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  • 特開-床材及び畳 図1
  • 特開-床材及び畳 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059005
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】床材及び畳
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
E04F15/02 102A
E04F15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168868
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】302045222
【氏名又は名称】ダイヤロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 秀典
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA15
2E220AA44
2E220AA45
2E220AA55
2E220AC01
2E220AD03
2E220AD15
2E220FA01
2E220FA11
2E220GA07X
2E220GA22X
2E220GA25X
2E220GB33X
2E220GB33Y
2E220GB35X
2E220GB46X
2E220GB47X
(57)【要約】
【課題】従来品より安全、衛生的で簡便に用いることが出来、水や汚れに強く、掃除が容易な床材を提供することを課題とする。
【解決手段】床材に、板状の基材と、基材の表面を覆う、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の表面材と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基材と、
前記基材の表面を覆う、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の表面材と、
を備える床材。
【請求項2】
前記表面材は、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の畳表である、
請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記表面材は、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の繊維を編み込んで織られた畳表である、
請求項2に記載の床材。
【請求項4】
前記表面材は、前記基材の表面を覆った状態で該基材の外側に延伸し、該基材の側面を乗り越えて該基材の裏面に向かって折り畳まれることで、該基材の側面及び裏面周縁部を覆う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の床材。
【請求項5】
前記表面材のうち、前記基材の裏面周縁部を覆う部分は、折り畳まれた該表面材同士が重ならない形状にカットされている、
請求項4に記載の床材。
【請求項6】
前記基材の裏面のうち前記表面材によって覆われる裏面周縁部を除く部分に設けられた、該表面材と略同一の厚さを有する段差調整材を更に備える、
請求項5に記載の床材。
【請求項7】
床に設置された状態で設置床面に張り付くことで該床材のズレを防止するズレ防止材を更に備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の床材。
【請求項8】
前記基材は、クッション材を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の床材。
【請求項9】
前記基材は、耐水性を有する中質繊維板を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の床材。
【請求項10】
厚さが7mm以下である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の床材。
【請求項11】
板状の基材と、
前記基材の表面を覆う、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の畳表と、
を備える畳。
【請求項12】
前記畳表は、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の繊維を編み込んで織られた畳表である、
請求項11に記載の畳。
【請求項13】
厚さが7mm以下である、
請求項11又は12に記載の畳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床材及び畳に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畳表と、ポリエチレン発泡体を含む表面側クッション層と、基材層と、裏面側クッション層とがこの順で配置されてなる薄畳が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、金型装置を使用して、型開きの状態で、畳模様を形成するための溝が形成されたキャビティ底面と4つのキャビティ側面に熱硬化性塗料を塗布し、該塗料の塗布面上に合成繊維製布を載置し、キャビティ内に熱硬化性の発泡ポリウレタン原料を注入し、型締後に熱硬化性のポリウレタンを発泡硬化させると共に前記塗料も硬化させ、その後型開きすることにより、塗膜、材料がビニロン、ポリアミド、ポリエチレン、及びポリエステルから選択された1種又は2種以上である合成繊維製布、及びポリウレタンフォームを一体成形して、畳表に凹凸のある畳模様を形成する、合成樹脂製畳の製造方法が提案されている(特許文献2を参照)。
【0004】
また、芯材繊維層3と、芯材繊維層の一方の面側に少なくとも1層配置され、触感にて芯材繊維層よりも相対的に硬質の第1繊維層と、芯材繊維層の他方の面側に第1繊維層とともに芯材繊維層をその厚さ方向両側から挟むように少なくとも1層配置され、触感にて芯材繊維層よりも相対的に硬質の第2繊維層と、少なくとも1層の調湿層とを含み、これら各層をこれらの厚さ方向に縫合することにより一体化された板状の積層体からなる畳床(畳の心材)において、芯材繊維層に使用可能な繊維としてポリエステル系の合成繊維が用いられてよいこと、第1繊維層の繊維の原料としてポリエステルを含む合成繊維が用いられてよいことが提案されている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-104898号公報
【特許文献2】特開2017-141574号公報
【特許文献3】実用新案登録3215945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、床材の表面材には様々な材料が採用されており、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)製の表面材を有する床材等が用いられている。しかし、このような床材はホテルや旅館、商業施設等において用いられることを前提としていることが多く、環境や人体に対する懸念も完全には否定できないため、より安全、衛生的で簡便に用いることが出来、水や汚れに強く、掃除が容易な床材が求められている。
【0007】
上記した問題に鑑み、本開示にかかる技術は、従来品より安全、衛生的で簡便に用いることが出来、水や汚れに強く、掃除が容易な床材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一つの側面は、板状の基材と、前記基材の表面を覆う、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の表面材と、を備える床材である。
【0009】
また、本開示において、前記表面材は、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の畳表であってもよい。
【0010】
また、本開示において、前記表面材は、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の繊維を編み込んで織られた畳表であってもよい。
【0011】
また、本開示において、前記表面材は、前記基材の表面を覆った状態で該基材の外側に延伸し、該基材の側面を乗り越えて該基材の裏面に向かって折り畳まれることで、該基材の側面及び裏面周縁部を覆ってもよい。
【0012】
また、本開示において、前記表面材のうち、前記基材の裏面周縁部を覆う部分は、折り畳まれた該表面材同士が重ならない形状にカットされていてもよい。
【0013】
また、本開示に係る床材は、前記基材の裏面のうち前記表面材によって覆われる裏面周縁部を除く部分に設けられた、該表面材と略同一の厚さを有する段差調整材を更に備えていてもよい。
【0014】
また、本開示に係る床材は、床に設置された状態で設置床面に張り付くことで該床材のズレを防止するズレ防止材を更に備えていてもよい。
【0015】
また、本開示において、前記基材は、クッション材を有していてもよい。
【0016】
また、本開示において、前記基材は、耐水性を有する中質繊維板を有していてもよい。
【0017】
また、本開示に係る床材は、厚さが7mm以下であってよい。
【0018】
また、本開示の一つの側面は、板状の基材と、前記基材の表面を覆う、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の畳表と、を備える畳である。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る技術によれば、従来品より安全、衛生的で簡便に用いることが出来、水や汚れに強く、掃除が容易な床材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る床材の積層構造を示すための、床材の断面の模式図である。
図2】実施形態に係る床材1から防湿シート及びズレ防止材を除いた状態の底面図(床材を裏面から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示に係る床材の実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る床材を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0022】
<構成>
図1は、本実施形態に係る床材1の積層構造を示すための、床材1の断面の模式図である。本実施形態に係る床材1は、全体として板状の形状を有し、表面から順に、表面材11と、クッション材12及び中質繊維板(MDF)13を有する板状の基材と、段差調整材14と、防湿シート15と、ズレ防止材16と、を備える。
【0023】
なお、図1は、各層の積層構造をわかりやすく示すための模式図であり、各層の厚さの相対関係や、床材1の高さと幅との相対関係は正確に表示されていない。本実施形態に係る床材1では、床材1を構成する各層の厚さに以下のスペックを採用することで、床材1全体の厚さを7mm以下に抑えつつ、クッション性、ズレ防止等の性能を実現している。
・表面材11:約1mm
・クッション材12:約2mm
・MDF13:約2.7mm
・段差調整材14:約1mm
・防湿シート15:約0.2mm
・ズレ防止材16:約0.1mm
【0024】
表面材11は、基材の表面を覆うポリエチレン(PE)(但し、エチレン酢酸ビニル(EVA)を除く)を50%以上(好ましくは、60%以上)含有する材料製の(換言すれば、PEを主として用いた)部材である。具体的には、本実施形態では、ポリエチレンを50%以上含有する材料として、ポリエチレンを主としてポリエステルを加えた材料が用いられる。より具体的な比率としては、例えば、ポリエチレン63%、ポリエステル37%の材料が用いられてよい。但し、具体的な比率は、本実施形態に開示された例に限定されず、実施の態様に応じて適宜変更されてよい。そして、本実施形態に係る床材1は、表面材11として、ポリエチレンを50%以上含有する材料製の繊維(ポリエチレンを主とする繊維)を編み込んで織られた畳表を用いた畳である。繊維を編み込んで織られた畳表を用いる場合、床材1に乗った人が滑りにくいという効果が得られる。但し、本開示に係る床材1には、畳表以外の表面材11が用いられてもよい。例えば、表面材11として、畳表以外のポリエチレンを50%以上含有する材料製の織物が用いられてもよい。また、表面材11として畳表を用いる場合にも、畳表は、繊維を編み込んで織られた畳表に限定されない。例えば、ポリエチレンを50%以上含有する材料を型に入れて押圧することで畳表の紋様が成形された畳表が用いられてもよい。
【0025】
また、図1に示す通り、表面材11は、基材の表面を覆った状態で該基材の外側に延伸し、該基材の側面を乗り越えて該基材の裏面に向かって折り畳まれることで、該基材の側面及び裏面周縁部を覆う。
【0026】
図2は、本実施形態に係る床材1から防湿シート15及びズレ防止材16を除いた状態の底面図(即ち、床材1を裏面から見た図)である。図2によれば、表面材11のうち、基材の裏面周縁部を覆う部分は、折り畳まれた該表面材11同士が基材裏面において重ならない形状にカットされていることが分かる。具体的には、基材の裏面に向けて折り畳まれることで基材裏面の周縁部を覆う部分は、斜め45度にカットされることで、折り畳まれた該表面材11同士が重ならないように加工されている。
【0027】
本実施形態において、クッション材12には、ポリエチレン発泡体が用いられる。また、中質繊維板(MDF)13には、耐水性を有するMDFが用いられる。
【0028】
段差調整材14は、基材の裏面のうち表面材11によって覆われる裏面周縁部を除く部分に設けられ、該表面材11と略同一の厚さ(本実施形態では、約1mm)を有することで、折り畳まれた表面材11によって覆われた裏面周縁部と表面材11によって覆われない裏面中心部との間で高低差が生じることを防止し、裏面全体がフラットな仕上がりとなるようにしている。
【0029】
防湿シート15は、本実施形態ではポリエチレン(PE)シートであり、段差調整材14の外側に設けられることで、床材1の内部を防湿している。
【0030】
ズレ防止材16は、床に設置された状態で設置床面に張り付くことで床材1のズレを防止する。本実施形態では、再施工を容易とするために、ズレ防止材16として再剥離テープが採用されている。再剥離テープには、製造時点において剥離紙(離型紙)が付されており、剥離紙は床材1を床に設置する際に剥がされる。
【0031】
また、床材1は、畳縁を有する畳であってもよいし、畳縁を有さない畳であってもよい。なお、畳縁を有する場合、畳縁は、少なくとも畳の目と直交する辺に設けられることが通常である。
【0032】
<効果>
本実施形態によれば、表面材11にポリエチレンを50%以上含有する材料製の織物を使用することで、従来品より安全、衛生的で簡便に用いることが出来、耐光性・耐摩耗性に優れ、水や汚れに強く、掃除が容易であり、且つ欧州REACH規則にも対応した安全性の高い床材を提供することが可能となる。
【0033】
また、裏面にズレ防止材16を採用し、且つ7mm以下の薄さとしているため、簡易な施工で、人が乗ってもズレることがなく、また扉や引き出し等の開閉に干渉せず、ロボット掃除機も使用可能なバリアフリー床とすることが出来る。
【0034】
更に、床材1全体が薄く且つ表面材11によって製品側面が覆われているため、内部構造が外から見えず、簡易な施工で見栄えの良い(デザイン性の高い)床を作成することが出来る。
【符号の説明】
【0035】
1 床材(畳)
図1
図2