(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058792
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ドローン
(51)【国際特許分類】
B64D 27/24 20060101AFI20230419BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230419BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B64D27/24
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168510
(22)【出願日】2021-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】594109934
【氏名又は名称】高藤 恭胤
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高藤 恭胤
(72)【発明者】
【氏名】川西 克司
(57)【要約】
【課題】ドローンの飛行時間を長くする。
【解決手段】実施形態に係るドローンは、プロペラと第1の直流モーターと電源と第2の直流モーターと制御部とを有する。第1の直流モーターは、プロペラを駆動する。電源は、第1の直流モーターに電力を供給する。第2の直流モーターは、第1の直流モーターの回転軸の回転に連動して回転する回転軸を有する。制御部は、第1の直流モーターを制御する。第2の直流モーターは、第2の直流モーターの回転軸の回転にともなって第2の直流モーターから出力される電流により電源を充電する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラと、
前記プロペラを駆動する第1の直流モーターと、
前記第1の直流モーターに電力を供給する電源と、
前記第1の直流モーターの回転軸の回転に連動して回転する回転軸を有する第2の直流モーターと、
前記第1の直流モーターを制御する制御部と、
を有し、
前記第2の直流モーターは、前記第2の直流モーターの前記回転軸の回転にともなって前記第2の直流モーターから出力される電流により前記電源を充電する、
ドローン。
【請求項2】
前記第1の直流モーターの回転軸と前記第2の直流モーターの回転軸とが、1本の回転軸で形成されている、
請求項1に記載のドローン。
【請求項3】
前記第2の直流モーターが出力する電流は、前記第1の直流モーターを構成する回転子に巻かれた巻き線の長さと前記第2の直流モーターを構成する回転子に巻かれた巻き線の長さとの比に基づいて決定される、
請求項1に記載のドローン。
【請求項4】
前記第1の直流モーターの回転軸の回転を前記第2の直流モーターの回転軸に伝える接続部を有する、
請求項1に記載のドローン。
【請求項5】
前記接続部は、
前記第1の直流モーターの回転軸に嵌合された第1の歯車と、
前記第2の直流モーターの回転軸に嵌合された第2の歯車と、
を含んで構成されており、
前記第2の直流モーターが出力する電流は、前記第1の直流モーターを構成する回転子に巻かれた巻き線の長さと前記第2の直流モーターを構成する回転子に巻かれた巻き線の長さとの比、および、前記第1の歯車の歯数と前記第2の歯車の歯数との比、に基づいて決定される、
請求項4に記載のドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの分野においてドローンが利用されている。例えば、ドローンにカメラを搭載して遠隔操作することで、大型の有人ヘリコプターで飛行できない場所の撮影を行っている。また、ドローンを利用した宅配サービスの実証試験も進められている。
【0003】
ドローンは、搭載している蓄電池によりプロペラを駆動して飛行する。ドローンの飛行時間を長くするためには、蓄電池の容量を大きくする必要がある。しかし、蓄電池は、容量を大きくするほど重量が重くなる。重い蓄電池を搭載して飛行するためには、大きなプロペラと大きなモーターが必要となり、ドローンの製造コストが高くなるという問題がある。ドローンの飛行時間を長くすることは、大きな課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ドローンの飛行時間を長くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態に係るドローンは、プロペラと第1の直流モーターと電源と第2の直流モーターと制御部とを有する。第1の直流モーターは、プロペラを駆動する。電源は、第1の直流モーターに電力を供給する。第2の直流モーターは、第1の直流モーターの回転軸の回転に連動して回転する回転軸を有する。制御部は、第1の直流モーターを制御する。第2の直流モーターは、第2の直流モーターの回転軸の回転にともなって第2の直流モーターから出力される電流により電源を充電する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態に係るドローンのブロック図である。
【
図6】実施形態に係る接続部について説明するための図である。
【
図7】変形例に係るドローンについて説明するための図である。
【
図8】実施形態に係る帰還部の出力電圧の測定回路である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係るドローンについて、図を参照して説明する。説明にあたっては、相互に直行するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を適宜用いる。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態に係るドローン1の外観図である。ドローン1は、ドローン本体10と複数のプロペラ20を有する。
図1では、プロペラ20が4個ある場合を記載しているが、プロペラ20の数は制限されない。ドローン本体10には、電源、制御部等が搭載される。
【0010】
図2は、実施形態に係るドローン1のブロック図である。ドローン1は、電源30,駆動部40、プロペラ20、帰還部50、接続部60、制御部70を有する。
【0011】
図3は、電源30の構成図である。電源30は、内部に充電可能な蓄電池31,ダイオード32及びダイオード33を有する。ダイオード32及びダイオード33は、電流方向を制限するための電流方向制限素子である。ダイオード33は、蓄電池31から帰還部50を構成する第2の直流モーター51の回転子に巻かれた巻き線に電流が流れることを制限する。なお、ダイオード32は、省略することもできる。電源30は、端子30a、30b、30cを有する。蓄電池31は、端子30aと30bを介して、駆動部40に直流電圧を印加する。また、蓄電池31は、端子30cと30bを介して、帰還部50によって充電される。
【0012】
図2に戻り、駆動部40は、第1の直流モーター41で構成される。
図4は、駆動部40を構成する第1の直流モーター41の斜視図である。第1の直流モーター41は、プロペラ20を駆動する。第1の直流モーター41は、複数のプロペラ20それぞれに対して設けられる。ここでは、ドローン1が4個のプロペラ20搭載しているので、駆動部40は、4個の第1の直流モーター41を備える。第1の直流モーター41は、X軸方向を軸方向とする回転軸42を有する。回転軸42には、3極タイプの回転子が固定され、回転子には巻き線が巻かれる。回転子に巻かれた巻き線の一端は端子43aに、他端は端子43bに接続される。端子43aは電源30の端子30aに接続され、端子43bは電源30の端子30bに接続される。第1の直流モーター41は、回転子を覆うように配置された固定子(磁石)を備えている。回転子は、回転軸42を軸として固定子が形成する磁界の中を回転する。
【0013】
図2に戻り、帰還部50は、第2の直流モーター51で構成される。
図5は、帰還部50を構成する第2の直流モーター51の斜視図である。第2の直流モーター51は、第1の直流モーター41に対応して設けられる。ここでは、駆動部40が4個の第1の直流モーター41を備えているので、帰還部50は、4個の第2の直流モーター51を備える。第2の直流モーター51は、第1の直流モーター41の回転軸42の回転に連動して回転する、X軸方向を軸方向とする回転軸52を有する。回転軸52には、3極タイプの回転子が固定され、回転子には巻き線が巻かれている。回転子に巻かれた巻き線の一端は端子53aに、他端は端子53bに接続される。第2の直流モーター51は、回転子を覆うように配置された固定子(磁石)を備えている。回転子は、回転軸52を軸として固定子が形成する磁界の中を回転する。第2の直流モーター51は、固定子の形成する磁界の中を回転子が回転することで、回転子に巻かれた巻き線に電流を発生する。ここでは、巻き線の両端に発生する電圧の電位の高い方の一端が接続されている端子を端子53aとし、電位の低い方の他端が接続されている端子を端子53bとする。端子53aは、電源30の端子30cに接続され、端子53bは、電源30の端子30bに接続される。
【0014】
図2に戻り、接続部60は、第1の直流モーター41の回転軸42の回転を第2の直流モーター51の回転軸52に伝える。
図6は、接続部60について説明するための図である。接続部60は、第1の歯車61と第2の歯車62とからなる。第1の歯車61は、第1の直流モーター41の回転軸42に嵌合して設けられる。第2の歯車62は、第2の直流モーター51の回転軸52に嵌合して設けられる。第1の歯車61と第2の歯車62は嵌合して配置され、第2の歯車62は、第1の歯車61の回転に連動して回転する。第1の歯車61の歯数と第2の歯車62の歯数の比をNとする。
【0015】
図2に戻り、制御部70は、通信部、CPU、RAM、ROM等で構成される。ROMには、ドローン1の制御用プログラムが記憶されている。制御部70は、通信部で受信した制御情報に基づいて、駆動部40を制御してプロペラ20を駆動することで、ドローン1の飛行を制御する。詳細には、制御部70は、電源30と駆動部40との間に電子スイッチや抵抗を介在させ、駆動部40を構成する第1の直流モーター41に供給する電流を制御することで、複数の第1の直流モーター41それぞれの回転速度や回転のオン・オフを制御する。
【0016】
次に、ドローン1の動作について説明する。制御部70は、通信部で受信した制御情報に基づいて、駆動部40を制御してプロペラ20を駆動する。ドローン1は、プロペラ20の回転に基づいて飛行する。
【0017】
図4に示す駆動部40を構成する第1の直流モーター41の回転軸42は、電源30から電力を供給されて回転する。詳細には、第1の直流モーター41の回転軸42は、フレミングの法則に基づき、第1の直流モーター41を構成する回転子に巻かれた電流の流れる巻き線が第1の直流モーター41を構成する固定子(永久磁石)が形成する磁場から受ける力によって回転する。巻き線に流れる電流が大きいほど回転軸42は大きな回転速度を得ることができる。また、永久磁石の磁力が強いほど、回転軸42は大きな回転速度を得ることができる。また、第1の直流モーター41に流す電流が同じで巻き数が同じ場合、第1の直流モーター41を構成する回転子に巻かれた巻き線の長さC1が長いほど、回転軸42は大きな回転速度を得ることができる。
【0018】
第2の直流モーター51の回転軸52は、第1の直流モーター41の回転軸42の回転速度と、接続部60の第1の歯車61の歯数と第2の歯車62の歯数の比Nに応じた回転速度で回転する。第2の直流モーター51を構成する固定子(永久磁石)が形成する磁場の中を回転軸52に固定された回転子に巻かれた巻き線が回転することで、フレミングの法則に基づいて、第2の直流モーター51の回転子に巻かれた巻き線に、回転軸52の回転速度に比例した電流が発生する。第2の直流モーター51は、第2の直流モーター51を構成する回転子に巻かれた巻き線の長さC2が長いほど大きな電流を発生する。また、第2の直流モーター51は、第2の直流モーター51の回転軸52の回転速度が速いほど大きな電流を発生する。第2の直流モーター51は、発生した電流により電源30を充電する。
【0019】
(変形例)
上記の説明では、第1の歯車61と第2の歯車62とからなる接続部60を介して、第1の直流モーター41が第2の直流モーター51の回転軸52を回転する場合について説明した。しかし、接続部60を省略することもできる。例えば、
図7に示すように、第1の直流モーター41の回転軸42の+X側の端部と第2の直流モーター51の回転軸52の-X側の端部とを直接接続する。もしくは、第1の直流モーター41の回転軸42を長くし、回転軸42に第2の直流モーター51の回転子を固定するようにしてもよい。
【0020】
(測定結果)
次に、第1の直流モーター41を構成する回転子に巻かれた巻き線の長さC1と第2の直流モーター51を構成する回転子に巻かれた巻き線の長さC2、および、帰還部50を構成する第2の直流モーター51の出力電圧との関係について測定した測定結果について説明する。
図8は、測定に用いた測定回路である。
図8に示されるように、測定回路では接続部60を省略している。つまり、
図7に示すように、第1の直流モーター41の回転軸42の+X側の端部と第2の直流モーター51の回転軸52の-X側の端部とを直接接続している。
【0021】
図8に示される測定回路では、電源30から駆動部40を構成する第1の直流モーター41の端子43aと端子43bにV1=6Vの直流電圧を印加している。負荷回路80として10kΩの抵抗を第2の直流モーター51の端子53aと端子53bに接続している。第2の直流モーター51の出力電圧V2は、負荷回路80の両端の電圧を測定した。
【0022】
第1の直流モーター41は、長さC1=7.7m、直径0.3mmの巻き線で作成されている。巻き線は、3極タイプの回転子に手巻きで巻かれている。巻き線の長さC2および直径を変えた複数の第2の直流モーター51を作成し、第2の直流モーター51の出力電圧を測定した。
【0023】
図9に、測定結果を示す。測定結果から、第2の直流モーター51の巻き線の長さC2を長くするほど、第2の直流モーター51の出力電圧が高くなる傾向があることが分かる。これは、第2の直流モーター51の固定子(永久磁石)が形成する磁束を交差する第2の直流モーター51の巻き線の長さC2が長いほど、フレミングの法則により、第2の直流モーター51の巻き線に大きな電流が発生する。出力電圧は、発生した電流に負荷抵抗の値をかけた値となる。そのため、第2の直流モーター51の巻き線の長さC2を長くするほど、第2の直流モーター51の出力電圧が高くなると考えられる。
【0024】
また、測定結果から、第2の直流モーター51の巻き線の直径を小さくするほど、第2の直流モーター51の出力電圧が高くなる傾向がある。これは、巻き線の直径を小さくするほど、第2の直流モーター51の巻き線と固定子である永久磁石との距離が近くなるためであると推測される。巻き線と固定子である永久磁石との距離が近くなるほど、巻き線は、強い磁界の中を移動することになる。したがって、巻き線の直径を小さくするほど、巻き線は強い磁界の中を移動することになり、フレミングの法則により、巻き線には大きな電流が発生すると考えられる。
【0025】
以上に説明したように、実施形態に係るドローン1は、プロペラ20と、プロペラ20を駆動する第1の直流モーター41と、第1の直流モーター41に電力を供給する電源30と、第1の直流モーター41の回転軸42の回転に連動して回転する回転軸52を有する第2の直流モーター51と、第1の直流モーター41を制御する制御部70と、を有する。第2の直流モーター51は、第2の直流モーター51の回転軸52の回転にともなって第2の直流モーター51から出力される電流により電源30を充電する。実施形態に係るドローン1は、第1の直流モーター41の回転エネルギーの一部を第2の直流モーター51を介して電源30に帰還することで、ドローン1の飛行時間を長くすることができる。
【0026】
また、実施形態に係るドローン1は、第1の直流モーター41を構成する回転子に巻かれた巻き線の長さC1と第2の直流モーター51を構成する回転子に巻かれた巻き線の長さC2との比に基づいて、第2の直流モーター51から電源に充電される電流の大きさを決めることができる。
【0027】
また、実施形態に係るドローン1は、接続部60を構成する第1の歯車61の歯数と第2の歯車62の歯数との比に基づいて、第2の直流モーター51から電源に充電される電流の大きさを決めることができる。
【0028】
なお、上記の説明では、
図3を用いて電源30の構成について簡略的に説明したが、充放電を可能とするための電源30の構成はこれに限定されない。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1…ドローン
10…ドローン本体
20…プロペラ
30…電源
31…蓄電池
32、33…ダイオード(電流制限素子)
40…駆動部
41…第1の直流モーター
42…第1の直流モーターの回転軸
50…帰還部
51…第2の直流モーター
52…第2の直流モーターの回転軸
60…接続部
61…第1の歯車
62…第2の歯車
70…制御部
80…負荷回路
【手続補正書】
【提出日】2022-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態に係るドローンは、プロペラと第1の直流モーターと電源と第2の直流モーターと制御部とを有する。第1の直流モーターは、プロペラを駆動する。電源は、第1の直流モーターに電力を供給する。第2の直流モーターは、第1の直流モーターの回転軸の回転に連動して回転する回転軸を有する。制御部は、第1の直流モーターを制御する。第1の直流モーターの回転軸と第2の直流モーターの回転軸とは、1本の回転軸で形成されている。第2の直流モーターは、第1の直流モーターの回転軸の回転にともなって回転する第2の直流モーターから出力される電流により電源を充電する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラと、
前記プロペラを駆動する第1の直流モーターと、
前記第1の直流モーターに電力を供給する電源と、
前記第1の直流モーターの回転軸の回転に連動して回転する回転軸を有する第2の直流モーターと、
前記第1の直流モーターを制御する制御部と、
を有し、
前記第1の直流モーターの回転軸と前記第2の直流モーターの回転軸とは、1本の回転軸で形成されており、
前記第2の直流モーターは、前記第1の直流モーターの前記回転軸の回転にともなって回転する前記第2の直流モーターから出力される電流により前記電源を充電する、
ドローン。
【請求項2】
前記第2の直流モーターが出力する電流は、前記第1の直流モーターを構成する回転子に巻かれた巻き線の長さと前記第2の直流モーターを構成する回転子に巻かれた巻き線の長さとの比に基づいて決定される、
請求項1に記載のドローン。