能性幹細胞由来の(i)CD34+二次造血性内皮(iCD34)であって、上記iCD34細胞が、複能性前駆細胞、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、T細胞、およびNK細胞へと分化する能力を有し、CD34+ CD43-である、CD34+二次造血性内皮;(ii)二次造血性内皮(iHE)であって、上記iHE細胞株またはクローン細胞が、CD34+である、二次造血性内皮;(iii)二次HSCであって、上記iHSCがCD34+ CD45+である、二次HSC;(iv)造血複能性前駆細胞(iMPP)であって、上記iMPP細胞が、CD34+ CD45+である、造血複能性前駆細胞;(v)CD34+ CD7+であるT細胞前駆体;(vi)CD4+またはCD8+であるT細胞;(vii)CD56+ CD7+ CD161+であるNK細胞前駆体;ならびに(viii)CD56+ CD57+ CD16+ CD94-であるNK細胞を提供する。
【0053】
本発明の別の態様は、開示される方法を使用して発生させる細胞集団、細胞株、またはクローン細胞:多能性幹細胞由来の(i)CD34+二次造血性内皮(iCD34)であって、上記iCD34細胞が、複能性前駆細胞、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、T細胞、およびNK細胞へと分化する能力を有し、CD34+ CD43-である、CD34+二次造血性内皮;(ii)二次造血性内皮(iHE)であって、上記iHE細胞株またはクローン細胞がCD34+である、二次造血性内皮;(iii)二次HSCであって、上記iHSCが、CD34+ CD45+である、二次HSC;(iv)造血複能性前駆細胞であって、上記iMPP細胞がCD34+ CD45+である、造血複能性前駆細胞;(v)CD34+ CD7+であるT細胞前駆体;(vi)CD4+またはCD8+であるT細胞;(vii)CD56+ CD7+ CD161+であるNK細胞前駆体;ならびに(viii)CD56+ CD57+ CD16+ CD94-であるNK細胞のうちの1または複数を使用して、造血系の自己再生、再構成、または生着を促進する方法を提供する。
【0054】
まとめると、本発明は、胚葉体を多能性幹細胞から発生させずに、単層内の、多能性幹細胞の直接的な分化を可能とし、これにより、他の造血系細胞を、極めて高レベルの効率を伴う、スケーラブルかつ信頼できる形で得ることができる、中胚葉細胞、二次HE、および二次HSCの分化および拡大を達成する方法および組成物を達成する。
本発明の特定の態様では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
多能性幹細胞の分化を、造血系細胞へと方向付けるための方法であって、(i)前記多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、中胚葉細胞を得るステップと;(ii)前記中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子と、bFGFと、WNT経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、二次造血性内皮(HE)のポテンシャルを有する中胚葉細胞を得るステップとを含み、二次造血性内皮(HE)のポテンシャルを有する前記中胚葉細胞が、造血幹細胞および前駆細胞(HSC)、造血複能性前駆細胞(MPP)、プレT細胞の前駆細胞、プレNK細胞の前駆細胞、T細胞の前駆細胞、NK細胞の前駆細胞、T細胞、NK細胞、NKT細胞、またはB細胞を含む造血系細胞を提供することが可能であり;中胚葉細胞および二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞が、ステップ(i)および(ii)において、胚葉体を形成せずに得られる方法。
(項目2)
二次HEのポテンシャルを有する前記中胚葉細胞を、bFGFとROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、二次HE細胞を得るステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記二次HE細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、造血複能性前駆細胞(MPP)を得るステップをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記二次HE細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;任意選択で、BMP活性化因子、ROCK阻害剤、VEGF、およびbFGFのうちの1または複数とを含む組成物と接触させて、プレT細胞前駆体、T細胞前駆体、および/またはT細胞を得るステップをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記二次HE細胞を、SCF、Flt3L、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、任意選択で、BMP活性化因子、ROCK阻害剤、VEGF、およびbFGFのうちの1または複数とを含む組成物と接触させて、プレNK細胞前駆体、NK細胞前駆体、および/またはNK細胞を得るステップをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記多能性幹細胞を、MEK阻害剤と、GSK3阻害剤と、ROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、前記細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記多能性幹細胞、前記中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮のポテンシャルを有する前記中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記多能性幹細胞の、造血系細胞への分化が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記多能性幹細胞の、造血系細胞への分化が、フィーダーフリー条件下である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記多能性幹細胞の、造血系細胞への分化が、間質フリー条件下にある、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記WNT経路活性化因子が、GSK3阻害剤である、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記GSK3阻害剤が、CHIR99021である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記BMP経路活性化因子が、BMP4である、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記ROCK阻害剤が、チアゾビビンまたはY-27632である、項目2に記載の方法。
(項目17)
前記ROCK阻害剤が、Y-27632である、項目2に記載の方法。
(項目18)
多能性幹細胞の分化を、造血系の細胞へと方向付けるための方法であって、
(i)多能性幹細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子とを含む組成物と接触させて、中胚葉細胞を得るステップと;
(ii)前記中胚葉細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む組成物と接触させて、造血性内皮を得るステップと;
(iii)前記造血性内皮を、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと;BMP活性化因子とを含む組成物と接触させて、二次HSCを得るステップであって、前記組成物が、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まないステップと
を含む方法。
(項目19)
(iv)二次HSCを、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;BMP活性化因子と、1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、T細胞前駆体を得るステップと、任意選択で、
(v)T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、T細胞を得るステップと
をさらに含むか、または
(vi)二次HSCを、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;BMP活性化因子とを含む組成物と接触させて、NK細胞前駆体を得るステップと;任意選択で、
(vii)NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含む組成物と接触させて、NK細胞を得るステップであって、前記組成物が、BMP活性化因子を含まないステップと
をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記二次HSCが、CD34+ CD45+である、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記二次HSCが、長期にわたる生着に適する、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記T細胞前駆体が、CD34+ CD7+である、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記NK細胞前駆体が、CD56+ CD7+ CD161+である、項目19に記載の方法。
(項目24)
多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けることが、胚葉体の発生を欠く、項目18に記載の方法。
(項目25)
多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けることが、単層培養下である、項目18に記載の方法。
(項目26)
多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けることが、フィーダーフリー条件下である、項目18に記載の方法。
(項目27)
多能性幹細胞の、造血系の細胞への分化を方向付けることが、間質フリー条件下である、項目18に記載の方法。
(項目28)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目18に記載の方法。
(項目29)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目28に記載の方法。
(項目30)
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための方法であって、前記方法が、
(I)多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、T細胞を得るステップであって;前記組成物が、BMP活性化因子を含まないステップ
を含み;
前記多能性幹細胞由来のT細胞前駆体が、多能性幹細胞由来の二次HSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含む組成物と接触させて、分化および拡大を可能とすることにより得られ;
前記多能性幹細胞由来の二次HSCが、多能性幹細胞由来の造血性内皮を、BMP活性化因子と;VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず;
前記多能性幹細胞由来の二次造血性内皮が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む組成物と接触させて、分化および拡大を可能とすることにより得られ;
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞を、GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含む組成物と接触させて、分化および拡大を可能とすることにより得られるか;または前記方法が、
(II)多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体もしくはT細胞を得るステップであって、前記組成物が、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まないステップ
を含み;
前記多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体が、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ;
前記多能性幹細胞由来の二次造血性内皮が、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ;前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
二次HEのポテンシャルを有する、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られる、
方法。
(項目31)
多能性幹細胞を、MEK阻害剤と、GSK3阻害剤と、ROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、前記多能性幹細胞を播種し、拡大するステップ
をさらに含み、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない、項目30に記載の方法。
(項目32)
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させることが、胚葉体の発生を欠く、項目30に記載の方法。
(項目33)
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させることが、単層培養下である、項目30に記載の方法。
(項目34)
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させることが、フィーダーフリー条件下である、項目30に記載の方法。
(項目35)
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させることが、間質フリー条件下である、項目30に記載の方法。
(項目36)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目30に記載の方法。
(項目37)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目36に記載の方法。
(項目38)
多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるための方法であって、前記方法が、
(I)多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来のNK細胞を得るステップであって、前記組成物が、BMP活性化因子を含まないステップ
を含み;
前記多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体が、多能性幹細胞由来の二次HSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ;
前記多能性幹細胞由来の二次HSCが、多能性幹細胞由来の造血性内皮を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず;
前記多能性幹細胞由来の造血性内皮が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞の分化を誘発して、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ;
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞を、GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られるか;
または前記方法が、
(II)多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体もしくはNK細胞を得るステップであって、前記組成物が、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まないステップ
を含み;
前記多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体が、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ;
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮が、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
二次HEのポテンシャルを有する、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られる、
方法。
(項目39)
播種された多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
多能性幹細胞を、MEK阻害剤と、GSK3阻害剤と、ROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、前記細胞を播種し、拡大するステップをさらに含み、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない、項目38に記載の方法。
(項目41)
多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させることが、胚葉体の発生を欠く、項目38に記載の方法。
(項目42)
多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させることが、単層培養下である、項目38に記載の方法。
(項目43)
多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させることが、フィーダーフリー条件下である、項目38に記載の方法。
(項目44)
多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させることが、間質フリー条件下である、項目38に記載の方法。
(項目45)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目38に記載の方法。
(項目46)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目45に記載の方法。
(項目47)
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させるための方法であって、
二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を得るステップであって、前記組成物が、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないステップを含み;
二次HEのポテンシャルを有する、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られる、
方法。
(項目48)
多能性幹細胞を、MEK阻害剤と、GSK3阻害剤と、ROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、前記多能性幹細胞を播種し、拡大するステップ
をさらに含み、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない、項目47に記載の方法。
(項目49)
播種された多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む、項目47および48に記載の方法。
(項目50)
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させることが、胚葉体の発生を欠く、項目47に記載の方法。
(項目51)
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させることが、単層培養下である、項目47に記載の方法。
(項目52)
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させることが、フィーダーフリー条件下である、項目47に記載の方法。
(項目53)
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させることが、間質フリー条件下である、項目47に記載の方法。
(項目54)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目47に記載の方法。
(項目55)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目54に記載の方法。
(項目56)
多能性幹細胞由来の造血系の複能性前駆体を発生させるための方法であって、
多能性幹細胞由来のpre-HSCを、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、多能性幹細胞由来の複能性前駆体を得るステップであって、前記組成物が、ROCK阻害剤を含まないステップを含み;
前記多能性幹細胞由来のpre-HSCが、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ;
前記多能性幹細胞由来の二次造血性内皮が、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
二次HEのポテンシャルを有する、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られ、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む組成物と接触させて、細胞の分化および拡大を可能とすることにより得られる、
方法。
(項目57)
多能性幹細胞を、MEK阻害剤と、GSK3阻害剤と、ROCK阻害剤とを含む組成物と接触させて、前記多能性幹細胞を播種し、拡大するステップ
をさらに含み、前記組成物が、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない、項目56に記載の方法。
(項目58)
播種された多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞、および/または二次造血性内皮を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む、項目56および57に記載の方法。
(項目59)
多能性幹細胞由来の造血系の複能性前駆体が、胚葉体の発生を欠く、項目58に記載の方法。
(項目60)
多能性幹細胞由来の造血系の複能性前駆体が、単層培養下にある、項目58に記載の方法。
(項目61)
多能性幹細胞由来の造血系の複能性前駆体が、フィーダーフリー条件下にある、項目58に記載の方法。
(項目62)
多能性幹細胞由来の造血系の複能性前駆体が、間質フリー条件下にある、項目58に記載の方法。
(項目63)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目58に記載の方法。
(項目64)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目63に記載の方法。
(項目65)
項目1から64に記載の方法を使用して発生させる細胞集団、細胞株、またはクローン細胞のうちの1または複数を含む組成物を使用して、造血系の自己再生、再構成、または生着を促進する方法であって、前記細胞集団、細胞株、またはクローン細胞が、
(i)多能性幹細胞由来のCD34+二次造血性内皮(iCD34 HE)であって、前記iCD34細胞が、複能性前駆細胞、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、T細胞、およびNK細胞へと分化する能力を有し、前記iCD34細胞がCD34+ CD43-である、CD34+二次造血性内皮;
(ii)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(iHE)であって、前記iHE細胞株またはクローン細胞がCD34+である、二次造血性内皮;
(iii)多能性幹細胞由来の二次HSCであって、前記iHSCが、CD34+ CD45+である二次HSC;
(iv)多能性幹細胞由来の複能性前駆細胞であって、前記iMPP細胞が、CD34+ CD45+である、複能性前駆細胞;
(v)多能性幹細胞由来のT細胞前駆体であって、CD34+ CD7+であるT細胞前駆体;
(vi)多能性幹細胞由来のT細胞であって、CD4+またはCD8+であるT細胞;
(vii)多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体であって、CD56+ CD7+ CD161+であるNK細胞前駆体;ならびに
(viii)多能性幹細胞由来のNK細胞であって、CD56+ CD57+ CD16+ CD94-であるNK細胞
から選択される、
方法。
(項目66)
多能性幹細胞由来の造血系細胞を得るための培養プラットフォームであって、
I:
(i)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;および
(iii)GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
またはII:
(i)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地;ならびに
(iii)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地
を含む培養プラットフォーム。
(項目67)
群IIが、
(iv)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む、
項目66に記載の培養プラットフォーム。
(項目68)
I:
(i)SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含み;BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のT細胞へと分化させるのに適する培養培地、または
(ii)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適するか、
あるいはII:
(i)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まず、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体もしくはT細胞へと分化させるのに適する培養培地;または
(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する、
項目66に記載の培養プラットフォーム。
(項目69)
I:
(i)SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のNK細胞へと分化させるのに適する培養培地;または
(ii)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適するか、
あるいはII:
(i)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まず、多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体もしくはNK細胞へと分化させるのに適する培地;または
(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適する、
項目66に記載の培養プラットフォーム。
(項目70)
群(II)が、
(i)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、ROCK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来のpre-HSCを、多能性幹細胞由来の複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地;または
(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来のpre-HSCへと分化させるのに適する培養培地
をさらに含み;
前記培養培地が、多能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるのに適する、項目66に記載の培養プラットフォーム。
(項目71)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目66に記載の培養プラットフォーム。
(項目72)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目71に記載の培養プラットフォーム。
(項目73)
多能性幹細胞由来の造血細胞を得、かつ拡大するための組成物であって、
I:
(i)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮から得るのに適する培養培地;
(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;多能性幹細胞由来の中胚葉細胞とを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;ならびに
(iii)GSK3阻害剤、BMP活性化因子と;iPSCとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から得るのに適する培養培地;
またはII:
(i)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞とを含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;
(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;多能性幹細胞由来の中胚葉細胞とを含まず、二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から得るのに適する培養培地;ならびに
(iii)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFと;多能性幹細胞とを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から得るのに適する培養培地
のうちの1または複数を含む組成物。
(項目74)
群(II)が、
(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤と;多能性幹細胞とを含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地
をさらに含む、項目73に記載の組成物。
(項目75)
I:
(i)SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子と;多能性幹細胞由来のT細胞前駆体とを含み;BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のT細胞へと分化させるのに適する培養培地、または
(ii)BMP活性化因子と;SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子と;多能性幹細胞由来の二次HSCとを含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体へと分化させるのに適し、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する培養培地
をさらに含み、
あるいはII:
(i)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数と;多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体とを含まず、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体もしくはT細胞へと分化させるのに適する培養培地、または
(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるのに適する、
項目73に記載の組成物。
(項目76)
I:
(i)SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体とを含み、BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のNK細胞へと分化させるのに適する培養培地;または
(ii)BMP活性化因子;SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来の二次HSCとを含み、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適するか、
あるいはII:
(i)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数と;多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体とを含まず、多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体もしくはNK細胞へと分化させるのに適する培地;または
(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地
をさらに含み、
前記培養培地が、多能性幹細胞由来のNK系統細胞を発生させるのに適する、
項目73に記載の組成物。
(項目77)
群(II)が、多能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるための、1または複数の培地をさらに含み、前記培地が、
(i)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、ROCK阻害剤と;多能性幹細胞由来のpre-HSCとを含まず、多能性幹細胞由来のpre-HSCを、多能性幹細胞由来の複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに/または
(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;多能性幹細胞由来の二次造血性内皮とを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来のpre-HSCへと分化させるのに適する培養培地
を含む、項目73に記載の組成物。
(項目78)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目73に記載の培養プラットフォーム。
(項目79)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目78に記載の培養プラットフォーム。
(項目80)
多能性幹細胞由来のT系統細胞を発生させるための培養プラットフォームであって、
I:
(i)GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(iii)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;ならびに
(iv)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと、1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含み、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、多能性幹細胞由来の二次HSCから分化させるのに適する培養培地;ならびに、任意選択で、
(iii)SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインと;1もしくは複数のNotch経路活性化因子とを含み;BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のT細胞を、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体から分化させるのに適する培養培地;
またはII:
(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の二次HEのポテンシャルを得るのに適する培養培地;
(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来の造血性内皮のポテンシャルを伴う前記中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(iv)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに
(v)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まず、多能性幹細胞由来のプレT細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体もしくはT細胞へと分化させるのに適する培養培地を含むプラットフォーム。
(項目81)
群(II)が、
(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地
をさらに含む、項目80に記載の培養プラットフォーム。
(項目82)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目80に記載の培養プラットフォーム。
(項目83)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目82に記載の培養プラットフォーム。
(項目84)
多能性幹細胞由来のNK細胞を発生させるための培養プラットフォームであって、
I:
(i)GSK3阻害剤、BMP活性化因子を含み、多能性幹細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞へと分化させるのに適する培養培地;
(ii)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮へと分化させるのに適する培養培地;
(iii)BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来の二次HSCへと分化させるのに適する培養培地;ならびに
(iv)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;多能性幹細胞由来の二次HSCを、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに、任意選択で、
(iv)SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、BMP活性化因子を含まず、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のNK細胞へと分化させるのに適する培養培地;
またはII:
(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地;
(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から分化させるのに適する培養培地;
(iv)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培養培地;ならびに
(v)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1もしくは複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まず、多能性幹細胞由来のプレNK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体もしくはNK細胞へと分化させるのに適する培養培地
を含むプラットフォーム。
(項目85)
群(II)が、
(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む、
項目84に記載の培養プラットフォーム。
(項目86)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目84に記載の培養プラットフォーム。
(項目87)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目86に記載の培養プラットフォーム。(項目88)
多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を発生させるための培養プラットフォームであって、
(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地;ならびに
(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の前記中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地
を含む培養プラットフォーム。
(項目89)
(iv)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む、
項目88に記載の培養プラットフォーム。
(項目90)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目88に記載の培養プラットフォーム。
(項目91)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目90に記載の培養プラットフォーム。
(項目92)
複能性幹細胞由来の造血複能性前駆体を発生させるための培養プラットフォームであって、
(i)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、前記多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地;
(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地;
(iv)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮を、多能性幹細胞由来のpre-HSCへと分化させるのに適する培養培地;ならびに
(v)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、ROCK阻害剤を含まず、多能性幹細胞由来のpre-HSCを、多能性幹細胞由来の複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地
を含む培養プラットフォーム。
(項目93)
(vi)MEK阻害剤、GSK3阻害剤、およびROCK阻害剤を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず、多能性幹細胞を播種し、拡大するのに適する培養培地
をさらに含む、項目92に記載の培養プラットフォーム。
(項目94)
前記多能性幹細胞が、iPSCである、項目92に記載の培養プラットフォーム。
(項目95)
前記iPSCが、ナイーブiPSCである、項目94に記載の培養プラットフォーム。
(項目96)
(a)任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない培養培地;ならびに
(b)項目4から7に記載の培養プラットフォームから発生させる、1または複数の細胞集団:
(i)多能性幹細胞由来のCD34+二次造血性内皮(iCD34 HE)であって、前記iCD34細胞が、複能性前駆細胞、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、T細胞、およびNK細胞へと分化する能力を有し、CD34+ CD43-である、CD34+二次造血性内皮;
(ii)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(iHE)であって、前記iHE細胞がCD34+である、二次造血性内皮;
(iii)多能性幹細胞由来の二次HSCであって、前記iHSCが、CD34+CD45+である、二次HSC;
(iv)多能性幹細胞由来の複能性前駆細胞であって、前記iMPP細胞が、CD34+ CD45+である、複能性前駆細胞;
(v)多能性幹細胞由来のT細胞前駆体であって、CD34+ CD7+であるT細胞前駆体;
(vi)多能性幹細胞由来のT細胞であって、CD4+またはCD8+であるT細胞;
(vii)多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体であって、CD56+ CD7+ CD161+であるNK細胞前駆体;ならびに
(viii)多能性幹細胞由来のNK細胞であって、CD56+ CD57+ CD16+ CD94-であるNK細胞
を含む組成物。
(項目97)
(i)CD34+ HE細胞(iCD34)、ならびにiCD34-C、iMPP-A、iTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、iTC-B2、iNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1または複数の培養培地;
(ii)二次造血性内皮(iHE)、ならびにiCD34-C、iMPP-A、iTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、iTC-B2、iNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1または複数の培養培地;
(iii)二次HSC、ならびにiMPP-A、iTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、iTC-B2、iNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1または複数の培養培地;
(iv)複能性前駆細胞(iMPP)およびiMPP-A;
(v)T細胞前駆体(iproT)、ならびにiTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、およびiTC-B2から選択される、1または複数の培養培地;
(vi)T細胞(iTC)、およびiTC-B1またはiTC-B2;
(vii)NK細胞前駆体(iproNK)、ならびにiNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1または複数の培養培地;ならびに
(viii)NK細胞(iNK)と、iNK-B1またはiNK-B2
(ix)HSC(iHSC)、ならびにiHSC-A、iHSC-B、およびiHSC-C
からなる群から選択される、多能性幹細胞由来の造血細胞と、1または複数の培養培地とを含む組成物であって;
iHSC-Aが、Wnt経路活性化因子およびBMP活性化因子を含み;
iHSC-Bが、Wnt経路活性化因子と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み;
iHSC-Cが、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
iTC-A1が、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4からなる群から選択される、1または複数のNotch経路活性化因子とを含み;
iTC-B1が、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4からなる群から選択される、1または複数のNotch経路活性化因子とを含み;(iHSCプラットフォーム);
iNK-A1が、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
iNK-B1が、SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み;
iCD34-Cが、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
iMPP-Aが、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
iTC-A2が、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、およびbFGFと;SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
iTC-B2が、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み;
iNK-A2が、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、およびbFGFと、SCF、Flt3L、IL7、IL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
iNK-B2が、SCF、Flt3L、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む、
組成物。
(項目98)
iHSC-Cが、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず;iTC-A1が、VEGFおよび/もしくはIL15を含まず;iCD34-Cが、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;iTC-B1が、BMP活性化因子を含まず;かつ/またはiTC-B2が、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1もしくは複数を含まない、項目97に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)の、完全に分化したT細胞への造血分化のための多段階工程についての、例示的な概略図を示す図である。
【0056】
【
図2】
図2は、hiPSCの、完全に分化させたNK細胞への造血分化のための多段階工程についての、例示的な概略図を示す図である。
【0057】
【
図3ABC】
図3A~3Eは、9日間の経過にわたる形態の変化であって、hiPSCから造血細胞への移行を裏付ける形態の変化を示す図である。
【
図3DE】
図3A~3Eは、9日間の経過にわたる形態の変化であって、hiPSCから造血細胞への移行を裏付ける形態の変化を示す図である。
【0058】
【
図4AB】
図4A~4Dは、それらが、多能性を離れて、造血運命へと完全に移行するときの、幹細胞の発現プロファイルを示す図である。
【
図4CD】
図4A~4Dは、それらが、多能性を離れて、造血運命へと完全に移行するときの、幹細胞の発現プロファイルを示す図である。
【0059】
【
図5AB】
図5A~5Cは、多様な方法および出発インプットにより発生させたhiPSCから分化させた造血細胞のCD34/CD45発現プロファイルを示す図である。
【
図5C】
図5A~5Cは、多様な方法および出発インプットにより発生させたhiPSCから分化させた造血細胞のCD34/CD45発現プロファイルを示す図である。
【0060】
【
図6A】
図6A~6Cは、記載される分化培養培地中の単層として介在された場合の、CD34分化効率の改善を示す図である。
【
図6B】
図6A~6Cは、記載される分化培養培地中の単層として介在された場合の、CD34分化効率の改善を示す図である。
【
図6C】
図6A~6Cは、記載される分化培養培地中の単層として介在された場合の、CD34分化効率の改善を示す図である。
【0061】
【
図7】
図7は、単一細胞解離の後、ROCK阻害下で分化させた造血細胞の生存および増殖を示す図である。
【0062】
【
図8】
図8は、22日培養後にhiPSCから分化した造血細胞による、CD34発現の維持を示す図である。
【0063】
【
図9A】
図9A~9Bは、生着したCD34陽性細胞の、in vivoにおける再構成であって、ヒトCD45マーカーをもっぱら発現する細胞の存在と、T細胞およびB細胞の両方の存在を伴う、CD34+細胞の再構成とにより見られる再構成を示す図である。CD34陽性細胞は、GSK3阻害剤を伴い、単層フォーマットで、EBまたは凝集中間体を伴わずに培養されたナイーブhiPSCに由来する。
【
図9B】
図9A~9Bは、生着したCD34陽性細胞の、in vivoにおける再構成であって、ヒトCD45マーカーをもっぱら発現する細胞の存在と、T細胞およびB細胞の両方の存在を伴う、CD34+細胞の再構成とにより見られる再構成を示す図である。CD34陽性細胞は、GSK3阻害剤を伴い、単層フォーマットで、EBまたは凝集中間体を伴わずに培養されたナイーブhiPSCに由来する。
【0064】
【
図10】
図10は、CD56
-/CD7
+/CD3
+/TCRαβ
+ゲーティング戦略により導出され、CD56陽性細胞および単一のCD4およびCD8陽性細胞が、hiPSC由来のCD34陽性細胞を、間質細胞の非存在下で、かつ可溶性DLL1およびDLL4組換えペプチド(T細胞に限る)の存在下で、分化培地中でさらに培養された場合に識別されたことを示す図である。
【0065】
【
図11】
図11は、hiPSC由来のCD34陽性細胞が、PD-L1表面発現の増強された発現に見られるように、薬理学的モジュレーションに応答しうることを示す図である。
【0066】
【
図12】
図12は、人工多能性幹細胞(iPSC)の、二次造血性内皮(iHE)および複能性前駆体(iMPP)への造血分化のための多段階工程についての概略図を示す図である。培養は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知へと転換されうることに注意されたい。
【0067】
【
図13】
図13は、人工多能性幹細胞の、T細胞前駆体(iproT)および完全に分化させたT(iT)細胞への造血分化のための多段階工程についての概略図を示す図である。培養は、VitronectiをMatrigel(商標)で置き換えて完全規定に転換されうることに注意されたい。
【0068】
【
図14】
図14は、人工多能性幹細胞の、NK細胞前駆体(iproNK)および完全に分化させたNK(iNK)細胞への造血分化のための多段階工程についての概略図を示す図である。培養は、VitronectiをMatrigel(商標)で置き換えて、Vitronectinに代える場合、完全に完全規定組成既知へとに転換されうることに注意されたい。
【0069】
【
図15A】
図15A~Cは、10日間の経過にわたるiHEの出現、ならびにiPSC分化当たりの、iCD34細胞およびiHE細胞のアウトプットを示すフローサイトメトリープロファイルを示す図である。計算は、代表的な培養および最適化されていない培養についてのスナップショットに基づく。
【
図15B】
図15A~Cは、10日間の経過にわたるiHEの出現、ならびにiPSC分化当たりの、iCD34細胞およびiHE細胞のアウトプットを示すフローサイトメトリープロファイルを示す図である。計算は、代表的な培養および最適化されていない培養についてのスナップショットに基づく。
【
図15C】
図15A~Cは、10日間の経過にわたるiHEの出現、ならびにiPSC分化当たりの、iCD34細胞およびiHE細胞のアウトプットを示すフローサイトメトリープロファイルを示す図である。計算は、代表的な培養および最適化されていない培養についてのスナップショットに基づく。
【0070】
【
図16A】
図16A~Eは、プレーティング密度および増殖因子の滴定を含むプロトコールへの改変であって、10日目におけるHEのアウトプットを改善する改変を示す図である。A)0日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。B)2日目~6日目におけるBMP4の濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。C)3.75日目におけるCHIRの濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。D)6日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。E)8日目におけるIGF1およびEPOの添加が、10日目におけるHEを減少させることを示す図である。
【
図16B】
図16A~Eは、プレーティング密度および増殖因子の滴定を含むプロトコールへの改変であって、10日目におけるHEのアウトプットを改善する改変を示す図である。A)0日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。B)2日目~6日目におけるBMP4の濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。C)3.75日目におけるCHIRの濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。D)6日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。E)8日目におけるIGF1およびEPOの添加が、10日目におけるHEを減少させることを示す図である。
【
図16C】
図16A~Eは、プレーティング密度および増殖因子の滴定を含むプロトコールへの改変であって、10日目におけるHEのアウトプットを改善する改変を示す図である。A)0日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。B)2日目~6日目におけるBMP4の濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。C)3.75日目におけるCHIRの濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。D)6日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。E)8日目におけるIGF1およびEPOの添加が、10日目におけるHEを減少させることを示す図である。
【
図16D】
図16A~Eは、プレーティング密度および増殖因子の滴定を含むプロトコールへの改変であって、10日目におけるHEのアウトプットを改善する改変を示す図である。A)0日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。B)2日目~6日目におけるBMP4の濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。C)3.75日目におけるCHIRの濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。D)6日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。E)8日目におけるIGF1およびEPOの添加が、10日目におけるHEを減少させることを示す図である。
【
図16E】
図16A~Eは、プレーティング密度および増殖因子の滴定を含むプロトコールへの改変であって、10日目におけるHEのアウトプットを改善する改変を示す図である。A)0日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。B)2日目~6日目におけるBMP4の濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。C)3.75日目におけるCHIRの濃度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。D)6日目におけるプレーティング密度が、10日目におけるHE集団に影響を及ぼすことを示す図である。E)8日目におけるIGF1およびEPOの添加が、10日目におけるHEを減少させることを示す図である。
【0071】
【
図17A】
図17A~Bは、10日目のHEが、複能性であり、Notchシグナル伝達経路に依存する二次造血を表すことを示す図である。A)7日間のMPPアッセイにわたる形態の変化を、出現しつつあるCD45造血細胞についてのフローサイトメトリープロファイルと共に示す図である。B)iPSC由来のCD34+細胞が、iMPPアッセイにおいて、Notch依存性二次CD45+細胞を発生させることを示す図である。
【
図17B】
図17A~Bは、10日目のHEが、複能性であり、Notchシグナル伝達経路に依存する二次造血を表すことを示す図である。A)7日間のMPPアッセイにわたる形態の変化を、出現しつつあるCD45造血細胞についてのフローサイトメトリープロファイルと共に示す図である。B)iPSC由来のCD34+細胞が、iMPPアッセイにおいて、Notch依存性二次CD45+細胞を発生させることを示す図である。
【0072】
【
図18A】
図18A~Bは、低酸素条件下の分化の、iHEおよびiMPP造血前駆体の発生に対する効果を示す図である。A)低酸素状態下における単層分化が、10日目において、iCD34陽性細胞およびiHE細胞の両方の百分率を増大させることを示す図である。B)低酸素条件下で発生させた、10日目のiCD34+ HE細胞を、iMPPアッセイにおいて、さらに分化させうることを示す図である。
【
図18B】
図18A~Bは、低酸素条件下の分化の、iHEおよびiMPP造血前駆体の発生に対する効果を示す図である。A)低酸素状態下における単層分化が、10日目において、iCD34陽性細胞およびiHE細胞の両方の百分率を増大させることを示す図である。B)低酸素条件下で発生させた、10日目のiCD34+ HE細胞を、iMPPアッセイにおいて、さらに分化させうることを示す図である。
【0073】
【
図19A】
図19A~Dは、ソートされていない10日目の培養またはソートされた10日目の培養が、低温保存され、造血ポテンシャルを維持する能力を示す図である。A)低温保存された、10日目の、ソートされていない分化培養が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。B)、C)、およびD)低温保存された、10日目の、iCD34+でソートされた細胞が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。
【
図19B】
図19A~Dは、ソートされていない10日目の培養またはソートされた10日目の培養が、低温保存され、造血ポテンシャルを維持する能力を示す図である。A)低温保存された、10日目の、ソートされていない分化培養が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。B)、C)、およびD)低温保存された、10日目の、iCD34+でソートされた細胞が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。
【
図19C】
図19A~Dは、ソートされていない10日目の培養またはソートされた10日目の培養が、低温保存され、造血ポテンシャルを維持する能力を示す図である。A)低温保存された、10日目の、ソートされていない分化培養が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。B)、C)、およびD)低温保存された、10日目の、iCD34+でソートされた細胞が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。
【
図19D】
図19A~Dは、ソートされていない10日目の培養またはソートされた10日目の培養が、低温保存され、造血ポテンシャルを維持する能力を示す図である。A)低温保存された、10日目の、ソートされていない分化培養が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。B)、C)、およびD)低温保存された、10日目の、iCD34+でソートされた細胞が、生存し、iMPPアッセイにおいて、CD45+造血細胞を発生させうることを示す図である。
【0074】
【
図20A】
図20A~Bは、10日目の分化培養を、HEポテンシャルを喪失せずに、周囲温度で、一晩にわたり出荷しうることを示す図である。A)7日目における培養を、インキュベーター内で維持する(対照)か、または一晩にわたる出荷のために処理した後、続くさらなる2日間にわたり、インキュベーターへと再導入したことを示す図である。次いで、10日目における両方の培養を、iCD34細胞およびiHE細胞の存在について解析した。一晩にわたり出荷された培養中に、T字型フラスコは、70%の基礎培地を伴う30%の培養培地、または100%の培養培地を含有した。B)細胞数の計算について示す図である。
【
図20B】
図20A~Bは、10日目の分化培養を、HEポテンシャルを喪失せずに、周囲温度で、一晩にわたり出荷しうることを示す図である。A)7日目における培養を、インキュベーター内で維持する(対照)か、または一晩にわたる出荷のために処理した後、続くさらなる2日間にわたり、インキュベーターへと再導入したことを示す図である。次いで、10日目における両方の培養を、iCD34細胞およびiHE細胞の存在について解析した。一晩にわたり出荷された培養中に、T字型フラスコは、70%の基礎培地を伴う30%の培養培地、または100%の培養培地を含有した。B)細胞数の計算について示す図である。
【0075】
【
図21AB】
図21A~Cは、CD45+ CD56-ゲーティング戦略を活用して、hiPSCから導出された、早期CD34+ CD7+ T細胞前駆体、および成熟CD4+およびCD8+ T細胞サブセットを示す図である。A)早期T系統細胞マーカーが、CD34+/CD7+により規定されるiproT細胞の存在をマークすることを示す図である。B)成熟T細胞マーカーが、CD4+またはCD8+細胞により規定される成熟T細胞の存在をマークすることを示す図である。C)5日目のT細胞の分化について、臍帯血に由来するCD34陽性細胞、およびiCD34陽性細胞の、iproT細胞を発生させるポテンシャルを比較する図である。
【
図21C】
図21A~Cは、CD45+ CD56-ゲーティング戦略を活用して、hiPSCから導出された、早期CD34+ CD7+ T細胞前駆体、および成熟CD4+およびCD8+ T細胞サブセットを示す図である。A)早期T系統細胞マーカーが、CD34+/CD7+により規定されるiproT細胞の存在をマークすることを示す図である。B)成熟T細胞マーカーが、CD4+またはCD8+細胞により規定される成熟T細胞の存在をマークすることを示す図である。C)5日目のT細胞の分化について、臍帯血に由来するCD34陽性細胞、およびiCD34陽性細胞の、iproT細胞を発生させるポテンシャルを比較する図である。
【0076】
【
図22A】
図22A~Cは、CD45+ゲーティング戦略を活用して、hiPSCから導出された、早期CD56+ CD7+ CD161+ NK細胞前駆体、および成熟CD56+ CD16+ CD8+ NK細胞サブセットを示す図である。A)早期NK系統細胞マーカーが、CD7およびCD56により規定されるiproNK細胞の存在をマークすることを示す図である。B)成熟NK系統細胞マーカーが、CD57、CD16、CD94、およびCD56により規定される成熟NK細胞の存在をマークすることを示す図である。C)5日目のNK細胞の分化について、臍帯血に由来するCD34陽性細胞、およびiCD34陽性細胞の、iproNK細胞を発生させるポテンシャルを比較する図である。
【
図22B】
図22A~Cは、CD45+ゲーティング戦略を活用して、hiPSCから導出された、早期CD56+ CD7+ CD161+ NK細胞前駆体、および成熟CD56+ CD16+ CD8+ NK細胞サブセットを示す図である。A)早期NK系統細胞マーカーが、CD7およびCD56により規定されるiproNK細胞の存在をマークすることを示す図である。B)成熟NK系統細胞マーカーが、CD57、CD16、CD94、およびCD56により規定される成熟NK細胞の存在をマークすることを示す図である。C)5日目のNK細胞の分化について、臍帯血に由来するCD34陽性細胞、およびiCD34陽性細胞の、iproNK細胞を発生させるポテンシャルを比較する図である。
【
図22C】
図22A~Cは、CD45+ゲーティング戦略を活用して、hiPSCから導出された、早期CD56+ CD7+ CD161+ NK細胞前駆体、および成熟CD56+ CD16+ CD8+ NK細胞サブセットを示す図である。A)早期NK系統細胞マーカーが、CD7およびCD56により規定されるiproNK細胞の存在をマークすることを示す図である。B)成熟NK系統細胞マーカーが、CD57、CD16、CD94、およびCD56により規定される成熟NK細胞の存在をマークすることを示す図である。C)5日目のNK細胞の分化について、臍帯血に由来するCD34陽性細胞、およびiCD34陽性細胞の、iproNK細胞を発生させるポテンシャルを比較する図である。
【0077】
【
図23A】
図23A~Cは、単層hiPSC造血分化プラットフォームが、EBの形成の間には見られない、スケーラブルな拡大戦略を可能とすることを示す図である。A.hiPSCを凝集させて、胚様体を形成し、14日間にわたり分化させてから、CD34およびCD43の発現について解析した。B.hiPSCを、単層として播種し、CD34、CD43、CXCR4およびCD73について解析する前に、8日間にわたり分化させた。C.単層に介在される造血分化およびEBに介在される造血分化の両方について、経時的にD34陽性細胞をカウントしプロットした。
【
図23B】
図23A~Cは、単層hiPSC造血分化プラットフォームが、EBの形成の間には見られない、スケーラブルな拡大戦略を可能とすることを示す図である。A.hiPSCを凝集させて、胚様体を形成し、14日間にわたり分化させてから、CD34およびCD43の発現について解析した。B.hiPSCを、単層として播種し、CD34、CD43、CXCR4およびCD73について解析する前に、8日間にわたり分化させた。C.単層に介在される造血分化およびEBに介在される造血分化の両方について、経時的にD34陽性細胞をカウントしプロットした。
【
図23C】
図23A~Cは、単層hiPSC造血分化プラットフォームが、EBの形成の間には見られない、スケーラブルな拡大戦略を可能とすることを示す図である。A.hiPSCを凝集させて、胚様体を形成し、14日間にわたり分化させてから、CD34およびCD43の発現について解析した。B.hiPSCを、単層として播種し、CD34、CD43、CXCR4およびCD73について解析する前に、8日間にわたり分化させた。C.単層に介在される造血分化およびEBに介在される造血分化の両方について、経時的にD34陽性細胞をカウントしプロットした。
【0078】
【
図24】
図24は、オフザシェルフ(off-the-shelf)のiNK細胞およびiT細胞を産生するための、単層hiPSC造血分化プラットフォームによる、スケーラブルな拡大戦略についての概略図を示す図である。計算は、代表的な培養および最適化されていない培養についてのスナップショットに基づく。
【0079】
【
図25】
図25は、hiPSC由来のCD34陽性細胞が、CD3+ T細胞の生存の抑制により、免疫調節特性を有することを示す図である。
【0080】
【
図26】
図26は、CD45+ CD56-ゲーティング戦略を使用して、hiPSCから導出された成熟CD4+およびCD8+ T細胞サブセットを示す図である。
【0081】
【
図27】
図27は、フィーダーベースの懸濁培養が、iCD34由来のNK細胞の成熟を支援することを示す図である。
【0082】
【
図28】
図28は、iCD34由来のiNKが、末梢血NK細胞と同様の様式で、サイトカインの刺激に応答して、炎症促進性サイトカインを分泌しうることを示す図である。
【0083】
【
図29】
図29は、CD45+ゲーティング戦略を使用して、臍帯血CD34陽性細胞から導出されたpro-NK細胞の間質フリー分化が、従来の間質ベースの分化プラットフォームより急速であることを示す図である。
【0084】
【
図30】
図30は、iPSC由来のiCD34+細胞の、NK細胞への間質フリー分化を示す図である。プレートに結合させたDLL4は、CD56+ CD7+ CD161+ NK細胞前駆体の分化は支援するが、CD11b+骨髄性細胞の分化は支援しない。
【0085】
【
図31】
図31は、UCB CD34+細胞の、T細胞への間質フリー分化を示す図である。
【0086】
【
図32】
図32は、iPSC由来のiCD34+細胞の、T細胞への間質フリー分化を示す図である。
【0087】
【
図33】
図33は、hiPSC由来のiCD34+細胞の生着を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
(発明の詳細な説明)
本発明は一般に、幹細胞を、二次造血細胞運命へと分化させるための方法および組成物に関する。より特定すると、本発明は、発生の種々の段階において、二次造血性内皮から、完全に分化した造血細胞であって、T細胞、B細胞、NKT細胞、およびNK細胞を含む造血細胞にわたる範囲の二次造血表現型を呈するように、iPSCまたはiPSC由来の細胞を誘導しうる、多段階分化プラットフォームを提供する。すなわち、本発明は、細胞が、二次造血運命、例えば、CD34+二次造血幹細胞を、より呈しやすくなるようにするための方法および組成物を提供する。代替的に、本発明の方法および組成物は、EBまたは凝集物の形成を回避することにより、二次造血性内皮(HE)を、ナイーブiPSCから、スケーラブルな様式で発生させる。
【0089】
A.定義
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される、全ての技術用語および学術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。下記では、本発明の目的で、以下の用語について規定する。本明細書では、「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」という冠詞を、その冠詞の文法的目的語のうちの1つまたは1つを超える(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに用いる。例として述べると、「ある要素」とは、1つの要素または1つを超える要素を意味する。
【0090】
代替辞(例えば、「または」)の使用は、代替物の一方、両方、またはこれらの任意の組合せを意味すると理解されたい。
【0091】
「および/または」という用語は、代替物の一方または両方を意味すると理解されたい。
【0092】
本明細書で用いられる「約」または「およそ」という用語は、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さと比較して、最大で15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%変化する、数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指す。一実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さの、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%となる、ある範囲の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指す。
【0093】
本明細書で使用される「実質的に」または「本質的に」という用語は、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さと比較して、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、またはそれ超の、数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指す。一実施形態では、「本質的に同じ」または「実質的に同じ」という用語は、数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さの範囲であって、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さとほぼ同じ範囲を指す。
【0094】
本明細書で使用される「~を実質的に含まない」および「~を本質的に含まない」という用語は、互換的に使用され、細胞集団または培養培地などの組成物について記載するのに使用される場合、指定された物質もしくはその供給源を、95%含まない、96%含まない、97%含まない、98%含まない、99%含まないか、または従来の手段で測定する場合に検出不能である組成物など、指定された物質またはその供給源を含まない組成物を指す。組成物中の、ある特定の成分または物質「を含まない」またはこれ「を本質的に含まない」という用語はまた、このような成分または物質が、(1)組成物中に、いかなる濃度でも含まれないか、または(2)組成物中に、機能的に不活性であるが、低濃度で含まれることも意味する。同様の意味は、「~が存在しない」という用語にも適用されるが、特定の物質またはその供給源が、組成物において存在しないことを指す。
【0095】
本明細書で使用される「感知可能な」という用語は、事象の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さの範囲であって、1または複数の標準的な方法により、たやすく検出可能な範囲を指す。「感知不可能な」および「感知可能でない」という用語およびこれらの同義語は、事象の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、または長さの範囲であって、標準的な方法により、たやすく検出可能でないか、または検出不能である範囲を指す。一実施形態では、事象は、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.01%、0.001%未満の回数で生じる場合、感知可能でない。
【0096】
本明細書を通して、文脈によりそうでないことが要請されない限り、「~を含む(comprise)」、「~を含む(comprises)」、および「~を含むこと」という語は、言明されるステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の包含は示唆するが、他の任意のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の除外は示唆しないことが理解される。特定の実施形態では、「~を含む(include)」、「~を有する」、「~を含有する」、および「~を含む(comprise)」という用語を、同義に使用する。
【0097】
「~からなること」とは、「~からなること」という語句に後続するあらゆる語句を含み、かつ、これに限定されることを意味する。従って、「~からなること」という語句は、列挙される要素が要請されるかまたは必須であり、他の要素は存在しえないことを指し示す。
【0098】
「~から本質的になること」とは、この語句の後に列挙される任意の要素を含み、かつ、列挙される要素について、本開示で指定される活性または作用に干渉または寄与しない、他の要素に限定されることを意味する。従って、「~から本質的になること」という語句は、列挙される要素が要請されるかまたは必須であるが、他の要素は任意選択であり、それらが列挙される要素の活性または作用に影響を及ぼすかどうかに応じて、存在してもよく、存在しなくてもよいことを示す。
【0099】
本明細書を通して、「一実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある特定の実施形態」、「さらなる実施形態」、もしくは「さらなる実施形態」、またはこれらの組合せに対する言及は、この実施形態との関連において記載されている特定の特色、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に組み入れられていることを意味する。従って、本明細書を通した、多様な箇所における、前出の語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特色、構造、または特徴を、1または複数の実施形態において、任意の適切な形で組み合わせることもできる。
【0100】
「ex vivo」という用語は一般に、生体外の人工的な環境、好ましくは、天然条件の変更を最小とする環境における生組織内または生組織上で行われる実験または測定など、生体外でなされる活動を指す。特定の実施形態では、「ex vivo」における手順が、生体から採取され、通常は無菌条件下にある実験装置内で、典型的には、状況に応じて、数時間または最長で約24時間であるが、最長で48もしくは72時間またはそれ超を含む時間にわたり培養された生細胞または生組織を伴う。ある特定の実施形態では、このような組織または細胞を回収し、凍結させ、その後、ex vivoにおける処理のために融解させることができる。数日間より長くかかる組織培養の実験または手順であって、生細胞または生組織を使用する実験または手順は、典型的には、「in vitro」であると考えられるが、ある特定の実施形態では、この用語を、ex vivoと互換的に用いることができる。
【0101】
「in vivo」という用語は一般に、生体内でなされる活動を指す。
【0102】
本明細書で使用される「中胚葉」という用語は、早期の胚発生の間に現れ、循環系、筋肉、心臓、皮膚、骨格、ならびに他の支持組織および結合組織の血液細胞を含む、多様な特化した細胞型を発生させる、3つの胚芽層のうちの1つを指す。
【0103】
本明細書で使用される「二次(definitive)造血性内皮」(HE)または「多能性幹細胞由来の二次造血性内皮」(iHE)という用語は、内皮から造血への移行と呼ばれる過程において、造血幹細胞および前駆細胞を発生させる、内皮のサブセットを指す。胚内の造血細胞の発生は、側板中胚葉から、血管芽細胞を経て、二次造血性内皮および造血前駆体へと、逐次的に進む。
【0104】
本明細書で使用される「造血幹細胞」または「二次造血幹細胞」という用語は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、およびB細胞を含む、成熟骨髄性細胞型およびリンパ系細胞型の両方を発生させることが可能なCD34+幹細胞を指す。
【0105】
本明細書で使用される「再プログラム化すること」、または「脱分化」、または「細胞能力を増大させること」、または「発生能を増大させること」という用語は、細胞の能力を増大させること、または細胞を低分化状態へと脱分化させる方法を指す。例えば、細胞能力を増大させた細胞は、再プログラム化されていない状態にある同じ細胞と比較して、発生可塑性が大きい(すなわち、より多くの細胞型へと分化しうる)。言い換えれば、再プログラム化された細胞とは、再プログラム化されていない状態にある同じ細胞より低分化状態にある細胞である。
【0106】
本明細書で使用される「分化」という用語は、特化していない(「コミットしていない」)細胞または低特化細胞が、例えば、血液細胞または筋肉細胞など、特化した細胞の特色を獲得する工程である。分化細胞または分化誘導細胞とは、細胞の系統内で、より特化した(「コミットした」)位置を占める細胞である。分化過程へと適用される場合の「コミットした」という用語は、分化経路において、正常な状況下では、特異的細胞型または細胞型のサブセットへと引き続き分化し、かつ、正常な状況下では、異なる細胞型へと分化することも、低分化細胞型へと戻ることもありえない点まで進んだ細胞を指す。
【0107】
本明細書で使用される「分化マーカー遺伝子」または「分化遺伝子」という用語は、その発現が、多能性細胞など、細胞内で生じる細胞の分化を示す遺伝子を指す。分化マーカー遺伝子は、以下の遺伝子:FOXA2、FGF5、SOX17、XIST、NODAL、COL3A1、OTX2、DUSP6、EOMES、NR2F2、NR0B1、CXCR4、CYP2B6、GATA3、GATA4、ERBB4、GATA6、HOXC6、INHA、SMAD6、RORA、NIPBL、TNFSF11、CDH11、ZIC4、GAL、SOX3、PITX2、APOA2、CXCL5、CER1、FOXQ1、MLL5、DPP10、GSC、PCDH10、CTCFL、PCDH20、TSHZ1、MEGF10、MYC、DKK1、BMP2、LEFTY2、HES1、CDX2、GNAS、EGR1、COL3A1、TCF4、HEPH、KDR、TOX、FOXA1、LCK、PCDH7、CD1D FOXG1、LEFTY1、TUJ1、T遺伝子(Brachyury)、ZIC1、GATA1、GATA2、HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC9、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH4、PAX5、RBPJ、RUNX1、STAT1、およびSTAT3を含むがこれらに限定されない。
【0108】
本明細書で使用される「分化マーカーの遺伝子プロファイル」、または「分化遺伝子プロファイル」、「分化遺伝子の発現プロファイル」、「分化遺伝子の発現シグネチャー」、「分化遺伝子の発現パネル」、「分化遺伝子パネル」、または「分化遺伝子シグネチャー」という用語は、複数の分化マーカー遺伝子の発現または発現レベルを指す。
【0109】
本明細書で使用される「能力」という用語は、細胞にアクセス可能な、全ての発生選択肢の総体(すなわち、発生能)を指す。細胞能力の連続体(continuum)は、全能性細胞、多能性細胞、複能性細胞、少能性細胞、単能性細胞、および最終分化細胞を含むがこれらに限定されない。
【0110】
本明細書で使用される「多能性(pluripotent)」という用語は、身体または体細胞(すなわち、胚本体)の全ての系統を形成する細胞の能力を指す。例えば、胚性幹細胞とは、3つの胚芽層である、外胚葉、中胚葉、および内胚葉の各々から、細胞を形成することが可能な、多能性幹細胞の種類である。多能性とは、完全な生体を発生させることが不可能である、不完全または部分的な多能性細胞(例えば、胚盤葉上層幹細胞またはEpiSC)から、完全な生体を発生させることが可能な、より始原性で、より多能性の細胞(例えば、胚性幹細胞)にわたる範囲の、発生能の連続体である。
【0111】
本明細書で使用される「人工(induced)多能性幹細胞」またはiPSCという用語は、幹細胞が、分化した成体細胞、新生児細胞、または胎児細胞であって、3つの胚芽層(germ layerまたはdermal layer):中胚葉、内胚葉、および外胚葉全ての組織へと分化することが可能な細胞へと誘導されるか、または変化した、すなわち、再プログラム化された細胞から作製されることを意味する。作製されたiPSCとは、天然で見出される細胞を指さない。
【0112】
本明細書で使用される「胚性幹細胞」という用語は、胚盤胞の内部細胞塊による、天然に存在する多能性幹細胞を指す。胚性幹細胞は、多能性であり、発生の間に、3つの主要な胚芽層:外胚葉、内胚葉、および中胚葉の全ての派生物を発生させる。胚性幹細胞は、胚体外膜または胎盤に寄与しない、すなわち、全能性ではない。
【0113】
本明細書で使用される「複能性幹細胞(multipotent)」という用語は、1または複数の胚葉(外胚葉、中胚葉、および内胚葉)の細胞へと分化する発生ポテンシャルを有するが、3つ全ての細胞へと分化する発生ポテンシャルは有さない細胞を指す。従って、複能性細胞はまた、「部分的に分化した細胞」とも称することができる。複能性細胞は、当技術分野で周知であり、複能性細胞の例は、例えば、造血幹細胞および神経幹細胞など、成体幹細胞を含む。「複能性」とは、細胞が、所与の系統内の、多くの種類の細胞を形成しうるが、他の系統の細胞は形成しえないことを指し示す。例えば、複能性造血細胞は、多くの異なる種類の血液細胞(赤血球、白血球、血小板など)を形成しうるが、ニューロンは形成しえない。従って、「複能性」という用語は、発生ポテンシャルの程度が、全能性および多能性より低度な細胞の状態を指す。
【0114】
多能性幹細胞の分化は、培養培地中の刺激剤または細胞の物理的状態の変化など、培養系の変化を要請する。従来の戦略の大半は、胚葉体(EB)の形成を、系統特異的分化を誘発する、一般的かつ極めて重要な中間体として活用する。EBとは、それらの三次元的領域内で、多数の系統を発生させるので、胚発生を模倣することが示されている三次元クラスターである。典型的には、数時間~数日間の分化過程を通して、単純EB(例えば、分化するように誘発された凝集多能性幹細胞)は、成熟し続け、嚢胞性EBへと発生し、この時点で、分化し続けるように、典型的に、数日間~数週間にわたり、これらをさらに処理する。EBの形成は、多能性幹細胞を、細胞の三次元的多層クラスター内で、互いと近接させることにより誘発するが、これは、液滴内に多能性細胞を沈降させること、細胞を「U」字型底ウェル-プレートへと沈降させることを含むいくつかの方法のうちの1つ、または機械的撹拌により達成することが典型的である。多能性培養物維持培地中で維持された凝集物は、適正なEBを形成しないので、EBの発生を促進するために、多能性幹細胞凝集物は、さらなる分化キューを要請する。従って、多能性幹細胞凝集物は、えり抜きの系統への誘発キューをもたらす、分化培地へと移すことが必要である。多能性幹細胞の、EBベースの培養物は、EB細胞クラスター内の増殖がわずかである分化細胞集団(外胚葉、中胚葉、および内胚葉)の発生を結果としてもたらすことが典型的である。細胞の分化を容易とすることは実証されているが、三次元構造にある細胞の、環境からの分化キューに対する曝露が一貫せず、分化状態が可変性であるため、EBは、異質性の細胞を発生させる。加えて、EBは、創出および維持が煩瑣である。さらに、EBを介する細胞の分化に伴う細胞の拡大はわずかであるが、これもまた、低分化効率に寄与する。
【0115】
これに対して、「EBの形成」とは顕著に異なる「凝集物の形成」を使用して、多能性幹細胞の分化を誘導し、かつ/または多能性幹細胞由来の細胞の集団を拡大することができる。例えば、凝集物ベースの多能性幹細胞の拡大では、増殖および多能性を維持するように、培養培地を選択する。細胞の増殖は一般に、凝集物のサイズを増大させ、大型の凝集物を形成するが、これらの凝集物は慣用的に、小型の凝集物へと、機械的または酵素的に解離させて、培養物中の細胞増殖を維持し、細胞数を増大させることができる。EB培養物と顕著に異なり、維持培養物中の凝集物内で培養された細胞は、多能性のマーカーを維持する。
【0116】
本明細書で使用される「単層分化」とは、細胞の三次元多層クラスター、すなわち、「EBの形成」を介する分化と顕著に異なる分化法を指す用語である。本明細書で開示される他の利点の中でも、単層分化は、分化を誘発するためのEBの形成に対する必要を回避する。単層培養は、EBの形成など、胚発生を模倣しないため、特異的系統への分化は、EBにおける3つの胚葉全てへの分化と比較して、最小限である。
【0117】
多能性は部分的に、細胞の多能性特徴について評価することにより決定することができる。多能性特徴は、(i)多能性幹細胞形態;(ii)無際限の自己再生のポテンシャル;(iii)SSEA1(マウスに限る)、SSEA3/4、SSEA5、TRA1-60/81、TRA1-85、TRA2-54、GCTM-2、TG343、TG30、CD9、CD29、CD133/プロミニン、CD140a、CD56、CD73、CD90、CD105、OCT4、NANOG、SOX2、CD30および/またはCD50を含むがこれらに限定されない多能性幹細胞マーカーの発現;(iv)3つの体系統細胞(外胚葉、中胚葉、および内胚葉)全てへと分化する能力;(v)3つの体系統細胞からなる奇形腫形成;ならびに(vi)3つの体系統細胞に由来する細胞からなる胚葉体の形成を含むがこれらに限定されない。
【0118】
多能性の2つの種類:後期胚盤胞の胚盤葉上層幹細胞(EpiSC)と類似する、多能性の「プライミング」状態または「準安定」状態、および早期/植込み前胚盤胞の内部細胞塊と類似する、多能性の「ナイーブ」状態または「基底」状態については、既に記載されている。いずれの多能性状態も、上記で記載した特徴を呈示するが、ナイーブ状態または基底状態は、(i)雌性細胞内のX染色体の前不活化または再活性化;(ii)単一細胞の培養の間における、クローン性および生存の改善;(iii)DNAメチル化のグローバルな低減;(iv)発生調節性遺伝子プロモーター上の、H3K27me3抑制性クロマチンマークの沈着の低減;ならびに(v)プライミング状態の多能性細胞と比べた、分化マーカーの発現の低減をさらに呈示する。細胞を再プログラム化する標準的な方法であって、外因性の多能性遺伝子を、体細胞へと導入し、発現させ、次いで、結果として得られる多能性細胞からサイレンシングまたは除去する方法は一般に、多能性のプライミング状態の特徴を有することが見られる。標準的な多能性細胞培養条件下では、基底状態の特徴が観察される、外因性トランス遺伝子の発現を維持しない限り、このような細胞は依然として、プライミング状態にある。
【0119】
本明細書で使用される「多能性幹細胞形態」という用語は、胚性幹細胞の古典的な形態特色を指す。通常の胚性幹細胞形態は、球状で、かつ、小型であり、核対細胞質比が大きく、核小体の存在が注目すべきであり、典型的な細胞間間隔を伴うことにより特徴付けられる。
【0120】
本明細書で使用される「フィーダー細胞」または「フィーダー」とは、フィーダー細胞は、第2の細胞型を支援するための増殖因子および栄養物を供給するので、第2の種類の細胞と同時培養される、1つの種類の細胞であって、第2の種類の細胞が増殖しうる環境を用意する細胞について記載する用語である。フィーダー細胞は、任意選択で、それらが支援する細胞と異なる種に由来する。例えば、幹細胞を含むヒト細胞のある特定の種類は、マウス胚性線維芽細胞、または不死化マウス胚性線維芽細胞の初代培養物により支援することができる。フィーダー細胞は典型的に、他の細胞と共に同時培養する場合、それらが支援している細胞を、それらが凌駕することを防止するように、照射またはマイトマイシンなどの抗有糸分裂剤による処理により不活化することができる。フィーダー細胞は、内皮細胞、間質細胞(例えば、上皮細胞または線維芽細胞)、および白血病性細胞を含みうる。前出を限定せずに述べると、1つの特異的フィーダー細胞型は、ヒト皮膚線維芽細胞などのヒトフィーダーでありうる。別のフィーダー細胞型は、マウス胚性線維芽細胞(MEF)でありうる。一般に、多様なフィーダー細胞を使用して、多能性を部分的に維持し、ある特定の系統への分化を方向付け、エフェクター細胞など、特化した細胞型への成熟を促進することができる。
【0121】
本明細書で使用された、「フィーダーフリー」(FF)環境は、培養条件、細胞培養物、または培養培地などの環境であって、フィーダー細胞もしくは間質細胞を本質的に含まず、かつ/またはフィーダー細胞の培養によりあらかじめ馴化されていない環境を指す。「あらかじめ馴化された」培地とは、フィーダー細胞を、培地中で、少なくとも1日間など、ある期間にわたり培養した後で収集された培地を指す。あらかじめ馴化された培地は、培地中で培養されるフィーダー細胞により分泌される増殖因子およびサイトカインを含む、多くのメディエーター物質を含有する。
【0122】
本明細書で使用される「対象」という用語は、任意の動物、好ましくは、ヒト患者、家畜、または他の飼育動物を指す。
【0123】
「多能性因子」または「再プログラム化因子」とは、単独で、または他の薬剤と組み合わせて、細胞の発生能を増大させることが可能な薬剤を指す。多能性因子は、限定せずに述べると、細胞の発生能を増大させることが可能な、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および低分子を含む。例示的な多能性因子は、例えば、転写因子および低分子の再プログラム化剤を含む。
【0124】
「~に接着する」とは、容器に付着する細胞、例えば、適切な培養培地の存在下で、無菌のプラスチック製(またはコーティングされたプラスチック製)の細胞培養ディッシュまたはフラスコに付着する細胞を指す。ある特定のクラスの細胞は、細胞培養容器に接着しない限り、培養物中で存続または増殖(grow)しない。ある特定のクラスの細胞(「非接着性細胞」)は、接着せずに、培養物中で維持され、かつ/または増殖(proliferate)する。
【0125】
「培養」または「細胞培養」とは、in vitro環境における、細胞の維持、増殖(growth)、および/または分化を指す。「細胞培養培地」、「培養培地」(各場合において、単一の「培地」)、「サプリメント」、および「培地サプリメント」とは、細胞培養物を培養する栄養組成物を指す。
【0126】
「~を培養する」、または「~を維持する」とは、組織外または体外、例えば、無菌のプラスチック製(またはコーティングされたプラスチック製)の細胞培養ディッシュ内またはフラスコ内において、細胞を存続、繁殖(増殖)、および/または分化させることを指す。「培養」または「~を維持すること」は、培養培地を、栄養物、ホルモン、および/または細胞を繁殖および/または存続させるのに一助となる他の因子の供給源として活用しうる。
【0127】
本明細書で使用された、「解離」細胞とは、他の細胞または表面(例えば、培養プレート表面)から、実質的に分離または精製された細胞を指す。例えば、細胞は、機械的方法または酵素的方法により、動物または組織から解離させることができる。代替的に、in
vitroにおいて凝集する細胞は、クラスター、単一細胞、または単一細胞とクラスターとの混合物による懸濁液への解離などにより、酵素的または機械的に、互いから解離させることができる。さらに別の代替的な実施形態では、接着性細胞を、培養プレートまたは他の表面から解離させる。従って、解離は、細胞の、細胞外マトリックス(ECM)および基質(例えば、培養物表面)との相互作用の破壊、または細胞間のECMの破壊を伴いうる。
【0128】
B.概観
本発明は一般に、ナイーブ多能性細胞を、中胚葉細胞、二次造血性内皮、二次造血幹もしくは二次造血前駆細胞、CD34+細胞、複能性前駆体(MPP)(好中球前駆体を含む骨髄性細胞へと分化することが可能である)、T細胞前駆体、NK細胞前駆体を含む、非多能性細胞または部分的に分化した細胞;あるいは、例えば、T細胞、B細胞、NKT細胞、またはNK細胞など、完全に分化した最終造血細胞へと分化させる多段階工程に関する。本発明はまた、開示される方法で使用される組成物;および開示される方法を使用して発生させた細胞集団、細胞株、またはクローン細胞にも関する。
【0129】
当技術分野で使用される方法とは対照的に、本発明は、iPSCの分化におけるEBの形成を回避した。提示される通り、iPSCから導出される造血系細胞は、クローンiPSC細胞を、TGFβフリーの培養培地に播種して、それらの多能性の基底状態またはナイーブ状態を維持し、クローンiPSC細胞を、EBの形成を伴わない単層フォーマットで分化させ、段階的戦略を活用して、低分子の化学物質、増殖因子、およびサイトカインの適正な組合せを、分化の早期段階および中期段階に適用することにより得た。従って、本発明は、iPSCからのEBの形成を要請しない即時の分化のために、拡大されたクローンiPSCの、単層の形態にある接着培養物への直接的移行を可能とする。
【0130】
従って、本発明は、SB431532を含む、TGFβ受容体/ALK阻害剤を使用せずに、幹細胞を、二次造血細胞および機能的な造血系細胞へと、高効率で分化させることを可能とする培養プラットフォームを提供する。なおさらに、既往の研究と異なり、本発明はまた、iPSCに由来する、EBまたは凝集中間体への必要を伴わずに、単層培養物中の、iPSCの直接的分化を支援する、フィーダーフリーの無血清条件を使用する培養プラットフォームも提供する。
【0131】
C.培養プラットフォーム
多能性細胞を培養するための既存の方法は、フィーダー細胞、またはフィーダー細胞であらかじめ馴化され、ウシ胎仔血清を含有する培地に大きく依存するが、このような環境は、臨床使用および治療における使用のための細胞を作製するのに適さない場合がある。例えば、動物成分への曝露は、免疫拒絶の重大な危険性、および識別されていない病原体を、処置される患者へと伝染させる重大な危険性を提示する可能性があり、動物レトロウイルスを潜在的に再活性化させうるため、このような異種夾雑環境で培養された細胞は一般に、ヒトへの細胞移植に適さないと考えられる。本明細書で想定されるフィーダーフリー環境など、動物フリーの培養培地を使用する培養系は、臨床的グレードの細胞株、特に、hESC、hiPSC、および多能性幹細胞由来のHSC、T細胞株、B細胞株、NKT細胞株、またはNK細胞株の製造を容易とする。
【0132】
特定の実施形態では、フィーダーフリー環境は、ヒトフィーダー細胞を本質的に含まず、限定せずに述べると、マウス胚性線維芽細胞、ヒト線維芽細胞、角化細胞、および胚性幹細胞を含むフィーダー細胞であらかじめ馴化されていない。フィーダーフリーの細胞培養培地は、多能性細胞の培養、細胞の再プログラム化、単一細胞の培養、解離、および多能性細胞の継代培養、多能性細胞の細胞ソート、基底状態の多能性細胞の発生、基底状態の多能性の維持、多能性細胞の分化の誘導における使用に適する。特定の実施形態では、フィーダーフリー環境を使用して、多能性を誘導し、再プログラム化の効率を改善し、細胞の能力を増大させるかもしくは維持し、かつ/または分化を誘導する。ある特定の実施形態では、フィーダーフリー環境は加えて、サイトカインおよびbFGFを含む増殖因子も実質的に含まない。
【0133】
本発明の一部の態様では、上記で記載したiPSC分化の段階のうちの1または複数は、フィーダーフリー条件下で実行することができる。このようなフィーダーフリー条件は、単層培養および懸濁培養を含むがこれらに限定されない形態でありうる。本発明の一実施形態では、多能性細胞の、中胚葉細胞への分化は、単層フィーダーフリー条件下で実行する。本発明の別の実施形態では、中胚葉細胞の、二次造血性内皮への分化は、単層フィーダーフリー条件下で実行する。さらに本発明の別の実施形態では、二次造血性内皮の、造血幹細胞への分化は、単層フィーダーフリー条件下で実行する。本発明の一実施形態では、二次造血幹細胞の、複能性前駆体、T細胞前駆体、またはNK細胞前駆体への分化は、懸濁フィーダーフリー条件下または単層フィーダーフリー条件下に続く、懸濁フィーダーフリー条件下で実行する。本発明の別の実施形態では、T細胞前駆体の、完全に分化したT細胞への分化、またはNK細胞前駆体の、完全に分化したNK細胞への分化は、懸濁フィーダーフリー条件下または単層フィーダーフリー条件下に続く、懸濁フィーダーフリー条件下で実行する。
【0134】
任意の適する容器または細胞培養コンテナを、基礎培地中および/または細胞培養サプリメント中の細胞培養物のための支持体として使用することができる。しかし、一部の実施形態では、培養容器の表面を、接着促進性マトリックス/基質(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、RGD含有ポリペプチド、ゼラチンなど)でコーティングすることにより、細胞の付着を促進し、特定の実施形態では、本明細書で開示される、細胞培養培地およびサプリメントの効果を増強することができる。当技術分野では、細胞を培養および継代培養するのに適する基質が公知であり、限定せずに述べると、ビトロネクチン、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、エラスチン、オステオポンチン、トロンボスポンジン、Matrigel(商標)など、天然に存在する細胞株により産生されるマトリックスと、ポリアミン単層およびカルボキシ末端化単層など、合成または人工の表面との混合物を含む。一部の実施形態では、フィーダーフリー条件の準備は、マトリックスでコーティングした表面上の細胞の培養を含む。一実施形態では、本明細書で想定される培養プラットフォームは、Matrigel(商標)またはビトロネクチンを含むマトリックス/基質を含む。培養物についての一部の実施形態では、Matrigel(商標)を使用し、従って、培養物は、完全に組成既知である。
【0135】
本発明の一部の態様では、上記で記載した分化段階のうちの1または複数は、無血清条件下で実行することができる。細胞の付着および/または誘導に適する、市販の無血清培地の例は、Stem Cell Technologies(Vancouver、Canada)製のmTeSR(商標)1またはTeSR(商標)2、ReproCELL(Boston、MA)製のPrimate ES/iPS細胞培地、Invitrogen(Carlsbad、CA)製のStemPro(登録商標)-34、Invitrogen製のStemPro(登録商標)hESC SFM、およびLonza(Basel、Switzerland)製のX-VIVO(商標)を含む。
【0136】
さらなる実施形態では、培養プラットフォームの培地のうちの1または複数は、フィーダーフリー環境であり、任意選択で、サイトカインおよび/または増殖因子を実質的に含まない。他の実施形態では、細胞培養培地は、血清、抽出物、増殖因子、ホルモン、サイトカインなどのサプリメントを含有する。一般に、培養プラットフォームは、段階特異的な、フィーダーフリーの無血清培地のうちの1または複数を含むが、これらの各々は、以下:栄養物/抽出物、増殖因子、ホルモン、サイトカイン、および培地添加剤のうちの1または複数をさらに含む。適切な栄養物/抽出物は、例えば、多くの異なる哺乳動物細胞の増殖を支援するために広く使用される基礎培地である、DMEM/F-12(Dulbecco’s Modified Eagle Medium/Nutrient Mixture F-12);KOSR(ノックアウト血清置換);L-グルタミン;NEAA(非必須アミノ酸)を含みうる。他の培地添加剤は、MTG、ITS、βME、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含みうるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、本発明の培養培地は、以下のサイトカインまたは増殖因子:上皮増殖因子(EGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、白血病阻害因子(LIF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様増殖因子1(IGF-1)、インスリン様増殖因子2(IGF-2)、角化細胞増殖因子(KGF)、神経増殖因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)、骨形成タンパク質(BMP4)、血管内皮増殖因子(VEGF)、トランスフェリン、多様なインターロイキン(IL-1~IL-18など)、多様なコロニー刺激因子(顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)など)、多様なインターフェロン(IFN-γなど)、ならびに幹細胞因子(SCF)およびエリスロポエチン(EPO)など、幹細胞に対して効果を及ぼす他のサイトカインのうちの1または複数を含む。これらのサイトカインは、例えば、R&D Systems(Minneapolis、Minn)製の市販品を得ることができ、天然の場合もあり、組換えの場合もある。他の一部の実施形態では、本発明の培養培地は、骨形成タンパク質(BMP4)、インスリン様増殖因子1(IGF-1)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、造血増殖因子(例えば、SCF、GMCSF、GCSF、EPO、IL3、TPO、EPO)、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3L);および白血病阻害因子(LIF)、IL3、IL6、IL7、IL11、IL15に由来する、1または複数のサイトカインのうちの1または複数を含む。一部の実施形態では、増殖因子/マイトジェンおよびサイトカインは、経験的に、または確立されたサイトカイン技術分野により誘導される通りに決定される濃度において、段階特異的および/または細胞型特異的である。
【0137】
一般に、人工多能性細胞を分化させるための技法は、特異的細胞経路の、直接的または間接的なモジュレーションであって、ポリヌクレオチドベースの手法、ポリペプチドベースの手法、および/または低分子ベースの手法を使用するモジュレーションを伴う。細胞の発生能は、例えば、細胞を、1または複数のモジュレーターと接触させることにより、モジュレートすることができる。本明細書で使用される「~を接触させること」は、1または複数の因子(例えば、低分子、タンパク質、ペプチドなど)の存在下で細胞を培養することを伴いうる。一部の実施形態では、細胞を、1または複数の薬剤と接触させて、細胞の分化を誘導する。このような接触は、例えば、in vitroにおける培養の間に、1または複数の薬剤を、細胞へと導入することにより行うことができる。従って、接触は、1または複数の薬剤を、栄養細胞培養培地中の細胞へと導入することにより行うことができる。細胞は、1または複数の薬剤を含む培養培地中で、細胞が所望の分化表現型を達成するのに十分な時間にわたり維持することができる。他の一部の実施形態では、「接触」は、ベクターを介して、1または複数の因子を、細胞へと導入する場合に生じる。一部の実施形態では、1または複数のベクターを、レトロウイルス、センダイウイルス、およびアデノウイルス、エピソーム、ミニサークル、発現カセットを伴うベクター系、またはmRNAにより導入する。
【0138】
他の実施形態では、本明細書で開示される培養プラットフォームの、段階特異的な、フィーダーフリーの無血清培地のうちの1または複数はさらに、1または複数の低分子を含む。一部の実施形態では、培養プラットフォームは、GSK-3阻害剤、MEK阻害剤、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害剤を含む細胞培養培地を含み、TGFβ受容体またはALK5の阻害剤に限定されないがこれらを含めた、TGFβ/アクチビンシグナル伝達経路の低分子阻害剤から構成されないか、または含まない。
【0139】
本明細書で想定される培養プラットフォームはまた、自発性の分化を低減し、かつ/または基底状態の多能性を達成した、業務グレードまたは臨床グレードの多能性細胞の均質な集団を活用することにより、多数の利点ももたらす。一実施形態では、均質なiPSCを、GSK-3阻害剤と、MEK阻害剤と、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害剤とを含む組成物中に維持するが、組成物は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない。本明細書で使用される「均質な」という用語は、細胞の集団であって、各細胞が、集団内の他の細胞と同じであるか、または実質的に同じである集団を指す。一実施形態では、細胞は、各細胞が、本明細書で想定される、同じ多能性マーカー、例えば、SSEA4およびTRA1-81のうちの1または複数を発現する場合に、集団内の他の細胞と同じである。一実施形態では、集団は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ超の細胞が、集団内の他の細胞と同じであるか、または実質的に同じである場合に、均質である。
【0140】
様々な実施形態では、本明細書の二次造血性内皮を介して、造血系統細胞を発生させるための、培養プラットフォームの細胞培養培地は、TGFβ受容体(TGFβR)阻害剤およびALK5阻害剤を含む、TGFβ/アクチビンシグナル伝達経路の阻害剤を含まないか、またはこれを本質的に含まない。一実施形態では、培養プラットフォームは、ナイーブhiPSCを維持するための培地であって、GSK-3阻害剤、MEK阻害剤、およびRhoキナーゼ(ROCK)阻害剤を含む培地の播種を含む。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、本発明者らは、TGFβR/ALK5阻害剤が、再プログラム化の効率は増大させるが、多能性細胞集団の長期にわたる維持、品質、および均質性には反することを発見した。すなわち、TGFβ経路シグナル伝達の阻害は、細胞の再プログラム化の効率を改善したが、この阻害の解除は、in vitroの培養系、特に、フィーダー細胞フリーで、単一細胞の、酵素的継代培養を使用する系であって、自発性の分化を低減し、「基底」多能性状態または「ナイーブ」多能性状態にとどまる、均質な多能性集団が好ましい系内の、多能性細胞集団の、その後の維持に寄与する。本明細書で使用される「長期」という用語であって、継代培養の数に限定されないが、これにより測定される「長期」という用語は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50代、またはそれ超の継代培養を意味することが多い。規定される通り、「継代培養」とは、細胞が、所望の程度まで増殖したら、細胞を、複数の細胞培養表面または細胞培養容器へと分け、播種する行為を指す。加えて、準安定性の多能性細胞を、本明細書で開示される、GSK3阻害剤と、MEK阻害剤と、任意選択で、ROCK阻害剤とを含むが、TGFβR/ALK5阻害剤を含まない培地中で培養することにより、自発性の分化の低減を達成し、かつ/または基底状態の多能性を達成するように、多能性細胞を移行させる。
【0141】
iPSCの、基底状態の多能性またはナイーブ型の多能性を達成することはまた、EB中間体を形成せずに、iPSCを分化させることにより、造血系細胞を得るのにも重要である。加えて、ナイーブiPSCの、二次HEへの分化の効率はまた、EBおよびその凝集物を形成しない単層培養の使用にも、大きく影響される。一部の実施形態では、培養プラットフォームは、ROCK阻害剤を含み、TGFβR/ALK5阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地を含む。他の一部の実施形態では、培養プラットフォームは、GSK3阻害剤を含む培地を含むが、TGFβR/ALK5阻害剤を含まず、この培地は、本明細書で提示される培養プラットフォームを使用して、二次HEおよび/または二次HSC細胞の発生を促進する。
【0142】
1.TGFβ受容体/ALK阻害剤
TGFβ受容体(例えば、ALK5)阻害剤は、TGFβ受容体(例えば、ALK5)に対する抗体、これらのドミナントネガティブの変異体、およびこれらの発現を抑制するアンチセンス核酸を含みうる。例示的なTGFβ受容体/ALK阻害剤は、SB431542(例えば、Inmanら、Molecular Pharmacology、62巻(1号):65~74頁(2002年)を参照されたい);3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミドとしてもまた公知のA-83-01(例えば、Tojoら、Cancer Science、96巻(11号):791~800
頁(2005年)を参照されたい;例えば、Toicris Bioscienceから市販されている);2-(3-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1,5-ナフチリジン;Wnt3a/BIO(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Daltonら、WO2008/094597を参照されたい);GW788388(-{4-[3-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]ピリジン-2-イル}-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ベンズアミド)(例えば、Gellibertら、Journal of Medicinal Chemistry、49巻(7号):2210~2221頁(2006年)を参照されたい);SM16(例えば、Suzukiら、Cancer Research、67巻(5号):2351~2359頁(2007年)を参照されたい);IN-1130(3-((5-(6-メチルピリジン-2-イル)-4-(キノキサリン-6-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)メチル)ベンズアミド)(例えば、Kimら、Xenobiotica、38巻(3号):325~339頁(2008年)を参照されたい);GW6604(2-フェニル-4-(3-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン)(例えば、de Gouvilleら、Drug News Perspective、19巻(2号):8
5~90頁(2006年)を参照されたい);SB-505124(2-(5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-2-tert-ブチル-3H-イミダゾール-4-イル)-6-メチルピリジン塩酸塩)(例えば、DaCostaら、Molecular Pharmacology、65巻(3号):744~752頁(2004年)を参照されたい);およびピリミジン誘導体(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Stieflら、WO2008/006583において列挙されているピリミジン誘導体を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。さらに、「ALK5阻害剤」は、非特異的キナーゼ阻害剤を包摂することを意図しないが、「ALK5阻害剤」は、例えば、SB-431542(例えば、Inmanら、J.
Mol. Pharmacol.、62巻(1号):65~74頁(2002年)を参照されたい)など、ALK5に加えて、ALK4および/またはALK7も阻害する阻害剤を包摂することを理解されたい。本発明の範囲を限定することを意図せずに述べると、ALK5阻害剤は、間葉から上皮への転換/移行(MET)過程に影響を与えることが考えられる。TGFβ/アクチビン経路は、上皮から間葉への移行(EMT)の駆動因子である。従って、TGFβ/アクチビン経路を阻害することにより、MET(すなわち、再プログラム化)過程を促進することができる。
【0143】
ALK5の阻害の効果を示すデータを考慮すると、TGFβ/アクチビン経路の阻害は、同様のALK5阻害の効果を及ぼすことが考えられる。従って、TGFβ/アクチビン経路の任意の阻害剤(例えば、上流または下流の)を、本明細書の各段落で記載される通り、ALK5阻害剤と組み合わせて使用することもでき、これらの代わりに使用することもできる。例示的なTGFβ/アクチビン経路阻害剤は、TGFβ受容体阻害剤、SMAD2/3のリン酸化の阻害剤、SMAD2/3とSMAD4との相互作用の阻害剤、ならびにSMAD6およびSMAD7の活性化因子/アゴニストを含むがこれらに限定されない。なおさらに、下記で記載される類別化は、構成上の目的でなされるものであり、当業者は、化合物が、経路内の1または複数の地点に影響を与える可能性があり、従って、化合物が、規定された類別のうちの1つを超える類別において機能しうることを知るであろう。
【0144】
TGFβ受容体(TGFβR)阻害剤は、TGFβ受容体に対する抗体、そのドミナントネガティブの変異体、およびそれをターゲティングするsiRNAまたはアンチセンス核酸を含みうる。TGFβ受容体阻害剤の具体例は、SU5416;2-(5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-2-tert-ブチル-3H-イミダゾール-4-イル)-6-メチルピリジン塩酸塩(SB-505124);レルデリムマブ(lerdelimumb)(CAT-152);メテリムマブ(CAT-192);GC-1008;ID11
;AP-12009;AP-11014;LY550410;LY580276;LY364947;LY2109761;SB-505124;SB-431542;SD-208;SM16;NPC-30345;Ki26894;SB-203580;SD-093;Gleevec;3,5,7,2’,4’-ペンタヒドロキシフラボン(Morin);アクチビン-M108A;P144;可溶性TBR2-Fc;およびTGFβ受容体をターゲティングするアンチセンストランスフェクトされた腫瘍細胞(例えば、Wrzesinskiら、Clinical Cancer Research、13巻(18号):5262~5270頁(2007年);Kaminskaら、Acta Biochimica Polonica、52巻(2号):329~337頁(2005年);およびChangら、Frontiers in Bioscience、12巻:4393~4401頁(2007年)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
【0145】
SMAD2/3のリン酸化の阻害剤は、SMAD2またはSMAD3に対する抗体、これらのドミナントネガティブの変異体、およびこれらをターゲティングするアンチセンス核酸を含みうる。阻害剤の具体例は、PD169316;SB203580;SB-431542;LY364947;A77-01;および3,5,7,2’,4’-ペンタヒドロキシフラボン(Morin)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Wrzesinski、前出;Kaminska、前出;Shimanukiら、Oncogene、26巻:3311~3320頁
(2007年);およびKataokaら、EP1992360を参照されたい)を含む。
【0146】
SMAD2/3とSMAD4との相互作用の阻害剤は、SMAD2、SMAD3および/またはsmad4に対する抗体、これらのドミナントネガティブの変異体、およびこれらをターゲティングするアンチセンス核酸を含みうる。SMAD2/3とSMAD4との相互作用の阻害剤の具体例は、Trx-SARA、Trx-xFoxH1b、およびTrx-Lef1(例えば、Cuiら、Oncogene、24巻:3864~3874頁(2005年
);およびZhaoら、Molecular Biology of the Cell、17巻:3819~3831
頁(2006年)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
【0147】
SMAD6およびSMAD7の活性化因子/アゴニストは、SMAD6またはSMAD7に対する抗体、これらのドミナントネガティブの変異体、およびこれらをターゲティングするアンチセンス核酸を含むがこれらに限定されない。阻害剤の具体例は、Smad7(PTOオリゴヌクレオチドとしての)(例えば、それらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Miyazonoら、US6534476、およびSteinbrecherら、US2005119203を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
【0148】
2.Wnt経路アゴニスト
本明細書で使用される「Wntシグナル促進剤」、「Wnt経路活性化因子」、「Wnt経路活性化剤」、または「Wnt経路アゴニスト」という用語は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt7c、Wnt8、Wnt8a、Wnt8b、Wnt8c、Wnt10a、Wnt10b、Wnt11、Wnt14、Wnt15、およびWnt16のうちの1または複数のアゴニストを含むがこれらに限定されない、Wntシグナル伝達経路のアゴニストを指す。Wnt経路アゴニストはさらに、以下のポリペプチドまたはそれらの断片:Dkkポリペプチド、Crescentポリペプチド、Cerberusポリペプチド、Axinポリペプチド、Frzbポリペプチド、T細胞因子ポリペプチド、またはドミナントネガティブのDisheveledポリペプチドのうちの1または複数を含むがこれらに限定されない。
【0149】
Wnt経路アゴニストの非限定的な例はさらに、以下:Wntポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸、Wntポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド、活性化Wnt受容体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸、活性化Wnt受容体のアミノ酸配列を含むポリペプチド、Wnt/β-カテニンシグナル伝達を促進する有機低分子、Wntアンタゴニストの発現または活性を阻害する有機低分子、Wntアンタゴニストの発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、Wntアンタゴニストの発現を阻害するリボザイム、Wntアンタゴニストの発現を阻害するRNAi構築物、siRNA、またはshRNA、Wntアンタゴニストに結合し、その活性を阻害する抗体、β-カテニンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸、β-カテニンポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド、Lef-1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸、およびLef-1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドのうちの1または複数を含む。
【0150】
Wnt経路アゴニストはさらに、例えば、ドミナントネガティブのGSK-3ポリペプチド、GSK3αポリペプチド、またはGSK3ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸、ドミナントネガティブのGSK-3ポリペプチド、GSK3αポリペプチド、またはGSK3ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド、GSK-3、GSK3α、またはGSK3に結合し、その発現または活性を阻害する有機低分子、GSK-3、GSK3α、またはGSK3に結合し、その発現および/または活性を阻害するRNAi構築物、siRNA、またはshRNA、GSK-3、GSK3α、またはGSK3に結合し、その発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、GSK-3、GSK3α、またはGSK3に結合し、その発現および/または活性を阻害する抗体、GSK-3、GSK3α、またはGSK3に結合し、その発現を阻害するリボザイム、およびβ-カテニン標的遺伝子を活性化させる任意のGSK-3非依存性試薬であって、GSK-3の阻害への効果において類似する試薬などのGSK3阻害剤を含む。
【0151】
3.GSK3阻害剤
GSK3阻害剤は、本明細書で想定される組成物における使用に適する、特異的な例示的Wnt経路アゴニストであり、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および低分子を含みうるがこれらに限定されない。本明細書で想定されるGSK3阻害剤は、GSK3α/βの発現および/またはGSK3α/βの活性を減殺しうる。本明細書で想定されるGSK3阻害剤の例示的な例は、GSK3をターゲティングする抗GSK3抗体、ドミナントネガティブのGSK3変異体、siRNA、shRNA、miRNA、およびアンチセンス核酸を含むがこれらに限定されない。
【0152】
他の例示的なGSK3阻害剤は、ケンパウロン、1-アザケンパウロン、CHIR99021、CHIR98014、AR-A014418、CT 99021、CT 20026、SB216763、AR-A014418、リチウム、TDZD-8、BIO、BIO-アセトキシム、(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-(2-フェニルキナゾリン-4-イル)アミン、ピリドカルバゾール-シクロペンタジエニル(cyclopenadienyl)ルテニウム錯体、TDZD-8 4-ベンジル-2-メチル-1,2,4-チア
ジアゾリジン-3,5-ジオン、2-チオ(3-ヨードベンジル)-5-(1-ピリジル)-[1,3,4]-オキサジアゾール、OTDZT、アルファ-4-ジブロモセトフェノン、AR-AO144-18、3-(1-(3-ヒドロキシプロピル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]-4-ピラジン-2-イル-ピロール-2,5-ジオン、TWS1 19ピロロピリミジン化合物、L803H-KEAPPAPPQSpP-NH2またはそのミリストイル化形態、2-クロロ-1-(4,5-ジブロモ-チオフェン-2-イル)-エタノン、GF109203X、RO318220、TDZD-8、TIBPO、およびOTDZTを含むがこれらに限定されない。
【0153】
特定の例示的な実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99021、BIO、またはケンパウロンである。
【0154】
好ましい実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99021である。
【0155】
別の実施形態では、GSK3阻害剤は、BRD0705である。
【0156】
4.ERK/MEK阻害剤
本明細書で想定される組成物における使用に適するERK/MEK阻害剤は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および低分子を含むがこれらに限定されない。本明細書で想定されるERK/MEK阻害剤は、MEKもしくはERKの発現および/またはMEKもしくはERKの活性を減殺しうる。本明細書で想定されるMEK/ERK阻害剤の例示的な例は、MEKまたはERKをターゲティングする抗MEK抗体または抗ERK抗体、ドミナントネガティブのMEK変異体またはERK変異体、siRNA、shRNA、miRNA、およびアンチセンス核酸を含むがこれらに限定されない。
【0157】
他の例示的なERK/MEK阻害剤は、PD0325901、PD98059、UO126、SL327、ARRY-162、PD184161、PD184352、スニチニブ、ソラフェニブ、バンデタニブ、パゾパニブ、アキシチニブ、GSK1 120212、ARRY-438162、RO5126766、XL518、AZD8330、RDEA1 19、AZD6244、FR180204、およびPTK787を含むがこれらに限定されない。
【0158】
さらなる例示的なMEK/ERK阻害剤は、国際特許公開第WO99/01426号、同第WO02/06213号、同第WO03/077914号、同第WO05/051301号、および同第WO2007/044084号において開示されている化合物を含む。
【0159】
MEK/ERK阻害剤のさらに例示的な例は、以下の化合物:6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2,3-ジヒドロキシ-プロポキシ)-アミド、6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメチル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド、1-[6-(4-ブロモ-2-クロロフェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-2-ヒドロキシ-エタノン、6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-エトキシ)-アミド、6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-(テトラヒドロ-フラン-2-イルメチル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド、6-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド、6-(2,4-ジクロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド、以下、MEK阻害剤1と称する、6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド、2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(以下、MEK阻害剤2と称する)、4-(4-ブロモ-2-フルオロフェニルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボキサミド、および薬学的に許容されるこれらの塩を含む。
【0160】
好ましい実施形態では、MEK/ERK阻害剤は、PD98059である。
【0161】
5.ROCK阻害剤
Rho関連キナーゼ(ROCK)とは、Rhoキナーゼ(その3つのアイソフォーム(RhoA、RhoB、およびRhoC)が存在する)の下流のエフェクターとして働くセリン/トレオニンキナーゼである。本明細書で想定される組成物における使用に適するROCK阻害剤は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および低分子を含むがこれらに限定されない。本明細書で想定されるROCK阻害剤は、ROCKの発現および/またはROCKの活性を減殺しうる。本明細書で想定されるROCK阻害剤の例示的な例は、ROCKをターゲティングする抗ROCK抗体、ドミナントネガティブのROCK変異体、siRNA、shRNA、miRNA、およびアンチセンス核酸を含むがこれらに限定されない。
【0162】
本明細書で想定される、例示的なROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y27632、ファスジル、AR122-86、Y27632、H-1152、Y-30141、Wf-536、HA-1077、ヒドロキシル-HA-1077、GSK269962A、SB-772077-B、N-(4-ピリジル)-N’-(2,4,6-トリクロロフェニル)尿素、3-(4-ピリジル)-1H-インドール、および(R)-(+)-trans-N-(4-ピリジル)-4-(1-アミノエチル)-シクロヘキサンカルボキサミド、ならびに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,044,201号において開示されているROCK阻害剤を含むがこれらに限定されない。
【0163】
一実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y27632、またはピリンテグリンである。
【0164】
好ましい実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンである。
【0165】
本明細書で想定される組成物中および細胞培養培地中の低分子の量は、変動させることができ、使用される特異的分子および組合せ、培地中で培養される細胞の種類、および特異的適用を含む特異的培養条件に従い最適化することができる。一実施形態では、低分子は、多能性を誘導し、再プログラム化の効率を改善し、細胞の能力を増大させるかもしくは維持するか、または基底状態の多能性を誘導もしくは維持するのに十分な濃度で、組成物中に存在する。
【0166】
本発明の別の態様は、本発明による使用のためのNotch活性化因子に関する。Notchは、Notch1を含むがこれらに限定されない、Notch受容体ファミリーの全てのメンバーを包摂する。Notch活性化因子は、Notch受容体のアゴニストを含むがこれらに限定されない。Notchアゴニストは、Notch受容体に結合し、例えば、Notchの細胞内ドメインを切断させ、核へと移行させるなど、Notch受容体と関連するシグナル伝達事象も、誘発または介在する。Notch活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4を含むがこれらに限定されない。Notch活性化因子は、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、EP2606884、US6689744、およびUS5780300において開示されているNotch活性化因子を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、Notchリガンドのうちの1または複数を、可溶性ペプチドとして導入することもでき、固体材料上に固定化させることもできる。固体材料は、ポリスチレンプレート、またはビーズを含みうるがこれらに限定されない。Notchリガンドの固定化のためのビーズは、アガロースビーズ、磁気ビーズ、およびラテックスビーズでありうる。一実施形態では、Notchリガンドペプチドを、ビーズへとコンジュゲート/固定化させる。別の実施形態では、Notchリガンドペプチドを、ポリスチレンプレートの表面へとコンジュゲート/固定化させる。一部の実施形態では、Notchリガンドの固定化は、非共有結合的である。一部の実施形態では、Notchリガンドペプチドを、細胞により提示する。
【0167】
本発明のさらに別の態様は、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる以下の公報:WO2014011540、WO2014062138、およびWO2005117994において開示されている薬剤を含むBMP経路活性化因子に関する。本発明による使用のためのBMP経路活性化因子は、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-2、およびBMP-4を含むがこれらに限定されない。本発明の非限定的実施形態では、BMP経路活性化因子は、BMP-4である。BMPとは、形質転換増殖因子ベータスーパーファミリーのメンバーである、多機能性サイトカインである。骨形成タンパク質(BMP)受容体は、Smadの活性化を介して、BMPシグナル伝達を介在する。BBMPリガンドは、BMP受容体である、BMPRIおよびBMPRIIに結合する。BMPRIIがリン酸化した後、続いて、BMPRIが活性化する。BMPRIがリン酸化すると、その後、receptor-activated Smad(R-Smad)タンパク質がリン酸化し、これが、common mediator-Smad(co-Smad)と会合し、核に入り、そこで、遺伝子の発現を調節する。一実施形態では、BMP経路活性化因子は、BMP4である。
【0168】
本発明は、iPSCから分化させた二次HSCを介して、またはiPSCから分化させた二次造血性内皮を介して、iPSCから造血系細胞を得るための組成物を提供するが、これらの手法の各々は、所望の細胞を分化させるための、iPSCからのEBの形成を欠く。
【0169】
6.hiPSC分化プラットフォーム
I.iHSCプラットフォーム
本発明の一態様は、中胚葉細胞を、iPSCを含む多能性幹細胞から得るための培養培地を提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一実施形態では、培養培地は、Wnt経路活性化因子およびBMP活性化因子を含む。一実施形態では、培養培地は、Wnt経路活性化因子と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む。一実施形態では、培養培地中のWnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99021である。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表1に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Vitronectinではなく、Matrigel(商標)を使用する場合、完全に組成既知である。
【表1】
【0170】
本発明の一態様は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、Wnt経路活性化因子と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含む。一実施形態では、培養培地は、Wnt経路活性化因子、BMP活性化因子を含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一実施形態では、培養培地は、Wnt経路活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む。一実施形態では、培養培地中のWnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99021である。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一実施形態では、任意選択のTGFβ受容体/ALK阻害剤は、SB431542である。一部の実施形態では、本明細書の培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表2に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表2】
【0171】
本発明の一態様は、二次HSCを、造血性内皮から得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む。一実施形態では、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培養培地は、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まない。一実施形態では、培養培地は、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含むiHSC基礎培地を含む。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表3に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表3】
【0172】
本発明の一態様は、T細胞前駆体を、二次HSCから得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む。一実施形態では、培養培地は、SCF、Flt3L、IL7、BMP活性化因子と、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含むiTC基礎培地を含む。一実施形態では、iTC基礎培地は、IL2、IL3、IL6、1または複数のNotch経路活性化因子の組合せを含む。一実施形態では、iTC基礎培地は、フィブロネクチンを含まない。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4を含むがこれらに限定されないNotchリガンドである。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表4に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表4】
【0173】
本発明の一態様は、T細胞を、T細胞前駆体から得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、SCF、Flt3L、IL7、およびIGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む。一実施形態では、SCF、Flt3L、IL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、IGFとを含む培養培地は、BMP活性化因子を含まない。一実施形態では、培養培地は、SCF、Flt3L、IL7、IGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカイン、ならびにIL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含むiTC基礎培地の組合せを含む。一実施形態では、iTC基礎培地は、IL2、IL3、IL6、1または複数のNotch経路活性化因子の組合せを含む。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1および/またはDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4を含む。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表5に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表5】
【0174】
本発明の一態様は、NK細胞前駆体を、二次HSCから得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびVEGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む。一実施形態では、培養培地は、SCFと、Flt3Lと、VEGFと、BMP活性化因子と、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地とを含む。一実施形態では、iNK基礎培地は、IL2、IL3、IL6、およびIL15の組合せを含む。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表6に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表6】
【0175】
本発明の一態様は、NK細胞を、NK細胞前駆体から得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、SCF、Flt3L、IGF、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む。一実施形態では、培養培地は、SCF、Flt3L、IGF、IL7と、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地とを含み、BMP活性化因子を含まない。一実施形態では、iNK基礎培地は、IL2、IL3、IL6、およびIL15の組合せを含む。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表7に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。一部の実施形態では、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原を、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、または抗原提示細胞の形態で導入する。
【表7】
【0176】
本発明の別の態様は、T細胞を得るための培養プラットフォームであって、(i)SCF、Flt3L、IL7、およびIGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカイン、ならびにIL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含むiTC基礎培地を含み、BMP活性化因子を含まず、T細胞を、T細胞前駆体から発生させるのに適する培養培地;(ii)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、iTC基礎培地とを含み、T細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する培養培地;(iii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、二次HSCを、造血性内皮から発生させるのに適する培養培地;(iv)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;ならびに(v)GSK3阻害剤と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0177】
一実施形態では、T細胞を得るための培養プラットフォームは、(i)SCF、Flt3L、IGF、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカイン、ならびにIL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含むiTC基礎培地を含み、BMP活性化因子を含まず、T細胞を、T細胞前駆体から発生させるのに適する培養培地を含む。一実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、iTC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、T細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iii)は、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、二次HSCを、造血性内皮から発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iv)は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を含む培養プラットフォームは、(v)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(v)は、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0178】
本発明の一態様は、T細胞前駆体を得るための培養プラットフォームであって、(i)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、iTC基礎培地とを含み、T細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する培養培地;(ii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する培養培地;(iii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;ならびに(iv)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0179】
一実施形態では、T細胞前駆体を得るための培養プラットフォームは、(i)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、iTC基礎培地とを含む培養培地を含み、培養培地(i)は、T細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iii)は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iv)は、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0180】
本発明の一態様は、二次HSCを得るための培養プラットフォームであって、(i)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する培養培地;(ii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;(iii)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0181】
一実施形態では、二次HSCを得るための培養プラットフォームは、(i)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む培養培地を含み、培養培地(i)は、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iii)は、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する。一部の実施形態では、得られる二次HSCは、CD34+ HSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0182】
本発明のなお別の態様は、造血性内皮を得るための培養プラットフォームであって、(i)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;ならびに(ii)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0183】
一実施形態では、造血性内皮を得るための培養プラットフォームは、(i)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む培養培地を含み、培養培地(i)は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0184】
本発明のさらなる態様は、NK細胞を得るための培養プラットフォームであって、(i)SCF、Flt3L、IGF、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地を含み、BMP活性化因子を含まず、NK細胞を、NK細胞前駆体から発生させるのに適する培養培地;(ii)SCF、Flt3L、およびVEGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子と、iNK基礎培地とを含み、NK細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する培養培地;(iii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する培養培地;(iv)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;ならびに(v)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0185】
NK細胞を得るための培養プラットフォームについての一実施形態は、(i)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地とを含む培養培地を含み、培養培地(i)は、BMP活性化因子を含まず、NK細胞を、NK細胞前駆体から発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)SCF、Flt3L、およびVEGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子と、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地を含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、NK細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iii)は、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iv)は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を含む培養プラットフォームは、(v)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(v)は、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0186】
本発明の別の態様は、NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームであって、(i)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地とを含み、NK細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する培養培地;(ii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する培養培地;(iii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;ならびに(iv)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0187】
NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームについての一実施形態は、(i)BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、およびVEGFからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含むiNK基礎培地とを含む培養培地を含み、培養培地(i)は、NK細胞前駆体を、二次HSCから発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する。一実施形態では、培養培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iii)は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(v)は、中胚葉細胞を、iPSCから発生させるのに適する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0188】
NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームについての一実施形態は、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態の人工抗原であって、NKの増殖、発生、および成熟を刺激するための人工抗原のうちの1または複数を含む。
【0189】
本発明のなお別の態様は、二次CD34+細胞を発生させるための培養プラットフォームであって、(i)VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、BMP活性化因子を含むiHSC基礎培地とを含み、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず、HSCを、二次造血性内皮から発生させるのに適する培養培地;(ii)GSK3阻害剤と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から発生させるのに適する培養培地;ならびに(iii)GSK3阻害剤と、iHSC基礎培地とを含み、中胚葉細胞を、iPSCを含む多能性幹細胞から発生させるのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0190】
II.iCD34プラットフォーム
本発明のさらなる態様は、多能性幹細胞を使用して二次造血性内皮を得るための培養プラットフォームを提供する。本明細書で使用される二次造血性内皮とは、二次造血へと方向付けられた造血性細胞集団であって、二次HSC、造血複能性前駆体(MPP)、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、成熟T細胞および/またはNK細胞を含むがこれらに限定されない、全ての造血細胞を発生させる能力を伴う造血細胞集団である。
【0191】
一実施形態では、iPSCを含む多能性幹細胞を使用して、二次造血性内皮を得るための培養プラットフォームは、MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培地の播種を含む。一部の実施形態では、培地の播種は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一実施形態では、本発明の培養培地の播種における低分子の組合せを、表9に、運命維持培地(FMM)として示す。培地の成分は、表9に示される濃度範囲内の量で、培地中に存在しうる。一実施形態では、二次造血性内皮を得るために使用されるiPSCは、運命再プログラム化培地(FRM)を使用して発生させ、本明細書で開示される段階特異的分化に適する、iPSC細胞株の基底状態またはナイーブ状態を確立し、持続させるように、FMM中でさらに維持された細胞株であった。このようにして得られた基底状態iPSCまたはナイーブiPSCは、低温保存に適する。本発明では、保持されたiPSC細胞株またはクローンiPSCを、二次造血性内皮への後続の分化のために、FMMに播種することができる。
【表9】
【0192】
本発明の一態様は、中胚葉の、iPSCを含む多能性幹細胞からの分化および拡大のための培養培地を提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一実施形態では、培養培地は、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFと、低分子を、表10に示される組合せで含むCD34基礎培地とを含む。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表10に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表10】
【0193】
一実施形態では、中胚葉の、多能性幹細胞からの分化および拡大のための、上記の培養培地は、0.2~50ngの間のbFGFをさらに含む。
【0194】
本発明の一態様は、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、iPSCを含む多能性幹細胞から得るための培養培地を提供する。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一実施形態では、培養培地は、BMP活性化因子と、GSK3阻害剤と、bFGFとを含む。一実施形態では、二次HEのポテンシャルを達成するために、GSK3阻害剤を含む培養培地を、中胚葉細胞への特化後に限り適用する。一実施形態では、BMP活性化因子と、GSK3阻害剤と、bFGFとを含む培養培地は、低分子を、表11に示される組合せで含むCD34基礎培地をさらに含む。一実施形態では、上記の培養培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない。一部の実施形態では、培養培地は、細胞外マトリックスタンパク質を含む。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表11に示される濃度範囲で含む。一部の実施形態では、培養培地は、Matrigel(商標)で、Vitronectinに代える場合、完全に組成既知である。
【表11】
【0195】
本発明の一態様は、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から得るための培養培地を提供する。一実施形態では、培養培地は、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む。一実施形態では、培養培地は、VEGF、bFGF、SCF、IL6、IL11と、ROCK阻害剤と、低分子を、表12に示される組合せで含むCD34基礎培地とを含む。一実施形態では、VEGF、bFGF、SCF、IL6、IL11と、ROCK阻害剤とを含む培養培地は、IGF1および/またはEPOを含まない。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表12に示される濃度範囲で含む。
【表12】
【0196】
本発明の一態様は、複能性前駆体(MPP)細胞を、二次造血性内皮から得るための培養プラットフォームを提供する。MPPは、好中球前駆体を含む骨髄性細胞へとさらに分化させることができる。一実施形態では、培養プラットフォームは、(i)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、pre-HSCへと分化させるのに適する培養培地(表13)を含む。別の実施形態では、二次造血性内皮を、pre-HSCへと分化させるための培養培地を含む培養プラットフォームは、(ii)BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11とを含み、ROCK阻害剤を含まず、pre-HSCを、複能性前駆体へと分化させるのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表13に示される濃度範囲で含む。
【表13】
【0197】
本発明の一態様は、T細胞前駆体またはT細胞を、二次造血性内皮から発生させるための培養プラットフォームを提供する。一実施形態では、培養プラットフォームは、(i)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、プレT細胞前駆体(pre-proT)へと分化させるのに適する培地;ならびに(ii)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まず、プレT細胞前駆体を、T細胞前駆体またはT細胞へと分化させるのに適する培地(表14)を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表14に示される濃度範囲で含む。
【表14】
【0198】
本発明の一態様は、NK細胞前駆体またはNK細胞を、二次造血性内皮から発生させるための培養プラットフォームを提供する。一実施形態では、培養プラットフォームは、(i)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体(pre-proNK)へと分化させるのに適する培地;ならびに(ii)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まず、プレNK細胞前駆体を、NK細胞前駆体またはNK細胞へと分化させるのに適する培地を含む。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。他の実施形態では、本明細書の培養培地は、低分子、増殖因子、および/またはサイトカインを、表15に示される濃度範囲で含む。
【表15】
【0199】
本発明の別の態様は、T細胞前駆体またはT細胞を得るための培養プラットフォームであって、(i)SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、プレT細胞前駆体を、T細胞前駆体またはT細胞へと分化させるのに適する培地;(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、プレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培地;(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮の、中胚葉細胞からの分化および拡大に適する培養培地;(iv)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、中胚葉細胞内の二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地;(v)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生し、拡大するのに適する培養培地;ならびに(vi)MEKi、GSKi、およびROCKiを含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、ナイーブiPSCを播種し、拡大するのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。
【0200】
一実施形態では、T細胞前駆体またはT細胞を発生させるための培養プラットフォームは、(i)SCF、Flt3L、およびIL7を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、プレT細胞前駆体を、T細胞前駆体またはT細胞へと分化させるのに適する培地を含む。別の実施形態では、T細胞前駆体またはT細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、プレT細胞前駆体へと分化させるのに適する培地をさらに含む。別の実施形態では、T細胞前駆体またはT細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮の、中胚葉細胞からの分化および拡大に適する培養培地をさらに含む。さらに別の実施形態では、T細胞前駆体またはT細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地をさらに含む。さらに別の実施形態では、T細胞前駆体またはT細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を含む培養プラットフォームは、(v)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。別の実施形態では、T細胞前駆体またはT細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)を含む培養プラットフォームは、(vi)MEKi、GSKi、およびROCKiを含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、ナイーブiPSCを播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Notch因子を、T細胞前駆体またはT細胞を発生させるための培養プラットフォームにおいて使用する。一部の実施形態では、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4を含むNotch因子を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0201】
本発明の別の態様は、NK細胞前駆体またはNK細胞を得るための培養プラットフォームであって、(i)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、プレNK細胞前駆体を、NK細胞前駆体またはNK細胞へと分化させるのに適する培地;(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地;(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮の、中胚葉細胞からの分化および拡大に適する培養培地;(iv)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、中胚葉細胞内の二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地;(v)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生し、拡大するのに適する培養培地;(vi)MEKi、GSKi、およびROCKiを含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、ナイーブiPSCを播種し、拡大するのに適する培養培地のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、NKの成熟は、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数を使用して行う。
【0202】
一実施形態では、NK細胞前駆体またはNK細胞を発生させるための培養プラットフォームは、(i)SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、プレNK細胞前駆体を、NK細胞前駆体またはNK細胞へと分化させるのに適する培地を含む。一部の実施形態では、NKの成熟は、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数を使用して行う。別の実施形態では、NK細胞前駆体またはNK細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み、二次造血性内皮を、プレNK細胞前駆体へと分化させるのに適する培地をさらに含む。別の実施形態では、NK細胞前駆体またはNK細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮の、中胚葉細胞からの分化および拡大に適する培養培地をさらに含む。さらに別の実施形態では、NK細胞前駆体またはNK細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るのに適する培養培地をさらに含む。さらに別の実施形態では、NK細胞前駆体またはNK細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を含む培養プラットフォームは、(v)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含み、中胚葉細胞を、iPSCから発生し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。別の実施形態では、NK細胞前駆体またはNK細胞を得るための培養プラットフォームであって、培地(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)を含む培養プラットフォームは、(vi)MEKi、GSKi、およびROCKiを含み、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、ナイーブiPSCを播種し、拡大するのに適する培養培地をさらに含む。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。
【0203】
本発明の一態様は、二次造血性内皮を発生させるための培養プラットフォームであって、(i)二次造血性内皮の、中胚葉細胞からの分化および拡大のための培養培地であり、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培養培地;(ii)中胚葉細胞内の、二次造血性ポテンシャルを得るための培養培地であり、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む培養培地;(iii)中胚葉細胞を、ナイーブiPSCから分化させ、拡大するための培養培地であり、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培養培地;ならびに(iv)MEKi、GSKi、およびROCKiを含む、ナイーブiPSCの播種および拡大培養物であり、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない播種培養物のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、二次造血性内皮は、CD34+である。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。
【0204】
一実施形態では、二次造血性内皮を得るための培養プラットフォームは、(i)ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮を、中胚葉細胞から、分化させ、拡大するのに適する培養培地を含む。一実施形態では、培養培地(i)を含む培養プラットフォームは、(ii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む培養培地をさらに含み、培養培地(ii)は、中胚葉細胞内の、二次造血性ポテンシャルを得るのに適する。別の実施形態では、培養培地(i)および(ii)を含む培養プラットフォームは、(iii)BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培養培地をさらに含み、培養培地(iii)は、中胚葉細胞を、ナイーブiPSCから、分化させ、拡大するのに適する。さらに別の実施形態では、培養培地(i)、(ii)、および(iii)を含む培養プラットフォームは、(iv)MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培養培地をさらに含み、培養培地(v)はTGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まず、培養培地(v)は、ナイーブiPSCを播種し、拡大するのに適する。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。
【0205】
本発明の一態様は、CD34+二次造血性内皮を発生させるための培養プラットフォームであって、(i)二次造血性内皮を、中胚葉細胞から分化させ、拡大するための培養培地であり、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み、二次造血性内皮が、CD34+二次造血性内皮を含む培養培地;(ii)中胚葉細胞内の、二次造血性ポテンシャルを得るための培養培地であり、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む培養培地;(iii)中胚葉細胞を、ナイーブiPSCから分化させ、拡大するための培養培地であり、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培養培地;ならびに(iv)MEKi、GSKi、およびROCKiを含む、ナイーブiPSCの播種または拡大培養物であり、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない播種培養物のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。
【0206】
本発明の一態様は、中胚葉細胞を発生させるための培養プラットフォームであって、(i)中胚葉細胞を、ナイーブiPSCから分化させ、拡大するための培養培地であり、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培養培地;ならびに(ii)MEKi、GSKi、およびROCKiを含む、ナイーブiPSCの播種または拡大培養物であり、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない播種培養物のうちの1または複数を含む培養プラットフォームを提供する。一部の実施形態では、上記の全ての培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012またはBIOである。一部の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99012である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、チアゾビビンまたはY27632である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632である。一部の実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、中胚葉細胞を発生させるための培養プラットフォームは、(iii)BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含み、中胚葉細胞内の、二次造血性ポテンシャルを得るための培養培地をさらに含みうる。一部の実施形態では、BMP活性化因子と、bFGFと、GSK3阻害剤とを含む培養培地は、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まない。
【0207】
C.CD34+細胞、二次造血性内皮、複能性前駆体、T細胞前駆体またはNK細胞前駆体、T細胞および/またはNK細胞を得る方法
本発明は、1または複数の培養培地を含む多段階培養プラットフォームを使用して、多能性幹細胞由来の二次造血細胞を発生させる方法を提供する。方法は、フィーダーフリー条件に適する。方法はまた、単層培養にも適し、従って、当技術分野で公知の方法と比較して、多能性幹細胞を分化させるために、EBの形成または凝集中間体を要請しない。提供される方法により、複能性前駆細胞(iMPP)、ナチュラルキラー細胞前駆体(ipro-NK)、T細胞前駆体(ipro-T)、成熟NK細胞(iNK)、およびT細胞(iT)へとさらに分化させることが可能な、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(iHE)、二次HSC(iHSC)、CD34+ HE(iCD34)を発生し、同時に、これらを拡大する。本発明のさらなる態様はまた、多能性幹細胞由来のCD34+細胞、HE、HSC、および/またはMPPから分化させた骨髄性細胞を発生させる方法も提供する。
【0208】
一実施形態では、本発明は、単層培養において、造血系の細胞を、多能性細胞から分化させ、拡大するための方法であって、多能性細胞を、BMP経路活性化因子と、任意選択で、bFGFと接触させるステップを含み、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞が、胚葉体を形成せずに、多能性幹細胞から得られ、拡大され、次いで、これが、BMP経路活性化因子と、bFGFと、WNT経路活性化因子との接触下に置かれ、胚葉体を形成せずに、多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(HE)のポテンシャルを有する、拡大された中胚葉細胞が、多能性幹細胞から得られる方法を提供する。bFGFと、任意選択で、ROCK阻害剤と、かつ/またはWNT経路活性化因子との後続の接触により、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させ、これを分化の間にまた、拡大もする。
【0209】
造血系の細胞を得るための、提供される方法は、EBの形成が細胞の拡大をもたらさず、単層培養を可能とせず、かつ煩瑣かつ低効率であるため、EBに介在される多能性幹細胞の分化より優れている。加えて、本発明により、本明細書で提示される方法を使用する単層培養は、in vivoにおける、長期にわたる造血系の自己再生、再構成、および生着を可能とする、機能的な造血系細胞をもたらすことも開示された。
【0210】
下記で詳述される通り、本発明は、二次HSCまたは二次造血性内皮を得ることを介して、造血系細胞を、多能性細胞から得る方法を提供する。特に、本発明は、分化のためにEBを形成せずに、造血系細胞の、多能性細胞からの分化を方向付ける方法を提供する。
【0211】
I.iHSCプラットフォーム
1.iHSCを、多能性幹細胞、多能性幹細胞由来の中胚葉、またはHEから分化させ、拡大すること(iHSCプラットフォーム)
本発明の一態様は、多段階工程を使用して、二次HSC(iHSC)を発生し、拡大する方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させる第1段階で始まり、次いで、第2段階で、中胚葉細胞を、造血性内皮(HE)へと分化させ、拡大する。第3段階では、HE細胞を、二次HSC(iHSC)へと分化させ、これを同時にまた、拡大もする。本発明はまた、二次HSC(iHSC)を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HEへと分化させ、拡大することと、HEを、iHSCへと分化させることとを含む方法も提供する。代替的に、本発明は、二次HSC(iHSC)を発生し、拡大する方法であって、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させることを含む方法を提供する。上記の方法についての一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCを含む。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。
【0212】
二次HSC(iHSC)を、ナイーブ多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させること、そして分化させた中胚葉細胞を拡大することと;(2)中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む第2の培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させること、そして二次HE細胞を拡大することと;(3)二次HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、二次HE細胞を、二次HSCへと分化させること、そして二次HSCが拡大することを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCを含む。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートすることをさらに含む。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、およびTGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させることを含む。
【0213】
二次HSC(iHSC)を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生し、拡大する方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させることであって、二次HE細胞を拡大することと;(2)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む第2の培地と接触させることにより、得られたHE細胞を、iHSCへと分化させることであって、iHSCを拡大することとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートすることをさらに含む。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0214】
二次HSC(iHSC)を、多能性幹細胞由来のHEから発生し、拡大する方法についての一実施形態では、方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることであって、iHSCを、多能性幹細胞由来のHEから分化させ、拡大することを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートすることをさらに含む。
【0215】
2.HEを、多能性幹細胞または多能性幹細胞由来の中胚葉から分化させ、拡大すること(iHSCプラットフォーム)
本発明の一態様は、多段階工程を使用して、二次造血性内皮を発生し、拡大する方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させる第1段階で始まり、次いで、第2段階で、中胚葉細胞を、拡大し、造血性内皮へと分化させる。出発多能性細胞は、基底状態の人工多能性幹細胞またはナイーブ人工多能性幹細胞および胚性幹細胞を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、発生させ、拡大される造血性内皮は、二次造血性内皮である。一部の実施形態では、発生させる二次造血性内皮は、CD34陽性である。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させることにより、造血性内皮を発生し、拡大する方法を提供する。
【0216】
二次造血性内皮を、多能性幹細胞から分化させ、拡大する方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む第1の培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させることと;(2)中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む第2の培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させることであって、二次HE細胞を拡大することとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、GSK3阻害剤を、Wnt経路活性化因子として含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CHIR99021またはBIOを、GSK3阻害剤として含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CHIR99021を、GSK3阻害剤として含む。一部の実施形態では、上記の方法は、SB431542またはA83-01を、TGFβ受容体阻害剤として含む。一部の実施形態では、上記の方法は、SB431542を、TGFβ受容体阻害剤として含む。
【0217】
造血性内皮を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から分化させ、拡大する方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させることを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られた二次HE細胞は、CD34を発現する。
【0218】
3.中胚葉細胞を、iPSCから分化させ、拡大すること(iHSCプラットフォーム)
本発明の一態様は、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から発生させる方法を提供する。出発多能性細胞は、基底状態の人工多能性幹細胞またはナイーブ人工多能性幹細胞および胚性幹細胞を含むがこれらに限定されない。
【0219】
中胚葉細胞を、多能性幹細胞から発生し、拡大する方法についての一実施形態では、方法は、多能性幹細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させることを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、GSK3阻害剤を、Wnt経路活性化因子として含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CHIR99021またはBIOを、GSK3阻害剤として含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CHIR99021を、GSK3阻害剤として含む。
【0220】
4.T細胞前駆体を、多能性幹細胞から得ること、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、HE、または二次HSCから得ること(iHSCおよびiTCプラットフォーム)
本発明の一態様は、多段階工程を使用して、T細胞前駆体を、多能性幹細胞から発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させ、中胚葉細胞を拡大する第1段階で始まり、次いで、第2段階で、造血性内皮を、分化させ、拡大する。第3段階では、HE細胞を、二次HSC(iHSC)へと分化させ、iHSCを拡大する。第4段階では、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させる。本発明はまた、T細胞前駆体を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HEへと分化させること、次いで、HEを、iHSCへと分化させること、次いで、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させることを含む方法も提供する。本発明は、T細胞前駆体を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させること、次いで、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させることを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、T細胞前駆体を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHSCを、T細胞前駆体へと分化させることを含む方法を提供する。
【0221】
T細胞前駆体を、多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させること、そして中胚葉細胞が拡大することと;(2)中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む第2の培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させること、そしてHE細胞を拡大することと;(3)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、HE細胞を、二次HSCへと分化させること、そしてiHSCが拡大することと;(4)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第4の培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させることとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートすることをさらに含む。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0222】
T細胞前駆体を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、HE細胞へと分化させると、HEが拡大することと;(2)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第2の培地と接触させることにより、得られたHE細胞を、iHSCへと分化させること、そしてiHSCを拡大することと;(3)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第3の培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させることとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートすることをさらに含む。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0223】
T細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のHEから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることにより、HEを、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(2)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路とを含む第2の培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0224】
T細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のiHSCから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、多能性幹細胞由来のHSC(iHSC)をソートし、得るステップをさらに含む。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0225】
5.T細胞を、多能性幹細胞から得ること、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、HE、iHSC、またはT細胞前駆体から得ること(iHSCおよびiTCプラットフォーム)
【0226】
本発明の一態様は、多段階工程を使用して、T細胞を、多能性幹細胞から発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が分化しながら拡大する第1段階で始まり、次いで、第2段階で、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させると、HE細胞が拡大する。第3段階では、HE細胞を、二次HSC(iHSC)へと分化させると、iHSCが拡大する。第4段階では、iHSCを、T細胞前駆体(ipro-T)へと分化させる。第5段階では、iHSCを、T細胞へと分化させる。本発明はまた、T細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HEへと分化させ、HEを、iHSCへと分化させ、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させ、次いで、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップを含む方法も提供する。本発明は、T細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させ、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させ、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、T細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHSCを、T細胞前駆体へと分化させ、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。さらに、本発明は、T細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。
【0227】
T細胞を、多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性幹細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大するステップと;(2)中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む第2の培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させると、HE細胞が拡大するステップと;(3)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、HE細胞を、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(4)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第4の培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させるステップと;(5)T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第5の培地と接触させることにより、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0228】
T細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、HE細胞へと分化させると、二次HE細胞が拡大するステップと;(2)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第2の培地と接触させることにより、得られたHE細胞を、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(3)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第3の培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させるステップと;(4)T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第4の培地と接触させることにより、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0229】
T細胞を、多能性幹細胞由来のHEから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(2)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第2の培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させるステップと;(3)T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む第3の培地と接触させることにより、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHSCをソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0230】
T細胞を、多能性幹細胞由来のiHSCから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む培地と接触させることにより、iHSCを、T細胞前駆体へと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(2)T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む培地と接触させることにより、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、多能性幹細胞由来のHSC(iHSC)をソートし、得るステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一実施形態では、Notch経路活性化因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0231】
T細胞を、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、T細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、1または複数のNotch経路活性化因子とを含む培地と接触させることにより、T細胞前駆体を、T細胞へと分化させるステップを含む。
【0232】
6.NK細胞前駆体を、多能性幹細胞から得ること、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、HE、またはiHSCから得ること(iHSCおよびiNKプラットフォーム)
本発明の一態様は、多段階工程を使用して、NK細胞前駆体を、多能性幹細胞から発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大する第1段階で始まり、次いで、第2段階で、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させると、HE細胞が拡大する。第3段階では、HE細胞を、二次HSCへと分化させると、二次HSCが拡大する。第4段階では、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させる。本発明はまた、NK細胞前駆体を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HEへと分化させ、次いで、HEを、iHSCへと分化させ、次いで、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップを含む方法も提供する。本発明は、NK細胞前駆体を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させ、次いで、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、NK細胞前駆体を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップを含む方法を提供する。
【0233】
NK細胞前駆体を、多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性幹細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大するステップと;(2)中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む第2の培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させると、HE細胞が拡大するステップと;(3)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、HE細胞を、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(4)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第4の培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0234】
NK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HE細胞へと分化させると、HE細胞が拡大するステップと;(2)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第2の培地と接触させることにより、得られたHE細胞を、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(3)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0235】
NK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のHEから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(2)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第2の培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0236】
NK細胞前駆体を、多能性幹細胞由来のiHSCから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、多能性幹細胞由来のHSC(iHSC)をソートし、得るステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0237】
7.NK細胞を、多能性幹細胞から得ること、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞、HE、iHSC、またはNK細胞前駆体から得ること(iHSCおよびiNKプラットフォーム)
本発明の一態様は、多段階工程を使用して、NK細胞を、多能性幹細胞から発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大する第1段階で始まり、次いで、第2段階で、中胚葉細胞を、造血性内皮へと分化させると、HE細胞が拡大する。第3段階では、HE細胞を、二次HSC(iHSC)へと分化させると、HSCが拡大する。第4段階では、iHSCを、NK細胞前駆体(ipro-NK)へと分化させる。第5段階では、iHSCを、NK細胞へと分化させる。本発明はまた、NK細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HEへと分化させ、HEを、iHSCへと分化させ、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させ、次いで、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップを含む方法も提供する。本発明は、NK細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のHEを、iHSCへと分化させ、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させ、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、NK細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHSCを、NK細胞前駆体へと分化させ、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。さらに、本発明は、NK細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。
【0238】
NK細胞を、多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性幹細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および細胞外マトリックスタンパク質のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大するステップと;(2)中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む第2の培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させると、HE細胞が拡大するステップと;(3)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、HE細胞を、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(4)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第4の培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップと;(5)NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む第5の培地と接触させることにより、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、およびTGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させるステップを含む。一実施形態では、BMP活性化因子は、BMP4である。
【0239】
NK細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、および、任意選択で、TGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、HE細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大するステップと;(2)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第2の培地と接触させることにより、得られたHE細胞を、iHSCへと分化させると、二次HE細胞が拡大するステップと;(3)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第3の培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップと;(4)NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む第4の培地と接触させることにより、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉細胞を、BMP経路活性化因子、およびWnt経路活性化因子、およびTGFβ受容体阻害剤のうちの少なくとも1つを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させるステップを含む。
【0240】
NK細胞を、多能性幹細胞由来のHEから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)HE細胞を、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞由来の二次HEを、iHSCへと分化させると、iHSCが拡大するステップと;(2)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む第2の培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップと;(3)NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む第3の培地と接触させることにより、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHSC細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたHSC(iHSC)をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。
【0241】
NK細胞を、多能性幹細胞由来のiHSCから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)iHSCを、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む培地と接触させることにより、iHSCを、NK細胞前駆体へと分化させるステップと;(2)NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む第2の培地と接触させることにより、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、多能性幹細胞由来のHSC(iHSC)をソートし、得るステップをさらに含む。
【0242】
NK細胞を、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、NK細胞前駆体を、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む第5の培地と接触させることにより、NK細胞前駆体を、NK細胞へと分化させるステップを含む。
【0243】
II.iCD34プラットフォーム
1.二次iHEを導出し、拡大すること(iCD34プラットフォーム)
本発明の一態様は、最適化された多段階工程を使用して、二次造血性内皮(iHE)を発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を播種し、拡大する第1段階で始まる。次いで、この段階で、多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと分化させると、中胚葉細胞が拡大する。次いで、拡大された中胚葉集団を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉集団へと分化させ、次いで、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞から、分化させ、拡大する。代替的に、本発明は、二次造血性内皮(iHE)を発生させる方法であって、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から、分化させ、拡大し;次いで、二次造血性内皮(iHE)を、中胚葉細胞から、分化させ、拡大するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。本発明は、二次造血性内皮(iHE)を発生し、拡大する方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を分化させ、拡大し、二次iHEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を得、次いで、これらを、iHEへと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、二次造血性内皮を発生し、拡大する方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、iHEへと分化させるステップを含む方法を提供する。本明細書で開示される方法は、EBの形成を伴わない、最適化された単層iCD34培養プラットフォームであって、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培養プラットフォームを活用する。
【0244】
二次造血性内皮(iHE)を、多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、中胚葉集団を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するステップと;(2)細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉集団を分化させ、拡大して、中胚葉細胞内の、二次HEのポテンシャルを得るステップと;(3)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させるにより、二次HEのポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させ、拡大するステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、二次HEのポテンシャルを達成するために、細胞を、GSK3阻害剤を含む培養培地と接触させることは、中胚葉細胞への特化後に限る。一部の実施形態では、上記の方法は、播種されたiPSCおよび/または中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性細胞を、MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を播種すると、多能性幹細胞が拡大するステップをさらに含む。
【0245】
二次造血性内皮(iHE)を、播種された多能性幹細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するステップと;(2)中胚葉細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、二次iHEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を得るステップと;(3)中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、iHEのポテンシャルを有する中胚葉細胞から分化させ、拡大するステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34陽性を使用してソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、上記の方法は、播種されたiPSCおよび/または中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0246】
二次造血性内皮(iHE)を、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)中胚葉細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞を得るステップと;(2)中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、二次HEのポテンシャルを有する中胚葉細胞から分化させ、拡大するステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0247】
多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の、二次造血性内皮(iHE)のポテンシャルを得る方法についての一実施形態では、方法は、中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させると、中胚葉細胞が拡大するステップを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0248】
2.二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を導出し、拡大すること(iCD34プラットフォーム)
本発明の一態様は、最適化された多段階工程を使用して、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を播種する第1段階で始まる。次いで、播種された多能性幹細胞を、中胚葉へと発生させる。第3段階では、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと、さらに分化させる。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を発生させる方法であって、播種された多能性幹細胞を、中胚葉へと分化させるステップを含む方法と、中胚葉を、二次造血性ポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させる方法とを提供する。本発明は、二次HEのポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を発生させる方法をさらに提供するが、方法は、多能性幹細胞由来の中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。本明細書で開示される方法は、最適化されたiCD34培養プラットフォームであって、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培養プラットフォームを活用する。
【0249】
多能性幹細胞から導出された中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得る方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性幹細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するステップと;(2)細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性幹細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、細胞を、MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を播種するステップをさらに含む。
【0250】
二次造血性内皮のポテンシャルを有する、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0251】
3.中胚葉を、多能性幹細胞から導出し、拡大すること
本発明の一態様は、最適化された多段階工程を使用して、多能性幹細胞由来の中胚葉を発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を播種する第1段階で始まり、次いで、第2段階で、播種された細胞を、中胚葉へと分化させる。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。本明細書で開示される方法は、最適化されたiCD34培養プラットフォームであって、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培養プラットフォームを活用する。
【0252】
多能性幹細胞由来の中胚葉を、多能性細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、播種された多能性幹細胞から分化させ、拡大するステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、上記の方法は、播種されたiPSCを、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性細胞を、MEKi、GSKi、およびROCKを含む培地と接触させることにより、iPSCを播種し、拡大するステップをさらに含む。
【0253】
4.造血複能性前駆体(iMPP)を導出すること(iCD34プラットフォームおよびiMPPプラットフォーム)
本発明の一態様は、最適化された多段階工程を使用して、多能性幹細胞由来の複能性前駆体(iMPP)を発生させる方法を提供する。一般に、方法は、多能性幹細胞を播種する第1段階で始まる。播種された細胞を拡大し、中胚葉細胞へと分化させる。中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと拡大し、分化させ、その後、中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させる。HE細胞を、pre-HSCへと拡大し、分化させ、次いで、好中球前駆体を含む骨髄性細胞へと分化することが可能な、複能性前駆体へと拡大し、分化させる。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来の複能性前駆体(iMPP)を発生させる方法であって、播種された多能性細胞を、中胚葉へと分化させ、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させ、次いで、中胚葉細胞を、二次iHEへと分化させ、次いで、これらを、iMPPへと分化させるステップを含む方法を提供する。本発明は、多能性幹細胞由来のiMPPを発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させ、次いで、中胚葉細胞を、二次iHEへと分化させ、次いで、これらを、iMPPへと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来のiMPPを発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、二次iHEへと分化させ、次いで、これらを、iMPPへと分化させるステップを含む方法を提供する。さらに、本発明は、多能性幹細胞由来のiMPPを発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHEを、iMPPへと分化させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。本明細書で開示される方法は、EBの形成を伴わない、最適化された単層iCD34培養プラットフォームであって、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培養プラットフォームを活用する。
【0254】
造血複能性前駆体(iMPP)を、多能性幹細胞から作製する方法についての一実施形態では、方法は、(1)多能性細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するステップと;(2)中胚葉細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るステップと;(3)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞から分化させ、拡大するステップと;(4)HE細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、iMPPへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、細胞を、MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップを含む方法は、pre-HSC細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、ROCK阻害剤を含まないか、またはこれを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-HSCを、iMPPへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、上記の方法は、播種された多能性幹細胞、中胚葉、および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。
【0255】
多能性幹細胞由来の複能性前駆体(iMPP)を、多能性幹細胞由来の中胚葉から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)中胚葉細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るステップと;(2)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞から分化させ、拡大するステップと;(3)HE細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、iMPPへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップを含む方法は、pre-HSC細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、ROCK阻害剤を含まないか、またはこれを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-HSCを、iMPPへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0256】
多能性幹細胞由来の複能性前駆体(iMPP)を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から分化させ、拡大するステップと;(2)HE細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、iMPPへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップを含む方法は、pre-HSC細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、ROCK阻害剤を含まないか、またはこれを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-HSCを、iMPPへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、上記の方法は、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0257】
多能性幹細胞由来の複能性前駆体(iMPP)を、多能性幹細胞由来の二次HE細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、iMPPへと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-HSCへと分化させるステップを含む方法は、pre-HSC細胞を、BMP活性化因子と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、ROCK阻害剤を含まないか、またはこれを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-HSCを、iMPPへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。一部の実施形態では、上記の方法は、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。
【0258】
5.多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞を導出すること(iCD34プラットフォームおよびiTプラットフォーム)
本発明の一態様は、最適化された多段階工程を使用して、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)または多能性幹細胞由来のT細胞を発生させる方法を提供する。一般に、方法は、中胚葉細胞を、分化させ、拡大する多能性幹細胞で始まる。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。次いで、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させる。その後、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、二次造血性内皮へと分化させ、同時に、培地中で、これらを拡大する。次いで、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させ、次いで、T細胞前駆体(pro-T)へと分化させ、同じ培地中で、これらを、引き続き、T細胞へと分化させることができる。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞を発生させる方法であって、播種された多能性幹細胞を、中胚葉へと分化させ、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させ、次いで、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、iHEへと分化させ、次いで、これらを、T細胞前駆体またはT細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。本発明は、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させ、次いで、これらを、iHEへと分化させ、次いで、これらを、ipro-TまたはT細胞へと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体またはT細胞を発生させる方法であって、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、iHEへと分化させ、次いで、これらを、ipro-TまたはT細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。さらに、本発明は、多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHEを、ipro-TまたはT細胞へと分化させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。本明細書で開示される方法は、最適化されたiCD34培養プラットフォームであって、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培養プラットフォームを活用する。一部の実施形態では、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4を含むがこれらに限定されないNotch因子を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。
【0259】
多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞(iT)を、多能性幹細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、播種された多能性幹細胞を、中胚葉へと分化させるステップと;(2)細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させるステップと;(3)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させるステップと;(4)HE細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-TまたはiTへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、細胞を、MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培地と接触させることにより、多能性幹細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL7、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップを含む方法は、pre-proT細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-proTを、ipro-TまたはiTへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性幹細胞由来のpro-Tを、1または複数のNotch因子と共にステップを含む。一部の実施形態では、Notch因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、またはDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。一部の実施形態では、上記の方法は、播種された多能性幹細胞、中胚葉、および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0260】
多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞を、多能性幹細胞由来の中胚葉から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させるステップと;(2)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させるステップと;(3)HE細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-TまたはiTへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL7、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップを含む方法は、pre-proT細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-proTを、ipro-TまたはiTへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性幹細胞由来のpro-Tを、1または複数のNotch因子と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、Notch因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、またはDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0261】
多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞(iT)を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、二次HE細胞へと分化させるステップと;(2)HE細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-TまたはiTへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL7、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップを含む方法は、pre-proT細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-iproTを、ipro-TまたはiTへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性幹細胞由来のpro-Tを、1または複数のNotch因子と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、Notch因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、またはDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。一部の実施形態では、上記の方法は、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0262】
多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(ipro-T)またはT細胞(iT)を、多能性幹細胞由来のHE細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、二次HE細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-TまたはTへと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL7、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-proTへと分化させるステップを含む方法は、pre-proT細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-iproTを、pro-TまたはiTへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性幹細胞由来のpro-Tを、1または複数のNotch因子と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、Notch因子は、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、またはDLL-4である。一部の実施形態では、DLL-1およびDLL-4を、可溶性ペプチド、ビーズへとコンジュゲートさせたペプチド、表面へとコンジュゲートさせたペプチド、または細胞により提示されたペプチドとして導入することができる。一部の実施形態では、上記の方法は、多能性幹細胞由来のHE細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0263】
6.多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞を得ること(iCD34プラットフォームおよびiNKプラットフォーム)
本発明の一態様は、最適化された多段階工程を使用して、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞(iNK)を発生させる方法を提供する。一般に、方法は、一部の実施形態では、播種される、多能性幹細胞で始まる。多能性幹細胞を、中胚葉細胞へと発生させ、これらを拡大し、その後、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させる。次いで、二次造血性内皮を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞から、分化させ、拡大する。HE細胞は、pre-proNKへと分化させ、次いで、NK細胞前駆体(pro-NK)へと分化させることが可能であり、同じ培地中で、これらを、引き続き、NK細胞へと分化させることができる。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞を発生させる方法であって、播種された多能性幹細胞を、中胚葉へと分化させ、中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させ、次いで、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、iHEへと分化させ、次いで、これらを、NK細胞前駆体へと分化させるステップを含む方法を提供する。本発明は、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来の中胚葉を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞へと分化させ、次いで、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、iHEへと分化させ、次いで、これらを、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップを含む方法をさらに提供する。代替的に、本発明は、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体またはiNKを発生させる方法であって、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を、iHEへと分化させ、次いで、これらを、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップを含む方法を提供する。さらに、本発明は、多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞を発生させる方法であって、多能性幹細胞由来のiHEを、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームは、pro-NK細胞を、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数と接触させることにより、NK細胞を導出するステップを含む。本明細書で開示される方法は、最適化されたiCD34培養プラットフォームであって、TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培養プラットフォームを活用する。
【0264】
多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞(iNK)を、播種されたiPSCから発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)細胞を、BMP活性化因子と、任意選択で、bFGFとを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞を、多能性幹細胞から分化させ、拡大するステップと;(2)中胚葉細胞を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより、中胚葉細胞内の、二次造血性内皮のポテンシャルを得るステップと;(3)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞から分化させ、拡大するステップと;(4)HE細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL3、IL7、IL15、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-iproNKへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-proNKへと分化させるステップを含む方法は、pre-proNK細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-proNKを、pro-iNKまたはiNKへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームは、pro-NK細胞を、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数と接触させることにより、NK細胞を導出するステップを含む。一実施形態では、上記の方法は、多能性細胞を、MEKi、GSKi、およびROCKiを含む培地と接触させることにより、ナイーブ多能性細胞を播種し、拡大するステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法は、播種されたiPSC、中胚葉、および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0265】
多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞(iNK)を、多能性幹細胞由来の中胚葉から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)中胚葉を、BMP活性化因子、Wnt経路活性化因子、およびbFGFを含む培地と接触させることにより中胚葉を分化させ、二次造血性内皮のポテンシャルを有する中胚葉細胞を得るステップと;(2)細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を分化させ、二次HE細胞を得るステップと;(3)HE細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより二次HE細胞を分化させ、ipro-NKまたはiNKを得るステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL3、IL7、IL15、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-proNKへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-proNKへと分化させるステップを含む方法は、pre-proNK細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-proNKを、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームは、pro-NK細胞を、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数と接触させることにより、NK細胞を導出するステップを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、中胚葉および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0266】
多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞(iNK)を、二次造血性内皮のポテンシャルを伴う、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、(1)二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、ROCK阻害剤と、VEGF、bFGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を分化させ、拡大するステップと;(2)HE細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップとを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL3、IL7、IL15、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-ipro-NKへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-pro-NKへと分化させるステップを含む方法は、pre-proNK細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-proNKを、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームは、pro-NK細胞を、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数と接触させることにより、NK細胞を導出するステップを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、播種された多能性幹細胞、中胚葉、および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0267】
多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(ipro-NK)またはNK細胞(iNK)を、多能性幹細胞由来のHE細胞から発生させる方法についての一実施形態では、方法は、二次HE細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数と、任意選択で、VEGF、bFGF、BMP活性化因子からなる群から選択される、1または複数の因子と、ROCK阻害剤とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップを含む。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一部の実施形態では、上記の方法は、HE細胞を、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、SCF、Flt3L、IL3、IL7、IL15、VEGF、およびbFGFからなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数とを含む培地と接触させることにより、二次HE細胞を、pre-iproNKへと分化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、二次HE細胞を、pre-ipro-NKへと分化させるステップを含む方法は、pre-proNK細胞を、SCF、Flt3L、IL3、IL7、およびIL15からなる群から選択される増殖因子およびサイトカインのうちの1または複数を含み、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まないか、またはこれらを本質的に含まない培地と接触させることにより、pre-proNKを、ipro-NKまたはiNKへと分化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、NK細胞前駆体を得るための培養プラットフォームは、ipro-NK細胞を、NKの増殖、発生、および成熟を刺激する人工抗原であって、ビーズコンジュゲーション、細胞膜粒子、および/または抗原提示細胞の形態で導入される人工抗原のうちの1または複数と接触させることにより、NK細胞を導出するステップを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、播種された多能性幹細胞、中胚葉、および/または二次造血性内皮のポテンシャルを伴う中胚葉細胞を、約2%~約10%の間の低酸素圧下に置くステップをさらに含む。一部の実施形態では、上記の方法から得られたiHE細胞は、CD34を発現する。一部の実施形態では、上記の方法は、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用して、得られたiHE細胞をソートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートするステップは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。一部の実施形態では、方法のBMP活性化因子は、BMP4である。一部の実施形態では、Wnt経路活性化因子は、GSK3阻害剤である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤は、Y27632またはチアゾビビンである。一部の実施形態では、上記の方法における培地は、TGFβ受容体阻害剤を含まないか、またはこれらを本質的に含まない。
【0268】
上記に照らすと、本明細書で想定される培養プラットフォームにより提示される利点のうちの1つは、多能性幹細胞の分化のためのEBの形成を伴わずに、単一多能性細胞を培養し、継代培養し、解離させることによる生存率および生存の増強である。一部の実施形態では、多能性幹細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。単一細胞懸濁液への解離など、細胞の、単一細胞への解離は、酵素的手段または機械的手段により達することができる。本発明の方法では、細胞の、単一細胞への解離を可能とすることが当技術分野で公知である、任意の酵素的薬剤を使用することができる。一実施形態では、解離剤を、トリプシン/EDTA、TrypLE-Select、コラゲナーゼIV、およびディスパーゼから選択する。また、EDTA、Accutase、またはAccuMaxなどのキレート剤も、本明細書で想定される方法に従う細胞の解離において、単独で、または酵素的薬剤と組み合わせて、使用することができる。解離剤は、単一細胞への解離を容易とするように、カルシウムおよびマグネシウムを含まないPBS中に溶解させることができる。一部の実施形態では、解離の間および解離後における細胞の生存を増強するために、生存促進物質、例えば、1または複数の増殖因子、細胞死およびアポトーシスに関与する細胞経路の阻害剤、または馴化培地を添加する。一実施形態では、生存促進物質は、チアゾビビンを含むがこれらに限定されない、ROCK阻害剤である。
【0269】
細胞培養および培地回収における技法については、Huら、Curr. Opin. Biotechnol.
、8巻:148頁、1997年;K. Kitano、Biotechnology、17巻:73頁、199
1年;Curr. Opin. Biotechnol.、2巻:375頁、1991年;Birchら、Bioprocess
Technol.、19巻:251頁、1990年;「Teratocarcinomas and embryonic stem cells: A practical approach」(E. J. Robertson編、IRL Press Ltd.、1
987年);「Guide to Techniques in Mouse Development」(P. M. Wassermanら編、Academic Press、1993年);「Embryonic Stem Cell Differentiation in vitro」(M. V. Wiles、Meth. Enzymol.、225巻:900頁、1993年);「Properties and uses of Embryonic Stem Cells: Prospects for Application
to Human Biology and Gene Therapy」(P. D. Rathjenら、1993年)にお
いて概括されている。幹細胞の分化については、Robertson、Meth. Cell Biol.、75
巻:173頁、1997年;およびPedersen、Reprod. Fertil. Dev.、10巻:31頁、1998年において総説されている。
【0270】
本発明では、特異的特徴付けにより細胞の集団を濃縮するための戦略が、方法の多様な段階で提供される。一実施形態では、多能性幹細胞を、細胞集団から濃縮する方法は、集団内の細胞を解離させることにより、単一細胞懸濁液を制作するステップと、細胞を再懸濁させるステップとを含む。解離させた細胞は、細胞を維持するか、または細胞ソートを実施するのに適する、任意の溶液中または培地中に再懸濁させることができる。特定の実施形態では、多能性単一細胞懸濁液は、GSK3阻害剤、MEK阻害剤、およびRock阻害剤を含有し、TFGβ阻害剤を欠く。ある特定の実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR99021であり、MEK阻害剤は、PD0325901であり、かつ/またはRock阻害剤は、チアゾビビンである。
【0271】
特定の実施形態では、多能性細胞をポジティブに選択するように、細胞の集団をソートし、かつ/または集団から、再プログラム化されていないか、もしくは非多能性細胞を枯渇させ、これにより、多能性細胞について濃縮された細胞の集団を得る。一実施形態では、単一細胞懸濁液を調製し、次いで、例えば、適切な抗体を使用して多能性のマーカーについて染色することなどによりソートするための単一細胞を調製する。細胞は、磁気ビーズソートまたはフローサイトメトリー(FACS)ソートなどにより細胞をソートする、任意の適切な方法によりソートすることができる。
【0272】
細胞は、限定せずに述べると、SSEA3/4、TRA1-60/81、TRA1-85、TRA2-54、GCTM-2、TG343、TG30、CD9、CD29、CD133/プロミニン、CD140a、CD56、CD73、CD105、OCT4、NANOG、SOX2、KLF4、SSEA1(マウス)、CD30、SSEA5、CD90、および/またはCD50の発現を含む、多能性についての1もしくは複数のマーカー、または細胞の分化を指し示すマーカーに基づきソートすることができる。様々な実施形態では、細胞を、多能性または分化についての、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのマーカーに基づきソートする。ある特定の実施形態では、細胞は、SSEA4の発現に基づきソートし、ある特定の実施形態では、TRA1-81および/またはTRA1-60と組み合わせた、SSEA4の発現に基づきソートする。ある特定の実施形態では、細胞を、SSEA4、TRA1-81、またはTRA1-60、および/またはCD30の発現に基づきソートする。一実施形態では、細胞を、SSEA4、TRA1-81、およびCD30に基づきソートする。別の実施形態では、細胞を、SSEA4、TRA1-60、およびCD30に基づきソートする。ある特定の実施形態では、分化についての1または複数の表面マーカーを使用する細胞のソートは、CD13、CD26、CD34、CD45、CD31、CD46およびCD7、ならびにSSEA4、TRA1-81、および/またはCD30などの多能性マーカーを含むがこれらに限定されない。
【0273】
一部の実施形態では、再プログラム化を経る細胞の集団、または多能性細胞の集団は、分化した細胞から枯渇される。一実施形態では、多能性細胞の集団、または再プログラム化するように誘導された細胞は、分化した細胞についての、1または複数の細胞表面マーカーを有する細胞から枯渇され得る。分化する細胞についての細胞表面マーカーの例示的な例は、CD13、CD26、CD34、CD45、CD31、CD46、およびCD7を含むがこれらに限定されない。特定の実施形態では、CD13を、分化細胞についての表面マーカーとして使用する。
【0274】
他の実施形態では、細胞の集団を、所望の系統へと分化するように誘導し、多能性細胞を枯渇させて、濃縮された分化しているか、または分化した細胞の集団を得る。一部の実施形態では、分化した細胞の集団は、特異的系統へと分化するように誘導されたESCまたはiPSCなどの細胞の集団を含む。一部の実施形態では、上記で記載したネガティブ細胞ソート法(「パニング」)、など、多能性のマーカーに基づく磁気ビーズまたはFACSに従う、集団内の細胞のソートを使用して、細胞の集団から、多能性細胞を枯渇させることができる。一部の実施形態では、分化細胞を含む細胞の集団を、多能性マーカーを使用するFACSによりソートし、多能性マーカーを発現する細胞を枯渇させた画分を得る。他の実施形態では、細胞の集団を、CD13、CD26、CD34、CD45、CD31、CD46、およびCD7を含むがこれらに限定されない系統特異的マーカーなど、分化についてのマーカーに基づくFACSによりソートして、多能性のマーカーを枯渇させた画分を得る。本発明の一部の特定の実施形態では、CD13を、分化細胞についての表面マーカーとして使用する。
【0275】
D.本明細書で提示される方法およびプラットフォームにより発生させた細胞集団および細胞株
一部の実施形態では、再プログラム化の後で培養した細胞を、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、18、20、22、24、26、28、30、32、35、40、42、もしくは45日間、またはこれらの間の任意の日数にわたり、分化するように誘導する。一部の実施形態では、再プログラム化の後で培養した細胞を、約1~42日間、2~40日間、2~35日間、2~20日間、2~10日間、4~30日間、約4~24日間、約6~22日間、または約8~約12日間にわたり誘導する。一部の実施形態では、細胞は、iPSCを含む多能性幹細胞である。一部の実施形態では、iPSCは、ナイーブiPSCである。一実施形態では、濃縮は、クローン多能性幹細胞由来の分化細胞コロニーを、比較的短時間で得、これにより、多様な段階にある、多能性幹細胞由来の分化細胞を発生させる効率を改善するための方法をもたらす。一実施形態では、濃縮は、CD34を発現するHE細胞、CD34を発現するHSC細胞、T細胞前駆体またはNK細胞前駆体、およびT細胞またはNK細胞を導出し、これにより、細胞集団の各々を発生させる効率を改善するための方法をもたらす。濃縮は、分化段階/細胞型を示す特異的な特徴的マーカーを発現する細胞を識別し、得るように、細胞の集団をソートすることを含みうる。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34、CD43、CD73、および/またはCXCR4を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性およびCD43陰性を使用する。一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、およびCD73陰性を使用する。他の一部の実施形態では、ソートすることは、CD34陽性、CD43陰性、CD73陰性、およびCXCR4陰性を使用する。さらなる濃縮法は、所望されない細胞型を表すマーカーを発現する細胞の枯渇であって、所望される細胞型の、濃縮された集団を得る枯渇を含む。
【0276】
従って、本発明の一態様は、(i)多能性幹細胞由来のCD34+ HE細胞(iCD34)であって、上記iCD34細胞が、複能性前駆細胞へと分化する能力を有し、CD34+ CD43-である、CD34+ HE細胞;(ii)多能性幹細胞由来の二次造血性内皮(iHE)であって、上記iHE細胞株またはクローン細胞がCD34+である、二次造血性内皮;(iii)多能性幹細胞由来の二次HSC(iHSC)であって、CD34+ CD45+であり、長期にわたる生着に適するiHSC;(iv)多能性幹細胞由来の複能性前駆細胞(iMPP)であって、上記iMPP細胞がCD34+ CD45+である、複能性前駆細胞;(v)多能性幹細胞由来のT細胞前駆体(iproT)であって、CD34+ CD7+であるT細胞前駆体;(vi)多能性幹細胞由来のT細胞(iTC)であって、CD4+またはCD8+であるT細胞;(vii)多能性幹細胞由来のNK細胞前駆体(iproNK)であって、CD56+ CD3-であるNK細胞前駆体;ならびに(viii)多能性幹細胞由来のNK細胞(iNK)であって、CD56+CD57+CD16+であるNK細胞の、1または複数の細胞集団、細胞株、またはクローン細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、上記の組成物、細胞集団、細胞株、またはクローン細胞は、低温保存に適する。一部の実施形態では、組成物、細胞集団、細胞株、またはクローン細胞は、12時間、24時間、36時間、48時間を超えるが、3日間、4日間、5日間、6日間、または1週間を超えない期間にわたる周囲保存条件に適する。
【0277】
本発明の別の態様は、(i)CD34+ HE細胞(iCD34)、ならびにiMPP-A、iTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、iTC-B2、iNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1もしくは複数の培養培地;(ii)二次造血性内皮(iHE)、ならびにiMPP-A、iTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、iTC-B2、iNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1もしくは複数の培養培地;(iii)二次HSC、ならびにiMPP-A、iTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、iTC-B2、iNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1もしくは複数の培養培地;(iv)複能性前駆細胞(iMPP)およびiMPP-A;(v)T細胞前駆体(iproT)、ならびにiTC-A1、iTC-A2、iTC-B1、およびiTC-B2から選択される、1もしくは複数の培養培地;(vi)T細胞(iTC)、およびiTC-B1もしくはiTC-B2;(vii)NK細胞前駆体(iproNK)、ならびにiNK-A1、iNK-A2、iNK-B1、およびiNK-B2から選択される、1もしくは複数の培養培地;ならびに/または(viii)NK細胞(iNK)、およびiNK-B1もしくはiNK-B2;(ix)HSC(iHSC)、ならびにiHSC-A、iHSC-B、およびiHSC-Cに由来する多能性幹細胞のうちの1または複数を含む混合物であって、
a.iHSC-Aが、Wnt経路活性化因子およびBMP活性化因子を含み;
b.iHSC-Bが、Wnt経路活性化因子と、BMP活性化因子と、任意選択で、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含み;
c.iHSC-Cが、BMP活性化因子と、VEGF、SCF、Flt3L、IL15、IL3、IL6、IGF、およびTPOからなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含む。一部の実施形態では、組成物が、Wnt経路活性化因子と、TGFβ受容体/ALK阻害剤とを含まず;
d.iTC-A1が、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、IL7、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4からなる群から選択される、1または複数のNotch経路活性化因子とを含み;一部の実施形態では、組成物が、VEGFおよび/またはIL15を含まず;
e.iTC-B1が、SCF、Flt3L、IL7、IGF、IL2、IL3、およびIL6からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインと、Jag1、Jag2、DLL-1、DLL-3、およびDLL-4からなる群から選択される、1または複数のNotch経路活性化因子とを含み(iHSCプラットフォーム);一部の実施形態では、組成物が、BMP活性化因子を含まず;
f.iNK-A1が、BMP活性化因子と、SCF、Flt3L、VEGF、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
g.iNK-B1が、SCF、Flt3L、IGF、IL7、IL2、IL3、IL6、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み;
h.iCD34-Cが、ROCK阻害剤と、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;TGFβ受容体/ALK阻害剤を含まず;
i.iMPP-Aが、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、TPO、IL3、GMCSF、EPO、bFGF、VEGF、SCF、IL6、およびIL11からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
j.iTC-A2が、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、およびbFGFと;SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
k.iTC-B2が、SCF、Flt3L、およびIL7からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含み;組成物が、VEGF、bFGF、BMP活性化因子、およびROCK阻害剤のうちの1または複数を含まず;
l.iNK-A2が、BMP活性化因子と、ROCK阻害剤と、VEGF、およびbFGFと、SCF、Flt3L、IL7、IL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインとを含み;
m.iNK-B2が、SCF、Flt3L、IL7、およびIL15からなる群から選択される、1または複数の増殖因子およびサイトカインを含む
混合物を提供する。
【実施例0278】
以下の実施例は、例示を目的として提示されるものであり、限定を目的として提示されるものではない。
【0279】
(実施例1)
hiPSCの発生および維持
OCT4/SOX2/LargeT、OCT4/SOX2、またはOCT4/SOX2/NANOG/LargeTを含む多様な因子の組合せを、ROCK経路阻害剤、MEK経路阻害剤、GSK3経路阻害剤、およびTGFβ受容体阻害剤を含有する再プログラム化培地(Valamehrら、Sci Rep.、2012年、2巻:213頁)の存在下で使用して、
線維芽細胞および血液細胞を含む体細胞を、多能性状態へと再プログラム化するように誘導した。誘導の14日後、再プログラム化集団を、ROCK経路阻害剤、GSK3経路阻害剤、およびMEK経路阻害剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、および白血病阻害因子(LIF)を含有する維持培地(Valamehrら、Stem Cell Reports、2014
年、2巻(3号):366~381頁)へと切り換えた。細胞を、無制限に、維持培地中で保った。
【0280】
誘導のおよそ3週間後、再プログラム化集団を、96ウェルプレートの個々のウェルへとソートした。選択されたクローンを特徴付け、完全に再プログラム化されたクローンであって、ナイーブhiPSCを表すクローンを、分化研究のために選択した(Valamehrら、Stem Cell Reports、2014年、2巻(3号):366~381頁)。維持の間お
よび分化後における未分化細胞パーセントを決定するために、フローサイトメトリー解析を、SSEA4、TRA181、およびCD30の同時表面発現について行った。
【0281】
(実施例2)
iHSC培養プラットフォームを使用する造血分化
造血系統細胞への分化を誘発するために、ナイーブhiPSCを、維持培地中単層として播種し、およそ25%のコンフルエンシーに達するまで拡大させた。この時点で、培養培地を、iHSC-Aへと切り換えることにより、造血分化を誘発した(
図1を参照されたい)。
図1に例示される通り、その後、分化の誘発の48時間後に、培養物を、iHSC-Bへと切り換えるのに続き、分化の誘発の4~5日目に、iHSC-Cへと切り換えた。付着培養物は、接着させたまま維持し、培地交換の間に撹乱しなかった。
【0282】
分化工程中の早期に、指向性分化を、系統マーカーである、CD57、NESTIN、SOX17、およびBRACHYURYによりモニタリングした。
図3は、指向性分化による、外胚葉系統から離れ、中胚葉系統に向かうシフトを示す。後続の分化段階を通して、造血細胞のクラスターと類似する形態である丸い細胞(
図4A)、hiPSC関連表面マーカーの喪失(
図4B)、ならびにBrachyury、CD34、CXCR4、およびCD45など、表面マーカーの出現(
図4Cおよび4D)からなるhiPSC形態が、分化集団へと付与された。9日目(この時点は、最適には14日目まで延長されうる)に、細胞を、単一細胞へと解離させ、CD34およびCD45の表面発現について解析した(
図5A~5C)。単一細胞の解離は、最も一般的にはAccutaseによって支援され、40μmのメッシュを通して濾過して単一細胞を回収した。FACS AriaまたはMACSによる濃縮を使用して、CD34陽性細胞またはCD34およびCD45陽性細胞を、さらなる処理および試験のために回収した。
【0283】
(実施例3)
iHSC培養プラットフォームを使用する分化に続く、in vitroにおける特徴付けおよび試験
分化させた二次造血幹細胞の拡大可能性およびそれが維持されるかを決定するため、CD34でソートまたは濃縮された集団を、Stemspan造血幹細胞培養培地(StemCell Technologies、Vancouver、Canada)、1×CC110サプリメント(StemCell Technologies)、10ng/mLのbFGF、および5μMのチアゾビビンまたは10μMの27632 ROCK阻害剤を補充した(最初の数日間、生存を改善するために培養中に)懸濁培養物へと移した。培養に、新鮮培地を、隔日でフィードし、ピペッティングして、CD34陽性でソートされた細胞の分裂から生じる凝集物をバラバラにした。数週間培養した後、スケーリングされた懸濁培養を、表面マーカーの発現および生細胞数によって評価および測定した。
図8で裏付けられる通り、CD34ソート集団は、CD34集団の喪失を最小限として、培養で22日間にわたり維持された。懸濁培養物の生存率を改善するために、ROCK経路の低分子阻害剤を添加した。
図7は、ROCK阻害の存在下における、単一細胞解離物の継代培養後の細胞の生存および増殖を示す。
図6A~6Cは、
図1に記載される分化法の改善であって、単層培養およびEB培養の両方へと適用された改善を示すが、単層フォーマットでは、EBにより介在される分化と比較して、より高パーセントのCD34細胞が存在することが示された。
【0284】
(実施例4)
iHSC培養プラットフォームを使用する分化に続く、in vivoにおける再構成
導出された二次造血幹細胞の、in vivoにおける機能性および生着のポテンシャルを示すために、上記で記載したhiPSC分化工程から導出されたCD34陽性細胞を、FACS Ariaを使用してソートするか、またはMACSビーズを使用して濃縮した。回収された細胞を、トリパンブルー染色によりカウントして、生存率を決定した。およそ30,000個のCD34陽性生細胞を、HBSS中に再懸濁させ、眼窩後注射を介して、NSGマウスへと導入した。NSGマウスは、生着研究の前に、致死線量未満の300radで、24時間にわたり照射した。加えて、ソートされていない分化集団(最大で250,000個)のほか、ヒト末梢血もまた、対照として、NSGマウスへと導入した。2週間ごとに、マウスから採血し、CD45、CD11b、CD19、およびCD3を含むヒト特異的マーカーを使用して、ヒト血液の寄与について評価した。
図9Aは、ヒトCD45マーカーをもっぱら発現する細胞の存在と共に見られる通り、生着したCD34陽性細胞の、12週間にわたる再構成を裏付ける。データはまた、骨髄系集団およびリンパ系集団の両方を発生させる、生着細胞の多系統能も示す。
図9Bは、T細胞およびB細胞の両方を伴う、CD34+細胞の、18週間にわたる再構成を裏付ける。
【0285】
(実施例5)
iHSC培養プラットフォームを使用する分化に続く、低分子モジュレーション
薬理学的モジュレーションに応答する、hiPSC由来のCD34陽性二次造血幹細胞の能力について評価するため、CD34でソートまたは濃縮された細胞を、公知のモジュレーターで処理した。37℃で一晩にわたるインキュベーションの後、CD34陽性細胞を、表面PDL1発現の上方調節を含む薬理学的応答についてフローサイトメトリーにより評価した。媒体対照と比較して、優により多く処理されたCD34細胞は、開示される方法を使用して、ナイーブhiPSCから導出されたCD34陽性細胞の、免疫調節潜在力の指標である、集団全般の全発現の増大に加えて、PDL1表面タンパク質の上方調節(
図11を参照されたい)を裏付けた。
【0286】
(実施例6)
iHSC培養プラットフォームを使用する分化に続く、特異的造血系への分化の継続
ソートまたは濃縮されたCD34陽性細胞を、造血系へと、T細胞およびNK細胞を含む、多様な特異的細胞型に向かってさらに分化させた。T細胞に特異的なCD34陽性細胞を濃縮して、フィーダー細胞を含有しない懸濁培養物またはOP9間質細胞を含有する接着培養物またはマトリゲルコーティングされた表面へと移した。設定に関わりなく、培養物に、可溶性DLL1およびDLL4を含有するiTC-A1を補充した(
図1)。およそ10日後、培養の設定を、iTC-B1へと切り換えて、T細胞の成熟を完了させた。およそ30~40日後(当初の分化誘導後)、細胞集団を、CD3、CD7、TCRαβ、CD4、およびCD8の表面発現を含むT細胞の組成について評価した。
図10は、in vitroにおける、導出されたCD34陽性細胞の分化能力であって、CD7集団からの、CD4およびCD8の発現により規定される、別個のT細胞の集団を発生させる分化能力を示す。
【0287】
NK細胞に特異的なCD34陽性細胞を、IL15、iNK-A1培地(
図2)を含む分化培地で、およそ10日間にわたり処理し、iNK-B1培地(
図2)へと切り換えて、さらに10~20日間にわたり処理した(
図10におけるCD56陽性集団を参照されたい)。培養は、懸濁フォーマットで実施した。
【0288】
本明細書で記載される多段階分化プラットフォームは、逐次的分化法を使用して、二次造血幹細胞を、多能性幹細胞を含む、様々な幹細胞、前駆細胞、または分化転換細胞から導出する工程を示した。導出されたCD34陽性造血幹細胞は、スケーリングのために、懸濁培養物中で保つことができ、造血幹細胞、T細胞、およびNK細胞を含む、多系統の造血細胞型を発生させうる。さらに、導出されたCD34陽性二次造血幹細胞は、免疫調節性表面タンパク質であるPDL1を上方調節することにより、薬理学的モジュレーションに応答することも示された(
図11)。なおさらに、生着させると、導出されたCD34陽性細胞は、骨髄系集団およびリンパ系集団の両方の再構成を含む、in vivoにおける再構成が可能であった(
図9)。多能性幹細胞を含む多様な集団から導出された二次造血幹細胞は、患者特異的治療および再生への医学適用に理想的な候補物質である。
【0289】
(実施例7)
iCD34培養プラットフォームを使用する造血分化、および生着のポテンシャルを有するHE集団の識別
上記のiHSCプラットフォームを、造血系細胞の分化のためにさらに最適化した。造血系への分化を誘発するため、hiPSCを、0日目(D0)に、維持培地中の単層として播種し、約24時間にわたり、接着および拡大を可能とした。1日目であるこの時点で、維持培地を除去し、維持因子を伴わない基礎培地に置きかえた。培養培地を、iCD34-Aへと切り換えることにより、約2日目に、造血分化を誘発した(
図12を参照されたい)。
図12に例示される通り、3日目に、培養培地に増殖因子であるbFGFを補充し、その後、分化のために、iCD34-B培地へと切り換えた。それらを単一細胞へと解離させる時点である約5日目~6日目まで、単層を維持し、約10日目における分化まで、iCD34-C培地中の、低密度の単層として播種した。約2日目における造血分化の開始から、分化の約10日目まで、低酸素圧(2~10%のO
2)を維持した。
【0290】
培養工程中に、造血系への指向性分化を、単層の、単一細胞への解離と、CD34、ならびに、任意選択で、CD43、CD45、CXCR4、およびCD73である表面マーカーの発現についての解析とによりモニタリングした(
図15A)。分化の約8日目に、HEを表す細胞集団の出現を、細胞表面発現シグネチャーであるCD34+により観察した。CD34+細胞内ではまた、CD43- CXCR4- CD73-も観察された。CD34+集団は、約10日目まで維持された(
図15A)。約9日目まで早めることもでき、約12日目まで延期することもできる、10日目時点で、細胞を、単一細胞へと解離させ、CD34+ HE集団を、BD FACS Ariaを使用するFACSにより、さらなる解析および機能的な評価のためにソートした。造血アウトプット能の例として、単一のiPSCのインプットに対し、合計463個のCD34+細胞(
図15A)および41個のCD34+ CD43- CXCR4- CD73-細胞(
図15A)が発生し、二次HE細胞への転換率は、少なくとも2.5%であった。
【0291】
hiPSC由来のiHEの生着のポテンシャルを裏付けるため、10日目におけるCD34+細胞をソートし、上記で記載したiMPPアッセイにおいて、7日間にわたり培養した。培養(10日間にわたるiCD34の培養に、7日間にわたるiMPPの培養を加えた)合計17日間の後、眼窩後注射を介して、およそ400,000個の細胞を、NSGへと注射した。200,000個の臍帯血CD34+細胞を、対照としての別個のマウスへと注射した。
図33は、マウスの末梢血中の、ヒトCD45マーカーを発現する細胞の存在により見られる通り、生着したCD34陽性細胞の、5週間にわたる再構成を裏付ける。
【0292】
(実施例8)
低分子、サイトカイン、およびプレーティング密度のモジュレーションによる、HE発生の最適化
約10日間にわたる分化の後における、HEの、hiPSCからの効率的な発生を最適化するため、いくつかのパラメータについて検討した。分化の0日目における、単層の最適なプレーティング密度を、matrigel(商標)でコーティングした6ウェル培養ディッシュ上にhiPSCをプレーティングし、ウェル1つ当たり7.5×10
4個からウェル1つ当たり1.5×10
5個へと量を増大させ、次いで、約10日目に、CD34+ HE集団の発生を解析することにより評価した。
図16Aは、細胞のプレーティング密度を増大させると、CD34+細胞の全百分率は増大するが、CXCR4- CD73- HE亜集団は減少することを裏付ける。この減少にも拘らず、10日間にわたる単層分化の後における、hiPSCの、HEへの転換率は、ウェル1つ当たり1.5×10
5個の最高被験プレーティング密度のときに最高であった(
図15C)。
【0293】
造血分化の初期段階における、BMP4の濃度のモジュレーションの、HEの発生に対する効果は、分化の約2日目~約6日目において、0ng/ml~30ng/mlの範囲にわたり濃度を増大させるBMP4で培養物を処理することにより評価した。10日目におけるHEの発生を、CD34+ HE集団の検出により評価した。
図16Cは、2日目~6日目においてBMP4の濃度を増大させると、10日目において、閾値を下回るBMP4濃度で、HE集団が増大することから、約3ng/mLの最適濃度が指し示されることを裏付ける。
【0294】
Wnt経路活性化因子であるCHIR99021は、hiPSCからの二次造血プログラムの誘導の一因である。造血分化プロトコールの誘導相における、CHIRのモジュレーションの効果は、約3.75日目~約6日目において、CHIRの濃度を増大させて培養を処理することによって評価した。
図16Dは、CHIR99021の濃度を増大させると、CD34+細胞の全百分率は増大するが、HE亜集団の百分率は減少することから、CHIR99021の最適濃度は、およそ1uMであることを裏付ける。
【0295】
指向性分化プロトコールの6日目において、単層培養物を、単一細胞へと解離させ、HEへとさらに分化させるために、単層として再プレーティングした。6日目におけるプレーティング密度は、
図16Eで裏付けられる通り、HEの発生に影響を及ぼすことが示された。この図は、細胞の濃度を、1.5×10
5個から、7.4×10
4個へと減少させると、HE集団の百分率は増大することを示す。
【0296】
指向性分化のための先のプロトコールは、HEの発生の間に、IGF1サイトカインおよびEPOサイトカインの添加を要求した。
図16Fは、IGF1およびEPOの添加が、約10日目において観察される、HEの百分率を減少させ、これらの因子の除去が、分化法の改善を結果としてもたらすことを示す。
【0297】
(実施例9)
Notch依存性の造血およびMPPの分化による、HEの造血ポテンシャルの決定
hiPSC由来の二次集団の造血ポテンシャルを裏付けるため、FACSを使用して、HE細胞をソートし、
図12の複能性前駆体アッセイ(iMPP)で記載される通り、CD45+造血前駆体を発生させる、内皮から造血への移行を経るそれらの能力について評価した。およそ30,000個のCD34+ HE細胞を、懸濁液中の凝集物として、iMPP-A培地中で、一晩にわたり培養し、次いで、単層としてプレーティングし、6~8日間にわたり、さらに培養した。
図17Aは、丸い造血細胞の出現を伴う、単層培養物中の表現型の変化、およびフローサイトメトリー染色により、6~8日間の培養期間にわたってCD45+の存在が識別されることを示す。
【0298】
指向性分化プロトコールの10日目に発生したHE集団が、二次HEを表すのかどうかについて評価するため、CD34+でソートされたHE細胞を、Notch経路阻害剤であるガンマセクレターゼ阻害剤(γSI)で、iMPPアッセイの持続期間である7~9日間にわたり処理した。新鮮なγSIを、2日ごとに、iMPP-A培養培地へと添加した。約8日後、単層培養物を、フローサイトメトリーにより、CD45+造血細胞の出現について評価した。γSIで処置された培養中では、媒体対照と比較して、有意により少ないCD45+細胞が見られたことから、Notchシグナル伝達経路への依存性、および二次HEの存在が裏付けられる(
図17B)。
【0299】
(実施例10)
酸素条件の操作を介する、HEおよびiMPPの発生の最適化
酸素環境が、二次HEおよびiMPP造血前駆体の発生に影響を与えるのかどうかについて評価するため、hiPSCを、
図12で記載されている通り、正常酸素(21%のO
2)条件下または低酸素(5%のO
2)条件下で分化させた。分化の約10日目に、単層を、フローサイトメトリーにより、CD34+ HE集団の存在について、カウントし、評価した。
図18Aに見られる通り、低酸素条件下の分化は、発生するCD34+ HEの量の増大を結果としてもたらした。低酸素条件下で発生させたHEが、CD45+造血前駆体を発生させるポテンシャルを保持していたことを確認するために、正常酸素条件および低酸素分化条件によるCD34+細胞を、FACSにより単離し、iMPPアッセイにより評価した。いずれの条件下で発生させたHEも、同等のiMPPポテンシャルを有することから、低酸素条件下の造血分化は、二次HEのアウトプットを増大させることが指し示される(
図18B)。
【0300】
(実施例11)
8日目の分化培養物およびHEの低温保存
直接的分化プロトコールの約10日目において、全培養物を、解離させて、10%のDMSOを補充した8日目の培地中の低温保存後において、造血ポテンシャルを維持するそれらの能力について評価した。融解させた細胞を、再懸濁させ、その後、
図12で記載されている通り、iMPP-A培地中で、7日間にわたり培養してから、フロー解析にかけた。
図19Aに見られる通り、低温保存された10日目の細胞は、凍結/融解工程後も生存し、CD45+細胞の存在により見られる通り、非凍結対照と同等の造血ポテンシャルを有していた。
【0301】
ソートされたCD34+細胞を、低温保存後において、造血ポテンシャルを維持するそれらの能力について評価した。低酸素条件下で発生させた、10日目のiCD34を単離し、
図12で記載されている通り、直接iMPPアッセイへとプレーティングするか、またはiMPP-A培地中で7日間にわたり低温保存し、次いで、融解させ、iMPPアッセイにプレーティングした。
図19Bに見られる通り、低温保存されたHEは、凍結/融解工程後も生存し、非凍結対照と比較して効率は低下しているが、CD45+細胞の存在により見られる通り、造血ポテンシャルを維持することが可能であった(
図19B上パネル)。低温保存されたiCD34はまた、より高い密度(ウェル1つ当たり細胞200,000個)でもプレーティングしたが、これは、CD45+細胞のアウトプットを増大させるように見えた(
図19D)。
【0302】
(実施例12)
一晩にわたる出荷後における、8日目の分化培養物の回復
6ウェルプレートによる6日目の分化培養物を、フラスコ1つ当たり細胞200,000個の播種密度で、T25培養フラスコへと継代培養し、次いで、8日目に培地で完全に満たし、発泡スチロール製の箱の中で一晩にわたり保って、新鮮な細胞を、低温保存の必要なしに、直接出荷することの実施可能性について評価した。可能な限りにわたり37℃の温度を保持するために、当初に37℃の水浴中で保たれた保冷パックもまた、発泡スチロール製の箱に添付した。2つの培地組成物:8日目のステップで活用される、30%の濃度のサイトカインおよびモルフォゲンを伴うフラスコ(
図12)と、100%の濃度のサイトカインおよびモルフォゲンを伴うフラスコとについて、37℃のインキュベーター内で保たれた対照フラスコと共に調べた。9日目に、これらのフラスコを箱から取り出し、フラスコに新たなキャップを取り付けると共に、培地を、8日目の培地10mLで置きかえ、回復させてから、CD34+ HE集団の存在についての、10日目のフロー解析のために処理した。
図20に見られる通り、HEの全般的なアウトプットは、全ての条件間で同等であったことから、8日目の培養物の新鮮なままでの一晩にわたる出荷の、HE細胞を送達するための有効な手段としての実施可能性が裏付けられる。
【0303】
(実施例13)
DLL4を発現する間質細胞を使用する、HEの、成熟Tリンパ系および成熟NKリンパ系への分化の継続
ソートされたCD34+ HE細胞を、Tリンパ系およびNKリンパ系へとさらに分化させた。T細胞に特異的なHE細胞をソートして、低付着型組織培養物プレート上で、BMP4、SCF、Flt3L、およびIL7を含有するiTC-A無血清分化培地(
図13)中の凝集物として、16時間にわたり培養した。16時間後、凝集した細胞を、SCF、Flt3L、およびIL7を含有するiTC-B分化培地に、DLL4を発現する間質細胞を含有する接着培養に移した。5日後、iTC-B培地を維持して、T細胞の分化を完了させた。培養のおよそ10日後(HEの単離後)、細胞表面マーカーであるCD34およびCD7の同時発現により、培養物を、T細胞前駆体の発生について評価した。およそ15~20日間にわたるさらなる分化の後で、これらのCD34+ CD7+ T細胞前駆体は、CD4およびCD8の発現により見られる通り、成熟T細胞の別個の集団を発生した。
図21は、同時培養物中で発生したCD45+ CD56-集団についての解析により、in vitroにおける、10日目のHE集団の分化能力であって、早期T細胞前駆体および成熟T細胞サブセットを発生させる分化能力について示す。
図26は、培養のおよそ30日後(HEの単離後)、同時培養物中で発生したCD45+ CD56-集団についての解析により、in vitroにおける、10日目のHE集団の分化能力であって、成熟T細胞サブセットを発生させる分化能力について示す。
【0304】
NK細胞に特異的なHE細胞をソートして、低付着型組織培養物プレート上で、BMP4、SCF、IL3、IL15、Flt3L、およびIL7を含有するiNK-A無血清分化培地(
図14)中の凝集物として、16時間にわたり培養した。16時間後、凝集した細胞を、SCF、IL3、IL15、Flt3L、およびIL7を含有するiNK-B分化培地中に、DLL4を発現する間質細胞を含有する接着培養へと移した。5日後、iNK-B培地を維持して、NK細胞の分化を完了させた。培養のおよそ10~15日後(HEの単離後)、培養物を、NK細胞前駆体の発生について評価した後、さらに10~15日間にわたる培養の後において、成熟NKサブセットについても評価した。CD56およびCD161(NKR-P1A)は、早期NK細胞の発生の間に発現する第1の細胞表面マーカーであり、これに続いて、後期の成熟NK細胞サブセット上では、CD16、KIR、CD8、およびNKG2D(CD314)が発現する。
図22は、同時培養物中で発生したCD45+集団についての解析により、in vitroにおける、10日目のHE集団の分化能力であって、早期NK細胞前駆体および成熟NK細胞サブセットを発生させる分化能力について示す。NK細胞前駆体の成熟を増強する代替的な方法は、懸濁培養物中の、フィーダー細胞との同時培養である。20日目のiNK細胞を、DLL4-間質細胞培養物から、SCF、IL15、FLT3L、およびIL7を含有するiNK-B培地中のフィーダーベースの懸濁培養物へと移し、さらに12日間にわたる培養下に置いた。
図27は、間質およびフィーダーベースの同時培養物中で発生したCD45+集団についての、末梢血由来のNK細胞と比較した解析により、in vitroにおける、フィーダー懸濁培養物を使用する、10日目のHE集団の分化能力であって、成熟NK細胞サブセットを発生させる分化能力について示す。hiPSC由来のCD34+細胞を、NK系統細胞へと、20日間にわたり分化させ、次いで、さらに成熟させるために、懸濁培養物に入れた。成熟NK系統マーカーは、CD56、CD122、NKp30、CD94、CD16、NKG2D、およびKIRにより規定される成熟NK細胞の存在を識別する。
【0305】
(実施例14)
高度にスケーラブルな拡大戦略を可能とする、単層hiPSC造血分化プラットフォーム
hiPSCを、
図12~14で記載される、組成既知、無血清で、フィーダーフリーの培養物中の単層として播種し、造血細胞へと分化させ、凝集下にあるhiPSC状態であって、造血分化の誘発の前に胚葉体を形成するhiPSCセットアップ(Kennedyら、Cell Reports、2012年、1722~1735頁)と比較した。いずれの培養物セットも、初期出発数として、100,000個のhiPSCを使用した。造血分化工程において、細胞カウントおよび表現型の評価を慣用的に行って、各系の拡大ポテンシャルを裏付けた。
図23で示される通り、分化の6日目までに、単層培養物では、顕著な数のCD34陽性細胞(CD34陽性細胞が検出されなかったEBフォーマットと対比して、200万個超のCD34+細胞)が検出された。分化の8日目に、単層フォーマットは、およそ240万個の細胞を発生させたが、EBフォーマットでは、CD34陽性細胞の検出は、およそ100,000個に過ぎず、出発材料としてのiPSCがほぼ同数であるにも拘らず、およそ24倍の差が見られた。加えて、評価時に、単層フォーマットからは、二次造血を示唆するCD34+ CD43-細胞のみが作製されたのに対し、EBフォーマットからは、一次造血を示唆するCD34+ CD43+が大半の細胞が作製された(Kennedy
ら、2012年)。
図24は、オフザシェルフのiNK細胞およびiT細胞を産生するための、本明細書で開示される、単層hiPSC造血分化プラットフォームのスケーラブルな拡大をさらに示す。本明細書で提示される多能性細胞クローン拡大プラットフォームは、例えば、1個の多能性細胞クローンから、各々が治療的に機能的な、10
6個を下回らないNK細胞またはT細胞を有する、治療用量のバイアル約100万本への、オフザシェルフ用のスケーラビリティーを確保する。開示されるクローン拡大は、広範な均質性をさらにもたらし、従って、製品の一貫性、品質管理、および品質保証を確保する。一部の実施形態では、1個の多能性細胞クローンは、遺伝子操作される。
【0306】
(実施例15)
iCD34+細胞の免疫調節特性
hiPSC由来のCD34陽性細胞(iCD34)の免疫調節能力を決定するため、CD34でソートされた細胞を、iMPP-A培地中で、末梢血由来の、CD3を発現する活性化T細胞と共に同時培養した。37℃で5日間にわたるインキュベーションの後、同時培養物を、カウンティングビーズと混合し、フローサイトメトリーを介してアッセイして、各試料中の細胞の絶対数を決定した。
図25は、CD3+ T細胞単独を含有する培養物との比較により見られる、hiPSC由来のCD34+細胞の免疫調節ポテンシャルについて示すが、hiPSC由来のCD34+細胞と共に同時培養されたCD3+ T細胞が、細胞の生存を低減したのに対し、培養物中のCD34+細胞の総数は、影響を受けなかった。
【0307】
(実施例16)
サイトカインの放出および脱顆粒により見られる、サイトカイン誘導性活性化による、iNK細胞機能の決定
hiPSC由来の成熟iNK細胞の機能性を裏付けるため、20日目(HEの単離後)に、iNK細胞を、SCF、IL15、IL7、およびFlt3Lを含有するiNK-B培地に、さらに10日の間、フィーダーベースの懸濁培養物へと移した。10日間にわたるさらなる培養の後、iNK細胞を、IL12およびIL18で刺激して、iNK細胞の活性化を誘導した。iCD34由来のiNKは、末梢血NK細胞と同様の様式で、サイトカインの刺激に応答し、炎症促進性サイトカインを分泌した。
図28は、CD107A(脱顆粒を表す細胞表面マーカー)の発現、およびCD45+ CD56+ゲーティング戦略に基づく、インターフェロンガンマについての細胞内染色により見られる、iNK細胞の活性化であって、同じ間質およびフィーダー懸濁液による同時培養物と、末梢血由来のNK細胞とを使用して発生させた、臍帯血由来のNK細胞と比較した活性化について示す。
【0308】
(実施例17)
T細胞およびNK細胞を発生させるための間質フリーの分化培養物の確立
間質フリーの分化プラットフォームを使用して、臍帯血由来のiT前駆体およびiNK前駆体、ならびにhiPSC由来のiT前駆体およびiNK前駆体を発生させるためにさらに、上記のTリンパ系およびNKリンパ系の分化プラットフォームを最適化した。
【0309】
NK細胞に特異的な、濃縮された臍帯血CD34+細胞を、DLL4タンパク質または対照タンパク質を含有する培養プレート内の、SCF、Flt3L、IL3、IL15、およびIL7を含有するiNK-A無血清分化培地にプレーティングした。5日後、iNK-B培地を維持して、NK細胞の分化を完了させた。培養のおよそ10~15日後、培養物を、NK細胞前駆体の発生および骨髄性細胞が存在しないことについて評価した。CD56、CD7、およびCD161は、NK細胞の発生の間に発現する、最初の細胞表面マーカーである。CD11bおよびCD14は、骨髄性細胞サブセット上で発現する細胞表面マーカーである。
図29は、臍帯血CD34+細胞の、NK細胞への間質フリー分化について示す。CD45+ゲーティング戦略を使用したところ、プレートに結合させたDLL4は、CD56+ CD7+ CD161+ NK細胞前駆体の、間質ベースの培養物および間質フリーの対照培養物と比較して、より急速で効率的な分化を支援し、臍帯血CD34+細胞は、DLL4を発現する、間質フリーの分化プラットフォームにおいて、従来の間質ベースの分化プラットフォームと同様の様式(表現型に関して)で、早期NK細胞前駆体(pro-NK)を発生させる、in vitroにおける分化能力を有することが示された。早期NK系統マーカーにより、CD56、CD7、およびCD161により規定されるproNK細胞が存在することと、骨髄性マーカーである、CD11bおよびCD14が存在しないこととが識別される。
【0310】
間質フリーの分化プラットフォームにおいて、iNK細胞前駆体を発生させるときの、hiPSC由来のHE細胞の能力を裏付けるため、10日目のCD34+ iHEソート細胞を、iNK-A2培地において、DLL4タンパク質または対照タンパク質を含有する培養物中で培養した。次いで、hiPSC由来のCD34+細胞を、NK系統細胞へと、20日間にわたり分化させ、次いで、さらに成熟させるために、懸濁培養に置いた。
図30は、CD45+ゲーティング戦略を使用して、CD56、CD161、およびCD94の発現により見られるような、iNK細胞前駆体を発生させるhiPSC由来のiHEの能力を示す。プレートに結合したDLL4は、CD56+ CD7+ CD161+
NK細胞前駆体の分化は支援するが、CD11b+骨髄性細胞の分化は支援しない。5日後、iNK-B2培地を維持して、NK細胞の分化を完了させた。フィーダーベースの懸濁培養物中の、hiPSC由来のiNK細胞の成熟は、CD45+ゲーティング戦略を使用すると、末梢血NK細胞に表現型が似ている、成熟NK細胞を結果としてもたらす。成熟NK系統マーカーは、CD56、CD122、NKp30、CD94、CD16、NKG2D、およびKIRにより規定される成熟NK細胞の存在を識別する。
【0311】
T細胞に特異的なCD34+細胞であって、臍帯血から濃縮されたCD34+細胞を、iT-A2培地において、DLL4タンパク質または対照タンパク質を含有する培養物にプレーティングした。5日後、T細胞前駆体(proT)を発生させるために、iT-B2培地を維持した。培養のおよそ10~15日後、細胞表面マーカーであるCD34およびCD7の同時発現により、培養物を、T細胞前駆体の発生について評価した。
図31は、CD45+ゲーティング戦略を使用して、DLL4を発現する、間質フリーの分化プラットフォームにおいて、T細胞前駆体を発生させるCD34+臍帯血細胞の能力について示す。CD45+ CD56-ゲーティング戦略を使用したところ、臍帯血CD34陽性細胞から導出されたproT細胞の間質フリー分化プラットフォームは、従来の間質ベースの分化プラットフォームより急速であることが示された。早期T系統マーカーは、CD34、CD5、およびCD7により規定されるようなproT細胞の存在を識別する。
【0312】
間質フリーのプラットフォームにおいて、iT細胞を発生させる、hiPSC由来のHE細胞の能力を裏付けるため、10日目のCD34+ iHEソート細胞を、DLL4タンパク質または対照タンパク質を含有する培養においてiT-A2培地中で培養した。
図32は、CD45およびCD7の発現により見られるように、iT前駆体を発生させる、hiPSC由来のiHEの能力を例示する。
【0313】
当業者は、本明細書で記載される方法、組成物、および産物が、例示的な実施形態を表すものであり、本発明の範囲に対する限定として意図されるものではないことをたやすく察知するであろう。当業者には、本明細書で開示される本開示には、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、様々な代替および改変を施しうることがたやすく明らかであろう。
【0314】
本明細書で言及される、全ての特許および刊行物は、本開示が関する技術分野の当業者の水準を示す。全ての特許および刊行物は、各個別の刊行物が、参照により組み込まれるものとして、具体的かつ個別に指し示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0315】
本明細書で例示的に記載される本開示は、本明細書では具体的に開示されない、任意の1または複数の要素、1または複数の限定の非存在下で、適切に実施することができる。従って、例えば、本明細書の各場合において、「~を含むこと」、「~から本質的になること」、および「~からなること」という用語のうちのいずれかは、他の2つの用語のうちのいずれかで置きかえることができる。採用してきた用語および表現は、限定的な用語ではなく、記載的な用語として使用されており、このような用語および表現の使用において、示され、記載される特色を有する、任意の同等物またはそれらの部分を除外する意図は存在せず、特許請求される本開示の範囲内では、多様な改変が可能であることが認識されている。従って、本開示は、好ましい実施形態および任意選択の特色により、具体的に開示されているが、当業者は、本明細書で開示される概念の改変および変化を利用する場合があり、このような改変および変化も、付属の特許請求の範囲により規定される、本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。