(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058975
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】プリント配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
H05K1/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168814
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】川畑 大地
【テーマコード(参考)】
5E336
【Fターム(参考)】
5E336AA01
5E336AA14
5E336BB01
5E336BB02
5E336BC04
5E336CC01
5E336CC31
5E336DD22
5E336EE02
5E336EE03
5E336EE07
5E336GG30
(57)【要約】
【課題】フローハンダ時に膨脹した空気がリード線用の貫通穴を抜けることによって生じるはんだ不良を防止するため、従来のものでは、プリント配線基板の実装面と電子部品との間にパターンを介在させることによって空気抜きのための隙間を形成している。これでは、実装面側に導電パターンを必要としない片面実装基板であっても、空気抜きのためだけにパターンを実装面に被着しなければならない。また、実装面にも電子部品をハンダ付けする両面実装基板の場合では、実装面側の導電パターンの設計の自由度が損なわれる。
【解決手段】実装面であって、上記電子部品が実装される位置にチップボンドを被着させて上記電子部品を実装した状態で、チップボンドによって隙間が形成されるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板の実装面に対向する底面にリード線を備えた電子部品が実装され、上記実装面と導電パターンがプリントされたハンダ付け面とを貫通するリード挿入穴に上記リードが挿通された状態でハンダ付け面に対してフローハンダを施すプリント配線基板において、上記実装面であって、上記電子部品が実装される位置にチップボンドを被着させて上記電子部品を実装した状態で、電子部品の底面と実装面との間に隙間が形成され、上記フローハンダ時に電子部品の底面と実装面との間の空気が膨張した際に、その膨張した空気がこの隙間を通って排出されるようにしたことを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
上記実装面にも導電パターンがプリントされており、実装面の導電パターンが絶縁層でコーティングされ、上記チップボンドはこの絶縁層の表面に被着されたことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローハンダでのハンダ不良を防止することのできるプリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
リレーなどの大型の電子部品では底面からリード線が突出されており、プリント配線板に設けられた貫通穴にそのリード線を挿入すると、電子部品の底面がプリント配線板の実装面に密着する場合が生じる。すると、この電子部品の底面と実装面との間に空気が閉じ込められる。実装面と反対側の面であって、導電パターンがプリントされている面のランドに対してリード線をフローハンダによりハンダ付けする際に、上記閉じ込められた空気が貫通穴を通ってランド側に漏出して、ランドに被着されるハンダに空気が抜ける穴を形成する不具合が生じるおそれがある。
【0003】
このような不具合の発生を防止するため、実装面側であって、電子部品と実装面との間に挟まれるように独立したパターンを設けて電子部品と実装面との間に隙間を形成し、膨張した空気がこの隙間を通って実装面側から排気されランド側から漏出しない。このため、フローハンダ時に膨脹した空気によってハンダ不良が生じることが防止できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-196215号公報(
図1から
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のものでは、プリント配線基板の実装面と電子部品との間にパターンを介在させることによって空気抜きのための隙間を形成しているが、実装面側に導電パターンを必要としない片面実装基板であっても、空気抜きのためだけにパターンを実装面に被着しなければならず、多くのコストが必要になる。
【0006】
また、実装面にも電子部品をハンダ付けする両面実装基板の場合では、実装面側の導電パターンの設計に支障を来し、導電パターンの設計の自由度が損なわれるという不具合が生じる。
【0007】
そこで、片面実装基板であれば多額のコストを必要とすることなく、また、両面実装基板であれば実装面側の導電パターンの設計に影響することなく、大型の電子部品とプリント配線基板との間の空気が膨脹した際に確実に排気することによってハンダ不良が生じないプリント配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるプリント配線基板は、プリント配線基板の実装面に対向する底面にリード線を備えた電子部品が実装され、上記実装面と導電パターンがプリントされたハンダ付け面とを貫通するリード挿入穴に上記リードが挿通された状態でハンダ付け面に対してフローハンダを施すプリント配線基板において、上記実装面であって、上記電子部品が実装される位置にチップボンドを被着させて上記電子部品を実装した状態で、電子部品の底面と実装面との間に隙間が形成され、上記フローハンダ時に電子部品の底面と実装面との間の空気が膨張した際に、その膨張した空気がこの隙間を通って排出されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
従来のものであれば導電パターンを用いて排気のための隙間を確保したが、上記構成ではチップボンドを用いることにより、導電パターンの配置に影響することなく隙間を確保することができる。
【0010】
なお、両面実装基板のように、上記実装面にも導電パターンがプリントされており、実装面の導電パターンが絶縁層でコーティングされていても、上記チップボンドはこの絶縁層の表面に被着されるので、絶縁層で覆われる導電パターンに影響しない。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、チップボンドを用いてプリント配線基板と電子部品との間に隙間を確保するので、パターンを介在させて隙間を確保する従来ものより安価であり、また導電パターンの設計の自由度を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は両面に電子部品がハンダ付けされる両面実装基板である。以下の説明の理解を容易にするため、図において上面を実装面Aとし、下面をハンダ付け面Bとする。
【0014】
実装面Aには導電パターン11が被着されており、その導電パターン11を絶縁層であるコーティング12で被覆している。なお、このコーティング12は実装面Aの全体を覆うように被着されているが、実装面Aにハンダ付けする電子部品2の実装位置12aはコーティングされていない。ちなみに、導電パターン11の一部であってこの実装位置12aから露出する部分にペースト状のクリームハンダを塗布し、さらにそのクリームハンダに電子部品2の電極を接触させて実装し、その状態で加熱路内で加熱することによってクリームハンダを溶融させて電子部品2を導電パターン11にハンダ付けする(リフローハンダ)。その際に電子部品2の位置がずれたり、電子部品2が脱落すると不良が生じるので、クリームハンダを塗布した後に、電子部品2を実装する前の工程で実装位置にチップボンドを塗布する。
【0015】
このチップボンドは接着剤であり、チップボンドが塗布された位置に電子部品2を実装すると、チップボンドによって電子部品2が両面実装基板1に接着され、位置ずれや脱落が生じない。このチップボンドはNC制御によって位置制御されたノズルから吐出されるが、本実施の形態では電子部品2の実装位置の他に、後工程で実装される大型電子部品3の実装範囲4の内側にも合わせて塗布した(チップボンド41)。
【0016】
この大型電子部品3の底面にはリード線31が設けられており、両面実装基板1には各リード線31が挿通される貫通穴32が設けられている。チップボンド41はリフローハンダ時に加熱され硬化しているので、リフローハンダ工程の後で大型電子部品3を実装面Aに実装してもチップボンド41は変形しない。そのため、大型電子部品3と実装面Aとの間には
図2に示すように隙間Gが形成される。
【0017】
図2に示すように、ハンダ付け面Bにも導電パターン13が被着されており、ハンダ付け面Bのハンダ付けされる位置以外は上述と同様のコーティング12で覆われている。上記のように大型電子部品3を実装面A側から実装した状態で、溶融するハンダ槽の表面にハンダ付け面Bを接触させた状態で移動させてハンダ付け面Bにハンダ付け(フローハンダ)を行うと、大型電子部品3と実装面Aとの間に閉じ込められていた空気が膨脹する。その膨脹した空気が貫通穴32を通って外部に排気されると、リード線31と導電パターン13との間に残留しているハンダ部分に空気抜けの穴が生じてはんだ不良となるが、上述のように、チップボンド41によって隙間Gが確保されているので、膨脹した空気はこの隙間Gから外部に排気され、はんだ不良は生じない。
【0018】
ところで、上記実施の形態では実装面Aにも導電パターン11が被着された両面実装基板を例に説明したが、実装面Aに導電パターンが被着されない片面実装基板に本発明を適用してもよい。
【0019】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0020】
1 両面実装基板
2 電子部品
3 大型電子部品
4 実装範囲
11 導電パターン
12 コーティング
12a 実装位置
13 導電パターン
31 リード線
31 各リード線
32 貫通穴
41 チップボンド