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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059058
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】戸車
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20230419BHJP
   B60B 33/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
E05D15/06 107
B60B33/00 503A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168939
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】596077455
【氏名又は名称】大征工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大泉 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮本 進一
(72)【発明者】
【氏名】松田 幸一郎
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BA02
2E034BD01
2E034BD02
2E034BD03
2E034DA06
(57)【要約】
【課題】ケースの変形を抑制可能な戸車を提供すること。
【解決手段】戸車1は、車輪3と、車輪3を内部に収容し、障子からかかる荷重を受けるケース2と、を備え、ケース2は、金属製の板材を折り曲げて構成され、車輪3の側面に配置されて互いに向かい合う一対の側面部21と、一対の側面部21同士を車輪3の移動方向の前後のいずれか側で連結し、一対の側面部21の一方から延出する第1端面部231と、一対の側面部21の他方から延出する第2端面部232と、を重ね合わせることで形成される端面部23と、一対の側面部21のそれぞれがケース2の厚さ方向の外側へ開くことを防止する開き規制部6と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪を内部に収容し、障子からかかる荷重を受けるケースと、を備え、
前記ケースは、
金属製の板材を折り曲げて構成され、前記車輪の側面に配置されて互いに向かい合う一対の側面部と、
前記一対の側面部同士を前記車輪の移動方向の前後のいずれか側で連結し、前記一対の側面部の一方から延出する第1端面部と、前記一対の側面部の他方から延出する第2端面部と、を重ね合わせることで形成される端面部と、
前記一対の側面部のそれぞれが前記ケースの厚さ方向の外側へ開くことを防止する開き規制部と、を有する、戸車。
【請求項2】
前記開き規制部は、前記第1端面部又は前記第2端面部のいずれか一方に形成され、展開状態で前記車輪の移動方向に沿う方向に突出する突出部と、
前記一対の側面部における前記第1端面部又は前記第2端面部のいずれか他方に配置され、前記側面部と前記端面部との境界の近傍に形成される切欠き孔と、を有し
前記ケースが折り曲げられた状態で、前記突出部が前記切欠き孔に挿入される、請求項1に記載の戸車。
【請求項3】
前記第1端面部又は前記第2端面部のいずれかのうち、前記突出部が形成された側が内側に位置するように折り曲げられる、請求項2に記載の戸車。
【請求項4】
前記第1端面部又は前記第2端面部のいずれかのうち、前記突出部が形成された側が、外側に位置するように折り曲げられる、請求項2に記載の戸車。
【請求項5】
前記切欠き孔は、前記側面部と前記端面部との境界を跨る位置に形成される第1の切欠き孔と、前記境界の前記側面部側に形成される第2の切欠き孔と、が並んで形成され
前記突出部が形成された側が外側に位置するように折り曲げられ、
前記突出部の先端は、前記第2の切欠き孔に係止するように折り曲げられる、請求項2に記載の戸車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、戸車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸車は車輪及び車輪を覆うケースを有して形成される。ケースは、金属製の一枚の板材を折り曲げて形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-065608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
戸車は、障子の荷重が上部からかかる。このため、障子が大型化すると、板材を折り曲げて形成されたケースが、厚さ方向の外側へ開くように変形する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、車輪と、前記車輪を内部に収容し、障子からかかる荷重を受けるケースと、を備え、前記ケースは、金属製の板材を折り曲げて構成され、前記車輪の側面に配置されて互いに向かい合う一対の側面部と、前記一対の側面部同士を前記車輪の移動方向の前後のいずれか側で連結し、前記一対の側面部の一方から延出する第1端面部と、前記一対の側面部の他方から延出する第2端面部と、を重ね合わせることで形成される端面部と、前記一対の側面部のそれぞれが前記ケースの厚さ方向の外側へ開くことを防止する開き規制部と、を有する、戸車に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の戸車の側面図である。
図2】第1実施形態のケースの斜視図である。
図3】第1実施形態のケースの展開図である。
図4】第1実施形態の車輪及び保持部の斜視図である。
図5】第1実施形態の車輪の断面図である。
図6】第2施形態のケースの斜視図である。
図7】第2実施形態のケースの展開図である。
図8】第3施形態のケースの斜視図である。
図9】第3実施形態のケースの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、戸車1は、ケース2と、車輪3と、保持部4と、高さ調整ピン7と、を有する。戸車1は、図示を省略する建具の障子が上部に取り付けられ、障子を移動可能に支持する。
【0008】
ケース2は、後述する車輪3を内部に収容し、障子からかかる荷重を受けるカバーである。ケース2は、金属製の板材を折り曲げて構成される。図2に示すように、ケース2は、一対の側面部21と、上面部22と、端面部23と、開き規制部6と、を有する。上面部22の下方と、端面部23に対向する面とは、開口している。
【0009】
一対の側面部21は、車輪3の側面に配置され、板材を折り曲げることで互いに向かい合う。図3に示すように、一対の側面部21は、戸車1の移動方向に沿って長い概ね長方形に近い形状に形成されている。一対の側面部21は、一方の第1側面部211と、他方の第2側面部212と、を有する。第2側面部212には、後述する切欠き孔62が形成されている。一対の側面部21の長手方向に沿う外縁には、係合溝24が形成されている。係合溝24は、後述する車輪3の保持部4に形成された係合突起44(図4参照)が係合するための溝である。
【0010】
上面部22は、一対の側面部21同士の向かい合う長辺を連結する面である。上面部22は、ケース2が折り曲げられた状態で、上面に配置される。上面部22には、車輪の周縁が当たらないように開口が形成されている。
【0011】
端面部23は、戸車1の移動方向の前後のいずれか一方側で、一対の側面部21同士を連結する部分である。端面部23は、ケース2が折り曲げられた状態で、ケース2の厚さ方向に延びる。端面部23は、第1端面部231と、第2端面部232と、高さ調整ピン用孔233と、を有する。端面部23は、ケース2が折り曲げられた際、第1端面部231と第2端面部232とが重ね合わせられることで形成される。
【0012】
第1端面部231は、第1側面部211の長手方向に沿って、第1側面部211から外側に延出する面である。第1端面部231は、短辺231aと、長辺231bと、上面部重なり代231cと、外縁辺231dと、切欠き231eと、位置合わせ突起231fを有する。
【0013】
短辺231aは、折り曲げられた状態でケース2の厚さ方向に延びる辺である。長辺231bは、第1側面部211の短手方向に延びる辺と重なっている。長辺231bは、ケース2が折り曲げられた状態でケース2の高さ方向に延びる辺である。長辺231bは、第1側面部211と第1端面部231との境界に形成される境界線63と重なる。上面部重なり代231cは、図2及び図3に示すように、短辺231aから折り曲げられた状態で上面部22の下に重ねられる位置に延びる。外縁辺231dは、長辺231bと平行して延び、第1端面部231の外縁となる。外縁辺231dには、後述する突出部61が形成される。切欠き231eは、第1端面部231と、上面部22と、第1側面部221それぞれの端部が合わさる交点の近傍に、略U字状に切り欠かれて形成される。位置合わせ突起231fは、第1端面部231の一部に切り込みを形成し、切り込みを起こすことで突起となるように形成される。
【0014】
第2端面部232は、第2端面部232の長手方向に沿って、第2端面部232から外側に延出する面である。第2端面部232は、短辺232aと、長辺232bと、外縁辺232dと、切欠き232eと、位置合わせ孔232fと、を有する。
【0015】
短辺232aは、折り曲げられた状態でケース2の厚さ方向に延びる辺である。長辺232bは、第2側面部212の短手方向に延びる辺と重なっている。長辺232bは、ケース2が折り曲げられた状態でケース2の高さ方向に延びる辺である。長辺231bは、第2側面部212と第2端面部232との境界に形成される境界線63と重なる。外縁辺232dは、長辺232bと平行して延び、第2端面部232の外縁となる。切欠き232eは、第2端面部232と、上面部22と、第2側面部222それぞれの端部が合わさる交点の近傍に、略U字状に切り欠かれて形成される。位置合わせ孔232fは、第2端面部232が第1端面部231に重ね合わされたときに、位置合わせ突起231fが貫通するように配置され、第1端面部231と第2端面部232が重なる位置を合わせるために設けられる。
【0016】
高さ調整ピン用孔233は、第1端面部231及び第2端面部232のそれぞれに配置される円形の貫通孔である。第1端面部231に形成される高さ調整ピン用孔233aと、第2端面部232に形成される高さ調整ピン用孔233bとは、第1端面部231及び第2端面部232を重ね合わせたときに、互いに重なって一つの貫通した高さ調整ピン用孔233を形成する。
【0017】
開き規制部6は、突出部61と、切欠き孔62と、を有する。突出部61は、図3に示すように、第1端面部231に形成され、ケース2の展開状態で、第1端面部231の外縁辺231dから戸車1の移動方向に沿う方向に突出する。突出部61は、略長方形の形状を有し、例えば、第1端面部231の長辺231bの4/1~5/1程度の長さを有し、上面部重なり代231cの幅と同程度又はそれ以下の幅を有する小さな突出部である。
【0018】
切欠き孔62は、第2側面部212と第2端面部232との間の境界の近傍に配置される。具体的には、切欠き孔62は、第2側面部212と第2端面部232との間の境界線63に沿って、境界線63よりも第2側面部212側に形成される。切欠き孔62は、突出部61が挿通可能な寸法を有する略長方形の貫通孔である。
【0019】
図2に示すように、第1端面部231と第2端面部232とが重なるようにケース2が折り曲げられた状態で、突出部61が切欠き孔62に挿入される。このとき、突出部61が形成された第1端面部231が、第2端面部232よりも内側に位置するように折り曲げられる。
【0020】
車輪3は、ケース2の内部に回転可能に保持され、戸車1を移動可能にする。車輪3は、図4及び図5に示すように、環状部31と、中央部32と、薄肉部33と、車軸34と、を有する。図1に示すように、車輪3は概ね同じ形状の2つの車輪3a、3bが、図示しない連結機構により連結されて構成される。
【0021】
環状部31は、車輪3全体の厚さよりも薄い一対の円環状の部分31a、31bが、車輪3の厚さ方向における一方及び他方に間を空けて配置されることで構成される。環状部31は、車輪3の外周縁に沿う側面を構成する。環状部31は、図5に示すように、断面視では、略U字状の形状を有し、一対の円環状の部分31a、31bが外周側で接続されている。
【0022】
中央部32は、一対の円環状の部分31aの略中心近傍に配置される。中央部32は、略円柱状の形状を有する。中央部32の円柱形状の底面に対応する部分が平坦な平坦面321で構成され、円柱形状の側面に対応する側面322が車輪3の軸方向に沿うように配置される。平坦面321は、後述する保持部4の内側凸部42に対向する面である。中央部32の中心に、後述する車軸34が貫通する貫通孔323が形成される。中央部32は、車軸34及び貫通孔323の外周側では厚さが一定に形成されている。
【0023】
薄肉部33は、図5に示すように、中央部32と環状部31の間に配置され、部分的に厚さが薄くなった部分である。薄肉部33は、環状に形成されている。
【0024】
車軸34は、中央部32の中心を車輪3の厚さ方向に貫通する軸部である。車軸34は、後述する保持部4と車輪3の両方を貫通して接続する。
【0025】
保持部4は、車輪3をケース2内に回転可能に保持する部材である。保持部4は、2つの車輪3の一方側の車輪3aのみに配置される。図4に示すように、保持部4は、平面視で一方が開放された略コの字状に形成され、車輪3aの側面を覆う保持側面41と、内側凸部42と、軸孔45と、接続部43と、係合突起44と、を有する。
【0026】
保持側面41は、車輪3aの外側面に沿って延びる薄い板状の部材である。保持側面41は、間に車輪3bを挟んで一対配置され、車輪3の車軸34が貫通する。保持側面41は、車輪3bから離れた上方から車輪3bに近づくにしたがって下方に湾曲する湾曲部41aと、湾曲部41aの下方端部から車輪3aの中央部32を覆うように横に延びる中央保持部41bと、を有する。
【0027】
内側凸部42は、中央保持部41bにおける車軸34が貫通する部分の周囲に形成される。内側凸部42は、図5に示すように、断面視で車軸34が貫通する部分の周囲が、他の部分よりも内側に向かって凸となるように曲がっている部分である。内側とは、一対の保持側面41の間の内部に向かう側である。内側凸部42は、車軸34の中心が最も内側に位置するように、断面視略V字状に傾斜して形成されている。内側凸部42は、図4に示すように、保持側面41の車軸34が配置される部分の近傍で一定の範囲に亘って形成される。具体的には、内側凸部42の幅は、車輪3の中央部32の幅と同程度であることが好ましい。
【0028】
軸孔45は、車軸34が貫通する孔である。軸孔45は、その中心が内側凸部42に形成された傾斜面の最も内側に向かって凸となった部分に配置される。
【0029】
接続部43は、一対の保持側面41の湾曲部41aの端部を、車輪3aの厚さ方向に接続する面である。接続部43は、後述する高さ調整ピン7の端部が当接する面である。接続部43は、ケース2内に配置された状態で、端面部23に対向する位置に配置される。
【0030】
係合突起44は、保持側面41の湾曲部41aの下方に、保持側面41から外側に突出する円環状の突起である。図1に示すように、係合突起44は、保持部4がケース2内に配置された状態で、ケース2の係合溝24に係合する。
【0031】
高さ調整ピン7は、ケース2の外側から、高さ調整ピン用孔233を貫通して接続部43に端部が当接するように配置される。高さ調整ピン7をケース2の内部へ押すと、保持部4の接続部43の上部を押圧する。これにより、保持側面41に形成された係合突起44を中心として、保持部4が反時計方向に回転する。保持部4の回転に伴って、図示しない連結機構によって接続される2つの車輪3a、3bが、ケース2の下方側に移動する。この結果、車輪3とケース2を合わせた戸車1全体の高さ方向の寸法が大きく、高くなる。高さ調整ピン7を接続部43から離すと、図1に示すように、車輪3がケース2内に納まり、戸車1全体の高さ方向の寸法が小さく、低くなる。
【0032】
高さ調整ピン7は、高さ調整ピン用孔233を貫通はするものの、締結されていない。このため、第1端面部231及び第2端面部232は、ケース2の厚さ方向に移動可能な程度の緩みをもって重ねられている。障子の戸車1にかかる重量が増加すると、金属製の板材を折り曲げて形成したケース2は、厚さ方向に開くように変形させる力がかかる。図2に示すように、開き規制部6の切欠き孔62に突出部61が挿入されている。ケース2の上面部22が障子の荷重を受けて押さえつけられている状態で、第1端面部231及び第2端面部232が開こうとしても、突出部61の上端が切欠き孔62の上端に係合する。突出部61の面は、切欠き孔62の境界線63に近い方の長縁に係合する。このように、開き規制部6の突出部61と切欠き孔62とが係合することで、第1端面部231及び第2端面部232がケース2の厚さ方向の外側へ開く動きが規制される。
【0033】
車輪3は、戸車1の移動に伴って回転する。回転するとき、保持部4の保持側面41が平坦に形成されていた場合、車輪3の側面、特に中央部32の平坦面321と保持側面41の内面とが接触して摩擦することが考えられる。摩擦により、車輪3や保持部4の耐久性が低下したり、回転抵抗が生じたりする等の不都合が考えられうる。しかし、保持側面41に内側凸部42が形成されている。内側凸部42が断面視略V字状に傾斜し、車軸34及び車軸34が貫通する軸孔45の中心が最も内側に位置するように配置されていることで、車輪3と保持側面41との接触面積が最小限になる。
【0034】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。戸車1を、車輪3と、車輪3を内部に収容し、障子からかかる荷重を受けるケース2と、を含んで構成した。ケース2を、金属製の板材を折り曲げて構成され、車輪3の側面に配置されて互いに向かい合う一対の側面部21と、一対の側面部21同士を車輪3の移動方向の前後のいずれか側で連結し、一対の側面部21の一方から延出する第1端面部231と、一対の側面部21の他方から延出する第2端面部232と、を重ね合わせることで形成される端面部23と、一対の側面部21のそれぞれがケース2の厚さ方向の外側へ開くことを防止する開き規制部6と、を含んで構成した。開き規制部6により、一対の側面部21のそれぞれが、ケースの厚さ方向の外側へ開くことが防止される。このため、ケース2の変形が防止される。よって、障子等の戸車に荷重をかける部材が大型化したり重量が増加したりしても、戸車1の耐久性が向上する。
【0035】
第1実施形態によれば、開き規制部6を、第1端面部231又は第2端面部232のいずれか一方に形成され、展開状態で車輪3の移動方向に沿う方向に突出する突出部61と、一対の側面部21における第1端面部231又は第2端面部232のいずれか他方に配置され、側面部21と端面部23との境界近傍に形成される切欠き孔62と、を含んで構成した。ケース2が折り曲げられた状態で、突出部61が切欠き孔62に挿入されるように構成した。突出部61を切欠き孔62に挿入することで、ケース2の一対の側面部21が開くことを防止することができる。このため、金属製の板材を折り曲げてケース2を構成する場合に、部材の追加を必要とせず、折り曲げの工程のみで戸車1の変形を防止することができる。よって、上記と同様の効果を奏することができる。
【0036】
第1実施形態によれば、第1端面部231又は第2端面部232のいずれかのうち、突出部61が形成された側を内側に位置するように折り曲げた。突出部61が形成された第1端面部231又は第2端面部232のいずれか一方を内側に最初に曲げ、次に突出部61が形成されていない第1端面部231又は第2端面部232のいずれか他方を重ねるように折り曲げることで、突出部61が切欠き孔62に係合する。容易で簡易な方法で折り曲げの工程のみでケース2の一対の側面部21が開くことを防止することができ、上記と同様の効果を奏することができる。
【0037】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。図6及び図7は、第2実施形態に係る戸車1Aのケース2Aの斜視図及び展開図である。第2実施形態では、図7に示すように、開き規制部6Aの切欠き孔62Aが、第1側面部211Aと第1端面部231Aとの間の境界線63に跨って配置されている。突出部61Aは、第1実施形態と比べて、戸車1の移動方向に沿って外側により長く突出している。
【0038】
図6及び7に示すように、突出部61Aが形成された第2端面部232Aは、第1端面部231Aの外側で折り曲げられ、第1端面部231Aを覆った状態で突出部61Aが切欠き孔62Aに挿入される。第2実施形態によれば、第1端面部231Aを覆った上から突出部61Aを切欠き孔62Aに挿入するため、覆われた側の第1端面部231Aが第2端面部232Aに押さえられ、動く自由度が小さくなる。このため、第1実施形態よりもより強固にケース2が開くことを防止することが可能になる。
【0039】
図8及び図9は、第3実施形態に係る戸車1Bのケース2Bの斜視図及び展開図である。第3実施形態では、切欠き孔62Bは、第1の切欠き孔621と、第2の切欠き孔622と、を有する。第1の切欠き孔621は、第1側面部211Bと第1端面部231Bとの境界線63を跨る位置に形成される。第2の切欠き孔622は、境界線63の第1側面部211B側に形成され、第1の切欠き孔621と並んで配置される。第2の切欠き孔622は、第1の切欠き孔621と、長さが同じで幅が小さい略長方形に形成される。
【0040】
突出部61Bは、第2実施形態と比べて、戸車1の移動方向に沿って外側にさらに長く突出している。突出部61Bは、突出端の先端寄りに、折り曲げ可能な切り込み611が形成される。切り込み611は、外側に向かって開口したコの字型に形成され、コの字の底面の方を突出部61Bの面から立ち上げるように折り曲げることで係止部611aが形成される。
【0041】
図8に示すように、突出部61Bが形成された第2端面部232Bは、第1端面部231Bの外側で折り曲げられ、第1端面部231Bを覆った状態で突出部61Bが第1の切欠き孔621に挿入される。第1の切欠き孔621及び第2の切欠き孔622は並んで配置されているため、突出部61Bの先端側は、第2の切欠き孔622の裏側に届くように延びる。突出部61Bの先端側には、切り込み611を立ち上げて形成した係止部611aが形成されており、係止部611aが第2の切欠き孔622に係止する。第3実施形態によれば、第2端面部232Bによって第1端面部231Bを覆った状態で突出部61Bを第1の切欠き孔621に挿入するため、覆われた側の第1端面部231Bが動く自由度が小さくなることに加えて、突出部61Bの先端に形成された係止部611aが、第2の切欠き孔622に係止する。このため、第1及び第2実施形態よりもさらに強固にケース2が開くことを防止することが可能になる。
【0042】
突出部61及び切欠き孔62は、第1端面部231及び第2端面部232のいずれに配置されてもよい。突出部及び切欠き孔の形状及び配置は、上記説明した実施形態に限定されない。
【0043】
内側凸部42が保持部4の内側へ凸となる形状は、断面視略V字状に限定されない。内側凸部42の断面視の形状は、他の形状であってよい。例えば、内側凸部は、保持部4の内側に向かって凸となるように湾曲していてもよく、底部を有する略コの字状に形成されていてもよく、保持部4の内側に位置する底辺が、保持部4の外側に位置する底辺よりも幅が狭い台形に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 戸車、 2 ケース、 3 車輪、 6 開き規制部、 21 側面部、 23 端面部、 61 突出部、 62 切欠き孔、 63 境界線(境界)、 231 第1端面部、 232 第2端面部、 621 第1の切欠き孔、 622 第2の切欠き孔

図1
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図9