(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058815
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20230419BHJP
E04H 17/14 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
E04H17/16 105A
E04H17/14 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168546
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 麻斗香
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142CC12
2E142CC18
2E142CC19
2E142HH03
2E142HH05
2E142HH13
2E142HH22
2E142HH25
2E142MM01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施工作業性が向上したフェンスの提供。
【解決手段】フェンスAは、フェンスパネルと下支持具9と上支持具8と笠木3とを備え、フェンスパネルは、下支持具9で支柱2に支持されており、上支持具9は、支柱2に取り付けられており、笠木3と係合する被係合部80を有し、笠木3は、パネル上部支持部81と、上支持具8の被係合部80と係り合う係合部30とを有し、パネル上部支持部81がフェンスパネルの上端に係合すると共に、係合部30が被係合部80に係合していることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンスパネルと下支持具と上支持具と笠木とを備え、フェンスパネルは、下支持具で支柱に支持されており、上支持具は、支柱に取り付けられており、笠木と係合する被係合部を有し、笠木は、パネル上部支持部と、上支持具の被係合部と係り合う係合部とを有し、パネル上部支持部がフェンスパネルの上端に係合すると共に、係合部が被係合部に係合していることを特徴とするフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
フェンスは、住宅の敷地と道路の隣地境界線に立設されるものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなフェンスは、複数のフェンスパネルを支柱の上下で固定する作業等が複雑であるため、施工作業性が向上したフェンスが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載によるフェンスは、フェンスパネルと下支持具と上支持具と笠木とを備え、フェンスパネルは、下支持具で支柱に支持されており、上支持具は、支柱に取り付けられており、笠木と係合する被係合部を有し、笠木は、パネル上部支持部と、上支持具の被係合部と係り合う係合部とを有し、パネル上部支持部がフェンスパネルの上端に係合すると共に、係合部が被係合部に係合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上の構成により、施工作業性が向上したフェンスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る実施形態のフェンスを道路側から見た正面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態のフェンスを住宅側から見た背面図である。
【
図3】
図1の(3)-(3)線断面図であり、中間省略して示す。
【
図4】
図1の(4)-(4)線断面図であり、中間省略して示す。
【
図5】フェンスの背面図であり、要部を拡大して示す。
【
図6】上部の固定具及び下部の固定具の配置構成を示すメッシュパネルの正面図である。
【
図7】上部の固定具及び下部の固定具の取り付け構成図であり、(a)は、住宅側から見た拡大図であり、(b)は、(a)の(b)-(b)線断面図である。
【
図8】フェンスの組み立て工程図であり、(a)は、第1工程図を示し、(b)は、第2工程図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態のフェンスAを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
[フェンスの基本構成]
フェンスAは、
図1に示すように、メッシュパネル1を備えたものであり、住宅の敷地と道路の隣地境界線に立設されている。
メッシュパネル1は、並列して立設された2本の支柱2にわたり架設された笠木3及び下桟4に支持されている。
支柱2は、一枚のメッシュパネル1に1本用意されており、支柱2の上部に笠木3が固定され、支柱2の下部に下桟4が固定されている。
【0009】
[メッシュパネルの構成]
メッシュパネル1は、
図1~
図6に示すように、金属製の縦杆10と横杆11を直角に配置して固定したものである。
図6に示すように、メッシュパネル1の上端側の3か所には、上部の固定具 (以下「上部固定具」という) 6が取り付けられ、下端側の3か所には、下部の固定具 (以下「下部固定具」という) 7が取り付けられている。
【0010】
[笠木の構成]
笠木3は、
図3及び
図4に示すように、図示において断面略T字形に形成されたものであり、支柱2に設けられた上支持具8の被係合部80と係合する係合部30と、メッシュパネル1の上部を支持するパネル上部支持部81と、支柱2の上端を塞ぐキャップ部300を有している。
係合部30は、笠木3に設けられた作業空間32の上方に設けられた下向きの凹部であり、この係合部30が上支持具8に設けられた被係合部80に上方から係合する。
【0011】
ここで、上支持具8は、笠木3を支柱2に固定するための周知の構造の引き寄せ金具であり、
図3~
図5に示すように、支柱2に内蔵されていると共に、支柱2のメッシュパネル1側の正面壁(道路側の壁)20に開けられた孔から一部が突出している。
支柱2内の上支持具8には、支柱2の背面壁(住宅側の壁)21から支柱2内に貫通する締付けビス8aがねじ込まれており、締付けビス8aを締め付ける方向にねじ込むことで、上支持具8が引き寄せ動作するようにされている。
上支持具8の突出部分の先端には、被係合部80が設けられている。
被係合部80は、先端を上向きとして作業空間32に挿入され、係合部30に対して、道路側及び住宅側方向で対面するように係合するものである。
このような上支持具8は、被係合部80が係合部30に係合した状態で、前述の上支持具8の引き寄せ動作を行うと、被係合部80が支柱2の正面壁20に移動しながら係合部30を介して笠木3を支柱2に引き寄せると共に、笠木3を支柱2の正面壁20に押し付ける。
すなわち、上支持具8の引き寄せ動作によって笠木3を支柱2に固定することができる。
なお、上支持具8の構成は、係合部30と係合する構成の被係合部80を有し、笠木3を支柱2に固定できる構成であれば、例示した引き寄せ金具に限らない。
【0012】
パネル上部支持部81は、
図3及び
図4に示すように、作業空間32と道路側で隣接された凹形状のものであり、凹形状の開放側が下向きとなるように配置され、
メッシュパネル1の上部を上部固定具6ごと呑み込むように係合するようにされている。
このとき、係合部30は、被係合部80に対してパネル上部支持部81よりも支柱2側で係合しており、メッシュパネル1に笠木3のパネル上部支持部81を係合させるときに、メッシュパネル1が邪魔にならずに係合することができる。
作業空間32は、メッシュパネル1の上部固定具6をねじ止めする凹形状の空間であり、上部に前述の係合部30が設けられていると共に、支柱2の正面壁20側に開放部320が設けられている。
開放部320は、
図2~
図4に示すように、支柱2と重なる部位を除いて目板321で塞がれており、上部固定具6をねじ止めする後述のビス84を外側から見えないようにしている。
パネル上部支持部81と作業空間32は、隔壁33で隔てられており、この隔壁33が上部固定具6をねじ止めするために利用される。
キャップ部300は、笠木3の略T字形の上部の住宅側に突設された部分であり、このキャップ部300が支柱2の上端を塞ぐことで、雨水の支柱2内への侵入を防ぐことができる。
キャップ部300は、笠木3を正常な位置で取り付けると、自動的に支柱2の上端を塞ぐ位置に配置されている。
尚、本発明は、キャップ部300の無い笠木3としてもよい。
【0013】
[下桟の構成]
下桟4は、
図3及び
図4に示すように、支柱2に設けられた下支持具9の被係合部90と係合する係合部40と、メッシュパネル1の下部を支持するパネル上部支持部91を有している。
係合部40は、下桟4の下端の支柱側に設けられた下向きの凸片であり、この係合部40が下支持具9の被係合部90に上方から係合する。
【0014】
ここで、下支持具9は、
図3及び
図4に示すように、略L字形のものであり、支柱2の正面壁20にねじ止めされている。
下支持具9の上部には、前述の被係合部90が設けられている。
被係合部90は、下支持具9の垂直部分の上端側を係合部40が適合して係合するように道路側に凹ませてなるものである。
また、このような下支持具9を支柱2に取り付けたときに、係合された係合部40を被係合部90と支柱2とで挟持するようにされており、これによって、下桟4が下支持具9に支持され、支持された状態で支柱にビス止めされて固定される。
【0015】
パネル下部支持部91は、作業空間42と道路側で隣接された凹形状のものであり、凹形状の開放側が上向きとなるように配置され、メッシュパネル1の下部を下部固定具7ごと呑み込むようにされている。
作業空間42は、メッシュパネル1の下部固定具7をねじ止めする空間であり、支柱2の正面壁20側に開放部420が設けられている。
開放部420は、開放部320と同様に、支柱2と重なる部位を除いて目板421で塞がれており、下部固定具7を取り付けるための後述するビス93を外側から見えないようにしている。
パネル下部支持部91と作業空間42は、隔壁43で隔てられており、この隔壁43が下部固定具7をねじ止めするために利用される。
【0016】
[上部固定具の構成]
上部固定具6は、
図7に示すように、メッシュパネル1の隣り合う縦杆10にわたり嵌合されている。
上部固定具6は、縦杆10に嵌合される嵌合部60を両端に設けられていると共に、中央にねじ止め孔61が設けられている。
嵌合部60は、縦杆10が圧入される程度の内径として形成されており、周面の一部 に縦杆10の径よりも狭い幅の通過空間600が形成されている。
このような上部固定具6は、嵌合部60の通過空間600を縦杆10に当接させて押し込むことで、縦杆10が通過空間600を通過して嵌合部60に至らせることができる。
これにより、メッシュパネル1に対する上部固定具6の取り付けを取り付け具やねじ止め等の取り付け手段を用いずに取り付けることができる。
【0017】
[下部固定具の構成]
下部固定具7は、形状、取り付け形態、取り付け方法が同じであるため、
図7において対応する部分に下部固定具7、嵌合部70、ねじ止め孔71、通過空間700の符号を付すことで説明は省略する。
【0018】
[メッシュパネルの取り付け構成]
以上の構成のメッシュパネル1は、
図3及び
図4に示すように、メッシュパネル1の上部が笠木3のパネル上部支持部81に上部固定具6ごと呑み込まれていると共に、作業空間32から上部固定具6のねじ止め孔61にビス84をねじ込むことでメッシュパネル1の上部が固定される。
また、メッシュパネル1の下部が下桟4のパネル下部支持部91に下部固定具7ごと呑み込まれていると共に、作業空間42から下部固定具7のねじ止め孔71にビス93をねじ込むことでメッシュパネル1の下部が固定される。
【0019】
[フェンスの組み立て工程]
次に、
図8を参照して、前述の構成のメッシュパネル1を用いたフェンスAの組み立て工程を説明する。
【0020】
第1工程(
図8(a)):支柱2に固定された下支持具9の被係合部90に下桟4の係合部40を上から挿し込んで係合して下桟を支柱2に取り付け、下桟4を固定した状態で、メッシュパネル1の下部を下部固定具7ごとパネル下部支持部91に呑み込ませて、作業空間42から下部固定具7のねじ止め孔71にビス93をねじ込むことでメッシュパネル1の下部を固定する。
このとき、メッシュパネル1は、下部を固定したことによって、下桟4に対して位置決めされた状態で自立しているため、第2工程におけるメッシュパネル1の上部の固定作業を容易にできる。
【0021】
第2工程(
図8(b)):自立したメッシュパネル1の上部に笠木3を被せるように取り付ける。
このとき、笠木3の係合部30を上支持具8の被係合部80に係合させると共に、メッシュパネル1の上部が上部固定具6ごとパネル上部支持部81に呑み込ませる。
この状態で、上支持具8を引き寄せ動作させて笠木3を固定し、次いで、作業空間32から上部固定具6のねじ止め孔61にビス84をねじ込むことでメッシュパネル1の上部を固定する。
【0022】
以上の構成とするフェンスAは、メッシュパネル1が下部固定具7ごと下桟4における下部支持具9のパネル下部支持部91に呑み込まれた状態で、下部固定具7にビス93をねじ込むことで固定することができる。
また、メッシュパネル1が上部固定具6ごと笠木3における上部支持具8のパネル上部支持部81に呑み込まれた状態で、上部固定具6にビス84をねじ込むことで固定することができる。
メッシュパネルの1の上部を固定する作業時には、メッシュパネル1が下桟4に自立して固定されているので、メッシュパネル1の上部を固定する作業を容易、且つ迅速にできる。
したがって、施工作業性が向上したフェンスAを提供できる。
【0023】
フェンスAは、メッシュパネル1に換えて一枚物のフェンスパネル(図示せず)或いは、横杆11が無く複数の縦杆10を並列させたフェンスパネル(図示せず)とすることもできる。
一枚物のフェンスパネルの場合、上部固定具6及び下部固定具7が無く、直接フェンスパネルにビス84、93をねじ込むことで、笠木2と下桟3にフェンスパネルを固定することができる。
複数の縦杆10を有するフェンスパネルの場合には、
図3及び
図4に示すように、上部固定具6及び下部固定具7を隣り合う縦杆10に取り付け、
図2に示すように、上部固定具6及び下部固定具7にビス84、93をねじ込むことで、笠木2と下桟3にフェンスパネルを固定することができる。
【0024】
以上、本発明に係る実施形態のフェンスを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0025】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0026】
A:フェンス
1:メッシュパネル
2:支柱
3:笠木
4:下桟
6:上部固定具
7:下部固定具
8:上支持具
9:下支持具
10:縦杆
11:横杆
20:正面壁
21:背面壁
30:係合部
32:作業空間
33:隔壁
40:係合部
42:作業空間
43:隔壁
60:嵌合部
61:ねじ止め孔
70:嵌合部
71:ねじ止め孔
80:被係合部
81:パネル上部支持部
84:ビス
90:被係合部
91;パネル下部支持部
93:ビス
300:キャップ部
320:開放部
321:目板
420:開放部
421:目板
600:通過空間
700:通過空間