(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059130
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20220101AFI20230419BHJP
【FI】
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169068
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】原田 幸昌
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA54
5E555BA01
5E555BA23
5E555BB01
5E555BB23
5E555BC01
5E555BE10
5E555CA12
5E555CB12
5E555CB37
5E555CB76
5E555CC17
5E555DA01
5E555DC11
5E555DC14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】内容を十分に認識しないままユーザがポップアップ情報を削除することを抑制しつつ、より適切なポップアップ情報の表示を実現する表示制御装置を提供する。
【解決手段】表示制御装置は、表示部がポップアップで出力するポップアップ情報を取得すると、表示部がポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、ポップアップ情報の情報量に応じて削除不可時間を設定する。表示制御装置は、出力しているポップアップ情報を削除するための削除指示を、削除不可時間が経過していない間に受け付けた場合、ポップアップ情報の出力を維持させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部にポップアップで出力させるポップアップ情報を取得する取得部と、
前記表示部が前記ポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、当該ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、前記ポップアップ情報の情報量に基いて前記削除不可時間を設定する設定部と、
取得した前記ポップアップ情報を前記表示部に出力させ、前記表示部が出力している前記ポップアップ情報を削除する制御を行う制御部と、
前記表示部が出力している前記ポップアップ情報を削除するための削除指示を受け付ける受付部と、を備え、
前記制御部は、前記削除不可時間が経過していない間に前記受付部が前記削除指示を受け付けた場合は、前記表示部に前記ポップアップ情報の出力を維持させる、
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、更に、前記削除不可時間に対応して前記表示部が出力する前記ポップアップ情報を自動で削除する削除時間を設定し、前記削除時間は前記削除不可時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に前記ポップアップ情報を出力させた後、前記削除不可時間が経過していない間に、前記受付部が前記削除指示を受け付けた場合、前記削除不可時間が経過した後に前記ポップアップ情報を削除する制御を行う、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記ポップアップ情報を出力する画面を有するタッチパネルディスプレイであって、
前記ポップアップ情報は、枠形状のポップアップウィンドウで囲って出力され、
前記削除指示は、前記ポップアップウィンドウ内をタッチする操作に基いて生成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記取得部が、複数の前記ポップアップ情報を取得して、各前記ポップアップ情報を出力する時間が重なる場合、前記制御部は、複数の前記ポップアップ情報を1つの前記ポップアップウィンドウにまとめて前記表示部に出力させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
表示部にポップアップで出力させるポップアップ情報の表示制御方法において、
前記ポップアップ情報を取得し、
前記表示部が前記ポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、当該ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、前記ポップアップ情報の情報量に基いて前記削除不可時間を設定し、
前記表示部が出力している前記ポップアップ情報を削除するための削除指示を、前記削除不可時間が経過していない間に受け付けた場合、前記表示部に前記ポップアップ情報の出力を維持させる、
表示制御方法。
【請求項7】
コンピューターにポップアップ情報の表示制御処理を実行させるプログラムであって、
前記表示制御処理は、
表示部にポップアップで出力させるポップアップ情報を取得するステップと、
前記表示部が前記ポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、当該ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、前記ポップアップ情報の情報量に基いて前記削除不可時間を設定するステップと、
前記表示部が出力している前記ポップアップ情報を削除するための削除指示を、前記削除不可時間が経過していない間に受け付けた場合、前記表示部に前記ポップアップ情報の出力を維持させるステップと、を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御方法及びプログラムに関し、特にポップアップの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置を用いた情報通知手法の一つとして、ポップアップがある。ポップアップとは、表示装置が備える画面の所定の表示領域に、所定のタイミングで情報を出力する仕組みのことである。ポップアップは、例えば、広告、ユーザに対する確認または注意事項の通知に用いられる。所定の表示領域にポップアップで表示する情報及び画像を、以下、「ポップアップ情報」または、省略して「PU情報」という。
【0003】
下記の特許文献1には、現在位置と情報提供開始位置が一致すると、タッチパネル画面にポップアップ情報を出力し、ポップアップ情報を出力してから所定時間以内にタッチパネル画面への指示入力がなければ、ポップアップ情報を削除する表示制御が開示されている。換言すると、ポップアップ情報を出力してから所定時間は、ポップアップ情報を出力し続ける表示制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、出力されたポップアップ情報がユーザにとって不要な情報である場合、そのポップアップ情報が所定時間出力され続けると、ユーザは不愉快に感じる可能性がある。そこで、ユーザの操作によって、出力中のポップアップ情報を削除できるようにすることが考えられる。
【0006】
しかし、そのような削除機能を設けると、ポップアップ情報の内容をユーザが認識する前に、ユーザが誤った操作を行うことで、ポップアップ情報を削除してしまう可能性がある。
【0007】
例えば、車両に搭載された車載機のタッチパネルディスプレイにポップアップ情報を表示する場合、移動中の車両は揺れているため、ユーザがタッチパネルディスプレイの操作を行う際、ポップアップ情報の内容を認識する前に誤って削除する可能性が考えられる。
【0008】
1つの側面として、本発明は、内容を十分に認識しないままユーザがポップアップ情報を削除することを抑制しつつ、適切なポップアップ情報の表示を実現する表示制御装置、ポップアップ表示の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示の一態様である表示制御装置は、取得部と、設定部と、制御部と、受付部とを備える。取得部は、表示部にポップアップで出力させるポップアップ情報を取得する。設定部は、表示部がポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、ポップアップ情報の情報量に基いて削除不可時間を設定する。制御部は、取得したポップアップ情報を表示部に出力させ、表示部が出力しているポップアップ情報を削除する制御を行う。受付部は、表示部が出力しているポップアップ情報を削除するための削除指示を受け付ける。制御部は、削除不可時間が経過していない間に、受付部が削除指示を受け付けた場合は、表示部にポップアップ情報の出力を維持させる。
【0010】
(2)上記(1)の表示制御装置において、設定部は、更に、削除不可時間に対応して表示部が出力するポップアップ情報を自動で削除する削除時間を設定し、削除時間は削除不可時間よりも長い、としてもよい。
【0011】
(3)上記(1)または(2)の表示制御装置において、制御部は、表示部にポップアップ情報を出力させた後、削除不可時間が経過していない間に、受付部が削除指示を受け付けた場合、削除不可時間が経過した後にポップアップ情報を削除する制御を行う、としてもよい。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの表示制御装置において、表示部は、ポップアップ情報を出力する画面を有するタッチパネルディスプレイであって、ポップアップ情報は、枠形状のポップアップウィンドウで囲って出力され、削除指示は、ポップアップウィンドウ内をタッチする操作に基いて生成される、としてもよい。
【0013】
(5)上記(4)の表示制御装置において、取得部が、複数のポップアップ情報を取得して、各ポップアップ情報を出力する時間が重なる場合、制御部は、複数のポップアップ情報を1つのポップアップウィンドウにまとめて表示部に出力させる、としてもよい。
【0014】
(6)本開示の一態様である表示制御方法は、表示部にポップアップで出力させるポップアップ情報の表示制御方法において、ポップアップ情報を取得し、表示部がポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、当該ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、ポップアップ情報の情報量に基いて削除不可時間を設定し、表示部が出力しているポップアップ情報を削除するための削除指示を、削除不可時間が経過していない間に受け付けた場合、表示部にポップアップ情報の出力を維持させる。
【0015】
(7)本開示の一態様であるプログラムは、コンピューターにポップアップ情報の表示制御処理を実行させるプログラムであって、表示制御処理は、表示部にポップアップで出力させるポップアップ情報を取得するステップと、表示部がポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、当該ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間とし、ポップアップ情報の情報量に基いて削除不可時間を設定するステップと、表示部が出力しているポップアップ情報を削除するための削除指示を、削除不可時間が経過していない間に受け付けた場合、表示部にポップアップ情報の出力を維持させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明を用いれば、適切なポップアップ情報の表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】表示制御装置11を含む車載システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】CPU14の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】PU情報の文字数と削除不可時間t1及び削除時間t2を対応付けたテーブルの一例を示す図である。
【
図4】表示制御装置11の表示制御処理フローの一例を示す図である。
【
図5】画面10に出力されるポップアップ情報の一例を示す図である。
【
図6】画面10に出力されるポップアップ情報の一例を示す図である。
【
図7】画面10に出力されるポップアップ情報の一例を示す図である。
【
図8】画面10に出力されるポップアップ情報の一例を示す図である。
【
図9】画面10からポップアップ情報を削除した場合の一例を示す図である。
【
図10】画面10に出力される地図の一例を示す図である。
【
図11】画面10に地図とポップアップ情報を出力した一例を示す図である。
【
図12】画面10に地図とポップアップ情報を出力した一例を示す図である。
【
図13】画面10に地図とポップアップ情報を出力した一例を示す図である。
【
図14】画面10に地図とポップアップ情報を出力した一例を示す図である。
【
図15】画面10に地図とポップアップ情報を出力した一例を示す図である。
【
図16】画面10に地図とポップアップ情報を出力した一例を示す図である。
【
図17】画面10に出力されるポップアップ情報の一例を示す図である。
【
図18】画面10に出力されるポップアップ情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[車載システム1の概要]
図1に示すように車載システム1は、表示制御装置11、表示部16、ナビゲーション装置17、通信部18を含む。ナビゲーション装置17は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)2と接続されている。車載システム1は、図示していないが、車両に搭載されている。車両は、自動車、バイク等である。
【0020】
車載システム1の表示制御装置11は、ナビゲーション装置17が生成する現在位置案内情報や、車両制御ECU18から通知される様々な車両情報を表示部16に出力させることで、ユーザに対して情報を通知する。
【0021】
表示部16は、タッチパネルディスプレイであり、所定の表示領域を有する画面を備え、表示領域に情報を出力する機能を有する。表示部16は、また、表示領域に出力した情報に対して、ユーザがタッチ操作を行うことで当該情報に対する所定の指示入力を受け付ける機能を有する。
【0022】
ナビゲーション装置17は、GPS(Global Positioning System)部171、自律航法部172、ナビ制御部173、地図情報記憶部174を備える。なお、ナビゲーション装置17の基本的な構成及び動作は、公知技術で実現しているため、詳細な説明は省略する。
【0023】
GPS部171は、上空に配置されている複数のGPS衛星から電波を受信して現在位置を算出する機能を有する。自律航法部172は、ジャイロセンサ、加速度センサを備え、これらのセンサが検出する方向及び加速度と、車両制御ECU2から受信する車速パルスに基いて、現在位置を算出する機能を有する。
【0024】
ナビ制御部173は、GPS部171及び自律航法部172が算出した現在位置を取得して、地図情報記憶部174に記憶している地図データと現在位置とのマッチング処理を行い、地図上に現在位置を示した現在位置案内情報を生成して、表示制御装置11に送信する。ユーザが目的地を設定した場合は、ナビ制御部173は、現在位置から目的地までの経路案内情報を生成して、表示制御装置11に送信する。
【0025】
ナビ制御部173は、現在位置案内情報の他、車両制御ECU2から、ガソリン残量情報、バッテリー情報等の車両の走行に関する情報を受信した場合、これらの情報に基くポップアップ情報を生成し、表示制御装置11に送信する。
【0026】
ポップアップ情報は、表示部16がポップアップで表示する情報であり、例えば、車両に関する注意喚起の情報、地点の案内情報である。注意喚起の情報とは、例えば、衝撃を検知したり、急加速を検知したことで安全運転を促す情報であったり、ガソリン残量の低下、ウォッシャー液の残量の低下を検知したことによるこれらの補充案内をする情報である。
【0027】
地点の案内情報とは、例えば、最寄りのガソリンスタンドのガソリン単価情報や、お土産屋さんで売っている特産品等の情報である。走行中の道路状況に関する情報とは、例えば、道路凍結によるチェーン規制情報や、渋滞情報である。
【0028】
車両制御ECU2は、車両の走行機能を制御する機能を有し、車速パルス、ガソリン残量情報、バッテリー情報等、車両の走行に関する情報をナビゲーション装置17に送信する。
【0029】
通信部18は、インターネットに接続して、外部サーバからポップアップ情報を受信する機能を有する。外部サーバから受信するポップアップ情報としては、例えば、現在位置を含む所定エリアの気象情報、走行中の道路状況に関する情報、緊急情報等である。
【0030】
走行中の道路状況に関する情報としては、例えば、渋滞情報、事故発生情報、交通規制情報である。また、緊急情報としては、例えば、台風、地震、噴火等の緊急事態に関する情報である。
【0031】
表示制御装置11は、ハードウェアとして、入出力インタフェース(I/O)12、ROM(Read Only Memory)13、CPU(Centoral Processing Unit)14、RAM(Random Access Memory)15を備える。I/O12、ROM13、CPU14、RAM15は、バスを介して相互に接続されている。
【0032】
ROM13には、後述する表示制御処理をCPU14に実行させるためのプログラムが記憶されている。CPU14は、ROM13に記憶されているプログラムを読み出して、RAM15に展開する。CPU14は、RAM15に展開したプログラムを実行することにより、
図2に示す取得部141、設定部142、受付部143、制御部144、計時部145として動作する。
【0033】
取得部141は、ナビゲーション装置17及び通信部18からI/O12を介してポップアップ情報を取得する。ポップアップ情報は、取得部141が取得した時点で表示部16にポップアップで出力される。
【0034】
設定部142は、表示部16がポップアップ情報を出力した時から所定時間が経過するまでを、ポップアップ情報の削除を不可とする削除不可時間として設定する機能を有する。設定部142は、ポップアップ情報の情報量に応じて削除不可時間を設定する。ポップアップ情報の情報量とは、例えば、文字数である。
【0035】
設定部142は、削除不可時間と共に自動的にポップアップ情報を削除する削除時間を設定してもよい。例えば、設定部142は、
図3に示すテーブルを用いて、ポップアップ情報の文字数と対応付けられた削除不可時間t1、削除時間t2を設定してもよい。
【0036】
ポップアップ情報の文字数が25文字の場合、設定部142は、削除不可時間t1を3秒、削除時間t2を4秒に設定する。すなわち、削除時間t2は、削除不可時間t1よりも長い時間が設定される。
【0037】
ポップアップ情報の文字数が45文字の場合は、設定部142は、削除不可時間t1を5秒、削除時間t2を「無し」に設定する。削除時間t2が「無し」の場合、自動削除は行わない。
【0038】
受付部143は、タッチパネルディスプレイの画面を備える表示部16に対するユーザからのタッチ操作に基いて、表示部16から送信される各種指示を受け付ける機能を有する。受付部143が受け付ける指示のうちの1つは、表示部16が出力しているポップアップ情報を削除するための削除指示である。
【0039】
制御部144は、取得したポップアップ情報を表示部16に出力させ、表示部16が出力しているポップアップ情報を削除する制御を行う機能を有する。計時部145は、現在日時を掲示する機能を有する。
【0040】
[表示制御装置11の動作]
図4に示す表示制御処理フローを説明する。なお、
図4に示す記号「S」はステップを意味する。
【0041】
まず、取得部141は、ナビゲーション装置17及び通信部18からI/O12を介してポップアップ情報を取得する(S1)。設定部142は、S1において取得されたポップアップ情報の情報量に基いて、削除不可時間t1及び削除時間t2を設定する(S2)。削除時間t2は、削除不可時間t1よりも長い時間が設定される。ポップアップ情報の内容によっては、削除時間t2を設定しなくてもよい。
【0042】
制御部144は、取得したポップアップ情報を表示部16に出力させる(S3)。計時部145は、ポップアップ情報を表示部16に出力させた時点から計時を行って、経過時間を計測する。
【0043】
受付部143がポップアップ情報の削除指示を受け付けた場合(S4:Yes)、経過時間が削除不可時間t1を経過していれば(S5:Yes)、制御部144は、表示部16が出力するポップアップ情報を削除する制御を行う(S8)。その後、制御部144はS1の処理に戻る。
【0044】
受付部143がポップアップ情報の削除指示を受け付けることなく(S4:No)、削除時間t2が経過した場合(S7:Yes)、制御部144は、表示部16が出力するポップアップ情報を削除する制御を行う(S8)。その後、制御部144はS1の処理に戻る。
【0045】
S5において、経過時間が削除不可時間t1を経過していない場合(S5:No)、制御部144は、表示部16が出力するポップアップ情報の枠(以下、「ポップアップウィンドウ」という)を強調表示させ、且つ、ポップアップウィンドウを横方向に振動させることで削除不可であることを示す出力を表示部16に行わせる(S6)。ポップアップ情報は、枠形状のポップアップウィンドウで囲われた内側に表示される。
【0046】
制御部144はS6の処理において、ポップアップ情報を削除せずに出力を維持し、S7の処理に進む。経過時間が削除時間t2を経過していない場合(S7:No)、制御部144は、S4の処理に戻る。
【0047】
[ポップアップ情報の具体例]
図5~
図16を用いて、表示制御装置11の表示制御処理において出力されるポップアップ情報の具体例を説明する。なお、
図5~
図17に示す画面10の表示内容は、この順で出力される。
【0048】
図5に示すように、表示部16の画面10には、ポップアップウィンドウで囲われた表示領域に注意ポップアップ情報100が出力されている。注意ポップアップ情報100は「ガソリン残量が5リットルになりました。最寄りのガソリンスタンドを表示します。」という注意喚起の内容である。
図4に示す表示制御処理のS3に対応する。
【0049】
注意ポップアップ情報100の情報量である文字数は、35文字である。設定部142は、
図3に示すテーブルに基いて、削除不可時間t1は4秒、削除時間t2は5秒を設定する。
【0050】
図5に示す注意ポップアップ情報100は、ナビゲーション装置17が車両制御ECU2からガソリン残量情報を受信して生成したものである。ナビゲーション装置17は、生成した注意ポップアップ情報100を表示制御装置11に送信し、表示制御装置11は、表示部16の画面10に注意ポップアップ情報100を出力させる。
【0051】
図6は、注意ポップアップ情報100の表示領域に対して、ユーザの指200がタッチ操作したことを示す図である。
図4に示す表示制御処理のS4に対応する。
【0052】
図7は、
図6に示すタッチ操作が行われた結果、経過時間が削除不可時間t1を経過していないため(S5:No)、削除不可であることを示す出力の具体例を示す図である。
図4に示す表示制御処理のS6に対応する。
【0053】
図7に示すように、制御部144は、ポップアップウィンドウを横方向に振動させることで削除不可であることを示す表示態様150を表示部16に出力させる。
【0054】
図8は、注意ポップアップ情報100の表示領域に対して、ユーザの指200がタッチ操作したタイミングが、経過時間が削除不可時間t1を経過していることを示す図である。現在時刻が削除不可時間t1を経過した場合、ポップアップウィンドウの枠線を、例えば、点線表示にする等、ポップアップウィンドウの表示態様を変更してもよい。
【0055】
図9は、
図8に示すタッチ操作により、注意ポップアップ情報100を削除した画面10を示す図である。
図4に示す表示制御処理のS8に対応する。なお、
図8に示すタッチ操作を行わなくても、制御部144は、削除時間t2経過後に、注意ポップアップ情報100を画面10から削除し、最寄りのガソリンスタンドの位置とガソリン価格を示す地点ポップアップ情報を重畳する地図を出力する。
【0056】
図10は、ナビゲーション装置17が生成した地点ポップアップ情報を重畳するために出力した、現在位置周辺の地図の一例である。表示部16の画面10には、車両の現在位置周辺の地図に、車両の現在位置を示すアイコン50が重畳して表示されている。
【0057】
図11は、最寄りのガソリンスタンドの位置を示す第1地点アイコン51と、第1地点ポップアップ情報101とを地図上に重畳して、表示部16の画面10に出力した図である。第1地点ポップアップ情報101には、〇〇ガソリンスタンドのガソリンの価格情報等が含まれる。
図4に示す表示制御処理のS3に対応する。
【0058】
図12は、車両が更に移動することで、表示部16が、新たな最寄りのガソリンスタンドの位置を示す第2地点アイコン52と、第2地点ポップアップ情報102とを地図上に重畳して出力した図である。第2地点ポップアップ情報102には、××ガソリンスタンドのガソリンの価格情報等が含まれる。
図4に示す表示制御処理のS3に対応する。
【0059】
なお、第2地点ポップアップ情報102は、ポップアップウィンドウ内に情報量が収まらないため、第2地点ポップアップ情報102の一部が隠された状態で出力されている。一部が隠された状態であることを示すために、第2地点ポップアップ情報102のポップアップウィンドウの右下に、三角アイコン103を表示している。
【0060】
ここで、ユーザが、第2地点ポップアップ情報102の隠された情報を開くために、第2地点ポップアップ情報102の表示領域をタッチ操作しようとした際、車両が大きく揺れたため、誤って第1地点ポップアップ情報101の表示領域をユーザの指200がタッチしたとする。
図4に示す表示制御処理のS4に対応する。
【0061】
図13は、ユーザが誤って、第1地点ポップアップ情報101の表示領域をタッチしたことにより、第1地点ポップアップ情報101の削除指示を受け付けた場合の、第1地点ポップアップ情報101の表示態様を示す図である。
【0062】
第1地点ポップアップ情報101が画面10に出力されてから、削除不可時間t1が経過していない時に、ユーザが第1地点ポップアップ情報101の表示領域をタッチしたため、制御部144は表示部16に、第1地点ポップアップ情報101のポップアップウィンドウの枠を強調表示して、ポップアップウィンドウを横方向に振動する表示態様を出力させて、ユーザに削除不可であることを示す。
図4に示す表示制御処理のS6に対応する。
【0063】
図14は、第1地点ポップアップ情報101が画面10に出力されてから、削除不可時間t1が経過した後に、ユーザが第1地点ポップアップ情報101を削除するために、第1地点ポップアップ情報101の表示領域をタッチしたことを示す図である。
【0064】
この場合、削除不可時間t1が経過しているため、
図15に示すように、第1地点ポップアップ情報101は画面10から削除される。
図4に示す表示制御処理のS8に対応する。
【0065】
図15は、第2地点ポップアップ情報102が画面10に出力されてから、削除不可時間t1が経過していない時に、ユーザが第2地点ポップアップ情報102の表示領域をタッチしたことを示す図である。この場合、削除不可時間t1は経過していないため、第2地点ポップアップ情報102の表示領域へのタッチ操作は、第2地点ポップアップ情報102の隠された情報を開くための操作指示として受付部143は受け付ける。
【0066】
その結果、制御部144は、
図16に示すように、ポップアップウィンドウの表示領域を拡張して、隠れていた情報の一部を展開して表示部16に出力させる。
【0067】
[その他の変形例]
上記実施形態において、取得部141が、複数のポップアップ情報を続けて取得することが考えられる。この場合、各ポップアップ情報を出力する時間が重なることになるが、各ポップアップ情報に優先度を持たせておき、優先度が高いポップアップ情報が優先度の低いポップアップ情報よりも前面となるように重ねて出力してもよい。
【0068】
図17は、ガソリン残量に関する注意ポップアップ情報100と、それよりも優先度が高い緊急ポップアップ情報100aを画面10に重畳して出力した一例を示す図である。緊急ポップアップ情報100aは、〇〇山の噴火警報の情報であり、注意ポップアップ情報100よりも優先度を高くしている。例えば、注意ポップアップ情報100の優先度を「3」とし、緊急ポップアップ情報100aの優先度を「5」としており、数値が高い方を優先度が高いポップアップ情報としている。
【0069】
緊急ポップアップ情報100aには、詳細ボタン100bが設けられており、緊急ポップアップ情報100aのポップアップウィンドウの表示領域をユーザがタッチすることで、〇〇山の噴火警報に関する詳細情報を出力することができる。詳細情報は、例えば、〇〇山の位置と車両の現在位置を示し、立ち入りが禁止になっているエリアを地図で示す情報等である。
【0070】
注意ポップアップ情報100は、緊急ポップアップ情報100aに隠れる形で出力されているため、注意ポップアップ情報100の削除不可時間t1及び削除時間t2の計時タイミングは、緊急ポップアップ情報100aが画面10から削除されて、ユーザが視認できるようになってからとしてもよい。
【0071】
取得部141が取得したポップアップ情報の優先度が同等である場合、1つのポップアップウィンドウにまとめて2つのポップアップ情報を出力するようにしてもよい。例えば、ガソリン残量に関する注意ポップアップ情報に続いて、ウォッシャー液残量に関する注意ポップアップ情報を取得した場合、制御部144は、
図18に示すように、2つのポップアップ情報を1つにまとめて注意ポップアップ情報100cとして表示部16に出力させてもよい。
【0072】
ポップアップ情報の他の変形例として、例えば、データの読み込みにある程度の時間がかかる場合、「データの読み込み中」であることを示す情報をポップアップで出力することが考えられる。このような場合、データの読み込みが終了すると共に、ポップアップ情報を画面10から削除する制御が一般的に行われる。
【0073】
しかし、単に「データの読み込み中」と画面に出力するだけでなく、その読み込んだデータを使用する際の注意点等もポップアップ情報に含めて出力する場合、データの読み込み時間が短くて、注意点について記載した内容をユーザが読み終わる前にポップアップ情報を削除してしまうことが考えられる。
【0074】
また、機器のエラーが発生した際、ポップアップでエラー表示することも考えられるが、一般的には、そのエラーが解消すると、そのポップアップ情報を画面10から削除する制御が行われる。例えば、エラーが発生して1秒でそのエラーが解消した場合、ポップアップ情報も1秒間しか画面10に出力されないため、ユーザは、ポップアップ情報が通知したエラーがどのようなエラーだったのかを認識できない場合が想定される。
【0075】
本発明を適用すれば、ポップアップ情報の情報量に応じて、ポップアップ情報の削除不可時間及び削除時間が設定されるので、ユーザがポップアップ情報の内容を認識しないままポップアップ情報が削除されるという問題を抑制することができる。
【0076】
上記実施形態において設定部142は、
図3に示すテーブルを用いて、ポップアップ情報の文字数に対応付けられた削除不可時間t1及び削除時間t2を設定していたが、テーブルではなく、計算式で算出してもよい。また、ポップアップ情報に文字が含まれずイメージ画像のみである場合、その画像の大きさ、画像のデータ量をポップアップ情報の情報量として、所定の計算式で削除不可時間t1及び削除時間t2を算出するようにしてもよい。
【0077】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したものや、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせた実施形態や、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加した実施形態も含まれる。
【0078】
例えば、上記の実施形態では、ナビゲーション装置17を含む車載システム1について本発明を適用したが、本発明は、車載システム1にナビゲーション装置17を含まないシステムにも適用は可能である。
【0079】
この場合、例えば、通信部18が受信したポップアップ情報について表示制御を行うシステムが想定される。また、本発明は、例えば、スマートフォン、コンピューター、施設等の管理システム、エレベーター、遠隔操作システム(例えば、ドローンの遠隔操作システム等)等、装置またはシステム内に設けられた表示部の表示制御に適用することもできる。
【0080】
上記の実施形態において、ユーザから受け付ける削除指示は、表示部16の画面10に対するタッチ操作に限られず、例えば、音声認識機能を用いて、ユーザが発生した音声を認識して削除指示を受け付けてもよく、画像認識機能を用いて、ユーザのジェスチャー操作を認識して削除指示を受け付けてもよい。また、キーボード、マウス等の入力デバイスを用いて、削除指示を受け付けてもよい。
【0081】
本発明は、表示制御装置として実現する他、表示部16にポップアップで出力させるポップアップ情報の表示制御方法であってもよく、コンピューターにポップアップ情報の表示制御処理を実行させるプログラム、係るプログラムを記憶した記憶媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 車載システム
2 車両制御ECU
10 画面
11 表示制御装置
12 I/O
13 ROM
14 CPU
15 RAM
16 表示部
17 ナビゲーション装置
100 注意ポップアップ情報
101 第1地点ポップアップ情報
102 第2地点ポップアップ情報
141 取得部
142 設定部
143 受付部
144 制御部
171 GPS部
172 自律航法部