(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058990
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
B60S1/40 200A
B60S1/40 100B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168843
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 伸一
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE11
3D225AE29
3D225AE57
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でワイパブレードのビビリ現象が抑えられ、ワイパ装置の静粛性を容易に向上させることができるワイパ装置を提供する。
【解決手段】ワイパブレード30に、U字状フック部23bの中心Ct1がブレードラバー50の中心Ct2よりも払拭方向前方に配置されるようワイパブレード30を表面11aに対して傾斜させる傾斜機構TM1を設けた。これにより、ワイパブレード30の往路払拭時および復路払拭時のそれぞれにおいて、ブレードラバー50を表面11aに対して正しく傾斜させることが可能となる。したがって、ブレードラバー50が表面11aに対して正しく傾斜できないことに起因した不具合(ビビリ現象,反転不良,ラバー早期摩耗および高速走行時の揚力の増大等)の発生を抑制することができる。新たな部品を追加せずに済み、ワイパ装置10の静粛性を容易に向上させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動軸の揺動運動に伴い払拭面を払拭するワイパ装置であって、
基端側が前記揺動軸に固定され、先端側にブレード装着部が設けられたワイパアームと、
前記払拭面に摺接されるブレードラバーを有し、前記ブレード装着部に装着されるワイパブレードと、
前記ワイパアームまたは前記ワイパブレードに設けられ、前記ブレード装着部の中心が前記ブレードラバーの中心よりも払拭方向前方に配置されるよう、少なくとも前記ワイパブレードを前記払拭面に対して傾斜させる傾斜機構と、
を備えていることを特徴とする、
ワイパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパ装置において、
前記傾斜機構が前記ワイパブレードに設けられ、
前記傾斜機構は、
前記ブレード装着部に装着されるクリップ部材と、
前記クリップ部材が回動自在に連結される連結ピンを有し、かつ前記ブレードラバーを支持する支持部材と、
を備え、
前記連結ピンが前記クリップ部材に対して払拭方向に傾斜可能であることを特徴とする、
ワイパ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のワイパ装置において、
前記クリップ部材は、前記連結ピンが係合される係合凹部を有し、
前記係合凹部の長手方向中央部に、前記連結ピンの長手方向中央部を支持するピン支持部が設けられ、
前記係合凹部の長手方向における前記ピン支持部の両側に、前記ピン支持部から離れるに連れて徐々に前記連結ピンとの隙間を大きくするテーパ部が設けられていることを特徴とする、
ワイパ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のワイパ装置において、
前記クリップ部材は、前記ワイパブレードの長手方向に延びる第1当接部を備え、
前記支持部材は、前記ワイパブレードの長手方向に延び、かつ前記第1当接部が当接される第2当接部を有していることを特徴とする、
ワイパ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のワイパ装置において、
前記傾斜機構が前記ワイパブレードに設けられ、
前記傾斜機構は、
前記ブレード装着部に装着されるクリップ部材と、
前記クリップ部材が回動自在に連結される連結ピンを有する第1支持部材と、
前記ブレードラバーを支持する第2支持部材と、
を備え、
前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して払拭方向に揺動可能であることを特徴とする、
ワイパ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のワイパ装置において、
前記傾斜機構が前記ワイパアームに設けられ、
前記ワイパアームは、
前記揺動軸側に設けられる第1アーム部材と、
前記ブレード装着部側に設けられる第2アーム部材と、
を有し、
前記傾斜機構は、
前記第1アーム部材に設けられる第1連結部材と、
前記第2アーム部材に設けられ、前記第1連結部材に連結される第2連結部材と、
を備え、
前記第2連結部材が前記第1連結部材に対して払拭方向に揺動可能であることを特徴とする、
ワイパ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイパ装置において、
前記傾斜機構は、少なくとも前記ワイパブレードの前記払拭面に対する最大傾斜角度を規制する傾斜角度規制部を備えていることを特徴とする、
ワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動軸の揺動運動に伴い払拭面を払拭するワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、ウィンドシールドの表面(払拭面)に付着した雨水や埃等を払拭するワイパ装置が搭載されている。ワイパ装置は、基端側が揺動軸に固定されたワイパアームと、当該ワイパアームの先端側に装着されたワイパブレードと、を備えている。そして、車両に搭載されたワイパモータの駆動により揺動軸を揺動させることで、ワイパブレードがウィンドシールド上を往復払拭動作し、ひいてはウィンドシールドの表面に付着した雨水や埃等が払拭される。
【0003】
このようなワイパ装置が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたワイパ装置は、アームカバーに連結ブロックの両側壁外面に当接される一対のビビリ抑制部が設けられ、これらのビビリ抑制部により連結ブロックが把持されている。これにより、ワイパブレードのビビリ現象が抑えられて、ワイパ装置の静粛性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたワイパ装置では、アームカバーに一対のビビリ抑制部を設け、これらのビビリ抑制部により連結ブロックを把持している。したがって、アームカバーが必要になる等、部品点数の増加を招くばかりか、組み立て作業性が低下するといった問題を生じていた。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構造でワイパブレードのビビリ現象が抑えられ、ワイパ装置の静粛性を容易に向上させることができるワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、揺動軸の揺動運動に伴い払拭面を払拭するワイパ装置であって、基端側が前記揺動軸に固定され、先端側にブレード装着部が設けられたワイパアームと、前記払拭面に摺接されるブレードラバーを有し、前記ブレード装着部に装着されるワイパブレードと、前記ワイパアームまたは前記ワイパブレードに設けられ、前記ブレード装着部の中心が前記ブレードラバーの中心よりも払拭方向前方に配置されるよう、少なくとも前記ワイパブレードを前記払拭面に対して傾斜させる傾斜機構と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワイパブレードの往路払拭時および復路払拭時のそれぞれにおいて、ブレードラバーを払拭面に対して正しく傾斜させることが可能となる。これにより、ブレードラバーが払拭面に対して正しく傾斜できないことに起因した不具合(ビビリ現象,反転不良,ラバー早期摩耗および高速走行時の揚力の増大等)の発生を抑制することができる。新たな部品(従前のようなアームカバー等)を追加せずに済み、ワイパ装置の静粛性を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るワイパ装置を示す斜視図である。
【
図4】クリップ部材をアームピース側から見た斜視図である。
【
図5】クリップ部材をウィンドシールド側から見た斜視図である。
【
図9】(a)は連結ピンがクリップ部材に対して反時計回り方向に傾斜した状態を示す図、(b)は(a)のD矢視図である。
【
図10】(a)は連結ピンがクリップ部材に対して時計回り方向に傾斜した状態を示す図、(b)は(a)のE矢視図である。
【
図11】(a),(b)は、実施の形態1のワイパ装置の動作を説明する断面図である。
【
図12】実施の形態2のワイパ装置を示す
図2に対応した図である。
【
図13】(a),(b)は、実施の形態2のワイパ装置の動作を説明する断面図である。
【
図14】実施の形態3のワイパ装置を示す
図7に対応した図である。
【
図15】(a),(b)は、実施の形態3のワイパ装置の動作を説明する断面図である。
【
図16】実施の形態4のワイパ装置を示す斜視図である。
【
図17】
図16のワイパ装置の傾斜機構を示す分解斜視図である。
【
図18】(a),(b)は、実施の形態4のワイパ装置の動作を説明する
図16のF-F線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明に係るワイパ装置を示す斜視図を、
図2は
図1のA-A線に沿う断面図を、
図3はアームピースの先端側を示す斜視図を、
図4はクリップ部材をアームピース側から見た斜視図を、
図5はクリップ部材をウィンドシールド側から見た斜視図を、
図6は
図4のB矢視図を、
図7は支持部材周辺の分解斜視図を、
図8は
図2のC矢視図を、
図9(a)は連結ピンがクリップ部材に対して反時計回り方向に傾斜した状態を示す図、(b)は(a)のD矢視図を、
図10(a)は連結ピンがクリップ部材に対して時計回り方向に傾斜した状態を示す図、(b)は(a)のE矢視図を、
図11(a),(b)は実施の形態1のワイパ装置の動作を説明する断面図をそれぞれ示している。
【0012】
図1および
図2に示されるように、ワイパ装置10は、自動車等の車両(図示せず)のフロント側に設けられるウィンドシールド11上を揺動し、当該ウィンドシールド11の表面(払拭面)11aを往復払拭動作するものである。
【0013】
ワイパ装置10は長尺に形成され、ワイパ装置10の基端側は、車体(図示せず)に回動自在に設けられた揺動軸12の先端部に、締結ナット等(図示せず)により固定されている。これにより、ワイパモータ(図示せず)を駆動して揺動軸12を揺動させることで、当該揺動軸12の揺動運動に伴い、ワイパ装置10はウィンドシールド11の表面11aを払拭する。
【0014】
ワイパ装置10は、その長手方向において、揺動軸12側(
図1の右側)に配置されるワイパアーム20と、ウィンドシールド11の表面11a側(
図1の左側)に配置されるワイパブレード30と、を備えている。
【0015】
ワイパアーム20は、アームヘッド21,アームシャンク22およびアームピース23を備えている。具体的には、揺動軸12側から、アームヘッド21,アームシャンク22およびアームピース23がその順番で設けられている。アームヘッド21は、アルミ材料等を鋳造することで、湾曲した略棒状に形成されている。これによりアームヘッド21の軽量化が図られて、ワイパモータに掛かる負荷が軽減される。
【0016】
アームヘッド21の基端側(揺動軸12側)には、略筒状に形成された揺動軸連結部21aが一体に設けられている。揺動軸連結部21aには、揺動軸12の先端側がセレーション嵌合等により固定され、これにより揺動軸12の回転力がアームヘッド21に確実に伝達される。
【0017】
アームヘッド21の先端側(ウィンドシールド11の表面11a側)には、アームシャンク22の基端側が連結されるシャンク連結部21bが一体に設けられている。シャンク連結部21bには、アームヘッド21の短手方向に延びるピン部材21cが設けられ、当該ピン部材21cに、アームシャンク22のシャンク基端部22aが回動自在に連結されている。
【0018】
アームシャンク22は、鋼板をプレス加工等することで、短手方向における断面が略U字形状に形成されている。アームシャンク22の基端側には、アームヘッド21のシャンク連結部21bに連結されるシャンク基端部22aが設けられ、アームシャンク22の先端側には、アームピース23のピース基端部23aが固定されるシャンク先端部22bが設けられている。
【0019】
ここで、アームシャンク22の内側には、引っ張りスプリング(図示せず)が収容されている。引っ張りスプリングの長手方向一側はアームヘッド21に引っ掛けられ、引っ張りスプリングの長手方向他側はアームシャンク22に引っ掛けられている。引っ張りスプリングは、アームヘッド21に対してアームシャンク22を倒した状態(
図1の状態)では、ワイパブレード30をウィンドシールド11の表面11aに向けて押し付け、アームヘッド21に対してアームシャンク22を起立させた状態(ロックバック状態)では、当該ロックバック状態を保持する。
【0020】
図3に示されるように、アームピース23は、アームシャンク22よりも肉厚の鋼板を屈曲成形することで所定形状に形成されている。アームピース23の基端側にはピース基端部23a(
図1参照)が設けられ、当該ピース基端部23aは、アームシャンク22のシャンク先端部22bに対して、固定ピン22cにより固定されるとともにカシメ固定されている。
【0021】
また、アームピース23の先端側には、U字状フック部23bが一体に設けられている。そして、U字状フック部23bの内側には、ワイパブレード30の長手方向中央部に設けられたクリップ部材41(
図4ないし
図6参照)が入り込んで固定される。なお、U字状フック部23bは、本発明におけるブレード装着部に相当する。U字状フック部23bには、板厚方向に貫通した係合孔23cが設けられ、当該係合孔23cには、クリップ部材41に設けられた係合爪41t(
図5参照)が係合される。これにより、クリップ部材41はアームピース23に対して抜け止めされた状態となる。
【0022】
このように、ワイパアーム20の長手方向基端側が、揺動軸12に固定され、ワイパアーム20の長手方向先端側のU字状フック部23bに、ワイパブレード30が装着されている。
【0023】
図1,
図2および
図7に示されるように、ワイパブレード30は、ラバーホルダ40およびブレードラバー50を備えている。ラバーホルダ40は、ブレードラバー50を保持しており、アームピース23のU字状フック部23bに連結される。ラバーホルダ40は、クリップ部材41と、バーティブラ保持部材42と、一対のホルダ部材43と、一対のバーティブラ44と、一対のエンドキャップ45と、トップカバー46と、一対のボトムカバー47と、を備えている。
【0024】
図4ないし
図6に示されるように、クリップ部材41は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成され、アームピース23のU字状フック部23b(
図3参照)の内側に入り込むクリップ本体41aを備えている。クリップ本体41aには、一対の側壁部41bがそれぞれ一体に設けられている。これらの側壁部41bは、
図6に示されるように、クリップ部材41を側方から見たときに略長方形に形成され(
図4のB矢視)、かつクリップ本体41aを中心に互いに対向配置されている。
【0025】
一対の側壁部41bの内側、つまりクリップ本体41a側には、それぞれ内側平坦面41cが設けられている。これらの内側平坦面41cは、
図3および
図8に示されるように、アームピース23のU字状フック部23bを形成する一対の側面23dを支持している。これにより、クリップ部材41は、アームピース23に対して、
図8の破線矢印の方向に振れる(がたつく)ことなく装着可能となっている。
【0026】
また、一対の側壁部41bの外側、つまりクリップ本体41a側とは反対側には、それぞれ第1傾斜面41dおよび第2傾斜面41eが設けられている。これらの第1,第2傾斜面41d,41eは、互いに緩やかな傾斜角度(鈍角)で接続され、第1傾斜面41dはクリップ部材41のウィンドシールド11側(
図6の下側)に配置され、第2傾斜面41eはウィンドシールド11側とは反対側(
図6の上側)に配置されている。
【0027】
そして、第1傾斜面41dと第2傾斜面41eとの接続部41fは、
図9(a)および
図10(a)に示されるように、クリップ部材41を正面からみたときに、クリップ部材41の側方に最も突出した部分となっている。ここで、接続部41fは、本発明における第1当接部に相当し、ワイパブレード30の長手方向に延びている。
【0028】
クリップ部材41に設けられる一対の接続部41fは、クリップ部材41をバーティブラ保持部材42(
図7参照)に装着した状態で、バーティブラ保持部材42の一対のピン支持壁42bの内壁部42cにそれぞれ当接される(
図8参照)。これにより、クリップ部材41は、バーティブラ保持部材42に対して、
図8の破線矢印の方向に振れる(がたつく)ことなく装着可能となっている。
【0029】
ここで、ワイパブレード30の長手方向と交差する方向において、クリップ部材41の接続部41fの両側に、第1傾斜面41dおよび第2傾斜面41eがそれぞれ配置されており、これらの第1,第2傾斜面41d,41eは、バーティブラ保持部材42のクリップ部材41に対する傾斜を許容する。
【0030】
また、
図4ないし
図6に示されるように、クリップ本体41aおよび一対の側壁部41bの前方側の部分、つまりU字状フック部23bの底部側(
図3の左側)に配置される部分には、バーティブラ保持部材42の連結ピン42d(
図7参照)が入り込む溝部41gが設けられている。溝部41gは、
図6に示されるように、クリップ部材41を側方から見たときに略U字状に形成され、連結ピン42dが係合される係合凹部41hと、連結ピン42dの係合凹部41hへの係合を案内する開口部41kと、を備えている。
【0031】
溝部41gは、連結ピン42dの軸線方向に延び、係合凹部41hに係合された連結ピン42dは、
図9ないし
図11に示されるように、係合凹部41hの内部において、ウィンドシールド11の表面11aに対して、所定の角度範囲(±α°)で揺動自在となっている。言い換えれば、連結ピン42dは、クリップ部材41に対して払拭方向に傾斜可能となっている。ここで、本実施の形態では、α°=約5°に設定されている。
【0032】
係合凹部41hの長手方向(連結ピン42dの軸線方向)における中央部には、連結ピン42dの長手方向中央部を支持するピン支持部41mが設けられている。ピン支持部41mは、ウィンドシールド11に向けて突出されており(
図2および
図11参照)、連結ピン42dをシーソー(seesaw)のように揺動自在に支持している。具体的には、
図2に示されるように、係合凹部41hの長手方向におけるピン支持部41mの両側に、ピン支持部41mから離れるに連れて徐々に連結ピン42dとの隙間を大きくするテーパ部41nが設けられている。これにより、
図9ないし
図11に示されるように、連結ピン42dは係合凹部41hの内部において、シーソーのように揺動可能となっている。
【0033】
なお、
図6に示されるように、ピン支持部41mおよび一対のテーパ部41nは、係合凹部41hの底部側(図中上側)に設けられ、かつ係合凹部41hの幅寸法Wは、連結ピン42dの直径寸法DM(
図9および
図10参照)と略同じ寸法となっている(W≒DM)。具体的には、連結ピン42dが係合凹部41hの内部で揺動することができ、かつ
図8の破線矢印の方向に振れない(がたつかない)寸法関係となっている。
【0034】
さらに、
図5に示されるように、クリップ本体41aのウィンドシールド11側(
図5の手前側)で、かつ溝部41gよりもクリップ本体41aの後方側(
図5の右側)には、アームピース23に取り付けられたワイパブレード30を取り外す際に、作業者により操作される操作レバー41pが一体に設けられている。操作レバー41pの基端側(
図5の左側)は、クリップ本体41aに対して弾性変形可能であり、操作レバー41pの先端側(
図5の右側)には、作業者により押圧される操作部41sが一体に設けられている。また、操作レバー41pの基端側(
図5の左側)には、U字状フック部23bの係合孔23c(
図3参照)に係合される係合爪41tが一体に設けられている。
【0035】
ここで、U字状フック部23bの係合孔23cに係合された係合爪41tの係合を解除し、アームピース23に取り付けられたワイパブレード30を取り外すには、作業者により操作部41sを所定圧で押圧操作すれば良い。
【0036】
図2および
図7に示されるように、バーティブラ保持部材42は、鋼板を打ち抜いて屈曲成形することで所定形状に形成され、一対のバーティブラ44を互いに所定間隔となるよう保持している。具体的には、バーティブラ保持部材42は、合計4つのバーティブラ保持爪42aを備えており、これらのバーティブラ保持爪42aは、一対のバーティブラ44にそれぞれカシメ固定されている。これにより、一対のバーティブラ44は、バーティブラ保持部材42にそれぞれ強固に固定される。
【0037】
また、バーティブラ保持部材42は、一対のピン支持壁42bを備えている。これらのピン支持壁42bは、ウィンドシールド11に対して起立しており、その内側には、内壁部42cが形成されている。一対のピン支持壁42bの間、つまり互いに対向した内壁部42cの間には、丸鋼棒からなる連結ピン42dが横切るようにして設けられている。連結ピン42dの長手方向両側は、それぞれピン支持壁42bにカシメ等により固定されている。連結ピン42dは、その長手方向において直径寸法DM(
図9および
図10参照)が一定となった単純な円柱状に形成され、かつクリップ部材41の係合凹部41h(
図5参照)に係合されている。
【0038】
ここで、バーティブラ保持部材42は、本発明における支持部材に相当する。また、ピン支持壁42bの内壁部42cは、本発明における第2当接部に相当する。すなわち、
図7および
図8に示されるように、内壁部42cは、ワイパブレード30の長手方向に延びており、当該内壁部42cには、クリップ部材41の接続部41fが当接している(
図8参照)。
【0039】
図1,
図7および
図8に示されるように、バーティブラ保持部材42の長手方向両側には、一対のホルダ部材43が設けられている。ホルダ部材43は、硬質プラスチック製のホルダ本体43aと、柔軟な弾性材料製(ゴム製)のフィン部43bと、を備えている。具体的には、ホルダ部材43は、溶融された二種類の材料を押し出し成形することで、長尺の棒状に形成されている。
【0040】
ここで、ホルダ本体43aは、バーティブラ保持部材42に保持された一対のバーティブラ44に保持されるとともに、ブレードラバー50の本体部51(
図2参照)を保持している。すなわち、バーティブラ保持部材42は、一対のバーティブラ44および一対のホルダ部材43を介して、ブレードラバー50を支持している。
【0041】
また、フィン部43bは、車両の走行時に走行風を受けて、ブレードラバー50にダウンフォースを与えるものである。このように、フィン部43bは、ワイパ装置10の見栄えを向上させつつ、車両の高速走行時における払拭性能を向上させている。
【0042】
さらに、
図1に示されるように、それぞれのホルダ部材43には、エンドキャップ45が装着されている。具体的には、エンドキャップ45は、ホルダ部材43の長手方向におけるバーティブラ保持部材42側(ワイパブレード30の長手方向中央部側)とは反対側にそれぞれ装着されている。エンドキャップ45は、ホルダ部材43,バーティブラ44およびブレードラバー50の端部をそれぞれ覆い隠し、これによりワイパブレード30の全体の見栄えを良好にしている。
【0043】
ここで、
図2に示されるように、ブレードラバー50は、表面11a上を摺接するものであり、ホルダ部材43に保持される本体部51と、ウィンドシールド11の表面11aに接触されるリップ部52と、を備えている。また、本体部51とリップ部52との間には、薄肉のネック部53が設けられている。これにより、ワイパブレード30の往路側および復路側(
図2の左右側)への移動に伴い、リップ部52が傾動される。よって、ウィンドシールド11の表面11aに付着した雨水や埃等が綺麗に払拭される。
【0044】
また、一対のホルダ部材43を保持する一対のバーティブラ44は、ステンレス鋼板等を棒状に打ち抜いて形成された板ばねとなっている。これらのバーティブラ44は、ワイパブレード30の長手方向全域に亘って設けられ、その長さ寸法は、ワイパブレード30の長さ寸法に略等しくなっている。
【0045】
バーティブラ44は、外力を付加していない自由状態において、予め所定の曲率に湾曲されている。具体的には、バーティブラ44の曲率は、ウィンドシールド11の曲率よりも小さい曲率に設定されている。これにより、リップ部52の長手方向全域を、ウィンドシールド11の表面11aに密着させている。つまり、バーティブラ44の曲率をウィンドシールド11の曲率よりも小さい曲率にすることで、ワイパブレード30の十分な払拭性能を確保している。
【0046】
図2および
図7に示されるように、バーティブラ保持部材42には、トップカバー46が装着されている。トップカバー46は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成され、バーティブラ保持部材42の周囲を覆っている。これにより、ワイパブレード30におけるバーティブラ保持部材42の周辺の見栄えを良好にしている。なお、トップカバー46は、複数の第1カバー爪46a(
図7では2つのみ示す)を備えている。そして、これらの第1カバー爪46aをバーティブラ保持部材42のピン支持壁42bに引っ掛けることで、トップカバー46はバーティブラ保持部材42に固定されている。
【0047】
また、バーティブラ保持部材42のトップカバー46側とは反対側、つまりウィンドシールド11側には、一対のボトムカバー47が装着されている。これらのボトムカバー47は、プラスチック等の樹脂材料により略棒状に形成され、バーティブラ保持部材42のウィンドシールド11側を覆っている。一対のボトムカバー47には、複数の第2カバー爪47aがそれぞれ設けられている。具体的には、第2カバー爪47aは、それぞれのボトムカバー47に対して、合計8個ずつ設けられている。そして、
図2に示されるように、複数の第2カバー爪47aは、一対のバーティブラ44にそれぞれ引っ掛けられている。
【0048】
このように、トップカバー46はバーティブラ保持部材42に固定され、一対のボトムカバー47は一対のバーティブラ44にそれぞれ固定されている。これにより、金属製のバーティブラ保持部材42および一対のバーティブラ44の露出部分が覆われて、ひいてはワイパブレード30の全体の見栄えを良好にしている。
【0049】
ここで、本実施の形態では、アームピース23のU字状フック部23b(
図3参照)に装着されるクリップ部材41と、当該クリップ部材41が回動自在に連結される連結ピン42dを有し、かつブレードラバー50を支持するバーティブラ保持部材42とによって、傾斜機構TM1が形成されている。
【0050】
すなわち、本実施の形態においては、傾斜機構TM1は、ワイパブレード30に設けられている。具体的には、
図11に示されるように、バーティブラ保持部材42の連結ピン42dが、クリップ部材41に対して払拭方向(図中左右方向)に傾斜可能となっている。
【0051】
以下、本実施の形態における傾斜機構TM1の動作(傾動状態)について、
図9ないし
図11を用いて詳細に説明する。
【0052】
[往路払拭時]
まず、ワイパモータ(図示せず)を駆動して揺動軸12(
図1参照)を正方向に回転(時計回り方向)に回転させると、ワイパアーム20およびワイパブレード30からなるワイパ装置10が、往路払拭動作を開始する。すると、ワイパブレード30は、ワイパアーム20の駆動力により、
図11(a)に示されるように、往路払拭方向(図中左側)に引っ張られて移動する。これにより、ブレードラバー50のリップ部52が傾動されて、リップ部52の往路払拭側の第1角部C1がウィンドシールド11の表面11a上を摺接する。これにより、表面11aに付着した雨水や埃等が綺麗に払拭される。
【0053】
このとき、リップ部52の第1角部C1と表面11aとの間には、ある程度の摩擦力(動摩擦力)が発生しており、さらには、ワイパアーム20からワイパブレード30に対して、引っ張りスプリングのばね力により、
図9(a)に示されるような押圧力Fが、ウィンドシールド11に向けて作用している。これにより、傾斜機構TM1が作動して、ワイパブレード30がワイパアーム20に対して、
図11(a)のような姿勢になる。
【0054】
具体的には、
図9(a)および
図11(a)に示されるように、クリップ部材41の一対のテーパ部41nのうちの往路払拭方向側とは反対側(図中右側)のテーパ部41nに対して、連結ピン42dの外周部分が当接した状態となる。より具体的には、ワイパブレード30はワイパアーム20に対して、+α°の分だけ傾斜した状態となる。このとき、ワイパブレード30はワイパアーム20により押圧力Fで押圧されていること等から、連結ピン42dが係合凹部41hから外れることはない。
【0055】
また、往路払拭方向側(図中左側)の第1傾斜面41dが内壁部42cに突き当てられ、かつ往路払拭方向側とは反対側(図中右側)の第2傾斜面41eが内壁部42cに突き当てられる。これにより、ワイパブレード30がワイパアーム20に対してそれ以上傾斜すること(約5°以上の傾動)が防止されて、却って払拭性能が低下してしまうようなことが抑えられる。
【0056】
すなわち、クリップ部材41に設けられた第1,第2傾斜面41d,41eおよび、バーティブラ保持部材42に設けられたピン支持壁42bの内壁部42cは、ワイパブレード30の表面11aに対する最大傾斜角度を規制する傾斜角度規制部に相当する。
【0057】
このように、クリップ部材41およびバーティブラ保持部材42からなる傾斜機構TM1は、往路払拭方向への動作に伴い、
図11(a)に示されるように、U字状フック部23bの中心Ct1が、ブレードラバー50の中心Ct2よりも払拭方向前方(図中左側)に配置されるよう、ワイパブレード30をウィンドシールド11の表面11aに対して傾斜させる。これにより、ブレードラバー50を表面11aに対して正しく傾斜させることが可能となり、リップ部52の第1角部C1が、表面11a上をビビリ現象を発生させることなくスムーズに摺接して、雨水や埃等を綺麗に払拭することができる。
【0058】
なお、このときの連結ピン42dの軸方向一端部は、払拭方向後方(
図9(a)の矢印D方向)から見ると、
図9(b)の矢印M1のように移動される。ただし、連結ピン42dは、
図9(b)の矢印×(バツ)のように、クリップ部材41の長手方向に移動することはない。
【0059】
その後、ワイパ装置10は、ウィンドシールド11の上反転位置において反転動作を行う。具体的には、往路払拭動作(
図9(a)および
図11(a)参照)から、復路払拭動作(
図10(a)および
図11(b)参照)に移行する。このとき、ワイパブレード30はワイパアーム20に対して、上述の通り所定の角度範囲(±α°)で傾斜可能となっている。したがって、ブレードラバー50が正しく反転できずに、リップ部52の第1角部C1が表面11aに接触したままの状態となることが確実に防止される。
【0060】
ここで、ブレードラバー50が正しく反転できない場合、つまり
図11(a)に示されるようにリップ部52の第1角部C1が表面11aに接触したまま、
図11(b)に示される復路払拭動作に移行すると、ビビリ現象の発生が激しくなって、ブレードラバー50の損傷を招くばかりか、大きな騒音を発生してしまう。したがって、上反転位置に限らず下反転位置においても、ブレードラバー50を正しく(正確に)反転させることが重要となる。
【0061】
[復路払拭時]
そして、ワイパモータの駆動により揺動軸12が逆方向に回転(反時計回り方向)に回転されると、ワイパアーム20およびワイパブレード30からなるワイパ装置10は、復路払拭動作を開始する。すると、ワイパブレード30は、ワイパアーム20の駆動力により、
図11(b)に示されるように、復路払拭方向(図中右側)に引っ張られて移動する。これにより、ブレードラバー50のリップ部52が傾動されて、リップ部52の復路払拭側の第2角部C2がウィンドシールド11の表面11a上を摺接する。これにより、表面11aに付着した雨水や埃等が綺麗に払拭される。
【0062】
このとき、リップ部52の第2角部C2と表面11aとの間には、ある程度の摩擦力(動摩擦力)が発生しており、さらには、ワイパアーム20からワイパブレード30に対して、引っ張りスプリングのばね力により、
図10(a)に示されるような押圧力Fが、ウィンドシールド11に向けて作用している。これにより、傾斜機構TM1が作動して、ワイパブレード30がワイパアーム20に対して、
図11(b)のような姿勢になる。
【0063】
具体的には、
図10(a)および
図11(b)に示されるように、クリップ部材41の一対のテーパ部41nのうちの復路払拭方向側とは反対側(図中左側)のテーパ部41nに対して、連結ピン42dの外周部分が当接した状態となる。より具体的には、ワイパブレード30はワイパアーム20に対して、-α°の分だけ傾斜した状態となる。このとき、ワイパブレード30はワイパアーム20により押圧力Fで押圧されていること等から、連結ピン42dが係合凹部41hから外れることはない。
【0064】
また、復路払拭方向側(図中右側)の第1傾斜面41dが内壁部42cに突き当てられ、かつ復路払拭方向側とは反対側(図中左側)の第2傾斜面41eが内壁部42cに突き当てられる。これにより、ワイパブレード30がワイパアーム20に対してそれ以上傾斜すること(約5°以上の傾動)が防止されて、却って払拭性能が低下してしまうようなことが抑えられる。
【0065】
このように、クリップ部材41およびバーティブラ保持部材42からなる傾斜機構TM1は、復路払拭方向への動作に伴い、
図11(b)に示されるように、U字状フック部23bの中心Ct1が、ブレードラバー50の中心Ct2よりも払拭方向前方(図中右側)に配置されるよう、ワイパブレード30をウィンドシールド11の表面11aに対して傾斜させる。これにより、ブレードラバー50を表面11aに対して正しく傾斜させることが可能となり、リップ部52の第2角部C2が、表面11a上をビビリ現象を発生させることなくスムーズに摺接して、雨水や埃等を綺麗に払拭することができる。
【0066】
なお、このときの連結ピン42dの軸方向一端部は、払拭方向前方(
図10(a)の矢印E方向)から見ると、
図10(b)の矢印M2のように移動される。ただし、連結ピン42dは、
図10(b)の矢印×(バツ)のように、クリップ部材41の長手方向に移動することはない。
【0067】
ここで、
図2に示されるワイパ装置10は、ワイパブレード30がワイパアーム20に対して傾斜していない「基準状態」の場合を示している。すなわち、
図2に示される「基準状態」のワイパ装置10では、U字状フック部23bの中心Ct1は、ブレードラバー50の中心Ct2よりも払拭方向前方(図中左側または図中右側)に配置された状態にはなっていない。具体的には、「基準状態」では、ウィンドシールド11の垂線LN1上に、U字状フック部23bの中心Ct1およびブレードラバー50の中心Ct2が、いずれも配置された状態となっている。
【0068】
そして、上述のように、往路払拭時および復路払拭時において、ワイパブレード30がワイパアーム20に対して傾斜した「傾斜状態」になると、U字状フック部23bの中心Ct1およびブレードラバー50の中心Ct2の位置関係は、
図11(a)および
図11(b)に示されるようになる。具体的には、ブレードラバー50の中心Ct2は垂線LN1上にあるが、U字状フック部23bの中心Ct1は垂線LN1上から逸脱して払拭方向前方の垂線LN2上に移動される。
【0069】
このように、傾斜機構TM1は、U字状フック部23bの中心Ct1が、ブレードラバー50の中心Ct2よりも払拭方向前方に配置されるよう、つまりブレードラバー50の中心Ct2よりもU字状フック部23bの中心Ct1の方が払拭方向前方に移動するよう、ワイパブレード30をウィンドシールド11の表面11aに対して傾斜させる機能を備えている。
【0070】
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパ装置10によれば、ワイパブレード30に、U字状フック部23bの中心Ct1がブレードラバー50の中心Ct2よりも払拭方向前方に配置されるようワイパブレード30を表面11aに対して傾斜させる傾斜機構TM1を設けている。
【0071】
これにより、ワイパブレード30の往路払拭時および復路払拭時のそれぞれにおいて、ブレードラバー50を表面11aに対して正しく傾斜させることが可能となる。したがって、ブレードラバー50が表面11aに対して正しく傾斜できないことに起因した不具合(ビビリ現象,反転不良,ラバー早期摩耗および高速走行時の揚力の増大等)の発生を抑制することができる。新たな部品(従前のようなアームカバー等)を追加せずに済み、ワイパ装置10の静粛性を容易に向上させることができる。
【0072】
また、本実施の形態に係るワイパ装置10によれば、傾斜機構TM1がワイパブレード30に設けられ、傾斜機構TM1は、U字状フック部23bに装着されるクリップ部材41と、クリップ部材41が回動自在に連結される連結ピン42dを有し、かつブレードラバー50を支持するバーティブラ保持部材42と、を備え、連結ピン42dがクリップ部材41に対して払拭方向に傾斜可能となっている。
【0073】
これにより、クリップ部材41の形状を変更するだけで、ビビリ現象の発生を抑えることが可能な傾斜機構TM1を実現することができる。よって、部品点数を増加させることなく容易に製造することが可能となる。
【0074】
さらに、本実施の形態に係るワイパ装置10によれば、クリップ部材41は、連結ピン42dが係合される係合凹部41hを有し、係合凹部41hの長手方向中央部に、連結ピン42dの長手方向中央部を支持するピン支持部41mが設けられ、係合凹部41hの長手方向におけるピン支持部41mの両側に、ピン支持部41mから離れるに連れて徐々に連結ピン42dとの隙間を大きくするテーパ部41nが設けられている。
【0075】
これにより、クリップ部材41の形状を複雑化させることなく、クリップ部材41を容易に製造することができる。また、クリップ部材41の形状の複雑化を抑えることができるので、クリップ部材41を成形する際の金型の形状の複雑化も抑えられ、金型の寿命を延ばすことが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態に係るワイパ装置10によれば、クリップ部材41は、ワイパブレード30の長手方向に延びる接続部41fを備え、バーティブラ保持部材42は、ワイパブレード30の長手方向に延び、かつ接続部41fが当接される内壁部42cを有している。
【0077】
これにより、
図8の破線矢印の方向に対するワイパ装置10の無駄な振れを抑制することができる。したがって、無駄な振れに起因したビビリ現象の発生を効果的に抑えることが可能となる。
【0078】
さらに、本実施の形態に係るワイパ装置10によれば、部品点数を増加させずに容易に製造することができるので、製造に関わるエネルギーの消費を抑えることが可能となる。
【0079】
これにより、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)において、特に目標7(手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る)に貢献することが可能となる。
【0080】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
図12は実施の形態2のワイパ装置を示す
図2に対応した図を、
図13(a),(b)は実施の形態2のワイパ装置の動作を説明する断面図をそれぞれ示している。
【0082】
図12および
図13に示されるように、実施の形態2のワイパ装置60は、実施の形態1のワイパ装置10(
図2参照)に比して、傾斜機構TM2の構造が異なっている。具体的には、ワイパ装置60を形成するクリップ部材61は、連結ピン62の軸方向に真っ直ぐに延びる溝部61aを備えており、当該溝部61aには、係合凹部61bおよび開口部41kが設けられている。ここで、実施の形態2の係合凹部61bには、実施の形態1のようなピン支持部41mや一対のテーパ部41n(
図2参照)が設けられていない。すなわち、係合凹部61bは、連結ピン62の軸方向に真っ直ぐに延びている。
【0083】
ここで、傾斜機構TM2は、アームピース23のU字状フック部23bに装着されるクリップ部材61と、当該クリップ部材61が回動自在に連結される連結ピン62を有し、かつブレードラバー50を支持するバーティブラ保持部材42と、を備えている。
【0084】
その一方で、連結ピン62は、略樽形に形成されており、その長手方向中央部が最も大径の大径部62aとなっている。連結ピン62の長手方向(軸方向)における大径部62aの両側には、当該大径部62aから離れるにつれて徐々に係合凹部61bとの隙間を大きくするテーパ部62bが設けられている。これにより、
図12および
図13に示されるように、連結ピン62は係合凹部61bの内部において、シーソーのように揺動可能となっている。
【0085】
このように、実施の形態2では、連結ピン62の形状および係合凹部61bの形状が、実施の形態1(
図2参照)に比して、逆となっている。具体的には、実施の形態1では、クリップ部材41の係合凹部41hに一対のテーパ部41nを設け、連結ピン42dを単純な円柱状としたが、実施の形態2では、連結ピン62に一対のテーパ部62bを設け、係合凹部61bを連結ピン62の軸方向に真っ直ぐに延ばした形状とした。
【0086】
そして、
図13(a)に示されるように、ワイパ装置60の[往路払拭時]には、連結ピン62の一対のテーパ部62bのうちの往路払拭方向側とは反対側(図中右側)のテーパ部62bが、係合凹部61bの底部に当接した状態となる。また、往路払拭方向側(図中左側)の第1傾斜面41dが内壁部42cに突き当てられ、かつ往路払拭方向側とは反対側(図中右側)の第2傾斜面41eが内壁部42cに突き当てられる。
【0087】
また、
図13(b)に示されるように、ワイパ装置60の[復路払拭時]には、連結ピン62の一対のテーパ部62bのうちの復路払拭方向側とは反対側(図中左側)のテーパ部62bが、係合凹部61bの底部に当接した状態となる。また、復路払拭方向側(図中右側)の第1傾斜面41dが内壁部42cに突き当てられ、かつ復路払拭方向側とは反対側(図中左側)の第2傾斜面41eが内壁部42cに突き当てられる。
【0088】
以上のように形成された実施の形態2のワイパ装置60においても、実施の形態1のワイパ装置10(
図2参照)と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、実施の形態1に比して、クリップ部材61の形状(係合凹部61bの形状)を真っ直ぐにして簡素化することができる。したがって、クリップ部材61を、より容易に製造することが可能となる。
【0089】
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0090】
図14は実施の形態3のワイパ装置を示す
図7に対応した図を、
図15(a),(b)は実施の形態3のワイパ装置の動作を説明する断面図をそれぞれ示している。
【0091】
図14および
図15に示されるように、実施の形態3のワイパ装置70は、実施の形態1のワイパ装置10(
図2参照)に比して、傾斜機構の構造が異なっている。具体的には、実施の形態1の傾斜機構TM1(
図2参照)は、ラバーホルダ40を形成するクリップ部材41およびバーティブラ保持部材42によって形成していた。これに対し、実施の形態3の傾斜機構TM3は、ラバーホルダ71を形成するクリップ部材72,第1支持部材73および第2支持部材74から形成している。このように、実施の形態3の傾斜機構TM3においても、実施の形態1と同様にワイパブレード(詳細図示せず)に設けられている。
【0092】
図14に示されるように、クリップ部材72は、係合凹部72aを備えている。係合凹部72aは、実施の形態2のクリップ部材61の係合凹部61b(
図12参照)と同様に、実施の形態1のようなピン支持部41mや一対のテーパ部41n(
図2参照)を備えていない。つまり、係合凹部72aは、単純に連結ピン73bの軸方向に真っ直ぐに延びている。
【0093】
また、クリップ部材72を形成する一対の側壁部72bには、実施の形態1および実施の形態2のような第1傾斜面41dおよび第2傾斜面41e(
図11および
図13参照)を備えていない。つまり、一対の側壁部72bの外側は、単純な平坦面FSとなっている。なお、その他のクリップ部材72の形状については、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0094】
第1支持部材73は、ラバーホルダ71の長手方向と交差する方向において、互いに対向した一対のピン支持壁73aを備えている。そして、一対のピン支持壁73aの間には、丸鋼棒からなる連結ピン73bが横切るようにして設けられている。ここで、連結ピン73bにおいても、単純な円柱状に形成されている。すなわち、実施の形態1や実施の形態2とは異なり、連結ピン73bは係合凹部72aの内部において、シーソーのように揺動することはない。
【0095】
一対のピン支持壁73aの間には、一対の橋渡し部73cが一体に設け設けられている。具体的には、一方の橋渡し部73cは、連結ピン73bの近傍に配置され、他方の橋渡し部73cは、連結ピン73bから離れた位置に配置されている。そして、一対の橋渡し部73cには、略円柱状に形成された回動軸73dがそれぞれ一体に設けられている。これらの回動軸73dは、ラバーホルダ71の軸方向(
図14の左右方向)に延びている。つまり、回動軸73dの軸方向と連結ピン73bの軸方向とは、互いに直交している。
【0096】
また、それぞれのピン支持壁73aの第2支持部材74側(
図14の下側)には、第1規制部73eが設けられている。一対の第1規制部73eは、第2支持部材74に設けられた一対の第2規制部74dに当接可能となっている。これらの第1,第2規制部73e,74dは、第2支持部材74の第1支持部材73に対する最大傾斜角度、つまりワイパブレード30の表面11a(
図15参照)に対する最大傾斜角度を規制する傾斜角度規制部に相当する。
【0097】
第2支持部材74は、ラバーホルダ71の長手方向に延びる一対の第1辺部材74aと、これらの第1辺部材74aの長手方向端部において、第1辺部材74a同士を接続する一対の第2辺部材74bと、を備えている。すなわち、第2支持部材74は、
図14に示されるように、中央部分が開口された略長方形に形成されている。
【0098】
そして、一対の第2辺部材74bには、第1支持部材73に設けられた一対の回動軸73dをそれぞれ回動自在に支持する軸支持部74cが、それぞれ一体に設けられている。これにより、第2支持部材74は、第1支持部材73に対して、回動軸73dを中心に回動自在となっている。言い換えれば、第2支持部材74は、第1支持部材73に対して、払拭方向に揺動可能となっている。
【0099】
また、一対の第1辺部材74aの第1支持部材73側(
図14の上側)には、第2規制部74dが設けられている。一対の第2規制部74dは、第1支持部材73に設けられた一対の第1規制部73eに当接可能となっている。
【0100】
ここで、第2支持部材74には、一対のバーティブラ44が固定されており(詳細図示せず)、第2支持部材74に固定された一対のバーティブラ44にブレードラバー50が装着されている(
図15参照)。つまり、第2支持部材74は、一対のバーティブラ44を介して、ブレードラバー50を支持している。
【0101】
そして、ワイパ装置70の[往路払拭時]には、第2支持部材74が回動軸73dを中心に、第1支持部材73に対して傾斜されて、U字状フック部23bの中心Ct1およびブレードラバー50の中心Ct2の位置関係が、
図15(a)のようになる。つまり、ブレードラバー50の中心Ct2よりもU字状フック部23bの中心Ct1の方が払拭方向前方(
図15(a)の左側)に移動するよう、ワイパブレード30がウィンドシールド11の表面11aに対して+α°の分だけ傾斜される。
【0102】
また、ワイパ装置70の[復路払拭時]には、第2支持部材74が回動軸73dを中心に、第1支持部材73に対して傾斜されて、U字状フック部23bの中心Ct1およびブレードラバー50の中心Ct2の位置関係が、
図15(b)のようになる。つまり、ブレードラバー50の中心Ct2よりもU字状フック部23bの中心Ct1の方が払拭方向前方(
図15(b)の右側)に移動するよう、ワイパブレード30がウィンドシールド11の表面11aに対して-α°の分だけ傾斜される。
【0103】
以上のように形成された実施の形態3のワイパ装置70においても、実施の形態1のワイパ装置10(
図2参照)と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、実施の形態1に比して、ワイパブレード30のウィンドシールド11に対する傾動中心(回動軸73d)を、連結ピン73bよりもウィンドシールド11側に配置することができる。したがって、ウィンドシールド11に対する高さ寸法が低い扁平デザインの所謂「エアロワイパ装置」等にも、容易に適用することが可能となる。
【0104】
次に、本発明の実施の形態4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0105】
図16は実施の形態4のワイパ装置を示す斜視図を、
図17は
図16のワイパ装置の傾斜機構を示す分解斜視図を、
図18(a),(b)は実施の形態4のワイパ装置の動作を説明する
図16のF-F線に沿う断面図をそれぞれ示している。
【0106】
図16ないし
図18に示されるように、実施の形態4のワイパ装置80は、実施の形態1のワイパ装置10(
図2参照)に比して、傾斜機構が設けられる位置およびその構造が異なっている。具体的には、実施の形態1では、傾斜機構TM1(
図2参照)をワイパブレード30に設けていたが、実施の形態4では、傾斜機構TM4をワイパアーム20に設けている。なお、
図16に示されるワイパブレードWBは、傾斜機構を備えない通常(汎用)のワイパブレードWBとなっている。
【0107】
具体的には、実施の形態4では、ワイパアーム20を形成するアームピース81に、傾斜機構TM4が設けられている。アームピース81は、第1アーム部材82と第2アーム部材83とを備え、第1アーム部材82がアームシャンク22側(揺動軸12側,
図1参照)に配置され、第2アーム部材83がワイパブレードWB側(U字状フック部23b側)に配置されている。
【0108】
図17に示されるように、第1アーム部材82の長手方向における第2アーム部材83側には、第1連結部材84が装着されている。第1連結部材84は、プラスチック等の樹脂材料からなり、第1アーム部材82に固定される第1本体部84aを備えている。また、第1本体部84aの第2アーム部材83側には、第2連結部材85の第2本体部85aに設けられた連結孔85bに差し込まれる連結突起84bが一体に設けられている。
【0109】
図18に示されるように、連結突起84bは、断面が略円形となった差し込み本体84cと、当該差し込み本体84cに対してその径方向に弾性を持って移動可能な弾性片84dと、備えている。そして、弾性片84dには、第2本体部85aの連結孔85bの近傍に設けられた係合穴85cに係合される係合凸部84eが一体に設けられている。
【0110】
図17に示されるように、第2アーム部材83の長手方向における第1アーム部材82側には、第1連結部材84に連結される第2連結部材85が装着されている。第2連結部材85は、プラスチック等の樹脂材料からなり、第2アーム部材83に固定される第2本体部85aを備えている。また、第2本体部85aの第1アーム部材82側には、第1連結部材84の第1本体部84aに設けられた連結突起84bが差し込まれる連結孔85bが設けられている。
【0111】
そして、連結孔85bには、連結突起84bがその径方向にがたつかないように差し込まれ、かつ連結突起84bは連結孔85bに対してスムーズに回動可能となっている。具体的には、第2アーム部材83は、第1アーム部材82に対して、傾斜機構TM4を介して、連結孔85bおよび連結突起84bを中心に所定の角度範囲(±α°)で揺動自在となっている。つまり、第2連結部材85が第1連結部材84に対して払拭方向に揺動可能となっている。ここで、傾斜機構TM4は、第1連結部材84および第2連結部材85から形成されている。
【0112】
ここで、連結孔85bに連通するようにして、弾性片84dの係合凸部84eが係合される係合穴85cが設けられている。係合穴85cには、係合凸部84eが、所定の角度範囲(±α°)で移動可能に入り込んでいる。具体的には、
図18に示されるように、連結突起84bが連結孔85bに対して±α°の角度範囲で揺動するように、係合凸部84eが係合穴85cに対して余裕を持って入り込んでいる。つまり、本実施の形態では、係合凸部84eおよび係合穴85cが、第2アーム部材83およびワイパブレードWBの表面11a(
図16参照)に対する最大傾斜角度を規制する傾斜角度規制部に相当する。
【0113】
そして、ワイパ装置80の[往路払拭時]および[復路払拭時]の双方において、第2アーム部材83およびワイパブレードWBが、第1アーム部材82に対して傾斜機構TM4を介して+α°および-α°の分だけ傾斜されて、ブレードラバー50の中心(
図11のCt1参照)よりもU字状フック部23bの中心(
図11のCt2参照)の方が払拭方向前方に移動するよう、第2アーム部材83およびワイパブレードWBがウィンドシールド11の表面11aに対して+α°および-α°の分だけ傾斜される。
【0114】
以上のように形成された実施の形態4のワイパ装置80においても、実施の形態1のワイパ装置10(
図2参照)と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4では、実施の形態1に比して、第2アーム部材83およびワイパブレードWBのウィンドシールド11に対する傾動中心(連結孔85bおよび連結突起84b)を、連結ピンよりもウィンドシールド11側とは反対側に配置することができる。すなわち、第2アーム部材83およびワイパブレードWBのウィンドシールド11に対する傾動中心を、ウィンドシールド11から遠ざける(離す)ことができる。したがって、第2アーム部材83およびワイパブレードWBを、ウィンドシールド11の表面11aに対してより大きく(±α°以上)傾斜させることが可能となる。
【0115】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述した各実施の形態では、ワイパ装置10,60,70,80を、自動車等の車両に用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、航空機や鉄道車両,建設機械等にも用いることができる。
【0116】
その他、上述した各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述した各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0117】
10:ワイパ装置,11:ウィンドシールド,11a:表面(払拭面),12:揺動軸,20:ワイパアーム,21:アームヘッド,21a:揺動軸連結部,21b:シャンク連結部,21c:ピン部材,22:アームシャンク,22a:シャンク基端部,22b:シャンク先端部,22c:固定ピン,23:アームピース,23a:ピース基端部,23b:U字状フック部(ブレード装着部),23c:係合孔,23d:側面,30:ワイパブレード,40:ラバーホルダ,41:クリップ部材,41a:クリップ本体,41b:側壁部,41c:内側平坦面,41d:第1傾斜面(傾斜角度規制部),41e:第2傾斜面(傾斜角度規制部),41f:接続部(第1当接部),41g:溝部,41h:係合凹部,41k:開口部,41m:ピン支持部,41n:テーパ部,41p:操作レバー,41s:操作部,41t:係合爪,42:バーティブラ保持部材(支持部材),42a:バーティブラ保持爪,42b:ピン支持壁,42c:内壁部(第2当接部,傾斜角度規制部),42d:連結ピン,43:ホルダ部材,43a:ホルダ本体,43b:フィン部,44:バーティブラ,45:エンドキャップ,46:トップカバー,46a:第1カバー爪,47:ボトムカバー,47a:第2カバー爪,50:ブレードラバー,51:本体部,52:リップ部,53:ネック部,60:ワイパ装置,61:クリップ部材,61a:溝部,61b:係合凹部,62:連結ピン,62a:大径部,62b:テーパ部,70:ワイパ装置,71:ラバーホルダ,72:クリップ部材,72a:係合凹部,72b:側壁部,73:第1支持部材,73a:ピン支持壁,73b:連結ピン,73c:橋渡し部,73d:回動軸,73e:第1規制部(傾斜角度規制部),74:第2支持部材,74a:第1辺部材,74b:第2辺部材,74c:軸支持部,74d:第2規制部(傾斜角度規制部),80:ワイパ装置,81:アームピース,82:第1アーム部材,83:第2アーム部材,84:第1連結部材,84a:第1本体部,84b:連結突起,84c:差し込み本体,84d:弾性片,84e:係合凸部(傾斜角度規制部),85:第2連結部材,85a:第2本体部,85b:連結孔,85c:係合穴(傾斜角度規制部),C1:第1角部,C2:第2角部,Ct1:U字状フック部の中心,Ct2:ブレードラバーの中心,FS:平坦面,TM1~TM4:傾斜機構,WB:ワイパブレード