(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059083
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】通信システム、光伝送装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/114 20130101AFI20230419BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H04B10/114
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168985
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000242600
【氏名又は名称】北陽電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】林屋 利明
【テーマコード(参考)】
5F131
5K102
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA37
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA23
5F131DA43
5F131DC05
5F131DD02
5F131DD17
5F131DD52
5F131DD75
5F131DD82
5F131GA14
5K102AA15
5K102AL23
5K102AL28
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】無人搬送車と基板処理装置のロードポートとの間の配線を簡素化できる通信システム、光伝送装置および通信方法を提供する。
【解決手段】通信システムは、無人搬送車と基板処理装置のロードポートとの間で信号を送受信する通信システムであって、無人搬送車と光通信可能に構成され、かつ第1通信線を介して互いに接続された複数の第1通信部を有する第1通信ユニットと、複数のロードポートにそれぞれ接続され、かつ第2通信線を介して互いに接続された複数の第2通信部を有する第2通信ユニットと、を備え、複数の第1通信部はそれぞれ、複数の第2通信部のうち予め決定された一の第2通信部とペアを構成し、複数のペアのうちの一つのペアが通信ペアに設定され、当該通信ペアを介して、複数の第1通信部と複数の第2通信部との間で信号が送受信される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車と基板処理装置のロードポートとの間で信号を送受信する通信システムであって、
無人搬送車と光通信可能に構成され、かつ第1通信線を介して互いに接続された複数の第1通信部を有する第1通信ユニットと、
複数のロードポートにそれぞれ接続され、かつ第2通信線を介して互いに接続された複数の第2通信部を有する第2通信ユニットと、を備え、
前記複数の第1通信部はそれぞれ、前記複数の第2通信部のうち予め決定された一の第2通信部とペアを構成し、
複数の前記ペアのうちの一つのペアが通信ペアに設定され、当該通信ペアを介して、前記複数の第1通信部と前記複数の第2通信部との間で信号が送受信される、
通信システム。
【請求項2】
前記無人搬送車は、前記複数のロードポートよりも上方に設けられた軌道に沿って移動する天井走行式無人搬送車であり、
前記複数の第1通信部は、前記複数のロードポートよりも上方において前記軌道に沿うように、かつ互いに離隔して設けられている、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の第1通信部はそれぞれ、前記無人搬送車から受信した信号を、自身と前記ペアを構成する前記第2通信部に対して送信し、前記複数の第2通信部はそれぞれ、前記ロードポートから入力された信号を、自身と前記ペアを構成する前記第1通信部に対して送信する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の第1通信部および前記複数の第2通信部のうちの一つがマスタ通信部に設定され、前記マスタ通信部以外の全ての前記第1通信部および前記第2通信部がスレーブ通信部に設定され、
前記マスタ通信部は、ポーリング通信によって、複数の前記スレーブ通信部に対して送信要求の有無を順に確認し、
前記スレーブ通信部は、前記ポーリング通信に応答して、自身と前記ペアを構成する前記第1通信部または前記第2通信部に対して所定の信号を送信する、
請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
マスタ通信部を備え、
前記複数の第1通信部および前記複数の第2通信部がそれぞれスレーブ通信部に設定され、
前記マスタ通信部は、ポーリング通信によって、複数の前記スレーブ通信部に対して送信要求の有無を順に確認し、
前記スレーブ通信部は、前記ポーリング通信に応答して、自身と前記ペアを構成する前記第1通信部または前記第2通信部に対して所定の信号を送信する、
請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記マスタ通信部は、前記複数の第1通信部の通信履歴を記憶する、
請求項4または5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記複数の第1通信部および前記複数の第2通信部が一つずつ順番にマスタ通信部に設定され、
前記マスタ通信部に設定された前記第1通信部または前記第2通信部は、前記複数の第1通信部および前記複数の第2通信部のうち予め決定された一つをスレーブ通信部として、送信要求の有無を確認する信号を前記スレーブ通信部に送信し、
前記スレーブ通信部は、前記マスタ通信部からの信号に応答して、自身と前記ペアを構成する前記第1通信部または前記第2通信部に対して所定の信号を送信する、
請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
前記第1通信ユニットと前記第2通信ユニットとを接続する第3通信線を備え、
前記第1通信線、前記第2通信線および前記第3通信線はそれぞれシリアル通信線である、
請求項1から7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の通信システムにおいて前記第1通信部として用いられる光伝送装置であって、
光信号を送受信する送受信部と、
第1外部装置との間で信号を送受信する通信線が接続される第1接続部と、
第2外部装置との間で信号を送受信する通信線が接続される第2接続部と、を備える、
光伝送装置。
【請求項10】
識別情報を設定する識別情報設定部を備える、
請求項9に記載の光伝送装置。
【請求項11】
無人搬送車と、基板処理装置と、前記無人搬送車と光通信可能に構成されかつ第1通信線を介して互いに接続された複数の第1通信部を有する第1通信ユニットと、前記基板処理装置の複数のロードポートにそれぞれ接続されかつ第2通信線を介して互いに接続された複数の第2通信部を有する第2通信ユニットと、を備え、前記複数の第1通信部がそれぞれ、前記複数の第2通信部のうち予め決定された一の第2通信部とペアを構成している製造システムにおいて、
複数の前記ペアのうちの一つのペアを通信ペアに設定し、当該通信ペアを介して、前記複数の第1通信部と前記複数の第2通信部との間で信号を送受信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、光伝送装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場では、半導体ウェハを搬送するために、自動搬送システムが利用されている。自動搬送システムでは、例えば、無人搬送車によって、半導体ウェハを収納したキャリア(例えば、FOUP:Front Opening Unified Pod)の搬送、および基板処理装置(例えば、半導体製造装置)のロードポートに対するキャリアの受け渡し(キャリアの載置およびキャリアの受け取り)が行われる。
【0003】
無人搬送車は、基板処理装置との間で通信を行いつつ、ロードポートに対してキャリアの受け渡しを行う。例えば、無人搬送車からロードポートにキャリアを載置する際には、無人搬送車は、所定の位置に移動して、ロードポートとの通信を開始し、ロードポートがキャリアを受け入れ可能な状態であるかどうか確認する。無人搬送車は、ロードポートがキャリアを受け入れ可能な状態であることを確認した後、ロードポートにキャリアを載置する。
【0004】
従来、上記のような自動搬送システムにおいて、無人搬送車とロードポートとの間で通信を行うために、光通信が利用されている。例えば、特許文献1に開示された製造システムは、天井走行車(無人搬送車)と、複数の製造装置とを備えている。各製造装置は、複数の載置ポート(ロードポート)を備えている。天井走行車は、光IO(以下、車側光IOと記載する。)を備えている。また、各載置ポートにも、光IO(以下、ポート側光IOと記載する。)が接続されている。ポート側光IOは、載置ポートごとに設けられている。
【0005】
特許文献1の製造システムでは、天井走行車は、車側光IOおよびポート側光IOを介して各載置ポートと通信を行うことによって、各載置ポートがキャリアを受け入れ可能な状態かどうかを確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の製造システムにおいては、ポート側光IOと載置ポートとは、有線接続されている。また、上述したように、特許文献1の製造システムでは、載置ポートごとにポート側光IOを設ける必要がある。このため、特許文献1の製造システムでは、複数の載置ポートと複数のポート側光IOとをそれぞれ別個に接続する必要があり、接続作業に時間がかかる。また、複数の載置ポートと複数のポート側光IOとをそれぞれ接続する複数の通信線間においてノイズによる混信が発生するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的の一例は、無人搬送車と基板処理装置のロードポートとの間の配線を簡素化できる通信システム、光伝送装置および通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一側面における通信システムは、無人搬送車と基板処理装置のロードポートとの間で信号を送受信する通信システムであって、無人搬送車と光通信可能に構成され、かつ第1通信線を介して互いに接続された複数の第1通信部を有する第1通信ユニットと、複数のロードポートにそれぞれ接続され、かつ第2通信線を介して互いに接続された複数の第2通信部を有する第2通信ユニットと、を備え、複数の第1通信部はそれぞれ、複数の第2通信部のうち予め決定された一の第2通信部とペアを構成し、複数のペアのうちの一つのペアが通信ペアに設定され、当該通信ペアを介して、複数の第1通信部と複数の第2通信部との間で信号が送受信される、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する通信システムでは、一つのペアを通信ペアに設定することで第1通信ユニットの複数の第1通信部および第2通信ユニットの複数の第2通信部を一ライン化して通信できる。これにより、無人搬送車と複数のロードポートとの間の配線を簡素化できる。具体的には、複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に接続する必要がない。このため、第1通信ユニットと第2通信ユニットとの接続作業が容易になるとともに、第1通信ユニットと第2通信ユニットとの間で信号を送受信する際にノイズによる混信が発生することを防止することができる。
【0011】
なお、通常、隣り合うロードポート同士の間隔は、一般的に離れて設置される第1通信部と第2通信部との間隔よりも十分に小さい。また、通常、第1通信部および第2通信部は、ロードポートに対応して設けられるので、隣り合う第1通信部同士の間隔および隣り合う第2通信部同士の間隔も、離れて設置される第1通信部と第2通信部との間隔よりも十分に小さい。この点に関して、本発明では、複数の第1通信部を接続する第1通信線および複数の第2通信部を接続する第2通信線が必要になるが、上記のように複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に接続する必要はない。例えば、複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に長い接続線を敷設して接続する場合に比べて、それぞれの長い接続線を排することができるので、通信システム全体として通信線の合計長さを短くできる。これにより、通信システムの設置コストを低減できる。
【0012】
また、第1通信ユニットと第2通信ユニットとの間には、無人搬送車が移動するためのスペースを確保する必要がある。この点に関して、本発明では、上記のように複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に接続する必要がない。この場合、複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に接続する場合に比べて、通信システムのレイアウトの自由度が高くなる。これにより、第1通信ユニットと第2通信ユニットとの間に、無人搬送車が移動するためのスペースを容易に確保することができる。その結果、通信システムの設置作業が容易になる。
【0013】
(2)上記(1)の通信システムにおいて、無人搬送車は、複数のロードポートよりも上方に設けられた軌道に沿って移動する天井走行式無人搬送車であり、複数の第1通信部は、複数のロードポートよりも上方において軌道に沿うように、かつ互いに離隔して設けられていてもよい。天井走行式無人搬送車を用いる場合には、一般に、無人搬送車の軌道とロードポートとの間隔が大きくなる。この場合、ロードポートの上方の高い位置に設けられる第1通信ユニットと第2通信ユニットとの間隔も大きくなるが、本発明では、上記のように複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に接続する必要がなく、長い接続線をそれぞれ敷設して別個に接続する必要がない。このため、離れて設置される第1通信ユニットと第2通信ユニットとの間隔が大きくなったとしても、複数の第1通信部と複数の第2通信部とをそれぞれ別個に接続する場合に比べて、第1通信ユニットと第2通信ユニットとを容易に接続することができる。また、通信システム全体として通信線の合計長さを十分に短くできる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)の通信システムにおいて、複数の第1通信部はそれぞれ、無人搬送車から受信した信号を、自身とペアを構成する第2通信部に対して送信し、複数の第2通信部はそれぞれ、ロードポートから入力された信号を、自身とペアを構成する第1通信部に対して送信してもよい。本発明では、複数の第1通信部および複数の第2通信部を一ライン化できるので、通信ペア以外のペアについては、第1通信部と第2通信部とを通信線等によって直接接続しなくても、ペアを構成する第1通信部と第2通信部との間で信号を適切に送受信できる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの通信システムにおいて、複数の第1通信部および複数の第2通信部のうちの一つがマスタ通信部に設定され、マスタ通信部以外の全ての第1通信部および第2通信部がスレーブ通信部に設定され、マスタ通信部は、ポーリング通信によって、複数のスレーブ通信部に対して送信要求の有無を順に確認し、スレーブ通信部は、ポーリング通信に応答して、自身とペアを構成する第1通信部または第2通信部に対して所定の信号を送信してもよい。この場合、複数の第1通信部および複数の第2通信部から同時に信号が送信されることを防止できる。これにより、複数の第1通信部および複数の第2通信部が一ライン化されている場合でも、混信の発生をより適切に防止できる。
【0016】
(5)上記(1)から(3)のいずれかの通信システムにおいて、マスタ通信部を備え、複数の第1通信部および複数の第2通信部がそれぞれスレーブ通信部に設定され、マスタ通信部は、ポーリング通信によって、複数のスレーブ通信部に対して送信要求の有無を順に確認し、スレーブ通信部は、ポーリング通信に応答して、自身とペアを構成する第1通信部または第2通信部に対して所定の信号を送信してもよい。この場合、複数の第1通信部および複数の第2通信部から同時に信号が送信されることを防止できる。これにより、複数の第1通信部および複数の第2通信部が一ライン化されている場合でも、混信の発生をより適切に防止できる。
【0017】
(6)上記(4)または(5)の通信システムにおいて、マスタ通信部は、複数の第1通信部の通信履歴を記憶してもよい。この場合、第1通信部の通信履歴の管理が容易になる。
【0018】
(7)上記(1)から(3)のいずれかの通信システムにおいて、複数の第1通信部および複数の第2通信部が一つずつ順番にマスタ通信部に設定され、マスタ通信部に設定された第1通信部または第2通信部は、複数の第1通信部および複数の第2通信部のうち予め決定された一つをスレーブ通信部として、送信要求の有無を確認する信号をスレーブ通信部に送信し、スレーブ通信部は、マスタ通信部からの信号に応答して、自身とペアを構成する第1通信部または第2通信部に対して所定の信号を送信してもよい。この場合、複数の第1通信部および複数の第2通信部から同時に信号が送信されることを防止できる。これにより、複数の第1通信部および複数の第2通信部が一ライン化されている場合でも、混信の発生をより適切に防止できる。
【0019】
(8)上記(1)から(7)のいずれかの通信システムにおいて、第1通信ユニットと第2通信ユニットとを接続する第3通信線を備え、第1通信線、第2通信線および第3通信線はそれぞれシリアル通信線であってもよい。この場合、通信システムの配線を十分に簡素化できる。
【0020】
(9)上記目的を達成するため、本発明の一側面における光伝送装置は、上記(1)から(8)のいずれかの通信システムにおいて第1通信部として用いられる光伝送装置であって、光信号を送受信する送受信部と、第1外部装置との間で信号を送受信するための通信線が接続される第1接続部と、第2外部装置との間で信号を送受信するための通信線が接続される第2接続部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
上記の構成の光伝送装置を上述の通信システムの第1通信部として用いる場合、第1接続部と第2接続部とを用いることによって、複数の第1通信部を容易に一ライン化できる。
【0022】
(10)上記(9)の光伝送装置において、識別情報を設定する識別情報設定部を備えていてもよい。この場合、複数の第1通信部の識別情報(ペアを特定するための識別情報)の設定が容易になる。
【0023】
(11)上記目的を達成するため、本発明の一側面における通信方法は、無人搬送車と、基板処理装置と、無人搬送車と光通信可能に構成されかつ第1通信線を介して互いに接続された複数の第1通信部を有する第1通信ユニットと、基板処理装置の複数のロードポートにそれぞれ接続されかつ第2通信線を介して互いに接続された複数の第2通信部を有する第2通信ユニットと、を備え、複数の第1通信部がそれぞれ、複数の第2通信部のうち予め決定された一の第2通信部とペアを構成している製造システムにおいて、複数のペアのうちの一つのペアを通信ペアに設定し、当該通信ペアを介して、複数の第1通信部と複数の第2通信部との間で信号を送受信する、ことを特徴とする。
【0024】
上記の通信方法では、第1通信ユニットの複数の第1通信部および第2通信ユニットの複数の第2通信部を一ライン化した状態で、無人搬送車と複数のロードポートとの間で信号を送受信できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、無人搬送車と基板処理装置のロードポートとの間の配線を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムを利用した製造システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1通信部(光伝送装置)の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、第2通信部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、ポーリング通信を利用した通信例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、複数の第1通信部および複数の第2通信部が一つずつ順番にマスタ通信部に設定される場合の通信例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、通信システムの変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、通信システムの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る通信システムおよび通信方法について図面を用いて説明する。
【0028】
(製造システムの概要)
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムを利用した製造システムを示す概略図である。
図1に示すように、製造システム1は、通信システム10と、基板処理装置100と、搬送設備200とを備えている。基板処理装置100および搬送設備200としては、公知の種々の基板処理装置および搬送設備を用いることができるので、まず、基板処理装置100および搬送設備200について簡単に説明する。
【0029】
基板処理装置100は、半導体製品の基板に表面処理等の所定の処理を行う装置である。基板処理装置100は、複数のロードポート102a,102b,102c,102dを備えている。各ロードポート102a,102b,102c,102dには、複数の基板を収容したキャリア(図示せず。例えば、FOUP。)が載置される。製造システム1では、ロードポート102a,102b,102c,102d上に載置されたキャリアを介して、基板処理装置100への基板の搬入および基板処理装置100からの基板の搬出が行われる。
【0030】
搬送設備200は、軌道202および軌道202に沿って走行する無人搬送車204を備えている。軌道202は、複数のロードポート102a,102b,102c,102dよりも上方に設けられている。本実施形態では、軌道202は、例えば、工場の天井に設置されたレールであり、無人搬送車204は、例えば、天井走行式無人搬送車(OHT:Overhead Hoist Transport)である。無人搬送車204は、例えば、ホイスト機構を有している。無人搬送車204は、軌道202に沿ってキャリア(図示せず)を搬送するとともに、ホイスト機構を用いて任意のロードポート102a,102b,102c,102dに対してキャリアの受け渡しを行う。
【0031】
無人搬送車204は、後述する第1通信部12a,12b,12c,12dと光無線通信を行う光伝送装置204aを備えている。また、無人搬送車204は、有線または無線のネットワーク(図示せず)を介してホストコンピュータ(図示せず。)に接続されており、無人搬送車204の動作は、ホストコンピュータによって管理されている。無人搬送車204は、ホストコンピュータから与えられる指令に基づいて、キャリアの搬送およびロードポート102a,102b,102c,102dに対するキャリアの受け渡しを行う。なお、ホストコンピュータによる無人搬送車204の動作管理は、既存の基板処理施設において行われている無人搬送車の動作管理と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
(通信システムの構成)
次に、通信システム10について詳細に説明する。通信システム10は、第1通信ユニット12と、第2通信ユニット14と、第1通信ユニット12および第2通信ユニット14を接続する通信線16とを備えている。本実施形態では、通信線16が第3通信線に対応する。通信線16は、例えば、シリアル通信線であり、第1通信ユニット12および第2通信ユニット14は、互いにシリアル通信できるように接続されている。なお、通信線16としては、例えば、モジュラーケーブル等の公知の種々のシリアル通信が可能な通信線を利用できる。
【0033】
第1通信ユニット12は、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dを有している。第1通信部12a,12b,12c,12dはそれぞれ、無人搬送車204の光伝送装置204aと光通信可能に構成された光伝送装置である。本実施形態では、第1通信部12aは、無人搬送車204との間でパラレル通信を行う。
【0034】
第1通信部12a,12b,12c,12dは、ロードポート102a,102b,102c,102dよりも上方において軌道202に沿うように、かつ互いに離隔して設けられている。より具体的には、第1通信部12a,12b,12c,12dは、ロードポート102a,102b,102c,102dの上方にそれぞれ位置付けられている。
【0035】
第1通信部12a,12b,12c,12dは、複数の通信線50a,50b,50cによって互いに接続されている。本実施形態では、通信線50a,50b,50cがそれぞれ第1通信線に対応する。通信線50a,50b,50cは、例えば、シリアル通信線であり、第1通信部12a,12b,12c,12dは、互いにシリアル通信できるように接続されている。なお、通信線50a,50b,50cとしては、例えば、モジュラーケーブル等の公知の種々のシリアル通信が可能な通信線を利用できる。
【0036】
図2は、第1通信部(光伝送装置)12aの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、第1通信部12aは、送受信部20、制御部22、一対の接続部24および識別情報設定部26を備えている。本実施形態では、一対の接続部24のうちの一方が第1接続部に対応し、他方が第2接続部に対応する。
【0037】
送受信部20は、無人搬送車204の光伝送装置204a(
図1参照)との間で光信号を送受信する。本実施形態では、送受信部20は、例えば、LED等の発光素子、フォトダイオード等の受光素子、および送受信回路を備え、電気信号を光信号に変換して無人搬送車204に送信するとともに、無人搬送車204から受信した光信号を電気信号に変換する。送受信部20の構成としては、公知の光伝送装置の構成を利用できる。
【0038】
制御部22は、CPU、記憶部(RAM、ROM)およびドライバ等を含み、信号の送受信を制御する。本実施形態では、制御部22は、送受信部20から入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換し、接続部24から入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換する。また、制御部22は、第1通信部12aの識別情報を設定する。本実施形態では、制御部22は、ユーザによる識別情報設定部26の操作に応じて、第1通信部12aの識別情報を設定する。識別情報設定部26としては、例えば、ディップスイッチを用いることができる。なお、制御部22の構成としては、公知の光伝送装置の構成を利用できる。
【0039】
詳細な説明は省略するが、第1通信部(光伝送装置)12aにおいて識別情報が予め設定されていてもよい。例えば、第1通信部(光伝送装置)12aが備えるROM等の記憶部に識別情報が予め記憶されていてもよい。この場合、識別情報設定部は設けられなくてもよい。第1通信部12b,12c,12dおよび第2通信部14a,14b,14c,14dについても同様である。
【0040】
一対の接続部24は、外部装置との間で信号を送受信するための通信線を接続できるように構成されている。本実施形態では、一対の接続部24の一方には通信線16が接続され、他方には通信線50aが接続される。本実施形態では、一方の接続部24は、通信線16を介して第1外部装置としての第2通信部14a(
図1参照)に接続され、他方の接続部24は、通信線50aを介して第2外部装置としての第1通信部12b(
図1参照)に接続される。
【0041】
なお、詳細な説明は省略するが、第1通信部12b,12c,12dは、第1通信部12aと同様に、送受信部20、制御部22、一対の接続部24および識別情報設定部26を備えている。第1通信部12bの一方の接続部24には通信線50aが接続され、他方の接続部24には通信線50bが接続される。第1通信部12cの一方の接続部24には通信線50bが接続され、他方の接続部24には通信線50cが接続される。第1通信部12dの一方の接続部24には通信線50cが接続される。
【0042】
上記のように、本実施形態では、第1通信部12aの一の接続部24、通信線50a、第1通信部12bの一対の接続部24、通信線50b、第1通信部12cの一対の接続部24、通信線50c、および第1通信部12dの一の接続部24によって、第1通信部12a,12b,12c,12dを一ライン化できる。
【0043】
図1に示すように、第2通信ユニット14は、複数の第2通信部14a,14b,14c,14dを有している。複数の第2通信部14a,14b,14c,14dは、ロードポート102a,102b,102c,102dとの間で信号を送受信する。
【0044】
第1通信ユニット12の第1通信部12a,12b,12c,12dはそれぞれ、第2通信部14a,14b,14c,14dのうちの予め決定された一つとペアを構成する。本実施形態では、第1通信部12aと第2通信部14aとがペア30aを構成し、第1通信部12bと第2通信部14bとがペア30bを構成し、第1通信部12cと第2通信部14cとがペア30cを構成し、第1通信部12dと第2通信部14dとがペア30dを構成している。本実施形態では、ペア30aが通信ペアとして機能する。
【0045】
第2通信部14a,14b,14c,14dは、複数の通信線52a,52b,52cによって互いに接続されている。本実施形態では、通信線52a,52b,52cがそれぞれ第2通信線に対応する。通信線52a,52b,52cは、例えば、シリアル通信線であり、第2通信部14a,14b,14c,14dは、互いにシリアル通信できるように接続されている。なお、通信線52a,52b,52cとしては、例えば、モジュラーケーブル等の公知の種々のシリアル通信が可能な通信線を利用できる。
【0046】
図3は、第2通信部14aの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図3に示すように、第2通信部14aは、一対の接続部40、制御部42、接続部44および識別情報設定部46を備えている。
【0047】
一対の接続部40は、外部装置との間で信号を送受信するための通信線を接続できるように構成されている。本実施形態では、一対の接続部40の一方には通信線16が接続され、他方には通信線52aが接続される。本実施形態では、一方の接続部40は、通信線16を介して第1外部装置としての第1通信部12a(
図1参照)に接続され、他方の接続部40は、通信線52aを介して第2外部装置としての第2通信部14b(
図1参照)に接続される。
【0048】
制御部42は、CPU、記憶部(RAM、ROM)およびドライバ等を含み、信号の送受信を制御する。本実施形態では、制御部42は、接続部40から入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換し、接続部44から入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換する。また、制御部42は、第2通信部14aの識別情報を設定する。本実施形態では、制御部42は、ユーザによる識別情報設定部46の操作に応じて、第2通信部14aの識別情報を設定する。識別情報設定部46としては、例えば、ディップスイッチを用いることができる。
【0049】
接続部44は、ロードポート102aに接続される。本実施形態では、接続部44は、ロードポート102aとの間でパラレル通信を行う。
【0050】
なお、詳細な説明は省略するが、第2通信部14b,14c,14dは、第2通信部14aと同様に、一対の接続部40、制御部42、接続部44および識別情報設定部46を有している。第2通信部14bの一方の接続部40には通信線52aが接続され、他方の接続部40には、通信線52bが接続される。第2通信部14bの接続部44は、ロードポート102bに接続される。第2通信部14cの一方の接続部40には通信線52bが接続され、他方の接続部40には、通信線52cが接続される。第2通信部14cの接続部44は、ロードポート102cに接続される。第2通信部14dの一方の接続部40には通信線52cが接続される。第2通信部14dの接続部44は、ロードポート102dに接続される。
【0051】
上記のように、本実施形態では、第2通信部14aの一の接続部40、通信線52a、第2通信部14bの一対の接続部40、通信線52b、第2通信部14cの一対の接続部40、通信線52c、および第2通信部14dの一の接続部40によって、第2通信部14a,14b,14c,14dを一ライン化できる。
【0052】
図1を参照して、無人搬送車204は、ロードポート102a,102b,102c,102dを介して基板処理装置100が備える制御装置(図示せず)と通信を行いつつ、ロードポート102a,102b,102c,102dとの間でキャリアの受け渡しを行う。例えば、基板処理装置100にキャリアを搬送する際には、無人搬送車204は、図示しないホストコンピュータの指令に基づいて、キャリアの搬送対象となるロードポートの上方に移動する。そして、無人搬送車204は、当該ロードポートとの間で、キャリアの受け渡しに必要な信号を送受信しながら、キャリアの受け渡しを行う。
【0053】
本実施形態では、例えば、無人搬送車204は、複数のペア30a~30dのうち、キャリアの搬送対象となるロードポートに対応するペアを介して、当該ロードポートとの間で信号を送受信する。例えば、ロードポート102aにキャリアを搬送する際には、無人搬送車204は、ロードポート102aに対応するペア30aを介して、ロードポート102aとの間で信号を送受信する。詳細な説明は省略するが、無人搬送車204とロードポート(基板処理装置100)との間の通信は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)のE84規格のインターロックシーケンスに従って行われる。
【0054】
なお、本実施形態では、上述したように、第1通信部12a,12b,12c,12dは、複数の通信線50a,50b,50cによって一ライン化されており、第2通信部14a,14b,14c,14dは、複数の通信線52a,52b,52cによって一ライン化されている。また、ペア30aを構成する第1通信部12aおよび第2通信部14bが通信線16によって通信可能に接続されている。すなわち、本実施形態では、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dが、通信線16,50a,50b,50c,52a,52b,52cによって一ライン化されている。
【0055】
上記の構成により、無人搬送車204から第1通信部12aに与えられた信号およびロードポート102aから第2通信部14aに与えられた信号だけでなく、無人搬送車204から第1通信部12b,12c,12dに与えられた信号およびロードポート102b,102c,102dから第2通信部14b,14c,14dに与えられた信号も、ペア30aおよび通信線16を介して送受信できる。
【0056】
例えば、ロードポート102bにキャリアを搬送する場合には、無人搬送車204は、ロードポート102bの上方に移動した後、ペア30b(通信部12b,14b)およびペア30a(通信部12a,14a)を介して、ロードポート102bとの間で所定の信号を送受信する。具体的には、第1通信部12bは、光通信によって無人搬送車204から与えられた信号を、通信線50a、第1通信部12a、通信線16、第2通信部14a、通信線52aおよび第2通信部14bを介して、ロードポート102bに送信する。また、第2通信部14bは、ロードポート102bから与えられた信号を、通信線52a、第2通信部14a、通信線16、第1通信部12a、通信線50aおよび第1通信部12bを介して、無人搬送車204に送信する。
【0057】
このように、本実施形態では、第1通信部12bおよび第2通信部14b、第1通信部12cおよび第2通信部14c、並びに第1通信部12dおよび第2通信部14dを、通信線等によって直接的に通信可能な状態に設定することなく、第1通信部12aおよび第2通信部14aを介して、第1通信部12b,12c,12dと第2通信部14b,14c,14dとの間で信号を送受信できる。言い換えると、本実施形態では、複数のペア30a,30b,30c,30dのうち、一つのペア(本実施形態ではペア30a)を構成する第1通信部および第2通信部を直接的に通信可能な構成とすることにより、他のペアを構成する第1通信部および第2通信部間の通信が可能になる。これにより、無人搬送車204とロードポート102a,102b,102c,102dとの間の配線を簡素化できる。この場合、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14との接続作業が容易になるとともに、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14との間で信号を送受信する際にノイズによる混信が発生することを防止することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、第1通信部12a~12dと第2通信部14a~14dとの間隔に比べて、隣り合う第1通信部同士の間隔および隣り合う第2通信部同士の間隔は、十分に小さい。この点に関して、本実施形態では、第1通信部12a~12dを接続する通信線50a~50cおよび第2通信部14a~14dを接続する通信線52a~52cが必要になるが、上記のように第1通信部12a~12dと第2通信部14a~14dとをそれぞれ別個に長い接続線を敷設して接続する必要はない。この場合、第1通信部12a~12dと第2通信部14a~14dとをそれぞれ別個に接続する場合に比べて、それぞれの長い接続線を排することができるので、通信システム10全体として通信線の合計長さを短くできる。これにより、通信システム10の設置コストを低減できる。
【0059】
また、本実施形態では、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14との間には、無人搬送車204が移動するためのスペースを確保する必要がある。この点に関して、本実施形態では、上記のように第1通信部12a~12dと第2通信部14a~14dとをそれぞれ別個に接続する必要がない。この場合、第1通信部12a~12dと第2通信部14a~14dとをそれぞれ別個に接続する場合に比べて、通信システム10のレイアウトの自由度が高くなる。これにより、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14との間に、無人搬送車204が移動するためのスペースを容易に確保することができる。その結果、通信システム10の設置作業が容易になる。
【0060】
また、本実施形態では、天井走行式の無人搬送車204が用いられている。このため、無人搬送車204の軌道とロードポート102a,102b,102c,102dとの間隔が大きくなる。この場合、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14との間隔も大きくなるが、本実施形態では、上記のように第1通信部12a~12dと第2通信部14a~14dとをそれぞれ別個に接続する必要がなく、長い接続線をそれぞれ敷設して別個に接続する必要がない。このため、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14との間隔が大きくなったとしても、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14とを容易に接続することができる。また、通信システム10全体として通信線の合計長さを十分に短くできる。これにより、通信システム10の設置コストを低減できる。
【0061】
(通信システムによる通信の例)
なお、搬送設備が複数の無人搬送車を備えている場合には、複数の無人搬送車が、複数の第1通信部に対して同時または短時間の間に信号を送信することがあり得る。また、複数のロードポートが、複数の第2通信部に対して同時または短時間の間に信号を送信することがあり得る。このような場合には、複数の第1通信部が同時に信号を出力したり、複数の第2通信部が同時に信号を出力したりすることによって、混信が発生するおそれがある。そこで、本実施形態に係る通信システム10においては、このような混信の発生を防止するために、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dに対して、信号を発信する機会を順番に与えている。
【0062】
具体的には、本実施形態に係る通信システム10では、複数の第1通信部および複数の第2通信部のうちの一つをマスタ通信部に設定し、他の全ての第1通信部および第2通信部をスレーブ通信部に設定する。そして、マスタ通信部は、ポーリング通信によって、複数のスレーブ通信部に対して送信要求の有無を順に確認し、スレーブ通信部は、ポーリング通信に応答して、自身とペアを構成する第1通信部または第2通信部に対して所定の信号を送信する。以下、ポーリング通信を利用した通信システム10の通信方法の一例を説明する。
【0063】
図4は、ポーリング通信を利用した通信例を説明するための図である。なお、
図4には、第2通信部14aをマスタ通信部に設定し、第1通信部12a,12b,12c,12dおよび第2通信部14b,14c,14dをスレーブ通信部に設定した場合の通信例を示している。また、
図4には、無人搬送車204(
図1参照)がロードポート102b(
図1参照)との間で信号を送受信する場合の通信例を示している。なお、下記に示す通信例は、まず、無人搬送車204から第1通信部12bを介してロードポート102bに対して信号が送信され、ロードポート102bが、無人搬送車204から送信された信号に応答して、第2通信部14bを介して無人搬送車204に対して信号を送信することを前提とする。
【0064】
図4に示す通信例では、第2通信部(マスタ通信部)14aの制御部42(
図3参照)は、第1通信部12a、第1通信部12b、第1通信部12c、第1通信部12d、第2通信部14b、第2通信部14cおよび第2通信部14dに対して、この順番で、送信要求の有無を確認するための信号(
図4において、番号1、2、5、6、7、10および11の確認信号)を送信する。なお、マスタ通信部は、所定時間ごとに確認信号をスレーブ通信部に送信してもよく、スレーブ通信部から送信すべき信号が無いことを示す信号または応答信号を受信した場合に、次の順番のスレーブ通信部に対して確認信号を送信してもよい。
【0065】
ここで、
図4に示す例では、上述したように、無人搬送車204(
図1参照)から第1通信部12bに対して信号が送信されている。このため、第1通信部12bは、第2通信部14aからの確認信号(
図4において番号2の確認信号)に応答して、自身とペアを構成する第2通信部14bに対して信号(
図4において番号3および4の応答信号。)を送信する。第2通信部14bは、入力された応答信号を、ロードポート102b(
図1参照)に送信する。
【0066】
なお、本実施形態では、第1通信部(
図4では第1通信部12b)から送信される応答信号には、マスタ通信部(
図4では第2通信部14a)の識別情報と、送信対象である第2通信部(
図4では第2通信部14b)の識別情報が付されている。これらの識別情報に基づいて、第1通信部から送信される応答信号は、マスタ通信部に送信された後、マスタ通信部から第2通信部に送信される。なお、詳細な説明は省略するが、第1通信部から送信対象である第2通信部に対して信号が直接送信されてもよい。
【0067】
また、
図4に示す例では、上述したように、ロードポート102b(
図1参照)は、無人搬送車204からの信号に応答して、第2通信部14bに対して信号を送信する。このため、第2通信部14bは、第2通信部14aからの確認信号(
図4において番号7の確認信号)に応答して、自身とペアを構成する第1通信部12bに対して信号(
図4において番号8および9の応答信号。)を送信する。第1通信部12bは、入力された応答信号を、無人搬送車204に送信する。
【0068】
なお、本実施形態では、第2通信部(
図4では第2通信部14b)から送信される応答信号には、マスタ通信部(
図4では第2通信部14a)の識別情報と、送信対象である第1通信部(
図4では第1通信部12b)の識別情報が付されている。これらの識別情報に基づいて、第2通信部から送信される応答信号は、マスタ通信部に送信された後、マスタ通信部から第1通信部に送信される。なお、詳細な説明は省略するが、第2通信部から送信対象である第1通信部に対して信号が直接送信されてもよい。
【0069】
本実施形態では、上記のようにポーリング通信を利用することによって、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dから同時に信号が送信されることを防止できる。これにより、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dが一ライン化されている場合でも、混信の発生を防止できる。
【0070】
なお、本実施形態に係る通信システム10では、第1通信ユニット12および第2通信ユニット14が一ライン化されているので、上記のようにポーリング通信を利用する場合には、マスタ通信部の記憶部に、複数の第1通信部および複数の第2通信部の通信履歴を記憶できる。この場合、複数の第1通信部および複数の第2通信部の通信履歴の管理が容易になる。
【0071】
図4に示した例では、第2通信部14aがマスタ通信部に設定される場合について説明したが、第1通信部12a,12b,12c,12dまたは第2通信部14b,14c,14dのいずれかがマスタ通信部に設定されてもよい。また、マスタ通信部が送信要求の確認を行うスレーブ通信部の順番は、上述の例に限定されない。例えば、マスタ通信部としての第2通信部14aが、第1通信部12a、第2通信部14b、第1通信部12b、第2通信部14c、第1通信部12c、第2通信部14dおよび第1通信部12dに対してこの順番で、送信要求の確認を行ってもよい。
【0072】
図4には示していないが、無人搬送車またはロードポートからマスタ通信部に対して信号が送信されている場合には、マスタ通信部は、他の通信部に対して確認信号を送信するタイミングと異なるタイミングで、無人搬送車またはロードポートから入力された信号を送信対象の通信部に送信する。
【0073】
なお、上記の例では、ペア30aの第1通信部12aおよび第2通信部14aが通信線16によって接続されているが、第1通信部12aおよび第2通信部14aの代わりに、他のペア30b,30c,30dの第1通信部および第2通信部が通信線16によって接続されてもよい。この場合、通信線16によって接続された第1通信部および第2通信部が通信ペアとなる。
【0074】
(変形例)
上述の実施形態では、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dのうちの一つをマスタ通信部に設定する場合について説明したが、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dが一つずつ順番にマスタ通信部に設定されてもよい。
図5は、第1通信部12a,12b,12c,12dおよび第2通信部14a,14b,14c,14dが一つずつ順番にマスタ通信部に設定される場合の通信例を説明するための図である。
【0075】
なお、
図5には、第1通信部12a、第2通信部14a、第1通信部12b、第2通信部14b、第1通信部12c、第2通信部14c、第1通信部12dおよび第2通信部14dが、この順番でマスタ通信部に設定される場合の通信例を示している。なお、下記に示す通信例においても、まず、無人搬送車204から第1通信部12bを介してロードポート102bに対して信号が送信され、ロードポート102bが、無人搬送車204から送信された信号に応答して、第2通信部14bを介して無人搬送車204に対して信号を送信することを前提とする。
【0076】
図5に示す通信例では、まず、第1通信部12aがマスタ通信部に設定され、第1通信部12aから第2通信部14aに対して、送信要求の有無を確認するための信号(確認信号)が送信される。また、第1通信部12aは、マスタ通信部としての地位を譲渡することを示す信号(譲渡信号)を第2通信部14aに送信する。第1通信部12aから確認信号および譲渡信号を受けた第2通信部14aは、自身が送信すべき信号を有していない場合には、マスタ通信部として第1通信部12aに対して確認信号を送信するとともに、第1通信部12bに対して譲渡信号を送信する。
【0077】
このように、本通信例では、予め設定された順番にしたがって、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dに対して、確認信号および譲渡信号が順番に送信される。
【0078】
ここで、
図5に示す例では、上述したように、無人搬送車204(
図1参照)から第1通信部12bに対して信号が送信されている。このため、第1通信部12bは、マスタ通信部としての第2通信部14bからの確認信号に応答して、自身とペアを構成する第2通信部14bに対して応答信号を送信する。第2通信部14bは、入力された応答信号を、ロードポート102b(
図1参照)に送信する。
【0079】
また、
図5に示す例では、上述したように、ロードポート102b(
図1参照)は、無人搬送車204からの信号に応答して、第2通信部14bに対して信号を送信する。第2通信部14bは、ロードポート102bから信号が入力された状態で、マスタ通信部としての第1通信部12bから確認信号を受けると、その確認信号に応答して、第1通信部12bに対して応答信号を送信する。第1通信部12bは、入力された応答信号を、無人搬送車204に送信する。
【0080】
なお、マスタ通信部は、確認信号および譲渡信号を、別個の信号として送信してもよく、一連の信号として送信してもよい。また、マスタ通信部は、所定時間ごとに繰り返し確認信号をスレーブ通信部に送信してもよい。また、マスタ通信部は、スレーブ通信部に対して確認信号を送信した後、予め設定された時間経過したときに、次の順番の通信部に対して譲渡信号を送信してもよく、スレーブ通信部から送信すべき信号が無いことを示す信号または応答信号を受信した場合に、次の順番のスレーブ通信部に対して譲渡信号を送信してもよい。
【0081】
図5に示すように複数の通信部が順にマスタ通信部に設定される場合にも、複数の通信部から同時に信号が送信されることを防止できる。これにより、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dが一ライン化されている場合でも、混信の発生を防止できる。
【0082】
なお、詳細な説明は省略するが、マスタ通信部を設けずに、予め設定された順番で、複数の第1通信部12a,12b,12c,12dおよび複数の第2通信部14a,14b,14c,14dから順次信号を出力するようにしてもよい。ただし、ノイズおよび混信等の影響を十分に避ける観点からは、
図4および
図5で説明したように、マスタ通信部を設定した通信を行うことが好ましい。
【0083】
図6は、通信システムの変形例を示す図である。
図6に示す通信システム10aでは、第1通信部12aと第2通信部14aとが無線通信可能に構成されている。
【0084】
通信システム10aにおいては、第1通信部12aおよび第2通信部14aがそれぞれ無線通信機能を有し、第1通信部12aと第2通信部14aとは互いに無線通信可能に構成されている。すなわち、通信システム10aにおいても、上述の通信システム10と同様に、第1通信ユニット12および第2通信ユニット14が一ライン化されている。これにより、通信システム10aにおいても、通信システム10と同様の作用効果が得られる。また、通信システム10aにおいて、第1通信ユニット12と第2通信ユニット14とを接続する通信線が不要になるので、通信システム10aの設置がさらに容易になる。
【0085】
なお、通信システム10aにおいて、ペア30aの代わりに、ペア30b、ペア30cまたはペア30dの第1通信部と第2通信部とが無線通信可能に構成されていてもよい。また、第1通信部12a,12b,12c,12dおよび第2通信部14a,14b,14c,14dとは別の装置として無線通信機を設け、いずれかのペア30a,30b,30c,30dを無線通信可能としてもよい。
【0086】
図7は、通信システムの他の変形例を示す図である。上述の通信システム10では、第1通信部12a,12b,12c,12dおよび第2通信部14a,14b,14c,14dのうちの一つがマスタ通信部に設定されるが、
図7に示す通信システム10bでは、第1通信部12a,12b,12c,12dおよび第2通信部14a,14b,14c,14dとは別に、マスタ通信部18が設けられている。マスタ通信部18と第1通信部12aとは、通信線16aによって接続され、マスタ通信部18と第2通信部14aとは、通信線16bによって接続されている。通信線16a,16bは、上述の通信線16と同様の通信線である。
【0087】
通信システム10bにおいては、第1通信部12aと第2通信部14aとが、通信線16a、マスタ通信部18および通信線16bを介して接続されている。すなわち、通信システム10bにおいても、上述の通信システム10と同様に、第1通信ユニット12および第2通信ユニット14が一ライン化されている。これにより、通信システム10bにおいても、通信システム10と同様の作用効果が得られる。
【0088】
なお、通信システム10bにおいてポーリング通信を利用する場合には、第1通信部12a,12b,12c,12dおよび第2通信部14a,14b,14c,14dがそれぞれ、スレーブ通信部に設定される。マスタ通信部18の制御部は、ポーリング通信によって、複数のスレーブ通信部に対して送信要求の有無を順に確認し、スレーブ通信部は、ポーリング通信に応答して、自身とペアを構成する第1通信部または第2通信部に対して所定の信号を送信する。
【0089】
なお、上記においては、基板処理装置100の4つのロードポート102a,102b,102c,102dに対して本発明を適用する場合について説明したが、本発明が適用されるロードポートの数は4に限定されず、ロードポートの数は、2、3、または5以上であってもよい。第1通信部および第2通信部は、ロードポートに対応して設けられるので、第1通信部および第2通信部の数も、2、3、または5以上であってもよい。また、本発明は、複数の基板処理装置の複数のロードポートに対して適用することもできる。
【符号の説明】
【0090】
1 製造システム
10,10a,10b 通信システム
12 第1通信ユニット
12a,12b,12c,12d 第1通信部
14 第2通信ユニット
14a,14b,14c,14d 第2通信部
16,16a,16b 通信線
18 マスタ通信部
20 送受信部
22 制御部
24 接続部
26 識別情報設定部
30a,30b,30c,30d ペア
40 接続部
42 制御部
44 接続部
46 識別情報設定部
100 基板処理装置
102a,102b,102c,102d ロードポート
200 搬送設備
202 軌道
204 無人搬送車
204a 光伝送装置