(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058968
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
H02B 1/20 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
H02B1/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168807
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 頌
(72)【発明者】
【氏名】平本 武
(72)【発明者】
【氏名】浅利 直紀
(72)【発明者】
【氏名】竪山 智博
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA03
5G016DA28
(57)【要約】
【課題】筐体内ある固定主回路を従来よりも容易に取り外せる接続構造を提供する。
【解決手段】実施形態に係るスイッチギヤは、筐体と、接続構造と、を有する。接続構造は、前記筐体内に収容された複数の固定主回路と、前記複数の固定主回路の間に位置し、前記複数の固定主回路のうちいずれかに対して、前記固定主回路の軸方向に移動可能に設けられた可動主回路と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容された複数の固定主回路と、前記複数の固定主回路の間に位置し、前記複数の固定主回路のうちいずれかに対して、前記固定主回路の軸方向に移動可能に設けられた可動主回路と、を有する接続構造と、
を備えるスイッチギヤ。
【請求項2】
前記固定主回路は、第1の固定主回路と、第2の固定主回路と、を有し、
前記第1の固定主回路の導体の第1の面と前記可動主回路の導体の第2の面とは互いに平面接触し、前記可動主回路の導体の前記軸方向に沿う第3の面と前記第2の固定主回路の導体の前記軸方向に沿う第4の面とは互いに円筒側面接触する、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記第1の固定主回路は、第1の絶縁部に覆われ、
前記第2の固定主回路は、第2の絶縁部に覆われ、
前記可動主回路は、第3の絶縁部に覆われ、
前記接続構造は、前記第1の絶縁部と前記第3の絶縁部との間に設けられた第1の弾性部材と、前記第2の絶縁部と前記第3の絶縁部との間に設けられた第2の弾性部材と、を有し、
前記可動主回路は、前記第1の弾性部材又は前記第2の弾性部材の変形と連動して前記軸方向に移動可能である、
請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
前記可動主回路の導体は、前記軸方向における端部から突出した突起を有し、
前記第2の固定主回路の導体は、第1の部分から径が細くなり、前記第2の固定主回路の導体の一部が、第2の絶縁部から露出している、
請求項3に記載のスイッチギヤ。
【請求項5】
前記固定主回路は、第1の固定主回路と、第2の固定主回路と、を有し、
前記第1の固定主回路の導体には、前記軸方向に凹む凹部が設けられ、
前記可動主回路の導体には、前記軸方向に突出した凸部が設けられ、
前記可動主回路の導体の前記軸方向に沿う第3の面と前記第2の固定主回路の導体の前記軸方向に沿う第4の面とは互いに円筒側面接触し、前記凹部の前記軸方向に沿う第5の面と前記凸部の前記軸方向に沿う第6の面とは互いに円筒側面接触する、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項6】
前記第1の固定主回路は、第1の絶縁部に覆われ、
前記第2の固定主回路は、第2の絶縁部に覆われ、
前記可動主回路は、第3の絶縁部に覆われ、
前記接続構造は、前記第1の絶縁部と前記第3の絶縁部との間に設けられた第1の弾性部材と、前記第2の絶縁部と前記第3の絶縁部との間に設けられた空間と、を有し、
前記可動主回路の凸部は、前記空間内を移動可能な、
請求項5に記載のスイッチギヤ。
【請求項7】
前記可動主回路の導体は、前記軸方向における端部から突出した突起を有し、
前記第3の絶縁部は、前記突起を覆うように前記軸方向に突出した突出部を有し、
前記第2の絶縁部は、前記突出部が嵌合する凹部を有し、
前記第2の固定主回路の導体は、第1の部分から径が細くなり、前記第2の固定主回路の導体の一部が、第2の絶縁部から露出している、
請求項6に記載のスイッチギヤ。
【請求項8】
前記第2の絶縁部は、接地シールドを有し、
前記接地シールドの一方の端部は、外部に露出している、
請求項7に記載のスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体絶縁スイッチギヤ等に用いられる固体絶縁機器の接続において、一方の凹状の主回路に対して、他方の凸状の導体が差し込まれる接続構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の固体絶縁スイッチギヤに収納された固定主回路は、一方の凹状の導体に対して、他方の凸状の導体が差し込まれる接続構造が採用されている。そのため、筐体内にある各固定主回路を分解する際に、一方向のみしか取り外しできない。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、筐体内ある固定主回路を従来よりも容易に取り外せる接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るスイッチギヤは、筐体と、接続構造と、を有する。接続構造は、前記筐体内に収容された複数の固定主回路と、前記複数の固定主回路の間に位置し、前記複数の固定主回路のうちいずれかに対して、前記固定主回路の軸方向に移動可能に設けられた可動主回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態のスイッチギヤの断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の可動界面接続構造の断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態の可動界面接続構造の断面図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態の可動界面接続構造の断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の固定主回路を取り外すまでの流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2、3実施形態の固定主回路を取り外すまでの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、実施形態に係るスイッチギヤを図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
また、以下に開示される複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るスイッチギヤ1の断面図である。本実施形態のスイッチギヤ1は、固体絶縁スイッチギヤである。しかしながら、スイッチギヤ1は、これに限定されない。
【0011】
図1に示すように、スイッチギヤ1は、筐体10に収納された遮断器11と、断路器12と、接地装置13と、主回路14と、可動界面接続構造2と、を備える。
【0012】
筐体10は、例えば、金属製であり、直方体状の箱型に構成されている。遮断器11は、電路を開閉するための装置である。断路器12は、電路に電流が流れていない場合のみ電路を開閉する装置である。接地装置13は、対象物に接続することで、その対象物を接地させるための装置である。
【0013】
主回路14は、遮断器11と、断路器12と、接地装置13と、を通っている。
【0014】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する二方向が定義されている。X方向は、可動界面接続構造2の中心軸Axの径方向に沿う方向であり、左右方向とも称され得る。Y方向は、可動界面接続構造2の中心軸Axに沿う軸方向であり、上下方向とも称され得る。
【0015】
図2は、第1実施形態の可動界面接続構造2の断面図である。左側は接続時の位置関係を示し、右側は取外時の位置関係を示す。
図2に示すように、可動界面接続構造2は、二つの固定主回路20と、可動主回路21と、第1界面ゴム22と、第2界面ゴム23と、を有する。なお、第1界面ゴム22は、第1の弾性部材の一例であり、第2界面ゴム23は、第2の弾性部材の一例である。
【0016】
固定主回路20は、当該固定主回路20の上方向(+Y方向)に位置する上側固定主回路20aと、上方向(-Y方向)に位置する下側固定主回路20bと、を有する。なお、上側固定主回路20aは第1の固定主回路の一例であり、下側固定主回路20bは第2の固定主回路の一例である。
【0017】
上側固定主回路20aは、上側固定主回路絶縁部20a1に覆われた導体20a2を有する。上側固定主回路絶縁部20a1は、例えばエポキシ樹脂のような絶縁性の合成樹脂材料で構成されている。なお、上側固定主回路絶縁部20a1は、第1の絶縁部の一例である。
【0018】
導体20a2は、軸方向に延びた円柱形状である。導体20a2は、例えば、無酸素銅のような導電性の高い金属材料で構成されている。導体20a2の下方向(-Y方向)における端面である下端面20a3は、上側固定主回路絶縁部20a1から外部に露出している。下端面20a3は、可動主回路21と接触することで電気的に接続する。なお、下端面20a3は、第1の面の一例である。
【0019】
下側固定主回路20bは、下側固定主回路絶縁部20b1に覆われた導体20b2を有する。下側固定主回路絶縁部20b1は、例えばエポキシ樹脂のような絶縁性の合成樹脂材料で構成されている。
【0020】
下側固定主回路絶縁部20b1は、導体20b2のくびれ部分20b3の一部を除いて当該導体20b2を覆っている。なお、下側固定主回路絶縁部20b1は、第2の絶縁部の一例である。
【0021】
導体20b2は、軸方向に延びて、くびれ部分20b3から上方向(+Y方向)は径が細くなる円柱形状である。導体20b2は、例えば、無酸素銅のような導電性の高い金属材料で構成されている。なお、くびれ部分20b3は、第1の部分の一例である。
【0022】
導体20b2の上方向(+Y方向)における端面である上端面20b4と、導体20b2の側面である側面20b5は、下側固定主回路絶縁部20b1から外部に露出している。側面20b5は、可動主回路21と接触することで電気的に接続する。なお、側面20b5は、第4の面の一例である。
【0023】
可動主回路21は、上側固定主回路20aと下側固定主回路20bとの間に位置し、当該上側固定主回路20a及び下側固定主回路20bに対して、軸方向に移動可能に設けられている。可動主回路21は、可動主回路絶縁部21a1に覆われた導体21a2を有する。
【0024】
可動主回路絶縁部21a1は、例えばエポキシ樹脂のような絶縁性の合成樹脂材料で構成されている。なお、可動主回路絶縁部21a1は、第3の絶縁部の一例である。
【0025】
導体21a2は、例えば、無酸素銅のような導電性の高い金属材料で構成されている。導体21a2は、上方向(+Y方向)に凹む凹部21a3と、下方向(-Y方向)に突出した突起21a4と、導体21a2の上方向(+Y方向)における端面である上端面21a5と、を有する。なお、上端面21a5は、第2の面の一例である。
【0026】
凹部21a3は、当該凹部21a3の内側の側面である内側側面21a31を有する。なお、内側側面21a31は、第3の面の一例である。
【0027】
可動主回路21は、上側固定主回路20aの下端面20a3と可動主回路21の上端面21a5が当接し、可動主回路21の凹部21a3に下側固定主回路20bが嵌合することで電気的に接続する。言い換えると、可動界面接続構造2は、上側固定主回路20aの導体20a2の下端面20a3と、可動主回路21の導体21a2の上端面21a5と、が互いに平面接触し、可動主回路21の凹部21a3の内側側面21a31と、下側固定主回路20bの導体20b2の側面20b5と、が互いに円筒側面接触することで通電する。
【0028】
可動主回路21が上側固定主回路20aと下側固定主回路20bに電気的に接続する時、導体21a2の凹部21a3と、導体20b2の上端面20b4と、の間には気中ギャップ24が形成される。可動主回路21は、形成された気中ギャップ24の間を移動可能である。
【0029】
可動主回路絶縁部21a1は、導体21a2の凹部21a3と、上端面21a5を除く、当該導体21a2を覆っている。
【0030】
第1界面ゴム22は、上側固定主回路20aと可動主回路21との間に位置し、可動主回路絶縁部21a1に取り付けられている。第1界面ゴム22は、導体20a2の下端面20a3と導体21a2の上端面21a5に接触しない円筒形状である。
【0031】
第2界面ゴム23は、下側固定主回路20bと可動主回路21との間に位置し、可動主回路絶縁部21a1に取り付けられている。第2界面ゴム23は、導体20b2の側面20b5に接触しない円筒形状である。
【0032】
第1界面ゴム22及び第2界面ゴム23は、上側固定主回路20aと、下側固定主回路20bと、可動主回路21と、の間にできる隙間を密閉し、通電時に上側固定主回路20a、下側固定主回路20b、可動主回路21の外側に向かう放電を抑制する。
【0033】
以上のように、スイッチギヤ1は、筐体10と、筐体10内に収容された上側固定主回路20aと、下側固定主回路20bと、上側固定主回路20aと下側固定主回路20bとの間に位置し、上側固定主回路20a及び下側固定主回路20bに対して当該固定主回路20の軸方向に移動可能に設けられた可動主回路21と、を有する可動界面接続構造2と、を備える。
【0034】
本実施形態のスイッチギヤ1の筐体10内に収容された上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bを取り外す際、上側固定主回路20aと下側固定主回路20bとの間に位置し、上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bに対して移動可能な可動主回路21は、例えば軸方向に移動させることで、上側固定主回路20aと可動主回路21との間に隙間ができる。これにより、上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bを径方向にスライドさせることで当該上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bを容易に取り外すことが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、固定主回路20は上側固定主回路絶縁部20a1に覆われた上側固定主回路20aと、下側固定主回路絶縁部20b1に覆われた下側固定主回路20bと、を有する。可動主回路21は、可動主回路絶縁部21a1に覆われている。
【0036】
可動界面接続構造2は、上側固定主回路絶縁部20a1と可動主回路絶縁部21a1との間に設けられた第1界面ゴム22と、下側固定主回路絶縁部20b1と可動主回路絶縁部21a1との間に設けられた第2界面ゴム23と、を有する。
【0037】
また、可動界面接続構造2は、上側固定主回路20aの導体20a2の下端面20a3と、可動主回路21の導体21a2の上端面21a5と、が互いに平面接触し、可動主回路21の凹部21a3の内側側面21a31と、下側固定主回路20bの導体20b2の側面20b5と、が互いに円筒側面接触することで通電する。
【0038】
また、可動主回路21は、第1界面ゴム22及び第2界面ゴム23の変形と連動して移動可能である。
【0039】
本実施形態の上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bを取り外す際、上側固定主回路20aと下側固定主回路20bとの間に位置する可動主回路21を軸方向に移動させる。この可動主回路21の移動に伴い、第1界面ゴム22又は第2界面ゴム23は、可動主回路21の移動に連動して変形する。例えば、可動主回路21を下方向(-Y方向)に移動させる時、第2界面ゴム23が圧縮されることにより、上側固定主回路20aと第1界面ゴム22との間に隙間ができる。そして、上側固定主回路20aを径方向外側に取り外すことができる。
【0040】
これにより、上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bのうちいずれかを選択的に取り外すことが可能となる。従って、スイッチギヤ1の筐体10内にある固定主回路20を従来よりもさらに容易に取り外すことが可能となる。また、スイッチギヤ1を組み立てる際、軸方向については可動主回路21の位置を調整することで寸法調整が可能である。径方向については通電接触面が平面接触であるため、当該通電接触面を移動させることで寸法調整が可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、可動主回路21の導体21a2は、下方向(-Y方向)における端部から突出した突起21a4を有する。下側固定主回路20bの導体20b2は、くびれ部分20b3から径が細くなり、下側固定主回路20bの導体20b2の一部が、下側固定主回路絶縁部20b1から露出している。
【0042】
固定主回路20及び可動主回路21において放電が発生する場合、第2界面ゴム23の内側は、絶縁することが難しい。この問題に対する策として、可動主回路21の導体21a2の下方向(-Y方向)における端部から突出した突起21a4が設けられ、下側固定主回路20bの導体20b2は、くびれ部分20b3から径が細くなっている。
【0043】
これらにより、突起21a4と、くびれ部分20b3から径が細くなっている形状と、が電界緩和シールドとして作用する。従って、第2界面ゴム23の内側に発生する電界は緩和される。また、このような構成によれば、従来のスイッチギヤと比べ、全体サイズを小型化することが可能である。
【0044】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の可動界面接続構造2Aの断面図である。左側は接続時の位置関係を示し、右側は取外時の位置関係を示す。
図3に示される第2実施形態の可動界面接続構造2Aは、前記第1実施形態の可動界面接続構造2と同様の構成を備えている。よって、第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の構成に基づく効果が得られる。
【0045】
ただし、第2実施形態では、
図3に示すように、前記第1実施形態の構成と異なり、第2界面ゴム23は設けられていない。代わりに、気中空間25と、Oリング26と、が設けられている。
【0046】
図3に示すように、上側固定主回路20aの導体20a2は、上方向(+Y方向)に凹む凹部20a4を有する。
【0047】
凹部20a4は、当該凹部20a4の底面である底面20a41と、凹部20a4の内側の側面である内側側面20a42と、を有する。なお、内側側面20a42は、第5の面の一例である。
【0048】
可動主回路21の導体21a2は、上端面21a5から上方向(+Y方向)に突出した凸部21a6を有する。凸部21a6は、当該凸部21a6の外側の側面である外側側面21a61を有する。外側側面21a61は、上側固定主回路20aの凹部20a4の内側側面20a42と接触することで電気的に接続する。なお、外側側面21a61は、第6の面の一例である。
【0049】
可動主回路絶縁部21a1の断面形状は、下方向(-Y方向)における端部から突出した突出部21a11により、下方向(-Y方向)に向かって略V形になっている。
【0050】
下側固定主回路絶縁部20b1は、可動主回路絶縁部21a1の突出部21a11が嵌合するように下方向(-Y方向)に凹んだ凹部20b11を有する。
【0051】
気中ギャップ24の軸方向における長さは、可動主回路21の凸部21a6の軸方向における長さより長く設けられている。言い換えると、軸方向において可動主回路21の凸部21a6は、気中ギャップ24の軸方向における長さより短く突出している。
【0052】
気中空間25は、可動主回路21の可動主回路絶縁部21a1と下側固定主回路絶縁部20b1との間に設けられ、可動主回路21は当該気中空間25内を移動可能である。気中空間25の断面形状は、中心から径方向に向かって略V形を形成している。なお、気中空間25は、空間の一例である。
【0053】
また、気中空間25の軸方向における長さは、気中ギャップ24の軸方向における長さと同等以上長く設けられている。
【0054】
Oリング26は、通電時に可動主回路21を上側固定主回路20aに固定するための物である。Oリング26は、気中空間25内にゴミや異物が混入することを防ぐことで、長期的な絶縁性能を確保することができる。
【0055】
また、Oリング26は、可動主回路絶縁部21a1と下側固定主回路絶縁部20b1との空隙25aを塞ぐように設けられる。言い換えると、可動主回路絶縁部21a1は、上下方向においてOリング26を介して下側固定主回路絶縁部20b1と接続している。
【0056】
可動界面接続構造2Aは、上側固定主回路20aの凹部20a4に可動主回路21の凸部21a6が嵌合し、可動主回路21の凹部21a3と下側固定主回路20bが嵌合することで、電気的に接続する。言い換えると、凹部20a4の内側側面20a42と、気中空間25内を移動可能な凸部21a6の外側側面21a61と、が互いに円筒側面接触し、可動主回路21の導体21a2の内側側面21a31と、下側固定主回路20bの導体20b2の側面20b5と、が互いに円筒側面接触することで通電する。
【0057】
可動界面接続構造2Aは円筒側面接触時において、軸方向において可動主回路21の凸部21a6は、気中ギャップ24の軸方向における長さより短く突出している。さらに、気中空間25の軸方向における長さは、気中ギャップ24の軸方向における長さと同等以上長く設けられている。これにより、可動主回路21の凸部21a6は、上側固定主回路20aの凹部20a4から取り外すことが可能である。
【0058】
以上のように、固定主回路20は、上側固定主回路絶縁部20a1に覆われた上側固定主回路20aと、下側固定主回路絶縁部20b1に覆われた下側固定主回路20bと、を有する。上側固定主回路20aの導体20a2には、上方向(+Y方向)に凹む凹部20a4が設けられている。可動主回路絶縁部21a1に覆われた可動主回路21aには、上方向(+Y方向)に突出した凸部21a6が設けられている。
【0059】
可動界面接続構造2Aは、上側固定主回路絶縁部20a1と可動主回路絶縁部21a1との間に設けられた第1界面ゴム22と、下側固定主回路絶縁部20b1と可動主回路絶縁部21a1との間に設けられた気中空間25と、を有する。
【0060】
また、可動界面接続構造2Aは、凹部20a4の内側側面20a42と、気中空間25内を移動可能な凸部21a6の外側側面21a61と、が互いに円筒側面接触し、可動主回路21の導体21a2の内側側面21a31と、下側固定主回路20bの導体20b2の側面20b5と、が互いに円筒側面接触することで通電する。
【0061】
本実施形態の上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bを取り外す際、上側固定主回路20aと下側固定主回路20bとの間に位置する可動主回路21を軸方向に移動させる。可動主回路21は、下側固定主回路絶縁部20b1と可動主回路絶縁部21a1との間に設けられた気中空間25内を移動することで、上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bと可動主回路21との間に隙間ができる。そして、上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bを径方向外側に取り外すことができる。
【0062】
これにより、可動主回路21を気中空間25内に移動させることで、上側固定主回路20a又は下側固定主回路20bのうちいずれかを選択的に取り外すことが可能となる。従って、スイッチギヤ1の筐体10内にある固定主回路20を従来よりも容易に取り外すことが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、可動主回路21の導体21a2は、下方向(-Y方向)における端部から突出した突起21a4を有する。可動主回路絶縁部21a1は、突起21a4を覆うように下方向(-Y方向)に突出した突出部21a11を有する。下側固定主回路絶縁部20b1は、突出部21a11が嵌合する凹部20b11を有する。
【0064】
固定主回路20及び可動主回路21において放電が発生する場合、気中空間25は、絶縁することが難しい。この問題に対する策として、可動主回路21の可動主回路絶縁部21a1の下方向(-Y方向)における端部から突出した突出部21a11が設けられる。
【0065】
これにより、気中空間25の断面形状は、中心から径方向に向かって略V形を形成している。一方で、気中空間25内の電界方向は径方向外側となるため、電界方向に対して突出部21a11が電界緩和シールドとして作用する。
【0066】
従って、気中空間25で放電が起こる場合、当該気中空間25に沿って下側固定主回路20b又は可動主回路21の外側に向かって放電される。言い換えると、突出部21a11によって、放電時の沿面距離が長くなるため絶縁強度が向上する。
【0067】
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態の可動界面接続構造2Bの断面図である。左側は接続時の位置関係を示し、右側は取外時の位置関係を示す。
図4に示される第3実施形態の可動界面接続構造2Bは、前記第1及び第2実施形態の可動界面接続構造2、2Aと同様の構成を備えている。よって、第3実施形態によっても、前記第1及び第2実施形態と同様の構成に基づく効果が得られる。
【0068】
ただし、第3実施形態では、
図4に示すように、可動主回路絶縁部21a1に接地シールド27が埋め込まれている。
【0069】
接地シールド27は、導電性の高い金属材料で構成された金属片である。接地シールド27の形状は、上方向(+Y方向)に向かって延び、途中で屈曲して径方向外側に向かって延びたL形をしている。
【0070】
接地シールド27は、外部端子27aを有する。なお、外部端子27aは、一方の端部の一例である。
【0071】
外部端子27aは、接地シールド27自身を接地電位とするために当該接地シールド27の可動主回路絶縁部21a1から外部に露出している。なお、外部端子27aは、気中空間25で放電が発生する場合、放電の終端となる。そのため、放電時の沿面距離を確保するために可能な限り放電の起点から離れた位置とすることが望ましい。
【0072】
以上のように、可動主回路絶縁部21a1は、接地シールド27を有する。接地シールド27の外部端子27aは、外部に露出している。
【0073】
固定主回路20及び可動主回路21において放電が発生する場合、接地シールド27が当該接地シールド27より径方向外側の領域に電界を侵入させない。
【0074】
これにより、気中空間25の外側の空隙25aの電界を低減することができる。また、空隙25aの電界低減により、従来のスイッチギヤと比べ、全体サイズをさらに小型化することが可能である。
【0075】
なお、可動界面接続構造の構成は、可動界面接続構造2、2A、2Bの構成に限られない。例えば、上記実施形態では下側固定主回路20bが外側、可動主回路21が内側に位置し、可動主回路21の凹部21a3に下側固定主回路20bの導体20b2が嵌合する構成であったが、これらの関係が逆でも良い。
【0076】
また、上記実施形態では、可動主回路絶縁部21a1に接地シールド27が埋め込まれていたが、例えば固定主回路20に接地シールド27が埋め込まれていても良い。
【0077】
図5は、前記第1実施形態の固定主回路20を取り外すまでの流れを示すフローチャートである。
図6は、前記第2、3実施形態の固定主回路20を取り外すまでの流れを示すフローチャートである。
【0078】
図5、6に示すように、ステップS1において、可動主回路21を気中ギャップ24分だけ下方向(-Y方向)に移動させる。
【0079】
前記第1実施形態の場合、ステップS2Aにおいて、第2界面ゴム23は可動主回路21の移動量分だけ圧縮される。前記第2及び前記第3実施形態の場合、ステップS2Bにおいて、気中空間25内を可動主回路21が移動する。
【0080】
ステップS3において、前記第1実施形態の場合、ステップS2Aで第2界面ゴム23が圧縮されたことにより、上側固定主回路20aと第1界面ゴム22との間に隙間が生じる。前記第2及び前記第3実施形態の場合、ステップS2Bで気中空間25内を可動主回路21が移動したことにより、上側固定主回路20aと第1界面ゴム22との間に隙間が生じる。
【0081】
ステップS4において、ステップS3の状態で上側固定主回路20aの固定を解除し、径方向にスライドさせると、上側固定主回路20aを容易に取り外すことができる。
【0082】
また、ステップS3の状態で下側固定主回路20bの固定を解除し、径方向にスライドさせると下側固定主回路20bを容易に取り外すことができる。
【0083】
固定主回路20を組み立てる時は、まず、通電容量が十分に確保される範囲において、可動主回路21の軸方向の位置を調整する。
【0084】
さらに、第1実施形態の場合は、平面形状である上側固定主回路20aの下端面20a3と可動主回路21の上端面21a5を径方向にスライドさせながら調整する。そして、調整した位置に可動主回路21を取り付ける。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
1 スイッチギヤ
10 筐体
14 主回路
2、2A、2B 可動界面接続構造
20 固定主回路
20a 上側固定主回路(第1の固定主回路)
20a1 上側固定主回路絶縁部(第1の絶縁部)
20a2 導体
20a3 下端面(第1の面)
20a4 凹部
20a42 内側側面(第5の面)
20b 下側固定主回路(第2の固定主回路)
20b1 下側固定主回路絶縁部(第2の絶縁部)
20b11 凹部
20b2 導体
20b3 くびれ部分(第1の部分)
20b5 側面(第4の面)
21 可動主回路
21a1 可動主回路絶縁部(第3の絶縁部)
21a11 突出部
21a2 導体
21a3 凹部
21a31 内側側面(第3の面)
21a4 突起
21a5 上端面(第2の面)
21a6 凸部
21a61 外側側面(第6の面)
22 第1界面ゴム(第1の弾性部材)
23 第2界面ゴム(第2の弾性部材)
25 気中空間(空間)
25a 空隙
27 接地シールド
27a 外部端子(一方の端部)