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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058952
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
B65D5/54 301R
B65D5/54 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168784
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】石谷 真
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060CB24
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA11
3E060DA14
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】包装箱の剛性確保と、側板部の破断性向上を両立する。
【解決手段】包装箱1は、第1板部10と、第2板部11と、第1側板部13Aと、第2側板部16と、側板部13A,16を第1板部10側と第2板部11側に破断するための破断線30とを備える。第1側板部13Aに形成された破断線30の第1部分30Aは、一対の第1破断部31A,31Bと、1本の第2破断部32と、一対の第1破断部31A,31Bと第2破断部32とに連なる一対の第3破断部33A,33Bと、一対の第3破断部33A,33Bのうちの片側33Aだけに設けられた開封操作部34とを有する。第1破断部31A,31Bは、複数の第1切断線31cと、第1切断線31cに連なり、第2破断部32側へ傾斜した第2切断線31dとを含む片ジッパーからなり、全体として第2方向Yの中央側から外側に向けて第2破断部32側へ傾斜している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる第1板部と、
前記第1板部に対して前記第1方向と前記第2方向の双方に交差する第3方向に間隔をあけて設けられた第2板部と、
前記第1板部及び前記第2板部それぞれに連なり、前記第2方向及び前記第3方向に延びる第1側板部と、
前記第1板部及び前記第2板部それぞれに連なり、前記第1方向及び前記第3方向に延びる第2側板部と、
前記第1側板部及び前記第2側板部に設けられ、これらを前記第1板部側と前記第2板部側に破断するための破断線と
を備え、
前記破断線のうち前記第1側板部に形成された第1部分は、
前記第2方向の外側から中央側に延びる一対の第1破断部と、
前記一対の第1破断部に対して前記第3方向に間隔をあけて設けられ、前記一対の第1破断部間に位置し、前記第2方向に延びる1本の第2破断部と、
前記一対の第1破断部それぞれの前記第2方向の中央側の端と、これらの端の近傍に位置する前記第2破断部の端とにそれぞれ連なる一対の第3破断部と、
前記一対の第3破断部のうちの片側だけに設けられ、前記第3方向において前記第1破断部側から前記第2破断部側に向けて前記第2方向の中央側へ傾斜した開封操作部と
を有し、
前記第1破断部は、
前記第2方向に間隔をあけて設けた複数の第1切断線と、
前記第1切断線の前記第2方向の外側端に連なり、連続した前記第1切断線から離れるに従って前記第3方向における前記第2破断部側へ傾斜した第2切断線と
を含む片ジッパーからなり、
前記第1破断部は、全体として前記第2方向の中央側から外側に向けて前記第3方向における前記第2破断部側へ傾斜している、包装箱。
【請求項2】
前記開封操作部は、
前記片側の第3破断部と、
前記片側の第3破断部のうち前記第2方向の外側の端に連なり、前記第2方向の中央側に延びる切目線と、
前記切目線のうち前記第2方向の中央側の端に隣接する端と、前記片側の第3破断部のうち前記第2方向の中央側の端に隣接する端とを有し、前記第3方向において前記第1破断部側から前記第2破断部側に向けて前記第2方向の中央側へ傾斜した折目線と
によって画定されている、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第1側板部は、前記第1方向に間隔をあけて一対設けられ、
前記第2側板部は、前記第2方向に間隔をあけて一対設けられており、
前記一対の第2側板部はそれぞれ、前記一対の第1側板部それぞれに連なる一対の内フラップと、前記第1板部及び前記第2板部それぞれに連なり、前記内フラップの外側に配置された一対の外フラップとを有し、
前記破断線は、一対の前記第1側板部にそれぞれ設けられた前記第1部分と、一対の前記第2側板部にそれぞれ形成された第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記内フラップに前記第1方向に延びるようにそれぞれ設けられている、
請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第2部分は、前記第1破断部に対して前記第3方向に間隔をあけて設けられており、
前記破断線は、前記第1側板部と前記内フラップの間の稜部に、前記第1破断部と前記第2部分の双方に隣接し、前記第3方向に延びる第3部分を有する、
請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第1側板部は、前記第1方向に間隔をあけて一対設けられ、
前記第2側板部は、前記第1方向の寸法が前記第1側板部の前記第2方向の寸法よりも小さく、前記第2方向に間隔をあけて一対設けられており、
前記破断線は、一対の前記第1側板部にそれぞれ設けられた前記第1部分と、一対の前記第2側板部にそれぞれ形成された第2部分とを有し、
前記第2部分は、
前記第1方向の外側から中央側に延びる一対の第4破断部と、
前記一対の第4破断部に対して前記第3方向に間隔をあけて設けられ、前記一対の第4破断部間に位置し、前記第1方向に延びる1本の第5破断部と、
前記一対の第4破断部それぞれの前記第1方向の中央側の端と、これらの端の近傍に位置する前記第5破断部の端とに連なる一対の第6破断部と、
前記一対の第6破断部のうちの片側だけを含むように設けられ、前記第4破断部側から前記第5破断部側に向けて前記第1方向の中央側へ傾斜した開封操作部と
を有する、請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項6】
前記第2側板部を正対する方向から見て、前記第2側板部に形成された前記開封操作部は、前記第1方向の中央よりも左側に位置する、請求項5に記載の包装箱。
【請求項7】
前記第1側板部を正対する方向から見て、前記第1側板部に形成された前記開封操作部は、前記第2方向の中央よりも左側に位置する、請求項1から6のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4枚のフラップからなる蓋部を上下に備える汎用の包装箱が開示され、特許文献2には、4枚のフラップからなる蓋部を対向する一対の側部に備えるラップアラウンド形式の包装箱が開示されている。これらの包装箱には水平方向に延びる破断線が設けられ、この破断線に沿った破断によって、包装箱を上下に分割した状態で開封可能としている。
【0003】
破断線のうち長側面(側板部)に形成された部分は、水平方向の外側から長側面の中央側に延びる一対の第1破断部と、第1破断部に対して垂直方向に間隔をあけて配置された1本の第2破断部と、第1破断部と第2破断部に連なる一対の第3破断部とを備える。また、長側面には、第3破断部を含むように開封操作部が一対設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1673217号公報
【特許文献2】意匠登録第1673218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2の包装箱には1つの側板部に2つの開封操作部が設けられているため、側板部の破断性を向上できる一方、折曲線や切断線の増加によって側板部(包装箱)の剛性は低下する。よって、特許文献1,2の包装箱には、包装箱の剛性確保と、側板部の破断性向上の両立について、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、包装箱の剛性確保と、側板部の破断性向上を両立することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1方向、及び前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる第1板部と、前記第1板部に対して前記第1方向と前記第2方向の双方に交差する第3方向に間隔をあけて設けられた第2板部と、前記第1板部及び前記第2板部それぞれに連なり、前記第2方向及び前記第3方向に延びる第1側板部と、前記第1板部及び前記第2板部それぞれに連なり、前記第1方向及び前記第3方向に延びる第2側板部と、前記第1側板部及び前記第2側板部に設けられ、これらを前記第1板部側と前記第2板部側に破断するための破断線とを備え、前記破断線のうち前記第1側板部に形成された第1部分は、前記第2方向の外側から中央側に延びる一対の第1破断部と、前記一対の第1破断部に対して前記第3方向に間隔をあけて設けられ、前記一対の第1破断部間に位置し、前記第2方向に延びる1本の第2破断部と、前記一対の第1破断部それぞれの前記第2方向の中央側の端と、これらの端の近傍に位置する前記第2破断部の端とにそれぞれ連なる一対の第3破断部と、前記一対の第3破断部のうちの片側だけに設けられ、前記第3方向において前記第1破断部側から前記第2破断部側に向けて前記第2方向の中央側へ傾斜した開封操作部とを有し、前記第1破断部は、前記第2方向に間隔をあけて設けた複数の第1切断線と、前記第1切断線の前記第2方向の外側端に連なり、連続した前記第1切断線から離れるに従って前記第3方向における前記第2破断部側へ傾斜した第2切断線とを含む片ジッパーからなり、前記第1破断部は、全体として前記第2方向の中央側から外側に向けて前記第3方向における前記第2破断部側へ傾斜している、包装箱を提供する。
【0008】
第1側板部には、一対の第1破断部と1本の第2破断部と一対の第3破断部とが設けられているが、開封操作部は一対の第3破断部のうちの片側にしか設けられていない。そのため、第1側板部に2つの開封操作部を設ける場合と比較して、第1側板部(つまり包装箱)の剛性を確保できる。
【0009】
第1側板部に形成された開封操作部は、第1破断部側から第2破断部側に向けて第2方向の中央側へ傾斜している。そのため、開封操作部の操作力を、開封操作部が形成されていない第3破断部側へ効率的に伝達できる。よって、破断が意図しない向きに進むことを抑制でき、第1側板部の破断性向上できる。
【0010】
第1破断部は片ジッパーからなり、片ジッパーを構成する第2切断線は第1切断線から離れるに従って第2破断部の方へ傾斜している。そのため、第1破断部では第1側板部の破断を第2破断部側へ確実に誘導できる。また、第1破断部は、全体として第2方向の中央側から外側に向けて第2破断部側へ傾斜している。よって、第1破断部側の開封面積を広く確保できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、包装箱の剛性確保と、側板部の破断性向上を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の斜視図。
図2図1の包装箱のブランクを示す平面図。
図3図2のIII部分の拡大平面図。
図4図3のIV部分の拡大平面図。
図5】第1実施形態の包装箱の開封過程1を示す斜視図。
図6】第1実施形態の包装箱の開封過程2を示す斜視図。
図7】第1実施形態の包装箱の開封過程3を示す斜視図。
図8】第1実施形態の包装箱の開封過程4を示す斜視図。
図9】第1実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図。
図10】第2実施形態に係る包装箱の斜視図。
図11図10の包装箱のブランクを示す平面図。
図12】第2実施形態の包装箱の開封過程1を示す斜視図。
図13】第2実施形態の包装箱の開封過程2を示す斜視図。
図14】第2実施形態の包装箱の開封過程3を示す斜視図。
図15】第2実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装箱1を示す。この包装箱1は、天板10、底板11、及び一対の側板13A,13Bによって画定された一対の開口を、蓋部16によってそれぞれ塞いだラップアラウンドケースである。一対の側板13A,13Bと一対の蓋部16には、包装箱1を天板10側と底板11側に破断するための破断線30が設けられている。
【0015】
以下の説明で参照する個々の図面に記載したX方向は包装箱1の幅方向であり、Y方向は包装箱1の長さ方向であり、Z方向は包装箱1の高さ方向である。幅方向Xが本発明における第1方向であり、長さ方向Yが本発明における第2方向であり、高さ方向Zが本発明における第3方向である。
【0016】
図1を参照すると、包装箱1は、長さ方向Yの寸法が幅方向Xの寸法よりも長く、幅方向Xの寸法が高さ方向Zの寸法よりも長い直方体状である。但し、包装箱1の幅方向Xの寸法、長さ方向Yの寸法、及び高さ方向Zの寸法は、内部に収容する物品に応じて変更される。
【0017】
具体的には、長さ方向Yの寸法は250mm以上に設定され、高さ方向Zの寸法は200mm以下に設定され、幅方向Xの寸法は高さ方向Zの寸法以上に設定される。つまり、長さ方向Yの寸法を基準とすると、高さ方向Zの寸法は長さ方向Yの寸法の80%以下に設定され、幅方向Xの寸法は長さ方向Yの寸法の80%以上に設定される。
【0018】
より具体的には、本実施形態の包装箱1では、長さ方向Yの寸法が487mmに設定され、幅方向Xの寸法が387mmに設定され、高さ方向Zの寸法が110mmに設定されている。このように、高さが低くて長細い直方体状の包装箱1の長側面は破断し難く、破断線30の延び方向とは異なる向きに破断が進む(脱線する)ことがある。本実施形態では、このような問題を抑制して側板13A,13Bの破断性向上を図るだけでなく、破断線30の形成に伴う包装箱1の剛性低下を抑制する。
【0019】
以下、包装箱1の構成を具体的に説明する。
【0020】
(包装箱の概要)
図1に示す包装箱1は、図2に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて所定部位を固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱1の外面)と裏ライナ(包装箱1の内面)の間に波状の中しんを配設した構成である。
【0021】
図2に一点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図2に実線で示す部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0022】
図1を参照すると、天板(第1板部)11と底板(第2板部)12は、概ね同一の四角形状に形成されており、いずれもXY平面に沿って延び、高さ方向Zに間隔をあけて配置されている。
【0023】
引き続いて図1を参照すると、一対の側板(第1側板部)13A,13Bは、概ね同一の四角形状に形成され、それぞれYZ平面に沿って延びている。一対の蓋部(第2側板部)16は、概ね同一の四角形状に形成され、それぞれXZ平面に沿って延びている。
【0024】
一対の側板13A,13Bのうち一方の側板13Bは、側板本体14と付代部15を備え、これらを例えば熱溶融樹脂(ホットメルト)等の接着剤によって貼着(固着)した構成である。個々の蓋部16は、幅方向Xに間隔をあけて配置された一対の内フラップ17と、高さ方向Zに間隔をあけて配置された一対の外フラップ18とを備える。一対の内フラップ17の外面に一対の外フラップ18が配置され、これらの重畳部分が側板13Bと同様に熱溶融樹脂等の接着剤によって貼着されている。
【0025】
側板13A,13Bは、天板10の幅方向Xの両端に、長さ方向Yに延びる折曲部20を介してそれぞれ連続している。また、側板13A,13Bは、底板11の幅方向Xの両端に、長さ方向Yに延びる折曲部21を介してそれぞれ連続している。
【0026】
図2を参照すると、側板本体14、天板10、側板13A、底板11、及び付代部15は、この順で上側から下側へ連設されている。天板10の上下には、折曲部20を構成する折曲線20aを介して、側板本体14と側板13Aがそれぞれ連設されている。底板11の上下には、折曲部21を構成する折曲線21aを介して、側板13Aと付代部15がそれぞれ連設されている。折曲線20aは汎用罫線からなり、折曲線21aはリード罫からなる。リード罫とは、折曲性を汎用罫線よりも向上するために、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けた構成である。付代部15は、突出寸法が短くてブランクの端に位置するため、底板11と付代部15の間のリード罫(折曲線21a)の切断線数は、底板11と側板13Aの間のリード罫(折曲線21a)の切断線数よりも多い。
【0027】
天板10に対して側板本体14を折り曲げた後、側板13Aに対して底板11を折り曲げ、側板本体14の外面側に付代部15を貼着する(外グルア)。これにより、側板本体14と付代部15が側板13Bとして一体化される。
【0028】
なお、付代部15を天板10に連設し、側板本体14を底板11に連設してもよい。また、図2に破線で示すように、付代部15は、側板13Bに連設され、底板本体に貼着されてもよいし、側板13Aに連設され、天板本体に貼着されてもよい。また、付代部15は、貼着対象の外面側に貼着される構成(外グルア)に限られず、貼着対象の内面側に貼着されてもよい(内グルア)。
【0029】
一対の内フラップ17は、図2に示すブランクの状態で、先端が外フラップ18の先端と直線上に位置する寸法の四角形状である。一対の外フラップ18は、図1に示す封緘状態で、互いの先端が突き合う寸法の四角形状である。図1を参照すると、合計で4枚(二対)の内フラップ17は、側板13A,13Bそれぞれの長さ方向Yの端に、高さ方向Zに延びる折曲部22を介してそれぞれ連続している。合計で4枚(二対)の外フラップ18は、天板10及び底板11それぞれの長さ方向Yの端に、幅方向Xに延びる折曲部23を介してそれぞれ連続している。
【0030】
図2を参照すると、4枚の内フラップ17のうち、2枚は側板本体14の両側に折曲部22を構成する折曲線22aを介して連設され、残りの2枚は側板13Bの両側に折曲線22aを介して連設されている。4枚の外フラップ18のうち、2枚は天板10の両側に折曲部23を構成する折曲線23aを介して連設され、残りの2枚は底板11の両側に折曲線23aを介して連設されている。折曲線22a,23aはいずれも汎用罫線からなり、概ね直線上に配置されている。
【0031】
(開封用破断線構造)
図1を参照すると、破断線30は、複数の切断線からなり、包装箱1を天板10側と底板11側に破断(分離)する(図9参照)。図2を併せて参照すると、破断線30は、側板13A,13Bにそれぞれ設けられた第1部分30A、内フラップ17にそれぞれ設けられた第2部分30B、及び第1部分30Aと第2部分30Bの間にそれぞれ設けられた第3部分30Cを備える。
【0032】
図1及び図3を参照すると、第1部分30Aは、一対の第1破断部31A,31B、1本の第2破断部32、及び一対の第3破断部33A,33Bを備える。側板13A,13Bを正対する方向から見て、第1破断部31Aと第3破断部33Aは長さ方向Yの中央よりも左側に位置し、第1破断部31Bと第3破断部33Bは長さ方向Yの中央よりも右側に位置する。また、第1部分30Aには、1個の開封操作部(以下「操作部」と略す。)34が設けられている。
【0033】
第1部分30Aは、側板13A,13Bを高さ方向Zに概ね三等分したときの中央領域に設けられている。側板13Bの第1部分30Aについては、側板本体14のうち付代部15と重ならない部分に位置する。
【0034】
引き続いて図1及び図3を参照すると、一対の第1破断部31A,31Bは、側板13A,13Bの全高の半分よりも上側(天板10側)に設けられている。また、一対の第1破断部31A,31Bは、側板13A,13Bの長さ方向Yの両端にそれぞれ設けられ、長さ方向Yの外側から中央側へそれぞれ延びている。長さ方向Yにおいて、側板13A,13Bの全長に対して個々の第1破断部31A,31Bが占める割合は、それぞれ概ね10%である。本実施形態では、側板13A,13Bの長さ方向Yの寸法が487mmであるため、個々の第1破断部31A,31Bは概ね49mmの範囲内に設けられている。
【0035】
第1破断部31A,31Bの長さ方向Yの外側端31aは、第3部分30C(折曲線22a)に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。第1破断部31A,31Bの長さ方向Yの内側端31bは、第3破断部33A,33Bに対して破断可能な間隔をあけて配置されている。破断可能な間隔とは、外力を加えることによって、隣り合う切断線と繋がるように、非切断部(連続部)を破断できる距離を意味する。
【0036】
図1及び図4を参照すると、第1破断部31A,31Bは、長さ方向Yに間隔をあけて設けた複数(本実施形態では3本)の第1切断線31cと、第1切断線31cに連なる第2切断線31dとを含む片ジッパーによって構成されている。図4には第1破断部31Aのみを図示しているが、第1破断部31Bについては、図4の第1破断部31Aと対称に現れる。
【0037】
第2切断線31dは、複数の第1切断線31cのうち、長さ方向Yにおいて最も外側に位置する1つ以外に設けられている。第2切断線31dは、第1切断線31cのうち長さ方向Yの外側端に連なり、連続した第1切断線31cから離れるに従って第2破断部32側(底板11側)へ傾斜している。また、第2切断線31dと、この第2切断線31dに対して長さ方向Yの外側に位置する不連続の第1切断線31cとは、破断可能な間隔をあけて位置している。これにより、操作部34の上向きの操作に反して、第1破断部31A,31Bに沿った側板13A,13Bの破断を、下向きに誘導できるようにしている。そのため、第1破断部31A,31Bでは、側板13A,13Bの破断を第2破断部32側へ確実に誘導できる。
【0038】
図4に最も明瞭に示すように、第1破断部31A,31Bは更に、全体として長さ方向Yの中央側から外側に向けて第2破断部32側(底板11側)へ傾斜している。個々の第1切断線31cは、底板11(折曲線21a)に沿って平行に延びているが、高さ方向Zの形成位置がそれぞれ異なっており、長さ方向Yの中央側から外側に位置するに従って底板11側に配置されている。よって、複数の第1切断線31cを含む第1破断部31A,31B全体は、長さ方向Yの中央側から外側に向けて底板11側へ傾斜している。
【0039】
第1破断部31A,31Bと底板11(折曲線21a)とがなす角αは、0度よりも大きく(0度は含まない。)、30度以下に設定されることが好ましく、なす角αの上限値は15度以下に設定されることが更に好ましい。なす角αを過度に小さくすると、包装箱1の天板10側の開封面積(容積)が小さくなるため、収容した物品の露出性及び取出作業性が損なわれる。一方、なす角αを過度に大きくすると、操作部34の上向きの操作により、第1破断部31A,31Bに沿って側板13A,13Bを破断することが困難になる。これらの不都合を防ぐために、なす角αは、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では6.5度に設定されている。
【0040】
図1及び図3を参照すると、第2破断部32は、側板13A,13Bの全高の半分よりも下側(底板11側)に設けられている。つまり、第2破断部32は、一対の第1破断部31A,31Bに対して高さ方向Zに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第2破断部32は、第1破断部31A,31B間に設けられ、長さ方向Yに延びている。
【0041】
第2破断部32の両端32a,32bはいずれも、第1破断部31A,31Bの内側端31bよりも長さ方向Yの内側に間隔をあけて位置する。図1において、左側に位置する第2破断部32の第1端32aは、第3破断部33Aに対して破断可能な間隔をあけて配置され、右側に位置する第2破断部32の第2端32bは、第3破断部33Bに対して破断可能な間隔をあけて配置されている。
【0042】
第2破断部32は、ミシン目状をなすように長さ方向Yに間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、第1端32aから第2端32bまで直線状に延びている。但し、第2破断部32は、傾斜していてもよいし、全体として曲線状に設けられてもよいし、全体として高さ方向Zの凹凸を繰り返す波状に形成されてもよく、その形状は必要に応じて変更が可能である。
【0043】
図1及び図4を参照すると、第2破断部32は、長さ方向Yの寸法が異なる2種の切断線32c,32dによって構成されている。第1切断線32cの長さ方向Yの寸法は、第2切断線32dの長さ方向Yの寸法よりも長い。第1切断線32cの長さ方向Yの寸法は、第2切断線32dの長さ方向Yの寸法よりも長い。第1切断線32cの寸法は例えば10mmであり、第2切断線32dの寸法は例えば3mmである。第1切断線32cは、第3破断部33A側に2本設けられている。第2切断線32dは、第3破断部33B側に多数設けられている。
【0044】
図1及び図3を参照すると、第3破断部33A,33Bは、一対の第1破断部31A,31Bと1本の第2破断部32との間に設けられている。第3破断部33A,33Bはいずれも、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線によって構成されている。長さ方向Yにおいて、側板13A,13Bの全長に対して個々の第3破断部33A,33Bが占める割合は、それぞれ概ね20%である。本実施形態では、側板13A,13Bの長さ方向Yの寸法が487mmであるため、個々の第3破断部33A,33Bの長さ方向Yの寸法は概ね98mmの範囲内に設けられている。これは、第3破断部33Aが一部を画定する操作部34に、一般成人の手を挿入可能とするためである。
【0045】
具体的には、第3破断部33Aは、第1破断部31Aの内側端31bと第2破断部32の第1端32aに連なっている。第3破断部33Bは、第1破断部31Bの内側端31bと第2破断部32の第2端32bに連なっている。第1破断部31A,31Bと第2破断部32に連なる第3破断部33とは、幾何学的に厳密な意味で連なる構成に限られず、破断可能な間隔をあけて位置する構成が含まれる。
【0046】
図1及び図4を参照すると、第3破断部33Aは、所定曲率の曲線状であり、中心が上側(天板10側)に位置し、下向き(底板11側)に湾曲している。つまり、第3破断部33Aは、長さ方向Yの外側から内側に向けて次第に底板11に近づく曲線状に形成されている。第3破断部33Aの長さ方向Yの外側端33aは、第1破断部31Aの内側端31bに対して破断可能な間隔をあけて位置する。第3破断部33Aの長さ方向Yの内側端33bは、第2破断部32の第1端32aに対して破断可能な間隔をあけて位置する。
【0047】
図1及び図3を参照すると。第3破断部33Bは、左下がりの直線状に形成されている。つまり、長さ方向Yの外側から内側に向かうに従って下向きに傾斜した直線状に形成されている。第3破断部33Bの長さ方向Yの外側端33aは、第1破断部31Bの内側端31bに対して破断可能な間隔をあけて位置する。第3破断部33Bの長さ方向Yの内側端33bは、第2破断部32の第2端32bに対して破断可能な間隔をあけて位置する。
【0048】
引き続いて図1及び図3を参照すると、操作部34は、一対の第3破断部33A,33Bのうち、第3破断部33Aだけを含むように設けられている。つまり、操作部34は、側板13A,13Bを正対する方向から見て、長さ方向Yの中央よりも左側に設けられている。操作部34は、第1破断部31A側から第2破断部32側に向けて長さ方向Yの中央側へ傾斜している。
【0049】
図1及び図4を参照すると、操作部34は、前述した第3破断部33A、第3破断部33Aの外側端33aに連なる切目線35、及び第3破断部33Aの内側端33bに連なる折目線36によって画定されている。但し、操作部34は、打ち抜きによって形成された開口部であってもよい。
【0050】
図4に最も明瞭に示すように、切目線35は、側板13A,13Bのうち、第3破断部33Aの天板10側に設けられている。切目線35は、破断可能な間隔をあけて設けた2本(複数)の切断線によって構成されている。切目線35は、所定曲率の曲線状であり、中心が下側(底板11側)に位置し、上向き(天板10側)に湾曲している。
【0051】
切目線35は、第3破断部33Aの外側端33a(つまり第1破断部31Aの内側端31b)に連なり、長さ方向Yの中央側に延びている。ここで、第3破断部33Aの外側端33aに連なる切目線35とは、幾何学的に厳密な意味で連なる構成に限られず、破断可能な間隔をあけて位置する構成が含まれる。本実施形態では、切目線35のうち、側板13A,13Bの長さ方向Yの外側に位置する外側端35aは、第1破断部31Aの内側端31bと第3破断部33Aの外側端33aとの間に配置され、第1破断部31Aと第3破断部33Aの両者に対して破断可能な間隔をあけて位置している。
【0052】
切目線35のうち、側板13A,13Bの長さ方向Yの中央側に位置する内側端35bは、外側端35aよりも長さ方向Yの中央側、かつ高さ方向Zの下側(底板11側)に配置されている。長さ方向Yにおいて、第3破断部33Aの全長に対して切目線35が占める割合は、概ね35%である。つまり、図4において、切目線35の内側端35bは、第3破断部33Aの左側の3分の1の位置に配置されている。
【0053】
引き続いて図4を参照すると、折目線36は、汎用罫線からなり、上側(第1破断部31A側)から下側(第2破断部32側)に向けて長さ方向Yの中央側へ傾斜している。折目線36は、切目線35の外側端35bに隣接する外側端36aと、第3破断部33Aの内側端33bに隣接する内側端36bとを有する。ここで、隣接する端とは、間隔をあけて位置する構成に限られず、同一点上に位置する構成が含まれる。
【0054】
折目線36と底板11とがなす角βは、15度以上45度以下に設定されることが好ましく、25度以上35度以下に設定されることが更に好ましい。操作部34の操作力は、なす角βが小さくなるに従って離れた部分まで伝わり難くなる。操作部34の操作によって破断線31の縁が互いに離れる向きに移動する変位量は、なす角βが大きくなるに従って小さくなるため、それに伴って側板13A,13Bの破断性も低下する。つまり、長さ方向Yの一端側から他端まで細長い側板13A,13Bを破断するには、なす角βは小さすぎても大きすぎても好ましくない。よって、なす角βは、上記定められた範囲に設定することが好ましく、本実施形態では30度に設定されている。
【0055】
図1及び図2を参照すると、第2部分30Bは、4つの内フラップ17にそれぞれ設けられ、いずれも幅方向Xに延びている。第2部分30Bは、第1部分30Aの第1破断部31A,31Bと第2破断部32の間に位置するように、内フラップ17の全高の中央に設けられている。つまり、第2部分30Bは、高さ方向Zにおいて第1部分30Aの第1破断部31A,31Bに対して第2破断部32側に設けられている。
【0056】
図1及び図4を参照すると、本実施形態の第2部分30Bは、幅方向Xに間隔をあけて設けられた複数の第1切断線37と、第1切断線37の端に連なる第2切断線38a,38bとを備える片ジッパーによって構成されている。
【0057】
第2切断線38a,38bは、複数の第1切断線37のうち、側板13A,13Bから最も離れた内フラップ17の先端側の1つ以外に設けられ、個々の第1切断線37の幅方向Xの外端(つまり側板13A,13B側の端)に連なっている。そのうち、第2切断線38aは、側板13A,13Bに最も近い第1切断線37に設けられ、側板13A,13Bに近づくに従って天板10に近づく向きへ傾斜している。第2切断線38aのうち、第1切断線37に連ならない方の端は、第3部分30Cに対して破断可能な間隔をあけて位置する。第2切断線38bは、その他の第1切断線37に設けられ、側板13A,13Bに近づくに従って底板11に近づく向きへ傾斜している。第2切断線38bのうち、第1切断線37に連ならない方の端は、隣に位置する第1切断線37に対して破断可能な間隔をあけて位置する。
【0058】
図1及び図2を参照すると、第3部分30Cは、高さ方向Zに延びる1本の切断線からなり、第1破断部31A,31Bと第2破断部32の双方に破断可能な間隔をあけて設けられている。図4を参照すると、第3部分30Cの上端は、第1破断部31A,31Bの外側端31aよりも上側に配置され、第3部分30Cの下端は、第1部分30Aの第1破断部31A,31Bと第2部分30Bの間に配置されている。
【0059】
より具体的には、第3部分30Cは、側板13A,13Bと内フラップ17の間の稜部、つまり折曲部22(折曲線22a)上に設けられている。但し、第3部分30Cは、折曲線22aに沿った山折りによって円弧状をなす領域(折曲部22)であれば、折曲線22aよりも側板13A,13B側に設けられてもよいし、折曲線22aよりも内フラップ17側に設けられてもよい。
【0060】
次に、このように構成された包装箱1の開封方法の一例を説明する。
【0061】
まず、図1において、側板13Aの操作部34を幅方向Xの外側から内側へ押し込む。これにより、第3破断部33A及び切目線35に沿って側板13Aを破断し、操作部34を開口させる。続いて、側板13Aのうち操作部34の折目線36の縁を持ち、図1において天板10に向けて右側上方、より具体的には折目線36に対し直交する向きへ操作する。
【0062】
これにより、図5に示すように、破断線30の第1部分30Aのうち、操作部34に連なる第1破断部31Aと第2破断部32に沿って側板13Aが破断される。第1破断部31Aに沿った側板13Aの破断が完了すると、引き続いて第3部分30Cを経て、折曲部22に沿って側板13Aと左側内フラップ17の間の稜部が破断される。また、図6に示すように、第2破断部32に沿った側板13Aの破断が完了すると、引き続いて第3破断部33Bに沿って側板13Aが破断された後、第1破断部31Bに沿って側板13Aが破断される。その後、引き続いて第3部分30Cを経て、折曲部22に沿って側板13Aと右側内フラップ17の間の稜部が破断される。
【0063】
次に、図7に示すように、側板13Aと同様に側板13Bの操作部34を操作し、一対の第1破断部31A,31B、1本の第2破断部32、及び一対の第3破断部33A,33Bに沿って側板13Bを破断する。なお、側板13Bの開封操作は、側板13Aよりも先に行ってもよいし、側板13Aと同時に行ってもよい。
【0064】
次に、個々の蓋部16の一対の外フラップ18間に手を差し込み、天板10に連なる外フラップ18を天板10側へ操作する。これにより、図8に示すように、全ての内フラップ17を破断線30の第2部分30Bに沿って破断する。なお、蓋部16の破断は、片方ずつ順番に行ってもよし、側板13A,13Bの破断よりも先に行ってもよい。
【0065】
これにより、図9に示すように、包装箱1を天板10側と底板11側に分離し、底板11側をトレイ状とした開封状態とすることができる。また、側板13A,13Bと内フラップ17の間の稜部(折曲部22)に沿って破断することなく、第1部分30Aに沿った側板13A,13Bの破断と、第2部分30Bに沿った内フラップ17の破断とを、第3部分30Cを介して連続的に行ってもよい。
【0066】
このように構成した包装箱1は、以下の特徴を有する。
【0067】
側板13A,13Bには、一対の第1破断部31A,31B、1本の第2破断部32、及び一対の第3破断部33A,33Bが設けられているが、操作部34は一対の第3破断部33A,33Bのうちの片側33Aにしか設けられていない。そのため、側板13A,13Bにそれぞれ2つの操作部34を設ける場合と比較して、側板13A,13B(つまり包装箱1)の剛性を確保できる。
【0068】
側板13A,13Bに形成された操作部34は、高さ方向Zにおいて第1破断部31A,31B側から第2破断部32側に向けて長さ方向Yの中央側へ傾斜している。そのため、操作部34の操作力を、操作部34が形成されていない第3破断部33B側へ効率的に伝達できる。よって、破断が意図しない向きに進むことを抑制でき、側板13A,13Bの破断性向上できる。
【0069】
第1破断部31A,31Bは片ジッパーからなり、片ジッパーを構成する第2切断線31dは第1切断線31cから離れるに従って第2破断部32の方へ傾斜している。そのため、第1破断部31A,31Bでは、側板13A,13Bの破断を第2破断部32側へ確実に誘導できる。また、第1破断部31A,31Bは、全体として長さ方向Yの中央側から外側に向けて高さ方向Zにおける第2破断部32側へ傾斜している。よって、第1破断部31A,31B側の開封面積を広く確保できる。
【0070】
操作部34は、第3破断部33Aの外側端33aに連なる切目線35を備える。そのため、切目線35と第3破断部33Aの内側端33bとの間に形成する折目線36の傾斜角度(なす角β)の設定自由度を広くすることができる。よって、操作部34が形成されていない第3破断部33B側への操作力の伝達性を確保でき、側板13A,13Bの破断性を確実に向上できる。
【0071】
包装箱1は、側板13A,13Bの長さ方向Yの破断が困難なラップアラウンドケースであるが、この側板13A,13Bには前述した構成の第1部分30Aが形成されている。そのため、側板13A,13Bの剛性を確保でき、破断線30に沿って長細い側板13A,13Bを確実に破断できる。
【0072】
破断線30は、内フラップ17に形成された第2部分30Bと、側板13A,13Bと内フラップ17の間の稜部(折曲部22)に形成された第3部分30Cとを有する。そのため、第1部分30Aに沿った側板13A,13Bの破断と、第2部分30Bに沿った内フラップ17の破断とを、第3部分30Cを介して連続させ、包装箱1を天板10側と底板11側に分離できる。また、第2部分30Bが第1部分30Aの第2破断部32側に位置しているため、第1破断部31A,31B側の開封面積を広く確保できる。
【0073】
側板13A,13Bの操作部34はいずれも、側板13A,13Bを正対する方向から見て、長さ方向Yの中央よりも左側に位置する。よって、破断線30に沿って包装箱1を開封する際、例えば包装箱1を回転させることで、同じ動作で側板13A,13Bを破断できるため、開封作業性を向上できる。
【0074】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0075】
(第2実施形態)
図10は第2実施形態の包装箱100を示す。この包装箱100は、一対の側板111A,111B、及び一対の端板112A,112Bによって画定された一対の開口を、天蓋115と底蓋116によってそれぞれ塞いだ汎用ケースである。一対の側板111A,111Bと一対の端板112A,112Bには、包装箱100を天蓋115側と底蓋116側に破断するための破断線30が設けられている。
【0076】
(包装箱の概要)
図10に示す包装箱100は、図11に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて所定部位を固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製段ボールシートを打ち抜いて形成されている。本実施形態の包装箱100では、長さ方向Yの寸法が403mmに設定され、幅方向Xの寸法が303mmに設定され、高さ方向Zの寸法が106mmに設定されている。
【0077】
図10を参照すると、一対の側板(第1側板部)111A,111Bは、概ね同一の四角形状に形成され、それぞれYZ平面に沿って延びている。一対の端板(第2側板部)112A,112Bは、概ね同一の四角形状に形成され、それぞれXZ平面に沿って延びている。そのうち、端板112Bは、端板本体113と付代部114を備え、これらを例えば酢酸ビニルエマルジョン系の接着剤によって貼着(固着)した構成である。
【0078】
側板111A,111Bと端板112A,112Bは、交互に配置され、それぞれ高さ方向Zに延びる折曲部120を介してそれぞれ連続している。図11を参照すると、付代部114、側板111A、端板112A、側板111B、端板本体113は、この順で左側から右側へ連設されている。これらは、それぞれ折曲部120を構成する折曲線120aを介して連設されている。折曲線120aは汎用罫線からなる。
【0079】
端板112Aに対して側板111Aを折り曲げた後、側板111Bに対して端板本体113を折り曲げ、付代部114の外面側に端板本体113を貼着する(内グルア)。これにより、端板本体113と付代部114が端板112Bとして一体化される。なお、付代部114を、端板112A又は112Bに連設して側板本体に貼着してもよい。また、付代部114は、貼着対象の外面側に貼着されてもよい(外グルア)。
【0080】
図10を参照すると、天蓋(第1板部)115と底蓋(第2板部)116は、概ね同一の四角形状に形成されており、いずれもXY平面に沿って延び、高さ方向Zに間隔をあけて配置されている。天蓋115と底蓋116(図15参照)はいずれも、長さ方向Yに間隔をあけて配置された一対の内フラップ117と、幅方向Xに間隔をあけて配置された一対の外フラップ118とを備える。一対の内フラップ117の外面に一対の外フラップ118が配置され、これらが所定の接着剤、固着具、粘着テープ等によって固着される。
【0081】
一対の内フラップ117は、図11に示すブランクの状態で、先端が外フラップ118の先端と直線上に位置する寸法の四角形状である。一対の外フラップ118は、図10に示す封緘状態で、互いの先端が突き合う寸法の四角形状である。図10及び図15を参照すると、合計で4枚(二対)の内フラップ117は、端板112A,112Bそれぞれの高さ方向Zの端に、幅方向Xに延びる折曲部121を介してそれぞれ連続している。合計で4枚(二対)の外フラップ118は、側板111A,111Bそれぞれの高さ方向Zの端に、長さ方向Yに延びる折曲部122を介してそれぞれ連続している。
【0082】
図11を参照すると、4枚の内フラップ117のうち、2枚は端板112Aの上下に折曲部121を構成する折曲線121aを介してそれぞれ連設され、残りの2枚は端板本体113の上下に折曲線121aを介してそれぞれ連設されている。4枚の外フラップ118は、側板111A,111Bそれぞれの上下に折曲部122を構成する折曲線122aを介してそれぞれ連設されている。折曲線121a,122aはいずれも汎用罫線からなり、概ね直線上に配置されている。
【0083】
(開封用破断線構造)
図10を参照すると、破断線30は、複数の切断線からなり、包装箱100を天蓋115側と底蓋116側に破断(分離)する(図15参照)。図11を併せて参照すると、破断線30は、側板111A,111Bにそれぞれ設けられた第1部分30A、及び端板112A,112Bにそれぞれ設けられた第2部分30Bを備える。第2実施形態の包装箱100には、第1実施形態に示す第3部分30C(図1参照)は設けられていない。
【0084】
第1部分30Aは、第1実施形態と同様に、一対の第1破断部31A,31B、1本の第2破断部32、及び一対の第3破断部33A,33Bを備える。また、側板111A,111Bを正対する方向から見て、第1部分30Aには、長さ方向Yの中央よりも左側の第3破断部33Aを含むように1個の操作部34が設けられている。
【0085】
引き続いて図10及び図11を参照すると、第2実施形態の第2部分30Bは、端板112A,112Bを高さ方向Zに概ね三等分したときの中央領域に設けられ、第1部分30Aと同じ高さ位置に設けられている。第2部分30Bは、第1部分30Aと同様の基本構成であり、一対の第1破断部(第4破断部)41A,41B、1本の第2破断部(第5破断部)42、及び一対の第3破断部(第6破断部)43A,43Bを備える。第1部分30Aと第2部分30Bは、第2破断部32,42の寸法が異なる点で相違し、その他の点は基本的に同一である。
【0086】
具体的には、端板112A,112Bを正対する方向から見て、第1破断部41Aと第3破断部43Aは幅方向Xの中央よりも左側に位置し、第1破断部41Bと第3破断部43Bは幅方向Xの中央よりも右側に位置する。また、第2部分30Bには、端板112A,112Bを正対する方向から見て幅方向Xの中央よりも左側に、1個の開封操作部(以下「操作部」と略す。)44が第3破断部43Aを含むように設けられている。
【0087】
一対の第1破断部41A,41Bは、端板112A,112Bの幅方向Xの両端に設けられ、幅方向Xの外側から中央側へそれぞれ延びている。第1破断部41A,41Bそれぞれの幅方向Xの寸法は、第1部分30Aの第1破断部31A,31Bそれぞれの長さ方向Yの寸法と同じである。
【0088】
第1破断部41Aの幅方向Xの外側端は、第1部分30Aの第1破断部41Bの長さ方向Yの外端に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。第1破断部41Bの幅方向Xの外側端は、第1部分30Aの第1破断部41Aの長さ方向Yの外端に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。第1破断部41A,41Bの幅方向Xの内側端は、第3破断部43A,43Bに対して破断可能な間隔をあけて配置されている。
【0089】
第1破断部41A,41Bは、幅方向Xに間隔をあけて設けた複数の第1切断線と、第1切断線に連なる第2切断線とを含む片ジッパーによって構成されている。端板112Bについては、端板本体113と付代部114に第1破断部41Bを構成する切断線が設けられている。第2破断線は、連続した第1切断線から離れるに従って第2破断部42側(底蓋116側)へ傾斜している。
【0090】
第1破断部41A,41Bは、全体として幅方向Xの中央側から外側に向けて第2破断部42側(底蓋116側)へ傾斜している。第1破断部41A,41Bと底蓋116(折曲線121a)とがなす角は、第1部分30Aの第1破断部31A,31Bと底蓋116(折曲線122a)とがなす角と同一である。第1部分30Aの第1破断部31A,31Bと底蓋116とがなす角は、第1実施形態(なす角α)と同一である。
【0091】
第2破断部42は、一対の第1破断部41A,41Bに対して底蓋116側に間隔をあけて設けられている。第2破断部42は、第1破断部41A,41B間に設けられ、幅方向Xに延びている。図10において、左側に位置する第2破断部42の端は、第3破断部43Aに対して破断可能な間隔をあけて配置され、右側に位置する第2破断部42の端は、第3破断部43Bに対して破断可能な間隔をあけて配置されている。第2破断部42は、ミシン目状をなすように幅方向Xに間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、一端から他端まで直線状に延びている。但し、第2破断部42の形状は必要に応じて変更が可能である。
【0092】
第3破断部43A,43Bは、一対の第1破断部41A,41Bと1本の第2破断部42との間に設けられている。第3破断部43A,43Bはいずれも、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線によって構成されている。第3破断部43A,43Bそれぞれの幅方向Xの寸法は、第1部分30Aの第3破断部33A,33Bそれぞれの長さ方向Yの寸法と同じである。
【0093】
第3破断部43Aは、第1破断部41Aの幅方向Xの内側端と第2破断部42の左端に連なっている。第3破断部43Bは、第1破断部41Bの幅方向Xの内側端と第2破断部42の右端に連なっている。連なるとは、幾何学的に厳密な意味で連なる構成に限られず、破断可能な間隔をあけて位置する構成が含まれる。
【0094】
第3破断部43Aは、第1部分30Aの第3破断部33Aと同様に、所定曲率の曲線状であり、中心が上側(天蓋115側)に位置し、下向き(底蓋116側)に湾曲している。第3破断部43Bは、第1部分30Aの第3破断部33Bと同様に、左下がりの直線状に形成されている。
【0095】
操作部44は、一対の第3破断部43A,43Bのうち、第3破断部43Aだけを含むように設けられ、第1破断部41A側から第2破断部42側に向けて幅方向Xの中央側へ傾斜している。具体的には、操作部44は、第3破断部43A、第3破断部43Aの外側端に連なる切目線45、及び第3破断部43Aの内側端に連なる折目線46によって画定されている。但し、操作部44は、打ち抜きによって形成された開口部であってもよい。
【0096】
切目線45は、端板112A,112Bのうち第3破断部43Aの天蓋115側に設けられ、破断可能な間隔をあけて設けた2本(複数)の切断線によって構成されている。切目線45は、所定曲率の曲線状であり、中心が下側(底蓋116側)に位置し、上向き(天蓋115側)に湾曲している。切目線45は、第3破断部43Aの外側端に連なり、長さ方向Yの中央側に延びている。切目線45の幅方向Xの寸法は、第1部分30Aの切目線35の長さ方向Yの寸法と同じである。
【0097】
折目線46は、汎用罫線からなり、上側(第1破断部41A側)から下側(第2破断部42側)に向けて長さ方向Yの中央側へ傾斜している。折目線46と底蓋116とがなす角は、第1部分30Aの折目線36と底蓋116とがなす角と同一である。第1部分30Aの折目線36と底蓋116とがなす角は、第1実施形態(なす角β)と同一である。
【0098】
次に、このように構成された包装箱100の開封方法の一例を説明する。
【0099】
まず、図10において、側板111Bの操作部34を幅方向Xの外側から内側へ押し込んで操作部34を開口させ、図10において天蓋115に向けて右側上方へ操作部34を操作する。これにより、図12に示すように、破断線30の第1部分30Aのうち、操作部34に連なる第1破断部31Aと第2破断部32に沿って側板111Bが破断される。また、第2破断部32に沿った側板111Bの破断が完了すると、引き続いて第3破断部33B及び第1破断部31Bの順で側板111Bが破断される。
【0100】
次に、図12において、端板112Bの操作部44を幅方向Xの外側から内側へ押し込んで操作部44を開口させ、図12において天蓋115に向けて右側上方へ操作部44を操作する。これにより、図13に示すように、破断線30の第2部分30Bのうち、操作部44に連なる第1破断部41Aと第2破断部42に沿って端板112Bが破断される。また、第2破断部42に沿った端板112Bの破断が完了すると、引き続いて第3破断部43B及び第1破断部41Bの順で端板112Bが破断される。
【0101】
次に、図14に示すように、側板111Aの操作部34を上記と同様に操作して側板111Aを破断した後、端板112Aの操作部44を上記と同様に操作して端板112Aを破断する。これにより、図15に示すように、包装箱100を天蓋115側と底蓋116側に分離し、底蓋116側をトレイ状とした開封状態とすることができる。
【0102】
なお、側板111A,111B及び端板112A,112Bの破断順序は必要に応じて変更可能である。また、側板111A,111B又は端板112A,112Bのうちの1つを破断した際、隣接した他の1つとの稜部が、第1実施形態と同様に破断されてもよい。
【0103】
このように構成した包装箱100は、以下の特徴を有する。
【0104】
包装箱100は、全高を低く形成することによって側板111A,111Bと端板112A,112Bの破断が困難になった汎用ケースであるが、側板111A,111Bには、一対の第1破断部31A,31B、1本の第2破断部32、一対の第3破断部33A,33B、及び1個の操作部34を有する第1部分30Aが設けられ、端板112A,112Bには、一対の第1破断部41A,41B、1本の第2破断部42、一対の第3破断部43A,43B、及び1個の操作部44を有する第2部分30Bが設けられている。そのため、包装箱100の剛性を確保でき、破断線30に沿って長細い側板111A,111Bと端板112A,112Bを確実に破断できる。
【0105】
側板111A,111Bの操作部34は長さ方向Yの中央よりも左側に形成され、端板112A,112Bの操作部44は幅方向Xの中央よりも左側に形成されている。よって、破断線30に沿って包装箱100を開封する際、例えば包装箱100を一方向に回転させながら行うことが可能なため、開封作業性を向上できる。
【0106】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0107】
例えば、第1実施形態の包装箱1は、第3部分30Cを備えない構成であってもよい。第2実施形態の包装箱100は、第1実施形態と同様の第3部分30Cを備える構成であってもよい。
【0108】
破断線30は、一対の側板13A,13及び111A,111Bのうち一方(例えば13A,111A)のみ、第1破断部31A,31B、第2破断部32、及び第3破断部33A,33Bを有する第1部分30Aを備え、他方(例えば13B,111B)は第1部分30Aとは異なる破断線構造としてもよい。また、一対の端板112A,112Bのうち一方(例えば112A)のみ、第1破断部41A,41B、第2破断部42、及び第3破断部43A,43Bを有する第2部分30Bを備え、他方(例えば112B)は第2部分30Bとは異なる破断線構造としてもよい。
【0109】
第1破断部31A,31B,41A,41Bが高さ方向Zの下側に配置され、第2破断部32,42が高さ方向Zの上側に配置されてもよい。
【0110】
包装箱1,100は、紙製段ボールシートに限らず、単層の厚紙によって形成されてもよい。また、包装箱1,100は、直方体(六面体)に限られず、所定部位に面取り板を形成した多面体であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…包装箱
10…天板(第1板部)
11…底板(第2板部)
13A,13B…側板(第1側板部)
14…側板本体
15…付代部
16…蓋部(第2側板部)
17…内フラップ
18…外フラップ
20…折曲部
20a…折曲線
21…折曲部
21a…折曲線
22…折曲部
22a…折曲線
23…折曲部
23a…折曲線
30…破断線
30A…第1部分
30B…第2部分
30C…第3部分
31A,31B…第1破断部
31a…外側端
31b…内側端
31c…第1切断線
31d…第2切断線
32…第2破断部
32a…第1端
32b…第2端
32c…第1切断線
32d…第2切断線
33A,33B…第3破断部
33a…外側端
33b…内側端
34…開封操作部
35…切目線
35a…外側端
35b…内側端
36…折目線
36a…外側端
36b…内側端
37…第1切断線
38a,38b…第2切断線
41A,41B…第1破断部(第4破断部)
42…第2破断部(第5破断部)
43A,43B…第3破断部(第6破断部)
44…開封操作部
45…切目線
46…折目線
100…包装箱
111A,111B…側板(第1側板部)
112A,112B…端板(第2側板部)
113…端板本体
114…付代部
115…天蓋(第1板部)
116…底蓋(第2板部)
117…内フラップ
118…外フラップ
120…折曲部
120a…折曲線
121…折曲部
121a…折曲線
122…折曲部
122a…折曲線
X 幅方向(第1方向)
Y 長さ方向(第2方向)
Z 高さ方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15