(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059050
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20230419BHJP
【FI】
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168931
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】相馬 正博
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康嗣
(72)【発明者】
【氏名】内田 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 正博
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA06
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA20
5E555BA31
5E555BB05
5E555BB06
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5E555BB31
5E555BC08
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5E555CB51
5E555CC03
5E555DA01
5E555DB06
5E555DC19
5E555DC60
5E555DC63
5E555DC72
5E555FA14
(57)【要約】
【課題】GUIボタンの選択状況が分かり易い入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置は、操作面を通じて視認可能な少なくとも1つのGUIボタン111の画像を表示する表示部と、操作面に対向する指の中心位置FT1と、操作面から指までの距離とを検出する検出部と、検出部の出力に基づき、表示部が表示する画像を制御するとともに、GUIボタンに対する入力の有無を判断する制御部とを含み、制御部は、指の中心位置に基づき、表示部の指と対向する位置にカーソル112の画像を表示させ、操作面と指との間の距離に応じてカーソルの大きさを変更し、指の中心位置に基づいて、少なくとも1つのGUIボタンのうちの選択されたGUIボタンを特定し、カーソルの中心位置を指の中心位置に一致させると、選択されたGUIボタンがカーソルからはみ出る場合は、カーソルの中心位置を指の中心位置からずらして選択されたGUIボタンをカーソルで囲う。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を有するトップパネルと、
前記操作面を通じて視認可能な少なくとも1つのGUIボタンの画像を表示する表示部と、
前記操作面に対向する指の中心位置と、前記操作面から前記指までの距離とを検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づき、前記表示部が表示する画像を制御するとともに、前記GUIボタンに対する入力の有無を判断する制御部と
を含み、
前記制御部は、
前記指の中心位置に基づき、前記表示部の前記指と対向する位置にカーソルの画像を表示させ、
前記操作面と前記指との間の距離に応じて前記カーソルの大きさを変更し、
前記指の中心位置に基づいて、前記少なくとも1つのGUIボタンのうちの選択されたGUIボタンを特定し、
前記カーソルの中心位置を前記指の中心位置に一致させると、前記選択されたGUIボタンが前記カーソルからはみ出る場合は、前記カーソルの中心位置を前記指の中心位置からずらして、前記選択されたGUIボタンを前記カーソルで囲う、入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記指の中心位置と、前記選択されたGUIボタンの中心位置との間の距離がカーソル固定閾値を超えると、前記カーソルに前記GUIボタンが内接するように、前記カーソルの中心位置を前記指の中心位置からずらす、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記表示部は、複数の前記GUIボタンを表示し、
前記制御部は、前記複数のGUIボタンのいずれも選択されていないときに、前記指の中心位置と、前記複数のGUIボタンの中心位置との間の距離のうち、選択円閾値未満の距離に対応する前記GUIボタンに選択円を重ねて表示する、請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記GUIボタンが選択された後に、前記指の中心位置と前記選択されたGUIボタンの中心との間の距離が前記選択円閾値よりも大きいカーソル移動閾値を超えると、前記GUIボタンの選択を解除する、請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記操作面に沿って設けられた電極によって、前記指と前記電極との間の静電容量を検出し、
前記カーソルの大きさは、前記静電容量の大きさに反比例する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記静電容量が選択閾値以上の場合に、前記指の中心位置に基づいて、前記少なくとも1つのGUIボタンのうちの選択されたGUIボタンを特定し、
前記静電容量が、前記選択閾値よりも大きな確定閾値以上になると、前記GUIボタンの大きさと、前記カーソルと大きさとを一致させて、前記カーソルに前記GUIボタンを重ねて前記表示部に表示させる、請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記静電容量が前記確定閾値以上の状態が所定時間継続すると、入力を確定する、請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記表示部は、複数の前記GUIボタンを表示し、
前記制御部は、前記カーソルを、前記選択されているGUIボタンよりも背面側に描画するとともに、前記カーソルを前記選択されているGUIボタン以外のGUIボタンよりも前面側に描画する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記カーソルの形状は凸図形である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記カーソルの形状は円形である、請求項9に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作体によるタッチ入力およびホバー入力可能なタッチパネルと、複数の選択項目を表示可能な表示装置とを備えた入力装置であって、前記ホバー入力によって選択された選択項目を強調表示する表示制御部と、前記複数の選択項目のうちのいずれか一の選択項目がホバー入力によって選択されている状態の継続時間が所定時間に達した場合、当該一の選択項目の選択を確定する確定部とを備え、前記確定部は、前記継続時間が前記所定時間に達する前に、前記一の選択項目に対する前記タッチ入力が検出された場合、当該一の選択項目の選択を確定することを特徴とする入力装置がある。また、前記表示制御部は、前記ホバー入力が行われているときに、前記操作体から前記タッチパネルの操作面までの距離を表す操作枠を、前記表示装置に表示させる。前記表示制御部は、前記操作体から前記タッチパネルの操作面までの距離が近くなるにつれて、サイズが小さくなる操作枠を、前記表示装置に表示させ、前記確定部は、前記操作枠の枠内に含まれている選択項目が1つになったとき、当該選択項目の選択を確定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の入力装置の操作枠はカーソルのように表示され、選択項目はGUI(Graphic User Interface)によって表示される入力キー(GUIボタン)である。特許文献1の実施形態では、入力キーの間隔が指の大きさに対して十分大きいので、選択される入力キーが分かり易い。この為、特許文献1の実施形態では、選択された入力キーを分かり易くするために特段の工夫をしていない。
【0005】
本発明では、GUIボタンの間隔が狭くても、選択されているGUIボタンが分かり易い入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の入力装置は、操作面を有するトップパネルと、前記操作面を通じて視認可能な少なくとも1つのGUIボタンの画像を表示する表示部と、前記操作面に対向する指の中心位置と、前記操作面から前記指までの距離とを検出する検出部と、前記検出部の出力に基づき、前記表示部が表示する画像を制御するとともに、前記GUIボタンに対する入力の有無を判断する制御部とを含み、前記制御部は、前記指の中心位置に基づき、前記表示部の前記指と対向する位置にカーソルの画像を表示させ、前記操作面と前記指との間の距離に応じて前記カーソルの大きさを変更し、前記指の中心位置に基づいて、前記少なくとも1つのGUIボタンのうちの選択されたGUIボタンを特定し、前記カーソルの中心位置を前記指の中心位置に一致させると、前記選択されたGUIボタンが前記カーソルからはみ出る場合は、前記カーソルの中心位置を前記指の中心位置からずらして、前記選択されたGUIボタンを前記カーソルで囲う。
【発明の効果】
【0007】
GUIボタンの選択状況が分かり易い入力装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の入力装置100の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態の入力装置100の構成の一例を示す図である。
【
図3】入力装置100の静電センサ120及び制御装置130の構成の一例を示す図である。
【
図4A】GUIボタン111、選択円111A、カーソル112、及び、XY座標での閾値の範囲を説明する図である。
【
図4B】GUIボタン111の中心と指先FTの位置を示す図である。
【
図5A】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図5B】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図5C】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6A】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6B】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6C】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6D】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6E】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6F】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図6G】選択時の動作を時系列的に説明する図である。
【
図7】選択したGUIボタン111についてのホバー入力を確定させた状態の入力装置100を示す図である。
【
図8】入力装置100の制御装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【
図9】入力装置100の制御装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1及び
図2は、実施形態の入力装置100の構成の一例を示す図である。
図1は、入力装置100が動作状態であり、表示装置110が入力用画像を表示している状態を示す。
図2は、入力装置100が待機状態であり、表示装置110が待機画像を表示している状態を示す。待機状態では、表示装置110は全体的にグレーに表示され、消費電力が少ない状態である。
図3は、入力装置100の静電センサ120及び制御装置130の構成の一例を示す図である。表示装置110は表示部の一例であり、静電センサ120は検出部の一例であり、制御装置130は制御部の一例である。
【0011】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、以下では、-Z方向を静電センサ120に近づく方向、+Z方向を静電センサ120から離れる方向として説明する。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。
【0012】
入力装置100は、筐体101、表示装置110、静電センサ120、及び制御装置130を含む。
図1及び
図2では制御装置130(
図3参照)を省略するが、制御装置130は、一例として筐体101の内部で表示装置110及び静電センサ120の下側に設けられる。入力装置100は、
図3に示す静電センサ120及び制御装置130を含む。
【0013】
筐体101は、表示装置110、静電センサ120、及び制御装置130を収容する樹脂製又は金属製等のケースである。表示装置110は、一例として透明な静電センサ120の下側に配置され、筐体101の上部にある開口部に設けられる透明なトップパネル105の上面である操作面105Aを介して視認可能である。
【0014】
入力装置100は、指先を入力装置100の操作面105Aに触れることなく、操作面105Aに対して指先を非接触で近づけた状態で操作可能である。入力装置100は、操作面105Aに接触していない指先の位置(XY座標における位置と操作面105AからのZ方向の位置)を検出して、非接触での操作入力を受け付ける。
【0015】
詳細は後述するが、入力装置100が静電センサ120を用いて検出する指先のXY座標での位置は、一例として、指先FTが存在する領域内において最も静電容量が大きいXY座標である。また、入力装置100が静電センサ120を用いて検出する指先のZ方向の位置は、静電センサ120によって検出される静電容量と反比例する値であるため、指先のZ方向の位置を求めることと、指先FTと静電センサ120との間の静電容量を求めることは同義である。入力装置100は、一例として、指先FTのZ方向の位置を、指先FTと静電センサ120との間の静電容量で判定するが、以下では、指先FTのZ方向の位置として説明した方が分かり易い場合には、指先FTのZ方向の位置として説明する。
【0016】
非接触での操作入力とは、指先で操作面105Aに触れずに、指先で入力装置100を操作することである。非接触での操作入力をホバー入力又はタッチレス入力と称してもよい。また、入力装置100は、操作面105Aに接触した指先の位置を検出して操作入力を受け付けることもできる。操作面105Aに接触して行う操作入力をタッチ入力と称してもよい。
【0017】
入力装置100は、非接触での操作入力(ホバー入力又はタッチレス入力)と、接触して行う操作入力(タッチ入力)とのどちらでも同様に操作入力を行うことが可能であるが、以下では、一例として、非接触での操作入力を行う形態について説明する。また、以下では非接触での操作入力をホバー入力と称す。
【0018】
入力装置100は、例えば、店舗や施設等に配置され不特定多数の利用者が利用するタブレット型の入力装置やATM(Automatic Teller Machine)の入力部であってよい。また、清潔な状態を保つ必要のある調理用電化製品の入力部であってもよい。また、入力装置100は、個人で利用するタブレットコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機等であってもよい。
【0019】
表示装置110は、一例として液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。表示装置110は、GUI(Graphic User Interface)を実現するための表示である。表示装置110は、GUIボタン111の画像と、カーソルと、入力内容を表示する入力内容表示部115の画像とを表示する。GUIボタン111は、一例として平面視でマトリクス状に配置される。また、GUIボタン111は、一例として押しボタンを模した円形である。なお、カーソルについては
図4Aを用いて後述する。
【0020】
図1乃至3には、一例としてアルファベットの26個のGUIボタン111と、数字などのテンキー形式の15個のGUIボタン111と、メニューキー(左上の三本線のキー)、Caps Lockキー、バックスペースキー(右上)、及びエンターキー(左下)の4個のGUIボタン111との合計45個のGUIボタン111を示す。45個のGUIボタン111は、Y方向に5行、X方向に11行にわたって配列されている。行はX方向に延在し、Yは列方向に延在する。なお、GUIボタン111は、アルファベットやテンキー用の数字等に限らず、他の言語の文字や記号等であってもよい。
【0021】
静電センサ120は、表示装置110の上に重ねて配置され、
図3に示すように、X方向に延在する複数のセンサ電極121Xと、Y方向に延在する複数のセンサ電極121Yとを有する。センサ電極121X、121Yは、検出部の電極の一例であり、配線122X、122Yを介して制御装置130にそれぞれ接続されている。このような静電センサ120は、一例として透明ガラスの表面にITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜を形成し、センサ電極121X、121Y及び配線122X、122Yにパターニングしたものを用いることができる。静電センサ120の静電容量は、制御装置130に入力される。
【0022】
図3には、一例として複数のセンサ電極121X及び複数のセンサ電極121Yを示す。センサ電極121X同士の間隔及びセンサ電極121Yの同士の間隔は、GUIボタン111同士の間隔より狭い。
【0023】
複数のセンサ電極121Xは1行ずつ走査されるとともに、複数のセンサ電極121Yは1列ずつ走査され、AD変換部132は、複数のセンサ電極121Xと複数のセンサ電極121Yとの複数の交点における静電容量をデジタル値に変換する。カウンタ133は、AD変換部132の出力の変化分をカウントし、各交点における差分値ΔADを出力する。なお、補間法により、センサ電極121X同士の間隔や、センサ電極121Y同士の間隔より、分解能を高めることも可能である。この場合、GUIボタン111同士の間隔より、センサ電極121X同士の間隔及びセンサ電極121Yの同士の間隔が広くてもよい。また、図示を省略するが、補間法を用いる場合、GUIボタン111と、GUIボタン111と同程度の大きさのセンサ電極とが1対1で対応する形態でもよい。
【0024】
制御装置130は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0025】
制御装置130は、主制御部131、AD(Analog to Digital)変換部132、カウンタ133、判定部134、動作制御部135、表示制御部136、及びメモリ137を有する。主制御部131、AD変換部132、カウンタ133、判定部134、動作制御部135、及び表示制御部136は、制御装置130が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ137は、制御装置130のメモリを機能的に表したものである。
【0026】
主制御部131は、制御装置130の処理を統括する処理部であり、AD変換部132、カウンタ133、判定部134、動作制御部135、及び表示制御部136が実行する処理以外の処理を実行する。例えば、主制御部131は、複数のセンサ電極121Xと複数のセンサ電極121Yとの走査を行う。
【0027】
AD変換部132は、静電センサ120の出力をデジタル値に変換する。AD変換部132の出力は、静電センサ120のセンサ電極121X及び121Yの各交点の静電容量の検出値である。カウンタ133は、AD変換部132の出力の基準値に対する差分値をカウントして出力する。差分値は、出力の基準値に対する変化分のカウント値である。以下、差分値ΔADと記す。基準値は、センサ電極121X及び121Yの周辺に指が無い場合におけるセンサ電極121X及び121Yの各交点の静電容量である。差分値ΔADは、センサ電極121X及び121Yの各交点と指の間の静電容量である。
【0028】
差分値ΔADは、各交点について得られる。AD変換部132は、センサ電極121X及び121Yの各交点の静電容量をデジタル値に変換し、カウンタ133は、AD変換部132の出力の基準値に対する変化分をカウントし、各交点についての差分値ΔADを出力する。
【0029】
判定部134は、カウンタ133から出力される差分値ΔADに基づいて、操作面105Aに対して非接触の状態における指先のXY座標における位置と、指先の操作面105AからのZ方向の位置とを判定する。入力装置100では、判定部134は、指先の先端の位置(XY座標における位置とZ方向の位置)を利用者が行うホバー入力の位置として判定する。判定部134が実行する判定方法については、フローチャートを用いて後述する。
【0030】
動作制御部135は、判定部134によって判定されたホバー入力の位置に基づいて、入力装置100の動作を制御する。表示制御部136は、判定部134によって判定されたホバー入力の位置に基づいて表示装置110の表示を制御する。メモリ137は、主制御部131、判定部134、動作制御部135、及び表示制御部136が処理を実行する際に用いるプログラムやデータ等を格納する。また、メモリ137は、センサ電極121X及び121Yの行数と列数とを表すデータを格納する。
【0031】
<カーソル112とXY座標での閾値>
図4Aは、GUIボタン111、選択円111A、カーソル112、及び、XY座標での閾値の範囲を説明する図である。
図4Aには、アルファベットのGとHのGUIボタン111、指先FTの位置、選択円111A、カーソル112、及び、閾値で定められる円形の範囲を示す。
【0032】
指先FTの位置を十字と円を合わせた記号(以下、十字型の記号と称す)で示す。指先FTの位置は、操作面105Aに対して+Z方向側から真っ直ぐに伸ばした指の先端の位置であり、十字型の記号の交点は、静電センサ120の出力に基づいて制御装置130によって検出されるXY座標における指先FTの位置を表す。指先FTの位置を表すXY座標は、一例として、指先FTが存在する領域内において最も静電容量が大きいXY座標である。ノイズの影響を除くため、一例として、X軸における静電容量の分布から最小二乗法で近似した放物線の頂点をX座標にするとともに、Y軸における静電容量の分布から最小二乗法で近似した放物線の頂点をY座標にしている。このようにして求める指先FTの位置は、指の中心位置の一例である。以下では、十字型の記号の交点の位置をXY座標における指先FTの位置として説明する。
【0033】
ここでは、一例として、XY座標における指先FTの位置がGのGUIボタン111の内部にあることでGのGUIボタン111が選択されている。指先FTはGのGUIボタン111を選択可能なほど十分に操作面105Aに近接していることとし、
図4Aでは指先FTのXY座標における位置との関係でカーソル112の位置や閾値の範囲について説明する。
【0034】
選択されているGUIボタン111の内部の全体には、選択円111Aが表示される。
図4Aでは選択円111Aを濃いグレーで示す。選択円111Aは、選択されているGUIボタン111を選択されていないGUIボタン111と視覚的に区別可能なように目立たせる(強調する)ための強調表示であり、一例としてGUIボタン111の全体に重ねて表示される。
【0035】
ここでは、GUIボタン111が円形であるため、選択円111Aも円形である。GUIボタン111が円形以外の形状である場合は、選択円111Aの代わりに、選択されているGUIボタン111を強調する同様の形状の強調表示を用いればよい。また、選択円111Aの代わりに、選択されているGUIボタン111の一部分を強調する強調表示を用いてもよい。また、選択円111Aを表示する代わりに、選択されているGUIボタン111の点滅させること等によって目立たせてもよい。
【0036】
また、カーソル112は円形である。カーソル112の形状は凸図形であればよいが、ここでは円形である形態について説明する。カーソル112の形状を凸図形にするのは、選択されているGUIボタン111がカーソル112からはみ出ているか判断し易いからである。また、カーソル112の形状は円形であれば、選択されているGUIボタン111がカーソル112からはみ出ているか、より容易に判断することができる。
【0037】
また、カーソル112の大きさは、指先FTと操作面105Aとの間の距離に比例する。換言すれば、カーソル112の大きさは、静電センサ120によって検出される静電容量の大きさに反比例する。しかしながら、ここでは指先FTの操作面105Aに対するZ方向の位置は、GのGUIボタン111を選択可能なほど十分に操作面105Aに近接した状態で一定であることとして説明する。なお、指先FTと操作面105Aとの位置関係による選択及び確定の有無等については、
図6A乃至
図6Gを用いて後述する。
【0038】
図4Aでは、GのGUIボタン111が選択されていて選択円111Aが重ねて表示されているため濃いグレーで示す。薄いグレーで示すカーソル112はGのGUIボタン111を囲んでいる。一例として、GUIボタン111は透明であり、選択円111Aは半透明であり、GUIボタン111の画像は、選択円111Aの画像の前面側に表示される。また、選択円111Aの画像は、カーソル112の画像よりも前面側に表示されている。
【0039】
GUIボタン111の画像が選択円111Aの画像の前面側に表示されるとは、GUIボタン111の画像が選択円111Aの画像の上に重ねて表示されることをいう。前面側とは表示装置110の表示が視認される側である。換言すれば、選択円111Aの画像は、GUIボタン111の画像の背面側に表示される。背面側とは前面側の反対側であり、表示の奥側であることをいう。
【0040】
また、選択円111Aがカーソル112よりも前面側に表示されるとは、選択円111Aとカーソル112とが重なる部分については、選択円111Aがカーソル112の上に表示されることをいう。換言すれば、選択円111Aとカーソル112とが重なる部分については、カーソル112は、選択円111Aの背面側に位置する。
【0041】
また、HのGUIボタン111は、非選択の状態であるため白抜きで示すとともに、カーソル112と重なる部分については、カーソル112の背面側に示す。このため、前面側から背面側にかけて、選択されているGUIボタン111の画像、選択円111Aの画像、カーソル112の画像、及び非選択のGUIボタン111の画像の順に表示される。
【0042】
なお、実際にはカラーで表示可能であるため、例えば、選択円111Aを黄色等の目立つ色で示し、カーソル112を選択円111Aよりも目立たない青等の色で示し、選択されていないGUIボタン111は、白や薄いグレー等のGUIボタン111以外の部分との境界が分かり易い色で表示すればよい。GUIボタン111の画像は透明であるため、背面側の選択円111Aの色を透過し、選択円111Aの色で表示される。
【0043】
また、
図4Aには、選択されているGのGUIボタン111の内側にカーソル固定閾値THAの範囲を破線で示し、GとHのGUIボタン111の少し外側に選択円閾値THBの範囲を一点鎖線で示し、選択されているGのGUIボタン111の外側にカーソル移動閾値THCの範囲を二点鎖線で示す。カーソル固定閾値THAの範囲、選択円閾値THBの範囲、及びカーソル移動閾値THCの範囲は、選択されているGのGUIボタン111の中心を中心とする、半径ra、rb、rcの円でそれぞれ囲まれる範囲である。カーソル固定閾値THA、選択円閾値THB、及びカーソル移動閾値THCは、選択されているGのGUIボタン111の中心からの半径(距離)ra、rb、rcを表す。このため、カーソル固定閾値THA、選択円閾値THB、及びカーソル移動閾値THCは、XY座標での閾値を表す。なお、半径(距離)ra、rb、rcは一定値である。
【0044】
なお、ここでは、GのGUIボタン111が選択されている場合について説明するため、GのGUIボタン111の内側にカーソル固定閾値THAの範囲を示すとともに、外側にカーソル移動閾値THCの範囲を二点鎖線で示すが、G以外のGUIボタン111が選択された場合には、同様にカーソル固定閾値THA及びカーソル移動閾値THCの範囲が設けられる。
【0045】
また、選択円閾値THBは、すべてのGUIボタン111について設定される閾値であるため、
図4Aでは、選択円閾値THBの範囲をGとHのGUIボタン111の少し外側に示すが、実際には、一例として選択円閾値THBの範囲は、GとHのGUIボタン111の表示領域と等しい。これは、GとHのGUIボタン111以外のGUIボタン111についても同様である。なお、指先FTの位置、カーソル固定閾値THAの範囲、選択円閾値THBの範囲、及びカーソル移動閾値THCの範囲は、表示装置110に表示されるものではなく、
図4Aでは説明のために示している。以下で説明に用いる他の図においても同様である。
【0046】
カーソル固定閾値THAは、選択されたGUIボタン111を含むようにカーソル112の位置を固定するための閾値(半径ra)である。カーソル固定閾値THAは、選択されたGUIボタン111の内部で指先FTの位置がカーソル固定閾値THAの範囲内にある場合には、カーソル112の中心を指先FTの中心と一致させるために設けられている。すなわち、選択されたGUIボタン111の内部のカーソル固定閾値THA内で指先FTの位置が移動すると、指先FTのXY座標での位置に、カーソル112の中心の位置を一致させる。
【0047】
選択円閾値THBは、いずれのGUIボタン111も選択されていない状態で、指先FTの位置が選択円閾値THBの範囲内に入ると、そのGUIボタン111を選択するために設けられている。すなわち、指先FTのXY座標での位置と、GUIボタン111の中心との間の距離Dが半径rb以下(D≦rb)であれば、そのGUIボタン111は選択されたことになる。
【0048】
カーソル移動閾値THCは、選択されたGUIボタン111の選択を解除するために設けられている。例えば、指先FTが、GのGUIボタン111のカーソル移動閾値THCの範囲外であって、Hの選択円閾値THB内に移動すれば、HのGUIボタン111が選択される。また、指先FTが、GのGUIボタン111のカーソル移動閾値THCの範囲外であって、全てのGUIボタン111の選択円閾値THBの範囲外であれば、何れのGUIボタン111も選択されない。何れのGUIボタン111も選択されない場合、指先FTの中心にカーソル112の中心を一致させる。
【0049】
カーソル移動閾値THCの範囲は、GUIボタン111よりも外側まで延在するため、指先FTの位置がGUIボタン111の外側に移動しても、カーソル移動閾値THCの範囲内であれば、GUIボタン111が選択された状態は保持される。
【0050】
ただし、選択されたGUIボタン111がカーソル112からはみ出ると、選択されていることが分かり難くなるため、指先FTの位置がカーソル固定閾値THAの範囲を超えると、カーソル112は、カーソル112の中心を指先FTの位置からずらして、選択されたGUIボタン111をカーソル112で囲い、かつ、カーソル112の円にGUIボタン111の円が内接するように表示される。指先FTの位置がカーソル固定閾値THAの範囲を超えた状態で指先FTの位置を中心にしてカーソル112を移動させると、選択されているGUIボタン111がカーソル112からはみ出し、そのGUIボタン111が選択されていることが視覚的に分かり難くなるおそれがあるからである。
【0051】
すなわち、指先FTの位置がカーソル固定閾値THAの範囲を超えた場合には、カーソル112の中心位置を指先FTの位置に一致させると、選択されたGUIボタン111がカーソル112からはみ出るため、カーソル112は、カーソル112の中心を指先FTの位置からずらして、選択されたGUIボタン111をカーソル112で囲い、かつ、カーソル112の円にGUIボタン111の円が内接するように表示される。
【0052】
このように、指先FTの位置がカーソル固定閾値THAの範囲外にあっても、指先FTのXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離Dがrc以下(D≦rc)であれば、GUIボタン111が選択されている状態は保持される。そして、このときに、指先FTの位置に応じて、カーソル112の円にGUIボタン111の円が内接するように、カーソル112の中心を指先FTの位置からGUIボタン111の中心側にずらす。この動作については、
図5A乃至
図5Cを用いて後述する。
【0053】
<GUIボタン111の中心と指先FTの位置>
図4Bは、GUIボタン111の中心と指先FTの位置を示す図である。
図4に示すGUIボタン111は選択されているため選択円111Aが重ねて表示されている。
図4Bでは、GUIボタン111に表示されるアルファベット等を省略する。
【0054】
選択されたGUIボタン111の中心の座標は(xs,ys)であり、指先FTの位置のXY座標は(xf,yf)である。
図4Bには、選択されたGUIボタン111の中心と指先FTの位置とを結ぶ半直線を破線で示す。選択されたGUIボタン111の中心と、指先FTのXY座標での位置との間の距離Dは、座標(xs,ys)の点と、座標(xf,yf)の点との間の距離であり、次式(1)で表される。
D={(xs-xf)
2+(ys-yf)
2}
1/2 (1)
【0055】
<選択時の動作>
図5A乃至
図5Cは、選択時の動作を時系列的に説明する図である。
図5A乃至
図5Cには、アルファベットのA~D、F~I、及びK~Nについての12個のGUIボタン111を示す。また、
図5AではGのGUIボタン111が選択されていることとして、GのGUIボタン111に重ねて選択円111Aを示すとともに、GのGUIボタン111を囲むカーソル移動閾値THCの範囲を示す。
図5Aに示す状態から、時間の経過に伴って、
図5B、
図5Cに示す状態に遷移する。なお、
図5A乃至
図5Cでは、非選択のGUIボタン111を白く示す。
【0056】
図5Aには、指先の位置がFT1からFT2に移動したときのカーソル112を示す。位置FT1はGUIボタン111の中心に近いが、位置FT2はカーソル移動閾値THCの外縁のすぐ手前である。指先が位置FT1から位置FT2まで移動した状態では、指先FTの位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離はrc以下であり、GUIボタン111が選択されている状態は保持されるが、カーソル112にGUIボタン111が内接するように、カーソル112の中心位置が指先の位置FTからGUIボタン111の中心側にずらされている。
【0057】
図5Bでは、指先の位置が
図5Aに示すFT2よりも、さらに+X方向側の位置FT3に移動している。位置FT3は、GのGUIボタン111についてのカーソル移動閾値THCの範囲の外側にあるため、GのGUIボタン111の選択は解除される。また、位置FT3は、HのGUIボタン111の選択円閾値THBの範囲内にあるため、HのGUIボタン111が選択される。このため、選択円111AはHのGUIボタン111に重ねて表示され、カーソル112はHのGUIボタン111を囲んでいる。ここでは、GのGUIボタン111の選択の解除を説明するために、HのGUIボタン111についてのカーソル移動閾値THCの範囲を省略する。
【0058】
図5Cでは、カーソル移動閾値THCの範囲をHのGUIボタン111の周囲に示す。これは、
図5BにおいてHのGUIボタン111が選択されたからである。
図5Cには指先FTの位置を示さないが、HのGUIボタン111についてのカーソル移動閾値THCの範囲内にある限りは、HのGUIボタン111が選択された状態が保持され、HのGUIボタン111を囲むカーソル112が表示される。
【0059】
<確定時の動作>
図6A乃至
図6Gは、選択時の動作を時系列的に説明する図である。
図6A乃至
図6Gの上側には、操作面105Aに対する手10の指先FTの位置、表示装置110及び静電センサ120の断面、選択閾値TH1及び確定閾値TH2を示す。
図6A乃至
図6Gの下側には、操作面105A、アルファベットのA~C、F~H、及びK~Mの9個のGUIボタン111、選択円111A、指先FTの位置、カーソル112、及び円環インジケータ113を示す。
【0060】
<選択閾値TH1及び確定閾値TH2>
選択閾値TH1及び確定閾値TH2は、制御装置130が操作面105Aに対する指先FTの位置を静電センサ120の静電容量に基づいて判定する際に用いる閾値であり、
図6A乃至
図6Gでは、選択閾値TH1及び確定閾値TH2を視覚的に認識できるように、選択閾値TH1及び確定閾値TH2の静電容量に応じた操作面105Aからの距離の位置に示す。確定閾値TH2は選択閾値TH1よりも大きい静電容量を表すため、確定閾値TH2に相当する破線は選択閾値TH1に相当する破線よりも操作面105Aに近い。
【0061】
選択閾値TH1は、ホバー入力によってGUIボタン111が選択されたかどうかを判定する際に用いられる。確定閾値TH2は、選択されたGUIボタン111の選択がホバー入力によって確定してよいかどうかを判定する際に用いられる。
【0062】
以下では、選択閾値TH1に相当する破線の操作面105Aからの垂直方向の位置を選択閾値TH1の位置と称し、確定閾値TH2に相当する破線の操作面105Aからの垂直方向の位置を確定閾値TH2の位置と称す。
【0063】
指先FTが選択閾値TH1の位置よりも操作面105Aから離れているときには、静電センサ120のすべての交点の静電容量は選択閾値TH1未満である。指先FTが操作面105Aに近づき、選択閾値TH1の位置に到達すると、指先FTに最も近い交点の静電容量は選択閾値TH1に等しくなる。また、指先FTが選択閾値TH1の位置よりも操作面105Aに近づくと、指先FTに最も近い交点の静電容量は選択閾値TH1よりも大きくなる。なお、選択閾値TH1の位置は、一例として操作面105Aから約3cmである。
【0064】
指先FTがいずれかのGUIボタン111を操作するために操作面105Aに近づき、選択閾値TH1の位置に到達すると、指先FTの位置を含むGUIボタン111が選択され、選択されたGUIボタン111の内部に選択円111Aが表示されるとともに、選択されたGUIボタン111を囲むようにカーソル112が表示される。カーソル112の直径は、静電容量の大きさに反比例するため、指先FTを操作面105Aに近づけるとカーソル112は小さくなる。これにより、利用者は指先FTが操作面105Aに近づいていることを視覚で認識することができる。
【0065】
なお、指先FTが操作面105Aに近づいて選択閾値TH1の位置に到達したときに、指先FTの位置を含むGUIボタン111が存在しない場合は、いずれのGUIボタン111も選択されず、指先FTの位置を中心とするカーソル112が表示される。カーソル112の直径は、静電容量の大きさに反比例する。
【0066】
確定閾値TH2についても同様である。指先FTが確定閾値TH2の位置よりも操作面105Aから離れているときには、すべての交点の静電容量は確定閾値TH2未満である。指先FTが操作面105Aに近づき、確定閾値TH2の位置に到達すると、指先FTに最も近い交点の静電容量は確定閾値TH2に等しくなる。また、指先FTが確定閾値TH2の位置よりも操作面105Aに近くなると、指先FTに最も近い交点の静電容量は確定閾値TH2よりも大きくなる。なお、確定閾値TH2の位置は、一例として操作面105Aから約1cmである。
【0067】
また、いずれかのGUIボタン111が選択された状態で、指先FTの位置が確定閾値TH2の位置に到達すると、選択されているGUIボタン111への入力を確定させる確定操作が行われている状態になる。確定操作が行われている状態では、カーソル112はGUIボタン111と等しい大きさになってGUIボタン111の背面側に隠れて非表示になるとともに、円環インジケータ113が表示される。確定操作が行われている時間が所定時間以上になると、円環インジケータ113が非表示になるとともに、GUIボタン111が凹んだ表示になり、選択されているGUIボタン111への入力が確定する。利用者は、円環インジケータ113が非表示になってGUIボタン111が凹んだ表示になることによって、入力が確定したことを視覚で認識することができる。
【0068】
<円環インジケータ113>
円環インジケータ113は、選択されているGUIボタン111の外縁に沿って、GUIボタン111の前面側に重ねて表示される円環状のインジケータであり、ホバー入力によって指先FTの位置が確定閾値TH2の位置に到達すると描画され始める。指先FTの位置が確定閾値TH2の位置に到達すると、GUIボタン111の選択を確定させる確定操作が行われている状態になる。なお、このとき、カーソル112はGUIボタン111と等しい大きさになってGUIボタン111の背面側に隠れるため、表示されなくなる。
【0069】
円環インジケータ113は、確定操作が開始してからの経過時間(継続時間)と、確定操作が完了するまでの残り時間とを表す。ここではホバー入力を行う際の動作について説明するが、タッチ入力を行うと指先FTの位置が確定閾値TH2の位置よりも操作面105Aに近くなるため、同様に円環インジケータ113が表示される。または、タッチ入力を行うと円環インジケータ113を表示せず、即座に入力を確定してもよい。
【0070】
円環インジケータ113は、ホバー入力が行われている間に平面視で12時の方向(最上部側)から時計回りに円環状に伸び進み、ホバー入力が確定すると円環状になるインジケータである。
【0071】
<
図6A乃至
図6Gに示す動作の説明>
図6Aでは、指先FTがZ方向では選択閾値TH1の位置に到達している。そして、指先FTのXY座標での位置がすべてのGUIボタン111の外部にあるため、指先FTの位置を中心とするカーソル112が表示される。
【0072】
図6Bでは、
図6Aの状態から指先FTのZ方向の位置が変わらずに、指先FTのXY座標での位置が移動してGのGUIボタン111の内部に位置しているため、GのGUIボタン111に重ねて選択円111Aが表示されている。また、このときに、指先FTの位置はカーソル固定閾値THAの範囲(図示せず)の内部にあるため、カーソル112は選択円111Aを囲むように表示され、カーソル112の円はGUIボタン111の円には内接していない。カーソル112の中心は、指先FTのXY座標での位置と一致している。
【0073】
図6Cでは、
図6Bの状態から指先FTが操作面105Aに近づくとともに、指先FTのXY座標での位置がGのGUIボタン111の外側に移動しているが、指先FTのXY座標の位置は、GのGUIボタン111についてのカーソル移動閾値THCの範囲内であるためGのGUIボタン111が選択された状態が保持されている。また、指先FTの位置はカーソル固定閾値THAの範囲(図示せず)を超えているため、カーソル112の円にGのGUIボタン111の円が内接するように、カーソル112の中心は、指先FTのXY座標の位置よりもGのGUIボタン111の中心に向かってずらされている。このように、指先FTのXY座標の位置がGUIボタン111の内部に一度に入ると、カーソル移動閾値THCの範囲を超えない限り、同一のGUIボタン111が選択され続ける。
【0074】
図6Dでは、指先FTのXY座標での位置がカーソル移動閾値THCの範囲内にあり、かつ、指先FTのZ方向の位置が確定閾値TH2に到達している。
図6Cで示したカーソル112は、指先FTを操作面105Aに近づけるにつれて直径が小さくなり、指先FTのZ方向の位置が確定閾値TH2に到達した時点で非表示の状態になる。また、確定操作が行われているため、円環インジケータ113の描画が始まっている。
【0075】
図6Eでは、指先FTのXY座標での位置がカーソル移動閾値THCの範囲(図示せず)の内部にあり、かつ、指先FTのZ方向の位置が確定閾値TH2に到達している状態が継続している。尚、指先FTのXY座標での位置がGUIボタン111の外側だが、前述した通り、GUIボタン111が選択されると、指先FTのXY座標での位置がカーソル移動閾値THCの範囲内にあれば、同一のGUIボタン111が選択され続ける。
図6Dに示す状態から引き続き確定操作が行われており、円環インジケータ113が約2/3周に到達した状態である。
【0076】
図6Fでは、
図6Eに比べると指先FTの位置が少し操作面105Aかた遠ざかっているが、指先FTのXY座標での位置はGUIボタン111の外側でカーソル移動閾値THCの範囲(図示せず)の内部にあり、かつ、指先FTのZ方向の位置は確定閾値TH2に到達している状態である。
図6D及び
図6Eに示す状態から引き続き確定操作が行われており、円環インジケータ113が約1周に到達する直前の状態である。
【0077】
図6Gでは、
図6Fに示す状態の直後で円環インジケータ113が約1周に到達し、GのGUIボタン111に重ねて表示される選択円111Aが凹んでいる画像になり、入力が確定した状態である。ここには円環インジケータ113が約1周に到達した状態を示さないが、円環インジケータ113が約1周に到達すると、入力が確定したことを示すために、
図6Gに示すようにGのGUIボタン111に重ねて表示される選択円111Aは凹んでいる画像に切り替えられる。凹んでいる画像は、GUIボタン111が奥側に押圧されて変形している状態を表す。
【0078】
GUIボタン111が凹んでいる状態は、一例として、+Y方向側かつ-X方向側から光が照射されて、凹んだ状態のGUIボタン111の+Y方向側かつ-X方向側に影ができ、-Y方向側かつ+X方向側に光が当たっている状態を描画することによってGUIボタン111が凹んでいる状態を示すものである。
【0079】
<入力装置100の全体での表示>
図7は、選択したGUIボタン111についてのホバー入力を確定させた状態の入力装置100を示す図である。
図7は、GのGUIボタン111についてのホバー入力が確定した状態を示し、
図1に示す状態と比べて、GのGUIボタン111に重ねて表示される選択円111Aが凹んだ状態の画像に変わっているとともに、入力内容表示部115にアルファベットのGが表示されている。
図7には、GのGUIボタン111を拡大して示す。入力装置100の表示装置110に表示される45個のGUIボタン111の中で、GのGUIボタン111のみが凹んだ状態の画像になっているため、利用者はGのGUIボタン111の入力が確定したことを視覚的に認識することができる。
【0080】
<フローチャート>
図8及び
図9は、入力装置100の制御装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
図8及び
図9に示すフローは、図示せぬアプリケーションソフトに呼び出されて実行される。アプリケーションソフトが入力待ちの状態であれば、
図8及び
図9に示すフローは、StartからEndまで所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0081】
制御装置130が処理を開始(Start)すると、判定部134は、指先FTのXY座標での位置(xf,yf)と、指先FTの静電容量とを検出する(ステップS1)。指先FTの静電容量は、指先FTのZ方向の位置に相当する。
【0082】
動作制御部135は、指先FTの静電容量が近接閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS2)。近接閾値とは、
図2に示す待機状態と、
図1に示す動作状態のどちらにするかを判定する閾値である。近接閾値が表す静電容量は、選択閾値TH1よりも小さい。
【0083】
動作制御部135は、指先FTの静電容量が近接閾値よりも大きい(S2:Yes)と判定すると、表示制御部136に表示装置110に入力用画像を表示する(ステップS3)。
【0084】
動作制御部135は、指先FTの静電容量が選択閾値TH1以上であるかどうかを判定する(ステップS4)。
【0085】
動作制御部135は、指先FTの静電容量が選択閾値TH1以上である(S4:Yes)と判定すると、カーソル112の半径rfを求める(ステップS5)。カーソル112の半径rfは、静電容量に反比例するため、一例として静電容量の逆数に所定の係数を乗じることによって求めればよい。所定の係数は、GUIボタン111の直径等との関係で、静電容量に応じて適切な直径のカーソル112が得られるように適切な値に設定すればよい。
【0086】
動作制御部135は、選択円111Aが表示されているかどうかを判定する(ステップS6)。より具体的には、動作制御部135は、1つ前の制御周期までに選択円111Aが表示されているかどうかを判定する。選択円111Aは、非表示にされるまで表示され続けるからである。ステップS6は、選択されているGUIボタン111の有無を判定するために設けられている処理である。
【0087】
動作制御部135は、選択円111Aが表示されていない(S6:No)と判定すると、確定待ち時間をゼロに設定する(ステップS7)。確定待ち時間とは、選択されたGUIボタン111に対して確定操作が開始されてから、入力が確定するまでの待ち時間である。確定待ち時間が所定時間に到達すると、選択されたGUIボタン111についての入力が確定する。ステップS7は、確定待ち時間をカウントするためのカウンタのカウント値をリセットする処理である。このカウンタは、動作制御部135が内蔵する。
【0088】
動作制御部135は、指先FTのXY座標での位置と、いずれかのGUIボタン111の中心との間の距離が選択円閾値THBよりも小さいかどうかを判定する(ステップS8)。ステップS8の処理は、指先FTのXY座標での位置が、いずれかのGUIボタン111の表示領域内にあるかどうかを判定する処理である。換言すれば、ステップS8の処理は、すべてのGUIボタン111が選択されていないときに、指先のXY座標での位置と、すべてのGUIボタン111の中心との間の距離のうち、選択円閾値THB未満の距離に対応するGUIボタン111を探索する処理である。
【0089】
動作制御部135は、指先FTのXY座標での位置と、いずれかのGUIボタン111の中心との間の距離が選択円閾値THBよりも小さい(S8:Yes)と判定すると、ステップS8に該当するGUIボタン111に重ねて選択円111Aを表示する(ステップS9)。ステップS8に該当するGUIボタン111とは、ステップS8で距離が選択円閾値THBよりも小さいと判定されたGUIボタン111であり、選択されているGUIボタン111である。なお、動作制御部135は、ステップS8において、該当したGUIボタン111(選択されているGUIボタン111)の中心の座標をメモリ137に格納する。
【0090】
動作制御部135は、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離が、カーソル固定閾値THAよりも大きいかどうかを判定する(ステップS10)。ステップS10の処理は、指先のXY座標での位置がカーソル固定閾値THAの範囲の外側にあるかどうかを判定する処理である。
【0091】
動作制御部135は、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離が、カーソル固定閾値THAよりも大きい(S10:Yes)と判定すると、条件Aを満たす円をカーソル112として表示する(ステップS11A)。条件Aは、(1)カーソル112の中心は選択されているGUIボタン111の中心を一端として指先FTのXY座標での位置を通る半直線上に位置し、(2)カーソル112の半径rfは指先FTの静電容量の逆数に所定の係数を乗じた値であり、(3)カーソル112の円にGUIボタン111の円が内接する、という3つの条件で構成される。ステップS11Aの処理により、例えば、
図6Cに示すように、カーソル112の中心が、指先FTのXY座標の位置よりもGのGUIボタン111の中心に向かってずらされて、カーソル112の円にGのGUIボタン111の円が内接するように、カーソル112が表示される。
【0092】
また、動作制御部135は、ステップS10において、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離が、カーソル固定閾値THAよりも大きくない(S10:No)と判定すると、条件Bを満たす円をカーソル112として表示する(ステップS11B)。条件Bは、(1)カーソル112の中心は選択されているGのGUIボタン111の中心であり、(2)カーソル112の半径rfは指先FTの静電容量の逆数に所定の係数を乗じた値である、という2つの条件で構成される。ステップS11Bの処理により、例えば、
図6Bに示すように、カーソル112の中心が選択されているGのGUIボタン111の中心に一致した状態で、カーソル112が表示される。
【0093】
動作制御部135は、ステップS11A又はS11Bの処理を終えると、指先FTの静電容量が確定閾値TH2以上であるかどうかを判定する(ステップS12)。ステップS12の処理は、選択されているGのGUIボタン111について、確定操作が行われているかどうかを判定する処理である。
【0094】
動作制御部135は、指先FTの静電容量が確定閾値TH2以上である(S12:Yes)と判定すると、確定待ち時間をインクリメントする(ステップS13)。すなわち、確定待ち時間=確定待ち時間+1となる。ここでは一例として、確定待ち時間は、カウント値で表され、ステップS13の処理を経る毎にインクリメントされ、所定時間に相当する所定値に到達すると、確定操作によって行われている入力が確定する。
【0095】
動作制御部135は、表示制御部136に、選択されているGのGUIボタン111に重ねて表示される選択円111Aの円周に沿って、円環インジケータ113として、2π×(確定待ち時間/所定時間)[rad]の円弧を表示する。
【0096】
動作制御部135は、確定待ち時間が所定時間以上であるかどうかを判定する(ステップS15)。ステップS15は、確定操作が開始されてからの経過時間である確定待ち時間が、入力が確定するまでの経過時間である所定時間に到達したかどうかを判定する処理である。
【0097】
動作制御部135は、確定待ち時間が所定時間以上である(S15:Yes)と判定すると、表示制御部136に選択円111Aを凹んだ状態の画像に変更させる(ステップS16)。入力が確定したからである。一方、動作制御部135は、確定待ち時間が所定時間未満である(S15:No)と判定すると、一連の処理を終了する(End)。一連の処理が終了すると、
図8のStartに戻って処理が繰り返される。
【0098】
動作制御部135は、入力処理を行う(ステップS17)。入力処理は、入力が確定したアルファベットを入力内容表示部115(
図7参照)に表示する処理である。例えば、
図7に示すように、アルファベットのGが入力内容表示部115に表示される。
【0099】
動作制御部135は、一定時間停止する(ステップS18)。ステップS18の処理は、選択円111Aが凹んだ状態の画像に変更されている状態を一定時間継続させるために設けられている。一定時間が経過すると、動作制御部135は、フローをステップS19に進行させる。一定時間の長さは、選択円111Aが凹んだ状態の画像になっていることが利用者によって確実に認識される程度の長さであればよく、一例として0.3秒から1秒程度である。
【0100】
動作制御部135は、表示制御部136に、選択円111Aを凹んだ状態の画像から元の(凹んでいない状態の)画像に戻させる(ステップS19)。動作制御部135は、ステップS19の処理を終えると、一連の処理を終了する(End)。一連の処理が終了すると、図示せぬアプリケーションソフトに戻る。アプリケーションソフトが入力待ちの状態が継続していれば、
図8のStartから処理が繰り返される。例えば、表示装置110の右下のエンターボタンが入力されるまで、
図8のStartから
図9のEndまでの処理が繰り返される。
【0101】
また、動作制御部135は、ステップS12において、指先FTの静電容量が確定閾値TH2以上ではない(S12:No)と判定すると、確定待ち時間をリセットする(ステップS12A)。すなわち、確定待ち時間=0となる。確定操作が行われていないため、確定待ち時間をリセットすることとしたものである。動作制御部135は、ステップS12Aの処理を終えると、一連の処理を終了する(End)。一連の処理が終了すると、
図8のStartに戻って処理が繰り返される。
【0102】
また、動作制御部135は、ステップS8において、指先FTのXY座標での位置と、いずれのGUIボタン111の中心との間の距離が選択円閾値THBよりも小さくない(S8:No)と判定すると、条件Cを満たす円をカーソル112として表示する(ステップS11C)。条件Cは、(1)カーソル112の中心は指先FTの位置であり、(2)カーソル112の半径rfは指先FTの静電容量の逆数に所定の係数を乗じた値である、という2つの条件で構成される。フローがステップS11Cに進行する場合は、選択されているGUIボタン111が存在しない場合であるため、ステップS11Cの処理により、例えば、
図6Aに示すように、いずれのGUIボタン111との重ならない位置にカーソル112が表示される。
【0103】
また、動作制御部135は、ステップS6において、選択円111Aが表示されている(S6:Yes)と判定すると、選択円111Aが重ねて表示されているGUIボタン111の中心の座標をメモリ137から読み込む(ステップS20)。選択円111Aが重ねて表示されているGUIボタン111は、選択されているGUIボタン111である。
【0104】
動作制御部135は、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離がカーソル移動閾値THC以下であるかどうかを判定する(ステップS21)。ステップS21の処理は、指先のXY座標での位置が、カーソル移動閾値THCの範囲内にあるかどうかを判定する処理である。
【0105】
動作制御部135は、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離がカーソル移動閾値THC以下である(S21:Yes)と判定すると、フローをステップS10に進行させる。前述した通り、指先FTのXY座標での位置がカーソル固定閾値THAの範囲の外側か、内側かで、カーソル112の中心を変えるので、ステップS10において、指先のXY座標での位置がカーソル固定閾値THAの範囲の外側にあるかどうかが判定される。
【0106】
また、動作制御部135は、ステップS21において、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離がカーソル移動閾値THC以下ではない(S21:No)と判定すると、表示制御部136に選択円111Aを非表示にさせるとともに、選択されているGUIボタン111の選択を解除する(ステップS22)。指先FTの位置が、選択されているGUIボタン111についてのカーソル移動閾値THCの範囲を超えたため、選択円111Aを非表示にするとともに選択を解除することとしたものである。なお、ステップS22の処理が終了すると、フローはステップS7に進行する。
【0107】
また、動作制御部135は、ステップS4において、指先FTの静電容量が選択閾値TH1以上ではない(S4:No)と判定すると、選択円111Aまたはカーソル112が表示されているかどうかを判定する(ステップS23)。動作制御部135が指先FTの静電容量が選択閾値TH1以上ではない(S4:No)場合は、指先FTのXY座標の精度が不十分で、GUIボタン111の選択や、カーソル112を表示できない。1つ前の制御周期において、選択されているGUIボタン111が存在して選択円111Aが表示されているか、カーソル112が表示されていれば、非表示に切り替える処理が必要になる。
【0108】
動作制御部135は、選択円111Aが表示されている(S23:Yes)と判定すると、表示制御部136に、選択円111Aとカーソル112を非表示にさせる(ステップS24)。動作制御部135は、ステップS24の処理を終えると、フローをステップS12Aに進行させる。選択されているGUIボタン111が存在しないため、確定待ち時間をリセットする(ステップS28)。
【0109】
また、動作制御部135は、ステップS23において、選択円111Aが表示されていない(S23:No)と判定すると、フローをステップS12Aに進行させる。いずれの選択も行われておらず、選択円111Aも表示されていないため、確定待ち時間をリセットして次の制御周期に備える。
【0110】
また、動作制御部135は、ステップS2において、指先FTの静電容量が近接閾値よりも大きくない(S2:No)と判定すると、選択円111Aまたはカーソル112が表示されているかどうかを判定する(ステップS25)。動作制御部135が指先FTの静電容量が近接閾値よりも大きくない(S2:No)と判定する場合は、待機状態にするため、1つ前の制御周期において、選択されているGUIボタン111が存在して選択円111Aが表示されていれば、非表示に切り替える処理が必要になる。
【0111】
動作制御部135は、選択円111Aが表示されている(S25:Yes)と判定すると、表示制御部136に、選択円111Aとカーソル112を非表示にさせる(ステップS26)。
【0112】
動作制御部135は、表示制御部136に、待機画像を表示する(ステップS27)。動作制御部135は、待機画像の表示の他に、例えば、CPUを省電力モードにする等の処理を行ってもよい。
【0113】
動作制御部135は、ステップS27の処理を終えると、フローをステップS12Aに進行させる。待機状態になるため、確定待ち時間をリセットする(ステップS28)。
【0114】
また、動作制御部135は、ステップS25において、選択円111Aが表示されていない(S25:No)と判定すると、フローをステップS27に進行させる。選択円111Aが表示されていないため、ステップS26の処理をスキップする。
【0115】
<効果>
以上のように、カーソル112の中心を指先のXY座標での位置に一致させると、選択されたGUIボタン111がカーソル112からはみ出る場合は、カーソル112の中心を指先のXY座標での位置からずらして、選択されたGUIボタン111をカーソル112で囲うので、選択されているGUIボタン111を視覚で認識し易くなる。
【0116】
また、GUIボタン111の中心から見たカーソル112の中心の方向に指先のXY座標があるので、GUIボタン111に対する指の位置ずれの方向が分かる入力装置100を提供することができる。
【0117】
また、指先FTのXY座標での位置と、選択されたGUIボタン111の中心との間の距離がカーソル固定閾値THAを超えると、カーソル112にGUIボタン111が内接するように、カーソル112の中心を指先のXY座標での位置からずらすので、指先のXY座標での位置のGUIボタン111の中心からのずれが大きくなった場合でも、選択されているGUIボタン111を視覚で認識し易い。
【0118】
また、1つ前の制御周期において複数のGUIボタン111のいずれも選択されていないときに、指先FTのXY座標での位置と、複数のGUIボタン111の中心との間の距離のうち、選択円閾値THB未満の距離に対応するGUIボタン111に選択円111Aを重ねて表示するので、選択されているGUIボタン111を視覚で容易に認識することができる。
【0119】
また、GUIボタン111が選択された後に、指先FTのXY座標での位置と、選択されたGUIボタン111の中心との間の距離がカーソル移動閾値THCを超えると、GUIボタン111の選択を解除する。いずれかのGUIボタン111の選択の判定に用いる選択円閾値THBよりも大きいカーソル移動閾値THCを選択の解除の判定に用いることにより、ヒステリシスを持たせて、より広い範囲で選択した状態を保持可能になるため、選択されているGUIボタン111が頻繁に変わることを抑制することができる。
【0120】
また、静電センサ120は、操作面105Aに沿って設けられたセンサ電極121X、121Yによって、指先FTとセンサ電極121X、121Yとの間の静電容量を検出し、カーソル112の大きさは、静電容量の大きさに反比例するので、指先FTが操作面105Aに近づいていることを直感的に視覚で認識することができる。
【0121】
また、指先FTの静電容量が選択閾値TH1以上の場合に、指先FTのXY座標での位置に基づいて、選択されたGUIボタン111を特定し、指先FTの静電容量が、選択閾値TH1よりも大きな確定閾値TH2以上になると、GUIボタン111の大きさと、カーソル112と大きさとを一致させて、カーソル112にGUIボタン111を重ねて表示させる。カーソル112がGUIボタン111の背面側に隠れて非表示になるため、指先FTを操作面105Aに対してどの程度近づければ入力を確定させることができるのか、視覚で認識することができ、操作性を向上させることができる。また、選択閾値TH1よりも確定閾値TH2が大きいことで、入力を確定する操作は、GUIボタン111を選択する操作よりも、より操作面105Aに指先FTを近づけた状態で行うことになる。指先FTが操作面105Aに対してより近いほど、指先FTのXY座標での位置をより高い精度で検出できるので、入力を確定させたいGUIボタン111に対する正しい位置に指先を誘導可能であり、高精度に入力を確定させることができる。
【0122】
また、制御装置130は、静電容量が確定閾値TH2以上の状態が所定時間継続すると、入力を確定するので、利用者が意図せずに指先FTが移動して瞬間的にあるGUIボタン111に対向したような場合に、意図しない入力が確定することを抑制することができる。すなわち、誤入力を抑制することができる。
【0123】
また、選択されているGUIボタン111よりもカーソル112を背面側に描画するとともに、選択されているGUIボタン111以外のGUIボタン111よりもカーソル112を前面側に描画するので、選択されているGUIボタン111と、選択されていないGUIボタン111とを明確に認識することができる。また、選択されているGUIボタン111が浮かび上がって見えるので、操作面105Aに対して非接触のホバー入力で操作可能であることを視覚で認識しやすくなり、非接触での操作をより利用しやすくすることができる。
【0124】
また、カーソル112の形状は凸図形であるので、選択されているGUIボタン111がカーソル112からはみ出ているか判断し易い。
【0125】
また、カーソル112の形状は円形であるので、選択されているGUIボタン111がカーソル112からはみ出ているか、より容易に判断することができる。
【0126】
<変形例>
以上では、カーソル固定閾値THAが固定値である形態について説明したが、カーソル固定閾値THAを変数にしてもよい。例えば、GUIボタン111の直径をrsとした場合に、カーソル112の半径rfを用いて、カーソル固定閾値THAの半径raをrf-rsの変数にしてもよい。
【0127】
この場合には、カーソル固定閾値THAの半径raを次式(2)で表すことができる。
【0128】
ra=rf-rs (2)
【0129】
例えば、ステップS10において、指先のXY座標での位置と、選択されているGUIボタン111の中心との間の距離Dが、カーソル固定閾値THAの半径raよりも大きいかどうかを判定する際に、指先FTの静電容量の逆数に応じて変動するカーソル112の半径rfに応じてカーソル固定閾値THAの半径raを式(2)に従って変動させればよい。
【0130】
カーソル固定閾値THAの半径raを式(2)に従って変動させると、指先FTが操作面105Aに近づいてカーソル112が小さくなると、カーソル固定閾値THAの範囲も小さくなり、指先FTが操作面105Aから離れてカーソル112が大きくなると、カーソル固定閾値THAの範囲も大きくなる。
【0131】
このようにすることにより、カーソル固定閾値THAの半径raが固定値である場合に比べて、例えば、指先FTが操作面105Aから比較的離れていて、かつ、指先のXY座標での位置が固定値の場合のカーソル固定閾値THAの範囲のすぐ外側にあるような場合に、カーソル112にGUIボタン111が内接するようにカーソル112の位置がGUIボタン111の中心側にずらされることがなくなる。
【0132】
また、例えば、利用者が入力を確定させるために指先FTを操作面105Aに近づけてカーソル112が比較的小さく、かつ、指先のXY座標での位置がカーソル固定閾値THAの範囲のすぐ内側にある場合に、カーソル固定閾値THAが固定値だと、カーソル112からGUIボタン111がはみ出すおそれがある。このような場合に、カーソル固定閾値THAを上述のような変数にすることにより、カーソル固定閾値THAの半径raが固定値の場合よりも小さくなって、GUIボタン111をカーソル112に内接させる確率が高くなるため、カーソル112からGUIボタン111がはみ出す可能性を低減することができる。
【0133】
したがって、実施形態の変形例によれば、カーソル固定閾値THAの半径raを式(2)に従って変動させることによって、GUIボタン111に対する指の位置ずれの方向がより分かり易い入力装置100を提供することができる。
【0134】
なお、カーソル固定閾値THAを固定値にする場合には、制御装置130の計算量が減るため、メモリ137の容量を小さくすることが可能である等のメリットがあるため、カーソル固定閾値THAを固定値にするか変数にするかは、総合的に判断して決定すればよい。
【0135】
以上、本発明の例示的な実施形態の入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
100 入力装置
105 トップパネル
105A 操作面
110 表示装置(表示部の一例)
111 GUIボタン
111A 選択円
112 カーソル
113 円環インジケータ
115 入力内容表示部
120 静電センサ(検出部の一例)
121X、121Y センサ電極(電極の一例)
130 制御装置(制御部の一例)
134 判定部
135 動作制御部
136 表示制御部
137 メモリ