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特開2023-58801自動ドア装置、自動ドア用スイッチ、自動ドア用スイッチの制御方法、自動ドア用スイッチの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058801
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】自動ドア装置、自動ドア用スイッチ、自動ドア用スイッチの制御方法、自動ドア用スイッチの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20230419BHJP
【FI】
E05F15/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168522
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 絢一
(72)【発明者】
【氏名】友弘 真実
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA02
2E052BA04
2E052BA06
2E052BA07
2E052CA06
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA26
2E052KA27
(57)【要約】
【課題】使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることが可能な自動ドア装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ある態様の自動ドア装置100は、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の閉スイッチと、開スイッチと閉スイッチの各反応量に基づいて扉に関する制御内容を決定する決定部5と、決定部5の決定結果に基づいて扉を開閉制御する制御部と、を備える。決定部5は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方の反応量が閾値を超えた場合、当該一方に関連づけられた内容を制御内容として決定し、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、当該両方の反応量の差に基づいて制御内容を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、
前記開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の前記扉の閉スイッチと、
前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量に基づいて扉に関する制御内容を決定する決定部と、
前記決定部の決定結果に基づいて前記扉を開閉制御する制御部と、
を備え、
前記決定部は、
前記開スイッチと前記閉スイッチのいずれか一方の反応量が閾値を超えた場合、当該一方に関連づけられた内容を前記制御内容として決定し、
前記開スイッチと前記閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、当該両方の反応量の差に基づいて前記制御内容を決定する、自動ドア装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記開スイッチと前記閉スイッチの両方の反応量が閾値を超え、かつ前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量の差が閾値以上の場合、前記開スイッチと前記閉スイッチのうち反応量が大きい方に関連づけられた内容を前記制御内容として決定する、請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記開スイッチと前記閉スイッチの両方の反応量が閾値を超え、かつ前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量の差が閾値以下であるときは、前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量に基づく前記制御内容の決定を無効にする、請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記決定部が前記制御内容の決定を無効にしたとき、その旨を報知する報知部を更に備える、請求項3に記載の自動ドア装置。
【請求項5】
互いに近接して設けられ、それぞれ使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部の反応量に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定する決定部と、
前記決定部で決定した前記制御内容を前記自動ドア駆動装置に出力する出力部と、
を備え、
前記決定部は、前記複数の検出部のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ当該2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、前記2以上の検出部の各反応量の差に基づいて前記制御内容を決定する、自動ドア用スイッチ。
【請求項6】
前記決定部は、前記2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ前記2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、前記2以上の検出部のうち反応量が大きい方に関連づけられた内容を前記制御内容として決定する、請求項5に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項7】
前記決定部は、前記2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ前記2以上の検出部の各反応量の差が閾値以下であるときは、前記2以上の検出部の各反応量に基づく前記制御内容の決定を無効にする、請求項5に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項8】
前記複数の検出部は、前記扉の開閉スイッチである、請求項5から7のいずれか1項に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項9】
使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部から当該反応量を取得するステップと、
前記複数の検出部のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ当該2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、前記2以上の検出部の各反応量の差に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップと、
を含む自動ドア用スイッチの制御方法。
【請求項10】
使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部から当該反応量を取得するステップと、
前記複数の検出部のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ当該2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、前記2以上の検出部の各反応量の差に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップと、
をコンピュータに実行させる自動ドア用スイッチの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、自動ドア用スイッチ、自動ドア用スイッチの制御方法および自動ドア用スイッチの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触スイッチを用いて、開閉体の開閉停の各動作を制御する自動ドア装置が知られている。例えば、特許文献1には、非接触スイッチ手段(エリアセンサ)の検知状態に応じてスクリーンカーテンの開閉停の各動作を制御するロールスクリーン装置が記載されている。この装置は、開口部を開閉する開閉手段と、手指が接近した状態を非接触にて検知するエリアセンサと、当該エリアセンサの検知状態に応じて開閉手段の開閉停の各動作を制御する開閉制御手段とを備える。この装置では、2個以上のエリアセンサが隣接配置され、この各センサは、その一方又は両方に手指が翳されることによって複数の検知状態となり、制御手段は、この複数の検知状態に応じて開閉停の各動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-095940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、2個のエリアセンサについて、両センサが検知状態にある場合、一方が検知状態にある場合および両センサが検知状態にない場合の4種類があり、両方が検知状態にある場合を停動作に、一方が検知状態にある場合をそれぞれ開動作と閉動作に対応させて開閉停動作を制御する。
【0005】
特許文献1の装置は、センサの検知状態と非検知状態の2つの状態のみに応じて制御する。しかし、2つのセンサに手指を翳す態様は多様であり、センサの検知状態と非検知状態の2つの状態だけでは使用者の意図した操作を検知できるとは限らない。したがって、2つの状態のみに応じて制御される場合、装置が使用者の意図と異なる動作をする懸念がある。つまり、特許文献1の装置は、使用者の意図した動作を確実に行うという観点からは、十分とはいえない。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることが可能な自動ドア装置の技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドア装置は、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の閉スイッチと、開スイッチと閉スイッチの各反応量に基づいて扉に関する制御内容を決定する決定部と、決定部の決定結果に基づいて扉を開閉制御する制御部と、を備える。決定部は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方の反応量が閾値を超えた場合、当該一方に関連づけられた内容を制御内容として決定し、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、当該両方の反応量の差に基づいて制御内容を決定する。
【0008】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることが可能な自動ドア装置の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の自動ドア装置を概略的に示す正面図である。
図2図1の自動ドア装置を概略的に示すブロック図である。
図3】検出部の反応量の変化を模式的に示す図である。
図4】検出部を模式的に示す図である。
図5】実施形態の自動ドア用スイッチの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0012】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部または全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部または全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0013】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
ある態様の自動ドア装置は、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の閉スイッチと、開スイッチと閉スイッチの各反応量に基づいて扉に関する制御内容を決定する決定部と、決定部の決定結果に基づいて扉を開閉制御する制御部と、を備える。決定部は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方の反応量が閾値を超えた場合、当該一方に関連づけられた内容を制御内容として決定し、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、当該両方の反応量の差に基づいて制御内容を決定する。なお、本明細書において、「閾値」は予め設定された値を意味し、「閾値以下」は「所定の値以下」または「所定の範囲以内」を意味し、「閾値以上」は「所定の値以上」を意味し、「閾値を超える」は「所定の値を超える」を意味する。
【0015】
この構成によれば、両方の反応量に基づいて扉の制御内容を決定するため、両方の反応量から使用者の意図を予測し、その予測結果に応じて制御内容を決定できる。
【0016】
一例として、上記決定部は、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超え、かつ開スイッチと閉スイッチの各反応量の差が閾値以上の場合、開スイッチと閉スイッチのうち反応量が大きい方に関連づけられた内容を制御内容として決定してもよい。この場合、反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容で制御するため、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0017】
一例として、上記決定部は、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超え、かつ開スイッチと閉スイッチの各反応量の差が閾値以下であるときは、開スイッチと閉スイッチの各反応量に基づく制御内容の決定を無効にしてもよい。この場合、検出結果を無効にすることにより、使用者の意図に沿わない扉動作を抑制できる。
【0018】
一例として、自動ドア装置は、決定部が制御内容の決定を無効にしたとき、その旨を報知する報知部を更に備えてもよい。この場合、使用者に制御内容の決定が無効になったことをフィードバックできる。
【0019】
ある態様の自動ドア用スイッチは、互いに近接して設けられ、それぞれ使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部と、複数の検出部の反応量に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定する決定部と、決定部で決定した制御内容を自動ドア駆動装置に出力する出力部と、を備える。決定部は、複数の検出部のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ当該2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、2以上の検出部の各反応量の差に基づいて制御内容を決定する。
【0020】
この構成によれば、各検出部の反応量に基づいて扉の制御内容を決定するため、それぞれの反応量から使用者の意図を予測し、その予測結果に応じて制御内容を決定できる。
【0021】
一例として、上記スイッチの決定部は、2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、2以上の検出部のうち反応量が大きい方に関連づけられた内容を制御内容として決定してもよい。この場合、反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容で制御するため、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0022】
一例として、上記スイッチの決定部は、2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ2以上の検出部の各反応量の差が閾値以下であるときは、2以上の検出部の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にしてもよい。この場合、検出結果を無効にすることにより使用者の意図に沿わない扉動作を抑制できる。
【0023】
一例として、上記スイッチの複数の検出部は、扉の開閉スイッチであってもよい。この場合、安価に自動ドア用スイッチを構成できる。
【0024】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態及び変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0025】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置100を説明する。一例として、自動ドア装置100は、駅、ホテル、デパート、病院、老人保健施設等の各種施設において、空間を仕切る壁等の間口を開閉するための扉を開閉動作させる装置である。図1は、本実施形態の自動ドア装置100を概略的に示す正面図である。この図は、多機能トイレとして使用されるトイレ室に適用された自動ドア装置100を示している。
【0026】
図2は、本発明に係る自動ドア装置100を概略的に示すブロック図である。図2に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
図2に示すように、自動ドア装置100は、自動ドア用スイッチ10と、扉9を開閉駆動する自動ドア駆動装置90とを備える。自動ドア用スイッチ10は、使用者の動作を検知してその検知結果に応じて決定された制御内容を制御情報として自動ドア駆動装置90に送信する。自動ドア駆動装置90は、制御部91とドアエンジン92を含む。制御部91は、自動ドア用スイッチ10からの制御情報に基づいて扉9を開閉するようにドアエンジン92を制御する。自動ドア用スイッチ10からの制御情報を伝送する伝送路96に限定はないが、この例の伝送路96は、装置内バスを含む。ドアエンジン92は、制御部91の制御に基づいて、駆動モータ(不図示)を回転させて扉9を開閉駆動する。
【0028】
先に、自動ドア用スイッチ10を説明する。自動ドア用スイッチ10は、情報処理部20と、複数の検出部4と、押ボタンスイッチ22、23とを有する。情報処理部20は、決定部5と、出力部8と、記憶部3と、入力部25とを備える。記憶部3は、取得情報や中間処理情報を時系列的に記憶できる。また、記憶部3は、後述する制御プログラムP100を記憶できる。入力部25は、第1検出部11と第2検出部12の各反応量を取得する。入力部25は、押ボタンスイッチ22、23の操作結果を取得する。第1検出部11は、非接触式の扉の開スイッチを例示し、第2検出部12は、非接触式の扉の閉スイッチを例示する。
【0029】
押ボタンスイッチ22、23は開押ボタンスイッチ22と、閉押ボタンスイッチ23とを含む。情報処理部20は、開押ボタンスイッチ22が押し下げられた場合、扉9を開くことを制御内容とする制御情報を制御部91に出力し、閉押ボタンスイッチ23が押し下げられた場合、扉9を閉じることを制御内容とする制御情報を制御部91に出力する。つまり、使用者は、押ボタンスイッチ22、23により扉9を開閉させることができる。
【0030】
複数の検出部4は、扉9に対する使用者の開閉につながる指示を検出するために、押ボタンスイッチ22、23とは別に設けられる。複数の検出部4は、互いに近接して設けられ、それぞれ使用者の動作を反応量として検出する。各検出部4が互いに近接配置される状態は、各検出部4が、使用者が立ち位置を変更せずに操作できる範囲内に配置された状態や手の前後長(例えば、18cm)以内に配置された状態等を含む。この例では、各検出部4は1つの操作盤上に配置される。一例として、検出部4は、公知の検出原理に基づいて使用者の動作を検出する非接触スイッチであってもよい。この検出原理としては、静電容量、超音波、マイクロ波、光(例えば赤外線)等を用いるものが挙げられる。検出部4の反応量は、例えば、使用者の手指が接近したとき、その手指との距離に応じて生成される物理量で、電圧値等のアナログ情報であってもよいし、その物理量に対応するデジタル情報であってもよい。以下、反応量がアナログ情報である例を説明する。
【0031】
複数の検出部4それぞれには、予め設定された扉9の動作に関する制御内容が関連づけられている。言い換えると、各検出部4には、予め制御内容が定義されている。図2の例では、複数の検出部4は、第1検出部11と第2検出部12を含む。この例では、第1検出部11は、扉9を開動作させる制御を含む制御内容に関連づけられ、第2検出部12は、扉9を閉動作させる制御を含む制御内容に関連づけられる。
【0032】
複数の検出部4は、3つ以上の検出部を含んでもよい。例えば、複数の検出部4は、開閉動作中の扉9を停止させる制御を含む制御内容に関連づけられた検出部を含んでもよい。
【0033】
図3も参照して、検出部4の反応量の変化を説明する。図3は、検出部4の反応量の変化を模式的に示す図である。図3の横軸は、手指が接近するときの経過時間を示し、縦軸は反応量g1を示す。この図の反応量g1は、基準値に対する変化量を示している。この図に示すように、反応量g1は、単調な変化だけでなく多様な変動を含む。反応量g1が閾値近傍の場合、反応量g1が閾値を超えたオン状態と、閾値を超えないオフ状態とを交互に繰り返すチャタリングを生じることがある。本明細書における「閾値を超えた状態」とは、チャタリングが収束して反応量が閾値を超え続ける状態をいい、一例として、反応量が所定の期間(例えば、10ms-100ms)閾値を超え続ける状態をいう。閾値と所定の期間は、チャタリングの影響が所望のレベル以下になるように実験により設定できる。以下、反応量が閾値を超えた状態を検知状態と、反応量が閾値を超えない状態を検知状態ということがある。以下、複数の検出部4が第1検出部11、第2検出部12である例を説明する。
【0034】
決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の各反応量に基づいて扉に関する制御内容を決定する。出力部8は、決定部5で決定した制御内容を自動ドア駆動装置90の制御部91に出力する。
【0035】
本実施形態の決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の一方の検出部の反応量が閾値を超え、他方の検出部の反応量が閾値を超えない場合、一方の検出部に関連づけられた制御内容を決定する。つまり、使用者の手指が接近して第1検出部11の反応量が閾値を超えると扉9は開動作し、手指が接近して第2検出部12の反応量が閾値を超えると扉9は閉動作する。
【0036】
図4を参照して、検出部4を説明する。図4は、検出部4を模式的に示す図である。この図は、使用者が開扉を意図して手指を第1検出部11に接近させた状態を側面視で示す模式図である。この図に示すように、手指を第1検出部11に接近させたとき、その手指は第2検出部12にも接近する。このとき、第1検出部11および第2検出部12は、接近状態に応じた反応量を検出し、両方の反応量が閾値を超えることがある。そこで、本実施形態の決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が閾値を超えた場合、当該両方の反応量の差に基づいて扉9の制御内容を決定する。ここで、両方の反応量の差に基づいて制御内容を決定するとは、両者の差分に基づいて決定することの他、両者の比など、両者に所定の演算を施して得られる結果に基づいて制御内容を決定することを含む。決定部5は、複数の検出部4のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超えたとき、2以上の検出部の各反応量に基づいて制御内容を決定する。
【0037】
決定部5の処理に制限はないが、本実施形態の決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が閾値を超え、かつ第1検出部11と第2検出部12の各反応量の差が第2閾値以上の場合、第1検出部11と第2検出部12のうち反応量が大きい方の検出部に関連づけられた制御内容を決定する。つまり、図4のケースでは、第1検出部11の反応量が第2検出部12の反応量よりも大きいため、決定部5は、第1検出部11に関連づけられた開扉動作を制御内容として決定する。
【0038】
一方の反応量が大きい場合であっても、両方の反応量の差が小さい場合、使用者の肩など体の一部や着衣が意図せず検出部に接近した可能性がある。このような場合、扉の誤動作を防ぐことが望ましい。そこで、本実施形態の決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が閾値を超えた場合に、第1検出部11と第2検出部12の反応量の差が所定の範囲以内であるとき、即ち、当該差が第2閾値以下であるときは、第1検出部11と第2検出部12の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にする。
【0039】
ここで、「制御内容の決定を無効」にするとは、検出部の反応量が閾値を超えても、決定部5は、その検出部の検出結果に基づく制御内容を出力しないことをいう。例えば、第1検出部11と第2検出部12の検出結果に基づく制御内容の決定を無効にしたとき、これらの一方または両方の反応量が閾値を超えても、決定部5は、これらに関連づけられた扉9の動作に関する制御をしない。制御内容の決定を無効にする動作は、第1検出部11と第2検出部12の反応量の差が第2閾値を超えるまで継続される。
【0040】
図1図2を参照する。制御内容の決定が無効になった場合、例えば、使用者は扉を開けるつもりで第1検出部11に手をかざしているのに、着衣等の影響により第2検出部12でも同程度の反応量が出てしまって処理が無効となったケースが考えられる。この場合に、使用者に対して両検出部への同時入力が発生しているため処理を無効とした旨をフィードバックすることが望ましい。そこで、本実施形態は、決定部5が第1検出部11と第2検出部12の制御内容の決定を無効にしたとき、その旨を報知する報知部7を更に備える。報知部7は、外部の人間に覚知可能な光、音、画面表示等の合図を出力させるものであってもよい。本実施形態の報知部7は、報知結果に応じて発光装置72を発光させる。また、検出部が故障したことにより制御内容の決定が無効になる可能性もあり、この場合に管理者に対応を促すことができる。
【0041】
自動ドア用スイッチ10は、複数の検出部4を備えてもよい。複数の検出部4を備える場合、決定部5は、複数の検出部4のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超えたとき、2以上の検出部の各反応量に基づいて制御内容を決定してもよい。また、複数の検出部4のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超えたとき、決定部5は、2以上の検出部のうち反応量が最も大きい検出部に関連づけられた内容を制御内容として決定してもよい。また、複数の検出部4のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超えたとき、決定部5は、2以上の検出部の反応量の差が所定の範囲以内であるときは、複数の検出部4の制御内容の決定を無効にしてもよい。
【0042】
本実施形態の自動ドア用スイッチ10の動作の一例を説明する。図5は、自動ドア用スイッチ10の動作S110を示すフローチャートである。
【0043】
動作S110が開始されると、決定部5は、複数の検出部4の各反応量を取得する(ステップS111)。
【0044】
次に、決定部5は、複数の検出部4の反応量の1つ以上が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS112)。反応量のいずれも閾値を超えていない場合(ステップS112のN)、決定部5は、処理をステップS111の先頭に戻し、ステップS111~S112を繰り返す。
【0045】
1つ以上の反応量が閾値を超えている場合(ステップS112のY)、決定部5は、所定の時間が経過したかどうかを判定する(ステップS113)。所定の時間(例えば、100ms-1s)が未経過の場合(ステップS113のN)、決定部5は、処理をステップS113の先頭に戻し、ステップS113を繰り返す。所定の時間が経過した場合(ステップS113のY)、決定部5は、複数の検出部4の反応量の2つ以上が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS114)。
【0046】
ステップS114の判定条件を満たさない場合、即ち、1つの検出部4の反応量のみが閾値を超えている場合(ステップS114のN)、決定部5は、当該反応量が閾値を超えた検出部4に関連づけられた内容を制御内容として決定する(ステップS115)。このステップを実行したら処理はステップS119に進む。
【0047】
反応量の2つ以上が閾値を超えている場合(ステップS114のY)、決定部5は、2以上の検出部の反応量の差が所定の範囲以内かどうかを判定する(ステップS116)。
【0048】
反応量の差が所定の範囲以内の場合(ステップS116のY)、決定部5は、複数の検出部4の制御内容の決定を無効にする(ステップS117)。このステップを実行したら動作S110は終了する。
【0049】
反応量の差が大きくステップS116の判定条件を満たさない場合(ステップS116のN)、決定部5は、2以上の検出部4のうち反応量が最も大きい検出部4に関連づけられた内容を制御内容として決定する(ステップS118)。このステップを実行したら処理はステップS119に進む。
【0050】
ステップS119では、出力部8は、決定部5で決定された制御内容を自動ドア駆動装置90に出力する(ステップS119)。このステップを実行したら動作S110は終了する。動作S110は、繰り返し実行されてもよい。上述の各ステップはあくまでも一例であって、各種の変形が可能である。
【0051】
以上が第1実施形態の説明である。
【0052】
以下、本発明の第2、第3実施形態を説明する。第2、第3実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0053】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、自動ドア用スイッチの制御方法である。この方法は、使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部から当該反応量を取得するステップ(S111)と、複数の検出部のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ当該2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、2以上の検出部の各反応量の差に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップ(S116~S118)と、を含む。
【0054】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0055】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、自動ドア用スイッチの制御プログラムP100(コンピュータプログラム)である。このプログラムP100は、使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部から当該反応量を取得するステップ(S111)と、複数の検出部のうち2以上の検出部の反応量が閾値を超え、かつ当該2以上の検出部の各反応量の差が閾値以上の場合、2以上の検出部の各反応量の差に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップ(S116~S118)と、をコンピュータに実行させる。
【0056】
プログラムP100のこれらの機能は、自動ドア用スイッチ10の機能ブロックに対応する複数のモジュールが実装されたアプリケーションプログラムとして自動ドア用スイッチ10のストレージ(例えば記憶部3)にインストールされてもよい。プログラムP100は自動ドア用スイッチ10に組み込まれたコンピュータのプロセッサ(例えばCPU)のメインメモリに読み出しされて実行されてもよい。
【0057】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0058】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0059】
[変形例]
以下、変形例を説明する。変形例の図面及び説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0060】
実施形態の説明では、決定部5が自動ドア用スイッチ10に搭載される例を示したが、これに限定されない。決定部は自動ドア駆動装置に搭載されてもよい。
【0061】
実施形態の説明では、押ボタンスイッチ22、23を有する例を示したが、これに限定されない。押ボタンスイッチを有することは必須ではない。
【0062】
実施形態の説明では、伝送路96が装置内バスを含む例を示したが、これに限定されない。伝送路として、有線または無線による公知の情報伝達手段を採用できる。
【0063】
実施形態の説明では、検出部4が非接触スイッチである例を示したが、これに限定されない。検出部は接触圧の大きさに応じた反応量を生成するセンサであってもよい。
【0064】
実施形態の説明では、報知部7が報知結果に応じて発光装置72を発光させる例を示したが、これに限定されない。報知部は、自動ドア装置の管理者の表示装置に報知結果を表示させてもよい。
【0065】
上述の変形例は、各実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0066】
上述した各実施形態及び変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0067】
4 検出部、 5 決定部、 7 報知部、 8 出力部、 9 扉、 10 自動ドア用スイッチ、 11 第1検出部、 12 第2検出部、 90 自動ドア駆動装置、 91 制御部、 100 自動ドア装置。
図1
図2
図3
図4
図5