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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059086
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】スラブ及びスラブの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230419BHJP
   E04B 5/38 20060101ALI20230419BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
E04B1/94 D
E04B5/38 A
E04B5/43 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168989
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】石丸 亮
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001EA02
2E001FA13
2E001GA13
2E001HB02
2E001KA01
2E001LA13
(57)【要約】
【課題】施工時間を低減でき、耐火性能を発揮させることが可能となるスラブ及びスラブの施工方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係るスラブ1は、コンクリート5とデッキプレート2とを備えるスラブ1であって、平板状に形成される平板部3と、平板部3から上方に立ち上がる立ち上がり部4と、を有するデッキプレート2と、デッキプレート2の上方に打設されるコンクリート5と、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6と、を備え、立ち上がり部4は、コンクリート5に接触される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートとデッキプレートとを備えるスラブであって、
平板状に形成される平板部と、前記平板部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有するデッキプレートと、
前記デッキプレートの上方に打設されるコンクリートと、
前記平板部の上面と前記コンクリートの間に設置される耐火被覆材と、を備え、
前記立ち上がり部は、前記コンクリートに接触されること
を特徴とするスラブ。
【請求項2】
前記デッキプレートは、前記平板部のみが下側に露出され、
前記耐火被覆材は、前記平板部の上面の略全域を覆うように設置されること
を特徴とするスラブ。
【請求項3】
コンクリートとデッキプレートとを備えるスラブの施工方法であって、
平板状に形成される平板部と、前記平板部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有するデッキプレートの前記平板部の上面に耐火被覆材を設置する設置工程と、
前記デッキプレートの上方からコンクリートを打設して前記立ち上がり部を前記コンクリートに接触させ、前記コンクリートを硬化させる打設工程と、を備えること
を特徴とするスラブの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブ及びスラブの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成スラブやRCスラブ等のスラブは、床や屋根等を構成する部材として用いられている。例えばエンボス等の合成機構を保持したデッキプレートとコンクリートからなる合成スラブは、ひび割れ拡大防止筋を設置した状態でデッキプレート上面からコンクリートを打設し、コンクリート硬化後に所定の構造性能を発揮する。合成スラブは、裏面のデッキプレートが露出された状態となっており、火災時にデッキプレート面を火炎で炙られた場合、デッキプレート及びコンクリートの温度が上昇し、徐々に荷重保持性能が低下してしまう。
【0003】
このようなことから、耐火性能を要求される構造物に用いる場合は、実際に用いる断面・スパンで載荷加熱試験を行い、所定の耐火時間(床の場合、通常1時間又は2時間)荷重を保持できるかどうかの確認を行い、公的な認可(国土交通大臣認定)を取得した上で使用している。所定の耐火時間を満足しない仕様については、デッキプレート下面に耐火被覆を施し、床スラブの温度上昇を抑える方法を用いている。非特許文献1に示すように、耐火被覆材には吹付けロックウールが用いられているが、耐火被覆の厚さの管理や施工後の床面の清掃などの作業手間や、施工時の粉塵の吸入など、健康管理が課題となっている。また、デッキプレートの下面に吹付けロックウールを用いる場合、作業者が上向きで吹付け作業を行うため、施工作業も難しい。
【0004】
近年、合理的な耐火設計を行うため、耐火性能検証法を用いた設計が増加してきている。これは、各室ごと予測される火災継続時間を算定し、各部位にその時間に応じた耐火性能を付与させるという設計法であるが、加熱物の多い室などは2時間以上の耐火性能を要求されることがある。床に要求される耐火性能としては、遮熱性(表面温度)、非損傷性(たわみ、たわみ速度)、遮炎性(火炎の噴出)があり、前記耐火性能検証法においては、要求耐火時間中に上記の遮熱性と、非損傷性と、遮炎性と、の何れも満足する必要がある。このように耐火時間が長くなるケースにおいては、床スラブ内の温度が著しく上昇し、遮熱性と非損傷性とを満足することが難しくなる。
【0005】
このため、コンクリート厚さを厚くすることで熱容量を増やし、更に鉄筋補強など構造的な補強を行う、もしくは前述の通り、耐火被覆を施すことで床スラブの温度上昇を抑える等の処置が必要となる。しかしながら、無被覆の場合は、床厚さを厚くする必要があり、その場合、階高への影響が出てくる。また、床自重も重くなるため、躯体断面への影響が考えられる。耐火被覆を用いた場合は、その点の懸念はないものの、床スラブ構築後に耐火被覆の設置作業が必要であり、工期に影響を及ぼす。
【0006】
マンション等居住空間に用いる床構造においては、コンクリート床スラブ裏面(下面)に断熱材を設けることがある。断熱材は、室内の居住性を高め、エネルギー効率を良くする効果がある。また、結露対策の役割も担っている。しかしながら、従来のスラブでは、デッキプレートとコンクリートを一体化させる必要があるため、断熱材をデッキプレート上面に設置することはできず、必ずデッキプレートの下面に設置しなければならない、という事情がある。
【0007】
例えば特許文献1の合成スラブは、山部と谷部を有したデッキプレートと、このデッキプレート上に打設されて硬化したコンクリートスラブと、を備える合成スラブであって、前記デッキプレートは、山部に位置する平板状の上フランジと、谷部に位置する平板状の下フランジと、これら上フランジと下フランジを繋ぐ平板状のウェブと、を有し、前記下フランジの下面のみ、又は前記下フランジの下面、及び前記ウェブの外面の一部あるいは全部だけが耐火被覆材で被覆されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ロックウール工業会 製品紹介 耐火被覆材<https://www.rwa.gr.jp/product/investment.html#01>
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-37717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工時間を短縮でき、耐火性能を発揮させることが可能となるスラブ及びスラブの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るスラブは、コンクリートとデッキプレートとを備えるスラブであって、平板状に形成される平板部と、前記平板部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有するデッキプレートと、前記デッキプレートの上方に打設されるコンクリートと、前記平板部の上面と前記コンクリートの間に設置される耐火被覆材と、を備え、前記立ち上がり部は、前記コンクリートに接触されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るスラブの施工方法は、コンクリートとデッキプレートとを備えるスラブの施工方法であって、平板状に形成される平板部と、前記平板部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有するデッキプレートの前記平板部の上面に耐火被覆材を設置する設置工程と、前記デッキプレートの上方からコンクリートを打設して前記立ち上がり部を前記コンクリートに接触させ、前記コンクリートを硬化させる打設工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施工時間を低減でき、耐火性能を発揮させることが可能となるスラブ及びスラブの施工方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態に係るスラブが用いられる構造物の一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るスラブの一例を示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係るスラブの一例を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るスラブの施工方法の一例を示す図であり、図4(a)は、設置工程を示す図であり、図4(b)は、打設工程を示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係るスラブの一例を示す断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係るスラブの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、いくつかの実施形態に係るスラブについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態:スラブ)
スラブ1は、構造物の床スラブや屋上スラブとして用いられる。スラブ1は、複数のデッキプレート2が連結され、H形鋼等の支持部材8の上に架設される。スラブ1は、図1に示すように、デッキプレート2と、コンクリート5と、耐火被覆材6と、を備える。スラブ1は、例えば図1に示すような合成スラブを含む。
【0017】
(デッキプレート)
デッキプレート2は、溶融亜鉛めっき鋼板等の防錆処理が施された0.8mm~1.6mm程度の鋼板から折り曲げられて、所定の長さの平面視で長方形状に成形されたデッキプレートである。なお、デッキプレート2の長さは、構築するコンクリートスラブの長さ、及び鋼板の厚さや用途によって相違するが、一般的には、0.8m~3.7m程度の範囲の長さとなっている。デッキプレート2は、例えば日鉄建材株式会社製のサイノスデッキが用いられる。
【0018】
デッキプレート2は、平板部3と、立ち上がり部4と、を有する。本実施形態では、デッキプレート2は、平板部3のみが下側に露出される。
【0019】
(平板部)
平板部3は、荷重を支持するための構造部材としての機能を有し、平板状に形成される。平板部3は、平板部3の剛性を向上させるための凸部31を有する。凸部31は、デッキプレート2の長手方向に沿って折り曲げられた断面台形状の凸条である。凸部31は、エンボス加工等により形成される。断面台形状の凸条である凸部31を例示したが、断面三角形状や多角形状の凸条でもよい。即ち、平板部3に設ける凸部31は、平板部の剛性を高めるため長手方向に沿って折り曲げられる凹凸であれば、他の形状からなる凸条、凹条でも構わない。なお、凸部31は、省略されてもよい。
【0020】
(立ち上がり部)
立ち上がり部4は、平板部3から折り曲げられて上方に立ち上がる。立ち上がり部4の上端は、平板部3の凸部31の上端よりも上方に設置される。立ち上がり部4は、平板部3の端部から立ち上がる一対の係合リブ(第1係合リブ41と第2係合リブ42)と、第1係合リブ41と第2係合リブ42との間に設けられる補強リブ43と、を有する。
【0021】
(係合リブ)
一対の係合リブのうち図2に示す右側の係合リブである第1係合リブ41は、平板部3に対して垂直に立ち上がる。第1係合リブ41は、隣接する他のデッキプレート2の第2係合リブ42と係合してデッキプレート2同士を連結する機能を有している。
【0022】
第1係合リブ41は、平板部3の面に対して垂直に立ち上がる平板状の第1ウェブ部41aと、この第1ウェブ部41aの先端から内側(補強リブ43側、以下同じ)上方に向け傾斜して立ち上がる立上傾斜部41bと、この立上傾斜部41bの先端から水平に連続する第1フランジ部41cと、この第1フランジ部41cの先端から下方に傾斜する係合傾斜部41dと、この係合傾斜部41dの先端から係合傾斜部41dと逆方向に傾斜する案内傾斜部41eなど、から構成されている。
【0023】
第1ウェブ部41aには、平板面から内側へ突出する複数のエンボス41fが所定の間隔をおいて平行に並んで形成されている。このエンボス41fは、水平視で上下に傾斜する長孔状の凸条となっており、デッキプレート2とその内側に打設されたコンクリート5とが両者の界面でずれることを防止する機能を有している。このように、エンボス41fの凸条が、上下に傾斜しているため、1種類のエンボスで、上下方向、水平方向のいずれの方向にもずれること防止することができる。
【0024】
なお、第1ウェブ部41a、立上傾斜部41b、第1フランジ部41c、係合傾斜部41d、案内傾斜部41eの各部の接合部となる角は、全て曲面加工され折り曲げられ、丸面角とされる。
【0025】
一対の係合リブのうち図2に示す左側の係合リブである第2係合リブ42は、平板部3に対して垂直に立ち上がる。
【0026】
第2係合リブ42は、平板部3の面に対して垂直に立ち上がる平板状の第2ウェブ部42aと、この第2ウェブ部42aの先端から内側上方に向け傾斜して立ち上がる乗り越え傾斜部42bと、この乗り越え傾斜部42bの先端から下方に傾斜する押圧傾斜部42cなど、から構成されている。
【0027】
また、乗り越え傾斜部42bの傾斜高さは、係合傾斜部41dと案内傾斜部41eの傾斜高さより高く、且つ、乗り越え傾斜部42bの傾斜角度は、係合傾斜部41dと案内傾斜部41eの傾斜角度と相違してこれらの傾斜角度より緩くなっている。このため、デッキプレート2を載置した鋼材等の上を水平方向にスライド移動させた際に、乗り越え傾斜部42bが係合傾斜部41d及び案内傾斜部41eを容易に乗り越えて第2係合リブ42と他のデッキプレートの第1係合リブとが係合し易くなっている。
【0028】
その上、押圧傾斜部42cの傾斜は、係合傾斜部41dと同一方向に略同角度で傾斜している。このため、第2係合リブ42と他のデッキプレートの第1係合リブとが係合した際に、デッキプレート2の自重により係合傾斜部41d及び押圧傾斜部42cの傾斜で第2係合リブ42と他のデッキプレート2の第1係合リブとが押圧される方向に荷重が掛かり、デッキプレート2同士をピッタリ係合させることができる。よって、コンクリート打設時のノロ漏れによりセメント成分が硬化してデッキプレートの下面に剥離困難な汚れが付着してしまうことを防止することができる。
【0029】
なお、図2に示すように、第2ウェブ部42aには、エンボス41fと同様に、平板面から内側へ突出する複数のエンボス42dが所定の間隔をおいて平行に並んで形成されている。
【0030】
各図に示すように、第1係合リブ41と同様に、第2係合リブ42の第2ウェブ部42a、乗り越え傾斜部42b、押圧傾斜部42cの各部の接合部となる角も、全て曲面加工され折り曲げられ、丸面角とされる。
【0031】
補強リブ43は、図3に示すように、デッキプレート2の中央に上方に向け垂設され、2枚の平板状の鋼板が重なり合った重なり部44と、この重なり部44の先端に形成された断面三角形状の補強部45など、から構成されており、平板部3の長手方向に対する曲げ剛性を向上する機能を有する。
【0032】
(コンクリート)
コンクリート5は、図3に示すように、セメント、細骨材、粗骨材、水及び混和材等を混合して用いられて、必要に応じて、モルタル等が用いられてもよい。コンクリート5は、デッキプレート2の上面側に打設されて、デッキプレート2の上面側で所定時間の経過後に硬化させたものである。
【0033】
コンクリート5は、例えば、厚さが150mm程度となる。コンクリート5は、必要に応じて、デッキプレート2の立ち上がり部4の上方で、例えば、30mm以上の被り厚を確保して、溶接金網51が内部に設けられる。溶接金網51は、引張力を負担してコンクリート5のひび割れ等を防止するものとなる。
【0034】
溶接金網51は、スラブのコンクリートに用いられる周知のものが用いられる。溶接金網51は、所定の径以上の丸鋼及び異形鉄線が所定のピッチで格子状に溶接された金網である。溶接金網は、異形鉄筋が結束されて組み合わせたものに代替可能である。
【0035】
コンクリート5には、立ち上がり部4が接触される。これにより、デッキプレート2とコンクリート5との合成効果を発揮させることができる。本実施形態では、第1係合リブ41と、第2係合リブ42と、補強リブ43とが、コンクリート5に接触される。
【0036】
(耐火被覆材)
耐火被覆材6は、耐火性能を有するものである。耐火被覆材6は、断熱性を有するものであってもよい。耐火被覆材6は、シート状に形成され例えばセラミックファイバーブランケットが用いられる。耐火被覆材6は、平板部3の上面とコンクリート5との間に設置される。耐火被覆材6は、ロール状に形成されたものを展開して、平板部3の上面の略全域を覆うように設置される。耐火被覆材6は、平板部3の凸部31に沿って設置される。なお、耐火被覆材6は、ロックウールとセメントとを配合した吹付ロックウールが用いられてもよい。
【0037】
(第1実施形態:スラブの施工方法)
次に、本実施形態に係るスラブの施工方法について説明する。スラブの施工方法は、設置工程と、打設工程と、を備える。
【0038】
設置工程では、図4(a)に示すように、平板状に形成される平板部3と、平板部3から上方に立ち上がる立ち上がり部4と、を有するデッキプレート2の平板部3の上面に耐火被覆材6を設置する。設置工程では、ロール状の耐火被覆材6を展開して、平板部3の上面に設置する。詳細には、第1係合リブ41と補強リブ43との間の平板部3と、第2係合リブ42と補強リブ43との間の平板部3と、にそれぞれ耐火被覆材6を設置する。これにより、平板部3のみが下側に露出されるデッキプレート2の平板部3の上面の全域に、耐火被覆材6を設置する。
【0039】
次に、打設工程では、図4(b)に示すように、溶接金網51を立ち上がり部4の上方に設置する。そして、打設工程では、デッキプレート2の上方からコンクリート5を打設して立ち上がり部4をコンクリート5に接触させ、コンクリート5を硬化させる。溶接金網51は、コンクリート5に埋設される。
【0040】
以上により、スラブの施工方法が完了する。
【0041】
本実施形態では、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6を備える。これにより、耐火被覆材6を平板部3の上面側から設置することができ、従来のようなデッキプレートの下面に下方から吹付けロックウールを吹き付ける等の上向き作業を省略できる。このため、耐火被覆材6を設置する作業を容易に行うことができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6を備え、立ち上がり部4は、コンクリート5に接触される。これにより、デッキプレート2とコンクリート5との合成効果を発揮させることができる。加えて、デッキプレート2の下面側が火災で炙られたとしても、耐火被覆材6により平板部3からコンクリート5に伝達される熱を抑制することができ、コンクリート5の温度上昇を抑制することができる。このため、耐火性能を発揮させることが可能となる。
【0043】
本実施形態では、デッキプレート2は、平板部3のみが下側に露出され、耐火被覆材6は、平板部3の上面の略全域を覆うように設置される。これにより、デッキプレート2の下面側が火災で炙られたとしても、立ち上がり部4の温度上昇を抑制することができる。このため、立ち上がり部4に接触したコンクリート5の温度上昇を一層抑制することができる。その結果、耐火性能を発揮させることが可能となる。
【0044】
本実施形態では、立ち上がり部4は、隣接する他のデッキプレート2と連結するための第1係合リブ41と第2係合リブ42と、第1係合リブ41と第2係合リブ42と間に配置される補強リブ43と、を有し、第1係合リブ41と、第2係合リブ42と、補強リブ43と、がコンクリート5に接触される。これにより、デッキプレート2とコンクリート5との合成効果を更に発揮させることができる。
【0045】
(第2実施形態:スラブ)
スラブ1は、図5に示すように、デッキプレート2と、コンクリート5と、耐火被覆材6と、を備える。本実施形態では、デッキプレート2は、平板部3と立ち上がり部4とが下側に露出される。
【0046】
耐火被覆材6は、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される。耐火被覆材6は、平板部3の上面の略全域を覆うように設置される。
【0047】
本実施形態では、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6を備える。これにより、耐火被覆材6を平板部3の上面側から設置することができ、従来のようなデッキプレートの下面に下方から吹付けロックウールを吹き付ける等の上向き作業を省略できる。このため、耐火被覆材6を設置する作業を容易に行うことができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6を備え、立ち上がり部4は、コンクリート5に接触される。これにより、デッキプレート2とコンクリート5との合成効果を発揮させることができる。加えて、デッキプレート2の下面側が火災で炙られたとしても、耐火被覆材6により平板部3からコンクリート5に伝達される熱を抑制することができ、コンクリート5の温度上昇を抑制することができる。このため、耐火性能を発揮させることが可能となる。
【0049】
(第3実施形態:スラブ)
スラブ1は、図6に示すように、デッキプレート2と、コンクリート5と、耐火被覆材6と、を備える。本実施形態では、デッキプレート2は、平板部3のみが下側に露出される。このようにスラブ1は、例えば図6に示すようないわゆる配筋付きのRCスラブを含む。
【0050】
第1係合リブ41は、平板部3の一方の側端部をコンクリート5側に向けて折り曲げて形成される。第2係合リブ42は、平板部3の他方の側端部をコンクリート5側に向けて折り曲げてU字状に形成される。補強リブ43は、平板部3の上面から立ち上がる。補強リブ43は、平板部3の上面に溶接して設けられる鉄筋をトラス状に組み合わせたトラス鉄筋である。補強リブ43は、コンクリート5に接触される。
【0051】
耐火被覆材6は、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される。耐火被覆材6は、平板部3の上面の略全域と第1係合リブ41と第2係合リブ42とを覆うように設置される。
【0052】
本実施形態では、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6を備える。これにより、耐火被覆材6を平板部3の上面側から設置することができ、従来のようなデッキプレートの下面に下方から吹付けロックウールを吹き付ける等の上向き作業を省略できる。このため、耐火被覆材6を設置する作業を容易に行うことができ、施工時間を短縮することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、平板部3の上面とコンクリート5の間に設置される耐火被覆材6を備え、立ち上がり部4は、コンクリート5に接触される。これにより、デッキプレート2とコンクリート5との合成効果を発揮させることができる。加えて、デッキプレート2の下面側が火災で炙られたとしても、耐火被覆材6により平板部3からコンクリート5に伝達される熱を抑制することができ、コンクリート5の温度上昇を抑制することができる。このため、耐火性能を発揮させることが可能となる。
【0054】
本実施形態では、デッキプレート2は、平板部3のみが下側に露出され、耐火被覆材6は、平板部3の上面の略全域を覆うように設置される。これにより、デッキプレート2の下面側が火災で炙られたとしても、立ち上がり部4の温度上昇を抑制することができる。このため、立ち上がり部4に接触したコンクリート5の温度上昇を一層抑制することができる。その結果、耐火性能を発揮させることが可能となる。
【0055】
本実施形態では、立ち上がり部4は、隣接する他のデッキプレート2と連結するための第1係合リブ41と第2係合リブ42と、第1係合リブ41と第2係合リブ42と間に配置される補強リブ43と、を有し、補強リブ43がコンクリート5に接触され、耐火被覆材6は、平板部3の上面の略全域と第1係合リブ41と第2係合リブ42とを覆うように設置される。これにより、デッキプレート2の下面側が火災で炙られたとしても、耐火被覆材6により第1係合リブ41と第2係合リブ42からコンクリート5に伝達される熱も抑制することができる。このため、コンクリート5の温度上昇を一層抑制することができる。その結果、耐火性能を発揮させることが可能となる。
【0056】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 :スラブ
2 :デッキプレート
3 :平板部
31 :凸部
4 :立ち上がり部
41 :第1係合リブ
42 :第2係合リブ
43 :補強リブ
44 :重なり部
45 :補強部
5 :コンクリート
51 :溶接金網
6 :耐火被覆材
8 :支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6