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特開2023-58846温感と冷感を順次付与するシート、当該シートを含むフェイスマスク、及び当該シートを作製するためのキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058846
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】温感と冷感を順次付与するシート、当該シートを含むフェイスマスク、及び当該シートを作製するためのキット
(51)【国際特許分類】
   D06M 23/16 20060101AFI20230419BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20230419BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230419BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230419BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230419BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
D06M23/16
A45D44/22 C
A61K8/02
A61K8/34
A61Q19/00
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168604
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003975
【氏名又は名称】日東紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 能富
【テーマコード(参考)】
4C083
4L031
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AD262
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC07
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4L031AA02
4L031AB31
4L031AB34
4L031BA31
4L031BA33
(57)【要約】
【課題】持続時間が長い温感が付与された後で冷感が付与される、曲面への追随性が高いシート、このシートを含むフェイスマスク、及びこのシートを作製するためのキットを提供する。
【解決手段】温感と冷感を順次付与するシートは、基布と、この基布の少なくとも一方の面に付着される冷感ドットと、この基布に含浸された温感剤を含み、このドットは冷感剤を含み、このドットの高さが75.0nm~330.0μm、その直径が0.5~5.0mm、この基布の表面に対するこのドットの面積占有率が3.0~49.0%の範囲にある。フェイスマスクはこのシートを含む。このシートを作製するためのキットは、冷感付与シートと、これに含浸可能な温感剤又は温感前駆剤を含み、冷感付与シートは、基布と、この基布の少なくとも一方の面に付着される冷感ドットを含み、このドットは冷感剤を含み、このドットの高さと直径、及びこの基布の表面に対するこのドットの面積占有率が前記される範囲にある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温感と冷感を順次付与するシートであって、
基布と、当該基布の少なくとも一方の面にドット状に付着される冷感ドットと、当該基布に含浸された温感剤を含み、
当該冷感ドットは冷感剤を含み、
当該冷感ドットの高さが75.0nm~330.0μmの範囲にあり、
当該冷感ドットの直径が0.5~5.0mmの範囲にあり、
当該基布の表面に対する当該冷感ドットの面積占有率が3.0~49.0%の範囲にあることを特徴とする、温感と冷感を順次付与するシート。
【請求項2】
前記冷感ドットの高さが100.0nm~50.0μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の温感と冷感を順次付与するシート。
【請求項3】
前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の温感と冷感を順次付与するシート。
【請求項4】
前記冷感ドットが更に増粘剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の温感と冷感を順次付与するシート。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の温感と冷感を順次付与するシートを含むフェイスマスク。
【請求項6】
温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキットであって、
冷感付与シートと、当該冷感付与シートに含浸可能な温感剤又は温感前駆剤を含み、
当該冷感付与シートは、基布と、当該当該基布の少なくとも一方の面にドット状に付着される冷感ドットを含み、
当該冷感ドットは冷感剤を含み、
当該冷感ドットの高さが75.0nm~330.0μmの範囲にあり、
当該冷感ドットの直径が0.5~5.0mmの範囲にあり、
当該基布の表面に対する当該冷感ドットの面積占有率が3.0~49.0%の範囲にあることを特徴とする、温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキット。
【請求項7】
前記冷感ドットの高さが100.0nm~50.0μmの範囲にあることを特徴とする、請求項6に記載の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキット。
【請求項8】
前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にあることを特徴とする、請求項6又は7に記載の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキット。
【請求項9】
前記冷感ドットが更に増粘剤を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温感と冷感を順次付与するシート、当該シートを含むフェイスマスク、及び当該シートを作製するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚に接触して温感又は冷感を付与する生地が検討されていた。例えば、特許文献1には、熱可塑性エラストマーが編み目間に形成される空隙に浸透された浸透層が編地の一表面から他表面に向けて所定の厚み範囲に形成された領域を含む、冷感を付与する放熱性生地が記載されている。また、引用文献2には、液状温感組成物を含む温感層を有する温感シートが記載されている。
【0003】
化粧液を含浸したフェイスマスクを用いて、顔面を中心とした肌の手入れを行う商品が知られている。化粧液を含浸したフェイスマスクが肌に温感を付与する場合、化粧料の肌面への浸透が良好になり、塗布された化粧料の剥落が防止される。化粧液を含浸したフェイスマスクが肌に冷感を付与する場合、化粧料が浸透した肌面が引き締められ、塗布された化粧料の剥落が防止される。化粧液を含浸したフェイスマスクが肌に温感と冷感を順次付与する場合、化粧料が肌面に良好に浸透した後、肌面が引き締められ、塗布された化粧料の剥落がより効果的に防止されると予想される。しかしながら、化粧液を含浸したフェイスマスクとしても利用できる、温感と冷感を順次付与するシートは提供されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-47455号公報
【特許文献2】特開2018-2599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者は、温感剤が含浸された基布に、冷感剤を含む冷感ドットがドット状に付着され、当該冷感ドットの高さ、当該冷感ドットの直径、及び当該基布の表面に対する当該冷感ドットの専有面積が所定範囲にある場合、持続時間が長い温感が付与された後で冷感が付与される、曲面への追随性が高いシートが得られることを見出した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、持続時間が長い温感が付与された後で冷感が付与される、曲面への追随性が高いシートを提供することである。本発明が解決しようとする別の課題は、当該シートを含むフェイスマスク、及び当該シートを作製するためのキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、基布と、当該基布の少なくとも一方の面にドット状に付着される冷感ドットと、当該基布に含浸された温感剤を含み、当該冷感ドットは冷感剤を含み、当該冷感ドットの高さが75.0nm~330.0μmの範囲にあり、当該冷感ドットの直径が0.5~5.0mmの範囲にあり、当該基布の表面に対する当該冷感ドットの面積占有率が3.0~49.0%の範囲にあることを特徴とする。
【0008】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、基布と、当該基布の少なくとも一方の面にドット状に付着される冷感ドットと、当該基布に含浸された温感剤を含み、当該冷感ドットは冷感剤を含み、当該冷感ドットの高さ、当該冷感ドットの直径、及び当該基布の表面に対する当該冷感ドットの専有面積が所定範囲にあることにより、持続時間が長い温感を付与した後で冷感を付与し、かつその曲面への追随性は高い。前記冷感ドットの高さが75nm未満であると、冷感が付与されない。前記冷感ドットの高さが330μmより高いと、冷感が付与される前の温感の持続時間が短くなる、ないしなくなってしまう。前記冷感ドットの直径が0.5mm未満であると、冷感が付与されない。前記冷感ドットの直径が5.0mmより大きいと、冷感が付与される前の温感の持続時間が短くなる、ないしなくなってしまう。前記面積占有率が3.0%未満であると、冷感が付与されない。前記面積占有率が49.0%より大きいとシートの曲面への追随性が低下する。
【0009】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートの前記冷感ドットの高さは、好ましくは100.0nm~50.0μmの範囲にある。前記冷感ドットの高さが100.0nm~50.0μmの範囲にあることで、本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間がより長い温感を付与した後で冷感を付与できる。
【0010】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートにおいて、好ましくは、前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にある。前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にあることにより、本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間が特に長い温感を付与した後で冷感を付与できる。
【0011】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートにおいて、好ましくは、前記冷感ドットが更に増粘剤を含む。前記冷感ドットが更に増粘剤を含むことにより、冷感ドットの高さ、直径及び面積占有率をより正確に調節することが可能となる。
【0012】
本発明のフェイスマスクは、上述した本発明の温感と冷感を順次付与するシートを含む。
【0013】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキットは、冷感付与シートと、当該冷感付与シートに含浸可能な温感剤又は温感前駆剤を含み、当該冷感付与シートは、基布と、当該当該基布の少なくとも一方の面にドット状に付着される冷感ドットを含み、当該冷感ドットは冷感剤を含み、当該冷感ドットの高さが75.0nm~330.0μmの範囲にあり、当該冷感ドットの直径が0.5~5.0mmの範囲にあり、当該基布の表面に対する当該冷感ドットの面積占有率が3.0~49.0%の範囲にある。
【0014】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキットの前記冷感ドットの高さは、好ましくは100.0nm~50.0μmの範囲にある。
【0015】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキットにおいて、好ましくは、前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にある。
【0016】
本発明の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキットにおいて、好ましくは、前記冷感ドットが更に増粘剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明について更に詳細に説明する。
[温感と冷感を順次付与するシート]
「温感と冷感を順次付与する」とは、皮膚が温感を感じてから当該温感が3秒以上持続し、次いで皮膚が冷感を感じることを意味する。特にフェイスマスクの使用感の観点から、当該温感の持続時間は、好ましくは3~90秒であり、より好ましくは10~70秒であり、更に好ましくは25~50秒である。
【0018】
<基布>
本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、基布を含む。前記基布は、織物、編物及び不織布の少なくとも1つを含む。好ましくは、前記基布は、織物、編物又は不織布である。前記基布が織物である場合、織組織は、平織、綾織、朱子織、畝織、模紗織、及び絡み織の少なくとも1つを含む。好ましくは、前記織組織は、平織、綾織、朱子織、畝織、模紗織、又は絡み織である。さらに前記基布は1層であっても2層以上であってもよい。前記基布の素材は、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリ塩化ビニル等の合成繊維の少なくとも1つを含む。好ましくは、前記素材は、これらの繊維のいずれか1つである。前記基布は、好ましくはレーヨン不織布である。
前記基布の単位面積当たりの質量は、例えば、20.0~200.0g/m2であり、好ましくは、30.0~100.0g/m2である。
前記基布の厚さは、例えば、10.0~200.0μmであり、好ましくは、20.0~100.0μmである。
【0019】
<冷感ドット>
冷感ドットが前記基布の少なくとも一方の面にドット状に付着している。前記冷感ドットは、後述される冷感ドットの原材料を含む処理液が、前記基布の少なくとも一方の面上にスクリーン捺染、インクジェット、グラビアコーティング、スプレー散布等の手段により付着される。前記冷感ドットは、好ましくは前記基布の皮膚と接触する面に付着される。
【0020】
前記冷感ドットの高さは75.0nm~330.0μmの範囲にある。前記冷感ドットの高さが前記範囲にあることにより、本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間が長い温感を付与した後で冷感を付与できる。前記冷感ドットの高さは、前記冷感ドットの最も高い点を含むように本発明の温感と冷感を順次付与するシートを切断し、得られた断面をマイクロスコープ、又は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して測定される。なお、測定場所を変更して、少なくとも5ヶ所で、前記冷感ドットの高さを測定し、得られた測定値の平均値を、前記冷感ドットの高さとすることができる。
さらに、前記冷感ドットの高さは、好ましくは100.0nm~50.0μmの範囲にある。前記冷感ドットの高さが前記好ましい範囲にあることにより、本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間がより長い温感、具体的には本発明の温感と冷感を順次付与するシートを皮膚に押し当て温感を感じてから10秒以上の温感を付与した後で冷感を付与できる。
前記冷感ドットの高さは、100.0nm~10.0μmの範囲にあることがより好ましく、100.0nm~5.0μmの範囲にあることが更に好ましく、500.0nm~4.0μmの範囲にあることが特に好ましく、1.0~3.0μmの範囲にあることが最も好ましい。
【0021】
前記冷感ドットの直径は0.5~5.0mmの範囲にある。前記冷感ドットの直径が前記範囲にあることにより、本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間が長い温感を付与した後で冷感を付与できる。前記冷感ドットの形状は、円形、略円形、三角形、矩形、星形等の多角形等が挙げられる。前記冷感ドットの形状が多角形の場合、その面積と同じ面積をもつ円の直径が、冷感ドットの直径とみなされる。前記冷感ドットの直径は、マイクロスコープ、又は走査型電子顕微鏡(SEM)により、冷感ドットの付着部分を観察して測定される。なお、測定場所を変更して、少なくとも5ヶ所で、前記冷感ドットの直径を測定し、得られた測定値の平均値を、前記冷感ドットの直径とすることができる。
前記冷感ドットの直径は、0.8~2.6mmの範囲にあることが好ましく、1.0~2.2mmの範囲にあることがより好ましい。
【0022】
前記基布の表面に対する前記冷感ドットの面積占有率は3.0~49.0%の範囲にある。前記面積占有率が前記範囲にあることにより、本発明の温感と冷感を順次付与するシートの曲面への追随性が高くなる。前記冷感ドットの面積占有率は、マイクロスコープにより、冷感ドットの付着部分を特定して、この付着部分の面積を測定し、シートの面積に対する付着部分の面積の割合として算出することができる。なお、本発明の温感と冷感を順次付与するシートから、5.0cm×5.0cmのサイズのそれぞれ異なる測定領域を少なくとも3ヶ所抽出し、これらについて面積占有率を算出し、算出された面積占有率の平均値を、前記冷感ドットの面積占有率とすることができる。
前記冷感ドットの面積占有率は、4.0~45.0%の範囲にあることが好ましく、5.0~42.0%の範囲にあることがより好ましく、21.0~41.0%の範囲にあることが更に好ましく、31.0~40.9%の範囲にあることが特に好ましく、36.0~40.8%の範囲にあることが最も好ましい。
前記冷感ドットの直径及び前記面積占有率は、例えば、所望の直径及び面積占有率となるように孔径や孔間隔が設計されたスクリーン版又はグラビア版を用いて、前記基布の面上に前記冷感ドットを付着させることで調整可能である。
【0023】
<冷感剤>
前記冷感ドットは冷感剤を含む。前記冷感剤として、l-メントール、メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー、イシリン、キシリトール、エリスリトール、シネオール(ユーカリプトールということもある)、サリチル酸メチル、イソプレゴール、3-(1-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、6-イソプロピル-9-メチル-1,4-ジオキサスピロ-(4,5)-デカン-2-メタノール、コハク酸メンチル及びそのアルカリ土類塩、トリメチルシクロヘキサノール、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、3-(1-メントキシ)-2-メチル-プロパン-1,2-ジオール、ウィンターグリーン、メントン、メントングリセリンケタール、[1’R,2’S,
5’R]-2-(5’メチル-2’-(メチルエチル)シクロヘキシルオキシ)エタン-
1-オール、[1’R,2’S,5’R]-3-(5’メチル-2’-(メチルエチル)
シクロヘキシルオキシ)プロパン-1-オール、[1’R,2’S,5’R]-4-(5
’-メチル-2’-(メチルエチル)シクロヘキシルオキシ)ブタン-1-オール、スペ
アミント等が挙げられる。これらの冷感剤の1種又は2種以上が使用されてよい。好ましい冷感剤として、皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用し、肌の引き締め効果が優れる化合物が使用される。好ましい冷感剤として、前記冷感ドットの原材料液の加工性させるため、分子量が100~300の範囲にある化合物も使用される。好ましい冷感剤は、l-メントール、及びシネオールの少なくとも1つを含み、より好ましい冷感剤はl-メントール又はシネオールであり、更に好ましい冷感剤はl-メントールである。
【0024】
冷感ドットの原材料液の全量に対する前記冷感剤の含有量は、例えば0.01~20.0質量%、好ましくは0.050~15.00質量%、より好ましくは0.10~10.00質量%、更に好ましくは0.50~5.00質量%の範囲である。前記冷感ドットの原材料液中の固形分に対する前記冷感剤の含有量(すなわち、本発明の温感と冷感を順次付与するシート中の冷感ドットの全質量に対する前記冷感剤の含有量)は、例えば、8.0~80.0質量%の範囲であり、好ましくは10.0~60.0質量%の範囲であり、より好ましくは12.5~40.0質量%の範囲であり、更に好ましくは15.0~30.0質量%である。前記冷感剤の定性及び定量分析は、例えば、前記冷感ドットを後述する溶媒で抽出して得られた抽出物をガスクロマトグラフィーにて実施されてよい。
【0025】
<その他の成分>
前記冷感ドットは冷感剤に加えて更に増粘剤を含んでいてよい。
増粘剤としては、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩)、多糖類(例えば、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム)、水溶性高分子(例えば、架橋型アクリル酸重合体、ポリビニルアルコール、水溶性デンプン)、セルロースナノファイバー等を挙げることができる。これらの増粘剤の1種又は2種以上が使用されてよい。皮膚への安全性及び前記冷感ドットの原材料液の加工性の観点から、好ましい増粘剤はセルロース誘導体を含み、より好ましい増粘剤はセルロース誘導体である。前記増粘剤の前記冷感ドットの原材料液の全量に対する含有量は、例えば0.5~15.0質量%、好ましくは1.0~10.0質量%、より好ましくは1.5~7.0質量%、更に好ましくは2.0~5.0質量%の範囲である。前記増粘剤の前記冷感ドットの原材料液中の固形分に対する含有量(すなわち、本発明の温感と冷感を順次付与するシート中の冷感ドットの全質量に対する前記増粘剤の含有量)は、例えば20.0~95.0質量%の範囲であり、好ましくは40.0~90.0質量%の範囲であり、より好ましくは60.0~80.0質量%の範囲であり、更に好ましくは65~75質量%の範囲である。増粘剤の定性及び定量分析は、例えばガスクロマトグラフィーにより実施されてよい。
【0026】
前記冷感ドットは増粘剤以外にも、バインダー、界面活性剤、分散剤、防腐剤、架橋剤、刺激剤等を含んでもよい。前記バインダーとして、澱粉、ポリアクリル酸誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダーの1種又は2種以上が使用されてよい。前記バインダーの前記冷感ドットの原材料液中の固形分に対する含有量は、例えば5.0~50.0質量%の範囲である。
【0027】
前記刺激剤として、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス(Zanthoxylum peperitum)、サアンショール-I、サアンショール-II、サンショウアミド、黒胡椒エキス(Piper nigrum)、カビシン、ピペリン、スピラントール等が挙げられる。これらの刺激剤の1種又は2種以上が使用されてよい。
【0028】
前記冷感ドットの原材料液に用いられる溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等の化粧液に使用されるアルコール類を挙げることができる。これらの溶媒の1種又は2種以上が使用されてよい。前記溶媒は、好ましくは水とエタノールを含み、より好ましくは水とエタノールである。水とエタノールの含有量は質量比で、好ましくは1:0.5~1.5であり、より好ましくは1:0.8~1.3であり、更に好ましくは1:0.9~1.1である。
前記溶媒の冷感ドットの原材料液の全量に対する含有量は、例えば70.0~99.0質量%の範囲であり、好ましくは80.0~98.0質量%の範囲である。
【0029】
<温感剤>
温感剤が前記基布に含浸される。前記温感剤として、温度が30~100℃の範囲にある水、グリセリン、プロピレングリコール、バニリルブチル、カプサイシン、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ギンゲロール、バニリルブチルエーテル、4-(1-メントキシ-メチル)-2-フェニル-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(3’,4’-ジヒドロキシ-フェニル)-1,3-ジオ
キソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(2’-ヒドロキシ-3’-メトキシ
-フェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(4’-
メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(3’,4’-メチレンジオキシ-フェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(1-メトキ
シ-メチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソ
ラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド等が挙げられる。これらの温感剤の1種又は2種以上が使用されてよい。基布への含浸性の観点から、好ましい温感剤は、温度が30~100℃の範囲にある水、及びグリセリンの少なくとも1つを含む。より好ましい温感剤は温度が30~100℃の範囲にある水又はグリセリンであり、更に好ましい温感剤はグリセリンである。
【0030】
前記温感剤の、本発明の温感と冷感を順次するシートの全量に対する含有量は、例えば60.0~99.0質量%の範囲にあり、好ましくは70.0~96.0質量%の範囲にあり、より好ましくは85.0~95.0%の範囲にある。
【0031】
前記温感剤の、本発明の温感と冷感を順次するシートの全量に対する含有量は、下記式(1)又は(2)により計算される。
(温感と冷感を順次するシートの質量-冷感付与シートの質量)/(温感と冷感を順次するシートの質量)・・・(1)
(温感と冷感を順次するシートの質量-温感剤を除去した後の温感と冷感を順次するシートの質量)/(温感と冷感を順次するシートの質量)・・・(2)
前記温感剤は、本発明の温感と冷感を順次するシートを、必要に応じて前記温感剤を溶解する溶媒で洗浄した後、前記温感剤又は前記温感剤に含まれる液体の沸点以上の温度で10分間、更に105℃で30分間加熱乾燥することにより、本発明の温感と冷感を順次するシートから除去される。
【0032】
本発明の温感と冷感を順次するシートの好ましい実施形態として、前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にあるシートが挙げられる。当該好ましいシートを皮膚(例えば、顔の皮膚)に押し当てると、皮膚が温感を感じてから当該温感が25~50秒持続し、次いで皮膚が冷感を感じる。
【0033】
[フェイスマスク]
本発明のフェイスマスクは前記温感と冷感を順次付与するシートを含む。本発明のフェイスマスクは、持続時間が長い温感を付与した後で冷感を付与し、かつその顔面への追随性は高い。したがって、本発明のフェイスマスクが化粧料を含む場合、当該化粧料が本発明のフェイスマスクから肌面に良好に浸透した後、肌面が引き締められ、塗布された化粧料の剥落がより効果的に防止されると考えられる。
本発明のフェイスマスクに用いられる前記温感と冷感を順次付与するシートの形状としては、例えば、縦20.0~30.0cm×横20.0~30.0cmの矩形、短軸20~30.0cm×長軸20.0~30.0cmの多角形、短軸20.0~30.0cm×長軸20~30cmの角のとれた多角形、短径20.0~30.0cm×長径20.0~30.0cmの(楕)円形等を挙げることができる。
【0034】
[温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキット]
本発明の温感と冷感を順次付与するシートを作製するためのキット(以下、「キット」と称する場合がある)は、冷感付与シートと、当該冷感付与シートに含浸可能な温感剤又は温感前駆剤を含む。前記冷感付与シートは、基布と、当該当該基布の少なくとも一方の面にドット状に付着される冷感ドットを含み、当該冷感ドットは冷感剤を含む。前記基布、冷感剤及び温感剤については、[温感と冷感を順次付与するシート]の<基布>、<冷感剤>、<温感剤>で、それぞれ述べたとおりである。
【0035】
また、前記冷感ドットについても、[温感と冷感を順次付与するシート]の<冷感ドット>で述べたとおり、前記冷感ドットの高さが75.0nm~330.0μmの範囲にあり、その直径が0.5~5.0mmの範囲にあり、前記基布の表面に対する前記冷感ドットの面積占有率が3.0~49.0%の範囲にある。
【0036】
前記冷感付与シートに含浸可能な温感剤及び温感前駆剤は、前記冷感付与シートとは別の容器に保管される。前記温感剤は、例えば30℃以上に保温された保温容器に保管されてもよい。前記温感前駆剤は、加熱されて前記温感剤として作用するものであり、前記温感前駆剤として、例えば30℃未満の水が挙げられる。本発明のキットを使用する直前に、前記温感剤(前記温感前駆剤が加熱されて得られた温感剤を含む)を前記冷感付与シートに含浸させ、又は前記温感剤前駆剤を前記冷感付与シートに含浸させ、含浸された前記温感剤前駆剤を加熱し、本発明の温感と冷感を順次付与するシートを作製する。前記温感前駆剤が加熱されて得られる温感剤以外の前記温感剤は、前記冷感付与シートに含浸される直前に加熱されてもよい。
【0037】
本発明のキットの好ましい実施形態として、前記冷感ドットの高さが100.0nm~50.0μmの範囲にあるキットが挙げられる。前記冷感ドットの高さが100.0nm~50.0μmの範囲にあることで、本発明のキットから作製される本発明の温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間がより長い温感を付与した後で冷感を付与できる。
【0038】
本発明のキットの好ましい別の実施形態として、前記冷感剤がl-メントールを含み、前記温感剤がグリセリンを含み、前記冷感ドットの直径が1.0~2.2mmの範囲にあるキットが挙げられる。この実施形態のキットから作製される、温感と冷感を順次付与するシートは、持続時間が特に長い温感を付与した後で冷感を付与できる。
【0039】
本発明のキットの好ましい更に別の実施形態として、前記冷感ドットが更に増粘剤を含むキットが挙げられる。この実施形態のキットから作製される、温感と冷感を順次付与するシートでは、冷感の強さと前記冷感ドットの原材料液の粘度を調節できる。前記増粘剤についても、[温感と冷感を順次付与するシート]の<その他の成分>で述べたとおりである。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
実施例及び比較例において、各種物性は以下のとおりに評価ないし測定された。
<温感の持続時間>
耳下部の首筋にシートを貼付し、貼付直後に温感を感じた後冷感を感じるまでの時間(温感の持続時間)を測定した。冷感を感じられなかった場合、「冷感無」、冷感を感じるまでの時間が1秒未満の場合、「<1」と表1及び表2において表記した。
【0042】
<曲面への追随性>
5.0cm×5.0cmに切断したシートを頬に押し当て、シートが頬曲面になじみ、不快感が得られなかった場合を「good」、シートが頬曲面になじまず、不快感がある場合を「bad」と表1及び表2において表記した。
【0043】
<冷感ドットの高さ>
冷感ドットの最も高い点を含むようにシートを切断し、得られた断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社製VHX―600)により観察した。測定場所を変更して、5ヶ
所の冷感ドットの高さを測定し、得られた測定値の平均値を前記冷感ドットの高さとした。
【0044】
<冷感ドットの面積>
マイクロスコープ(キーエンス株式会社製VHX―600)により、冷感ドットの付着
部分を観察して冷感ドットの直径を測定した。測定場所を変更して、5ヶ所の冷感ドットの直径を測定し、得られた測定値の平均値を冷感ドットの直径とした。
【0045】
<冷感ドットの面積占有率>
マイクロスコープ(キーエンス株式会社製VHX―600)により冷感ドットの付着部
分を特定し、当該付着部分の面積を測定して、シートの面積に対する付着部分の面積の割合として冷感ドットの面積占有率を算出した。シートから、5.0cm×5.0cmのサイズのそれぞれ異なる測定領域を少なくとも3ヶ所抽出し、これらについて面積占有率を算出し、算出された面積占有率の平均値を、冷感ドットの面積占有率とした。
【0046】
[実施例1]
溶媒として水及びエタノール97.5質量%(水とエタノールの含有量は質量比でほぼ1:1)、冷感剤としてl-メントール(株式会社自然化粧品研究所製)1.0質量%、増粘剤としてセルロース誘導体(大同化成工業株式会社サンジェロースL60)2.5質量%からなる冷感剤含有ペースト(固形分濃度3.5質量%)を調製した。目付60.0g/m2のレーヨンスパンレース不織布(ダイワボウ株式会社製)に前記冷感剤含有ペーストを、冷感ドットの直径2.0mm、当該レーヨン不織布の表面に対する当該冷感ドットの面積占有率40.6%となるように、ピッチを3.0mmとして、厚さ200μmのスクリーンを使用してスクリーン捺染した後、120℃で3分間乾燥を行い、当該レーヨン不織布から水及びエタノールを蒸発又は揮発させ、冷感付与シートを得た。なお、前記冷感付与シートに形成された前記冷感ドットは28.6質量%のl-メントール及び71.4質量%のセルロース誘導体から構成されていた。また、前記冷感ドットの高さは2.0μmであった。前記冷感付与シートを5cm×5cmに切断し、切断された冷感付与シートを直径9cmのガラスシャーレに置き、温感剤としてグリセリンを当該切断された冷感付与シートが完全に浸漬されるまで添加した。前記切断された冷感付与シートをグリセリン中に1分間浸漬し、グリセリンを前記レーヨン不織布に含浸させて、試料シート1を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
[実施例2]
冷感剤含有ペーストの固形分濃度を0.2質量%(l-メントールとセルロース誘導体の比率、水とエタノールの比率は実施例1と同一)、冷感ドットの高さを0.1μmとした以外は実施例1と同様にして試料シート2を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
[実施例3]
冷感ドットの直径を1.0mmとした以外は実施例1と同様にして試料シート3を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例4]
冷感剤含有ペーストのスクリーン捺染時のピッチを8.5mmとし、レーヨン不織布の表面に対する冷感ドットの面積占有率を5.0%とした以外は実施例1と同様にして試料シート4を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
[実施例5]
冷感剤含有ペーストのスクリーン捺染時のピッチを3.8mmとし、冷感ドットの直径を2.5mm、レーヨン不織布の表面に対する冷感ドットの面積占有率を39.2%とした以外は実施例1と同様にして試料シート5を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0051】
[実施例6]
温感剤として50℃の水を使用した以外は実施例1と同様にして試料シート6を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0052】
[実施例7]
冷感剤としてシネオール(東京化成工業株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様にして試料シート7を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例8]
冷感剤含有ペーストの固形分濃度を15質量%(l-メントールとセルロース誘導体の比率、水とエタノールの比率は実施例1と同一)に調製し、冷感剤含有ペーストのスクリーン捺染時に使用するスクリーンの厚さを2000μm、冷感ドットの高さを100μmとした以外は実施例1と同様にして試料シート8を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
[比較例1]
冷感剤含有ペーストの固形分濃度を0.1質量%(l-メントールとセルロース誘導体の比率、水とエタノールの比率は実施例1と同一)に調製し、冷感ドットの高さを0.05μmとした以外は実施例1と同様にして比較試料シート1を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表2に示す。
【0056】
[比較例2]
冷感剤含有ペーストの固形分濃度を82.5質量%(l-メントールとセルロース誘導体の比率、水とエタノールの比率は実施例1と同一)に調製し、冷感剤含有ペーストのスクリーン捺染時に使用するスクリーンの厚さを2000μm、冷感ドットの高さを550μmとした以外は実施例1と同様にして比較試料シート2を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表2に示す。
【0057】
[比較例3]
冷感剤含有ペーストのスクリーン捺染時のピッチを2.5mmとし、レーヨン不織布の表面に対する冷感ドットの面積占有率を58.0%とした以外は実施例1と同様にして比較試料シート3を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表2に示す。
【0058】
[比較例4]
冷感剤含有ペーストのスクリーン捺染時のピッチを19.0mmとし、レーヨン不織布の表面に対する冷感ドットの面積占有率を1.0%とした以外は実施例1と同様にして比較試料シート4を作製し、その温感の持続時間及び曲面への追随性を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
実施例1~8及び比較例1~4において、上記式(1)により計算された、温感剤としてのグリセリンの、各試料シートの全量に対する含有量は92.3質量%であった。
【0061】
冷感ドットの高さが75μm未満の比較試料シート1、及びレーヨン不織布の表面に対する冷感ドットの面積占有率が3.0%未満の比較試料シート4は、冷感を感じられないものだった。冷感ドットの高さが330μmを超える比較試料シート2の温感は瞬間的に消失してしまった。レーヨン不織布の表面に対する冷感ドットの面積占有率が49.0%を超える比較試料シート3は頬曲面になじまず、頬に押し当てると不快感があった。
【0062】
一方、試料シート1~8は、その温感持続時間は長く、曲面への追随性が高い、温感と冷感を順次付与するシートであった。