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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058789
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/02 20060101AFI20230419BHJP
   H10N 10/13 20230101ALI20230419BHJP
   H10N 10/10 20230101ALI20230419BHJP
【FI】
F25B21/02 H
H01L35/30
H01L35/28 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168504
(22)【出願日】2021-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】594109934
【氏名又は名称】高藤 恭胤
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高藤 恭胤
(72)【発明者】
【氏名】川西 克司
(57)【要約】
【課題】空調装置のエネルギー効率を高める。
【解決手段】実施形態に係る空調装置は、第1ペルチェ素子と電源と第2ペルチェ素子と帰還回路とを備える。第1ペルチェ素子は、一対の電極間に電圧が印加されると一方の面と他方の面との間に温度差を発生する。電源は、第1ペルチェ素子の一対の電極間に電圧を印加する。第2ペルチェ素子は、一方の面が第1ペルチェ素子の一方の面もしくは他方の面に接して設けられ、一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生する。帰還回路は、第2ペルチェ素子の一対の電極間に発生した電圧を電源に帰還する。
【選択図】図5


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に電圧が印加されると一方の面と他方の面との間に温度差を発生する第1ペルチェ素子と、
前記第1ペルチェ素子の前記一対の電極間に電圧を印加する電源と、
一方の面が前記第1ペルチェ素子の前記一方の面もしくは前記他方の面に接して設けられ、一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生する第2ペルチェ素子と、
前記第2ペルチェ素子の前記一対の電極間に発生した電圧を前記電源に帰還する帰還回路と、
を備える空調装置。
【請求項2】
前記帰還回路は、
前記第2ペルチェ素子の前記一対の電極間に発生する電圧の電位が高い方の電極を前記電源の正極側に接続し、
前記第2ペルチェ素子の前記一対の電極間に発生する電圧の電位が低い方の電極を前記電源の負極側に接続する、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記帰還回路に電流方向制限手段を有する、請求項1または2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記電源は、蓄電素子と電流方向制限素子を備え、
前記電流方向制限素子は、前記蓄電素子から前記第1ペルチェ素子に流れる電流の方向、および、前記第2ペルチェ素子から前記蓄電素子に流れる電流の方向を制限する、請求項1から3の何れか一項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記第1ペルチェ素子から発せられる熱を放熱する放熱フィンと、
前記放熱フィンに空気を供給する送風機と、
を更に備える請求項1から4の何れか一項に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ素子を利用した空調装置がある。例えば、特許文献1に記載されたペット用冷房器は、ペルチェ素子の温度の低い側の吸熱面をペットをのせる板に接触させることでペットをのせる板を冷却し、ペルチェ素子の温度の高い側の放熱面を放熱板に接触させることでペルチェ素子の熱を放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-174897号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に記載されたペット用冷房器では、ペルチェ素子から放熱された熱は、放熱板を介して空気中に放熱され、再利用されることはない。このように、従来のペルチェ素子を利用した空調装置では放熱された熱を再利用していないので、エネルギー効率を改善する余地がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、空調装置のエネルギー効率を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態に係る空調装置は、第1ペルチェ素子と電源と第2ペルチェ素子と帰還回路とを備える。第1ペルチェ素子は、一対の電極間に電圧が印加されると一方の面と他方の面との間に温度差を発生する。電源は、第1ペルチェ素子の一対の電極間に電圧を印加する。第2ペルチェ素子は、一方の面が第1ペルチェ素子の一方の面もしくは他方の面に接して設けられ、一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生する。帰還回路は、第2ペルチェ素子の一対の電極間に発生した電圧を電源に帰還する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る空調装置の構成図である。
図2】実施形態に係る複数のペルチェ素子の配置について説明するための図である。
図3】実施形態に係る電源の構成図である。
図4】実施形態に係る放熱フィンの斜視図である。
図5】実施形態に係る空調装置の電源系の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る空調装置について、図を参照して説明する。説明にあたっては、相互に直行するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を適宜用いる。
【0009】
図1は、実施形態に係る空調装置1の構成図である。空調装置1は、第1ペルチェ素子11,第2ペルチェ素子12、電源20、放熱フィン30、送風機50、筐体70を有する。また、第2ペルチェ素子12と電源20との間に帰還回路が設けられている(図1では図示略)。
【0010】
図2は、第1ペルチェ素子11と第2ペルチェ素子12の配置について説明するための図である。図2に示されるように、第1ペルチェ素子11と第2ペルチェ素子12とは、接触するように配置されている。具体的には、第2ペルチェ素子12は、+Z側の表面12Hが第1ペルチェ素子11の-Z側の裏面11Lに接して配置される。第1ペルチェ素子11と第2ペルチェ素子12とを、熱伝導性のある接着剤で固定してもよい。
【0011】
第1ペルチェ素子11は、一対の電極間に電圧を印加されると+Z側の表面11Hと-Z側の裏面11Lとの間に温度差を発生する。第1ペルチェ素子11の寸法は、暖房もしくは冷房能力に応じて決められる。ここでは、第1ペルチェ素子11の表面11Hの温度が裏面11Lの温度よりも高くなるように、第1ペルチェ素子11の一対の電極間に電圧が印加されているものとする。つまり、第1ペルチェ素子11の表面11Hは放熱面であり、裏面11Lは吸熱面である。
【0012】
第2ペルチェ素子12は、+Z側の表面12Hが第1ペルチェ素子11の裏面11Lに接して設けられている。第2ペルチェ素子12の表面12Hが第1ペルチェ素子11の裏面11Lにより冷却されることで、第2ペルチェ素子12の+Z側の表面12Hと-Z側の裏面12Lとの間に温度差が発生する。第2ペルチェ素子12は、+Z側の表面12Hと-Z側の裏面12Lとの間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生する。第2ペルチェ素子12の寸法は、第1ペルチェ素子の寸法と同程度である。
【0013】
図1に示す電源20は、第1ペルチェ素子11の一対の電極間に電圧を印加する。図3に、電源20の構成図を示す。電源20は、内部に蓄電素子である蓄電池21,ダイオード22及びダイオード23を有する。ダイオード22及びダイオード23は、電流方向を制限するための電流方向制限素子である。電源20は、端子20a、20b、20cを有する。蓄電池21は、端子20aと20bを介して、第1ペルチェ素子11に電力を供給する。また、蓄電池21は、端子20cと20bを介して、第2ペルチェ素子12によって充電される。
【0014】
図1に示す放熱フィン30は、第1ペルチェ素子11から発せられる熱を放熱するための部品である。放熱フィン30は、放熱フィン30の-Z側の面が第1ペルチェ素子11の+Z側の表面11Hに接して設けられる。放熱フィン30は、熱伝導性のある接着剤で第1ペルチェ素子11に固定されてもよい。放熱フィン30のXY面の寸法は、第1ペルチェ素子11のXY面の寸法に応じて決められる。放熱フィン30のZ方向の寸法は、第1ペルチェ素子11から放出される熱量に応じて決められる。
【0015】
図4は、放熱フィン30の斜視図である。放熱フィン30は、複数のフィン32、33,34,35,36,37と、ベース31とで構成されている。フィン32、33,34,35,36,37は、ベース31に固定されている。フィン32、33,34,35,36,37それぞれの間に開口41が形成されている。開口41は、送風機50により供給される空気の送風方向の上流から下流に向う空気の流路を形成している。フィン32、33,34,35,36,37の-X側(空気の送風方向の上流側)の端部には、空気の流路の断面積を広げるようにテーパ面43が形成されている。
【0016】
図1に示す送風機50は、風によって放熱フィン30に空気を供給する。送風機50は、例えば、直流モータで動作するファンである。送風機50は、放熱フィン30の-X側に配置されている。
【0017】
筐体70は、第2ペルチェ素子12、電源20、送風機50を固定するための部材である。筐体70は、平板であってもよいし、第1ペルチェ素子11、第2ペルチェ素子12,電源20,放熱フィン30、送風機50を収容するケースであってもよい。放熱フィン30は、放熱フィン30の重量が第1ペルチェ素子11に加わらないように、筐体70に固定されていてもよい。
【0018】
図5は、空調装置1の電源系の回路図である。電源20の正極側の端子20aは第1ペルチェ素子11の一方の端子11aに接続され、電源20の負極側の端子20bは第1ペルチェ素子11の他方の端子11bに接続されている。第1ペルチェ素子11は、端子11a側を正極とする電圧を印加されることで、図2に示す表面11Hの温度が裏面11Lの温度よりも高くなるものとする。つまり、第1ペルチェ素子11の表面11Hは放熱面となり、裏面11Lは吸熱面となる。
【0019】
第2ペルチェ素子12の一方の端子12aは帰還回路81を介して電源20の端子20cに接続され、第2ペルチェ素子12の他方の端子12bは帰還回路82を介して電源20の端子20bに接続されている。帰還回路81には、電流方向を制限するダイオード61が設けられ、帰還回路82には、電流方向を制限するダイオード62が設けられている。ここでは、第2ペルチェ素子12の表面12Hと裏面12Lとの間に温度差が発生することで、第2ペルチェ素子12の一対の電極(端子12aと端子12b)間に電位差が発生したときに、電位の高い方の電極を端子12a、低い方の電極を端子12bとする。
【0020】
次に、空調装置1の動作について説明する。第1ペルチェ素子11は、電源20から直流電流を供給され、+Z側の表面11Hの温度が-Z側の裏面11Lの温度に対して上昇する。第1ペルチェ素子11の+Z側の面から放熱された熱は放熱フィン30に伝搬し、放熱フィン30から放熱される。送風機50は、電源20から電力を供給され、放熱フィン30に向かって送風する。
【0021】
放熱フィン30の開口41の-X側には、送風機50により新たな空気が順次供給される。第1ペルチェ素子11が放熱した熱により温度が上昇した放熱フィン30は、新たな空気を加熱し、加熱された空気は開口41の+X側からから順次排出される。この動作を継続することで、空調装置1は、周囲の温度を上昇させる。
【0022】
第1ペルチェ素子11の-Z側の裏面11Lの温度は、+Z側の温度に対して低温になる。第1ペルチェ素子11の吸熱面となった-Z側の裏面11Lに接している第2ペルチェ素子12の+Z側の表面12Hは冷却され、第2ペルチェ素子12の表面12Hと裏面12Lとの間に温度差が発生する。これにより、第2ペルチェ素子12は、端子12aと端子12bとの間に、端子12a側を正極とする電圧を発生する。第2ペルチェ素子12は、帰還回路81,82を介して、電源20の蓄電池21を充電する。
【0023】
なお、電源20の蓄電池21の電圧が第2ペルチェ素子12の端子12aと端子12bとの間に発生した電圧よりも高い場合、ダイオード61,62および電源20内のダイオード23により電流の方向が制限されるので、蓄電池21から第2ペルチェ素子12に電力が供給されることはない。
【0024】
以上に説明したように、実施形態に係る空調装置1は、一方の面が第1ペルチェ素子11に接して設けられ、一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生する第2ペルチェ素子12と、第2ペルチェ素子12の一対の電極間に発生した電圧を電源20に帰還する帰還回路81,82を備える。実施形態に係る空調装置1は、第1ペルチェ素子11から発せられる熱エネルギーを第2ペルチェ素子12により電力に変換して電源20に帰還することで、空調装置のエネルギー効率を高めることができる。
【0025】
また、実施形態に係る空調装置1は、帰還回路81に電流方向制限手段であるダイオード61を有し、帰還回路82に電流方向制限手段であるダイオード62を有し、さらに、電源20内に電流方向制限素子であるダイオード22,23を有する。実施形態に係る空調装置1は、電流方向制限手段および電流制限素子を有することで、電源20から第2ペルチェ素子12に電力が供給されることを抑制できる。
【0026】
上記の説明では、第1ペルチェ素子11の+Z側の面の温度が-Z側の面の温度より高くなる場合について説明したが、第1ペルチェ素子11に印加する電圧を逆極性にすることにより、第1ペルチェ素子11の+Z側の面の温度を-Z側の面の温度より低くすることもできる。この場合、放熱フィン30は、第1ペルチェ素子11から冷温を伝搬し、空気を冷却する。なお、第1ペルチェ素子11に印加する電圧を逆極性にする場合、第2ペルチェ素子12に発生する電圧の電位の高い方の端子が電源20の端子20cに接続されるように接続を変更する。
【0027】
また、上記の説明では、帰還回路81にダイオード61を有し、帰還回路82にダイオード62を有する場合について説明したが、帰還回路81もしくは82のいづれか一方にダイオードを備えていればよい。また、上記の説明では、電源20内にダイオード22,23を備え、帰還回路にもダオードを備える場合について説明したが、電源内もしくは帰還回路の何れか一方にダイオードを有していればよい。また、電源20内のダイオード22を省略することもできる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1…空調装置
11…第1ペルチェ素子
12…第2ペルチェ素子
20…電源
21…蓄電池
22、23…ダイオード(電流制限素子)
30…放熱フィン
31…ベース
32~37…フィン
41…開口
43…テーパ面
50…送風機
61,62…ダイオード(電流制限手段)
81,82…帰還回路
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態に係る空調装置は、第1ペルチェ素子と電源と第2ペルチェ素子と帰還回路とを備える。第1ペルチェ素子は、一対の電極間に電圧が印加されると一方の面と他方の面との間に温度差を発生する。電源は、第1ペルチェ素子の一対の電極間に電圧を印加する。第2ペルチェ素子は、一方の面が前記第1ペルチェ素子の前記一方の面もしくは前記他方の面に接して設けられ、一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生し、前記第1ペルチェ素子から発せられた熱エネルギーを電力に変換する。帰還回路は、第2ペルチェ素子が変換した電力を電源に帰還する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に電圧が印加されると一方の面と他方の面との間に温度差を発生する第1ペルチェ素子と、
前記第1ペルチェ素子の前記一対の電極間に電圧を印加する電源と、
一方の面が前記第1ペルチェ素子の前記一方の面もしくは前記他方の面に接して設けられ、一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、一対の電極間に電圧を発生し、前記第1ペルチェ素子から発せられた熱エネルギーを電力に変換する第2ペルチェ素子と、
前記第2ペルチェ素子が変換した電力を前記電源に帰還する帰還回路と、
を備える空調装置。
【請求項2】
前記帰還回路は、
前記第2ペルチェ素子の前記一対の電極間に発生する電圧の電位が高い方の電極を前記電源の正極側に接続し、
前記第2ペルチェ素子の前記一対の電極間に発生する電圧の電位が低い方の電極を前記電源の負極側に接続する、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記帰還回路に電流方向制限手段を有する、請求項1または2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記電源は、蓄電素子と電流方向制限素子を備え、
前記電流方向制限素子は、前記蓄電素子から前記第1ペルチェ素子に流れる電流の方向、および、前記第2ペルチェ素子から前記蓄電素子に流れる電流の方向を制限する、請求項1から3の何れか一項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記第1ペルチェ素子から発せられる熱を放熱する放熱フィンと、
前記放熱フィンに空気を供給する送風機と、
を更に備える請求項1から4の何れか一項に記載の空調装置。